JPWO2019065214A1 - セラミックグリーンシート製造用離型フィルム - Google Patents

セラミックグリーンシート製造用離型フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】セラミックグリーンシートを薄膜化させた場合でも、良好な巻取り性と、ピンホールや部分的な厚みばらつき等の防止を両立させることができる優れたセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを提供すること。【解決手段】無機粒子を実質的に含有していないポリエステルフィルムを基材とし、前記基材の一方の表面上に離型塗布層を有し、前記離型塗布層上のナノインデンテーション試験により、前記離型塗布層における前記基材とは反対側の面から測定される被膜弾性率が、2.0GPa以上であり、かつ、前記基材のもう一方の表面上に粒子を含有する易滑塗布層を有し、前記易滑塗布層の領域表面平均粗さ(Sa)が1nm以上25nm以下、最大突起高さ(P)が60nm以上500nm以下、かつ粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μm以下であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、セラミックグリーンシート製造用離型フィルム に関する。更に詳しくは、セラミックグリーンシートを薄膜化させた場合でも、良好な巻取り性と、ピンホールや部分的な厚みばらつき等の防止をすべて具備させることができるセラミックグリーンシート製造用離型フィルムに関する。
従来、基材フィルムの離型塗布層が設けられている面とは反対の面(裏面)の表面粗度を比較的粗くすることによりセラミックグリーンシート製造用離型フィルムが巻かれた状態で保管されたときにセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの表裏が貼り付く(ブロッキング)等の不具合を解消するという技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、かかる従来技術は突起が大きいため、ピンホールや部分的な厚みばらつきが生じるという問題点があった。
そこで突起の高さを低減させるために裏面の突起を塗布層により埋めることによりセラミックグリーンシートにピンホールや部分的な厚みのばらつきが発生するのを防止しようとする技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、かかる従来技術によれば、突起高さは低くなるものの突起密度が低いため、突起にかかる圧力が大きく、セラミックグリーンシートをさらに薄膜化させた場合、ピンホールの発生が生じるという問題点があった。
特開2003−203822号公報 特開2014−144636号公報
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち、本発明の目的は、セラミックグリーンシートを薄膜化させた場合でも、良好な巻取り性と、ピンホールや部分的な厚みばらつき等の防止をすべて具備させることができる優れたセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを提供することにある。
本発明者は、かかる目的を達成するために鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. 無機粒子を実質的に含有していないポリエステルフィルムを基材とし、前記基材の一方の表面上に離型塗布層を有し、前記離型塗布層上のナノインデンテーション試験により、前記離型塗布層における前記基材とは反対側の面から測定される被膜弾性率が、2.0GPa以上であり、かつ、前記基材のもう一方の表面上に粒子を含有する易滑塗布層を有し、前記易滑塗布層の領域表面平均粗さ(Sa)が1nm以上25nm以下、最大突起高さ(P)が60nm以上500nm以下、かつ粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μm以下であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
2. 離型塗布層の領域表面平均粗さ(Sa)が5nm以下、かつ最大突起高さ(P)が30nm以下である上記第1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
3. 易滑塗布層の厚みが0.001μm以上2μm以下である上記第1または第2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
4. 上記第1〜第3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いるセラミックグリーンシートの製造方法。
5. 製造するセラミックグリーンシートの厚みが、0.2μm〜2.0μmである上記第4に記載のセラミックグリーンシートの製造方法。
6. 上記第4または第5に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
本発明によれば、セラミックグリーンシートを薄膜化させた場合でも、良好な巻取り性とピンホールや部分的な厚みばらつき等の防止をすべて具備させることができるセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの提供が可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム(以下、単に離型フィルムということがある)は、基材フィルムである二軸配向ポリエステルフィルムの片面に離型塗布層、もう一方の面に粒子を含む易滑塗布層を有する離型フィルムである。
(基材フィルム)
本発明において好ましく基材として用いられるフィルムとしては、ポリエステル樹脂より構成されるフィルムであり、主に、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選ばれる少なくとも1種を含むポリエステルフィルムが好ましい。また、前記のようなポリエステルのジカルボン酸成分、又は、ジオール成分の一部として、第三成分モノマーが共重合されたポリエステルからなるフィルムであってもよい。ポリエステルフィルムは双方向の弾性率の高さ等の理由から二軸配向ポリエステルフィルムであることが好ましい。
また、前記のポリエステルフィルムは、単層であっても複層であってもかまわない。また、本発明の効果を奏する範囲内であれば、これらの各層には、必要に応じて、ポリエステル樹脂中に各種添加剤を含有させることができる。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、耐光剤、ゲル化防止剤、有機湿潤剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤などが挙げられる。
(易滑塗布層)
本発明の離型フィルムは、上記のようなポリエステル製の基材フィルムの一方の表面上に易滑塗布層を有するものである。易滑塗布層中には、少なくともバインダー樹脂及び粒子が含まれていることが好ましい。
(易滑塗布層中のバインダー樹脂)
易滑塗布層を構成するバインダー樹脂としては特に限定されないが、ポリマーの具体例としては、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニル系樹脂(ポリビニルアルコール等)、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレンイミン、メチルセルロース、ヒドロキシセルロース、でんぷん類等が挙げられる。これらの中でも粒子の保持、密着性の観点から、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂を使用することが好ましい。また、易滑塗布層の硬度を考慮した場合、アクリル樹脂が特に好ましい。また、ポリエステル基材フィルム上の易滑塗布層を構成する他の好ましいバインダー樹脂としてはポリエステル樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、共重合ポリエステルであることが好ましい。なお、ポリエステル樹脂はポリウレタン変性されていても良い。ウレタン樹脂としてはポリカーボネートポリウレタン樹脂が挙げられる。さらに、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂は併用しても良く、上記の他のバインダー樹脂を併用してもよい。
(架橋剤)
本発明において、易滑塗布層中に架橋構造を形成させるために、易滑塗布層は架橋剤が含まれて形成されていてもよい。架橋剤を含有させることにより、易滑塗布層の硬度を更に向上させることが可能になる。具体的な架橋剤としては、尿素系、エポキシ系、メラミン系、イソシアネート系、オキサゾリン系、カルボジイミド系等が挙げられる。特に架橋密度を向上させることができる点で、オキサゾリン系、カルボジイミド系架橋剤が特に好ましい。また、架橋反応を促進させるため、触媒等を必要に応じて適宜使用することができる。
(易滑塗布層中の粒子)
易滑塗布層は、表面にすべり性を付与するために、滑剤粒子を含むことが好ましい。粒子は、無機粒子であっても、有機粒子であってもよく、特に限定されるものではないが、(1)シリカ、カオリナイト、タルク、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム、カーボンブラック、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、炭酸亜鉛、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、加水ハロイサイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸カルシウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム等の無機粒子、(2)アクリルあるいはメタアクリル系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、ナイロン、スチレン/アクリル系、スチレン/ブタジエン系、ポリスチレン/アクリル系、ポリスチレン/イソプレン系、ポリスチレン/イソプレン系、メチルメタアクリレート/ブチルメタアクリレート系、メラミン系、ポリカーボネート系、尿素系、エポキシ系、ウレタン系、フェノール系、ジアリルフタレート系、ポリエステル系等の有機粒子が挙げられるが、塗布層に適度な滑り性を与えるために、シリカが特に好ましく使用される。
粒子の平均粒径は10nm以上であることが好ましく、より好ましくは20nm以上であり、さらに好ましくは30nm以上である。粒子の平均粒径は10nm以上であると、凝集しにくく、滑り性が確保できて好ましい。
粒子の平均粒径は1000nm以下であることが好ましく、より好ましくは800nm以下であり、さらに好ましくは600nm以下である。粒子の平均粒径が1000nm以下であると、透明性が保たれ、また、粒子が脱落することがなく好ましい。
また、例えば、平均粒径が10〜270nm程度の小さい粒子と、平均粒径が300〜1000nm程度の大きい粒子を混用することも、後述の易滑塗布層の領域表面平均粗さ(Sa)、最大突起高さ(P)を小さく保ちながら、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を小さくして、すべり性と平滑性を両立させる上で好ましく、特に好ましくは、30nm以上250nm以下の小さい粒子と、平均粒径が350〜600nmの大きい粒子を併用することである。小さい粒子と大きい粒子を混用する場合、易滑塗布層固形分全体に対して、小さい粒子の質量含有率を大きい粒子の質量含有率より大きくしておくことが好ましい。
粒子の平均粒径の測定方法は、加工後のフィルムの断面の粒子を透過型電子顕微鏡または走査型電子顕微鏡で観察を行い、凝集していない粒子100個を観察し、その平均値をもって平均粒径とする方法で行った。
本発明の目的を満たすものであれば、粒子の形状は特に限定されるものでなく、球状粒子、不定形の球状でない粒子を使用できる。不定形の粒子の粒子径は円相当径として計算することができる。円相当径は、観察された粒子の面積をπで除し、平方根を算出し2倍した値である。
粒子の易滑塗布層の全固形分に対する比率は、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは30質量%以下である。粒子の易滑塗布層の全固形分に対する比率が50質量%以下であれば、透明性が保たれ、易滑塗布層からの粒子の脱落が顕著に発生せず、好ましい。
粒子の易滑塗布層の全固形分に対する比率は、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1.5質量%以上であり、さらに好ましくは2質量%以上である。粒子の易滑塗布層の全固形分に対する比率が1質量%以上であれば、滑り性が確保できて好ましい。
易滑塗布層に含まれる粒子の含有率を測定する方法としては、例えば、易滑塗布層に有機成分の樹脂と無機粒子が含まれる場合、次の方法を用いることができる。まず加工フィルムに設けられた易滑塗布層を溶剤などを用いて加工フィルムより抽出し乾固することで易滑塗布層取り出す。次に得られた易滑塗布層に熱をかけ、易滑塗布層に含まれる有機成分を熱により燃焼留去させることで無機成分のみを得ることができる。得られた無機成分と燃焼留去前の易滑塗布層の重量を測定することで、易滑塗布層に含まれる粒子の質量%を測定することができる。このとき、市販の示差熱・熱重量同時測定装置を用いることで精度良く測定することができる。なお、上記の粒子の易滑塗布層の全固形分中の比率は、粒子が複数種類存在する場合は、その複数種の合計量の比率を意味する。
(易滑塗布層中の添加剤)
易滑塗布層に他の機能性を付与するために、塗布外観を損なわない程度の範囲で、各種の添加剤を含有させても構わない。前記添加剤としては、例えば、蛍光染料、蛍光増白剤、可塑剤、紫外線吸収剤、顔料分散剤、抑泡剤、消泡剤、防腐剤等が挙げられる。
易滑塗布層には、塗布時のレベリング性の向上、塗布液の脱泡を目的に界面活性剤を含有させることもできる。界面活性剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系などいずれのものでも構わないが、シリコーン系、アセチレングリコール系又はフッ素系界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は、過剰に添加することで塗布外観の異常が発生しない程度の範囲で塗布層に含有させることが好ましい。
塗布方法としては、ポリエステル基材フィルム製膜時に同時に塗布する所謂インラインコーティング法、及び、ポリエステル基材フィルムを製膜後、別途コーターで塗布する所謂オフラインコーティング法のいずれも適用できるが、インラインコーティング法が効率的でより好ましい。
塗布方法として塗布液をポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略記する場合がある)フィルムに塗布するための方法は、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ダイコーター法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、ワイヤーバーコート法、パイプドクター法、含浸コート法、カーテンコート法、などが挙げられる。これらの方法を単独で、あるいは組み合わせて塗布する。
本発明において、ポリエステルフィルム上に易滑塗布層を設ける方法としては、溶媒、粒子、樹脂を含有する塗布液をポリエステルフィルムに塗布、乾燥する方法が挙げられる。溶媒として、トルエン等の有機溶剤、水、あるいは水と水溶性の有機溶剤の混合系が挙げられるが、好ましくは、環境問題の点から水単独あるいは水に水溶性の有機溶剤を混合した所謂水系の溶媒が好ましい。
易滑塗布液の固形分濃度はバインダー樹脂の種類や溶媒の種類などにもよるが、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。塗布液の固
形分濃度は35質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
塗布後の乾燥温度についても、バインダー樹脂の種類、溶媒の種類、架橋剤の有無、固形分濃度などにもよるが、70℃以上であることが好ましく、250℃以下であることが好ましい。
(ポリエステルフィルムの製造)
本発明において、基材フィルムとなるポリエステルフィルムは、一般的なポリエステルフィルムの製造方法に従って製造することができる。例えば、ポリエステル樹脂を溶融し、シート状に押出し成形された無配向ポリエステルをガラス転移温度以上の温度において、ロールの速度差を利用して縦方向に延伸した後、テンターにより横方向に延伸し、熱処理を施す方法が挙げられる。また、テンター内で縦横同時に二軸延伸する方法も挙げられる。
本発明において、基材フィルムとなるポリエステルフィルムは、一軸延伸フィルムであっても、二軸延伸フィルムであっても構わないが、二軸延伸フィルムであることが好ましい。
ポリエステルフィルム基材の厚みは5μm以上であることが好ましく、より好ましくは10μm以上であり、さらに好ましくは15μm以上である。厚みは5μm以上であると、フィルムの搬送時にシワが入りにくく好ましい。
ポリエステルフィルム基材の厚みは50μm以下であることが好ましく、より好ましくは45μm以下であり、さらに好ましくは40μm以下である。厚みが40μm以下であると、単位面積当たりのコストが低下するため好ましい。
インラインコートの場合は縦方向の延伸前の未延伸フィルムに塗工しても、縦方向の延伸後で横方向の延伸前の一軸延伸フィルムに塗工しても良い。縦方向の延伸前に塗工する場合にはロール延伸前に乾燥工程を設けることが好ましい。横方向の延伸前の一軸延伸フィルムに塗工する場合はテンター内でのフィルム加熱工程で乾燥工程を兼ねることが出来るので、必ずしも別途乾燥工程を設ける必要はない。なお、同時二軸延伸する場合も同様である。
易滑塗布層の膜厚は0.001μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.01μm以上であり、さらに好ましくは0.02μm以上であり、特に好ましくは0.03μm以上である。塗布層の膜厚が0.001μm以上であると、塗布膜の造膜性が維持され、均一な塗布膜が得られるため好ましい。
易滑塗布層の膜厚は2μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下であり、さらに好ましくは0.8μm以下であり、特に好ましくは0.5μm以下である。塗布層の膜厚が2μm以下であると、ブロッキングが生じるおそれがなく好ましい。
後述する離型塗布層上に、塗布、成型されるセラミックグリーンシートは、塗布、成型後に離型フィルムと共にロール状に巻き取られる。このとき、セラミックグリーンシート表面に離型フィルムの易滑塗布層が接触した状態で巻き取られることとなる。セラミックグリーンシート表面に欠陥を発生させないために、易滑塗布層の外表面(ポリエステルフィルムと接していない塗布フィルム全体の易滑塗布層表面)は、適度に平坦であることが必要であり、領域表面平均粗さ(Sa)が1nm以上25nm以下かつ最大突起高さ(P)が60nm以上500nm以下であることが好ましい。
易滑塗布層の外表面の領域表面平均粗さ(Sa)が1nm以上、最大突起高さ(P)が60nm以上であれば、易滑塗布面が平滑になりすぎず適度な滑り性が維持できるため好ましい。領域表面平均粗さ(Sa)が25nm以下、最大突起高さ(P)が500nm以下であれば、易滑塗布面が粗くなりすぎず突起によるセラミックグリーンシートの欠陥が発生せず好ましい。
本発明では、領域表面平均粗さ(Sa),最大突起高さ(P)を上記範囲にすることに加え、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μm以下であることが好ましい。粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を10μm以下に制御することで、単位面積当たりの突起個数が増加する。突起個数が増加すると、突起一つ当たりにかかる圧力が分散され小さくなるため、ピンホールの発生を効果的に抑制できて好ましい。粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、より好ましくは5μm以下であり、更に好ましくは3μm以下である。しかしながら、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が小さ過ぎることは、易滑塗布層中の粒子の含有量が多過ぎることなどと関連し、領域表面平均粗さ(Sa)が大きくなることや、最大突起高さ(P)が大きくなることとも関連があるので、0.1μm以上であることが好ましく、0.5μm以上であっても構わず、1μm以上であっても構わない。
本発明では、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)を所定の範囲にするために、易滑塗布層に含まれる粒子の平均粒径は1000nm以下であることが好ましい。より好ましくは800nm以下であり、さらに好ましくは600nm以下である。粒子径が1000nm以下であると、粒子間の距離が大きくなりすぎることがなく、RSmが所定の範囲に調節されて好ましい。
(離型塗布層)
本発明の離型塗布層は、少なくとも離型剤とバインダー成分を含むことが好ましい。また、本発明の離型塗布層は、離型塗布層の変形を抑制するため架橋密度が高い方が好ましい。架橋密度を高めることで、耐溶剤性が向上しスラリー塗工時に溶剤による離型塗布層の浸食などが防げる。また離型塗布層の被膜弾性率も向上するため剥離時の変形も少なくすることができる。
本発明の離型塗布層に含まれるバインダー成分としては、特に限定されないが、離型塗布層の架橋密度を高めるため、架橋できる成分が架橋されてなることが好ましい。バインダー成分は熱硬化系樹脂、紫外線硬化系樹脂などを用いることができる。
本発明の離型塗布層に含まれるバインダー成分には、反応性官能基を1分子中に2つ以
上含んでいることが好ましい。2つ以上の官能基を有することで架橋密度を高めることができるため好ましい。
熱硬化性樹脂の好適なバインダー成分としては、メラミン系化合物が挙げられる。メラミン系化合物を使用することで、架橋密度が高い離型塗布層を得ることができるため好ましい。
(メラミン系化合物)
本発明の離型塗布層に用いるメラミン系樹脂としては、一般的なものを使用でき特に限定されないが、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られ、1分子中にトリアジン環、及びメチロール基及び/又はアルコキシメチル基をそれぞれ1つ以上有していることが好ましい。具体的には、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるメチロールメラミン誘導体に、低級アルコールとしてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等を脱水縮合反応させてエーテル化した化合物などが好ましい。メチロール化メラミン誘導体としては、例えばモノメチロールメラミン、ジメチロールメラミン、トリメチロールメラミン、テトラメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミンを挙げることができる。1種類を用いても2種類以上も用いても構わない。
本発明における離型塗布層は、離型塗布層の変型を抑制するために架橋密度が高く高被膜弾性率にすることが好ましい。そのため離型塗布層に用いるメラミン系樹脂としては、離型塗布層の架橋密度を高くすることができる、1分子中に多くの架橋点をもつヘキサメチロールメラミンを用いることが好ましい。
本発明の離型塗布層に用いるメラミン系樹脂として、メチロールメラミンとその誘導体が好ましく、メチロールメラミン誘導体にアルコールを用いて脱水縮合反応したエーテル化合物を用いる場合は、反応性の観点から、メチルアルコールで脱水縮合して得られたヘキサメトキシメチルメラミンが特に好ましい。
本発明の離型塗布層のバインダーとしてメラミン系化合物を用いる場合、メラミン系化合物の架橋反応を促進するために触媒を添加することが好ましい。用いる触媒としては、特に限定されないが既存の酸触媒を使用することができ、カルボン酸系、金属塩系、リン酸エステル系、スルホン酸系のものを好適に使用することができる。また、酸部位がブロックされたブロックタイプの触媒も使用することができる。
酸触媒として、スルホン酸系を用いる場合には、例えば、パラトルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、クメンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などを好適に使用することができ、パラトルエンスルホン酸が特に好適に使用することができる。
酸触媒として、カルボン酸系を用いる場合には、例えば、安息香酸、酢酸、ギ酸、シュウ酸、プロピオン酸やそれらの誘導体などを使用することができる。カルボン酸系の酸触媒は、スルホン酸系など他の触媒と比較し酸性度が弱く反応性に劣ることが知られているが、本発明ではカルボン酸系でも十分使用することができる。また、カルボン酸系は、スルホン酸系に比べ反応が遅いため、乾燥工程で離型剤が表面に偏析しやすく、離型剤をより少量の添加で離型性の効果を発現することができるため好ましい。特に4−メチル安息香酸などは安価であり入手しやすく使用しやすい。
酸触媒の添加量は、離型塗布層に含まれるメラミン樹脂に対して0.1〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは、0.5〜8質量%である。さらに好ましくは0.5〜5質量%である。0.1質量%以上であると、硬化反応が進みやすくなり好ましい。一方10質量%以下であると成型するセラミックグリーンシートへ酸触媒が移行するおそれがなく、悪影響を及ぼすおそれがないことから好ましい。
紫外線硬化樹脂の好適なバインダー成分としては、カチオン硬化系樹脂やラジカル硬化系樹脂が挙げられる。カチオン硬化系樹脂としては、エポキシ系化合物、エーテル系化合物、オキセタン系化合物が挙げられる。また、ラジカル硬化系樹脂としては、アクリレート系化合物が好適に使用することができる。ラジカル硬化系樹脂の場合、離型塗布層の膜厚を1μm以下の薄膜にする場合、酸素阻害反応により十分硬化が進まない場合がある。そのため、カチオン硬化系樹脂の方が離型塗布層の膜厚が1.5μm以下のような薄膜でも十分に硬化させることができ架橋密度が高い離型塗布層を得ることができるため好ましい。カチオン硬化系樹脂の中でもエポキシ系化合物が反応性が高く好ましい。
(エポキシ系化合物)
本発明の離型フィルムに用いるエポキシ系化合物としては、特に限定されないが、以下の化合物を挙げることができる。ビスフェノールAとエピクロルヒドリンをアルカリの存在下に反応させることによって得られるビスフェノールA型エポキシ化合物をはじめ、ビスフェノールF型エポキシ化物、ビスフェノールAD型エポキシ化合物などがある。ノボラック型エポキシ化合物には、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物などがある。その他、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル型エポキシ化合物およびこれらの水添物や臭素化物などがある。
脂環式エポキシ化合物としては、例えばシクロヘキセン環を含む化合物において、この二重結合を過酢酸などで酸化して得られる化合物がある。具体的には、以下の化合物が例示される。3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサノン−メタ−ジオキサン、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテルなどがある。 これらの市販品の具体例としては、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド2000(ダイセル社製)などがある。
その他、1,4−ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数が2ないし9(好ましくは2ないし4)のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテルなどがある。
グリシジルエステル型エポキシ化合物としては、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル−p−オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル−グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等並びにこれらの水添物などがある。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂としては、トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N'-ジグリシジル誘導体、p−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体、m−アミノフェノールのN,N,O−トリグリシジル誘導体等並びにこれらの水添物などがある。
本発明の離型塗布層に用いるエポキシ化合物は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。これらのエポキシ基含有化合物の中では、脂環式エポキシ化合物が特に好適であり、1分子に2官能以上を有する多官能の脂環式エポキシ樹脂がより好ましい。
(カチオン重合開始剤)
本発明の離型塗布層にカチオン系硬化樹脂を用いる場合、カチオン重合開始剤を用いることが好ましい。カチオン重合開始剤には、例えば、アリールジアゾニウム塩、アリールヨウドニウム塩アリールハロニウム塩、アリールスルホニウム塩などのオニウム塩、鉄−アレン錯体、チタノセン錯体、アリールシラノール−アルミニウム錯体などの有機金属錯体などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
市販品としては、PCI−220、PCI−620(以上 日本化薬社製)、UVI6990(ユニオンカーバイド社製)、SP−150、SP−152、SP−170、SP−172(以上 旭電化工業社製)、Uvacure(登録商標)1590,1591(ダイセルUCB社製)、サンエイド(登録商標)SI−110,SI−180、SI−100L、SI−80L、SI60L(三新化学社製)などがある。
カチオン重合開始剤の添加量は、特に限定されない。例えば、用いられるカチオン系硬化樹脂に対して0.1から20質量%程度を用いることが好ましい。
カチオン重合開始剤として光カチオン重合開始剤を用いる場合、光増感剤と併用することが望ましい。光増感剤としては、例えばカルボニル化合物、有機硫黄化合物、過硫過物、レドックス系化合物、アゾおよびジアゾ化合物、ハロゲン化合物、光還元性色素などが挙げられる。具体的な光増感剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α、α−ジメトキシ−α−フェニルアセトフェノンのようなベンゾイン誘導体、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、ο−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンのようなベンゾフェノン誘導体、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンのようなチオキサントン誘導体、2−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノンのようなアントラキノン誘導体、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドンのようなアクリドン誘導体、α,α―ジエトキシアセトフェノン、ベンジル、フルオレノン、キサントン、ウラニル化合物、ハロゲン化合物などが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で使用しても混合して使用しても良い。光増感剤は、カチオン硬化性樹脂に対し、0.1ないし20質量%程度添加するのが好ましい。
(アクリレート系化合物)
本発明の離型塗布層に用いるアクリレート系化合物としては、多官能の(メタ)アクリレートモノマーもしくは(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることが好ましく、特に、三官能以上の(メタ)アクリレートモノマーもしくは(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。三官能以上とすることで架橋密度を向上させることができ、耐溶剤性が高く離型塗布層の変形を少なくすることができるため好ましい。また用いるアクリレート系化合物は、一種類でも二種類以上を併用しても構わない。併用する場合は、少なくとも一種類が三官能以上であることが好ましい。
多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ポリエステルアクリレート系オリゴマー、エポキシアクリレート系オリゴマー、ウレタンアクリレート系オリゴマー、ポリエーテルアクリレート系オリゴマー、ポリブタジエンアクリレート系オリゴマー、シリコーンアクリレート系オリゴマー等が挙げられる。
(光ラジカル開始剤)
本発明の離型塗布層にラジカル重合系樹脂を用いる場合は、光ラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、ベンゾフェノン、アセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール、2,4−ジエチルチオキサンソン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンジルジフェニルサルファイド、テトラメチルチウラムモノサルファイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンジル、ジベンジル、ジアセチル、β−クロールアンスラキノン、(2,4,6−トリメチルベンジルジフェニル)フォスフィンオキサイド、2−ベンゾチアゾール−N,N−ジエチルジチオカルバメート等が挙げられる。特に、表面硬化性に優れるとされる、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニ
ル}−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが好ましく、中でも2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンが特に好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤の添加量は、特に限定されない。例えば、用いられるラジカル系硬化樹脂に対して0.1から20質量%程度を用いることが好ましい。
本発明の離型塗布層に含まれるバインダー成分は、離型塗布層全体の固形分に対して、85質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%である。バインダー成分を85質量%以上含むことで離型塗布層が、高い架橋密度となり、高い耐溶剤と高被膜弾性率を有することができセラミックグリーンシート剥離時の離型塗布層の変形を抑えることができる。本発明においては、残留溶媒、酸触媒。光カチオン開始剤及び光ラジカル開始剤のような離型塗布層におけるバインダー成分と離型剤成分以外の成分は、揮発性であるか微量であり、本発明においては、離型塗布層全体の固形分とは、バインダー成分と離型剤の固形分の合計した値とする。
(離型剤)
本発明における離型塗布層に用いる離型剤(離型塗布層の離型性を向上させる添加剤)としては、シリコーン系添加剤や、オレフィン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの非シリコーン系添加剤などを用いることができるが、剥離性の観点からシリコーン系添加剤を用いることが好ましい。
シリコーン系添加剤としては、分子内にシリコーン骨格を有する化合物のことであり、ポリオルガノシロキサンなどを好適に使用することができる。また、ポリオルガノシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂やアルキッド樹脂なども使用することができる。ポリオルガノシロキサンの中でもポリジメチルシロキサン(略称、PDMS)が好適に使用することができ、ポリジメチルシロキサンの一部に官能基を有するものも好ましい。官能基を有することでバインダー成分と水素結合などの分子間相互作用が発現しやすくなりセラミックグリーンシートへの移行がしにくくなるため好ましい。
ポリジメチルシロキサンに導入する官能基としては特に限定されないが、反応性官能基でも非反応性官能基でも構わない。また、官能基はポリジメチルシロキサンの片末端に導入されていてもよいし、両末端でも側鎖でも構わない。また、導入される位置は1つでもよいし、複数でも構わない。理論的な考察はできないが、片末端に導入したものがよい剥離性を示すため好ましい。
ポリジメチルシロキサンに導入する官能基としては、1分子中に2種類以上を有してもよいが、1種類の方が好ましい。1種類の方がメラミンバインダー成分との分子間相互作用が必要以上に増大しにくく離型塗布層表面へ配向しやすくなるため好ましい。
ポリジメチルシロキサンに導入する反応性官能基としては、アミノ基、エポキシ基、ヒドロキシ基、メルカプト基、カルボキシル基、メタクリロイル基、アクリロイル基などを使用することができる。非反応性官能基としては、ポリエーテル基、アラルキル基、フロロアルキル基、長鎖アルキル基、エステル基、アミド基、フェニル基などを使用することができる。特に理論で拘束されるわけではないが、エポキシ基、カルボキシル基、ポリエーテル基、メタクリロイル基、アクリロイル基、エステル基を有するものが好ましい。
また、ポリジメチルシロキサンを側鎖に有するアクリル樹脂やポリエステル樹脂、ウレタン樹脂なども好適に使用することができる。シリコーン骨格を側鎖に有するアクリル樹脂の市販品としては、サイマック(登録商標)US350、サイマック(登録商標)US352、(東亜合成社製)、8BS−9000(大成ファインケミカル社製)などが挙げられる。
フッ素系添加剤としては、特に限定されず既存のものを使用できる。例えば、パーフルオロ基を有するものやパーフルオルエーテル基を有するものが好適に使用できる。市販品としては、メガファック(登録商標)(DIC社製)や、オプツール(登録商標)(ダイキン工業社製)などが挙げられる。
長鎖アルキル系添加剤としては、長鎖アルキル変性された樹脂を使用することができ、ポリビニルアルコールやアクリル樹脂などの側鎖に炭素数が8〜20程度のアルキル基を有するものが好ましい。また、(メタ)アクリル酸エステルを主な繰り返し単位とする重合体であり、エステル交換された部分に炭素数8〜20の長鎖アルキル基を含む共重合体も好適に使用することができる。市販されているものの例としては、ピーロイル(登録商標)1010、ピーロイル(登録商標)1050、ピーロイル(登録商標)1070など(以上、ライオン・スペシャリティケミカルズ社)、テスファイン(登録商標)305、テスファイン(登録商標)314(以上、日立化成社製)などが挙げられる。
本発明の離型塗布層には、離型剤が離型塗布層全体の固形分に対して0.1質量%以上、15質量%以下含まれることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上、10質量%以下、さらに好ましくは、0.5質量%以上、5質量%以下である。0.1質量%以上であると、離型性が向上し、セラミックグリーンシートの剥離性が向上するため好ましい。一方、15質量%以下であると、離型塗布層全体の被膜弾性率が低下し過ぎることがなく、セラミックグリーンシート剥離時に離型塗布層の変形が生じにくいため好ましい。このとき、離型塗布層全体の固形分とは、バインダー成分と離型剤の固形分の合計した値とする。
本発明の離型塗布層には、粒径が1μm以下の粒子などを含有することができるが、ピンホール発生の観点から粒子など突起を形成するものは含有しないほうが好ましい。
本発明の離型塗布層には、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、密着向上剤や、帯電防止剤などの添加剤などを添加してもよい。また、基材との密着性を向上させるために、離型塗布層を設ける前にポリエステルフィルム表面に、アンカーコート、コロナ処理、プラズマ処理、大気圧プラズマ処理等の前処理をすることも好ましい。
本発明において、離型塗布層の厚みは、その使用目的に応じて設定すれば良く、特に限定されないが、好ましくは、硬化後の離型塗布層重量が0.01〜1.5μmとなる範囲がよく、より好ましくは、0.1〜1.2μmであり、さらに好ましくは0.5〜1.1μmであればより好ましい。離型塗布層の厚みが0.01μm以上であると剥離性能が得られ好ましい。また、1.5μm以下であると、硬化時間を短くでき、離型フィルムの平面性が保たれてセラミックグリーンシートの厚みムラを抑制できて好ましい。また離型塗布層の厚みが薄い方が離型フィルムを加熱したときにカールが小さくなるため、セラミックグリーンシートを成型、乾燥する過程で走行性不良を起こさず好ましい。
本発明の離型フィルムは、張力をかけずに100℃で15分加熱したあとのカールが3mm以下であることが好ましく、より好ましくは1mm以下である。もちろん、全くカールしないことも好ましい。3mm以下にすることでセラミックグリーンシートを成型乾燥時の走行性も良好で、電極を印刷するときの印刷精度を高めることができるため好ましい。
本発明の離型フィルムの離型塗布層表面のナノインデンテーション試験により測定される被膜弾性率は、2.0GPa以上であり、好ましくは2.3GPa以上である。離型塗布層表面の被膜弾性率が2.0GPa以上であることにより、離型塗布層が変形し難くなるため、離型塗布層からセラミックグリーンシートを剥離する際に、離型塗布層がセラミックグリーンシートに追従し難くなり、それにより、セラミックグリーンシートを正常に剥離することができるので好ましい。一方、離型塗布層表面の被膜弾性率の上限は特に定めないが、離型塗布層とPET基材との密着性を適度に保つ点から、10.0GPa以下であることが好ましく、7.0GPa以下であることがより好ましい。
なお、本明細書における離型塗布層表面の被膜弾性率の測定は、23℃の雰囲気下、ナノインデンテーション試験により行われる。具体的には、アルミニウム製の台座に接着したガラス板上に、10mm×10mmサイズに裁断した離型フィルムの基材の裏面側を2液系エポキシ接着剤で固定し、微小硬度評価装置を使用して行う。
本発明の離型フィルムの離型塗布層表面の表面自由エネルギーは、18mJ/m以上40mJ/m以下であることが好ましい。より好ましくは、23mJ/m以上35mJ/m以下であり、さらに好ましくは23mJ/m以上30mJ/m以下である。18mJ/m以上であるとセラミックスラリーを塗工したときにハジキが発生しづらく均一に塗工することができるため好ましい。また40mJ/m以下だとセラミックグリーンシートの離型性が低下してしまう恐れがなく好ましい。上記範囲とすることで塗工時にハジキがなく、離型性に優れた離型フィルムを提供できる。
本発明の離型フィルムは、セラミックグリーンシートを剥離するときの剥離力が0.5mN/mm以上であることが好ましく、より好ましくは、0.8mN/mm以上である。剥離力が0.5mN/mm以上であると、剥離力が軽すぎず、搬送時にセラミックグリーンシートが浮きあがる恐れがなく好ましい。一方、剥離力は3mN/mm以下であることが好ましく、より好ましくは2.5mN/mm以下である。。剥離力が3mN/mm以下であると剥離時にセラミックグリーンシートがダメージを受けにくく好まし
い。
本発明において、離型塗布層の形成方法は、特に限定されず、離型性の樹脂を溶解もしくは分散させた塗液を、基材のポリエステルフィルムの一方の面に塗布等により展開し、溶媒等を乾燥により除去後、加熱乾燥、熱硬化させる方法が用いられる。
本発明において、離型塗布層にバインダーとしてメラミンなどの熱硬化性樹脂を用いる場合は、溶媒乾燥、熱硬化時の乾燥温度は、100℃以上、180℃以下であることが好ましく、110℃以上、160℃以下であることがより好ましく、125℃以上、150℃以下であることがもっとも好ましい。その加熱時間は、30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。180℃以下の場合、フィルムの平面性が保たれ、セラミックグリーンシートの厚みムラを引き起こす恐れが小さく好ましい。140℃以下であるとフィルムの平面性を損なうことなく加工することができ、セラミックグリーンシートの厚みムラを引き起こす恐れが更に低下するので特に好ましい。100℃以上であると熱硬化性樹脂の硬化反応が十分に進行し、離型塗布層の被膜弾性率が高まって好ましい。
本発明における離型塗布層にバインダーとしてエポキシやアクリレートなどの活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合は、溶媒乾燥の乾燥温度は、50℃以上、110℃以下であることが好ましく、60℃以上、100℃以下であることがより好ましい。その乾燥時間は、30秒以下が好ましく、20秒以下がより好ましい。さらに溶剤乾燥後、活性エネルギー線を照射し硬化反応を進行させる。この時用いる活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、X線などが使用することができるが、紫外線が使用しやすく好ましい。照射する紫外線量としては光量で30〜300mJ/cmが好ましく、より好ましくは、30〜200mJ/cmであり、30〜80mJ/cmがさらに好ましい。30mJ/cm以上とすることで樹脂の硬化が十分進行し、300mJ/cm以下とすることで加工時の速度を向上させることができるため経済的に離型フィルムを作成することができ好ましい。
本発明における離型塗布層にバインダーとして特にアクリレートなどのラジカル反応性の活性エネルギー線硬化性樹脂を用いる場合は、前記活性エネルギー線を照射するときに窒素ガス雰囲気下で行うことが好ましい。窒素ガス雰囲気下にし、酸素濃度を減少させることでラジカル反応がスムーズに進行し離型塗布層の被膜弾性率を向上させることができるため好ましい。
本発明において、離型塗布層を塗布するときの塗液の表面張力は、特に限定されないが30mN/m以下であることが好ましい。表面張力を前記のようにすることで、塗工後の塗れ性が向上し、乾燥後の塗膜表面の凹凸を低減することができる。
本発明において、離型塗布層を塗布するときの塗液には、特に限定されないが、沸点が90℃以上の溶剤を添加することが好ましい。沸点が90℃以上の溶剤を添加することで、乾燥時の突沸を防ぎ、塗膜がレベリングさせることができ、乾燥後の塗膜表面の平滑性を向上させることができる。その添加量としては、塗液全体に対し、10〜80質量%程度添加することが好ましい。
上記塗液の塗布法としては、公知の任意の塗布法が適用出来、例えばグラビアコート法やリバースコート法などのロールコート法、ワイヤーバーなどのバーコート法、ダイコート法、スプレーコート法、エアーナイフコート法、等の従来から知られている方法が利用できる。
離型塗布層を形成させたフィルム外表面(ポリエステルフィルムと接していない塗布フィルム全体の離型塗布層表面)は、その上で塗布、成型するセラミックグリーンシートに欠陥を発生させないために、平坦であることが望ましく、領域表面平均粗さ(Sa)が5nm以下かつ最大突起高さ(P)が30nm以下であることが好ましい。さらには領域表面平均粗さ5nm以下かつ最大突起高さ20nm以下がより好ましい。領域表面粗さが5nm以下、且つ、最大突起高さが30nm以下であれば、セラミックグリーンシート形成時に、ピンホールなどの欠点の発生がなく、歩留まりが良好で好ましい。領域表面平均粗さ(Sa)は小さいほど好ましいと言えるが、0.1nm以上であっても構わず、0.3nm以上であっても構わない。最大突起高さ(P)も小さいほど好ましいと言えるが、1nm以上でも構わず、3nm以上であっても構わない。
本発明において、離型塗布層を形成させたフィルム表面を所定の粗さ範囲に調節するためには、PETフィルムには実質的に無機粒子を含有しないことが好ましい。なお、本発明でいう「実質的に無機粒子を含有しない」とは、基材フィルム及び離型塗布層の両者について、例えば、無機粒子の場合、蛍光X線分析で粒子に由来する元素を定量分析した際に、50ppm以下であることで定義され、好ましくは10ppm以下、最も好ましくは検出限界以下である。これは積極的に粒子を基材フィルム中に添加させなくても、外来異物由来のコンタミ成分や、原料樹脂あるいはフィルムの製造工程におけるラインや装置に付着した汚れが剥離して、フィルム中に混入する場合があるためである。
(セラミックグリーンシートとセラミックコンデンサ)
一般に、積層セラミックコンデンサは、直方体状のセラミック素体を有する。セラミック素体の内部には、第1の内部電極と第2の内部電極とが厚み方向に沿って交互に設けられている。第1の内部電極は、セラミック素体の第1の端面に露出している。第1の端面の上には第1の外部電極が設けられている。第1の内部電極は、第1の端面において第1の外部電極と電気的に接続されている。第2の内部電極は、セラミック素体の第2の端面に露出している。第2の端面の上には第2の外部電極が設けられている。第2の内部電極は、第2の端面において第2の外部電極と電気的に接続されている。
本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムは、このような積層セラミックコンデンサを製造するために用いられる。例えば、以下のようにして製造される。まず、本発明の離型フィルムをキャリアフィルムとして用い、セラミック素体を構成するためのセラミックスラリーを塗布、乾燥させる。塗布、乾燥したセラミックグリーンシートの上に、第1又は第2の内部電極を構成するための導電層を印刷する。セラミックグリーンシート、第1の内部電極を構成するための導電層が印刷されたセラミックグリーンシート及び第2の内部電極を構成するための導電層が印刷されたセラミックグリーンシートを適宜積層し、プレスすることにより、マザー積層体を得る。マザー積層体を複数に分断し、生のセラミック素体を作製する。生のセラミック素体を焼成することによりセラミック素体を得る。その後、第1及び第2の外部電極を形成することにより積層セラミックコンデンサを完成させることができる。
次に、実施例、比較例を用いて本発明を詳細に説明するが、本発明は当然以下の実施例に限定されるものではない。また、本発明で用いた評価方法は以下の通りである。
(1)塗布フィルムの表面特性
非接触表面形状計測システム(VertScan R550H−M100)を用いて、下記の条件で測定した値である。領域表面平均粗さ(Sa)、粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)は、5回測定の平均値を採用し、最大突起高さ(P)は5回測定の最大値を採用した。
(測定条件)
・測定モード:WAVEモード
・対物レンズ:50倍
・0.5×Tubeレンズ
・測定面積 187×139μm (Sa,P測定)
・測定長さ(Lr:基準長さ):187μm(RSm測定)
(2)セラミックグリーンシートのピンホール、厚みばらつき評価
下記、材料からなる組成物を攪拌混合し、2.0mmのガラスビーズを分散媒とするペイントシェーカーを用いて2時間分散し、セラミックスラリーを得た。
トルエン 22.5質量%
エタノール 22.5質量%
チタン酸バリウム(富士チタン社製 HPBT−1) 50 質量%
ポリビニルブチラール 5 質量%
(積水化学社製 エスレックBH−3)
次いで離型フィルムサンプルの離型面にアプリケーターを用いて乾燥後のスラリーが0.5μmの厚みになるように塗布し90℃で1分乾燥後、スラリー面と平滑化塗布層面を重ね合わせ、10分間、1kg/cmの荷重を掛けたあと、離型フィルムを剥離し、セラミックグリーンシートを得た。
得られたセラミックグリーンシートのフィルム幅方向の中央領域において25cmの範囲でセラミックスラリーの塗布面の反対面から光を当て、光が透過して見えるピンホールの発生状況を観察し、下記基準で目視判定した。
○:ピンホールの発生なし、厚みばらつき特に問題なし
×:ピンホールの発生が僅かにあり、及び/又は、厚みばらつきが僅かに目立つ
××:ピンホールの発生が少しあり、及び、厚みばらつきが少し目立つ
×××:ピンホールの発生が多数あり、及び、厚みばらつき大きく目立つ
(3)離型塗布層表面の被膜弾性率評価
実施例および比較例で得られた離型フィルムを10mm×10mmサイズに裁断し、次いで、アルミニウム製の台座に接着したガラス板上に、裁断した離型フィルムの基材裏面を2液系エポキシ接着剤で固定した。そして、微小硬度評価装置(エリオニクス社製,ENT−3100)を使用して、圧子の最大押し込み深さ50nm、23℃の雰囲気下にてナノインデンテーション試験を行い、上記離型フィルムの離型塗布層の被膜弾性率を測定した。結果を表1に示す。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(I))の調製)
エステル化反応装置として、攪拌装置、分縮器、原料仕込口及び生成物取出口を有する3段の完全混合槽よりなる連続エステル化反応装置を用いた。TPA(テレフタル酸)を2トン/時とし、EG(エチレングリコール)をTPA1モルに対して2モルとし、三酸化アンチモンを生成PETに対してSb原子が160ppmとなる量とし、これらのスラリーをエステル化反応装置の第1エステル化反応缶に連続供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、255℃で反応させた。次いで、第1エステル化反応缶内の反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応缶に供給し、第2エステル化反応缶内に第1エステル化反応缶から留去されるEGを生成PETに対して8質量%供給し、さらに、生成PETに対してMg原子が65ppmとなる量の酢酸マグネシウム四水塩を含むEG溶液と、生成PETに対してP原子が40ppmのとなる量のTMPA(リン酸トリメチル)を含むEG溶液を添加し、常圧にて平均滞留時間1時間、260℃で反応させた。次いで、第2エステル化反応缶の反応生成物を連続的に系外に取り出して第3エステル化反応缶に供給し、高圧分散機(日本精機社製)を用いて39MPa(400kg/cm)の圧力で平均処理回数5パスの分散処理をした平均粒径が0.9μmの多孔質コロイダルシリカ0.2質量%と、ポリアクリル酸のアンモニウム塩を炭酸カルシウムあたり1質量%付着させた平均粒径が0.6μmの合成炭酸カルシウム0.4質量%とを、それぞれ10%のEGスラリーとして添加しながら、常圧にて平均滞留時間0.5時間、260℃で反応させた。第3エステル化反応缶内で生成したエステル化反応生成物を3段の連続重縮合反応装置に連続的に供給して重縮合を行い、95%カット径が20μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターで濾過を行ってから、限外濾過を行って水中に押出し、冷却後にチップ状にカットして、固有粘度0.60dl/gのPETチップを得た(以後、PET(I)と略す)。PETチップ中の滑剤含有量は0.6質量%であった。
(ポリエチレンテレフタレートペレット(PET(II))の調製)
一方、上記PETチップの製造において、炭酸カルシウム、シリカ等の粒子を全く含有しない固有粘度0.62dl/gのPETチップを得た(以後、PET(II)と略す。)。
(積層フィルムZの製造)
これらのPETチップを乾燥後、285℃で溶融し、別個の溶融押出し機押出機により290℃で溶融し、95%カット径が15μmのステンレススチール繊維を焼結したフィルターと、95%カット径が15μmのステンレススチール粒子を焼結したフィルターの2段の濾過を行って、フィードブロック内で合流させ、PET(I)を反離型面側層、PET(II)を離型面側層となるように積層し、シート状に45m/分のスピードで押出(キャステイング)し、静電密着法により30℃のキャスティングドラム上に静電密着・冷却させ、固有粘度が0.59dl/gの未延伸ポリエチレンテレフタレートシートを得た。層比率は各押出機の吐出量計算でPET(I)/(II)=60%/40%となるように調整した。次いで、この未延伸シートを赤外線ヒーターで加熱した後、ロール温度80℃でロール間のスピード差により縦方向に3.5倍延伸した。その後、テンターに導き、140℃で横方向に4.2倍の延伸を行なった。次いで、熱固定ゾーンにおいて、210℃で熱処理した。その後、横方向に170℃で2.3%の緩和処理をして、厚さ31μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムZを得た。得られたフィルムZの離型面側層のSaは2nm、反離型面側層のSaは28nmであった。
(ポリエステル樹脂A0−1の重合)
攪拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備するステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート194.2質量部、ジメチルイソフタレート184.5質量部、ジメチルー5−ナトリウムスルホイソフタレート14.8質量部、エチレングリコール185.1質量部、ネオペンチルグリコール185.1質量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.2質量部を仕込み、160℃から220℃の温度で4時間かけてエステル交換反応を行なった。次いで255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、30Paの減圧下で1時間30分反応させ、共重合ポリエステル樹脂(A0−1)を得た。得られた共重合ポリエステル樹脂(A0−1)は、淡黄色透明であった。共重合ポリエステル樹脂(A0−1)の還元粘度を測定したところ,0.60dl/gであった。DSCによるガラス転移温度は65℃であった。
(ポリエステル水分散体A−1の製造)
攪拌機、温度計と還流装置を備えた反応器に、ポリエステル樹脂(A0−1)30質量部、エチレングリコール−n−ブチルエーテル15質量部を入れ、110℃で加熱、攪拌し樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、水55質量部をポリエステル溶液に攪拌しつつ徐々に添加した。添加後、液を攪拌しつつ室温まで冷却して、固形分30質量%の乳白色のポリエステル水分散体(A−1)を作製した。
(ポリエステル樹脂A0−2の重合)
撹拌機、温度計、および部分還流式冷却器を具備したステンレススチール製オートクレーブに、ジメチルテレフタレート163質量部、ジメチルイソフタレート163質量部、1,4ブタンジオール169質量部、エチレングリコール324質量部、およびテトラ−n−ブチルチタネート0.5質量部を仕込み、160℃から220℃まで、4時間かけてエステル交換反応を行った。
次いで、フマル酸14質量部およびセバシン酸203質量部を加え、200℃から220℃まで1時間かけて昇温し、エステル化反応を行った。次いで、255℃まで昇温し、反応系を徐々に減圧した後、29Paの減圧下で1時間30分反応させ、疎水性共重合ポリエステル樹脂(A0−2)を得た。得られた疎水性共重合ポリエステル樹脂(A0−2)は、淡黄色透明であった。
(ポリエステル水分散体A−2の製造)
次いで、グラフト樹脂の製造撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器に、この共重合ポリエステル樹脂(A0−2)60質量部、メチルエチルケトン45質量部およびイソプロピルアルコール15質量部を入れ、65℃で加熱、撹拌し、樹脂を溶解した。樹脂が完全に溶解した後、無水マレイン酸24質量部をポリエステル溶液に添加した。
次いで、スチレン16質量部、およびアゾビスジメチルバレロニトリル1.5質量部をメチルエチルケトン19質量部に溶解した溶液を、0.1ml/分でポリエステル溶液中に滴下し、さらに2時間撹拌を続けた。反応溶液から分析用のサンプリングを行った後、メタノール8質量部を添加した。次いで、水300質量部とトリエチルアミン24質量部を反応溶液に加え、1時間撹拌した。
その後、反応器の内温を100℃に上げ、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール、過剰のトリエチルアミンを蒸留により留去し、淡黄色透明のポリエステル系樹脂を得、固形分濃度25質量%の均一な水分散性ポリエステル系グラフト共重合体分散液(A−2)を調製した。得られたポリエステル系グラフト共重合体のガラス転移温度は68℃であった。
(ポリウレタン水分散体A−3の製造)
撹拌機、ジムロート冷却器、窒素導入管、シリカゲル乾燥管、及び温度計を備えた4つ口フラスコに、4,4−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート43.75質量部、ジメチロールブタン酸12.85質量部、数平均分子量2000のポリヘキサメチレンカーボネートジオール153.41質量部、ジブチルスズジラウレート0.03質量部、及び溶剤としてアセトン84.00質量部を投入し、窒素雰囲気下、75℃において3時間撹拌し、反応液が所定のアミン当量に達したことを確認した。次に、この反応液を40℃にまで降温した後、トリエチルアミン8.77質量部を添加し、ポリウレタンプレポリマー溶液を得た。次に、高速攪拌可能なホモディスパーを備えた反応容器に、水450gを添加して、25℃に調整して、2000min−1で攪拌混合しながら、ポリウレタンプレポリマー溶液を添加して水分散した。その後、減圧下で、アセトンおよび水の一部を除去することにより、固形分37質量%の水溶性ポリウレタン樹脂溶液A−3を調製した。得られたポリウレタン樹脂のガラス転移点温度は−30℃であった。
(アクリルポリオールA−4の製造)
撹拌機、還流式冷却器、温度計および窒素吹き込み管を備えた4つ口フラスコに、メチルメタクリレート(MMA)231質量部、ステアリルメタクリレート(SMA)130質量部、ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)100質量部、メタクリル酸(MAA)33質量部およびイソプロピルアルコール(IPA)1153質量部を仕込み、撹拌を行いながら80℃までフラスコ内を昇温した。フラスコ内を80℃に維持したまま3時間の撹拌を行い、その後、2,2−アゾビス−2―メチル−N−2−ヒドロキシエチルプロピオンアミドを0.5質量部フラスコに添加した。フラスコ内を120℃に昇温しながら窒素置換を行った後、120℃で混合物を2時間撹拌した。
次いで、120℃で1.5kPaの減圧操作を行い、未反応の原材料と溶媒を除去し、アクリルポリオールを得た。フラスコ内を大気圧に戻して室温まで冷却し、IPA水溶液(水含量50質量%)1976質量部を添加混合した。その後、撹拌しながら滴下ロートを用いて、トリエチルアミンを加え、溶液のpHが5.5〜7.5の範囲になるまでアクリルポリオールの中和処理を行い、固形分濃度が20質量%のアクリルポリオール(A−4)を得た。
(オキサゾリン系架橋剤B−1の製造)
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、イソプロピルアルコール460.6部を仕込み、緩やかに窒素ガスを流しながら80℃に加熱した。そこへ予め調製しておいたメタクリル酸メチル126部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン210部およびメトキシポリエチレングリコールアクリレート84部からなる単量体混合物と、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(日本ヒドラジン工業株式会社製「ABN−E」)21部およびイソプロピルアルコール189部からなる開始剤溶液を、それぞれ滴下漏斗から2時間かけて滴下して反応させ、滴下終了後も引き続き5時間反応させた。反応中は窒素ガスを流し続け、フラスコ内の温度を80±1℃に保った。その後、反応液を冷却し、固形分濃度25%のオキサゾリン基を有する樹脂(B−1)を得た。得られたオキサゾリン基を有する樹脂(B−1)のオキサゾリン基量は4.3mmol/gであり、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定した数平均分子量は20000であった。
(シリカ粒子C−1)
コロイダルシリカ(日産化学製、商品名スノーテックスXL、平均粒径40nm、固形分濃度40質量%)
(シリカ粒子C−2)
コロイダルシリカ(日産化学製、商品名スノーテックスZL、平均粒径100nm、固形分濃度40質量%)
(シリカ粒子C−3)
コロイダルシリカ(日産化学製、商品名MP2040、平均粒径200nm、固形分濃度40質量%)
(シリカ粒子C−4)
コロイダルシリカ(日産化学製、商品名MP4540M、平均粒径450nm、固形分濃度40質量%)
(アクリル粒子C−5)
アクリル粒子水分散体(日本触媒製、商品名MX100W、平均粒径150nm、固形分濃度10質量%)
(離型塗布層のバインダー成分)
離型塗布層のバインダー成分としては、以下の材料を使用した。
(X−1)メラミン系化合物
ヘキサメトキシメチルメラミン(東京化成工業社製、固形分100質量%)
(X−2)エポキシ系化合物(脂環式エポキシ化合物)
3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート
(製品名:セロキサイド(登録商標)2021P、ダイセル社製、固形分100質量%)
(X−3) アクリレート系化合物(多官能)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(製品名:DPHA、ダイセル・オルネクス社製、固形分100質量%)
(X−4) 熱硬化付加反応型シリコーン
(製品名:KS−847H、信越シリコーン社製、固形分30質量%)
(背面平滑化塗布液Y)
活性エネルギー線化合物としての、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート[固形分100質量%]94質量部と、ポリオルガノシロキサンとしての、ポリエーテル変性アクリロイル基を有するポリジメチルシロキサン[ビッグケミー・ジャパン株式会社製、商品名「BYK−UV3500」、固形分100質量%]1質量部と、光重合開始剤としての、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤[BASF社製、商品名「IRGACURE907」、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、固形分100質量%]5質量部を、イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン混合溶剤(質量比3/1)で希釈して、固形分20質量%の背面平滑化コート層形成用材料を得た。
(実施例1)
(易滑塗布液1の調整)
下記の組成の易滑塗布液1を調整した。
(易滑塗布液1)
水 48.33質量部
イソプロピルアルコール 35.00質量部
ポリエステル水分散体A−1 15.78質量部
(固形分濃度30質量%)
シリカ粒子C−3 0.59質量部
(平均粒径200nm、固形分濃度40質量%)
界面活性剤D−1(フッ素系、固形分濃度10質量%) 0.30質量部
(ポリエステルフィルムの製造)
フィルム原料ポリマーとして、固有粘度(溶媒:フェノール/テトラクロロエタン=60/40)が0.62dl/gで、かつ無機粒子を実質的に含有していないPET樹脂ペレット(PETII)を、133Paの減圧下、135℃で6時間乾燥した。その後、押し出し機に供給し、約280℃でシート状に溶融押し出しして、表面温度20℃に保った回転冷却金属ロール上で急冷密着固化させ、未延伸PETシートを得た。
この未延伸PETシートを加熱されたロール群及び赤外線ヒーターで100℃に加熱し、その後周速差のあるロール群で長手方向に3.5倍延伸して、一軸延伸PETフィルムを得た。
次いで、上記易滑塗布液をバーコーターでPETフィルムの片面に塗布した後、80℃で15秒間乾燥した。なお、最終延伸、乾燥後の塗布量が0.1μmになるように調整した。引続いてテンターで、150℃で幅方向に4.0倍に延伸し、フィルムの幅方向の長さを固定した状態で、230℃で0.5秒間加熱し、さらに230℃で10秒間3%の幅方向の弛緩処理を行ない、厚さ31μmのインラインコーティングポリエステルフィルムを得た。
(離型塗布層の形成)
上記で得たインラインコーティングポリエステルフィルムの、易滑塗布層積層面とは反対表面に、離型塗布液1を乾燥後の厚みで0.6μmとなるようにリバースグラビアコーターにて塗布し、140℃で15秒乾燥することで離型塗布層を形成し超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。なお、巻き取り性等、工程通過性、ハンドリング性は特に問題なく優秀であった。また、得られた離型フィルムにセラミックスラリーを塗工しピンホール、厚みばらつきを評価したところ、良好な評価結果が得られた。
(離型塗布液1)
メチルエチルケトン 44.50質量部
トルエン 44.50質量部
バインダー(X−1) 10.00質量部
(ヘキサメトキシメチルメラミン、固形分100%、東京化成工業社製、商品名 N,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサキス(メトキシメチル)メラミン)
離型剤 0.50質量部
(片末端カルボキシル変性ポリジメチルシロキサン、X22−3710、 固形分100%、信越化学工業社製)
酸触媒(p−トルエンスルホン酸) 0.50質量部
(実施例2)
易滑塗布液1を、下記の易滑塗布液2に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(易滑塗布液2)
水 45.18質量部
イソプロピルアルコール 35.00質量部
ポリエステル水分散体A−2(固形分濃度25質量%)18.93質量部
シリカ粒子C−3 0.59質量部
(平均粒径200nm、固形分濃度40質量%)
界面活性剤D−1(フッ素系、固形分濃度10質量%) 0.30質量部
(実施例3)
易滑塗布液1を、下記の易滑塗布液3に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(易滑塗布液3)
水 51.32質量部
イソプロピルアルコール 35.00質量部
ポリウレタン樹脂水分散体A−3 12.79質量部
(固形分濃度37質量%)
シリカ粒子C−3 0.59質量部
(平均粒径200nm、固形分濃度40質量%)
界面活性剤D−1(フッ素系、固形分濃度10質量%) 0.30質量部
(実施例4)
易滑塗布液1を、下記の易滑塗布液4に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(易滑塗布液4)
水 41.86質量部
イソプロピルアルコール 35.00質量部
アクリルポリオール樹脂A−4 16.57質量部
(固形分濃度20質量%)
オキサゾリン系架橋剤B−1 5.68質量部
(固形分濃度25質量%)
シリカ粒子C−3 0.59質量部
(平均粒径200nm、固形分濃度40質量%)
界面活性剤D−1(フッ素系、固形分濃度10質量%) 0.30質量部
(実施例5)
易滑塗布液1を、下記の易滑塗布液5に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(易滑塗布液5)
水 41.74質量部
イソプロピルアルコール 35.00質量部
アクリルポリオール樹脂A−4 16.57質量部
(固形分濃度20質量%)
オキサゾリン系架橋剤B−1(固形分濃度25質量%) 5.68質量部
シリカ粒子C−3 0.59質量部
(平均粒径200nm、固形分濃度40質量%)
シリカ粒子C−4 0.12質量部
(平均粒径450nm、固形分濃度40質量%)
界面活性剤D−1(フッ素系、固形分濃度10質量%) 0.30質量部
(実施例6)
易滑塗布液1を、下記の易滑塗布液6に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(易滑塗布液6)
水 41.15質量部
イソプロピルアルコール 35.00質量部
アクリルポリオール樹脂A−4 16.57質量部
(固形分濃度20質量%)
オキサゾリン系架橋剤B−1(固形分濃度25質量%) 5.68質量部
シリカ粒子C−1 1.18質量部
(平均粒径40nm、固形分濃度40質量%)
シリカ粒子C−4 0.12質量部
(平均粒径450nm、固形分濃度40質量%)
界面活性剤D−1(フッ素系、固形分濃度10質量%) 0.30質量部
(実施例7)
易滑塗布液1を下記の易滑塗布液7に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(易滑塗布液7)
水 41.27質量部
イソプロピルアルコール 35.00質量部
アクリルポリオール樹脂A−4 16.57質量部
(固形分濃度20質量%)
オキサゾリン系架橋剤B−1(固形分濃度25質量%) 5.68質量部
シリカ粒子C−2 1.18質量部
(平均粒径100nm、固形分濃度40質量%)
界面活性剤D−1(フッ素系、固形分濃度10質量%) 0.30質量部
(実施例8)
易滑塗布液1を下記の易滑塗布液8に変更した以外は、実施例1と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(易滑塗布液8)
水 40.09質量部
イソプロピルアルコール 35.00質量部
アクリルポリオール樹脂A−4 16.57質量部
(固形分濃度20質量%)
オキサゾリン系架橋剤B−1(固形分濃度25質量%) 5.68質量部
アクリル粒子C−5 2.37質量部
(平均粒径150nm、固形分濃度10質量%)
界面活性剤D−1(フッ素系、固形分濃度10質量%) 0.30質量部
(実施例9)
得たインラインコーティングポリエステルフィルムに離型塗布液2を易滑塗布層とは反対表面に乾燥後の厚みで0.6μmとなるようにリバースグラビアコーターにて塗布し、次いで、90℃で15秒乾燥後、60mJ/cmとなるように紫外線を照射することで離型塗布層を形成した以外は、実施例4と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(離型塗布液2)
メチルエチルケトン 44.50質量部
トルエン 44.50質量部
バインダー成分(X−2) 10.00質量部
(製品名:セロキサイド(登録商標)2021P、ダイセル社製、固形分100質量%))
離型剤 0.50質量部
(脂環式エポキシ基含有シリコーン樹脂、POLY215、固形分100%、荒川化学工業社製)
光カチオン開始剤(CAT211) 0.50質量部
(実施例10)
得たインラインコーティングポリエステルフィルムに離型塗布液3を易滑塗布層とは反対表面に乾燥後の厚みで1.0μmになるように窒素ガス雰囲気下(酸素濃度1%)で照射量が60mJ/cmになるように紫外線照射塗工した以外は、実施例4と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(離型塗布液3)
メチルエチルケトン 39.40質量部
トルエン 39.40質量部
バインダー成分(X−3) 20.00質量部
(製品名:DPHA、ダイセル・オルネクス社製、固形分100質量%)
離型剤(アクリル変性ポリジメチルシロキサン) 0.20質量部
(BYK(登録商標)−UV3500、ビック・ケミー社製、固形分100質量%)
光ラジカル開始剤 1.00質量部
(イルガキュア(登録商標)907、BASF社製)
(比較例1)
離型塗布層を形成するフィルムとして、実施例1で作成した一方の表面に易滑塗布層を有するインラインコーティングフィルムの代わりに、E5000−25μm(東洋紡製)に変更して使用した以外は、実施例1と同様の方法でセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。E5000はフィルム内部に粒子を含有しており、両表面のSaがともに0.031μmであった。
(比較例2)
離型塗布層を形成するフィルムとして、実施例1で作成した一方の表面に易滑塗布層を有するインラインコーティングフィルムの代わりに、E5000−25μm(東洋紡製)に変更して使用した以外は、実施例10と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例3)
離型塗布層を形成するフィルムとして、実施例1で作成した一方の表面に易滑塗布層を有するインラインコーティングフィルムの代わりに、積層フィルムZに変更して使用した以外は、実施例1と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。積層フィルムZのPET(II)ペレットを吐出した面(粒子を含有しない層)に離型塗布層を設けた。
(比較例4)
比較例3で得た超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムの離型塗布層を形成した面とは反対面の表面に背面平滑化塗布液Yを乾燥後厚みで0.5μmとなるようにリバースグラビアコーターにて塗布し、次いで、90℃の熱風で30秒間乾燥した後、直ちに無電極ランプ(ヘレウス株式会社製Hバルブ)にて紫外線照射(300mJ/cm)を行い、背面平滑化層を形成し、超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例5)
背面平滑化層を0.7μmとなるよう塗工した以外は、比較例4と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例6)
背面平滑化層を1.0μmとなるよう塗工した以外は、比較例4と同様の方法で超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(比較例7)
得たインラインコーティングポリエステルフィルムに離型塗布液4を易滑塗布層とは反対表面に乾燥後の厚みで0.6μmとなるようにリバースグラビアコーターにて塗布し、次いで、160℃で15秒乾燥することで離型塗布層を形成した以外は、実施例4と同様にして超薄層セラミックグリーンシート製造用離型フィルムを得た。
(離型塗布液4)
メチルエチルケトン 33.00質量部
トルエン 33.00質量部
バインダー成分(X−4) 33.30質量部
熱硬化付加反応型シリコーン
(製品名:KS−847H、信越シリコーン社製、固形分30質量%)
触媒 0.70質量部
(白金触媒、CAT−PL−50T、信越化学工業社製)
各実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
実施例1〜10においては、易滑塗布層表面のSa,P、RSmすべてのパラメーターが適切な範囲にあるため、ピンホールの発生がないセラミックグリーンシートを得ることができた。比較例1〜3においては、易滑面のSa,P、RSmすべてのパラメーターが大きいため、ピンホールの発生がみられた。比較例4〜6においては、易滑面の凹凸を平滑化層で埋めることで、Sa,Pを適切な範囲に収めることができるがRSmが大きいため、ピンホールの発生を抑制するには不十分であった。RSmが大きいことは突起間隔が広く単位面積当たりの突起数が少ないことを意味し、突起1つあたりにかかる圧力が大きくなり、ピンホールが生じたと考えられる。比較例7においては、易滑塗布層表面のSa,P、RSmすべてのパラメーターが適切な範囲にあるため、ピンホールの発生がないセラミックグリーンシートを得ることができたが、離型塗布層表面の被膜弾性率が低いため、剥離が正常にできない場合が発生し歩留まりが低下した。
本発明によれば、セラミックグリーンシートを薄膜化させた場合でも、良好な巻取り性とピンホールや部分的な厚みばらつき等の防止を両立させることができるセラミックグリーンシート製造用離型フィルムの提供が可能となる。また、本発明のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いることにより、極薄膜のセラミックグリーンシートが得られ、微小なセラミックコンデンサを効率的に製造することができる。

Claims (6)

  1. 無機粒子を実質的に含有していないポリエステルフィルムを基材とし、前記基材の一方の表面上に離型塗布層を有し、前記離型塗布層上のナノインデンテーション試験により、前記離型塗布層における前記基材とは反対側の面から測定される被膜弾性率が、2.0GPa以上であり、かつ、前記基材のもう一方の表面上に粒子を含有する易滑塗布層を有し、前記易滑塗布層の領域表面平均粗さ(Sa)が1nm以上25nm以下、最大突起高さ(P)が60nm以上500nm以下、かつ粗さ曲線要素の平均長さ(RSm)が10μm以下であるセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  2. 離型塗布層の領域表面平均粗さ(Sa)が5nm以下、かつ最大突起高さ(P)が30nm以下である請求項1に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  3. 易滑塗布層の厚みが0.001μm以上2μm以下である請求項1または2に記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルム。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のセラミックグリーンシート製造用離型フィルムを用いるセラミックグリーンシートの製造方法。
  5. 製造するセラミックグリーンシートの厚みが、0.2μm〜2.0μmである請求項4に記載のセラミックグリーンシートの製造方法。
  6. 請求項4または5に記載のセラミックグリーンシートの製造方法を採用するセラミックコンデンサの製造方法。
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