JPWO2019065939A1 - 水性防錆塗料組成物、防錆塗膜、防錆塗膜付き基材および防錆塗膜付き基材の製造方法 - Google Patents

水性防錆塗料組成物、防錆塗膜、防錆塗膜付き基材および防錆塗膜付き基材の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、水性防錆塗料組成物、防錆塗膜、防錆塗膜付き基材および防錆塗膜付き基材の製造方法に関し、該水性防錆塗料組成物は、1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する水性樹脂(A)、および、水性樹脂(A)以外の水性エポキシ樹脂(B)を含有する。

Description

本発明は、水性防錆塗料組成物、防錆塗膜、防錆塗膜付き基材および防錆塗膜付き基材の製造方法に関する。
様々な産業分野、例えば、橋梁、タンク、プラント、(輸送用)コンテナなどの(陸上)構造物等は、通常、腐食防止のため、防錆塗膜で被覆されている。この防錆塗膜を形成する組成物としては、環境保全や作業環境の安全性などの観点から、近年、溶剤塗料から水性塗料(水性防錆塗料組成物)への切り替えが望まれている。
前記水性防錆塗料組成物として、アルキド樹脂系、エポキシエステル樹脂系、および、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤とを反応させるエポキシ−アミン硬化系等の塗料組成物が知られている。
また、特許文献1には、脂肪酸変性不飽和モノマーおよび該モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを含むモノマー混合物を乳化重合した水性樹脂分散体を用いることで、防食性や耐水性に優れる塗膜を形成可能であることが開示されている。特許文献2には、エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸とを反応させ、更に不飽和カルボン酸を含むエチレン性不飽和単量体を反応させた変性エポキシエステルと、(半)乾性油とを組み合わせた組成物を用いることで、防食性や耐水性に優れる塗膜を形成可能であることが開示されている。
国際公開第2004/074327号 特開2003−64302号公報
前記アルキド樹脂系、エポキシエステル樹脂系等の従来の水性防錆塗料組成物や、前記特許文献1および2に記載されている組成物より形成された塗膜は、酸化重合反応によって硬化するため、十分な塗膜性能を発揮するまでに時間を要していた。また、これらの組成物から下塗り塗膜を形成し、その上に上塗り塗料組成物を塗り重ねて上塗り塗膜を形成する際には、適正なインターバルで塗り重ねなければリフティングが生じることがあった。さらに、これらの組成物より形成される塗膜は、高度な防食性や耐水性、耐衝撃性等の機械的物性が要求される使用環境ではさらなる改良が必要であった。
また、前記エポキシ−アミン硬化系の水性防錆塗料組成物より形成された塗膜は、架橋反応による収縮応力が高く、基材に対して、優れた防食性、耐水性を有し、かつ、十分な付着性を有する塗膜とすることは困難であった。
前記構造物、特に、冷凍/冷蔵コンテナ等の輸送用コンテナの材質としては、非鉄金属やステンレスが用いられている。これらの材質の表面は酸化被膜が形成されているため、表面活性が低く、従来の水性防錆塗料組成物を用いて形成された防錆塗膜をこれらの表面に強固に付着させることは困難であることが分かった。
なお、前記構造物、特に輸送用コンテナに形成される防錆塗膜には、耐衝撃性も求められている。
本発明の一実施形態は、常温(5〜35℃)硬化可能な乾燥性に優れる水性防錆塗料組成物であり、また、優れた防食性および耐水性を有するとともに、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対しても、優れた付着性および耐衝撃性を有する塗膜を形成できる水性防錆塗料組成物を提供する。
前記課題を解決する方法について鋭意検討を重ねた結果、特定組成の塗料組成物によれば、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の構成例は以下の通りである。
<1> 1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する水性樹脂(A)、および、水性樹脂(A)以外の水性エポキシ樹脂(B)を含有する水性防錆塗料組成物。
<2> 前記水性樹脂(A)が、カルボキシ基を有する水性アルキド変性アクリル樹脂(A1)およびカルボキシ基を有する水性変性エポキシ樹脂(A2)から選ばれる1種以上を含む、<1>に記載の水性防錆塗料組成物。
<3> 前記アルキド変性アクリル樹脂(A1)および前記変性エポキシ樹脂(A2)が、ビスフェノールA構造を有する樹脂である、<2>に記載の水性防錆塗料組成物。
<4> 前記水性エポキシ樹脂(B)を、前記水性樹脂(A)の不揮発分100質量部に対して、不揮発分として1〜30質量部含有する、<1>〜<3>のいずれかに記載の水性防錆塗料組成物。
<5> 前記水性樹脂(A)を含有する第1剤と、前記水性エポキシ樹脂(B)を含有する第2剤とを含む多成分型である、<1>〜<4>のいずれかに記載の水性防錆塗料組成物。
<6> さらに顔料(D)を含有する、<1>〜<5>のいずれかに記載の水性防錆塗料組成物。
<7> 前記顔料(D)が防錆顔料(D1)を含有する、<6>に記載の水性防錆塗料組成物。
<8> 前記水性防錆塗料組成物中の顔料体積濃度(PVC)が20〜50%である、<6>または<7>に記載の水性防錆塗料組成物。
<9> <1>〜<8>のいずれかに記載の水性防錆塗料組成物から形成された防錆塗膜。
<10> <9>に記載の防錆塗膜と基材とを有する防錆塗膜付き基材。
<11> 前記基材が非鉄金属またはステンレスである、<10>に記載の防錆塗膜付き基材。
<12> 下記工程[1]および[2]を含む、防錆塗膜付き基材の製造方法。
[1]基材に、<1>〜<8>のいずれかに記載の水性防錆塗料組成物を塗装する工程
[2]基材上に塗装された水性防錆塗料組成物を乾燥させて防錆塗膜を形成する工程
本発明の一実施形態によれば、常温硬化可能な乾燥性に優れる水性防錆塗料組成物であり、また、優れた防食性および耐水性を有するとともに、鉄鋼製などの基材はもとより、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対しても、優れた付着性および耐衝撃性を有する塗膜を形成できる水性防錆塗料組成物を提供することができる。
また、本発明の一実施形態に係る水性防錆塗料組成物は、該組成物から得られる防錆塗膜の上に形成される上塗り塗膜との付着性にも優れ、特に、該防錆塗膜の形成から上塗り塗膜の形成までのインターバルがどの程度であっても、リフティング等の塗膜欠陥が生じにくいため、所望の積層塗膜を容易に形成することができる。
以下に、本発明の一実施形態に係る水性防錆塗料組成物、防錆塗膜、防錆塗膜付き基材およびその製造方法について説明する。ただし、本発明は、以下の説明により限定されない。
≪水性防錆塗料組成物≫
本発明の一実施形態に係る水性防錆塗料組成物(以下単に「本組成物」ともいう。)は、1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する水性樹脂(A)(以下「成分(A)」ともいう。他の成分についても同様。)、および、水性樹脂(A)以外の水性エポキシ樹脂(B)を含有する組成物である。
本組成物は、常温硬化可能な乾燥性に優れる水性防錆塗料組成物であり、また、該組成物によれば、優れた防食性および耐水性を有するとともに、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対しても、優れた付着性および耐衝撃性を有する塗膜を形成することができる。
特に、本組成物は、非鉄金属基材やステンレス基材のような、従来の組成物では十分な付着性を有する塗膜を形成することが困難であった基材に対しても、優れた付着性および耐衝撃性を有する塗膜を形成することができる。なお、本組成物が前記効果を奏する詳細な作用機序は必ずしも明らかではないが、その一例として、以下のことが考えられる。
本組成物は、前記成分(A)のカルボキシ基と、前記成分(B)のエポキシ基とが架橋反応することで水酸基およびエステル結合を形成し、基材表面と強固に結合することができる。その結果、アルキド樹脂系、エポキシエステル樹脂系およびエポキシ−アミン硬化系のような従来の組成物に比べ、基材に対する付着性に優れるとともに、架橋反応による強靭さを兼ね備えた耐衝撃に優れる塗膜を形成することができる。
本組成物は、非鉄金属(例えば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛メッキ、亜鉛溶射)、ステンレス鋼(例えば、SUS304、SUS410)等の材質が使用されることが多い冷凍/冷蔵コンテナの外面に好適であり、該基材に対して優れた付着性および耐衝撃性を有する防錆塗膜を形成可能な塗料として好適に用いられる。
なお、本発明において、「水性防錆塗料組成物」とは、水または水を主成分とする媒体(水性媒体)に、成分(A)および成分(B)等の成分を分散および/または溶解させた防錆塗料組成物のことをいう。
また、本発明において、「水性樹脂」とは、水または水を主な溶媒もしくは分散媒とする樹脂、または、水と混合可能(水で希釈可能)な樹脂であり、より具体的には、水分散型樹脂、水溶性樹脂および自己乳化性樹脂等が挙げられる。なお、前記水と混合可能(水で希釈可能)樹脂とは、水と混合した際に著しい粘度上昇を示さない樹脂のことをいう。
このような水性樹脂は、従来公知の方法、例えば、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、シード重合法、ミニエマルション重合法、マイクロエマルション重合法、無乳化剤(ソープフリー)乳化重合法等で合成することができる。また、これらの他に、樹脂を既知の方法、例えば、転相乳化、D相乳化、強制乳化、ゲル乳化、反転乳化、高圧乳化等で乳化させる方法でも、水性樹脂を得ることができる。
本組成物は、水性樹脂(A)と水性エポキシ樹脂(B)とを用いるため、調製容易性、保存安定性等に優れる塗料組成物となる。
なお、前記「水性樹脂」ではない、カルボキシ基を有する樹脂およびエポキシ樹脂と水とを混ぜたのでは、所望の塗料組成物を調製しにくい傾向にある。このため、前記成分(A)および(B)としてはそれぞれ、水を含む成分を用いることが好ましい。
本組成物の形態は、保存安定性および保存容易性を考慮すると、第1剤および第2剤を含む多成分型の組成物であることが好ましく、例えば、前記成分(A)を含有する第1剤、好ましくは前記成分(A)および水(C)を含有する第1剤と、より好ましくは前記成分(A)、水(C)および顔料(D)を含有する第1剤と、前記成分(B)を含有する第2剤、好ましくは前記成分(B)および水(C)を含有する第2剤とを含む二成分型の組成物が望ましい。さらに、下記その他の成分等を含有する第3剤等を含む三成分型以上の組成物とすることもできる。
また、本組成物が第1剤および第2剤を含む多成分型の組成物である場合、前記成分(A)と前記成分(B)の使用量を調整することで、塗膜の形成方法、基材の種類、用途、塗装環境等に応じ、形成される塗膜の架橋密度を容易に調整することができる。その結果、要求される性能に応じて、塗膜の強靭さと柔軟性とのバランスを容易に調整することが可能となる。
さらに、本組成物が前記成分(A)と前記成分(D)を含有する第1剤と、前記成分(B)を含有する第2剤とを含む多成分型の組成物である場合、カルボキシ基を有する前記成分(A)は、成分(D)に対し親和性を有するため、成分(D)の分散性の向上が期待される。その結果、成分(D)の分散性の向上に起因した生産効率の向上等が期待できる。
<カルボキシ基を有する水性樹脂(A)>
前記成分(A)は、1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する水性樹脂であれば、特に制限されない。
本組成物中に含まれる成分(A)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
本組成物の不揮発分100質量%に対する成分(A)の不揮発分の含有量は、防食性、耐水性、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対する付着性および耐衝撃性によりバランスよく優れる塗膜を容易に形成できる等の点から、好ましくは20〜50質量%、より好ましくは25〜45質量%である。
前記成分(A)に含まれる樹脂としては、例えば、カルボキシ基を有する、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、およびこれらの変性物が挙げられる。該変性物としては、例えば、アクリル変性物、アルキド変性物、エポキシ変性物、アミン変性物およびウレタン変性物が挙げられ、例えば、アルキド変性アクリル樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アクリル変性エポキシ樹脂、アミン変性エポキシ樹脂等の変性エポキシ樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂等が挙げられる。ここで、前記アルキド変性アクリル樹脂は、樹脂を構成する全ての構造単位100質量%に対し、アクリル樹脂を構成する構造単位の割合が50質量%を超える樹脂をいう。つまり、前記変性物は、その変性成分由来の構造単位の割合が50質量%未満の樹脂のことをいう。
これらの中でも、貯蔵安定性により優れる組成物が得られる等の点から、エポキシ基を有さない樹脂が好ましく、防食性、耐水性、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対する付着性および耐衝撃性によりバランスよく優れる塗膜を容易に形成できる等の点から、後述するカルボキシ基を有するアルキド変性アクリル樹脂(A1)およびカルボキシ基を有する変性エポキシ樹脂(A2)のいずれか1種以上であることが好ましい。
前記成分(A)100質量%中の樹脂の含有量は、調製容易性、保存安定性等により優れる塗料組成物を得ることができる等の点から、好ましくは30〜75質量%、より好ましくは35〜60質量%である。
成分(A)の残分には、水が含まれていることが好ましく、必要により、界面活性剤等の従来公知の成分が含まれていてもよい。
<カルボキシ基を有するアルキド変性アクリル樹脂(A1)>
前記カルボキシ基を有するアルキド変性アクリル樹脂(A1)は、例えば、(メタ)アクリル化合物とアルキド樹脂とを用いて合成することができ、(メタ)アクリル化合物を含む不飽和モノマーとアルキド樹脂とエポキシ化合物とを用いて合成された樹脂であることがより好ましい。
具体的には、アルキド樹脂に溶剤を加え、これにエポキシ化合物とトリフェニルホスフィン等の触媒とを加え、70〜170℃で3〜15時間程度反応させた後、(メタ)アクリル化合物を含む不飽和モノマーおよび重合開始剤を所定量加えて、80〜150℃で3〜10時間程度反応させることにより合成することができる。
なお、カルボキシ基を有する樹脂(A1)を得るには、例えば、不飽和モノマーとしてカルボキシ基を有する化合物を用いてもよく、アルキド樹脂としてカルボキシ基を有する化合物を用いてもよく、エポキシ化合物としてカルボキシ基を有する化合物を用いてもよく、これらを反応させる際にカルボキシ基を生じさせてもよく、また、これらを反応させた後、最終的に得られる樹脂がカルボキシ基を有するように変性などを行ってもよい。
前記アルキド樹脂は、従来公知の方法で得ることができるが、(半)乾性油、(半)乾性油脂肪酸または前記不飽和モノマーを除く不飽和脂肪酸と、酸成分と、多価アルコール成分とを重縮合させて得られる樹脂であることが好ましく、必要に応じてエポキシ化合物を用いてもよい。
前記(半)乾性油としては、例えば、魚油、脱水ヒマシ油、サフラワー油、アマニ油、大豆油、ゴマ油、ケシ油、エノ油、麻実油、ブドウ核油、トウモロコシ油、トール油、ヒマワリ油、綿実油、クルミ油、ゴム種油が挙げられ、(半)乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸が挙げられ、前記不飽和モノマーを除く不飽和脂肪酸としては、例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を使用することができる。
前記(半)乾性油、(半)乾性油脂肪酸および前記不飽和モノマーを除く不飽和脂肪酸の使用量としては、アルキド樹脂を合成する際のモノマー成分100質量%に対し、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%である。
前記酸成分としては、前記(半)乾性油、(半)乾性油脂肪酸および前記不飽和モノマーを除く不飽和脂肪酸として例示した化合物以外の酸が挙げられるが、具体的には、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、シュウ酸、マロン酸、グルタル酸、フマル酸、イタコン酸、コハク酸、アジピン酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、ジフェン酸、水素化トリメリット酸、水素化ピロメリット酸、安息香酸、ロジン、クロトン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を使用することができる。
これらの中でも、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、トリメリット酸等の多官能カルボン酸またはその酸無水物を用いることが好ましい。
前記酸成分の使用量は特に制限されないが、アルキド樹脂を合成する際のモノマー成分100質量%に対し、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。
前記多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、3−メチルペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ブチルエチルプロパンジオール、1,9−ノナンジオール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどの二価アルコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を使用することができる。
これらの中でも、グリセリンまたはペンタエリスリトールを用いることが好ましい。
前記多価アルコール成分の使用量は特に制限されないが、アルキド樹脂を合成する際のモノマー成分100質量%に対し、好ましくは10〜50質量%、より好ましくは20〜40質量%である。
前記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、アルキレングリコールジグリシジルエーテルが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を使用することができる。
これらの中でも、ビスフェノールAジグリシジルエーテルが好ましい。
前記エポキシ化合物を用いる場合、その使用量は特に制限されないが、アルキド樹脂を合成する際のモノマー成分100質量%に対し、好ましくは5〜50質量%である。
前記不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル化合物を用いれば特に制限されず、(メタ)アクリル化合物と共に、他の不飽和モノマーを用いてもよい。
前記(メタ)アクリル化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−またはiso−プロピル(メタ)アクリレート、n−、iso−またはtert−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等の脂環、芳香環、複素環またはビニル基含有(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、γ−ブチロラクトンまたはε−カプロラクトン等との付加物、グリセロール(メタ)アクリレート等の複数の水酸基を含有する(メタ)アクリル酸エステル、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、m−またはp−メトキシフェニル(メタ)アクリレート、o−、m−またはp−メトキシフェニルエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ジシクロペンテノキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノブチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等の第三級アミノ基および(メタ)アクリロイル基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の第一級または第二級アミノ基および(メタ)アクリロイル基含有モノマー、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を使用することができる。
前記(メタ)アクリル化合物の使用量としては、前記不飽和モノマー100質量%に対し、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜90質量%である。
前記他の不飽和モノマーとしては、例えば、ビニルピロリドン、ビニルピリジン等の複素環族系塩基性モノマー、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニル系モノマー、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の一塩基酸または二塩基酸モノマー、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル等の二塩基酸モノマーのモノエステルが挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を使用することができる。
前記不飽和モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、n−またはiso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートまたはスチレン等を含有することが好ましい。
前記樹脂(A1)は、(メタ)アクリル化合物由来の構造単位、アルキド樹脂由来の構造単位およびエポキシ化合物由来の構造単位を有していることが好ましく、(メタ)アクリル化合物由来の構造単位100質量部に対し、アルキド樹脂由来の構造単位の含有量は、好ましくは1〜20質量部であり、エポキシ化合物由来の構造単位は、好ましくは5〜10質量部である。
また、前記樹脂(A1)は、防食性、耐水性、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対する付着性および耐衝撃性によりバランスよく優れる塗膜を容易に形成できる等の点から、ビスフェノールA構造を有する樹脂であることが好ましい。
前記樹脂(A1)を含む成分(A)としては、市販品を用いてもよく、例えば、カルボキシ基およびビスフェノールA構造を有する水分散型アルキド変性アクリル樹脂である、ユカレジン C−390AE(吉村油化学(株)製)が挙げられる。
<カルボキシ基を有する変性エポキシ樹脂(A2)>
前記カルボキシ基を有する変性エポキシ樹脂(A2)は、1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する変性エポキシ樹脂であれば特に制限されない。例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、分子中に少なくとも2つ以上のカルボキシ基を有する化合物と、従来公知のエポキシ基と反応性を有する化合物との反応生成物や、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、分子中にアミノ基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応生成物が挙げられる。
カルボキシ基を有する樹脂(A2)を得るには、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂として、カルボキシ基を有する化合物を用いてもよく、エポキシ基と反応性を有する化合物として、カルボキシ基を有する化合物を用いてもよく、これらを反応させる際にカルボキシ基を生じさせてもよく、また、これらを反応させた後、最終的に得られる樹脂がカルボキシ基を有するように変性などを行ってもよい。
なお、前記樹脂(A2)は、保存安定性の観点から、エポキシ基を含有しない樹脂であることが好ましい。このようなエポキシ基を有さない樹脂も、エポキシ基を有する化合物を原料とする樹脂であれば、「エポキシ」を含む通称が使用されているため、本発明でも同様に、エポキシ基を有しない樹脂であっても、「変性エポキシ樹脂」などという。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂がより好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を使用することができる。
前記分子中に少なくとも2つ以上のカルボキシ基を有する化合物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸およびマレイン酸等の脂肪族多価カルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、メロファン酸、プレーニト酸、ピロメリット酸、メリット酸、ジフェン酸等の芳香族多価カルボン酸、水素化トリメリット酸、水素化ピロメリット酸等の脂環式多価カルボン酸が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上を使用することができる。
また、分子中に少なくとも3つ以上のカルボキシ基有する化合物の無水物と、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルとを反応させた、多価カルボン酸を用いることもできる。このような多価カルボン酸を用いることで、樹脂(A2)を自己乳化型の樹脂とすることができる。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と分子中に少なくとも2つ以上のカルボキシ基を有する化合物との反応としては、例えば、トリフェニルホスフィン等の従来公知の触媒を用い、70〜200℃の範囲で3〜15時間程度反応させる方法が挙げられる。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と、前記分子中に少なくとも2つ以上のカルボキシ基を含有する化合物との混合比は、エポキシ基1モルに対し、カルボキシ基が1.1〜1.5モル程度となるように混合することが好ましい。
前記エポキシ基と反応性を有する化合物としては、例えば、アミン類、カルボン酸類が挙げられ、エポキシ基との反応容易性等の点からアミン類が好ましい。これらは、単独でまたは2種以上を使用することができる。
前記アミン類としては特に制限されず、脂肪族アミン類、脂環族アミン類、芳香族アミン類、芳香脂肪族アミン類、複素環アミン類等のモノアミン、ジアミン等が挙げられるが、水酸基を含有しないアミン類が好ましい。
前記カルボン酸類としては特に制限されず、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族または脂環式の、一価または多価のカルボン酸類が挙げられるが、水酸基を含有しないカルボン酸類が好ましい。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と、分子中に少なくとも2つ以上のカルボキシ基を有する化合物と、エポキシ基と反応性を有する化合物との反応生成物の合成方法としては、例えば、多段階で反応させる方法が挙げられる。より具体的には、前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と、分子中に少なくとも2つ以上のカルボキシ基を有する化合物とを反応させて得られる、分子中に1個以上のカルボキシ基を有する樹脂と、前記エポキシ基と反応性を有する化合物とを反応させる方法が挙げられる。
前記反応に用いる、分子中に1個以上のカルボキシ基を有するエポキシ樹脂と、前記エポキシ基と反応性を有する化合物との混合比は、得られる樹脂(A2)に前記アミン類やカルボン酸類が残存すると、得られる防錆塗膜の防食性が低下する場合があり、また、得られる樹脂(A2)にエポキシ基が残存すると、本組成物の貯蔵安定性が低下する場合があるため、得られる樹脂(A2)に前記アミン類やカルボン酸類、エポキシ基ができるだけ残存しないような比であることが好ましく、例えば、エポキシ基1モルに対し、エポキシ基と反応性の基が、好ましくは0.9〜1.3モル程度となる量、より好ましくは1〜1.2モル程度となる量である。
前記分子中にアミノ基を有する化合物としては、前記アミン類と同様の化合物が挙げられるが、エポキシ基との反応性、得られる樹脂(A2)の保存安定性の観点からモノアミンが好ましい。これらのアミン類は、1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂と、分子中にアミノ基を有する化合物と、(メタ)アクリル酸との反応としては、これらを一括で反応させてもよいし、多段階で反応させてもよい。後者の場合、その反応はいかなる順序で行なってもよいが、例えば、下記の方法が挙げられる。
方法(1):ビスフェノール型エポキシ樹脂と前記アミン類とを反応させ、得られた反応生成物に(メタ)アクリル酸を付加反応させる方法
方法(2):前記アミン類と(メタ)アクリル酸とを付加反応させて得られる付加体と、ビスフェノール型エポキシ樹脂とを反応させる方法
なお、これらの付加反応としては、マイケル付加反応等が挙げられる。
前記方法(1)におけるビスフェノール型エポキシ樹脂と前記アミン類との反応は、無溶剤または溶剤存在下で行なうことができる。該溶剤としては、親水性溶媒であることが反応後の脱溶媒が不要となる点で好ましく、セロソルブ類、プロピレングリコール類、グライム類がより好ましく、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、t−ブチルセロソルブ、メトキシプロパノール、プロポキシプロパノールがさらに好ましい。反応性が良好となる点で、反応温度は50〜120℃が好ましい。
次に、このようにして得られた反応生成物と(メタ)アクリル酸とを付加反応させる方法は、例えば、前記反応生成物を得た直後に、50〜120℃の温度条件下で付加反応させてもよいし、前記反応生成物中のエポキシ基を前記アミン類とさらに反応させた後、この反応生成物と(メタ)アクリル酸とを50〜120℃の温度条件下で付加反応させてもよい。
前記方法(2)における前記アミン類と(メタ)アクリル酸との付加反応は、無溶剤または溶剤存在下で行なうことができる。ここで、溶剤としては前記親水性溶媒であることが反応後の脱溶媒が不要となる点で好ましい。反応性が良好となる点で、反応温度は50〜120℃が好ましい。
なお、これらの付加反応では、必要に応じて触媒を用いてもよく、該触媒としては、ナトリウムエトキシド等が挙げられる。
次に、このようにして得られた付加体とビスフェノール型エポキシ樹脂を反応させる方法としては、例えば、前記付加体と、ビスフェノール型エポキシ樹脂を50〜120℃の温度条件下反応させる方法が挙げられる。
前記付加反応における前記アミン類と(メタ)アクリル酸との混合比は、前記アミン類のアミノ基1モルに対して、(メタ)アクリル酸のビニル基が0.7〜0.9モル程度となるように混合することが好ましい。
前記各成分の混合比は、得られる樹脂(A2)に前記アミン類が残存すると、得られる防錆塗膜の防食性が低下する場合があり、また、得られる樹脂(A2)にエポキシ基が残存すると、本組成物の貯蔵安定性を低下する場合があるため、得られる樹脂(A2)に前記アミン類やエポキシ基ができるだけ残存しないような比であることが好ましく、例えば、エポキシ基1モルに対して、アミン類を0.9〜1.3モル程度となる量、より好ましくは1〜1.2モル程度となる量である。
前記樹脂(A2)を含む成分(A)としては、市販品を用いてもよく、例えば、カルボキシ基およびビスフェノールA構造を有する水分散型変性エポキシ樹脂である、エピクロン C−250EP(DIC(株)製)が挙げられる。
<水性エポキシ樹脂(B)>
前記成分(B)は、成分(A)以外の化合物であればよく、1分子中に2個以上のエポキシ基を有していることが好ましい。成分(B)は、エマルジョンやディスパージョンであってもよく、エポキシ樹脂の分子量、エポキシ当量等の樹脂物性値は特に制限されない。
本組成物中に含まれる成分(B)は、1種でもよく、2種以上でもよい。
前記成分(B)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族変性エポキシ樹脂が挙げられる。
前記成分(B)100質量%中のエポキシ樹脂の含有量は、調製容易性、保存安定性等により優れる塗料組成物を得ることができる等の点から、好ましくは35〜100質量%、より好ましくは45〜80質量%である。
成分(B)の残分には、水が含まれていればよく、必要により、界面活性剤等の従来公知の成分が含まれていてもよい。
前記成分(B)としては、市販品を用いてもよく、例えば、カルボキシ基を有さない水分散型ビスフェノールA型エポキシ樹脂である、エピクロン EM−85−75W、エピクロン EM−8358(いずれも、DIC(株)製)、アデカレジン C−110EP((株)ADEKA製)が挙げられる。
前記成分(B)の不揮発分の含有量は、防食性、耐水性、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対する付着性および耐衝撃性によりバランスよく優れる塗膜を容易に形成できる等の点から、前記成分(A)の不揮発分100質量部に対して、好ましくは1〜30質量部、より好ましくは1〜25質量部、さらに好ましくは5〜20質量部、特に好ましくは5〜15質量部である。
<水(C)>
前記成分(A)および(B)には水が含まれている場合があり、また、前記成分(A)および(B)には水が含まれていることが好ましいが、本組成物の調製をより容易にし、該組成物の貯蔵安定性を向上させる等の点から、本組成物にはさらに水(C)を配合することが好ましい。本組成物が、前記成分(A)を含有する第1剤と前記成分(B)を含有する第2剤とからなる場合、第1剤および第2剤の調製容易性および貯蔵安定性をより向上させる等の点から、該第1剤および/または第2剤に成分(C)を配合することが好ましく、第1剤および第2剤に成分(C)を配合することが好ましい。
前記成分(C)としては特に制限されず、水道水等を用いてもよいが、イオン交換水等を用いることが好ましい。
本組成物中の水(前記成分(A)および(B)に含まれ得る水と、その他の水(C)との合計)の含有量は、特に制限されないが、好ましくは10〜50質量%である。
<顔料(D)>
前記成分(D)としては、体質顔料、着色顔料および防錆顔料(D1)等が挙げられ、1種単独でまたは2種以上を用いることができる。
本組成物が第1剤と第2剤からなる多成分型の組成物である場合、成分(D)は第1剤および第2剤のどちらか一方に配合してもよく、または、両方に配合してもよいが、第1剤に配合することが好ましい。
本組成物中の成分(D)の含有量は、防食性、耐水性、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対する付着性および耐衝撃性によりバランスよく優れる塗膜を容易に形成できる等の点から、本組成物の不揮発分100質量%に対して、好ましくは45〜75質量%、より好ましくは50〜70質量%である。
本組成物中の顔料体積濃度(PVC)は、塗装作業性により優れる組成物を容易に得ることができ、応力緩和による基材との付着性および耐水性により優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、好ましくは20〜50%、より好ましくは20〜45%、さらに好ましくは20〜40%、特に好ましくは20〜38%である。
PVCが前記範囲を下回ると、得られる塗膜の防食性の低下や顔料を配合したことによる応力緩和の効果が乏しくなる傾向にあり、また、前記範囲を超えると、得られる塗膜の耐衝撃性が低下するとともに塗装作業性が低下する傾向にある。
前記PVCとは、本組成物中の不揮発分の体積に対する、顔料の合計の体積濃度のことをいう。PVCは、具体的には下記式より求めることができる。
PVC[%]=本組成物中の全ての顔料の体積合計×100/本組成物中の不揮発分の体積
本組成物の不揮発分(固形分)は、本組成物を十分に反応硬化(加熱)した後の塗膜(加熱残分)の質量百分率、または、該塗膜(加熱残分)自体を意味する。前記不揮発分は、JIS K 5601−1−2:2008に従って、本組成物(例えば、第1剤と第2剤とを混合した直後の組成物)1±0.1gを平底皿に量り採り、質量既知の針金を使って均一に広げ、23℃で24時間乾燥させた後、加熱温度125℃で1時間(常圧下)加熱した時の、加熱残分および該針金の質量を測定することで算出することができる。なお、この不揮発分は、本組成物に用いる原料成分の固形分(溶媒以外の成分)の総量と同等の値である。
前記本組成物中の不揮発分の体積は、本組成物の不揮発分の質量および真密度から算出することができる。前記不揮発分の質量および真密度は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。
前記顔料の体積は、用いた顔料の質量および真密度から算出することができる。前記顔料の質量および真密度は、測定値でも、用いる原料から算出した値でも構わない。例えば、本組成物の不揮発分より顔料と他の成分とを分離し、分離された顔料の質量および真密度を測定することで算出することができる。
<体質顔料>
前記体質顔料としては特に制限されないが、下記着色顔料および防錆顔料以外の顔料である。
前記体質顔料としては、例えば、従来公知の、タルク、マイカ、硫酸バリウム(沈降性硫酸バリウムや簸性硫酸バリウムを含む)、(カリ)長石、カオリン、アルミナホワイト、クレー、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、ドロマイト、シリカが挙げられる。これらの中でも、タルク、硫酸バリウム、(カリ)長石が好ましい。
体質顔料は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記体質顔料を本組成物に配合する場合の含有量は、防食性、耐水性、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対する付着性および耐衝撃性によりバランスよく優れる塗膜を容易に形成できる等の点から、本組成物の不揮発分100質量%に対して好ましくは15〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%である。
<着色顔料>
前記着色顔料としては、特に制限されないが、下記防錆顔料以外の顔料である。
前記着色顔料としては、例えば、従来公知の、カーボンブラック、二酸化チタン(チタン白)、酸化鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、群青等の無機顔料、シアニンブルー、シアニングリーン等の有機顔料が挙げられる。これらの中でも、チタン白、カーボンブラック、弁柄が好ましい。
着色顔料は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
前記着色顔料を本組成物に配合する場合の含有量は、本組成物の不揮発分100質量%に対して、好ましくは0.1〜25質量%、より好ましくは0.5〜20質量%である。
<防錆顔料(D1)>
本組成物は、前記成分(D)として、より防食性および耐水性に優れる塗膜を容易に得ることができる等の点から、防錆顔料(D1)を含有することが好ましい。
成分(D1)は、1種を用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
成分(D1)としては、前記効果が得られ易い等の点から、リン酸金属系防錆顔料であることが好ましく、リン酸亜鉛系、リン酸モリブデン系、リン酸アルミニウム系、リン酸ストロンチウム系防錆顔料であることがより好ましい。これらの防錆顔料として、より具体的には、例えば、ポリリン酸アルミニウムモリブデンの水和物、ポリリン酸亜鉛アルミニウムモリブデンの水和物、リンモリブデン酸アルミニウム、ストロンチウムリン酸亜鉛シリケート、ポリリン酸亜鉛モリブデンの水和物、ポリリン酸カルシウムストロンチウムのシリケートの水和物、ポリリン酸亜鉛アルミニウムカルシウムのシリケートの水和物、リン酸亜鉛、およびこれらの有機変性物が挙げられ、好ましくは、有機変性ポリリン酸アルミニウムモリブデンの水和物、リンモリブデン酸アルミニウム、ポリリン酸亜鉛モリブデンの水和物、リン酸亜鉛である。
前記成分(D1)を本組成物に配合する場合の含有量は、防食性、耐水性、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対する付着性および耐衝撃性によりバランスよく優れる塗膜を容易に形成できる等の点から、本組成物の不揮発分100質量%に対して、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは1〜15質量%である。
成分(D1)の含有量が、前記範囲を下回ると、得られる塗膜の防食性や耐水性が低下する傾向にあり、また、前記範囲を超えると、基材に対する付着性や耐衝撃性が低下するとともに、耐水性が低下する傾向にある。
<その他の成分>
さらに、本組成物には、前記成分に加え、必要に応じて、本発明の効果を損なわない範囲において、公知の分散剤、造膜助剤、消泡剤、増粘剤、沈降防止剤、ドライヤー、硬化促進剤、有機溶剤等を配合してもよい。
[有機溶剤]
本組成物は、水を含有することに起因し、冬季に組成物が凍結することがあるため、該凍結を抑制する目的や、また、塗料組成物としての適正な塗装作業性を得る目的などから、任意の量で水と混和可能な有機溶剤を用いることができる。
このような有機溶剤としては、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜3のアルコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。
≪防錆塗膜、防錆塗膜付き基材≫
本発明の一実施形態に係る防錆塗膜(以下「本塗膜」ともいう。)は、前記本組成物を用いて形成され、本組成物の一実施形態に係る防錆塗膜付き基材(以下「本塗膜付き基材」ともいう。)は、本塗膜と被塗物(基材)とを含む積層体である。
前記基材の材質としては特に制限されず、例えば、鉄鋼(例:鉄、鋼、マイルドスチール)、非鉄金属(例:アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛メッキ、亜鉛溶射)、ステンレス(例:SUS304、SUS410)が挙げられ、基材の表面がアルキド樹脂系、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系等の塗料組成物から形成された塗膜で被覆されていてもよい。
また、前記基材として、例えば、マイルドスチール(SS400等)を用いる場合、必要により、グリットブラスト等で基材表面を研磨するなど、素地調整(例:算術平均粗さ(Ra)が30〜75μm程度になるよう調整)しておくことが望ましい。
前記基材としては特に制限されず、防食性や耐水性が求められる基材に対し、制限なく使用することができるが、本組成物を用いる効果がより発揮される等の点から、好ましくは、橋梁、タンク、プラント、(輸送用)コンテナなどの(陸上)構造物等が挙げられる。
本塗膜の乾燥膜厚は特に限定されないが、十分な防食性、耐水性を有し、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材に対する付着性および耐衝撃性によりバランスよく優れる塗膜が得られる等の点から、通常は10〜100μm、好ましくは20〜60μmである。
また、本塗膜付き基材は、本塗膜と被塗物(基材)を含む積層体であって、本塗膜上に、さらに耐候性や美観に優れる上塗り塗膜を形成してもよい。このような上塗り塗膜としては、例えば、アクリル樹脂系、アクリルシリコン樹脂系、ウレタン樹脂系、シリコーン樹脂系、フッ素樹脂系等の各種上塗り水性塗料組成物より形成される塗膜が挙げられる。
≪防錆塗膜付き基材の製造方法≫
本発明の一実施形態に係る防錆塗膜付き基材の製造方法(以下「本方法」ともいう。)は、下記工程[1]および[2]を含む。
工程[1]:本組成物を基材に塗装する工程
工程[2]:基材上に塗装された本組成物を乾燥させて防錆塗膜を形成する工程
<工程[1]>
前記工程[1]における塗装方法としては、特に制限されず、例えば、エアレススプレー塗装、エアスプレー塗装等のスプレー塗装、はけ塗り、ローラー塗りなどの従来公知の方法が挙げられる。これらの中でも、前記構造物などの大面積の基材を容易に塗装できる等の点から、スプレー塗装が好ましい。
このような塗装の際には、得られる塗膜の乾燥膜厚が前記範囲となるように塗装することが好ましい。
前記スプレー塗装の条件は、形成したい乾燥膜厚に応じて適宜調整すればよいが、例えば、エアレススプレー塗装の場合、1次(空気)圧:0.3〜0.6MPa程度、2次(塗料)圧:10〜15MPa程度、ガン移動速度50〜120cm/秒程度が好ましい。
前記スプレー塗装に適した本組成物の粘度は、測定器としてB型粘度計(リオン(株)製、型式VT−06)を用いた、23℃の測定条件下での粘度が、好ましくは6,000〜20,000mPa・s、より好ましくは8,000〜12,000mPa・sである。
なお、本組成物を塗装する際に、所望に応じて、適正な塗料組成物の粘度に調整してもよい。このような粘度調整に用いる希釈剤としては、水を用いることが好ましい。
この場合、各塗装方法に適した塗料粘度となるように希釈剤を用いることが好ましく、例えば、エアレススプレー塗装する場合、本組成物100質量部に対する希釈剤の使用量は、好ましくは1〜30質量部である。
<工程[2]>
前記工程[2]における乾燥条件としては、特に制限されず、塗膜の形成方法、基材の種類、用途、塗装環境等に応じて適宜設定すればよいが、乾燥温度は、常温乾燥の場合、通常5〜35℃、より好ましくは10〜30℃であり、熱風乾燥機等で乾燥する場合、通常30〜90℃、より好ましくは40〜80℃である。本組成物によれば、このような常温乾燥でも組成物を硬化させることができる。
一方、乾燥時間は、塗膜の乾燥方法によって異なり、常温乾燥の場合、通常1時間〜7日、好ましくは1日〜3日であり、熱風乾燥機等で乾燥する場合、通常5分〜60分、好ましくは10分〜30分である。
本発明について実施例を挙げ、更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されない。なお、表中の配合量は特別な記載のない限り「質量部」を表す。
下記実施例および比較例で使用した原材料を下記表1に示す。
Figure 2019065939
[実施例1]
容器に、イオン交換水を9.7質量部、分散剤を1質量部、消泡剤を0.1質量部、タルクを14質量部、簸性硫酸バリウムを13質量部、酸化チタンを10質量部、沈降防止剤を0.1質量部添加し、ハイスピードディスパーで粒ゲージ40μm以下(JIS K 5600−2−5:1999に準拠)まで分散し、ミルベースを作製した。得られたミルベースに、水性樹脂A1を45質量部、造膜助剤を1質量部、消泡剤を0.1質量部、増粘剤を1質量部添加した後、ハイスピードディスパーで混合し、第1剤を調製した。
また、別の容器に水分散型エポキシB1を2.5質量部、イオン交換水を2.5質量部添加した後、ハイスピードディスパーで混合し、第2剤を調製した。
得られた第1剤と第2剤とを塗装直前に混合し、塗料組成物を調製した。
[実施例2〜19および比較例2]
表2〜4に記載の原材料を、該表に記載の量で用いた以外は実施例1と同様にして、各塗料組成物を調製した。
[比較例1]
容器に、イオン交換水を11.7質量部、分散剤を1質量部、消泡剤を0.1質量部、タルクを11質量部、簸性硫酸バリウムを11質量部、酸化チタンを10質量部、防錆顔料1を5質量部、沈降防止剤を0.1質量部添加し、ハイスピードディスパーで粒ゲージ40μm以下(JIS K 5600−2−5:1999に準拠)まで分散し、ミルベースを作製した。得られたミルベースに、水性樹脂A1を48質量部、造膜助剤を1質量部、消泡剤を0.1質量部、増粘剤を1質量部添加した後、ハイスピードディスパーで混合し、比較例1の塗料組成物を調製した。
[比較例3]
表2に記載の原材料を、該表に記載の量で用いた以外は比較例1と同様にして、塗料組成物を調製した。
<アクリル樹脂系水性塗料の調製>
容器に、イオン交換水を6質量部、分散剤を1質量部、消泡剤を0.1質量部、酸化チタンを15質量部、簸性硫酸バリウムを15質量部、沈降防止剤を0.1質量部添加し、ペイントシェイカーで粒ゲージ30μm以下(JIS K 5600−2−5:1999に準拠)まで分散し、ミルベースを作製した。得られたミルベースに、水分散型アクリル樹脂を55質量部、造膜助剤を4質量部、消泡剤を0.1質量部、増粘剤を1質量部添加した後、ハイスピードディスパーで混合し、アクリル樹脂系水性塗料を調製した。
[試験体の作成方法]
実施例および比較例の各塗料組成物の粘度を、前記B型粘度計を用いて測定した23℃下での粘度が10,000mPa・sとなるように、イオン交換水を用いて調整した。
粘度調整後の各塗料組成物を、ステンレス鋼板(SUS410)上に、平均乾燥膜厚が40μmとなるようにエアスプレーで塗布し、常温下で10分間乾燥した後、50℃で15分間熱風乾燥して下塗り塗膜を形成した。その後、該下塗り塗膜上に前記アクリル樹脂系水性塗料を、平均乾燥膜厚が40μmとなるようにエアスプレーで塗布し、下塗り塗膜と同様の乾燥条件で上塗り塗膜を形成した。上塗り塗膜を形成した後、23℃、相対湿度50%の環境下で7日間乾燥することで、後述の各種塗膜性能評価試験に用いる試験体(塗膜付き基材)を作製した。
なお、この方法では、乾燥促進のため、50℃で15分間熱風乾燥して下塗り塗膜を形成したが、実施例で得られた各塗料組成物は、常温(23℃)で1.5時間乾燥させることでも、下塗り塗膜(硬化塗膜)を形成できた。
<初期付着性>
[碁盤目付着性試験]
前記各試験体に、JIS K 5600−5−6:1999に準じて、2mm×2mmの25マスの碁盤目付着性試験(クロスカット法)を実施し、下記評価基準に従って、該25マスが占める塗膜面積100%に対する、ステンレス鋼板から剥離した塗膜の面積の割合(%)で付着性を評価した。
なお、付着性は、下記評価が『4』以上であれば、実用上問題ないといえる。
(評価基準)
5 :剥離した塗膜の面積が5%以下
4 :剥離した塗膜の面積が5%より大きく、15%以下
3 :剥離した塗膜の面積が15%より大きく、35%以下
2 :剥離した塗膜の面積が35%より大きく、65%以下
1 :剥離した塗膜の面積が65%より大きい
[耐衝撃性試験]
前記各試験体に、衝撃試験機(BYK−Gardener社製)を用いて、試験体の塗膜面(表)に対し、先端部が球状(直径:0.625インチ)の2ポンドの錘を試験体から30インチの高さから落下させた。塗膜面の錘の落下部を中心にして、十字状に1.5cmずつ基材(SUS410)に届くまで切り込みを入れ、透明感圧付着テープを付着させた後、該テープを引き剥がし、塗膜の最大剥離幅を測定した。下記評価基準に従って、耐衝撃性(耐衝撃性試験(表))を評価した。
また、試験体の塗膜面とは反対側の面(裏)に錘を落下させ、錘の落下部に対応する塗膜面に対し、前記と同様にして最大剥離幅を測定し、下記評価基準に従って、耐衝撃性(耐衝撃性試験(裏))を評価した。なお、最大剥離幅とは、塗膜が剥離した箇所において、錘の落下箇所の中心を通るように結んだ線が最長となる長さを指す。
なお、耐衝撃性は、下記評価が『3』以上であれば、実用上問題ないといえる。
(評価基準)
5 :塗膜が剥離しなかった
4 :塗膜の最大剥離幅が8mm以下
3 :塗膜の最大剥離幅が8mmより大きく、12mm以下
2 :塗膜の最大剥離幅が12mmより大きく、16mm以下
1 :塗膜の最大剥離幅が16mmより大きい
<二次付着性>
前記各試験体を後述の塩水噴霧試験を実施した後、前記碁盤目付着性試験および耐衝撃性試験と同様の試験方法および評価基準に従って、各試験体の二次付着性を評価した。
<耐水性>
[水浸漬試験]
耐液体性(水浸せき法)に関するJIS K 5600−6−2:1999に基づいて、前記各試験体を23℃の水に96時間(4日)または168時間(7日)浸漬する水浸漬試験を実施した。後述の評価基準に従って、耐水性を評価した。
なお、耐水性は、96時間水に浸漬した後の試験体の下記評価が『3』以上であれば、実用上問題ないといえ、168時間水に浸漬した後でも、下記評価が『3』以上である場合には、下塗り塗膜は極めて高い耐水性を有しているといえる。
(評価基準)
5 :錆、膨れともに発生していない
4 :膨れは発生していないが、試験体の塗装面の全面積に対して、
錆の発生面積が0.03%以下
3 :膨れは発生していないが、試験体の塗装面の全面積に対して、
錆の発生面積が0.03%より大きく、0.1%以下
2 :膨れは発生していないが、試験体の塗装面の全面積に対して、
錆の発生面積が0.1%より大きく、0.3%以下
1 :膨れの発生、および/または、試験体の塗装面の全面積に対して
、錆の発生面積が0.3%より大きい
<防食性>
[塩水噴霧試験]
耐中性塩水噴霧性に関するJIS K 5600−7−1:1999に基づいて、塩水濃度5wt%、温度35℃、相対湿度98%の塩水噴霧条件の塩水噴霧試験機中に、前記各試験体を200時間保持することで、塩水噴霧試験を実施した。この塩水噴霧試験後の各試験体を、前記水浸漬試験と同様の評価基準に従って評価することで、防食性を評価した。
なお、防食性は、前記評価が『3』以上であれば、実用上問題ないといえる。
Figure 2019065939
Figure 2019065939
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前記各試験において、塗膜付き基材(試験体)の基材をステンレス鋼板からアルミ基材または鋼板に変更した場合にも、前記と同様に、実施例で得られた塗料組成物から得られた塗膜は、これら基材に対して付着性に優れていた。
本塗膜は、初期付着性、二次付着性、耐水性および防食性に優れることが分かった。また、本塗膜は、基材、特に非鉄金属基材やステンレス基材、さらには鉄系基材に対する付着性に優れるとともに、上塗り塗膜との付着性にも優れることが分かった。アルキド樹脂系などの従来の組成物を用いた場合には、前述のインターバルが不十分な場合、リフティングによる塗膜欠陥が生じる傾向にあったが、本組成物によれば、本塗膜の形成から上塗り塗膜の形成までのインターバルをどの範囲にしても、リフティング等の塗膜欠陥が生じにくく、所望の積層塗膜を容易に形成することができることが分かった。

Claims (12)

  1. 1分子中に1個以上のカルボキシ基を有する水性樹脂(A)、および、水性樹脂(A)以外の水性エポキシ樹脂(B)を含有する水性防錆塗料組成物。
  2. 前記水性樹脂(A)が、カルボキシ基を有する水性アルキド変性アクリル樹脂(A1)およびカルボキシ基を有する水性変性エポキシ樹脂(A2)から選ばれる1種以上を含む、請求項1に記載の水性防錆塗料組成物。
  3. 前記アルキド変性アクリル樹脂(A1)および前記変性エポキシ樹脂(A2)が、ビスフェノールA構造を有する樹脂である、請求項2に記載の水性防錆塗料組成物。
  4. 前記水性エポキシ樹脂(B)を、前記水性樹脂(A)の不揮発分100質量部に対して、不揮発分として1〜30質量部含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物。
  5. 前記水性樹脂(A)を含有する第1剤と、前記水性エポキシ樹脂(B)を含有する第2剤とを含む多成分型である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物。
  6. さらに顔料(D)を含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物。
  7. 前記顔料(D)が防錆顔料(D1)を含有する、請求項6に記載の水性防錆塗料組成物。
  8. 前記水性防錆塗料組成物中の顔料体積濃度(PVC)が20〜50%である、請求項6または7に記載の水性防錆塗料組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物から形成された防錆塗膜。
  10. 請求項9に記載の防錆塗膜と基材とを有する防錆塗膜付き基材。
  11. 前記基材が非鉄金属またはステンレスである、請求項10に記載の防錆塗膜付き基材。
  12. 下記工程[1]および[2]を含む、防錆塗膜付き基材の製造方法。
    [1]基材に、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性防錆塗料組成物を塗装する工程
    [2]基材上に塗装された水性防錆塗料組成物を乾燥させて防錆塗膜を形成する工程
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