JPWO2018159335A1 - レンズおよびレンズの製造方法 - Google Patents
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Abstract
レンズは、凸面を有する樹脂製のレンズ本体と、前記凸面上に設けられる緩衝層と、前記緩衝層上に設けられる反射防止層と、を備える。前記緩衝層の厚さが、0.7μm以上かつ6.1μm以下であり、前記反射防止層の厚さが、0.07μm以上かつ0.57μm以下である。より好ましいレンズでは、前記緩衝層の厚さが、1.0μm以上かつ5.0μm以下であり、前記反射防止層の厚さが、0.10μm以上かつ0.50μm以下である。
Description
本発明は、レンズおよびレンズの製造方法に関する。
従来、ガラスにより形成される光学レンズでは、反射防止層が表面に設けられる。反射防止層の形成では、蒸着法等により無機物がレンズ本体にコーティングされる。レンズ本体および反射防止層の双方が無機物により形成されるため、両者間において高い密着性が得られる。また、両者間では、線膨張係数等の物性も近いため、温度変化または湿度変化が生じても、ひび割れ、剥がれ等の問題が発生しにくい。
近年、軽量化および低コスト化を図るために、レンズ本体を樹脂にて形成することが試みられている。例えば、特開2011−191395号公報では、光学樹脂材料からなるレンズ本体が開示されている。当該レンズ本体の表面には、反射防止膜からなる光学機能膜が形成される。
特開2011−191395号公報
ところで、樹脂製のレンズ本体の表面に反射防止層を直接設けると、両者間における線膨張係数の違いにより、高温環境下等において反射防止層に割れ等が発生する問題がある。そこで、レンズ本体と反射防止層との間に中間層である緩衝層を設け、反射防止層の割れ等を防止することが考えられる。
一方、反射防止層および緩衝層を含むレンズが、レンズユニットの最外に設けられる場合等には、当該レンズでは、高い耐熱性および耐傷性が求められる。しかしながら、反射防止層および緩衝層を含むレンズにおいて、耐熱性および耐傷性を向上しつつ所定のレンズ性能を確保することは容易ではない。
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、反射防止層および緩衝層を含むレンズにおいて、耐熱性および耐傷性を向上しつつ所定のレンズ性能を確保することを目的としている。
本発明の例示的なレンズは、凸面を有する樹脂製のレンズ本体と、前記凸面上に設けられる緩衝層と、前記緩衝層上に設けられる反射防止層と、を備える。前記緩衝層の厚さが、0.7μm以上かつ6.1μm以下であり、前記反射防止層の厚さが、0.07μm以上かつ0.57μm以下である。
本発明の例示的なレンズの製造方法は、a)凸面を有する樹脂製のレンズ本体において、前記凸面上に0.7μm以上かつ6.1μm以下の厚さの緩衝層を形成する工程と、b)前記緩衝層上に0.07μm以上かつ0.57μm以下の厚さの反射防止層を形成する工程と、を備える。
本発明によれば、反射防止層および緩衝層を含むレンズにおいて、耐熱性および耐傷性を向上しつつ所定のレンズ性能を確保することができる。
図1は、本発明の例示的な一の実施形態に係るレンズ1の構成を示す断面図である。レンズ1は、例えば、車載用の撮像装置に設けられるレンズユニットにおいて最外、すなわち、最も物体側に配置されるレンズである。
レンズ1は、レンズ本体2と、緩衝層3と、反射防止層4と、を含む。レンズ本体2は、樹脂製である。例えば、レンズ本体2は、樹脂のみにより構成される。レンズ本体2を形成する樹脂としては、様々なものが利用可能である。例えば、アクリル樹脂、非結晶ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂が利用可能である。
レンズ1の光軸上におけるレンズ本体2の厚さは、例えば、0.3mm(ミリメートル)以上であり、好ましくは、1.5mm以上である。図1の例では、レンズ本体2の厚さは、2.96mmである。樹脂製のレンズの通常の用途を考慮すると、レンズ本体2の厚さは、例えば、30mm以下である。レンズ本体2の厚さは、好ましくは、10mm以下であり、より好ましくは、5.0mm以下である。レンズ本体2の直径は、例えば、3.0mm以上であり、好ましくは、7.0mm以上である。ここで、レンズ本体2の直径は、レンズとして機能する部位の直径である。図1の例では、レンズ本体2の直径は、11.6mmである。樹脂製のレンズの通常の用途を考慮すると、レンズ本体2の直径は、例えば、100mm以下である。レンズ本体2の直径は、好ましくは、50mm以下であり、より好ましくは、20mm以下である。
レンズ本体2は、2つのレンズ面21,22を含む。一方のレンズ面21は、物体側に配置される面であり、凸面である。レンズ面21は、例えば、球面である。レンズ面21の曲率半径は、例えば、8mm以上であり、好ましくは、10mm以上である。図1の例では、レンズ面21の曲率半径は、13.8mmである。上記撮像装置において最外レンズとして用いられる場合、凸面であるレンズ面21の曲率半径は、例えば、10mm以上であり、好ましくは、12mm以上である。他方のレンズ面22は、像側に配置される面であり、図1では、平面である。レンズ面22は、凸面または凹面であってもよい。
レンズ面21上には、緩衝層3が設けられる。好ましくは、緩衝層3は、レンズ面21上に直接的に設けられる。すなわち、緩衝層3がレンズ面21と接触する。緩衝層3は、例えば、無機粒子を含む樹脂製であり、透明薄膜である。緩衝層3では、樹脂の層の内部に無機粒子が分散している。緩衝層3に無機物を含む樹脂を用いることにより、高硬度で高い耐擦傷性能の膜を実現することができる。当該樹脂として、例えば、アクリル樹脂、非結晶ポリオレフィン樹脂等が利用可能である。また、当該無機粒子は、例えば、アモルファスシリカ、アルミナ等の金属酸化物の粒子を含む。当該無機粒子は、金属酸化物以外の粒子を含んでもよい。緩衝層3の厚さは、好ましくは、0.7μm(マイクロメートル)以上かつ6.1μm以下であり、より好ましくは、1.0μm以上かつ5.0μm以下である。緩衝層3の厚さとして、上記範囲が好ましい理由については後述する。緩衝層3の厚さは、例えば光学式の膜厚計等により測定可能である。反射防止層4の厚さについても同様である。好ましい緩衝層3は、レンズ本体2よりも高い硬度を有する。
緩衝層3上には、反射防止層4が設けられる。好ましくは、反射防止層4は、緩衝層3上に直接的に設けられる。すなわち、反射防止層4が緩衝層3と接触する。反射防止層4は、例えば、無機酸化物製であり、透明薄膜である。当該無機酸化物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化チタン、チタン酸ランタン、酸化タンタル、酸化ニオブ等の金属酸化物等が利用可能である。好ましい反射防止層4では、複数種類の金属酸化物の層が積層される。反射防止層4の厚さは、好ましくは、0.07μm以上かつ0.57μm以下であり、より好ましくは、0.10μm以上かつ0.50μm以下である。反射防止層4の厚さは、緩衝層3の厚さよりも小さい。反射防止層4の厚さとして、上記範囲が好ましい理由については後述する。
レンズ本体2と反射防止層4との間に設けられる緩衝層3の存在により、レンズ1における反射防止層4の密着性が向上する。また、緩衝層3の線膨張係数は、レンズ本体2の線膨張係数と、反射防止層4の線膨張係数との間である。緩衝層3により、レンズ本体2と反射防止層4との間の線膨張係数の差により反射防止層4に生じる応力が低減される。その結果、反射防止層4において、温度変化に起因するクラックが生じることが防止される。本明細書において、反射防止層の「クラック」とは、反射防止層に生じる微細な割れや微細な剥離等の損傷を意味する。反射防止層4上には撥水層やその他の機能性層が設けられてもよい。また、他方のレンズ面22上に機能性層が設けられてもよい。
次に、レンズ1の製造について図2を参照して説明する。レンズ1の製造では、まず、レンズ本体2が準備される(ステップS11)。レンズ本体2は、例えば、レンズ本体形成材料の射出成形により形成される。レンズ本体形成材料は、レンズ本体2の材料として例示した樹脂等を含む。当該樹脂は、熱可塑性を有する。レンズ本体2が準備されると、レンズ本体2の一方のレンズ面21上に緩衝層3が形成される(ステップS12)。
図3は、緩衝層3の形成を説明するための図である。緩衝層3の形成では、まず、コーティング装置における回転保持部51上に、レンズ本体2が載置される。回転保持部51は、シャフトを中心として図示省略のモータにより回転可能である。本処理例では、凸面であるレンズ面21が上方を向いた状態で、レンズ本体2が回転保持部51により保持される。以下の説明では、レンズ面21を「対象レンズ面21」という。
続いて、回転保持部51の上方に配置されたノズル52から、緩衝層形成材料が対象レンズ面21上に所定量だけ滴下される。緩衝層形成材料は、無機粒子および樹脂を含む液状である。緩衝層形成材料は、緩衝層3の材料として例示した無機粒子および樹脂等を含む。本処理例では、緩衝層形成材料が、紫外線硬化性を有する。緩衝層形成材料は、熱硬化性を有してもよい。緩衝層形成材料の一例は、アモルファスシリカ、アクリル樹脂、光重合開始剤、および、PGM(プロピレングリコールモノメチルエーテル)を主成分とする溶剤、を所望の割合で混合した液である。
コーティング装置では、回転保持部51がレンズ本体2を所定の回転数で回転することにより、すなわちスピンコートにより、緩衝層形成材料の余剰が対象レンズ面21から除去される。このようにして、緩衝層形成材料が対象レンズ面21上に塗布され、緩衝層形成材料の膜が形成される。その後、当該膜に所定光量の紫外線を照射することにより、当該膜の硬化が行われる。以上の処理により、対象レンズ面21上に緩衝層3が形成される。対象レンズ面21上への緩衝層形成材料の塗布は、容器に貯溜された緩衝層形成材料中への対象レンズ面21の浸漬、すなわち、ディッピングにより行われてもよい。
緩衝層3が形成されると、緩衝層3上に反射防止層4が形成される(ステップS13)。反射防止層4の形成では、例えば、蒸着法により反射防止層形成材料が緩衝層3上に成膜される。好ましい蒸着法は、イオンアシスト法である。イオンアシスト法により、密着性および緻密性の高い膜が形成される。反射防止層4は、スパッタリング等により形成されてもよい。反射防止層形成材料は、反射防止層4の材料として例示した無機酸化物等を含む。反射防止層4の一例は、酸化ケイ素の薄膜と、酸化チタンの薄膜とが交互に積層された多層膜である。当該多層膜は、例えば、5層または7層の薄膜の集合である。以上の処理により、レンズ1が製造される。
図4は、レンズにおける緩衝層3および反射防止層4の厚さと、各種性能の評価結果とを示す図である。ここでは、図2のステップS12において、緩衝層3の形成条件を変更することにより、緩衝層3の厚さを複数通りに変更した。耐傷性が求められる緩衝層3は、ハードコート(Hard Coat)層とも呼ばれるため、図4では、緩衝層3の厚さを「HC膜厚」と示している。同様に、ステップS13における反射防止層4の形成条件を変更することにより、反射防止層4の厚さおよび層数を複数通りに変更した。図4では、反射防止層4の厚さを「AR膜厚」と示し、反射防止層4における層数を「層数」と示している。反射防止層4の厚さは、反射防止層4として機能する多層膜の全体の厚さである。緩衝層3の厚さおよび反射防止層4の厚さは、光学式の膜厚計によりレンズ本体2の中央の位置で測定した。また、緩衝層3の厚さをn1とし、
反射防止層4の厚さをn2として、緩衝層3の厚さと反射防止層4の厚さとの比の値(n2/n1)も示している。
反射防止層4の厚さをn2として、緩衝層3の厚さと反射防止層4の厚さとの比の値(n2/n1)も示している。
均一性の評価では、接触式の表面形状測定器を用いた。具体的には、ステップS12の前に対象レンズ面21の表面形状を測定し、ステップS13の後に反射防止層4の表面形状を測定した。続いて、これらの表面形状を重ね合わせた際における各位置での高さの差を求めた。そして、全ての位置における当該差の最大値と最小値との差をPV値として求め、当該PV値を均一性の値とした。図4では、PV値が1μm以下のレンズに「〇」を記し、PV値が1μmよりも大きく、かつ、2μm以下のレンズに「△」を記し、PV値が2μmよりも大きいレンズに「×」を記している。
耐傷性の評価では、レンズ本体2と同じ種類の樹脂製の板に対して、上記ステップS12,S13を行うことにより、当該板上に緩衝層3および反射防止層4を設けた試験片を準備した。そして、当該試験片に対して鉛筆硬度試験を行った。鉛筆硬度試験では、鉛筆の芯を所定の荷重で試験片に押し付けて動かし、傷跡の有無を観察した。上記作業を、鉛筆の芯の硬度を順に変更しつつ繰り返し、傷跡が付かない最も硬い鉛筆の硬度を耐傷性の評価結果とした。図4では、評価結果が5H以上であるレンズに「〇」を記し、評価結果が4Hであるレンズに「△」を記し、評価結果が3H以下であるレンズに「×」を記している。耐傷性は、耐摩耗性として捉えることもできる。耐傷性の評価は、他の手法により行われてもよい。例えば、ブラシを一定の荷重でレンズに押し付けて所定回数だけ動かし、傷跡の有無を確認する手法が利用可能である。
透過率の評価では、可視域、すなわち380〜780nm(ナノメートル)の波長帯の光に対するレンズの透過率を測定した。図4では、透過率が95%以上であるレンズに「〇」を記し、透過率が95%未満かつ90%以上であるレンズに「△」を記し、透過率が90%未満であるレンズに「×」を記している。
耐熱性の評価では、レンズを105℃の雰囲気中に500時間および1000時間放置した後に、反射防止層4のクラックおよびレンズの変形の有無を顕微鏡を用いて確認した。図4では、1000時間の放置においてクラックおよび変形が発生しなかったレンズに「〇」を記し、1000時間の放置では、クラックおよび変形が発生したが、500時間の放置では、クラックおよび変形が発生しなかったレンズに「△」を記している。また、500時間の放置でクラックおよび変形が発生したレンズに「×」を記している。
さらに、図4中の「総合評価」には、耐傷性、均一性、透過率および耐熱性の全ての評価結果が「〇」であるレンズに「〇」を記し、評価結果が「×」を含むレンズに「×」を記し、残りのレンズに「△」を記している。
図5は、緩衝層3および反射防止層4の厚さと、総合評価結果との関係を示す図である。図5の横軸は緩衝層3の厚さを示し、縦軸は反射防止層4の厚さを示す。図5では、図4中の番号1〜25のレンズに対して、緩衝層3の厚さおよび反射防止層4の厚さにより特定される位置に、総合評価結果を示す「〇」、「△」、「×」のいずれかの記号を、その番号と共に記している。
図4において、番号14ないし16のレンズ、並びに、番号1ないし5のレンズの評価結果より、緩衝層3の厚さが大きくなるに従って、耐傷性および耐熱性が向上することが判る。具体的には、緩衝層3の厚さが0.7μm以上であれば、ある程度の耐傷性および耐熱性が得られるといえる(図5中の線L11参照)。また、緩衝層3の厚さが0.8μm以上であれば、耐傷性および耐熱性をより確実に向上することができ、緩衝層3の厚さが1.0μm以上であれば、耐傷性および耐熱性を十分に向上することができる(図5中の線L12参照)。耐傷性をさらに向上する場合には、緩衝層3の厚さが1.6μm以上であることが好ましい。一方、緩衝層3の厚さが0.7μmよりも小さい場合には、耐傷性が低く、緩衝層3においてハードコート層としての機能が得られない可能性がある。また、耐熱性の評価では、反射防止層4のクラックが生じた。
図4において、番号9ないし13のレンズ、並びに、番号23ないし25のレンズの評価結果より、緩衝層3の厚さが大きくなるに従って、PV値が大きくなる、すなわち、均一性が低下することが判る。ここで、PV値は、レンズ形状の歪みの影響も含む値であるため、レンズにおいて所定のレンズ性能を確保するには、PV値が小さいことが好ましい。具体的には、緩衝層3の厚さが6.1μm以下であれば、ある程度のレンズ性能が得られるといえる(図5中の線L21参照)。また、緩衝層3の厚さが5.2μm以下であれば、PV値をより確実に小さくすることができ、緩衝層3の厚さが5.0μm以下であれば、PV値を十分に小さくすることができる(図5中の線L22参照)。レンズ性能をさらに向上する場合には、緩衝層3の厚さが4.4μm以下であることが好ましい。一方、緩衝層3の厚さが6.1μmよりも大きい場合には、均一性が低く、レンズ形状の歪み等により所定のレンズ性能が得られない可能性がある。
番号19、17、21、6および9のレンズの評価結果より、反射防止層4の厚さが大きくなるに従って、透過率が高くなることが判る。具体的には、反射防止層4の厚さが0.07μm以上であれば、ある程度の透過率が得られ、反射防止層4の反射防止機能が満たされるといえる(図5中の線L31参照)。また、反射防止層4の厚さが0.08μm以上であれば、透過率をより確実に高くすることができ、反射防止層4の厚さが0.10μm以上であれば、透過率を十分に高くすることができる(図5中の線L32参照)。一方、反射防止層4の厚さが0.07μmよりも小さい場合には、反射防止層4の反射防止機能が満たされず、また、ゴースト・フレアが発生し易くなる。
番号5、8、18、22および20のレンズの評価結果より、反射防止層4の厚さが大きくなるに従って、均一性および耐熱性が低下することが判る。具体的には、反射防止層4の厚さが0.57μm以下であれば、ある程度の均一性および耐熱性が得られるといえる(図5中の線L41参照)。反射防止層4の厚さが0.53μm以下であれば、均一性および耐熱性をより確実に向上することができ、反射防止層4の厚さが0.50μm以下であれば、均一性および耐熱性を十分に向上することができる(図5中の線L42参照)。一方、反射防止層4の厚さが0.57μmよりも大きい場合には、均一性が低く、レンズ形状の歪み等により所定のレンズ性能が得られない可能性がある。また、耐熱性の評価では、レンズの反り等の変形が生じた。
以上に説明したように、レンズ1では、緩衝層3の厚さが、0.7μm以上かつ6.1μm以下であり、反射防止層4の厚さが、0.07μm以上かつ0.57μm以下である。これにより、耐熱性および耐傷性を向上しつつ所定のレンズ性能を確保することができる。上記数値範囲では、緩衝層3の厚さと反射防止層4の厚さとの比の値(n2/n1)が、0.01以上かつ0.81以下となる。
好ましくは、緩衝層3の厚さが、1.0μm以上かつ5.0μm以下であり、反射防止層4の厚さが、0.10μm以上かつ0.50μm以下である。これにより、レンズ1の各種性能をさらに向上することができる。上記数値範囲では、緩衝層3の厚さと反射防止層4の厚さとの比の値(n2/n1)が、0.02以上かつ0.50以下となる。
上記レンズ1およびレンズ1の製造では、様々な変形が可能である。例えば、レンズ1は、レンズユニットにおける最外のレンズ以外のレンズであってもよい。また、レンズ1は、車載用の撮像装置以外に用いられてよい。
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
本発明は、様々な用途のレンズに利用可能であり、使用環境が高温になる、または、高温になる可能性があるレンズに特に適している。
1 レンズ 2 レンズ本体 3 緩衝層 4 反射防止層 21,22 レンズ面 S11〜S13 ステップ
Claims (8)
- 凸面を有する樹脂製のレンズ本体と、 前記凸面上に設けられる緩衝層と、 前記緩衝層上に設けられる反射防止層と、を備え、 前記緩衝層の厚さが、0.7μm以上かつ6.1μm以下であり、 前記反射防止層の厚さが、0.07μm以上かつ0.57μm以下である、レンズ。
- 前記緩衝層の厚さが、1.0μm以上かつ5.0μm以下であり、 前記反射防止層の厚さが、0.10μm以上かつ0.50μm以下である、請求項1に記載のレンズ。
- 前記緩衝層の厚さが、1.6μm以上である、請求項1または2に記載のレンズ。
- 前記緩衝層の厚さが、4.4μm以下である、請求項1ないし3のいずれか1つに記載のレンズ。
- 前記緩衝層が、無機粒子を含む樹脂製であり、 前記反射防止層が、無機酸化物製である、請求項1ないし4のいずれか1つに記載のレンズ。
- a)凸面を有する樹脂製のレンズ本体において、前記凸面上に0.7μm以上かつ6.1μm以下の厚さの緩衝層を形成する工程と、 b)前記緩衝層上に0.07μm以上かつ0.57μm以下の厚さの反射防止層を形成する工程と、を備える、レンズの製造方法。
- 前記a)工程において、無機粒子および樹脂を含む液状の緩衝層形成材料を前記凸面上に塗布することにより前記緩衝層が形成される、請求項6に記載のレンズの製造方法。
- 前記b)工程において、蒸着法により前記反射防止層が形成される、請求項6または7に記載のレンズの製造方法。
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