JPWO2019009017A1 - 金属電池用負極構造体およびそれを用いた金属電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 積層しやすく、可塑変形しない負極構造体およびそれを用いた金属電池を提供すること。【解決手段】 本発明の負極構造体は、集電体と、前記集電体表面に被覆され、アルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属を含有する金属層と、前記集電体上に配置され、前記金属層の厚さよりも大きな高さを有するスペーサと、前記スペーサを介して、前記金属層を覆うセパレータとを備え、前記金属層と前記スペーサと前記セパレータとで囲まれた空間を有する。【選択図】 図1

Description

本発明は、金属電池用負極構造体およびそれを用いた金属電池に関する。
金属電池には空気電池、一次電池、二次電池等があるが、中でも、アルカリ金属やアルカリ土類金属の電極電位が卑であるため、これらの金属を負極に用いた金属電池が注目されており、研究が盛んである。しかしながら、これらの金属は、表面に生じた欠陥等が核になり、電池充電(金属電析)時にデンドライトと呼ばれる樹状成長に代表される金属の異常成長が析出し、正極と短絡を起こし、電池が発火するなどの問題がある。
このような問題に対して、負極に用いられる負極活物質を改善し、デンドライト成長を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、表面からカーボンナノチューブが伸びた導電材料層上に金属リチウムを堆積させた負極が、デンドライト成長を抑制するとされている。
しかし、金属電池は、正極、負極、電解質およびセパレータを備え、正極と負極とをセパレータを介して積層し、並列接続することにより、大容量化を実現するため、上述のような負極を用いたとしても、リチウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属自体の機械的強度が十分でないことに起因して、積層時の負極とセパレータとの物理的な接触や圧力印加等により、可塑変形(キズ)が生じてしまう。その結果、やはり、負極において、デンドライト成長等の異常成長が発生する。
一方、負極層の全部を、緩衝層を介して隔離層で包み込んだ負極構造体が開発された(例えば、特許文献2を参照)。特許文献2によれば、負極層が隔離層で包み込まれているため、正極との積層は容易になる。しかし、特許文献2に記載の負極構造体では、負極層と緩衝層とが直接接触するため、ここでも負極層にキズが生じ、デンドライト成長等の異常成長が発生し得る。
特開2016−207637号公報 特開2016−021363号公報
本発明の課題は、積層しやすく、可塑変形しない負極構造体およびそれを用いた金属電池を提供することである。
本発明による金属電池用負極構造体は、集電体と、前記集電体表面に被覆され、アルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属を含有する金属層と、前記集電体上に配置され、前記金属層の厚さよりも大きな高さを有するスペーサと、前記スペーサを介して、前記金属層を覆うセパレータとを備え、前記金属層と前記スペーサと前記セパレータとで囲まれた空間を有し、これにより上記課題を解決する。
前記スペーサは、格子状、柱状および梯子状からなる群から選択される形状を有してもよい。
前記スペーサは、20μm以上1010μm以下の範囲の高さを有してもよい。
前記スペーサは、30μm以上500μm以下の範囲の高さを有してもよい。
前記スペーサは、50μm以上300μm以下の範囲の高さを有してもよい。
前記スペーサは、Al、Ta、TiO、ZnO、ZrO、SiO、B、P、GeO、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、Si、AlNおよびAlO1−x(0<x<1)からなる群から選択される無機材料で形成されてもよい。
前記スペーサは、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂からなる群から選択される有機材料で形成されてもよい。
前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンであってもよい。
前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、および、ポリトリブチレンテレフタレート(PTT)からなる群から選択されてもよい。
前記スペーサは、絶縁性高分子でコートされていてもよい。
前記絶縁性高分子は、ポリエチレンオキサイド(PEO)であってもよい。
前記スペーサは、前記集電体の表面積のうち0.2%以上10%以下の面積と接触していてもよい。
前記金属層は、酸素を通過しない酸素バリア膜でコートされていてもよい。
前記酸素バリア膜は、ポリエチレンオキサイド(PEO)であってもよい。
前記空間には電解液が充填されていてもよい。
前記電解液は、アルカリ金属塩、および/または、アルカリ土類金属塩を含有する、水系または非水系電解液であってもよい。
前記セパレータは、合成樹脂またはセラミックからなる多孔質膜、ガラス繊維および不織布からなる群から選択されてもよい。
前記負極構造体は、前記空間に連通し、電解液を溜める液溜部をさらに備えてもよい。
前記集電体は、板状の形状を有し、前記金属層は、前記板状の集電体の両面に付与されていてもよい。
本発明による正極構造体と負極構造体とが交互に積層された金属電池は、前記負極構造体が上述の負極構造体であり、これにより上記課題を解決する。
前記正極構造体は、集電体と、前記集電体に接合された正極材とを備え、前記集電体または前記正極材に、一方の側面から対向する側面に連通するガス流路用の溝または孔を有してもよい。
本発明の負極構造体は、セパレータによって全体が覆われているため、取り扱い性に優れており、正極構造体との積層を容易にし、電池の製造効率を向上できる。本発明の負極構造体は、金属層の厚さよりも大きな高さを有するスペーサにより金属層とセパレータとの間に空間を形成したことで、金属層とセパレータとの直接接触が避けられるため、金属層に可塑変形が生じにくい。また、負極構造体と正極構造体との積層により圧力が印加されても、スペーサが存在するため、金属層とセパレータとが直接接することはない。この結果、金属層にデンドライトのような異常成長が発生せず、安定な出力効率を長期にわたって維持する金属電池を提供できる。
本発明の金属電池用負極構造体を示す模式図 例示的なスペーサを示す模式図 別の例示的なスペーサを示す模式図 別の例示的なスペーサを示す模式図 本発明の負極構造体を用いた空気電池を示す模式図 実施例1によるコインセルを示す模式図 実施例1によるコインセルにおける充放電後のリチウム金属の表面の様子を示すSEM像 比較例2によるコインセルを示す模式図 比較例2によるコインセルにおける充放電後のリチウム金属の表面の様子を示すSEM像 実施例3による負極構造体を示す模式図 実施例4による負極構造体を示す模式図 実施例5による負極構造体を示す模式図
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。なお、同様の要素には同様の番号を付し、その説明を省略する。
(実施の形態1)
実施の形態1では、本発明の金属電池用負極構造体およびその製造方法について説明する。
図1は、本発明の金属電池用負極構造体を示す模式図である。
図1には、本発明の負極構造体100の断面図を模式的に示す。本発明の負極構造体100は、外部に接続され、外部からの電流を供給する集電体110と、集電体110表面に被覆され、負極活物質として機能するアルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属を含有する金属層130と、集電体110上に配置され、金属層130の厚さよりも大きな高さを有するスペーサ120と、スペーサ120を介して金属層130を覆うセパレータ140とを備え、金属層130とスペーサ120とセパレータ140とで囲まれた空間150を有する。そして、少なくとも電池使用時には、空間150には電解液が充填される。
本発明の負極構造体100は、全体をセパレータ140で覆っているため、取り扱い性に優れ、正極構造体(図示せず)との積層を容易にし、電池の製造効率が向上する。本発明の負極構造体100は、金属層130の厚さよりも大きな高さを有するスペーサ120を集電体110上に有し、それによって金属層130とセパレータ140との間に空間150が形成され、空間150は電解液で充填されるため、金属層130とセパレータ140とが直接接触せず、金属層130に可塑変形が生じにくい。また、負極構造体100と正極構造体(図示せず)との積層により圧力が印加されても、スペーサ120が存在するため、金属層130とセパレータ140とが直接接触することはない。この結果、金属層130にデンドライトのような異常成長が発生せず、面内均一な充電(金属電析)を繰り返しできるので、安定な出力効率を長期にわたって維持する金属電池を提供できる。このような本発明の負極構造体100を詳述する。
集電体110は、電流を供給可能な導電性を有する材料で形成されていれば特に制限はないが、例示的には、Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Al(アルミニウム)、Au(金)、ステンレス、Pt(白金)、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、またはこれらの合金等の金属材料やカーボン材料が挙げられる。集電体110の形状に特に制限はないが、正極構造体との積層によるエネルギー効率を考慮すれば、板状が好ましい。
スペーサ120は、集電体110上に配置され、セパレータ140を、集電体110上に被覆された金属層130から所定の空間150を隔てて保持するように機能する。該機能を発揮するため、スペーサ120は、金属層130の厚さよりも大きな高さDを有する。スペーサ120の高さDは、前述の条件を満たすものであれば限定されないが、20μm以上1010μm以下の範囲とすることが好ましい。高さDを20μm以上とすることで、空間150に十分な量の電解液を保持することができ、高い電池性能が得られる。高さDを1010μm以下とすることで、電池の体積当たりのエネルギー密度を高めることができる。スペーサ120は、より好ましくは、30μm以上500μm以下の範囲の高さDを有する。これにより、金属層130のキズの発生を抑制し、エネルギー密度を維持できる。スペーサ120は、さらに好ましくは、50μm以上300μm以下の範囲の高さDを有する。これにより、金属層130のキズの発生を抑制し、高いエネルギー密度を維持できる。
スペーサ120には、導電性を有さず、かつ、金属層130およびセパレータ140との反応性を有さない任意の無機材料、有機材料、あるいは、金属材料が適用される。スペーサ120は、好ましくは、耐熱性に優れる材料からなる。これにより、スペーサ120とセパレータ140との熱融着を行っても、スペーサ120は形状を維持し得る。例示的には、200℃以上の耐熱性を有することが好ましい。
スペーサ120に適用される無機材料としては、絶縁性を有する金属酸化物、金属窒化物、金属酸窒化物等があるが、例示的には、Al、Ta、TiO、ZnO、ZrO、SiO、B、P、GeO、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、Si、AlNおよびAlO1−x(0<x<1)等が挙げられる。これらの無機材料は、導電性を有さず、金属層130およびセパレータ140との反応性を有さない。中でも、AlやSiOは、入手が容易であり、加工性に優れているので、本発明の負極構造体100に有利である。
スペーサ120に適用される有機材料としては、例示的には、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂、および、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)系樹脂等が挙げられる。これらの有機材料は、導電性を有さず、金属層130とセパレータ140との反応性を有さない。ポリオレフィン系樹脂は、好ましくは、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンである。ポリエステル系樹脂は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、および、ポリトリブチレンテレフタレート(PTTからなる群から選択される。これらの樹脂であれば、入手が容易であり、加工性に優れているので、本発明の負極構造体100に有利である。
スペーサ120は、絶縁性高分子でコートされてもよい。これにより、金属層130による還元分解を防止することができる。絶縁性高分子は、例示的には、ポリエチレンオキサイド(PEO)であるが、これに限定されない。特に、スペーサ120が、ポリイミド系樹脂やPEEK系樹脂からなる場合、このような絶縁性高分子をコートすることが好ましい。
スペーサ120は、好ましくは、集電体110の表面積のうち0.2%以上10%以下と接触するように配置される。スペーサ120が集電体110の表面積の0.2%以上と接触することで、上述したスペーサ120の機能が十分に発揮され、金属層130とセパレータ140との接触を防止できる。スペーサ120が集電体110の表面積の10%以下と接触することで、金属層130と後述する電解液との接触面積が十分大きくなり、電池の性能を高めることができる。スペーサ120は、より好ましくは、集電体110の表面積の1%以上10%以下、さらに好ましくは、表面積の5%以上10%以下と接触するように配置される。なお、本明細書では、「集電体の表面積」とは、集電体110上の、スペーサに接している部分の面積と金属層に接している部分の面積との和を意味する。
スペーサ120は、金属層130とセパレータ140とが接触しないよう保持できるものであれば、形状ないし構造に特に制限はないが、例示的には、格子状、柱状および梯子状からなる群から選択される形状を有するものが挙げられる。
図2は、例示的なスペーサを示す模式図である。
図3は、別の例示的なスペーサを示す模式図である。
図4は、別の例示的なスペーサを示す模式図である。
図2は、集電体110上に梯子状の形状を有するスペーサ210が形成されている様子を示す。図3は、集電体110上に格子状の形状を有するスペーサ310が形成されている様子を示す。図4は、集電体110上に柱状の形状を有するスペーサ410が形成されている様子を示す。各スペーサ210、310、410の寸法及び配置は限定されないが、例えば、スペーサ210、310、410の梯子、格子、あるいは、柱の厚さ(高さ)を20μm以上1010μm以下の範囲とし、梯子、格子、あるいは、柱の間隔を100μm以上20mm以下の範囲とすることが好ましい。なお、図2〜図4は、スペーサ120の例示的なバリエーションを示すに過ぎず、格子や柱の間隔に制限はなく、これらの任意の組み合わせであってもよい。
金属層130は、アルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属を含有し、金属単体であってもよいし、合金であってもよい。例えば、金属層130がアルカリ金属としてLi単体からなる場合、リチウム空気電池やリチウム金属電池を構成できる。
金属層130は、好ましくは、10μm以上1000μm以下の範囲の厚さを有する。10μm以上の厚さとすることで、既存の炭素負極等を用いた場合と比較して、エネルギー密度の点でのメリットが大きくなる。一方、1000μm以下の厚さとすることで、既存の正極と溶解析出をバランスさせることができる。金属層130は、より好ましくは、50μm以上300μm以下の範囲の厚さを有する。
金属層130は、図1に示すように、集電体110が板状の形状を有する場合、集電体110の両面に被覆されることが好ましい。なお、以降では、簡単のため、本発明の負極構造体100は、板状の集電体110を備えるものとして説明するが、集電体110の形状はこれに限定されないことに留意されたい。
セパレータ140は、アルカリ金属イオン、および/または、アルカリ土類金属イオンが通過可能であり、多孔質構造を有する絶縁性材料で形成されたものであれば特に制限はなく、既存の金属電池に使用されるセパレータを適用できる。例示的には、セパレータ140は、ポリエチレンやポリプロピレンをはじめとするポリオレフィン製の多孔質膜、ガラス繊維製の不織布等が挙げられる。セパレータ140の多孔質構造内に電解液が含侵され得る。
負極構造体110は、好ましくは、空間150に連通し、電解液を溜める液溜部160をさらに有する。これにより、負極構造体100は余剰の電解液を保持することができるので、放電時に金属層130とセパレータ140との間の電解液が少なくなったとしても、毛細管現象により液溜部160から電解液が補充されるため、電池の性能の低下を抑制できる。
電解液としては、アルカリ金属塩、および/または、アルカリ土類金属塩を含有する、水系または非水系の任意の電解液を使用できる。
例えば、リチウム塩を含有する水系電解液の場合、LiOH、LiCl、LiNO、LiSO等を含有するものが挙げられる。水系電解液において、溶媒としては、水または水溶性の溶媒を用いることができる。当業者であれば、他の金属塩および水系電解液の組合せについても適宜採用することができる。
また、他の例として、リチウム塩を含有する非水系電解液の場合、LiPF、LiBF、LiSbF、LiSiF、LiAsF、LiN(SO、Li(FSON、LiCFSO(別名:LiTfO)、Li(CFSON(別名:LiTFSI)、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiB(C等を含有するものが挙げられる。非水系電解液において、非水溶媒としては、グライム類(モノグライム、ジグライム、トリグライム、テトラグライム)、メチルブチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、2,2−ジメチルテトラヒドロフラン、2,5−ジメチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸ジメチル、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジプロピルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、デカノリド、バレロラクトン、メバロノラクトン、カプロラクトン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニトロメタン、ニトロベンゼン、トリエチルアミン、トリフェニルアミン、テトラエチレングリコールジアミン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホン、テトラメチレンスルホン、トリエチルホスフィンオキシド、1,3−ジオキソランおよびスルホラン等が使用できる。
なお、金属層130の種類や組成によっては、電解液中の溶存酸素が金属層130に到達しない方がよい場合もある。このような場合には、金属層130は、酸素バリア膜(図示せず)でコートされてもよい。酸素バリア膜は、酸素が通過しない任意の材料であるが、例示的には、ポリエチレンオキサイド(PEO)が挙げられる。
次に、負極構造体100の例示的な製造方法を説明する。
まず、集電体110を用意し、物理的気相成長法、化学的気相成長法、金属の溶湯塗布、ラミネート加工などによって金属層130を表面に被覆する。次に、金属層130上にスペーサ120を押し込むことで、集電体110上にスペーサ120を配置する。スペーサ120は、これを構成する材料を所望の形状にカットし、それを格子状、梯子状あるいは柱状に組み合わせて形成してもよい。また、前述の手順とは逆に、集電体110上に先にスペーサ120を配置し、金属溶湯塗布、物理的気相成長法や化学的気相成長法により金属層130を形成してもよい。この場合には、上述のカットした部材の組み合わせ以外にも、半導体におけるリソグラフィ技術、スプレー型の塗工機、3Dプリンタを使ってスペーサ120を形成することができる。
次に、セパレータ140を構成する材料をスペーサ120上にたわまないように張り、金属層130を覆うように巻き付ける。この際、図1に示すようにセパレータ140を袋状にし、端部を熱封止することが好ましい。セパレータ140をスペーサ120に対して、接触する部分で熱融着してもよい。これによりセパレータのたわみが低減する。
このようにして本発明の負極構造体100が得られる。得られた負極構造体100は、電池の構築前に上述の電解液に浸漬され、毛細管現象より、金属層130とスペーサ120とセパレータ140とで囲まれた空間150に電解液が充填される。
(実施の形態2)
実施の形態2では、実施の形態1で説明した本発明の負極構造体を用いた金属電池について説明する。
図5は、本発明の負極構造体を用いた空気電池を示す模式図である。
本発明の空気電池500は、正極構造体510と負極構造体100とが積層された積層構造を備える。ここで、負極構造体100は、実施の形態1で説明した負極構造体と同様であるため説明を省略する。なお、積層構造は、収納容器(図示せず)に収容される。
正極構造体510は、集電体520と、それに接合された正極材530とを備え、空気極とも呼ばれる。正極材530は、正極活物質である空気または酸素を取り入れるようになっており、主として多孔質炭素材料を含有するが、必要に応じて、触媒、結着剤、導電助剤等を含んでもよい。多孔質炭素材料は、例示的には、メソポーラスカーボン、グラフェン、カーボンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、カーボンナノホーン等である。集電体520は、多孔性と導電性とを有する金属材料やカーボン等である。なお、このような正極構造体510として、例えば、特許第5791029号公報に記載される薄型正極構造体を用いてもよい。該薄型正極構造体は、集電体または正極材に、一方の側面から対向する側面に連通するガス流路用の溝または孔を有するため、負極構造体100と積層しても、効率的に正極活物質を供給できるので、有利である。
本発明の空気電池500の動作原理は既存のリチウム空気電池等と同様であるが、本発明の空気電池500は、実施の形態1で説明した負極構造体100を用いるため、空気電池500の積層による機械的応力が負極構造体100にかかったとしても、スペーサ120の作用により、アルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属を含有する金属層130に塑性変形が生じない。したがって、充電時のデンドライト成長等の異常成長が抑制され、面内均一な金属電析を繰り返し実現でき、高い単位重量当たりのエネルギー密度を達成できる。
本発明の負極構造体100は、電解液が充填されるべき空間150を有しているので、積層前に電解液に浸漬され、空間150に電解液が充填されさえすれば、単に正極構造体510と積層されるだけで、容易に大容量の空気電池となる。このため、本発明の負極構造体100は、空気電池の低コスト化および実効的な生産性の向上に寄与することが期待される。
実施の形態2では、図5を参照して、本発明の負極構造体100を用いた空気電池について詳述したが、本発明の負極構造体100は空気電池に限らず、任意の金属電池に適用できることは言うまでもない。
次に具体的な実施例を用いて本発明を詳述するが、本発明がこれら実施例に限定されないことに留意されたい。
[実施例1]
実施例1では、スペーサを用いたコインセル(図6)を製造した。
図6は、実施例1によるコインセルを示す模式図である。
実施例1による2032型コインセル600は、負極構造体610と正極構造体620とが積層された積層構造体からなり、この積層構造体はコインセル型拘束具630により拘束されている。負極構造体610は、集電体635と、その上に付与されたアルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属を含有する金属層であるリチウム金属640と、スペーサ650と、スペーサ650を介してリチウム金属640を覆うセパレータ660と、リチウム金属640とスペーサ650とセパレータ660とで囲まれた空間670とを備え、空間670には電解液が充填されている。正極構造体620は、集電体として金属メッシュ680上にカーボンブラックであるケッチェンブラック(登録商標)690を備える。
実施例1によるコインセル600は、次のようにして製造した。リチウム金属640(直径16mm、厚さ0.2mm)上にPETからなる筒状のスペーサ650(内径14mm、高さ500μm)を押し付け、配置した。セパレータ660としてポリプロピレン製多孔質膜を用い、これをスペーサ650上に押し付けた。これにより、リチウム金属640とセパレータ660との間にスペーサ650によって空間670を設け、負極構造体610を得た。次いで、得られた負極構造体610を、テトラグライム(TEGDME、ジャパン・アドバンスト・ケミカルズ製)を溶媒に用い、1mol/Lのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI、キシダ化学製)を溶解した電解液に浸漬し、空間670およびセパレータ660内を電解液で充填した。
次に、金属メッシュ680(直径16mm、厚さ0.2mm、目開き1mm)上にケッチェンブラック(登録商標)を1mg/cm塗布し、正極構造体620を得た。電解液を充填した前述の負極構造体610に正極構造体620を貼り合わせ、コインセル型拘束具630で拘束した。実装は、露点温度−50℃以下のドライルーム(乾燥空気内)で行った。
実施例1によるコインセルを用いて充放電を行った。具体的には、酸素雰囲気中、水分濃度30ppm以下において、電流密度0.1mA/cmで2mAh放電を行い、次いで、同じ電流密度で同じ電荷量で充電を行った。充放電後、コインセル型拘束具630を解体し、リチウム金属640を取り出し、TEGDMEで表面を洗浄し、走査型電子顕微鏡(SEM、日本電子製、JSM−7800F)で観察した。結果を図7に示す。
図7は、実施例1によるコインセルにおける充放電後のリチウム金属の表面の様子を示すSEM像である。
図7(A)によれば、リチウム金属の表面は充放電後も均一であることが分かった。図7(B)は、図7(A)の一部を拡大して示した図であるが、リチウム金属の表面にはデンドライト成長は確認されなかった。
[比較例2]
比較例2では、スペーサを用いないコインセル(図8)を製造した。
図8は、比較例2によるコインセルを示す模式図である。
比較例2によるコインセル800は、スペーサ650およびそれによる電解液が充填されるべき空間670を有しない以外、実施例1によるコインセル600と同様であった。
実施例1と同様に、比較例2によるコインセル800を用いて、充放電を行い、充放電後のリチウム金属の表面を観察した。結果を図9に示す。
図9は、比較例2によるコインセルにおける充放電後のリチウム金属の表面の様子を示すSEM像である。
図9(A)および(B)によれば、リチウム金属の表面には、充放電後に、デンドライト成長が確認された。
実施例1および比較例2の結果から、集電体上にスペーサを配置し、金属層とセパレータとが直接接触しないようにすることで、負極構造体における金属層の可塑変形が防止され、デンドライト成長等の異常成長を抑制できることが確認された。
[実施例3]
実施例3では、格子状の形状を有するスペーサを用いた負極構造体を製造した。
図10は、実施例3による負極構造体を示す模式図である。
図10(A)は、セパレータで覆う前の実施例3による負極構造体の平面図を示し、図10(B)は、セパレータで覆った後の前記負極構造体を図10(A)のA−A’で切断した断面図を示す。
集電体110として板状のCu金属(厚さ20μm)を用い、その両面に金属層130としてリチウム金属をラミネート加工した。ラミネート加工されたリチウム金属の厚さは、200μmであった。次に、厚さ100μmのPET製のシートをスペーサの高さが220μmとなるように切り出し、2mmピッチとなるように格子状に組み合わせ、格子状の形状を有するスペーサ120を形成し、金属層130に押し付けた。この場合、スペーサ120は、集電体110の表面積のうち5%以上10%以下の面積と接触することになる。
次いで、セパレータ140としてポリプロピレン製セパレータを、スペーサ120を介してリチウム金属全体を覆うように巻き付け、端部が袋状になるように熱封止した。このようにして金属層130とスペーサ120とセパレータ140とで囲まれた空間150を有する、実施例3による負極構造体100を得た。さらに、負極構造体100を実施例1で調製した電解液に浸漬し、空間150に電解液を充填した。
[実施例4]
実施例4では、柱状の形状を有するスペーサを用いた負極構造体を製造した。
図11は、実施例4による負極構造体を示す模式図である。
図11(A)は、セパレータで覆う前の実施例4による負極構造体の平面図を示し、図11(B)は、セパレータで覆った後の前記負極構造体を図11(A)のA−A’で切断した断面図を示す。
集電体110として板状のCu金属(厚さ20μm)を用いた。次に、3Dプリンタを用いて、高さ210μm、直径30μmのPET製の柱を、0.5mmピッチとなるように配置した、柱状の形状を有するスペーサ120を形成した。次に、リチウム金属の溶湯をスペーサ120の周りの集電体110上に流し込み、リチウムからなる金属層130を形成した。金属層130の厚さは、200μmであった。この場合、スペーサ120は、集電体110の表面積のうち0.2%以上10%以下の面積と接触することになる。
次いで、セパレータ140としてポリプロピレン製セパレータを、スペーサ120を介してリチウム金属全体を覆うように巻き付け、端部が袋状になるように熱封止した。このようにして金属層130とスペーサ120とセパレータ140とで囲まれた空間150を有する、実施例4による負極構造体100を得た。さらに、負極構造体100を実施例1で調製した電解液に浸漬し、空間150に電解液を充填した。
[実施例5]
実施例5では、柱状の形状を有するスペーサを用い、液溜部を備えた負極構造体を製造した。
図12は、実施例5による負極構造体を示す模式図である。
図12(A)は、実施例5による負極構造体と正極構造体とを積層し、設計容量の放電後の様子を模式的に示し、図12(B)は、その充電後の様子を模式的に示す。
集電体110として板状のCu金属(厚さ40μm)を用い、その片面に金属層130としてリチウム金属をラミネート加工した。ラミネート加工されたリチウム金属の厚さは、200μmであった。次に、厚さ200μmのPET製のシートをスペーサの高さが220μmとなるように柱状に切り出し、1mmピッチとなるように配置し、柱状の形状を有するスペーサ120を形成し、金属層130に押し付けた。この場合、スペーサ120は、集電体110の表面積のうち1%以上10%以下の面積と接触することになる。
セパレータ140としてポリプロピレン製セパレータを、スペーサ120を介してリチウム金属全体を覆うように巻き付け、金属層130とスペーサ120とセパレータ140とで囲まれた空間150を形成した。さらに、空間150の両端部に、ポリプロピレン製硬質ポリマー材で形成された断面形状がコの字型の型枠1210の内部に薄く靭性のあるポリプロピレン製のフィルム1220を配して形成した液溜部1230を配置した。このようにして得た液溜部1230を備える負極構造体1240を、実施例1で調製した電解液に浸漬し、空間150および液溜部1230に電解液を充填した。
次に、実施例1と同様に、金属メッシュ(直径16mm、厚さ0.2mm、目開き1mm)上にケッチェンブラック(登録商標)を1mg/cm塗布し、正極構造体1250を得た。電解液で充填させた負極構造体1240に正極構造体1250を貼り合わせ、拘束し、コインセル型電池とした。実装は、露点温度−50℃以下のドライルーム(乾燥空気内)で行った。
コインセルを用いて充放電を行い、液溜部1230の機能について調べた。なお、正極構造体1250には電解液が含浸されており、正極構造体1250を構成する正極材(ここではケッチェンブラック)の空孔率が80%以上であるため、放電反応により正極材の空隙を埋めるように過酸化リチウム1260が析出する。
酸素雰囲気中、水分濃度30ppm以下において、電流密度0.1mA/cmで2mAh放電を行った。放電後、図12(A)に示されるように、正極構造体1250には固体の過酸化リチウム1260が析出し、電解液は負極構造体1240側に押し出された。負極構造体1240では、リチウム金属が溶解して体積が減少し、その分空間150の容積が増加しているため、押し出された電解液がセパレータ140と金属層130との間の空間150を埋めた。
次いで、同じ条件で充電を行った。充電後、図12(B)に示されるように、正極構造体1250で析出した過酸化リチウム1260は分解し、設計量の金属層130を備えた負極構造体1240となった。金属層130とセパレータ140との間の電解液(電解液層)の厚さは、設計どおり20μmであった。
ここで、過酸化リチウムの密度は、理想的には、約2g/cmであり、空気電池放電反応によって生成される過酸化リチウムのそれは、1〜1.5g/cmであることが知られている。金属リチウムの密度は、理想的に電析しても、0.5g/cmである。これらのことから、放電後よりも充電後の方が単位面積当たりの電解液の液量は必ず多くなる(すなわち、図12における距離Aは距離Bより大きくなる)。したがって、図12(B)の充電後は、余剰の電解液量が発生するが、負極構造体1240は液溜部1230を有するため、余剰の電解液を液溜部1230に保持できる。一方、図12(B)から図12(A)に至る放電時には、液溜部1230に保持された電解液は、リチウム金属の溶解の程度に応じて、液溜部1230から注液される。したがって、充放電のいずれの状態においても、負極構造体1240と正極構造体1260との間を気泡等なく電解液で完全に充填することができる。
なお、実施例3、4等の負極構造体においても、外周部に液溜部を備えていてもよいことはいうまでもない。
本発明の負極構造体は、アルカリ金属やアルカリ土類金属等の金属を含有する負極を利用した空気電池、金属電池等に利用される。
100、610、1240 負極構造体
110、520、635 集電体
120、210、310、410、650 スペーサ
130 金属層
140、660 セパレータ
150、670 空間
160、1230 液溜部
500 空気電池
510、620、1250 正極構造体
530 正極材
600、800 コインセル
630 コインセル型拘束具
640 リチウム金属
680 金属メッシュ
690 ケッチェンブラック(登録商標)
1210 型枠
1220 フィルム
1260 過酸化リチウム

Claims (20)

  1. 集電体と、
    前記集電体表面に被覆され、アルカリ金属、および/または、アルカリ土類金属を含有する金属層と、
    前記集電体上に配置され、前記金属層の厚さよりも大きな高さを有するスペーサと、
    前記スペーサを介して、前記金属層を覆うセパレータと
    を備え、前記金属層と前記スペーサと前記セパレータとで囲まれた空間を有する、金属電池用負極構造体。
  2. 前記スペーサは、格子状、柱状および梯子状からなる群から選択される形状を有する、請求項1に記載の負極構造体。
  3. 前記スペーサは、20μm以上1010μm以下の範囲の高さを有する、請求項1又は2に記載の負極構造体。
  4. 前記スペーサは、30μm以上500μm以下の範囲の高さを有する、請求項3に記載の負極構造体。
  5. 前記スペーサは、50μm以上300μm以下の範囲の高さを有する、請求項4に記載の負極構造体。
  6. 前記スペーサは、Al、Ta、TiO、ZnO、ZrO、SiO、B、P、GeO、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaO、Si、AlNおよびAlO1−x(0<x<1)からなる群から選択される無機材料で形成される、請求項1〜5のいずれかに記載の負極構造体。
  7. 前記スペーサは、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリイミド系樹脂およびポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂からなる群から選択される有機材料で形成される、請求項1〜5のいずれかに記載の負極構造体。
  8. 前記ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレンおよび/またはポリプロピレンである、請求項7に記載の負極構造体。
  9. 前記ポリエステル系樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、および、ポリトリブチレンテレフタレート(PTT)からなる群から選択される、請求項7に記載の負極構造体。
  10. 前記スペーサは、絶縁性高分子でコートされている、請求項1〜9のいずれかに記載の負極構造体。
  11. 前記絶縁性高分子は、ポリエチレンオキサイド(PEO)である、請求項10に記載の負極構造体。
  12. 前記スペーサは、前記集電体の表面積のうち0.2%以上10%以下の面積と接触している、請求項1〜11のいずれかに記載の負極構造体。
  13. 前記金属層は、酸素を通過しない酸素バリア膜でコートされている、請求項1〜12のいずれかに記載の負極構造体。
  14. 前記空間には電解液が充填されている、請求項1〜13のいずれかに記載の負極構造体。
  15. 前記電解液は、アルカリ金属塩、および/または、アルカリ土類金属塩を含有する、水系または非水系電解液である、請求項14に記載の負極構造体。
  16. 前記セパレータは、合成樹脂またはセラミックからなる多孔質膜、ガラス繊維および不織布からなる群から選択される、請求項1〜15のいずれかに記載の負極構造体。
  17. 前記空間に連通し、電解液を溜める液溜部をさらに備える、請求項1〜16のいずれかに記載の負極構造体。
  18. 前記集電体は、板状の形状を有し、前記金属層は、前記板状の集電体の両面に付与されている、請求項1〜17のいずれかに記載の負極構造体。
  19. 正極構造体と負極構造体とが交互に積層された金属電池であって、
    前記負極構造体は、請求項1〜18に記載の負極構造体である、金属電池。
  20. 前記正極構造体は、集電体と、前記集電体に接合された正極材とを備え、
    前記集電体または前記正極材に、一方の側面から対向する側面に連通するガス流路用の溝または孔を有する、請求項19に記載の金属電池。
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