JPWO2019016901A1 - モータ駆動装置並びにモータ駆動装置を用いたヒートポンプ装置及び冷凍空調装置 - Google Patents

モータ駆動装置並びにモータ駆動装置を用いたヒートポンプ装置及び冷凍空調装置 Download PDF

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Abstract

モータ駆動装置(30)は、モータ(3)の駆動に用いられ、モータ(3)に交流電圧を印加するインバータ(2)を備える。インバータ(2)は、起動運転時には交流電圧の周波数の第1の整数倍のキャリア周波数でPWM変調された第1のPWM信号でインバータ(2)のスイッチング素子を動作させ、その後交流電圧の周波数の第2の整数倍のキャリア周波数でPWM変調された第2のPWM信号でスイッチング素子を動作させる。なお、第2の整数は第1の整数よりも小さい。

Description

本発明は、モータを駆動するモータ駆動装置、並びに当該モータ駆動装置を用いたヒートポンプ装置及び冷凍空調装置に関する。
モータ駆動用のインバータ制御装置において、スイッチング損失を少なくするため、速度指令の小さい通常運転領域において2相変調を選択し、キャリア周波数を低く設定する技術がある(例えば、下記特許文献1参照)。
また、モータを駆動する電力変換装置において、1個のシャント抵抗である電流検出部を用いて電力変換器の直流母線電流を検出し、スイッチングに伴う「リンギング」の発生の対策として、キャリア周波数を下げ、電流の通流幅を広げることで電流検出を容易にする技術がある(例えば、下記特許文献2参照)。
また、下記非特許文献1は、埋込磁石同期モータに関する公知文献である。非特許文献1については、「発明を実施するための形態」の説明において言及する。
特開2004−289985号公報 特開2009−055693号公報
埋込磁石同期モータの設計と制御 平成13年10月25日発行、オーム社
上記特許文献1に示す技術では、2相変調においてキャリア周波数を低く設定した場合、インバータが出力する電圧の周波数とキャリア周波数とが近くなる。このため、キャリア周波数と出力電圧との間の同期がとれていない場合、出力電圧波形の対称性が失われ、出力電圧歪みによってモータに騒音及び振動が発生するおそれがあった。
また、上記特許文献2に示す技術では、キャリア周波数と出力電圧の同期がとれていない場合、出力電圧波形の対称性が失われ、出力電圧歪みによる電流波形の歪みが発生し、安定した電流検出ができず、モータの安定駆動が困難になるという課題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、キャリア周波数を低減させた状態においても、モータの騒音及び振動を抑制した安定駆動化と、キャリア周波数低減による低ノイズ化とを両立可能とするモータ駆動装置、並びにモータ駆動装置を用いたヒートポンプ装置及び冷凍空調装置を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明に係るモータ駆動装置は、モータの駆動に用いられ、モータに交流電圧を印加するインバータを備える。インバータは、起動運転時には交流電圧の周波数の第1の整数倍のキャリア周波数でPWM変調された第1のPWM信号でインバータのスイッチング素子を動作させ、その後交流電圧の周波数の第2の整数倍のキャリア周波数でPWM変調された第2のPWM信号でスイッチング素子を動作させる。なお、第2の整数は第1の整数よりも小さい。
本発明によれば、キャリア周波数を低減させた状態においても、モータの騒音及び振動を抑制した安定駆動化と、キャリア周波数低減による低ノイズ化とを両立することができる、という効果を奏する。
本実施の形態におけるモータ駆動装置の構成を示す回路図 本実施の形態におけるモータ制御部の構成を示すブロック図 本実施の形態におけるモータ制御部の動作を説明するための波形図 本実施の形態における同期PWM制御部の構成を示すブロック図 本実施の形態における電圧指令Vu*とキャリアとの関係を示す波形図 9パルスで動作させたときのキャリア、電圧指令、PWM信号及び、モータに印加される線間電圧の動作波形を示す波形図 非同期PWMの場合の線間電圧と同期PWMの場合の線間電圧との比較図 非同期PWMの場合の電流THDと同期PWMの場合の電流THDとの比較図 キャリア周波数と発生ノイズ及び漏洩電流とを従来と比較した図 本実施の形態に係るモータ駆動装置をヒートポンプ装置に適用した場合の概略構成図 本実施の形態に係るヒートポンプ装置の回路構成図 図11に示すヒートポンプ装置の冷媒の状態についてのモリエル線図 図11に示すヒートポンプ装置に本実施の形態に係る制御手法を適用した場合のキャリア周波数の変化を示すタイムチャート 発生ノイズ及び漏洩電流を三相変調と二相変調との間で比較した図 キャリア周波数の大小による直流電流検出範囲を比較した図
まず、本実施の形態におけるモータ駆動装置の基本的な構成及び動作について説明する。図1は、本実施の形態におけるモータ駆動装置30の構成を示す回路図である。本実施の形態におけるモータ駆動装置30は、図1に示すように、交流モータであるモータ3に交流電力を供給してモータ3を回転駆動する装置である。モータ駆動装置30は、直流電力の供給源である直流電源1と、直流を交流に変換してモータ3に交流電圧を印加するインバータ2と、インバータ2を制御するインバータ制御部4とを備えて構成される。
図1に示すモータ駆動装置30において、インバータ2は、スイッチング素子5a〜5f、スイッチング素子5a〜5fに並列接続されたダイオード6a〜6fを有して構成される。インバータ2には、直流電源1の電圧を検出する直流電圧検出部7と、インバータ2に流れる電流を検出する電流検出部8とが設けられる。インバータ制御部4は、直流電圧検出部7が検出した電圧Vdc及び電流検出部8が検出した電流Idcに基づいて、パルス幅変調(Pulse Width Modulation:以下「PWM」と表記)信号UP,VP,WP,UN,VN,WNを生成する。インバータ制御部4は、生成したPWM信号UP,VP,WP,UN,VN,WNをインバータ2に出力してスイッチング素子5a〜5fを駆動する。PWM信号UP,VP,WP,UN,VN,WNによって制御されたインバータ2は、指令された交流電圧をモータ3に印加する。
なお、直流電源1は、交流電源をダイオードブリッジ等で整流し、さらに平滑して生成した直流電源でも問題なく、太陽電池、バッテリなどに代表される直流電源を用いても何ら問題ない。
電流検出部8は、インバータ2の入力側に設けられているが、インバータ2とモータ3との間に設け、モータ3の各相であるU相、V相及びW相(以下、必要に応じて「UVW相」と表記)に流れる相電流Iu,Iv,Iwを検出するようにしてもよい。電流検出部8は、スイッチング素子5d〜5fの負極側に設けられてモータ3の各相に流れる電流Iu、Iv,Iwを検出するようにしてもよい。すなわち、モータ3の各相に流れる相電流Iu,Iv,Iwを検出可能であれば、どのような手段または手法を用いてもよい。
図1に戻り、インバータ制御部4は、直流電圧検出部7が検出した電圧Vdc及び電流検出部8が検出した電流Idcに基づいて、電圧指令Vu*,Vv*,Vw*及び、当該電圧指令Vu*,Vv*,Vw*の位相角(以下、必要に応じて「電圧位相」と称する)θvを演算するモータ制御部9と、電圧指令Vu*,Vv*,Vw*及び電圧位相θvを使用してPWM信号UP,VP,WP,UN,VN,WNを生成する同期PWM制御部10と、を有して構成される。以下、モータ制御部9及び同期PWM制御部10の構成及び動作について説明する。
図2は、本実施の形態におけるモータ制御部9の構成を示すブロック図である。図3は、本実施の形態におけるモータ制御部9の動作を説明するための波形図である。
図2において、電流復元部11は、電流検出部8の出力Idcの情報からモータ3に流れる相電流Iu,Iv,Iwを復元する。なお、モータ3に流れる相電流Iu,Iv,Iwを直接検出した場合には、電流復元部11による復元は不要である。
三相/二相変換部12は、復元されたIu,Iv,Iw及び、モータ3のロータ磁極位置θに基づき、座標変換によって、dq座標軸における電流Id,Iq、すなわちd軸座標におけるd軸電流及びq軸座標におけるq軸電流を生成して位置及び速度推定部13と、電流制御部15とに出力する。なお、ロータ磁極位置θは、位置及び速度推定部13によって生成される。
位置及び速度推定部13は、電流Id,Iq及び電圧指令Vd*、Vq*に基づいて、モータ3の速度推定値ωを生成して速度制御部14に出力する。なお、電圧指令Vd*、Vq*は、電流制御部15によって生成される。
速度制御部14は、速度指令値ω*及び速度推定値ωに基づき、速度推定値ωが速度指令値ω*に一致するようなq軸電流指令Iq*を算出して電流制御部15に出力する。
電流制御部15は、d軸電流Idがd軸電流指令Id*に一致するようなd軸電圧指令Vd*と、q軸電流Iqがq軸電流指令Iq*に一致するようなq軸電圧指令Vq*と、を生成して電圧指令演算部16に出力する。
電圧指令演算部16は、直流電圧検出部7が検出した電圧Vdc、d軸電圧指令Vd*、q軸電圧指令Vq*及びロータ磁極位置θに基づいて、UVW相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*、すなわちU相電圧指令Vu*、V相電圧指令Vv*、W相電圧指令Vw*及び電圧位相θvを生成して同期PWM制御部10に出力する。なお、モータ制御部9については、上記非特許文献1に記載のように公知であり、ここでの詳細な説明は省略する。また、モータ3を駆動可能な制御技術であれば、何れの手法であっても問題ないことは言うまでもない。
図3の上段部には、電圧指令演算部16が生成したUVW相の電圧指令Vu*,Vv*,Vw*の一例が示されている。三角波で示しているキャリア信号と電圧指令Vu*,Vv*,Vw*とは、同期PWM制御部10で比較され、下段部に示すPWM信号UP,VP,WP,UN,VN,WNが生成される。なお、PWM信号UP,VP,WP,UN,VN,WNを生成する具体的な手法については、後述する。また、図3の例では、U相電圧指令Vu*が立下がるゼロクロス点を、電圧位相θv=0の基準点としているが、これに限定されるものではなく、どのような点をθv=0の基準点としても何ら問題ない。
図4は、本実施の形態における同期PWM制御部10の構成を示すブロック図である。同期PWM制御部10は、図4に示すように、キャリア生成部17及びキャリア比較部18を備えて構成される。キャリア生成部17は、電圧位相θvに基づいてキャリアを生成する。キャリア比較部18は、キャリア信号及び電圧指令Vu*,Vv*,Vw*に基づいて、PWM信号UP,VP,WP,UN,VN,WNを生成する。
図5は、本実施の形態における電圧指令Vu*とキャリアとの関係を示す波形図であり、横軸には電圧位相θvをとり、縦軸には下から、同期3パルス、同期6パルス、同期9パルスで制御するときのキャリアの波形及び電圧指令Vu*の波形を示している。
同期PWM制御の場合、生成されるキャリアは、図5に示すように、電圧位相θvに同期している。すなわち、キャリア生成部17は、電圧位相θvに同期したキャリアを生成する。このとき、キャリア比較部18は、キャリアと電圧指令Vu*の大小を比較して“High”または“Low”のPWM信号を出力する。なお、PWM信号の一例は、図3の下段部に示す通りである。
同期PWM制御部10は、U相の電圧指令Vu*の周波数に対して三角波のキャリアの周波数であるキャリア周波数が例えば3倍、6倍、9倍の関係になるように制御する。キャリア周波数を、3倍、6倍、9倍と変化させると、キャリアの半周期中に含まれるパルス数が、それぞれ3パルス、6パルス、9パルスであるPWM信号が生成される。キャリアと電圧位相θvとが同期していることから、これらのパルスは、“同期3パルス”、“同期6パルス”、“同期9パルス”と呼称される。なお、図5では図示していないが、キャリア周波数は9倍より高い周波数に設定すること、すなわち、PWM信号の周波数を交流電圧の周波数の3n倍(nは整数)の関係に制御することも可能である。ただし、電圧指令Vu*の一周期に対してPWM信号のパルス数が増加するため、出力電圧の精度が向上する一方で、スイッチング素子5a〜5fのスイッチング回数が増加する。すなわち、キャリア周波数の増大はスイッチング損失の増加に繋がり、キャリア周波数の増大とスイッチング損失の増加とはトレードオフの関係にある。
図6は、9パルスで動作させたときのキャリア、電圧指令Vu*,Vv*,Vw*、PWM信号UP,VP,WP,UN,VN,WN及び、モータ3に印加される線間電圧Vuv,Vvw,Vwuの動作波形を示す波形図である。なお、図6では、実際にインバータ制御部4を構成する際に用いられるマイクロコンピュータ(以下「マイコン」と略記)を用いた場合の動作を想定している。このため、図3では、電圧指令Vu*が連続的に動作していたのに対して、図6では、キャリアの山(頂部)と谷(底部)のタイミングで制御が行われるため、電圧指令Vu*が離散的に変化するように動作している。
さて、図6(a)に示す波形では、電圧指令Vu*の1周期中にキャリアが9周期分入るように設定されている。キャリアと電圧指令Vu*の大小関係が比較され、例えばキャリアより電圧指令Vu*が高い場合にPWM信号UPはHigh、低い場合にLowが出力される。また、PWM信号UNは、PWM信号UPに対して逆の関係となるよう制御される。同様に、キャリアと電圧指令Vv*及びVw*のそれぞれとの大小関係が比較され、比較結果に基づいて、図6(b)に示すようなPWM信号VP,WP,VN,WNが生成される。生成されたPWM信号によりスイッチング素子5a〜5fが駆動され、図6(c)に示すような線間電圧Vuv,Vvw,Vwuがモータ3への印加電圧となる。
また、最近では、モータ駆動において、出力電圧を向上させるため、空間ベクトル変調PWM、三次高調波重畳PWMといった手法も広く用いられている。そのため、図3及び図5では、電圧指令Vu*を正弦波として扱っていたが、本実施の形態では、図6(a)において、実線、破線及び一点鎖線で示すように、空間ベクトル変調PWM及び三次高調波重畳PWMに準じた電圧指令Vu*,Vv*,Vw*の波形としている。図6(b)及び図6(c)の波形を参照すれば、図3の下段部の波形と同等の波形が生成されており、離散的に変化する電圧指令を用いて電圧指令Vu*,Vv*,Vw*を生成しても、何ら問題ないことが明らかである。
ここで、図6に示すように、1周期の電圧指令Vu*中に9周期分のキャリアが入るよう設定された場合の動作について考察する。まず、モータ3の回転数が増加すると、それに応じて電圧指令Vu*の周波数も増加する。そのため、キャリアが9周期分入るように動作させることは、モータ3の回転数に応じてキャリア周波数も変化させることを意味する。
図7は、非同期PWMの場合の線間電圧と同期PWMの場合の線間電圧とを比較して示した図であり、図7(a)は、電圧指令とキャリアとが整数倍の関係になっておらず、電圧指令Vu*とキャリアとが同期がとれていない非同期PWMの場合の線間電圧を示しているのに対し、図7(b)は、電圧指令とキャリアとが整数倍の関係になっており、電圧指令Vu*とキャリアとが同期するように制御された同期PWMの場合の線間電圧を示している。
非同期PWMの出力電圧は、図7(a)に示すように、非対称であり、出力電圧がアンバランスとなっているのに対し、同期PWMの出力電圧は、図7(b)に示すように対称形であり、出力電圧がバランスしていることがわかる。
図8は、非同期PWMの場合のモータ電流に関する全高調波歪(Total Harmonic Distortion:以下「電流THD」と表記)と同期PWMの場合の電流THDとを比較して示した図である。同期PWMの場合、モータ3に印加される電圧のアンバランスが抑制されるので、図8に示すように、同期PWMの場合の電流THDは、非同期PWMの場合の電流THDよりも小さくなる。その結果、同期PWMの場合では、電流の歪みにより発生するトルク脈動が抑制でき、モータ3の回転数の脈動による振動及び騒音の発生を抑制することが可能となる。
なお、非同期PWMの場合、電圧指令に対してキャリア周波数が十分高い場合には出力電圧の歪を抑制することが可能であるが、電圧指令に対してキャリア周波数が低い場合には出力電圧の歪を抑制することは困難である。これに対し、同期PWMの場合、上述の通り、電圧指令に対してキャリア周波数が低い状態でも電流の脈動を抑制することが可能となる。このため、本実施の形態に係る同期PWMの場合、従来の非同期PWMに比べてキャリア周波数を低減させた状態でも、モータ3を安定して駆動することが可能となる。
図9は、キャリア周波数と発生ノイズ及び漏洩電流とを従来と比較した比較図である。キャリア周波数を低減させた場合、スイッチング素子5a〜5fのスイッチング回数が低減するため、インバータ2で発生するノイズ及びモータ3から漏洩する電流は、図9に示すように、従来に比べて、低くすることが可能となる。
なお、非同期PWMにおいて、電圧指令の周波数に対してキャリアの周波数の値が接近すると、電流THDが増加する傾向にあるため、電圧指令の周波数に対して、キャリア周波数は10倍以上となるように設定することが一般的であり、且つ、必要条件でもある。これに対し、同期PWMでは電圧指令の周波数に対して、キャリア周波数が3倍でも電流THDの増加を抑制することができるため、ノイズ及び漏洩電流の発生量を低減させることが可能となる。また、キャリア周波数を小さくすることにより、スイッチング回数が減るため、スイッチング素子5a〜5fのスイッチングによる損失を、低く抑えることが可能となり、インバータ2の高効率化にも寄与する。
以上のように、本実施の形態に係るモータ駆動装置では、モータ駆動装置に具備されるインバータは、起動運転時には交流電圧の周波数の第1の整数倍のキャリア周波数でPWM変調された第1のPWM信号でスイッチング素子を動作させ、その後第1の整数よりも小さい第2の整数を乗じたキャリア周波数でPWM変調された第2のPWM信号でスイッチング素子を動作させることとした。これにより、キャリア周波数を低減させた状態においても、モータの騒音及び振動を抑制した安定駆動化と、キャリア周波数低減による低ノイズ化との両立を図ることが可能となる。
なお、起動時または起動運転時とは、装置を起動してから、装置の動作が安定するまでの期間を意味する。後述するヒートポンプ装置の例で言えば、冷媒が安定するまでの期間である。冷媒が安定するとは、冷媒の吸入圧力と、冷媒の吐出圧力との差がある閾値を超えた場合を意味する。ノイズまたは漏洩電流が収まった時点を、冷媒が安定する時点と言い換えてもよい。
また、近年では、モータ3の高効率化のためにステータのスロットに巻かれる巻線の占積率を向上させる取り組みとして、ポリエチレンテレフタレートフィルム(polyethylene terephthalate:以下「PETフィルム」と略記)などの薄い素材が絶縁素材として用いられている。PETフィルムは、従来の絶縁素材に比べて静電容量が大きく、漏洩電流が増加する傾向にある。一方、本実施の形態の技術を用いてキャリア周波数を低減させることにより、PETフィルムを用いた場合においてもノイズ及び漏洩電流の低減が可能となり、外付けに特別な装置を取り付けることなく、ノイズ及び漏洩電流の対策が可能となり、コストの削減だけでなく、巻線の占積率を向上させることもでき、モータ駆動の高効率化を図ることができるという効果が得られる。
また、インバータ2を構成するスイッチング素子5a〜5fおよびダイオード6a〜6fについては、ケイ素(Silicon:Si)で構成された素子(以下「Si素子」と称する)を使用するのが一般的であるが、高耐圧及び高温動作が可能なワイドバンドギャップ半導体である炭化ケイ素(Silicon Carbide:SiC)、窒化ガリウム(Gallium Nitride:GaN)、ダイヤモンド等で構成された素子を用いてもよい。
なお、ワイドバンドギャップ半導体で構成されたスイッチング素子5a〜5fは、スイッチングスピードが速く、電圧の時間変化dV/dtが高いため、ノイズの発生量が高くなる課題がある。一方、本実施の形態に示す同期PWMを用いることにより、キャリア周波数を低く設定することが可能となるため、ノイズの発生を抑制することができるという効果が得られる。
さらに、ワイドバンドギャップ半導体は、Siに比べて損失が低いため、同期PWMによるスイッチング回数低減によるインバータ2の高効率化に加えて、さらに損失を低減させることができるという効果が得られる。
加えて、ダイオード6a〜6fは、インバータ2によるモータ3の駆動中にスイッチング素子5a〜5fのスイッチング動作がオフするタイミング(例えばデッドタイム)において、還流電流または回生電流が流れるが、ワイドバンドギャップ半導体で構成されたダイオード6a〜6fは、Siに比べて損失が低いため、還流電流または回生電流が流れる動作中において、インバータ2の損失を抑制することができるという効果が得られる。
なお、その他、高効率なスイッチング素子として知られているスーパージャンクション(Super Junction)構造のMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)を用いてもよい。この場合、インバータ2のスイッチング素子5a〜5fおよびダイオード6a〜6fのうちの何れか1つでもワイドバンドギャップ半導体または、スーパージャンクション構造のMOSFETを使用すれば、上記した効果を得ることが可能である。
なお、インバータ制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、マイクロコンピュータ(マイコン)の離散システムで構成可能であり、他にアナログ回路、デジタル回路等の電気回路素子などで構成してもよい。
つぎに、本実施の形態に係るモータ駆動装置30の応用例について説明する。図10は、本実施の形態に係るモータ駆動装置をヒートポンプ装置に適用した場合の概略構成図である。図10に示すヒートポンプ装置100では、モータ3及び圧縮機構50を有する圧縮機51と、四方弁59と、熱交換器52と、膨張機構61と、熱交換器57とが配管により順次接続されて構成されている。以下、ヒートポンプ装置100について、さらに詳細に説明する。
図11は、本実施の形態に係るヒートポンプ装置100の回路構成図であり、図12は、図11に示すヒートポンプ装置100の冷媒の状態についてのモリエル線図である。図12において、横軸は比エンタルピ、縦軸は冷媒圧力を示す。
ヒートポンプ装置100は、圧縮機51と、熱交換器52と、膨張機構53と、レシーバ54と、内部熱交換器55と、膨張機構56と、熱交換器57とが配管により順次接続され、冷媒が循環する主冷媒回路58を備える。なお、主冷媒回路58において、圧縮機51の吐出側には、四方弁59が設けられ、冷媒の循環方向が切り替え可能となっている。また、熱交換器57の近傍には、ファン60が設けられる。また、ヒートポンプ装置100は、レシーバ54と内部熱交換器55との間から、圧縮機51のインジェクションパイプまでを配管により繋ぐインジェクション回路62を備える。インジェクション回路62には、膨張機構61、内部熱交換器55が順次接続される。
熱交換器52には、水が循環する水回路63が接続される。なお、水回路63には、給湯器、ラジエータ、床暖房等の放熱器等の水を利用する装置が接続される。
まず、ヒートポンプ装置100の暖房運転時の動作について説明する。暖房運転時には、四方弁59は実線方向に設定される。なお、この暖房運転とは、空調で使われる暖房だけでなく、水に熱を与えて温水を作る給湯も含む。
圧縮機51で高温高圧となった気相冷媒(図12の点1)は、圧縮機51から吐出され、凝縮器であり放熱器となる熱交換器52で熱交換されて液化する(図12の点2)。このとき、冷媒から放熱された熱により、水回路63を循環する水が温められ、暖房および給湯に利用される。
熱交換器52で液化された液相冷媒は、膨張機構53で減圧され、気液二相状態になる(図12の点3)。膨張機構53で気液二相状態になった冷媒は、レシーバ54で圧縮機51へ吸入される冷媒と熱交換され、冷却されて液化される(図12の点4)。レシーバ54で液化された液相冷媒は、主冷媒回路58と、インジェクション回路62とに分岐して流れる。
主冷媒回路58を流れる液相冷媒は、膨張機構61で減圧され気液二相状態となったインジェクション回路62を流れる冷媒と内部熱交換器55で熱交換されて、さらに冷却される(図12の点5)。内部熱交換器55で冷却された液相冷媒は、膨張機構56で減圧されて気液二相状態になる(図12の点6)。膨張機構56で気液二相状態になった冷媒は、蒸発器となる熱交換器57で外気と熱交換され、加熱される(図12の点7)。そして、熱交換器57で加熱された冷媒は、レシーバ54でさらに加熱され(図12の点8)、圧縮機51に吸入される。
一方、インジェクション回路62を流れる冷媒は、上述したように、膨張機構61で減圧されて(図12の点9)、内部熱交換器55で熱交換される(図12の点10)。内部熱交換器55で熱交換された気液二相状態の冷媒(インジェクション冷媒)は、気液二相状態のまま圧縮機51のインジェクションパイプから圧縮機51内へ流入する。
圧縮機51では、主冷媒回路58から吸入された冷媒(図12の点8)が、中間圧まで圧縮、加熱される(図12の点11)。中間圧まで圧縮、加熱された冷媒(図12の点11)に、インジェクション冷媒(図12の点10)が合流して、温度が低下する(図12の点12)。そして、温度が低下した冷媒(図12の点12)が、さらに圧縮、加熱され高温高圧となり、吐出される(図12の点1)。
なお、インジェクション運転を行わない場合には、膨張機構61の開度を全閉にする。つまり、インジェクション運転を行う場合には、膨張機構61の開度が所定の開度よりも大きくなっているが、インジェクション運転を行わない際には、膨張機構61の開度を所定の開度より小さくする。これにより、圧縮機51のインジェクションパイプへ冷媒が流入しない。ここで、膨張機構61の開度は、マイクロコンピュータ等の制御部により電子制御により制御される。
次に、ヒートポンプ装置100の冷房運転時の動作について説明する。冷房運転時には、四方弁59は破線方向に設定される。なお、この冷房運転とは、空調で使われる冷房だけでなく、水から熱を奪って冷水を作ること、冷凍することなども含む。
圧縮機51で高温高圧となった気相冷媒(図12の点1)は、圧縮機51から吐出され、凝縮器であり放熱器となる熱交換器57で熱交換されて液化する(図12の点2)。熱交換器57で液化された液相冷媒は、膨張機構56で減圧され、気液二相状態になる(図12の点3)。膨張機構56で気液二相状態になった冷媒は、内部熱交換器55で熱交換され、冷却され液化される(図12の点4)。内部熱交換器55では、膨張機構56で気液二相状態になった冷媒と、内部熱交換器55で液化された液相冷媒を膨張機構61で減圧させて気液二相状態になった冷媒(図12の点9)とを熱交換させている。内部熱交換器55で熱交換された液相冷媒(図12の点4)は、主冷媒回路58と、インジェクション回路62とに分岐して流れる。
主冷媒回路58を流れる液相冷媒は、レシーバ54で圧縮機51に吸入される冷媒と熱交換されて、さらに冷却される(図12の点5)。レシーバ54で冷却された液相冷媒は、膨張機構53で減圧されて気液二相状態になる(図12の点6)。膨張機構53で気液二相状態になった冷媒は、蒸発器となる熱交換器52で熱交換され、加熱される(図12の点7)。このとき、冷媒が吸熱することにより、水回路63を循環する水が冷やされ、冷房、冷凍などに利用される。そして、熱交換器52で加熱された冷媒は、レシーバ54でさらに加熱され(図12の点8)、圧縮機51に吸入される。
一方、インジェクション回路62を流れる冷媒は、上述したように、膨張機構61で減圧されて(図12の点9)、内部熱交換器55で熱交換される(図12の点10)。内部熱交換器55で熱交換された気液二相状態の冷媒(インジェクション冷媒)は、気液二相状態のまま圧縮機51のインジェクションパイプから流入する。圧縮機51内での圧縮動作については、暖房運転時と同様である。
なお、インジェクション運転を行わない際には、暖房運転時と同様に、膨張機構61の開度を全閉にして、圧縮機51のインジェクションパイプへ冷媒が流入しないようにする。
また、上記説明では、熱交換器52は、冷媒と、水回路63を循環する水とを熱交換させるプレート式熱交換器のような熱交換器であるとして説明した。熱交換器52は、これに限らず、冷媒と空気を熱交換させるものであってもよい。また、水回路63は、水が循環する回路ではなく、他の流体が循環する回路であってもよい。
以上の説明のように、ヒートポンプ装置100では、圧縮機51内を冷媒が循環しており、モータ3は圧縮機51内に内蔵されているため、冷媒の状況により図10に示す浮遊容量19aが変化する。特にヒートポンプ装置100が運転停止している場合には、圧縮機51内に冷媒が液化して滞留することがあり、特に圧縮機51内のモータが浸かるまで液冷媒が増加した場合には、モータ3と圧縮機51との間の静電容量が変化するため、図10中の浮遊容量19aが大きくなり、インバータ2が動作すると発生するノイズ、漏洩電流Iが大きくなり対地(アース)等を介してモータ駆動装置30全体にも悪影響を及ぼすおそれがある。また、漏洩電流が増加すると作業者等がヒートポンプ装置100に触れた際に感電するおそれがある。また、モータ駆動装置30と対地(アース)との間にも浮遊容量19bが存在し、ノイズの増加につながる。
そのため、圧縮機51内のモータ3を起動する際に、本実施の形態で述べた同期PWMを適用する。本実施の形態に係る同期PWMを適用すれば、一般的に用いられるキャリア周波数である数kHzに対して、例えば起動時の周波数が10Hzの場合は、電圧指令とキャリア周波数が9倍の関係にある場合には90Hzと大幅にキャリア周波数を低減でき、起動時における圧縮機51内の冷媒が安定していない場合に、ノイズ及び漏洩電流を抑制することが可能となる。
ただし、キャリア周波数が極端に低い場合、ヒートポンプ装置100の冷媒配管等の共振周波数と一致することにより配管振動による配管折れ、低周波騒音などの発生が生じる可能性があるため、ノイズ、漏洩電流を考慮した上で一般的に用いられるキャリア周波数より低い値に設定することが望ましい。
図13は、図11に示すヒートポンプ装置に本実施の形態に係る制御手法を適用した場合のキャリア周波数の変化を示すタイムチャートであり、図13(a)は、モータ3の回転数の変化を示し、図13(b)は、モータの回転数に対するキャリア周波数の変化を従来との比較で示し、図13(c)は、発生ノイズおよび漏洩電流を従来との比較で示している。
図13(b)および図13(c)に示すように、冷媒が安定しない起動時においては、モータ3の回転数に応じてキャリア周波数を増加させていくことにより、キャリア周波数を一定とした従来の場合との比較において、起動時にノイズ及び漏洩電流が許容値を超過することを抑制することができる。その際、モータ3の回転数の傾きについては、冷媒の安定時間などを考慮し、ノイズ及び漏洩電流の許容値を超過しない範囲で決めることが望ましい。
また、電圧指令とキャリア周波数が9倍の関係、すなわち9パルス動作を行う場合には、例えば電圧指令の周波数が110Hzとなるとキャリア周波数は990Hzとなる。この状態からモータ3の回転数を上昇させていくと、電圧指令の周波数が上昇し、仮に従来のキャリア周波数が1kHzの場合、その値を超過し、発生ノイズ及び漏洩電流が増加するおそれがある。そのため、図13に示すように、従来のキャリア周波数を超えるような場合には(図中のA点)、電圧指令の周波数とキャリア周波数とが6倍の関係、すなわち6パルス動作を行うように、キャリア周波数を6/9倍に低減する。キャリア周波数を6/9倍に低減することにより、発生ノイズ及び漏洩電流を低減することができる。さらに、モータ3の回転数を増加させた場合には(図中のB点)、電圧指令とキャリア周波数とが3倍の関係となるように制御することで、従来のキャリア周波数以下で動作させることが可能となり、起動から通常運転までの間、発生ノイズ及び漏洩電流の発生を抑制することができる。
以上、9パルス、6パルス及び3パルスの動作切替について説明したが、9パルスを超えるパルス数(例えば21パルス、15パルス、12パルス)で制御しても何ら問題ないことは言うまでもない。この際、電圧指令の周波数とキャリア周波数との間の3n倍(2相変調の併用を考慮すれば整数倍)の比が維持されるようにパルス数を切替えることが肝要な点である。また、同一数のパルスを出力する期間では、モータ3の回転数を増加させる際に、電圧指令の周波数とキャリア周波数との間の整数倍の比が維持されるように、電圧指令の周波数とキャリア周波数とを増加させて行くことが肝要な点である。以上の制御動作により、前述の効果を得ることができる。なお、揺らぎ等で瞬間的に整数倍の関係が崩れることもあるが、そのような場合も整数倍の関係にあることは言うまでもない。
また、近年のヒートポンプ装置100の省エネ指標として通年エネルギー消費効率(Annual Performance Factor:APF)が用いられており、定格運転よりも低速運転及び軽負荷運転である中間条件での効率改善が望まれている。このため、中間条件において、本実施の形態で説明した同期PWMを適用することにより、インバータ2のスイッチング素子5a〜5fのスイッチング回数を減らすことができ、スイッチング損失の低減、またキャリア周波数の低減によるモータ3に流れる電流の歪みも解消されるため、モータ3に発生する高周波鉄損を低減することができ、高効率化を図ることが可能となる。また、発生するノイズ及び漏洩電流を抑制することができるので、対策部品も安価となり、低コスト化を図ることが可能となる。
さらに、図3及び図5に示す電圧指令である三相変調に代わり、図14に示すような二相変調を行ってもよい。図14は、発生ノイズ及び漏洩電流を三相変調と二相変調との間で比較した図である。図14(a)では、キャリアを実線で示し、二相変調による電圧指令Vu*を太破線で示している。図14(a)に示すような二相変調による電圧指令Vu*を生成してスイッチング素子5a〜5fを制御すれば、三相変調と同一の出力電圧を実現しつつ、スイッチング素子5a〜5fのスイッチング回数を2/3に低減させることが可能である。なお、スイッチング回数が2/3に低減されるため、インバータ2のスイッチング損失が約2/3になることは当然の帰結であるが、ヒートポンプ装置100において発生するノイズ及び漏洩電流も、図14(b)に示すように、約2/3に減少することが知られている。このため、電圧指令とキャリア周波数とを整数倍の関係で制御する同期PWMと二相変調とを併用することにより、更なる高効率を図ることが可能となり、ノイズ及び漏洩電流の発生を抑制することも可能となる。
また、近年のヒートポンプ装置100のモータ駆動装置30では、従来のカレントトランスに代わり、低コスト化を目的として、図1の電流検出部8にシャント抵抗を設け、インバータ2のスイッチング素子5a〜5fのスイッチングタイミングに応じて、モータ3に流れる電流を検出する技術がある。
その際、上記特許文献2によれば、キャリア周波数を下げ、電流の通流幅を広げることで検出を容易にすることが可能であるとの記載がなされている。しかしながら、非同期PWMの場合、キャリア周波数を低減させると出力電圧のアンバランスが発生し、モータ3に流れる電流が歪むため、安定した運転が困難であるという課題が解決できない可能性が高い。
一方、本実施の形態で提案した上記技術を用いれば、従来技術が非同期PWMの運転周波数の10倍のキャリア周波数を使用するのに対して、キャリア周波数を運転周波数の3倍程度まで低くすることが可能となる。図15は、キャリア周波数の大小による直流電流検出範囲を比較した図であり、図15(a)は、キャリア周波数が大きいときの電流検出範囲を示す図であり、図15(b)は、キャリア周波数が小さいときの電流検出範囲を示す図である。なお、シャント抵抗で電流を検出する場合、配線インピーダンス等によるリンギングに影響されないハッチングで示す期間において検出が可能であり、この期間を電流検出範囲と定義している。
本実施の形態で提案した上記技術を用いれば、図15(a)と図15(b)との比較から明らかなように、電流の通流幅がさらに広がり電流の検出が容易になる。また、電流の検出が容易になるだけでなく、電流の歪みが抑制された状態での電流検出が可能となるため、モータ3の安定駆動が可能となる。
さらに、近年は、圧縮機51の低コスト化を目的としてシングルロータリー型の圧縮機が広く用いられている。シングルロータリー型の圧縮機は、1回転あたりの回転角に同期した負荷トルク脈動が発生する。このため、負荷トルクが大きい回転角になると回転数が低下し、負荷トルクが小さい回転角になると回転数が増加するため、圧縮機51内のモータ3の回転数が脈動することにより、ヒートポンプ装置100内の配管などに振動が伝わり、配管折れなどによる冷媒漏れが発生するおそれがある。
このような課題に対し、回転角に同期した負荷トルクに応じて、フィードフォワード制御もしくはフィードバック制御により回転数指令を増減させる、またはトルク指令を増減させることで回転数の脈動を抑制し振動を抑制する技術が提案されている。しかし、同期PWMを用いた場合は、回転数指令の変化に追従できず電流波形が歪み、インバータ2の過電流、モータ3の脱調により停止するおそれがある。そこで、回転数指令、トルク指令が変化する場合には、あらかじめ変化量を考慮した上でキャリア周波数を補正することで電流の歪みを低減させることが可能である。
また、圧縮機51内のモータ3に流れる電流が脈動している場合、電流が高いところでモータ3の巻線抵抗による損失が大きくなるという課題がある。この課題に対し、電流の脈動に合わせてモータ3の回転数指令を増減させることで、電流脈動を抑制し、モータ3の高効率化を図る技術が提案されている。その場合、モータ3の回転数が常に変動しているため、同期PWMを用いた場合、回転数の変動に対してキャリア周波数を同期させることが困難であり、整数倍の関係が崩れると電流波形が歪み、インバータ2の過電流、モータ3の脱調により停止するおそれがある。そこで、回転数指令の変化量を考慮した上で、目標とするキャリア周波数を補正するようにすれば、回転数の変動に対しても、キャリア周波数の同期を確実に行うことができるので、電流の歪みを抑制することが可能となる。
また、電流脈動によってモータ3の回転数が変動している場合に、キャリア周波数を補正するようにすれば、電流脈動による回転数の変動が抑制され、モータ3の回転数が一定となるように抑制することが可能となる。
また、電流脈動によってモータ3の回転数が変動している場合に、モータ3に流れる電流のピーク値が一定となるようにインバータ2が出力する電圧を制御するようにしても、電流脈動による回転数の変動が抑制され、モータ3の回転数が一定となるように抑制することが可能となる。
以上のように、ヒートポンプ装置100は、空気調和機、ヒートポンプ給湯機、冷蔵庫、冷凍機等のインバータ圧縮機を用いたヒートポンプ装置に利用することができる。
なお、以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。
1 直流電源、2 インバータ、3 モータ、4 インバータ制御部、5a〜5f スイッチング素子、6a〜6f ダイオード、7 直流電圧検出部、8 電流検出部、9 モータ制御部、10 同期PWM制御部、11 電流復元部、12 三相/二相変換部、13 位置及び速度推定部、14 速度制御部、15 電流制御部、16 電圧指令演算部、17 キャリア生成部、18 キャリア比較部、19a,19b 浮遊容量、30 モータ駆動装置、50 圧縮機構、51 圧縮機、52,57 熱交換器、53,56,61 膨張機構、54 レシーバ、55 内部熱交換器、58 主冷媒回路、59 四方弁、60 ファン、62 インジェクション回路、63 水回路、100 ヒートポンプ装置。

Claims (10)

  1. モータの駆動に用いられ、前記モータに交流電圧を印加するインバータを備え、
    前記インバータは、起動運転時には前記交流電圧の周波数の第1の整数倍のキャリア周波数でPWM変調された第1のPWM信号で前記インバータのスイッチング素子を動作させ、その後前記交流電圧の周波数の第2の整数倍のキャリア周波数でPWM変調された第2のPWM信号で前記スイッチング素子を動作させ、前記第2の整数は前記第1の整数よりも小さい、
    モータ駆動装置。
  2. 前記第1の整数倍のキャリア周波数および前記第2の整数倍のキャリア周波数が前記交流電圧の周波数の3n倍(nは整数)の関係である請求項1に記載のモータ駆動装置。
  3. 前記第1および第2のPWM信号は、二相変調によって生成されたPWM信号である請求項1または2に記載のモータ駆動装置。
  4. 前記インバータは、さらに前記インバータの入力電流を検出するシャント抵抗を用いた電流検出部を備える請求項1または2に記載のモータ駆動装置。
  5. 前記インバータが出力する電圧は、前記モータに流れる電流が脈動している場合に、前記モータの回転数が一定となるように制御される請求項1から4の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
  6. 前記インバータが出力する電圧は、前記モータに流れる電流が脈動している場合に、前記モータに流れる電流のピーク値が一定となるように制御される請求項1から5の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
  7. 前記スイッチング素子の少なくとも一つはワイドバンドギャップ半導体によって形成された請求項1から6の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
  8. 前記モータの絶縁には、PETフィルムを用いた請求項1から7の何れか1項に記載のモータ駆動装置。
  9. 請求項1から8の何れか1項に記載のモータ駆動装置を用いたヒートポンプ装置。
  10. 請求項1から8の何れか1項に記載のモータ駆動装置を用いた冷凍空調装置。
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