JPWO2018139035A1 - 再帰性反射体及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
この再帰性反射体には、透明球体を用いるよりも3面コーナーキューブを用いた方が、より強い反射光が得られることが知られている。
また、特許文献2には、直角配置された第1、第2の傾斜面と、第1、第2の傾斜面に同時に直交する直角面とを多数有する凹凸面を基材に形成し、更に凹凸面に金属蒸着を行って、第1、第2の傾斜反射面及び垂直反射面とする技術が開示されている。
また、特許文献2の技術はこの問題を解決し、製造が容易であると利点があり、実験によると、特許文献2記載の再帰性反射体においては、強い反射効率を得ることができるが、第1、第2の傾斜反射面及び垂直反射面によって形成される中心軸が第1、第2の傾斜反射面の交線に対して約54.7度傾き、このように入射角の中心軸が傾いているので、強い反射率を得るには傾けて使用する必要があり、再帰性反射体の使用効率が低下するという問題があった。
並べて配置された前記三角プリズム部を表側に、前記第1、第2の傾斜反射面が形成される三角波部と、該三角波部を横切って前記垂直反射面が形成される横溝を裏側に有する透明樹脂からなる成型母材を、インジェクション成型又はプレス成型によって製造する工程を有する。
並べて配置された前記三角プリズム部を表側に、前記第1、第2の傾斜反射面が形成される三角波部と、該三角波部を横切って前記垂直反射面が形成される横溝を裏側に有する透明樹脂からなる成型母材を、インジェクション成型又はプレス成型によって製造する第1工程と、
前記成型母材の裏面側に金属蒸着又はスパッタリングによって金属皮膜を形成し、前記第1、第2の傾斜反射面及び前記垂直反射面を形成する第2工程とを有する。
並べて配置された前記三角プリズム部が表側に、該三角プリズム部を連結する透明樹脂からなる第1の板状部が裏側に形成された第1のブロックと、透明樹脂からなる第2の板状部を表側に、前記第1、第2の傾斜反射面が形成される三角波部、及び、該三角波部を横切って前記垂直反射面が形成される横溝を裏側に有する第2のブロックを、それぞれインジェクション成型又はプレス成型によって製造する第1工程と、
前記第1のブロックと前記第2のブロックを、前記第1の板状部及び前記第2の板状部を介して一体的に連結する第2工程とを有する。
並べて配置された前記三角プリズム部が表側に、該三角プリズム部を連結する透明樹脂からなる第1の板状部が裏側に形成された第1のブロックと、透明樹脂からなる第2の板状部を表側に、前記第1、第2の傾斜反射面が形成される三角波部、及び、該三角波部を横切って前記垂直反射面が形成される横溝を裏側に有する第2のブロックを、それぞれインジェクション成型又はプレス成型によって製造する第1工程と、
前記第1のブロックと前記第2のブロックを、前記第1の板状部及び前記第2の板状部を介して一体的に連結する第2工程と、
前記第1工程又は前記第2工程の後に、前記第2のブロックの裏面側に金属蒸着又はスパッタリングによって金属皮膜を形成し、前記第1、第2の傾斜反射面及び前記垂直反射面を形成する第3工程とを有する。
本発明に係る再帰性反射体の製造方法は、並べて配置された三角プリズム部と、第1、第2の傾斜反射面が形成される三角波部、及び、垂直反射面が形成される横溝(即ち、成型母材又は第1、第2のブロック)を、インジェクション成型又はプレス成型によって製造するので、製造が容易となり、安価に大量生産できる。
図1(A)、(B)、図2に示すように、本発明の第1の実施例に係る再帰性反射体10は、全体が透明材(材料)からなって、再帰反射部11と、この再帰反射部11に被さる三角プリズム部12とを有し、正面から光を受けて再帰性反射を行い、従来よりも強い反射光が得られ、比較的製造が容易なものである。なお、図1中のR1〜R5は、入射光L1の入射から反射までの光の経路を示している。
以下、詳しく説明する。
三角プリズム部12は、第1、第2の傾斜反射面13、14を横切って(平面視して直交して)再帰反射部11に被さり、外部からの光を垂直反射面16側に屈曲させるものである。
この透明材には、熱可塑性又は熱硬化性の透明プラスチック(透明樹脂)を使用できるが、ガラス、その他の透明素材(例えば、セラミック)等を用いることもできる。なお、透明材に透明プラスチックを用いる場合は、成型母材をインジェクション成型又はプレス成型により一体成形する。また、三角プリズム部12をセラミック又は熱硬化性プラスチック等成型の困難な材料で構成する場合は、三角プリズム部と再帰反射部を分離して形成してもよい。なお、三角プリズム部12の頂部に、図示しない微小平面部12aを設けるのが好ましい。微小平面部12aの幅は三角プリズム12のピッチの0.002〜0.1程度とするのがよい。
この第1、第2の傾斜面18、19の裏面(空洞側)の粗さRaは、例えば、10〜100nm程度であり、その裏面に金属皮膜が形成されて第1、第2の傾斜反射面13、14がそれぞれ形成される。
この垂直面20の裏面の粗さRaは、例えば、10〜100nm程度であり、その裏面に金属皮膜が形成されて垂直反射面16が形成される。
また、横溝17の深さD1は、第1、第2の傾斜面18、19によって形成される谷部(「空洞部分21」と称する)の深さD2の0.5〜2倍(より好ましくは0.9〜1.5倍)にするのが好ましい。
そして、第1、第2の傾斜面18、19の幅Wは、横溝17のピッチP2の例えば0.5〜3倍にするのが好ましい。
なお、金属皮膜で構成される第1、第2の傾斜反射面13、14の厚みは極めて薄いが、図1(A)、(B)においては説明の便宜上、厚みを厚くして図示している(以下同様)。
この金属皮膜で構成される垂直反射面16も、上記した第1、第2の傾斜反射面13、14と同様、図1(A)、(B)においては説明の便宜上、厚みを厚くして図示している。
この場合、再帰性反射体(再帰反射部)の材料に屈折率が1.5以上の高屈折率材料を用いる。なお、屈折率の上限値については、1.5以上であれば特に限定されるものではなく、例えば、2程度であるが、セラミックの場合は更に高い屈折率のものを使用できる。
高屈折率高分子には、硫黄含有置換基やリン原子含有基等を導入したものがある。
高屈折率ナノコンポジットには、例えば、高分子マトリックスにポリイミドを、ナノ粒子に、TiO2、ZrO2、アモルファスシリコン、PbS、ZnS等を用いたものがある。
また、再帰反射部11に屈折率の高い材料を使用し、第1、第2の傾斜反射面13、14と垂直反射面16を全反射を用いて形成する場合は、三角波部15の空洞部分21と横溝17内に、通常は、樹脂は充填しない。
なお、三角プリズム部12は、外部からの光を垂直反射面16側に屈曲させるものであるため、この作用が得られれば、三角プリズム部の形状(例えば、傾斜面の角度や垂直面の高さ等)や配置ピッチは、種々変更可能である。
例えば、図2に示すように、入射光L1の三角プリズム部12の傾斜面25に対する垂線vを基準とした入射角をθ1とし、三角プリズム部12内の屈折角をθ2とした場合、
スネルの法則より、sinθ1/sinθ2=η(ηは相対屈折率)となり、入射光L1は垂直反射面16側に屈曲(屈折)して入射光L2となる。三角プリズム部12の頂角の角度φ及び屈折率ηによって、入射光L2の角度は変わるので、入射光L2が垂直反射面16に入光するように、傾斜面25の位置、角度φ、透明材の屈折率ηを決定する必要がある。
まず、並べて配置された三角プリズム部12を表側に、三角波部15とこの三角波部15を横切って形成される横溝17とを裏側に有する、透明樹脂からなる成型母材をインジエクション成型又はプレス成型によって製造する。
この方法は、例えば、熱可塑性の透明樹脂(透明プラスチック)を溶融させた状態で、対となる金型内に注入し冷却して固化させた後、この金型を離間し取り出すことで、成型母材を形成する方法である。この方法では、熱可塑性の透明樹脂の代わりに熱硬化性の透明樹脂(透明プラスチック)を使用することもできる。なお、脱型は、隣り合う三角プリズム部12の形状が抜き方向に縮小し、三角波部15と横溝17も抜き方向に縮小する構成となっているので、容易である。
また、成型母材の脱型を容易にするため、例えば、金型の材質選定(金型の樹脂接触面にめっき処理を施す等)や金型への樹脂の注入位置、また、金型の構造(冷却構造等)を設定することが好ましい。
透明プラスチックからなるシート材を、ダイと、このダイに対して昇降可能なパンチの間に、間欠的に送り込むことで、成型母材を形成する方法である。
成型母材の裏面側に、金属皮膜を形成する。
金属皮膜は、Ag、Al、Ni、Ti、Cr等の高反射率を有する金属を、蒸着やスパッタリングすることにより形成する。これにより、三角波部15の第1、第2の傾斜面18、19に第1、第2の傾斜反射面13、14を、横溝17の垂直面20に垂直反射面16を、それぞれ形成できる。
例えば、成型母材の表面側に金属皮膜を形成する場合、金属皮膜の厚みが、三角波部15の頂部で最も厚くなり、裾部へ向けて徐々に薄くなる。このため、形成された第1、第2の傾斜反射面で反射される光が、本来意図する方向からずれるおそれがある。
一方、成型母材の裏面側に金属皮膜を形成する場合、金属皮膜は、三角波部15の裏面に沿って形成される。このため、形成された第1、第2の傾斜反射面で反射される光は、意図する方向へ反射される。
これにより、強度の向上を図った再帰性反射体10が得られる。
なお、上記した第1、第2の傾斜反射面13、14と垂直反射面16は、金属皮膜による鏡面反射を利用して形成されているが、全反射(入射光が透過しない)を利用して形成する場合は、上記した第1工程のみを実施すればよい(第2工程の実施は不要)。第1、第2の傾斜反射面13、14と垂直反射面16を、金属皮膜による鏡面を利用して形成した場合は、底部(下部)の凹凸部に透明又は不透明の樹脂を充填することが可能であるが、第1、第2の傾斜反射面13、14と垂直反射面16を全反射を利用して形成する場合は、底部の凹凸部には樹脂を充填しない。
再帰性反射体30は、再帰反射部11と、この再帰反射部11に被さる三角プリズム部12とが、個別に製造されたものである。
なお、第1の実施例に係る再帰性反射体10の横溝17は三角波部15より上方に突出して形成したが、第2の実施例に係る再帰性反射体30は、横溝17の深さを三角波部15の高さに一致させている。
再帰反射部11を形成する三角波部15と横溝17は、第2のブロック33の裏側に設けられ、この第2のブロック33の表側に、第2の板状部34が設けられている。
ここで、第1、第2のブロック31、33(即ち、三角プリズム部12、三角波部15と横溝17、及び、第1、第2の板状部32、34)は、前記した透明材(透明樹脂)で構成されている。
この位置合わせ手段35は、凸条部36と、この凸条部36が嵌入可能な溝部37とで構成されている。ここでは、凸条部36が、第1のブロック31の裏側に、第1の板状部32から突出した状態で設けられ、溝部37が、第2のブロック33(第2の板状部34)の表側に設けられているが、逆に設けてもよい。また、第1の板状部と第2の板状部の位置合わせができれば、位置合わせ手段の構成は種々変更できる。
なお、第1のブロック31と第2のブロック33に凸状部36、溝部37を形成することになく、第2のブロック33の上に第1のブロック31を載せて、即ち、第1のブロックの三角プリズム部のピッチと、第2のブロックの垂直反射面のピッチが一致しない場合でも、これらを組み合わせても、再帰性反射体として機能する(他の実施例においても同じ)。
まず、第1のブロック31と第2のブロック33を製造する。
この第1のブロック31と第2のブロック33は、一体的に製造することなく、個別に製造する。
なお、第1、第2のブロック31、33はそれぞれ、前記したインジェクション成型やプレス成型で作製したものを使用することができるが、予め製造されたものを購入して使用することもできる。
第1のブロック31と第2のブロック33を、第1の板状部32及び第2の板状部34を介して一体的に連結(溝部37内に凸条部36を嵌入)する。
ここで、第1のブロック31と第2のブロック33の連結に際しては、第1の板状部32の裏面、及び、第2の板状部34の表面のいずれか一方又は双方に、透明樹脂や接着剤を塗布するのがよい。
これにより、第1のブロック31と第2のブロック33が一体となる。
第2のブロック33の裏面側に、前記した高反射率を有する金属を蒸着やスパッタリングすることにより、金属皮膜を形成する。
これにより、三角波部15の第1、第2の傾斜面18、19に第1、第2の傾斜反射面13、14を、横溝17の垂直面20に垂直反射面16を、それぞれ形成できる。
なお、ここでは、金属皮膜の形成を、第1のブロック31と第2のブロック33を連結した後(第2工程後)に実施したが、第1のブロック31と第2のブロック33を連結する前(第1工程後で第2工程前)に実施してもよい。この場合、第1のブロック31と、第1、第2の傾斜反射面13、14及び垂直反射面16が形成された第2のブロック33とを、連結することになる。
なお、上記した第1、第2の傾斜反射面13、14と垂直反射面16は、金属皮膜による鏡面反射を利用して形成されているが、全反射(入射光が透過しない)を利用して形成する場合は、上記した第1工程と第2工程のみを実施すればよい(第3工程の実施は不要)。
また、以上の再帰性反射体30において、第1の板状部32と第2の板状部34との位置合わせを行ったが、第1の板状部32と第2の板状部34との位置合わせは必須の要件ではなく、例えば、三角プリズム部12のピッチと、再帰反射部11の垂直反射面16のピッチが異なる場合でも本発明は適用される。なお、三角プリズム部12と第1、第2の傾斜反射面13、14は略直交しているのが好ましい。
前記実施例では、三角波部の空洞部分と横溝内に充填する樹脂に、成型母材と同一構成の樹脂を用いた場合について説明したが、異なる樹脂を用いてもよい。例えば、成型母材は通常の樹脂で製造し、三角波部の空洞部分と横溝内に充填する樹脂に全反射が生じる樹脂を使用することもできる。
本発明に係る再帰性反射体の製造方法は、並べて配置された三角プリズム部と、第1、第2の傾斜反射面が形成される三角波部、及び、垂直反射面が形成される横溝(即ち、成型母材又は第1、第2のブロック)を、インジェクション成型又はプレス成型によって製造できるので、安価に大量生産できる。
Claims (9)
- 三角波状に並べて配置された第1、第2の傾斜反射面と、該第1、第2の傾斜反射面に対して直交し、所定間隔で設けられた垂直反射面とを有する透明材からなる再帰反射部と、前記第1、第2の傾斜反射面を横切って被さり、外部からの光を前記垂直反射面側に屈曲させる三角プリズム部とを有することを特徴とする再帰性反射体。
- 請求項1記載の再帰性反射体において、該再帰性反射体の材料に屈折率が1.5以上の高屈折率材料を用い、前記第1、第2の傾斜反射面及び前記垂直反射面は全反射を利用して形成されていることを特徴とする再帰性反射体。
- 請求項1記載の再帰性反射体において、前記第1、第2の傾斜反射面及び前記垂直反射面は鏡面反射を利用して形成されていることを特徴とする再帰性反射体。
- 請求項2記載の再帰性反射体の製造方法であって、
並べて配置された前記三角プリズム部を表側に、前記第1、第2の傾斜反射面が形成される三角波部と、該三角波部を横切って前記垂直反射面が形成される横溝を裏側に有する透明樹脂からなる成型母材を、インジェクション成型又はプレス成型によって製造する工程を有することを特徴とする再帰性反射体の製造方法。 - 請求項1又は3記載の再帰性反射体の製造方法であって、
並べて配置された前記三角プリズム部を表側に、前記第1、第2の傾斜反射面が形成される三角波部と、該三角波部を横切って前記垂直反射面が形成される横溝を裏側に有する透明樹脂からなる成型母材を、インジェクション成型又はプレス成型によって製造する第1工程と、
前記成型母材の裏面側に金属蒸着又はスパッタリングによって金属皮膜を形成し、前記第1、第2の傾斜反射面及び前記垂直反射面を形成する第2工程とを有することを特徴とする再帰性反射体の製造方法。 - 請求項2記載の再帰性反射体の製造方法であって、
並べて配置された前記三角プリズム部が表側に、該三角プリズム部を連結する透明樹脂からなる第1の板状部が裏側に形成された第1のブロックと、透明樹脂からなる第2の板状部を表側に、前記第1、第2の傾斜反射面が形成される三角波部、及び、該三角波部を横切って前記垂直反射面が形成される横溝を裏側に有する第2のブロックを、それぞれインジェクション成型又はプレス成型によって製造する第1工程と、
前記第1のブロックと前記第2のブロックを、前記第1の板状部及び前記第2の板状部を介して一体的に連結する第2工程とを有することを特徴とする再帰性反射体の製造方法。 - 請求項1又は3記載の再帰性反射体の製造方法であって、
並べて配置された前記三角プリズム部が表側に、該三角プリズム部を連結する透明樹脂からなる第1の板状部が裏側に形成された第1のブロックと、透明樹脂からなる第2の板状部を表側に、前記第1、第2の傾斜反射面が形成される三角波部、及び、該三角波部を横切って前記垂直反射面が形成される横溝を裏側に有する第2のブロックを、それぞれインジェクション成型又はプレス成型によって製造する第1工程と、
前記第1のブロックと前記第2のブロックを、前記第1の板状部及び前記第2の板状部を介して一体的に連結する第2工程と、
前記第1工程又は前記第2工程の後に、前記第2のブロックの裏面側に金属蒸着又はスパッタリングによって金属皮膜を形成し、前記第1、第2の傾斜反射面及び前記垂直反射面を形成する第3工程とを有することを特徴とする再帰性反射体の製造方法。 - 請求項6又は7記載の再帰性反射体の製造方法において、前記第1の板状部及び前記第2の板状部には、連結時に位置合わせを行う位置合わせ手段が設けられていることを特徴とする再帰性反射体の製造方法。
- 請求項5又は7記載の再帰性反射体の製造方法において、前記三角波部に前記第1、第2の傾斜反射面、及び前記横溝に前記垂直反射面を形成した後に、前記三角波部の空洞部分と前記横溝内に樹脂を充填することを特徴とする再帰性反射体の製造方法。
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