JPWO2018135629A1 - 吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
生理食塩水保水能が38g/g以上である吸水性樹脂の製造方法であって、架橋重合体の含水ゲルを破砕する破砕工程;破砕された含水ゲルを乾燥する乾燥工程;および前記架橋重合体に表面架橋剤を添加して反応させる表面架橋工程を含み、前記架橋重合体は水溶性エチレン性不飽和単量体を重合して得られ、前記架橋重合体の含水ゲルは圧縮強度が10N以上である、吸水性樹脂の製造方法により、架橋重合体の含水ゲルの破砕処理をより効率的に行って、最終的に得られる吸水性樹脂の吸水性能(保水能等)を低下させることなく、吸水性樹脂を製造する。
Description
本発明は吸水性樹脂の製造方法に関する。より具体的には、生産効率に優れた、衛生材料用途に適した吸水性樹脂の製造方法に関する。
吸水性樹脂は近年、紙おむつや生理用品等の衛生材料、保水剤や土壌改良剤等の農園芸材料、止水剤や結露防止剤等の工業資材等、種々の吸収性物品の分野で広く使用されている。通常、吸収性物品は水性液体を吸収し保持する吸収体を、液体透過性シートと液体不透過性シートとの間に保持した構造を有し、吸収体は主に吸水性樹脂と親水性繊維とから構成されている。吸水性樹脂は、その用途に応じた多くの種類のものが知られているが、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合物からなる吸水性樹脂が主に用いられている。その製造方法として、架橋重合体を水溶液重合、懸濁重合等により製造し、その後乾燥する方法等が挙げられる。
最近の吸収性物品の分野、特に衛生材料の分野においては、使用時の快適性や携行時の利便性を高めるために吸収体を薄型化する傾向にある。吸収体を薄型化するには、吸水性樹脂の吸水性能(保水能等)を高める方法等が挙げられる。
水溶性エチレン性不飽和単量体を水溶液重合することにより得られる架橋重合体は、重合反応装置の種類にもよるが、粘性を帯びた寒天状やゼリー状の含水ゲルの塊状物として得られる。その後、架橋重合体の含水ゲルを吸水性樹脂とするために、水を除去する乾燥処理に供されるが、この乾燥処理を効率的に行うため、乾燥処理に先だって架橋重合体の含水ゲルは、通常、破砕される必要がある。しかしながら、架橋重合体の含水ゲルが粘性体である場合、架橋重合体の含水ゲルの靱性、展延性等が高く、破砕装置を通しても含水ゲルは細分化されにくい。また、破砕されたゲル粒子同士が粘着して、塊状物を形成したり、含水ゲル粒子が破砕装置に粘着して滞留したりするなどして、所望のサイズに破砕されるまでに長い時間の機械的負荷にさらされることで、架橋重合体の劣化にもつながる。このため、最終的に得られる吸水性樹脂の吸水性能(保水能等)を低下させることなく、含水した架橋重合体の破砕処理をより効率的に行うために、好適な力学的物性を有する架橋重合体の含水ゲルを、重合時において得ることが求められている。
特許文献1では、単量体の重合により得られたアクリル酸アルカリ塩を重合体の構成成分として含有する吸水性ポリマーを共沸脱水時に、陰イオン交換能を有する二元金属水酸化物の存在下、2個以上の官能基を有する架橋剤で架橋せしめ、次いで乾燥することを特徴とする高膨張型吸水性ポリマーの製造方法が提案されている。しかし、特許文献1に記載される方法では共沸脱水時において含水ゲルの乾燥がなされるため、実質上、懸濁重合でのみ実施が可能であり、重合後に架橋剤および陰イオン交換能を有する二元金属水酸化物を添加するというプロセスが必須となる。
特許文献2では、吸水性樹脂の無加圧下吸収倍率(保水能)を高めるために、亜リン酸塩の存在下で水溶液重合して得られる吸水性樹脂前駆体をさらに表面架橋してなる吸水性樹脂を開示している。しかし、このような製造方法においては、重合時の吸水性樹脂前駆体内部の架橋を弱めているため、得られる含水ゲルは粘着性が高い。つまり、無加圧下吸収倍率を高めようとすれば、吸水性樹脂前駆体の破砕が困難となる。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、水溶性エチレン性不飽和単量体を重合して得られる架橋重合体が、ある特定の力学的特性を有することにより、かつその架橋重合体に対して表面架橋工程を施すことにより、前記課題を解決できることを見出した。
即ち、本発明は、
生理食塩水保水能が38g/g以上である吸水性樹脂の製造方法であって、
架橋重合体の含水ゲルを破砕する破砕工程;
破砕された含水ゲルを乾燥する乾燥工程;および
前記架橋重合体に表面架橋剤を添加して反応させる表面架橋工程
を含み、
前記架橋重合体は水溶性エチレン性不飽和単量体を重合して得られ、
前記架橋重合体の含水ゲルは圧縮強度が10N以上である、吸水性樹脂の製造方法、
を提供する。
即ち、本発明は、
生理食塩水保水能が38g/g以上である吸水性樹脂の製造方法であって、
架橋重合体の含水ゲルを破砕する破砕工程;
破砕された含水ゲルを乾燥する乾燥工程;および
前記架橋重合体に表面架橋剤を添加して反応させる表面架橋工程
を含み、
前記架橋重合体は水溶性エチレン性不飽和単量体を重合して得られ、
前記架橋重合体の含水ゲルは圧縮強度が10N以上である、吸水性樹脂の製造方法、
を提供する。
本発明の製造方法における特定の圧縮強度を有する架橋重合体は、含水ゲルの状態において、破砕が進行しやすい。すなわち高い脆性を示すものである。さらには破砕後の粒子同士の粘着性および破砕装置への粘着性も低い。したがって、本発明の製造方法によれば、効率的な含水ゲルの破砕がなされることから、所望のサイズに破砕されるまでの機械的負荷が少なく、生産効率が向上する。また架橋重合体が劣化しにくいので、架橋重合体に対して表面架橋工程を実施した吸水性樹脂は、吸水性能に優れるという特長を有する。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、破砕処理に付される架橋重合体の含水ゲルの圧縮強度は、10N以上である。ここで圧縮強度とは、後述の実施例に記載の「架橋重合体の含水ゲルの圧縮強度」で測定される値である。圧縮強度は、破砕工程に必要な時間の観点などから、10〜18Nが好ましく、11〜15Nがより好ましい。
また本発明の架橋重合体の接着強度は、含水ゲル粒子同士の付着や装置への付着の防止の観点などから、2.0N以下が好ましく、0.1〜2.0Nがより好ましく、0.3〜1.5Nがさらに好ましい。ここで接着強度とは、後述の実施例に記載の「架橋重合体の含水ゲルの接着強度」で測定される値である。
本発明における上記の特定の圧縮強度または接着強度を架橋重合体の含水ゲルに付与する手法は特に限定されないが、本発明における架橋重合体に関して、その製造方法の一例を、以下に説明する。
架橋重合体の製造方法として、水溶性エチレン性不飽和単量体および、必要に応じて添加される無機フィラーおよび/または内部架橋剤を含む、水溶性エチレン性不飽和単量体単量体水溶液(以下、「単量体水溶液」ともいう。)中の水溶性エチレン不飽和単量体を重合することで、特定の値の圧縮強度を有する含水ゲル状態の架橋重合体を得ることができる。
<単量体水溶液>
単量体水溶液は、水溶性エチレン性不飽和単量体を含む。
単量体水溶液は、水溶性エチレン性不飽和単量体を含む。
[水溶性エチレン性不飽和単量体]
本発明において用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(本明細書においては「アクリ」および「メタクリ」を合わせて「(メタ)アクリ」と表記する。以下同様。)、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその塩等のカルボン酸系単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性単量体;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体およびその4級化物等;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸およびそれらの塩等のスルホン酸系単量体等が挙げられる。これらの水溶性エチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸(本明細書においては「アクリ」および「メタクリ」を合わせて「(メタ)アクリ」と表記する。以下同様。)、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽和カルボン酸およびその塩等のカルボン酸系単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の非イオン性単量体;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミノ基含有不飽和単量体およびその4級化物等;ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸およびそれらの塩等のスルホン酸系単量体等が挙げられる。これらの水溶性エチレン性不飽和単量体は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの水溶性エチレン性不飽和単量体の中でも、必要に応じて添加される無機フィラーとの親和性の観点などから、(メタ)アクリル酸およびその塩、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびその塩が好ましく、(メタ)アクリル酸およびその塩がより好ましい。(メタ)アクリル酸およびその塩に、他の水溶性エチレン性不飽和単量体を共重合させて用いる場合もある。この場合、前記(メタ)アクリル酸およびその塩は、主となる水溶性エチレン性不飽和単量体として、総水溶性エチレン性不飽和単量体のうち、70〜100モル%用いられることが好ましく、80〜100モル%用いられることがより好ましい。
水溶性エチレン性不飽和単量体が(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のように酸基を有する場合、必要に応じてその酸基が予めアルカリ性中和剤により中和されたものを用いてもよい。このようなアルカリ性中和剤としては、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩;アンモニア等が挙げられる。これらのアルカリ性中和剤は、中和操作を簡便にするために水溶液の状態にして用いてもよい。上述のアルカリ性中和剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なお、酸基の中和は、原料である水溶性エチレン性不飽和単量体の重合前に行ってもよく、重合中または重合後に行ってもよい。
アルカリ性中和剤による水溶性エチレン性不飽和単量体の中和度については、得られる吸水性樹脂の浸透圧を高めることで吸水性能を高め、かつ余剰のアルカリ性中和剤の存在に起因する安全性等に問題が生じないようにする観点などから、水溶性エチレン性不飽和単量体が有する全ての酸基に対する中和度とし、通常、10〜100モル%であることが好ましく、30〜90モル%であることがより好ましく、40〜85モル%であることがさらに好ましく、50〜80モル%であることがよりさらに好ましい。
前記水溶性エチレン性不飽和単量体水溶液中における前記水溶性エチレン性不飽和単量体の濃度は、通常20質量%以上飽和濃度以下とすればよく、25〜70質量%が好ましく、30〜50質量%がより好ましい。
[無機フィラー]
単量体水溶液は必要に応じて、無機フィラーを含んでいてよい。必要に応じて単量体水溶液に添加される無機フィラーは、金属の酸化物および金属の水酸化物、ならびに金属と有機酸または無機酸との塩等を主成分とする無機化合物であり、例えば、複合水酸化物、特に2価の金属水酸化物と3価の金属イオンを主な構成単位とする層状複水酸化物が挙げられる。無機フィラーは、部分的に有機化処理が行われていてもよい。
単量体水溶液は必要に応じて、無機フィラーを含んでいてよい。必要に応じて単量体水溶液に添加される無機フィラーは、金属の酸化物および金属の水酸化物、ならびに金属と有機酸または無機酸との塩等を主成分とする無機化合物であり、例えば、複合水酸化物、特に2価の金属水酸化物と3価の金属イオンを主な構成単位とする層状複水酸化物が挙げられる。無機フィラーは、部分的に有機化処理が行われていてもよい。
層状複水酸化物は、2価の金属イオンの一部を3価の金属イオンに置換することで、水酸化物層が正に帯電し、水酸化物層間に負に帯電する陰イオンを挟んだ積層構造となる。このような複合水酸化物としては、例えば、ハイドロタルサイト、アロフェン、イモゴライト、カオリナイト、ハロイサイト等を用いることができ、これらの中でも、ハイドロタルサイトが好ましく用いられる。
層間の陰イオンの例としては、水酸化物イオン、ハロゲン化物イオン(例えばフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン等)、乳酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、硫酸イオン、有機カルボン酸イオン、錯イオン等が挙げられる。
ハイドロタルサイトに含まれる層間の陰イオンとしては、乳酸イオン、炭酸イオン、硝酸イオン、有機カルボン酸イオン等を好ましく用いることができ、それぞれ乳酸型ハイドロタルサイト、炭酸型ハイドロタルサイト、硝酸型ハイドロタルサイト、カルボン酸型ハイドロタルサイトと称される。中でも、水への分散性の観点などから乳酸型ハイドロタルサイトが好ましく用いられる。
無機フィラーの量としては、架橋重合体の含水ゲルが適切な力学的特性を有する観点などから、水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.3〜7.5質量部がより好ましく、0.5〜6質量部がさらに好ましい。
無機フィラーは単量体水溶液中に分散していることが好ましく、無機フィラーを公知の手法を用いて単量体水溶液中に分散させることができる。例えば、撹拌式ホモジナイザー、圧力式ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー等が使用できる。
分散前の無機フィラーの平均粒径は分散性の観点などから、500μm以下であってよく、例えば250μm以下、好ましくは50μm以下であり、分散前の無機フィラーの平均粒径は0.01μm以上であってよく、例えば0.05μm以上、好ましくは0.1μm以上である。
[内部架橋剤]
本発明の架橋重合体は、過硫酸塩等の存在による自己架橋型の内部架橋によって得られてもよいが、前記単量体水溶液中の内部架橋剤による内部架橋によって得られることが好ましい。内部架橋剤としては、例えば重合性不飽和基を2個以上有する化合物が用いられる。例えば、(ポリ)エチレングリコール[本明細書において、例えば、「ポリエチレングリコール」と「エチレングリコール」を合わせて「(ポリ)エチレングリコール」と表記する。以下同様]、(ポリ)プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、および(ポリ)グリセリン等のポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;前記のポリオールとマレイン酸およびフマル酸等の不飽和酸類とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉;アリル化セルロース;ジアリルフタレート;N,N’,N”−トリアリルイソシアヌレート;ジビニルベンゼン等が挙げられる。
本発明の架橋重合体は、過硫酸塩等の存在による自己架橋型の内部架橋によって得られてもよいが、前記単量体水溶液中の内部架橋剤による内部架橋によって得られることが好ましい。内部架橋剤としては、例えば重合性不飽和基を2個以上有する化合物が用いられる。例えば、(ポリ)エチレングリコール[本明細書において、例えば、「ポリエチレングリコール」と「エチレングリコール」を合わせて「(ポリ)エチレングリコール」と表記する。以下同様]、(ポリ)プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、および(ポリ)グリセリン等のポリオール類のジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;前記のポリオールとマレイン酸およびフマル酸等の不飽和酸類とを反応させて得られる不飽和ポリエステル類;N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のビスアクリルアミド類;ポリエポキシドと(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるジまたはトリ(メタ)アクリル酸エステル類;トリレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート等のポリイソシアネートと(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルとを反応させて得られるジ(メタ)アクリル酸カルバミルエステル類;アリル化澱粉;アリル化セルロース;ジアリルフタレート;N,N’,N”−トリアリルイソシアヌレート;ジビニルベンゼン等が挙げられる。
内部架橋剤としては、前記重合性不飽和基を2個以上有する化合物の他に反応性官能基を2個以上有する化合物を用いることができる。例えば、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル等のグリシジル基含有化合物;(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、(ポリ)グリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、低温での反応性に優れている観点などから、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールジグリシジルエーテル、および(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテルおよびN,N’−メチレンビスアクリルアミドが好ましい。これら内部架橋剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
内部架橋剤を使用する場合、その使用量は、得られる吸水性樹脂の保水能等の吸水性能を十分に高める観点などから、水溶性エチレン性不飽和単量体100モルに対して、0.0001〜0.50モルが好ましく、0.001〜0.10モルがより好ましく、0.003〜0.050モルがさらに好ましく、0.005〜0.025モルがよりさらに好ましい。
[その他成分]
単量体水溶液には、必要に応じて、連鎖移動剤、増粘剤等の添加剤が含まれていてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、次亜リン酸、亜リン酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
単量体水溶液には、必要に応じて、連鎖移動剤、増粘剤等の添加剤が含まれていてもよい。連鎖移動剤としては、例えば、チオール類、チオール酸類、第2級アルコール類、次亜リン酸、亜リン酸等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。増粘剤としては、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸中和物、ポリアクリルアミド等が挙げられる。
<架橋重合体の製造方法>
本発明における架橋重合体は、前記単量体水溶液に重合開始剤を添加し、重合反応させることで、架橋重合体内部の官能基と無機フィラーが相互作用した状態として製造され得る。水溶性エチレン性不飽和単量体の重合方法は、代表的な重合法である水溶液重合法、乳化重合法、逆相懸濁重合法等が用いられる。本発明における水溶性エチレン性不飽和単量体の重合方法の一例として、水溶液重合法について説明する。
本発明における架橋重合体は、前記単量体水溶液に重合開始剤を添加し、重合反応させることで、架橋重合体内部の官能基と無機フィラーが相互作用した状態として製造され得る。水溶性エチレン性不飽和単量体の重合方法は、代表的な重合法である水溶液重合法、乳化重合法、逆相懸濁重合法等が用いられる。本発明における水溶性エチレン性不飽和単量体の重合方法の一例として、水溶液重合法について説明する。
[水溶液重合法]
水溶液重合としては、単量体水溶液を静置状態で重合する静置重合、攪拌装置内で重合する攪拌重合などが挙げられる。適宜、水以外の水溶性有機溶媒が配合されていてもよい。
水溶液重合としては、単量体水溶液を静置状態で重合する静置重合、攪拌装置内で重合する攪拌重合などが挙げられる。適宜、水以外の水溶性有機溶媒が配合されていてもよい。
重合は前記単量体水溶液に重合開始剤を添加し、必要により加熱、光照射などを行うことで開始される。重合開始剤は、水溶性ラジカル重合開始剤が好ましく用いられ、水溶性ラジカル重合開始剤を、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、およびL−アスコルビン酸等の還元剤と組み合わせて用いて、レドックス重合開始剤として用いることもできる。
過酸化物としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;メチルエチルケトンパーオキシド、メチルイソブチルケトンパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、過酸化水素等の過酸化物が挙げられる。これらの過酸化物の中でも、優れた吸水性能を有する吸水性樹脂が得られる観点などから、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素を用いることが好ましく、さらに、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウムを用いることがより好ましい。これらの過酸化物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
アゾ系化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス[2−(N−フェニルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−クロロフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(4−ヒドロキシフェニル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−ベンジルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(N−アリルアミジノ)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[N−(2−ヒドロキシエチル)アミジノ]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]等のアゾ化合物等を挙げることができる。優れた吸水性能を有する吸水性樹脂が得られやすいという観点などから、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}二塩酸塩および2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]四水和物が好ましい。これらのアゾ系化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の使用量は、急激な重合反応を回避し、かつ、重合反応時間を短縮する観点などから、重合に用いられる水溶性エチレン性不飽和単量体100モルに対して0.005〜1モルが好ましい。
重合工程の反応温度は、使用する重合開始剤によって異なるので一概には決定することができないが、重合を迅速に進行させ、重合時間を短くすることにより生産性を高めるとともに、重合熱をより容易に除去して円滑に反応を行う観点などから、0〜120℃が好ましく、10〜100℃がより好ましい。重合工程の反応時間は、使用する重合開始剤の種類や量、反応温度等に応じて適宜設定されるが、1〜200分が好ましく、5〜100分がより好ましい。
[含水ゲル]
本発明の架橋重合体の製造工程の重合後においては、架橋重合体は含水ゲルの状態で得られる。架橋重合体の含水ゲルの含水率は、30〜70質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましく、50〜70質量%がさらに好ましい。なお、含水ゲルの含水率の測定は下記実施例に記載の方法により行った。
本発明の架橋重合体の製造工程の重合後においては、架橋重合体は含水ゲルの状態で得られる。架橋重合体の含水ゲルの含水率は、30〜70質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましく、50〜70質量%がさらに好ましい。なお、含水ゲルの含水率の測定は下記実施例に記載の方法により行った。
<吸水性樹脂の製造方法>
本発明は、前記架橋重合体に対して表面架橋工程を実施することで得られる吸水性樹脂の生理食塩水保水能が38g/g以上であることを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法である。
本発明は、前記架橋重合体に対して表面架橋工程を実施することで得られる吸水性樹脂の生理食塩水保水能が38g/g以上であることを特徴とする、吸水性樹脂の製造方法である。
本発明の吸水性樹脂の生理食塩水保水能は、吸収体に用いられた際に、その吸収容量を多くし、吸収体の薄型化を実施する観点などから、38g/g以上であり、40〜60g/gであることが好ましく、42〜55g/gであることがより好ましい。ここで生理食塩水保水能とは、後述の実施例に記載の「吸水性樹脂の生理食塩水保水能」で測定される値である。
[破砕工程]
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、架橋重合体の含水ゲルの破砕工程を含む。作業効率の観点などから、重合で得られた架橋重合体の含水ゲルがそのまま破砕処理に付されることが好ましい。当該架橋重合体の含水ゲルの破砕工程は0.1〜5mm程度の粒子径に破砕する処理であることが好ましい。架橋重合体の含水ゲルの乾燥効率および得られる吸水性樹脂の吸水性能の観点などから、架橋重合体の含水ゲルを破砕工程後、後述の乾燥工程を行う。
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、架橋重合体の含水ゲルの破砕工程を含む。作業効率の観点などから、重合で得られた架橋重合体の含水ゲルがそのまま破砕処理に付されることが好ましい。当該架橋重合体の含水ゲルの破砕工程は0.1〜5mm程度の粒子径に破砕する処理であることが好ましい。架橋重合体の含水ゲルの乾燥効率および得られる吸水性樹脂の吸水性能の観点などから、架橋重合体の含水ゲルを破砕工程後、後述の乾燥工程を行う。
破砕装置は特に限定されず、ニーダー、ミートチョッパーおよびカッターミル等の公知の装置を用いることができる。
本発明の製造方法における架橋重合体の含水ゲルは、好適な力学的物性を有し、さらに破砕後の粒子同士の粘着性が低いことから、効率的に架橋重合体の含水ゲルの破砕工程を行うことができる。
[乾燥工程]
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、前記破砕処理後の架橋重合体の含水ゲルに含まれる、水、有機溶媒等の溶媒を蒸発により除去する乾燥工程を含む。乾燥工程の方法は特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等の一般的方法により含水ゲルから溶媒を除去すればよい。前記乾燥工程は、常圧下、減圧下、乾燥効率を高めるために窒素等の気流下等で行うことができ、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。前記乾燥工程が常圧で行われる場合の乾燥温度は、好ましくは70〜250℃であり、より好ましくは80〜200℃である。乾燥工程は破砕工程後に行ない、後述の表面架橋工程と同時または表面架橋工程後に行ってもよい。
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、前記破砕処理後の架橋重合体の含水ゲルに含まれる、水、有機溶媒等の溶媒を蒸発により除去する乾燥工程を含む。乾燥工程の方法は特に限定されず、自然乾燥、加熱乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等の一般的方法により含水ゲルから溶媒を除去すればよい。前記乾燥工程は、常圧下、減圧下、乾燥効率を高めるために窒素等の気流下等で行うことができ、これらの方法を組み合わせて用いてもよい。前記乾燥工程が常圧で行われる場合の乾燥温度は、好ましくは70〜250℃であり、より好ましくは80〜200℃である。乾燥工程は破砕工程後に行ない、後述の表面架橋工程と同時または表面架橋工程後に行ってもよい。
[表面架橋工程]
本発明は、架橋重合体に対して、さらに水溶性エチレン性不飽和単量体由来の官能基と反応性を有する官能基を2個以上含有する架橋剤(表面架橋剤と表記する)を添加して反応させる(表面架橋工程と表記する)。表面架橋工程を実施することにより、吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度が高まり、ゲル強度や荷重下吸水能等の吸水性能を向上させることができる。
本発明は、架橋重合体に対して、さらに水溶性エチレン性不飽和単量体由来の官能基と反応性を有する官能基を2個以上含有する架橋剤(表面架橋剤と表記する)を添加して反応させる(表面架橋工程と表記する)。表面架橋工程を実施することにより、吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度が高まり、ゲル強度や荷重下吸水能等の吸水性能を向上させることができる。
前記表面架橋剤としては、反応性官能基を2個以上有する化合物を挙げることができる。例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリグリセリン等のポリオール類;(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物;エピクロルヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロルヒドリン等のハロエポキシ化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物等の反応性官能基を2個以上有する化合物;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール等のオキセタン化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等のオキサゾリン化合物;エチレンカーボネート等のカーボネート化合物;ビス[N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジプアミド等のヒドロキシアルキルアミド化合物等が挙げられる。これらの中でも、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、(ポリ)エチレングリコールトリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリンジグリシジルエーテル、(ポリ)グリセリントリグリシジルエーテル、(ポリ)プロピレングリコールポリグリシジルエーテル、(ポリ)グリセロールポリグリシジルエーテル等のポリグリシジル化合物及び/又はエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール等のポリオール類が好ましく、ポリグリシジル化合物がより好ましい。これらの表面架橋剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。例えばポリグリシジル化合物とポリオール類を組み合わせて使用してよい。
表面架橋剤の量は、吸水性樹脂の表面近傍の架橋密度を十分に高める観点などから、通常、重合に使用した水溶性エチレン性不飽和単量体の総量100モルに対して、好ましくは0.0001〜1モル、より好ましくは0.001〜0.5モルである。
前記表面架橋剤の添加時期は、水溶性エチレン性不飽和単量体の重合後であればよく、架橋重合体の含水ゲル、破砕された架橋重合体の含水ゲル、もしくはこれら含水ゲルの乾燥後の架橋重合体に対して行ってよい。表面架橋剤の添加方法は、例えば、架橋重合体に表面架橋剤溶液を添加してもよいし、架橋重合体に表面架橋剤溶液を噴霧添加してもよい。表面架橋剤の添加形態は、表面架橋剤を均一に分散する観点などから、表面架橋剤を水等の溶媒に溶解し、表面架橋剤溶液として添加することが好ましい。また、表面架橋工程は、1回または2回以上の複数回に分割して実施してもよい。
表面架橋工程は水溶性エチレン性不飽和単量体100質量部に対して、1〜200質量部の範囲の水の存在下で行うことが好ましい。適宜、水又は/及びアルコール系溶媒などの水溶性有機溶媒を用いることで、水分量を調整できる。なお、含水ゲル中の吸水性樹脂の固形分は、重合反応に用いた水溶性エチレン性不飽和単量体の仕込量より算出できる。すなわち重合工程以降の各工程における含水ゲルに含まれる水分量は、単量体水溶液に含まれる水分量から、重合後の含水ゲルから除去した水分量を引き去ることで算出できる。このように、表面架橋工程時の水分量を調整することによって、より好適に吸水性樹脂の粒子表面近傍における架橋を施すことができる。
表面架橋処理の反応温度は、使用する表面架橋剤に応じて適宜設定され、20〜250℃であってよく、反応時間は、1〜200分が好ましく、5〜100分がより好ましい。
[粉砕工程]
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、さらに粉砕する工程を含んでいてもよい。架橋重合体の含水ゲルの乾燥効率および得られる吸水性樹脂の吸水性能の観点などから、乾燥工程後に、さらに粉砕工程を行うことが好ましい。粉砕工程は、吸水性樹脂を500μm程度以下の粒子径の粉末状になるまで粉砕する処理であることが好ましい。
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、さらに粉砕する工程を含んでいてもよい。架橋重合体の含水ゲルの乾燥効率および得られる吸水性樹脂の吸水性能の観点などから、乾燥工程後に、さらに粉砕工程を行うことが好ましい。粉砕工程は、吸水性樹脂を500μm程度以下の粒子径の粉末状になるまで粉砕する処理であることが好ましい。
粉砕装置は特に限定されず、破砕装置としても用いられる、ニーダー、ミートチョッパーおよびカッターミル等の公知の装置を用いることができる。なお、粉砕装置は破砕装置と同一種類であってもよいし、異なったものを用いてもよい。
吸水性樹脂の粒子サイズは、全重量の90%以上が、850μm以下であることが好ましく、700μm以下であることがより好ましく、600μm以下であることがさらに好ましく、500μm以下であることがよりさらに好ましい。粒子サイズを調整するために、公知の手法を用いればよく、例えば、篩いなどを用いることができる。
以下に、本発明を実施例および比較例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
各実施例および比較例における架橋重合体の含水ゲルの、含水率、圧縮強度、および接着強度、ならびに吸水性樹脂の生理食塩水の保水能は以下に示す方法により評価した。
(架橋重合体の含水ゲルの含水率)
架橋重合体の含水ゲル2.0gを、あらかじめ恒量(Wa(g))としたアルミホイールケース(8号)にとり精秤した(Wb(g))。前記サンプルを、内温を105℃に設定した熱風乾燥機(ADVANTEC社製)で2時間乾燥させた後、デシケーター中で放冷して、乾燥後の質量(Wc(g))を測定した。以下の式から、架橋重合体の含水ゲルの含水率を算出した。
含水率(質量%)=[(Wb−Wa)−(Wc−Wa)]/(Wb−Wa)×100
架橋重合体の含水ゲル2.0gを、あらかじめ恒量(Wa(g))としたアルミホイールケース(8号)にとり精秤した(Wb(g))。前記サンプルを、内温を105℃に設定した熱風乾燥機(ADVANTEC社製)で2時間乾燥させた後、デシケーター中で放冷して、乾燥後の質量(Wc(g))を測定した。以下の式から、架橋重合体の含水ゲルの含水率を算出した。
含水率(質量%)=[(Wb−Wa)−(Wc−Wa)]/(Wb−Wa)×100
(架橋重合体の含水ゲルの圧縮強度)
重合後の架橋重合体の含水ゲルを25℃まで冷却した後、裁断することで、縦×横×厚みが25×25×20mmのサンプルを取得した。小型圧縮・引張試験機(島津製作所製「Eztest/CE」)を用いて、以下の条件に示す定速歪法に基づいて、サンプルの厚みが5mm変位するのに要する荷重(もしくは、5mm未満の変位でサンプルが断裂した場合は、断裂に要する荷重)を測定した。この測定を5回実施し、その平均値を架橋重合体の含水ゲルの圧縮強度[N]とした。
変位速度:10[mm/min]、負荷限界(上限):15[N]、変位限界(上限):15[mm]、ロードセル:20[N]、圧子:2[mmφ](3.14mm2)
圧縮強度の値は、架橋重合体の強度を示す指標の一つであり、圧縮強度が本発明の範囲にある場合、ゲルが破砕されやすい傾向がある。
重合後の架橋重合体の含水ゲルを25℃まで冷却した後、裁断することで、縦×横×厚みが25×25×20mmのサンプルを取得した。小型圧縮・引張試験機(島津製作所製「Eztest/CE」)を用いて、以下の条件に示す定速歪法に基づいて、サンプルの厚みが5mm変位するのに要する荷重(もしくは、5mm未満の変位でサンプルが断裂した場合は、断裂に要する荷重)を測定した。この測定を5回実施し、その平均値を架橋重合体の含水ゲルの圧縮強度[N]とした。
変位速度:10[mm/min]、負荷限界(上限):15[N]、変位限界(上限):15[mm]、ロードセル:20[N]、圧子:2[mmφ](3.14mm2)
圧縮強度の値は、架橋重合体の強度を示す指標の一つであり、圧縮強度が本発明の範囲にある場合、ゲルが破砕されやすい傾向がある。
(架橋重合体の含水ゲルの接着強度)
重合後の架橋重合体の含水ゲルを25℃まで冷却した後、50×20×5mmのサンプルを2つ切り出した。両サンプルを、面積30×20mmの部分において重ね合わせた後、5kgの重りで30秒間圧縮して測定用サンプルを取得した。小型圧縮・引張試験機(島津製作所製「Eztest/CE」)を用いて、測定用サンプルの上下をつかみ、以下の条件に示す定速歪法に基づいて、接着したゲルの剥離に要する荷重を測定した。この測定を3回実施し、その平均を架橋重合体の含水ゲルの接着強度[N]とした。
変位速度:100[mm/min]、負荷限界(上限):15[N]、ロードセル:20[N]
接着強度の値は、装置への付着の程度を示す指標の一つであり、接着強度が小さい程、破砕装置の切刃へのゲル付着が少ない傾向がある。また、接着強度の値は、破砕されたゲル粒子同士の接着を示す指標の一つであり、接着強度が小さい程、破砕処理時に破砕されたゲル粒子が塊状物を再度形成しにくい傾向がある。
重合後の架橋重合体の含水ゲルを25℃まで冷却した後、50×20×5mmのサンプルを2つ切り出した。両サンプルを、面積30×20mmの部分において重ね合わせた後、5kgの重りで30秒間圧縮して測定用サンプルを取得した。小型圧縮・引張試験機(島津製作所製「Eztest/CE」)を用いて、測定用サンプルの上下をつかみ、以下の条件に示す定速歪法に基づいて、接着したゲルの剥離に要する荷重を測定した。この測定を3回実施し、その平均を架橋重合体の含水ゲルの接着強度[N]とした。
変位速度:100[mm/min]、負荷限界(上限):15[N]、ロードセル:20[N]
接着強度の値は、装置への付着の程度を示す指標の一つであり、接着強度が小さい程、破砕装置の切刃へのゲル付着が少ない傾向がある。また、接着強度の値は、破砕されたゲル粒子同士の接着を示す指標の一つであり、接着強度が小さい程、破砕処理時に破砕されたゲル粒子が塊状物を再度形成しにくい傾向がある。
(吸水性樹脂の生理食塩水保水能)
500mL用のビーカーに、0.9質量%食塩水(生理食塩水)500gを量り取り、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリング無し)を用いて600rpmで攪拌させながら、吸水性樹脂2.0gをママコが発生しないように分散させた。攪拌させた状態で30分間放置し、吸水性樹脂を十分に膨潤させた。その後、綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)中に注ぎ込み、綿袋の上部を輪ゴムで縛り、遠心力が167Gとなるように設定した脱水機(国産遠心機株式会社製、品番:H−122)を用いて綿袋を1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wd(g)を測定した。吸水性樹脂を添加せずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時の空質量We(g)を測定し、以下の式から生理食塩水保水能を算出した。
生理食塩水保水能(g/g)=〔Wd−We〕(g)/吸水性樹脂の質量(g)
500mL用のビーカーに、0.9質量%食塩水(生理食塩水)500gを量り取り、マグネチックスターラーバー(8mmφ×30mmのリング無し)を用いて600rpmで攪拌させながら、吸水性樹脂2.0gをママコが発生しないように分散させた。攪拌させた状態で30分間放置し、吸水性樹脂を十分に膨潤させた。その後、綿袋(メンブロード60番、横100mm×縦200mm)中に注ぎ込み、綿袋の上部を輪ゴムで縛り、遠心力が167Gとなるように設定した脱水機(国産遠心機株式会社製、品番:H−122)を用いて綿袋を1分間脱水し、脱水後の膨潤ゲルを含んだ綿袋の質量Wd(g)を測定した。吸水性樹脂を添加せずに同様の操作を行い、綿袋の湿潤時の空質量We(g)を測定し、以下の式から生理食塩水保水能を算出した。
生理食塩水保水能(g/g)=〔Wd−We〕(g)/吸水性樹脂の質量(g)
(吸水性樹脂製造時における作業性)
後述する実施例、比較例に記載された方法に従って、同じ架橋重合体を5回連続で製造した。
後述する実施例、比較例に記載された方法に従って、同じ架橋重合体を5回連続で製造した。
得られた架橋重合体の含水ゲルを双腕型ニーダーで破砕した後、破砕装置である双腕型ニーダーの切刃への架橋重合体の含水ゲルの付着状態を、作業者5名に、表1に示す基準によって5段階評価してもらい、評価値を平均することで、吸水性樹脂製造時における作業性を評価した。
[実施例1]
ビーカー中に、35.7質量%アクリル酸ナトリウム水溶液679.8g、アクリル酸100.2gおよび、2%ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキサイドの平均繰り返し単位:9)水溶液21.3g、イオン交換水170.4g、乳酸型ハイドロタルサイト14.1gを混合させた単量体水溶液を調製した。
前記単量体水溶液745.5gをステンレス製のバットに移し、600rpmで攪拌しながら液温を18℃に調整した後、系内を窒素で置換した。
次いで、5%過硫酸ナトリウム水溶液1.2gと、5%2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩水溶液1.2gとを滴下して攪拌した後、0.05%L-アスコルビン酸水溶液1.1g、次いで0.035%過酸化水素水溶液1.2gをすみやかに添加した。
過酸化水素水溶液の添加後、直ちに重合が開始し、20分後に単量体水溶液の温度は85℃まで上昇した。その後、バットを80℃の水浴に10分間浸し、含水ゲル状態の架橋重合体を得た(含水率:61質量%)。なお、得られた含水ゲル状態の架橋重合体の一部を裁断して圧縮強度および接着強度を測定したところ、圧縮強度は11.4Nであり、接着強度は1.4Nであった。
残りの含水ゲル状態の架橋重合体を双腕型ニーダーで破砕した後、180℃で30分間送風乾燥した。得られた架橋重合体の乾燥物をジョークラッシャー型粉砕機にてさらに粉砕した後、500 μmの篩を通過し106 μmのふるい上に残るものを分級した。
得られた分級物30gをセパラブルフラスコにとり、500rpmで攪拌しつつ、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02g、プロピレングリコール0.3g、イオン交換水1.0g、イソプロパノール0.3gを混合させた溶液を滴下し、さらに1分間攪拌を行った。ついで前記混合物を、180℃、40分間の加熱による表面架橋処理を施し、500μmの篩を通過させ、吸水性樹脂を29g取得した。得られた吸水性樹脂は、生理食塩水保水能が46(g/g)であった。
ビーカー中に、35.7質量%アクリル酸ナトリウム水溶液679.8g、アクリル酸100.2gおよび、2%ポリエチレングリコールジアクリレート(エチレンオキサイドの平均繰り返し単位:9)水溶液21.3g、イオン交換水170.4g、乳酸型ハイドロタルサイト14.1gを混合させた単量体水溶液を調製した。
前記単量体水溶液745.5gをステンレス製のバットに移し、600rpmで攪拌しながら液温を18℃に調整した後、系内を窒素で置換した。
次いで、5%過硫酸ナトリウム水溶液1.2gと、5%2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩水溶液1.2gとを滴下して攪拌した後、0.05%L-アスコルビン酸水溶液1.1g、次いで0.035%過酸化水素水溶液1.2gをすみやかに添加した。
過酸化水素水溶液の添加後、直ちに重合が開始し、20分後に単量体水溶液の温度は85℃まで上昇した。その後、バットを80℃の水浴に10分間浸し、含水ゲル状態の架橋重合体を得た(含水率:61質量%)。なお、得られた含水ゲル状態の架橋重合体の一部を裁断して圧縮強度および接着強度を測定したところ、圧縮強度は11.4Nであり、接着強度は1.4Nであった。
残りの含水ゲル状態の架橋重合体を双腕型ニーダーで破砕した後、180℃で30分間送風乾燥した。得られた架橋重合体の乾燥物をジョークラッシャー型粉砕機にてさらに粉砕した後、500 μmの篩を通過し106 μmのふるい上に残るものを分級した。
得られた分級物30gをセパラブルフラスコにとり、500rpmで攪拌しつつ、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.02g、プロピレングリコール0.3g、イオン交換水1.0g、イソプロパノール0.3gを混合させた溶液を滴下し、さらに1分間攪拌を行った。ついで前記混合物を、180℃、40分間の加熱による表面架橋処理を施し、500μmの篩を通過させ、吸水性樹脂を29g取得した。得られた吸水性樹脂は、生理食塩水保水能が46(g/g)であった。
[比較例1]
単量体水溶液に、ハイドロタルサイトを添加しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状態の架橋重合体を得た(含水率:59質量%)。なお、得られた含水ゲル状態の架橋重合体の一部を裁断して圧縮強度および接着強度を測定したところ、圧縮強度は7.4N であり、接着強度は2.8Nであった。実施例1と比較して、圧縮強度が減少し、接着強度が大幅に増大した。
さらに、実施例1と同様の操作を行い、架橋重合体の乾燥物に表面架橋処理を施すことで、吸水性樹脂を27g取得した。得られた吸水性樹脂は、生理食塩水保水能が45(g/g)であった。
単量体水溶液に、ハイドロタルサイトを添加しなかった以外は、実施例1と同様の操作を行い、含水ゲル状態の架橋重合体を得た(含水率:59質量%)。なお、得られた含水ゲル状態の架橋重合体の一部を裁断して圧縮強度および接着強度を測定したところ、圧縮強度は7.4N であり、接着強度は2.8Nであった。実施例1と比較して、圧縮強度が減少し、接着強度が大幅に増大した。
さらに、実施例1と同様の操作を行い、架橋重合体の乾燥物に表面架橋処理を施すことで、吸水性樹脂を27g取得した。得られた吸水性樹脂は、生理食塩水保水能が45(g/g)であった。
得られた架橋重合体の含水ゲルの圧縮強度、接着強度、吸水性樹脂の生理食塩水保水能および吸水性樹脂製造時における作業性の評価の結果については、表2に示す。
本発明の吸水性樹脂の製造方法では、生産効率が高く、かつ得られた吸水性樹脂は、優れた吸水性能を示すため、紙おむつや生理用品等の吸収性物品に好適に使用することができる。
Claims (5)
- 生理食塩水保水能が38g/g以上である吸水性樹脂の製造方法であって、
架橋重合体の含水ゲルを破砕する破砕工程;
破砕された含水ゲルを乾燥する乾燥工程;および
前記架橋重合体に表面架橋剤を添加して反応させる表面架橋工程
を含み、
前記架橋重合体は水溶性エチレン性不飽和単量体を重合して得られ、
前記架橋重合体の含水ゲルは圧縮強度が10N以上である、吸水性樹脂の製造方法。 - 前記架橋重合体の含水ゲルの接着強度が2N以下である、請求項1に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 前記架橋重合体の含水ゲルの含水率が30〜70質量%である、請求項1または2に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 前記表面架橋工程で使用される表面架橋剤が、ポリグリシジル化合物およびポリオール類からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
- 前記水溶性エチレン性不飽和単量体のうち、(メタ)アクリル酸およびその塩の割合が70〜100モル%である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸水性樹脂の製造方法。
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