JPWO2018135472A1 - ゼオライト膜および分離膜 - Google Patents

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Abstract

無機酸化物多孔質基材上に形成されるMFI型ゼオライト膜であって、CuKα線をX線源とするX線回折測定で得られる回折パターンにおいて、回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、回折角度8.4〜9.0°に表れるピークであって、結晶格子面が200及び/又は020面に帰属される回折ピークの強度が0.3以上である、ゼオライト膜。

Description

本発明は、ゼオライト膜および無機酸化物多孔質基材上にゼオライト膜が形成された分離膜に関する。
本出願は、2017年1月18日出願の日本出願第2017−6851号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用するものである。
特許文献1には、ゼオライト種結晶と有機構造規定剤とシリカとを含む膜状物を水蒸気で処理してMFI型ゼオライト膜を形成し、分離膜を得る方法が開示されている。
特許文献2には、XRD測定において、020面由来の散乱強度/101面由来の散乱強度が3.3より大きく、かつ020面由来の散乱強度/002面または102面由来の散乱強度が4.4より大きいゼオライト膜が開示されている。
特許文献3には、XRD測定において、002面由来の散乱強度/020面由来の散乱強度が2以上、002面由来の散乱強度/101面由来の散乱強度が0.5〜1.5、101面由来の散乱強度/501面由来の散乱強度が1.5以上かつ303面由来の散乱強度/501面由来の散乱強度が2以上のゼオライト膜が開示されている。
日本国特開2001−31416号公報 日本国特開2004−2160号公報 国際公開第2007/58388号
本発明の一態様に係るゼオライト膜は、
無機酸化物多孔質基材上に形成されるMFI型ゼオライト膜であって、
CuKα線をX線源とするX線回折測定で得られる回折パターンにおいて、
回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
回折角度8.4〜9.0°に表れるピークであって、結晶格子面が200及び/又は020面に帰属される回折ピークの強度が0.3以上である。
また、本発明の一態様に係る分離膜は、
SiOを90質量%以上含有する非晶質体からなる無機酸化物多孔質基材上に本発明の一態様に係るゼオライト膜を備える。
本発明の実施形態に係る分離膜の構成を示す図である。 本発明の実施形態に係る製造方法のフローを示す図である。 例1における異なる水添加量により合成した膜のXRDパターンを示す図である。 例1における異なる水添加量により合成した膜の結晶化度を示す図である。 例1の異なる水添加量により合成された膜のSEM像を示す図である。 例2の異なる合成時間により合成した膜のXRDパターンを示す図である。 例2の異なる合成時間により合成した膜の結晶化度を示す図である。 例2の異なる合成時間により合成された膜のSEM像(その1)である。 例2の異なる合成時間により合成された膜のSEM像(その2)である。 分離膜の透過性能を評価する装置の一例を示す模式図である。 例2の合成時間に対する流速および分離係数αの関係を示す図である。 例3の異なるTPAOH濃度により合成した膜のXRDパターンを示す図である。 例4−1の分離膜の表面の構造を表す電子顕微鏡写真である。 例4−1の分離膜の長手方向に直交する断面の構造を表す電子顕微鏡写真である。 例5−4の分離膜の表面の構造を表す電子顕微鏡写真である。 例5−4の分離膜の長手方向に直交する断面の構造を表す電子顕微鏡写真である。 例8−1の分離膜の長手方向に直交する断面の構造を表す電子顕微鏡写真である。 例4−1および例5−4の分離膜の表面のX線回折測定結果を示すグラフである。 例8−1の分離膜の表面のX線回折測定結果を示すグラフである。
[本開示が解決しようとする課題]
従来の水熱合成法では、溶液側からゼオライト成分が供給されて、種結晶を核としてその表面より、ゼオライト結晶が成長するので、配向結晶膜が成長する。このような、高い配向性を有するゼオライト分離膜では、粒子界面におけるリークにより分離係数が低くなるため、分離係数を高めるために膜厚を厚くする必要がある。一方、膜厚を厚くすると透過流束が低下する。このため、透過流束と分離比双方が向上した膜構造が求められている。
本発明は、膜厚が薄くても分離能に優れ、透過流束の大きいゼオライト膜および分離膜を提供することを目的とする。
[本開示の効果]
本発明によれば、膜厚が薄くても分離能に優れ、透過流束の大きいゼオライト膜および分離膜を提供することができる。
[本発明の実施形態の説明]
最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
本願発明の実施形態に係るゼオライト膜は、
(1)無機酸化物多孔質基材上に形成されるMFI型ゼオライト膜であって、
CuKα線をX線源とするX線回折測定で得られる回折パターンにおいて、
回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
回折角度8.4〜9.0°に表れるピークであって、結晶格子面が200及び/又は020面に帰属される回折ピークの強度が0.3以上である。
この構成によれば、膜厚が薄くても透過流速、分離能に優れるゼオライト膜を提供することができる。
(2)上記(1)のゼオライト膜は、
前記回折パターンにおいて、
回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
回折角度8.4〜9.0°に表れるピークであって、結晶格子面が200及び/又は020面に帰属される回折ピークの強度が0.4以上であってもよい。
(3)上記(1)のゼオライト膜は、
前記回折パターンにおいて、
回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
回折角度22.7〜23.5°に表れるピークであって、結晶格子面が501及び/又は051面に帰属される回折ピークの強度が0.5以上であってもよい。
(4)上記(3)のゼオライト膜は、
前記回折パターンにおいて、
回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
回折角度22.7〜23.5°に表れるピークであって、結晶格子面が501及び/又は051面に帰属される回折ピークの強度が0.6以上であってもよい。
(5)上記(1)または(3)のゼオライト膜は、
前記回折パターンにおいて、
回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
回折角度12.9〜13.5°に表れるピークであって、結晶格子面が002面に帰属される回折ピークの強度が0.25以下であってもよい。
(6)上記(1)、(3)および(5)のいずれかのゼオライト膜は、
前記回折パターンにおいて、
回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
回折角度26.8〜27.2°に表れるピークであって、結晶格子面が104面に帰属される回折ピークの強度が0.2以下であってもよい。
また、本願発明の実施形態に係る分離膜は、
(7)SiOを90質量%以上含有する非晶質体からなる無機酸化物多孔質基材上に上記(1)〜(6)のいずれかのゼオライト膜を備える。
この構成によれば、基材がハイシリカ基材であるため、アルミナの溶出を抑えることで膜の疎水性を維持でき、優れた分離能を発揮する。また、基材そのものをゼオライトに転換するため、膜と基材の親和性が良好であり、優れた分離能を発揮する。
(8)上記(7)の分離膜は、
前記無機酸化物多孔質基材が、SiOを99質量%以上含有する非晶質体からなってもよい。
この構成によれば、基材がハイシリカ基材であるため、よりアルミナの溶出を抑えることで膜の疎水性を維持でき、優れた分離能を発揮する。また、基材そのものをゼオライトに転換するため、膜と基材の親和性がより良好であり、優れた分離能を発揮する。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
1.分離膜
図1に、分離膜の一実施形態を示す。図1は分離膜の縦断面図である。
分離膜20は略円筒形状であり、中心孔24を持つ無機酸化物多孔質基材21を有している。多孔質基材21の外周にはゼオライト膜22が製膜されている。なお、分離膜の形状は、平面状等、任意の形状とすることもできるが、分離効率の点から流体との接触面積をより広くするために、本実施形態では管状としている。
分離膜20は、分子ふるい効果や親水/疎水性を活用したガス分離膜、ベーパーレーション膜、膜分離反応器などに使用することができ、とくにエタノール/水分離用の分離膜として好適に使用することができる。
1−1.無機酸化物多孔質基材
本実施形態において用いられる無機酸化物多孔質基材21としては、本実施形態によりゼオライト膜22が形成される部分(基材の表面部分)の主成分が非晶質SiOであるものであればよく、例えば、アルミナなどの基材表面に非晶質SiOを形成した基材や、基材全体が非晶質SiOで形成される基材を用いることができる。また、前記基材21が、SiOを90質量%以上含有する非晶質体からなると好ましく、前記基材21が、SiOを99質量%以上含有する非晶質体からなるとさらに好ましく、前記基材21が、Alを1質量%未満で含有すると特に好ましい。
基材のSiO含有割合が増加し、またAlおよび不純物の含有割合が低下することで、ゼオライト膜22への基材中に存在するAl、アルカリ元素、ボロンなどの溶出が抑えられ、分離膜20の疎水性を維持することができる。また、微量のアルミナ溶存は、シリカ基材のアルカリに対する耐久性を向上させることを可能にするため、ゼオライトを成膜する処理の際、基材溶出を抑制することで基材の強度を維持することを可能にする。
多孔質基材21は、ゼオライト膜22における流体の透過をほぼ干渉することなく該薄膜を支持するため、多孔質基材21の気孔率は35〜70%、平均細孔径は250nm〜600nmであるとよい。なお、「気孔率」は、単位体積当たりの気孔容積が占める割合として算出できる。
さらに、多孔質基材21の厚さは、特に限定されるものではないが、機械的強度とガス透過性のバランスから0.2mm〜5mmであることが好ましく、0.5mm〜3mmであることがより好ましい。
また、多孔質基材21のゼオライト形成部分の比表面積は5m/g以上400m/g以下であるとよい。5m/g未満であると、表面積が小さいため粒子表面に担持できる構造規定剤の量が不十分になるおそれがあり、またアルカリ成分によるシリカ成分の溶出量が不足して、完全にゼオライトに変換することが出来なくなるおそれがある。逆に比表面積が400m/gより大きいと、構造規定材の担持量が過剰になるおそれがあり、また基材へのアルカリ成分の浸透によりシリカ成分が必要以上に溶出し、基材強度の低下をもたらす場合がある。
好適な比表面積としては、多孔質基材21の表面に存在する粒子の直径が0.5μm以下になる10m/g以上が前者の観点から望ましい。後者の観点からは前記粒子の直径が50nm以上となる100m/g以下が望ましい。
1−2.ゼオライト膜
本実施形態によって得られた多孔質基材21上に形成されるゼオライト膜22はMFI型ゼオライト膜であり、従来の水熱合成法により得られるゼオライト膜と比べて緻密質の膜である。そのため、本実施形態のゼオライト膜22の膜厚は薄くても分離能に優れ、透過流束の大きい分離膜を提供することができる。
ゼオライト膜22は、CuKα線をX線源とするX線回折測定で得られる回折パターンにおいて、回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、回折角度8.4〜9.0°に表れるピークであって、結晶格子面が200及び/又は020面に帰属される回折ピークの強度が0.3以上であり、0.4以上であることが好ましい。
また、ゼオライト膜22は、CuKα線をX線源とするX線回折測定で得られる回折パターンにおいて、回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、回折角度22.7〜23.5°に表れるピークであって、結晶格子面が501及び/又は051面に帰属される回折ピークの強度が0.5以上であることが好ましく、0.6以上であることがより好ましい。
また、ゼオライト膜22は、CuKα線をX線源とするX線回折測定で得られる回折パターンにおいて、回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、回折角度12.9〜13.5°に表れるピークであって、結晶格子面が002面に帰属される回折ピークの強度が0.25以下であることが好ましい。
また、ゼオライト膜22は、CuKα線をX線源とするX線回折測定で得られる回折パターンにおいて、回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、回折角度26.8〜27.2°に表れるピークであって、結晶格子面が104面に帰属される回折ピークの強度が0.2以下であることが好ましい。
X線回折測定は、例えば、BRUKER社粉末X線回折装置 D8 ADVANCEを使用して、加速電圧を40KV、電流を40mA、光源をCuKα、計測角度を5〜80°として測定することができる。
ゼオライト膜22の厚さは、特に限定されるものではないが、0.5μm〜30μmであることが好ましい。厚さが0.5μm未満では、ゼオライト膜22にピンホールが発生しやすく、十分な分離性能を得ることができないおそれがあり、また、厚さが30μmを超えると流体の透過速度が小さくなりすぎ、実用上十分な透過性能が得られにくくなる場合がある。
2.分離膜の製造方法
分離膜20は、図2に示すフローチャートのように、無機酸化物多孔質基材21の表面上に、ゼオライト種結晶、および構造規定剤を含有するアルカリ成分を塗布などの手法で形成して形成体を得る第一工程と、当該第一工程で得られた形成体を加熱水蒸気雰囲気下で処理する第二工程とにより、前記基材21表面にゼオライト膜22を形成して、製造される。
2−1.第一工程
第一工程では、無機酸化物多孔質基材21の表面上に、ゼオライト種結晶、および構造規定剤を含有するアルカリ成分が塗布などの手法で形成される。ゼオライトの種結晶は、通常のゼオライト粒子の製造方法で作られたゼオライト粒子である。ゼオライト種結晶の粒子径は特に限定されないが、例えば5μm以下、好ましくは3μm以下である。
構造規定剤は、ゼオライトの孔を構築する有機化合物の型剤であり、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウム塩、トリメチルアダマンタンアンモニウム塩などが用いられる。
アルカリ成分は、アルカリ性の水溶液を表し、好ましくは、有機アンモニウム水酸化物並びに/または、有機アンモニウムハロゲン塩およびアルカリ金属水酸化物を含有する水溶液である。有機アンモニウム水酸化物としては、例えばテトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAOH)が挙げられ、有機アンモニウムハロゲン塩としては、例えばテトラプロピルアンモニウムブロミド(TPABr)が挙げられ、アルカリ金属水酸化物としては、例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムが挙げられる。
アルカリ成分として、有機アンモニウム水酸化物を含有する水溶液を用いた場合、ゼオライト膜がシリカ成分と有機アンモニウムのみから形成されるので不純物成分のきわめて少ない分離膜を形成可能であり、基材や膜からの不純物溶出を抑制することができる。また、アルカリ成分として、有機アンモニウムハロゲン塩及びアルカリ金属水酸化物を含有する水溶液を用いた場合、有機アンモニウム水酸化物よりも成分が安定であり、かつアルカリ濃度をアルカリ金属水酸化物の濃度によって調整可能であるため、過剰なアルカリによる基材の破壊などが生じにくいプロセスを構築することができる。
また、アルカリ成分中の構造規定剤の濃度は、0.05M以上であることが結晶成長を進行させるために好ましい。さらに、アルカリ成分中の構造規定剤の濃度が、0.3M以下であることが基材の消耗を抑制するため有効であり好ましい。
無機酸化物多孔質基材21の表面上でのゼオライト種結晶の形成は、例えばゼオライト種結晶の水分散液に、無機酸化物多孔質基材21を浸漬し、引き揚げる方法によっておこなえる。この際、アルカリ成分をゼオライト種結晶の水分散液に加えることで、種結晶と同時にアルカリ成分を無機多孔質基材21の表面に塗布形成することも可能である。
また、ゼオライト種結晶の形成は、ゼオライトを分散させたポリマーフィルムを調製し、ゼオライト分散フィルムを支持体外表面上に巻きつけたのち、ポリマー部分を焼成除去することでも、可能である。この場合、クロロホルムまたはアセトン溶媒に乾燥したゼオライト粉末を分散させた後、ポリメタクリル酸メチルを添加攪拌後、キャスト法でゼオライト種結晶を分散させたポリマーフィルムを調整する。このフィルムを無機酸化物多孔質基材21上に巻き付け接着した後に、550℃にて大気中で焼成することで、無機酸化物多孔質基材21の表面上に種結晶層を形成できる。
本実施形態において、ゼオライト種結晶は、電気泳動法によって無機酸化物多孔質基材21上に形成してもよい。この方法によれば、種結晶の位置および密度が制御され、最終的に得られるゼオライト膜22の緻密質性を向上させることが出来る。電気泳動法は、上下をシールした多孔質基材21内部に有機溶媒、例えばアセトン、を充填し、外部にゼオライト種結晶を分散させた有機溶媒を満たし、多孔質基材21内部電極と容器側電極に電圧をかけることで、種結晶を基材21表面に付着させることにより行う。電気泳動法は、例えば電圧50Vを5分間かけることで行う。種結晶の付着後、溶液から基材21を引き上げ、乾燥後、例えば、300℃で6時間加熱処理することで、基材21上での種結晶の形成は完了する。
電気泳動法により、種結晶を付着させた後、種結晶付着多孔質基材上下に封をし、TPAOH水溶液に浸した後引き上げることで、表面にアルカリ成分を塗布形成することができる。TPAOH水溶液は、0.05M以上0.5M以下が好ましく、例えば0.1MTPAOH水溶液を用いることができる。
また、基材21上のアルカリ成分を乾燥させると、基材21上のアルカリ成分の厚みおよび濃度むらを抑制でき、好ましい。
3−2.第二工程
容器容積あたり0.5〜5体積%の水を含む水熱処理容器中に第一工程で得られた形成体を設置し、140℃〜180℃で所定時間、例えば24時間、熱処理を行うことで、種結晶周辺にゼオライト膜を形成することができる。
また、水熱処理容器中に入れられて加熱水蒸気雰囲気下とするために用いられる水の量は、飽和水蒸気量の2倍以上であると、成膜領域への水蒸気供給が十分行われるため好ましい。ただし、水熱処理容器中に入れられる水の量が飽和水蒸気量の20倍より大きいと、膜構造に欠陥が生じやすくなるおそれがある。飽和水蒸気量(WH2O−S)は、単位体積(1m)での加熱処理温度(T)における飽和水蒸気圧(Ps)での水蒸気質量であり、単位はg/mである。容器容積(V)内の質量とする場合WH2O−S×V(g)となる。飽和水蒸気量は、近似式より所定の温度における飽和水蒸気圧(P(t))を求め、気体の状態方程式から水蒸気量に換算することで得られる。
飽和水蒸気圧の近似式としては、Wagner式があり、下記のようになる。
Figure 2018135472
ここで、Pc=221200[hPa]:臨界圧、Tc=647.3[K]:臨界温度、x=1−(t+273.15)/Tc、A=−7.76451、B=1.45838、C=−2.7758、D=−1.23303(A〜D:係数)である。
得られた飽和水蒸気圧P(t)から気体の状態方程式:P/RT=n/Vにより単位体積あたりの水蒸気モル数が求まり、水の分子量より、飽和水蒸気量が得られる。
また、第二工程における加熱水蒸気雰囲気下での処理は4時間以上であることが、結晶成長の観点で好ましい。さらに8時間以上であると、ゼオライト結晶構造が安定化してより好ましい。ただし、処理時間が36時間より長いと、結晶成分の溶出などの要因で結晶性が悪くなることおよび、製造時間が増加するおそれがある。
第一および第二工程を通して得られた形成体は、洗浄後乾燥したのち、350℃〜600℃で所定時間、例えば12時間焼成することで、構造規定剤を燃焼除去し、分離膜20を形成する。
本実施形態の製造方法によれば、従来の水熱合成法に比べて、少量の構造規定剤を使用することで、分離能に優れ、透過流束の大きい分離膜を得ることができ、製造コストの観点から有利である。
以下、本発明に係る実施例を用いた評価試験の結果を示し、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(多孔質シリカ基材)
外付けCVD法により、外径10mm、内径8.4mm、長さ300mm、気孔率64%、平均細孔径500nmの多孔質シリカ管を作成し、これを長さ30mmに切断した管を、多孔質シリカ基材として使用した。
(種結晶付着多孔質シリカ基材)
原料としてコロイダルシリカ、TPABr、水酸化ナトリウム、蒸留水を用い、SiO:TPABr:NaOH:HOのモル比が1:0.2:0.1:40となるように混合し、室温で60分撹拌することにより種結晶生成用ゾルを得た。このゾルをポリプロピレン製容器内で100℃、144時間撹拌条件下で反応させ、MFI型ゼオライト結晶(Silicalite−1)を合成した。このゼオライト結晶を吸引濾過により回収し、熱水で洗浄後、60℃、10時間の乾燥処理を行い、粒子径約1μmのハイシリカゼオライト種結晶を得た。なお、コロイダルシリカは触媒化成工業株式会社製 Cataloid SI−30(登録商標)(SiO 30.17%,NaO 0.4%,HO 69.43%)を使用した。
ハイシリカゼオライト種結晶0.5gをアセトン溶媒100mL中に加え30分間超音波分散させた。上下をシールした多孔質シリカ基材内部にアセトン溶媒のみを充填し、外部にハイシリカゼオライト種結晶を分散させたアセトン溶媒を満たし、基材内部電極と容器側電極に50Vの電圧を5分間かけることで、種結晶を基材表面に付着させた。これを溶液から引き上げ、大気中で30分間乾燥後、300℃で6時間加熱処理し、種結晶付着多孔質シリカ基材を作成した。
<例1(水量の影響)>
種結晶付着多孔質シリカ基材の上下に封をし、0.1MのTPAOH水溶液に基材全体を浸した後引き上げ、60℃で一時間乾燥した。その後基材を、水が1〜12gの範囲で入れられた水熱処理容器(容器内容積120cc)中に、水に触れないようにして設置して、160℃で24時間熱処理を行い、基材表面にゼオライト膜を形成した。熱処理後、形成体を洗浄し、60℃で10時間乾燥した後、375℃で40時間焼成することで構造規定剤を除去し、例1−1〜例1−5の分離膜を得た。なお、例1−1〜例1−5の分離膜はそれぞれ、水熱処理容器中に入れられた水の量が1g、3g、6g、9g、12gであった分離膜を表す。
得られた分離膜の表面の構造を、BRUKER社粉末X線回折(XRD)装置 D8 ADVANCEを使用して、解析した。加速電圧を40KV、電流を40mA、光源をCuKα、計測角度を5〜80°とする条件により測定した。また、得られた分離膜の表面および断面の形態を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。
図3a、図3bに水添加量を変えた場合のXRDパターンと、2θ=20−40°における上位15本のピーク強度の和により得られた結晶化度を示す。いずれのサンプルにおいても水熱処理後に処理前と比べてMFIに基づく結晶性が増加していることが確認でき、他の不純物相の形成はなかった。また、水添加量が3gの時に最も結晶性の高い膜の合成に成功した。
分離膜の表面および断面の形態を、SEMにより観察した写真を図4に示す。処理前と比較して結晶形態が変化し、水添加量が3gの時、最も緻密で連続的な膜の合成に成功した。さらに、緻密なゼオライト層と支持体間にMFI特有の柱状結晶の形成が確認された。
160℃で水熱容器容積120mlの場合、飽和水蒸気量は0.37gとなる。上記結果より、水添加量は飽和水蒸気量よりも大幅に大きい3g以上であると好ましいことがわかる。また、3g以上では結晶の形態が大幅に変化し、結晶間の空隙が確認されたことから、飽和水蒸気量に対し3倍以上10倍以下の水量が好ましいと想定される。もちろんこの値は、容器容積、成膜基材面積などにより変化する可能性があるので、あくまで参考値として、本成膜条件下で適用可能な値である。
<例2(熱処理時間の影響)>
熱処理時間の影響を検討するため以下に示す一連の実験を行った。種結晶付着多孔質シリカ基材の上下に封をし、0.1MのTPAOH水溶液に基材全体を浸した後引き上げ、60℃で一時間乾燥した。その後基材を、水3gが入れられた水熱処理容器(容器内容積120cc)中に、水に触れないようにして設置して、160℃で2〜48時間熱処理を行い、基材表面にゼオライト膜を形成した。熱処理後、形成体を洗浄し、60℃で10時間乾燥した後、375℃で40時間焼成することで構造規定剤を除去し、例2−1〜例2−8の分離膜を得た。なお、例2−1〜例2−8の分離膜はそれぞれ、熱処理時間が2時間、4時間、8時間、12時間、16時間、24時間、36時間、48時間であった分離膜を表す。得られた分離膜の表面の構造を、例1と同様の条件のXRD解析およびSEMによる膜構造観察により評価した。
図5a、図5bに水添加量3gで熱処理時間を変えた場合のXRDパターン(a)と、2θ=20−40°における上位15本のピーク強度の和により得られた結晶化度(b)を示す。熱処理時間24時間までは熱処理時間の増加とともに結晶化度は向上し、24時間を超えると結晶化度は低下した。24時間までは、種結晶の成長や支持体自身のゼオライト化によりピーク強度が高くなるが、24時間以降では結晶成長は止まり、アルカリ雰囲気下であるため、再溶解により結晶化度が低下したのだと考えられる。この結果より、合成時間は24時間が本条件下では最適と考えられる。
分離膜の表面および断面の形態を、SEMにより観察した写真を図6、7に示す。熱処理時間の増加とともに分離膜の形態は大きく変化した。断面SEM像より、熱処理時間が8時間までは、種結晶層の膜化および成長に基材成分が消費され、緻密なゼオライト層の成長が確認される。熱処理時間が8時間を超えると、緻密なゼオライト層と支持体との間に支持体由来のCoffin型結晶の形成が確認される。Coffin型結晶のサイズは熱処理時間が12時間から24時間に増加するとともに大きくなった。24時間以降は、膜形態に大きな違いはなかった。24時間までの断面観察の結果と図5bの結晶化度曲線の傾向は一致した。
(浸透気化試験(PV:Pervaporation))
例2で得られた分離膜の性能を浸透気化試験により評価した。浸透気化試験は、図8の模式図に示す装置によりおこなった。エタノール10%水溶液を、ウォーターバス中で50℃に加熱し、その中に片端封止、逆端を真空ポンプに接続した分離膜を入れ、内部を減圧して所定時間毎にサンプリングコールドトラップにて透過液体を採取した。得られた減圧側の液体組成を、液体クロマトグラフィーにて測定して、エタノールの分離濃縮の状態を評価した。浸透気化試験の結果を表1および図9に示す。
Figure 2018135472
表中、Jtotalは透過流束、EtOH Conc.は透過液体のエタノール濃度、αEtOHは分離係数、PSIは浸透気化分離指数を表す。Jtotal、αEtOHおよびPSIは下記式より算出される。
Figure 2018135472
分離係数αEtOHは熱処理時間とともに変化し、24時間で最大値を取り、その後低下した。この傾向はXRDパターンより算出した結晶化度曲線のグラフ(図5b)とも一致し、分離係数は膜の結晶性に依存することが明らかとなった。また、膜の性能を表すPSI値は最大で290にまで達することがわかる。
<例3(構造規定剤の濃度の影響)>
構造規定剤の濃度の影響を検討するため以下に示す一連の実験を行った。種結晶付着多孔質シリカ基材の上下に封をし、0.01〜0.5MのTPAOH水溶液に基材全体を浸した後引き上げ、60℃で一時間乾燥した。その後基材を、水3gが入れられた水熱処理容器(容器内容積120cc)中に、水に触れないようにして設置して、160℃で24時間熱処理を行い、基材表面にゼオライト膜を形成した。熱処理後、形成体を洗浄し、60℃で10時間乾燥した後、375℃で40時間焼成することで構造規定剤を除去し、例3−1〜例3−7の分離膜を得た。なお、例3−1〜例3−7の分離膜はそれぞれ、TPAOH水溶液中のTPAOH濃度が0.01M、0.05M、0.075M、0.1M、0.125M、0.3M、0.5Mであった分離膜を表す。得られた分離膜の表面の構造を、例1と同様の条件のXRD解析により評価した。
図10に水添加量3g、合成時間24時間に固定し構造規定剤(TPAOH)濃度を変えた場合のXRDパターンを示す。TPAOH濃度が0.01Mのとき、処理後に種結晶はほとんど成長していないことがXRDパターンより確認することができる。膜の結晶化度は濃度0.1Mまでは増加し、その後徐々に低下していることから、適切なTPAOH濃度があることが分かる。さらに、TPAOH濃度が0.3M、0.5Mであった分離膜に関しては、TPAOH濃度が0.1Mであった分離膜と比較して、膜の機械的強度が弱く、支持体へのダメージが大きくなった。以上の結果より、本条件下では、0.1Mが好ましい構造規定剤(TPAOH)濃度であることが確認された。
<例4(種結晶付着量を変えて膜厚を変化させたときの影響)>
種結晶付着量を変えてゼオライト膜の膜厚を調整した以外は、例2−6と同様の方法により例4−1〜例4−3の分離膜を作製した。そして、例2で得られた分離膜での評価と同様の方法により、浸透気化試験を実施した。その結果を表2に示す。
Figure 2018135472
(従来方法)
以下に示す例5〜例8は、本発明に対する比較例となる従来技術である水熱合成法に関する例である。例5〜例7はシリカ基材に水熱合成法でゼオライト膜を形成した例であり、例8はアルミナ基材に水熱合成法でゼオライト膜を形成した例である。
<例5(水熱合成法の検討1:水熱合成時間の影響)
原料としてコロイダルシリカ、TPABr、水酸化ナトリウム、蒸留水を用い、SiO:TPABr:NaOH:HOのモル比が1:0.05:0.05:75となるよう混合し、22℃で60分撹拌することにより膜形成用ゾルを得た。この膜形成用ゾルに上述の種結晶付着多孔質シリカ基材を浸漬し、水熱処理容器(容器内容積120cc)にて、160℃で4〜24時間処理し、基材上の種結晶を核としてゼオライトの合成を行った。熱処理後、形成体を洗浄し、60℃で10時間乾燥した後、375℃で60時間焼成することで構造規定剤を除去し、例5−1〜例5−4の分離膜を得た。なお、例5−1〜例5−4の分離膜はそれぞれ、熱処理時間が4時間、8時間、6時間、24時間であった分離膜を表す。
そして、例2で得られた分離膜での評価と同様の方法により、浸透気化試験を実施した。その結果を表3に示す。
Figure 2018135472
例5の結果より、水熱合成法でも、適正な水熱処理時間により高い分離係数αを得ることが可能だが、透過流束Jtotalは、3[kg/(mh)]台にとどまることが分かる。
<例6(水熱合成法の検討2:SiOに対するTPABrのモル比の影響)
原料としてコロイダルシリカ、TPABr、水酸化ナトリウム、蒸留水を用い、SiO:TPABr:NaOH:HOのモル比が1:0.005〜0.1:0.05:75となるよう混合し、22℃で60分撹拌することにより膜形成用ゾルを得た。この膜形成用ゾルに上述の種結晶付着多孔質シリカ基材を浸漬し、水熱処理容器(容器内容積120cc)にて、160℃で12時間処理し、基材上の種結晶を核としてゼオライトの合成を行った。熱処理後、形成体を洗浄し、60℃で10時間乾燥した後、375℃で60時間焼成することで構造規定剤を除去し、例6−1〜例6−4の分離膜を得た。なお、例6−1〜例6−4の分離膜はそれぞれ、SiOに対するTPABrのモル比が0.005、0.001、0.05、0.1であった分離膜を表す。
そして、例2で得られた分離膜での評価と同様の方法により、浸透気化試験を実施した。その結果を表4に示す。
Figure 2018135472
<例7(水熱合成法の検討3:ゲル熟成温度の影響)>
水熱合成法では、出発ゲルの状態により、得られる膜の特性が変化しやすい。ここではゲルの熟成温度を22℃に固定せずに、制御しない室温での熟成状態での成膜結果を評価した。
原料としてコロイダルシリカ、TPABr、水酸化ナトリウム、蒸留水を用い、SiO:TPABr:NaOH:HOのモル比が1:0.005〜0.1:0.05:75となるよう混合し、室温(22〜25℃)に設定して60分撹拌することにより膜形成用ゾルを得た。この膜形成用ゾルに上述の種結晶付着多孔質シリカ基材を浸漬し、水熱処理容器(容器内容積120cc)にて、160℃で12時間処理し、基材上の種結晶を核としてゼオライトの合成を行った。熱処理後、形成体を洗浄し、60℃で10時間乾燥した後、375℃で60時間焼成することで構造規定剤を除去し、例7−1〜例7−4の分離膜を得た。なお、例7−1〜例7−4の分離膜はそれぞれ、SiOに対するTPABrのモル比が0.005、0.001、0.05、0.1であった分離膜を表す。
そして、例2で得られた分離膜での評価と同様の方法により、浸透気化試験を実施した。その結果を表5に示す。
Figure 2018135472
以上の例6及び例7の結果より、水熱合成法では得られる膜の出発ゲルの製造条件に敏感であり、ゲルの熟成温度の精密な制御が必要であることがわかる。
<例8(水熱合成における基材の影響:アルミナ基材)>
ニッカトー製の外径12mm、内径9mm、長さ80mm、気孔率38%、平均細孔径1400nmの多孔質アルミナ管上に、ハイシリカゼオライト種結晶を電気泳動法により付着させ、種結晶付着多孔質アルミナ基材を作成した。
原料としてコロイダルシリカ、TPABr、水酸化ナトリウム、蒸留水を用い、SiO:TPABr:NaOH:HOのモル比が1:0.005:0.05:50〜150となるよう混合し、室温で60分撹拌することにより膜形成用ゾルを得た。
当該基材を上述の膜形成用ゾル中に浸漬し、水熱処理容器(容器内容積120cc)にて、160℃で24時間処理し、基材上の種結晶を核としてゼオライトの合成を行った。熱処理後、形成体を洗浄し、60℃で10時間乾燥した後、375℃で60時間焼成することで構造規定剤を除去し、例8−1〜例8−5の分離膜を得た。なお、例8−1〜例8−5の分離膜はそれぞれ、SiOに対するHOのモル比が150、125、100、75、50であった分離膜を表す。
そして、例2で得られた分離膜での評価と同様の方法により、浸透気化試験を実施した。その結果を表6に示す。
Figure 2018135472
例8の結果より、アルミナ基材を用いた場合、シリカ基材を用いた水熱合成法や、シリカ基材を用いた例1〜例4に関わるゲルフリー法よりも透過流束、αEtOHともに低いことを確認できる。すなわち、シリカ基材を用いることによる分離特性の向上が確認された。
(合成方法及び基材の分離膜の表面構造に対する影響)
図11および図12のそれぞれに、例4−1の分離膜の表面および長手方向に直交する断面の電子顕微鏡による観察写真を示す。また図13および図14のそれぞれに、例5−4の分離膜の表面および長手方向に直交する断面の電子顕微鏡による観察写真を示す。例4−1の分離膜のほうが例5−4の分離膜に比べて、細かい結晶からなるゼオライト膜を有し、緻密性を有していることが確認された。
さらに、図15に例8−1の分離膜の長手方向に直交する断面の電子顕微鏡による観察写真を示す。支持体がアルミナ基材である場合は、緻密性の膜の形成は確認されなかった。
また、例4−1、例5−4および例8−1の分離膜の表面の構造を、BRUKER社粉末X線回折装置 D8 ADVANCEを使用して、解析した。加速電圧を40KV、電流を40mA、光源をCuKα、計測角度を5〜80°とする条件により測定した。得られたスペクトルを図16および図17に示す。回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準として、ピーク強度を規格化した結果を表7に示す。
Figure 2018135472
表7より、アルミナ基材またはシリカ基材を用いる水熱合成法により得られたゼオライト膜と比べて、本願の実施形態に係る製造方法により形成されたゼオライト膜では、回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準として規格化されたピーク強度が大きく異なることが確認された。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
20:分離膜
21:無機酸化物多孔質基材
22:ゼオライト膜
24:中心孔

Claims (8)

  1. 無機酸化物多孔質基材上に形成されるMFI型ゼオライト膜であって、
    CuKα線をX線源とするX線回折測定で得られる回折パターンにおいて、
    回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
    回折角度8.4〜9.0°に表れるピークであって、結晶格子面が200及び/又は020面に帰属される回折ピークの強度が0.3以上である、
    ゼオライト膜。
  2. 前記回折パターンにおいて、
    回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
    回折角度8.4〜9.0°に表れるピークであって、結晶格子面が200及び/又は020面に帰属される回折ピークの強度が0.4以上である、
    請求項1に記載のゼオライト膜。
  3. 前記回折パターンにおいて、
    回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
    回折角度22.7〜23.5°に表れるピークであって、結晶格子面が501及び/又は051面に帰属される回折ピークの強度が0.5以上である、
    請求項1に記載のゼオライト膜。
  4. 前記回折パターンにおいて、
    回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
    回折角度22.7〜23.5°に表れるピークであって、結晶格子面が501及び/又は051面に帰属される回折ピークの強度が0.6以上である、
    請求項3に記載のゼオライト膜。
  5. 前記回折パターンにおいて、
    回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
    回折角度12.9〜13.5°に表れるピークであって、結晶格子面が002面に帰属される回折ピークの強度が0.25以下である、
    請求項1または請求項3に記載のゼオライト膜。
  6. 前記回折パターンにおいて、
    回折角度7.3〜8.4°に表れるピークであって、結晶格子面が011及び/又は101面に帰属される回折ピークの強度を基準とした時に、
    回折角度26.8〜27.2°に表れるピークであって、結晶格子面が104面に帰属される回折ピークの強度が0.2以下である、
    請求項1、請求項3および請求項5のいずれか一項に記載のゼオライト膜。
  7. SiOを90質量%以上含有する非晶質体からなる無機酸化物多孔質基材上に請求項1〜6のいずれか一項に記載のゼオライト膜を備える、分離膜。
  8. 前記無機酸化物多孔質基材が、SiOを99質量%以上含有する非晶質体からなる、請求項7に記載の分離膜。
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