JPWO2018154870A1 - 金属接合方法、半導体装置の製造方法、及び半導体装置 - Google Patents
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Abstract
Description
耐熱性の高い接合技術としては、半導体素子と基板との間に焼結性金属(例えば、Agなど)ナノ粒子を含む接合材料を配置し、その間を加熱及び加圧することによって接合部を形成する方法が知られている。この方法で用いられる接合材料は、金属ナノ粒子同士が相互に溶融して焼結することによって耐熱性の高い接合部を形成することができる。しかしながら、この接合材料は、金属ナノ粒子の表面に形成された有機保護膜、ペースト化のために一般に含有される有機溶媒などによって接合部に有機残渣が生じ易い。有機残渣は、絶縁封止材の剥離による絶縁破壊の要因となることから、半導体装置の接合信頼性が低下する恐れがある。また、この接合材料を用いた接合方法は、プロセスが複雑であるため、生産性の観点からも適切であるとは言い難い。
そこで、非特許文献1には、2つの金属部材の表面(Cu層)を平滑化し、真空中でArイオンビームを適用して表面活性化した後に、Cu層間を接合する固相接合技術が提案されている。
また、特許文献1には、2つの金属部材の間に、酸化膜除去剤を含む溶液を配置し、その間を加熱及び加圧することによって接合する固相接合技術が提案されている。
また、特許文献1の固相接合技術は、金属部材の表面粗さについて特に言及しておらず、金属部材の表面粗さと接合性との関係についても何ら教示していない。また、この固相接合技術では、接合部の周囲に、酸化防止剤を含む腐食防止膜が形成されるため、この腐食防止膜が有機残渣となって半導体装置の接合信頼性を低下させる要因となる。
前記第1金属部材と前記第2金属部材との間に有機還元剤を配置する工程と、
前記第1金属部材と前記第2金属部材との間を加熱及び加圧して接合する工程と
を含む金属接合方法である。
図1は、本実施の形態の金属接合方法を説明するための概略断面図である。
本実施の形態の金属接合方法では、まず、第1金属部材1a及び第2金属部材1bの表面粗さ(Rz)を0.5μm以上200μm以下、好ましくは0.5μm以上100μm以下に調整する。表面粗さ(Rz)を0.5μm未満にする場合、CMP(化学機械研磨)、精密機械研磨などを用いた長時間の平滑化処理が必要となる上、第1金属部材1aと第2金属部材1bとの間の接合性も十分に向上しない。また、表面粗さ(Rz)が200μmを超えると、第1金属部材1aと第2金属部材1bとの間の接合性が低下する。
ここで、本明細書において「表面粗さ(Rz)」とは、市販の三次元形状測定機(例えば、株式会社キーエンス製の三次元形状測定機)を用いて測定される表面粗さのことを意味する。
多価アルコールの例としては、エチレングリコール(EG)、ジエチレングリコール(DEG)、トリエチレングリコール(TEG)、ポリエチレングリコール(PEG)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2,3−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、グリセロール、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トレイトール、エリトリトール、ペンタエリスリトール、ペンチトール、1−プロパノール、2−プロパノール、2−ブタノール、2−メチル−2−プロパノール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ヘキシトール、マンニトール、ソルビトール、ズルシトール、グリセリンアルデヒド、ジオキシアセトン、トレオース、エリトルロース、エリトロース、アラビノース、リボース、リブロース、キシロース、キシルロース、リキソース、グルコース、フルクトース、マンノース、イドース、ソルボース、グロース、タロース、タガトース、ガラクトース、アロース、アルトロース、ラクトース、イソマルトース、グルコヘプトース、ヘプトース、マルトトリオース、ラクツロース、トレハロースなどが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボン酸の例としては、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸などのアルキルカルボン酸が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
アミンの例としては、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、ノナデシルアミン、イコデシルアミンなどのアルキルアミンが挙げられる。これらは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、2−エチルヘキシルアミン、1,5−ジメチルヘキシルアミンなどの分岐構造を有するアミンを用いてもよい。
加熱及び加圧処理は、特に限定されないが、加熱を行うことが可能なプレス機などを用いて大気中で行うことができる。具体的には、有機還元剤2を介して積層させた第1金属部材1a及び第2金属部材1bからなる積層体をプレス機に配置して加熱及び加圧処理を行なえばよい。例えば、図1(b)に示すように、プレス機のプレス定盤3の間に積層体を配置し、また必要に応じて、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などから形成された緩衝材4をプレス定盤3と積層体との間に挿入した後、加熱及び加圧処理を行なえばよい。
また、加熱及び加圧処理の時間も第1金属部材1a及び第2金属部材1bの材質などに応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、一般に1分以上60分以下、好ましくは5分以上30分以下である。
有機還元剤2は、加熱及び加圧処理時に、接合温度以下の温度で還元・分解されるため、第1金属部材1a及び第2金属部材1bの表面、並びに第1金属部材1aと第2金属部材1bとの間の接合面5に有機還元剤2が残存しない。このような固相拡散接合は、金属部材の温度による金属拡散機構と加熱及び加圧による塑性変形機構とで接合面が形成されていくが、金属部材の表面粗さによって接合信頼性が異なってくる。形成された接合面には微細な未接合点が存在し、この未接合点の形成状態は接合前の金属部材の表面粗さによって異なる。金属部材の表面粗さ(Rz)を0.5μm以上200μm以下の範囲に調整することで、優れた接合信頼性が得られる。
ここで、本明細書において「接合面5の粗さ(Δt)」とは、市販の三次元形状測定機(例えば、株式会社キーエンス製の三次元形状測定機)を用いて測定される接合面5の粗さのことを意味する。
実施の形態2は、実施の形態1の金属接合方法を用いる半導体装置の製造方法を説明する。
図4は、典型的な半導体装置の概略断面図である。図4において、半導体装置10は、ベース基板11と、ベース基板11上に設けられた回路基板12と、回路基板12上に設けられた半導体素子13と、半導体素子13上に設けられたリード端子14と、リード端子14の外部接続用部分以外を封止する封止材15とを備えている。半導体素子13は、半導体基板16と、その両面にそれぞれ設けられた表面電極17a及び裏面電極17bとを有する。また、図2では、回路基板12としてDBC(Direct Bonded Copper)基板を用いた例を示しており、このDBC基板は、絶縁基材18と、その両面にそれぞれ設けられた表面導電層19a及び裏面導電層19bとを有する。絶縁基材18は、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックから形成され、表面導電層19a及び裏面導電層19bは、銅から形成される。また、ベース基板11は金属表面を有する。
回路基板12としては、特に限定されず、図2で示したDBC基板のような当該技術分野において公知のものを用いることができる。回路基板12を構成する絶縁基材18の例としては、窒化ケイ素(Si3N4)、窒化アルミニウム(AlN)などのセラミックから形成される基板が挙げられる。また、回路基板12を構成する表面導電層19a及び裏面導電層19bの例としては、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)又はこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から形成される導電層が挙げられる。
封止材15としては、特に限定されず、当該技術分野において公知のものを用いることができる。封止材15の例としては、シリコーンゲル、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。
(実施例1)
実施例1では、回路基板12と半導体素子13との接合を行い、その接合性について評価した。
回路基板12としてはDBC基板、半導体素子13としてはMOSFETを用いた。DBC基板は、窒化ケイ素(Si3N4)からなる絶縁基材18の両面に、銅からなる表面導電層19a及び裏面導電層19bが形成された構造を有する。絶縁基材18は、サイズを50mm×70mm、厚さを0.3mmとし、表面導電層19a及び裏面導電層19bは、厚さを0.4mmとした。
半導体素子13は、SiCからなる半導体基板16に、表面電極17aとしてCuからなるゲート電極及びソース電極、裏面電極17bとしてCuからなるドレイン電極をスパッタによって形成した構造を有する。半導体基板16のサイズは10mm×10mmとした。
次に、表面粗さ(Rz)を調整した回路基板12の表面導電層19aの表面に、有機還元剤2としてジエチレングリコールを滴下した後、その上に、表面粗さを調整した半導体素子13の裏面電極17bを重ね、回路基板12と半導体素子13とからなる積層体を得た。
次に、図1(b)に示すように、プレス機のプレス定盤3の間に積層体を配置し、半導体素子13とプレス定盤3との間にPTFE製の緩衝材4を挿入した後、加熱及び加圧処理を行なった。この処理において、加熱温度は330℃、加圧力は50MPa、処理時間は10分に設定した。
まず、−55℃(15分保持)〜175℃(15分保持)の間を繰り返し往復させるヒートサイクル試験を実施し、1000サイクル後に超音波映像装置(株式会社日立パワーソリューションズ製FineSAT)を用いて接合面5のSAT画像を得た。次に、接合面5のSAT画像を画像処理ソフト(アドビ社製Adobe Photoshop)で二階調化処理(閾値を220で一定とした)し、接合面積を計算することによって、接合性を評価した。その結果を図5に示す。図5において、横軸は表面粗さ(Rz)を表し、縦軸は接合面積(%)を表す。
この評価において、接合面積≧90%の場合、接合性が良好であるため「〇」と表し、60%≦接合面積<90%の場合、接合性がやや劣るため「△」と表し、接合面積<60%の場合、接合性が不十分なため「×」と表す。その結果を表1に示す。
次に、試験No.1〜10の接合体の接合界面の断面写真より、楕円状の未接合点の接合面方向のサイズ(長さ)を計測し、その平均値と表面粗さ(Rz)との関係を確認した。その結果を、表1に示すとともに、グラフ化したものを図7に示す。なお、未接合点の間隔が1nm未満である場合は、繋がっていると判断して計測した。表1及び図7に示す通り、表面粗さ(Rz)が0.5μm以上200μm以下であると、未接合点のサイズが19nm以上89nm以下であった。一方、表面粗さ(Rz)が0.5μm未満又は200μm超であると、未接合点のサイズが100nmを超えるサイズになっていることが確認された。
実施例2では、ベース基板11と回路基板12との接合を行い、その接合性について評価した。ベース基板11としてはCu基板を用い、回路基板12としては実施例1と同様のものを用いた。ベース基板11は、サイズを100mm×120mm、厚さを8mmとした。
次に、表面粗さ(Rz)を調整したベース基板11の表面に、有機還元剤2としてジエチレングリコールを滴下した後、その上に、表面粗さ(Rz)を調整した回路基板12の裏面導電層19bを重ね、ベース基板11と回路基板12とからなる積層体を得た。
次に、図1(b)に示すように、プレス機のプレス定盤3の間に積層体を配置し、回路基板12とプレス定盤3との間にPTFE製の緩衝材4を挿入した後、加熱及び加圧処理を行なった。この処理において、加熱温度は300℃、加圧力は50MPa、処理時間は10分に設定した。
また、比較として、接合を行う回路基板12の裏面導電層19b及びベース基板11の表面をそれぞれCMP処理して平滑化した後、上記と同様にしてベース基板11と回路基板12との接合を行い、その接合性を評価した結果も表2に示す(試験No.18)。また、比較として、接合を行う回路基板12の表面導電層19a及び半導体素子13の裏面電極17bの表面をそれぞれ精密研磨して平滑化した後、上記と同様にして回路基板12と半導体素子13との接合を行い、その接合性を評価した結果も表2に示す(試験No.19及び20)。
実施例3では、半導体素子13とリード端子14との接合を行い、その接合性について評価した。半導体素子13としては実施例1と同様のものを用い、リード端子14としてはCuからなる端子を用いた。リード端子14は、サイズを15mm×15mm、厚さを2mmとした。
次に、表面粗さ(Rz)を調整した半導体素子13の表面電極17aの表面に、有機還元剤2としてジエチレングリコールを滴下した後、その上に、表面粗さ(Rz)を調整したリード端子14を重ね、半導体素子13とリード端子14とからなる積層体を得た。
次に、図1(b)に示すように、プレス機のプレス定盤3の間に積層体を配置し、リード端子14とプレス定盤3との間にPTFE製の緩衝材4を挿入した後、加熱及び加圧処理を行なった。この処理において、加熱温度は330℃、加圧力は50MPa、処理時間は10分に設定した。
また、比較として、接合を行う半導体素子13の表面電極17a及びリード端子14の表面をそれぞれCMP処理して平滑化した後、上記と同様にして半導体素子13とリード端子14との接合を行い、その接合性を評価した結果も表3に示す(試験No.28)。また、比較として、接合を行う回路基板12の表面導電層19a及び半導体素子13の裏面電極17bの表面をそれぞれ精密研磨して平滑化した後、上記と同様にして回路基板12と半導体素子13との接合を行い、その接合性を評価した結果も表3に示す(試験No.29及び30)。
Claims (14)
- 第1金属部材及び第2金属部材の表面粗さを0.5μm以上200μm以下に調整する工程と、
前記第1金属部材と前記第2金属部材との間に有機還元剤を配置する工程と、
前記第1金属部材と前記第2金属部材との間を加熱及び加圧して接合する工程とを含む金属接合方法。 - 前記有機還元剤が、多価アルコール、カルボン酸及びアミンからなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の金属接合方法。
- 前記第1金属部材及び前記第2金属部材の表面粗さを0.5μm以上100μm以下に調整する、請求項1又は2に記載の金属接合方法。
- 加熱温度が120℃以上350℃以下であり、加圧力が10MPa以上200MPa以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の金属接合方法。
- 請求項1〜4のいずれか一項の金属接合方法を用いる半導体装置の製造方法。
- 前記第1金属部材が、回路基板に設けられた表面導電層であり、前記第2金属部材が、半導体素子に設けられた裏面電極である、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記回路基板に設けられた表面導電層が、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル又はこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から形成され、前記半導体素子に設けられた裏面電極が、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル又はこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から形成されている、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記半導体素子が、シリコン、シリコンカーバイド、窒化ガリウム、ガリウム砒素、酸化ガリウム及びダイヤモンドからなる群から選択される少なくとも1種から形成された半導体基板を有する、請求項6又は7に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第1金属部材が、金属表面を有するベース基板であり、前記第2金属部材が、回路基板に設けられた裏面導電層である、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記ベース基板の金属表面が、金、銀、銅、ニッケル、モリブデン、タングステン又はこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から形成され、前記回路基板に設けられた裏面導電層が、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル又はこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から形成されている、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記第1金属部材が、半導体素子に設けられた表面電極であり、前記第2金属部材がリード端子である、請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記半導体素子に設けられた表面電極が、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル又はこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から形成され、前記リード端子が、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル又はこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から形成されている、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
- 第1金属部材と第2金属部材とが接合された接合体の接合面に、18nm以上91nm以下の平均サイズを有する未接合点が存在することを特徴とする半導体装置。
- 前記未接合点の内部には、有機還元剤が存在せず且つ酸化物及び硫化物が埋包されていないことを特徴とする請求項13に記載の半導体装置。
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