JPWO2018124015A1 - 変性高分子ポリオールの製造方法 - Google Patents

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Abstract

高分子ポリオールと、下記式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物とを、エステル交換触媒の存在下で反応させる工程を含む変性高分子ポリオールの製造方法であって、エステル交換触媒が、第12族元素を有する金属化合物、および10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示す塩からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする。これにより、反応中の高分子量化の進行を抑えつつ、良好な色相を維持したまま側鎖にオレフィンを有する変性高分子ポリオールの製造方法が提供される。[式(1)中、R1、R2およびR3は、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。R1、R2およびR3は同じ基でもよいし、異なっていてもよい。Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。nは0〜10の整数を表す。R4は、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。]

Description

本発明は、側鎖にオレフィンを有する変性高分子ポリオールの製造方法に関する。
ビニルアルコール系重合体やセルロースなどに代表される高分子ポリオールは、その高い水溶性や親水性といった特長を活かし、界面活性剤、繊維加工剤、紙加工剤、接着剤、各種バインダー、種々の包装体、シート等の各種用途で幅広く利用されている。各用途において必要とされる物性を得るために特殊な官能基を高分子ポリオールに化学修飾する方法が知られており、高分子ポリオールが有する水酸基と種々の化合物とを反応させる方法が一般的な方法の一つである。
変性高分子ポリオールの中で、側鎖にオレフィンを導入した高分子ポリオールは反応性・架橋性を有する素材として期待されているほか、例えば、オレフィンを導入したビニルアルコール系重合体は、ビニル系単量体の重合用分散安定剤などとしても期待されている。後変性により高分子ポリオールへオレフィンを導入する方法としては、例えば、特許文献1では、ビニルアルコール系重合体の水酸基とオレフィンを有するアルデヒド化合物とを反応させ、アセタール化することでオレフィンを導入することが提案されている。また、特許文献2では、ビニルアルコール系重合体の水酸基とエポキシ化合物とを反応させることが提案されており、オレフィンを有するエポキシ化合物を用いることも記載されている。これらの例に代表されるように、高分子ポリオールの化学修飾によりオレフィンを導入する方法としては、高分子ポリオールの水酸基と極めて高い反応性を有するアルデヒドやエポキシといった化合物を用いる手法が最も一般的に利用されてきた。しかしながら、これらの化合物は変異原性を有しているものが多く、近年の化学物質に対する安全意識の高まりや環境負荷への対応を背景に、こうした変異原性化合物を原料として用いる手法が問題となってきており、代替技術が求められている。
変異原性化合物を用いない高分子ポリオールの後変性技術の一つとして、高分子ポリオールとエステル化合物とのエステル交換反応が挙げられる。特許文献3には、ビニルエステル化合物をエステル化剤に用いて、ビニルアルコール系重合体の水酸基をエステル化する方法が記載されており、オレフィン含有ビニルエステル化合物を用いることが例示されている。しかしながら、特許文献3に記載の製造方法では、変性剤のビニルエステル化合物に汎用性がなく、多様な構造を後変性で導入するためには、対応するビニルエステル化合物の工業的製造方法の確立が必要となり、経済的な観点からその実施が限られている。また、特許文献4には、酸触媒や塩基触媒の存在下で、ポリビニルアルコールと(メタ)アクリレートをエステル交換させる方法が記載されている。
特開2009−108305号公報 特開2003−231715号公報 WO2007/23762号 特開2007−63383号公報
しかしながら、特許文献4には、色相の変化や反応前後の分子量変化について何ら記載されておらず、また、より安全で汎用性の高い原料を用いる後変性技術が求められていた。本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、反応中の高分子量化の進行を抑えつつ、良好な色相を維持したまま、側鎖にオレフィンを有する変性高分子ポリオールを製造する方法の提供を目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の点を見出した。すなわち、高分子ポリオールとオレフィン含有エステル化合物をエステル交換触媒の存在下で反応させる変性高分子ポリオールの製造方法において、エステル交換触媒として、第12族元素を有する金属化合物、および10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示す塩からなる群より選択される少なくとも1種を用いることで、反応中の高分子量化を抑制し、かつ良好な色相を維持できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、上記課題は、
[1]高分子ポリオールと、下記式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物とを、エステル交換触媒の存在下で反応させる工程を含む変性高分子ポリオールの製造方法であって、
エステル交換触媒が、第12族元素を有する金属化合物、および10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示す塩からなる群より選択される少なくとも1種である、変性高分子ポリオールの製造方法;
Figure 2018124015
[式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。R、RおよびRは同じ基でもよいし、異なっていてもよい。Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。nは0〜10の整数を表す。Rは、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。]
[2]ASTM D1925にしたがって測定される変性高分子ポリオールのイエローインデックス(YI)が50以下である、[1]に記載の製造方法;
[3]前記エステル交換触媒が、亜鉛化合物、10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示すアルカリ金属塩、および10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示すアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の製造方法;
[4]前記エステル交換触媒が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、一価以上のアルキルカルボン酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、一価以上のアルキルカルボン酸カリウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、一価以上のアルキルカルボン酸亜鉛、一価以上の含フッ素アルキルカルボン酸亜鉛、亜鉛クラスターおよびアセチルアセトン亜鉛(II)塩からなる群より選択される少なくとも1種である、[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法;
[5]前記高分子ポリオールがビニルアルコール系重合体または多糖類である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法;
[6]前記高分子ポリオールがビニルアルコール系重合体である、[5]に記載の製造方法;
[7]前記エステル化合物がα、β−不飽和エステル化合物である、[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]高分子ポリオールと、下記式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物とを、エステル交換触媒の存在下で反応させる工程を含む変性高分子ポリオールの製造方法であって、該工程前の高分子ポリオールの重量平均分子量(Mw)に対する該工程後の変性高分子ポリオールの重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mw)が0.9〜1.6であり、ASTM D1925にしたがって測定される前記変性高分子ポリオールのイエローインデックス(YI)が50以下である、変性高分子ポリオールの製造方法;
Figure 2018124015
[式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。R、RおよびRは同じ基でもよいし、異なっていてもよい。Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。nは0〜10の整数を表す。Rは、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。]
を提供することにより解決される。
本発明により、反応中の高分子量化の進行を抑えつつ、良好な色相を維持したまま、側鎖にオレフィンを有する変性高分子ポリオールを製造する方法を提供することができる。また、従来、変異原性化合物のような安全性が低い化合物や入手性に乏しい化合物を用いて行われていた高分子ポリオールのオレフィン変性を、より安全で汎用性の高い原料を用いて行うことが可能となる。
実施例4と比較例2における反応前後のGPC分析結果を示した図である。
以下、本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で種々の変更をすることができる。
[エステル交換触媒]
本発明において、反応中のポリマーの高分子量化や色相の悪化を防ぐ観点から、用いるエステル交換触媒の選択が特に重要である。すなわち、本発明において、エステル交換触媒が、第12族元素を有する金属化合物、および10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示す塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが必要である。エステル交換触媒が、亜鉛化合物、10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示すアルカリ金属塩、および10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示すアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、エステル交換触媒が、亜鉛化合物、および10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示すアルカリ金属塩からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。また、エステル交換触媒は、反応中のポリマーの高分子量化をより防ぐ観点からは、亜鉛化合物であることがさらに好ましく、入手容易性や工薬価格の面からは、10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示すアルカリ金属塩であることがさらに好ましい。
亜鉛化合物としては、例えば、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、酸化亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、硫酸亜鉛、亜鉛2−テトラフルオロボラートなどの無機亜鉛化合物;酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、オキソ[ヘキサ(アセタト)]テトラ亜鉛などの一価以上のアルキルカルボン酸亜鉛およびそれらのクラスター;トリフルオロ酢酸亜鉛、オキソ[ヘキサ(トリフルオロアセタト)]テトラ亜鉛などの一価以上の含フッ素アルキルカルボン酸亜鉛およびそれらのクラスター;トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)などのスルホン酸亜鉛;アセチルアセトン亜鉛(II)などの有機亜鉛錯体などが好適に用いられる。中でも、無機亜鉛化合物、一価以上のアルキルカルボン酸亜鉛、一価以上の含フッ素アルキルカルボン酸亜鉛、および有機亜鉛錯体からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、トリフルオロ酢酸亜鉛、およびアセチルアセトン亜鉛(II)からなる群より選択される少なくとも1種がさらに好ましい。なお、本発明においては、上記亜鉛化合物の水和物を使用してもよい。
10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示す塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩および炭酸水素塩;リン酸三リチウム、リン酸二水素カリウム、ピロリン酸ナトリウム、メタリン酸カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のリン酸塩およびリン酸水素塩;メタホウ酸カリウム、四ホウ酸ナトリウム、オルトホウ酸マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属のホウ酸塩;酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の一価以上のカルボン酸塩;水酸化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、テトラメチルアンモニウムメチルカーボネート、テトラメチルアンモニウムエチルカーボネート、メチルトリエチルアンモニウムメチルカーボネート、メチルトリn−ブチルアンモニウムメチルカーボネート、メチルトリn−オクチルメチルカーボネート等のアンモニウム塩;水酸化テトラフェニルホスホニウム、水酸化テトラメチルホスホニウム、テトラメチルホスホニウムメチルカーボネート、メチルトリn−ブチルホスホニウムエチルカーボネート、メチルトリn−オクチルホスホニウムメチルカーボネート等のホスホニウム塩;などが好適に用いられる。中でも、工業的な入手性の観点から、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の炭酸塩および炭酸水素塩、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の一価以上のカルボン酸塩、およびアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、アルカリ金属の炭酸塩および炭酸水素塩、アルカリ金属のカルボン酸塩、およびアンモニウム塩からなる群より選択される少なくとも1種がさらに好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸アンモニウム、および炭酸水素アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種が特に好ましい。
本発明で用いられるエステル交換触媒としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、一価以上のアルキルカルボン酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、一価以上のアルキルカルボン酸カリウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、一価以上のアルキルカルボン酸亜鉛、一価以上の含フッ素アルキルカルボン酸亜鉛、亜鉛クラスターおよびアセチルアセトン亜鉛(II)塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、トリフルオロ酢酸亜鉛、およびアセチルアセトン亜鉛(II)からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
前記エステル交換触媒を用いた場合に、高分子量化や色相の悪化が生じにくい理由は定かではないが、pHが10.5を超える強塩基性の触媒を使用した場合には、高分子ポリオールの水酸基が高度に活性化されるため、オレフィンへの付加反応などの架橋反応が進行するのに対し、第12族元素を有する金属化合物やpHが7.5〜10.5の弱塩基性を示す塩からなる触媒を使用した場合は、高分子ポリオールの水酸基の活性化度合いが前記強塩基性触媒と比べて低いために、架橋反応が生じにくいことが一因であると推測される。また、pHが10.5を超える強塩基性の触媒や酸性の触媒を用いた場合には、高分子ポリオールの水酸基が高度に活性化されるために、分子内での水酸基の脱離が進行しやすく、オレフィンが生成して色相が悪化する可能性があるが、第12族元素を有する金属化合物やpHが7.5〜10.5の弱塩基性を示す塩からなる触媒を使用した場合には、当該反応が進行しにくいためとも推測される。
前記エステル交換触媒はそれぞれ単独で用いても良く、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。また、エステル交換触媒の使用量には特に制限はなく、当該エステル交換触媒の反応性および反応条件に応じて適宜設定することができるが、例えば、高分子ポリオール100質量部に対し、0.005質量部〜30質量部が好適である。0.005質量部未満の場合、反応率が著しく低下するおそれがあり、0.01質量部以上であることがより好適である。30質量部を超える場合、触媒残渣の除去が難しく、得られる変性高分子ポリオールの色相や熱安定性が悪化するなどの問題が生じるおそれがあり、20質量部以下であることがより好適である。上記エステル交換触媒の使用量は、例えば、高分子ポリオールが有する水酸基に対して、0.0001当量〜0.1当量が好ましく、0.0005〜0.08当量がより好ましい。
[高分子ポリオール]
本発明において用いる「高分子ポリオール」とは、数平均分子量が4,000以上の高分子ポリオールを指す。数平均分子量が4,000以上の高分子ポリオールとしては、特に制限されるものではなく、広範の高分子ポリオールを用いることができる。例えば、ビニルアルコール系重合体や多糖類が好適に用いられ、特に、ビニルアルコール系重合体がより好適に用いられる。本発明において用いられる高分子ポリオールは単独で用いても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明で用いられる高分子ポリオールがビニルアルコール系重合体である場合、例えば、数平均分子量(Mn)が4,000〜440,000のものが用いられる。数平均分子量(Mn)は高強度の成形品を得る観点から、好適には4,400以上であり、より好適には11,000以上であり、さらに好適には22,000以上である。一方、数平均分子量(Mn)が高すぎると、溶液の粘度が高くなりすぎて取り扱いが困難になる場合や、溶解速度が低下する場合があるため、数平均分子量(Mn)は220,000以下であることが好ましく、190,000以下であることがより好ましい。本発明におけるビニルアルコール系重合体の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、GPC法により、標準物質にポリメチルメタクリレートを用い、HFIP系カラムで測定した値である。測定方法は実施例に記載した通りである。
本発明で用いられる高分子ポリオールがビニルアルコール系重合体である場合、本発明により得られる側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体におけるビニルアルコール単位の含有量は特に限定されないが、水に対する溶解性の観点から、重合体中の全構成単位を100モル%として、好ましくは50モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは75モル%以上、特に好ましくは80モル%以上である。また、上記ビニルアルコール単位の含有量は、重合体中の全構成単位を100モル%として、好ましくは99.95モル%以下であり、より好ましくは99.90モル%以下である。
ビニルアルコール単位は、加水分解や加アルコール分解などによってビニルエステル単位から誘導することができる。そのためビニルエステル単位からビニルアルコール単位に変換する際の条件等によってはビニルアルコール系重合体中にビニルエステル単位が残存することがある。よって、本発明の側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体は、オレフィンを含むビニルエステル単位以外のビニルエステル単位を含んでいてもよい。
上記ビニルエステル単位のビニルエステルの例としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、オレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどを挙げることができ、これらの中でも酢酸ビニルが工業的観点から好ましい。
本発明で得られる側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体は、本発明の効果が得られる限り、式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物で変性された構成単位、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の構成単位をさらに有することができる。当該構成単位は、例えば、ビニルエステルと共重合可能であり、かつ式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物で変性された構成単位に変換可能な不飽和単量体や、ビニルエステルと共重合可能なエチレン性不飽和単量体等に由来する構成単位である。エチレン性不飽和単量体は、例えば、エチレン、プロピレン、n−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン等のα−オレフィン類;アクリル酸及びその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸i−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸i−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸及びその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸i−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸i−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル類;アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば4級塩);メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸及びその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミン及びその塩(例えば4級塩);メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル、2,3−ジアセトキシ−1−ビニルオキシプロパン等のビニルエーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル類;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;酢酸アリル、2,3−ジアセトキシ−1−アリルオキシプロパン、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等の不飽和ジカルボン酸及びその塩又はそのエステル;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニルなどが挙げられる。
本発明で得られる側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体における、式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物で変性された構成単位、ビニルアルコール単位、及びその他の任意の構成単位の配列順序には特に制限はなく、本発明で得られる側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体などのいずれであってもよい。
本発明で得られる側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体のJIS K6726に準拠して測定した粘度平均重合度は特に限定されず、好ましくは100〜5,000であり、より好ましくは200〜4,000である。粘度平均重合度が100未満になると、フィルムとしたときに当該フィルムの機械的強度が低下することがある。粘度平均重合度が5,000を超える場合、側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体の工業的な製造が難しくなるおそれがある。
本発明において用いられる多糖類としては、例えば、数平均分子量(Mn)が100,000〜100,000,000のものが用いられる。そのような多糖類としては、例えば、アラビアゴム、トラガカント、カラジーナン、フルセララン、ガッティ、グアー、イナゴマメ、プリシウム、キンセ、タマリンドーカラヤーゴムなどのゴム化合物;寒天、アルギネート、アラビノガラクタン、ペクチンなどの植物抽出物;デキストラン、キサンタン、クルドラン、スクレログルカンなどの発酵生成物;酵母グルカン、プルラン、ザンフロー10、ザンフロー21などの細菌抽出物;トウモロコシ、タピオカ、ジャガイモ、小麦、米、ソーガムなどのデンプン;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース及びセルロース誘導体;キチン、キトサン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩などが挙げられる。この中でも特に、デンプン、寒天、アラビアゴム、グアー、ペクチン、カルボキシメチルセルロース、キサンタンなどからなる群から選択される少なくとも1種が、入手性の面から好ましく、特にデンプンが好ましい。デンプンは、既知の方法で、例えば酸でまたは既知の酸化的、酵素的及び/又は機械的方法によって減成されてもよく、エステル化、エーテル化など変性されていてもよい。本発明における多糖類の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、GPC法により、標準物質にプルランを用い、硝酸ナトリウムを添加したジメチルスルホキシド(DMSO)を溶離液に使用して、水・有機溶媒両用カラムで測定した値である。
[オレフィン含有エステル化合物]
本発明において用いられるオレフィン含有エステル化合物は、下記式(1)で示される化合物である。
Figure 2018124015
[式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。R、RおよびRは同じ基でもよいし、異なっていてもよい。Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。nは0〜10の整数を表す。Rは、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。]
式(1)において、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、Rは、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。
置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアルケニル基、置換基を有していてもよいアルキニル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基としては、置換基を有していてもよいシクロアルキル基等が挙げられる。置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアリールアルキル基等が挙げられる。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等が挙げられる。
上記アルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の分岐構造;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等のアリール基;ピリジル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラジニル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基等の複素芳香環基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基等のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基等のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基等のアリールチオ基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基等の三置換シリルオキシ基;アセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基等のアルキルスルフィニル基;フェニルスルフィニル基等のアリールスルフィニル基;メチルスルフォニルオキシ基、エチルスルフォニルオキシ基、フェニルスルフォニルオキシ基、メトキシスルフォニル基、エトキシスルフォニル基、フェニルオキシスルフォニル基等のスルホン酸エステル基;アミノ基;水酸基;シアノ基;ニトロ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子;などが挙げられる。
上記アミノ基としては、1級アミノ基(−NH)の他、2級アミノ基、3級アミノ基であっても良い。2級アミノ基は、−NHR(Rは任意の一価の置換基である)で示されるモノ置換アミノ基であり、Rとしては、アルキル基、アリール基、アセチル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、tert−ブトキシカルボニル基等が挙げられる。2級アミノ基としては、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基等のようにRがアルキル基である2級アミノ基や、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基等のようにRがアリール基である2級アミノ基等が挙げられる。また、Rにおけるアルキル基やアリール基の水素原子が、更にアセチル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、tert−ブトキシカルボニル基等で置換されていてもよい。
3級アミノ基は、−NR(R及びRは任意の一価の置換基である)で示されるジ置換アミノ基であり、Rとしては、Rと同様のものを用いることができ、R及びRは互いに同じでも異なっていてもよい。3級アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジブチルアミノ基、エチルメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、メチルフェニルアミノ基等のようにR及びRがアルキル基及びアリール基からなる群から選択される少なくとも1種である3級アミノ基等が挙げられる。
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メチルビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、シクロプロペニル基、シクロブテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。これらアルケニル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、上記アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。
アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、プロパルギル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。これらアルキニル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、上記アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。
シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプタニル基、シクロオクタニル基、シクロノナニル基、シクロデカニル基、シクロウンデカニル基、シクロドデカニル基等が挙げられる。これらシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、上記アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等が挙げられる。これらアリール基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、上記アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものや、上述のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等を用いることができる。
アリールアルキル基としては、例えば、ベンジル基、4−メトキシベジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基等が挙げられる。これらアリールアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができる。
式(1)におけるRおよびRとしては、反応性の観点から、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基であることが好ましく、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基であることがより好ましく、水素原子であることがさらに好ましい。置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基の中では、置換基を有していてもよいアルキル基がRおよびRとして好適に用いられ、アルキル基の炭素数としては、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基及びネオペンチル基からなる群から選択される少なくとも1種がさらに好適に用いられ、メチル基及びエチル基からなる群から選択される少なくとも1種が特に好適に用いられる。置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基の中では、置換基を有していてもよいシクロアルキル基がRおよびRとして好適に用いられる。シクロアルキル基の中でも、シクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロペンチル基からなる群から選択される少なくとも1種がより好適に用いられる。
式(1)におけるRとしては、反応性の観点から、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基または置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基であることが好ましく、それぞれ独立して水素原子または置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基の中では、置換基を有していてもよいアルキル基がRとして好適に用いられ、アルキル基の炭素数としては、1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基及びネオペンチル基からなる群から選択される少なくとも1種がさらに好適に用いられ、メチル基が特に好適に用いられる。したがって、上記式(1)におけるRとしては、水素原子又はメチル基であることが本発明の好適な実施態様である。置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基の中では、置換基を有していてもよいシクロアルキル基がRとして好適に用いられる。中でも、シクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロペンチル基からなる群から選択される少なくとも1種のシクロアルキル基がより好適に用いられる。
式(1)において、Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。
置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいアルキレン基等が挙げられる。置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基としては、置換基を有していてもよいシクロアルキレン基等が挙げられる。置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいアリーレン基等が挙げられる。
アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基等が挙げられる。これらアルキレン基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができ、メチル基、エチル基等のアルキル基を分岐構造として有するものが好適に採用される。すなわち、置換基を有していてもよいアルキレン基が、分岐構造を有していてもよいアルキレン基であることが好適な実施態様である。
分岐構造を有していてもよいアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、1−メチルエチレン基、2−メチルエチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、1,2−ジメチルエチレン基、2,2−ジメチルエチレン基、1−エチルエチレン基、2−エチルエチレン基、プロピレン基、1−メチルプロピレン基、2−メチルプロピレン基、3−メチルプロピレン基、1,1−ジメチルプロピレン基、1,2−ジメチルプロピレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、1,3−ジメチルプロピレン基、ブチレン基、1−メチルブチレン基、2−メチルブチレン基、3−メチルブチレン基、4−メチルブチレン基、1,1−ジメチルブチレン基、2,2−ジメチルブチレン基、3,3−ジメチルブチレン基、4,4−ジメチルブチレン基、1,2−ジメチルブチレン基、1,3−ジメチルブチレン基、1,4−ジメチルブチレン基、2,3−ジメチルブチレン基、2,4−ジメチルブチレン基、3,4−ジメチルブチレン基、1−エチルブチレン基、2−エチルブチレン基、3−エチルブチレン基、4−エチルブチレン基、1,1−ジエチルブチレン基、2,2−ジエチルブチレン基、ペンチレン基、1−メチルペンチレン基、2−メチルペンチレン基、3−メチルペンチレン基、4−メチルペンチレン基、5−メチルペンチレン基、1,1−ジメチルペンチレン基、2,2−ジメチルペンチレン基、3,3−ジメチルペンチレン基、4,4−ジメチルペンチレン基、5,5−ジメチルペンチレン基、1,2−ジメチルペンチレン基、1,3−ジメチルペンチレン基、1,4−ジメチルペンチレン基、2,3−ジメチルペンチレン基、2,4−ジメチルペンチレン基、3,4−ジメチルペンチレン基、1−エチルペンチレン基、2−エチルペンチレン基、3−エチルペンチレン基、4−エチルペンチレン基、5−エチルペンチレン基、1,1−ジエチルペンチレン基、2,2−ジエチルペンチレン基、へキシレン基、1−メチルへキシレン基、2−メチルへキシレン基、3−メチルへキシレン基、4−メチルへキシレン基、5−メチルへキシレン基、6−メチルへキシレン基、1,1−ジメチルへキシレン基、2,2−ジメチルへキシレン基、3,3−ジメチルへキシレン基、4,4−ジメチルへキシレン基、5,5−ジメチルへキシレン基、6,6−ジメチルへキシレン基、1,2−ジメチルへキシレン基、1,3−ジメチルへキシレン基、1,4−ジメチルへキシレン基、2,3−ジメチルへキシレン基、2,4−ジメチルへキシレン基、3,4−ジメチルへキシレン基、1−エチルへキシレン基、2−エチルへキシレン基、3−エチルへキシレン基、4−エチルへキシレン基、5−エチルへキシレン基、6−エチルへキシレン基、1,1−ジエチルへキシレン基、2,2−ジエチルへキシレン基、ヘプチレン基、1−メチルヘプチレン基、2−メチルヘプチレン基、3−メチルヘプチレン基、4−メチルヘプチレン基、5−メチルヘプチレン基、6−メチルヘプチレン基、7−メチルヘプチレン基、1,1−ジメチルヘプチレン基、2,2−ジメチルヘプチレン基、3,3−ジメチルヘプチレン基、4,4−ジメチルヘプチレン基、5,5−ジメチルヘプチレン基、6,6−ジメチルヘプチレン基、7,7−ジメチルヘプチレン基、1,2−ジメチルヘプチレン基、1,3−ジメチルヘプチレン基、1,4−ジメチルヘプチレン基、2,3−ジメチルヘプチレン基、2,4−ジメチルヘプチレン基、3,4−ジメチルヘプチレン基、1−エチルヘプチレン基、2−エチルヘプチレン基、3−エチルヘプチレン基、4−エチルヘプチレン基、5−エチルヘプチレン基、6−エチルヘプチレン基、7−エチルヘプチレン基、1,1−ジエチルヘプチレン基、2,2−ジエチルヘプチレン基、オクチレン基、1−メチルオクチレン基、2−メチルオクチレン基、3−メチルオクチレン基、4−メチルオクチレン基、5−メチルオクチレン基、6−メチルオクチレン基、7−メチルオクチレン基、8−メチルオクチレン基、1,1−ジメチルオクチレン基、2,2−ジメチルオクチレン基、3,3−ジメチルオクチレン基、4,4−ジメチルオクチレン基、5,5−ジメチルオクチレン基、6,6−ジメチルオクチレン基、7,7−ジメチルオクチレン基、8,8−ジメチルオクチレン基、1,2−ジメチルオクチレン基、1,3−ジメチルオクチレン基、1,4−ジメチルオクチレン基、2,3−ジメチルオクチレン基、2,4−ジメチルオクチレン基、3,4−ジメチルオクチレン基、1−エチルオクチレン基、2−エチルオクチレン基、3−エチルオクチレン基、4−エチルオクチレン基、5−エチルオクチレン基、6−エチルオクチレン基、7−エチルオクチレン基、8−エチルオクチレン基、1,1−ジエチルオクチレン基、2,2−ジエチルオクチレン基、ノニレン基、デシレン基が挙げられる。
シクロアルキレン基としては、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等が挙げられる。これらシクロアルキレン基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができ、メチル基、エチル基等のアルキル基を分岐構造として有するものが好適に採用される。すなわち、置換基を有していてもよいシクロアルキレン基が、分岐構造を有していてもよいシクロアルキレン基であることが好適な実施態様である。
アリーレン基としては、フェニレン基、ナフチレン基、アントリレン基、フェナントリレン基、フルオレニレン基等が挙げられる。これらアリーレン基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、アルキル基の説明のところで例示された置換基と同様のものを用いることができ、メチル基、エチル基等のアルキル基を分岐構造として有するものが好適に採用される。すなわち、置換基を有していてもよいアリーレン基が、分岐構造を有していてもよいアリーレン基であることが好適な実施態様である。
式(1)において、nは0〜10の整数を表す。nは0〜8であることが好ましく、0〜5であることがより好ましく、0〜3であることがさらに好ましく、0であることが特に好ましい。
式(1)におけるRは、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表し、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、または置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基が好ましく、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基がより好ましい。置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基の中では、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキル基がRとして好適に用いられる。置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基の中では、置換基を有していてもよいシクロアルキル基がRとして好適に用いられる。中でも、シクロプロピル基、シクロブチル基及びシクロペンチル基からなる群から選択される少なくとも1種のシクロアルキル基がより好適に用いられる。本発明において、エステル交換反応の際、ROH(Rは前記式(1)と同義)で表わされるアルコールが脱離するが、当該アルコールを反応系外に除去することで、高分子ポリオールと式(1)で表されるエステル化合物との反応が促進される。かかる観点から、ROHで表わされるアルコールは低沸点の化合物であることが好ましい。この理由により、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基がRとしてより好適に採用され、アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基及びtert−ブチル基からなる群から選択される少なくとも1種がさらに好適に用いられ、メチル基が特に好適に用いられる。
式(1)で示されるエステル化合物は特に限定されないが、例えば、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、けい皮酸メチル、クロトン酸メチル、3−メチル−3−ブテン酸メチル、4−ペンテン酸メチル、2−メチル−4−ペンテン酸メチル、5−ヘキセン酸メチル、3,3−ジメチル−4−ペンテン酸メチル、7−オクテン酸メチル、trans−3−ペンテン酸メチル、trans−4−デセン酸メチル、3−メチル−3−ブテン酸エチル、4−ペンテン酸エチル、2−メチル−4−ペンテン酸エチル、5−ヘキセン酸エチル、3,3−ジメチル−4−ペンテン酸エチル、7−オクテン酸エチル、trans−3−ペンテン酸エチル、trans−4−デセン酸エチル、10−ウンデセン酸メチルなどが好適に用いられる。エステル交換反応の容易性の観点から、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、けい皮酸メチル、クロトン酸メチル、3−メチル−3−ブテン酸メチル、4−ペンテン酸メチル、2−メチル−4−ペンテン酸メチル、5−ヘキセン酸メチル、3,3−ジメチル−4−ペンテン酸メチル、7−オクテン酸メチル、trans−3−ペンテン酸メチル、trans−4−デセン酸メチル及び10−ウンデセン酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、水溶性と高エネルギー線の反応性の観点から、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、クロトン酸メチル、3−メチル−3−ブテン酸メチル、4−ペンテン酸メチル、2−メチル−4−ペンテン酸メチル、5−ヘキセン酸メチル、3,3−ジメチル−4−ペンテン酸メチル及び10−ウンデセン酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、3−メチル−3−ブテン酸メチル、3,3−ジメチル−4−ペンテン酸メチル及び10−ウンデセン酸メチルからなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましい。なお、エステル交換反応においては、これらのエステル化合物を2種以上併用してもよい。一般に、α、β−不飽和エステル化合物は反応性が高いため、従来の方法では、反応中のポリマーの高分子量化が起きやすい。一方で本発明の製造方法は、反応中のポリマーの高分子量化が抑制することができるため、α、β−不飽和エステル化合物を使用する際に特に有用である。
[エステル交換反応]
本発明におけるエステル交換反応の方法としては、本発明に記載のエステル交換触媒の存在下で行う限り特に制限はなく、目的とする変性高分子ポリオールの要求特性によって選択できる。例えば、溶融された高分子ポリオールに、式(1)で表されるエステル化合物及びエステル交換触媒を混合し反応させる方法、式(1)で表されるエステル化合物とエステル交換触媒が溶解し、且つ高分子ポリオールが溶解しない溶媒中で、スラリー状態で反応させる方法、高分子ポリオール、式(1)で表されるエステル化合物、及びエステル交換触媒が全て均一に溶解した溶液状態で反応させる方法などが挙げられる。これらの方法は、反応性や変性高分子ポリオールの単離性などを考慮した上で、適宜好適な手法を採用することが出来る。
エステル交換反応をスラリー状態もしくは均一溶液状態で行う場合、反応時の高分子ポリオールの濃度は特に限定されないが、1質量%〜50質量%が好適であり、2質量%〜40質量%がより好ましく、3質量%〜30質量%がさらに好ましい。1質量%未満の場合、希薄なため反応速度が低下するおそれがある。50質量%を超える場合、撹拌不良に陥ることがある。
エステル交換反応に用いられる溶媒は特に限定されないが、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール類;n−ヘキサン、n−ペンタン、シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素類;クロロホルム、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの脂肪族または芳香族ハロゲン化物;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、アニソール、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサンなどのエーテル類;アセトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類;N−メチル−2−ピロリドンなどのN−アルキルラクタム類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのN,N−ジアルキルアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランなどのスルホラン類などが挙げられる。特にこれらのうち、ニトリル類、エーテル類、ケトン類、エステル類、N−アルキルラクタム類、N,N−ジアルキルアミド類、スルホキシド類、スルホラン類などの非プロトン性極性溶媒が好ましく、N−アルキルラクタム類、N,N−ジアルキルアミド類、スルホキシド類がより好ましい。溶媒は2種類以上を組み合わせて用いてもよく、例えばスラリー反応では、高分子ポリオールが溶解しない溶媒とN,N−ジアルキルラクタム類、スルホキシド類などの高分子ポリオールを膨潤させる溶媒とを組み合わせて用いても良い。
エステル交換反応の温度は特に限定されないが、式(1)で表されるエステル化合物から脱離したアルコールが反応系外に除去されるよう、当該アルコールの沸点以上で反応させることが望ましい。かかる観点から、20〜200℃が好適であり、30〜180℃がより好ましく、50〜170℃がさらに好ましく、70〜150℃が最も好ましい。エステル化合物から脱離したアルコールの沸点を下げるため、必要に応じて反応系を減圧にしてもよく、好ましくは5kPa〜99kPaであり、より好ましくは8kPa〜97kPaであり、さらに好ましくは10kPa〜95kPaである。また、エステル化合物から脱離したアルコールを反応系外に除去するために、当該アルコールを除去するような添加剤を併用してもよく、例えばモレキュラーシーブなどを反応溶液中に添加したり、蒸留管に充填して反応容器に接続してもよい。また、ガスを反応容器中に通気することで、当該アルコールを積極的に流出させても良い。
エステル交換反応においては、高分子ポリオール、オレフィン含有エステル化合物、エステル交換触媒、反応溶媒以外の成分を含んでいてもよい。例えば、オレフィン含有エステル化合物の重合が進行しないように、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤の添加量は例えば0.01質量%〜1質量%であってもよく、0.05質量%〜0.5質量%がより好ましい。重合禁止剤としては、例えば、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、p−ニトロソフェノールなどのヒドロキシ芳香族化合物;ベンゾキノン、ナフトキノンなどのキノン化合物;ムコン酸、ソルビン酸などの共役カルボン酸類;フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート、ジラウリルチオジプロピオネートなどのチオエーテル類;p−フェニレンジアミン、N−ニトロソジフェニルアミンなどの芳香族アミン類;2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどのニトロキシド類;酢酸銅、ジチオカルバミン酸銅、酢酸マンガンなどの遷移金属塩などが好適に用いられる。
エステル交換触媒の存在下で反応させる工程において、前記工程前の高分子ポリオールの重量平均分子量(Mw)に対する前記工程後の変性高分子ポリオールの重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mw)が0.9〜1.6であることが好ましく、前記比(Mw/Mw)が上記範囲内であることにより、反応中の高分子量化の進行を抑えることが可能となる。前記比(Mw/Mw)が1.6を超える場合、高分子量化が進行してしまうこととなり、1.5以下であることがより好ましく、1.4以下であることがさらに好ましく、1.3以下であることが特に好ましい。また、前記比(Mw/Mw)は1.0以上であることが好ましい。反応中の高分子量化の進行を抑えつつ、良好な色相を維持したまま変性高分子ポリオールを提供する観点から、本発明の好ましい一態様としては、前記比(Mw/Mw)が0.9〜1.6であり、かつ後述するASTM D1925にしたがって測定される、変性高分子ポリオールのイエローインデックス(YI)が50以下である構成を採用することが重要である。
本発明は、以上説明したようなエステル交換反応により行われ、その結果物として変性高分子ポリオールが得られる。本発明により得られる変性高分子ポリオールもまた本発明のひとつである。
前記エステル交換反応後に変性高分子ポリオールを取り出す方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法により行うことができる。例えば、高分子ポリオールを溶媒に溶解させて反応させる均一系反応の場合には、反応溶液を、高分子ポリオールおよび変性高分子ポリオールが溶解しない溶媒(貧溶媒)に添加、析出させることで取り出してもよい。このとき、ミキサーを使用して反応溶液と貧溶媒の混合と析出した樹脂の切断とを同時に行うことによりスラリー化したり、湿式紡糸装置、乾湿式紡糸装置により繊維状の形態で取り出してもよい。あるいは、スプレードライ法による微粉化、または流廷法やダイ等から押し出して成膜する方法を採用することもできる。取り出した樹脂は、樹脂が溶解しないような有機溶媒や水などで洗浄してもよく、送風乾燥機などで乾燥してもよい。高分子ポリオールが溶解しないようなスラリー状態で反応させる場合には、反応後にろ過、遠心脱液等で固液分離することで樹脂を分離してもよい。分離された樹脂は、樹脂が溶解しないような有機溶媒や水で洗浄してもよく、送風乾燥機などで乾燥してもよい。
[変性高分子ポリオール]
本発明で得られる変性高分子ポリオールにおける、式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物で変性された構成単位の含有量は特に限定されないが、重合体中の全構成単位を100モル%として、好ましくは0.05モル%以上であり、より好ましくは0.1モル%以上であり、特に好ましくは0.3モル%以上である。また、上記式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物で変性された構成単位の含有量は、重合体中の全構成単位を100モル%として、好ましくは10モル%以下であり、より好ましくは7モル%以下であり、特に好ましくは5モル%以下である。含有量がこれらの好ましい範囲にある場合、高エネルギー線により架橋された皮膜の耐水性が発現しやすい。含有量が0.05モル%未満であると、式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物で変性することによる高分子ポリオールの改質効果が不十分となることがある。含有量が10モル%を超えると、変性高分子ポリオールの結晶性が低下し始める傾向にあり、架橋皮膜の耐水性が低下する場合があるだけでなく、疎水化されることで水溶性も悪化するおそれがある。本発明で得られる変性高分子ポリオールは、式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物で変性された構成単位を1種又は2種以上有していてもよい。2種以上の当該構成単位を有する場合、これら2種以上の構成単位の含有量の合計が上記範囲にあることが好ましい。式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物で変性された構成単位の含有量は、実施例の「変性率の算出」に記載の方法に従って、H−NMR測定によって求められる。なお、本発明において重合体中の構成単位とは、重合体を構成する繰り返し単位のことをいう。例えば、ビニルアルコール単位や、ビニルエステル単位も構成単位である。
本発明で得られる変性高分子ポリオールの中でも、例えば側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体などは、外観が重要となる繊維などの用途に用いられるため、ポリマーの色相が良好であることが好ましい。かかる観点から、本発明で得られる変性高分子ポリオールのイエローインデックス(YI)は50以下であることが好ましい。当該イエローインデックス(YI)は、ASTM D1925にしたがって測定されるものである。例えば、側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体においては、主鎖中の炭素−炭素二重結合の含有量を少なくすることによって、YIが小さく色相に優れた側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体を得ることができる。YIは、より好適には40以下であり、さらに好適には30以下であり、特に好適には20以下である。ここで、YIは、変性高分子ポリオールの粉体を分光測色計(D65光源、CM−A120白色校正板、正反射測定SCE)を用いて、粉体を押さえつけないようにしてシャーレに敷き詰めた試料を測定して求められる。具体的には、実施例に記載した方法に従って測定した値である。
本発明で用いられる高分子ポリオールがビニルアルコール系重合体である場合、得られる側鎖オレフィン含有ビニルアルコール系重合体は、下記式(2)で表わされる構成単位を有するものである。すなわち、「式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物で変性された構成単位」は、下記式(2)で示される構成単位に相当する。
Figure 2018124015
[式(2)中、R、R、R、X及びnは、前記式(1)と同義である。]
本発明で得られる変性高分子ポリオールは、その特性を利用して、単独で又は他の成分を添加した組成物として、成形、紡糸、エマルジョン化等の公知方法に従い、高分子ポリオールが用いられる各種用途に使用可能である。例えば、各種用途の界面活性剤、紙用コーティング剤、紙用内添剤及び顔料バインダーなどの紙用改質剤、木材、紙、アルミ箔及び無機物などの接着剤、不織布バインダー、塗料、経糸糊剤、繊維加工剤、ポリエステルなどの疎水性繊維の糊剤、その他各種フィルム、シート、ボトル、繊維、増粘剤、凝集剤、土壌改質剤、含水ゲルなどに使用できる。
本発明で得られる変性高分子ポリオールには、その用途に応じ、本発明の効果を阻害しない範囲において、充填材、銅化合物などの加工安定剤、耐候性安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、他の熱可塑性樹脂、潤滑剤、香料、消泡剤、消臭剤、増量剤、剥離剤、離型剤、補強剤、防かび剤、防腐剤、結晶化速度遅延剤などの添加剤を、必要に応じて適宜配合できる。
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「%」および「部」は特に断りのない限り、それぞれ「質量%」および「質量部」を表す。
[エステル交換触媒の10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)のpH測定]
90質量部のイオン交換水にエステル交換触媒10質量部を溶解させ、東亜ディーケーケー株式会社製pHメーター「HM−30P」を用いて、20℃におけるpHを測定した。
[変性率の算出]
日本電子株式会社製核磁気共鳴装置「LAMBDA 500」を用い、室温で変性高分子ポリオールのH−NMRを測定し、オレフィンプロトン由来のピーク(5.0〜7.5ppm)の積分値から、変性率を算出した。例えば、実施例1においては、5.6ppmおよび6.0ppmに表れるオレフィンプロトン由来のピークの積分値から、変性率を算出した。
[数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)の測定]
東ソー株式会社製サイズ排除高速液体クロマトグラフィー装置「HLC−8320GPC」を用い、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)を測定した。測定条件は以下の通りである。
カラム:東ソー株式会社製HFIP系カラム「GMHHR−H(S)」2本直列接続
標準試料:ポリメチルメタクリレート
溶媒及び移動相:トリフルオロ酢酸ナトリウム−HFIP溶液(濃度20mM)
流量:0.2mL/min
温度:40℃
試料溶液濃度:0.1質量%(開口径0.45μmフィルターでろ過)
注入量:10μL
検出器:RI
[色相(イエローインデックス;YI)の測定]
実施例または比較例で得られた変性高分子ポリオールの粉体のYI(ASTM D1925)を、下記の方法により、コニカミノルタ株式会社製分光測色計「CM−8500d」を用いて測定した(光源:D65、CM−A120白色校正板、CM−A126シャーレセット使用、正反射測定SCE、測定径φ30mm)。シャーレに試料5gを添加し、粉体を押さえつけないようにして軽く側面をたたいて振とうし、まんべんなく均一に粉体を敷き詰めた。この状態で合計10回の測定を行い(各回でシャーレを一度振とうしてから再測定)、その平均値を樹脂のYIとした。
[実施例1]
セパラブルフラスコにジメチルスルホキシド(超脱水)(DMSO、和光純薬工業株式会社製、型番:044−32813)を36質量部、ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製、「PVA 5−88」、数平均分子量(Mn):37500、重合度:500)を9質量部加え、攪拌しながら100℃に昇温することで、均一溶液を得た。そこへ、メタクリル酸メチル(MMA、和光純薬工業株式会社製、型番:139―02726)を6.0質量部、フェノチアジン(和光純薬工業株式会社製、型番:165−24142)を0.1質量部加え、均一になるまで攪拌した。均一になった後、エステル交換触媒として硝酸亜鉛六水和物(和光純薬工業株式会社製、型番:265−01032)を1.8質量部加え、5時間反応させた後、室温に放冷した。反応溶液にDMSOを100質量部加え希釈した後、1000質量部のメタノールに滴下することで、変性高分子ポリオールを析出させた。析出させた変性高分子ポリオールを1000質量部のメタノールで2回洗浄したのち、真空乾燥させた。
得られた変性高分子ポリオール0.03質量部を1質量部の重水素化DMSOに溶解させ、H−NMR測定を行ったところ、得られた変性高分子ポリオールの変性率は1.0mol%であった。また、得られた変性高分子ポリオールのYIは22.5であった。得られた変性高分子ポリオールを1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(和光純薬工業株式会社製、型番:085−04235)に溶解させて0.1%溶液を調製したのち、GPC測定に供した。結果、変性高分子ポリオールの重量平均分子量(Mw)は95000であった。同様に測定した変性反応前の高分子ポリオールの重量平均分子量(Mw)は87000であり、Mw/Mw=1.1であった。結果を表1に示す。
[実施例2]
実施例1において、「PVA 5−88」に代えて「PVA 60−98」(数平均分子量(Mn):141000、重合度2400)を用い、エステル化合物としてMMAに代えて3,3−ジメチル−4−ペンテン酸メチル(東京化成工業株式会社製、型番:D2153)11.6質量部を用い、反応温度を120℃とし、反応時間を8時間とし、エステル交換触媒として硝酸亜鉛六水和物に代えてアセチルアセトン亜鉛(II)塩(東京化成工業株式会社製、型番:Z0002)0.27質量部を用いた以外は、実施例1と同様に反応、後処理および分析をおこなった。変性率は1.3mol%、YIは27.5であり、Mwは310000、Mwは340000、Mw/Mw=1.1であった。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、「PVA 5−88」に代えて「PVA 29−99」(数平均分子量(Mn):89600、重合度:1700)を用い、エステル化合物としてMMAに代えて10−ウンデセン酸メチル(東京化成工業株式会社製、型番:U0036)20.3質量部を用い、反応温度を110℃とし、反応時間を3時間とし、エステル交換触媒として硝酸亜鉛六水和物に代えて塩化亜鉛(和光純薬工業株式会社製、型番:268−01022)0.28質量部を用いた以外は、実施例1と同様に反応、後処理および分析をおこなった。変性率は0.6mol%、YIは13.2であり、Mwは197000、Mwは220000、Mw/Mw=1.1であった。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例1において、「PVA 5−88」に代えて「Elvanol(登録商標) 71−30」(数平均分子量(Mn):94000、重合度:1700)を用い、MMA添加量を18質量部とし、エステル交換触媒として硝酸亜鉛六水和物に代えて酢酸亜鉛(和光純薬工業株式会社製、型番:268−01882)0.37質量部を用いた以外は、実施例1と同様に反応、後処理および分析をおこなった。変性率は2.3mol%、YIは9.0であり、Mwは206000、Mwは236000、Mw/Mw=1.1であった。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1において、「PVA 5−88」に代えて「PVA 28−98」(数平均分子量(Mn):73600、重合度:1700)を用い、MMA添加量を4.0質量部とし、反応温度を120℃とし、エステル交換触媒として硝酸亜鉛六水和物に代えて炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、型番:199−05985)0.09質量部を用いた以外は、実施例1と同様に反応、後処理および分析をおこなった。炭酸水素ナトリウムの10質量%水溶液は調製できなかったため、飽和水溶液の20℃におけるpHを測定したところ、pHは7.9であった。得られた変性高分子ポリオールの変性率は1.4mol%、YIは26.4であり、Mwは185000、Mwは225000、Mw/Mw=1.2であった。結果を表1に示す。
[実施例6]
実施例1において、「PVA 5−88」に代えて「PVA 28−98」(数平均分子量(Mn):73600、重合度:1700)を用い、エステル交換触媒として硝酸亜鉛六水和物に代えて酢酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、型番:192−01075)0.17質量部を用いた以外は、実施例1と同様に反応、後処理および分析をおこなった。酢酸ナトリウムの10質量%水溶液の25℃におけるpHは8.7であった。変性率は3.5mol%、YIは16.5であり、Mwは185000、Mwは249000、Mw/Mw=1.3であった。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、「PVA 5−88」に代えて「PVA 60−98」(数平均分子量(Mn):141000、重合度:2400)を用い、エステル化合物としてMMAに代えて10−ウンデセン酸メチル40質量部を用い、反応温度を120℃とし、反応時間を10時間とし、エステル交換触媒を添加せずに反応を行った以外は、実施例1と同様の操作、後処理および分析をおこなったところ、反応は全く進行していない結果であった。
[比較例2]
実施例1において、「PVA 5−88」に代えて「Elvanol(登録商標) 71−30」(数平均分子量(Mn):94000、重合度:1700)を用い、MMA添加量を2.0質量部とし、反応時間を3時間とし、エステル交換触媒として硝酸亜鉛六水和物に代えてナトリウムメトキシドメタノール溶液(水酸化ナトリウム15質量部をメタノール85質量部に溶解したもの)0.5質量部を用いた以外は、実施例1と同様に反応、後処理および分析をおこなった。上記ナトリウムメトキシドメタノール溶液の10質量%水溶液の25℃におけるpHは12.8であった。得られた変性高分子ポリオールの変性率は2.6mol%、YIは35.4であり、Mwは206000、Mwは385000、Mw/Mw=1.9であった。結果を表1に示す。
[比較例3]
実施例1において、「PVA 5−88」に代えて「PVA 29−99」(数平均分子量(Mn):89600、重合度:1700)を用い、MMAに代えて3,3−ジメチル−4−ペンテン酸メチル2.9質量部を用い、反応温度を120℃とし、反応時間を10時間とし、エステル交換触媒として硝酸亜鉛六水和物に代えて硫酸(和光純薬工業株式会社製、型番:195−04706)0.2質量部を用いた以外は、実施例1と同様に反応、後処理および分析をおこなった。硫酸の10質量%水溶液の25℃におけるpHは−0.3であった。得られた変性高分子ポリオールの変性率は0.2mol%、YIは80.2であり、Mwは197000、Mwは203000、Mw/Mw=1.0であった。結果を表1に示す。
Figure 2018124015
実施例1〜6から明らかなように、エステル交換触媒として、亜鉛化合物に代表される第12族元素を有する金属化合物、炭酸水素ナトリウムや酢酸ナトリウムに代表される10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示す塩を用いた場合には、変性反応中の高分子量化が進行しにくく、また良好な色相が維持されている。一方で、比較例2および3で示される通り、10質量%水溶液の25℃におけるpHが10.5超である塩基触媒、10質量%水溶液の25℃におけるpHが7.5未満酸触媒を用いた場合には、反応中に著しく高分子量化したり、色相が悪化する結果となった。

Claims (8)

  1. 高分子ポリオールと、下記式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物とを、エステル交換触媒の存在下で反応させる工程を含む変性高分子ポリオールの製造方法であって、
    エステル交換触媒が、第12族元素を有する金属化合物、および10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示す塩からなる群より選択される少なくとも1種である、変性高分子ポリオールの製造方法。
    Figure 2018124015
    [式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。R、RおよびRは同じ基でもよいし、異なっていてもよい。Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。nは0〜10の整数を表す。Rは、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。]
  2. ASTM D1925にしたがって測定される変性高分子ポリオールのイエローインデックス(YI)が50以下である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記エステル交換触媒が、亜鉛化合物、10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示すアルカリ金属塩、および10質量%水溶液(飽和溶解度が10質量%未満の場合は飽和水溶液)の20℃におけるpHが7.5〜10.5を示すアルカリ土類金属塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記エステル交換触媒が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、一価以上のアルキルカルボン酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸カリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸二水素カリウム、一価以上のアルキルカルボン酸カリウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛、一価以上のアルキルカルボン酸亜鉛、一価以上の含フッ素アルキルカルボン酸亜鉛、亜鉛クラスターおよびアセチルアセトン亜鉛(II)塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記高分子ポリオールがビニルアルコール系重合体または多糖類である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記高分子ポリオールがビニルアルコール系重合体である、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記エステル化合物がα、β−不飽和エステル化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 高分子ポリオールと、下記式(1)で示されるオレフィン含有エステル化合物とを、エステル交換触媒の存在下で反応させる工程を含む変性高分子ポリオールの製造方法であって、該工程前の高分子ポリオールの重量平均分子量(Mw)に対する該工程後の変性高分子ポリオールの重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mw)が0.9〜1.6であり、ASTM D1925にしたがって測定される前記変性高分子ポリオールのイエローインデックス(YI)が50以下である、変性高分子ポリオールの製造方法。
    Figure 2018124015
    [式(1)中、R、RおよびRは、それぞれ独立して水素原子、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。R、RおよびRは同じ基でもよいし、異なっていてもよい。Xは、置換基を有していてもよい2価の脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい2価の芳香族炭化水素基を表す。nは0〜10の整数を表す。Rは、置換基を有していてもよい脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基、または置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基を表す。]
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