JPWO2019003612A1 - センサ基板およびセンサ装置 - Google Patents

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Abstract

センサ基板は、上面および下面を有する絶縁基板と、絶縁基板の上面に位置する第1検知電極と、絶縁基板の下面に位置する第2検知電極と、第1検知電極と第2検知電極とに挟まれた部分において絶縁基板の内部に位置する、少なくとも1層の導体層を含む発熱部とを備えている。発熱部と第1検知電極との間における絶縁基板の厚さと、発熱部と第2電極との間における絶縁基板の厚さとが同じである。

Description

本発明は、絶縁基板と、絶縁基板に設けられた電極とを含むセンサ基板およびセンサ装置に関する。
自動車等の排気ガスに含まれる煤を主成分とする粒子状物質(Particulate Matter:PM)を補集するためにDPF(Diesel Particulate Filter)等が設置されている。このDPF等の異常を検出するためのPM検出センサとして、酸化アルミニウム質焼結体等のセラミック焼結体からなる絶縁基板と、絶縁基板の表面に位置する検知電極等を備える粒子状物質検出装置が開示されている(例えば、特許文献1)。この装置は、排気ガス中に含有されるPM等の被検知物が一対の検知電極間に付着することで生じる電気的特性の変化に基づいて粒子状物質を検出している。
このような粒子状物質検出装置においては、検知電極間にPMが付着した後には、新たにPMを検知する機能が低下する。
本発明の一つの態様のセンサ基板は、上面および下面を有する絶縁基板と、前記絶縁基板の上面に位置する第1検知電極と、前記絶縁基板の下面に位置する第2検知電極と、前記第1検知電極と前記第2検知電極とに挟まれた部分において前記絶縁基板の内部に位置する、少なくとも1層の導体層を含む発熱部とを備えており、前記発熱部と前記第1検知電極との間における前記絶縁基板の厚さと、前記発熱部と前記第2電極との間における前記絶縁基板の厚さとが同じである。
本発明の一つの態様のセンサ装置は、上記構成のセンサ基板と、前記第1検知電極および前記第2検知電極に電力を供給する電源とを備える。
(a)は、本発明の実施形態のセンサ基板を示す上面図であり、(b)は(a)のA−A線における断面図である。 本発明の他の実施形態のセンサ基板を示す断面図である。 (a)は、本発明の他の実施形態のセンサ基板を示す上面図であり、(b)は(a)のB−B線における断面図である。 本発明の実施形態のセンサ装置を示す断面図である。
本発明の実施形態のセンサ基板およびセンサ装置について、添付の図面を参照して説明する。以下の説明において、上面等のように上下を区別して記載しているが、これは便宜的なものであり、実際にセンサ基板等が使用される際の上下を限定するものではない。
図1(a)は、本発明の実施形態のセンサ基板を示す上面図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線における断面図である。
センサ基板10は、例えばディーゼルエンジン車またはガソリンエンジン車の排気ガス中の煤等の粒子状物質(Particulate Matter:PM)を検知するセンサ装置に用いられる(例えば、自動車の排気ガスの排気通路に配設される)ものである。このセンサ基板10は、上面および下面を有する絶縁基板1と、この絶縁基板1の上面に位置する検知電極2と、絶縁基板1の下面に位置する第2電極2と、絶縁基板1の内部に位置する発熱部4とによって基本的に構成されている。発熱部4は、実際に抵抗発熱する導体層5を少なくとも1層含んでいる。
この導体層5は、絶縁基板1のうち第1検知電極2と第2検知電極3とに挟まれた部分に位置している。また、導体層5は、絶縁基板1のうち第1検知電極2と第2検知電極3とに挟まれた部分にあればよく、必ずしも、平面視で第1検知電極2または第2検知電極3と重なる位置である必要はない。また、第1および第2検知電極2、3は、それぞれに正極2a、3aおよび負極2b、3bを含んでいる。正負少なくとも1対の電極(電極の総称としては符号なし)が、それぞれ絶縁基板1の上面および下面において第1検知電極2または第2検知電極3を構成している。なお、以下においても、第1検知電極2および第2検知電極3を区別せず、単に検知電極または電極という場合がある。また、第1検知電極2および第2検知電極3のそれぞれにおいて、正極2a、3aと負極2b、3bとを区別せず、単に第1検知電極2、または第2検知電極3という場合がある。
第1検知電極2および第2検知電極3(つまり絶縁基板1の上面側および下面側)において、絶縁基板1に付着するすす等の粒子状物質によって、センサ基板10が配置された環境における粒子状物質の存在を検知することができる。すなわち、上記粒子状物質を介して正極2a、3aと負極2b、3bとの電気的な絶縁性の低下または短絡等の変化が生じる。この変化によって、センサ基板10が配置された環境における粒子状物質の存在を検知することができる。この短絡は、例えば正極2a、3aと負極3a、3bとに接続された外部の検知回路によって検知することができる。なお、上記の環境は、例えば前述した自動車の排気ガスである。
第1検知電極2および第2検知電極3のそれぞれにおいて、正極2a、3sおよび負極2b、3bが、絶縁基板1の上面または下面に位置している。図1に示す例では、第1検知電極2は、正極2aおよび負極2bは、互いにかみ合うように対向しているくし歯状電極である。また、第2検知電極3も、正極3aおよび負極2bが互いにかみ合うように対向しているくし歯状電極である。第1検知電極2と第2検知電極3とは、互いに同じ線幅および隣接間隔であり、互いに同じパターンである。これによって、絶縁基板1の上面および下面の両方において同様に粒子状物質の検知ができる。
なお、第1検知電極2と第2検知電極3とは、必ずしも、互いに同じパターンである必要はない。例えば、センサ基板1が配置される環境に応じて、粒子状物質の存在をより高い感度で検知したい側で、正極(2aまたは3a)と負極(2bまたは3b)との間の間隔をより小さくするようにしてもよい。
ここで、図1において第1検知電極2および第2検知電極3のいずれかを含む領域が、粒子状物質の検出が可能な有効領域(すなわち粒子状物質の付着が予想される領域)である。センサ基板3が、自動車の排気ガス等の環境中に配置されるときには、この有効領域が環境中に位置するように実装される。
第1検知電極2および第2検知電極3は、それぞれ、端子部分2Tを介して外部の直流電源(図1では図示せず)の正極または負極に接続されている。また、後述する発熱部4も端子部分4Tを介して外部の直流電源に接続されている。検知電極の端子部分2Tおよび発熱部の端子部分4Tは、それぞれ検知電極または発熱部4と一続きの導体であり、検知電極または発熱部4の一部とみなすこともできる。
なお、検知電極の端子部分2Tは、検知電極2、3の正極2a、3aに続く部分が直流電源の正極に接続されている。また、端子部分2Tは、検知電極2、3の負極2b、3bに続く部分が直流電源の負極に接続されている。この場合、発熱部の端子部分4Tは、上記と同じ直流電源の正極および負極に接続されてもよく、異なる直流電源の正極および負極に接続されてもよい。この選択は、制御、電流値、回路設計および生産性等の条件に応じて、適宜行なうようにして構わない。
絶縁基板1の内部には、少なくとも1層の導体層5を含む発熱部4が位置している。図1に示す例では、絶縁基板1の内部に2層の導体層5が位置している。これらの導体層5は、第1検知電極2と第2検知電極3とに挟まれた部分に位置している。前述したように、第1検知電極2と第2検知電極3とに挟まれた部分とは、図1(b)に示すような断面視において第1検知電極2と第2検知電極3との間に位置する部分である。すなわち、図1に示す例では、導体層5の一部が平面視で第1検知電極2および第2検知電極3とそれぞれに重なっている。ただし、導体層5は、必ずしも、第1検知電極2および第2検知電極3と平面視で重なっているものである必要はない。
発熱部4は、前述したように外部の直流電源(例えば、20V)に接続されている。この発熱電極4は、例えば約700℃に加熱され、第1検知電極2、第2検知電極3およびそれらの電極付近に付着した粒子状物質を分解除去する。発熱部4における発熱は抵抗発熱である。発熱部4は、導体層5が実際に発熱する部分である。図1に示す例では、上記の端子部分4Tから導体層5にかけて、電気抵抗が比較的小さい接続導体6が配置されている。接続導体6に比べて線幅が小さい導体層5において電気抵抗が比較的大きくなり、端子部分4Tから供給される電流によって抵抗発熱が生じる。発熱部4は、絶縁基板1の内部に位置するヒーター(導体層5)と、絶縁基板1の上面および下面のそれぞれからヒーターに電流を供給する配線(端子部分4Tおよび接続導体6)とを含むものとみなすこともできる。
発熱部4を構成している導体層5は、平面視において絶縁基板1の外周部に位置している。これによって、外部に熱が逃げやすい上記の外周部を含めて、効率よく第1検知電極2および第2検知電極3を加熱することができる。そのため、第1検知電極2および第2検知電極3ならびにそれらの付近に付着した粒子状物質を効果的に加熱して、分解除去することができる。すなわち、いわゆる再生に要する時間を極力短く抑えることができる、実用性の高いセンサ装置の製作が容易なセンサ基板10とすることができる。
図1に示す例では、絶縁基板1の内部において上下に位置する導体層5のそれぞれは、絶縁基板1の上面または下面に近接して位置している。上側の導体層5は、第1検知電極2の直下において絶縁基板1の内部に位置している。下側の導体層5は、第2検知電極3の直上において絶縁基板1の内部に位置している。上側の導体層5は、主として第1検知電極2を加熱するヒーターとして機能する。下側の導体層5は、主として第2検知電極3を加熱するヒーターとして機能する。
また、実施形態のセンサ基板10において、発熱部4(導体層5)と第1検知電極2との間における絶縁基板1の厚さT1と、発熱部4(導体層5)と第2電極3との間における絶縁基板1の厚さT2とが互いに同じである。発熱部4(導体層5)と第1検知電極2または第2電極3との間における絶縁基板1の厚さT1、T2とは、例えば図1(b)に示すような断面視において、第1検知電極2および第2検知電極3のそれぞれと導体層2との互いに対向し合う面同士の間の距離である。なお、以下において、簡単のため、発熱部4と第1検知電極2との間における絶縁基板1の厚さT1を上部厚さT1という場合があり、発熱部4と第2電極3との間における絶縁基板1の厚さT2を下部厚さT2という場合がある。
上部厚さT1と下部厚さT2とは、互いに厳密に同じ数値である必要はなく、後述する絶縁基板1の作製、第1電極2、第2電極3および導体層5の形成時の加工精度およびばらつき等によるもの程度に異なっていても構わない。例えば、絶縁基板1の厚みが約0.8〜1.5程度であり、センサ基板10が後述するようなセラミックグリーンシート積層法で製作される場合であれば、約0.1〜0.3mm程度に上部厚さT1と下部厚さT2とが互いに異なっていてもよい。
絶縁基板1は、例えば直方体状であり、第1検知電極2、第2検知電極3および発熱部4のそれぞれを、互いに電気的に絶縁して設けるための基体部分である。この絶縁基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、ガラスセラミック焼結体またはジルコニア系セラミック(酸化ジルコニウム質焼結体)等のセラミック焼結体によって形成されている。絶縁基板1は、このようなセラミック焼結体からなる複数の絶縁層が積層されている。センサ基板10は、例えば以下に示すようにセラミックグリーンシート積層法で製作することができる。
絶縁基板1は、例えば、酸化アルミニウム質焼結体からなる複数の絶縁層が積層されて形成されている場合であれば、以下の方法で製作することができる。なお、以下のように製作された絶縁基板1では、上下に位置し合う絶縁層同士が、両者の界面部分で焼結し合う。そのため、これらの絶縁層の層間の位置を明確には視認できない場合がある。
まず、酸化アルミニウム(Al)の粉末に焼結助材として酸化珪素(SiO)、酸化マグネシウム(MgO)および酸化マンガン(Mn)等の原料粉末を添加し、さらに適当なバインダ、溶剤および可塑剤を添加する。次に、これらの混合物を混錬してセラミックスラリーを作製する。次に、このセラミックスラリーをドクターブレード法またはカレンダーロール法等によってシート状に成形してセラミックグリーンシートを作製する。その後、セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともに、必要に応じて複数枚のセラミックグリーンシートを積層し、高温(約1300〜1600℃)で焼成する。以上の工程によって、絶縁基板1を製作することができる。
なお、絶縁基板1は、アルミナおよびマンガンを含む結晶相と、マンガンを含有するガラス相とを含んでいてもよい。結晶相には、アルミナ以外に、ムライト、ジルコニア、窒化アルミニウムまたはガラスセラミックス等の各種セラミックスを含んでいてもよい。
ガラス相は、少なくともMnを含む非晶質相であり、Si、Mg、Ca、Sr、B、Nb、CrおよびCoから選ばれる1種以上の物質の酸化物をさらに含んでいてもよい。ガラス相は、Mn、SiOおよびMgOを含む非晶質相であってもよい。
マンガンを含有するガラス相が、絶縁基板の上面および下面等の表面に露出するように存在することで、クラックの起点となる欠陥が少ない、割れの生じにくい絶縁基板1が得られる。アルミナを含む結晶相よりもガラス相のほうが、ヤング率が低いので、例えば排気ガスと接触したときに、絶縁基板1への水滴の付着による熱衝撃が緩和され、割れの発生を抑制できる。
第1および第2検知電極は、例えば自動車の排気ガス等の高温の気流等の環境において、その全体が参加するようなことがない金属材料で形成されている。これによって、長期間にわたる粒子状物質の検知ができるようになっている。このような金属材料としては、例えば、不動態化しやすい金属材料および白金等の金属材料が挙げられる。白金は、高温における耐酸化性に優れる物性を有しているため、その全体が参加するような可能性が小さい。また、不動態化しやすい金属材料は、露出する表面が不動態膜で覆われるため、その全体が参加するような可能性が小さい。
不動態化しやすい金属材料としては、例えば、鉄、アルミニウム、ニッケル、チタン、クロムおよびケイ素の少なくとも一種を含む卑金属系材料が挙げられる。検知電極を形成している金属材料は、例えばこのような卑金属系材料の少なくとも一種を約80質量%以上の割合で含有している。これらの卑金属系材料は粒子状物質の分解に対して触媒作用がないため、付着した粒子状物質が誤って分解される可能性を低減して、検知精度を高める上では有利である。
検知電2を形成している金属材料の主成分が上記卑金属系材料であるときに、金属材料が他の金属成分を含有していても構わない。また、この他の金属材料は、必ずしも不動態膜を形成しやすい金属材料である必要はなく、他の金属材料(例えばタングステン等)であってもよい。
第1検知電極2および第2検知電極3は、例えば次のようにして形成されている。すなわち、まず、上記の卑金属系材料の粉末を有機溶剤およびバインダとともに混練して金属ペーストを作製する。次に、この金属ペーストを、絶縁基板1となるセラミックグリーンシートの主面等に所定パターンで塗布する。金属ペーストの塗布は、例えばスクリーン印刷法によって行なう。その後、これらの金属ペーストとセラミックグリーンシートとを同時焼成する。以上の工程によって検知電極2を有する絶縁基板1を作製することができる。
表面に酸化物を含む不動態膜が形成される金属材料としては、より具体的には、例えばFe−Ni−Cr−Ti−Al合金やMoSi金属等を用いることができる。不動態膜の厚みは、例えば0.1〜5μm程度に設定される。この程度の厚みであれば、検知電極3a〜3hの表面部が効果的に不動態膜で覆われ、その全体または大部分が酸化するような可能性が効果的に低減される。
第1検知電極2および第2検知電極3それぞれの表面部は、面積の割合で、その90%程度が不動態膜を含んでいてもよい。言い換えれば、第1検知電極2および第2検知電極3それぞれの露出表面のうち90%以上が不動態膜で覆われていてもよい。これにより、検知電極全体に酸化が進行する可能性が効果的に低減される。
また、第1検知電極2および第2検知電極3それぞれの表面部は、その全体が不動態膜を含んでいてもよい。言い換えれば、それぞれの検知電極の露出表面の全域が不動態膜で覆われていてもよい。これにより、ぞれぞれの検知電極において、その全体に酸化が進行する可能性がより効果的に低減される。
なお、第1検知電極2および第2検知電極3それぞれの端子部分2Tについても、上記と同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。また、第1検知電極2および第2検知電極3それぞれの端子部分2Tについても、上記と同様にめっき層で被覆するようにしてもよい。
また、第1検知電極2および第2検知電極3それぞれの端子部分2Tの表面には、さらに電解めっき法または無電解めっき法によって金属めっき層が被着されていてもよい。金属めっき層は、ニッケル,銅,金または銀等の耐食性や接続部材との接続性に優れる金属から成るものである。この金属めっき層として、例えば、厚さ0.5〜10μm程度のニッケルめっき層と0.1〜3μm程度の金めっき層とが、あるいは厚さ1〜10μm程度のニッケルめっき層と0.1〜1μm程度の銀めっき層とが、順次被着される。これによって、ぞれぞれの検知電極の端子部分2Tが腐食することを効果的に抑制できる。また、上記めっき層の間に上記以外の金属からなる金属めっき層、例えば、パラジウムめっき層等を介在させることとしてもよい。
発熱部4の導体層5および接続導体6ならびに端子部分4Tは、例えば第1および第2検知電極2、3と同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。発熱部4(特に導体層5)を形成する金属材料としては、特に効率よく発熱させるために、電気抵抗率が高い鉄、チタン、クロムおよびケイ素等を含む材料が挙げられる。また、発熱部4は、白金またはFe−Ni−Cr合金等の酸化しにくい金属を主成分として含むものであってもよい。
上記の金属材料は、例えば発熱部の導体層5等に約80質量%以上含有され、発熱部4の主成分となっている。発熱部4は、この金属材料以外に、ガラスまたはセラミック等の無機成分が含有されていてもよい。これらの無機成分は、例えば絶縁基板1との同時焼成で発熱電極7を形成するときの、焼成収縮の調整用等の成分である。
なお、発熱部4において、接続導体6と端子部分4Tとは、絶縁基板1の一部を厚み方向に貫通する貫通導体(符号なし)を介して互いに電気的に接続されている。この貫通導体は、接続導体6の一部と見ることもでき、後述する接続導体6と同様の金属材料を用い、同様の方法で形成することができる。
第1検知電極2、第2検知電極3、導体層5および接続導体6(貫通導体を含む)は、例えば上記の金属材料の粉末を有機溶剤およびバインダとともに混練して金属ペーストを作製して、この金属ペーストを、絶縁基板1となるセラミックグリーンシートの表面およびあらかじめパンチング等の方法で形成しておいた貫通孔に所定パターンで塗布または埋め込む。金属ペーストの塗布または埋め込みは、例えばスクリーン印刷法等の印刷法によって行なう。第1検知電極2、第2検知電極3、導体層5および接続導体6(貫通導体を含む)となる金属ペーストを印刷したセラミックグリーンシートを、必要に応じて他のセラミックグリーンシートとともに複数積層し、これらの金属ペーストとセラミックグリーンシートとを同時焼成する。以上の工程によって、第1検知電極2、第2検知電極3、導体層5および接続導体6を含むセンサ基板10を製作することができる。
上記製作に際して、上部厚さT1と下部厚さT2とを互いに同じにするには、例えば、発熱部4と第1検知電極2との間に位置する絶縁層の厚さおよび層数と、発熱部4と第2電極3との間に位置する絶縁層の厚さおよび層数とを互いに同じに設定すればよい。この場合に、上記セラミックグリーシートの加工時等の精度に応じて絶縁層の厚みにばらつきが生じる可能性があるが、前述したように、このばらつき等の起因する程度の上部厚さT1と下部厚さT2との相違は許容される。
なお、発熱部4と第1検知電極2との間に位置する絶縁層と、発熱部4と第2電極3との間に位置する絶縁層とは、例えば各絶縁層の厚さが上部厚さT1側と下部厚さT2側とで互いに異なっていてもよい。この場合には、その各層の厚さと層数とを掛け合わせた(乗じた)数値が上下で同じになるようにすればよい。
図2は、本発明の他の実施形態のセンサ基板を示す断面図である。図2において図1と同様の部位には同様の符号を付している。図2に示す例では、絶縁基板1の内部には1層の導体層5のみが配置されている。この、他の実施形態のセンサ基板10においては、上記導体層5と、接続部6および端子部分4Tとが発熱部4を構成している。この例においては。発熱部4の構成のみが図1に示す例と異なり、他の部分は同様の構成である。これらの同様の構成に関する説明は省略する。
図2に示す例においても、第1検知電極2と第2検知電極3とに挟まれた部分において絶縁基板1の内部に導体層5を含む発熱部4が位置している。また、発熱部4と第1検知電極2との間における絶縁基板1の厚さ(上部厚さ)T1と、発熱部4と第2電極3との間における絶縁基板の厚さ(下部厚さ)T2とが互いに同じである。
図2に示す例では、1層の導体層5によって、絶縁基板1の上下面に同様に熱が供給され、第1検知電極2および第2検知電極3の両方が加熱される。これによって、第1検知電極2および第2検知電極3ならびにこれらの付近に付着した粒子状物質が加熱され、除去される。この場合には、1層の導体層5で第1検知電極2および第2検知電極3の両方を加熱できるため、センサ基板5の薄型化に関しては有利である。また、加熱の効率を高めて低消費電力化を図ることもできる。
また、図2に示す例においても、上部厚さT1と下部厚さT2とが同じであるため、絶縁基板1の上面側および下面側の両方を効果的に加熱することができる。したがって、この場合にも、第1検知電極2および第2検知電極3ならびにそれらの付近に付着した粒子状物質を、効果的に除去することができる。
なお、前述した図1に対応した実施形態のように、発熱部4が、第1検知電極2に近接して絶縁基板の上面直下に位置する導体層5と、第2検知電極3に近接して絶縁基板1の下面直上に位置する導体層5とを含んでいる場合には、例えば、以下のような点に関して有利である。
すなわち、この場合には、第1検知電極2および第2検知電極3のそれぞれに導体層3を近づけることが容易であるため、付着した粒子状物質の効果的な加熱の点では有利である。また、第1検知電極2側と第2検知電極3側とで導体層5に供給する電力(電流値)を調整することもできる。そのため、第1検知電極2側と第2検知電極3側とで付着した粒子状物質の量等の除去しやすさが異なるようなことが生じたとしても、加熱の条件(通電量)をそれぞれに合わせて調整することも容易である。そのため、導体層5の抵抗発熱における電力の有効な活用に適している。これによって、例えば上記電力を供給する自動車のバッテリーへの負荷を軽減して、燃費および耐久性等の自動車としての性能および実用性等を向上させるようなことも容易にできる。
図3(a)は、本発明の他の実施形態のセンサ基板を示す上面図であり、図3(b)は図3(a)のB−B線における断面図である。図2において図1と同様の部位には同様の符号を付している。図3に示す例においては、発熱部4に含まれる導体層5が、平面視において絶縁基板1の外周部のみに位置している。また、図3に示す例では、個々の電極が柱状であって露出する端面が実際に電極として機能するものになっている。この、他の実施形態のセンサ基板10においては、上記導体層5と、接続部6および端子部分4Tとが発熱部4を構成している。この例においては、導体層4の配置形態および電極の形態のみが図1に示す例と異なり、他の部分は同様の構成である。この同様の構成に関する説明は省略する。
発熱部4に含まれる導体層5が、平面視において絶縁基板1の外周部のみに位置していることによって、外部に熱が逃げやすい絶縁基板1の外周部から絶縁基板1の平面視における中央部に向かって効果的に熱を伝導させて、付着した粒子状物質を加熱することができる。また、平面視における絶縁基板1の中央部には導体層5が位置していないため、導体層5の発熱による加熱が、上記中央部で不要に重複することが抑制される。そのため、導体層5に供給される電力が無駄に消費されることが抑制され、付着した粒子状物質をより小さい電力で効率よく加熱することができる。
また、図3に示す例では、平面視において導体層5は第1検知電極2および第2検知電極3のいずれとも重なっていない。導体層5は、このように、第1検知電極2および第2検知電極3と重ならないように位置しているものでも構わない。この場合でも、平面視における絶縁基板1の外周部から中央部にかけて、導体層5から熱が効果的に伝導され、第1検知電極2および第2検知電極3ならびにそれらの付近に付着した粒子状物質を効果的に加熱して除去することができる。
また、図3に示す例においても、上部厚さT1と下部厚さT2とが同じであるため、絶縁基板1の上面側および下面側の両方を効果的に加熱することができる。したがって、この場合にも、第1検知電極2および第2検知電極3ならびにそれらの付近に付着した粒子状物質を、効果的に除去することができる。
また、図3に示す例において、第1検知電極2および第2検知電極3が柱状電極である。柱状電極は、絶縁基板1の厚み方向の一部を貫通する貫通導体(貫通導体としては符号なし)である。この貫通導体のうち絶縁基板1の上面または下面に露出する端面がが、実際に粒子状物質の付着を検知する部分として機能する。柱状電極は、互いの隣り合う正極2a、3aと負極2b、3bとを含んでいる。くし歯状電極の場合と同様に、正極2a、3aは直流電源の正極に接続され、負極2b、3bは直流電源の負極に接続される。
なお、図3において、検知電極の端子部分2Tと個々の検知電極とを電気的に接続している配線導体については、図を見やすくするために、1対の正極2a、3aと負極2b、3bとのみを示し、他は省略している。配線導体は、例えば、端子部分2Tから絶縁基板1の内部に向かって設けられた貫通導体の部分と、絶縁層の層間に位置する内部配線の部分とを含んでいる。貫通導体および内部配線は、配線導体の配置のスペースを考慮して、複数の層間に分散して配置されていてもよい。
この例のように各電極が柱状電極樽である場合には、正極2a、3aと負極2b、3bとの対を、くし歯状電極に比べて高い密度で絶縁基板1に配置することができる。そのため、粒子状物質の検知を効果手に検知することができる。また、複数対の正極2a、3aおよび負極2b、3bをそれぞれ異なる検知回路に電気的に接続しておけば、どの対の正極2a、3aおよび負極2b、3b間に粒子状物質が付着したかを検知することもできる。この場合には、例えばセンサ基板10が位置する環境のどの部分(例えば排気ガスの排出官内の位置)で粒子状物質が多いか等を検知することもできる。
図4は、本発明の実施形態のセンサ装置20を示す断面図である。センサ装置20は、上記いずれかの構成のセンサ基板10と、第1検知電極2および第2検知電極3に電力を供給する電源Pとを備えている。電源Pは、例えば先述したように直流電源である。直流電源は、例えば蓄電池であり、自動車等の粒子状物質を含むガスを排出する機器または施設等が備えるバッテリーである。
実施形態のセンサ装置20においては、第1検知電極2および第2検知電極3のそれぞれと接続されている端子部分2Tにリード端子11が接続され、このリード端子11を介して第1検知電極2および第2検知電極3と電源Pとが互いに電気的に接続されている。
リード端子11は、粒子状物質の検知に直接関与しない。そのため、リード端子11を形成する材料は、その用いられる環境、センサ基板10としての生産性および経済性等の条件に応じて、適宜選択してもよい。例えば、リード端子10a11が白金または金等の耐酸化性に優れた金属材料からなるものであれば、センサ装置10として11の信頼性の点で有利である。また、リード端子11は、経済性等を重視して、鉄−ニッケル−コバルト合金等の鉄系合金、または銅等からなるもので形成してもよい。また、リード端子10a,10bが11からなるときに、その露出する表面が金めっき層等のめっき層で保護されていてもよい。
リード端子11の端子部分2T等に対する接合は、例えば、銀ろう(銀銅ろう材)または金ろう等のろう材(符号なし)によって行なわれる。ろう材についても、リード端子11と同様に、センサ基板10が製造または使用されるときの種々の条件に応じて、適宜その材料が選択される。
また、発熱部4に含まれる端子部分4Tについても、例えば検知電極の端子部分2Tと同様に、リード端子(図示せず)等の導電性の接続材によって、電源に電気的に接続させることができる。発熱部4の端子部分4Tが電気的に接続される電源は、検知電極の端子部分2Tが電気的に接続される電源Pと同じでもよく、異なっていてもよい。この場合、発熱部4に必要な電力の大きさ等に応じて、適宜、その電源を選択するようにして構わない。
なお、本発明のセンサ基板およびセンサ装置は、以上の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内であれば種々の変更は可能である。例えば、第1検知電極2および第2検知電極3の互いに隣り合う正極2a、3aと負極2b、3bとの隣接間隔は、複数の電極間で互いに同じである必要はなく、一部において他の部分と異なっていてもよい。この場合には、上記隣接間隔が比較的小さい部分で、低濃度の粒子状物質(排気ガス中の粒子状物質の体積割合が小さいとき)の付着を感度よく検知することができる。同時に、上記隣接間隔が比較的大きい部分で、粒子状物質(排気ガス中の粒子状物質の体積割合が小さいとき)の付着の有無をより長期にわたって検知することができる。すなわち、感度の向上および長寿命化の両方に有効なセンサ基板およびセンサ装置とすることもできる。
1・・絶縁基板
2・・第1検知電極
2a・・正極
2b・・負極
3・・第2検知電極
3a・・正極
3b・・負極
4・・発熱部
5・・導体層
6・・接続導体
10・・センサ基板
11・・リード端子
20・・センサ装置

Claims (4)

  1. 上面および下面を有する絶縁基板と、
    前記絶縁基板の上面に位置する第1検知電極と、
    前記絶縁基板の下面に位置する第2検知電極と、
    前記第1検知電極と前記第2検知電極とに挟まれた部分において前記絶縁基板の内部に位置する、少なくとも1層の導体層を含む発熱部とを備えており、
    前記発熱部と前記第1検知電極との間における前記絶縁基板の厚さと、前記発熱部と前記第2電極との間における前記絶縁基板の厚さとが同じであるセンサ基板。
  2. 前記発熱部が、前記第1検知電極に近接して前記絶縁基板の上面直下に位置する導体層と、前記第2検知電極に近接して前記絶縁基板の下面直上に位置する導体層とを含んでいる請求項1記載のセンサ基板。
  3. 前記発熱部に含まれる前記導体層が、平面視において前記絶縁基板の外周部のみに位置している請求項1または請求項2記載のセンサ基板。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載のセンサ基板と、
    前記第1検知電極および前記第2検知電極に電力を供給する電源とを備えるセンサ装置。
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