最初に、図1を参照し、本発明の実施例に係る建設機械としてのショベル(掘削機)について説明する。図1は、本発明の実施例に係るショベル100の側面図である。図1に示すショベル100の下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはバケット6が取り付けられている。作業要素としてのブーム4、アーム5及びバケット6は、アタッチメントの一例である掘削アタッチメントを構成する。ブーム4は、ブームシリンダ7により駆動される。アーム5は、アームシリンダ8により駆動される。バケット6は、バケットシリンダ9により駆動される。上部旋回体3にはキャビン10が設けられ、エンジン11等の動力源が搭載されている。また、上部旋回体3には通信装置D1、測位装置D2、姿勢検出装置D3、撮像装置D4、及び、シリンダ圧検出装置D5等の情報取得装置が取り付けられている。
通信装置D1は、ショベル100と外部機器との間の通信を制御する。本実施例では、通信装置D1は、GNSS(Global Navigation Satellite System)測量システムとショベル100との間の無線通信を制御する。具体的には、通信装置D1は、例えば1日1回の頻度で、ショベル100の作業を開始する際に作業現場の地形情報を取得する。GNSS測量システムは、例えばネットワーク型RTK−GNSS測位方式を採用する。外部機器は、例えば、管理センタに設置された管理装置、支援装置としての携帯端末、ショベル100の周囲を飛行する飛行体等を含む。
測位装置D2は、ショベル100の位置及び向きを測定する装置である。本実施例では、測位装置D2は、電子コンパスを組み込んだGNSS受信機であり、ショベル100の存在位置の緯度、経度、高度を測定し、且つ、ショベル100の向きを測定する。
姿勢検出装置D3は、アタッチメントの姿勢を検出する装置である。本実施例では、姿勢検出装置D3は、掘削アタッチメントの姿勢を検出する装置である。上部旋回体3の姿勢と、掘削アタッチメントを構成するブーム4、アーム5、及び、バケット6のそれぞれの姿勢とを検出する装置であってもよい。
撮像装置D4は、ショベル100の周辺の画像を取得する。本実施例では、撮像装置D4は上部旋回体3に取り付けられる前方カメラを含む。前方カメラは、ショベル100の前方を撮像するステレオカメラであり、キャビン10の屋根、すなわちキャビン10の外部に取り付けられている。キャビン10の天井、すなわちキャビン10の内部に取り付けられていてもよい。前方カメラは、掘削アタッチメントを撮像可能である。前方カメラは、単眼カメラであってもよい。撮像装置D4は、単眼カメラ、LIDAR、レーザレーダ、ミリ波レーダ又はソナー等であってもよい。
シリンダ圧検出装置D5は、油圧シリンダにおける作動油の圧力を検出する。本実施例では、シリンダ圧検出装置D5は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8及びバケットシリンダ9のそれぞれにおける作動油の圧力を検出する。
図2は、図1のショベル100に搭載される姿勢検出装置D3及びシリンダ圧検出装置D5のそれぞれを構成する各種センサの配置例の一例を示すショベル100の側面図である。具体的には、姿勢検出装置D3は、ブーム角度センサD3a、アーム角度センサD3b、バケット角度センサD3c、及び、車体傾斜センサD3dを含む。シリンダ圧検出装置D5は、ブームロッド圧センサD5a、ブームボトム圧センサD5b、アームロッド圧センサD5c、アームボトム圧センサD5d、バケットロッド圧センサD5e、及び、バケットボトム圧センサD5fを含む。
ブーム角度センサD3aは、ブーム角度を取得するセンサであり、例えば、ブームフートピンの回転角度を検出する回転角度センサ、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサ、ブーム4の傾斜角を検出する傾斜(加速度)センサ等を含む。ブーム角度センサD3aは、例えば、ブーム角度θ1を取得する。ブーム角度θ1は、XZ平面において、ブームフートピン位置P1とアーム連結ピン位置P2とを結ぶ線分P1−P2の水平線に対する角度である。
アーム角度センサD3bは、アーム角度を取得するセンサであり、例えば、アーム連結ピンの回転角度を検出する回転角度センサ、アームシリンダ8のストローク量を検出するストロークセンサ、アーム5の傾斜角を検出する傾斜(加速度)センサ等を含む。アーム角度センサD3bは、例えば、アーム角度θ2を取得する。アーム角度θ2は、XZ平面において、アーム連結ピン位置P2とバケット連結ピン位置P3とを結ぶ線分P2−P3の水平線に対する角度である。
バケット角度センサD3cは、バケット角度を取得するセンサであり、例えば、バケット連結ピンの回転角度を検出する回転角度センサ、バケットシリンダ9のストローク量を検出するストロークセンサ、バケット6の傾斜角を検出する傾斜(加速度)センサ等を含む。バケット角度センサD3cは、例えば、バケット角度θ3を取得する。バケット角度θ3は、XZ平面において、バケット連結ピン位置P3とバケット爪先位置P4とを結ぶ線分P3−P4の水平線に対する角度である。
ブーム角度センサD3a、アーム角度センサD3b、及び、バケット角度センサD3cは、加速度センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されていてもよい。
車体傾斜センサD3dは、ショベル100のY軸回りの傾斜角θ4、及び、ショベル100のX軸回りの傾斜角θ5(図示せず。)を取得するセンサであり、例えば2軸傾斜(加速度)センサ等を含む。図2のXY平面は水平面である。
ブームロッド圧センサD5aはブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサD5bはブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサD5cはアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサD5dはアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。バケットロッド圧センサD5eはバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサD5fはバケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。
次に、図3を参照してショベル100の基本システムについて説明する。ショベル100の基本システムは、主に、エンジン11、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、コントローラ30、エンジン制御装置(ECU74)等を含む。
エンジン11はショベル100の駆動源であり、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸はメインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に接続されている。
メインポンプ14は、作動油ライン16を介して作動油をコントロールバルブ17に供給する油圧ポンプであり、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプである。メインポンプ14は、斜板の角度(傾転角)を変更することでピストンのストローク長を調整し、吐出量、すなわち、ポンプ出力を変化させることができる。メインポンプ14の斜板は、レギュレータ14aにより制御される。レギュレータ14aは、コントローラ30が出力する制御電流の変化に応じて斜板の傾転角を変化させる。例えば、制御電流の増加に応じ、斜板の傾転角を大きくし、メインポンプ14の吐出量を多くする。また、制御電流の減少に応じ、斜板の傾転角を小さくし、メインポンプ14の吐出量を少なくする。
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して各種油圧制御機器に作動油を供給するための油圧ポンプであり、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
コントロールバルブ17は、油圧システムを制御する油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、例えば、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行用油圧モータ1A、右走行用油圧モータ1B、及び、旋回用油圧モータ2Aのうちの一又は複数のものに対し、メインポンプ14から作動油ライン16を通じて供給された作動油を選択的に供給する。以下の説明では、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行用油圧モータ1A、右走行用油圧モータ1B、及び旋回用油圧モータ2Aを集合的に「油圧アクチュエータ」と称する。
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26は、パイロットライン25を介してパイロットポンプ15から作動油の供給を受ける。そして、パイロットライン25aを通じて、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートにその作動油を供給する。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応するレバー又はペダル26A〜26Cの操作方向及び操作量に対応する。
コントローラ30は、ショベル100を制御するための制御装置であり、例えば、CPU、RAM、ROM等を備えたコンピュータで構成される。コントローラ30は、各種機能に対応するプログラムをROMから読み出してRAMにロードし且つそれらプログラムのそれぞれに対応する処理をCPUに実行させる。
コントローラ30は、例えば、メインポンプ14の吐出量を制御する。具体的には、コントローラ30は、ネガコン弁(不図示)のネガコン圧に応じてレギュレータ14aに対する制御電流を変化させ、レギュレータ14aを介してメインポンプ14の吐出量を制御する。
ECU74は、エンジン11を制御する。ECU74は、例えば、コントローラ30からの指令に基づき、エンジン回転数調整ダイヤル75を用いて操作者が設定したエンジン回転数(モード)に応じてエンジン11の回転数を制御するための燃料噴射量等をエンジン11に出力する。
エンジン回転数調整ダイヤル75は、キャビン10内に設けられる、エンジン回転数を調整するためのダイヤルであり、本実施例では、Rmax、R4、R3、R2及びR1の5段階でエンジン回転数を切り換えることができる。なお、図3は、エンジン回転数調整ダイヤル75でR4が選択された状態を示す。
Rmaxは、エンジン11の最高回転数であり、作業量を優先したい場合に選択される。R4は、二番目に高いエンジン回転数であり、作業量と燃費を両立させたい場合に選択される。R3及びR2は、三番目及び四番目に高いエンジン回転数であり、燃費を優先させながら低騒音でショベル100を稼働させたい場合に選択される。R1は、最も低いエンジン回転数(アイドリング回転数)であり、エンジン11をアイドリング状態にしたい場合に選択されるアイドリングモードにおけるエンジン回転数である。例えば、Rmax(最高回転数)を2000rpm、R1(アイドリング回転数)を1000rpmとし、その間を250rpm毎に、R4(1750rpm)、R3(1500rpm)、R2(1250rpm)と多段階に設定してよい。そして、エンジン11は、エンジン回転数調整ダイヤル75で設定されたエンジン回転数で一定に回転数制御される。なお、ここでは、エンジン回転数調整ダイヤル75による5段階でのエンジン回転数調整の事例を示したが、5段階には限られず何段階であってもよい。
ショベル100には、操作者による操作を補助するために画像表示装置40がキャビン10の運転席の近傍に配置されている。操作者は画像表示装置40の入力部42を利用して情報や指令をコントローラ30に入力できる。コントローラ30は、ショベル100の運転状況及び制御情報等を画像表示装置40の画像表示部41に表示させることで、操作者に情報を提供できる。
画像表示装置40は、画像表示部41及び入力部42を含む。画像表示装置40は、運転席内のコンソールに固定される。一般的に、運転席に着座した操作者からみて右側にブーム4が配置されており、操作者はブーム4の先端に取り付けられたアーム5、バケット6を視認しながらショベル100を操作することが多い。キャビン10の右側前方のフレームは操作者の視界の妨げとなる部分であるが、本実施例では、この部分を利用して画像表示装置40を設けている。これにより、もともと視界の妨げとなっていた部分に画像表示装置40が配置されるので、画像表示装置40自体が操作者の視界を大きく妨げることは無い。フレームの幅にもよるが、画像表示装置40全体がフレームの幅に入るように、画像表示装置40は、画像表示部41が縦長となるように構成されてもよい。
本実施例では、画像表示装置40は、CAN、LIN等の通信ネットワークを介してコントローラ30に接続される。なお、画像表示装置40は、専用線を介してコントローラ30に接続されてもよい。
また、画像表示装置40は、画像表示部41上に表示する画像を生成する変換処理部40aを含む。本実施例では、変換処理部40aは、ショベル100に取り付けられた撮像装置D4の出力に基づいて画像表示部41上に表示する画像を生成する。そのため、撮像装置D4は、例えば専用線を介して画像表示装置40に接続される。また、変換処理部40aは、コントローラ30の出力に基づいて画像表示部41上に表示する画像を生成してもよい。
なお、変換処理部40aは、画像表示装置40が有する機能としてではなく、コントローラ30が有する機能として実現されてもよい。この場合、撮像装置D4は、画像表示装置40ではなく、コントローラ30に接続される。
画像表示装置40は、入力部42としてのスイッチパネルを含む。スイッチパネルは、各種ハードウェアスイッチを含むパネルである。本実施例では、スイッチパネルは、ハードウェアボタンとしてのライトスイッチ42a、ワイパースイッチ42b、及びウインドウォッシャスイッチ42cを含む。ライトスイッチ42aは、キャビン10の外部に取り付けられるライトの点灯・消灯を切り換えるためのスイッチである。ワイパースイッチ42bは、ワイパーの作動・停止を切り換えるためのスイッチである。また、ウインドウォッシャスイッチ42cは、ウインドウォッシャ液を噴射するためのスイッチである。
画像表示装置40は、蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。蓄電池70はオルタネータ11a(発電機)で発電した電力で充電される。蓄電池70の電力は、コントローラ30及び画像表示装置40以外のショベル100の電装品72等にも供給される。また、エンジン11のスタータ11bは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動する。
エンジン11は、上述のとおり、ECU74により制御される。ECU74からは、エンジン11の状態を示す各種データ(例えば、水温センサ11cで検出される冷却水温(物理量)を示すデータ)がコントローラ30に常時送信される。したがって、コントローラ30は一時記憶部(メモリ)30aにこのデータを蓄積し、必要なときに画像表示装置40に送信できる。
斜板の傾転角を示すデータは、レギュレータ14aからコントローラ30に供給される。メインポンプ14の吐出圧力を示すデータは、吐出圧力センサ14bからコントローラ30に供給される。エンジン回転数の設定状態を示すデータは、エンジン回転数調整ダイヤル75からコントローラ30に供給される。作動油タンクとメインポンプ14との間の管路には油温センサ14cが設けられている。その管路を流れる作動油の温度を表すデータは、油温センサ14cからコントローラ30に供給される。
レバー又はペダル26A〜26Cが操作されたときにパイロットライン25aを通じてコントロールバルブ17に伝えられるパイロット圧は、油圧センサ15a、15bで検出される。パイロット圧を示すデータは、油圧センサ15a、15bからコントローラ30に供給される。これらのデータは、コントローラ30の一時記憶部30aに格納される。
外部演算装置30Eは、通信装置D1、測位装置D2、姿勢検出装置D3、撮像装置D4及びシリンダ圧検出装置D5等の出力に基づいて各種演算を行い、演算結果をコントローラ30に対して出力する制御装置である。本実施例では、外部演算装置30Eは蓄電池70から電力の供給を受けて動作する。
図4は、図1のショベル100に搭載される駆動系の構成例を示す図であり、機械的動力伝達ライン、作動油ライン、パイロットライン、及び電気制御ラインをそれぞれ二重線、実線、破線、及び点線で示す。
ショベル100の駆動系は、主に、エンジン11、メインポンプ14L、14R、吐出量調整装置14aL、14aR、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、操作装置26、操作内容検出装置29、コントローラ30、外部演算装置30E、及びパイロット圧調整装置50を含む。
コントロールバルブ17は、メインポンプ14L、14Rが吐出する作動油の流れを制御する流量制御弁171〜176を含む。そして、コントロールバルブ17は、流量制御弁171〜176を通じ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行用油圧モータ1A、右走行用油圧モータ1B、及び旋回用油圧モータ2Aのうちの1又は複数のものに対しメインポンプ14L、14Rが吐出する作動油を選択的に供給する。
操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータの操作のために用いる装置である。本実施例では、操作装置26は、パイロットライン25を通じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を油圧アクチュエータのそれぞれに対応する流量制御弁のパイロットポートに供給する。
操作内容検出装置29は、操作装置26を用いた操作者の操作内容を検出する装置である。本実施例では、操作内容検出装置29は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26のレバー又はペダルの操作方向及び操作量を圧力の形で検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。なお、操作装置26の操作内容は、ポテンショメータ等、圧力センサ以外の他のセンサの出力を用いて導き出されてもよい。
エンジン11によって駆動されるメインポンプ14L、14Rは、センターバイパス管路40L、40Rのそれぞれを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
センターバイパス管路40Lは、コントロールバルブ17内に配置された流量制御弁171、173、及び175を通る作動油ラインであり、センターバイパス管路40Rは、コントロールバルブ17内に配置された流量制御弁172、174、及び176を通る作動油ラインである。
流量制御弁171、172、173は、左走行用油圧モータ1A、右走行用油圧モータ1B、旋回用油圧モータ2Aに流出入する作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。
また、流量制御弁174、175、176は、バケットシリンダ9、アームシリンダ8、ブームシリンダ7に流出入する作動油の流量及び流れ方向を制御するスプール弁である。
吐出量調整装置14aL、14aRは、メインポンプ14L、14Rの吐出量を調整する機能要素である。本実施例では、吐出量調整装置14aLはレギュレータであり、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14Lの斜板傾転角を増減させてメインポンプ14Lの押し退け容積を増減させることでメインポンプ14Lの吐出量を調整する。具体的には、吐出量調整装置14aLは、コントローラ30が出力する制御電流が大きくなるにつれて斜板傾転角を増大させて押し退け容積を増大させることでメインポンプ14Lの吐出量を増大させる。吐出量調整装置14aRによるメインポンプ14Rの吐出量の調整についても同様である。
パイロット圧調整装置50は、流量制御弁のパイロットポートに供給されるパイロット圧を調整する機能要素である。本実施例では、パイロット圧調整装置50は、コントローラ30が出力する制御電流に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を用いてパイロット圧を増減させる減圧弁である。この構成により、パイロット圧調整装置50は、例えば、操作者によるバケット操作レバーの操作とは無関係に、コントローラ30からの制御電流に応じてバケット6を開閉させることができる。また、操作者によるブーム操作レバーの操作とは無関係に、コントローラ30からの制御電流に応じてブーム4を上下させることができる。下部走行体1の前進、後進、上部旋回体3の左旋回、右旋回、アーム5の開閉等についても同様である。
次に、図5を参照して外部演算装置30Eの機能について説明する。なお、図5は、外部演算装置30Eの構成例を示す機能ブロック図である。本実施例では、外部演算装置30Eは、通信装置D1、測位装置D2、姿勢検出装置D3、撮像装置D4、シリンダ圧検出装置D5の出力を受けて各種演算を実行し、その演算結果をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、例えば、その演算結果に応じた制御指令を動作制御部E1に対して出力する。
動作制御部E1はアタッチメントの動きを制御するための機能要素であり、例えば、パイロット圧調整装置50、流量制御弁171〜176等を含む。流量制御弁171〜176が電気信号に応じて動作する構成である場合、コントローラ30は、流量制御弁171〜176に電気信号を直接的に送信する。
また、動作制御部E1は、アタッチメントの動きを自動調整した旨をショベル100の操作者に知らせる情報通知装置を含んでいてもよい。情報通知装置は、例えば、音声出力装置、LEDランプ等を含む。
具体的には、外部演算装置30Eは、主に、地形データベース更新部31、位置座標更新部32、地面形状情報取得部33、及び掘削反力導出部34を含む。
地形データベース更新部31は、作業現場の地形情報を参照可能に体系的に記憶する地形データベースを更新する機能要素である。本実施例では、地形データベース更新部31は、例えばショベル100の起動時に通信装置D1を通じて作業現場の地形情報を取得して地形データベースを更新する。地形データベースは不揮発性メモリ等に記憶される。また、作業現場の地形情報は、例えば世界測位系に基づく3次元地形モデルで記述される。
位置座標更新部32は、ショベル100の現在位置を表す座標及び向きを更新する機能要素である。本実施例では、位置座標更新部32は、測位装置D2の出力に基づいて世界測位系におけるショベル100の位置座標及び向きを取得し、不揮発性メモリ等に記憶されるショベル100の現在位置を表す座標及び向きに関するデータを更新する。
地面形状情報取得部33は、作業対象の地面の現在の形状に関する情報を取得する機能要素である。本実施例では、地面形状情報取得部33は、地形データベース更新部31が更新した地形情報と、位置座標更新部32が更新したショベル100の現在位置を表す座標及び向きと、姿勢検出装置D3が検出した掘削アタッチメントの姿勢の過去の推移とに基づいて掘削対象地面の現在の形状に関する情報を取得する。
ここで、図6を参照し、地面形状情報取得部33が掘削動作後の地面形状に関する情報を取得する処理について説明する。図6は、掘削動作後の地面形状に関する情報の概念図である。なお、図6の破線で示す複数のバケット形状X0〜X8は、前回の掘削動作の際のバケット6の軌跡を表す。バケット6の軌跡は、姿勢検出装置D3が過去に検出した掘削アタッチメントの姿勢の推移から導き出される。また、図6の太実線は、地面形状情報取得部33が把握している掘削対象地面の現在の断面形状を表し、太点線は、地面形状情報取得部33が把握している前回の掘削動作が行われる前の掘削対象地面の断面形状を表す。すなわち、地面形状情報取得部33は、前回の掘削動作が行われる前の掘削対象地面の形状から、前回の掘削動作の際にバケット6が通過した空間に対応する部分を取り除くことで掘削対象地面の現在の形状を導き出す。このようにして、地面形状情報取得部33は、掘削動作後の地面形状を推定できる。また、図6の一点鎖線で示すZ軸方向に伸びる各ブロックは3次元地形モデルの各要素を表す。各要素は例えばXY平面に平行な単位面積の上面と−Z方向に無限大の長さを有するモデルで表現される。なお、3次元地形モデルは3次元メッシュモデルで表現されてもよい。
地面形状情報取得部33は、撮像装置D4が撮像したショベル100周辺の画像に基づいて掘削対象地面の現在の形状に関する情報を取得してもよい。地面形状情報取得部33は、レーザレンジファインダ、レーザスキャナ、距離画像センサ等の距離測定装置の出力に基づいて掘削対象地面の現在の形状に関する情報を取得してもよい。
掘削反力導出部34は掘削反力を導き出す機能要素である。掘削反力導出部34は、例えば、掘削アタッチメントの姿勢と掘削対象地面の現在の形状に関する情報とに基づいて掘削反力を導き出す。掘削アタッチメントの姿勢は姿勢検出装置D3によって検出され、掘削対象地面の現在の形状に関する情報は地面形状情報取得部33によって取得される。掘削反力導出部34は、掘削アタッチメントの姿勢と、シリンダ圧検出装置D5が出力する情報とに基づいて掘削反力を導き出してもよい。
本実施例では、掘削反力導出部34は、所定の計算式を用いて所定の演算周期で掘削反力を導き出す。例えば、掘削深さが深いほど、すなわち、ショベル100の接地面とバケット爪先位置P4(図2参照。)との鉛直距離が大きいほど掘削反力が大きくなるように掘削反力を導き出す。また、掘削反力導出部34は、例えば、バケット6の爪先の掘削対象地面に対する地面挿入深さが大きいほど掘削反力が大きくなるように掘削反力を導き出す。また、掘削反力導出部34は、土砂密度等の土砂特性を考慮して掘削反力を導き出してもよい。土砂特性は、車載入力装置(図示せず。)を通じて操作者が入力する値であってもよく、シリンダ圧センサ等の各種センサの出力に基づいて自動的に算出される値であってもよい。
また、掘削反力導出部34は、掘削アタッチメントの姿勢と掘削対象地面の現在の形状に関する情報とに基づいて掘削中であるか否かを判定し、その判定結果をコントローラ30に対して出力してもよい。掘削反力導出部34は、例えば、バケット爪先位置P4(図2参照。)と掘削対象地面との間の鉛直距離が所定値以下となった場合に掘削中であると判定する。また、掘削反力導出部34は、バケット6の爪先と掘削対象地面とが接触する前に掘削中であると判定してもよい。
外部演算装置30Eは、掘削反力導出部34により掘削中であると判定されると、操作者の操作内容に基づいて現在の掘削段階を導出する。なお、外部演算装置30E自身が、掘削アタッチメントの姿勢と掘削対象地面の現在の形状に関する情報とに基づいて掘削中であるか否かを判定してもよい。本実施例では、外部演算装置30Eは、操作装置26が出力する操作内容に基づいて現在の掘削段階を導出する。
また、外部演算装置30Eは、姿勢検出装置D3の出力と掘削対象地面の現在の形状に関する情報とに基づいてバケット爪先角度αを算出する。バケット爪先角度αは、バケット6の爪先の掘削対象地面に対する角度である。
ここで、図7を参照し、掘削初期段階、掘削中期段階、及び掘削後期段階の3段階を含む掘削段階について説明する。図7は掘削段階を説明する図であり、F7Aが掘削初期段階におけるバケット6と掘削対象地面との関係を示し、F7Bが掘削中期段階におけるバケット6と掘削対象地面との関係を示し、F7Cが掘削後期段階におけるバケット6と掘削対象地面との関係を示す。F7Dは、掘削段階の後に行われるブーム上げ段階におけるバケット6と掘削対象地面との関係を示す。
掘削初期段階は、F7Aの矢印で示すようにバケット6を鉛直下方に移動させる段階を意味する。そのため、掘削初期段階における掘削反力Fzは、主にバケット6の爪先を掘削対象地面に挿入する際の挿入抵抗で構成され、主に鉛直上方を向く。また、挿入抵抗はバケット6の爪先の地面挿入深さhが大きいほど大きくなる。また、挿入抵抗は、バケット6の爪先の地面挿入深さhが同じであれば、バケット爪先角度αが略90度のときに最小となる。なお、外部演算装置30Eは、例えば、掘削中にブーム下げ操作が行われていると判定した場合、現在の掘削段階が掘削初期段階であると判定する。掘削初期段階における掘削動作は、所定の動作により実現される。所定の動作は、好ましくは、所定の掘削アタッチメントの姿勢で、且つ、所定の挿入速度で実行される。挿入時の掘削アタッチメントの姿勢又は挿入速度が変化すると、挿入抵抗の導出結果にバラツキが生じるおそれがあるためである。
掘削中期段階は、F7Bの矢印で示すようにバケット6をショベル100の機体側に引き寄せる段階を意味する。そのため、掘削中期段階における掘削反力Fzは、主に掘削対象地面のすべり破壊に対するせん断抵抗力で構成され、主に機体から離れる方向を向く。なお、外部演算装置30Eは、例えば、掘削中にアーム閉じ操作が行われていると判定した場合、現在の掘削段階が掘削中期段階であると判定する。或いは、外部演算装置30Eは、掘削中にブーム下げ操作が行われておらず且つアーム閉じ操作が行われていると判定した場合に現在の掘削段階が掘削中期段階であると判定してもよい。
また、掘削中期段階における掘削反力Fzは、バケット爪先角度αが小さいほど掘削対象地面のすべり破壊が発生し難くなるために大きくなる。反対に、掘削中期段階における掘削反力Fzは、バケット爪先角度αが大きいほど掘削対象地面のすべり破壊が発生し易くなるために小さくなる。また、掘削量は、バケット爪先角度αが90度より大きい場合には、バケット爪先角度αが大きいほど小さくなる。
掘削後期段階は、F7Cの矢印で示すようにバケット6を鉛直上方に持ち上げる段階を意味する。そのため、掘削後期段階における掘削反力Fzは、主にバケット6内に取り込まれた土砂等の重量で構成され、主に鉛直下方を向く。なお、外部演算装置30Eは、例えば、掘削中にブーム上げ操作が行われていると判定した場合、現在の掘削段階が掘削後期段階であると判定する。或いは、外部演算装置30Eは、掘削中にアーム閉じ操作が行われておらず且つブーム上げ操作が行われていると判定した場合に現在の掘削段階が掘削後期段階であると判定してもよい。
外部演算装置30Eは、掘削初期段階でのバケット6の爪先の挿入深さhと挿入抵抗(掘削反力Fz)に基づいて掘削対象である地盤の硬さ(例えば、土砂、岩又は砂利等の特性等を含む。)を導出する。本実施例では、外部演算装置30Eは、挿入深さhと掘削反力Fzと硬さKとの対応関係を記憶する硬さテーブルを参照して掘削対象の硬さKを導き出す。所定の計算式を用いて硬さKを導き出してもよい。
挿入深さhは、例えば、掘削反力導出部34により、バケット爪先位置と掘削対象地面の現在の形状に関する情報とに基づいて導き出される。掘削反力Fzは、例えば、掘削反力導出部34により、掘削アタッチメントの姿勢と、シリンダ圧検出装置D5が出力する情報とに基づいて導き出される。
図8は、硬さテーブルに記憶された対応関係を表すグラフであり、縦軸に挿入抵抗(掘削反力Fz)を配置し、横軸に挿入深さhを配置している。
図8に示すように、挿入抵抗(掘削反力Fz)は、例えば、挿入深さhの二乗に比例する関数として表される。係数K1、K2は、硬さKの例であり、値が大きいほど硬いことを表している。
外部演算装置30Eは、掘削反力導出部34が導き出した挿入深さh及び挿入抵抗(掘削反力Fz)と、図8に示すような対応関係とに基づいて硬さKを導き出す。外部演算装置30Eは、掘削対象の硬さKを数値として導き出す代わりに、掘削対象の硬さKを複数の硬さ段階から選択してもよい。また、外部演算装置30Eは、シリンダ圧検出装置D5の検出値に基づいて硬さKを推定してもよい。この場合、外部演算装置30Eは、挿入時の掘削アタッチメントの姿勢が所定の姿勢であれば、バケットシリンダ圧、アームシリンダ圧、若しくは、ブームシリンダ圧の変化に基づいて硬さKを推定してもよい。
その後、外部演算装置30Eは、掘削対象の硬さKに基づいて目標掘削深さHを導出する。目標掘削深さHは、掘削動作中にバケット6が動かなくなるような状況を引き起こすことなく、効率的な掘削動作を実現できる掘削深さを意味する。すなわち、実際の掘削深さが目標掘削深さHを超えると、バケット6の動きが鈍化し或いは停止する場合がある。目標掘削深さHは、例えば、掘削対象の硬さKに関連付けてROM等に予め記憶されている。目標掘削深さHは、例えば、掘削対象が硬いほど浅くなるように設定されている。F7Cは、掘削深さが目標掘削深さHになるように掘削が適切に行われた後の状態を示している。目標掘削深さHは、掘削対象の硬さKに加え、ショベル100の姿勢、バケット6の姿勢等に関連付けて設定されていてもよい。目標掘削深さHは、例えば、掘削アタッチメントが伸張されて旋回半径が大きくなっているときほど浅くなるように設定されていてもよい。
また、外部演算装置30Eは、掘削対象の硬さKに基づいてバケット6の許容積載重量に対応する目標掘削体積Vtを導出する。バケット6の許容積載重量は、バケット6を用いて持ち上げることができる掘削対象の最大重量を意味する。許容積載重量は、例えば、ショベル100の種類、動作モード等に関連付けてROM等に予め記憶されている。目標掘削体積Vtは、1回の掘削動作で掘削しようとする掘削対象の掘削体積(目標値)を意味する。例えば、1回の掘削動作でバケット6によって排土される土砂の体積(目標値)である。
「バケット6の許容積載重量に対応する目標掘削体積Vt」は、掘削対象の単位体積重量(密度ρ)に応じて異なる。具体的には、密度ρが大きいほど小さく、密度ρが小さいほど大きい。そのため、外部演算装置30Eは、硬さKに基づいて密度ρを導き出す。密度ρは、例えば、掘削対象の硬さKに関連付けてROM等に予め記憶されている。密度ρは、例えば、掘削対象が硬いほど大きくなるように設定されている。すなわち、掘削対象が硬いほど「バケット6の許容積載重量に対応する目標掘削体積Vt」が小さくなるように設定されている。
その後、外部演算装置30Eは、目標掘削深さHと目標掘削体積Vtから目標掘削長さLを導出する。目標掘削長さLは、上部旋回体3の前後軸に沿った長さである。目標掘削長さLは、ショベル100の姿勢によって制限されてもよい。目標掘削体積Vtは、例えば、目標掘削深さHと目標掘削長さLとバケット幅Wで決まる空間の体積Vにほぼ等しい。バケット幅Wは、上部旋回体3の左右軸方向におけるバケット6の長さである。目標掘削体積Vtは、体積Vに回収率ηを乗じた値として導出されてもよい。回収率ηは、バケット6によって掘削された掘削対象の体積に占める、バケット6内に入った掘削対象の体積の比率を表す。回収率ηは、予め記憶された値であってもよく、任意のタイミングで設定される値であってもよい。F7Dは、掘削長さが目標掘削長さLになるように掘削が適切に行われた後の状態を示している。具体的には、掘削初期段階でバケット6の爪先が掘削対象に入った位置Paから掘削後期段階でバケット6の爪先が掘削対象から出た位置Pbまでの水平距離が目標掘削長さLになったことを示している。また、F7Dは、掘削体積が目標掘削体積Vt(=目標掘削深さH×目標掘削長さL×バケット幅W×回収率η)になるように掘削が適切に行われた後の状態を示している。
仕上げ面として目標施工面が設定されている場合、外部演算装置30Eは、現在の掘削面(地表面)から目標施工面までの間で複数の目標掘削深さHを段階的に導出してもよい。このようにして、ショベル100のコントローラ30は、作業部位であるバケット6の爪先が、段階的に設定された目標掘削深さHを超えないように制御できる。
次に、図9を参照し、外部演算装置30Eが掘削アタッチメントによる掘削動作を支援する処理(以下、「掘削支援処理」とする。)について説明する。図9は、掘削支援処理の一例を示すフローチャートである。外部演算装置30Eは、ショベル100の稼働中に所定の制御周期で繰り返しこの掘削支援処理を実行する。掘削中であると判定した場合に限り実行してもよい。
最初に、外部演算装置30Eは、現在の掘削段階が掘削初期段階であるか否かを判定する(ステップST1)。本実施例では、外部演算装置30Eは、掘削中にブーム下げ操作が行われていると判定した場合、現在の掘削段階が掘削初期段階であると判定する。
現在の掘削段階が掘削初期段階でないと判定した場合(ステップST1のNO)、外部演算装置30Eは、今回の掘削支援処理を終了する。
現在の掘削段階が掘削初期段階であると判定した場合(ステップST1のYES)、外部演算装置30Eは、掘削対象の硬さKを導出する(ステップST2)。本実施例では、外部演算装置30Eは、挿入深さhと掘削反力Fzと硬さKとの対応関係を記憶する硬さテーブルを参照して掘削対象の硬さKを導き出す。短時間で複数の硬さKを導出した場合、それらの平均値を硬さKとしてもよく、直近の値を硬さKとしてもよい。目標掘削深さH等の他のパラメータについても同様である。
その後、外部演算装置30Eは、掘削対象の硬さKに基づいて目標掘削深さHを導出する(ステップST3)。本実施例では、外部演算装置30Eは、硬さKと目標掘削深さHとの対応関係を記憶する目標掘削深さテーブルを参照して目標掘削深さHを導き出す。所定の計算式を用いて目標掘削深さHを導き出してもよい。
その後、外部演算装置30Eは、掘削対象の硬さKに基づいて掘削対象の単位体積重量(密度ρ)を導出する(ステップST4)。本実施例では、外部演算装置30Eは、硬さKと密度ρとの対応関係を記憶する密度テーブルを参照して密度ρを導き出す。所定の計算式を用いて密度ρを導き出してもよい。
その後、外部演算装置30Eは、密度ρに基づいて目標掘削体積Vtを導出する(ステップST5)。目標掘削体積Vtは、バケット6の許容積載体積以下の値として導出される。バケット6の許容積載体積は、バケット6を用いて持ち上げることができる掘削対象の最大体積を意味する。本実施例では、外部演算装置30Eは、バケット6の許容積載重量と密度ρから目標掘削体積Vtを導き出す。バケット6の許容積載重量は、バケット6を用いて持ち上げることができる掘削対象の最大重量を意味する。バケット6の許容積載体積及び許容積載重量のそれぞれは、ショベル100の動作モード等に応じて異なる値であってもよい。外部演算装置30Eは、許容積載重量未満の所定の積載重量と密度ρから目標掘削体積Vtを導き出してもよい。
その後、外部演算装置30Eは、目標掘削長さLを導出する(ステップST6)。本実施例では、外部演算装置30Eは、目標掘削深さH、目標掘削体積Vt、回収率η、バケット幅Wから目標掘削長さLを導き出す。目標掘削体積Vtは、H×L×W×ηで表されるためである。回収率η及びバケット幅Wは、例えば、予め記憶された値である。
その後、外部演算装置30Eは、掘削支援機能を開始する(ステップST7)。本実施例では、外部演算装置30Eは、現在の掘削段階が掘削中期段階であると判定した場合、例えば、ブーム下げ操作が中止され且つアーム閉じ操作が行われている場合に掘削支援機能を開始する。
掘削支援機能は、例えば、掘削アタッチメントを半自動で動作させて掘削動作を支援する機能である。この場合、外部演算装置30Eは、例えば、掘削中期段階においてアーム閉じ操作が行われている際に、現在の掘削面である最新の掘削面(地表面)からの掘削深さが目標掘削深さHとなるようにブーム4を自動的に上下させる。バケット6を自動的に開閉させてもよい。具体的には、外部演算装置30Eは、掘削深さが目標掘削深さHを超えそうなときには、目標掘削深さHを超えないよう、ブーム4を自動的に上昇させてもよい。或いは、掘削深さが目標掘削深さHに達しそうにないときには、目標掘削深さHに達するよう、ブーム4を自動的に下降させてもよい。バケット6の開閉についても同様である。また、アーム5の閉じ速度を調整してもよい。
また、外部演算装置30Eは、掘削中期段階においてアーム閉じ操作が行われている際に、掘削長さが目標掘削長さLとなるようにブーム4を自動的に上下させる。バケット6を自動的に開閉させてもよい。具体的には、外部演算装置30Eは、掘削長さが目標掘削長さLを超えそうなときには、目標掘削長さLを超えないよう、バケット6を自動的に閉じ、且つ、ブーム4を自動的に上昇させてもよい。或いは、掘削長さが目標掘削長さLに達しそうにないときには、目標掘削長さLに達するよう、ブーム4を自動的に下降させてもよい。また、アーム5の閉じ速度を調整してもよい。
また、外部演算装置30Eは、掘削中期段階においてアーム閉じ操作が行われている際に、掘削体積が目標掘削体積Vtとなるようにブーム4を自動的に上下させてもよく、バケット6を自動的に開閉させてもよい。具体的には、外部演算装置30Eは、掘削体積が目標掘削体積Vtを超えそうなときには、目標掘削体積Vtを超えないよう、バケット6を自動的に閉じ、且つ、ブーム4を自動的に上昇させてもよい。或いは、掘削体積が目標掘削体積Vtに達しそうにないときには、目標掘削体積Vtに達するよう、ブーム4を自動的に下降させてもよい。この場合、外部演算装置30Eは、撮像装置D4、距離測定装置等の出力に基づいて掘削体積を導出してもよい。また、目標掘削長さLの実現よりも目標掘削体積Vtの実現を優先させてもよい。すなわち、掘削長さが目標掘削長さLに達していない場合にブーム4を自動的に上昇させてもよく、掘削長さが目標掘削長さLを超えそうな場合にブーム4を自動的に下降させてもよい。また、アーム5の閉じ速度を調整してもよい。
或いは、掘削支援機能は、掘削アタッチメントを全自動で動作させて掘削動作を支援する機能であってもよい。或いは、目標掘削深さH及び目標掘削長さLに関する情報を画像表示装置40に表示する機能であってもよい。この場合、操作者は、画像表示装置40に表示された情報を見ながら掘削を行うことで、効率的な掘削を行うことができる。
上述のように、外部演算装置30Eは、掘削初期段階でのバケット6の爪先の挿入深さhと挿入抵抗(掘削反力Fz)に基づいて掘削対象の硬さKを導出し、その硬さKに基づいて目標掘削深さHを導出し、且つ、その硬さKに基づいてバケット6の許容積載重量に対応する目標掘削体積Vtを導出する。そして、導出した目標掘削深さHを利用して掘削アタッチメントによる掘削動作を適切に支援することができる。そのため、本発明の実施例に係るショベル100は、より効率的な掘削を実現できる。具体的には、掘削中に掘削負荷の影響を受けて掘削を継続できなくなってしまったり、掘削体積が小さくなってしまったりといった状況が発生するのを防止できる。また、掘削対象の硬さKは、上述の如く、シリンダ圧検出装置D5等のショベル100に取り付けられた機器の検出値に基づいて導出されてもよく、ショベル100の外部に設置された機器の検出値に基づいて導出されてもよい。このように、本実施例では、硬さKに応じて最新の掘削面からの目標掘削深さHが設定される。また、硬さKが変化したことが検出されると、変化後の硬さKに応じて目標掘削深さHが自動的に補正される。このようにして、ショベル100のコントローラ30は、作業部位であるバケット6の爪先が、設定された目標掘削深さH及び目標掘削長さLを超えないように制御できる。
また、外部演算装置30Eは、目標掘削深さHと目標掘削体積Vtから目標掘削長さLを導出する。そして、導出した目標掘削深さHと目標掘削長さLを利用して掘削アタッチメントによる掘削動作を適切に支援することができる。そのため、本発明の実施例に係るショベル100は、より効率的な掘削を実現できる。
そして、外部演算装置30Eは、掘削支援機能の一例として、掘削アタッチメントを半自動的に動作させて掘削動作を支援してもよい。例えば、バケット6内に入る掘削対象の重量が許容積載重量を超えないよう、複数の油圧アクチュエータのうちの少なくとも1つを自動的に制御してもよい。
外部演算装置30Eは、掘削対象の硬さが所定の硬さより硬いと判定した場合に、バケット6の爪先を揺動させてもよい。掘削動作がより効率的に行われるようにするためである。例えば、外部演算装置30Eは、掘削初期段階において掘削対象の硬さKが所定の硬さより硬いと判定した場合に、バケット6の微小な開閉を繰り返すことでバケット6の爪先を揺動させてもよい。或いは、ブーム4の微小な上下動、アーム5の微小な開閉、及び、バケット6の微小な開閉の少なくとも1つを繰り返すことでバケット6の爪先を揺動させてもよい。
また、従来、掘削対象物としての地山を掘削するショベルが知られている(特開2002−304441号公報参照。)。そして、地山を構成する土砂、すなわち、ショベルが掘削する土砂を搬出する工程は、一般的に、その地山における掘削対象範囲の体積(総体積)に基づいて計画される。
しかしながら、地山を構成する土砂の単位体積重量(密度)は土質等に応じて異なる。また、掘削前のほぐれていない土砂の密度と掘削後のほぐれた土砂の密度も異なる。また、運搬車両の台数は、搬出しようとする土砂の総体積ではなく総重量に基づいて決まる。運搬車両の最大積載量は最大限度重量を意味するためである。そのため、地山の総体積を算出するだけでは土砂を搬出する工程を正確に計画することができず、運搬車両の台数を正確に予測することもできない。
上述に鑑み、本発明の実施例に係る建設機械としてのショベル(掘削機)は、掘削対象物の総重量をより正確に導出できるように構成されていてもよい。
ここで、図10を参照して外部演算装置30Eの機能について説明する。なお、図10は、外部演算装置30Eの構成例を示す機能ブロック図である。本実施例では、外部演算装置30Eは、通信装置D1、測位装置D2、姿勢検出装置D3、撮像装置D4、シリンダ圧検出装置D5等の出力を受けて各種演算を実行し、その演算結果をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、例えば、その演算結果に応じた制御指令を画像表示装置40等に対して出力する。
具体的には、外部演算装置30Eは、主に、地形データベース更新部31、位置座標更新部32、地面形状情報取得部33、及び算出部35を含む。
地形データベース更新部31は、地形データベースを更新する機能要素である。地形データベースは、作業現場の地形情報を参照可能に体系的に記憶している。本実施例では、地形データベース更新部31は、ショベル100の起動時に通信装置D1を通じて作業現場の地形情報を取得して地形データベースを更新する。地形データベースはNVRAM等の不揮発性メモリに記憶されている。作業現場の地形情報は、世界測位系に基づく3次元地形モデルで記述されている。
位置座標更新部32は、ショベル100の現在位置を表す位置座標及び向きを更新する機能要素である。本実施例では、位置座標更新部32は、測位装置D2の出力に基づいて世界測位系におけるショベル100の位置座標及び向きを取得し、不揮発性メモリに記憶されているショベル100の現在位置を表す位置座標及び向きに関するデータを更新する。
地面形状情報取得部33は、作業対象の地面の現在の形状に関する情報を取得する機能要素である。本実施例では、地面形状情報取得部33は、地形データベース更新部31が更新した地形情報と、位置座標更新部32が更新したショベル100の現在位置を表す位置座標及び向きと、姿勢検出装置D3が検出した掘削アタッチメントの姿勢の過去の推移とに基づいて掘削対象物(例えば地山)の現在の形状に関する情報を取得する。
地面形状情報取得部33は、例えば、前回の掘削動作が行われる前の掘削対象物の形状から、前回の掘削動作の際にバケット6が通過した空間に対応する部分を取り除くことで掘削対象物の現在の形状を導き出す。
地面形状情報取得部33は、撮像装置D4が撮像したショベル100周辺の画像に基づいて掘削対象物の現在の形状に関する情報を取得してもよい。地面形状情報取得部33は、レーザレンジファインダ、レーザスキャナ、距離画像センサ等の距離測定装置の出力に基づいて掘削対象物の現在の形状に関する情報を取得してもよい。
地面形状情報取得部33は、通信装置D1を通じて、現在の形状に関する情報を、管理センタに設置された管理装置、携帯端末(支援装置)等に送信してもよい。管理装置、支援装置等は、付属の受信装置を通じて受信した情報に基づき、自身が保持する作業現場の地形情報を更新してもよい。
算出部35は、掘削対象物に関する情報を算出する機能要素である。本実施例では、算出部35は、掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物の総体積V1と単位体積重量(密度ρ1)から総重量M1を算出する。
掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物の総体積V1は、現在の地形に関するデータと目標地形データとに基づいて導き出される。掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物の総体積V1は、例えば、現在の地形を構成する地形構成物(例えば土砂)の総体積から目標地形を構成する地形構成物(例えば土砂)の総体積を差し引いた体積に相当するためである。
掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物の密度ρ1は、掘削アタッチメントが持ち上げた掘削対象構成物(例えば土砂)の重量M2から導き出される。これは、掘削アタッチメントが持ち上げた掘削対象構成物の重量M2が、掘削アタッチメントによる掘削によってできた掘削対象物における空間(穴)を占めていた掘削対象構成物の重量M3に等しいという第1前提条件に基づく。また、掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物の密度ρ1が、掘削アタッチメントによる掘削によってできた掘削対象物における空間(穴)を占めていた掘削対象構成物の密度ρ3に等しいという第2前提条件に基づく。
すなわち、掘削アタッチメントによる掘削によってできた空間(穴)を占めていた掘削対象構成物の体積を体積V3とすると、第1前提条件は式(1)で表され、第2前提条件は式(2)で表される。また、掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物の密度ρ1は式(3)で表され、掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物の総重量M1は式(4)で表される。なお、体積V2は、掘削アタッチメントが持ち上げた掘削対象構成物の体積に相当し、体積V3は、掘削アタッチメントによる掘削によってできた空間(穴)の体積に相当する。また、密度ρ2は、掘削アタッチメントが持ち上げた掘削対象構成物の単位体積重量に相当する。
掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物の密度ρ1は、典型的には、掘削アタッチメントが持ち上げた掘削対象構成物の密度ρ2より大きい。掘削によって土砂がほぐれるためである。これは、掘削アタッチメントが持ち上げた掘削対象構成物の体積V2が、掘削アタッチメントによる掘削によってできた空間(穴)を占めていた掘削対象構成物の体積V3よりも大きいことを意味する。
従って、算出部35は、掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物(地山)の総体積V1、掘削アタッチメントが持ち上げた掘削対象構成物(土砂)の重量M2、及び、掘削アタッチメントによる掘削によってできた空間(穴)の体積V3を導出できれば、掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物の総重量M1を算出できる。そして、総体積V1は、上述のように、現在の地形に関するデータと目標地形データとに基づいて導き出される。
そこで、算出部35は、情報取得装置の出力に基づき、掘削アタッチメントが持ち上げた掘削対象構成物の重量M2、及び、掘削アタッチメントによる掘削によってできた空間(穴)の体積V3を導き出す。
本実施例では、算出部35は、掘削アタッチメントの姿勢とブームボトム圧から、掘削アタッチメントが持ち上げた掘削対象構成物の重量M2を導き出す。掘削アタッチメントの姿勢は、例えば、ブーム角度センサD3a、アーム角度センサD3b、バケット角度センサD3c、及び、車体傾斜センサD3dのそれぞれの出力から導き出される。ブームボトム圧は、例えば、ブームボトム圧センサD5bによって検出される。掘削アタッチメントの姿勢とブームボトム圧と重量M2との関係は、例えば、予めNVRAM等に記憶されている。
算出部35は、ブームロッド圧、ブームボトム圧、アームロッド圧、アームボトム圧、バケットロッド圧、及び、バケットボトム圧の少なくとも1つと掘削アタッチメントの姿勢とに基づいて掘削アタッチメントが持ち上げた掘削対象構成物の重量M2を導き出してもよい。
また、算出部35は、例えば、掘削前の地形データと掘削後の地形データとに基づき、掘削アタッチメントによる掘削によってできた空間(穴)の体積V3を導き出す。本実施例では、算出部35は、撮像装置D4が撮像した掘削前の掘削対象物の画像と掘削後の掘削対象物の画像に基づき、掘削前の地形データと掘削後の地形データを取得する。
或いは、算出部35は、掘削前の地形データとその後の掘削動作の際にバケット6が通過した空間に関する情報とに基づき、掘削アタッチメントによる掘削によってできた空間(穴)の体積V3を導き出してもよい。バケット6が通過した空間に関する情報は、例えば、掘削動作開始後のブーム角度センサD3a、アーム角度センサD3b、バケット角度センサD3c、及び、車体傾斜センサD3dのそれぞれの時系列データから導き出される。
このようにして、算出部35は、掘削アタッチメントによって掘削される前の掘削対象物の総重量M1を算出できる。
算出部35は、掘削対象物の総重量M1から運搬車両の配車台数を算出してもよい。運搬車両の配車台数は、例えば、掘削対象物の総重量M1を運搬車両の最大積載量(最大限度重量)で除算することで算出される。そして、算出部35は、その運搬車両の配車台数に関する情報を画像表示装置40に表示させてもよい。本実施例では、算出部35は、運搬車両の配車台数に関する情報をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、運搬車両の配車台数に関する情報を受信すると、制御指令を画像表示装置40に対して出力する。画像表示装置40は、コントローラ30が受信した運搬車両の配車台数に関する情報を画像表示部41に表示させる。
算出部35は、掘削対象物の総体積V1又は総重量M1と、掘削対象物を掘削するのに要した掘削エネルギとに基づいて掘削効率を算出してもよい。掘削対象物を掘削するのに要した掘削エネルギは、例えば、掘削対象物を掘削するのに要した時間、燃料の消費量等を含む。掘削効率は、例えば、掘削対象物の総体積V1又は総重量M1を、掘削対象物を掘削するのに要した時間で除算することで算出される。この場合、掘削効率は、単位時間当たりの掘削体積又は掘削重量として算出される。或いは、掘削効率は、掘削対象物の総体積V1又は総重量M1を、掘削対象物を掘削するのに要した燃料消費量で除算することで算出されてもよい。この場合、掘削効率は、単位燃料消費量当たりの掘削体積又は掘削重量として算出される。そして、その掘削効率に関する情報を画像表示装置40に表示させてもよい。本実施例では、算出部35は、掘削効率に関する情報をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、掘削効率に関する情報を受信すると、制御指令を画像表示装置40に対して出力する。画像表示装置40は、コントローラ30が受信した掘削効率に関する情報を画像表示部41に表示させる。
次に、図11〜図13を参照し、ショベル100に搭載された外部演算装置30Eが運搬車両300の配車台数を算出する処理(以下、「配車台数算出処理」とする。)について説明する。図11は、配車台数算出処理のフローチャートである。図12は、掘削アタッチメントによって掘削される前の地山ETの総体積V1の導出方法の一例を説明する図である。図12の粗いドットパターンの領域は施工前の地面GSを構成する掘削対象物としての地山ET(V1、ρ1、M1)を表し、一点鎖線は地山ETに埋まっている目標地形の表面(目標施工面TS)を表す。V1、ρ1、M1は地山ETの総体積、密度、総重量を表す。図13は、掘削アタッチメントによって掘削される前の地山ETの単位体積重量(密度ρ1)の導出方法の一例を説明する図である。図13の粗いドットパターンの領域は掘削対象物としての地山ETを表し、一点鎖線は地山ETに埋まっている目標地形の表面を表す。また、細かいドットパターンの領域はバケット6が持ち上げた土砂ES(V2、ρ2、M2)を表し、細かい斜線パターンの領域は掘削アタッチメントによる掘削によってできた地山ETにおける穴SP(V3、ρ3、M3)を表す。V2、ρ2、M2は土砂ESの体積、密度、重量を表す。V3、ρ3、M3は掘削前に穴SPを占めていた土砂の体積、密度、重量を表す。
本実施例では、外部演算装置30Eは、ショベル100が試し掘削モードで動作しているときに、この配車台数算出処理を実行する。操作者は、例えば、画像表示装置40における入力部42としてのスイッチパネルに含まれるモードスイッチを操作してショベル100の動作モードを通常モードから試し掘削モードに切り替えることができる。
最初に、外部演算装置30Eの算出部35は、地山ETの総体積V1を導出する(ステップST11)。この例では、算出部35は、図12に示すように、飛行体200に搭載された撮像装置D4Aが撮像した掘削前の地山ET(現在の地表面)の撮像データである画像と目標地形データに基づき、地山ETの総体積V1を導き出す。ブーム4の側面に取り付けられた撮像装置D4が撮像した掘削前の地山ETの撮像データと目標地形データに基づき、地山ETの総体積V1を導き出してもよい。
ショベル100は、通信装置D1を通じて飛行体200と通信し、飛行体200が送信する画像を取得する。破線で示す領域R1は、撮像装置D4Aの撮像範囲を表す。
算出部35は、ステレオカメラとしての撮像装置D4Aが送信する画像に基づき、地山ETを含むショベル100の周辺の現在の地形に関する情報を取得できる。現在の地形に関する情報は、例えば、現在の地形を構成する土砂の総体積を含む。そして、現在の地形を構成する土砂の総体積から目標地形を構成する土砂の総体積を差し引いた体積を、掘削アタッチメントによって掘削される前の地山ETの総体積V1として導き出す。目標地形を構成する土砂の総体積は、目標地形データから導き出される。これらの処理の少なくとも一部は飛行体200で実行されてもよい。
その後、算出部35は、地山ETの単位体積重量(密度ρ1)を導出する(ステップST12)。この例では、算出部35は、図13に示すように、ブーム4の側面に取り付けられた撮像装置D4が撮像した掘削前後の地山ETの撮像データと、姿勢検出装置D3が検出した掘削アタッチメントの姿勢と、シリンダ圧検出装置D5が検出したブームボトム圧とに基づいて密度ρ1を導き出す。図13の破線で示す領域R2は、撮像装置D4の撮像範囲を表す。算出部35は、撮像装置D4Aが撮像した掘削前後の地山ETの撮像データと、姿勢検出装置D3が検出した掘削アタッチメントの姿勢と、シリンダ圧検出装置D5が検出したブームボトム圧とに基づいて密度ρ1を導き出してもよい。これらの処理の少なくとも一部は飛行体200で実行されてもよい。
具体的には、算出部35は、掘削アタッチメントの姿勢とブームボトム圧から、掘削アタッチメントが持ち上げた土砂ESの重量M2を導き出す。また、算出部35は、掘削前の地形データと掘削後の地形データから、掘削アタッチメントによる掘削によってできた穴SPの体積V3を導き出す。掘削前の地形データは、撮像装置D4が撮像した掘削前の地山ETの撮像データから導き出される。掘削後の地形データについても同様である。
算出部35は、撮像装置D4が撮像した、バケット6が持ち上げた土砂ESの画像に基づいて土砂ESの体積V2を導き出してもよい。この場合、体積V2と重量M2から単位体積重量(密度ρ2)を導き出してもよい。そして、算出部35は、撮像装置D4が撮像した、バケット6からこぼれ落ちた土砂の画像に基づき、そのこぼれ落ちた土砂の体積V4(図示せず。)を導き出してもよい。この場合、体積V4と密度ρ2から、こぼれ落ちた土砂の重量M4(図示せず。)を導き出してもよい。これは、こぼれ落ちた土砂の密度ρ4(図示せず。)とバケット6が持ち上げた土砂ESの密度ρ2が等しいという前提条件に基づく。その上で、算出部35は、重量M2と重量M4の合計から、掘削アタッチメントによって掘削される前の地山ETの密度ρ1を導き出してもよい。これは、バケット6が持ち上げた土砂の重量M2とバケット6からこぼれ落ちた土砂の重量M4の合計が、掘削アタッチメントによる掘削によってできた地山ETにおける穴SPを占めていた土砂の重量M3に等しいという前提条件に基づく。
その後、算出部35は、地山ETの総重量M1を算出する(ステップST13)。この例では、算出部35は、ステップST11で導出した地山ETの総体積V1と、ステップST12で導出した地山ETの単位体積重量(密度ρ1)とに基づいて地山ETの総重量M1を算出する。算出部35は、例えば、上述の式(1)〜式(4)に基づいて地山ETの総重量M1を算出する。
その後、算出部35は、運搬車両の配車台数を算出する(ステップST14)。この例では、算出部35は、ステップST13で算出した地山ETの総重量M1と運搬車両の最大積載量(最大限度重量)に基づいて地山ETを構成する土砂の全てを搬出するために必要な運搬車両の台数を算出する。
算出部35は、ステップST13で算出した地山ETの総重量M1を通信装置D1経由で管理センタに設置された管理装置、携帯端末(支援装置)等に送信してもよい。この場合、運搬車両の配車台数は管理装置、支援装置等で算出されてもよい。地山ETの総体積V1、単位体積重量(密度ρ1)、及び、総重量M1の少なくとも1つが管理装置、支援装置等で導出或いは算出されてもよい。
この構成により、外部演算装置30Eは、掘削対象物としての地山ETの総重量M1をより正確に導き出すことができる。また、外部演算装置30E、管理装置、支援装置等は、地山ETの総重量M1に基づき、運搬車両の配車台数をより正確に導き出すことができる。
次に、図14を参照し、ショベル100に搭載された外部演算装置30Eがショベル100の掘削効率を算出する処理(以下、「掘削効率算出処理」とする。)について説明する。図14は、掘削効率算出処理のフローチャートである。外部演算装置30Eは、例えば、画像表示装置40における入力部42としてのスイッチパネルに含まれる所定のスイッチが操作されたときにこの掘削効率算出処理を実行する。外部演算装置30Eは、所定条件が満たされた場合にこの掘削効率算出処理を自動的に実行してもよい。
最初に、外部演算装置30Eは、地山ETの総重量M1を取得する(ステップST21)。この例では、外部演算装置30Eは、配車台数算出処理で算出され且つ所定の記憶領域に記憶された地山ETの総重量M1を読み出して取得する。
その後、外部演算装置30Eは、掘削に要した時間を取得する(ステップST22)。この例では、外部演算装置30Eは、タイマを用いて計測されたショベル稼働時間を掘削に要した時間として取得する。タイマは、例えば、エンジン11が始動された時に計時を開示し、エンジン11が停止された時に計時を終了する。レバー操作が行われた時間の累積時間等を掘削に要した時間として取得してもよい。
その後、外部演算装置30Eは、掘削効率を算出して表示する(ステップST23)。この例では、外部演算装置30Eは、ステップST21で取得した地山ETの総重量M1をステップST22で取得したショベル稼働時間で除算して単位時間当たりの掘削重量を掘削効率として算出する。そして、算出した掘削効率を画像表示装置40に表示する。
外部演算装置30Eは、地山ETの総体積V1及びショベル稼働時間を通信装置D1経由で管理センタに設置された管理装置、携帯端末(支援装置)等に送信してもよい。この場合、ショベル100の掘削効率は管理装置、支援装置等で算出されてもよい。
掘削効率は、単位時間(例えば1日)で掘削した土砂の重量であってもよい。この場合、掘削した土砂の重量は、バケット6が持ち上げた土砂の重量M2の積算値であってもよい。掘削効率は、単位時間で掘削した土砂の体積であってもよい。この場合、掘削した土砂の体積は、撮像装置D4、撮像装置D4A等が撮像した画像から導き出されてもよい。
この構成により、外部演算装置30E、管理装置、支援装置等は、ショベル100の掘削効率をより正確に導き出すことができる。そして、ショベル100の掘削効率を操作者、管理者等に提示できる。
次に、図15を参照し、画像表示装置40に表示される運搬車両に関する情報について説明する。図15は、画像表示装置40の画像表示部41に表示される画面Gの一例を示す。画面Gは管理センタに設置された管理装置、携帯端末(支援装置)等の表示装置に表示されてもよい。
画面Gは、主に、時刻表示部G1、台数情報表示部G2、及び、地図情報表示部G3を含む。時刻表示部G1は、時刻を表示する領域である。この例では、現在時刻が「15:00」であることを表示している。
台数情報表示部G2は、運搬車両の配車台数に関する情報を表示する領域である。この例では、必要台数が「20台」、現在積み込み台数が「15台」、及び、残り積み込み台数が「5台」であることを表示している。必要台数は、例えば、掘削対象物としての地山ETを構成する土砂の全てを搬出するのに必要な運搬車両の台数を表す。現在積み込み台数は、例えば、既に土砂の積み込みを行った運搬車両の台数を表す。残り積み込み台数は、例えば、必要台数から現在積み込み台数を差し引いた台数を表す。運搬車両の配車台数に関する情報は、主に、外部演算装置30Eによって算出された地山ETの総重量M1と、運搬車両の最大積載量(最大限度重量)とに基づいて算出される。
地図情報表示部G3は、地図画像を表示する領域である。この例では、作業現場及び排土場を含む地域の地図画像を表示している。そのため、地図情報表示部G3は、排土場を表す画像G3−1、及び、作業現場を表す画像G3−2を含んでいる。また、地図情報表示部G3は、地山ETを表す地山画像G4、ショベル100を表すショベル画像G5、運搬車両を表す車両画像G6、及び、運搬車両の番号を表す番号画像G7を含んでいる。地図情報表示部G3は、導出した掘削対象構成物の密度ρ2に関する画像を含んでいてもよい。この場合、地形情報に密度ρ2に関する情報が重畳表示されてもよい。また、地図情報表示部G3は、導出した掘削対象の硬さKに関する画像を含んでいてもよい。この場合、地形情報に硬さKに関する情報が重畳表示されてもよい。
地山画像G4は、例えば、地山ETを表す地山アイコンである。地山アイコンの形状(大きさ)は、例えば、既に搬出された土砂の重量が大きいほど小さくなるように変更されてもよい。
ショベル画像G5は、例えば、ショベル100を表すショベルアイコンである。
運搬車両を表す車両画像G6は、例えば、運搬車両を表す車両アイコンである。車両アイコンの表示位置は、運搬車両のそれぞれが発信する位置情報に基づく。図13の車両画像G6−15は15台目の運搬車両の位置を表し、車両画像G6−16は16台目の運搬車両の位置を表し、車両画像G6−17は17台目の運搬車両の位置を表している。外部演算装置30Eは、例えば、通信装置D1を介して受信した各運搬車両からの位置情報に基づいて車両アイコンの表示位置を決定する。外部演算装置30Eは、管理センタに設置された管理装置、携帯端末(支援装置)等を通じて各運搬車両の位置情報を取得してもよい。
運搬車両の番号を表す番号画像G7は、例えば、運搬車両の積み込み順を表す吹き出し画像である。積み込み順は、運搬車両のそれぞれが発信する情報に基づく。図13の番号画像G7−15は積み込み順が15番目であることを表し、番号画像G7−16は積み込み順が16番目であることを表し、番号画像G7−17は積み込み順が17番目であることを表している。外部演算装置30Eは、例えば、通信装置D1を介して受信した各運搬車両からの順番情報に基づいて各運搬車両の積み込み順を表示する。外部演算装置30Eは、作業現場に向かう各運搬車両の積み込み順を、作業現場から近い順に割り振ってもよい。また、土砂の積み込みが完了した後の運搬車両の積み込み順をその運搬車両が排土場で土砂を排土するまで維持し、土砂の排土が完了した後で新たな積み込み順を割り振るようにしてもよい。
外部演算装置30Eは、管理装置、支援装置等が生成した画像を受信して表示する構成であってもよい。この場合、画像表示装置40の画像表示部41に表示される画面Gは、管理装置、支援装置等が生成した画像となる。そのため、運搬車両の表示位置、積み込み順等は管理装置、支援装置等で決定される。
この構成により、外部演算装置30Eは、運搬車両に関する情報を画像表示装置40に表示させることで、運搬車両に関する情報を分かり易く操作者に伝えることができる。ショベル100の操作者は、例えば、画面Gを見ることで次の運搬車両がいつ頃作業現場に到着するかを容易に把握できる。
以上、本発明の好ましい実施例が説明された。しかしながら、本発明は、上述した実施例に限定されることはない。上述した実施例は、本発明の範囲を逸脱することなしに、種々の変形、置換等が適用され得る。また、上述の実施例を参照して説明された特徴のそれぞれは、技術的に矛盾しない限り、適宜に組み合わされてもよい。
例えば、上述の実施例では、外部演算装置30Eはコントローラ30の外部にある別の演算装置として説明されたが、コントローラ30に一体的に統合されていてもよい。また、コントローラ30の代わりに外部演算装置30Eが画像表示装置40を直接的に制御してもよい。また、コントローラ30の代わりに外部演算装置30Eが動作制御部E1を直接的に制御してもよい。
また、上述の実施例では、ショベル100の操作者は、掘削作業の開始前に試し掘削モードを選択して配車台数算出処理を実行しているが、掘削作業の途中で試し掘削モードを選択して配車台数算出処理を実行してもよい。この場合、操作者は、掘削作業の途中で、運搬車両の配車台数を修正できる。
また、上述の実施例では、外部演算装置30Eは、掘削作業が行われた後で、地山ETの総体積V1又は総重量M1と、地山ETを掘削するのに要した掘削エネルギとに基づいて掘削効率を算出している。しかしながら、本発明はこの構成に限定されるものではない。外部演算装置30Eは、例えば、掘削作業が行われる前に、地山ETの総体積V1又は総重量M1と、過去の掘削効率に関する情報等とに基づき、地山ETを掘削するのに要するショベル稼働時間、燃料消費量等を推定してもよい。
また、ショベル100による作業は、外部の管理装置を通じて管理されてもよく、外部の携帯端末(支援装置)を通じて支援されてもよい。ここで、図16を参照し、ショベル100を管理し且つ/或いは支援するための管理・支援システムについて説明する。図16は、管理・支援システムの一例を示す概略図である。図16で示すように、管理・支援システムは、ショベル100、管理装置FS、携帯端末MS(支援装置)を含む。ショベル100、管理装置FS、及び携帯端末MSは、通信ネットワークCNを通じて互いに接続される通信端末として機能する。管理・支援システムを構成するショベル100、管理装置FS、及び携帯端末MSは、それぞれ1台であってもよく、複数台であってもよい。図16の例では、管理・支援システムは、1台のショベル100と、1台の管理装置FSと、1台の携帯端末MSとを含む。
ショベル100は通信装置D1を有する。通信装置D1はショベル100の外部に向けて情報を発信する。通信装置D1は、例えば、管理装置FS及び携帯端末MSの少なくとも一方が受信可能な情報を発信する。
管理装置FSは、ショベル100の作業を管理する装置であり、例えば、作業現場外の管理センタ等に設置される、表示装置を備えたコンピュータである。管理装置FSは、使用者が持ち運び可能な可搬性のコンピュータであってもよい。携帯端末MSは、表示装置を備えた通信端末であり、スマートフォン、タブレット端末、ノートパソコン等を含む。
例えば、ショベル100において掘削対象物の総重量が算出された場合、通信装置D1は、通信ネットワークCNを介して管理装置FS及び携帯端末MSに情報を発信する。この情報は、運搬車両の配車台数を算出するために必要な情報を含む。管理装置FS及び携帯端末MSは、運搬車両の配車台数を算出し、その配車台数に関する情報を付属の表示装置に表示する。これにより、ショベル100の管理者等は、管理装置FS及び携帯端末MSの少なくとも一方を用いて運搬車両の配車台数を確認できる。
或いは、ショベル100又は管理装置FSは、運搬車両の配車台数を算出し、算出した配車台数に関するデータを携帯端末MSに送信し、携帯端末MSの表示装置でその配車台数に関する情報を表示させるようにしてもよい。
本願は、2017年3月22日に出願した日本国特許出願2017−056004号、及び、2017年3月27日に出願した日本国特許出願2017−061956号のそれぞれに基づく優先権を主張するものであり、これらの日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。