以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は、本発明の実施形態におけるシートベルト用リトラクタ(以下、リトラクタ100)を備えたシートベルト装置102を例示する図である。なお図中ではリトラクタ100を概略的に例示している。
シートベルト装置102は、車両の左側前部座席(例えば助手席)である車両用シート104に設置された安全装置である。シートベルト装置102は、乗員拘束用のウェビング106を用いて、乗員(不図示)を車両用シート104に拘束する。
リトラクタ100は、回転力によってウェビング106の巻取および巻出を行う装置であり、ここでは図示を省略するセンタピラーに配置されている。なお図中には、ただしリトラクタ100は、センタピラーに限られず、車両用シート104のシートバック108の後方や内部に配置してもよい。
ウェビング106は、リトラクタ100から巻き出され、センタピラー上方などの車室側面上部に取り付けられたスルーアンカ110に挿通されて下方へ折り返されている。スルーアンカ110で折り返されたウェビング106の先端部112には、車体下方に取付けられたアンカプレート114が縫合されている。また、折り返されたウェビング106は、タングプレート116に挿通されている。さらに車両用シート104の車室中央側には、バックル118が配置されている。
このようなシートベルト装置102では、車両用シート104に着座した乗員がタングプレート116を把持し、タングプレート116をバックル118に装着することで、ウェビング106によって、乗員の身体が拘束される。
図2は、図1のリトラクタ100の断面を例示する図である。図3は、図2のリトラクタ100のA−A断面図である。図3(a)、図3(b)は、車両緊急時におけるリトラクタ100のプリテンショナ120の作動前後の状態をそれぞれ例示している。
リトラクタ100は、図2に示すように、回転することでウェビングの巻取および巻出を行うスピンドル122と、車両緊急時にスピンドル122をウェビング巻取方向に回転させるプリテンショナ120とを備える。スピンドル122は、リトラクタフレーム124の一対の側板126、128に回転可能に支持されている。
スピンドル122内には、捩じり部材であるトーションバー130が装着されている。トーションバー130は、図2に示すように、スピンドル122の軸に沿って延びていて、軸方向の一端部がスピンドル122に結合されていて、他端部がトレッドヘッド132に結合されている。トーションバー130は、設定以上の荷重がウェビングに加わった際にエネルギーを吸収しながらウェビングを繰り出すロードリミッター機構(後述)に含まれる。
リトラクタフレーム124の側板126には、プリテンショナ120と図示しない巻取ばね装置とが取り付けられている。リトラクタフレーム124の側板128には、図示しない車両加速度検出手段やウェビング巻出加速度検出手段等のセンサと、ロック手段が設けられている。なおロック手段は、車両緊急時にトレッドヘッド132をリトラクタフレーム124に係合させることで、ウェビングの巻出方向の回転を阻止する。
プリテンショナ120は、図3に示すように、所定の経路に沿って延びるパイプ134と、パイプ134内に収容された円柱状のピストン136および金属製の複数のボール138とを有する。パイプ134は、その一端140に車両緊急時にガスを発生するガスジェネレータ142が取り付けられていて、途中に湾曲した湾曲部144を含んでいる。
ピストン136は、図3(a)に示すプリテンショナ120の作動前には、パイプ134の一端140に取り付けられたガスジェネレータ142付近に配置されている。また複数のボール138のうちボール138aが、ピストン136の最も近い位置に配置されている。
プリテンション120はさらに、回転部材としてのピニオン146と、パイプ134を覆うカバー部材148(図2参照)とを有する。ピニオン146は、スピンドル122とスプライン嵌合により常時結合されていて、スピンドル122と一体に回転する。また、ピニオン146の外周には、ボール138を収容する半球状のポケット150が円周方向に複数設けられている。カバー部材148は、パイプ134を覆うことで、パイプ134の形状を規制している。
図3(a)に示すプリテンショナ120の作動前には、複数のボール138のうちボール138b、138cは、予めピニオン146のポケット150に収容されている。またボール138cは、パイプ134の他端152付近に位置するボール138dに接触している。さらに、ボール138dに後続するボール138eからボール138aは、図3(a)に示すように互いに接触した状態でパイプ134に収容されている。
そして車両緊急時にガスジェネレータ142が作動して、ガスがパイプ134内に供給されると、ピストン136は、図3(b)に示すように、発生したガスの圧力によって押圧されパイプ134内を移動する。図3(b)に示すピストン136は、ボール138aに接触しながら複数のボール138をピストン136の他端152に向かって押し出して、パイプ134の湾曲部144を通過した位置まで移動している。
ピストン136がハイプ134内を移動することで、複数のボール138は、ピストン136によってパイプ134の他端152から1つずつ押し出される。押し出されたボール138は、ピニオン146を回転させることで、スピンドル122に回転力を与え、スピンドル122をウェビング巻取方向(図中、矢印B)に回転させる。なおピニオン136を回転させた後のボール138は、ピニオン136のポケット150から離脱して、図示しない所定のボール集積エリアに集積される。このようにして、リトラクタ100では、車両緊急時の初期にプリテンショナ120が作動することにより、ウェビングの緩みを除去しウェビングに張力を付与して、乗員を確実に拘束できる。
図4は、図3のプリテンショナ120のピストン136を例示する図である。図4(a)は、ピストン136の斜視図である。図4(b)、図4(c)は、図3(a)、図3(b)に示す状態のピストン136を拡大してそれぞれ示す図である。
ピストン136は、図4(a)に示すように、円柱状の本体154を有する。本体154のうち、ボール138aに接するボール側には、凹んだ凹部156が形成されている。また凹部156は、縁158を切り欠いて形成された溝部160を有する。図4(b)に示すように、本体154のうち、ガスジェネレータ142に対向するガスジェネレータ側は、平坦な端面162となっている。
さらにピストン136は、本体154の貫通する貫通孔164を有する。貫通孔164は、図4(b)に示すように、本体154のガスジェネレータ側からボール側あるいはボール側からガスジェネレータ側に向かう方向すなわちピストン136の移動方向に沿って、本体154を貫通している。
一例として、ここでピストン136の移動方向の長さLaは、14mmであり、パイプ134の内径Lbは10mmである。つまり、ピストン136の移動方向の長さLaは、パイプ134の内径Lbの1.4倍となっていて、パイプ134の内径Lbよりも十分に長くなっている。さらに図4(b)に示すように、ピストン136の内径は、パイプ134の内径Lbよりもわずかに大きくなっている。
図4(c)に示すピストン136の位置は、図3(b)に示すプリテンショナ作動後の位置である。プリテンショナ120の作動後では、図3(b)に示すように、ピストン136に押し出された複数のボール138のうちボール138f、138gがピニオン146のポケット150に収容されている。また、ボール138gは、パイプ134の他端152付近に位置するボール138hに接触している。ボール138hは、後続するボール138iに接触している。さらにボール138iは、ピストン136に直接接触しているボール138aに接触している。
このように、プリテンショナ作動後、プリテンショナ120内には、ボール138a、138f〜138iが残留した状態となっている。リトラクタ100では、図3(b)に示すプリテンショナ120の作動後の状態で、乗員の慣性移動などによりウェビングが引っ張られその荷重(引張力)が所定値を超えると、ロードリミッターが作動する。
図5は、図3(b)に後続するロードリミッター作動後のプリテンショナ120の状態を例示する図である。この状態では、ガスジェネレータ142によって発生したガスによる内圧によってピストン136が押されて(保持されて)いる。そして、プリテンショナ120では、このピストン136を押圧するガス圧力と、ピストン136とパイプ134との間の摩擦力とによって、ボール138がガスジェネレータ142側に容易には戻らない状態、すなわち「一次ロック」されている状態となっている。ロードリミッターが作動すると、ウェビングの引張力は、スピンドル122を介してトーションバー130(図2参照)にウェビング巻出方向(図中、矢印C)の回転力として作用する。さらには、ウェビングの引張力は、スピンドル122を介してピニオン146がボール138(ここでは、ボール138a、138f〜138i)をパイプ134内に押し戻して、押し戻されたボール138によってピストン136をガスジェネレータ側に移動させる移動力としても作用する。
このため、ロードリミッター作動時には、ウェビングの引張力を受けて、トーションバー130が捩れ変形し、さらにピストン136がパイプ134内での移動に伴う抵抗力に抗しながら移動することになる。つまり、ウェビングが巻き出される際、ウェビング(乗員)には、トーションバー130の捩り変形に伴う荷重に加え、ピストン136の移動に伴う荷重も作用し、これらの荷重がロードリミッター荷重となる。
ここで、プリテンショナ作動後からロードリミッター作動完了後までの間、ウェビング(乗員)に作用する荷重は、安定していることが好ましい(一次ロック)。しかし一次ロック後にロードリミッター荷重のほうがガスの保圧力より大きくなると、一次ロックが解除されてしまい、その直後にロックメカ機構が作動してスピンドルがロックされる。これを「再ロック」という。この再ロックが発生した場合、例えば、プリテンショナ作動後の荷重の変化速度(N/ms)において、5ms間での荷重の最高変化速度と最低変化速度との差が1000N/ms以上の状態となることがある。つまり、再ロックが発生した場合、一次ロック後から再ロック完了までの間、ウェビングに作用する荷重が大きく変動してしまい、乗員が不用意に移動する可能性があるばかりか、ウェビングで拘束されない状態になり、衝突時の乗員拘束性能が低下してしまう。
そこで本実施形態では、ピストン136の移動に伴う荷重を高めて、ロードリミッター荷重を保持することで、一次ロックが解除される現象を防ぐことで、再ロックの発生を防止する構成を採用した。すなわちピストン136は、その移動方向の長さLaが図4(b)に示したようにパイプ134の内径Lbよりも十分に長く、その内径がパイプの内径Lbよりもわずかに大きくなっている。
このため、ピストン136は、ロードリミッター作動開始直後、図4(c)に示すように、押し戻されたボール138aによって移動力を受けて、パイプ134の湾曲部144の内壁166、168との大きな接触面積を保ちつつ、内壁166、168に密着した状態で変形する。さらにピストン136は、内壁166、168に沿って全体的に曲がりながら移動し、パイプ134の湾曲部144を通過して図5に示す位置まで押し戻される。これによって、ピストン136は、ロードリミッター作動時において、図4(c)に示す位置から図5に示す位置までパイプ134内を移動し湾曲部144を通過するとき、湾曲部144の内壁166、168との間で摩擦力が大きくなり、当該内壁166、168から大きな垂直抗力Fa、Fbを受け、さらに曲げ抵抗Fc、Fdも増加することになる。
したがって、リトラクタ100によれば、パイプ134内でのピストン136の移動に伴う荷重を高めることができ、ロードリミッター荷重を保持して、一次ロックが解除される現象を防ぐことで、再ロックの発生を防止し、車両緊急時の乗員のより高い安全性を確保できる。なおピストン136の移動方向の長さが長い分、ボール138の数を減らしてガスジェネレータ142の燃焼室の初期容積を合わせることになるため、ボール138の数を減らした分、コスト削減を図ることもできる。また、ピストン136は、既存のピストンに対して長さを変更することが実現できるため、追加部品なども不要であり、各種リトラクタに適用できる。さらにピストン136の長さが変更されているため、既存のピストンとの識別も容易である。
またリトラクタ100では、ピストン136の本体154のボール側に凹部156が形成されているので、凹部156とボール138とが確実に接触できる。従ってピストン136がガスで押されている状態において、大量のガスがボール138のある側のパイプ134内に移動することを、ボール138によって防止可能となる。一方、ガスジェネレータ142で発生したガスの一部は、ピストン136の貫通孔164を通過し、さらに凹部156の溝部160を通って、ボール側に移動できる。したがって、リトラクタ100では、ガスジェネレータ142とピストン136との間のガス圧が高くなり過ぎることを回避し、パイプ134の破壊を防止できる。
図6は、図4のピストン136のその他の例を例示する図である。図中では、その他の例のピストン136Aを図4に示すピストン136と対応させて示している。ピストン136Aは、その移動方向の長さLc(図6(b)参照)がピストン136の移動方向の長さLaよりも短く、さらに材料を変更している点、本体154Aのガスジェネレータ側の端面162Aに窪み部170が形成されている点で、ピストン136と異なっている。なお図6(b)に示すように、ピストン136Aの内径は、パイプ134の内径Lbよりもわずかに大きくなっている。
ピストン136Aの材料は、ロードリミッター作動時のピストン136Aの移動に伴う荷重を高めて再ロックの発生を防止するという観点から、デューロメータ硬さ、曲げ強度、アイソッド衝撃強さを基準にそれぞれ選定している。なおここでのデューロメータ硬さは、測定条件をデューロメータ、試験方法をJIS K7125、単位をDスケールとした際の表面硬さである。アイソッド衝撃強さは、測定条件を23℃あるいは−20℃、試験方法をASTM D256、単位をJ/mノッチとした際のアイソッド衝撃強さ試験で得られる。
ピストン136Aは、ロードリミッター作動開始直後、図6(c)に示すように、押し戻されたボール138aによって移動力を受けて、パイプ134の湾曲部144の内壁166、168に密着した状態で変形しつつ、内壁166、168に沿って曲がりながら移動し、パイプ134の湾曲部144を通過する。
このため、ピストン136Aは、ロードリミッター作動時において、図6(c)に示す位置からパイプ134内を移動し湾曲部144を通過するとき、湾曲部144の内壁166、168から大きな垂直抗力Fa、Fbを受け、さらに曲げ抵抗Fc、Fdも受ける。そこで、ピストン136Aの材料として、曲げ抵抗Fc、Fdが増加するものを選定することで、結果的に、ロードリミッター作動時のピストン136Aの移動に伴う荷重を高めることができる。
ピストン136Aの材料は、デューロメータ硬さがDスケール63以上のもの(図8(b)参照)、または、曲げ強度が350MPa以上であるものであれば、ピストン136Aの移動に伴う荷重を高めて、再ロックの発生を防止できる。
さらにピストン136Aの材料は、23℃、または−20℃でのアイゾット衝撃強さ試験で破壊強度値が測定されるものであればよい。なおピストン136Aの材料としては、破壊強度値に限らず、測定値が観測されるものであれば適宜の材料を選択してよい(ただし測定値が得られない材料は、本発明には含まれない)。一例として、結晶層(ハードセグメント)と非晶層(ソフトセグメント)とのブロック共重合体であるハイトレル(登録商標)という材料を選定することで、ピストン136Aの移動に伴う荷重を高めて、再ロックの発生を防止できる。
したがって、ピストン136Aによれば、パイプ134内での移動に伴う荷重を高めることができ、ロードリミッター荷重を保持して、再ロックの発生を防止し、車両緊急時の乗員の安全性を確保できる。また、ピストン136Aは、本体154Aのガスジェネレータ側に窪み部170が形成されているので、ガスジェネレータ142によるガス圧をピストン136Aに十分に作用させることができる。なお本体154Aには貫通孔164Aが形成されているので、ガスジェネレータ142とピストン136Aとの間のガス圧が高くなり過ぎることを回避できる(図5の場合と同様である)。さらにピストン136Aは、既存のピストンに対して材料を変更することで実現できるため、追加部品なども不要であり、各種リトラクタに適用できる。
図7は、本発明の実施形態と比較例とのウェビング荷重およびウェビング荷重の変化速度を比較したグラフである。図7(a)では、横軸を時間(ms)、縦軸をウェビング荷重(N)とした。図7(b)では、横軸を時間(ms)、縦軸をウェビング荷重の変化速度(N/ms)とした。なお各グラフでは、本実施形態を実線、比較例を点線で示している。本実施形態としては、ピストン136、136Aを用いている。比較例としては、ピストンの移動方向の長さを長くしていない既存の材料からなるピストンを用いている。
図7(a)、図7(b)に示す各グラフは、車両緊急時のプリテンショナ作動後からロードリミッター作動完了後までの間でのウェビング荷重の変化、ウェビング荷重の変化速度の変化をそれぞれ示している。
図7(a)のグラフに示されるように、本実施形態では、80−100(ms)の間でウェビング荷重が5000−6000(N)の間で安定している。一方、比較例では、ウェビング荷重が4000−7000(N)まで大きく変化している。さらに比較例のウェビング荷重の変化速度は、図7(b)のグラフに示されるように、1000(N/ms)を超え、−1000(N/ms)を下回っている。
したがって、比較例のピストンを用いた場合には再ロックが発生し、本実施形態のピストン136、136Aを用いた場合には、再ロックが発生しないことが確認できる。
図8は、本発明の実施形態のピストン136、136Aと再ロックとの関係を例示するグラフである。図8(a)では、横軸をピストン136の移動方向の長さ(mm)、縦軸をウェビング荷重の変化速度(N/ms)とした。なおピストン136が移動するパイプ134の内径は10mmとしている。図8(b)では、横軸をデューロメータ硬さ(Dスケール)、縦軸をウェビング荷重の変化速度(N/ms)としている。各グラフは、車両緊急時のプリテンショナ作動後からロードリミッター作動完了後までの間でのウェビング荷重の変化速度の変化をそれぞれ示している。
図8(a)のグラフに示されるように、ピストンの移動方向の長さが、14mm、16mm、18mmであれば、ウェビング荷重の変化速度は1000(N)未満となっている。一方、ピストンの移動方向の長さが、14mm未満、ここでは8mm、10mm、12mmであるとき、ウェビング荷重の変化速度が3500(N/ms)付近となり、1000(N/ms)を超えている。
したがって、図8(a)のグラフに示されるように、パイプ134の内径が10mmであるとき、ピストン136の移動方向の長さが14mm以上であれば、すなわちパイプ134の内径の1.4倍以上であれば、再ロックが発生しないことが確認できる。
図8(b)のグラフに示されるように、ピストン136Aのデューロメータ硬さが、63、72であれば、ウェビング荷重の変化速度は1000(N)未満となっている。一方、ピストンのデューロメータ硬さが、63mm未満、ここでは47、55であるとき、ウェビング荷重の変化速度が3000(N/ms)付近となり、1000(N/ms)を超えている。
したがって、図8(b)のグラフに示されるように、ピストンの移動方向の長さを長くしない場合であっても、ピストン136Aのデューロメータ硬さがDスケール63以上であれば、再ロックが発生しないことが確認できる。
このように、本実施形態におけるリトラクタ100では、ロードリミッター作動時のピストン136、136Aの移動に伴う荷重を高めるという観点から、ピストン136の移動方向の長さを長くする、あるいは、ピストン136Aの材料を選定することで、再ロックの発生を防止し、車両緊急時の乗員の安全性を確保できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
また、上記実施形態においては本発明にかかるシートベルト用リトラクタを自動車に適用した例を説明したが、自動車以外にも航空機や船舶などに適用することも可能であり、同様の作用効果を得ることができる。