JP4983650B2 - 積層セラミック電子部品及びその電子部品接続構造並びにガスセンサ - Google Patents
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また、該セラミック電子部品9においては、電極端子92と内部リード部91とを電気的に導通させるためのスルーホール93が基体90に形成されている。
一方、外側端子層921は、図7に示すように、外部電源と電気的に接続された接点金具94と接触される。すなわち、接点金具94は、外側端子層921と内側端子層922とを介してスルーホール93と電気的に接続されている。
そしてその結果、スルーホール93と内側端子層922とまでもが剥離し、両者の間で電気的導通を図ることが困難となるおそれがある。
ところが、内側端子層922におけるセラミックの混合比率が多すぎると、内側端子層922と基体90との接合強度が大きくなる反面、内側端子層922の電気的抵抗が大きくなり、積層セラミック電子部品9の表面に当接させる接点金具94とスルーホール93との間の電気的な導通を確保することが困難となってしまうおそれがある。
すなわち、上記構成では、内側端子層922と基体90との間の接合強度の向上と、スルーホール93と内側端子層922との電気的な導通の確保との両立を図ることが困難である。
上記電極端子は、互いに材料組成が異なると共に金属とセラミックとを混合してなる複数の端子層を積層してなり、
該複数の端子層のうち、上記基体との間に少なくとも該基体と接する端子層である内側端子層を挟み込んでいる外側端子層が、上記スルーホールと直接接続されていることを特徴とする積層セラミック電子部品にある(請求項1)。
本発明において、上記外側端子層が、上記スルーホールと直接接続されている。これにより、スルーホールと電極端子との電気的な導通の確保と、電極端子と基体との接合強度の向上との両立を図ることができる。
一方、基体との接合強度を十分に高くする必要のない外側端子層における導電材料の含有率を高くすることで、スルーホールと電極端子との電気的な導通を容易に確保することができる。
すなわち、スルーホールと外側端子層とは金属を多く含むため、両者の接合部分において接点金具を摺動させると、かかる接合部分が変形しやすい。それゆえ、電極端子におけるスルーホールと外側端子層との接合部分以外の部分において接点金具を摺動させることにより、スルーホールと外側端子との接合部分が変形することを防ぐことができる。
本発明によれば、電気的導通を十分に確保することができるとともに、電極の剥離の生じにくいガスセンサ素子、すなわち信頼性に優れたガスセンサ素子を内蔵したガスセンサを得ることができる。このため、信頼性に優れたガスセンサを得ることができる。
そのため、スルーホールと電極端子との電気的導通を十分に確保しつつ、セラミック製の基体と電極端子との間の接合強度を十分に増大させることができる。
この場合には、スルーホールと電極端子との導通を容易に確保することができる。すなわち、外側端子層が接点金具と直接接続される。そして、かかる外側端子層とスルーホールとがさらに直接接続されるため、スルーホールと接点金具との電気的導通を容易に確保することができる。
この場合には、内側端子層と基体との間の接合強度を一層増大させることができる。すなわち、電極端子と基体との接合強度を一層向上させることができる。
この場合においても、本発明の作用効果を十分に発揮することができる積層型セラミック電子部品を得ることができる。
この場合には、電極端子の構成を単純なものとすることができるため、本発明の積層型セラミック電子部品を容易に作製することができる。
この場合には、本発明の作用効果を一層効果的に発揮することができる。
なお、内側端子層における上記セラミック混合比率は、外側端子層における上記セラミック混合比率よりも大きいことが好ましい。
また、外側端子層におけるセラミック混合比率が25重量%を超える場合には、スルーホールと外側端子層との導通を確保することが困難となるおそれがある。また、内側端子層におけるセラミック混合比率が40重量%を超える場合には、接点金具の摺動により外側端子層と内側端子層との密着強度が低下してしまうおそれがある。
この場合には、接点金具を外側端子層上で摺動させても、スルーホールと外側端子層、及び外側端子層と内側端子層とが剥離することを十分に抑制することができる。すなわち、外側端子層の厚みが12μm以上である場合には、接点金具を外側端子層上で摺動させてもスルーホールと外側端子層とが剥離することを十分に抑制することができる。また、内側端子層の厚みが8μm以上である場合には、接点金具を外側端子層上で摺動させても外側端子層と内側端子層とが剥離することを十分に抑制することができる。
この場合には、本発明の作用効果を効果的に発揮することができる。すなわち、近年の環境規制の強化に伴い、高精度のガスセンサ素子が求められるようになってきている。そのため、ガスセンサ素子において接点金具と電極端子との電気的導通の確保と、電極端子と基体との接合強度の向上との両立を図ることが重要となる。したがって、ガスセンサ素子に本発明を適用することで、本発明の作用効果を効果的に発揮することができるガスセンサ素子を得ることができる。
この場合には、本発明の効果をより確実に発揮することができる。
本発明の実施例に係る積層セラミック電子部品1について、図1〜図5を用いて説明する。
本例の積層セラミック電子部品1は、図1、図3に示すように、複数のセラミック層を積層してなるセラミック製の基体10と、基体10に内蔵された内部リード部11と、基体10の外表面100に形成される電極端子12と、電極端子12と内部リード部11とを電気的に導通させるために基体10に形成されるスルーホール13とを有する。
複数の端子層120のうち、基体10との間に少なくとも基体10と接する端子層120である内側端子層122を挟み込んでいる外側端子層121が、スルーホール13と直接接続されている。
本例において、積層セラミック電子部品1は、図2に示すような例えば自動車等の内燃機関の排気系等に配置され、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出する積層型ガスセンサ素子である。以下、積層セラミック電子部品1を、適宜、積層型ガスセンサ素子14という。
該基体10の内部には、内部リード部11が配設されている。該内部リード部11は、その先端部において、例えばガスセンサ素子14を加熱するヒータ、あるいは特定ガス濃度を検知する測定電極(図示略)等と接続されている。
本例において、電極端子12は、図1に示すように、二つの端子層120を積層してなる。
以下では、二つの端子層120のうち外側に積層される端子層120を外側端子層121と、該外側端子層121の内側に積層される端子層120を内側端子層122という。
なお、本例においては、内側端子層122の厚み方向に貫通してなる貫通部123とスルーホール13とは同等の径を有するものとしたが、図4、図5に示すように、内側端子層122の貫通部123の内径とスルーホール13の内径とが異なるよう構成することもできる。
なお、各端子層120は、金属とセラミックとの混合物にそれ以外の材料を混合して形成することもできるし、金属とセラミックと不可避的不純物とからなるよう構成することもできる。
なお、スルーホール13は、例えば外側端子層121と同一の材料を用いて形成することができる。
まず、複数のセラミック層を積層して基体10を作製する。このとき、基体10の内部に、例えばヒータや測定電極等に接続される内部リード部11を形成しておくとともに、該内部リード部11に接続されるスルーホール13を基体10に形成しておく。
次いで、スルーホール13を覆うことのないようにして内側端子層122を基体10の外表面100に形成する。
次いで、内側端子層122の外側に外側端子層121を積層して本例のガスセンサ素子14が形成される。
電極端子12は、図2に示すように、複数のセラミック層の積層方向における基体10の両側の外表面100において形成されており、その両側から積層方向に挟みこまれるようにして接点金具2と接続される。
本例においては、距離Yが0.6mm以上となる位置において接点金具2を摺動させる必要がある。すなわち、図3に示すように、内側端子層122に設けた貫通部123の内径と、スルーホール13の内径とは、略同等の大きさであるため、距離Yが0.6mm以上であれば、必然的に距離Xは0.35mm以上となるからである。
また、図5においては、距離Xが0.35mm以上、かつ距離Yが0.6mm以上である位置において接点金具2を摺動させる必要がある。
本例において、外側端子層121が、スルーホール13と直接接続されている。これにより、スルーホール13と電極端子12との電気的な導通の確保と、電極端子12と基体10との接合強度の向上との両立を図ることができる。
一方、基体10との接合強度を十分に高くする必要のない外側端子層121における導電材料の含有率を高くすることで、スルーホール13と電極端子12との電気的な導通を容易に確保することができる。
その結果、本発明の積層型セラミック電子部品1を容易に作製することができる。
特に、外側端子層と内側端子層とは、金属に対するセラミックの混合比率は、外側端子層においては9〜25重量%であり、内側端子層においては40重量%以下であることため、本発明の作用効果を一層効果的に発揮することができる。
また、電極端子12は、Pt(白金)と、Al2O3(アルミナ)及びZrO2(ジルコニア)のいずれか一方又は双方とを混合して形成してあるため、本発明の作用効果を効果的に発揮することができる。
すなわち、スルーホール13と外側端子層121とは金属を多く含むため、両者の接合部分において接点金具を摺動させると、かかる接合部分が変形しやすい。それゆえ、電極端子12におけるスルーホール13と外側端子層121との接合部分以外の部分において接点金具2を摺動させることにより、スルーホール13と外側端子層121との剥離を防ぐことができる。
本例は、図6に示すように、実施例1において示したガスセンサ素子14の別形態の例である。
すなわち、本例においては、内側端子層122には、スルーホール13と外側端子層121とを接続させるための貫通部(図1における符号123参照)が形成されていない。そして、外側端子層121は、内側端子層122における接点金具2の摺動方向(図6における矢印Aの方向)の端縁125を覆うように内側端子層122の外側に積層されるとともに、スルーホール13と直接接続されている。
その他は、実施例1と同様の構成及び作用効果を有する。
本例は、外側端子層121の厚みt1と内側端子層122の厚みt2とを種々変更して作製した積層セラミック電子部品の外側端子層121上において接点金具2を摺動させて、各積層セラミック電子部品に不具合が生じるかを調べた例である。
なお、本例において使用した符号は、図3において使用した符号に準ずる。
なお、曲率半径が0.1mmの接点部を有する接点金具2によって外側端子層121を10Nの力で押圧しつつ、接点金具2を外側端子層121上で摺動させることにより、各積層セラミック電子部品に不具合が生じるか否かの判定を行った。
なお、電極端子12の下の基体10の外表面100が露出したか否かによって剥離の有無を判断した。
一方、外側端子層121の厚みt1が12μm未満である場合には、内側端子層122と外側端子層121とが剥離するという不具合が生じた。
なお、剥離の判定基準は上記と同様である。
一方、内側端子層122の厚みt2が8μm未満である場合には、基体10と内側端子層122とが剥離するという不具合が生じた。
本例は、外側端子層121のセラミックの混合比率と内側端子層の122セラミックの混合比率とを種々変更して作製した積層セラミック電子部品の外側端子層121上において接点金具2を摺動させて、上記積層セラミック電子部品に不具合が生じるかを調べた例である。
なお、本例において使用した符号は、図3において使用した符号に準ずる。
なお、剥離の判定基準は上記実施例3の場合と同様である。
また、外側端子層121と内部リード部11との導通性をテスターにより測定することにより、スルーホール13と外側端子層121との導通性が低下しているか否かを判定した。
一方、上記混合比率を9重量%未満とした場合には、外側端子層121と内側端子層122とが剥離するという不具合が生じた。また、上記混合比率が25重量%を超える場合には、外側端子層121とスルーホール13との導通性が低下するという不具合が生じた。
なお、剥離の判定基準は上記実施例3の場合と同様である。
一方、上記混合比率が40重量%を超える場合には、接点金具2の摺動により外側端子層121と内側端子層122とが剥離するという不具合が生じた。
なお、内側端子層122における上記セラミック混合比率は、外側端子層121における上記セラミック混合比率よりも大きいことが好ましい。
本例は、スルーホール13の端縁130から接点金具2の摺動位置までの距離(以下、距離Xという。)、及び貫通部123の端縁124から接点金具2の摺動位置までの距離(以下、距離Yという。)を種々変更して接点金具2を摺動させた場合に、積層セラミック電子部品において不具合が生じるか否かを調べた例である。
なお、本例において使用した符号は、図3において使用した符号に準ずる。
測定結果を表5に示す。同表における○は、積層セラミック電子部品において不具合が生じなかったことを示し、×は、積層セラミック電子部品においてスルーホール13と外側端子層121との接合部分が変形するという不具合が生じたことを示す。
なお、剥離の判定基準は上記実施例3の場合と同様である。
一方、距離Yが0.35mm未満となる位置で接点金具2を摺動させた場合には、スルーホール13と外側端子層121との接合部分が変形するという不具合が生じた。
測定結果を表6に示す。同表における○は、積層セラミック電子部品において不具合が生じなかったことを示し、×は、積層セラミック電子部品において外側端子層121と基体10とが剥離するという不具合が生じたことを示す。
なお、剥離の判定基準は上記実施例3の場合と同様である。
測定結果を表6に示す。
一方、距離Yが0.6mm未満である場合には、外側端子層121と基体10との間で剥離が生じた。
10 基体
11 内部リード部
12 電極端子
120 端子層
13 スルーホール
Claims (11)
- 複数のセラミック層と積層してなるセラミック製の基体と、該基体に内蔵された内部リード部と、上記基体の外表面に形成される電極端子と、該電極端子と上記内部リード部とを電気的に導通させるために上記基体に形成されるスルーホールとを有する積層セラミック電子部品であって、
上記電極端子は、互いに材料組成が異なると共に金属とセラミックとを混合してなる複数の端子層を積層してなり、
該複数の端子層のうち、上記基体との間に少なくとも該基体と接する端子層である内側端子層を挟み込んでいる外側端子層が、上記スルーホールと直接接続されていることを特徴とする積層セラミック電子部品。 - 請求項1において、上記複数の端子層のうち最も外側に積層される端子層が、上記外側端子層であることを特徴とする積層セラミック電子部品。
- 請求項1又は2のいずれか一項において、上記内側端子層は、他の端子層と比べてセラミックの含有率が大きいことを特徴とする積層セラミック電子部品。
- 請求項1〜3のいずれか一項において、上記電極端子は、Ptと、Al2O3及びZrO2のいずれか一方又は双方とを混合してなることを特徴とする積層セラミック電子部品。
- 請求項1〜4のいずれか一項において、上記電極端子は、上記内側端子層と上記外側端子層との二層からなり、該外側端子層が上記電極端子の最外層となることを特徴とする積層セラミック電子部品。
- 請求項5において、上記外側端子層と上記内側端子層における、金属に対するセラミックの混合比率は、上記外側端子層においては9〜25重量%であり、上記内側端子層においては40重量%以下であることを特徴とする積層セラミック電子部品。
- 請求項5又は6において、上記外側端子層は、厚みが12μm以上であり、上記内側端子層は、厚みが8μm以上であることを特徴とする積層セラミック電子部品。
- 請求項1〜7のいずれか一項において、上記積層セラミック電子部品は、被測定ガス中の特定ガス濃度を検出するガスセンサ素子であることを特徴とする積層セラミック電子部品。
- 請求項5〜7のいずれか一項に記載の積層セラミック電子部品を用いた電子部品接続構造であって、上記電極端子は、該電極端子に接触する接点金具と電気的に接続され、該接点金具は、上記複数の端子層の積層方向における上記スルーホールの上記外側端子層への投影面以外の部分を摺動させて上記電極端子と接触させることを特徴とする電子部品接続構造。
- 請求項9において、上記接点金具は、上記スルーホールの端縁から上記複数の端子層の積層方向に直交する方向に0.35mm以上離れ、かつ、上記内側端子層における上記スルーホールに最も近い端部から上記複数の端子層の積層方向に直交する方向に0.6mm以上離れた部分において上記電極端子と接触させることを特徴とする電子部品接続構造。
- 請求項8に記載の上記ガスセンサ素子を備えることを特徴とするガスセンサ。
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