JPWO2018139638A1 - 表示装置 - Google Patents

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Abstract

偏光子保護フィルム、偏光子、位相差フィルム及び表示素子をこの順に備える表示装置であって、前記偏光子保護フィルムが、レーザー吸収剤を含み且つλ/4板として機能できる基材を含み、前記位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が、90nm〜150nmである、表示装置。

Description

本発明は、表示装置に関する。
モバイル機器から大型テレビまで、様々な電子機器に表示装置が設けられる。この表示装置としては、従来、液晶表示装置を用いることが一般的であった。しかし、近年では、ノートパソコン、携帯電話等のモバイル機器を中心に、表示装置として有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、適宜「有機EL表示装置」ということがある。)を用いた電子機器が増加傾向にある。
モバイル機器のデザイン性及び携帯性を改善する観点から、モバイル機器のモジュール全体の薄型化及び軽量化が求められている。また、テレビにおいては大型化が求められている。さらに、表示装置においては、一般に、表示画面の高繊細化が求められる。そのため、これらの表示装置に用いられる光学フィルム及び偏光板も、薄膜化、広幅化及び高品質化が求められている。また、表示装置の表示窓には、タッチパネルが使用されることが多い。いくつかの方式のタッチパネルの中で、指先で画面を叩く、弾く、摘むという操作で画像を拡大又は縮小させるマルチタッチ機能や、視認性、耐久性に優れていることから、静電容量方式のタッチパネルの人気が高い。このような要求に応えるため、特許文献1〜14に示すように、様々な検討が行われている。
国際公開第2016/31776号 特開2014−191006号公報 特開2010−76181号公報 特許第5821155号公報 国際公開第2016/200956号 国際公開第2014/185000号 特開平10−10523号公報 特開平1−204092号公報 特開平3−174512号公報 特開2009−122454号公報 特開2005−181615号公報 特開2015−031753号公報 特開平05−100114号公報 特開平10−68816号公報
一般に、表示装置の製造プロセスにおいては、偏光板を表示素子のガラス基板に粘着剤又は接着剤を介して貼合する。偏光板は、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向された偏光子の両面に、偏光子保護フィルムを積層した構成で製造されている。偏光子保護フィルムとしては、環状オレフィンフィルム及びトリアセチルセルロースフィルムが代表的である。また、偏光子保護フィルムは、通常、水又は有機溶媒を含む液状の粘着剤又は接着剤を介して、偏光子の両面に積層される。
偏光板は、表示素子のガラス基板の周縁に至るように貼合されることが望ましい。しかし、偏光子保護フィルムは、外部環境の湿度及び温度、並びに使用する粘着剤又は接着剤等の影響により、寸法変化をおこすことがある。この寸法変化への対策として、予め、表示素子の周縁よりも大きいサイズの偏光板を貼合したのち、表示素子のガラス基板の端部からはみ出た偏光板を、ガラス基板を傷つけることなく切断することが行われている。
また、表示装置の画面サイズに合わせて、自由自在にガラス基板を傷つけることなく偏光板を所望の形状に切断することが求められる。
さらには、近年、特に、表示装置の製造工程において、ロール状の偏光板と表示素子を備えるパネルとを直接貼合する「ロールtoパネル製法」が採用されている。このようなロールtoパネル製法で製造されたロール状偏光板は、所望の寸法に切断される。
また、画面サイズの大型化に伴って、フィルムの幅を広くしたいという要求がある。この要求に対して、溶融流延法及び溶液流延法などにより製造されたロール状の原反フィルムの幅方向端部をクリップで固定して、横延伸することにより、広幅な延伸フィルムが製造されている。しかし、その延伸フィルムの両端部は、クリップ痕があるため、通常は、その不要な部分を切断することが求められる。
一方、タッチパネルは、一般に、表示窓に配置され誘電体として機能する透光性を有したカバーパネルを備える。そして、このカバーパネルの裏面には、通常、静電容量方式のフィルムセンサーが、粘着層又は接着層を介して接着されている。このフィルムセンサーは、基材と、基材の一方の側(観察者側)の面上に設けられた第1電極部と、基材の他方の側(表示装置の側)の面上に設けられた第2電極部と、を有している。そして、このようなフィルムセンサーでは、基材の一方の側の面および他方の側の面の所望の部分を切断し、導電性を有した引き回し配線を形成することが行われている。
偏光子保護フィルム及び偏光板を所望の形状に切り出す方法としては、例えば、ナイフを用いた機械的切断方法、及び、レーザー光を用いたレーザー切断方法が挙げられる。しかし、機械的な切断加工を行った場合、目には見えない傷や残留応力の不均一化を招くことがある。このような事情から、近年では、レーザー切断方法の採用が求められる。
さらに、表示装置の薄膜化、軽量化、フレキシブル化、高品質化及び高精細化の要求に伴い、そこに使用される偏光板についても薄膜化、軽量化、フレキシブル化、高性能化が要求されている。しかし、これらの要求は、ただ単に偏光子、粘着層、接着層及び偏光子保護フィルム等の偏光板の構成要素を薄くしても、達成は難しい。具体的には、偏光板の構成要素を薄くすると、偏光子が延伸方向に裂け易くなったり、粘着剤又は接着剤の成分によって偏光子及び偏光子保護フィルムが劣化したり、偏光板を湾曲させる時及び偏光板をリワークする時の取扱い性が劣ったり、引き裂き強度が低くなって剥離性に乏しくなったりする傾向があった。このような事情から、薄く軽量でありながらも、現状よりも優れた耐久性を有する偏光板が求められている。
ところが、材料の種類によっては、使用環境(湿度、温度、紫外線など)及び使用形態(貼合に使用される接着剤や折り曲げ使用など)によって、十分な耐久性が得られないことがあった。例えば、使用環境又は使用形態が過酷であったり、使用環境又は使用形態が変動したりすると、その影響によって、偏光板の耐熱性、耐湿性、耐光性、耐溶媒性、耐回折性、耐引裂き性、寸法安定性などの性質が、必ずしも十分ではないことがあった。
また、偏光子保護フィルムをレーザー光で切断することが困難である場合がある。仮に強引にレーザー光で切断すると、偏光板に切断カスが混入することがあった。また、偏光子保護フィルムの切断面の盛り上がりが発生し、こうして製造された偏光板において偏光子保護フィルム層が浮き上がり、耐湿性が低下することがあった。そのため、偏光子保護フィルムの加工性には、課題があった。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたものであって、レーザー光によって切断可能な偏光子保護フィルムを備え、且つ、使用環境及び使用形態に対する耐久性に優れた偏光板を備える表示装置を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、偏光子保護フィルムにレーザー吸収剤を含む基材を設けることにより、偏光子保護フィルムのレーザー光による切断が可能となることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 偏光子保護フィルム、偏光子、位相差フィルム及び表示素子をこの順に備える表示装置であって、
前記偏光子保護フィルムが、レーザー吸収剤を含み且つλ/4板として機能できる基材を含み、
前記位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が、90nm〜150nmである、表示装置。
〔2〕 前記基材が、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が10nm以下である第一基材層と、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が90nm〜150nmである第二基材層と、前記第一基材層の少なくとも一方の面に形成された導電層とを含み、
前記レーザー吸収剤が、前記第一基材層及び前記第二基材層の一方又は両方に含まれる、〔1〕記載の表示装置。
〔3〕 前記基材が、λ/4板として機能できる第一基材層と、λ/2板として機能できる第二基材層と、前記第一基材層の少なくとも一方の面に形成された導電層とを含み、且つ、広帯域λ/4板として機能でき、
前記レーザー吸収剤が、前記第一基材層及び前記第二基材層の一方又は両方に含まれる、〔1〕記載の表示装置。
〔4〕 前記第二基材層が、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成されている、〔3〕記載の表示装置。
〔5〕 前記第一基材層及び前記第二基材層の一方又は両方が、
第一外側層と、
第二外側層と、
前記第一外側層及び前記第二外側層の間に設けられた中間層と、を含む、〔2〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の表示装置。
〔6〕 前記中間層が、紫外線吸収剤を含む、〔5〕記載の表示装置。
〔7〕 前記第一外側層が、ガラス転移温度TgO1を有する第一外側樹脂で形成され、
前記第二外側層が、ガラス転移温度TgO2を有する第二外側樹脂で形成され、
前記中間層が、ガラス転移温度Tgを有する中間樹脂で形成され、
前記第一外側樹脂のガラス転移温度TgO1が、前記中間樹脂のガラス転移温度Tgよりも低く、
前記第二外側樹脂のガラス転移温度TgO2が、前記中間樹脂のガラス転移温度Tgよりも低い、〔5〕又は〔6〕記載の表示装置。
〔8〕 前記第一外側樹脂のガラス転移温度TgO1と、前記中間樹脂のガラス転移温度Tgとの差Tg−TgO1が、30℃以上であり、
前記第二外側樹脂のガラス転移温度TgO2と、前記中間樹脂のガラス転移温度Tgとの差Tg−TgO2が、30℃以上である、〔7〕記載の表示装置。
〔9〕 前記第一基材層及び前記第二基材層の一方又は両方の厚みが、10μm〜60μmである、〔2〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の表示装置。
〔10〕 前記基材の遅相軸と前記偏光子の透過軸とが交差している、〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の表示装置。
〔11〕 前記基材の遅相軸と前記偏光子の透過軸との交差角が、45°±5°である、〔10〕記載の表示装置。
〔12〕 前記基材が、結晶性を有する重合体を含む、〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の表示装置。
〔13〕 前記基材及び前記位相差フィルムが、それぞれ、脂環式構造含有重合体を含む、請求項〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の表示装置。
〔14〕 前記基材及び前記位相差フィルムが、それぞれ、延伸フィルムを含む、〔1〕〜〔13〕のいずれか一項に記載の表示装置。
〔15〕 前記位相差フィルムが、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成されていて、
前記位相差フィルムの波長450nmにおける面内レターデーションRe(450)と、前記位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)とが、Re(450)/Re(550)<1.0を満たす、〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の表示装置。
〔16〕 前記表示素子が、液晶セルである、〔1〕〜〔15〕のいずれか一項に記載の表示装置。
〔17〕 前記表示素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子である、〔1〕〜〔15〕のいずれか一項に記載の表示装置。
本発明によれば、レーザー光によって切断可能な偏光子保護フィルムを備え、且つ、使用環境及び使用形態に対する耐久性に優れた偏光板を備える表示装置を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置を模式的に示す断面図である。 図2は、基材に含まれうる樹脂層の一例を模式的に示す断面図である。 図3は、一例としての基材を模式的に示す断面図である。 図4は、一例としての基材を模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置の一例を模式的に示す断面図である。 図6は、本発明の別の一実施形態に係る表示装置としての有機EL表示装置の一例を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明の更に別の一実施形態に係る表示装置としての有機EL表示装置の一例を模式的に示す断面図である。 図8は、本発明の更に別の一実施形態に係る表示装置としての有機EL表示装置の一例を模式的に示す断面図である。 図9は、本発明の更に別の一実施形態に係る表示装置としての有機EL表示装置の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、「紫外線」とは、別に断らない限り、波長が10nm〜400nmの光を示す。
以下の説明において、「長尺」の形状とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。長尺の形状の長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して10万倍以下としうる。
以下の説明において、フィルム及び層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。また、フィルム及び層の厚み方向のレターデーションRthは、別に断らない限り、Rth={(nx+ny)/2−nz}×dで表される値である。ここで、nxは、フィルム及び層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、フィルム及び層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。nzは、フィルム及び層の厚み方向の屈折率を表す。dは、フィルム及び層の厚みを表す。測定波長は、別に断らない限り、550nmである。
以下の説明において、ある面の正面方向とは、別に断らない限り、当該面の法線方向を意味し、具体的には前記面の極角0°且つ方位角0°の方向を指す。
以下の説明において、別に断らない限り、「順波長分散特性」とは、波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)が、Re(450)>Re(550)の関係を満たすことをいう。
以下の説明において、別に断らない限り、「逆波長分散特性」とは、波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)が、Re(450)<Re(550)の関係を満たすことをいう。
以下の説明において、フィルム及び層の遅相軸とは、別に断らない限り、当該フィルム及び層の面内における遅相軸を表す。
以下の説明において、複数のフィルム又は層を備える部材における各フィルム又は層の光学軸(偏光吸収軸、偏光透過軸、遅相軸等)がなす角度は、別に断らない限り、前記のフィルム又は層を厚み方向から見たときの角度を表す。
以下の説明において、別に断らない限り、用語「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基、メタクリロイル基及びこれらの組み合わせを包含する。
以下の説明において、正の固有複屈折値を有する樹脂とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、負の固有複屈折値を有する樹脂とは、別に断らない限り、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
以下の説明において、「偏光板」、「λ/2板」及び「λ/4板」とは、別に断らない限り、剛直な部材だけでなく、例えば樹脂製のフィルムのように可撓性を有する部材も含む。
[1.概要]
図1は、本発明の一実施形態に係る表示装置10を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る表示装置10は、偏光子保護フィルム110、偏光子120、位相差フィルム130及び表示素子140を、この順に備える。このうち、偏光子保護フィルム110及び偏光子120からなる部分が、偏光板として機能する。
前記の偏光子保護フィルム110は、レーザー光を吸収できる基材111を含む。基材111は、レーザー光を照射された部分においてレーザー光を吸収し、その部分の基材111の材料を昇華されることができる。また、偏光子保護フィルム110が基材111以外の任意要素(図示せず。)を含む場合、レーザー光が照射されると、昇華した基材111の材料によって任意要素が加熱され、溶融又は昇華を生じることができる。よって、偏光子保護フィルム110は、レーザー光によって容易に切断されることができる。また、偏光子保護フィルム110を、偏光子120及び位相差フィルム130と貼り合わせた状態で切断を行う場合には、通常、基材111がレーザー光を吸収して生じる熱により、偏光子保護フィルム110だけでなく偏光子120及び位相差フィルム130も容易に切断することが可能である。
このように、表示装置10は、レーザー光による偏光子保護フィルム110の切断工程を経て、製造することが可能である。レーザー光による偏光子保護フィルム110の切断によれば、切断カスの発生を抑制したり、切断面を滑らかにしたりできる。これにより、偏光子保護フィルム110を備えた表示装置10において、表示品位を高めることが可能である。
偏光子保護フィルム110のレーザー光による切断しやすさを評価するために、その切断面を観察するが、その切断面は、下記の評価方法で評価できる。
偏光子保護フィルム110及び偏光子120を、両者を分離せず一体の積層体として、表示装置から取り外す。この積層体を、ガラス板(例えば厚さ0.7mm)に、接着剤を介して貼合する。その後、偏光子保護フィルム側からレーザー光を照射する。このようにレーザー光を照射した状態で、偏光子保護フィルムの切断面を顕微鏡観察することで、前記切断面を評価できる。
[2.偏光子保護フィルム]
レーザー光の吸収を可能にするために、偏光子保護フィルムに含まれる基材は、レーザー吸収剤を含む。また、偏光子保護フィルムは、基材に組み合わせて任意の層を含んでいてもよい。
[2.1.基材]
基材としては、レーザー光による切断が可能なフィルムを用いうる。レーザー光による切断が可能なフィルムとしては、例えば、1)レーザー光の平均吸光度が高い重合体を含むフィルム、及び、2)レーザー光の平均吸光度が低い重合体と、レーザー吸収剤とを含むフィルムが挙げられる。しかし、一般的に、レーザー光の平均吸光度が高い重合体は、極性を有し、吸湿性が高い傾向がある。そのため、基材としては、レーザー光の平均吸光度が低い重合体と、レーザー吸収剤とを含むフィルムが好ましい。
レーザー光の吸光度は、「ATR法」を用いて測定することができる。「ATR法」とは、測定対象に対して任意の波長を有するレーザー光を照射し、測定対象の表面で全反射する光を測定することによって、測定対象の表面における吸収スペクトルを得る方法である。照射されるレーザー光の波長範囲内において、任意の波長を有する光の吸光度を、ATR法を用いて測定し、得られた吸光度の平均値を算出することによって平均吸光度として求めることができる。
[2.1.1.基材に含まれるレーザー吸収剤]
レーザー吸収剤としては、切断に用いるレーザー光を吸収できる化合物を用いることができる。一般に、工業的にはレーザー光として赤外線レーザー光を用いることが多い。ここで、赤外線レーザー光とは、760nm以上1mm未満の赤外線範囲の波長を有するレーザー光をいう。よって、レーザー吸収剤としては、赤外線レーザー光を吸収可能な化合物を用いることが好ましい。特に、赤外線レーザー光としては、切断面の割れ及び欠けが少なく、作業性が良好であるので、9μm〜11μmの範囲に波長を有するCOレーザー光が広く用いられている。COレーザー光には、波長が10.6μmのものと、波長が9.4μmのものがあり、偏光子保護フィルム及び偏光板の切断加工においては、波長が9.4μmのものを用いることが推奨される。例えば10.6μmのレーザー波長を用いて切断加工した場合に比べ、9.4μmのレーザー波長を用いて切断加工する場合には、偏光板の切断端面に溶融物が突起したり溶融変形したりすることを抑制できるので、切断端面が平滑になる。そのため、レーザー吸収剤としても、9μm〜11μmの範囲に波長を有するレーザー光を吸収可能な化合物を用いることが好ましい。特に9.4μmと10.6μmに吸収極大を有する化合物を用いるのが好ましい。
好ましいレーザー吸収剤としては、エステル化合物が挙げられる。エステル化合物は、通常、極性を有する化合物であり、9μm〜11μmの範囲に波長を有するレーザー光を効果的に吸収することができる。エステル化合物としては、例えば、リン酸エステル化合物、カルボン酸エステル化合物、フタル酸エステル化合物、アジピン酸エステル化合物などが挙げられる。中でも、COレーザー光を特に効率良く吸収できるようにする観点から、カルボン酸エステル化合物が好ましい。
上述したエステル化合物の中でも、分子中に芳香環を含むものが好ましく、この芳香環にエステル結合が結合しているものが特に好ましい。このようなエステル化合物は、レーザー光をより効率良く吸収できる。したがって、上述したエステル化合物の中でも、芳香族カルボン酸エステルが好ましく、中でもレーザー光の吸収効率に優れることからジエチレングリコールジベンゾエート及びペンタエリスリトールテトラベンゾエート等の安息香酸エステルが特に好ましい。
このようなエステル化合物としては、例えば、国際公開第2016/31776号に記載のものが挙げられる。
さらに、レーザー吸収剤は、可塑剤として機能できるものが好ましい。一般に、可塑剤は樹脂中において重合体分子の間に容易に入り込める。特に、極性を有するレーザー吸収剤を、極性を有する重合体を含む基材に混合する場合は、海島構造を作ること無く樹脂に良好に分散できる。そのため、樹脂によって基材に含まれる層を形成した場合に、レーザー光の吸収が局所的になることを抑制できるので、基材全体としての切断し易さを向上させることが可能である。一般的に、極性の物質と非極性の物質とを混合する場合、お互い混ざりにくいので、基材全体としてヘイズを生じることがある。
エステル化合物等のレーザー吸収剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
レーザー吸収剤の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは400以上、特に好ましくは500以上であり、好ましくは2200以下、より好ましくは1800以下、特に好ましくは1400以下である。レーザー吸収剤の分子量を前記範囲の下限値以上にすることにより、レーザー吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。また、上限値以下にすることにより、レーザー吸収剤を可塑剤として機能し易くさせることができ、更に熱がかかってからのレーザー吸収剤の分子の動き出しを早くできるので、偏光子保護フィルムの切断を容易にすることができる。
レーザー吸収剤の融点は、好ましくは20℃以上、より好ましくは60℃以上、特に好ましくは100℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは150℃以下、特に好ましくは120℃以下である。レーザー吸収剤の融点を前記範囲の下限値以上にすることにより、レーザー吸収剤のブリードアウトを抑制することができる。また、上限値以下にすることにより、レーザー吸収剤を可塑剤として機能し易くさせることができ、更に熱がかかってからのレーザー吸収剤の分子の動き出しを早くできるので、偏光子保護フィルムの切断を容易にすることができる。
レーザー吸収剤は、基材の厚み方向において、均一に含まれていてもよい。例えば、基材が1層のみを含む単層構造のフィルムである場合、当該基材がレーザー吸収剤を均一に含んでいることが好ましい。また、基材が複数の層を含む複層構造のフィルムである場合、当該基材に含まれる全ての層がレーザー吸収剤を含んでいてもよい。
また、レーザー吸収剤は、基材の厚み方向において偏在化していてもよく、よって基材の一部のみに含まれていてもよい。例えば、基材が複層構造のフィルムである場合、当該基材に含まれる一部の層のみがレーザー吸収剤を含んでいてもよい。
基材におけるレーザー吸収剤の含有率は、偏光子保護フィルムのレーザー光による切断が可能な範囲で、任意に設定しうる。よって、基材に含まれる層のうち、レーザー吸収剤を含む層のレーザー吸収剤の含有率は、偏光子保護フィルムのレーザー光による切断が可能な範囲で適切に設定することが好ましい。特に、基材におけるレーザー吸収剤の含有率は、基材が含む重合体が非極性であるか、極性であるかに応じて、設定することが好ましい。
具体的には、基材が含む重合体が非極性の場合は、レーザー吸収剤を含む層のレーザー吸収剤の含有率は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、特に好ましくは2重量%以上であり、好ましくは10重量%以下、より好ましくは9重量%以下、特に好ましくは8重量%以下である。レーザー吸収剤の含有率を前記範囲の下限値以上にすることにより、基材の本来の光学特性、機械的特性を損なうことなく、基材にレーザー光を効率良く吸収できる性質を付与できる。また、上限値以下にすることにより、基材のヘイズを低くできるので、偏光子保護フィルムの透明性を良好にできる。さらに、レーザー光によって偏光子保護フィルムを切断した時に、切断した偏光子保護フィルムの断面が局所的に高温になって熱溶けによる大きな変形が生じることを抑制できる。
基材が含む重合体が極性の場合は、レーザー吸収剤を含む層のレーザー吸収剤の含有率は、混合条件にもよるが、基材が含む重合体が非極性の場合よりも多く混合することができる。レーザー吸収剤により基材にレーザー光を効率良く吸収できる性質を付与できる。また、基材の本来の特性(例えば面内レターデーションや寸法安定性など)を損ない難くする観点から、レーザー吸収剤は多く入れ過ぎないことが望ましい。
フィルムの寸法安定性は、下記の評価方法によって評価できる。
150mm×150mmに裁断したフィルムを試験片とし、長尺のフィルムのMD方向(流れ方向)とTD方向(幅方向)の寸法を計測する。その後、150℃に保持したギヤーオーブン中のタルクバス上にフィルムを水平に置き、30分加熱後のMD方向とTD方向の変形量を測定する。この変形量により、寸法安定性を評価できる。
[2.1.2.基材に含まれうる重合体]
基材は、上述したレーザー吸収剤に組み合わせて、通常、重合体を含む。具体的には、基材は、通常、重合体を含む一又は二以上の樹脂層を備えたフィルムであり、前記の樹脂層のうちの一部又は全てが、レーザー吸収剤を含む。この際、基材は、耐溶媒性、耐回折性及び引裂き強度を高める観点から、結晶性を有する重合体を含むことが好ましい。特に、結晶性を有する重合体のフィルム、及び、非晶性の重合体のフィルムを、同じ波長で同じ出力のレーザー光で切断した場合には、結晶性を有する重合体のフィルムの方がカールを生じ難い。よって、この観点からも、結晶性を有する重合体が好ましい。ここで、結晶性を有する重合体とは、融点Mpを有する重合体をいう。融点Mpを有する重合体とは、すなわち、示差走査熱量計(DSC)で融点Mpを観測することができる重合体をいう。
また、基材は、低吸湿性及び低水蒸気透過性などの観点から、重合体として非極性の脂環式構造含有重合体を含むことが好ましい。したがって、基材は、脂環式構造含有重合体を含む樹脂層を備えた単層構造又は複層構造のフィルムであることが好ましい。
脂環式構造含有重合体は、繰り返し単位中に脂環式構造を有する重合体である。脂環式構造含有重合体は、機械的強度に優れるので、偏光子保護フィルムの衝撃強度を効果的に高めることができる。また、脂環式構造含有重合体は、吸湿性が低いので、偏光子保護フィルムの水蒸気透過率を効果的に小さくできる。さらに、脂環式構造含有重合体は、通常、透明性、寸法安定性及び軽量性に優れる。
脂環式構造含有重合体としては、例えば、環状オレフィンを単量体として用いた重合反応によって得ることができる重合体又はその水素添加物などが挙げられる。また、前記の脂環式構造含有重合体としては、主鎖中に脂環式構造を含有する重合体、及び、側鎖に脂環式構造を含有する重合体のいずれも用いることができる。脂環式構造としては、例えば、シクロアルカン構造、シクロアルケン構造等が挙げられるが、熱安定性等の観点からシクロアルカン構造が好ましい。
1つの脂環式構造に含まれる炭素原子の数は、好ましくは4個以上、より好ましくは5個以上、より好ましくは6個以上であり、好ましくは30個以下、より好ましくは20個以下、特に好ましくは15個以下である。1つの脂環式構造に含まれる炭素原子の数が上記範囲内にあることで、機械的強度、耐熱性、及び成形性が高度にバランスされる。
脂環式構造含有重合体中の脂環式構造を有する繰り返し単位の割合は、好ましくは30重量%以上、より好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。脂環式構造を有する繰り返し単位の割合を前記のように多くすることにより、耐熱性を高めることができる。
また、脂環式構造含有重合体において、脂環式構造を有する構造単位以外の残部は、格別な限定はなく、使用目的に応じて適宜選択しうる。
脂環式構造含有重合体としては、結晶性を有するもの、及び、結晶性を有さないもののいずれを用いてもよく、両者を組み合わせて用いてもよい。結晶性を有する脂環式構造含有重合体を用いることにより、偏光子保護フィルムの衝撃強度、耐溶媒性、耐回折性、引裂き強度を特に高めることができる。また、結晶性を有さない脂環式構造含有重合体を用いることにより、偏光子保護フィルムの製造コストを下げることができる。
結晶性を有する脂環式構造含有重合体としては、例えば、下記の重合体(α)〜重合体(δ)が挙げられる。これらの中でも、耐熱性に優れる偏光子保護フィルムが得られ易いことから、結晶性を有する脂環式構造含有重合体としては、重合体(β)が好ましい。
重合体(α):環状オレフィン単量体の開環重合体であって、結晶性を有するもの。
重合体(β):重合体(α)の水素添加物であって、結晶性を有するもの。
重合体(γ):環状オレフィン単量体の付加重合体であって、結晶性を有するもの。
重合体(δ):重合体(γ)の水素添加物等であって、結晶性を有するもの。
具体的には、結晶性を有する脂環式構造含有重合体としては、ジシクロペンタジエンの開環重合体であって結晶性を有するもの、及び、ジシクロペンタジエンの開環重合体の水素添加物であって結晶性を有するものがより好ましく、ジシクロペンタジエンの開環重合体の水素添加物であって結晶性を有するものが特に好ましい。ここで、ジシクロペンタジエンの開環重合体とは、全構造単位に対するジシクロペンタジエン由来の構造単位の割合が、通常50重量%以上、好ましくは70重量%以上、より好ましくは90重量%以上、さらに好ましくは100重量%の重合体をいう。
結晶性を有する脂環式構造含有重合体は、偏光子保護フィルムを製造するよりも前においては、結晶化していなくてもよい。しかし、偏光子保護フィルムが製造された後においては、基材に含まれる結晶性を有する脂環式構造含有重合体は、通常、結晶化していることにより、高い結晶化度を有することができる。具体的な結晶化度の範囲は所望の性能に応じて適宜選択しうるが、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。基材に含まれる脂環式構造含有重合体の結晶化度を前記範囲の下限値以上にすることにより、偏光子保護フィルムに高い耐熱性及び耐溶媒性を付与することができる。結晶化度は、X線回折法によって測定しうる。
偏光子保護フィルムの耐熱性は、耐熱温度によって評価できる。偏光子保護フィルムの耐熱温度は、通常160℃以上、好ましくは180℃以上、より好ましくは200℃以上である。耐熱温度は高いほど好ましいため、耐熱温度の上限に制限は無いが、結晶性の重合体の場合は融点Tm以下である。
フィルムの耐熱温度は、下記の評価方法によって評価できる。
試料としてのフィルムに張力を掛けない状態で、そのフィルムをある温度Txの雰囲気下で10分放置する。その後、目視でフィルムの面状を確認する。フィルムの表面の形状に凹凸が確認できなかった場合、そのフィルムの耐熱温度が前記の温度Tx以上であることが分かる。
フィルムの耐溶媒性は、下記の評価方法によって評価できる。
試料としてのフィルム(50mm×10mmのサンプル)を切り出し、所定の溶媒を1ml塗布する。塗布から1分後に、フィルムの外観変化の有無を観察して、耐溶媒性を評価できる。
偏光子保護フィルムが耐性を有する溶媒としては、粘着剤又は接着剤に使用される溶媒を用いることができる。この溶媒の具体例としては、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、シクロヘキサノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル類;リモネン等の単環状類などが挙げられる。
一般に、偏光板を製造する場合、偏光子保護フィルムと偏光子とは、溶媒を含む粘着剤又は接着剤で貼合される。この際、仮に、偏光子保護フィルムが溶媒に対する耐性を有していないと、偏光板の品位が劣化し、その結果、表示装置の表示品位が低下することが考えられる。しかし、結晶性を有する脂環式構造含有重合体を用いれば、耐溶媒性に優れる偏光子保護フィルムが得られるので、前記のような品位低下を抑制することができる。
偏光子保護フィルムと偏光子とを粘着剤又は接着剤を介して貼合して得られた偏光板が品位の劣化を生じているか否かは、2枚の偏光板を偏光顕微鏡上に配置し、一方の偏光板を回転させた時に白黒の明確性及び光抜けの有無で評価できる。
結晶性を有する脂環式構造含有重合体の融点Mpは、好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上であり、好ましくは290℃以下である。このような融点Mpを有する結晶性を有する脂環式構造含有重合体を用いることによって、成形性と耐熱性とのバランスに更に優れた偏光子保護フィルムを得ることができる。
結晶性を有する脂環式構造含有重合体は、耐折性に優れる。よって、偏光子保護フィルムは、好ましくは、耐折性に優れる。偏光子保護フィルムの耐折性は、具体的には、耐折度で表しうる。結晶性を有する脂環式構造含有重合体を含む基材を備えた偏光子保護フィルムの耐折度は、通常2000回以上、好ましくは2200回以上、より好ましくは2400回以上である。耐折度は高いほど好ましいため、耐折度の上限に制限は無いが、耐折度は通常は100000回以下である。
耐折度は、JISP8115「紙及び板紙−耐折強さ試験方法−MIT試験機法」に準拠したMIT耐折試験により、下記の方法で測定しうる。
試料としてのフィルムから、幅15mm±0.1mm、長さ約110mmの試験片を切り出す。この際、フィルムがより強く延伸された方向が試験片の約110mmの辺と平行になるように試験片を作製する。そして、MIT耐折度試験機(安田精機製作所製「No.307」)を用いて、荷重9.8N、屈曲部の曲率0.38±0.02mm、折り曲げ角度135°±2°、折り曲げ速度175回/分の条件で、試験片の幅方向に折れ目が現れるように前記の試験片を折り曲げる。この折り曲げを継続し、試験片が破断するまでの往復折り曲げ回数を測定する。
前記のような結晶性を有する脂環式構造含有重合体は、例えば、国際公開第2016/067893号に記載の方法により、製造しうる。
他方、結晶性を有さない脂環式構造含有重合体は、例えば、(1)ノルボルネン重合体、(2)単環の環状オレフィン重合体、(3)環状共役ジエン重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素添加物などが挙げられる。これらの中でも、透明性及び成形性の観点から、ノルボルネン重合体及びこの水素添加物がより好ましい。
ノルボルネン重合体としては、例えば、ノルボルネンモノマーの開環重合体、ノルボルネンモノマーと開環共重合可能なその他のモノマーとの開環共重合体、及びそれらの水素添加物;ノルボルネンモノマーの付加重合体、ノルボルネンモノマーと共重合可能なその他のモノマーとの付加共重合体などが挙げられる。これらの中でも、透明性の観点から、ノルボルネンモノマーの開環重合体水素添加物が特に好ましい。
上記の脂環式構造含有重合体は、例えば特開2002−321302号公報に開示されている重合体から選ばれる。
結晶性を有さない脂環式構造含有重合体を含む樹脂としては、様々な商品が市販されているので、それらのうち、所望の特性を有するものを適宜選択し、使用しうる。かかる市販品の例としては、商品名「ZEONOR」(日本ゼオン株式会社製)、「アートン」(JSR株式会社製)、「アペル」(三井化学株式会社製)、「TOPAS」(ポリプラスチック社製)の製品群が挙げられる。
上述したものの中でも、重合体としては、低吸湿性及び低い水蒸気透過性の観点から、非極性で、当該重合体単独ではレーザー光の平均吸光度が低いものが好ましい。このようにレーザー光の平均吸光度が低い重合体を用いた場合に、低吸湿性による寸法安定性、及び、レーザー吸収剤を組み合わせたことによる効果を特に有効に活用できる。このようにレーザー光の平均吸光度が低い重合体としては、日本ゼオン社製「ZEONOR」が挙げられる。波長9.2μm〜10.8μmにおいて前記「ZEONOR」からなる環状オレフィンフィルムの平均吸光度を測定したところ、0.05であった。
重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合体のガラス転移温度Tgは、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、更に好ましくは100℃以上であり、好ましくは250℃以下、より好ましくは170℃以下である。ガラス転移温度がこのような範囲にある重合体は、高温下での使用における変形及び応力が生じ難く、耐久性に優れる。
重合体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000以上、より好ましくは2,000以上、更に好ましくは10,000以上、特に好ましくは25,000以上であり、好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、更に好ましくは100,000以下、中でも好ましくは80,000以下、特に好ましくは50,000以下である。このような重量平均分子量を有する重合体は、成形加工性と耐熱性とのバランスに優れる。
重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.2以上、特に好ましくは1.5以上であり、好ましくは10以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下である。ここで、Mnは数平均分子量を表す。このような分子量分布を有する重合体は、成形加工性に優れる。
前記の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、溶媒としてシクロヘキサンを用いたゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーにより、ポリイソプレンまたはポリスチレン換算の重量平均分子量として測定しうる。但し、試料がシクロヘキサンに溶解しない場合には、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーの溶媒としてトルエンを用いてもよい。
基材における重合体の含有率は、偏光子保護フィルムに求められる特性に応じて、任意に設定しうる。よって、基材に含まれる層のうち、重合体を含む層での当該重合体の含有率は、偏光子保護フィルムに求められる特性に応じて適切に設定することが好ましい。具体的には、重合体を含む層での当該重合体の含有率は、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、更に好ましは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
[2.1.3.基材に含まれうる樹脂層]
図2は、基材に含まれうる樹脂層の一例を模式的に示す断面図である。図2に示すように、基材に含まれる樹脂層200は、好ましくは、第一外側層210と、第二外側層220と、前記の第一外側層210及び第二外側層220の間に設けられた中間層230と、を含む。この樹脂層200は、必要に応じて、第一外側層210、中間層230及び第二外側層220以外の任意の層を備えていてもよいが、厚みを薄くする観点から、任意の層を備えない3層構造の層であることが好ましい。このような樹脂層200では、通常、第一外側層210と中間層230とは、間に他の層を介することなく直接に接しており、中間層230と第二外側層220とは、間に他の層を介することなく直接に接している。
図2に示すように第一外側層210と第二外側層220と中間層230とを含む樹脂層200がレーザー吸収剤を含む場合、このレーザー吸収剤は、通常、中間層230に含まれる。中間層230に含まれるレーザー吸収剤は、第一外側層210及び第二外側層220によって移動を妨げられるので、前記の樹脂層200では、レーザー吸収剤のブリードアウトを抑制できる。
中間層230は、通常、重合体を含む樹脂によって形成される。以下、中間層230を形成する樹脂を、適宜「中間樹脂」という。中間樹脂に含まれる重合体としては、樹脂層200の製造が容易であることから、熱可塑性の重合体を用いることが好ましい。このような重合体としては、機械特性、耐熱性、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、脂環式構造含有重合体が好ましい。また、重合体は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
中間層230における重合体の含有率は、好ましくは80.0重量%以上、より好ましくは82.0重量%以上、特に好ましくは85.0重量%以上であり、好ましくは97.0重量%以下、より好ましくは96.0重量%以下、特に好ましくは95.0重量%以下である。
また、中間層230は、前記のように、レーザー吸収剤を含みうる。中間層230におけるレーザー吸収剤の量は、基材に含まれる層のうちレーザー吸収剤を含む層のレーザー吸収剤の含有率の範囲として上述した範囲から、適切に設定しうる。具体的には、中間層230におけるレーザー吸収剤の量は、好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは1.0重量%以上、好ましくは10.0重量%以下、特に好ましくは8.0重量%以下である。
中間層230は、重合体及びレーザー吸収剤に組み合わせて、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収剤を含む中間層230は、紫外線の透過を妨げることができるので、表示装置に含まれる部材の紫外線による劣化を抑制することが可能である。したがって、外光に含まれる紫外線による偏光子の着色を抑制したり、バックライトからの紫外線を抑制して表示素子の長寿命化を達成したりすることができる。また、中間層230が紫外線吸収剤を含む場合には、紫外線吸収剤のブリードアウトの抑制が可能であるので、中間層230における紫外線吸収剤の濃度を高めたり、紫外線吸収剤の種類の選択の幅を広げたりできる。よって、樹脂層200の厚みが薄くても、紫外線の透過抑制能力を高めることが可能である。
さらに、レーザー吸収剤と紫外線吸収剤とを組み合わせることで、樹脂の面内レターデーション及び切り出した寸法等の特性の変化を抑え、基材にレーザー光を効率良く吸収できる性質を付与できる。また、基材の物性(面内レターデーション、寸法変化、内部ヘイズ等)の変化を抑制することができる。さらに、製膜プロセスにおいて膜厚ムラを小さくすることができる。特に、結晶性を有する重合体を、レーザー吸収剤及び紫外線吸収剤と組み合わせた場合に、前記の物性変化の抑制等の作用を顕著に得ることができる。一般に、レーザー光の平均吸光度が低い非極性の重合体(例えば、脂環式構造含有重合体)を極性の化合物(例えば、エステル化合物)と混合しても、分散性が不十分となり、前記の物性変化が生じ易い傾向があるというのが、当業者の技術的認識であった。よって、前記の作用は、従来の技術常識からすれば意外なものである。レーザー吸収剤と紫外線吸収剤とを組み合わせて用いることによりこのような効果が得られる理由はよく分かっていないが、適度なレーザー吸収剤と紫外線吸収剤とが、中間層230において可塑剤のように働き、製膜プロセルに対して有利な効果をもたらしているものと考えられる。
中間層230におけるレーザー吸収剤と紫外線吸収剤の合計量は、好ましくは8.0重量%以上、特に好ましくは10.0重量%以上、好ましくは20.0重量%以下、特に好ましくは16.0重量%以下である。レーザー吸収剤と紫外線吸収剤の合計量が前記範囲に収まることにより、樹脂のレターデーション等の物性変化を抑え、コンパウンド製造時にダイスからの漏れも少なく、フィッシュアイの発生抑制や樹脂の焼けを抑制することができる。
紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収できる化合物を用いうる。通常、このような紫外線吸収剤として、有機化合物を用いる。以下、有機化合物としての紫外線吸収剤を「有機紫外線吸収剤」ということがある。有機紫外線吸収剤を用いることにより、通常は、基材の可視波長における光線透過率を高めたり、基材のヘイズを小さくしたりできる。そのため、表示装置の表示性能を良好にできる。
有機紫外線吸収剤としては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、アクリロニトリル系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、アゾメチン系紫外線吸収剤、インドール系紫外線吸収剤、ナフタルイミド系紫外線吸収剤、フタロシアニン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
トリアジン系紫外線吸収剤としては、例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物が好ましい。トリアジン系紫外線吸収剤の具体例としては、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(へキシル)オキシ]−フェノール、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。このようなトリアジン系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、チバスペシャリティーケミカルズ社製「チヌビン1577」、ADEKA社製「LA−F70」、「LA−46」などが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール等が挙げられる。このようなトリアゾール系紫外線吸収剤の市販品としては、例えば、ADEKA社製「アデカスタブLA−31」、チバスペシャリティーケミカルズ社製「TINUVIN326」などが挙げられる。
アゾメチン系紫外線吸収剤としては、例えば、特許第3366697号公報に記載の材料を例示することができ、市販品としては、例えば、オリエント化学社製「BONASORB UA−3701」などが挙げられる。
インドール系紫外線吸収剤としては、例えば、特許第2846091号公報に記載の材料を例示することができ、市販品としては、例えば、オリエント化学社製「BONASORB UA−3911」、「BONASORB UA−3912」などが挙げられる。
フタロシアニン系紫外線吸収剤としては、例えば、特許第4403257号公報、特許第3286905号公報に記載の材料を例示することができ、市販品としては、例えば、山田化学工業社製「FDB001」、「FDB002」などが挙げられる。
特に好ましい紫外線吸収剤としては、トリアジン系紫外線吸収剤であるASDEKA社製「LA−F70」;アゾメチン系紫外線吸収剤であるオリエンタル化学工業「UA−3701」;並びに、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤であるBASF社製「Tinuvin326」及びADEKA社製「LA−31」が挙げられる。これらは、紫外線吸収能力に特に優れるので、量が少なくても高い紫外線遮断能力を有する樹脂層200を得ることができる。
紫外線吸収剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
中間層230における紫外線吸収剤の量は、好ましくは3重量%以上、より好ましくは4重量%以上、特に好ましくは5重量%以上であり、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下、特に好ましくは16重量%以下である。紫外線吸収剤の量が、前記範囲の下限値以上であることにより、樹脂層200によって紫外線の透過を効果的に抑制できる。また、紫外線の量が、前記範囲の上限値以下であることによって、樹脂層200の可視波長における光線透過率を高くし易い。また、樹脂層200の製造時に、紫外線吸収剤による樹脂のゲル化を抑制できるので、樹脂層200でのフィッシュアイの発生を抑制し易い。ここで、フィッシュアイとは、層の内部に生じうる異物のことをいう。
さらに、任意の成分の別の例としては、例えば、顔料、染料等の着色剤;可塑剤;蛍光増白剤;分散剤;滑剤;熱安定剤;光安定剤;帯電防止剤;酸化防止剤;界面活性剤等の配合剤が挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
中間樹脂のガラス転移温度Tgは、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上、特に好ましくは140℃以上であり、好ましくは180℃以下、より好ましくは170℃以下、特に好ましくは165℃以下である。中間樹脂のガラス転移温度Tgが、前記範囲に収まることにより、中間層230のレターデーションなどの物性変化を抑えたり、中間層230の製造時に膜厚を安定させて膜厚ムラの少ない製膜を可能にしたりできる。
中間層230の厚みT230は、樹脂層200の厚みT200に対する中間層230の厚みT230の比T230/T200が、所定の範囲に収まるように設定されることが好ましい。具体的には、前記の厚み比T230/T200は、好ましくは1/4以上、より好ましくは2/4以上であり、好ましくは80/82以下、より好ましくは79/82以下、特に好ましくは78/82以下である。厚み比が、前記下限値以上であることにより、樹脂層200によってレーザー光を効果的に吸収できる。また、中間層230が紫外線吸収剤を含む場合には、紫外線の透過を効果的に抑制できる。また、厚み比が、前記上限値以下であることにより、第一外側層210及び第二外側層220を厚くできるので、レーザー吸収剤及び紫外線吸収剤のブリードアウトを安定して抑制したり、樹脂層200の製造を容易に行ったりできる。
複数の層を含む樹脂層での各層の厚みは、次の方法で測定しうる。樹脂層をエポキシ樹脂で包埋して、試料片を用意する。この試料片を、ミクロトームを用いて厚み0.05μmにスライスする。その後、スライスにより現れた断面を顕微鏡を用いて観察することで、樹脂層に含まれる各層の厚みを測定しうる。
第一外側層210は、通常、重合体を含む樹脂で形成される。以下、第一外側層210を形成する樹脂を、適宜「第一外側樹脂」という。第一外側樹脂は、中間層230に含まれる中間樹脂よりもレーザー吸収剤の含有率が低いことが好ましく、レーザー吸収剤を含まないことがより好ましい。さらに、第一外側樹脂は、中間層230に含まれる中間樹脂よりも紫外線吸収剤の含有率が低いことが好ましく、紫外線吸収剤を含まないことがより好ましい。
第一外側樹脂に含まれる重合体としては、中間樹脂に含まれる重合体と同一の重合体を用いることが好ましい。これにより、中間層230と第一外側層210との接着強度を高めたり、中間層230と第一外側層210との界面での光の反射を抑制したりし易い。
第一外側層210における重合体の量は、好ましくは90.0重量%〜100重量%、より好ましくは95.0重量%〜100重量%である。
第一外側樹脂は、重合体に組み合わせて、更に任意の成分を含みうる。任意の成分としては、例えば、中間層230が含みうる任意の成分として挙げたのと同様の成分が挙げられる。
第一外側樹脂のガラス転移温度TgO1は、中間樹脂のガラス転移温度Tgよりも低いことが好ましい。さらに、第一外側樹脂のガラス転移温度TgO1と中間樹脂のガラス転移温度Tgとの差Tg−TgO1は、好ましくは30℃以上、より好ましくは33℃以上、特に好ましくは35℃以上である。ガラス転移温度の差Tg−TgO1が前記範囲に収まることにより、中間樹脂に含まれる添加剤の第一外側樹脂へのブリード量を抑制することができる。ガラス転移温度の差Tg−TgO1の上限は、好ましくは55℃以下、より好ましくは50℃以下、特に好ましくは45℃以下である。ガラス転移温度の差Tg−TgO1が前記の上限値以下であることにより、第一外側樹脂と中間樹脂の密着性を向上させることができる。
ガラス転移温度の差Tg−TgO1を上述した条件で調整する方法は、特に制限は無い。例えば、中間樹脂が重合体以外の成分(例えば、レーザー吸収剤、任意の成分)を含む場合、その重合体以外の成分の種類及び量によって、中間樹脂のガラス転移温度Tgを調整できる。そこで、中間樹脂が含む重合体以外の成分の種類及び量の調整によって、前記のガラス転移温度の差Tg−TgO1を調整してもよい。
第一外側層210の厚みは、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、特に好ましくは7μm以上であり、好ましくは15μm以下、より好ましくは13μm以下、特に好ましくは10μm以下である。第一外側層210の厚みが、前記範囲の下限値以上であることにより、中間層230に含まれる成分のブリードアウトを効果的に抑制できる。また、第一外側層210の厚みが、前記範囲の上限値以下であることにより、樹脂層200を薄くできる。
第二外側層220は、通常、重合体を含む樹脂で形成される。以下、第二外側層220を形成する樹脂を、適宜「第二外側樹脂」という。第二外側樹脂としては、第一外側樹脂として説明した樹脂の範囲から選択される任意の樹脂を用いうる。したがって、第二外側樹脂の含有成分は、第一外側樹脂の含有成分として説明した範囲から選択して適用しうる。これにより、第一外側層210の説明に記載したのと同様の利点を得ることができる。
第二外側樹脂のガラス転移温度TgO2は、中間樹脂のガラス転移温度Tgよりも低いことが好ましい。さらに、第二外側樹脂のガラス転移温度TgO2と中間樹脂のガラス転移温度Tgとの差Tg−TgO2は、好ましくは30℃以上、より好ましくは33℃以上、特に好ましくは35℃以上である。これにより、中間樹脂に含まれる添加剤の第二外側樹脂へのブリード量を抑制することができる。ガラス転移温度の差Tg−TgO2の上限は、好ましくは55℃以下、より好ましくは50℃以下、特に好ましくは45℃以下である。ガラス転移温度の差Tg−TgO2が前記の上限値以下であることにより、第二外側樹脂と中間樹脂の密着性を向上させることができる。
前記のガラス転移温度の差Tg−TgO2は、例えば、ガラス転移温度の差Tg−TgO1と同様の方法で調整できる。
第二外側樹脂は、第一外側樹脂と異なる樹脂であってもよく、第一外側樹脂と同一の樹脂であってもよい。中でも、第一外側樹脂及び第二外側樹脂として同一の樹脂を用いることが好ましい。第一外側樹脂及び第二外側樹脂として同一の樹脂を用いることにより、樹脂層200の製造コストを抑制したり、基材のカールを抑制したりできる。
第二外側層220の厚みは、第一外側層210の厚みの範囲として説明した範囲から選択される任意の厚みにしうる。これにより、第一外側層210の厚みの説明で記載したのと同様の利点を得ることができる。中でも、基材のカールを抑制するためには、第二外側層220の厚みは、第一外側層210と同一にすることが好ましい。
また、基材に含まれる樹脂層は、図2に示した樹脂層200のように2層以上の層を含む複層構造の層に限られず、1層のみを含む単層構造の層であってもよい。例えば、樹脂層は、重合体及びレーザー吸収剤を含み、更に必要に応じて紫外線吸収剤等の任意の成分を含む樹脂によって形成された単層構造の層であってもよい。具体例を挙げると、上述した中間層自体を、単独で、樹脂層として用いてもよい。
樹脂層が含む揮発性成分の量は、好ましくは0.1重量%以下、より好ましくは0.05重量%以下、さらに好ましくは0.02重量%以下である。揮発性成分の量が前記範囲にあることにより、樹脂層の寸法安定性が向上し、レターデーション等の光学特性の経時変化を小さくすることができる。さらには、偏光子及び表示装置の劣化を抑制でき、長期的に表示装置の表示を安定で良好に保つことができる。ここで、揮発性成分は、分子量200以下の物質である。揮発性成分としては、例えば、残留単量体及び溶媒などが挙げられる。揮発性成分の量は、分子量200以下の物質の合計として、ガスクロマトグラフィーにより分析することにより定量しうる。
樹脂層の飽和吸水率は、好ましくは0.05%以下、より好ましくは0.03%以下、特に好ましくは0.01%以下であり、理想的にはゼロ%である。樹脂層の飽和吸水率がこのように低いことにより、樹脂層の光学特性の継時的な変化を抑制することができる。
樹脂層の飽和吸水率は、JIS K7209に従い、下記の手順で測定しうる。
樹脂層を50℃で24時間乾燥し、デシケータ中で放冷する。次いで、乾燥した樹脂層の重量(M1)を測定する。
この樹脂層を、温度23℃、相対湿度50%の室内で24時間水に浸漬し樹脂層を水で飽和させる。その後、水から樹脂層を取り出し、24時間浸漬後の樹脂層の重量(M2)を測定する。
これらの重量の測定値から、次式により、樹脂層の飽和吸水率を求めうる。
飽和吸水率(%)=[(M2−M1)/M1]×100(%)
樹脂層の厚みは、好ましくは15μm以上、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは25μm以上であり、好ましくは50μm以下、より好ましくは45μm以下、特に好ましくは40μm以下である。
樹脂層の製造方法に制限は無い。例えば、図2に示したような第一外側層210、中間層230及び第二外側層220を備える樹脂層200は、各層を形成するための樹脂をフィルム状に成形する工程を含む製造方法により、製造しうる。樹脂の成形方法としては、例えば、共押出法及び共流延法などが挙げられる。これらの成形方法の中でも、共押出法は、製造効率に優れ、得られた樹脂層に揮発性成分を残留させ難いので、好ましい。
また、基材が含む樹脂層は、延伸フィルムであってもよい。よって、例えば、図2に示したような第一外側層210、中間層230及び第二外側層220を備える樹脂層200は、上述した方法によってフィルム状に成形した後で、延伸処理を施されたものであってもよい。延伸フィルムは、延伸処理を施されたフィルムであり、通常は、当該フィルム中の重合体が前記の延伸処理によって配向している。そのため、延伸フィルムは重合体の配向に応じた光学特性を有することができるので、レターデーション等の光学特性を容易に調整することができる。また、延伸フィルムは、通常、延伸によって厚みを薄くされたり、広幅なフィルムを得られたり、機械的強度を向上させられたりできる。よって、樹脂層として延伸フィルムを用いることにより、好適な属性を有する基材を容易に得ることができる。
[2.1.4.基材に含まれうる光学異方性層]
基材は、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された光学異方性層を含んでいてもよい。ここで、用語「液晶組成物」は、2種類以上の成分を含む材料だけでなく、1種類の液晶化合物のみを含む材料を包含する。通常、液晶組成物の硬化物は、液晶性化合物に応じた光学異方性を有するので、前記の硬化物で形成された光学異方性層は、所定の面内レターデーションを有する。以下の説明では、位相差フィルムに含まれうる光学異方性層と区別するため、基材に含まれる光学異方性層を「第一光学異方性層」ということがある。
液晶化合物は、液晶組成物に配合し配向させた際に、液晶相を呈しうる化合物である。このような液晶化合物として、通常は、重合性の液晶化合物を用いる。ここで、重合性の液晶化合物とは、液晶相を呈した状態で液晶組成物中で重合し、液晶相における分子の配向を維持したまま重合体となりうる液晶化合物である。
重合性の液晶化合物としては、重合性基を有する液晶化合物、側鎖型液晶ポリマーを形成しうる化合物、円盤状液晶化合物などの化合物が挙げられ、中でも、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光を照射することによって重合しうる光重合性の化合物が好ましい。重合性基を有する液晶化合物としては、例えば、特開平11−513360号公報、特開2002−030042号公報、特開2004−204190号公報、特開2005−263789号公報、特開2007−119415号公報、特開2007−186430号公報などに記載された重合性基を有する棒状液晶化合物などが挙げられる。また、側鎖型液晶ポリマー化合物としては、例えば、特開2003−177242号公報などに記載の側鎖型液晶ポリマー化合物などが挙げられる。また、好ましい液晶化合物の例を製品名で挙げると、BASF社製「LC242」等が挙げられる。円盤状液晶化合物の具体例としては、特開平8−50206号公報、文献(C. Destrade et al., Mol. Cryst. Liq. Cryst., vol. 71, page 111 (1981) ;日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);J. Zhang et al., J. Am. Chem. Soc., vol. 116, page 2655 (1994));J. Lehn et al., J.Chem.Soc.,Chem.Commun., page 1794 (1985)に記載されている。液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶化合物は、逆波長分散性液晶化合物であってもよい。ここで、逆波長分散性液晶化合物とは、ホモジニアス配向した場合に、逆波長分散特性を示す液晶化合物をいう。また、液晶化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶化合物を含む層を形成し、その層における液晶化合物の分子のメソゲンの長軸方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。液晶化合物が配向方向の異なる複数種類のメソゲンを含む場合は、それらのうち最も長い種類のメソゲンが配向する方向が、前記の配向方向となる。液晶化合物がホモジニアス配向しているか否か、及びその配向方向は、AxoScan(Axometrics社製)に代表されるような位相差計を用いた遅相軸方向の測定と、遅相軸方向における入射角毎のレターデーション分布の測定とにより確認しうる。液晶組成物が含む液晶化合物の一部又は全部として、逆波長分散性液晶化合物を用いることにより、逆波長分散特性を示す第一光学異方性層を容易に得ることができる。
例えば、当該化合物の分子中に、主鎖メソゲンと、前記主鎖メソゲンに結合した側鎖メソゲンとを含む化合物を、液晶化合物として用いることが好ましく、逆波長分散性液晶化合物として用いることがより好ましい。主鎖メソゲン及び側鎖メソゲンを含む前記の逆波長分散性液晶化合物は、当該逆波長分散性液晶化合物が配向した状態において、側鎖メソゲンが主鎖メソゲンと異なる方向に配向しうる。このような場合、複屈折は主鎖メソゲンに対応する屈折率と側鎖メソゲンに対応する屈折率との差として発現するので、結果として、逆波長分散性液晶化合物は、ホモジニアス配向した場合に、逆波長分散特性を示すことができる。
重合性を有する逆波長分散性液晶化合物としては、例えば、下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2018139638
前記式(I)において、Y〜Yは、それぞれ独立して、化学的な単結合、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−O−C(=O)−NR−、−NR−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−NR−、−O−NR−、又は、−NR−O−を表す。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
前記式(I)において、G及びGは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数1〜20の二価の脂肪族基を表す。また、前記脂肪族基には、1つの脂肪族基当たり1以上の−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR−C(=O)−、−C(=O)−NR−、−NR−、又は、−C(=O)−が介在していてもよい。ただし、−O−又は−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
前記式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立して、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数2〜10のアルケニル基を表す。
前記式(I)において、Aは、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。「芳香環」は、Huckel則に従う広義の芳香族性を有する環状構造、すなわち、π電子を(4n+2)個有する環状共役構造、及びチオフェン、フラン、ベンゾチアゾール等に代表される、硫黄、酸素、窒素等のヘテロ原子の孤立電子対がπ電子系に関与して芳香族性を示す環状構造を意味する。
前記式(I)において、Aは、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルキニル基、−C(=O)−R、−SO−R、−C(=S)NH−R、又は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環からなる群から選ばれる少なくとも一つの芳香環を有する、炭素数2〜30の有機基を表す。ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、炭素数5〜12の芳香族炭化水素環基を表す。Rは、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、フェニル基、又は、4−メチルフェニル基を表す。Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数2〜20のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は、置換基を有していてもよい炭素数5〜20の芳香族基を表す。前記A及びAが有する芳香環は、置換基を有していてもよい。また、前記AとAは、一緒になって、環を形成していてもよい。
前記式(I)において、Aは、置換基を有していてもよい三価の芳香族基を表す。
前記式(I)において、A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素数3〜30の二価の脂環式炭化水素基を表す。
前記式(I)において、A及びAは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい、炭素数6〜30の二価の芳香族基を表す。
前記式(I)において、Qは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
前記式(I)において、mは、それぞれ独立に、0又は1を表す。
式(I)で表される液晶化合物としては、例えば、国際公開第2014/069515号、国際公開第2015/064581号などに記載された化合物が挙げられる。
また、液晶化合物は、順波長分散性液晶化合物であってもよい。ここで、順波長分散性液晶化合物とは、ホモジニアス配向した場合に、順波長分散特性を示す液晶化合物をいう。液晶組成物が含む液晶化合物の一部又は全部として、順波長分散性液晶化合物を用いることにより、順波長分散特性を有する第一光学異方性層を容易に得ることができる。
重合性を有する順波長分散性液晶化合物としては、例えば、下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
3x−C3x−D3x−C5x−M−C6x−D4x−C4x−R4x 式(II)
式(II)において、R3x及びR4xは、それぞれ独立して、反応性基を示す。R3x及びR4xは、例えば、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、チオエポキシ基、オキセタン基、チエタニル基、アジリジニル基、ピロール基、フマレート基、シンナモイル基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシシリル基、オキサゾリン基、メルカプト基、ビニル基、アリル基等が挙げられる。
式(II)において、D3x及びD4xは、それぞれ独立して、単結合、炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、及び炭素原子数1〜20個の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンオキサイド基からなる群より選択される基を表す。
式(II)において、C3x〜C6xは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH−、−OCH−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CHCOO−、及び−CHOCO−からなる群より選択される基を表す。
式(II)においてMは、メソゲン基を表す。好適なメソゲン基Mは、非置換又は置換基を有していてもよい、アゾメチン類、アゾキシ類、フェニル類、ビフェニル類、ターフェニル類、ナフタレン類、アントラセン類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類、アルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類からなる群より選択された2〜4個の骨格を、−O−、−S−、−S−S−、−CO−、−CS−、−OCO−、−CH−、−OCH−、−CH=N−N=CH−、−NHCO−、−OCOO−、−CHCOO−、及び−CHOCO−等の結合基によって結合されて形成される。
メソゲン基Mが有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1〜10のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、−O−R5x、−O−C(=O)−R5x、−C(=O)−O−R5x、−O−C(=O)−O−R5x、−NR5x−C(=O)−R5x、−C(=O)−NR5x7x、または−O−C(=O)−NR5x7xが挙げられる。ここで、R5x及びR7xは、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基を表す。R5x及びR7xがアルキル基である場合、当該アルキル基には、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR6x−C(=O)−、−C(=O)−NR6x−、−NR6x−、または−C(=O)−が介在していてもよい(ただし、−O−および−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く。)。ここで、R6xは、水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。
前記「置換基を有してもよい炭素数1〜10個のアルキル基」における置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、カルボキシル基、シアノ基、アミノ基、炭素原子数1〜6個のアルコキシ基、炭素原子数2〜8個のアルコキシアルコキシ基、炭素原子数3〜15個のアルコキシアルコキシアルコキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2〜7個のアルキルカルボニルオキシ基、炭素原子数2〜7個のアルコキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
式(II)で表される液晶化合物としては、例えば、国際公開第2016/002765号などに記載された棒状液晶性化合物が挙げられる。
また、液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
液晶組成物における液晶化合物の量は、所望の第一光学異方性層が得られる範囲で任意に設定でき、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、特に好ましくは10重量%以上であり、また、好ましくは100重量%以下、より好ましくは80重量%以下、特に好ましくは60重量%以下である。
液晶組成物は、液晶化合物に組み合わせて、任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、重合開始剤、界面活性剤、溶媒、金属、金属錯体、染料、顔料、蛍光材料、燐光材料、レベリング剤、チキソ剤、ゲル化剤、多糖類、赤外線吸収剤、抗酸化剤、イオン交換樹脂、酸化チタン等の金属酸化物等が挙げられる。任意の成分については、国際公開第2015/064581号を参照しうる。
第一光学異方性層は、前記の液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された層であり、通常、液晶化合物から得られる硬化液晶分子を含む。ここで、「硬化液晶分子」とは、液晶相を呈しうる化合物を、液晶相を呈した状態のまま固体とした際の当該化合物の分子を意味する。第一光学異方性層が含む硬化液晶分子は、通常、液晶化合物を重合させてなる重合体である。よって、第一光学異方性層は、通常は、液晶化合物を重合させてなる重合体を含み、必要に応じて任意の成分を含みうる樹脂の層となっている。そして、このような第一光学異方性層は、前記の硬化液晶分子の配向状態に応じた光学異方性を有しうる。第一光学異方性層の光学異方性は、面内レターデーションによって表すことができる。第一光学異方性層の具体的な面内レターデーションは、第一光学異方性層が有するべき面内レターデーションに応じて設定できる。
第一光学異方性層の厚みは、レターデーション等の光学特性を所望の範囲にできるように適宜調整でき、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下、特に好ましくは5μm以下である。
第一光学異方性層は、通常、支持体上に液晶組成物の層を形成する工程と、液晶組成物の層を硬化させて第一光学異方性層を得る工程と、を含む製造方法によって、製造できる。
この製造方法では、支持体を用意し、その支持体の面に、液晶組成物の層を形成する。支持体として、通常は、樹脂フィルムを用いる。樹脂としては、熱可塑性樹脂を用いることができる。中でも、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性の観点から、脂環式構造含有重合体を含む樹脂、及び、セルロースエステル樹脂が好ましい。
支持体の表面には、液晶組成物の層における液晶化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていてもよい。ここで、ある面の配向規制力とは、液晶組成物中の液晶化合物を配向させうる、その面の性質をいう。
配向規制力を付与するための処理としては、例えば、ラビング処理、配向層形成処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられ、中でも、延伸処理が好ましい。支持体に適切な条件で延伸処理を施すことにより、支持体に含まれる重合体の分子を配向させることができる。これにより、支持体に含まれる重合体の分子の配向方向に液晶化合物を配向させる配向規制力を、支持体の表面に付与できる。
支持体の延伸は、支持体に異方性を付与して、当該支持体に遅相軸を発現させられるように行うことが好ましい。これにより、通常は、支持体の遅相軸と平行又は垂直な方向に液晶化合物を配向させる配向規制力が、支持体の表面に付与される。例えば、支持体の材料として正の固有複屈折値を有する樹脂を用いた場合、通常は、支持体に含まれる重合体の分子が延伸方向に配向することにより延伸方向に平行な遅相軸が発現するので、支持体の遅相軸と平行な方向に液晶化合物を配向させる配向規制力が、支持体の表面に付与される。したがって、支持体の延伸方向は、液晶化合物を配向させようとする所望の配向方向に応じて設定しうる。
延伸倍率は、延伸後の支持体の複屈折Δnが所望の範囲となるように設定しうる。延伸後の支持体の複屈折Δnは、好ましくは0.000050以上、より好ましくは0.000070以上であり、好ましくは0.007500以下、より好ましくは0.007000以下である。延伸後の支持体の複屈折Δnが前記範囲の下限値以上であることにより、当該支持体の表面に良好な配向規制力を付与できる。前記の延伸は、テンター延伸機などの延伸機を用いて行いうる。
前記のような支持体としては、長尺のフィルムを用いることが好ましい。支持体として長尺のフィルムを用いることにより、第一光学異方性層の生産性を向上させることができる。この際、支持体の厚みは、生産性の向上、薄型化及び軽量化を容易にする観点から、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、特に好ましくは30μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは300μm以下、特に好ましくは100μm以下である。
また、支持体としては、上述した樹脂層を用いてもよい。基材に含まれるべき樹脂層を支持体として用いることにより、基材の材料とは別に支持体を用意する必要が無くなるので、基材の製造コストを低くすることができる。
液晶組成物の層の形成は、通常、塗工法によって行う。具体的には、支持体の表面に、液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成する。塗工方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。塗工される液晶組成物の層の厚みは、第一光学異方性層に求められる所望の厚みに応じて適切に設定しうる。
液晶組成物の層を形成した後で、必要に応じて、液晶組成物の層を乾燥させる工程を行ってもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。
また、液晶組成物の層を形成した後で、必要に応じて、当該層に含まれる液晶化合物を配向させる工程を行ってもよい。この工程では、通常は、液晶組成物の層に配向処理を施すことにより、支持体の面の配向規制力に応じた方向に液晶化合物を配向させる。配向処理は、通常、液晶組成物の層を、所定の配向温度に加熱することによって、行う。この配向処理の条件は、使用する液晶組成物の性質に応じて適切に設定しうる。配向処理の条件の具体例を挙げると、50℃〜160℃の温度条件において、30秒間〜5分間処理する条件としうる。
ただし、液晶化合物の配向は、液晶組成物の塗工により直ちに達成される場合がありえる。そのため、液晶化合物を配向させたい場合でも、配向処理は、必ずしも液晶組成物の層に施さなくてもよい。
必要に応じて液晶組成物の層の乾燥、及び、液晶化合物の配向を行った後で、前記液晶組成物の層を硬化させて、第一光学異方性層を得る工程を行う。この工程では、通常、液晶化合物を重合させて、液晶組成物の層を硬化させる。液晶化合物の重合方法としては、液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。
なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線照射時の温度は、支持体のガラス転移温度以下とすることが好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上としうる。紫外線の照射強度は、好ましくは0.1mW/cm以上、より好ましくは0.5mW/cm以上であり、好ましくは1000mW/cm以下、より好ましくは600mW/cm以下である。
こうして得られた第一光学異方性層は、必要に応じて、支持体から剥がして用いてもよい。
[2.1.5.基材に含まれうる導電層]
基材は、樹脂層に組み合わせて、導電層を含んでいてもよい。導電層は、通常、基材に含まれる樹脂層の片面又は両面に設けられる。樹脂層は、一般に可撓性に優れるので、樹脂層上に導電層を備えた基材を用いることにより、指での入力が円滑なタッチパネルを実現できる。特に、脂環式構造含有重合体を含む基材では、その脂環式構造含有重合体の優れた耐熱性及び低吸湿性を活用できるので、高温又は高湿度の環境においてカール等の変形を生じ難い。
導電層としては、例えば、導電性金属酸化物、導電性ナノワイヤ、金属メッシュ及び導電性ポリマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の導電材料を含む層を用いうる。
導電性金属酸化物としては、例えば、ITO(インジウム錫オキサイド)、IZO(インジウム亜鉛オキサイド)、ZnO(酸化亜鉛)、IWO(インジウムタングステンオキサイド)、ITiO(インジウムチタニウムオキサイド)、AZO(アルミニウム亜鉛オキサイド)、GZO(ガリウム亜鉛オキサイド)、XZO(亜鉛系特殊酸化物)、IGZO(インジウムガリウム亜鉛オキサイド)等が挙げられる。これらの中でも、光線透過性及び耐久性の観点より、ITOが特に好ましい。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
導電性金属酸化物を含む導電層は、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト蒸着法、アーク放電プラズマ蒸着法、熱CVD法、プラズマCVD法、鍍金法、及びこれらの組み合わせ等の成膜方法によって、形成しうる。これらの中でも、蒸着法及びスパッタリング法が好ましく、スパッタリング法が特に好ましい。スパッタリング法では、厚みが均一な導電層を形成できるので、導電層に局所的に薄い部分が発生することを抑制できる。
導電性ナノワイヤとは、形状が針状または糸状であり、径がナノメートルサイズの導電性物質をいう。導電性ナノワイヤは直線状であってもよく、曲線状であってもよい。このような導電性ナノワイヤは、導電性ナノワイヤ同士が隙間を形成して網の目状となることにより、少量の導電性ナノワイヤであっても良好な電気伝導経路を形成することができ、電気抵抗の小さい導電層を実現できる。また、導電性ワイヤは、網の目状となることにより、網の目の隙間に開口部を形成するので、光透過率の高い導電層を得ることができる。さらに、導電性ナノワイヤを含む導電層を用いることにより、通常は、耐屈曲性に優れる基材を得ることができる。
導電性ナノワイヤの太さdと長さLとの比(アスペクト比:L/d)は、好ましくは10〜100,000であり、より好ましくは50〜100,000であり、特に好ましくは100〜10,000である。このようにアスペクト比の大きい導電性ナノワイヤを用いれば、導電性ナノワイヤが良好に交差して、少量の導電性ナノワイヤにより高い導電性を発現させることができる。その結果、透明性に優れる基材を得ることができる。ここで、「導電性ナノワイヤの太さ」とは、導電性ナノワイヤの断面が円状である場合はその直径を意味し、楕円状である場合はその短径を意味し、多角形である場合は最も長い対角線を意味する。導電性ナノワイヤの太さおよび長さは、走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡によって測定しうる。
導電性ナノワイヤの太さは、好ましくは500nm未満であり、より好ましくは200nm未満であり、更に好ましくは10nm〜100nmであり、特に好ましくは10nm〜50nmである。これにより、導電層の透明性を高めることができる。
導電性ナノワイヤの長さは、好ましくは2.5μm〜1000μmであり、より好ましくは10μm〜500μmであり、特に好ましくは20μm〜100μmである。これにより、導電層の導電性を高めることができる。
導電性ナノワイヤとしては、例えば、金属により構成される金属ナノワイヤ、カーボンナノチューブを含む導電性ナノワイヤ等が挙げられる。
導電層における導電性ナノワイヤの含有率は、導電層の全重量に対して、好ましくは80重量%〜100重量%であり、より好ましくは85重量%〜99重量%である。これにより、導電性および光透過性に優れる導電層を得ることができる。
導電性ナノワイヤを含む導電層は、導電性ナノワイヤを溶媒に分散させて得られた導電性ナノワイヤ分散液を塗工及び乾燥させることにより、製造しうる。
金属メッシュとは、格子状に形成された金属細線である。金属メッシュに含まれる金属としては、導電性の高い金属が好ましい。好適な金属の例としては、金、白金、銀及び銅が挙げられ、なかでも好ましくは銀、銅及び金であり、より好ましくは銀である。これらの金属は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
金属メッシュを含む導電層は、例えば、銀塩を含む導電層形成用組成物を塗工し、露光処理及び現像処理によって金属細線を所定の格子パターンに形成することにより、形成できる。また、金属メッシュを含む導電層は、金属微粒子を含む導電層形成用組成物を所定のパターンに印刷することによっても、形成できる。このような導電層及びその形成方法の詳細については、特開2012−18634号公報、特開2003−331654号公報を参照しうる。
導電性ポリマーとしては、例えば、ポリチオフェン系ポリマー、ポリアセチレン系ポリマー、ポリパラフェニレン系ポリマー、ポリアニリン系ポリマー、ポリパラフェニレンビニレン系ポリマー、ポリピロール系ポリマー、ポリフェニレン系ポリマー、アクリル系ポリマーで変性されたポリエステル系ポリマー等が挙げられる。中でも、ポリチオフェン系ポリマー、ポリアセチレン系ポリマー、ポリパラフェニレン系ポリマー、ポリアニリン系ポリマー、ポリパラフェニレンビニレン系ポリマーおよびポリピロール系ポリマーが好ましい。その中でも、特に、ポリチオフェン系ポリマーが好ましい。ポリチオフェン系ポリマーを用いることにより、透明性及び化学的安定性に優れる導電層を得ることができる。ポリチオフェン系ポリマーの具体例としては、ポリチオフェン;ポリ(3−ヘキシルチオフェン)等のポリ(3−C1−8アルキル−チオフェン);ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3,4−プロピレンジオキシチオフェン)、ポリ[3,4−(1,2−シクロヘキシレン)ジオキシチオフェン]等のポリ(3,4−(シクロ)アルキレンジオキシチオフェン);ポリチエニレンビニレン等が挙げられる。
また、前記の導電性ポリマーは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
導電性ポリマーを含む導電層は、例えば、導電性ポリマーを含む導電性組成物を塗工し、乾燥することにより形成しうる。導電性ポリマーを含む導電層については、特開2011−175601号公報を参照しうる。
導電層は、基材の面内方向の全体に形成されていてもよいが、所定のパターンにパターン化されていてもよい。導電層のパターンの形状は、タッチパネル(例えば、静電容量方式タッチパネル)として良好に動作するパターンが好ましく、例えば、特表2011−511357号公報、特開2010−164938号公報、特開2008−310550号公報、特表2003−511799号公報、特表2010−541109号公報に記載のパターンが挙げられる。
導電層の表面抵抗値は、好ましくは2000Ω/□以下、より好ましくは1500Ω/□以下、特に好ましくは1000Ω/□以下である。導電層の表面抵抗値がこのように低いことにより、基材を用いて高性能のタッチパネルを実現できる。導電層の表面抵抗値の下限に特段の制限は無いが、製造が容易であることから、好ましくは100Ω/□以上、より好ましくは200Ω/□以上、特に好ましくは300Ω/□以上である。
導電層の波長400nm〜700nmの範囲における光線透過率は、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは95%以上である。
導電層の厚みは、好ましくは0.01μm〜10μm、より好ましくは0.05μm〜3μm、特に好ましくは0.1μm〜1μmである。
[2.1.6.基材の光学特性及び厚み]
上述した基材は、通常、λ/4板として機能できる。ここで、λ/4板とは、波長550nmにおいて所定の範囲の面内レターデーションを有する部材をいう。具体的には、λ/4板の波長550nmにおける面内レターデーションは、通常110nm以上、好ましくは120nm以上、より好ましくは125nm以上であり、通常165nm以下、好ましくは155nm以下、より好ましくは150nm以下である。したがって、λ/4板として機能できる基材とは、波長550nmにおいて前記範囲の面内レターデーションを有する基材をいう。λ/4板として機能できる基材を偏光子と組み合わせることにより、円偏光板を得ることができる。
基材は、表示装置の表示品位を高くする観点から、可視波長における光線透過率が高いことが好ましい。例えば、波長400nm〜700nmの範囲における基材の光線透過率は、好ましくは85%〜100%、より好ましくは87%〜100%、特に好ましくは90%〜100%である。
基材は、表示装置の画像鮮明性を高める観点から、ヘイズが小さいことが好ましい。基材の具体的なヘイズは、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、特に好ましくは0.5%以下である。ヘイズは、JIS K7361−1997に準拠して、濁度計を用いて測定しうる。
基材が単層の場合、その基材の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下である。基材が複層の場合、各層の厚みは、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下である。
[2.1.7.基材の第一の構成例]
以下、基材の具体的な構成例を、図面を示して説明する。
図3は、一例としての基材300を模式的に示す断面図である。図3に示すように、この例に係る基材300は、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が小さい第一基材層310と、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が大きい第二基材層320と、第一基材層310の少なくとも一方の面310Uに形成された導電層330とを含む。そして、レーザー吸収剤は、第一基材層310及び第二基材層320の一方又は両方に含まれている。図3には、第一基材層310の一方の面310Uに導電層330が形成された例を示したが、導電層330は、第一基材層310の他方の面310Dに形成されていてもよく、第一基材層310の両方の面310U及び310Dに形成されていてもよい。
第一基材層310は光学等方性の層であることが好ましい。よって、第一基材層の波長550nmにおける第一基材層310の面内レターデーションRe(550)及び厚み方向のレターデーションRth(550)は小さいことが好ましい。具体的には、第一基材層310の波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)は、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下、特に好ましくは4nm以下であり、理想的には0nmである。また、第一基材層310の波長550nmにおける厚み方向のレターデーションRth(550)は、好ましくは15nm以下、より好ましくは13nm以下、特に好ましくは10nm以下である。下限は、特段の制限は無く、理想的には0nmであるが、通常5nm以上である。このように第一基材層310が光学等方性であることにより、表示装置に用いた場合に表示画面の着色を抑制したり、視野角特性を改善したりすることができる。第一基材層310は単層構造であっても、複層構造であってもよい。第一基材層310としては、脂環式構造含有重合体フィルム(例えば、ゼオノアフィルム(日本ゼオン社製))やトリアセチルセルロース(TAC)フィルムなどが挙げられる。
また、波長550nmにおける第二基材層320の面内レターデーションRe(550)は、好ましくは90nm以上、より好ましくは100nm以上、特に好ましくは110nm以上であり、好ましくは150nm以下、より好ましくは145nm以下、特に好ましくは140nm以下である。第二基材層としては、例えば、斜め延伸フィルム(ゼオノアフィルムZDシリーズ、日本ゼオン社製)などが挙げられる。
このようなレターデーションを有する第一基材層310及び第二基材層320を組み合わせることにより、λ/4板として機能できる基材300を実現することができる。
前記の基材300の好ましい実施形態として、第一基材層310及び第二基材層320の一方又は両方が、第一外側層と、第二外側層と、前記の第一外側層及び第二外側層の間に設けられた中間層とを含む複層構造の樹脂層である(図2参照)。このような樹脂層では、中間層に含まれる成分は、ブリードアウトを生じ難い。よって、中間層がブリードアウトを生じ易い成分を含む場合に、前記ブリードアウトによる製造設備の汚れを抑制しながら基材300の製造が可能となる。よって、レーザー吸収剤及び任意の成分としての紫外線吸収剤は、中間層に含まれることが好ましい。
上述した基材300において、第一基材層310及び第二基材層320の一方又は両方の厚みは、好ましくは10μm〜60μm、より好ましくは15μm〜55μm、特に好ましくは20μm〜50μmである。第一基材層310及び第二基材層320の一方又は両方の厚みが前記の範囲に収まることにより、偏光子保護フィルム自体の自己支持性を保持することができ、偏光子保護フィルムの剛性を維持することができる。
[2.1.8.第二の構成例]
以下、基材の別の具体的な構成例を、図面を示して説明する。
図4は、一例としての基材400を模式的に示す断面図である。図4に示すように、この例に係る基材400は、λ/4板として機能できる第一基材層410と、λ/2板として機能できる第二基材層420と、第一基材層410の少なくとも一方の面410Uに形成された導電層430とを含む。そして、レーザー吸収剤は、第一基材層410及び第二基材層420の一方又は両方に含まれている。図4には、第一基材層410の一方の面410Uに導電層430が形成された例を示したが、導電層430は、第一基材層410の他方の面410Dに形成されていてもよく、第一基材層410の両方の面410U及び410Dに形成されていてもよい。
第一基材層410は、λ/4板として機能できる層である。よって、第一基材層410は、波長550nmにおいて所定の範囲の面内レターデーションを有する。具体的には、第一基材層410の波長550nmにおける面内レターデーションは、通常110nm以上、好ましくは120nm以上、より好ましくは125nm以上であり、通常165nm以下、好ましくは155nm以下、より好ましくは150nm以下である。
第二基材層420は、λ/2板として機能できる層である。ここで、λ/2板とは、波長550nmにおいて所定の範囲の面内レターデーションを有する層をいう。具体的には、λ/2板の波長550nmにおける面内レターデーションは、通常240nm以上、好ましくは250nm以上であり、通常300nm以下、好ましくは280nm以下、特に好ましくは265nm以下である。したがって、λ/2板として機能できる第二基材層420とは、波長550nmにおいて前記範囲の面内レターデーションを有する層をいう。
λ/4板として機能できる第一基材層410と、λ/2板として機能できる第二基材層420とを組み合わせて含むことにより、基材400は、広帯域λ/4板として機能できる。ここで、広帯域λ/4板とは、逆波長分散特性を示すλ/4板をいう。広帯域λ/4板は、広範な波長範囲においてλ/4板としての機能を発揮できるので、広帯域λ/4板として機能できる基材400を含む表示装置は、特に正面方向から観察した画像の意図しない色付きを抑制できる。また、広帯域λ/4板として機能できる基材400を含む偏光子保護フィルムを偏光子と組み合わせることによって、広い波長範囲において機能できる円偏光板を実現することができる。
ただし、基材400が広帯域λ/4板として機能できるようにするために、第一基材層410の遅相軸と第二基材層420の遅相軸とがなす交差角は、適切な範囲に調整することが好ましい。
一般に、ある基準方向に対して角度θ(λ/4)をなす遅相軸を有するλ/4板と、前記基準方向に対して角度θ(λ/2)をなす遅相軸を有するλ/2板とを組み合わせた複層フィルムが、式(X):「θ(λ/4)=2θ(λ/2)+45°」を満たす場合、この複層フィルムは、広い波長範囲において当該複層フィルムを通過する正面方向の光にその光の波長の略1/4波長の面内レターデーションを与えうる広帯域λ/4板となる(特開2007−004120号公報参照)。よって、λ/4板として機能できる第一基材層410と、λ/2板として機能できる第二基材層420との組み合わせによって広帯域λ/4板として機能できる基材400を得る観点から、λ/4板として機能できる第一基材層410の遅相軸と、λ/2板として機能できる第二基材層420の遅相軸との間に、前記式(X)で表されるのに近い関係を満たすことが好ましい。このような観点から、λ/4板として機能できる第一基材層410の遅相軸と、λ/2板として機能できる第二基材層420の遅相軸とがなす交差角は、好ましくは55°以上、より好ましくは57°以上、特に好ましくは59°以上であり、好ましくは65°以下、より好ましくは63°以下、特に好ましくは61°以下である。
前記の基材400の好ましい実施形態として、第二基材層420は、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された第一光学異方性層であることが好ましい。通常、液晶組成物の硬化物によれば、耐久性を上げることができ、更には薄くても大きなレターデーションを得やすい。よって、第二基材層420として第一光学異方性層を用いることにより、特に耐熱性の優れた薄い基材層400を得ることができる。
第二基材層420として第一光学異方性層を用いる場合、第一基材層410としては、通常、レーザー吸収剤を含む樹脂層を用いる。
また、前記の基材400の別の好ましい実施形態として、第一基材層410及び第二基材層420の一方又は両方が、第一外側層と、第二外側層と、前記の第一外側層及び第二外側層の間に設けられた中間層とを含む複層構造の樹脂層であることが好ましい(図2参照)。このような樹脂層では、ブリードアウトを抑制する観点から、レーザー吸収剤及び任意の成分としての紫外線吸収剤は、中間層に含まれることが好ましい。
上述した基材400において、第一基材層410及び第二基材層420の一方又は両方の厚みは、基材の第一の構成例と同様に、好ましくは10μm〜60μmである。
[2.2.任意の層]
偏光子保護フィルムは、基材に組み合わせて、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、粘着層、接着層、ハードコート層、インデックスマッチング層、易接着層、防眩層、反射防止層などが挙げられる。
[2.3.偏光子保護フィルムの特性及び厚み]
偏光子保護フィルムは、表示装置の表示品位を高くする観点から、可視波長における光線透過率が高いことが好ましい。例えば、波長400nm〜700nmの範囲における偏光子保護フィルムの光線透過率は、好ましくは85%〜100%、より好ましくは87%〜100%、特に好ましくは90%〜100%である。
また、偏光子の外光およびバックライトからの紫外線による劣化を抑制するために、波長380nmにおける光線透過率は、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下、特に好ましくは0.05%以下である。光線透過率は紫外線吸収剤により制御できる。
偏光子保護フィルムは、表示装置の画像鮮明性を高める観点から、ヘイズが小さいことが好ましい。偏光子保護フィルムのヘイズは、好ましくは1%以下、より好ましくは0.8%以下、特に好ましくは0.5%以下である。
偏光子保護フィルムの厚みは、特段の制限は無いが、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、特に好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、特に好ましくは60μm以下である。
[3.偏光子]
偏光子は、偏光透過軸及び偏光吸収軸を有する光学部材である。この偏光子は、偏光吸収軸と平行な振動方向を有する直線偏光を吸収し、偏光透過軸と平行な振動方向を有する直線偏光を通過させることができる。ここで、直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を意味する。
偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等の適切なビニルアルコール系重合体のフィルムに、ヨウ素及び二色性染料等の二色性物質による染色処理、延伸処理、架橋処理等の適切な処理を適切な順序及び方式で施したフィルムを用いうる。この直線偏光子は、偏光度に優れるものが好ましい。直線偏光子の厚みは、5μm〜80μmが一般的であるが、これに限定されない。
λ/4板として機能できる基材を含む偏光子保護フィルムと偏光子との組み合わせによって円偏光板を得る観点から、偏光子保護フィルムの基材の遅相軸と偏光子の透過軸とは、交差していることが好ましい。この際、基材の遅相軸と偏光子の透過軸との交差角は、所定の範囲に収まることが好ましい。前記の交差角の具体的範囲は、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±3°、特に好ましくは45°±1°である。交差角を前記の範囲に調整されていると、偏光子を透過して偏光子保護フィルムに進入した直線偏光を、λ/4板として機能できる基材によって、円偏光に変換することができる。偏光子を透過して偏光子保護フィルムに進入した直線偏光を円偏光に変換することで、偏光子保護フィルムを視認側に配置した表示装置では、偏光サングラスを通してみた場合でも、表示品位を落とすことなく表示装置を見ることができる。
[4.位相差フィルム]
位相差フィルムは、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が90nm〜150nmのフィルムである。より詳細には、位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)は、好ましくは90nm以上、より好ましくは95nm以上、特に好ましくは100nm以上であり、好ましくは150nm以下、より好ましくは145nm以下、特に好ましくは140nm以下である。このような範囲の面内レターデーションRe(550)を有する位相差フィルムは、λ/4板として機能できる。よって、位相差フィルムと偏光子との組み合わせにより、円偏光板を得ることができる。
位相差フィルムと偏光子との組み合わせによって円偏光板を得る観点から、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の透過軸とは、交差していることが好ましい。この際、位相差フィルムの遅相軸と偏光子の透過軸との交差角は、所定の範囲に収まることが好ましい。前記の交差角の具体的範囲は、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±3°、特に好ましくは45°±1°である。交差角を前記の範囲に調整されていると、偏光子を透過して位相差フィルムに進入した直線偏光を、その位相差フィルムによって、円偏光に変換することができる。
前記の位相差フィルムとしては、例えば、樹脂によって形成されたフィルムを用いうる。位相差フィルムを形成する樹脂としては、重合体と、必要に応じて重合体以外の任意の成分を含む樹脂を用いることができる。よって、位相差フィルムとしては、重合体及び必要に応じて任意の成分を含むフィルムを用いることができる。このフィルムとしては、単層構造のフィルムを用いてもよく、複層構造のフィルムを用いてもよい。
重合体としては、例えば、基材に含まれうる重合体として説明した範囲から選択される任意の重合体を用いることができ、中でも、脂環式構造含有重合体が好ましい。脂環式構造含有重合体を含む位相差フィルムを用いることにより、脂環式構造含有重合体の優れた性質を活用して、耐久性に優れた表示装置を得ることができる。
位相差フィルムにおける重合体の量は、好ましくは90.0重量%〜100重量%、より好ましくは95.0重量%〜100重量%である。重合体の量を前記範囲にすることにより、位相差フィルムの耐湿熱性及び機械的強度を効果的に高めることができる。
また、任意の成分としては、例えば、基材に含まれうる任意の成分として挙げたのと同様の成分が挙げられる。
位相差フィルムは、好ましくは延伸フィルムを含む。この延伸フィルムは、樹脂フィルムに延伸処理を施して得られたフィルムであり、通常は、延伸フィルム自体を位相差フィルムとして用いることができる。延伸フィルムを用いることにより、位相差フィルムを容易に得ることができる。
また、位相差フィルムとしては、例えば、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された光学異方性層を用いてもよい。以下の説明では、基材に含まれうる第一光学異方性層と区別するため、位相差フィルムとしての光学異方性層を「第二光学異方性層」ということがある。第二光学異方性層としては、第一光学異方性層として説明した範囲に含まれる層を任意に用いうる。通常、液晶組成物の硬化物によれば、耐久性を上げることができ、薄くても大きなレターデーションを得やすいので、位相差フィルムとして第二光学異方性層を用いることにより、表示装置の薄型化を達成できる。
位相差フィルムが第二光学異方性層である場合、位相差フィルムの波長450nmにおける面内レターデーションRe(450)と、位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)とが、Re(450)/Re(550)<1.0を満たすことが好ましい。Re(450)/Re(550)<1.0を満たすレターデーションを有する位相差フィルムは、広帯域λ/4板として機能できる。そのため、位相差フィルムと偏光子との組み合わせにより、広い波長範囲において機能できる円偏光板を得ることが可能である。Re(450)/Re(550)<1.0を満たすレターデーションを有する位相差フィルムは、例えば、第二光学異方性層の材料として、逆波長分散液晶を含む液晶組成物を用いることにより得ることができる。
位相差フィルムの厚みは、レターデーション等の光学特性を所望の範囲にできるように適宜調整でき、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは3.0μm以上、特に好ましくは5.0μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、特に好ましくは55μm以下である。
[5.表示素子]
表示素子としては、表示装置の種類に応じて様々なものがある。代表的な表示素子の例としては、液晶セル及び有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、適宜「有機EL素子」ということがある。)が挙げられる。
液晶セルは、例えば、インプレーンスイッチング(IPS)モード、バーチカルアラインメント(VA)モード、マルチドメインバーチカルアラインメント(MVA)モード、コンティニュアスピンホイールアラインメント(CPA)モード、ハイブリッドアラインメントネマチック(HAN)モード、ツイステッドネマチック(TN)モード、スーパーツイステッドネマチック(STN)モード、オプチカルコンペンセイテッドベンド(OCB)モードなど、任意のモードの液晶セルを用いうる。このような液晶セルは、通常、液晶表示装置に表示素子として設けられる。
有機EL素子は、通常、透明電極層、発光層及び電極層をこの順に備え、透明電極層及び電極層から電圧を印加されることにより発光層が光を生じうる。有機発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また、発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。さらに、有機EL素子は、バリア層、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、等電位面形成層、電荷発生層等の機能層を備えていてもよい。このような有機EL素子は、通常、有機EL表示装置に表示素子として設けられる。
[6.任意の部材]
表示装置は、必要に応じて、上述した偏光子保護フィルム、偏光子、位相差フィルム及び表示素子以外に任意の部材を備えていてもよい。
任意の部材としては、例えば、保護フィルム;液晶セル用の光学補償フィルム;表示装置が含む部材同士を接着する接着剤層及び粘着剤層;などが挙げられる。
[7.製造方法]
上述した表示装置は、通常、偏光子保護フィルムを用意する工程;偏光子保護フィルムと偏光子とを、直接又は任意の層を介して貼り合わせる工程;偏光子と位相差フィルムとを、直接又は任意の層を介して貼り合わせる工程;位相差フィルムと表示素子とを、直接又は任意の層を介して貼り合わせる工程;偏光子保護フィルムを、レーザー光によって切断する工程;を含む製造方法によって、製造できる。
前記の製造方法において、各工程の順番は任意である。例えば、偏光子保護フィルムを単独で切断する工程の後で、偏光子保護フィルムと偏光子とを貼り合わせる工程を行ってもよい。また、例えば、偏光子保護フィルムと偏光子とを貼り合わせる工程、及び、偏光子と位相差フィルムとを貼り合わせる工程の後で、偏光子及び位相差フィルムと同時に偏光子保護フィルムを切断する工程を行ってもよい。
前記のように、通常、表示装置は、レーザー光によって偏光子保護フィルムを切断する工程を含む製造方法で製造できる。従来の偏光子保護フィルムには切断されるのに充分なレーザー光の吸収を有さないフィルムがあったが、レーザー吸収剤を含む基材を有する偏光子保護フィルムは、単独の状態で、又は、偏光子及び位相差フィルム等の他の部材と貼り合わせた状態で、レーザー光による切断が可能である。よって、切断カスの発生を抑制したり、切断面を滑らかにしたりできるので、表示品位に優れた表示装置を得ることができる。また、耐熱性の有る偏光子保護フィルムであるので、レーザー光による切断においても寸法変化が小さく、表示品位に優れた表示装置を得ることができる。また、耐溶媒性の有る偏光子保護フィルムであるので、接着剤を介して貼合した場合でも偏光子保護フィルムの劣化は小さく、表示品位に優れた表示装置を得ることができる。
レーザー光としては、レーザー吸収剤が吸収可能な波長のレーザー光を用いることができる。中でも、工業設備として広く普及していることから、赤外領域の波長を有するレーザー光が好ましい。その中でも、偏光子保護フィルムの切断に適した出力が効率的に得られ、且つ、比較的安価に導入可能であることから、9μm〜12μmの範囲内の波長のレーザー光が好ましい。特に、9μm〜11μmの波長のレーザー光がより好ましく、9μm以上9.5μm以下の波長のレーザー光が特に好ましい。このような波長のレーザー光は、レーザー装置として炭酸ガスレーザー装置を用いる場合に安定して出力することができる。
レーザー光としては、ガウシアンモードのレーザー光を用いてもよく、トップハット状のエネルギー分布を有するレーザー光を用いてもよい。中でも、レーザー光としては、少なくとも一の方位において、トップハット状のエネルギー分布を示すレーザー光を用いることが好ましい。トップハット状のエネルギー分布を有するレーザー光を用いることにより、通常は、偏光子保護フィルムの切断面を、当該偏光子保護フィルムの主面に対して垂直に近い急峻な面にできる。また、トップハット状のエネルギー分布を示すレーザー光を用いると、通常は、切断面の近傍におけるフィルムの樹脂の盛り上がりを抑制できる。
レーザー光は、連続レーザー光でもよく、パルスレーザー光でもよいが、熱の発生を抑えて切断加工を行う観点では、パルスレーザー光が好ましい。
切断の際には、通常、レーザー光の照射点が偏光子保護フィルムの表面を所望の線に沿って走査するように、レーザー光を照射する。これにより、切断したい形状に偏光子保護フィルムを切断できる。この際、レーザー光の照射点に偏光子保護フィルムの表面を移動させるために、レーザー光の照射装置を移動させてもよく、偏光子保護フィルムを移動させてもよく、照射装置及び偏光子保護フィルムの両方を移動させてもよい。
[8.表示装置の具体的な実施形態]
以下、表示装置の更に具体的な実施形態を説明するが、表示装置の構造は、下記の実施形態に限定されるものでは無い。
図5は、本発明の一実施形態に係る表示装置としての液晶表示装置50の一例を模式的に示す断面図である。
図5に示すように、液晶表示装置50は、光源510;光源側偏光子520;表示素子としての液晶セル530;位相差フィルム540;視認側偏光子550;及び、レーザー吸収剤を含み且つλ/4板として機能できる基材560を含む偏光子保護フィルム570;をこの順に備える。また、図5では、基材560が、液晶組成物の硬化物で形成された第一光学異方性層としての第二基材層561;第一外側層562、レーザー吸収剤を含む中間層563、及び、第二外側層564をこの順に備えた第一基材層565;並びに、導電層566;を視認側偏光子550側からこの順に備えている例を示すが、基材層560の構造は、この例に限定されない。
液晶表示装置50においては、光源510から発せられ、光源側偏光子520、液晶セル530、位相差フィルム540、視認側偏光子550、並びに、λ/4板として機能できる基材560を含む偏光子保護フィルム570を通過した光によって、画像が表示される。位相差フィルム540によって光学補償が行われるので、前記の液晶表示装置50では、十分に広い視野角が得られる。また、画像を表示する光は、視認側偏光子550を通過した時点では直線偏光であるが、偏光子保護フィルム570の基材560を通過することによって円偏光に変換される。したがって、前記の液晶表示装置50では、円偏光によって画像が表示されるので、偏光サングラスを通して見た場合に、画像を視認することが可能である。
また、この液晶表示装置50において、導電層566が、タッチパネル用の電極、配線等の回路部材として機能できる。よって、タッチパネルを備えた液晶表示装置50を実現することが可能である。ここでは、タッチパネルとは、表示装置に設けられ、必要に応じて表示装置の表示面に表示された画像を参照しながら、所定の箇所に使用者が触れることで情報の入力を行えるように設けられた入力装置である。タッチパネルの操作検出方式の例としては、抵抗膜方式、電磁誘導様式及び静電容量方式等の方式が挙げられ、特に静電容量方式のタッチパネルが好ましい。図5に示す例においては、導電層566が液晶表示装置50の視認側偏光子550よりも外側(視認側)の位置に設けられるので、アウトセル型のタッチパネルを得ることができる。
上述した液晶表示装置50においては、偏光子保護フィルム570が、レーザー吸収剤を含む基材560を有している。そのため、前記の液晶表示装置50の製造は、偏光子保護フィルム570をレーザー光によって切断する工程を含む製造方法によって行うことが可能である。したがって、偏光子保護フィルム570の切断の際、切断カスの発生を抑制したり、切断面を滑らかにしたりできるので、優れた表示品位を実現することが可能である。
図6は、本発明の別の一実施形態に係る表示装置としての有機EL表示装置60の一例を模式的に示す断面図である。
図6に示すように、有機EL表示装置60は、表示素子としての有機EL素子610;所定の面内レターデーションを有してλ/4板として機能できる位相差フィルム620;偏光子630;及び、レーザー吸収剤を含み且つλ/4板として機能できる基材640を含む偏光子保護フィルム650;をこの順に備える。また、図6では、基材640が、第一外側層641、レーザー吸収剤を含む中間層642、第二外側層643をこの順に備える第二基材層644;第一外側層645、レーザー吸収剤を含む中間層646、及び、第二外側層647をこの順に備えた第一基材層648;並びに、導電層649;を偏光子630側からこの順に備えている例を示すが、基材層640の構造は、この例に限定されない。
有機EL表示装置60においては、装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが偏光子630を通過し、それが位相差フィルム620を通過することにより円偏光となる。円偏光は、表示装置内の光を反射する構成要素(有機EL素子610中の反射電極(図示せず)等)により反射され、再び位相差フィルム620を通過することにより、入射した直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光となり、偏光子630を通過しなくなる。これにより、反射防止の機能が達成される(有機EL表示装置における反射防止の原理は、特開平9-127885号公報参照)。
また、この有機EL表示装置60においては、有機EL素子610から発せられ、位相差フィルム620、偏光子630、並びに、λ/4板として機能できる基材640を含む偏光子保護フィルム650を通過した光によって、画像が表示される。画像を表示する光は、偏光子630を通過した時点では直線偏光であるが、偏光子保護フィルム650の基材640を通過することによって円偏光に変換される。したがって、前記の有機EL表示装置60では、円偏光によって画像が表示されるので、偏光サングラスを通して見た場合に、画像を視認することが可能である。
また、この有機EL表示装置60において、導電層649が、タッチパネル用の電極、配線等の回路部材として機能できる。よって、タッチパネルを備えた有機EL表示装置60を実現することが可能である。
上述した有機EL表示装置60においては、偏光子保護フィルム650が、レーザー吸収剤を含む基材640を有している。そのため、前記の有機EL表示装置60の製造は、偏光子保護フィルム650をレーザー光によって切断する工程を含む製造方法によって行うことが可能であるので、液晶表示装置50と同様に、優れた表示品位を実現することが可能である。
図7は、本発明の更に別の一実施形態に係る表示装置としての有機EL表示装置70の一例を模式的に示す断面図である。
図7に示すように、有機EL表示装置70は、偏光子保護フィルム650の代わりに偏光子保護フィルム700を備えること以外は、図6に示した有機EL表示装置60と同様に設けられている。具体的には、図7に示す有機EL表示装置70は、表示素子としての有機EL素子610;所定の面内レターデーションを有してλ/4板として機能できる位相差フィルム620;偏光子630;及び、レーザー吸収剤を含み且つλ/4板として機能できる基材710を含む偏光子保護フィルム700;をこの順に備える。
また、基材710は、第一外側層721、レーザー吸収剤を含む中間層722、第二外側層723をこの順に備える第二基材層720;レーザー吸収剤を含む第一基材層730;並びに、導電層740;を偏光子630側からこの順に備える。第二基材層720は、基材の第一の構成例で説明したように大きい面内レターデーションRe(550)を有することが好ましく、中でも、当該第二基材層720がλ/4板として機能できる面内レターデーションRe(550)を有することが特に好ましい。また、第一基材層730は、基材の第一の構成例で説明したように小さい面内レターデーションRe(550)を有することが好ましく、中でも、当該第一基材層730が光学等方性の層として機能できるように、10nm以下の面内レターデーションRe(550)を有することが好ましい。このような有機EL表示装置70は、図6に示した有機EL表示装置60と同様の利点を得ることができる。
図8は、本発明の更に別の一実施形態に係る表示装置としての有機EL表示装置80の一例を模式的に示す断面図である。
図8に示すように、有機EL表示装置80は、偏光子保護フィルム650の代わりに偏光子保護フィルム800を備えること以外は、図6に示した有機EL表示装置60と同様に設けられている。具体的には、有機EL表示装置80は、表示素子としての有機EL素子610;所定の面内レターデーションを有してλ/4板として機能できる位相差フィルム620;偏光子630;及び、レーザー吸収剤を含み且つλ/4板として機能できる基材810を含む偏光子保護フィルム800;をこの順に備える。
また、基材810は、第一基材層730と第二基材層720との間に、レーザー吸収剤を含む第三基材層850を備えること以外は、図7に示した有機EL表示装置70の基材710と同様に設けられている。具体的には、基材810は、第一外側層721、レーザー吸収剤を含む中間層722、第二外側層723をこの順に備える第二基材層720;レーザー吸収剤を含む第三基材層850;レーザー吸収剤を含む第一基材層730;並びに、導電層740;を偏光子630側からこの順に備える。第三基材層850は、当該第三基材層850が光学等方性の層として機能できるようにするため、基材の第一の構成例で説明した第一基材層と同様に、10nm以下の面内レターデーションRe(550)を有することが好ましい。このような有機EL表示装置80は、図6に示した有機EL表示装置60と同様の利点を得ることができる。
図9は、本発明の更に別の一実施形態に係る表示装置としての有機EL表示装置90の一例を模式的に示す断面図である。
図9に示すように、有機EL表示装置90は、偏光子保護フィルム650の代わりに偏光子保護フィルム900を備えること以外は、図6に示した有機EL表示装置60と同様に設けられている。具体的には、有機EL表示装置90は、表示素子としての有機EL素子610;所定の面内レターデーションを有してλ/4板として機能できる位相差フィルム620;偏光子630;及び、レーザー吸収剤を含み且つλ/4板として機能できる基材910を含む偏光子保護フィルム900;をこの順に備える。
また、基材910は、第二基材層720の第一基材層730とは反対側に、レーザー吸収剤を含む第四基材層960を備えること以外は、図7に示した有機EL表示装置70の基材710と同様に設けられている。具体的には、基材910は、第一外側層961、レーザー吸収剤を含んでいてもよい中間層962、第二外側層963をこの順に備える第四基材層960;第一外側層721、レーザー吸収剤を含む中間層722、第二外側層723をこの順に備える第二基材層720;レーザー吸収剤を含む第一基材層730;並びに、導電層740;を偏光子630側からこの順に備える。このような有機EL表示装置90は、図6に示した有機EL表示装置60と同様の利点を得ることができる。特に、この有機EL表示装置90では、第二基材層720と第四基材層960との組み合わせによって広帯域λ/4板としての機能を発揮できるようにするために、第二基材層720がλ/4板として機能でき、且つ、第四基材層960がλ/2板として機能できることが好ましい。この際、第二基材層720及び第四基材層960の面内レターデーション及び遅相軸のなす交差角は、基材の第二の構成例における第一基材層410及び第二基材層420と同様にしうる(図4参照)。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[レターデーションの測定方法]
面内レターデーションの測定は、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて行った。
[レーザー光による加工性の評価方法]
実施例又は比較例で製造した円偏光板又は偏光板を、評価サンプルとして、スライダー上に置いた。評価サンプルの偏光子保護フィルム側の面に、波長9.4μmのCOレーザー光を当てた。レーザー光の出力は、評価サンプルのガラス板以外の部分が切断できるよう調整した。具体的には、レーザー光の出力は、最初は低出力に設定し、次第に上げていき、評価サンプルのガラス板以外の部分が切断できた時点又はガラス板が割れた時点でレーザー光の照射を停止した。前記のようにレーザー光を照射した後で評価サンプルを観察し、下記の基準で評価した。
「A」:ガラス板を傷つけずに、評価サンプルのガラス板以外の部分を切断でき、切断面が平坦で良好な切断状態であった。
「B」:ガラス板を傷つけずに評価サンプルのガラス板以外の部分を切断できた。しかし、評価サンプルに含まれる偏光子の切断面に、熱溶けによる凹凸又は樹脂の盛り上がりがあった。
「C」:評価サンプルが切断できないか、もしくは、ガラス板が割れた。
[円偏光板、偏光板のヒートサイクル試験による耐久性の評価方法]
実施例又は比較例で製造した円偏光板又は偏光板を評価サンプルとして、冷熱衝撃装置(エスペック社製「TSA−71L−A」)を用いてヒートサイクル試験を行った。このヒートサイクル試験では、温度−45℃で30分冷却し、次いで温度85℃で30分加熱する連続動作を1サイクルとし、50サイクルの冷却及び加熱を行った。このヒートサイクル試験の後、評価サンプルである円偏光板又は偏光板の全長にわたるワレ発生状況を目視により観察し、下記の基準で評価した。
「A」:偏光板を形成する偏光子に全く亀裂及び割れはなかった。
「B」:偏光板を形成する偏光子に20本以下の割れがあった。
「C」:偏光板を形成する偏光子に20本以上の割れがあった。
[製造例1.熱可塑性樹脂(J1)の製造]
ノルボルネン重合体(日本ゼオン社製、ガラス転移温度Tg=126℃)としての熱可塑性樹脂(J0)のペレットを、100℃で5時間乾燥させた。乾燥させたペレット100部と、レーザー吸収剤(ペンタエリスリトールテトラベンゾエート、分子量552、融点102.0℃〜106.0℃)5.0部とを、二軸押出機により混合した。得られた混合物を、単軸押出機に接続されたホッパーへ投入し、単軸押出機から溶融押し出して、熱可塑性樹脂(J1)を得た。この熱可塑性樹脂(J1)のガラス転移温度Tgは、105℃であった。
[製造例2.熱可塑性樹脂(J3)の製造]
製造例1で用いた熱可塑性樹脂(J0)の代わりに、ノルボルネン重合体(日本ゼオン社製、ガラス転移温度Tg=163℃)としての熱可塑性樹脂(J2)を用いた。また、レーザー吸収剤に加えて、更にベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(ADEKA社製「LA−31」)12.0部を添加した。以上の事項以外は、製造例1と同様にして、熱可塑性樹脂(J3)を得た。この熱可塑性樹脂(J3)のガラス転移温度Tgは、126℃であった。
[製造例3.λ/4板(Q1)の製造]
製造例2で製造した熱可塑性樹脂(J3)を、100℃で5時間乾燥させた。乾燥させた熱可塑性樹脂(J3)を、押出機に供給し、押出機内で溶融させた。溶融した熱可塑性樹脂(J3)を、ポリマーパイプおよびポリマーフィルターを通し、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押し出した。押し出された熱可塑性樹脂(J3)を冷却して、厚み145μm、面内レターデーションRe(550)が8nmの延伸前基材(Q0)を得た。得られた延伸前基材(Q0)を巻き取り、ロールを得た。
次いで、延伸前基材(Q0)のロールから、延伸前基材(Q0)を引き出した。引き出された延伸前基材(Q0)を、テンター延伸機に供給し、斜め延伸処理を行なって、延伸フィルムを得た。斜め延伸処理とは、フィルムの幅方向に平行でも垂直でもない斜め方向への延伸処理をいう。この斜め延伸処理における延伸倍率は4.0倍、延伸温度は155℃とした。得られた延伸フィルムは、その遅相軸が当該延伸フィルムの幅方向に対してなす角度が45°であった。また、延伸フィルムの面内レターデーションRe(550)は125nm、厚みは36μmであった。得られた延伸フィルムをλ/4板(Q1)として巻き取り、回収した。
[製造例4.λ/4板(Q3)の製造]
目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを備える、ダブルフライト型単軸押出機(スクリューの直径D=50mm、スクリューの有効長さLとスクリューの直径Dとの比L/D=28)を用意した。この単軸押出機に、中間層形成用の樹脂として、製造例2で製造した熱可塑性樹脂(J3)を導入し、溶融させた。溶融させた熱可塑性樹脂(J3)を、押出機出口温度260℃、押出機のギヤポンプの回転数10rpmの条件で、フィードブロックを介して、単層ダイに供給した。この単層ダイのダイスリップの算術平均粗さRaは、0.1μmであった。
他方、目開き3μmのリーフディスク形状のポリマーフィルターを備える、単軸押出機(スクリューの直径D=50mm、スクリューの有効長さLとスクリューの直径Dとの比L/D=28)を用意した。この単軸押出機に、第一外側層及び第二外側層形成用の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂(J0)を導入し、溶融させた。溶融させた熱可塑性樹脂(J0)を、押出機出口温度285℃、押出機のギヤポンプの回転数4rpmの条件で、フィードブロックを介して、前記の単層ダイに供給した。
次いで、第一外側層形成用の樹脂の層、中間層形成用の樹脂の層、及び、第二外側層形成用の樹脂の層の3層を含むフィルム状に吐出されるように、前記の熱可塑性樹脂(J0)及び(J3)を、前記の単層ダイから280℃で共押し出しした。そして、単層ダイから吐出された熱可塑性樹脂(J0)及び(J3)を、150℃に温度調整された冷却ロールにキャストして、厚さ70μmの延伸前基材(Q2)を得た。この延伸前基材(Q2)は、熱可塑性樹脂(J0)からなる第一外側層(厚み17.5μm)/熱可塑性樹脂(J3)からなる中間層(厚み35μm)/熱可塑性樹脂(J0)からなる第二外側層(厚み17.5μm)の2種3層からなるフィルムであった。ここで、2種3層とは、2種類の樹脂からなる3層構造のフィルムの構造を表す。得られた延伸前基材(Q2)を巻き取り、ロールを得た。
次いで、延伸前基材(Q2)のロールから、延伸前基材(Q2)を引き出した。引き出した延伸前基材(Q2)を、テンター延伸機に供給し、斜め延伸処理を行なって、延伸フィルムを得た。この斜め延伸処理における延伸倍率は1.47倍、延伸温度は140℃とした。得られた延伸フィルムは、その遅相軸が当該延伸フィルムの幅方向に対してなす角度が45°であった。また、斜め延伸フィルムの面内レターデーションRe(550)は104nm、厚みは48μmであった。得られた延伸フィルムをλ/4板(Q3)として巻き取り、回収した。
[製造例5.λ/2板(H1)の製造]
製造例1で使用した熱可塑性樹脂(J0)を、100℃で5時間乾燥させた。乾燥させた熱可塑性樹脂(J0)を、押出機に供給し、押出機内で溶融させた。溶融した熱可塑性樹脂(J0)を、ポリマーパイプおよびポリマーフィルターを通し、Tダイからキャスティングドラム上にシート状に押し出した。押し出された熱可塑性樹脂(J0)を冷却して、厚み70μmの延伸前基材(H0)を得た。得られた延伸前基材(H0)を巻き取り、ロールを得た。
次いで、延伸前基材(H0)のロールから、延伸前基材(H0)を引き出した。引き出された延伸前基材(H0)を、テンター延伸機に供給し、斜め延伸処理を行なって、中間フィルムを得た。この斜め延伸処理における延伸倍率は1.65倍、延伸温度は140℃とした。得られた中間フィルムを、長手方向に連続的に搬送しながら、縦延伸処理を行って、延伸フィルムを得た。縦延伸処理とは、フィルムの長手方向への延伸処理をいう。この縦延伸処理における延伸倍率は1.45倍、延伸温度は135℃とした。得られた延伸フィルムは、その遅相軸が当該延伸フィルムの幅方向に対してなす角度が75°であった。また、延伸フィルムの面内レターデーションRe(550)は245nm、厚みは30μmであった。得られた延伸フィルムをλ/2板(H1)として巻き取り、回収した。
[製造例6.λ/2板(H2)の製造]
製造例4で得られた延伸前基材(Q2)のロールから、延伸前基材(Q2)を引き出した。引き出した延伸前基材(Q2)を、テンター延伸機に供給し、斜め延伸処理を行なって、中間フィルムを得た。この斜め延伸処理における延伸倍率は1.7倍、延伸温度は131℃とした。得られた中間フィルムを、長手方向に連続的に搬送しながら、縦延伸処理を行って、延伸フィルムを得た。この縦延伸処理における延伸倍率は1.5倍、延伸温度は125℃とした。得られた延伸フィルムは、その遅相軸が当該延伸フィルムの幅方向に対してなす角度が75°であった。また、延伸フィルムの面内レターデーションRe(550)は245nm、厚みは27μmであった。得られた延伸フィルムをλ/2板(H2)として巻き取り、回収した。
[製造例7.λ/2板(H3)の製造]
下記式(A1)で表される重合性の液晶化合物を用意した。この液晶化合物は、逆波長分散性液晶化合物である。この式(A1)で表される液晶化合物21.25部、界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「サーフロンS420」)0.11部、重合開始剤(BASF社製「IRGACURE379」)0.64部、及び、溶媒(シクロペンタノン、日本ゼオン社製)78.00部を混合し、液晶組成物Aを調製した。
Figure 2018139638
支持体として、製造例5で得られた延伸フィルムとしてのλ/2板(H1)を用意した。前記支持体をロールから繰り出し、室温25℃において、その長手方向に搬送した。搬送される支持体上に、液晶組成物Aを、ダイコーターを用いて直接に塗布し、液晶組成物Aの層を形成した。液晶組成物Aの層に、110℃、2.5分間の条件で、配向処理を施した。その後、窒素雰囲気下(酸素濃度0.1%以下)で、積算光量1000mJ/cmの紫外線を、支持体の液晶組成物Aの層とは反対側に照射することによって、液晶組成物Aの層に照射した。紫外線の照射により液晶組成物Aの層が硬化されて、乾燥膜厚4.4μmの光学異方性層が形成された。これにより、支持体と、当該支持体上に形成された光学異方性層とを備える複層フィルムを得た。前記の光学異方性層は、液晶組成物Aの硬化物で形成された層であり、ホモジニアス配向した硬化液晶分子を含んでいた。光学異方性層の遅相軸がフィルムの幅方向に対してなす角度は75°であった。また、光学異方性層は、240nmの面内レターデーションRe(550)を有し、λ/2板として機能するものであった。そこで、この光学異方性層を、λ/2板(H3)とした。
[製造例8.λ/4板(Q4)の製造]
脂環式構造含有重合体製の市販の斜め延伸フィルム(遅相軸が幅方向に対してなす角度が45°、厚み60μm、面内レターデーションRe(550)は141nm)を用意した。この市販の斜め延伸フィルムを、製造例7で用いたλ/2板(H1)の代わりに、支持体として用いた。また、支持体上に形成する液晶組成物Aの層の厚みを、乾燥膜厚2.2μmの光学異方性層が得られるように変更した。以上の事項以外は、製造例7と同様にして、支持体と、当該支持体上に形成された光学異方性層とを備える複層フィルムを得た。前記の光学異方性層は、液晶組成物Aの硬化物で形成された層であり、ホモジニアス配向した硬化液晶分子を含んでいた。光学異方性層の遅相軸がフィルムの幅方向に対してなす角度は45°であった。また、光学異方性層は、139nmの面内レターデーションRe(550)を有し、λ/4板として機能するものであった。また、この光学異方性層のRe(450)/Re(550)は、0.83であった。そこで、この光学異方性層を、λ/4板(Q4)とした。
[製造例9.λ/4板(Q6)の製造]
第一外側層及び第二外側層形成用の熱可塑性樹脂として、熱可塑性樹脂(J0)の代わりに、熱可塑性樹脂(J2)を用いた。以上の事項以外は製造例4における延伸前基材(Q2)の製造方法と同様にして、厚み70μmの延伸前基材(Q5)を得た。この延伸前基材(Q5)は、熱可塑性樹脂(J2)からなる第一外側層(厚み17.5μm)/熱可塑性樹脂(J3)からなる中間層(厚み35μm)/熱可塑性樹脂(J2)からなる第二外側層(厚み17.5μm)の2種3層からなるフィルムであった。得られた延伸前基材(Q5)を巻き取り、ロールを得た。
次いで、延伸前基材(Q5)のロールから、延伸前基材(Q5)を引き出した。引き出した延伸前基材(Q5)を、テンター延伸機に供給し、斜め延伸処理を行なって、延伸フィルムを得た。この斜め延伸処理における延伸倍率は2.0倍、延伸温度は180℃とした。得られた延伸フィルムは、その遅相軸が当該延伸フィルムの幅方向に対してなす角度が45°であった。また、斜め延伸フィルムの面内レターデーションRe(550)は130nm、厚みは35μmであった。得られた延伸フィルムをλ/4板(Q6)として巻き取り、回収した。
[実施例1]
偏光子保護フィルムとして、製造例3で製造したλ/4板(Q1)を用意した。この偏光子保護フィルム、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」)、偏光子(サンリッツ社製「HLC2−5618S」、厚さ180μm、幅方向に対して0°の方向に透過軸を有する)、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」)、及びガラス板(厚さ0.7mm)を、この順に積層して、円偏光板(P1)を製造した。得られた円偏光板(P1)において、λ/4板(Q1)の遅相軸と偏光子の透過軸との交差角は45°であった。この円偏光板(P1)のレーザー光による加工性を評価した結果、「A」基準であった。また、ヒートサイクル試験により耐久性を評価した結果、「A」基準であった。
[実施例2]
偏光子保護フィルムとして、実施例1で用いたλ/4板(Q1)の代わりに、製造例4で製造したλ/4板(Q3)を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、円偏光板(P2)を製造した。得られた円偏光板(P2)において、λ/4板(Q3)の遅相軸と偏光子の透過軸との交差角は45°であった。この円偏光板(P2)のレーザー光による加工性を評価した結果、「B」基準であった。また、ヒートサイクル試験により耐久性を評価した結果、「B」基準であった。
[実施例3]
製造例3で得た光学等方性を有する延伸前基材(Q0)と、製造例3で得たλ/4板(Q1)とを、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」)を介して貼合して、積層体を得た。この積層体を、実施例1で用いたλ/4板(Q1)の代わりに、偏光子保護フィルムとして用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、円偏光板(P3)を製造した。得られた円偏光板(P3)において、積層体のλ/4板(Q1)の遅相軸と偏光子の透過軸との交差角は45°であった。この円偏光板(P3)のレーザー光による加工性を評価した結果、「A」基準であった。また、ヒートサイクル試験により耐久性を評価した結果、「A」基準であった。
[実施例4]
製造例3で得たλ/4板(Q1)と製造例5で得たλ/2板(H1)とを、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」)を介して貼合して、広帯域λ/4板を得た。この広帯域λ/4板を、実施例1で用いたλ/4板(Q1)の代わりに、偏光子保護フィルムとして用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、円偏光板(P4)を製造した。得られた円偏光板(P4)において、広帯域λ/4板のλ/4板(Q1)の遅相軸とλ/2板(H1)の遅相軸との交差角は60°であった。また、λ/2板(H1)の遅相軸と偏光子の透過軸との交差角は15°であった。この円偏光板(P4)のレーザー光による加工性を評価した結果、「A」基準であった。また、ヒートサイクル試験により耐久性を評価した結果、「A」基準であった。
[実施例5]
製造例3で得たλ/4板(Q1)と製造例6で得たλ/2板(H2)とを、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」)を介して貼合して、広帯域λ/4板を得た。この広帯域λ/4板を、実施例1で用いたλ/4板(Q1)の代わりに、偏光子保護フィルムとして用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、円偏光板(P5)を製造した。得られた円偏光板(P5)において、広帯域λ/4板のλ/4板(Q1)の遅相軸とλ/2板(H2)の遅相軸との交差角は60°であった。また、λ/2板(H2)の遅相軸と偏光子の透過軸との交差角は15°であった。この円偏光板(P5)のレーザー光による加工性を評価した結果、「A」基準であった。また、ヒートサイクル試験により耐久性を評価した結果、「A」基準であった。
[実施例6]
製造例3で得たλ/4板(Q1)と、製造例7で得た複層フィルムの光学異方性層としてのλ/2板(H3)とを、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」)を介して貼合した。その後、複層フィルムの支持体を剥離して、λ/4板(Q1)、粘着剤及びλ/2板(H3)をこの順で備える広帯域λ/4板を得た。この広帯域λ/4板を、実施例1で用いたλ/4板(Q1)の代わりに、偏光子保護フィルムとして用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、円偏光板(P6)を製造した。得られた円偏光板(P6)において、広帯域λ/4板のλ/4板(Q1)の遅相軸とλ/2板(H3)の遅相軸の交差角は60°であった。また、λ/2板(H3)の遅相軸と偏光子の透過軸との交差角は15°であった。この円偏光板(P6)のレーザー光による加工性を評価した結果、「A」基準であった。また、ヒートサイクル試験により耐久性を評価した結果、「A」基準であった。
[実施例7]
偏光子保護フィルムとして、実施例1で用いたλ/4板(Q1)の代わりに、製造例9で製造したλ/4板(Q6)を用いた。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、円偏光板(P7)を製造した。得られた円偏光板(P7)において、λ/4板(Q6)の遅相軸と偏光子の透過軸との交差角は45°であった。この円偏光板(P7)のレーザー光による加工性を評価した結果、「B」基準であった。また、ヒートサイクル試験により耐久性を評価した結果、「A」基準であった。
[比較例1]
偏光子保護フィルムとして、実施例1に用いたλ/4板(Q1)の代わりに、レーザー吸収剤を含まない延伸前フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルムZF14−100」、厚み100μm、樹脂のガラス転移温度136℃)を用いた。この延伸前フィルムは、脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる光学等方性のフィルムであった。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、偏光板(P7)を製造した。この偏光板(P7)のレーザー光による加工性を評価した結果、「C」基準であった。また、ヒートサイクル試験により耐久性を評価した結果、「C」基準であった。
[比較例2]
偏光子保護フィルムとして、実施例1に用いたλ/4板(Q1)の代わりに、レーザー吸収剤を含まない斜め延伸フィルム(日本ゼオン社製「斜め延伸位相差フィルム」、厚み47μm、面内レターデーションRe(550)は125nm、遅相軸がフィルムの幅方向に対してなす角度は45°)を用いた。この斜め延伸フィルムは、脂環式構造含有重合体を含む樹脂からなる市販のフィルムであった。以上の事項以外は、実施例1と同様にして、円偏光板(P8)を製造した。この円偏光板(P8)のレーザー光による加工性を評価した結果、「C」基準であった。また、ヒートサイクル試験により耐久性を評価した結果、「C」基準であった。
[実施例8]
実施例1で製造した円偏光板(P1)のλ/4板(Q1)とは反対側の面に、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」)を介して、製造例4で製造したλ/4板(Q3)を位相差フィルムとして貼り合わせた。これにより、偏光子保護フィルム、粘着剤、偏光子、粘着剤、ガラス板、粘着剤及び位相差フィルムをこの順で備える視認側部材(T1)を製造した。得られた視認側部材(T1)において、偏光子の透過軸と位相差フィルムの遅相軸との交差角は、45°であった。
(画像表示装置の製造)
視認側偏光板、液晶セル、光源側偏光板、及び光源をこの順に備える市販の液晶表示装置(Apple社製「iPad」(登録商標))を2つ用意した。
一方の液晶表示装置の表示面部分を分解し、液晶表示装置の視認側偏光板を剥離し、代わりに、視認側部材(T1)を取り付けた。視認側部材(T1)は、偏光子保護フィルムが視認側に向くように取り付けた。これにより、視認側から、視認側部材(T1)、画像表示素子としての液晶セル、光源側偏光板、及び光源をこの順に備える液晶表示装置を得た。
(裸眼観察)
視認側部材(T1)を取り付けた一方の液晶表示装置について、表示画面の色味および輝度を、裸眼で目視観察した。また、視認側部材(T1)を取り付けていない他方の液晶表示装置について、表示画面の色味および輝度を、裸眼で目視観察した。前記の観察は、表示画面の正面方向において行った。その結果、2つの液晶表示装置の間で、差はほとんど識別できなかった。
(偏光サングラス観察)
視認側部材(T1)を取り付けた一方の液晶表示装置について、偏光サングラスを装着して、表示画面を観察した。また、視認側部材(T1)を取り付けていない他方の液晶表示装置について、偏光サングラスを装着して、表示画面を観察した。前記の観察は、表示画面の傾斜方向において行った。面の傾斜方向とは、その面に平行でも垂直でもない方向を表す。その結果、視認側部材(T1)を取り付けた一方の液晶表示装置では、表示画面の正面方向に比べ、傾斜方向でもその明るさはほとんど変化しなかった。他方、視認側部材(T1)を取り付けていない他方の液晶表示装置では、表示画面の正面方向に比べ、傾斜方向では明るさが変化して暗くなった。
[実施例9]
実施例1で製造した円偏光板(P1)のλ/4板(Q1)とは反対側の面に、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」)を介して、製造例8で製造したλ/4板(Q4)を位相差フィルムとして貼り合わせた。これにより、偏光子保護フィルム、粘着剤、偏光子、粘着剤、ガラス板、粘着剤及び位相差フィルムをこの順で備える視認側部材(T2)を製造した。得られた視認側部材(T2)において、偏光子の透過軸と位相差フィルムの遅相軸との交差角は、45°であった。
(画像表示装置の製造)
視認側偏光板及び有機EL表示素子をこの順に備える市販のOLEDスマートフォン(LGエレクトロニクス社製「G FlexLGL23」)を用意した。
このスマートフォンの視認側偏光板を剥離し、代わりに、視認側部材(T2)を取り付けた。視認側部材(T2)は、偏光子保護フィルムが視認側に向くように取り付けた。これにより、円偏光板を含む有機EL表示装置を得た。この有機EL表示装置の黒表示時及び白表示時の輝度は、それぞれ、6.2cd/m及び305cd/mであった。
晴れた日の外光下において、この有機EL表示装置を黒表示した状態で、表示画面を正面方向から目視した。その結果、表示画面での外光の反射は無く、表示画面は黒色であった。さらに、表示画面を斜め方向(極角45°、全方位)から目視したところ、方位角による反射率及び色味の変化は見られなかった。
10 表示装置
50 液晶表示装置
60 有機EL表示装置
110 偏光子保護フィルム
111 基材
120 偏光子
130 位相差フィルム
140 表示素子
200 樹脂層
210 第一外側層
220 第二外側層
230 中間層
300 基材
310 第一基材層
320 第二基材層
330 導電層
400 基材
410 第一基材層
420 第二基材層
430 導電層
510 光源
520 光源側偏光子
530 液晶セル
540 位相差フィルム
550 視認側偏光子
560 基材
561 第二基材層
562 第一外側層
563 中間層
564 第二外側層
565 第一基材層
566 導電層
570 偏光子保護フィルム
610 有機EL素子
620 位相差フィルム
630 偏光子
640 基材
641 第一外側層
642 中間層
643 第二外側層
644 第二基材層
645 第一外側層
646 中間層
647 第二外側層
648 第一基材層
649 導電層
650 偏光子保護フィルム

Claims (17)

  1. 偏光子保護フィルム、偏光子、位相差フィルム及び表示素子をこの順に備える表示装置であって、
    前記偏光子保護フィルムが、レーザー吸収剤を含み且つλ/4板として機能できる基材を含み、
    前記位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が、90nm〜150nmである、表示装置。
  2. 前記基材が、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が10nm以下である第一基材層と、波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が90nm〜150nmである第二基材層と、前記第一基材層の少なくとも一方の面に形成された導電層とを含み、
    前記レーザー吸収剤が、前記第一基材層及び前記第二基材層の一方又は両方に含まれる、請求項1記載の表示装置。
  3. 前記基材が、λ/4板として機能できる第一基材層と、λ/2板として機能できる第二基材層と、前記第一基材層の少なくとも一方の面に形成された導電層とを含み、且つ、広帯域λ/4板として機能でき、
    前記レーザー吸収剤が、前記第一基材層及び前記第二基材層の一方又は両方に含まれる、請求項1記載の表示装置。
  4. 前記第二基材層が、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成されている、請求項3記載の表示装置。
  5. 前記第一基材層及び前記第二基材層の一方又は両方が、
    第一外側層と、
    第二外側層と、
    前記第一外側層及び前記第二外側層の間に設けられた中間層と、を含む、請求項2〜4のいずれか一項に記載の表示装置。
  6. 前記中間層が、紫外線吸収剤を含む、請求項5記載の表示装置。
  7. 前記第一外側層が、ガラス転移温度TgO1を有する第一外側樹脂で形成され、
    前記第二外側層が、ガラス転移温度TgO2を有する第二外側樹脂で形成され、
    前記中間層が、ガラス転移温度Tgを有する中間樹脂で形成され、
    前記第一外側樹脂のガラス転移温度TgO1が、前記中間樹脂のガラス転移温度Tgよりも低く、
    前記第二外側樹脂のガラス転移温度TgO2が、前記中間樹脂のガラス転移温度Tgよりも低い、請求項5又は6記載の表示装置。
  8. 前記第一外側樹脂のガラス転移温度TgO1と、前記中間樹脂のガラス転移温度Tgとの差Tg−TgO1が、30℃以上であり、
    前記第二外側樹脂のガラス転移温度TgO2と、前記中間樹脂のガラス転移温度Tgとの差Tg−TgO2が、30℃以上である、請求項7記載の表示装置。
  9. 前記第一基材層及び前記第二基材層の一方又は両方の厚みが、10μm〜60μmである、請求項2〜8のいずれか一項に記載の表示装置。
  10. 前記基材の遅相軸と前記偏光子の透過軸とが交差している、請求項1〜9のいずれか一項に記載の表示装置。
  11. 前記基材の遅相軸と前記偏光子の透過軸との交差角が、45°±5°である、請求項10記載の表示装置。
  12. 前記基材が、結晶性を有する重合体を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の表示装置。
  13. 前記基材及び前記位相差フィルムが、それぞれ、脂環式構造含有重合体を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の表示装置。
  14. 前記基材及び前記位相差フィルムが、それぞれ、延伸フィルムを含む、請求項1〜13のいずれか一項に記載の表示装置。
  15. 前記位相差フィルムが、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成されていて、
    前記位相差フィルムの波長450nmにおける面内レターデーションRe(450)と、前記位相差フィルムの波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)とが、Re(450)/Re(550)<1.0を満たす、請求項1〜12のいずれか一項に記載の表示装置。
  16. 前記表示素子が、液晶セルである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の表示装置。
  17. 前記表示素子が、有機エレクトロルミネッセンス素子である、請求項1〜15のいずれか一項に記載の表示装置。
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