JP2002018247A - 混合物分離膜装置の製造方法及び混合物分離膜装置 - Google Patents

混合物分離膜装置の製造方法及び混合物分離膜装置

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JP2002018247A JP2000205647A JP2000205647A JP2002018247A JP 2002018247 A JP2002018247 A JP 2002018247A JP 2000205647 A JP2000205647 A JP 2000205647A JP 2000205647 A JP2000205647 A JP 2000205647A JP 2002018247 A JP2002018247 A JP 2002018247A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分離性能を一層向上させることのできる混合
物分離膜装置の製造方法および分離性能を一層向上させ
た混合物分離膜装置を提供すること。 【解決手段】 多孔質支持基体の表面にZSM−5型ゼ
オライトの結晶を成長させ得る粉末状の種結晶を存在さ
せる工程と、成分中にナトリウムを含まないZSM−5
型ゼオライト膜形成用の母液中に前記多孔質支持基体を
浸漬し、所定時間加熱して前記多孔質支持基体の表面に
前記種結晶を核にしてZSM−5型ゼオライトの結晶を
成長させてZSM−5型ゼオライトの膜を形成する工程
と、を含むことを特徴とする。当該ZSM−5型ゼオラ
イトの膜はナトリウムイオンを含まない膜から成る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多孔質支持基体の
表面に結晶成長して形成されたZSM−5型ゼオライト
膜を備えて成る混合物分離膜装置の製造方法及び混合物
分離膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】非多孔質高分子膜を利用した、パーベー
パレーション法による液体混合物の分離法は、米国特許
第2953502号明細書等に開示されている。この分
離法は、有機液体中に含有された少量成分の分離に適し
ている。例えば、アルコール発酵槽内からのアルコール
分離や排水中の有機物回収等に適している。
【0003】従来、このような分離方法に用いられる膜
としては、ポリジメチルシロキサン、ポリトリメチルシ
リルプロピン又はこれらの共重合体からなる膜が知られ
ている。しかしながら、このような膜を用いてパーベー
パレーション法により有機液体混合物を分離する場合に
は、膜の選択透過性能が低く、必ずしも効率の良い分離
手段とは言い難い。また、これらの高分子膜は、酸ある
いはアルカリ等の不純物が回収及び/又は精製対象有機
液体中に微量でも含まれていると破壊されるため、実用
化検討もされていないのが実状である。
【0004】最近、高い選択透過性と耐薬品性を有する
撥水性のゼオライト膜が開発され、実用化検討が盛んに
行われ始めた。特に、水熱合成法で多孔質支持基体の表
面に製膜されたZSM−5型ゼオライト膜は、安価で選
択透過性も高く、未利用バイオ系廃棄物の再資源化に適
用可能と言われている。
【0005】この種ZSM−5型ゼオライト膜を多孔質
支持基体の表面に備えて成る混合物分離膜装置及びその
製造方法に関する従来技術文献として、特開平8−25
7302号公報が挙げられる。この文献に開示されてい
るZSM−5型ゼオライト膜を備えて成る混合物分離膜
装置は、ZSM−5型ゼオライト膜形成用の母液に管状
の多孔質支持基体を浸漬し、該母液を加熱して水熱合成
法によりZSM−5型ゼオライトの結晶を合成し、且つ
その結晶を成長させて多孔質支持基体の表面にZSM−
5型ゼオライトの膜を形成することにより製造される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平8−257
302号公報に開示されているZSM−5型ゼオライト
膜を備えて成る混合物分離膜装置は、その製造方法にお
いて、ZSM−5型ゼオライト膜形成用の母液に、水酸
化ナトリウムに基づくナトリウムを成分に含むアルミノ
シリケートゲルを用いているため、該ナトリウムの存在
によりピンホール等の欠陥のない膜を再現性良く製造で
きる利点があった。しかし、製膜されたZSM−5型ゼ
オライト膜中にナトリウムイオンが残存する結果、該ナ
トリウムイオンの存在によって該ZSM−5型ゼオライ
ト膜が親水性を帯び、その分だけ分離性能が低下し、混
合物分離膜装置として一層の分離性能向上を図る上で何
らかの対策が望まれていた。
【0007】本発明の目的は、分離性能を一層向上させ
ることのできる混合物分離膜装置の製造方法および分離
性能を一層向上させた混合物分離膜装置を提供すること
にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するた
め、本願請求項1に記載の発明に係る混合物分離膜装置
の製造方法は、多孔質支持基体の表面にZSM−5型ゼ
オライトの結晶を成長させ得る粉末状の種結晶を存在さ
せる工程と、成分中にナトリウムを含まないZSM−5
型ゼオライト膜形成用の母液中に前記多孔質支持基体を
浸漬し、所定時間加熱して前記多孔質支持基体の表面に
前記種結晶を核にしてZSM−5型ゼオライトの結晶を
成長させてZSM−5型ゼオライトの膜を形成する工程
と、を含むことを特徴とするものである。
【0009】本発明によれば、ZSM−5型ゼオライト
膜形成用の母液が、成分としてナトリウムを含んでいな
いため、多孔質支持基体の表面に製膜されたZSM−5
型ゼオライト膜中に従来のようにナトリウムイオンが残
存するということがない。即ち、前記多孔質支持基体の
表面において前記種結晶を核にしてZSM−5型ゼオラ
イトの結晶が成長し、この結晶成長によりZSM−5型
ゼオライトの膜が、当該多孔質支持基体の表面に形成さ
れるのであるが、この結晶成長は、前記母液中の成分を
栄養として進行するため、ナトリウムイオンのないZS
M−5型ゼオライト膜が得られる。従って、当該膜が親
水性を帯びることはなく、混合物分離膜装置としての分
離性能を一層向上できる。
【0010】しかも、ZSM−5型ゼオライト膜形成用
の母液に浸漬する多孔質支持基体の表面には、予め種結
晶、すなわちZSM−5型ゼオライトの結晶を成長させ
得る粉末状の種結晶が付けられているため、従来のよう
に前記母液中に成分としてナトリウムが含まれていなく
てもピンホールなどの欠陥のないZSM−5型ゼオライ
ト膜を形成することができる。
【0011】更に、多孔質支持基体の表面に、前記種結
晶が予め付いていることにより、テンプレート剤の必要
量を低減することができる。
【0012】当該混合物分離膜装置の製造方法は、前記
多孔質支持基体の表面にZSM−5型ゼオライトの膜を
形成する工程において、最終的にその生成物を焼成する
ことが行われる。この焼成は、ピンホールなどの欠陥の
原因になる未反応物を除去することを目的として行わ
れ、この目的達成の観点から焼成温度及び焼成時間など
の焼成条件が決められる。通常、400℃以上で20〜
40時間焼成され、その際の加熱速度は50℃/h程度
である。
【0013】多孔質支持基体の素材は、例えば、アルミ
ナ多孔質膜、金属、有機高分子、無機高分子、セラミッ
クスなどが挙げられるが、勿論これらのものに限定され
ない。多孔質支持基体の形状は、パーベーパレーション
法やベーパーミエーション法に用いられる混合物分離膜
装置としては、外径約10mm、長さ20cm〜100
cmのパイプであって、その厚さは0.2mm〜数mm
のもの、或いは外径30mm〜100mm、長さ20c
m〜100cm及びそれ以上の円柱に内径2mm〜12
mm程度の軸方向に多数個あるいは蓮根状に開いたもの
が好ましい。
【0014】多孔質支持基体の平均気孔径は、0.05
μm〜10μmがよい。下限の0.05μmを下回ると
透過速度が小さく実用的ではなくなり、上限の10μm
を越えると選択性が低下する。好ましい多孔質支持基体
としては、平均気孔径が0.1μm〜2μm、気孔率が
30%〜50%程度のものが挙げられる。
【0015】次に、ZSM−5型ゼオライトについて
は、例えば富永博夫編「ゼオライトの科学と応用」講談
社サイエンティフィック社 1987年1月発行 2.
2ゼオライトの基本構造単位と分類 第17頁「表2.
2 代表的な分子ふるいゼオライト」などにより従来か
ら知られた物質である。ZSM−5型ゼオライトの活性
が低下した場合には、焼成することにより回復させるこ
とができる。
【0016】多孔質支持基体の表面に予め付けられる前
記種結晶は、前記母液中の成分との関係において、当該
種結晶を核として、ZSM−5型ゼオライトの結晶を成
長させ、膜化することが可能であればよく、特定の種類
のものに限定されない。例えば、ナノサイズのコロイド
状のシリカライト懸濁物や、大きさが4μm〜20μm
程度のシリカライト結晶粉末などが挙げられる。前者の
懸濁物の一例は、出発原料として、TEOS(テトラエ
トキシシラン)、テンプレート剤としてのTPAOH
(水酸化テトラプロピルアンモニウム溶液)、水酸化ナ
トリウム溶液及び蒸留水を用いて、水熱合成法により作
ることができる。その組成は、SiO:TPAOH:
NaOH:HO=10:1〜3:1〜2:50〜20
0である(モル組成比)。前記種結晶は、該懸濁液の中
に前記多孔質支持基体を浸漬して塗布することによりそ
の表面に付けられる。後者の結晶粉末の一例は、出発原
料として、TEOS、テンプレート剤としてのTPAO
H及び蒸留水を用いて、水熱合成法により作ることがで
きる。その組成は、SiO:TPAOH:HO=
1:0.1〜1:50〜200である(モル組成比)。
前記種結晶は、その結晶粉末を蒸留水中に入れ、スラリ
ー状にして、前記多孔質支持基体の表面に塗布すること
により付けられる。前者の種結晶はナトリウムを含んで
いるが、このナトリウムを含む種結晶を用いて当該母液
中で製膜したZSM−5型ゼオライト膜と、後者のナト
リウムを含まない種結晶を用いて当該母液中で製膜した
ZSM−5型ゼオライト膜との間に、後述する実施の形
態で説明するように、分離性能の差は見られず、いずれ
も従来のナトリウムイオンが残存するZSM−5型ゼオ
ライト膜(特開平8−257302号公報)より分離性
能は、向上できた。これは、本発明で用いる前記母液が
その成分にナトリウムを含んでいないため、当該母液中
でZSM−5型ゼオライトの結晶が合成され成長してい
く過程で、ナトリウムを含んでいない種結晶を核とし
て、当該結晶の合成及び成長が進行し、ナトリウムを含
む種結晶を基点としては新たな結晶の合成及び成長が起
こらないからではないかと推定される。
【0017】次に、ZSM−5型ゼオライト膜形成用の
母液は、成分にナトリウムを含まないものであればよ
く、特定の物に限定されない。一例として、請求項2に
記載されたもの、即ち、TEOS、テンプレート剤とし
てのTPAOH及びHOを、モル組成比で、Si
:TPAOH:HO=1:0.1〜1:80〜5
00となるように調整したゲルから成るものが挙げられ
る。該母液中に前記多孔質支持基体を浸漬し、所定時間
加熱して前記多孔質支持基体の表面にて前記種結晶を核
にしてZSM−5型ゼオライトの結晶を成長させるが、
その際の加熱は、母液の温度を当該結晶成長反応を進行
できる温度にするために行われ、その観点からその温度
が決められる。具体的には、加熱手段によって前記母液
の温度が前記テンプレート剤の酸化分解に対する耐熱温
度を越えず、且つ100℃以上となるように行われる
(請求項2に記載)。加熱時間は用いる加熱手段によっ
て変わる。尚、実用的には160℃〜180℃程度の温
度に加熱するのが好ましい。
【0018】請求項2の発明によれば、ZSM−5型ゼ
オライト膜形成用の母液として、上記のような成分及び
組成のものとし、更に母液の温度を前記温度範囲となる
ように加熱手段によって加熱することにより、テンプレ
ート剤を有効に機能させつつ前記多孔質支持基体の表面
にて行われるZSM−5型ゼオライトの結晶成長を円滑
に進行させることができる。それでいて、テンプレート
剤の必要量が少なくて足りている。
【0019】本願請求項3に記載の発明は、請求項2に
記載された混合物分離膜装置の製造方法おいて、前記加
熱手段としてマイクロ波を用いることを特徴とするもの
である。本発明によれば、加熱手段として、マイクロ波
を用いたので、水分子が励起状態に活性化され、この状
態でZSM−5型ゼオライトの合成が行われてその結晶
が成長していくため、単に母液の温度が所望の温度に高
められるのと違って、その合成反応速度が増し、必要な
製膜時間を短縮することができる。水熱合成法では10
時間〜48時間もかかるところを0.25時間〜5時間
程度に短縮できることを本発明者は確認している。
【0020】また、本願請求項4に記載の発明に係る混
合物分離膜装置は、多孔質支持基体と、該多孔質支持基
体の表面に結晶成長して形成されたZSM−5型ゼオラ
イト膜とを備えて成る混合物分離膜装置であって、前記
ZSM−5型ゼオライト膜は、ナトリウムイオンを含ま
ない膜から成ることを特徴とするものである。ここで、
「ナトリウムイオンを含まない」とは、文字通りの濃度
0に限られず、不可避的不純物として存在する範囲まで
は含める意味で用いられている。
【0021】本発明によれば、前記ZSM−5型ゼオラ
イト膜は、ナトリウムイオンを含まない膜から成るた
め、親水性を帯びることはない。従って、分離性能を低
下させる因子がないため、混合物分離膜装置として分離
性能を一層向上することができる。
【0022】本発明の混合物分離膜装置は、パーベーパ
レーション法、ベーパーパーミエーション法、ガス分離
法のいずれにも使用することができる。本発明のZSM
−5型ゼオライト膜の分離対象となる混合物は、特定の
ものに限定されないが、例えば、水と、メタノール、エ
タノール、プロパノールなどのアルコール類との液体混
合物、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、
四塩化炭素、トリクロロエチレンなどのハロゲン化炭化
水素などの有機溶液と、メタノール、エタノール、プロ
パノールなどのアルコール類との液体混合物、前記アル
コール類とベンゼン、シクロヘキサンなどの芳香族類と
の液体混合物、更に前記液体混合物が2種類またはそれ
以上混合された混合物である。また更に、気体混合物の
分離についても利用でき、例えばブタンの異性体である
n−C10とi−C10の分離ができる。本発
明の分離膜が、特に優れた選択性を示す液体混合物の例
としては、有機液体混合物、特に水−エタノール混合
物、水−ブタノール混合物などの水−アルコール混合物
が挙げられる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る混合物分離膜
装置の製造方法の実施の形態を具体的に説明する。図1
は実施の形態1の製法で多孔質ムライト支持基体の表面
にZSM−5型ゼオライト膜を形成したものについての
X線回折図を示すグラフである。図2は実施の形態1の
製法で多孔質ムライト支持基体の表面に製膜された膜表
面のSEM(走査電子顕微鏡)写真である。図3は実施
の形態1の製法によって得られたZSM−5型ゼオライ
ト膜の透過性能を測定した性能評価装置の概略構成図で
ある。図4は実施の形態1の方法で製膜したZSM−5
型ゼオライト膜を有する混合物分離膜装置について行っ
たパーベーパレーションの結果を示すグラフである。
【0024】[実施の形態1]TEOS、テンプレート
剤としてのTPAOH、水酸化ナトリウム溶液及び蒸留
水を用いて、モル組成比で、SiO:TPAOH:N
aOH:HO=10:2.44:1.7:114とな
るように調整したゲルを反応容器中に仕込み、100℃
で48時間水熱合成し、テンプレート(TPAOH)含
有のナノサイズのコロイダルシリカ懸濁物を作成した。
このコロイダルシリカ懸濁物中に管状の多孔質ムライト
支持基体(株式会社ニッカトー製の商品名PMチュー
ブ:直径12cm、長さ20cm、肉厚1.5mm、孔
径1μm、気孔率40%)を浸漬した後、70℃の恒温
槽で乾燥させ、前記多孔質支持基体の表面に種結晶を一
様に塗布した。この種結晶はその製法からナトリウムイ
オンを含んでいる。
【0025】成分中にナトリウムを含まないZSM−5
型ゼオライト膜形成用の母液は、TEOS、テンプレー
ト剤としてのTPAOH及び蒸留水を用いて、モル組成
比で、SiO:TPAOH:HO=1:0.16
7:118となるように調整した。このように調整され
た製膜用ゲルの中に前記種結晶を塗布した多孔質支持基
体を浸漬し、マイクロ波を用いて母液を加熱し170℃
で4時間、ZSM−5型ゼオライトの結晶の合成及び成
長を継続させ、多孔質支持基体の表面にZSM−5型ゼ
オライト膜を形成した。その後、400℃で30時間焼
成した。焼成時の加熱速度は50℃/hとした。
【0026】このようにして製膜されたゼオライト膜の
X線回折図を図1に示した。図1から解るように、ピー
クパターンは、市販されているZSM−5型ゼオライト
の結晶粉末のものと良く一致していることから、当該膜
がZSM−5型ゼオライトで形成されていることが確認
された。
【0027】図2は、実施の形態1の製法で多孔質ムラ
イト支持基体の表面に製膜された膜表面のSEM(走査
電子顕微鏡)写真である。膜厚は3μm〜100μm程
度である。この写真から3μm程度の緻密なZSM−5
型ゼオライト結晶が多孔質ムライト支持基体の表面に析
出していることが確認された。
【0028】[実施の形態2]TEOS、テンプレート
剤としてのTPAOH及び蒸留水を用いて、モル組成比
で、SiO:TPAOH:HO=1:0.167:
118となるように調整したゲルを反応容器中に仕込
み、160℃〜170℃で、16時間水熱合成し、テン
プレート(TPAOH)含有の結晶粉末を作成した。こ
の結晶粉末(粉径は4μm〜20μm)と水をスラリー
状に混合し、管状の多孔質ムライト支持基体(株式会社
ニッカトー製の商品名PMチューブ:直径12cm、長
さ20cm、肉厚1.5mm、孔径1μm、気孔率40
%)上に塗布した後、70℃の恒温槽で乾燥させ、前記
多孔質支持基体の表面に種結晶を一様に分布させた。こ
の種結晶はその製法からナトリウムイオンを含んでいな
い。
【0029】成分中にナトリウムを含まないZSM−5
型ゼオライト膜形成用の母液は、TEOS、テンプレー
ト剤としてのTPAOH及び蒸留水を用いて、モル組成
比で、SiO:TPAOH:HO=1:0.16
7:118となるように調整した。このように調整され
た製膜用ゲルの中に前記種結晶を塗布した多孔質支持基
体を浸漬し、マイクロ波を用いて母液を加熱し170℃
で4時間、ZSM−5型ゼオライトの結晶の合成及び成
長を継続させ、多孔質支持基体の表面にZSM−5型ゼ
オライト膜を形成した。その後、400℃で30時間焼
成した。焼成時の加熱速度は50℃/hとした。
【0030】このようにして製膜されたゼオライト膜の
X線回折図も図1とほとんど同じであり、当該膜がZS
M−5型ゼオライトで形成されていることが確認され
た。
【0031】[実施の形態3]実施の形態1で、製膜用
ゲルの中に前記種結晶を塗布した多孔質支持基体を浸漬
し、マイクロ波を用いて母液を加熱するのを水熱合成に
変えた以外は、実施の形態1と同じにして、多孔質支持
基体の表面にZSM−5型ゼオライト膜を形成した。水
熱合成は、170℃で16時間とした。
【0032】このようにして製膜されたゼオライト膜の
X線回折図も図1とほとんど同じであり、当該膜がZS
M−5型ゼオライトで形成されていることが確認され
た。
【0033】[実施の形態4]実施の形態2で、製膜用
ゲルの中に前記種結晶を塗布した多孔質支持基体を浸漬
し、マイクロ波を用いて母液を加熱するのを水熱合成に
変えた以外は、実施の形態2と同じにして、多孔質支持
基体の表面にZSM−5型ゼオライト膜を形成した。水
熱合成は、170℃で16時間とした。
【0034】このようにして製膜されたゼオライト膜の
X線回折図も図1とほとんど同じであり、当該膜がZS
M−5型ゼオライトで形成されていることが確認され
た。
【0035】[膜の性能評価]次に、前記実施の形態1
によって得たZSM−5型ゼオライト膜を有する混合物
分離膜装置によるパーベーパレーション性能を測定し
た。先ず、図3に示したように、ZSM−5型ゼオライ
ト膜を有する混合物分離膜装置1を性能測定装置の分離
セル2に取り付ける。有効膜面積は47cmであっ
た。
【0036】前記分離セル2は、被透過液室4とその両
側に配置した透過液室5とからなり、被透過液室4と透
過液室5とは前記混合物分離膜装置1によって隔てられ
ていると共に、恒温槽6内に配置されている。被透過液
室4の一方の端部に被透過液7の供給管8が接続され、
他方の端部に排出管9が接続されている。前記供給管8
にポンプ10を介して被透過液貯槽11が取り付けら
れ、また、排出管9には熱交換器12を介して排出液溜
13が取り付けられている。前記混合物分離膜装置1を
透過した分離液は減圧手段により蒸気相で取り出し、冷
却して固化させ、回収した。即ち、透過液室5に接続し
た分離液取り出し用の配管14を配管14Aと配管14
Bとに分岐し、それぞれ冷却トラップ15A,15Bを
介して真空ポンプ16に接続されている。符号17は窒
素ガス排出管を示し、符号18は切換コックを示す。
【0037】性能試験は、被分離液(液体混合物)を1
2〜30cm/分で供給し、真空ポンプ16と冷却ト
ラップ15A又は15Bとにより、透過液室5の内圧を
0.1Torrの真空度を維持した。膜の透過性能は、
単位面積、単位時間当たりの全透過量Q(kg/m
h)と、下記式で定義する分離係数αとにより評価し
た。 α=(P/P)/(F/F) 上記の式中、F、Fは、それぞれ供給液中の液体
A、Bの濃度(wt%)であり、P、Pは、それぞ
れ透過液中の液体A、Bの濃度(wt%)である。
【0038】被分離液をエチルアルコール水溶液(Aが
エチルアルコール、Bが水)とし、実施の形態1の方法
で製膜したZSM−5型ゼオライト膜を有する混合物分
離膜装置について行った評価試験結果を表1に示した。
比較し易くするために、ナトリウムイオンが残存してい
る従来のZSM−5型ゼオライト膜を備えて成る混合物
分離膜装置(特開平8−257302号公報)について
の結果も併記した。
【0039】
【表1】 図4は実施の形態1の方法で製膜したZSM−5型ゼオ
ライト膜を有する混合物分離膜装置について行ったパー
ベーパレーションの結果を示すグラフである。
【0040】以上の結果から、本発明に係るZSM−5
型ゼオライト膜を備えた混合物分離膜装置は、従来のも
のより、膜の透過性能が全透過量Q及び分離係数αのい
ずれにおいても向上していることが解る。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、ZSM−5型ゼオライ
ト膜形成用の母液が、成分としてナトリウムを含んでい
ないため、多孔質支持基体の表面に製膜されたZSM−
5型ゼオライト膜中に従来のようにナトリウムイオンが
残存するということがない。従って、当該膜が親水性を
帯びることはなく、混合物分離膜装置としての分離性能
を一層向上できる。
【0042】しかも、ZSM−5型ゼオライト膜形成用
の母液に浸漬する多孔質支持基体の表面には、予め種結
晶、すなわちZSM−5型ゼオライトの結晶を成長させ
得る粉末状の種結晶が付けられているため、従来のよう
に前記母液中に成分としてナトリウムが含まれていなく
てもピンホールなどの欠陥のないZSM−5型ゼオライ
ト膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の製法で多孔質ムライト支持基体
の表面にZSM−5型ゼオライト膜を形成したものにつ
いてのX線回折図を示すグラフである。
【図2】実施の形態1の製法で多孔質ムライト支持基体
の表面に製膜された膜表面のSEM(走査電子顕微鏡)
写真である。
【図3】実施の形態1の製法によって得られたZSM−
5型ゼオライト膜の透過性能を測定した性能評価装置の
概略構成図である。
【図4】実施の形態1の方法で製膜したZSM−5型ゼ
オライト膜を有する混合物分離膜装置について行ったパ
ーベーパレーションの結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ZSM−5型ゼオライト膜を備えた混合物分離膜装
置 2 分離セル有意さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 撓 山口県宇部市常盤台2−16−1 Fターム(参考) 4D006 GA25 HA21 JA02C KE03Q KE03R KE12P KE12Q KE12R KE16Q KE16R MA02 MA07 MA22 MA24 MA40 MC01 NA39 NA46 NA50 NA63 NA64 PB14 PB32 4G073 BB48 BB58 BD07 BD18 CZ13 FC12 FC25 UA06

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質支持基体の表面にZSM−5型ゼ
    オライトの結晶を成長させ得る粉末状の種結晶を存在さ
    せる工程と、 成分中にナトリウムを含まないZSM−5型ゼオライト
    膜形成用の母液中に前記多孔質支持基体を浸漬し、所定
    時間加熱して前記多孔質支持基体の表面に前記種結晶を
    核にしてZSM−5型ゼオライトの結晶を成長させてZ
    SM−5型ゼオライトの膜を形成する工程と、を含むこ
    とを特徴とする混合物分離膜装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記母液は、TEO
    S(テトラエトキシシラン)、テンプレート剤としての
    TPAOH(水酸化テトラプロピルアンモニウム溶液)
    及びH2Oを、モル組成比で、 SiO:TPAOH:HO=1:0.1〜1:80
    〜500 となるように調整したゲルから成り、 前記加熱は、加熱手段によって前記母液の温度が前記テ
    ンプレート剤の酸化分解に対する耐熱温度を越えず、且
    つ100℃以上となるように行われることを特徴とする
    混合物分離膜装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記加熱手段として
    マイクロ波を用いることを特徴とする混合物分離膜装置
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 多孔質支持基体と、該多孔質支持基体の
    表面に結晶成長して形成されたZSM−5型ゼオライト
    膜とを備えて成る混合物分離膜装置であって、 前記ZSM−5型ゼオライト膜は、ナトリウムイオンを
    含まない膜から成ることを特徴とする混合物分離膜装
    置。
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