JP4087100B2 - センサ用基板及びそれを備えるガスセンサ素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ用基板及びこれを備えるガスセンサ素子に関する。更に詳しくは、センサ用基板の作製時、或いはガスセンサに組み込まれて使用される際のリードフレーム等の熱膨張、熱収縮などにより、コンタクト端子とセラミック基体との間に空隙を生じたり、コンタクト端子がセラミック基体から剥離したりすることのないセンサ用基板、及びこのセンサ用基板を備え、出力信号が安定し、誤作動のないガスセンサ素子に関する。
本発明のガスセンサ素子は、ジルコニア厚膜型センサ、チタニア厚膜型センサ、全領域空燃比センサ等、自動車などの内燃機関から排出される排気ガスに含まれる酸素ガス及びNOxガス等の検知及び濃度測定に用いられるガスセンサの他、温度センサ、湿度センサ等の各種ガスセンサに組み込んで使用することができる。
【0002】
【従来の技術】
従来より、平板状の固体電解質体を用いたガスセンサ素子(以下、単に「素子」ということもある。)が知られている。また、これらの素子には、セラミックヒータが一体に、又は別体として配設されることが多い。更に、固体電解質体の表面には、被検出ガスに接触しない基準電極と、被検出ガスに接触する検知電極とが形成され、これらの電極間に発生する電圧を検出すること、及びこれらの電極間に流れる電流を検出すること、により被検出ガスに含まれる酸素ガス等の検知、或いは濃度測定などを行うことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このようなガスセンサ素子においては、基準電極及び検知電極からの信号の取り出し、或いはセラミックヒータへの電力の供給等のため、素子の表面に形成されたコンタクト端子にリードフレームが接続される。しかし、素子の製造時及び使用時等にリードフレームなどが熱膨張、又は熱収縮すること等により、素子の表面とコンタクト端子との間に空隙を生じ、使用時、抵抗が大きくなって出力信号が安定せず、素子が誤作動することがある。また、セラミックヒータでは、電力の供給が不安定になることがある。更に、コンタクト端子が素子の表面から剥離し、ガスセンサ素子として機能しなくなることもある。
【0004】
本発明は、上記の従来の問題点を解決するものであり、コンタクト端子がガスセンサ素子の表面に十分に密着し、素子の使用時等に、接続部における電気抵抗の上昇等のないセンサ用基板を提供することを目的とする。また、本発明は、このセンサ用基板を備え、出力信号及び電力の供給が安定し、誤作動することのないガスセンサ素子を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明のセンサ用基板は、セラミック基体と、該セラミック基体の表面に接合され、少なくとも金属成分を含有するコンタクト端子と、一端側が該コンタクト端子に押圧されることにより接続され、他端側が外部の電気回路に接続されたリードフレームと、を備えるセンサ用基板であって、上記コンタクト端子は、上記セラミック基体の表面に接合された基部と、該基部の表面に接合された表面部とを有し、該基部はセラミック成分を含有しており、該表面部は該基部より緻密であり、且つ、上記セラミック基体及び上記基部は、焼成により該セラミック基体となる未焼成セラミックシートと、焼成により該基部となる未焼成層とが同時焼成されて形成されていることを特徴とする。
【0006】
本発明では、上記セラミック基体に、測定雰囲気に含まれる特定のガスを検出する検出部が形成されており、該検出部と上記コンタクト端子の少なくとも一部とを接続するリード部が、上記セラミック基体の表面又は内部に形成されているセンサ用基板とすることができる。
また、上記基部は、50質量%以上の、白金、ロジウム及びパラジウムのうちの少なくとも1種を含有するセンサ用基板とすることができる。
更に、上記同時焼成が大気雰囲気においてなされるセンサ用基板とすることができる。
また、上記表面部がめっき法により形成されているセンサ用基板とすることができる。
更に、上記基部を100質量部とした場合に、上記セラミック成分は8〜50質量部であるセンサ用基板とすることができる。
本発明のガスセンサ素子は、上記の各々のセンサ用基板のいずれかを備えることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
上記「セラミック基体」は、どのようなセラミックスにより形成されていてもよいが、酸素イオン伝導性に優れる固体電解質体として各種ガスの検知に用いられるジルコニア、及び絶縁性に優れ、且つ機械的強度の大きいアルミナ等により形成することができる。このセラミック基体は、ジルコニア、アルミナ等からなる単層品であってもよいし、2種以上のセラミックス層からなる複層品であってもよい。更に、複数の同種のセラミックスを主成分とし、組成の異なるセラミックス層からなる複層品であってもよい。尚、セラミック基体がジルコニア層を有する場合は、少なくともセラミック基体の表面を形成するジルコニア層には、絶縁性に優れ、機械的強度等の大きいアルミナからなる表層が形成されることが多い。
【0008】
センサ用基板には検出部が形成される。この検出部は、ジルコニア固体電解質層等の酸素イオン伝導性に優れるセラミック層と、このセラミック層の片面、又は表裏面に形成される基準用及び検知用等の電極とにより形成される。電極は、白金、金、イリジウム、ロジウム、パラジウム等の触媒作用を有する貴金属元素、又はこれらの貴金属元素を主成分とし、少量のセラミックスを配合した導電材料により形成することができる。電極は、印刷法、めっき法、スパッタリング法等の一般的な方法により形成することができる。
【0009】
センサ用基板には、アルミナ層等の絶縁性に優れるセラミックス層に埋設される発熱抵抗体などを形成することもできる。発熱抵抗体も電極と同様の貴金属元素、又はこれを主成分とする導電材料により形成することができる。この導電材料は、白金と、イリジウム、ロジウム及びパラジウムのうちの少なくとも1種とからなることが好ましい。
【0010】
上記「コンタクト端子」は、通常、セラミック基体の表面の一方の端縁部に形成され、セラミック基体の表面に形成される上記「基部」と、この基部の表面に形成される上記「表面部」とからなる。基部は、セラミック基体の平面方向及び厚さ方向の所定部位に設けられたスルーホール等を通じて電極及び発熱抵抗体等に連設されたリード部の端部と導通される。また、表面部には、上記「リードフレーム」が押圧され、接続されて、電極からの信号の取り出し、或いは発熱抵抗体への電力の供給等がなされる。
【0011】
尚、リード部に含有される金属粒子の平均粒径は5μm以下であることが好ましく、このリード部に、セラミック成分が含有されていることがより好ましい。このようにすれば、リード部が緻密になり、無電解めっき法により表面部を形成した場合に、水が透過して発熱抵抗体等のリード部の末端部に到達することが抑制される。これにより、加熱によって水が気化し、膨張することによるリード部の末端部近傍における基板の破損が防止される。
【0012】
コンタクト端子の基部は、電極及び発熱抵抗体等と同様に貴金属元素、或いはこれを主成分とする導電材料を使用し、印刷法等の同様の方法により形成することができる。基部は、50質量%以上の白金、ロジウム及びパラジウムのうちの少なくとも1種を含有することが好ましく、白金を含有することが特に好ましい。これらの貴金属元素、特に、白金は、焼成によりセラミック基体となる未焼成セラミックシートと同時焼成することにより、基部とすることができる。更に、白金は酸化し難いため、大気雰囲気下に焼成することができ、簡易な装置、簡便な操作により焼成することができる。
【0013】
表面部は、基部より「緻密」に形成される。この緻密の程度は、基部又は表面部の任意の断面における空孔の面積百分率(以下、「気孔率」という。)により評価することができる。基部は、通常、多孔質体からなり、気孔率は5〜40%であり、基部より緻密とは、表面部の気孔率が、基部の気孔率を下回っていることを意味している。表面部の気孔率が高く、基部に比べて十分に緻密でない場合は、素子の製造時、或いは使用時等におけるリードフレーム等の熱膨張、熱収縮などにより、基部とセラミック基体の表面との間に空隙が生じたり、基部がセラミック基体の表面から剥離したりすることを十分に抑えることができない。
尚、気孔率は、基部及び表面部の任意の断面を走査型電子顕微鏡等により観察した視野において、又は撮影した写真において空孔部の面積を全体の面積で除して求めることができる。
【0014】
表面部が基部より緻密であることによって、基部とセラミック基体の表面との間の空隙の発生、及び基部とセラミック基体の表面との剥離をより確実に抑えることができる。基部には、50質量%以上の白金、ロジウム及びパラジウムのうちの少なくとも1種を含有させることが好ましいが、この場合、表面部には、ニッケル、銅、銀、金、白金、ロジウム及びパラジウム等を80質量%以上含有させ、表面部を基部より緻密にすることが好ましい。
【0015】
基部より緻密である表面部の形成方法も特に限定されず、表面部は、印刷法、めっき法、スパッタリング法等の一般的な方法により形成することができる。また、ガラス質材料に銀等の金属粉末を分散、含有させたペーストを、基部の表面に塗布し、焼き付ける、所謂、二次メタライジング法により形成することもできる。これらの方法のうちでは、均質で、薄く、且つ平滑な表面部を容易に形成することができるめっき法が特に好ましい。表面部が平滑であれば、リードフレーム等の熱膨張、又は熱収縮によるコンタクト端子の剥離等をより確実に防止することができる。更に、このめっき法では、基部を白金等の貴金属元素により形成した場合に、白金等をめっきの核種となる程度の、例えば、1μm程度の厚さとしても、実用上、十分に機能するコンタクト端子とすることができる。
【0016】
白金等からなるコンタクト端子は、通常、25〜40μmの厚さに形成されるが、めっき法によりニッケル等からなる表面部を形成した場合は、白金等からなる基部の厚さを10μm以下、特に5μm以下、更には1μm程度とすることができる。このように高価な貴金属元素の使用量を大きく低減させることにより、センサ基板のコストを引き下げることができる。
【0017】
めっき法は、電解めっき法であっても、無電解めっき法であってもよい。いずれの方法であっても、均質で、薄く、且つ平滑な表面部とすることができ、コンタクト端子としての機能においても差異はない。但し、操作性、生産性等を考慮すれば無電解めっき法がより好ましい。
【0018】
また、本発明においては、基部にセラミック成分を含有させていることにより、基部とセラミック基体との接合性を向上させている。基部に含有されるセラミック成分は、セラミック基体に含有されるセラミック成分と同種であってもよいし、異種であってもよい。基部に含有されるセラミック成分の含有量は、基部を100質量部とした場合に、8〜50質量部、特に10〜20質量部であることが好ましい。基部に含有されるセラミック成分が8質量部未満であると、セラミック基体とコンタクト端子とを十分に強固に接合させることができない傾向にある。一方、この含有量が50質量部を越えると、基部の電気抵抗が過大となり、好ましくない。
【0019】
更に、基部に特定のセラミック成分、特に、アルミナ、ジルコニア等のセンサ用基板によく用いられるセラミック成分を、上記の量比で含有させることによって、セラミック基体と基部との接合性をより向上させることもできる。
尚、このセンサ用基板では、特に、印刷法等により表面部が形成される場合は、表面部にもセラミック成分を含有させることができる。
【0020】
上記「リードフレーム」の材質は特に限定されないが、ステンレス鋼及びインコネル等の十分な強度と耐酸化性とを有する合金などが好ましい。更に、その形状も限定されず、円形又は方形等の断面を有する所定長さのものを使用することができ、特に、平板な形状であればコンタクト端子との接続が容易である。
【0021】
本発明のセンサ用基板は、ガスセンサ素子を形成する部材として有用である。このセンサ用基板では、コンタクト端子がセラミック基体から剥離したりすることがないため、出力信号が安定し、誤作動のないガスセンサ素子を形成することができる。
【0022】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
ガスセンサ素子の製造方法を図1により説明する。また、コンタクト端子とリードフレームとが接続された部分の概略を図2により説明する。更に、この素子を組み込んだガスセンサを図3により説明する。
【0023】
尚、以下の製造方法では、分かり易さのために、図1を用いて素子1個の大きさのシートに各々のパターンを印刷し、積層するかのように説明するが、実際の工程においては、複数個の素子を製造することができる大きさの未焼成セラミックシートに所要個数分の印刷を施し、積層した後、素子形状の未焼成積層体を切り出し、これらを脱脂し、焼成して素子を製造した。
【0024】
実施例1(基準酸素自己生成方式の酸素センサ素子)
[1]酸素センサ素子の製造
セラミック基体として、発熱抵抗体が埋設されたアルミナ層と、表面に電極が形成され、固体電解質体として作用するジルコニア層と、を備える積層体を用いて形成された基準酸素自己生成方式の酸素センサ素子について、素子を分解して模式的に表す図1を参照して説明する。
【0025】
(1)アルミナ層用未焼成シートの作製
アルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm)100質量部と、ブチラール樹脂14質量部と、ジブチルフタレート7質量部とを、トルエン及びメチルエチルケトンとからなる混合溶媒を用いて混合し、スラリーとした。その後、ドクターブレード法により、第1アルミナ層用未焼成シート及び第2アルミナ層用未焼成シートを作製した。第1アルミナ層用未焼成シートは厚さ0.4mm、長さ5cmであり、焼成後は第1アルミナ層11aとなる。第2アルミナ層用未焼成シートは厚さ0.25mm、長さ5cmであり、焼成後は第2アルミナ層11bとなる。
【0026】
(2)ヒータパターンの形成
アルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm)4質量部と、白金粉末100質量部とを含有する導電層用ペーストを、第1アルミナ層用未焼成シート(焼成後、第1アルミナ層11aになる。)の一方の面に印刷し、乾燥させて、発熱部パターン(焼成後、発熱部121になる。)を形成した。その後、ヒータリードパターン(焼成後、ヒータリード部122になる。)を印刷し、乾燥させ、ヒータパターン(焼成後、発熱抵抗体12になる。)を形成した。次いで、第1アルミナ層用未焼成シートの基端付近に発熱抵抗体12の導通を図るためのスルーホール111aを形成し、裏面のスルーホール111aに対応する位置に発熱抵抗体用コンタクト端子基部パターン(焼成後、発熱抵抗体用コンタクト端子の基部191aになる。)を印刷し、乾燥させた。その後、ヒータパターン上から第2アルミナ層用未焼成シート(焼成後、基体の上半分になる。)を積層し、圧着して接合させた。
【0027】
発熱抵抗体用コンタクト端子基部パターンの形成には、100質量部の白金に15質量部のアルミナを配合して調製したペーストを使用した。この基部パターンの平面形状は、6.5×1.8mmの矩形であって、厚さは20μmである(焼成後、図2における基部191aになる。)。
【0028】
(3)緩衝層パターンの形成
(2)で作製したセラミック積層体の第2アルミナ層用未焼成シート上に、アルミナ80質量部、ジルコニア20質量部を配合した緩衝層用ペーストを用いて、緩衝層パターン(焼成後、緩衝層13になる。)を40±10μの厚さに印刷し、乾燥させた。
【0029】
(4)基準電極パターンの形成
(3)で形成した緩衝層パターン上に、(2)で用いた導電層用ペーストを用いて、基準電極部パターン(焼成後、基準電極部141aになる。)及び基準電極リード部パターン(焼成後、基準電極リード部142aになる。)からなる基準電極パターン(焼成後、基準電極14aになる。)を20μm±10の厚さに印刷し、乾燥させた。
【0030】
(5)固体電解質体パターンの形成
ジルコニア粉末(純度99.9%以上、平均粒径0.3μm)50質量部、アルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3mm)50質量部、ブチルカルビトール33.3質量部、ジブチルフタレート0.8質量部、分散剤0.5質量部及びバインダ20質量部に、所要量のアセトンを加え、4時間混合した。その後、アセトンを蒸発させて、固体電解質体用ペーストを調合した。
この固体電解質体用ペーストを、基準電極部パターンを覆うように長さ方向に13mm、厚さ25±10μmに印刷し、乾燥させて、固体電解質体パターン(焼成後、固体電解質体15になる。)を形成した。
【0031】
(6)絶縁層パターンの形成
(1)で調合したスラリーに、ブチルカルビトール50質量部に所要量のアセトンを加え、4時間混合した。その後、アセトンを蒸発させて、絶縁層用ペーストを調合した。この絶縁層用ペーストを、緩衝層パターン上であり、固体電解質体パターンが印刷されていない部分に20±10μmの厚さで印刷し、乾燥させて、絶縁層パターン(焼成後、絶縁層16になる。)を形成した。但し、スルーホール161にあたる部分には印刷しなかった。
【0032】
(7)検知電極パターンの形成
(5)及び(6)で形成した固体電解質体パターンと絶縁層パターンの上に、(2)で調合した導電層用ペーストを用いて、検知電極部パターン(焼成後、検知電極部141bになる。)及び検知電極リード部パターン(焼成後、検知電極リード部142bになる。)からなる検知電極パターン(焼成後、検知電極14bになる。)を20±10μmの厚さに印刷し、乾燥させた。
【0033】
(8)補強層用未焼成シートの作製及び積層
(1)と同様な原料及び配合割合にて調合したスラリーを用いて、ドクターブレード法により第1補強層用未焼成シート及び第2補強層用未焼成シートを作製した。第1補強層用未焼成シートは厚さ0.25mm、長さ4cmであり、焼成後、第1補強層18aになり、基端部にはスルーホール181aが形成されている。第2補強層用未焼成シートは、厚さ0.4mm、長さ3.5cmであり、焼成後、第2補強層18bになり、基端部にはスルーホール181bが形成されている。
その後、第1補強層用未焼成シートを(7)で形成した検知電極パターンの電極リード部パターンを覆うように積層し、次いで、第2補強層用未焼成シートを、第1補強層用未焼成シート上に積層した。
【0034】
(9)電極用コンタクト端子基部パターンの形成
発熱抵抗体用コンタクト端子基部パターンの場合と同様のペーストを用いて、基準電極及び検知電極の各々と信号の入出力を行うための電極用コンタクト端子基部パターン(焼成後、電極用コンタクト端子の基部191bになる。)を、スルーホール181bに対応する位置に印刷し、乾燥させた。このパターンの平面形状及び高さは発熱抵抗体用コンタクト端子基部パターンの場合と同様である。
【0035】
(10)多孔質層用未焼成シートの作製及び積層
(1)と同様にして、アルミナ粉末(純度99.99%以上、平均粒径0.3μm)100質量部、カーボン粉末(真球状粒子、平均粒径5μm)22質量部、ブチラール樹脂12質量部及びジブチルフタレート7質量部を、トルエン及びメチルエチルケトンとからなる混合溶媒により混合し、スラリーとした。その後、ドクターブレード法により、厚さ175μm、長さ10mmの多孔質層用未焼成シートを作製した。
得られた多孔質層用未焼成シート(焼成後、多孔質層17になる。)を(7)で形成した検知電極部パターンを覆うように積層した。
【0036】
(11)コンタクト端子の表面部パターンの形成
アルミナの配合量を3部とした他は各々のコンタクト端子の基部の形成に用いたものと同様のペーストを用いて、それぞれのコンタクト端子の基部を形成するためのパターン上に、基部と同じ形状であり、厚さが25μmの表面部パターン(焼成後、図2における表面部192a、192bになる。)を印刷し、乾燥させた。
【0037】
(12)脱脂及び焼成
(1)〜(11)の工程によって形成された積層体を、大気雰囲気下、420℃で2時間保持し、脱脂した。その後、大気雰囲気下、1520℃で1時間保持し、焼成した。焼成後、各々のコンタクト端子の基部の大きさは5.44×1.51mm、厚さは13μmとなり、表面部の大きさは基部と同じであり、厚さは5μmとなった。
【0038】
(13)リードフレームの接続
(12)における焼成により得られた焼結体の表裏面に形成されたコンタクト端子19a、19bのそれぞれにインコネルからなるリードフレーム(図2における6)を当接させ、その外側からバネリングを嵌め込み、かしめることによって各々のリードフレームをコンタクト端子の表面部に押圧させ、密着させて接続し、酸素センサ素子を得た。
【0039】
このようにして得られた酸素センサ素子において、アルミナ層11aと11bとの間に埋設された発熱抵抗体12、アルミナ層11aの表面に形成された発熱抵抗体用コンタクト端子19a、及びこれらコンタクト端子19aに接続されたリードフレーム6により一方のセンサ用基板が形成される。また、緩衝層13、固体電解質体15、絶縁層16、多孔質層17、及び補強層18a、18bと、これらに埋設された基準電極14a、及び検知電極14b、補強層18bの表面に形成された電極用コンタクト端子19b、及びこれらコンタクト端子19bに接続されたリードフレーム6により他方のセンサ用基板が形成される。更に、これらのセンサ用基板が一体に接合されて酸素センサ素子が形成される。
【0040】
[2]コンタクト端子とリードフレームとの接続部分
コンタクト端子にリードフレームが接続された部分について図2を参照して説明する。
セラミック基体11の一面には、ヒータリード部122の末端部とスルーホールを通じて電気的に接続された発熱抵抗体用コンタクト端子19aが形成されている。また、セラミック基体11の他面には、基準電極リード部142a及び検知電極リード部142bの各々の末端部とスルーホールを通じて電気的に接続された電極用コンタクト端子19bが形成されている。発熱抵抗体用コンタクト端子19aは、セラミック基体11の表面に形成された基部191aと、この基部191aの表面に形成された表面部192aとからなり、表面部192aにはリードフレーム6が当接されている。更に、電極用コンタクト端子19bは、セラミック基体11の他面に形成された基部191bと、この基部191bの表面に形成された表面部192bとからなり、表面部192bにはリードフレーム6が当接されている。そして、これらはそれぞれのリードフレーム6の外方よりバネリング10により一体にかしめられ、各々のリードフレーム6は、それぞれ発熱抵抗体用コンタクト端子19a及び電極用コンタクト端子19bに電気的に確実に接続される。
【0041】
[3]酸素センサの構造
(1)で得られた酸素センサ素子1を組み込んでなる酸素センサを図3を参照して説明する。
この酸素センサにおいて、センサ素子1は主体金具21に収納され、セラミックホルダ3、タルク粉末4及びセラミックスリーブ5により支持され、固定されている。この主体金具21の下部には、センサ素子1の下部を覆う複数の孔を有する2重構造の金属製のプロテクタ22が取り付けられ、主体金具21の上部には外筒23が嵌め込まれている。また、外筒23の上部には、センサ素子1を外部回路と接続するためのリード線7を分岐挿通する貫通孔が設けられたセラミックセパレータ8及びグロメット9が配設されている。
【0042】
【発明の効果】
本発明のセンサ用基板では、作製時、或いはガスセンサに組み込まれて使用される際のリードフレーム等の熱膨張、熱収縮などにより、コンタクト端子とセラミック基体との間に空隙を生じたり、コンタクト端子がセラミック基体から剥離したりすることがない。
また、セラミック基体に、特定のガスの検出部が形成されたセンサ用基板とすれば、各種のガスセンサに組み込んで使用することができ。
更に、基部に特定の金属を含有させることにより、セラミック基体となる未焼成セラミックシートと同時焼成することができ、特に、白金のように酸化され難い金属を使用すれば、大気雰囲気において焼成することができ、簡便な装置により、簡易な操作でセンサ用基板を作製することができる。
また、表面部をめっき法により形成することにより、均質で、緻密、且つ平滑な表面部とすることができ、リードフレーム等の熱膨張、又は熱収縮によるコンタクト端子の剥離等がより確実に防止されるセンサ用基板とすることができる。
更に、基部に特定量のセラミック成分を含有させることにより、基部とセラミック基体との接合性をより向上させることができる。
【0043】
本発明のガスセンサ素子では、上記の各々のセンサ用基板のいずれかを備えることにより、出力信号が安定し、誤作動することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において製造した酸素センサ素子を分解して模式的に表す斜視図である。
【図2】セラミック基体の表面に形成されたコンタクト端子に、リードフレームを押圧して、接続した様子を表す断面図である。
【図3】酸素センサ素子を組み込んだ酸素センサの断面を示す模式図である。
【符号の説明】
1;ガスセンサ素子、11;セラミック基体、11a;第1アルミナ層、11b;第2アルミナ層、111a;スルーホール、12;発熱抵抗体、121;発熱部、122;ヒータリード部、13;緩衝層、14a;基準電極、14b;検知電極、15;固体電解質層、16;絶縁層、17;多孔質層、18a;第1補強層、18b第2補強層、19a;発熱抵抗体用コンタクト端子、19b;電極用コンタクト端子、191a、191b;基部、192a、192b;表面部、21;主体金具、22;プロテクタ、23;外筒、3;セラミックホルダ、4;タルク粉末、5;セラミックスリーブ、6;リードフレーム、7;リード線、8;セラミックセパレータ、9;グロメット、10;バネリング。
Claims (7)
- セラミック基体と、該セラミック基体の表面に接合され、少なくとも金属成分を含有するコンタクト端子と、一端側が該コンタクト端子に押圧されることにより接続され、他端側が外部の電気回路に接続されたリードフレームと、を備えるセンサ用基板であって、
上記コンタクト端子は、上記セラミック基体の表面に接合された基部と、該基部の表面に接合された表面部とを有し、該基部はセラミック成分を含有しており、該表面部は該基部より緻密であり、
且つ、上記セラミック基体及び上記基部は、焼成により該セラミック基体となる未焼成セラミックシートと、焼成により該基部となる未焼成層とが同時焼成されて形成されていることを特徴とするセンサ用基板。 - 上記セラミック基体には、測定雰囲気に含まれる特定のガスを検出する検出部が形成されており、該検出部と上記コンタクト端子の少なくとも一部とを接続するリード部が、上記セラミック基体の表面又は内部に形成されている請求項1記載のセンサ用基板。
- 上記基部は、50質量%以上の、白金、ロジウム及びパラジウムのうちの少なくとも1種を含有する請求項1又は2に記載のセンサ用基板。
- 上記同時焼成が大気雰囲気においてなされる請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載のセンサ用基板。
- 上記表面部がめっき法により形成されている請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載のセンサ用基板。
- 上記基部を100質量部とした場合に、上記セラミック成分は8〜50質量部である請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載のセンサ用基板。
- 請求項1乃至6のうちのいずれか1項に記載のセンサ用基板を備えることを特徴とするガスセンサ素子。
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