JPWO2018116960A1 - ポリカーボネート共重合体、塗工液、電子写真感光体、電子写真装置、及びポリカーボネート共重合体の製造方法 - Google Patents

ポリカーボネート共重合体、塗工液、電子写真感光体、電子写真装置、及びポリカーボネート共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

下記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aを有する、ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。一般式(1A)中、Ar1およびAr2は、それぞれ独立に、1〜2価の芳香族基または1〜2価の脂肪族基を示し、Ar1およびAr2のうち少なくとも一方は、1〜2価の芳香族基である。

Description

本発明は、ポリカーボネート共重合体、塗工液、電子写真感光体、電子写真装置、及びポリカーボネート共重合体の製造方法に関する。
ポリカーボネート樹脂の電気的性質および光学的性質を利用した製品の一例として、ポリカーボネート樹脂を、電荷発生材料および電荷輸送材料等の機能性材料のバインダー樹脂として使用した電子写真感光体が挙げられる。
電子写真感光体は、電子写真プロセスに応じて、所定の感度、電気特性および光学特性を備えていることが要求される。
また、電子写真感光体は、その感光層の表面に、種々の操作(例えば、コロナ帯電、トナー現像、紙への転写、およびクリーニング処理等)が繰返し行われるため、これら操作を行う度に電気的な外力および機械的な外力の少なくともいずれかが加えられる。従って、長期間に亘って電子写真の画質を維持するためには、電子写真感光体の表面に設けた感光層に、これら外力に対する耐久性が要求される。
感光層の機械的強度を向上させるための効果的な技術として、ポリカーボネート共重合体が知られている。
例えば、溶解性の良好なビスフェノールZ骨格に耐摩耗性の良好なビフェノールを共重合してポリカーボネート共重合体を製造する技術が知られている。
特許文献1には、オリゴマーの量体数を低減した原料から製造したポリマーが開示されている。特許文献1の当該ポリマーは、耐摩耗性の良好なビフェノール等の骨格の共重合比を25〜47モル%まで向上しており、機械強度が良好になることが報告されている。
しかしながら、近年、そのような機械強度のさらなる向上のニーズ、および、帯電ロールなどによる電気的劣化を防ぐ為の電気的強度の向上のニーズも生じている。それらの高耐久化ニーズに応えるには、従来の樹脂よりも性能に優れた樹脂が必要とされており、例えば、電子写真感光体の機械強度、及び電気強度を向上できる樹脂が求められている。
そこで、このような高耐久化ニーズに応えるため、多様な手法がとられてきた。感光層の耐摩耗性を向上させるための効果的な技術としては、これまで共重合技術が検討されている。これまで検討された共重合技術の中で、例えば、ウレタン基導入法がある。
特許文献2には、ウレタン基を含む3元芳香族共重合ポリカーボネートが開示されている。
特許第5711902号公報 特許第5977762号公報
ウレタン樹脂は、本来、ソフトセグメントとハードセグメントとから構成されており、その結合単位であるウレタン基同士の強固な水素結合により強く凝集したハードセグメントと、フレキシブルなソフトセグメントとのバランスにより、柔軟性、強靱性、及び弾性を兼ね備えている。この特性を利用し、ウレタン結合をポリカーボネート樹脂に導入する事で、ポリカーボネート樹脂の特徴である機械的強度と同時に水素結合による3次元の網目構造が形成され、架橋密度が非常に高い高硬度架橋表面層が得られ、高い耐摩耗性が達成されると考えられた。
しかしながら、特許文献2に記載のウレタン共重合では、耐摩耗性に極めて優れるが、加水分解を受けやすく、吸水性の高い溶媒中での分子量の低下が課題となり、機能的な製品に応用するには性能不十分であった。
本発明の目的は、電気的特性を維持しながら、機械的強度、及び耐加水分解性を向上させることのできるポリカーボネート共重合体を提供することである。本発明の別の目的は、当該ポリカーボネート共重合体を含む塗工液を提供すること、当該ポリカーボネート共重合体を含む電子写真感光体、及び当該電子写真感光体を有する電子写真装置を提供することである。本発明の別の目的は、当該ポリカーボネート共重合体の製造方法を提供することである。
本発明の一態様によれば、下記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aを有する、ことを特徴とするポリカーボネート共重合体が提供される。
Figure 2018116960
(前記一般式(1A)中、
ArおよびArは、それぞれ独立に、1〜2価の芳香族基または1〜2価の脂肪族基を示し、
ArおよびArのうち少なくとも一方は、1〜2価の芳香族基である。)
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係るポリカーボネート共重合体と有機溶剤とを含むことを特徴とする塗工液が提供される。
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係るポリカーボネート共重合体を含むことを特徴とする電子写真感光体が提供される。
本発明の一態様によれば、前述の本発明の一態様に係る電子写真感光体を有することを特徴とする電子写真装置が提供される。
本発明の一態様によれば、ポリカーボネート共重合体の製造方法であって、
下記一般式(101)で表されるビスクロロホーメート化合物、及び下記一般式(102)で表されるビスクロロホーメート化合物の少なくともいずれかと、アミド結合含有化合物と、有機溶剤と、アルカリ水溶液と、を用い、
有機層と水層とを混合して界面重縮合反応を行う
ことを特徴とするポリカーボネート共重合体の製造方法が提供される。
Figure 2018116960
[前記一般式(101)中、Arは下記一般式(7)で表される基である。
前記一般式(101)中のn101は、ビスクロロホーメートオリゴマーの平均量体数を示す。
Figure 2018116960
(前記一般式(7)中、RおよびRは、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜12のアルキル基、
炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、
炭素数1〜12のアルコキシ基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
は、
−CR1011−、
置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜13のアリーレン基である。
10およびR11は、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
但し、R10およびR11がともに水素原子であることはない。
qおよびrは、各々独立に、1〜4の整数であり、
芳香環にRが2つ以上置換する場合(q≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なり、
芳香環にRが2つ以上置換する場合(r≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なる。)]
Figure 2018116960
[前記一般式(102)中、Arは下記一般式(9)で表される基である。
但し、ArはArと異なる骨格である。
前記一般式(102)中のn102は、ビスクロロホーメートオリゴマーの平均量体数を示す。
Figure 2018116960
(前記一般式(9)中、R12およびR13は、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜12のアルキル基、
炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、
炭素数1〜12のアルコキシ基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基であり、
は、
単結合、
−O−、
−CO−、
−CH−、または
置換もしくは無置換の9,9−フルオレニリデン基であり、
uおよびvは、各々独立に、1〜4の整数であり、
芳香環にR12が2つ以上置換する場合(u≧2)、複数のR12は、互いに同じまたは異なり、
芳香環にR13が2つ以上置換する場合(v≧2)、複数のR13は、互いに同じまたは異なる。)]
本発明の一態様によれば、電気的特性を維持しながら、機械的強度、及び耐加水分解性を向上させることのできるポリカーボネート共重合体を提供することができる。また、本発明の一態様によれば、当該ポリカーボネート共重合体を含む塗工液を提供すること、及び当該ポリカーボネート共重合体を含む電子写真感光体を提供することができる。また、本発明の一態様によれば、当該ポリカーボネート共重合体の製造方法を提供することができる。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は「〜」前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
〔ポリカーボネート共重合体〕
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、下記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aを有する。ポリカーボネート共重合体をPC共重合体と略記する場合がある。
Figure 2018116960
(前記一般式(1A)中、
ArおよびArは、それぞれ独立に、1〜2価の芳香族基または1〜2価の脂肪族基を示し、
ArおよびArのうち少なくとも一方は、1〜2価の芳香族基である。)
2価の脂肪族基は、例えば、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のビシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のトリシクロアルキレン基、及びパーフルオロアルキレン基からなる群から選択されるいずれかの基であることが好ましい。
2価の芳香族基は、例えば、置換もしくは無置換のフェニレン基、及び置換もしくは無置換のナフチレン基からなる群から選択されるいずれかの基であることが好ましい。
1価の脂肪族基は、例えば、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、置換もしくは無置換のトリシクロアルキル基、及びパーフルオロアルキル基からなる群から選択されるいずれかの基であることが好ましい。
1価の芳香族基は、例えば、置換もしくは無置換のフェニル基、及び置換もしくは無置換のナフチル基からなる群から選択されるいずれかの基であることが好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、ArおよびArは、それぞれ独立に、2価の芳香族基であることが好ましい。
本実施形態において、ArおよびArのうち一方が、2価の芳香族基または2価の脂肪族基を示し、他方が1価の芳香族基または1価の脂肪族基を示すことも好ましい。
例えば、Arが、2価の芳香族基または2価の脂肪族基を示し、Arが1価の芳香族基または1価の脂肪族基を示す場合、前記一般式(1A)は、下記一般式(1A−1)で表される。また、例えば、Arが、1価の芳香族基または1価の脂肪族基を示し、Arが2価の芳香族基または2価の脂肪族基を示す場合、前記一般式(1A)は、下記一般式(1A−2)で表される。
Figure 2018116960
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、前記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aが下記一般式(2A)で表されることも好ましい。
Figure 2018116960
(前記一般式(2A)中、Ar、及びArは、それぞれ独立に、下記一般式(10)又は一般式(11)で表される基であり、ArとArは、異なる骨格であるか、又は同じ骨格であり、nは1〜2の整数である。
Figure 2018116960
Figure 2018116960
[前記一般式(10)及び一般式(11)中、
16、R17及びR18は、それぞれ独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又は
炭素数1〜3のアルコキシ基であり、
は、
単結合、
−O−、
−CO−、
−CR1920−(但し、R19及びR20は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、トリフルオロメチル基、または置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である)、
置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリーレン基であり、
jは、1〜4の整数であり、
kは、1〜4の整数であり、
mは、1〜4の整数であり、
芳香環にR16が2つ以上置換する場合(j≧2)、複数のR16は、互いに同じまたは異なり、
芳香環にR17が2つ以上置換する場合(k≧2)、複数のR17は、互いに同じまたは異なり、
芳香環にR18が2つ以上置換する場合(m≧2)、複数のR18は、互いに同じまたは異なる。])
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、前記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aが下記一般式(3A)で表されることも好ましい。
Figure 2018116960
(式中、Xは、
炭素数1〜8のアルキレン基、
下記一般式(12a)で表される基、
下記一般式(12b)で表される基、
下記一般式(12c)で表される基、又は
下記一般式(12d)で表される基である。
Figure 2018116960
[式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又は
炭素数1〜3のアルコキシ基であり、
gは、1〜4の整数であり、
hは、1〜4の整数であり、
芳香環にR21が2つ以上置換する場合(g≧2)、複数のR21は、互いに同じ又は異なり、
芳香環にR22が2つ以上置換する場合(h≧2)、複数のR22は、互いに同じ又は異なり、
nは、1〜4の整数であり、複数のnは、互いに同じ又は異なり、
60は、単結合、−O−、又は−CO−である。])
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、前記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aが下記一般式(4A)で表されることも好ましい。
Figure 2018116960
(式中、Xは、
炭素数1〜8のアルキレン基、
下記一般式(14a)で表される基、又は
下記一般式(14b)で表される基である。
Figure 2018116960
[式中、
23、R71及びR72は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1〜3のアルコキシ基であり、
70は、単結合、又は−O−であり
i、gx、及びgyは、それぞれ独立に、1〜4の整数であり
芳香環にR23が2つ以上置換する場合(i≧2)、複数のR23は、互いに同じ又は異なり、
芳香環にR71が2つ以上置換する場合(gx≧2)、複数のR71は、互いに同じ又は異なり、
芳香環にR72が2つ以上置換する場合(gy≧2)、複数のR72は、互いに同じ又は異なる。])
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、前記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aが下記一般式(5A)で表されることも好ましい。
Figure 2018116960
(式中、R24及びR25は、それぞれ独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又は
炭素数1〜3のアルコキシ基であり、
は、−CR2627−であり、R26は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であり、R27は、下記一般式(15)で表される基、又は下記一般式(16)で表される基である。
Figure 2018116960
Figure 2018116960
[式中、R28及びR29は、それぞれ独立に、
炭素数1〜3のアルキル基、
トリフルオロメチル基、又は
置換もしくは無置換のフェニル基であり、
nxは、1〜4の整数である。])
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、下記一般式(4)で表される繰り返し単位Bを有することが好ましい。
Figure 2018116960
[前記一般式(4)中、Arは下記一般式(5)で表される基である。
Figure 2018116960
(前記一般式(5)中、RおよびRは、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜12のアルキル基、
炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、
炭素数1〜12のアルコキシ基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
は、
単結合、
−O−、
−CO−、
−CR−、
置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜13のアリーレン基、または
置換もしくは無置換の9,9−フルオレニリデン基である。
およびRは、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
sおよびtは、各々独立に、1〜4の整数であり、
芳香環にRが2つ以上置換する場合(s≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なり、
芳香環にRが2つ以上置換する場合(t≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なる。)]
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、前記繰り返し単位Aと前記繰り返し単位Bとを少なくとも有するポリカーボネート共重合体であることも好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、前記繰り返し単位Aのモル数をM、前記繰り返し単位Bのモル数をMとし、前記繰り返し単位A、および前記繰り返し単位Bを合わせた繰り返し単位のモル数(M+M)のモル百分率を100モル%としたとき、前記繰り返し単位Aのモル百分率:{M/(M+M)}×100が3モル%以上30モル%以下であることが好ましい。
前記繰り返し単位Aのモル百分率が3モル%以上であれば、アミド基同士の相互作用の効果が確認できる。前記繰り返し単位Aのモル百分率が30モル%以下であれば、アミド基同士の相互作用が強くなりすぎて樹脂が溶け難くなるという不具合を抑制できる。
また、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、繰り返し単位として、前記繰り返し単位A及び前記繰り返し単位Bのみを含むポリカーボネート共重合体であることも好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、ArおよびArのうち一方が2価の芳香族基であり、他方が2価の脂肪族基である場合、前記一般式(4)で表される繰り返し単位Bは、ビスフェノールA(4,4’−(プロパン−2,2−ジイル)ジフ
ェノール)に由来する骨格ではないことが好ましい。
すなわち、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、ArおよびArのうち一方が2価の芳香族基であり、他方が2価の脂肪族基である場合、前記一般式(4)で表される繰り返し単位Bは、下記一般式(4X)で表される繰り返し単位ではないことが好ましい。
Figure 2018116960
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、下記一般式(6)で表される繰り返し単位Cおよび下記一般式(8)で表される繰り返し単位Dを有することも好ましい。
Figure 2018116960
[前記一般式(6)中、Arは下記一般式(7)で表される基である。
Figure 2018116960
(前記一般式(7)中、RおよびRは、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜12のアルキル基、
炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、
炭素数1〜12のアルコキシ基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
は、
−CR1011−、
置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜13のアリーレン基である。
10およびR11は、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜3のアルキル基、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
但し、R10およびR11がともに水素原子であることはない。
qおよびrは、各々独立に、1〜4の整数であり、
芳香環にRが2つ以上置換する場合(q≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なり、
芳香環にRが2つ以上置換する場合(r≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なる。)]
Figure 2018116960
[前記一般式(8)中、Arは下記一般式(9)で表される基である。
但し、ArはArと異なる骨格である。
Figure 2018116960
(前記一般式(9)中、R12およびR13は、各々独立に、
水素原子、
炭素数1〜12のアルキル基、
炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、
炭素数1〜12のアルコキシ基、または
置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基であり、
は、
単結合、
−O−、
−CO−、
−CH−、または
置換もしくは無置換の9,9−フルオレニリデン基であり、
uおよびvは、各々独立に、1〜4の整数であり、
芳香環にR12が2つ以上置換する場合(u≧2)、複数のR12は、互いに同じまたは異なり、
芳香環にR13が2つ以上置換する場合(v≧2)、複数のR13は、互いに同じまたは異なる。)]
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、前記繰り返し単位Aと前記繰り返し単位Cと前記繰り返し単位Dとを少なくとも有するポリカーボネート共重合体であることも好ましい。前記繰り返し単位Cと前記繰り返し単位Dとは互いに異なる。
また、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、繰り返し単位として、前記繰り返し単位A、前記繰り返し単位C、及び前記繰り返し単位Dのみを含むポリカーボネート共重合体であることも好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、前記繰り返し単位Aのモル数をM、前記繰り返し単位Cのモル数をM、前記繰り返し単位Dのモル数をMとし、前記繰り返し単位A、C、およびDを合わせた繰り返し単位のモル数(M+M+M)のモル百分率を100モル%としたとき、前記繰り返し単位Aのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が3モル%以上30モル%以下であることが好ましい。
前記繰り返し単位Aのモル百分率が3モル%以上であれば、アミド基同士の相互作用の効果が確認できる。前記繰り返し単位Aのモル百分率が30モル%以下であれば、アミド基同士の相互作用が強くなりすぎて樹脂が溶け難くなるという不具合を抑制できる。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、前記繰り返し単位Cのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が15モル%以上87モル%以下であり、前記繰り返し単位Dのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が10モル%以上65モル%以下であることが好ましい。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体において、前記繰り返し単位Aのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が3モル%以上30モル%以下であり、前記繰り返し単位Cのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が15モル%以上87モル%以下であり、前記繰り返し単位Dのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が10モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。
本実施形態において、PC共重合体の還元粘度[ηSP/C]は、濃度0.5g/dLであるPC共重合体の塩化メチレン溶液の20℃における値である。本実施形態のPC共重合体の還元粘度[ηSP/C]は、0.60dL/g以上4.0dL/g以下であることが好ましく、0.80dL/g以上3.0dL/g以下であることがより好ましく、0.80dL/g以上2.5dL/g以下であることがさらに好ましい。電子写真感光体に用いるPC共重合体の還元粘度[ηSP/C]が0.60dL/g以上であれば、電子写真感光体は、十分な耐摩耗性を得ることができる。また、還元粘度[ηSP/C]が4.0dL/g以下であれば、塗工液から電子写真感光体等の成形体を製造する時に、適切な塗工粘度に保つことができ、電子写真感光体等の成形体の生産性を上げることができる。
本実施形態のPC共重合体の連鎖末端は、一価の芳香族基または一価のフッ素含有脂肪族基により封止されていることが好ましい。
一価の芳香族基は、芳香族基を含有する基であってもよい。
一価のフッ素含有脂肪族基は、芳香族基を含有する基であってもよい。
また、一価の芳香族基および一価のフッ素含有脂肪族基には、アルキル基、ハロゲン原子、及びアリール基等からなる群から選択される少なくともいずれかの置換基が付加していてもよい。これらの置換基には、アルキル基、ハロゲン原子、及びアリール基等からなる群から選択される少なくともいずれかの置換基がさらに付加していてもよい。また、置換基が複数ある場合、これらの置換基同士が互いに結合して環を形成してもよい。
連鎖末端を構成する一価の芳香族基は、環形成炭素数6〜12のアリール基を含むことが好ましい。このようなアリール基としては、例えば、フェニル基およびビフェニル基が挙げられる。
芳香族基に付加する置換基、及び芳香族基に付加しているアルキル基に付加する置換基としては、フッ素原子、塩素原子、および臭素原子等のハロゲン原子が挙げられる。また、芳香族基に付加する置換基として炭素数1〜20のアルキル基が挙げられる。このアルキル基は、上記のようにハロゲン原子が付加した基であってもよく、アリール基が付加した基であってもよい。
連鎖末端を構成する一価のフッ素含有脂肪族基としては、フッ素含有アルコールから誘導される一価の基が挙げられる。
フッ素含有アルコールとしては、炭素数2〜6である複数のフルオロアルキル鎖同士が、エーテル結合を介して連結し、全フッ素原子数が13〜19のものが好ましい。全フッ素原子数が13以上であれば、十分な撥水性、撥油性を発現させることができる。一方、全フッ素原子数が19以下であれば、重合時の反応性の低下を抑制し、得られたPC共重合体の機械的強度、表面硬度、及び耐熱性等の少なくともいずれかが向上し得る。
さらに、一価のフッ素含有脂肪族基としては、エーテル結合を2つ以上有するフッ素含有アルコールから誘導される一価の基でも好ましい。このようなフッ素含有アルコールを用いることで、塗工液におけるPC共重合体の分散性が良くなり、成形体および電子写真感光体における耐摩耗性を向上させ、摩耗後の、表面潤滑性、撥水性および撥油性を保持することができる。
あるいは、フッ素含有アルコールとしては、下記一般式(30)もしくは(31)で表されるフッ素含有アルコール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール等のフッ素含有アルコール、または下記一般式(32)、(33)、もしくは(34)で表されるエーテル結合を介したフッ素含有アルコールも好ましい。
H(CFn1CHOH・・・(30)
F(CFm1CHOH・・・(31)
前記一般式(30)において、n1は1〜12の整数であり、前記一般式(31)において、m1は1〜12の整数である。
F−(CF 31−OCFCH−OH・・・(32)
F−(CFCF 32−(CFCFO) 33−CFCHOH・・・(33)
CR−(CF 35−O−(CFCFO) 34−CFCHOH・・・(34)
前記一般式(32)において、n31は1〜10の整数であり、好ましくは、5〜8の整数である。
前記一般式(33)において、n32は0〜5の整数であり、好ましくは、0〜3の整数である。n33は1〜5の整数であり、好ましくは、1〜3の整数である。
前記一般式(34)において、n34は1〜5の整数であり、好ましくは、1〜3の整数である。n35は0〜5の整数であり、好ましくは、0〜3の整数である。Rは、CFまたはFである。
本実施形態において、電気特性および耐摩耗性の改善の点から、PC共重合体の連鎖末端は、下記一般式(35)で表されるフェノールから誘導される一価の基または下記一般式(36)で表されるフッ素含有アルコールから誘導される一価の基により封止されていることが好ましい。
Figure 2018116960
前記一般式(35)において、R30は炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜10のフルオロアルキル基を表し、pは1〜3の整数である。
前記一般式(36)において、Rは、炭素数が5以上、かつ、フッ素原子数が11以上であるパーフルオロアルキル基、あるいは下記一般式(37)で表されるパーフルオロアルキルオキシ基を示す。
Figure 2018116960
前記一般式(37)中、Rf2は炭素数1〜6の直鎖または分岐のパーフルオロアルキル基である。mxは1〜3の整数である。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体によれば、電気的特性を維持しながら、機械的強度、及び耐加水分解性を向上させることができる。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、アミド基の窒素原子、及び炭素原子の少なくとも一方に、芳香族基が結合した構造であるため、アミド基の窒素原子、及び炭素原子の両方に脂肪族基が結合している構造のポリカーボネート共重合体に比べて、機械的強度が向上すると考えられる。さらに、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、アミド骨格を有するため、アミド骨格同士が物理的に架橋(水素結合)すると考えられる。その結果、アミド骨格による相互作用によって、ポリマー同士の絡み合いが解け難くなり、樹脂の機械的強度が向上すると考えられる。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体においては、アミド基が共鳴安定化構造を形成することにより、−C−N−単結合の二重結合性が高くなり、アルカリなどの求核試薬の攻撃を受け難くなり、その結果、耐加水分解性が向上すると考えられる。なお、ウレタン基の場合、−O−C(=O)−でπ電子の非局在化が起こり、−C−N−単結合の二重結合性が弱く、加水分解を受けやすいと考えられる。また、ウレタン基の場合、平面性も弱く、共鳴安定化も弱いと考えられる。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体においては、共鳴安定化により、ポリカーボネート共重合体構造が安定であり、つまり電子が広く分散しており、分極の程度が弱いと考えられる。ポリカーボネート共重合体のある部分に極性を有すると、電気特性は悪化するので、分極の弱いアミド基を含む繰り返し単位を有するポリカーボネート共重合体は、従来と同等の電気特性が得られると考えられる。
また、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体の一態様によれば、密着性に優れる。例えば、当該ポリカーボネート共重合体は、樹脂基材に対する密着性に優れ、ポリイミド基材に対する密着性がさらに優れる。
〔ポリカーボネート共重合体の製造方法〕
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体の製造方法の一態様としては、下記一般式(101)で表されるビスクロロホーメート化合物、及び下記一般式(102)で表されるビスクロロホーメート化合物の少なくともいずれかと、アミド結合含有化合物と、有機溶剤と、アルカリ水溶液と、を用い、有機層と水層とを混合して界面重縮合反応を行う製造方法が挙げられる。
Figure 2018116960
前記一般式(101)において、Arは、前記一般式(7)で表される基である。
前記一般式(101)中のn101は、ビスクロロホーメートオリゴマーの平均量体数を示す。
Figure 2018116960
前記一般式(102)において、Arは、前記一般式(9)で表される基である。
但し、ArはArと異なる骨格である。
前記一般式(102)中のn102は、ビスクロロホーメートオリゴマーの平均量体数を示す。
この態様に係るポリカーボネート共重合体の製造方法において、前記ビスクロロホーメート化合物、及び前記アミド結合含有化合物に加えて、二価フェノール性化合物を用いることが好ましい。二価フェノール性化合物としては、例えば、下記一般式(103)及び下記一般式(104)に示す二価フェノール性化合物の少なくともいずれかを用いることが好ましい。
また、本実施形態のPC共重合体は、例えば、前記一般式(101)で示すビスクロロホーメートオリゴマーと、下記一般式(104)に示す二価フェノール性化合物と、下記一般式(105)〜(108)に示すアミド結合含有化合物からなる群から選択される少なくともいずれかのアミド結合含有化合物と、を酸結合剤存在下で界面重縮合をさせることで、好適に炭酸エステル結合を形成させて、得られる。
または、本実施形態のPC共重合体は、例えば、前記一般式(102)に示すビスクロロホーメートオリゴマーと、下記式(103)に示す二価フェノール性化合物と、下記一般式(105)〜(108)に示すアミド結合含有化合物からなる群から選択される少なくともいずれかのアミド結合含有化合物と、を酸結合剤存在下で界面重縮合をさせることで、好適に炭酸エステル結合を形成させて、得られる。
PC共重合体のこれらの合成反応は、例えば、末端封止剤の存在下で行われ、また必要に応じて分岐剤も使用される。
なお、前記一般式(101)および前記一般式(102)に示すビスクロロホーメートオリゴマーを混合して用い、下記一般式(103)または下記一般式(104)に示す二価フェノール性化合物、および下記一般式(105)〜(108)に示すアミド結合含有化合物の少なくともいずれかを界面重縮合させてもよい。
Figure 2018116960
Figure 2018116960
前記一般式(101)および式(103)において、Arは、前記一般式(7)で表される基である。
前記一般式(102)および式(104)において、Arは、前記一般式(9)で表される基である。
前記一般式(105)において、Ar、Arおよびnは、それぞれ前記一般式(2A)におけるAr、Arおよびnと同義である。
前記一般式(106)において、Xは、前記一般式(3A)におけるXと同義である。
前記一般式(107)において、Xは、前記一般式(4A)におけるXと同義である。
前記一般式(108)において、Xは、前記一般式(5A)におけるXと同義であり、R24及びR25は、それぞれ前記一般式(5A)におけるR24及びR25と同義である。
前記一般式(105)〜(108)で表されるアミド結合含有化合物は、公知の方法により製造することができる。例えば、前記一般式(105)で示される4−ヒドロキシ−N−(4−ヒドロキシフェニル)ベンズアミドは、米国特許US5463091の記載に従って、ベンゾフェノンを出発物としての反応を実施し、得ることができる。
ここで、前記一般式(101)中のn101は、ビスクロロホーメートオリゴマーの平均量体数を示す。前記一般式(101)のビスクロロホーメートオリゴマーにおいて、その平均量体数n101は、1.0以上1.3以下の範囲にあることが好ましい。
また、前記一般式(102)中のn102も、ビスクロロホーメートオリゴマーの平均量体数を示す。前記一般式(102)のビスクロロホーメートオリゴマーにおいても、その平均量体数n102は、1.0以上1.3以下の範囲にあることが好ましい。
平均量体数が1.0以上1.3以下の範囲にあるビスクロロホーメートオリゴマーを使用することで、前記一般式(103)に示す二価フェノール性化合物、および前記一般式(104)に示す二価フェノール性化合物を併用した場合でも、前記一般式(101)または、前記一般式(102)に示すビスクロロホーメートオリゴマーの量体数を超える高量体数ブロックの生成を抑制でき、PC共重合体の製造が容易になる。
平均量体数n101及びn102の算出方法は、後述する実施例において説明する方法が挙げられる。
前記一般式(103)で示されるモノマー(二価フェノール性化合物)としては、ビスフェノール化合物が挙げられる。ビスフェノール化合物としては、具体的には、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−ペンタフルオロエチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−ヘプタフルオロプロピル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ペンタフルオロエチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヘプタフルオロプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−ペンタフルオロエチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、および1,1−ビス(3−ヘプタフルオロプロピル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等が挙げられる。
これらのビスフェノール化合物の中で、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、および1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタンからなる群から選択される少なくともいずれかのビスフェノール化合物が好ましい。このビスフェノール化合物を用いたPC共重合体は、電子写真感光体用のPC共重合体として適用した場合に良好な塗工液が得られる。
また、前記一般式(104)で示されるモノマー(二価フェノール性化合物)としては、ビフェノール化合物、及びビスフェノール化合物が挙げられる。ビフェノール化合物及びビスフェノール化合物としては、具体的には、4,4’−ビフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’−ジエチル−4,4’−ビフェノール、2,2’−ジプロピル−4,4’−ビフェノール、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェノール、2,2’−ビス(ペンタフルオロエチル)−4,4’−ビフェノール、2,2’−ビス(ヘプタフルオロプロピル)−4,4’−ビフェノール、2,2’,6−トリメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,6,6’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、および9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン等が挙げられる。
これらのビフェノール化合物、及びビスフェノール化合物の中で、4,4’−ビフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’−ジエチル−4,4’−ビフェノール、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ビフェノール、2,2’−ビス(ペンタフルオロエチル)−4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンからなる群から選択される少なくともいずれかのビフェノール化合物及びビスフェノール化合物が好ましい。これらの化合物を用いてPC共重合体を製造し、当該PC共重合体を電子写真感光体に用いた場合、当該電子写真感光体の耐摩耗性がより向上する。
前記一般式(105)で表されるアミド結合含有化合物としては、例えば、下記一般式(105A)、(105B)及び(105C)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2018116960
前記一般式(106)で表されるアミド結合含有化合物としては、例えば、下記式(106A)、(106B)及び(106C)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2018116960
前記一般式(107)で表されるアミド結合含有化合物としては、例えば、下記式(107A)、(107B)及び(107C)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2018116960
前記一般式(108)で表されるアミド結合含有化合物としては、例えば、下記式(108A)、(108B)、(108C)、(108D)及び(108E)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2018116960
本実施形態のPC共重合体の製造方法において、連鎖末端を生成させる末端封止剤としては、一価のカルボン酸およびその誘導体、並びに、一価のフェノールを用いることができる。連鎖末端を生成させる末端封止剤としては、例えば、p−tert−ブチル−フェノール、p−フェニルフェノール、p−クミルフェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−(パーフルオロノニルフェニル)フェノール、p−(パーフルオロヘキシル)フェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、p−パーフルオロオクチルフェノール、1−(p−ヒドロキシベンジル)パーフルオロデカン、p−〔2−(1H,1H−パーフルオロトリドデシルオキシ)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル〕フェノール、3,5−ビス(パーフルオロヘキシルオキシカルボニル)フェノール、p−ヒドロキシ安息香酸パーフルオロドデシル、p−(1H,1H−パーフルオロオクチルオキシ)フェノール、および2H,2H,9H−パーフルオロノナン酸等が好適に用いられる。
あるいは、連鎖末端を生成させる末端封止剤として、前記一般式(30)又は(31)で表されるフッ素含有アルコール、または1,1,1,3,3,3−ヘキサフロロ−2−プロパノール等の一価のフッ素含有アルコールも好適に用いられる。また、連鎖末端を生成させる末端封止剤として、前記一般式(32)、(33)、又は(34)で表されるエーテル結合を介したフッ素含有アルコールを用いることも好ましい。これら末端封止剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
連鎖末端を生成させる末端封止剤としては、これらの中でも、電気特性および耐摩耗性の改善の点から、前記一般式(35)で表される一価のフェノールまたは前記一般式(36)で表される一価のフッ素含有アルコールを用いることが好ましい。
前記一般式(35)で表される一価のフェノールとしては、例えば、p−tert−ブチル−フェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−パーフルオロヘキシルフェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、およびp−パーフルオロオクチルフェノール等が好適に用いられる。すなわち、本実施形態においては、連鎖末端は、p−tert−ブチル−フェノール、p−パーフルオロノニルフェノール、p−パーフルオロヘキシルフェノール、p−tert−パーフルオロブチルフェノール、およびp−パーフルオロオクチルフェノールからなる群から選ばれる末端封止剤を用いて封止されていることが好ましい。
前記一般式(36)で表されるエーテル結合を介したフッ素含有アルコールとしては、例えば、以下の化合物が挙げられる。すなわち、本実施形態の連鎖末端は、下記フッ素含有アルコールのいずれかから選ばれる末端封止剤を用いて封止されていても好ましい。
Figure 2018116960
末端封止剤の添加割合は、繰り返し単位A、繰り返し単位B、および連鎖末端の共重合組成のモル百分率として、または繰り返し単位A、繰り返し単位C、繰り返し単位D、および連鎖末端の共重合組成のモル百分率として、好ましくは0.05モル%以上30モル%以下であり、さらに好ましくは0.1モル%以上10モル%以下である。末端封止剤の添加割合が、30モル%以下であると機械的強度の低下を抑制でき、0.05モル%以上であると成形性の低下を抑制できる。
また、本実施形態のPC共重合体の製造方法において用いることができる分岐剤は、特に限定されないが、分岐剤の具体例としては、フロログルシン、ピロガロール、4,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン、2,6−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−3−ヘプテン、2,4−ジメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス〔4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、2,4−ビス〔2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル〕フェノール、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)プロパン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、テトラキス〔4−(4−ヒドロキシフェニルイソプロピル)フェノキシ〕メタン、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、トリメシン酸、シアヌル酸、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−2−オキソ−2,3−ジヒドロインドール、3,3−ビス(4−ヒドロキシアリール)オキシインドール、5−クロロイサチン、5,7−ジクロロイサチン、および5−ブロモイサチン等が挙げられる。これら分岐剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これら分岐剤の添加割合は、繰り返し単位A、繰り返し単位B、および連鎖末端の共重合組成のモル百分率として、または繰り返し単位A、繰り返し単位C、繰り返し単位D、および連鎖末端の共重合組成のモル百分率で30モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。分岐剤の添加割合が30モル%以下であると、成形性の低下を抑制できる。
界面重縮合を行う場合、酸結合剤としては、例えば、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等)、アルカリ金属弱酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ土類金属弱酸塩(酢酸カルシウム等)、並びに、ピリジン等の有機塩基が挙げられる。界面重縮合を行う場合に好ましい酸結合剤は、アルカリ金属水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、並びにアルカリ土類金属水酸化物(水酸化カルシウム等)である。また、これらの酸結合剤は、混合物としても用いることができる。酸結合剤の使用割合も反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調製すればよい。具体的には、原料である二価フェノールの水酸基の合計1モル当たり、1当量もしくはそれより過剰量の酸結合剤を使用すればよく、好ましくは1〜10当量の酸結合剤を使用すればよい。
本実施形態のPC共重合体の製造方法で用いる溶媒としては、得られた共重合体に対して一定以上の溶解性を示せば問題無い。溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)、ハロゲン化炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、クロロベンゼン等)、ケトン類(シクロヘキサノン、アセトン、アセトフェノン等)、並びに、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)等が好適なものとして挙げられる。これら溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。さらに、互いに混ざり合わない2種の溶媒を用いて界面重縮合反応を行ってもよい。
本実施形態のPC共重合体の製造方法で用いる有機溶剤として、実質的に水と混じりあわなく、最終的に得られるポリカーボネート共重合体を5質量%以上溶解可能な有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は、実質的に水と混じりあわなく、最終的に得られるポリカーボネート共重合体を5質量%以上溶解可能な有機溶剤であることが好ましい。
ここで、「実質的に水と混じりあわない」有機溶媒とは、常温常圧条件で、水と有機溶剤を1:9〜9:1の組成範囲で混合した場合に、均一な層からなる溶液(ゲル化物および不溶物のいずれもみられない溶液)が得られない有機溶媒である。
また、有機溶剤が「最終的に得られるポリカーボネート共重合体を5質量%以上溶解可能」とは、温度20〜30℃、常圧の条件で測定した際のポリカーボネート共重合体の溶解度である。
また、「最終的に得られるポリカーボネート共重合体」とは、本実施形態のポリカーボネート共重合体の製造方法における重合工程を経て得られる共重合体のことである。
このような有機溶剤としては、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサノン等のケトン類、および塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。中でも、溶解性が高いことから、塩化メチレンが好ましい。
また、本実施形態のPC共重合体の製造方法で用いる触媒としては、特に限定されないが、例えば、第三級アミン(トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等)、四級アンモニウム塩(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリブチルベンジルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等)、並びに、四級ホスホニウム塩等(テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド等)が好適である。これら触媒は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
さらに、必要に応じて、本実施形態のPC共重合体の反応系に亜硫酸ナトリウムおよびハイドロサルファイト塩等の酸化防止剤を少量添加してもよい。
本実施形態のPC共重合体の製造方法は、前述したPC共重合体の製造方法以外にも、具体的には様々な態様で実施可能である。例えば、前記一般式(103)のビスフェノール化合物とホスゲン等とを反応させて、前記一般式(101)のビスクロロホーメートオリゴマーを製造する。
ついで、このビスクロロホーメートオリゴマーに、前記一般式(105)のアミド結合含有化合物、及び前記一般式(104)の二価フェノール性化合物を使用して、前記溶媒および酸結合剤のアルカリ水溶液の混合液の存在下に反応させる方法を採用することができる。
または、このビスクロロホーメートオリゴマーに、前記一般式(105)のアミド結合含有化合物、前記一般式(103)および前記一般式(104)の二価フェノール性化合物を使用して、前記溶媒および酸結合剤のアルカリ水溶液の混合液の存在下に反応させる方法を採用することができる。
これらの方法は、全繰り返し単位のモル百分率を100モル%としたときのAr骨格単位(前記一般式(6)で表される繰り返し単位C)のモル百分率を好ましい範囲に調整できる点で好ましい。
前記一般式(101)のn101値が1.0以上1.3以下の範囲である低量体数のビスクロロホーメートオリゴマーを製造する方法としては、詳細には、後述する製造例で示す方法があるが、概略以下の通りである。
まず、前記一般式(103)のビスフェノール化合物を塩化メチレン等の疎水性溶媒に懸濁させ、さらにホスゲンを加えて第一の溶液を形成する。一方、トリエチルアミン等の第三級アミンを塩化メチレン等の疎水性溶媒に溶解させて第二の溶液を形成し、この第二の溶液を前記第一の溶液に滴下して、反応させる。得られた反応混合物を含む第三の溶液に塩酸と純水を加えて洗浄し、低量体数のポリカーボネートオリゴマーを含む有機層を得る。
滴下温度および反応温度は、通常−10℃以上40℃以下であり、好ましくは0℃以上30℃以下である。滴下時間、反応時間は、共に、通常15分間以上4時間以下、好ましくは30分間以上3時間程度である。このようにして得られるポリカーボネートオリゴマーの平均量体数(n101)は、好ましくは1.0以上1.3以下であり、さらに好ましくは1.0以上1.2以下である。
当該製造方法により製造されたポリカーボネートオリゴマーを用いると、PC共重合体製造時の洗浄工程を簡略化できること等の点で好ましい。
このようにして得られた低量体数のビスクロロホーメートオリゴマーを含む有機層に、前記一般式(104)に示される芳香族二価フェノール性化合物、および前記一般式(105)〜(108)に示されるアミド結合含有化合物を加えて反応させる。反応温度は、
0℃以上150℃以下であり、好ましくは5℃以上40℃以下であり、さらに好ましくは7℃以上20℃以下である。
反応圧力は、減圧、常圧、または加圧のいずれでもよいが、通常は、常圧もしくは反応系の自圧程度で好適に行い得る。反応時間は、反応温度によって左右されるが、通常0.5分間以上10時間以下であり、好ましくは1分間以上3時間程度である。
この反応にあたって、前記一般式(104)に示される二価フェノール性化合物および前記一般式(105)〜(108)に示されるアミド結合含有化合物は、水溶液、または有機溶媒溶液として添加するのが望ましい。その添加順序については、特に制限はない。なお、触媒、末端封止剤および分岐剤等は、上記の製造法において、必要に応じ、ビスクロロホーメートオリゴマーの製造時、その後の高分子量化の反応時のいずれか、またはその両方において添加して用いることができる。
上記のようにして得られるPC共重合体は、前記一般式(2A)で表される繰り返し単位A、前記一般式(6)で表される繰り返し単位C、および前記一般式(8)で表される繰り返し単位Dとからなる共重合体である。
また、このPC共重合体は、本発明の目的達成を阻害しない範囲で、繰り返し単位A、繰り返し単位Cおよび繰り返し単位D以外の構造単位を有するポリカーボネート単位や、ポリエステル構造を有する単位、ポリエーテル構造を有する単位を含有していてもよい。
また、得られるPC共重合体の還元粘度[ηsp/C]は、例えば、前記反応条件の選択、分岐剤および末端封止剤の使用量の調節等、各種の方法によって前記範囲に調整することができる。また、場合により、得られたPC共重合体に適宜、物理的処理(混合、分画等)および化学的処理(ポリマー反応、架橋処理、部分分解処理等)の少なくとも一方を施して、所定の還元粘度[ηsp/C]のPC共重合体として取得することもできる。
また、得られた反応生成物(粗生成物)は、公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のPC共重合体として回収することができる。
〔塗工液〕
本実施形態の塗工液は、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を含む。本実施形態の塗工液は、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を溶解または分散可能な溶媒を含むことが好ましい。
本実施形態の塗工液は、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体と有機溶剤とを含むことが好ましい。
本実施形態で使用される溶媒としては、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体およびその他の材料の、溶解性、分散性、粘度、蒸発速度、化学的安定性、および物理的変化に対する安定性等を考慮し、単独、あるいは複数の溶媒を混合して使用することができる。
本実施形態において、取扱いの容易さの観点から、溶媒は、有機溶媒を含むことが好ましい。有機溶媒の具体例としては、例えば、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびクロロベンゼン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、およびメチルイソブチルケトン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、エチルセロソルブ、およびεカプロラクタム等)、ハロゲン化炭化水素系溶媒(例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、およびテトラクロロエタン等)、エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、およびジオキサン等)、アミド系溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、およびジエチルホルムアミド等)、並びにスルホキシド系溶媒(例えば、ジメチルスルホキシド等)等を挙げることができる。プロセス適用性の観点から、好ましくは、沸点が、160℃以下の有機溶媒である。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合溶媒として使用してもよい。
本実施形態において、有機溶媒は、環境衛生、蒸発性、溶解性、取り扱い性および経済性の観点から、アミド系有機溶媒およびハロゲン系有機溶媒のいずれも含まないことが好ましい。また、本実施形態において、安全性の観点から、有機溶媒は、非ハロゲン系有機溶媒を含むことが好ましい。
非ハロゲン系有機溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、およびジオキソラン等)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、パラキシレン、およびトルエン等)、並びにケトン系溶媒(例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、およびシクロペンタノン等)等を挙げることができる。中でも、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体の溶解性が高いことから、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、トルエン、シクロヘキサノン、およびシクロペンタノンのうち、1種または2種以上含む有機溶媒が好ましく、テトラヒドロフランを含む有機溶媒がより好ましい。
本実施形態の塗工液中の、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体成分の濃度は、同塗工液の使用法に合わせた適切な粘度となる濃度であればよく、0.1質量%以上40質量%以下であることが好ましく、1質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。40質量%以下であれば、粘度が高くなりすぎることもなく塗工性が良好となる。0.1質量%以上であれば、適度な粘度に保つことができ、均質な膜が得られる。また、0.1質量%以上であれば、塗工後の乾燥時間の短縮、および容易に目標とする膜厚とするのに適度な濃度となる。
本実施形態の塗工液は、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を含有するため、白濁が少なく、透明な塗工液を得ることができる。
塗工液には、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体および溶媒以外に、添加剤が含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、低分子化合物、着色剤(例えば、染料、および顔料等)、機能性化合物(例えば、電荷輸送材、電子輸送材、正孔輸送材、および電荷発生材等)、充填材(例えば、無機または有機のフィラー、ファイバー、および微粒子等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、並びに酸捕捉剤等が挙げられる。また、塗工液には、本発明の一実施形態に係るポリカーボネート共重合体以外の他の樹脂が含まれていてもよい。
これら添加剤および他の樹脂としては、ポリカーボネート共重合体と配合し得る物質として公知の物質を用いることができる。
また、電荷輸送物質を含む場合、製品性能の観点から、本実施形態の塗工液中のポリカーボネート共重合体と電荷輸送物質との割合は、質量比で20:80〜80:20であることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましい。
本実施形態の塗工液中、本実施形態のポリカーボネート共重合体は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の塗工液は、通常、積層型電子写真感光体の感光層の形成に好適に用いられる。積層型電子写真感光体の感光層は、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含むことが好ましく、本実施形態の塗工液は、電荷輸送層の形成に好適に用いられる。また、本実施形態の塗工液に、上記電荷発生物質をさらに含有させることにより、単層型の電子写真感光体の感光層の形成に使用することも可能である。
〔電子写真感光体〕
本実施形態の電子写真感光体は、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を含む。電子写真感光体が本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を含むことで、電子写真感光体の耐摩耗性が向上する。
本実施形態の電子写真感光体は、基板と、前記基板上に設けられた感光層と、を有し、前記感光層は、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を含むことが好ましい。感光層が本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を含むことで、感光層の耐摩耗性が向上する。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を電子写真感光体のバインダー樹脂として使用することが好ましい。
本実施形態の電子写真感光体の感光層が、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体をバインダー樹脂として含有していることが好ましい。このような感光層を備えることで、電子写真感光体の耐久性が向上する。
本実施形態の電子写真感光体は、公知の種々の形式の電子写真感光体はもとより、どのような構成としてもよい。
製造コストの観点から、好ましい電子写真感光体は、感光層が、少なくとも1層の電荷発生層と少なくとも1層の電荷輸送層とを有する積層型電子写真感光体、または、一層に電荷発生物質と電荷輸送物質とを有する単層型電子写真感光体である。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、感光層中のどの部分にも使用してもよいが、本発明の効果を十分に発揮するためには、電荷輸送層中において電荷移動物質のバインダー樹脂として使用するか、単一の感光層のバインダー樹脂として使用することが望ましい。また、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、感光層のみならず、表面保護層として使用することが望ましい。電荷輸送層を2層有する多層型の電子写真感光体の場合には、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、そのいずれか、または両方の電荷輸送層に使用することが好ましい。
本実施形態の電子写真感光体において、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、所望に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポリカーボネート等のバインダー樹脂成分を含有させてもよい。さらに、酸化防止剤等の添加物を含有させてもよい。
電子写真感光体において、基板は、導電性基板であることが好ましい。本実施形態の電子写真感光体は、導電性基板と、導電性基板の上に設けられた感光層と、を備える態様であることがより好ましい。感光層が電荷発生層と電荷輸送層とを有する場合、電荷発生層上に電荷輸送層が積層されていてもよく、また電荷輸送層上に電荷発生層が積層されていてもよい。また、一層中に電荷発生物質と電荷輸送物質を同時に含む感光層であってもよい。さらにまた、必要に応じて表面層に導電性または絶縁性の保護膜が形成されていてもよい。感光体のいずれかの層に本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を用いることで、電子写真プロセスにおける感度および電気特性に実用上問題のない電子写真感光体を得ることができる。
さらに、各層間の接着性を向上させるための接着層あるいは電荷のブロッキングの役目を果すブロッキング層等の中間層等が形成されていてもよい。
本実施形態の電子写真感光体に用いられる導電性基板材料としては、公知の材料等各種の材料を使用することができる。前記導電性基板材料としては、具体的には、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、パラジウム、チタン、モリブデン、インジウム、金、白金、銀、銅、亜鉛、真鍮、ステンレス鋼、酸化鉛、酸化錫、酸化インジウム、ITO(インジウムチンオキサイド:錫ドープ酸化インジウム)、およびグラファイト等からなる板、ドラム、およびシート、導電処理(例えば、蒸着、スパッタリング、および塗布等によるコーティング等)したガラス、布、紙、プラスチックのフィルム、シート、およびシームレスベルト、並びに電極酸化等により金属酸化処理した金属ドラム等を使用することができる。
前記電荷発生層は少なくとも電荷発生材料を有する。この電荷発生層はその下地となる導電性基板上に真空蒸着またはスパッタ法等により電荷発生材料の層を形成するか、またはその下地となる基板上に電荷発生材料を、バインダー樹脂を用いて結着してなる層を形成することによって得ることができる。バインダー樹脂を用いる電荷発生層の形成方法としては公知の方法等各種の方法を使用することができる。通常、例えば、電荷発生材料をバインダー樹脂と共に適当な溶媒により分散または溶解した塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥せしめて湿式成形体として得る方法が、製造コストの観点から、好適である。
前記電荷発生層における電荷発生材料としては、公知の各種の材料を使用することができる。具体的な化合物としては、例えば、セレン単体(例えば、非晶質セレン、および三方晶セレン等)、セレン合金(例えば、セレン−テルル等)、セレン化合物もしくはセレン含有組成物(例えば、AsSe等)、酸化亜鉛、周期律表第12族および第16族元素からなる無機材料(例えば、CdS−Se等)、酸化物系半導体(例えば、酸化チタン等)、シリコン系材料(例えば、アモルファスシリコン等)、無金属フタロシアニン顔料(例えば、τ型無金属フタロシアニン、およびχ型無金属フタロシアニン等)、金属フタロシアニン顔料(例えば、α型銅フタロシアニン、β型銅フタロシアニン、γ型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、X型銅フタロシアニン、A型チタニルフタロシアニン、B型チタニルフタロシアニン、C型チタニルフタロシアニン、D型チタニルフタロシアニン、E型チタニルフタロシアニン、F型チタニルフタロシアニン、G型チタニルフタロシアニン、H型チタニルフタロシアニン、K型チタニルフタロシアニン、L型チタニルフタロシアニン、M型チタニルフタロシアニン、N型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、X線回折図におけるブラック角2θが27.3±0.2度に強い回折ピークを示すチタニルフタロシアニン、およびガリウムフタロシアニン等)、シアニン染料、アントラセン顔料、ビスアゾ顔料、ピレン顔料、多環キノン顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、ピリリウム染料、スクアリウム顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料、アゾ顔料、チオインジゴ顔料、キノリン顔料、レーキ顔料、オキサジン顔料、ジオキサジン顔料、トリフェニルメタン顔料、アズレニウム染料、トリアリールメタン染料、キサンチン染料、チアジン染料、チアピリリウム染料、ポリビニルカルバゾール、並びにビスベンゾイミダゾール顔料等が挙げられる。これら化合物は、1種を単独であるいは2種以上の化合物を混合して、電荷発生物質として用いることができる。これら電荷発生物質の中でも、性能および安全性の観点から、好適な電荷発生物質としては、特開平11−172003号公報に具体的に記載の電荷発生物質が挙げられる。
前記電荷輸送層は、下地となる導電性基板上に、電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着してなる層を形成することによって、湿式成形体として得ることができる。
前記した電荷発生層および電荷輸送層のバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知の各種の樹脂を使用することができる。前記バインダー樹脂としては、具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、メタクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ビニルトルエン−スチレン共重合体、大豆油変性アルキッド樹脂、ニトロ化ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリイソプレン、ポリチオカーボネート、ポリアリレート、ポリハロアリレート、ポリアリルエーテル、ポリビニルアクリレート、およびポリエステルアクリレート等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いることもできるし、また、2種以上を混合して用いることもできる。なお、前述した理由から、電荷発生層および電荷輸送層におけるバインダー樹脂としては、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を使用することが好適である。
電荷輸送層の形成方法としては、公知の各種の方式を使用することができるが、製造コストの観点から、電荷輸送物質を本実施形態に係るポリカーボネート共重合体とともに適当な溶媒に分散若しくは溶解した塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥して湿式成形体として得る方法が好適である。電荷輸送層形成に用いられる電荷輸送物質と、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体との配合割合は、製品性能の観点から、好ましくは質量比で20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30である。
この電荷輸送層において、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体は1種単独で用いることもでき、また2種以上混合して用いることもできる。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、他のバインダー樹脂を、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体と併用することも可能である。
このようにして形成される電荷輸送層の厚さは、好ましくは5μm以上100μm以下程度、より好ましくは10μm以上30μm以下である。この厚さが5μm以上であれば、初期電位が低くなることもなく、100μm以下であれば、電子写真特性の低下を防ぐことができる。
本実施形態に係るポリカーボネート共重合体と共に使用できる電荷輸送物質としては、公知の各種の化合物を使用することができる。このような化合物としては、例えば、カルバゾール化合物、インドール化合物、イミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ピラゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾリン化合物、チアジアゾール化合物、アニリン化合物、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、スチルベン化合物、フルオレノン化合物、ブタジエン化合物、キノン化合物、キノジメタン化合物、チアゾール化合物、トリアゾール化合物、イミダゾロン化合物、イミダゾリジン化合物、ビスイミダゾリジン化合物、オキサゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、キナゾリン化合物、ベンゾフラン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール樹脂、およびこれらの構造を主鎖もしくは側鎖に有する重合体等が好適に用いられる。これら化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これら電荷輸送物質の中でも、特開平11−172003号公報において具体的に例示されている化合物、および以下の構造で表される電荷輸送物質が、性能および安全性の観点から、好適に用いられる。
Figure 2018116960
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なお、前述した理由から、本実施形態の電子写真感光体においては、電荷発生層および電荷輸送層の少なくともいずれかに本実施形態に係るポリカーボネート共重合体をバインダー樹脂として用いることが好適である。
本実施形態の電子写真感光体においては、前記導電性基板と感光層との間に、通常使用されるような下引き層を設けることができる。この下引き層としては、例えば、微粒子(例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタン酸、ジルコン酸、ランタン鉛、チタンブラック、シリカ、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、酸化錫、酸化インジウム、および酸化珪素等)、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、カゼイン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、並びにポリビニルブチラール樹脂等の成分を使用することができる。また、この下引き層に用いる樹脂として、前記バインダー樹脂を用いてもよいし、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を用いてもよい。これら微粒子および樹脂は、単独または種々混合して用いることができる。これらの混合物として用いる場合には、無機質微粒子と樹脂を併用すると、平滑性のよい皮膜が形成されることから好適である。
この下引き層の厚みは、好ましくは0.01μm以上10μm以下、より好ましくは0.1μm以上7μm以下である。この厚みが0.01μm以上であると、下引き層を均一に形成することが可能となり、また10μm以下であると電子写真特性が低下することを抑制できる。
また、前記導電性基板と感光層との間には、通常使用されるような公知のブロッキング層を設けることができる。このブロッキング層としては、前記のバインダー樹脂と同種の樹脂を用いることができる。また本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を用いてもよい。このブロッキング層の厚みは、好ましくは0.01μm以上20μm以下、より好ましくは0.1μm以上10μm以下である。この厚みが0.01μm以上であると、ブロッキング層を均一に形成することが可能となり、また20μm以下であると電子写真特性が低下することを抑制できる。
さらに、本実施形態の電子写真感光体には、感光層の上に、保護層を積層してもよい。この保護層には、前記のバインダー樹脂と同種の樹脂を用いることができる。また、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体を用いることが好ましい。製品性能の観点から、この保護層の厚みは、好ましくは0.01μm以上20μm以下、より好ましくは0.1μm以上10μm以下である。そして、この保護層には、前記電荷発生物質、電荷輸送物質、添加剤、金属もしくはその酸化物、窒化物、塩、合金、カーボンブラック、有機導電性化合物等の導電性材料を含有していてもよい。
さらに、この電子写真感光体の性能向上のために、前記電荷発生層および電荷輸送層には、例えば、結合剤、可塑剤、硬化触媒、流動性付与剤、ピンホール制御剤、および分光感度増感剤(増感染料)等を添加してもよい。また、繰り返し使用に対しての残留電位の増加、帯電電位の低下、感度の低下を防止する目的で、前記電荷発生層および電荷輸送層には、種々の化学物質、酸化防止剤、界面活性剤、カール防止剤、およびレベリング剤等の添加剤を添加することができる。
前記結合剤としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリクロロプレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合樹脂、およびポリエステルカーボネート樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂の少なくとも一方も使用できる。いずれにしても、電気絶縁性を有し、通常の状態で皮膜を形成し得る樹脂であり、本発明の効果を損なわない範囲であれば、結合剤としては特に制限はない。製品性能の観点から、結合剤は、前記電荷輸送物質に対して、80質量%以下で用いることが好ましい。
前記可塑剤の具体例としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、ハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタレン、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ラウリル酸ブチル、メチルフタリールエチルグリコレート、ジメチルグリコールフタレート、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびフルオロ炭化水素等が挙げられる。
前記硬化触媒の具体例としては、例えば、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびジノニルナフタレンジスルホン酸等が挙げられ、流動性付与剤としては、例えば、モダフロー、およびアクロナール4F等が挙げられ、ピンホール制御剤としては、例えば、ベンゾイン、およびジメチルフタレート等が挙げられる。
製造コストの観点から、これら可塑剤、硬化触媒、流動性付与剤、およびピンホール制御剤は、前記電荷輸送物質に対して、5質量%以下で用いることが好ましい。
また、分光感度増感剤としては、増感染料を用いる場合には,例えば、トリフェニルメタン系染料(例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、およびビクトリアブルー等)、アクリジン染料(例えば、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、およびフラペオシン等)、チアジン染料(例えば、メチレンブルー、およびメチレングリーン等)、オキサジン染料(例えば、カプリブルー、およびメルドラブルー等)、シアニン染料、メロシアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料、並びにチオピリリウム塩染料等が、製造コストおよび安全性の観点から適している。
感光層には、感度の向上、残留電位の減少、および反復使用時の疲労低減等の目的で、電子受容性物質を添加することができる。その具体例としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、2,3−ジクロロベンゾキノン、ジクロロジシアノパラベンゾキノン、ナフトキノン、ジフェノキノン、トロポキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、4−ニトロベンゾフェノン、4,4’−ジニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)アクリル酸エチル、9−アントラセニルメチルマロンジニトリル、1−シアノ−(p−ニトロフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオレニリデン−(ジシアノメチレンマロノニトリル)、ポリニトロ−9−フルオレニリデン−(ジシアノメチレンマロノジニトリル)、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、フタル酸、およびメリット酸等の電子親和力の大きい化合物が好ましい。これら化合物は電荷発生層、および電荷輸送層のいずれに加えてもよく、その配合割合は、製品性能の観点から、電荷発生物質または電荷輸送物質の量を100質量部としたときに、好ましくは0.01質量部以上200質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上50質量部以下である。
また、表面性の改良のため、例えば、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体、並びにフッ素系グラフトポリマー等を用いてもよい。これら表面改質剤の配合割合は、前記バインダー樹脂に対して、好ましくは0.1質量%以上60質量%以下、より好ましくは5質量%以上40質量%以下である。この配合割合が0.1質量%以上であれば、表面耐久性、および表面エネルギー低下等の表面改質が充分であり、60質量%以下であれば、電子写真特性の低下を招くこともない。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、スルフィド系酸化防止剤、および有機リン酸系酸化防止剤等が好ましい。これら酸化防止剤の配合割合は、製品性能の観点から、前記電荷輸送物質に対して、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。
このような酸化防止剤の具体例としては、特開平11−172003号公報の明細書に記載された化学式[化94]〜[化101]の化合物が、製造コストおよび安全性の観点から好適である。
これら酸化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい、そして、これらは前記感光層のほか、表面保護層および下引き層、ブロッキング層に添加してもよい。
前記電荷発生層、および電荷輸送層の形成の際に使用する前記溶媒の具体例としては、例えば、芳香族系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびクロロベンゼン等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノン等)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、およびイソプロパノール等)、エステル(例えば、酢酸エチル、およびエチルセロソルブ等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、およびテトラクロロエタン等)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、およびジオキサン等)、並びにアミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、およびジエチルホルムアミド等)等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、あるいは、2種以上を混合溶媒として使用してもよい。
単層型電子写真感光体の感光層は、前記の電荷発生物質、電荷輸送物質、および添加剤を用い、本実施形態に係るポリカーボネート共重合体をバインダー樹脂として適用することで容易に形成することができる。また、製品性能の観点から、電荷輸送物質としてはホール輸送性物質および電子輸送物質の少なくとも一方を添加することが好ましい。電子輸送物質としては、特開2005−139339号公報に例示される電子輸送物質が、製造コストおよび安全性の観点から好ましく適用できる。
各層の塗布は公知の装置等各種の塗布装置を用いて行うことができ、具体的には、例えば、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、チップコーター、ロールコーター、ディップコーター、およびドクタブレード等を用いて行うことができる。
電子写真感光体における感光層の厚さは、好ましくは5μm以上100μm以下、より好ましくは8μm以上50μm以下である。感光層の厚さが5μm以上であると、初期電位が低くなることを防ぐことができ、100μm以下であると電子写真特性が低下することを抑制することができる。電子写真感光体の製造に用いられる電荷発生物質:バインダー樹脂の比率は、製品性能および製造コストの観点から、質量比で1:99〜30:70であることが好ましく、3:97〜15:85であることがより好ましい。また、電荷輸送物質:バインダー樹脂の比率は、製品性能および製造コストの観点から、質量比で10:90〜80:20であることが好ましく、30:70〜70:30であることがより好ましい。
[電子写真装置]
本実施形態の電子写真感光体は、電子写真装置に好適に用いることができる。
なお、本実施形態の電子写真感光体を使用するにあたっては、帯電には、例えば、コロナ放電(例えば、コロトロン、およびスコロトロン等)、並びに接触帯電(例えば、帯電ロール、および帯電ブラシ等)等が用いられる。帯電ロールとしては、例えば、DC帯電方式、およびAC電圧を重畳させたAC/DC重畳帯電方式等が挙げられる。また、露光には、ハロゲンランプ、蛍光ランプ、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、および感光体内部露光方式のいずれを採用してもよい。現像には、例えば、乾式現像方式(例えば、カスケード現像、二成分磁気ブラシ現像、一成分絶縁トナー現像、および一成分導電トナー現像等)、並びに湿式現像方式等が用いられる。転写には、例えば、静電転写法(例えば、コロナ転写、ローラ転写、およびベルト転写等)、圧力転写法、並びに粘着転写法等が用いられる。定着には、例えば、熱ローラ定着、ラジアントフラッシュ定着、オープン定着、および圧力定着等が用いられる。さらに、クリーニング・除電には、例えば、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、およびブレードクリーナー等が用いられる。なお、クリーナーレス方式を採用してもよい。また、トナー用の樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、および環状炭化水素の重合体等が適用できる。トナーの形状は、球形でも不定形でもよい。一定の形状(回転楕円体状、ポテト状等)に制御されたトナーも適用できる。トナーは、粉砕型トナー、懸濁重合トナー、乳化重合トナー、ケミカル造粒トナー、あるいはエステル伸長トナーのいずれでもよい。
[変形例]
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変更および改良等は、本発明に含まれる。
前記実施形態のポリカーボネート共重合体は、前述したような電子写真感光体に使用する態様に限定されず、その他の用途にも適用可能であり、例えば、電子部品用途にも適用可能である。
次に、本発明を実施例および比較例によってさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、本発明の思想を逸脱しない範囲での種々の変形および応用が可能である。
〔製造例:オリゴマーの調製〕
<製造例1:BisZオリゴマー(ビスクロロホーメート)の合成>
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)56.6kg(224モル)を塩化メチレン1080Lで懸濁し、そこにホスゲン66.0kg(667モル)を加えて溶解させた。これに、トリエチルアミン44.0kg(435モル)を塩化メチレン120Lに溶解させた液を2.2℃〜17.8℃で2時間50分かけて滴下した。17.9℃〜19.6℃で30分間撹拌後、14℃〜20℃で塩化メチレン900Lを留去した。残液に純水210L、濃塩酸1.2kg、およびハイドロサルファイト450gを加えて洗浄した。その後、純水210Lで5回洗浄を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するビスフェノールZオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。
得られた溶液のクロロホーメート濃度は1.14モル/L、固形物濃度は0.22kg/L、平均量体数は1.02であった。以後、製造例1で得られた原料をZ−CFという。
尚、平均量体数n101及び平均量体数n102は、次の数式(数1)を用いて求めた。
平均量体数(n)=1+(Mav−M1)/M2・・・(数1)
(前記数式(数1)において、
Mavは(2×1000/(CF価))であり、
M2は(M1−98.92)であり、
M1は前記一般式(101)において、n101=1のときのビスクロロホーメートオリゴマーの分子量、又は前記一般式(102)において、n102=1のときのビスクロロホーメートオリゴマーの分子量、であり、
CF価(N/kg)は(CF値/固形物濃度)であり、
CF値(N)は反応溶液1Lに含まれる前記一般式(101)又は前記一般式(102)で表されるビスクロロホーメートオリゴマー中のクロル原子数であり、
上記固形物濃度(kg/L)は反応溶液1Lを濃縮して得られる固形分の量である。
ここで、98.92は、ビスクロロホーメートオリゴマー同士の重縮合で脱離する2個の塩素原子、1個の酸素原子および1個の炭素原子の合計の原子量である。)
<製造例2:OC−BPオリゴマー(ビスクロロホーメート)の合成>
2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェノール(OC−BP)150.0g(0.701モル)を塩化メチレン1100mLで懸濁し、そこにホスゲン186g(1.88モル)を加えて溶解させた。これにトリエチルアミン199.4g(1.97モル)を塩化メチレン460mLに溶解させた液を13℃〜16℃で2時間50分かけて滴下した。反応混合物を14℃〜16℃で30分間撹拌した。反応混合物に濃塩酸5.0mlおよび純水
200mlを加えて洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するOC−BPオリゴマーの塩化メチレン溶液を得た。得られた溶液のクロロホーメート濃度は0.51モル/L、固形物濃度は0.09kg/L、平均量体数は1.01であった。以後、製造例2で得られた原料をOCBP−CFという。
〔実施例1〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例1のZ−CF(191mL)および塩化メチレン(297mL)を注入した。これに末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)(0.258g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した二価フェノール溶液(二価フェノール溶液調製法:1.7Nの水酸化ナトリウム水溶液127mL(水酸化ナトリウム11.4g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、4,4’−ビフェノール10.9g、及び4,4’−ジヒドロキシベンズアニリド5.7gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン1.0L、及び水0.12Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.20Lで1回、0.03N塩酸0.20Lで1回、水0.20Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下、メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−1)を得た。
PC共重合体(PC−1)の還元粘度[ηsp/C]は、1.18dL/gであった。
PC共重合体(PC−1)の構造は、NMRの結果から、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。
Figure 2018116960
m/(m+n+l)=60mol%
n/(m+n+l)=26mol%
l/(m+n+l)=14mol%
尚、前記PC共重合体(PC−1)の構造は、次の手順で確認した。
まず、H−NMRスペクトル及び13C−NMRスペクトルを用いて、帰属解析を行い、積分強度から各骨格単位のモル共重合比、m/(m+n+l)、n/(m+n+l)、及びl/(m+n+l)を算出した。その他のPC共重合体の構造も同様に確認した。
<電子写真感光体の製造>
導電性基体としてアルミニウム箔(膜厚:50μm)を用い、その表面に、電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層して積層型感光層を形成した電子写真感光体を製造した。電荷発生物質としてオキソチタニウムフタロシアニン0.5gを用い、バインダー樹脂としてブチラール樹脂0.5gを用いた。これらを、溶媒としての塩化メチレン19gに加え、ボールミルにて分散し、この分散液をバーコーターにより、前記導電性基体フィルム表面に塗工し、乾燥させることにより、膜厚約0.5μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として下記式(23)の化合物(CTM−1)0.5g、および前記PC共重合体(PC−1)0.5gを10mLのテトラヒドロフランに分散させて、塗工液を調製した。この塗工液をアプリケーターにより、前記電荷発生層の上に塗布し、乾燥し、膜厚約20μmの電荷輸送層を形成した。
得られた感光体を直径60mmのアルミ製ドラムに張り付け、アルミ製ドラムと感光体との電気導通が良好であることを確認した。
Figure 2018116960
<樹脂組成物、及び電子写真感光体の耐摩耗性評価>
PC共重合体、及び電子写真感光体の耐摩耗性の評価を、以下の通り実施した。
〔1〕PC共重合体の耐摩耗性評価サンプル作製:PC共重合体(2g)を塩化メチレン(12mL)に溶解し、アプリケーターを用い市販のPETフィルム上にキャスト製膜した。このフィルムを減圧下加熱し溶剤を除去し、厚み約30μmのフィルムサンプルを得た。
〔2〕感光体の耐摩耗性評価サンプル作製:PC共重合体(1g)、及び上記CTM−1(1g)を塩化メチレン(10mL)に溶解し、アプリケーターを用い市販のPETフィルム上にキャスト製膜した。このフィルムを減圧下加熱し溶剤を除去し、厚み約30μmのフィルムサンプルを得た。
〔3〕評価:前記〔1〕、〔2〕で作製したフィルムのキャスト面の耐摩耗性をスガ摩耗試験機NUS−ISO−3型(スガ試験機社製)を用いて評価した。試験条件は4.9Nの荷重をかけた摩耗紙(粒径3μmのアルミナ粒子を含有)を感光層表面と接触させて2,000回往復運動を行い、質量減少量を測定した。
<電子写真感光体の電子写真特性の評価>
上記で得たアルミ製ドラムに貼りつけた電子写真感光体の電子写真特性を静帯電試験装置CYNTHIA54IM(ジェンテック株式会社製)を用い、EVモード、780nmの波長、初期帯電量−600Vの条件で、初期表面電位(V)、半減露光量(E1/2)、及び初期残留電位(V)を測定した。初期残留電位(V)は、十分な光量(半減露光量の10倍以上)を照射した後の残留電位とした。
<ポリカーボネート共重合体の溶解性、及び加水分解性評価>
ポリカーボネート共重合体をTHFに溶解し、溶液濃度を10質量%に調製した。
〔1〕溶解性評価:上記のポリカーボネート共重合体溶液を下記指標で判定した。
A:透明、 B:白濁(ゲル化)、 C:不溶
〔2〕耐加水分解性評価:上記のポリカーボネート共重合体溶液について、1週間放置後の分子量変化を確認し、下記指標で判定した。分子量変化は、上記〔1〕溶解性評価のポリカーボネート共重合体溶液(初期の分子量評価用)、及び1週間放置後のポリカーボネート共重合体溶液(1週間放置後の分子量評価用)のそれぞれを、キャストして乾燥させてキャストサンプルを作製し、このキャストサンプルについて自動粘度測定装置(離合社製 VMR−052 USPC)を用いて粘度平均分子量を測定することにより、確認した。
A:変化無し、 B:10%未満の低減、 C:10%以上の低減
〔実施例2〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例1のZ−CF(191mL)および塩化メチレン(297mL)を注入した。これに末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)(0.206g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した二価フェノール溶液(二価フェノール溶液調製法:1.7Nの水酸化ナトリウム水溶液127mL(水酸化ナトリウム11.4g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェノール12.6g、及び4,4’−ジヒドロキシベンズアニリド5.7gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン1.0L、及び水0.12Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.20Lで1回、0.03N塩酸0.20Lで1回、水0.20Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下、メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−2)を得た。
PC共重合体(PC−2)の還元粘度[ηsp/C]は、1.36dL/gであった。
PC共重合体(PC−2)の構造は、NMRの結果から、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。
Figure 2018116960
m/(m+n+l)=60mol%
n/(m+n+l)=25mol%
l/(m+n+l)=15mol%
〔実施例3〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例2のOCBP−CF(401mL)および塩化メチレン(130mL)を注入した。これに末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)(0.174g)を添加し、
十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した二価フェノール溶液(二価フェノール溶液調製法:1.45Nの水酸化カリウム水溶液150mL(水酸化カリウム12.7g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン10.5g、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェノール3.8g、及び4,4’−ジヒドロキシベンズアニリド5.5gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.90L、及び水0.10Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.24Lで1回、0.03N塩酸0.24Lで1回、水0.24Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下、メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−3)を得た。
PC共重合体(PC−3)の還元粘度[ηsp/C]は、1.34dL/gであった。
PC共重合体(PC−3)の構造は、NMRの結果から、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。
Figure 2018116960
m/(m+n+l)=58mol%
n/(m+n+l)=27mol%
l/(m+n+l)=15mol%
〔実施例4〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例1のZ−CF(191mL)および塩化メチレン(297mL)を注入した。これに末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)(0.258g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した二価フェノール溶液(二価フェノール溶液調製法:1.7Nの水酸化ナトリウム水溶液127mL(水酸化ナトリウム11.4g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、4,4’−ビフェノール10.9g、及び下記式(106A)で表される化合物7.45gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
Figure 2018116960
得られた反応混合物を塩化メチレン1.0L、及び水0.12Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.20Lで1回、0.03N塩酸0.20Lで1回、水0.20Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下、メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−7)を得た。
PC共重合体(PC−7)の還元粘度[ηsp/C]は、1.16dL/gであった。
PC共重合体(PC−7)の構造は、NMRの結果から、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。
Figure 2018116960
m/(m+n+l)=58mol%
n/(m+n+l)=27mol%
l/(m+n+l)=15mol%
〔実施例5〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例1のZ−CF(191mL)および塩化メチレン(297mL)を注入した。これに末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)(0.258g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した二価フェノール溶液(二価フェノール溶液調製法:1.7Nの水酸化ナトリウム水溶液127mL(水酸化ナトリウム11.4g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、4,4’−ビフェノール10.9g、及び下記式(107A)で表される化合物8.65gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
Figure 2018116960
得られた反応混合物を塩化メチレン1.0L、及び水0.12Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.20Lで1回、0.03N塩酸0.20Lで1回、水0.20Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下、メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−8)を得た。
PC共重合体(PC−8)の還元粘度[ηsp/C]は、1.17dL/gであった。
PC共重合体(PC−8)の構造は、NMRの結果から、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。
Figure 2018116960
m/(m+n+l)=59mol%
n/(m+n+l)=27mol%
l/(m+n+l)=14mol%
〔実施例6〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例1のZ−CF(191mL)および塩化メチレン(297mL)を注入した。これに末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)(0.258g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した二価フェノール溶液(二価フェノール溶液調製法:1.7Nの水酸化ナトリウム水溶液127mL(水酸化ナトリウム11.4g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、4,4’−ビフェノール10.9g、及び下記式(108B)で表される化合物7.10gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
Figure 2018116960
得られた反応混合物を塩化メチレン1.0L、及び水0.12Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.20Lで1回、0.03N塩酸0.20Lで1回、水0.20Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下、メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−9)を得た。
PC共重合体(PC−9)の還元粘度[ηsp/C]は、1.18dL/gであった。
PC共重合体(PC−9)の構造は、NMRの結果から、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。
Figure 2018116960
m/(m+n+l)=58mol%
n/(m+n+l)=27mol%
l/(m+n+l)=15mol%
〔比較例1〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例1のZ−CF(191mL)および塩化メチレン(297mL)を注入した。これに末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)(0.251g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した二価フェノール溶液(二価フェノール溶液調製法:1.7Nの水酸化ナトリウム水溶液127mL(水酸化ナトリウム11.4g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、及び4,4’−ビフェノール15.6gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン1.0L、及び水0.12Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.20Lで1回、0.03N塩酸0.20Lで1回、水0.20Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下、メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−4)を得た。
PC共重合体(PC−4)の還元粘度[ηsp/C]は、1.17dL/gであった。
PC共重合体(PC−4)の構造は、NMRの結果から、下記の繰り返し単位及びモル共重合比からなるPC共重合体であることが確認された。
Figure 2018116960
m/(m+n)=61mol%
n/(m+n)=39mol%
〔比較例2〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例1のZ−CF(191mL)および塩化メチレン(297mL)を注入した。これに末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)(0.204g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に調製した二価フェノール溶液(二価フェノール溶液調製法:1.7Nの水酸化ナトリウム水溶液127mL(水酸化ナトリウム11.4g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェノール17.9gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン1.0L、水0.12Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.20Lで1回、0.03N塩酸0.20Lで1回、水0.20Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下、メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−5)を得た。
PC共重合体(PC−5)の還元粘度[ηsp/C]は、1.36dL/gであった。
PC共重合体(PC−5)の構造は、NMRの結果から、下記の繰り返し単位及びモル共重合比からなるPC共重合体であることが確認された。
Figure 2018116960
m/(m+n)=60mol%
n/(m+n)=40mol%
〔比較例3〕
メカニカルスターラー、撹拌羽根、および邪魔板を装着した反応容器に、製造例1のZ−CF(146mL)および塩化メチレン(217mL)を注入した。これに末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(PTBP)(0.247g)、及びモノマーとして4,4’−ジアミノジフェニルエーテル3.61gを添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に、1.5Nの炭酸カリウム水溶液11mL(炭酸カリウム5.24g)を添加し、更に撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.2mL添加し、15分間撹拌を行なった。その後、この溶液に別途調製した二価フェノール溶液(二価フェノール溶液調製法:2.3Nの水酸化ナトリウム水溶液93mL(水酸化ナトリウム9.11g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてハイドロサルファイトを0.1g、4,4’−ビフェノール12.2gを添加し、完全に溶解して調製した)を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.0mL添加し、1時間撹拌を継続した。
得られた反応混合物を塩化メチレン1.0L、及び水0.12Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.20Lで1回、0.03N塩酸0.20Lで1回、水0.20Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下、メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過、乾燥することにより下記構造のPC共重合体(PC−6)を得た。
PC共重合体(PC−6)の還元粘度[ηsp/C]は1.17dL/gであった。PC共重合体(PC−6)の構造は、NMRの結果から、下記の繰り返し単位及び組成からなるPC共重合体であることが確認された。
Figure 2018116960
m/(m+n+l)=60mol%
n/(m+n+l)=31mol%
l/(m+n+l)= 9mol%
Figure 2018116960
〔評価結果〕
表1に実施例1〜6および比較例1〜3の評価結果を示す。
実施例1および実施例4〜6と、比較例1とを比較すると、BisZ(ビスフェノールZ)骨格及びBP(ビフェノール)骨格を含む樹脂でも、アミド基含有骨格を含んだ実施例1のPC共重合体(PC−1)および実施例4〜6のPC共重合体(PC−7)〜(PC−9)において、耐摩耗性の向上が確認された。PC−1およびPC−7〜PC−9と、PC−4とは、還元粘度も同程度であることから、アミド基含有骨格が耐摩耗性に寄与することが分かった。
実施例2と比較例2とを比較すると、同様に、アミド基含有骨格を含んだPC共重合体(PC−2)で耐磨耗性の向上が確認された。PC−2とPC−5は、還元粘度も同程度であることから、アミド基含有骨格が耐摩耗性に寄与することが分かった。
実施例3のPC共重合体(PC−3)については、OCBP(o−クレゾールビフェノール)骨格の含量が高いため十分高い耐摩耗性が確認されているが、更にアミド基含有骨格を含むことで、極めて良好な耐摩耗性が確認された。
実施例1〜6の電気的特性は、比較例1〜2と同等に維持されていることが分かった。比較例1〜2の電気的特性は、電子写真感光体として使用する樹脂に求められる特性として十分であることから、実施例1〜6も十分な電気的特性を有していることが分かった。
実施例1および実施例4〜6と、比較例3とを比較すると、どちらも、BisZ骨格およびBP骨格を含む樹脂であるが、アミド結合を含むPC共重合体(PC−1)および(PC−7)〜(PC−9)は、ウレタン結合を含むPC共重合体(PC−6)よりも、耐加水分解性に優れることを確認した。
<樹脂組成物の密着性試験>
PC共重合体の密着性の評価を、以下の通り実施した。
〔1〕サンプル作製:PC共重合体(PC−1)(1g)又はPC共重合体(PC−4)(1g)、及び上記CTM−1(1g)を塩化メチレン(10mL)に溶解し、アプリケーターを用いて、市販のポリイミド基板上にキャスト製膜した。これを減圧下加熱し溶剤を除去し、厚み約30μmの塗膜サンプルを得た。
〔2〕評価:碁盤目テープ試験(クロスカット法)/JIS K5400−8.5を参考に、前記〔1〕で作製した塗膜サンプルのキャスト面の密着性を評価した。密着性の評価は、下記(i)〜(v)の手順で実施した。
(i)塗布面が均一で、樹脂膜の端部から1cm程度内側にマス目の端がくるよう位置決めを行う。
(ii)カッターでガイドに沿って軽く切り込みを入れ、5×5のマスを作る。
(iii)マス目を覆う広さにセロテープ(登録商標)を切出し、軽く指で均等におす。
(iv)予めセロテープ(登録商標)の一端に接着した紙片を持ち、5秒程度の時間で緩やかに剥がし、剥離したマス目の総数を求める。
(v)25マス(5マス×5マス)中の剥離数を評価し、基準に従いA〜Eの5段階に分ける。
A:0マス
B:1〜5マス
C:6〜12マス
D:13〜25マス
E:カット途中剥離
Figure 2018116960
表2に実施例1のPC共重合体(PC−1)及び比較例1のPC共重合体(PC−4)の密着性評価結果を示す。
実施例1と比較例1を比較すると、どちらも、BisZ骨格およびBP骨格を含む樹脂であるが、アミド結合を含むPC共重合体(PC−1)は、PC共重合体(PC−4)よりも、密着性に優れることを確認した。

Claims (17)

  1. 下記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aを有する、
    ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。
    Figure 2018116960

    (前記一般式(1A)中、
    ArおよびArは、それぞれ独立に、1〜2価の芳香族基または1〜2価の脂肪族基を示し、
    ArおよびArのうち少なくとも一方は、1〜2価の芳香族基である。)
  2. 請求項1に記載のポリカーボネート共重合体において、
    ArおよびArは、それぞれ独立に、2価の芳香族基である、
    ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  3. 請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート共重合体において、
    下記一般式(4)で表される繰り返し単位Bを有する、
    ことを特徴とするポリカーボネート共重合体。
    Figure 2018116960

    [前記一般式(4)中、Arは下記一般式(5)で表される基である。
    Figure 2018116960

    (前記一般式(5)中、RおよびRは、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜12のアルキル基、
    炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、
    炭素数1〜12のアルコキシ基、または
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
    は、
    単結合、
    −O−、
    −CO−、
    −CR−、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜13のアリーレン基、または
    置換もしくは無置換の9,9−フルオレニリデン基である。
    およびRは、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
    sおよびtは、各々独立に、1〜4の整数であり、
    芳香環にRが2つ以上置換する場合(s≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なり、
    芳香環にRが2つ以上置換する場合(t≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なる。)]
  4. 請求項1または請求項2に記載のポリカーボネート共重合体において、
    下記一般式(6)で表される繰り返し単位Cおよび下記一般式(8)で表される繰り返し単位Dを有することを特徴とするポリカーボネート共重合体。
    Figure 2018116960
    [前記一般式(6)中、Arは下記一般式(7)で表される基である。
    Figure 2018116960

    (前記一般式(7)中、RおよびRは、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜12のアルキル基、
    炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、
    炭素数1〜12のアルコキシ基、または
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
    は、
    −CR1011−、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、または
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜13のアリーレン基である。
    10およびR11は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
    但し、R10およびR11がともに水素原子であることはない。
    qおよびrは、各々独立に、1〜4の整数であり、
    芳香環にRが2つ以上置換する場合(q≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なり、
    芳香環にRが2つ以上置換する場合(r≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なる。)]
    Figure 2018116960
    [前記一般式(8)中、Arは下記一般式(9)で表される基である。
    但し、ArはArと異なる骨格である。
    Figure 2018116960

    (前記一般式(9)中、R12およびR13は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜12のアルキル基、
    炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、
    炭素数1〜12のアルコキシ基、または
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基であり、
    は、
    単結合、
    −O−、
    −CO−、
    −CH−、または
    置換もしくは無置換の9,9−フルオレニリデン基であり、
    uおよびvは、各々独立に、1〜4の整数であり、
    芳香環にR12が2つ以上置換する場合(u≧2)、複数のR12は、互いに同じまたは異なり、
    芳香環にR13が2つ以上置換する場合(v≧2)、複数のR13は、互いに同じまたは異なる。)]
  5. 請求項4に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記繰り返し単位Aのモル数をM、前記繰り返し単位Cのモル数をM、前記繰り返し単位Dのモル数をMとし、前記繰り返し単位A、C、およびDを合わせた繰り返し単位のモル数(M+M+M)のモル百分率を100モル%としたとき、
    前記繰り返し単位Aのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が
    3モル%以上30モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  6. 請求項5に記載のポリカーボネート共重合体であって、
    前記繰り返し単位Cのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が
    15モル%以上87モル%以下であり、
    前記繰り返し単位Dのモル百分率:{M/(M+M+M)}×100が
    10モル%以上65モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体において、
    前記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aが下記一般式(2A)で表されることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
    Figure 2018116960

    (前記一般式(2A)中、
    Ar、及びArは、それぞれ独立に、下記一般式(10)又は一般式(11)で表される基であり、ArとArは、異なる骨格であるか、又は同じ骨格であり、
    nは1〜2の整数である。
    Figure 2018116960

    Figure 2018116960

    [前記一般式(10)及び一般式(11)中、
    16、R17及びR18は、それぞれ独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又は
    炭素数1〜3のアルコキシ基であり、
    は、
    単結合、
    −O−、
    −CO−、
    −CR1920−(但し、R19及びR20は、各々独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、トリフルオロメチル基、または置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である)、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリーレン基であり、
    jは、1〜4の整数であり、
    kは、1〜4の整数であり、
    mは、1〜4の整数であり、
    芳香環にR16が2つ以上置換する場合(j≧2)、複数のR16は、互いに同じまたは異なり、
    芳香環にR17が2つ以上置換する場合(k≧2)、複数のR17は、互いに同じまたは異なり、
    芳香環にR18が2つ以上置換する場合(m≧2)、複数のR18は、互いに同じまたは異なる。])
  8. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体において、
    前記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aが下記一般式(3A)で表されることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
    Figure 2018116960
    (式中、
    は、
    炭素数1〜8のアルキレン基、
    下記一般式(12a)で表される基、
    下記一般式(12b)で表される基、
    下記一般式(12c)で表される基、又は
    下記一般式(12d)で表される基である。
    Figure 2018116960
    [式中、R21及びR22は、それぞれ独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又は
    炭素数1〜3のアルコキシ基であり、
    gは、1〜4の整数であり、
    hは、1〜4の整数であり、
    芳香環にR21が2つ以上置換する場合(g≧2)、複数のR21は、互いに同じ又は異なり、
    芳香環にR22が2つ以上置換する場合(h≧2)、複数のR22は、互いに同じ又は異なり、
    nは、1〜4の整数であり、複数のnは、互いに同じ又は異なり、
    60は、単結合、−O−、又は−CO−である。])
  9. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体において、
    前記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aが下記一般式(4A)で表されることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
    Figure 2018116960

    (式中、Xは、
    炭素数1〜8のアルキレン基、
    下記一般式(14a)で表される基、又は
    下記一般式(14b)で表される基である。
    Figure 2018116960

    [式中、
    23、R71及びR72は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又は炭素数1〜3のアルコキシ基であり、
    70は、単結合、又は−O−であり
    i、gx、及びgyは、それぞれ独立に、1〜4の整数であり
    芳香環にR23が2つ以上置換する場合(i≧2)、複数のR23は、互いに同じ又は異なり、
    芳香環にR71が2つ以上置換する場合(gx≧2)、複数のR71は、互いに同じ又は異なり、
    芳香環にR72が2つ以上置換する場合(gy≧2)、複数のR72は、互いに同じ又は異なる。])
  10. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体において、
    前記一般式(1A)で表される基を含む繰り返し単位Aが下記一般式(5A)で表されることを特徴とするポリカーボネート共重合体。
    Figure 2018116960

    (式中、
    24及びR25は、それぞれ独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、又は
    炭素数1〜3のアルコキシ基であり、
    は、−CR2627−であり、R26は、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又はトリフルオロメチル基であり、R27は、下記一般式(15)で表される基、又は下記一般式(16)で表される基である。
    Figure 2018116960

    Figure 2018116960

    [式中、R28及びR29は、それぞれ独立に、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    トリフルオロメチル基、又は
    置換もしくは無置換のフェニル基であり、
    nxは、1〜4の整数である。])
  11. 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体と有機溶剤とを含むことを特徴とする塗工液。
  12. 請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  13. 基板と、前記基板上に設けられた感光層と、を有し、
    前記感光層は、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載のポリカーボネート共重合体を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  14. 請求項12または請求項13に記載の電子写真感光体を有することを特徴とする電子写真装置。
  15. ポリカーボネート共重合体の製造方法であって、
    下記一般式(101)で表されるビスクロロホーメート化合物、及び下記一般式(102)で表されるビスクロロホーメート化合物の少なくともいずれかと、アミド結合含有化合物と、有機溶剤と、アルカリ水溶液と、を用い、
    有機層と水層とを混合して界面重縮合反応を行う
    ことを特徴とするポリカーボネート共重合体の製造方法。
    Figure 2018116960

    [前記一般式(101)中、Arは下記一般式(7)で表される基である。
    前記一般式(101)中のn101は、ビスクロロホーメートオリゴマーの平均量体数を示す。
    Figure 2018116960

    (前記一般式(7)中、RおよびRは、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜12のアルキル基、
    炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、
    炭素数1〜12のアルコキシ基、または
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
    は、
    −CR1011−、
    置換もしくは無置換の環形成炭素数5〜10のシクロアルキリデン基、または
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜13のアリーレン基である。
    10およびR11は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜3のアルキル基、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、または
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基である。
    但し、R10およびR11がともに水素原子であることはない。
    qおよびrは、各々独立に、1〜4の整数であり、
    芳香環にRが2つ以上置換する場合(q≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なり、
    芳香環にRが2つ以上置換する場合(r≧2)、複数のRは、互いに同じまたは異なる。)]
    Figure 2018116960

    [前記一般式(102)中、Arは下記一般式(9)で表される基である。
    但し、ArはArと異なる骨格である。
    前記一般式(102)中のn102は、ビスクロロホーメートオリゴマーの平均量体数を示す。
    Figure 2018116960

    (前記一般式(9)中、R12およびR13は、各々独立に、
    水素原子、
    炭素数1〜12のアルキル基、
    炭素数1〜12のパーフルオロアルキル基、
    炭素数1〜12のアルコキシ基、または
    置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜12のアリール基であり、
    は、
    単結合、
    −O−、
    −CO−、
    −CH−、または
    置換もしくは無置換の9,9−フルオレニリデン基であり、
    uおよびvは、各々独立に、1〜4の整数であり、
    芳香環にR12が2つ以上置換する場合(u≧2)、複数のR12は、互いに同じまたは異なり、
    芳香環にR13が2つ以上置換する場合(v≧2)、複数のR13は、互いに同じまたは異なる。)]
  16. 請求項15に記載のポリカーボネート共重合体の製造方法において、
    前記有機溶剤として、実質的に水と混じりあわなく、最終的に得られるポリカーボネート共重合体を5質量%以上溶解可能な有機溶剤を用いる
    ことを特徴とするポリカーボネート共重合体の製造方法。
  17. 請求項15または請求項16に記載のポリカーボネート共重合体の製造方法において、
    前記ビスクロロホーメート化合物、及び前記アミド結合含有化合物に加えて、二価フェノール性化合物を用いる
    ことを特徴とするポリカーボネート共重合体の製造方法。
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