JPWO2019065686A1 - フォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物、フォトスペーサの形成方法、フォトスペーサ付基板、及び、カラーフィルタ - Google Patents

フォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物、フォトスペーサの形成方法、フォトスペーサ付基板、及び、カラーフィルタ Download PDF

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Abstract

アルカリ可溶性樹脂と、重量平均分子量が1000以上のオリゴマーと、を含み、前記アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記オリゴマー〔O〕との質量比〔O/P比〕が、0.4〜1.0であるフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。

Description

本発明は、フォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物、フォトスペーサの形成方法、フォトスペーサ付基板、及び、カラーフィルタに関し、特に投影露光(レンズスキャン露光)に有用なフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物、並びに、これを用いたフォトスペーサの形成方法、フォトスペーサ付基板、及び、カラーフィルタに関する。
従来、液晶表示装置の技術においては、カラーフィルタ側基板と薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)側基板との間に挟持される液晶層の厚みを保持するためにスペーサと称される部材が用いられている。スペーサの形成については、感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィー法により所望の位置、例えば、画素間に形成された格子状のブラックマトリクス上に、フォトスペーサと称される柱状の樹脂製部材を形成する方法が多く採用されている。
また、フォトスペーサを形成する際、パターニングのために通常フォトマスクが用いられている。フォトマスクを用いた露光方式としては、従来からプロキシミティー方式が採用されているが、近年ではガラス基板の大型化及び画素の精細化に伴い、例えば、マルチレンズシステムを用いた投影露光(レンズスキャン)方式が採用されている(例えば、下記特許文献1参照)。
複数のレンズを用いた投影露光方式では、レンズの真下に位置する通常の部位に比べ、レンズとレンズとの継ぎ部に対応する箇所では通常部よりも露光量が少なくなる。このため、レンズの継ぎ部に該当する領域においては、塗布膜を複数回露光することで通常部と同一の露光量になるように設計されている。しかし、露光量を調整した場合であっても、レンズの継ぎ部においては、“レンズムラ”と称される、フォトスペーサの高さにばらつきが生じることがあり、その改善が求められている。レンズムラを改善するための技術としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂、及び、重合性化合物を含有し、前記重合性化合物に占める分子量が700以上の重合性化合物の割合が、35〜65質量%である、感光性樹脂組成物を用いた技術が提案されている(例えば、下記特許文献2参照)。
特開平7−183212号公報 特開2016−184072号公報
特許文献2に記載の技術によれば、上述の感光性樹脂組成物を用いてフォトスペーサを形成することで、レンズスキャン方式で露光した場合におけるフォトスペーサの高さのばらつきの発生を抑制している。しかし、近年、フォトスペーサの高さの均一性に対する要求は高く、これら要求に対応するためには未だ改善の余地がある。
さらに、液晶パネルを形成した後の問題として、液晶パネル表面を指で押すなどして外部から力又は衝撃が液晶パネルに加わることがある。この際、フォトスペーサが潰れてしまうと、部分的にセルギャップが小さくなり、表示不良の原因になりうる。このため、外部からの力等に起因する表示不良を防ぐためには、フォトスペーサの復元率が大きいことが求められる。
本発明は、上述の課題を解決すべく、高さ均一性と復元率とに優れたフォトスペーサを形成することが可能なフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物、並びに、これを用いたフォトスペーサの形成方法、フォトスペーサ付基板、及び、カラーフィルタを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、特定のオリゴマーとアルカリ可溶性ポリマーとの質量比を一定範囲とすることで、上述の課題が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
<1> アルカリ可溶性樹脂と、重量平均分子量が1000以上のオリゴマーと、を含み、前記アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記オリゴマー〔O〕との質量比〔O/P比〕が、0.4〜1.0であるフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
<2> 前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が5,000〜100,000である前記<1>に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
<3> 前記アルカリ可溶性樹脂が、アクリル系樹脂である前記<1>又は<2>に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
<4> 前記アルカリ可溶性樹脂は、二重結合当量が100〜270である前記<1>〜<3>のいずれか一つに記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
<5> さらに、光重合開始剤を含む前記<1>〜<4>のいずれか一つに記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
<6> 基板上に前記<1>〜<5>のいずれか一つに記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を含む塗布膜を形成し、前記塗布膜を露光及び現像してフォトスペーサを形成するフォトスペーサの形成方法。
<7> 前記露光が、投影露光である前記<6>に記載のフォトスペーサの形成方法。
<8> 基板と、前記基板上に設けられ、前記<1>〜<5>のいずれか一つに記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、を備えたフォトスペーサ付基板。
<9> 基板と、前記基板上に設けられた着色層と、前記着色層上に設けられ、前記<1>〜<5>のいずれか一つに記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、を備えたカラーフィルタ。
<10> 前記着色層がブラックマトリックス層を含む前記<9>に記載のカラーフィルタ。
<11> 前記フォトスペーサが前記ブラックマトリックス層上に設けられた前記<10>に記載のカラーフィルタ。
本発明によれば、高さ均一性と復元率とに優れたフォトスペーサを形成することが可能なフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物、並びに、これを用いたフォトスペーサの形成方法、フォトスペーサ付基板、及び、カラーフィルタを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
《フォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物》
本実施形態のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物(以下、単に「樹脂組成物」と称することがある。)は、アルカリ可溶性樹脂と、重量平均分子量が1000以上のオリゴマーと、を含み、前記アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記オリゴマー〔O〕との質量比〔O/P比〕が、0.4〜1.0である。
本実施形態の樹脂組成物によれば、アルカリ可溶性樹脂と重量平均分子量が1000以上のオリゴマーとを、O/P比0.4〜1.0の範囲で用いることによって高さ均一性と復元率とに優れたフォトスペーサを形成することができる。本実施形態の樹脂組成物は、特にマルチレンズシステムを用いた投影露光(レンズスキャン)方式を採用したフォトスペーサの形成方法に適しており、レンズとレンズとの継ぎ部において通常部とは照射方法が異なる(通常部と同等の露光量を複数回に分けて照射する)場合であっても、得られるフォトスペーサ間の高さにばらつきが少なく、いわゆる“レンズムラ”の発生を抑制することができる。換言すると本実施形態における樹脂組成物を用いて形成した塗膜は、露光時の照射方法の影響を受けにくいため、レンズの継ぎ部においても、フォトスペーサの高さのばらつきが生じるのを抑制することができる。更に、本実施形態における樹脂組成物を用いると、レンズムラの発生を抑制しながら十分な復元率を有するフォトスペーサを形成することができる。
尚、上述のレンズムラは、フォトスペーサ間の高さにばらつきのみではなく、一つの画素(フォトスペーサ)について、厚さ方向における断面を観察した場合に上面の中心部の高さと端部の高さとに差が生じている場合も含まれる。特に限定されるものではないが、本実施形態の樹脂組成物を用いてフォトスペーサを形成すると、レンズムラによるフォトスペーサの高さの差(最大高さ−最小高さ)を0.02μm以下とすることも可能である。
(アルカリ可溶性樹脂)
本実施形態においてアルカリ可溶性樹脂は、重量平均分子量が5,000以上であり、アルカリ可溶性基を有するポリマーである。前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量としては、フォトスペーサの復元率と現像性の観点から、5,000〜100,000が好ましく、7,000〜50,000が更に好ましく、10,000〜30,000が特に好ましい。アルカリ可溶性樹脂の分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、品番:HLC−8120、カラム:G−5000HXL及びG−3000HXLの2連結、検出器:RI、移動相:テトラヒドロフラン)で行なうことができる。
アルカリ可溶性樹脂としては、特に限定はないが、例えばアクリル系樹脂、ノボラック系樹脂等が挙げられ、特にアクリル系樹脂が好ましい。アルカリ可溶性樹脂の二重結合当量は、フォトスペーサの復元率を高める観点から100〜270が好ましい。ここで、「二重結合当量」とは、アクリロイル基1モルに対する樹脂組成物のグラム数をいう。また、「樹脂組成物のグラム数」とは、樹脂組成物の全体(但し、溶媒を除く)の質量を意味する。
アルカリ可溶性樹脂の酸価は、アルカリ現像において現像不良の発生及び露光部分の表面が現像液で侵食される等の不具合の発生を抑制する観点から、固形分換算で10〜200であることが好ましく、20〜120が更に好ましく、30〜60が特に好ましい。酸価を調整する方法としては、水酸基に酸無水物を付加させる方法や、アクリル樹脂に関してはカルボン酸含有アクリレートを共重合させる方法等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂としては、特に限定はないが、例えば、ポリエポキシ樹脂によるアクリル変性樹脂、ポリカルボン酸樹脂によるアクリル変性樹脂、ポリアルコール樹脂によるアクリル変性樹脂等が挙げられる。
−ポリエポキシ樹脂によるアクリル変性樹脂−
ポリエポキシ樹脂によるアクリル変性樹脂に用いられるポリエポキシ樹脂としては、特に限定はないが、例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂が挙げられる。
アクリル変性樹脂としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ含有アクリレートの1種以上の重合物で、他の共重合可能なメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、等のアルキル(メタ)アクリレートや、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等との共重合物も挙げられる。これらの共重合モノマーは、その1種単独で、又は、2種以上を併用することもできる。さらに、これらアクリレートと共重合可能なスチレン、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド等の化合物を共重合させることもできる。これらのポリエポキシ樹脂をアクリル変性させる方法として、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有アクリレートや(メタ)アクリル酸無水物等を付加させることで得ることができる。また、これらのアクリル変性樹脂に酸価を付与させる方法として、アクリル付加により生成した水酸基に酸無水物等のカルボン酸誘導体を付加させることにより得ることができる。
特に限定されるものではないが、アルカリ可溶性樹脂としては下記式(A)で示される重合性(メタ)アクリル系ポリマーを用いることができる。下記式(A)で示される重合性(メタ)アクリル系ポリマーを用いると、アルカリ可溶性樹脂の二重結合当量と酸価とを容易に好ましい範囲に調整することができる。尚、式(A)で示される重合性(メタ)アクリル系ポリマーに含まれる各構成単位について、異なる種類の構造を含むものであってもよい。

(式中、各R1は、独立して、水素原子又はメチル基を表し、X1,X2,X3,X4及びX5は、それぞれ独立して、下記一般式(1)で示される置換基を表し、R3は、水素原子又は下記構造式(X)で表される置換基の何れか表す。l,m及びnは、比l:m:nの形で各モノマー単位相互のモル比を表す。)

(式中、R2は、水素原子又はメチル基を表し、「*−」は結合部位を表す。但し、式(A)におけるX1又はX2に結合する式(1)で示される置換基は、R2が水素原子である。)

(式中、「*−」は結合部位を表す。)
式(A)で示される重合性(メタ)アクリル系ポリマーは、特に限定はされるものではないが、X3及びX4の少なくとも一つに結合する式(1)で示される置換基のR2がメチル基であることが好ましい。式(A)で示される重合性(メタ)アクリル系ポリマーの具体例としては、例えば、後述する実施例で用いられたアクリル樹脂(P−1)を挙げることができる。
−ポリカルボン酸樹脂によるアクリル変性樹脂−
ポリカルボン酸樹脂によるアクリル変性樹脂としては、特に限定はないが、例えば、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有アクリレートの1種以上の重合物で、他の共重合可能なメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、等のアルキル(メタ)アクリレートや、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等との共重合物が挙げられる。これらの共重合モノマーは、その1種単独で、又は、2種以上を併用することもできる。さらに、これらアクリレートと共重合可能なスチレン、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド等の化合物を共重合させることもできる。ポリカルボン酸樹脂をアクリル変性させる方法として、ポリカルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ含有アクリレートを付加させることにより得ることができる。
−ポリアルコール樹脂によるアクリル変性樹脂−
ポリアルコール樹脂によるアクリル変性樹脂に用いられるポリアルコール樹脂としては、特に限定はないが、例えば、ポリビニルアルコール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂が挙げられる。
前記ポリアルコール樹脂によるアクリル変性樹脂としては、特に限定はないが、例えば、上述のポリアルコール樹脂としては、例えばポリビニルアルコール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有アクリレートの1種以上との重合物で、他の共重合可能な(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、等のアルキル(メタ)アクリレートや、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等の脂環式(メタ)アクリレート等との共重合物も挙げられる。これらの共重合モノマーは、その1種単独で、又は、2種以上を併用することもできる。さらに、これらアクリレートと共重合可能なスチレン、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド等の化合物を共重合させることもできる。
これらのポリアルコール樹脂をアクリル変性させる方法として、(メタ)アクリル酸等のカルボン酸含有アクリレートを脱水エステルやエステル交換化反応により付加させる方法や、酸クロライド含有アクリレートの脱塩付加反応を用いる方法、イソシアネート含有アクリレートを付加させること等により得ることができる。
本実施形態の樹脂組成物中におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量は特に限定はなく、後述するO/P比に基づいて適宜決定することができるが、例えば、フォトスペーサの高さ均一性と復元率との観点から、組成物中の全固形分に対して、35〜75質量%が好ましく、40〜70質量%が更に好ましく、45〜65質量%が特に好ましい。本明細書を通じて「全固形分」とは、樹脂組成物における溶媒以外の全成分を意味する。
(オリゴマー)
本実施形態の樹脂組成物は、分子量1000以上のオリゴマーを含む。ここで、「重量平均分子量が1000以上のオリゴマー」には、一種又は複数種の重合性化合物の混合物の双方が含まれる。但し、当該オリゴマーが複数種の重合性化合物の混合物である場合、重量平均分子量が5,000未満の重合性化合物のみで構成される。本実施形態におけるオリゴマーの重量平均分子量は、レンズムラの発生を効果的に抑制する観点から、1,000以上5,000未満が好ましく、1,000以上4,000以下が更に好ましく、1,000以上3,000以下が特に好ましい。
本実施形態におけるオリゴマーの重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて測定された標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)を意味する。本実施形態におけるオリゴマーの重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えば、東ソー(株)製、品番:HLC−8320)を用い、カラム:G2500HXL及びG−2500HXLの2連結、検出器:RI、移動相:テトラヒドロフランの条件で分析した標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が用いられる。
上述のように、本実施形態におけるオリゴマーは、単独の重合性化合物の他に、複数種の重合性化合物の混合体もその概念に含まれる。本実施形態のオリゴマーとして単独の重合性化合物を用いる場合には、その化合物単独での前記条件から得られた重量平均分子量が1000以上のオリゴマーであればよい。
一方、本実施形態におけるオリゴマーが複数種の重合性化合物の混合物である場合、上述の条件でGPC分析を行うと複数のピークが確認される。このように、本実施形態におけるオリゴマーが混合物である場合には、複数のピークを統合した混合物全体の重量平均分子量をそのオリゴマーの重量平均分子量とみなす。即ち、本実施形態におけるオリゴマーが混合物であり、単独で測定した場合に重量平均分子量が1000未満であるモノマーが含まれていたとしても、複数のピークを統合したその混合物全体の重量平均分子量が1000以上であれば、本実施形態における“重量平均分子量が1000以上のオリゴマー”に該当する。混合物全体の重量平均分子量は、市販されているGPC装置を用いることで得ることができるが、例えば、複数のピークを一つのピークとみなして、ピークスタート、ピークトップ、ピークエンドを決定し、高さ〔mV〕、面積〔mV*sec〕、面積%〔%〕の各々について各ピークの合計値を用いることで、混合物全体の重量平均分子量(標準ポリスチレン換算)を算出することができる。
一方、本実施形態のオリゴマーには、単独で測定した場合に重量平均分子量が5,000以上となるポリマーは含まれない。このため、上述の混合物に重量平均分子量が5,000以上の化合物(即ちポリマー)が含まれている場合には、当該混合物からポリマーを全て分離した後にGPC分析して得られた分子量を、その混合物(オリゴマー)の重量平均分子量とする。
本実施形態におけるオリゴマーとポリマーとの分離手段は特に限定なく、公知の手段を適宜選定することができる。例えば、樹脂組成物に極性の低い溶剤(例えばノルマルヘキサン)を混合することで、樹脂組成物中のポリマーを析出させることでき、これにより、ポリマー成分とオリゴマー成分とに分けることができる。
この際、オリゴマー成分に光重合開始剤等が含まれたままGPC分析を行っても通常の光重合開始剤であれは分子量の関係から、得られるオリゴマーの重量平均分子量には特に影響はない。
分子量1000以上のオリゴマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、トリペンタエリスリトールアクリレート、モノ及びジペンタエリスリトールアクリレート、ポリペンタエリスリトールアクリレートの混合物、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの混合物を使用することができる。
前記水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロカラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートとの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。
前記多官能イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートや、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパン変性体とからなるポリイソシアネート等が挙げられる。
また、上述した水酸基を有する(メタ)アクリレートとイソシアネートモノマーとの組み合わせで得られるオリゴマーも本実施形態におけるオリゴマーとして使用することができる。前記イソシアネートモノマーとしては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−(ビスアクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート等が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物中におけるオリゴマーの含有量は特に限定はなく、後述するO/P比に基づいて適宜決定することができるが、例えば、フォトスペーサの高さ均一性と復元率との観点から、組成物中の全固形分に対して、20〜60質量%が好ましく、25〜55質量%が更に好ましく、30〜50質量%が特に好ましい。
(O/P比)
本実施形態の樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記オリゴマー〔O〕との質量比〔O/P比=オリゴマーの含有量(g)/アルカリ可溶性樹脂の含有量(g)〕が、0.4〜1.0である。O/P比が0.4未満であると、得られるフォトスペーサの復元率が低下してしまう。また、O/P比が1.0を超えると得られるフォトスペーサの高さ均一性が低下してしまい、レンズムラの抑制を十分に図ることができない。樹脂組成物のO/P比は、特に限定されるものではないが、フォトスペーサの高さ均一性と復元率との観点から0.5〜1.0が好ましい。
樹脂組成物のO/P比はアルカリ可溶性樹脂やオリゴマーの仕込み量を適宜変更することで調整することができる。また、樹脂組成物のO/P比の測定方法は特に限定されるものではないが、公知の手段によって樹脂組成物に含まれるポリマー成分(アルカリ可溶性樹脂)とモノマー成分とに分離することで測定することができる。
例えば、ポリマー成分を極性の低い溶剤(例えばノルマルヘキサン)で析出させ、オリゴマー(及び光重合開始剤を含む)成分と分離し、次いで、各成分中の溶剤を除いた質量を把握することで樹脂組成物のO/P比を求めることができる。この際、さらにガスクロマトグラフィー質量分析(GCMS)や液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)にてオリゴマーや光重合開始剤やその他添加物の含有量を特定できれば、ガスクロマトグラフィー(GC)、液体クロマトグラフィー(LC)等の定量分析により精度の高いO/P比の結果が得ることができる。
(光重合開始剤)
本実施形態における樹脂組成物は光重合開始剤を含むことができる。特に限定されるものではないが、本実施形態における光重合開始剤は、i線(365nm)に吸収波長を有するものを好適に用いることができる。
光重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセトフェノン、2,2’−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p−tert−ブチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン等のα−アミノケトン系光重合開始剤や、1,2−オクタンジオン1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、1−〔9−エチル−6−ベンゾイル−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−オクタン−1−オンオキシム−O−アセテート、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、1−〔9−n−ブチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−エタン−1−オンオキシム−O−ベンゾエート、エタノン−1−[9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル]−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−4−テトラヒドロピラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−(2−メチル−5−テトラヒドロフラニルベンゾイル)−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)、エタノン−1−〔9−エチル−6−{2−メチル−4−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラニル)メトキシベンゾイル}−9.H.−カルバゾール−3−イル〕−1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系光重合開始剤や、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;ベンジルジメチルケタール、チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2−イソプロピルチオキサンソン等の硫黄化合物、2−エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシフェニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシナフチル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン類;アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール等のチオール化合物等が挙げられる。これらの光重合開始剤は、その1種を単独で用いてもよいが、2種以上を併用することもできる。
本実施形態の樹脂組成物中における光重合開始剤の含有量は特に限定はないが、例えば、硬化物の硬化性の観点から、組成物中の全固形分に対して、0.1〜10.0質量%が好ましく、0.5〜7.5質量%が更に好ましく、1.0〜5.0質量%が特に好ましい。
(その他)
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態の樹脂組成物の効果を阻害しない範囲で、例えば、光重合開始助剤や100nm以下の微粒子等を含んでいてもよい。
前記光重合開始助剤は、単独では光重合開始剤として機能しないが、光重合開始剤と組合せて使用することで光重合開始剤の能力を増大させる化合物である。光重合開始助剤としては、例えば、ベンゾフェノンと組合せて使用すると効果のあるトリエタノールアミン等の3級アミンが挙げられる。
100nm以下の微粒子を添加すると本実施形態における樹脂組成物の硬化物の弾性復元率を向上させることができる。100nm以下の微粒子としては、特に限定はないが、例えば、Al23、TiO2、Fe23、ZnO、CeO2、Y23、Mn34、SiO2などが挙げられる。また、微粒子の形状についても特に限定はないが、真球状、球状、多面体形状のものを挙げることができる。
(樹脂組成物の調製)
本実施形態の樹脂組成物は、上述のアルカリ可溶性樹脂、オリゴマー、光重合開始剤等の成分に加えて、必要に応じて溶剤、レベリング剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、粘度調整剤などを加え、混合することで調製することができる。
−溶剤−
前記溶剤としては、感光性樹脂組成物に用いられる公知の溶剤を適宜選定して用いることができる。溶剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類や、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAc)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、メチル−3−メトキシプロピオネート等のエステル類や、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等のエーテル類や、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類やジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類等を挙げることができる。
《フォトスペーサの形成方法》
本実施形態の樹脂組成物を用いたフォトスペーサは、基板上に樹脂組成物を含む塗布膜を形成し、前記塗布膜を露光及び現像することで形成することができる。
フォトスペーサは、カラーフィルタ基板とTFT基板とのように基板同士を貼り合わせた際に液晶セルのギャップを決めるものであり、表示品質にとって重要な役割を果たす。フォトスペーサの高さの均一性は高いことが好ましく、例えば、高さの差(最大高さ−最小高さ)が0.03μm以下であることが好ましく、0.02μm以下であることが特に好ましい。フォトスペーサの、高さ、形状、大きさ、密度等は用いられる液晶表示装置等の設計によって適宜決定することができる。
上述のように本実施形態の樹脂組成物を用い、フォトリソグラフィー法によって露光及び現像することでフォトスペーサを形成することができる。本実施形態の樹脂組成物は露光方式として、マルチレンズシステムを用いた投影露光(レンズスキャン)方式を採用したフォトスペーサの形成方法に適している。
フォトスペーサを形成する際の現像には、水、有機溶剤、アルカリ水溶液等を適宜用いることができる。環境への負荷等を考慮すると、アルカリ水溶液を用いることが好ましい。前記アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩の水溶液、ヒドロキシテトラメチルアンモニウム、ヒドロキシテトラエチルアンモニウムなどの有機塩の水溶液を用いることができる。
《フォトスペーサ付基板》
本実施形態の樹脂組成物を用いたフォトスペーサの形成方法によって、基板上にフォトスペーサを形成することができる。本実施形態のフォトスペーサ付基板は、基板と、基板上に設けられ、アルカリ可溶性樹脂と、重量平均分子量が1000以上のオリゴマーと、を含み、前記アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記オリゴマー〔O〕との質量比〔O/P比〕が、0.4〜1.0である感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、を備える。前記基板としては、カラーフィルタ用の透明基板やTFT素子が設けられたTFT基板等が挙げられる。前記透明基板としては、例えばガラスやプラスチック板やフィルムなど用いることができる。また、透過性、耐薬品性、低熱膨張率、高温寸法精度等を考慮して、無アルカリガラス等を用いてもよい。
《カラーフィルタ》
本実施形態の樹脂組成物によって形成されたフォトスペーサはカラーフィルタ用途に好適に用いることができる。本実施形態のカラーフィルタは、基板と、基板上に設けられた着色層と、着色上に設けられ、アルカリ可溶性樹脂と、重量平均分子量が1000以上のオリゴマーと、を含み、前記アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記オリゴマー〔O〕との質量比〔O/P比〕が、0.4〜1.0である感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、を備える。前記基板としては上述の透明基板を用いることができる。また、カラーフィルタには、例えば、透明共通電極となるITOが蒸着させることができる。
前記着色層としては、ブラックマトリックス層の他、赤色層、緑色層、及び青色層等が挙げられる。各着色層は透明基板上に設けられる。ブラックマトリックス層は、光漏れによるコントラストの低下を防ぐ目的で各色の画素間や着色層の形成領域の外側に例えばストライプ状、又は格子状等の形状で設けることができる。ブラックマトリックス層の形成方法としては、クロム、酸化クロムの多層蒸着薄膜をパターニングして形成する方法やカーボンブラックなどの遮光性顔料を分散させた樹脂BMレジストを用いた通常のフォトリソグラフィー法が挙げられる。また、赤色層、緑色層、及び青色層は、ブラックマトリックス層の形状に応じて、例えばドット状あるいはストライプ状に、色毎に順に配列して設けることができる。
フォトスペーサは、液晶表示装置の精細度、発色性及び輝度を阻害しないように、ブラックマトリックス層上の所定の位置に形成されることが好ましい。例えば、フォトスペーサの断面形状を矩形としブラックマトリックス層上に配置することで、高精細で発色性に優れ且つ輝度が高い液晶表示装置を作製可能なカラーフィルタを作製することができる。
以下、本発明を実施例及び比較例を用いてより具体的に説明する。本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
[合成例1]
(アクリル樹脂(P−1)の製造)
加熱冷却・撹拌装置、還流冷却管、窒素導入管を備えたガラス製フラスコに、グリシジルメタクリレート100g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150gを仕込んだ。系内の気相部分を窒素で置換した後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.7gを添加し、80℃に加熱し、同温度で8時間反応させた。
得られた溶液に、更に無水アクリル酸35g、無水メタクリル酸43g、アクリル酸15g、テトラブチルアンモニウムクロライド2g、ハイドロキノン0.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート177gを添加し、空気を吹き込みながら70℃で12時間反応させた。その後、溶液に更に無水コハク酸14gを添加し、70℃で6時間反応させ、目的の重合体(下記アクリル樹脂(P−1))の40質量%溶液を得た。

アクリル樹脂(P−1)〔X:Y:Z=40:40:20〕
アクリル樹脂(P−1)の二重結合当量は157であり、固形分換算した酸価は38であった。GPCによる重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
尚、分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、品番:HLC−8120、カラム:G−5000HXL及びG−3000HXLの2連結、検出器:RI、移動相:テトラヒドロフラン)にて行なった。
[合成例2]
(アクリル樹脂(P−2)の製造)
加熱冷却・撹拌装置、還流冷却管、窒素導入管を備えたガラス製フラスコに、グリシジルメタクリレート100g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150gを仕込んだ。系内の気相部分を窒素で置換したのち、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.7gを添加し、80℃に加熱し、同温度で8時間反応させた。
得られた溶液に、更にアクリル酸51g、テトラブチルアンモニウムクロライド2g、ハイドロキノン0.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート245gを添加し、空気を吹き込みながら100℃で12時間反応させた。反応後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製、製品名:カレンズMOI)87gを添加し、70℃で10時間反応させた。その後、溶液に更に無水コハク酸14gを添加し、70℃で6時間反応させ、目的の下記重合体(下記アクリル樹脂(P−2))の40質量%溶液を得た。

アクリル樹脂(P−2)〔X:Y=80:20〕
アクリル樹脂(P−2)の二重結合当量は199であり、固形分換算した酸価は31であった。GPCによる重量平均分子量(Mw)は28,000であった。
[合成例3]
(アクリル樹脂(P−3)の製造)
加熱冷却・撹拌装置、還流冷却管、窒素導入管を備えたガラス製フラスコに、グリシジルメタクリレート100g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート150gを仕込んだ。系内の気相部分を窒素で置換したのち、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8.7gを添加し、80℃に加熱し、同温度で8時間反応させた。
得られた溶液に、更にアクリル酸51g、テトラブチルアンモニウムクロライド2g、ハイドロキノン0.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート165gを添加し、空気を吹き込みながら100℃で12時間反応させた。反応後、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(昭和電工(株)製、製品名:カレンズMOI)8.7gを添加し、70℃で10時間反応させた。その後、溶液に更に無水コハク酸50gを添加し、70℃で6時間反応させ、目的の重合体(P−3)の40質量%溶液を得た。

アクリル樹脂(P−3)〔X:Y=10:90〕
アクリル樹脂(P−3)の二重結合当量は275であり、固形分換算した酸価は134であった。GPCによる重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
[合成例4]
(オリゴマー(O−1)の製造)
加熱冷却、撹拌装置、還流冷却管を備えたガラス製フラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、製品名:KAYARAD DPHA)を100g、トルエンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製、製品名:コロネートT−100)を6.7g入れ、空気を吹き込みながら60℃で8時間反応させた。
8時間後にIR分析を行ない、イソシアナート基の2270cm-1ピークが消失していることを確認した。得られたオリゴマー(O−1)のGPCによる重量平均分子量(Mw)は1,640であった。
なお、分子量測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(東ソー(株)製、品番:HLC−8320、カラム:G2500HXL及びG−2500HXLの2連結、検出器:RI、移動相:テトラヒドロフラン)にて行ない、分子量は標準ポリスチレン換算を行ない、複数のピークを統合した全体の重量平均分子量(Mw)とした。
[合成例5]
(オリゴマー(O−2)の製造)
加熱冷却、撹拌装置、還流冷却管を備えたガラス製フラスコに、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬(株)製、製品名:KAYARAD DPHA)を100g、イソホロンジイソシアネート(エボニックジャパン(株)製、製品名:VESTANAT IPDI)を8.5g入れ、空気を吹き込みながら60℃で8時間反応させた。
8時間後にIR分析を行ない、イソシアナート基の2270cm-1ピークが消失していることを確認した。得られたオリゴマー(O−2)のGPCによる重量平均分子量(Mw)は1,680であった。
(他のオリゴマー)
合成例4と同様の条件にて、トリペンタエリスリトールアクリレート、モノ及びジペンタエリスリトールアクリレート、ポリペンタエリスリトールアクリレートの混合物(大阪有機化学(株)製、製品名:V♯802)をGPCにて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は1,059であった。
同様に、ジペンタエリスリトールヘキサ及びペンタアクリレートの混合物(日本化薬(株)製、製品名:KAYARAD DPHA)をGPCにて測定したところ、重量平均分子量(Mw)は826であった。
[実施例1]
(フォトスペーサ用感光性樹脂組成物の調製)
下記表に示した組成に従い、アクリル樹脂(P−1)40.0g、オリゴマー(O−1)8.0g、光重合開始剤(チバスペシャルティケミカルズ社製、製品名:イルガキュアOXE−01)1.0g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤:PGMAc)51.0gを遮光下で混合し、フォトスペーサ用感光性樹脂組成物25質量%溶液を調製した。
[実施例2〜8,比較例]
実施例2〜8及び各比較例において、組成を下記表に従って変更した以外は実施例1と同様にしてフォトスペーサ用感光性樹脂組成物25質量%溶液を調製した。
[復元率の測定]
各実施例及び比較例について、10cm×10cm四方の各ガラス基板上に、スピンコーターを用いてフォトスペーサ用樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜を90℃のホットプレート上で2分間加熱して塗膜中の溶剤を完全に除去した。その後、得られた塗膜に対し、1cm2あたり100個、直径6、8、9、10、又は11μmの異なる径の開口部を有する複数のフォトスペーサ形成用マスクを通して、超高圧水銀灯の光をバンドパスフィルターでi線のみ取り出し、90mJ/cm2照射した(i線換算で照度33mW/cm2)。なお、マスクと基板との間隔(露光ギャップ)は50μmにて露光を行なった。
その後、0.05%KOH水溶液を用いてアルカリ現像を行なった。次いで、水洗した後に230℃で30分間ポストベークを行ない、フォトスペーサを形成した。フォトスペーサは、高さ4μmであり、上底径が10μmである円柱状のフォトスペーサを選択して復元率の測定を行った。
得られたフォトスペーサについて復元率の測定を行なった。測定は、得られたフォトスペーサー(高さ4μm)に、微小硬さ試験機(フィッシャーインストルメンツ社製、製品名:FISCHERSCOPE HM−2000)を用いて、直径50μmの平面圧子により、負荷速度及び除荷速度をともに2.0mN/秒として、60mNまで荷重を負荷したのち、5秒間保持し、その後0mNまで除荷した後、5秒間保持し、負荷時の荷重−変形量曲線、及び除荷時の荷重−変形量曲線を作成した。そして、負荷時の荷重60mNでの変形量をL1、除荷時の荷重0mNでの変形量をL2として、下記式により、復元率を算出した。
復元率(%)=(L1−L2)×100/L1
結果を下記表に示す。尚、復元率は75%以上であることが好ましい。
[レンズムラの確認]
各実施例及び比較例について、基板上にフォトスペーサ用樹脂組成物を塗布し、塗膜を形成した。次いで、得られた塗膜を90℃のホットプレート上で2分間加熱して塗膜中の溶剤を完全に除去した。その後、得られた塗膜に対して、マルチレンズスキャナ露光機を用いて、投影露光方式で、直径8μm径の開口部を有する複数のフォトスペーサ形成用マスクを通して、i線のみを100mJ/cm2照射した。その後、0.05%KOH水溶液を用いてアルカリ現像を行なった。次いで、水洗した後に230℃で30分間ポストベークを行ない、高さ4μmのフォトスペーサを形成した。
レンズモジュール部分と、レンズとレンズとの継部の部分とに該当する範囲を含む基板面内700mm範囲で、一定の間隔で40個のフォトスペーサの高さのバラツキ(最大高さ−最小高さ)を測定した。結果を下記表に示す。尚、フォトスペーサの高さのバラツキは0.02μm以下が好ましい。
表から明らかなように実施例のフォトスペーサ用樹脂組成物を用いて作製したフォトスペーサは復元率が全て75%以上であり、且つ、マルチレンズスキャナ露光機を用いた場合であっても、フォトスペーサの高さのバラツキ(レンズムラ)が0.02μm以下と優れていた。
一方、本発明におけるオリゴマーに該当しないDPHA(重量平均分子量が1000未満)を用いた比較例1及び2は、O/P比が0.5〜1.0の範囲内であっても得られたフォトスペーサのレンズムラが0.03μm以上と実施例に対し劣っていた。
また、本発明におけるオリゴマーを用いていてもO/P比が0.5未満である比較例3は、得られたフォトスペーサの復元率が低かった。
さらに、本発明におけるオリゴマーを用いていてもO/P比が1.0を超える比較例4は、フォトスペーサのレンズムラが0.04μmと劣っていた。
2017年9月26日に出願された日本国特許出願2017−184973号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
また、明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (11)

  1. アルカリ可溶性樹脂と、重量平均分子量が1000以上のオリゴマーと、を含み、
    前記アルカリ可溶性樹脂〔P〕と前記オリゴマー〔O〕との質量比〔O/P比〕が、0.4〜1.0であるフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
  2. 前記アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が5,000〜100,000である請求項1に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
  3. 前記アルカリ可溶性樹脂が、アクリル系樹脂である請求項1又は2に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
  4. 前記アルカリ可溶性樹脂は、二重結合当量が100〜270である請求項1〜3のいずれか一項に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
  5. さらに、光重合開始剤を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物。
  6. 基板上に請求項1〜5のいずれか一項に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を含む塗布膜を形成し、前記塗布膜を露光及び現像してフォトスペーサを形成するフォトスペーサの形成方法。
  7. 前記露光が、投影露光である請求項6に記載のフォトスペーサの形成方法。
  8. 基板と、
    前記基板上に設けられ、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、
    を備えたフォトスペーサ付基板。
  9. 基板と、
    前記基板上に設けられた着色層と、
    前記着色層上に設けられ、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフォトスペーサ形成用感光性樹脂組成物を硬化したフォトスペーサと、
    を備えたカラーフィルタ。
  10. 前記着色層がブラックマトリックス層を含む請求項9に記載のカラーフィルタ。
  11. 前記フォトスペーサが前記ブラックマトリックス層上に設けられた請求項10に記載のカラーフィルタ。
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