JPWO2018181691A1 - 風味強化用油性食品 - Google Patents
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Abstract
Description
また、換言すれば、
(11)無脂カカオ固形分が、50〜65重量%であることを特徴とする風味強化用油性食品、
(12)油分が35〜50重量%であることを特徴とする、(11)記載の風味強化用油性食品、
(13)45℃におけるB型粘度計における粘度が100P以上である、(11)記載の風味強化用油性食品、
(14)45℃におけるB型粘度計における粘度が100P以上である、(12)記載の風味強化用油性食品、
である。
(風味強化用油性食品)
本発明の風味強化用油性食品とは、飲食品に添加することで、コクやスパイス感の風味を増強させることができる食品である。対象となる飲食品は特に限定はされないが、一例としては、カレー、ミートソース、ソースなどがあげられる。
風味強化用油性食品には無脂カカオ固形分が、50〜65重量%、より望ましくは50〜63重量%以内であり、さらに望ましくは55〜60重量%含まれる必要がある。無脂カカオ固形分が適当な量含まれることで、コクやスパイス感の風味を増強させることができる油性食品を得ることができる。
本発明において、「カカオ原料」とは焙焼、又は非焙焼の、カカオ豆全体、未処理のカカオ豆、ニブ(天然、未加工、乾燥、焙焼、未発酵、及び/又はアルカリ化)、カカオマス、ココアパウダー、ココアバター、殻、胚芽、子葉から製造される原料またはその組合せを含む。本明細書で用いる「カカオマス」とは、カカオ豆又はその一部を粉砕して得られるカカオ粉末とココアバターとの混合物を含む。本明細書における「無脂カカオ固形分」とは、カカオ豆由来の固形分のうちココアバターを除いた部分を指す。無脂カカオ固形分は、カカオリカー、カカオリカーを冷却固化して得られるカカオマス、カカオリカーからココアバターを搾り取った残余であるココアケーキ,ココアケーキを粉砕して粉末状にしたココアパウダー等を使用することにより、それぞれに含まれるココアバター含量を減じた固形分相当量として供給される。例えば、カカオマスには45重量%前後の無脂カカオ固形分が、ココアパウダーには76〜90%前後の無脂カカオ固形分が含まれる。
風味強化用油性食品中に含まれる油分は35〜50重量%、より望ましくは37〜50重量%以内であり、さらに望ましくは40〜45重量%であることが好ましい。適当な油分量とすることで、コクやスパイス感の風味を増強させることができる油性食品を得ることができる。
また、その油脂種は特に限定はされないものの植物を供給源とする、いわゆる植物油脂を含むことが望ましい。植物油脂としては特に限定されず使用してよいが、一例を挙げれば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、ココアバター、ヤシ脂、パーム核油等が挙げられる。無脂カカオ固形分はカカオマスを供給源とするが、上述の通りココアバターも含まれており、無脂カカオ固形分だけを単離した上で別途他の油脂を添加するより、ココアバターを利用した方がコスト的に有利であり、またココアバターを用いることでコク味の付与がさらに向上することもあり、さらに望ましい。それ以外には、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物油脂も適宜使用することができる。油脂については、選択された1種以上の油脂を硬化、分別、エステル交換等、あるいはそれらを複数行った加工油脂も使用可能である。
風味強化用油性食品には、上記カカオ固形分(を含有する原料)と油脂以外では、通常の食品用途に用いられる糖類、粉乳、着色料、乳化剤、酸化防止剤、香料等の任意成分を本発明の効果を妨げない限り適宜添加することができる。乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。
糖類としては砂糖、グラニュー糖、上白糖、三温糖、黒糖、オリゴ糖、果糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、乳糖、液糖、水飴などが挙げられる。
ただし、ここで挙げた他の配合原料に関しては、最終的な添加する食品の風味強化に対して望ましくない風味の付与にならないようにすることが望ましい。特に糖類は甘味を付与してしまうため注意が必要である。
風味強化用油性食品は従来よりあるチョコレートの製造法を用い、適宜用いることができる。一例としては上記原料をミキシング、リファイニング、コンチング等を適宜組み合わせて製造することができる。
なお粒度の測定方法は複数の粒度分布をもつ粒子の集合を混和し、しかも油脂を連続相とした中に粒子が分散している場合は油性食品素材としてその粒度分布を測定することは困難で且つ製品を管理する上では現実的ではないので、油性食品素材メーカーでは比較的一般的である、マイクロメーターによる測定をもって本発明の粒度の規定に用いた。
より具体的にはマイクロメーター(株式会社ミツトヨ社製 商品名「デジマチック標準外側マイクロメータ MDC−M」)にて測定面に融解した油性食品素材(液油により希釈し油分50%以上)を付着させ、測定面同士を近接させていく。
油性食品素材の付着量は、測定時にマイクロメーター測定面の幅が狭まり、測定値が示された時点で油性食品素材が測定面よりはみ出す程度の量であり、少なくとも測定面に一様に分布する程度をもって測定する。
量が少ないと測定面同士の空隙に十分な量の粒子が存在せず測定誤差が生じやすくなるので、測定面からはみ出さない場合は測定値として用いない。
測定後、測定面を清浄な状態にして再度同様の手順で5回測定し、最大と最小の値を除く3回の平均値を持って油性食品素材の粒度とした。
本発明における風味強化用油性食品は、45℃におけるB型粘度計による粘度が100P以上、さらに望ましくは150P〜1000P(ペースト状)であることが好ましい。
なお、本発明における粘度の測定には、見かけ粘度を用いた。チョコレートの見かけ粘度は、完全に溶解したチョコレートを流動させる時に加えた力(ずり応力)をその時の速度(ずり速度)で除したものとして表される。見かけ粘度測定方法の一例としては、チョコレートが45℃でBM型粘度計(株式会社 東機産業社製 商品名「BII形粘度計」)を用いて4号ローター、12回転で測定することができる。
また、粘度が高まるにつれて、風味強化用油脂食品は粘稠な状態になり、1000P程度で測定ができなくなる。ただし、本発明においては粘度に上限はなく高粘度で測定不能なペースト状の場合でも添加した食品への添加時に馴染みにくく、結果として風味の発現しにくくなりかねない点はあるものの、均一に馴染ませることさえできれば本発明の効果である風味強化は可能である。よって、粘度の上限は特に設けない。
一方で、粉体のような状態になると、粘度は測定対象とローターの間がすべる状態になり、正確にはそれを粘度とは規定されないものの、粘度0で測定不能となり、本発明においてはその状態は粘度100P以下であるため、粘度の下限以下の望ましくない状態とする。
この状態は添加した食品への馴染みがわるく、風味強化の機能は発現しがたい。
本発明における調味料としては、特に限定されないが、具体的には天然系調味料と風味調味料とが例示される。天然系調味料としては、例えば、鶏肉エキス、牛肉エキス、豚肉エキス、羊肉エキスなどの各種畜肉エキス類;鶏がらエキス、牛骨エキス、豚骨エキスなどの各種がらエキス類;鰹エキス、鯖エキス、ぐちエキス、帆立エキス、蟹エキス、蝦エキス、煮干エキス、干し貝柱エキスなどの各種魚介エキス類;鰹節エキス、鯖節エキス、宗田節エキスなどの各種節エキス類;オニオンエキス、白菜エキス、セロリエキスなどの各種野菜エキス類;昆布エキスなどの各種海藻エキス類;ガーリックエキス、唐辛子エキス、胡椒エキス、カカオエキスなどの各種香辛料エキス類;酵母エキス類;各種タンパク加水分解物;醤油、魚醤、蝦醤、味噌などの各種発酵調味料等が挙げられる。また、風味調味料としては、例えば、鶏風味調味料、牛風味調味料、豚風味調味料などの各種畜肉風味調味料;鰹風味調味料、煮干風味調味料、干し貝柱風味調味料、甲殻類風味調味料などの各種魚介風味調味料;各種香辛野菜風味調味料;昆布風味調味料等が挙げられる。また、基礎調味料である、塩、うま味調味料等が挙げられる。
スパイスとしては、ナツメグ、メース、ガーリック、ローレル、タイム、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、バジル、ジンジャー、ターメリック、フェンネル、キャラウェイ、チリペッパー、シナモン、マジョラム、ローズマリー、クミン、セロリ、コリアンダー、オニオン等が挙げられる。好ましくは、ナツメグ、メース、ガーリック、ローレル、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、バジル、ジンジャー、ターメリック、フェンネル、キャラウェイ、チリペッパー、シナモン、クミン、オニオン等が挙げられる。特に好ましくは、ブラックペッパー、ホワイトペッパー、ガーリック、オニオン等が挙げられる。
表1の実施例1の配合に従い融解したカカオマス、ココアパウダー、ココアバターの一部をミキサー(愛工舎株式会社製「AM30」)にてドウ状になる程度(10分)に撹拌してロールリファイナー投入生地を作製し、ロールリファイナー投入生地をロールリファイナー(BUHLER社株式会社製「Three−roll mill SDY−300」)により微細化し、ロールフレークを得た。得られたロールフレークをコンチングマシン(株式会社品川工業所製)にてコンチングを行い、残りのココアバターを追油し、レシチンを添加したのち、最終的な風味強化用油性食品を得た。粘度や無脂カカオ固形分、油分を求め、風味評価を行った。
実施例2〜実施例3、比較例1〜比較例3の試作方法に関しては、表1の配合にそれぞれ従う以外は実施例1と同じ工程にて行い、それぞれに風味強化用油性食品を得た。
表1の比較例1の配合に従い融解したカカオマスをドウ状になる程度(10分)に撹拌してロールリファイナー投入生地を作製し、ロールリファイナー投入生地をロールリファイナーにより微細化し、ロールフレークを得た。得られたロールフレークをコンチングマシンにてコンチングを行い、風味強化用油性食品を得た。
表1の比較例2の配合はリファイナーに適した物性にすることが困難であるため、コンチングマシンを用いて混捏を30分してもドウ状にならず粉体であったため、そのまま風味強化用油性食品として評価に供した。
表1の比較例3の配合は事実上ココアパウダーのみであり、リファイナー工程に供することができない粉体であるため、そのまま風味強化用油性食品として評価をした。
なお、実施例1を含め、一連の試作は無脂カカオ固形分が変動する以外は条件を変えずに行うことを意図した。表1は無脂固形分が多くなる順に記載した。
マイクロメーター(株式会社ミツトヨ社製 商品名「デジマチック標準外側マイクロメータ MDC−M」)にて測定面に融解した風味強化用油性食品素材(液状油により希釈し油分50%以上に調整)を付着させ測定した。
(粘度測定方法)
対象となるチョコレートを45℃に保ち、BM型粘度計(株式会社 東機産業社製 商品名「BII形粘度計」)を用いて4号ローター、12回転で測定した。
風味強化用油性食品を1g、100gの市販レトルトカレー(ハウス食品株式会社製、製品名:「こくまろレトルトカレー<中辛>」)に添加し、十分に加温して混合した。レトルトカレーに何も添加していないもの(無添加品)を基準にして、各サンプルの風味を評価した。風味評価時はサンプルを75℃に保温した状態で行った。
×:コク、スパイス感の点で、無添加品と差がないか好ましくない
△:コク、スパイス感の点で、無添加品よりもやや好ましい。
〇:コク、スパイス感の点で、無添加品よりも好ましい
◎:コク、スパイス感の点で、無添加品よりもかなり好ましい
◎、○、△を合格とした。
これにより添加した風味強化用油性食品の無脂カカオ固形分に風味の強化能力は依存することは明らかであった。
実施例4、実施例5の試作方法に関しては、表2の配合にそれぞれ従う以外は実施例3と同じ工程にて行い、それぞれに風味強化用油性食品を得、また粘度や風味評価を行った。表2には、比較のため実施例3の配合と評価も記載した。
なお、実施例3を含め、一連の試作は、無脂カカオ固形分や油分は同じであるが、実施例3のカカオマスを実施例5はココアバターとココアパウダーに分離して配合し、さらに実施例6はそのココアバターを植物油脂(メラノEE−NF100F((不二製油株式会社製))に置換した。なお、この植物油脂はココアバターと似た融解特性を持つ植物油脂だが、風味はプレーンである。
Claims (3)
- 無脂カカオ固形分が、50〜65重量%であることを特徴とする風味強化用油性食品。
- 油分が35〜50重量%であることを特徴とする、請求項1記載の風味強化用油性食品。
- 45℃におけるB型粘度計における粘度が100P以上である、請求項1又は2に記載の風味強化用油性食品。
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