JPWO2018155687A1 - 金属回収剤、金属化合物回収剤、及び、金属又は金属化合物の回収方法 - Google Patents

金属回収剤、金属化合物回収剤、及び、金属又は金属化合物の回収方法 Download PDF

Info

Publication number
JPWO2018155687A1
JPWO2018155687A1 JP2019501864A JP2019501864A JPWO2018155687A1 JP WO2018155687 A1 JPWO2018155687 A1 JP WO2018155687A1 JP 2019501864 A JP2019501864 A JP 2019501864A JP 2019501864 A JP2019501864 A JP 2019501864A JP WO2018155687 A1 JPWO2018155687 A1 JP WO2018155687A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal
test
solution
product
concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2019501864A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6688432B2 (ja
Inventor
歩 蓑田
歩 蓑田
暁輝 王
暁輝 王
佐藤 真由美
真由美 佐藤
里恵 山本
里恵 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GALDIERIA CO., LTD.
Original Assignee
GALDIERIA CO., LTD.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by GALDIERIA CO., LTD. filed Critical GALDIERIA CO., LTD.
Publication of JPWO2018155687A1 publication Critical patent/JPWO2018155687A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6688432B2 publication Critical patent/JP6688432B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22BPRODUCTION AND REFINING OF METALS; PRETREATMENT OF RAW MATERIALS
    • C22B3/00Extraction of metal compounds from ores or concentrates by wet processes
    • C22B3/18Extraction of metal compounds from ores or concentrates by wet processes with the aid of microorganisms or enzymes, e.g. bacteria or algae
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22BPRODUCTION AND REFINING OF METALS; PRETREATMENT OF RAW MATERIALS
    • C22B11/00Obtaining noble metals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22BPRODUCTION AND REFINING OF METALS; PRETREATMENT OF RAW MATERIALS
    • C22B11/00Obtaining noble metals
    • C22B11/04Obtaining noble metals by wet processes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22BPRODUCTION AND REFINING OF METALS; PRETREATMENT OF RAW MATERIALS
    • C22B11/00Obtaining noble metals
    • C22B11/04Obtaining noble metals by wet processes
    • C22B11/042Recovery of noble metals from waste materials
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22BPRODUCTION AND REFINING OF METALS; PRETREATMENT OF RAW MATERIALS
    • C22B11/00Obtaining noble metals
    • C22B11/08Obtaining noble metals by cyaniding
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22BPRODUCTION AND REFINING OF METALS; PRETREATMENT OF RAW MATERIALS
    • C22B3/00Extraction of metal compounds from ores or concentrates by wet processes
    • C22B3/20Treatment or purification of solutions, e.g. obtained by leaching
    • C22B3/22Treatment or purification of solutions, e.g. obtained by leaching by physical processes, e.g. by filtration, by magnetic means, or by thermal decomposition
    • C22B3/24Treatment or purification of solutions, e.g. obtained by leaching by physical processes, e.g. by filtration, by magnetic means, or by thermal decomposition by adsorption on solid substances, e.g. by extraction with solid resins
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P10/00Technologies related to metal processing
    • Y02P10/20Recycling

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Metallurgy (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • General Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Environmental & Geological Engineering (AREA)
  • Geochemistry & Mineralogy (AREA)
  • Geology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Manufacture And Refinement Of Metals (AREA)
  • Solid-Sorbent Or Filter-Aiding Compositions (AREA)

Abstract

本発明は、シアニディウム目の紅藻の細胞の乾燥物、シアニディウム目の紅藻の細胞由来物の乾燥物、又はこれらを模した人工物を含む、金属回収剤又は金属化合物回収剤に関する。本発明はまた、シアニディウム目の紅藻の細胞の乾燥物、シアニディウム目の紅藻の細胞由来物の乾燥物、又はこれらを模した人工物を金属溶液中に添加する添加工程と、乾燥物由来の細胞、乾燥物由来の細胞由来物、又は人工物に、金属溶液中に含まれる金属または金属化合物を吸着させる吸着工程と、を含む、金属又は金属化合物の回収方法にも関する。

Description

本発明は、金属回収剤、金属化合物回収剤、及び、金属又は金属化合物の回収方法に関する。
金やパラジウム等の貴金属は、各種の電子製品の製造等に欠かせないものとなっている。電子製品の製造量が増加を続ける一方で、これらの貴金属は、その産出量が限られている。今後も安定した電子製品の製造を続けるためには、廃棄された製品から得られる金属廃液等から貴金属を回収し、貴金属をリサイクルしていくことが重要である。
貴金属の回収方法としては、例えば、溶媒抽出法やイオン交換法などを用いた化学的な回収方法が知られている。しかし、これらの方法では、金属廃液中に低濃度(例えば、10ppm以下)で含まれる貴金属を経済的に成り立つ方法で回収することは難しかった。そこで、近年では、低濃度の貴金属でも回収可能な方法の開発が進められている。
低濃度の貴金属でも回収可能な方法として、例えば、特許文献1には、シュードコリシスティス属もしくはクロレラ属の緑藻、又は該緑藻の残渣物を硫酸で処理した成分を貴金属吸着剤として用いて、塩酸濃度0.1〜5Mの金属溶液から、金およびパラジウムを回収する方法が記載されている。
また、例えば、特許文献2には、シアニディウム目の紅藻の生細胞を用いた金属の回収方法が提案されている。特許文献2には、金を含む溶液の酢酸濃度を15〜400mMに調整、及び/又は、Cl濃度を5mM未満に調整したうえで、該溶液中で、紅藻の細胞を24時間培養することにより、紅藻の細胞に金を回収させることが記載されている。
特開2012−24752号公報 特開2013−67826号公報
しかし、特許文献1に記載されている方法は、塩酸濃度の高い金属溶液からは、金またはパラジウムを満足に回収できないという問題があった。例えば、シュードコリシスティス属の微細藻類に対して、有機溶媒を用いた溶媒抽出をすることで得られた残渣物を貴金属吸着剤として用いた場合、塩酸濃度が1Mを超えると、金およびパラジウムの吸着率は、20%程度である。このため、特許文献1に記載されている方法は、実用化できるような方法ではなかった。
また、特許文献2に記載されている方法は、酢酸濃度を低濃度に調整した溶液等においてしか用いることができず、実際に廃棄製品等から得られる酸濃度の高い金属廃液から金を回収可能なものではなかった。また、特許文献2に提案されている方法は、生細胞の管理、溶液の調整、及び長い回収時間を要するものであり、簡易で効率的な方法とはいえなかった。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、簡易かつ効率的に、酸濃度の高い溶液などから貴金属を選択的に回収することが可能な、金属回収剤および金属回収方法を提供することである。
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1]シアニディウム目の紅藻の細胞の乾燥物、シアニディウム目の紅藻の細胞由来物の乾燥物、又は前記細胞の乾燥物もしくは前記細胞由来物の乾燥物を模した人工物を含む、金属回収剤又は金属化合物回収剤。
[2]シアニディウム目の紅藻の細胞の乾燥物、シアニディウム目の紅藻の細胞由来物の乾燥物、又は前記細胞の乾燥物もしくは前記細胞由来物の乾燥物を模した人工物を金属溶液中に添加する添加工程と、乾燥物由来の細胞、乾燥物由来の細胞由来物、又は前記人工物に、金属溶液中に含まれる金属または金属化合物を吸着させる吸着工程と、を含む、金属又は金属化合物の回収方法。
[3]添加工程における乾燥物又は人工物の添加量が、金属溶液100mlに対して、0.001mg以上である、上記[2]に記載の金属又は金属化合物の回収方法。
[4]吸着工程が、金属溶液中に含まれる金、パラジウム、ルテニウム、プラチナ、イリジウム、及びオスミウムからなる群より選択される1以上の金属又は該金属を含む金属化合物を選択的に吸着する工程である、上記[2]又は[3]に記載の金属又は金属化合物の回収方法。
[5]金属溶液の酸濃度が、0.5mmol/L以上である、上記[2]〜[4]のいずれかに記載の金属又は金属化合物の回収方法。
[6]吸着工程が、金属溶液中に含まれるシアン化金錯体を回収する工程である、上記[2]又は[3]に記載の又は金属化合物の金属回収方法。
[7]さらに、乾燥物由来の細胞、乾燥物由来の細胞由来物、又は前記人工物に吸着された金属または金属化合物を、精製する工程を含む、上記[2]〜[6]のいずれかに記載の金属又は金属化合物の回収方法。
[8]さらに、乾燥物由来の細胞、乾燥物由来の細胞由来物、又は前記人工物に吸着された金属または金属化合物を、アンモニア及びアンモニウム塩を含む混合溶液を用いて溶出させる溶出工程を含む、上記[2]〜[6]のいずれかに記載の金属回収方法。
本発明によれば、簡易かつ効率的に、酸濃度の高い溶液や、シアン化錯体を含む溶液などから貴金属を選択的に回収することが可能な、金属回収剤および金属回収方法を提供することが可能である。
以下、本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
[金属又は金属化合物回収剤]
本発明の金属又は金属化合物回収剤は、シアニディウム目の紅藻の細胞(以下、単に「細胞」ともいう)の乾燥物、シアニディウム目の紅藻の細胞由来物の乾燥物、又は前記細胞の乾燥物もしくは前記細胞由来物の乾燥物を模した人工物(以下、単に「人工物」ともいう)を含むものである。なお、「乾燥物を模して作製された人工物」とは、例えば、有機合成などにより作製されたもの等が挙げられる。
シアニディウム目の紅藻としては、特に制限はされず、例えば、ガルディエリア属(Galdieria)、シアニジウム属(Cyanidium)、又はシアニディオシゾン属(Cyanidioshyzon)に属する紅藻を用いることができる。これらの紅藻の中でも、ガルディエリア属(Galdieria)に属するものが好ましく、Galdieria sulphuraria(以下、「G.sulphuraria」という)がより好ましい。シアニディウム目の紅藻は、細胞内または細胞表層において、金属溶液中から貴金属を選択的に回収することが、本発明者の研究(特願2015−249567)によって確かめられている。したがって、シアニディウム目の紅藻の「細胞由来物」は、「細胞内由来物」であってもよく、「細胞表層由来物」であってもよい。
本発明に用いる乾燥物は、シアニディウム目の紅藻の細胞、又は細胞由来物に乾燥処理をすることによって、得ることができる。乾燥処理の方法としては、特に制限されず、例えば、スプレードライ処理、凍結乾燥処理、又は減圧乾燥処理など、公知の方法を用いることができる。細胞に乾燥処理をすることにより、細胞の耐酸性が向上し、高い酸濃度の金属廃液からでも、希釈等の作業を必要とせずに、貴金属の回収が可能になる。また、細胞に乾燥処理をすることにより、生細胞よりも、取り扱い性を向上させることが可能になる。
乾燥処理に供する細胞の培養条件としては、特に制限されず、例えば、光合成のみで増殖する光独立栄養条件、光合成と有機物の代謝の両方により増殖する光混合栄養条件、暗所にて有機物の代謝のみにより増殖する従属栄養条件、準嫌気条件下で光合成により増殖する準嫌気独立栄養条件、準嫌気条件下の暗所にて発酵を行う準嫌気従属栄養条件など、いずれの条件であっても良い。
また、乾燥処理に供する細胞を採取する時期としては、特に制限されず、誘導期、対数増殖期、定常期、又は死滅期のいずれの時期であっても良い。また、乾燥処理に供する細胞としては、生細胞に限られず、死細胞であっても良い。これらの中でも、金属の回収効率を向上できるという観点からは、対数増殖期、定常期、又は死滅期の細胞が好ましい。
[金属又は金属化合物の回収方法]
本発明の金属又は金属化合物の回収方法は、シアニディウム目の紅藻の細胞の乾燥物、シアニディウム目の紅藻の細胞由来物の乾燥物、又は前記細胞の乾燥物もしくは前記細胞由来物の乾燥物を模した人工物を金属溶液中に添加する添加工程と、乾燥物由来の細胞、乾燥物由来の細胞由来物、又は前記人工物に、金属溶液中に含まれる金属または金属化合物を吸着させる吸着工程とを少なくとも含むものである。
本発明により選択的な回収が可能な金属としては、例えば、金、パラジウム、プラチナ、ルテニウム、ロジウム、オスミウム、イリジウムなどの貴金属が挙げられる。これらの中でも、金、パラジウム、プラチナ、ルテニウム、オスミウム、イリジウムに対して、高い効率で回収を行うことが可能である。
上記の貴金属は、金属溶液中に、金属単体や金属塩の固体、イオン、又は錯体として含まれていれば良い。金属溶液中に、貴金属が固体として含まれている場合でも、乾燥物由来の細胞もしくは細胞由来物、又は人工物によって、固体を金属イオンとして金属溶液中に溶出(バイオリーチング)させて、回収することが可能である。
また、金属溶液としては、上記の貴金属を1種以上含むものであれば、特に制限はされず、上記の貴金属の他に、銅や鉄などの卑金属を含んでいても良い。本発明によれば、貴金属と卑金属が混在する溶液中から、貴金属を選択的に回収することが可能である。
また、金属溶液としては、上記の貴金属等を溶解可能なものであれば、特に制限はされないが、例えば、上記の貴金属が負の電荷を持つ錯体として存在可能な溶液であることが好ましい。負の電荷を持つ錯体としては、特に制限はされないが、例えば、塩化物錯体、水酸化物錯体、又はシアン化錯体であることが好ましい。
上記の貴金属が負の電荷を持つ錯体として存在可能な金属溶液の具体例としては、例えば、塩酸や王水などを含む酸溶液、又はシアン化錯体を含む溶液などが挙げられる。これらの溶液は、例えば、廃棄製品に含まれる貴金属を溶解させる際に用いられる溶液、すなわち、工業的に排出される金属廃液の溶媒である。本発明によれば、これらの金属廃液から、貴金属を選択的に回収することが可能である。なお、本発明の金属溶液としては、工業的に排出される金属廃液に限定されるわけではない。
金属溶液が酸溶液を含む場合の酸濃度としては、特に制限されず、酸溶液の種類、回収対象である貴金属の種類または濃度に応じて適宜調整することができるが、例えば、0.5M(mol/L)以上が好ましく、1M以上がより好ましく、2M以上がさらに好ましい。また、酸濃度としては、例えば、13M以下が好ましく、6M以下がより好ましい。酸濃度が0.5M未満の場合は、金属種によっては、金属を十分に溶解できない恐れがある。また、酸濃度が13Mを越える場合は、金属の回収効率が低下する恐れがあるが、添加量や反応時間を増やすことなどにより、補うことができる。
以下、好ましい酸濃度を、回収対象とする金属種ごとに説明する。回収対象が金である場合の酸濃度としては、例えば、0.5mM以上が好ましく、5mM以上がより好ましく、500mM以上がさらに好ましい。また、回収対象が金である場合の酸濃度としては、例えば、13M以下が好ましく、10M以下がより好ましく、6M以下がさらに好ましい。
回収対象がパラジウムである場合の酸濃度としては、例えば、0.5mM以上が好ましく、5mM以上がより好ましく、500mM以上がさらに好ましい。また、回収対象がパラジウムである場合の酸濃度としては、例えば、13M以下が好ましく、10M以下がより好ましく、6M以下がさらに好ましい。
回収対象がプラチナである場合の酸濃度としては、例えば、5mM以上が好ましく、50mM以上がより好ましく、0.1M以上がさらに好ましい。また、回収対象がプラチナである場合の酸濃度としては、例えば、10M以下が好ましく、4M以下がより好ましく、2M以下がさらに好ましい。
回収対象がルテニウムである場合の酸濃度としては、例えば、5mM以上が好ましく、50mM以上がより好ましく、0.1M以上がさらに好ましい。また、回収対象がルテニウムである場合の酸濃度としては、例えば、10M以下が好ましく、4M以下がより好ましく、2M以下がさらに好ましい。
回収対象がロジウムである場合の酸濃度としては、例えば、5mM以上が好ましく、50mM以上がより好ましく、0.1M以上がさらに好ましい。また、回収対象がロジウムである場合の酸濃度としては、例えば、10M以下が好ましく、4M以下がより好ましく、1M以下がさらに好ましい。
回収対象がオスミウムである場合の酸濃度としては、例えば、5mM以上が好ましく、50mM以上がより好ましく、0.1M以上がさらに好ましい。また、回収対象がオスミウムである場合の酸濃度としては、例えば、10M以下が好ましく、4M以下がより好ましく、1M以下がさらに好ましい。
回収対象がイリジウムである場合の酸濃度としては、例えば、5mM以上が好ましく、50mM以上がより好ましく、0.1M以上がさらに好ましい。また、回収対象がイリジウムである場合の酸濃度としては、例えば、10M以下が好ましく、4M以下がより好ましく、1M以下がさらに好ましい。
本発明によれば、上記のように酸濃度の高い金属溶液からでも貴金属の回収が可能であるため、実際の金属廃液を過度に希釈する等の作業を要さず、効率性に優れている。また、希釈によって金属廃液の体積が過度に増加するという問題も防止できるため、省スペース性にも優れている。
添加工程における乾燥物の添加量としては、特に制限されず、金属溶液の量もしくは酸濃度、又は回収対象である貴金属の種類もしくは濃度に応じて、適宜調整することができるが、例えば、回収対象である金属の濃度1ppmの金属溶液100mlに対して、0.001mg以上が好ましく、0.01mg以上がより好ましく、0.1mg以上がさらに好ましい。また、添加工程における乾燥物の添加量としては、例えば、回収対象である金属の濃度1ppmの金属溶液100mlに対して、1000g以下が好ましく、100g以下がより好ましく、10g以下がさらに好ましい。乾燥物の添加量が、回収対象である金属の濃度1ppmの金属溶液100mlに対して0.001mg未満である場合、金属の回収効率が低下する傾向にある。また、乾燥物の添加量が、回収対象である金属の濃度1ppmの金属溶液100mlに対して1000gを越えても、金属の回収効率に差が見られなくなる傾向にある。金属濃度や酸濃度が高くなるほど、乾燥物の添加量を増やすことが好ましい。添加量の減少による金属の回収率の低下は、酸濃度を調整することや、反応時間を長くすることで補える。
金属溶液がシアン化錯体を含む溶液である場合のpHとしては、特に制限されず、溶液の種類、回収対象である貴金属の種類または濃度に応じて適宜調整することができるが、例えば、pH2以上が好ましく、pH4以上がより好ましく、pH10以上がさらに好ましい。また、シアン化錯体を含む溶液のpHとしては、例えば、pH14以下が好ましい。シアン化錯体を含む溶液のpHが2未満の場合は、金属の回収効率が低下する傾向にある。また、シアン化錯体を含む溶液のpHが14を越えても、金属の回収効率が低下する傾向にある。
吸着工程は、例えば、細胞の乾燥物を添加した金属溶液を、所定の時間撹拌すること等で行うことができる。吸着工程を行う時間としては、特に制限されず、溶液の種類、回収対象である貴金属の種類または濃度に応じて適宜調整することができるが、例えば、1分以上が好ましく、3分以上がより好ましく、15分以上がさらに好ましい。また、吸着工程を行う時間としては、例えば、24時間以下が好ましい。吸着工程を行う時間が1分未満の場合、十分に金属を回収できない恐れがある。また、吸着工程を行う時間が24時間を越えても、金属の回収効率に差が見られなくなる傾向にある。
吸着工程を行う際の温度としては、特に制限されず、溶液の種類、回収対象である貴金属の種類または濃度に応じて適宜調整することができるが、例えば、0℃以上が好ましく、4℃以上がより好ましい。また、吸着工程を行う際の温度としては、例えば、100℃以下が好ましく、80℃以下がより好ましく、60℃以下がさらに好ましい。吸着工程を行う際の温度が0℃未満の場合、金属の回収効率が低下する恐れがある。また、吸着工程を行う際の温度が100℃を越える場合も、金属の回収効率が低下する恐れがある。
本発明の金属又は金属化合物の回収方法は、吸着工程の後に、さらに、細胞等に吸着した金属又は金属化合物を精製するための工程を含むことが好ましい。金属等を精製するための工程としては、特に限定はされず、例えば、細胞等を燃焼させる方法、又は、細胞若しくは細胞表層(例えば、貴金属錯体と結合する残基)を溶解させて金属を溶出する方法などを適用して実施することができる。具体的には、例えば、酸性のチオウレア溶液、アンモニア及びアンモニウム塩を含む混合溶液、酸溶液(例えば、塩酸溶液、王水)、アルカリ溶液(例えば、KOH溶液)、又は金属キレート溶液(例えば、EDTA溶液)等の所定の金属溶出用溶液を用いて金属等を溶出させる方法、などを適用して実施することができる。これらの方法の中でも、精製の効率を高められるという観点から、金属溶出用溶液として、酸性のチオウレア溶液、又はアンモニア及びアンモニウム塩を含む混合溶液を用いて、金属等を溶出させる方法が好ましい。また、コスト及び環境への負担を軽減しつつ、精製の効率を高められるという観点から、金属溶出用溶液として、アンモニア及びアンモニウム塩を含む混合溶液を用いて、金属等を溶出させる方法が好ましい。
従って、本発明の金属又は金属化合物の回収方法は、さらに、乾燥物由来の細胞または乾燥物由来の細胞由来物に吸着された金属または金属化合物を、アンモニア及びアンモニウム塩を含む混合溶液を用いて溶出させる溶出工程を含むことが好ましい。吸着工程において細胞等に吸着された金属は、アンモニア及びアンモニウム塩を含む混合溶液を用いて溶出させることが可能である。混合溶液に用いるアンモニウム塩としては、特に限定されないが、例えば、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、又は臭化アンモニウムなどを用いることができる。なお、アンモニア溶液、又はアンモニウム塩の溶液だけでは、溶出されない(Ju et al.Bioresource Technology 211(2016)、754−766)。
混合溶液におけるアンモニウム塩の濃度としては、特に制限されないが、例えば、0.02M以上が好ましく、0.1M以上がより好ましく、0.2M以上がさらに好ましい。また、混合溶液におけるアンモニウム塩の濃度としては、例えば、1M以下が好ましく、0.6M以下がより好ましく、0.4M以下がさらに好ましい。アンモニウム塩の濃度が0.02M未満の場合は、細胞に吸着された金属の溶出率が低下する傾向にある。また、アンモニウム塩の濃度が1Mを越えた場合も、細胞に吸着された金属の溶出率が低下する傾向にある。
混合溶液のpHとしては、特に制限されないが、例えば、pH3以上が好ましく、pH7以上がより好ましく、pH11以上がさらに好ましい。また、混合溶液のpHとしては、例えば、pH14以下が好ましく、pH13以下がより好ましく、pH12以下がさらに好ましい。混合溶液のpHが3未満の場合は、細胞に吸着された金属の溶出率が低下する傾向にある。
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
以降の説明において、「回収率」とは、下記式(1)によって算出される値をいう。なお、下記式(1)における「細胞未添加試験」とは、G.sulphurariaの生細胞およびG.sulphurariaの細胞から作製された乾燥粉末のいずれをも添加せずに実施した試験のことをいう。また、下記式(1)における「細胞添加試験」とは、G.sulphurariaの生細胞またはG.sulphurariaの細胞から作製された乾燥粉末を添加して実施した試験のことをいう。
Figure 2018155687
[実施例1]
実施例1として、スプレードライ試料を用いた、塩酸溶液(0.5〜6M)からの金とパラジウムの選択的回収試験を実施した。
(スプレードライ試料の作製)
定常期まで増殖させたG.sulphurariaの細胞を、遠心分離により回収した。次に、スプレードライヤを用いて、入口温度120度、出口温度77〜82度、熱風量0.6m/分、噴霧圧力100kPaの条件で、回収した細胞からスプレードライ試料(乾燥粉末)を作製した。なお、以降の説明において、「スプレードライ試料」とは、上記の方法によって作製した試料のことをいう。
(試験No.1−1及び1−2)
まず、Au3+、Pd2+、及びCu2+をそれぞれ5ppm含む0.5M塩酸溶液1mlに、スプレードライ試料10mgを添加し、室温で15分間攪拌した。次に、該塩酸溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.1−2)。
また、対照試験として、スプレードライ試料を添加しなかったこと以外は、試験No.1−2と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.1−1)。次に、上記で測定された試験No.1−1と試験No.1−2の金属濃度の差から、試験No.1−2における回収率を算出した。測定された金属濃度、及び回収率を表1に示す。表1に示す金属濃度、及び回収率は、3つの独立した試験それぞれの平均値±SD(標準偏差)である。なお、下記の表1〜8において、powder「+」とは、スプレードライ試料または凍結乾燥試料を添加したことを示し、powder「−」とは、スプレードライ試料または凍結乾燥試料を添加しなかったことを示す。
(試験No.1−3乃至1−14)
塩酸溶液の濃度を、表1に示す濃度に変更したこと以外は、試験No.1−1又は1−2と同様の方法により、試験No.1−3乃至1−14の試験を実施した。それぞれの試験について、測定された金属濃度、及び回収率を表1に示す。
Figure 2018155687
[実施例2]
実施例2として、凍結乾燥試料を用いた、塩酸溶液(0.5〜6M)からの金とパラジウムの選択的回収試験を実施した。
(試験No.2−1及び2−2)
定常期まで増殖させたG.sulphurariaの細胞を、遠心分離により回収した。次に、回収した細胞を液体窒素によって凍結させた後、真空凍結乾燥処理を行い、凍結乾燥試料(乾燥粉末)を作製した。次に、Au3+、Pd2+、及びCu2+をそれぞれ5ppm含む0.5M塩酸溶液1mlに、上記で作製した凍結乾燥試料10mgを添加し、室温で15分間攪拌した。次に、該塩酸溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.2−2)。
また、対照試験として、凍結乾燥試料を添加しなかったこと以外は、試験No.2−2と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.2−1)。次に、上記で測定された試験No.2−1と試験No.2−2金属濃度の差から、試験No.2−2における回収率を算出した。測定された金属濃度、及び回収率を表2に示す。なお、表2に示す金属濃度、及び回収率は、3つの独立した試験それぞれの平均値±SD(標準偏差)である。
(試験No.2−3乃至2−14)
塩酸溶液の濃度を、表2に示す濃度に変更したこと以外は、試験No.2−1又は2−2と同様の方法により、試験No.2−3乃至2−14の試験を実施した。それぞれの試験について、測定された金属濃度、及び回収率を表2に示す。
Figure 2018155687
[実施例3]
実施例3として、スプレードライ試料を用いた、4M王水からの金とパラジウムの選択的回収試験を実施した。
(試験No.3−1及び3−2)
まず、Au3+、Pd2+、及びCu2+をそれぞれ5ppm含む4M王水溶液1mlに、スプレードライ試料15mgを添加し、室温で30分間攪拌した。次に、該王水溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.3−2)。
また、対照試験として、スプレードライ試料を添加しなかったこと以外は、試験No.3−2と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.3−1)。次に、上記で測定された試験No.3−1と試験No.3−2の金属濃度の差から、試験No.3−2における回収率を算出した。測定された金属濃度、及び回収率を表3に示す。なお、表3に示す金属濃度、及び回収率は、3つの独立した試験それぞれの平均値±SD(標準偏差)である。
Figure 2018155687
[実施例4]
実施例4として、4M王水溶液から金とパラジウムを選択的に回収したスプレードライ試料を用いた、金とパラジウムの溶出試験を実施した。
(試験No.4−1及び4−2)
まず、Au3+、Pd2+、及びCu2+をそれぞれ0.5ppm含む4M王水溶液1mlに、スプレードライ試料20mgを添加し、室温で30分間攪拌した。次に、該王水溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.4−2)。測定された上清の金属濃度を表4に示す。
また、対照試験として、スプレードライ試料を添加しなかったこと以外は、試験No.4−2と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.4−1)。次に、上記で測定された試験No.4−1と試験No.4−2の金属濃度の差から、試験No.4−2においてスプレードライ試料に回収された金属濃度を算出した。測定された上清の金属濃度、及びスプレードライ試料に回収された金属濃度を表4に示す。
次に、試験No.4−2において遠心分離により回収したスプレードライ試料画分(沈殿画分)を、4M王水溶液1mlに溶解させ、該王水溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)することで洗浄をおこなった。次に、該王水溶液の遠心分離により得られたスプレードライ試料画分(沈殿画分)に、金属溶出用溶液として、0.2M NHCl,2.8%NH溶液(pH11)1mlを加え、室温で30分間攪拌した。該溶液を、再度、遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度をICP−MSを用いて測定した。測定された値を、溶出液の金属濃度として、表4に示す。
また、下記式(2)を用いて、試験No.4−2における溶出率を算出した。算出した溶出率を、表4に示す。
Figure 2018155687
(試験No.4−3乃至4−10)
4M王水溶液に含まれる各金属の濃度を、表4に示す濃度に変更したこと以外は、試験No.4−1又は4−2と同様の方法により、試験No.4−3乃至4−10の試験を実施した。それぞれの試験について、上清の金属濃度、スプレードライ試料に回収された金属濃度、溶出液の金属濃度、及び溶出率を、表4に示す。
Figure 2018155687
[実施例5]
実施例5として、スプレードライ試料を用いて、シアンと金を含む0.1mM KOH溶液(pH10)からの金の回収試験を実施した。0.1mM KOH溶液中では、Au3+イオンは、シアン化錯体として安定して存在している。
(試験No.5−1及び5−2)
まず、1ppmの金を含む0.1mM KOH(pH10)1mlに、スプレードライ試料15mgを添加し、室温で30分間攪拌した。次に、該KOH溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.5−2)。
また、対照試験として、スプレードライ試料を添加しなかったこと以外は、試験No.5−2と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.5−1)。次に、上記で測定された試験No.5−1と試験No.5−2の金属濃度の差から、試験No.5−2における回収率を算出した。測定された金属濃度、及び回収率を表5に示す。なお、表5に示す金属濃度および回収率は、2つの独立した試験それぞれの平均値である。
Figure 2018155687
[実施例6]
実施例6として、スプレードライ試料を用いた、塩酸溶液(1〜4M)からのプラチナ、金、パラジウム、及びオスミウムの選択的回収試験を実施した。
(試験No.6−1及び6−2)
まず、Rh3+、Pd2+、Os4+、Pt2+、Au3+、及びIr3+をそれぞれ10ppm含む1M塩酸溶液1mlに、スプレードライ試料10mgを添加し、一晩、室温で攪拌した。次に、該塩酸溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.6−2)。また、対照試験として、スプレードライ試料を添加しなかったこと以外は、試験No.6−2と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.6−1)。測定された金属濃度を、表6に示す。
次に、上記で測定された試験No.6−1と試験No.6−2の金属濃度の差から、試験No.6−2における回収率を算出した。算出された回収率を表7に示す。なお、表6に示す金属濃度、及び表7に示す回収率は、3つの独立した試験それぞれの平均値±SD(標準偏差)である。
(試験No.6−3乃至6−8)
塩酸溶液の濃度を、表6及び表7に示す濃度に変更したこと以外は、試験No.6−1又は6−2と同様の方法により、試験No.6−3乃至6−8の試験を実施した。それぞれの試験について、測定された金属濃度を表6に示し、回収率を表7に示す。
Figure 2018155687
Figure 2018155687
[実施例7]
実施例7として、スプレードライ試料を用いた、塩酸溶液(1または2M)からのルテニウムの選択的回収試験を実施した。
(試験No.7−1及び7−2)
まず、10ppmのRu3+を含む1M塩酸溶液1mlに、スプレードライ試料20mgを添加し、一晩、室温で攪拌した。次に、該塩酸溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.7−2)。また、対照試験として、スプレードライ試料を添加しなかったこと以外は、試験No.7−2と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.7−1)。測定された金属濃度を、表8に示す。
次に、上記で測定された試験No.7−1と試験No.7−2の金属濃度の差から、試験No.7−2における回収率を算出した。算出された回収率を表8に示す。なお、表8に示す金属濃度、及び回収率は、3つの独立した試験それぞれの平均値±SD(標準偏差)である。
(試験No.7−3及び7−4)
塩酸溶液の濃度を、表8に示す濃度に変更したこと以外は、試験No.7−1又は7−2と同様の方法により、試験No.7−3及び7−4の試験を実施した。それぞれの試験について、測定された金属濃度、及び回収率を表8に示す。
Figure 2018155687
[比較例1]
比較例1として、G.sulphurariaの生細胞を用いた、0.43M王水からの金属の選択的回収試験を実施した。
(試験No.C1−1及びC1−2)
まず、871ppmのAu3+、86ppmのFe2+3+、107ppmのCu2+、4.5ppmのPt4+、262ppmのNi2+、24ppmのSn2+を含む0.43M王水溶液1mlに、G.sulphurariaの生細胞14mg(乾燥重量)を添加し、室温で30分間攪拌した。次に、該王水溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.C1−2)。
また、対照試験として、G.sulphurariaの生細胞を添加しなかったこと以外は、試験No.C1−2と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.C1−1)。次に、上記で測定された試験No.C1−1と試験No.C1−2の金属濃度の差から、試験No.C1−2における回収率を算出した。測定された金属濃度、及び回収率を表9に示す。表9に示す金属濃度、及び回収率は、3つの独立した試験それぞれの平均値±SD(標準偏差)である。
Figure 2018155687
[比較例2]
比較例2として、G.sulphurariaの生細胞を用いた、4M王水からの金属の選択的回収試験を実施した。
(試験No.C2−1及びC2−2)
まず、87ppmのFe2+3+、56ppmのCu2+、9ppmのSn2+、3ppmのPt4+、912ppmのAu3+を含む4M王水溶液1mlに、G.sulphurariaの生細胞14mg(乾燥重量)を添加し、室温で30分間攪拌した。次に、該王水溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.C2−2)。
また、対照試験として、G.sulphurariaの生細胞を添加しなかったこと以外は、試験No.C2−2と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.C2−1)。次に、上記で測定された試験No.C2−1と試験No.C2−2の金属濃度の差から、試験No.C2−2における回収率を算出した。測定された金属濃度、及び回収率を表10に示す。
Figure 2018155687
[実施例8]
実施例8として、4M王水溶液から金を回収したスプレードライ試料及びイオン交換樹脂を用いた金の溶出試験を実施した。
(試験No.8−1)
まず、Au3+を10ppm含む4M王水溶液1mlに、スプレードライ試料20mgを添加し、室温で30分間攪拌した。次に、該王水溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.8−1)。また、スプレードライ試料を添加しなかったこと以外は、試験No.8−1と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.8−1−対照)。次に、上記で測定された試験No.8−1と試験No.8−1−対照の金属濃度の差から、試験No.8−1においてスプレードライ試料に回収された金属濃度を算出した。
次に、試験No.8−1において遠心分離により回収したスプレードライ試料画分(沈殿画分)を、4M王水溶液1mlに溶解させ、該王水溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)することで洗浄をおこなった。次に、該王水溶液の遠心分離により得られたスプレードライ試料画分(沈殿画分)に、金属溶出用溶液として、4M HClを1ml加え、室温で30分間攪拌した。該溶液を、再度、遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度をICP−MSを用いて測定した。測定された値を、溶出液の金属濃度とした。
次に、上述した式(2)を用いて、試験No.8−1における溶出率を算出した。算出した溶出率を、表11に示す。表11に示す試験No.8−1乃至8−5の溶出率は、3つの独立した試験それぞれの平均値±SD(標準偏差)である。
(試験No.8−2乃至8−5)
金属溶出用溶液として、4M HClに代えて、0.5M EDTA(pH8)(試験No.8−2)、1M Thiourea/0.1M HCl(試験No.8−3)、1M KOH(試験No.8−4)、又は6M王水(試験No.8−5)を用いたこと以外は、試験No.8−1と同様の方法により、試験No.8−2乃至8−5の試験を実施した。それぞれの試験について、溶出率を表11に示す。
(試験No.8−6乃至8−10)
金属回収剤として、スプレードライ試料に代えて、イオン交換樹脂(SA10A,三菱ケミカル社製)を用いたこと、及び金属溶出用溶液として、表11に示すものを用いたこと以外は、試験No.8−1と同様の方法により、試験No.8−6乃至8−10の試験を実施した。それぞれの試験について、溶出率を表11に示す。
Figure 2018155687
[実施例9]
実施例9として、5M王水溶液からパラジウムを選択的に回収した凍結乾燥試料を用いた、パラジウムの溶出試験を実施した。
(試験No.9−1及び9−2)
まず、Pd2+、Al3+、Cd2+、Fe2+3+、Mn2+、Pb2+、Zn2+をそれぞれ10ppm含む5M王水溶液30mlに、凍結乾燥試料120mgを添加し、室温で30分間攪拌した。次に、当該王水溶液を10ml(試験No.9−1,濃縮倍率10倍)と20ml(試験No.9−2,濃縮倍率20倍)に分け、遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られたそれぞれの上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.9−1及び9−2)。また、凍結乾燥試料を添加しなかったこと以外は、試験No.9−1及び9−2と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.9−1−対照及び9−2−対照)。次に、上記で測定された試験No.9−1と試験No.9−1−対照の金属濃度の差から、試験No.9−1において凍結乾燥試料に回収された金属濃度を算出した。同様に、試験No.9−2と試験No.9−2−対照の金属濃度の差から、試験No.9−2において凍結乾燥試料に回収された金属濃度を算出した。
次に、試験No.9−1及び9−2において遠心分離により回収した凍結乾燥試料画分(沈殿画分)を、それぞれ5M王水溶液1mlに溶解させ、該王水溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)することで洗浄をおこなった。次に、該王水溶液の遠心分離により得られた凍結乾燥試料画分(沈殿画分)に、金属溶出用溶液として、それぞれ6M王水を1ml加え、室温で一晩攪拌した。該溶液を、再度、遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られたそれぞれの上清の金属濃度をICP−MSを用いて測定した。測定された値を、溶出液の金属濃度として、表12に示す。
次に、上述した式(2)を用いて、試験No.9−1及び9−2における溶出率を算出した。算出した溶出率を、表13に示す。
Figure 2018155687
Figure 2018155687
[実施例10]
実施例10として、スプレードライ試料を用いた、塩酸溶液(0.1−1M)からのイリジウムの選択的回収試験を実施した。
(試験No.10−1)
まず、10ppmのIr3+を含む0.1M塩酸溶液1mlに、スプレードライ試料20mgを添加し、室温で一晩攪拌した。次に、該塩酸溶液を遠心分離(12,000rpm、1分)し、得られた上清の金属濃度を、ICP−MSを用いて測定した(試験No.10−1)。また、対照試験として、スプレードライ試料を添加しなかったこと以外は、試験No.10−1と同様の試験を行い、上清の金属濃度を測定した(試験No.10−1−対照)。次に、上記で測定された試験No.10−1と試験No.10−1−対照の金属濃度の差から、試験No.10−1における回収率を算出した。算出された回収率を表14に示す。なお、表14に示す回収率は、3つの独立した試験それぞれの平均値±SD(標準偏差)である。
(試験No.10−2乃至10−4)
塩酸溶液の濃度を、表14に示す濃度に変更したこと以外は、試験No.10−1と同様の方法により、試験No.10−2乃至10−4の試験を実施した。それぞれの試験について、算出された回収率を表14に示す。
Figure 2018155687

Claims (8)

  1. シアニディウム目の紅藻の細胞の乾燥物、シアニディウム目の紅藻の細胞由来物の乾燥物、又は前記細胞の乾燥物もしくは前記細胞由来物の乾燥物を模した人工物を含む、金属回収剤又は金属化合物回収剤。
  2. シアニディウム目の紅藻の細胞の乾燥物、シアニディウム目の紅藻の細胞由来物の乾燥物、又は前記細胞の乾燥物もしくは前記細胞由来物の乾燥物を模した人工物を金属溶液中に添加する添加工程と、
    乾燥物由来の細胞、乾燥物由来の細胞由来物、又は前記人工物に、金属溶液中に含まれる金属または金属化合物を吸着させる吸着工程と、
    を含む、金属又は金属化合物の回収方法。
  3. 添加工程における乾燥物又は人工物の添加量が、金属溶液100mlに対して、0.001mg以上である、請求項2に記載の金属又は金属化合物の回収方法。
  4. 吸着工程が、金属溶液中に含まれる金、パラジウム、ルテニウム、プラチナ、イリジウム、及びオスミウムからなる群より選択される1以上の金属又は該金属を含む金属化合物を選択的に吸着する工程である、
    請求項2又は3に記載の金属又は金属化合物の回収方法。
  5. 金属溶液の酸濃度が、0.5mmol/L以上である、
    請求項2〜4のいずれかに記載の金属又は金属化合物の回収方法。
  6. 吸着工程が、金属溶液中に含まれるシアン化金錯体を回収する工程である、
    請求項2又は3に記載の金属又は金属化合物の回収方法。
  7. さらに、乾燥物由来の細胞、乾燥物由来の細胞由来物、又は前記人工物に吸着された金属または金属化合物を、精製する工程を含む、
    請求項2〜6のいずれかに記載の金属又は金属化合物の回収方法。
  8. さらに、乾燥物由来の細胞、乾燥物由来の細胞由来物、又は前記人工物に吸着された金属または金属化合物を、アンモニア及びアンモニウム塩を含む混合溶液を用いて溶出させる溶出工程を含む、
    請求項2〜6のいずれかに記載の金属又は金属化合物の回収方法。
JP2019501864A 2017-02-27 2018-02-26 金属回収剤、金属化合物回収剤、及び、金属又は金属化合物の回収方法 Active JP6688432B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017035532 2017-02-27
JP2017035532 2017-02-27
PCT/JP2018/006993 WO2018155687A1 (ja) 2017-02-27 2018-02-26 金属回収剤、金属化合物回収剤、及び、金属又は金属化合物の回収方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2018155687A1 true JPWO2018155687A1 (ja) 2019-08-08
JP6688432B2 JP6688432B2 (ja) 2020-04-28

Family

ID=63252841

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019501864A Active JP6688432B2 (ja) 2017-02-27 2018-02-26 金属回収剤、金属化合物回収剤、及び、金属又は金属化合物の回収方法

Country Status (9)

Country Link
US (2) US20200002782A1 (ja)
EP (1) EP3587601A4 (ja)
JP (1) JP6688432B2 (ja)
CN (2) CN118028599A (ja)
AU (1) AU2018226053B2 (ja)
EA (1) EA038647B1 (ja)
MY (1) MY186719A (ja)
SG (1) SG11201906339UA (ja)
WO (1) WO2018155687A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6968460B1 (ja) * 2020-09-03 2021-11-17 株式会社ガルデリア 金の回収方法
JP7130278B1 (ja) 2021-04-27 2022-09-05 株式会社ガルデリア 金属の回収方法
JP7243947B1 (ja) * 2021-08-31 2023-03-22 株式会社Ihi 金属元素含有物質から金属を回収する方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6415133A (en) * 1987-07-09 1989-01-19 Lion Corp Adsorbent for noble metal or the like
JP2012024752A (ja) * 2010-06-22 2012-02-09 Denso Corp 貴金属吸着剤及び貴金属の回収方法
WO2013042340A1 (ja) * 2011-09-21 2013-03-28 Yamamoto Takaiku 金属の回収または除去方法、および、脂質または色素の生産方法
WO2017111092A1 (ja) * 2015-12-22 2017-06-29 株式会社ガルデリア 金属選択回収剤、金属回収方法、および、金属溶出方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4769223A (en) * 1987-04-22 1988-09-06 Bohumil Volesky Biosorbent for gold
CN106281376A (zh) * 2016-09-10 2017-01-04 天津大学 用藻类处理含有重金属离子废水与藻类制备生物质燃料的耦合方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6415133A (en) * 1987-07-09 1989-01-19 Lion Corp Adsorbent for noble metal or the like
JP2012024752A (ja) * 2010-06-22 2012-02-09 Denso Corp 貴金属吸着剤及び貴金属の回収方法
WO2013042340A1 (ja) * 2011-09-21 2013-03-28 Yamamoto Takaiku 金属の回収または除去方法、および、脂質または色素の生産方法
WO2017111092A1 (ja) * 2015-12-22 2017-06-29 株式会社ガルデリア 金属選択回収剤、金属回収方法、および、金属溶出方法

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
蓑田 歩, 山本 高郁, 鈴木 石根, 都筑 幹夫: "硫酸性温泉紅藻Galdieria sulphurariaによるランタノイドの回収", 日本生物工学会大会講演要旨集, vol. 64, JPN6018010483, 25 September 2012 (2012-09-25), JP, pages 147, ISSN: 0004173575 *

Also Published As

Publication number Publication date
EA201991962A1 (ru) 2020-01-21
WO2018155687A1 (ja) 2018-08-30
EP3587601A1 (en) 2020-01-01
EP3587601A4 (en) 2020-11-11
AU2018226053B2 (en) 2021-03-04
CN118028599A (zh) 2024-05-14
SG11201906339UA (en) 2019-08-27
JP6688432B2 (ja) 2020-04-28
AU2018226053A1 (en) 2019-09-05
EA038647B1 (ru) 2021-09-29
US20230416866A1 (en) 2023-12-28
CN110475876A (zh) 2019-11-19
MY186719A (en) 2021-08-12
US20200002782A1 (en) 2020-01-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230416866A1 (en) Metal Recovery Agent, Metal Compound Recovery Agent, and Method for Recovering Metal or Metal Compound
JP6826996B2 (ja) 金属選択回収剤、金属回収方法、および、金属溶出方法
CN103526021B (zh) 一种锌冶炼浸出液净化除钴方法及其所用净化剂
JP6009735B2 (ja) 貴金属の回収方法
CN103464092B (zh) 一种TiO2/硅藻土复合材料的制备及其纯化卵黄高磷蛋白磷酸肽的方法
CN101818252B (zh) 一种免挥发从锌铁铟溶液中提取锌、铁、铟的方法
Suzuki et al. The separation and concentration of gallium (III) and/or indium (III) using polystyrene resins functionalized with complexane-type ligands.
CN115626958A (zh) 一种基于碳化硅陶瓷膜技术分离食用菌多糖、方法和应用
AU2011201892B2 (en) Method for aqueous gold thiosulfate extraction using copper-cyanide pretreated carbon adsorption
CN109569547A (zh) 一种功能化磁性材料及其制备方法和应用
CN105803193B (zh) 一种含镁的铜钴硫化矿生物综合回收铜钴镁的方法
CN110833135B (zh) 一种贝类酶解液中重金属的脱除方法
CN103962092B (zh) 一种改性火山石吸附剂及电镀废水处理方法
CN109055775B (zh) 一种用于净化铜电解液的络合沉淀剂的重生方法
RU2015140677A (ru) Способ доизвлечения благородных металлов из отработанных штабелей кучного выщелачивания
JP2010260028A (ja) キチンを出発源とした架橋キトサンによるモリブデン、タングステンおよびバナジウムなどのオキソアニオンの回収方法
CN100344776C (zh) 树脂法提纯黄金工艺
CN108636371B (zh) 一种银改性纤维素镉吸附剂的制备方法
CN103923230A (zh) 一种肝素钠的精制方法
CN111560413B (zh) 一种利用金属有机骨架材料制备贝类高f值寡肽的方法
JPH05228366A (ja) 金属イオン吸着性と濾過性を改善した藻類
Afaq et al. Eco-friendly and cost-effective metal sequestration mechanism by the use of biosensor microorganisms
CN1231580C (zh) 简易纯化超氧化物歧化酶的提取方法
CN102640857A (zh) 一种大米活性肽螯合铜的制备方法
CN111560519A (zh) 含砷金精矿的整体利用方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190312

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190416

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191217

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200130

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200317

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6688432

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250