JP2006283180A - 防錆剤およびその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の金属用防錆剤などの各種処理剤よりさらに防錆効果が高く、金属部品で要求される撥水撥油剤、樹脂付着防止剤、オイルバリア剤、防汚剤など各種処理剤の性能も有する防錆剤の提供。
【解決手段】式(1)で表されるポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物と、含フッ素ポリマーとを含有する組成物である防錆剤、
Rf1−(CH2)n−X−(CH2)m−SH・・・(1)
ここで、Rf1はポリフルオロアルキル基、Xは連結基である。
【解決手段】式(1)で表されるポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物と、含フッ素ポリマーとを含有する組成物である防錆剤、
Rf1−(CH2)n−X−(CH2)m−SH・・・(1)
ここで、Rf1はポリフルオロアルキル基、Xは連結基である。
Description
本発明は、優れた防錆機能を有する防錆剤の提供及びその用途に関する。更に詳しくはフッ素系溶媒や水系溶媒で重合された含フッ素ポリマー中に、これらに可溶かつ、防錆性能を有するポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物を混合することで、フッ素ポリマーの防湿コート効果で、より優れた防錆機能を発現すると共に、撥水撥油機能も併せ持つ防錆剤の提供及びその用途に関する。
従来、金属用防錆剤としては、イミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体などの各種含窒素化合物、各種メルカプト基含有化合物、鉱物油、オレフィン系オイル、各種無機系化合物またはそれらの2種以上の混合物があげられるが、その効果は充分でない。また撥水性を持たせることでより防錆性能を向上させる目的で、ポリフルオロアルキル基及び、メルカプト基を含有する化合物(特許文献1)、ポリフルオロアルキル基含有メルカプト安息香酸エステル類が提案されている(特許文献2)。しかしながら、これらフッ素系防錆剤においても効果が充分でなく、更に防錆効果の高い防錆剤が望まれている。
また、電子部品や摺動部品などに使用される金属部品は防錆効果と共に、フラックス這い上がり防止性能や、樹脂付着防止性能、オイルバリア性能、防汚性能などの撥水撥油効果を同時に求められることが多く、例えば電子部品などのフラックス這い上がり防止処理では部品を銀メッキ処理後、酸またはアルカリなどで洗浄し、更に水洗するなどの前処理をした後に、防錆処理を行い、更に撥水撥油処理を行うという多数の工程を経る必要がある。
また、電子部品の各種コネクター、リード線等は、銀メッキ処理されていることが多いが、この電子部品をダンボール等の梱包材に収納した場合、ダンボールから発生する硫化水素ガスなどにより、銀メッキ部分が腐食し、導電性が損なわれることがある、という問題もある。ダンボールの原料であるパルプ精製には硫酸が用いられており、ダンボールに残留した硫酸イオンから硫化水素ガス等が発生する。
特開昭63−65092号公報
特開2001−158771号公報
本発明は、従来の金属用防錆剤などの各種処理剤が有する前記欠点を解消し得る新規な防錆剤、前記防錆剤を含有した処理剤および前記防錆剤で処理された金属物品を提供しようとする。
本発明者は金属用防錆剤の有効成分となりうる化合物について鋭意検討を行った結果、フッ素系溶媒で重合された、あるいは水系溶媒で乳化重合された含フッ素ポリマー中に、これらに可溶かつ、防錆性能を有するポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物を混合することで、より優れた防錆効果を発揮することを見出した。また、該防錆剤で処理することで、金属部品に要求される撥水撥油剤、樹脂付着防止剤、オイルバリア剤、防汚剤としての機能も併せ持つことを見出した。
本発明は、以下の各発明を提供する。
本発明は、下記式(1)で表されるポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物と、含フッ素ポリマーとを含有する組成物からなる防錆剤である。
Rf1−(CH2)n−X−(CH2)m−SH・・・(1)
ここで、nは0〜20の整数、mは1〜20の整数、Xは2価の有機基または単結合であり、好ましくは−COO−、−OCO−、−CONR1−、−SO2NR1−、または単結合である。
R1は水素原子あるいは炭素数1〜4のアルキル基。
Rf1は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
本発明は、下記式(1)で表されるポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物と、含フッ素ポリマーとを含有する組成物からなる防錆剤である。
Rf1−(CH2)n−X−(CH2)m−SH・・・(1)
ここで、nは0〜20の整数、mは1〜20の整数、Xは2価の有機基または単結合であり、好ましくは−COO−、−OCO−、−CONR1−、−SO2NR1−、または単結合である。
R1は水素原子あるいは炭素数1〜4のアルキル基。
Rf1は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
より好ましくは、ポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物が下記式(2)で表される化合物である。
Rf2−(CH2)n−SH・・・(2)
ここで、nは1〜20の整数、Rf2は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
Rf2−(CH2)n−SH・・・(2)
ここで、nは1〜20の整数、Rf2は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
また、含フッ素ポリマーが式(3)で表されるポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートの重合体、あるいは、ポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートとポリマー改質剤や架橋剤として用いられるフッ素原子非含有重合性単量体との共重合物である前記の撥水撥油機能を有する防錆剤も好ましい。
CH2=CR2COOR3Rf3・・・(3)
ここで、R2は水素原子またはメチル基、R3は単結合または2価の有機基、Rf3は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
CH2=CR2COOR3Rf3・・・(3)
ここで、R2は水素原子またはメチル基、R3は単結合または2価の有機基、Rf3は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
また、本発明は、上記の防錆剤組成物を含有することを特徴とする金属製品または金属部品を有する物品を処理するための金属用処理剤、撥水撥油剤、半田用フラックス這い上がり防止剤、樹脂付着防止剤、オイルバリア剤または防汚剤である。
また、本発明は上記の各種処理剤が塗布または被覆された被処理物である。
本発明は、フッ素系溶媒で重合された、あるいは水系溶媒で乳化重合された含フッ素ポリマーと、これらに可溶かつ、防錆性能を有するポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物とを含有する組成物で、従来の防錆剤より優れた防錆効果を有する。また、該防錆剤で金属を処理すれば、金属部品で要求される撥水撥油、フラックス這い上がり防止、樹脂付着防止、オイルバリア剤、防汚剤としての機能も併せ持つ。
本発明は式(1)で表されるポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物と、含フッ素ポリマーとを含有する組成物である。この組成物は、撥水撥油機能、防錆機能を有する。
Rf1−(CH2)n−X−(CH2)m−SH・・・(1)
ここで、nは0〜20の整数、mは1〜20の整数、Xは2価の有機基または単結合であり、好ましくは−COO−、−OCO−、−CONR1−、−SO2NR1−、または単結合である。R1は水素原子あるいは炭素数1〜4のアルキル基である。
Rf1−(CH2)n−X−(CH2)m−SH・・・(1)
ここで、nは0〜20の整数、mは1〜20の整数、Xは2価の有機基または単結合であり、好ましくは−COO−、−OCO−、−CONR1−、−SO2NR1−、または単結合である。R1は水素原子あるいは炭素数1〜4のアルキル基である。
Rf1は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
さらに好ましい本発明のポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物は、式(2)に表される前記ポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物である。
Rf2−(CH2)n−SH・・・(2)
ここで、nは1〜20の整数、Rf2は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
Rf2−(CH2)n−SH・・・(2)
ここで、nは1〜20の整数、Rf2は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
本発明で使用される式(1)又は式(2)で表されるポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物中のポリフルオロアルキル基(以下、「Rf基」とも記載する)とはアルキル基の水素原子2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。式(1)または(2)で表されるフッ素含有メルカプト化合物におけるRf基中のフッ素原子の数はフッ素系溶媒への溶解性向上及び、撥水性の点から、〔(Rf基中のフッ素原子数)/(同一炭素数の対応するアルキル基に含まれる水素原子数)〕×100(%)で表示した場合、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。
Rf基は直鎖であっても分岐であっても構わないが、撥水性の点から炭素数4以上が好ましく、溶解性の点から炭素数14以下が好ましい。
式(1)の化合物における連結基「X」は、2価の有機基または単結合であれば特に制限されない。2価の有機基としては例えば以下のような構造が挙げられる。
−COO−、−OCO−、−CONR1−、−SO2NR1−、−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)=N−、−COS−、−COCH2−、−CH2CH2−、−CH2−、−CH2CH2O−、−CH2O−、−CH2NH−、−CH2−、−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−CO−、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基やアルケニレン基、アルキレンオキシ基、2価の4、5、6または7員環置換基、またそれら構成される縮合置換基、6員環芳香族基、4ないし6員環の飽和または不飽和の脂肪族基、5または6員環複素環基、またはそれらの縮合環。ここで、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基である。2価の有機基として特に好ましい構造は、−COO−、−OCO−、−CONR1−、または−SO2NR1−である。
式(1)の化合物における連結基「X」は、2価の有機基または単結合であれば特に制限されない。2価の有機基としては例えば以下のような構造が挙げられる。
−COO−、−OCO−、−CONR1−、−SO2NR1−、−O−、−S−、−NH−、−SO2−、−CH=CH−、−CH=N−、−N=N−、−N(O)=N−、−COS−、−COCH2−、−CH2CH2−、−CH2−、−CH2CH2O−、−CH2O−、−CH2NH−、−CH2−、−CO−、−CH=CH−COO−、−CH=CH−CO−、直鎖状もしくは分岐状のアルキレン基やアルケニレン基、アルキレンオキシ基、2価の4、5、6または7員環置換基、またそれら構成される縮合置換基、6員環芳香族基、4ないし6員環の飽和または不飽和の脂肪族基、5または6員環複素環基、またはそれらの縮合環。ここで、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基である。2価の有機基として特に好ましい構造は、−COO−、−OCO−、−CONR1−、または−SO2NR1−である。
式(1)の化合物は市販品を入手することが可能である。また、公知の製法で合成することも可能である。より具体的に例示すると、式(1)の化合物を限定した式(2)の化合物の合成方法として、テロメリゼ−ション法で得られるRf−Iで表されるパ−フルオロアイオダイドをエチレン加圧下、ラジカル発生剤と共に反応させることで、Rf−CH2CH2−Iで表される含フッ素アルキルアイオダイドを得、更にチオ酢酸を反応させチオエステルを得、アルカリ存在下で脱保護することで合成することが可能である。
本発明で使用される含フッ素ポリマ−は、フッ素系溶媒や水系溶媒で重合された直鎖または側鎖にフッ素を有するポリマーである。撥水性を有し基材表面をコーティングする目的で使用される。式(1)の化合物または式(2)の化合物は、このポリマー中の重合時に用いられた溶媒に溶解するが、必要な場合はさらに溶媒が追加される。
本発明で使用される含フッ素ポリマ−として好ましくは式(3)で表されるポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレ−トの重合体あるいは、これとポリマ−改質剤や架橋剤として用いられるフッ素原子非含有重合性単量体との共重合物である。
CH2=CR2COOR3Rf3・・・(3)
R2は水素原子またはメチル基、R3は単結合または2価の有機基、Rf3は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素−炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
式(3)で表される重合体単独の場合の分子量または他の共重合成分を含む共重合体の分子量は、5万〜100万であるのが好ましい。
この範囲であると、撥水性が充分に発現し、かつ溶媒への溶解性が良好で取り扱い易いからである。
本発明で使用される含フッ素ポリマ−として好ましくは式(3)で表されるポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレ−トの重合体あるいは、これとポリマ−改質剤や架橋剤として用いられるフッ素原子非含有重合性単量体との共重合物である。
CH2=CR2COOR3Rf3・・・(3)
R2は水素原子またはメチル基、R3は単結合または2価の有機基、Rf3は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素−炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。
式(3)で表される重合体単独の場合の分子量または他の共重合成分を含む共重合体の分子量は、5万〜100万であるのが好ましい。
この範囲であると、撥水性が充分に発現し、かつ溶媒への溶解性が良好で取り扱い易いからである。
式(3)中のポリフルオロアルキル基とはアルキル基の水素原子2個以上がフッ素原子に置換された基をいう。式(3)で表されるフッ素系ポリマ−におけるRf基中のフッ素原子の数は撥水撥油性向上のために、(Rf基中のフッ素原子数)/(同一炭素数の対応するアルキル基に含まれる水素原子数)〕×100(%)で表示した場合、60%以上が好ましく、特に80%以上が好ましい。
本発明で使用されるポリマ−改質剤や架橋剤として用いられるフッ素原子非含有重合性単量体は、例えばメチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−オクチル、ラウリル、ステアリル等のアルキル基、シクロヘキシル等のシクロアルキル基、ベンジル等のアラルキル基、メトキシメチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、3−エトキシプロピル等のアルコキシアルキル基でエステル化された(メタ)アクリルレ−ト、フマル酸またはマレイン酸のジメチル、ジエチル、ジプロピル、ジブチル、ジオクチル等のジアルキルエステル、酢酸ビニル、カプリル酸ビニル等のビニルエステル、アルキル基の一部がトリメトキシシリル、トリエトキシシリル等で置換された(メタ)アクリル酸エステル、あるいはビニルエ−テル、アルキル基の一部がイソシアナ−トで置換された(メタ)アクリル酸エステル及び水酸基等反応性基を有する(メタ)アクリル酸、ビニルエ−テルが挙げられる。
これらのうち、ラウリルメタクリレ−ト、ステアリルメタクリレ−ト、シクロヘキシルメタクリレ−ト、ベンジルメタクリレ−ト、メチルメタクリレ−ト、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネ−ト、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト、γ−(メタクリロキシプロピル)トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が造膜性や密着性、撥水撥油性のバランス上好ましく、組み合わせて用いることができる。
これらのフッ素原子非含有重合性単量体は、共重合体中の90質量%以下、好ましくは50質量%以下の割合で用いられる。
これらのフッ素原子非含有重合性単量体は、共重合体中の90質量%以下、好ましくは50質量%以下の割合で用いられる。
本発明で使用される含フッ素ポリマ−は、ポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレ−トあるいは、これとポリマ−改質剤や架橋剤として用いられるフッ素原子非含有重合性単量体とをフッ素系溶媒の存在下、ラジカル重合開始剤とともに加熱、重合することで合成する、あるいは水系溶媒中で乳化剤、ラジカル重合開始剤とともに加熱、重合することで合成される。
本発明の組成物中の、式(1)、または(2)で表されるポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物と、式(3)で例示される含フッ素ポリマーとの量比は、特に限定されないが、10:1以上で含フッ素ポリマーが過剰であるのが好ましい。含フッ素ポリマーが少なすぎると撥水性が劣り、防錆効果が低くなるからである。
本発明の金属用防錆剤は、用途に応じて、界面活性剤等の起泡剤、安定剤、分散剤などと併用が可能であり、下記の媒体を希釈剤として用いて調整され、金属部品は、浸漬塗布、スピンコ−ト、噴霧等で塗布後、自然乾燥や加熱乾燥して処理される。
本発明で用いられる溶媒としては、含フッ素ポリマ−が乳化重合されている場合は水またはメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の水溶性有機溶剤と水との混合物が好ましく挙げられる。含フッ素ポリマ−が溶液重合されている場合はハイドロフルオロカ−ボン等のフッ素系有機溶剤、トルエン等の芳香族系有機溶剤、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、アルコ−ル類等、用途に応じて選択して用いられ、混合物であっても良い。
本発明で用いられる溶媒としては、含フッ素ポリマ−が乳化重合されている場合は水またはメタノ−ル、エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の水溶性有機溶剤と水との混合物が好ましく挙げられる。含フッ素ポリマ−が溶液重合されている場合はハイドロフルオロカ−ボン等のフッ素系有機溶剤、トルエン等の芳香族系有機溶剤、ヘキサン等の炭化水素系溶剤、アルコ−ル類等、用途に応じて選択して用いられ、混合物であっても良い。
組成物と溶媒、その他の併用剤との合計である処理液中の式(1)または(2)で表される化合物の濃度は0.0001質量%から10質量%が好ましく、特に0.001質量%から5質量%が好ましい。少なすぎると防錆効果が損なわれ、多すぎるのは経済上好ましくない。
処理液中の式(3)で例示される含フッ素系ポリマーの濃度は、0.0001質量%から10質量%が好ましく、特に0.001質量%から5質量%が好ましい。少なすぎると防湿コ−トとしての効果が損なわれ、防錆効果が低下すると共に、撥水撥油性能も低下傾向にあり、多すぎるのは経済上好ましくない。
処理液中の式(3)で例示される含フッ素系ポリマーの濃度は、0.0001質量%から10質量%が好ましく、特に0.001質量%から5質量%が好ましい。少なすぎると防湿コ−トとしての効果が損なわれ、防錆効果が低下すると共に、撥水撥油性能も低下傾向にあり、多すぎるのは経済上好ましくない。
本発明の組成物の用途としては、式(1)または(2)で表されるポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物、および式(3)で例示される含フッ素ポリマ−を含む金属用防錆剤である。金属用防錆剤は金属表面を保護してその腐食性を抑制し、錆びなどの発生を防ぐ効果を有する。金属用防錆剤は式(1)または(2)で表されるポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物のそれぞれ単独あるいは2種以上を含フッ素ポリマー中のフッ素系溶媒や水系溶媒中に溶解し金属に接触する媒体に添加して調整される。必要な場合は溶媒その他の添加剤をさらに添加してもよい。または金属被覆塗料などの金属被覆剤に添加して調整してもよい。または他の金属用防錆剤成分と併用することもできる。
処理対象の金属は、銅、アルミニウム、マグネシウム、銀、鉄、ニッケル、亜鉛、鉛、錫、チタン、その他金属またはそれらの合金などである。
特に期待される用途として、撥水撥油効果が合わせて必要とされる金属表面への防錆処理剤として、半田付け時に使用される電子部品等へのフラックスの這い上がり防止、コンデンサ−樹脂封止時のリ−ド線への樹脂付着防止、マイクロモ−タ−等の小型部品のオイル拡散防止、OA機器やAV機器カバ−等に使用されるマグネシウム合金等の光沢、美観保持のための防汚処理等が挙げられる。
次に実施例によって本発明を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
(例1)パ−フルオロオクチルエチルアイオダイドの合成
1Lオ−トクレ−ブにC8F17Iで表されるパ−フルオロオクチルアイオダイド500.58gおよび、パ−ブチルD(日本油脂製)2.00gを仕込み、窒素加圧置換を行った後、攪拌しながら内温が130℃になるように加熱を行った。発熱の様子を確認しながらエチレンを6Kgf/cm2(ゲ−ジ圧)以下の範囲で添加し、発熱及び、エチレンの消費がなくなるまで約3時間反応し冷却することで、純度98.6%、収率95.0%でパ−フルオロオクチルエチルアイオダイドを得た。
(例1)パ−フルオロオクチルエチルアイオダイドの合成
1Lオ−トクレ−ブにC8F17Iで表されるパ−フルオロオクチルアイオダイド500.58gおよび、パ−ブチルD(日本油脂製)2.00gを仕込み、窒素加圧置換を行った後、攪拌しながら内温が130℃になるように加熱を行った。発熱の様子を確認しながらエチレンを6Kgf/cm2(ゲ−ジ圧)以下の範囲で添加し、発熱及び、エチレンの消費がなくなるまで約3時間反応し冷却することで、純度98.6%、収率95.0%でパ−フルオロオクチルエチルアイオダイドを得た。
(例2)1H,1H,2H,2Hパ−フルオロデカンチオ−ルの合成
1Lの還流管付きガラス製反応容器にメタノ−ル(和光純薬製)418.40gと水酸化ナトリウム(和光純薬製)15.02g、チオ酢酸(和光純薬製)30.11gを発熱に注意しながら仕込み、続いて例1で合成したパ−フルオロオクチルエチルアイオダイド119.54gを添加し68℃で1.5時間反応させた。G.C.分析で、転化率99.9%up、選択率97.1%で1H,1H,2H,2Hパ−フルオロデカンチオメチルエステルが生成していることを確認した。更に水酸化ナトリウム(和光純薬製)12.51gを再添加し、66℃で1時間反応させることで、G.C.分析で、転化率99.3%、選択率94.0%で1H,1H,2H,2Hパ−フルオロデカンチオ−ルが生成していることを確認した。塩酸(和光純薬製)で中和し、酢酸エチル(和光純薬製)で抽出を行い、水洗した有機層をエバポレ−タ−で濃縮した。これを精製蒸留し、純度99.1%の1H,1H,2H,2Hパ−フルオロデカンチオ−ルを収率85.7%で得た。
1Lの還流管付きガラス製反応容器にメタノ−ル(和光純薬製)418.40gと水酸化ナトリウム(和光純薬製)15.02g、チオ酢酸(和光純薬製)30.11gを発熱に注意しながら仕込み、続いて例1で合成したパ−フルオロオクチルエチルアイオダイド119.54gを添加し68℃で1.5時間反応させた。G.C.分析で、転化率99.9%up、選択率97.1%で1H,1H,2H,2Hパ−フルオロデカンチオメチルエステルが生成していることを確認した。更に水酸化ナトリウム(和光純薬製)12.51gを再添加し、66℃で1時間反応させることで、G.C.分析で、転化率99.3%、選択率94.0%で1H,1H,2H,2Hパ−フルオロデカンチオ−ルが生成していることを確認した。塩酸(和光純薬製)で中和し、酢酸エチル(和光純薬製)で抽出を行い、水洗した有機層をエバポレ−タ−で濃縮した。これを精製蒸留し、純度99.1%の1H,1H,2H,2Hパ−フルオロデカンチオ−ルを収率85.7%で得た。
(例3)含フッ素ポリマ−(I)の合成
CH2=CHCOOCH2CH2Rf(Rf=平均鎖長9)で表される直鎖パ−フルオロアルキルエチルアクリレ−ト(旭硝子製)80重量部、シクロヘキシルメタクリレ−ト(日本油脂製)20重量部、AK−225(旭硝子製)152重量部をオ−トクレ−ブに仕込み、窒素置換を行った後、2.2’−アゾビスイソブチロニトリル(日本ヒドラジン工業製)1部を加え、攪拌しながら密閉下62℃で15時間重合し、含フッ素ポリマ−(I)を得た。
CH2=CHCOOCH2CH2Rf(Rf=平均鎖長9)で表される直鎖パ−フルオロアルキルエチルアクリレ−ト(旭硝子製)80重量部、シクロヘキシルメタクリレ−ト(日本油脂製)20重量部、AK−225(旭硝子製)152重量部をオ−トクレ−ブに仕込み、窒素置換を行った後、2.2’−アゾビスイソブチロニトリル(日本ヒドラジン工業製)1部を加え、攪拌しながら密閉下62℃で15時間重合し、含フッ素ポリマ−(I)を得た。
(例4)防錆剤の調整
1H,1H,2H,2Hパ−フルオロデカンチオ−ル濃度及び、含フッ素ポリマ−(I)が表1に示す濃度になるように、フッ素系溶媒で希釈し、防錆剤を調整した。
1H,1H,2H,2Hパ−フルオロデカンチオ−ル濃度及び、含フッ素ポリマ−(I)が表1に示す濃度になるように、フッ素系溶媒で希釈し、防錆剤を調整した。
(防錆試験評価A)
銀メッキされた銅版試験片(0.2×10×30mm)をIPAで脱脂洗浄し、該防錆剤を浸漬塗布し、室温で乾燥させる。底面と上面にダンボ−ルを取り付けたシャ−レの中に、防錆処理を施した試験片を置いて、温度60℃、湿度90%Rhの恒温恒湿槽に一定時間放置し外観を観察した結果を表2に示す。この結果、本発明による防錆処理を施した試験片では、外観がほとんど変化しないのに対して、ポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物のみを使用した場合変色が顕著に認められることが観察された。
銀メッキされた銅版試験片(0.2×10×30mm)をIPAで脱脂洗浄し、該防錆剤を浸漬塗布し、室温で乾燥させる。底面と上面にダンボ−ルを取り付けたシャ−レの中に、防錆処理を施した試験片を置いて、温度60℃、湿度90%Rhの恒温恒湿槽に一定時間放置し外観を観察した結果を表2に示す。この結果、本発明による防錆処理を施した試験片では、外観がほとんど変化しないのに対して、ポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物のみを使用した場合変色が顕著に認められることが観察された。
防錆効果判定基準
1:全面が変色
2:ほとんど全面が変色
3:一部変色
4:僅かに変色
5:全く変色せず
1:全面が変色
2:ほとんど全面が変色
3:一部変色
4:僅かに変色
5:全く変色せず
(防錆試験評価B)
防錆試験評価Aの試験片について、フラックスを塗布後、レスカ社製SAT−5100ソルダ−チェッカ−を用いて、半田浴に浸漬し、ゼロクロスタイムを測定することで評価した結果を表3に示す。この結果、本発明による防錆処理を施した試験片では、ゼロクロスタイム時間は僅かな上昇であるが、ポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物のみを使用した場合、あるいは未処理の場合はゼロクロスタイムが非常に長くなり、錆びの影響により半田の濡れ性が低下しているのが観察された。
防錆試験評価Aの試験片について、フラックスを塗布後、レスカ社製SAT−5100ソルダ−チェッカ−を用いて、半田浴に浸漬し、ゼロクロスタイムを測定することで評価した結果を表3に示す。この結果、本発明による防錆処理を施した試験片では、ゼロクロスタイム時間は僅かな上昇であるが、ポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物のみを使用した場合、あるいは未処理の場合はゼロクロスタイムが非常に長くなり、錆びの影響により半田の濡れ性が低下しているのが観察された。
フラックス:ロジンフラックス25%IPA溶液(千住金属製)
半田種類:エコソルダ−(96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cu)(千住金属製)
半田溶融温度:270℃
半田浸漬条件:浸漬時間10sec、浸漬深さ2mm、浸漬速度2mm/sec
半田種類:エコソルダ−(96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cu)(千住金属製)
半田溶融温度:270℃
半田浸漬条件:浸漬時間10sec、浸漬深さ2mm、浸漬速度2mm/sec
ゼロクロスタイムは、試料を溶融半田浴に浸漬した際に試料が受ける半田の表面張力の上下方向への力を検知し、時間に対して測定するメニスコグラフ法により測定され、JISZ0053による。一般に同一の半田を用いた場合、試料表面が硫化などにより荒くなるとゼロクロスタイム値が増える。これを利用して表面変化の差異を確認した。短い方が好ましい。
優:1秒以下、良2:1秒超-2秒以下、良1:2秒超-2.5秒以下、不可:2.5秒超-5秒以下、劣:10秒以上で結果を表3に示す。
優:1秒以下、良2:1秒超-2秒以下、良1:2秒超-2.5秒以下、不可:2.5秒超-5秒以下、劣:10秒以上で結果を表3に示す。
Claims (11)
- 下記式(1)で表されるポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物と、含フッ素ポリマーとを含有する組成物である防錆剤。
Rf1−(CH2)n−X−(CH2)m−SH・・・(1)
ここで、nは0〜20の整数、mは1〜20の整数、Xは2価の有機基または単結合であり、Rf1は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。 - 前記式(1)のXが、−COO−、−OCO−、−CONR1−、−SO2NR1−、または単結合である請求項1に記載の防腐剤、R1は水素原子あるいは炭素数1〜4のアルキル基である。
- 前記ポリフルオロアルキル基含有メルカプト化合物が下記式(2)で表される化合物である請求項1または2に記載の防錆剤。
Rf2−(CH2)n−SH・・・(2)
ここで、nは1〜20の整数、Rf2は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。 - 前記含フッ素ポリマーが下記式(3)で表されるポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートの重合体、あるいは、ポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートとポリマー改質剤や架橋剤として用いられるフッ素原子非含有重合性単量体との共重合物である請求項1〜3のいずれかに記載の防錆剤。
CH2=CR2COOR3Rf3・・・(3)
ここで、R2は水素原子またはメチル基、R3は単結合または2価の有機基、Rf3は炭素数1〜30の直鎖状あるいは分岐状のポリフルオロアルキル基であり、基中の炭素-炭素結合の間には酸素原子が挿入されていてもよく、基中の−CH2−、−CFH−、または−CF2−部分が−OCO−または−COO−に置換されていてもよく、基中の水素原子またはフッ素原子が水酸基に置換されていても良い。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする金属製品または金属部品を有する物品を処理するための金属用処理剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする撥水撥油剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする半田フラックス這い上がり防止剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする樹脂付着防止剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とするオイルバリア剤。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする防汚剤。
- 請求項6〜10のいずれかに記載の処理剤が塗布または被覆された被処理物。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005108596A JP2006283180A (ja) | 2005-04-05 | 2005-04-05 | 防錆剤およびその用途 |
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---|---|---|---|---|
JP2012187884A (ja) * | 2011-03-14 | 2012-10-04 | Shikoku Kako Kk | 硫化水素ガス腐食性製品用包装袋 |
JP2018108965A (ja) * | 2017-01-04 | 2018-07-12 | Agcセイミケミカル株式会社 | 化合物、該化合物の製造方法、表面処理剤および物品 |
JP2020176106A (ja) * | 2019-04-18 | 2020-10-29 | 東ソー・ファインケム株式会社 | 含フッ素有機硫黄化合物及びこれを用いた表面改質剤 |
-
2005
- 2005-04-05 JP JP2005108596A patent/JP2006283180A/ja not_active Withdrawn
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