JPWO2018116655A1 - 磁気抵抗効果デバイス - Google Patents

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Abstract

磁気抵抗効果デバイス100は、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと、第2の磁気抵抗効果素子101cと、第1のポート109aと、第2のポート109bと、信号線路107と、直流印加端子110とを有し、第1のポート109aおよび第2のポート109bが信号線路107を介して接続され、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cは、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続され、第1の磁気抵抗効果素子101a(101b)および第2の磁気抵抗効果素子101cは、直流印加端子110から入力され第1の磁気抵抗効果素子101a(101b)および第2の磁気抵抗効果素子101cのそれぞれの中を流れる直流電流の向きと、それぞれの磁化固定層102、スペーサ層103および磁化自由層104の配置順との関係が、第1の磁気抵抗効果素子101a(101b)と第2の磁気抵抗効果素子101cとで逆になるように形成され、第1の磁気抵抗効果素子101a(101b)のスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は互いに異なることを特徴とする。

Description

本発明は、磁気抵抗効果素子を利用した磁気抵抗効果デバイスに関するものである。
近年、携帯電話等の移動通信端末の高機能化に伴い、無線通信の高速化が進められている。通信速度は使用する周波数の帯域幅に比例するため、通信に必要な周波数バンドは増加し、それに伴って、移動通信端末に必要な高周波フィルタの搭載数も増加している。また、近年新しい高周波用部品に応用できる可能性のある分野として研究されているのがスピントロニクスであり、その中で注目されている現象の一つが、磁気抵抗効果素子によるスピントルク共鳴現象である(非特許文献1参照)。磁気抵抗効果素子に交流電流を流すことで、磁気抵抗効果素子にスピントルク共鳴を起こすことが出来、スピントルク共鳴周波数に対応した周波数で周期的に磁気抵抗効果素子の抵抗値が振動する。磁気抵抗効果素子に印加される磁場の強さによって、磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数は変化し、一般的にその共鳴周波数は数〜数十GHzの高周波帯域である。
Nature、Vol.438、No.7066、pp.339−342、17 November 2005
磁気抵抗効果素子は、スピントルク共鳴現象を利用して高周波デバイスに応用することが考えられるが、高周波フィルタ等の高周波デバイスに応用するための具体的な構成は従来示されていない。本発明は、磁気抵抗効果素子を利用した高周波フィルタ等の高周波デバイスを実現できる磁気抵抗効果デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、第1の磁気抵抗効果素子と、第2の磁気抵抗効果素子と、高周波信号が入力される第1のポートと、高周波信号が出力される第2のポートと、信号線路と、直流印加端子とを有し、前記第1のポートおよび前記第2のポートが前記信号線路を介して接続され、前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子は、前記第2のポートに対して並列に前記信号線路に接続され、前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子は、それぞれ磁化固定層、磁化自由層およびこれらの間に配置されたスペーサ層を有し、前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子は、前記直流印加端子から入力され前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子のそれぞれの中を流れる直流電流の向きと、それぞれの前記磁化固定層、前記スペーサ層および前記磁化自由層の配置順との関係が、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子とで逆になるように形成され、前記第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数と前記第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数は互いに異なることを第1の特徴とする。
上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、直流印加端子から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子の中を磁化固定層から磁化自由層の方向に流れ、第2の磁気抵抗効果素子の中を磁化自由層から磁化固定層の方向に流れる場合、第1のポートから入力された高周波信号を、第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数では、第2のポート側に通過させることが出来、第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数では、第2のポートに対して遮断することが出来る。つまり、上記特徴の磁気抵抗効果デバイスは、高周波フィルタ(帯域通過型フィルタまたは帯域遮断型フィルタ)として機能する。
この場合の磁気抵抗効果デバイスを帯域通過型フィルタとして考える場合には、第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域が通過帯域となる。第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が互いに異なるため(第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数よりも高いまたは低いため)、第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の高周波数側または低周波数側において、高周波信号を第2のポートに対し遮断することができる。高周波信号が遮断される第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍においては、通過帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに大きくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される通過帯域の高周波数側または低周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。
この場合の磁気抵抗効果デバイスを帯域遮断型フィルタとして考える場合には、第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域が遮断帯域となる。第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が互いに異なるため(第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数よりも高いまたは低いため)、第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の高周波数側または低周波数側において、高周波信号を第2のポート側に通過させることができる。高周波信号が通過する第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍においては、遮断帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに小さくすることができるため、第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される遮断帯域の高周波数側または低周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。つまり、上記特徴の磁気抵抗効果デバイスは、通過帯域または遮断帯域の高周波数側または低周波数側において急峻な肩特性を持つ帯域通過型フィルタまたは帯域遮断型フィルタとして機能することが可能となる。
また、上記特徴の磁気抵抗効果デバイスによれば、直流印加端子から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子の中を磁化自由層から磁化固定層の方向に流れ、第2の磁気抵抗効果素子の中を磁化固定層から磁化自由層の方向に流れる場合、第1のポートから入力された高周波信号を、第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数では、第2のポートに対し遮断することが出来、第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数では、第2のポート側に通過させることが出来る。つまり、上記特徴の磁気抵抗効果デバイスは、高周波フィルタ(帯域遮断型フィルタまたは帯域通過型フィルタ)として機能する。
この場合の磁気抵抗効果デバイスを帯域遮断型フィルタとして考える場合には、第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域が遮断帯域となる。第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が互いに異なるため(第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数よりも高いまたは低いため)、第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の高周波数側または低周波数側において、高周波信号を第2のポート側に通過させることができる。高周波信号が通過する第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍においては、遮断帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに小さくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される遮断帯域の高周波数側または低周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。
この場合の磁気抵抗効果デバイスを帯域通過型フィルタとして考える場合には、第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域が通過帯域となる。第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が互いに異なるため(第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数よりも高いまたは低いため)、第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の高周波数側または低周波数側において、高周波信号を第2のポートに対し遮断することができる。高周波信号が遮断される第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍においては、通過帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに大きくすることができるため、第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される通過帯域の高周波数側または低周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。つまり、上記特徴の磁気抵抗効果デバイスは、遮断帯域または通過帯域の高周波数側または低周波数側において急峻な肩特性を持つ帯域遮断型フィルタまたは帯域通過型フィルタとして機能することが可能となる。
また、上記目的を達成するための本発明に係る磁気抵抗効果デバイスは、第1の磁気抵抗効果素子と、第2の磁気抵抗効果素子と、高周波信号が入力される第1のポートと、高周波信号が出力される第2のポートと、信号線路と、磁気抵抗効果素子に直流電流または直流電圧を印加可能な直流印加端子と、基準電位端子とを有し、前記第1のポートおよび前記第2のポートが前記信号線路を介して接続され、前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子は、前記第2のポートに対して並列に前記信号線路に接続され、前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子は、それぞれ磁化固定層、磁化自由層およびこれらの間に配置されたスペーサ層を有し、前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子は、それぞれの一端側が前記直流印加端子側になり、それぞれの他端側が前記基準電位端子側になるように、前記直流印加端子および前記基準電位端子に接続され、前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子は、それぞれの前記一端側から前記他端側への向きと、それぞれの前記磁化自由層から前記磁化固定層への向きとの関係が、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子とで逆になるように形成され、前記第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数と前記第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数は互いに異なることを第2の特徴とする。
上記特徴の磁気抵抗効果デバイスは、上述した第1の特徴を有する磁気抵抗効果デバイスと同様に、通過帯域または遮断帯域の高周波数側または低周波数側において急峻な肩特性を持つ帯域通過型フィルタまたは帯域遮断型フィルタとして機能することが可能となる。
本発明によれば、磁気抵抗効果素子を利用した高周波フィルタ等の高周波デバイスを実現できる磁気抵抗効果デバイスを提供することが出来る。
第1の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの構成を示した断面模式図である。 第1の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの周波数と減衰量との関係を示したグラフである。 第1の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの直流電流に対する周波数と減衰量との関係を示したグラフである。 第1の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの磁場強度に対する周波数と減衰量との関係を示したグラフである。 第2の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの構成を示した断面模式図である。 第2の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの周波数と減衰量との関係を示したグラフである。 第3の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの構成を示した断面模式図である。 第3の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの周波数と減衰量との関係を示したグラフである。 第3の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの直流電流に対する周波数と減衰量との関係を示したグラフである。 第3の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの磁場強度に対する周波数と減衰量との関係を示したグラフである。 第4の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの構成を示した断面模式図である。 第4の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイスの周波数と減衰量との関係を示したグラフである。
本発明を実施するための好適な形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことが出来る。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス100の断面模式図である。磁気抵抗効果デバイス100は、磁化固定層102(第1の磁化固定層)、磁化自由層104(第1の磁化自由層)およびこれらの間に配置されたスペーサ層103(第1のスペーサ層)を有する2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと、磁化固定層102(第2の磁化固定層)、磁化自由層104(第2の磁化自由層)およびこれらの間に配置されたスペーサ層103(第2のスペーサ層)を有する第2の磁気抵抗効果素子101cと、高周波信号が入力される第1のポート109aと、高周波信号が出力される第2のポート109bと、信号線路107と、直流印加端子の一例としての直流電流入力端子110とを有している。第1のポート109aおよび第2のポート109bが信号線路107を介して接続されている。2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cは、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されている。より具体的には、磁気抵抗効果デバイス100は基準電位端子114を有しており、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bは互いに直列接続されており、第1の磁気抵抗効果素子101aの磁化固定層102側が、第1のポート109aと第2のポート109bとの間の信号線路107に接続され、第1の磁気抵抗効果素子101bの磁化自由層104側が、基準電位端子114に接続されて基準電位端子114を介してグラウンド108に接続可能になっており、第2の磁気抵抗効果素子101cの磁化自由層104側が、第1のポート109aと第2のポート109bとの間の信号線路107に接続され、第2の磁気抵抗効果素子101cの磁化固定層102側が、基準電位端子114に接続されて基準電位端子114を介してグラウンド108に接続可能になっている。グラウンド108は磁気抵抗効果デバイス100の外部のものとすることができる。磁気抵抗効果デバイス100は、基準電位端子114がグラウンド108に接続され、直流電流源112が直流電流入力端子110とグラウンド108に接続されて用いられる。直流電流源112が直流電流入力端子110とグラウンド108に接続されることにより、磁気抵抗効果デバイス100は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、信号線路107、グラウンド108および直流電流入力端子110を含む閉回路を形成可能となっており、第2の磁気抵抗効果素子101c、信号線路107、グラウンド108および直流電流入力端子110を含む閉回路を形成可能となっている。
第1の磁気抵抗効果素子101a、101bは、それぞれの一端側(この例では磁化固定層102側)が直流電流入力端子110側になり、それぞれの他端側(この例では磁化自由層104側)が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110および基準電位端子114に接続されている。第2の磁気抵抗効果素子101cは、その一端側(この例では磁化自由層104側)が直流電流入力端子110側になり、その他端側(この例では磁化固定層102側)が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110および基準電位端子114に接続されている。つまり、磁気抵抗効果デバイス100では、第1の磁気抵抗効果素子101a、101b及び第2の磁気抵抗効果素子101cは、それぞれの一端側から他端側への向きと、それぞれの磁化自由層104から磁化固定層102への向きとの関係が、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと第2の磁気抵抗効果素子101cとで逆になるように形成されている。この例では、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bでは、それぞれの一端側から他端側への向きと、それぞれの磁化自由層104から磁化固定層102への向きとが、逆向きの関係になっており、第2の磁気抵抗効果素子101cでは、その一端側から他端側への向きと、その磁化自由層104から磁化固定層102への向きとが、同じ向きの関係になっている。
第1の磁気抵抗効果素子101aは、直流電流入力端子110から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子101aの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れるように形成されている。第1の磁気抵抗効果素子101bは、直流電流入力端子110から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子101bの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れるように形成されている。第2の磁気抵抗効果素子101cは、直流電流入力端子110から入力される直流電流が、第2の磁気抵抗効果素子101cの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れるように形成されている。つまり、磁気抵抗効果デバイス100では、第1の磁気抵抗効果素子101a、第1の磁気抵抗効果素子101b及び第2の磁気抵抗効果素子101cのそれぞれの中を流れる直流電流の向きと、それぞれの磁化固定層102、スペーサ層103および磁化自由層104の配置順との関係が、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと第2の磁気抵抗効果素子101cとで逆になっている。なお、本明細書において直流電流とは、時間によって方向が変化しない電流であり、時間によって大きさが変化する電流を含む。また、本明細書において直流電圧とは、時間によって方向が変化しない電圧であり、時間によって大きさが変化する電圧を含む。
さらに、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数および第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は互いに異なっている。磁気抵抗効果デバイス100では、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも高い、または、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも低くなっている。
第1のポート109aは交流信号である高周波信号が入力される入力ポートであり、第2のポート109bは高周波信号が出力される出力ポートである。第1のポート109aに入力される高周波信号及び第2のポート109bから出力される高周波信号は、例えば、100MHz以上の周波数を有する信号である。第1の磁気抵抗効果素子101aは、上部電極105を介して信号線路107と電気的に接続され、下部電極106を介して第1の磁気抵抗効果素子101bと電気的に接続されており、第1の磁気抵抗効果素子101bは、上部電極105を介して第1の磁気抵抗効果素子101aと電気的に接続され、下部電極106と基準電位端子114を介してグラウンド108と電気的に接続されている。第2の磁気抵抗効果素子101cは、下部電極106を介して信号線路107と電気的に接続され、上部電極105と基準電位端子114を介してグラウンド108と電気的に接続されている。第1のポート109aから入力される高周波信号は、その一部が2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bまたは第2の磁気抵抗効果素子101cに流され、残りの高周波信号は第2のポート109bに出力される。また、高周波信号が第1のポート109aから第2のポート109bに通過する際の電力比(出力電力/入力電力)のdB値である減衰量(S21)は、ネットワークアナライザなどの高周波測定器により測定することが出来る。
上部電極105および下部電極106は、一対の電極としての役目を有し、各磁気抵抗効果素子を構成する各層の積層方向に各磁気抵抗効果素子を介して配設されている。つまり、上部電極105および下部電極106は、信号(電流)を各磁気抵抗効果素子に対して、各磁気抵抗効果素子を構成する各層の面と交差する方向、例えば、各磁気抵抗効果素子を構成する各層の面に対して垂直な方向(積層方向)に流すための一対の電極としての機能を有している。上部電極105および下部電極106は、Ta、Cu、Au、AuCu、Ru、またはこれらの材料のいずれか2つ以上の膜で構成されることが好ましい。2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bはそれぞれ、一端側(磁化固定層102側)が上部電極105を介して信号線路107に電気的に接続され、他端側(磁化自由層104側)が下部電極106を介してグラウンド108に電気的に接続されている。また、第2の磁気抵抗効果素子101cは、一端側(磁化自由層104側)が下部電極106を介して信号線路107に電気的に接続され、他端側(磁化固定層102側)が上部電極105を介してグラウンド108に電気的に接続されている。
グラウンド108は、基準電位として機能する。信号線路107とグラウンド108との形状は、マイクロストリップライン(MSL)型やコプレーナウェーブガイド(CPW)型に規定することが好ましい。マイクロストリップライン形状やコプレーナウェーブガイド形状を設計する際、信号線路107の特性インピーダンスと回路系のインピーダンスが等しくなるように信号線路107の信号線幅やグラウンド間距離を設計することにより、信号線路107を伝送損失の少ない伝送線路とすることが可能となる。
直流電流入力端子110は、第1の磁気抵抗効果素子101aの信号線路107への接続部と第1のポート109aとの間の信号線路107に接続されている。直流電流入力端子110に直流電流源112が接続されることで、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに対して、それぞれの積層方向に直流電流を印加することが可能になる。また、直流電流入力端子110と直流電流源112との間に、高周波信号をカットするための、インダクタまたは抵抗素子が直列に接続されてもよい。
直流電流源112は、グラウンド108及び直流電流入力端子110に接続され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、信号線路107、グラウンド108および直流電流入力端子110を含む閉回路が形成され、第2の磁気抵抗効果素子101c、信号線路107、グラウンド108および直流電流入力端子110を含む閉回路が形成される。直流電流源112は、直流電流入力端子110から、上記の閉回路に直流電流を印加する。直流電流源112は、例えば、可変抵抗と直流電圧源との組み合わせの回路により構成され、直流電流の電流値を変化可能に構成されている。直流電流源112は、一定の直流電流を発生可能な、固定抵抗と直流電圧源との組み合わせの回路により構成されてもよい。
磁場印加機構111は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cの近傍に配設され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに磁場(静磁場)を印加して、各磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数を設定可能となっている。例えば、磁場印加機構111は、電圧もしくは電流のいずれかにより、印加磁場強度を可変制御できる電磁石型またはストリップライン型で構成される。また、磁場印加機構111は、電磁石型またはストリップライン型と一定の磁場のみを供給する永久磁石との組み合わせにより構成されていてもよい。また、磁場印加機構111は、各磁気抵抗効果素子に個別に配置され、各磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数を、独立に設定可能な構造でもよい。磁場印加機構111は、各磁気抵抗効果素子に印加する磁場を変化させることで、磁化自由層104における有効磁場を変化させて各磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数を変化可能となっている。
磁化固定層102は、強磁性体材料で構成されており、その磁化方向が実質的に一方向に固定されている。磁化固定層102は、Fe、Co、Ni、NiとFeの合金、FeとCoの合金、またはFeとCoとBの合金などの高スピン分極率材料から構成されることが好ましい。これにより、高い磁気抵抗変化率を得ることが出来る。また、磁化固定層102は、ホイスラー合金で構成されても良い。また、磁化固定層102の膜厚は、1〜10nmとすることが好ましい。また、磁化固定層102の磁化を固定するために磁化固定層102に接するように反強磁性層を付加してもよい。或いは、結晶構造、形状などに起因する磁気異方性を利用して磁化固定層102の磁化を固定してもよい。反強磁性層には、FeO、CoO、NiO、CuFeS、IrMn、FeMn、PtMn、CrまたはMnなどを用いることが出来る。
スペーサ層103は、磁化固定層102と磁化自由層104の間に配置され、磁化固定層102の磁化と磁化自由層104の磁化が相互作用して磁気抵抗効果が得られる。スペーサ層103としては、導電体、絶縁体、半導体によって構成される層、または、絶縁体中に導体によって構成される通電点を含む層で構成される。
スペーサ層103として非磁性導電材料を適用する場合、材料としてはCu、Ag、AuまたはRuなどが挙げられ、磁気抵抗効果素子には巨大磁気抵抗(GMR)効果が発現する。GMR効果を利用する場合、スペーサ層103の膜厚は、0.5〜3.0nm程度とすることが好ましい。
スペーサ層103として非磁性絶縁材料を適用する場合、材料としてはAlまたはMgOなどが挙げられ、磁気抵抗効果素子にはトンネル磁気抵抗(TMR)効果が発現する。磁化固定層102と磁化自由層104との間にコヒーレントトンネル効果が発現するように、スペーサ層103の膜厚を調整することで高い磁気抵抗変化率が得られる。TMR効果を利用する場合、スペーサ層103の膜厚は、0.5〜3.0nm程度とすることが好ましい。
スペーサ層103として非磁性半導体材料を適用する場合、材料としてはZnO、In、SnO、ITO、GaOまたはGaなどが挙げられ、スペーサ層103の膜厚は1.0〜4.0nm程度とすることが好ましい。
スペーサ層103として非磁性絶縁体中の導体によって構成される通電点を含む層を適用する場合、AlまたはMgOによって構成される非磁性絶縁体中に、CoFe、CoFeB、CoFeSi、CoMnGe、CoMnSi、CoMnAl、Fe、Co、Au、Cu、AlまたはMgなどの導体によって構成される通電点を含む構造とすることが好ましい。この場合、スペーサ層103の膜厚は、0.5〜2.0nm程度とすることが好ましい。
磁化自由層104は、その磁化の方向が変化可能であり、強磁性材料で構成されている。磁化自由層104の磁化の方向は、例えば、外部印加磁場またはスピン偏極電子によって変化可能である。磁化自由層104は、膜面内方向に磁化容易軸を有する材料の場合、材料としてはCoFe、CoFeB、CoFeSi、CoMnGe、CoMnSiまたはCoMnAlなどが挙げられ、厚さは1〜30nm程度とすることが好ましい。磁化自由層104は、膜面法線方向に磁化容易軸を有する材料の場合、材料としてはCo、CoCr系合金、Co多層膜、CoCrPt系合金、FePt系合金、希土類を含むSmCo系合金またはTbFeCo合金などが挙げられる。また、磁化自由層104は、ホイスラー合金で構成されても良い。また、磁化自由層104とスペーサ層103との間に、高スピン分極率材料を挿入しても良い。これによって、高い磁気抵抗変化率を得ることが可能となる。高スピン分極率材料としては、CoFe合金またはCoFeB合金などが挙げられる。CoFe合金またはCoFeB合金いずれの膜厚も0.2〜1.0nm程度とすることが好ましい。
また、上部電極105と各磁気抵抗効果素子との間、および下部電極106と各磁気抵抗効果素子との間にキャップ層、シード層またはバッファー層を配設しても良い。キャップ層、シード層またはバッファー層としては、Ru、Ta、Cu、Crまたはこれらの積層膜などが挙げられ、これらの層の膜厚は2〜10nm程度とすることが好ましい。
尚、各磁気抵抗効果素子の大きさは、平面視形状が長方形(正方形を含む)の場合、長辺を100nm程度、或いは100nm以下にすることが望ましい。また、平面視形状が長方形ではない場合は、平面視形状に最小の面積で外接する長方形の長辺を、各磁気抵抗効果素子の長辺と定義する。長辺が100nm程度と小さい場合、磁化自由層104の磁区の単磁区化が可能となり、高効率なスピントルク共鳴現象の実現が可能となる。ここで、「平面視形状」とは、各磁気抵抗効果素子を構成する各層の積層方向に垂直な平面で見た形状のことである。
ここで、スピントルク共鳴現象について説明する。
磁気抵抗効果素子に、磁気抵抗効果素子の固有のスピントルク共鳴周波数と同じ周波数の高周波信号を入力すると、磁化自由層の磁化がスピントルク共鳴周波数で振動する。この現象をスピントルク共鳴現象と呼ぶ。磁気抵抗効果素子の素子抵抗値は、磁化固定層と磁化自由層との磁化の相対角で決まる。そのため、スピントルク共鳴時の磁気抵抗効果素子の抵抗値は、磁化自由層の磁化の振動に伴い、周期的に変化する。つまり、磁気抵抗効果素子は、スピントルク共鳴周波数で抵抗値が周期的に変化する抵抗振動素子として取り扱うことが出来る。
各磁気抵抗効果素子の中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れる直流電流を各磁気抵抗効果素子に印加しながら、各磁気抵抗効果素子にスピントルク共鳴周波数と同じ周波数の高周波信号を入力すると、各磁気抵抗効果素子は、入力された高周波信号とは位相が180°異なる状態で、スピントルク共鳴周波数で抵抗値が周期的に変化し、この高周波信号に対するインピーダンスは増加する。つまり、磁気抵抗効果デバイス100において、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bは、スピントルク共鳴現象により、スピントルク共鳴周波数で高周波信号のインピーダンスが増加する抵抗素子として取り扱うことが出来る。
また、各磁気抵抗効果素子の中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れる直流電流を各磁気抵抗効果素子に印加しながら、各磁気抵抗効果素子にスピントルク共鳴周波数と同じ周波数の高周波信号を入力すると、各磁気抵抗効果素子は、入力された高周波信号と同位相の状態で、スピントルク共鳴周波数で抵抗値が周期的に変化し、この高周波信号に対するインピーダンスは減少する。つまり、磁気抵抗効果デバイス100において、第2の磁気抵抗効果素子101cは、スピントルク共鳴現象により、スピントルク共鳴周波数で高周波信号のインピーダンスが減少する抵抗素子として取り扱うことが出来る。
スピントルク共鳴周波数は、磁化自由層104における有効磁場によって変化する。磁化自由層104における有効磁場Heffは、磁化自由層104に印加される外部磁場H、磁化自由層104における異方性磁場H、磁化自由層104における反磁場H、磁化自由層104における交換結合磁場HEXを用いて、
eff=H+H+H+HEX
で表される。磁場印加機構111は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに磁場を印加し、各磁化自由層104に外部磁場Hを印加することにより、各磁化自由層104における有効磁場Heffを設定可能な有効磁場設定機構である。有効磁場設定機構である磁場印加機構111は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加する磁場を変化させることで、各磁化自由層104における有効磁場を変化させて、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのそれぞれのスピントルク共鳴周波数を変化させることが出来る。このように、第1の磁気抵抗効果素子101a、第1の磁気抵抗効果素子101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される磁場を変化させると、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのそれぞれのスピントルク共鳴周波数は変化する。
また、スピントルク共鳴時に2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに直流電流が印加されることにより、スピントルクが増加して、振動する抵抗値の振幅が増加する。振動する抵抗値の振幅が増加することにより、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのそれぞれの素子インピーダンスの変化量が増加する。また、印加される直流電流の電流密度を変化させると、スピントルク共鳴周波数は変化する。したがって、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのそれぞれのスピントルク共鳴周波数は、磁場印加機構111からの磁場を変化させるか、直流電流入力端子110からの印加直流電流を変化させることにより変化させることが出来る。2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのそれぞれに印加される直流電流の電流密度は、それぞれの発振閾値電流密度よりも小さいことが好ましい。磁気抵抗効果素子の発振閾値電流密度とは、この値以上の電流密度の直流電流の印加により、磁気抵抗効果素子の磁化自由層の磁化が一定周波数及び一定の振幅で歳差運動を開始し、磁気抵抗効果素子が発振する(磁気抵抗効果素子の出力(抵抗値)が一定周波数及び一定の振幅で変動する)閾値の電流密度のことである。
また、同一の磁場および同一の電流密度の直流電流が磁気抵抗効果素子に印加された状態で考えると、磁気抵抗効果素子の平面視形状のアスペクト比が大きくなるに従って磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数は高くなる。ここで「平面視形状のアスペクト比」とは、磁気抵抗効果素子の平面視形状に最小の面積で外接する長方形の、短辺の長さに対する長辺の長さの比率のことである。例えば、第1の磁気抵抗効果素子101aと第1の磁気抵抗効果素子101bと第2の磁気抵抗効果素子101cについて、膜構成が互いに同じで、平面視形状はいずれも長方形であるが、平面視形状のアスペクト比が互いに異なるようにすることで、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数および第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が互いに異なるようにすることができる。ここで「膜構成が同じ」とは、磁気抵抗効果素子を構成する各層の材料および膜厚が同じであり、さらに各層の積層順が同じであることを意味する。
スピントルク共鳴現象により、第1のポート109aから入力された高周波信号の高周波成分の中で第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数と一致する、またはスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数成分は、第2のポート109bに並列に接続された、高インピーダンス状態の第1の磁気抵抗効果素子101aによりグラウンド108から遮断され、第2のポート109bに出力されやすくなる。一方、高周波信号の高周波成分の中で第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍でない周波数成分は、低インピーダンス状態の第1の磁気抵抗効果素子101aを通過してグラウンド108に流れ、第2のポート109bに出力されにくくなる。同様に、第1のポート109aから入力された高周波信号の高周波成分の中で第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数と一致する、またはスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数成分は、第2のポート109bに並列に接続された、高インピーダンス状態の第1の磁気抵抗効果素子101bによりグラウンド108から遮断され、第2のポート109bに出力されやすくなる。一方、高周波信号の高周波成分の中で第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍でない周波数成分は、低インピーダンス状態の第1の磁気抵抗効果素子101bを通過してグラウンド108に流れ、第2のポート109bに出力されにくくなる。
さらに、スピントルク共鳴現象により、第1のポート109aから入力された高周波信号の高周波成分の中で第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数と一致する、またはスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数成分は、第2のポート109bに並列に接続された、低インピーダンス状態の第2の磁気抵抗効果素子101cを通過してグラウンド108に流れ、第2のポート109bに出力されにくくなる。一方、高周波信号の高周波成分の中で第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍でない周波数成分は、高インピーダンス状態の第2の磁気抵抗効果素子101cによりグラウンド108から遮断され、第2のポート109bに出力されやすくなる。
図2に、磁気抵抗効果デバイス100に入力される高周波信号の周波数と減衰量との関係を示したグラフを示す。図2の縦軸は減衰量、横軸は周波数を表している。図2のプロット線220は、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加された磁場が一定で、且つ、印加された直流電流が一定の時のグラフである。faは第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数であり、fbは第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数であり、fcは第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数である。図2では、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数より低い場合の例を示している。
図2のプロット線120に示されるように、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域が通過帯域となる。また、第2の磁気抵抗効果素子101cにより、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の低周波数側(上記の通過帯域の低周波数側)において、高周波信号を第2のポート109bに対し遮断することができる。高周波信号が遮断される第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、通過帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに大きくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される通過帯域の低周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。つまり、この場合の磁気抵抗効果デバイス100は、図2のプロット線120に示されるような、通過帯域の低周波数側において急峻な肩特性を持つ帯域通過型フィルタとして機能する。この場合、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、高周波信号の減衰量の周波数に対する変化が急峻であるため、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数を、使用する通過帯域の下限周波数に一致させることが好ましい。
同様にして、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数より高い場合には、磁気抵抗効果デバイス100は、通過帯域の高周波数側において急峻な肩特性を持つ帯域通過型フィルタとして機能する。この場合、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数を、使用する通過帯域の上限周波数に一致させることが好ましい。
図3および図4に、磁気抵抗効果デバイス100に入力される高周波信号の周波数と減衰量との関係を示したグラフを示す。図3および図4の縦軸は減衰量、横軸は周波数を表している。図3は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加された磁場が一定の時のグラフである。図3のプロット線131は、直流電流入力端子110から2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bに印加される直流電流値がIa1であり、第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される直流電流値がIb1の時のものであり、プロット線132は、直流電流入力端子110から2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bに印加される直流電流値がIa2であり、第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される直流電流値がIb2の時のものである。この時の直流電流値の関係は、Ia1<Ia2およびIb1<Ib2である。また、図4は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加された直流電流が一定の時のグラフである。図4のプロット線141は、磁場印加機構111から2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される磁場強度がHb1の時のものであり、プロット線142は磁場印加機構111から2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される磁場強度がHb2の時のものである。この時の磁場強度の関係は、Hb1<Hb2である。
例えば、図3に示されるように、直流電流入力端子110から2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される直流電流値を大きくした場合、電流値の変化に伴い2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数での素子インピーダンスの変化量が増加することで、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域(通過帯域)において、第2のポート109bから出力される高周波信号がさらに大きくなり、通過損失が小さくなる。それと同時に、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域において、第2のポート109bから出力される高周波信号がさらに小さくなる。したがって、磁気抵抗効果デバイス101は、遮断特性と通過特性のレンジが大きく、さらに急峻な肩特性を持つ高周波フィルタを実現することが可能となる。また、直流電流値を大きくすると、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数はfd1からfd2に、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数はfe1からfe2に、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数はfg1からfg2にシフトする。すなわち通過帯域は低周波数側へシフトする。つまり、磁気抵抗効果デバイス100は、通過帯域の周波数を変化可能な急峻な肩特性を持つ高周波フィルタとして機能することも出来る。
さらに、例えば、図4に示されるように、磁場印加機構111から印加される磁場強度をHb1からHb2に強くした場合、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数はfh1からfh2に、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数はfi1からfi2に、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数はfj1からfj2にシフトする。すなわち、通過帯域は高周波数側へシフトする。また、磁場強度(磁化自由層104における有効磁場Heff)を変化させる方が、直流電流値を変化させるよりも大きく通過帯域をシフトさせることができる。つまり、磁気抵抗効果デバイス100は、通過帯域の周波数を変化可能な急峻な肩特性を持つ高周波フィルタとして機能することが出来る。
なお、各磁気抵抗効果素子に印加される外部磁場H(磁化自由層104における有効磁場Heff)が大きくなるに従って、各磁気抵抗効果素子の振動する抵抗値の振幅が小さくなるので、各磁気抵抗効果素子に印加される外部磁場H(磁化自由層104における有効磁場Heff)を大きくするのに伴い、各磁気抵抗効果素子に印加される直流電流の電流密度を大きくすることが好ましい。
また、磁気抵抗効果デバイス100では、第1の磁気抵抗効果素子は1個(第1の磁気抵抗効果素子101a、101bのいずれか一方)としてもよい。
このように、磁気抵抗効果デバイス100は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと、第2の磁気抵抗効果素子101cと、高周波信号が入力される第1のポート109aと、高周波信号が出力される第2のポート109bと、信号線路107と、直流電流入力端子110(直流印加端子)とを有し、第1のポート109aおよび第2のポート109bが信号線路107を介して接続され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cは、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cは、それぞれ磁化固定層102、磁化自由層104およびこれらの間に配置されたスペーサ層103を有し、第1の磁気抵抗効果素子101a(101b)及び第2の磁気抵抗効果素子101cは、それぞれの一端側が直流電流入力端子110(直流印加端子)側になり、それぞれの他端側が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110(直流印加端子)および基準電位端子114に接続され、第1の磁気抵抗効果素子101a(101b)及び第2の磁気抵抗効果素子101cは、それぞれの一端側から他端側への向きと、それぞれの磁化自由層104から磁化固定層102への向きとの関係が、第1の磁気抵抗効果素子101a(101b)と第2の磁気抵抗効果素子101cとで逆になるように形成されている。また、第1の磁気抵抗効果素子101aは、直流電流入力端子110(直流印加端子)から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子101aの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れるように形成され、第1の磁気抵抗効果素子101bは、直流電流入力端子110(直流印加端子)から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子101bの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れるように形成され、第2の磁気抵抗効果素子101cは、直流電流入力端子110(直流印加端子)から入力される直流電流が、第2の磁気抵抗効果素子101cの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れるように形成され、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は互いに異なっており、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は互いに異なっている。
したがって、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b及び第2の磁気抵抗効果素子101cに第1のポート109aから信号線路107を介して高周波信号が入力されることにより、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b及び第2の磁気抵抗効果素子101cにスピントルク共鳴を誘起させることが出来る。このスピントルク共鳴と同時に、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に直流電流が流れることにより、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数と同じ周波数に対する第1の磁気抵抗効果素子101aの素子インピーダンスが増加し、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数と同じ周波数に対する第1の磁気抵抗効果素子101bの素子インピーダンスが増加する。同様に、スピントルク共鳴と同時に、第2の磁気抵抗効果素子101cの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に直流電流が流れることにより、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数と同じ周波数に対する第2の磁気抵抗効果素子101cの素子インピーダンスが減少する。
2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bが第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、高周波信号を、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bが低インピーダンス状態である非共鳴周波数では第2のポート109bに対して遮断し、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bが高インピーダンス状態である共鳴周波数では第2のポート109b側に通過させることが出来る。さらに、第2の磁気抵抗効果素子101cが、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、高周波信号を、第2の磁気抵抗効果素子101cが低インピーダンス状態である共鳴周波数では第2のポート109bに対し遮断し、第2の磁気抵抗効果素子101cが高インピーダンス状態である非共鳴周波数では第2のポート109b側に通過させることが出来る。このように、磁気抵抗効果デバイス100は、第1のポート109aから入力された高周波信号を、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数では、第2のポート109b側に通過させることが出来、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数では、第2のポート109bに対して遮断することが出来る。つまり、磁気抵抗効果デバイス100は、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数で高周波信号の通過量の極大値を持ち、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数で高周波信号の通過量の極小値を持ち、高周波フィルタとして機能する。
磁気抵抗効果デバイス100では、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域または第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域が通過帯域となる。第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が互いに異なるため(第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数よりも高いまたは低いため)、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の高周波数側または低周波数側において、高周波信号を第2のポート109bに対し遮断することができる。また、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が互いに異なるため(第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも高いまたは低いため)、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の高周波数側または低周波数側において、高周波信号を第2のポート109bに対し遮断することができる。高周波信号が遮断される第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、通過帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに大きくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍または第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される通過帯域の高周波数側または低周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。つまり、磁気抵抗効果デバイス100は、通過帯域の高周波数側または低周波数側において急峻な肩特性を持つ帯域通過型フィルタとして機能することが可能となる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス100は、スピントルク共鳴周波数が互いに異なる2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bを有し、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数より高い、または2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数より低いので、広い通過帯域を持ち、通過帯域の高周波数側または低周波数側における肩特性が急峻である帯域通過型フィルタとして機能することが可能となる。
さらに、遮断特性と通過特性のレンジを大きく、肩特性を急峻にするためには、磁化自由層104が膜面法線方向に磁化容易軸を有し、磁化固定層102が膜面方向に磁化容易軸を有する構成とすることが好ましい。
また、直流電流入力端子110から印加される直流電流を変化させることにより、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数を可変制御することができるため、磁気抵抗効果デバイス100は、周波数可変フィルタとして機能することも可能となる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス100は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数を設定可能な周波数設定機構としての磁場印加機構111を有するので、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数を任意の周波数にすることができる。したがって、磁気抵抗効果デバイス100は、任意の周波数帯のフィルタとして機能することが可能となる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス100は、磁場印加機構111が、磁化自由層104における有効磁場を設定可能な有効磁場設定機構であり、磁化自由層104における有効磁場を変化させて2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数を変化可能であるので、周波数可変フィルタとして機能することが可能となる。
また、以上の説明では、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bが互いに直列に接続されている例で説明したが、第1の磁気抵抗効果素子は3個以上であってもよい。また、複数の第1の磁気抵抗効果素子同士が互いに並列に接続されていても良い。これらの場合の磁気抵抗効果デバイスであっても、各々の第1の磁気抵抗効果素子が第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、磁気抵抗効果デバイス100と同様の、高周波フィルタとしての周波数特性をもつことができる。
また、以上の説明では、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと第2の磁気抵抗効果素子101cとが、互いに並列に接続されている例で説明したが、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの少なくとも一方と第2の磁気抵抗効果素子101cとが直列に接続されていても良い。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス200の断面模式図である。磁気抵抗効果デバイス200において、第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と異なる点について主に説明し、共通する事項は適宜説明を省略する。第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と共通している要素は同じ符号を用いており、共通している要素の説明は省略する。磁気抵抗効果デバイス200は、第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100に対し、さらに第3の磁気抵抗効果素子101dを有している。第3の磁気抵抗効果素子101dは、磁化固定層102(第3の磁化固定層)、磁化自由層104(第3の磁化自由層)およびこれらの間に配置されたスペーサ層103(第3のスペーサ層)を有している。第3の磁気抵抗効果素子101dは、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されている。より具体的には、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dは互いに直列接続されており、第3の磁気抵抗効果素子101dの一端側(磁化自由層104側)が、第2の磁気抵抗効果素子101cに接続され、第3の磁気抵抗効果素子101dの他端側(磁化固定層102側)が、基準電位端子114に接続されて基準電位端子114を介してグラウンド108に接続可能になっている。
第3の磁気抵抗効果素子101dは、その一端側(この例では磁化自由層104側)が直流電流入力端子110側になり、その他端側(この例では磁化固定層102側)が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110および基準電位端子114に接続されている。つまり、磁気抵抗効果デバイス200では、第2の磁気抵抗効果素子101c及び第3の磁気抵抗効果素子101dは、それぞれの一端側から他端側への向きと、それぞれの磁化自由層104から磁化固定層102への向きとの関係が、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dとで同じになるように形成されている。この例では、第2の磁気抵抗効果素子101c及び第3の磁気抵抗効果素子101dのそれぞれの一端側から他端側への向きと、それぞれの磁化自由層104から磁化固定層102への向きとが、第2の磁気抵抗効果素子101c及び第3の磁気抵抗効果素子101d共に、同じ向きの関係になっている。
第3の磁気抵抗効果素子101dは、直流電流入力端子110から入力される直流電流が、第3の磁気抵抗効果素子101dの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れるように形成されている。つまり、磁気抵抗効果デバイス200では、第2の磁気抵抗効果素子101c及び第3の磁気抵抗効果素子101dのそれぞれの中を流れる直流電流の向きと、それぞれの磁化固定層102、スペーサ層103および磁化自由層104の配置順との関係が、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dとで同じになっている。さらに、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数よりも低くなっている。
第1のポート109aから入力される高周波信号は、その一部が2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bまたは、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dに流され、残りの高周波信号は第2のポート109bに出力される。
第3の磁気抵抗効果素子101dは、一端側(磁化自由層104側)が下部電極106を介して信号線路107(第2の磁気抵抗効果素子101c)に電気的に接続され、他端側(磁化固定層102側)が上部電極105と基準電位端子114を介してグラウンド108に電気的に接続されている。
直流電流入力端子110は、第1の磁気抵抗効果素子101aの信号線路107への接続部と第1のポート109aとの間の信号線路107に接続されている。直流電流入力端子110に直流電流源112が接続されることで、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dに直流電流を印加することが可能になる。
直流電流源112は、グラウンド108及び直流電流入力端子110に接続され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、信号線路107、グラウンド108および直流電流入力端子110を含む閉回路が形成され、第2の磁気抵抗効果素子101c、第3の磁気抵抗効果素子101d、信号線路107、グラウンド108および直流電流入力端子110を含む閉回路が形成される。直流電流源112は、直流電流入力端子110から、上記の閉回路に直流電流を印加する。
磁場印加機構111は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dの近傍に配設され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dに磁場を印加して、各磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数を設定可能となっている。
磁気抵抗効果デバイス200のその他の構成は、第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同じである。
磁気抵抗効果デバイス200において、第3の磁気抵抗効果素子101dは、直流電流入力端子110から入力される直流電流が、第3の磁気抵抗効果素子101dの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れるように形成されているので、第2の磁気抵抗効果素子101cと同様に、スピントルク共鳴現象により、スピントルク共鳴周波数で高周波信号のインピーダンスが減少する抵抗素子として取り扱うことが出来る。
スピントルク共鳴現象により、第1のポート109aから入力された高周波信号の高周波成分の中で第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数と一致する、またはスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数成分は、第2のポート109bに並列に接続された、低インピーダンス状態の第3の磁気抵抗効果素子101dによりグラウンド108に流れやすくなり、第2のポート109bに出力されにくくなる。一方、高周波信号の高周波成分の中で第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数の近傍でない周波数成分は、高インピーダンス状態の第3の磁気抵抗効果素子101dによりグラウンド108から遮断され、第2のポート109bに出力されやすくなる。
図6に、磁気抵抗効果デバイス200に入力される高周波信号の周波数と減衰量との関係を示したグラフを示す。図6の縦軸は減衰量、横軸は周波数を表している。図6のプロット線220は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dに印加された磁場が一定で、且つ、印加された直流電流が一定の時のグラフである。faは第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数であり、fbは第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数であり、fcは第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数であり、feは第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数である。
図6のプロット線220に示されるように、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域が通過帯域となる。また、第2の磁気抵抗効果素子101cにより、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の高周波数側(上記の通過帯域の高周波数側)において、高周波信号を第2のポート109bに対し遮断することができる。高周波信号が遮断される第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、通過帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに大きくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される通過帯域の高周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。また、第3の磁気抵抗効果素子101dにより、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の低周波数側(上記の通過帯域の低周波数側)において、高周波信号を第2のポート109bに対し遮断することができる。高周波信号が遮断される第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、通過帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに大きくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される通過帯域の低周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。つまり、磁気抵抗効果デバイス200は、図6のプロット線220に示されるような、通過帯域の低周波数側および高周波数側の両方において急峻な肩特性を持つ帯域通過型フィルタとして機能する。この場合、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍および第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、高周波信号の減衰量の周波数に対する変化が急峻であるため、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数を、使用する通過帯域の上限周波数に一致させ、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数を、使用する通過帯域の下限周波数に一致させることが好ましい。
また、磁気抵抗効果デバイス200では、第1の磁気抵抗効果素子は1個(第1の磁気抵抗効果素子101a、101bのいずれか一方)としてもよい。
このように、磁気抵抗効果デバイス200は、第3の磁気抵抗効果素子101dを磁気抵抗効果デバイス100に対してさらに有し、第3の磁気抵抗効果素子101dは、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dは、それぞれ磁化固定層102、磁化自由層104およびこれらの間に配置されたスペーサ層103を有し、第3の磁気抵抗効果素子101dは、その一端側が直流電流入力端子110(直流印加端子)側になり、その他端側が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110(直流印加端子)および基準電位端子114に接続され、第2の磁気抵抗効果素子101c及び第3の磁気抵抗効果素子101dは、それぞれの一端側から他端側への向きと、それぞれの磁化自由層104から磁化固定層102への向きとの関係が、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dとで同じになるように形成されている。また、第3の磁気抵抗効果素子101dは、直流電流入力端子110(直流印加端子)から入力される直流電流が、第3の磁気抵抗効果素子101dの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れるように形成され、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数は、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数よりも低くなっており、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数は、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも低くなっている。
したがって、第3の磁気抵抗効果素子101dに第1のポート109aから信号線路107を介して高周波信号が入力されることにより、第3の磁気抵抗効果素子101dにスピントルク共鳴を誘起させることが出来る。このスピントルク共鳴と同時に、第3の磁気抵抗効果素子101dの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に直流電流が流れることにより、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数と同じ周波数に対する第3の磁気抵抗効果素子101dの素子インピーダンスが減少する。
第3の磁気抵抗効果素子101dが、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、高周波信号を、第3の磁気抵抗効果素子101dが低インピーダンス状態である共鳴周波数では第2のポート109bに対し遮断し、第3の磁気抵抗効果素子101dが高インピーダンス状態である非共鳴周波数では第2のポート109b側に通過させることが出来る。
第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数が第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数よりも低いため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の高周波数側および低周波数側において、高周波信号を第2のポートに対し遮断することができる。また、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数が第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも低いため、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の高周波数側および低周波数側において、高周波信号を第2のポートに対し遮断することができる。高周波信号が遮断される第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍および第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、通過帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに大きくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍または第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される通過帯域の高周波数側および低周波数側の両方の肩特性を急峻にすることが可能になる。つまり、磁気抵抗効果デバイス200は、通過帯域の高周波数側および低周波数側の両方において急峻な肩特性を持つ帯域通過型フィルタとして機能することが可能となる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス200は、スピントルク共鳴周波数が互いに異なる2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bを有するので、広い通過帯域を持ち、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数が、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数よりも低いため、通過帯域の高周波数側及び低周波数側の両方において急峻な肩特性を持つ帯域通過型フィルタとして機能することが可能となる。
また、以上の説明では、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bが互いに直列に接続されている例で説明したが、第1の磁気抵抗効果素子は3個以上であってもよい。また、複数の第1の磁気抵抗効果素子同士が互いに並列に接続されていても良い。これらの場合の磁気抵抗効果デバイスであっても、各々の第1の磁気抵抗効果素子が第2のポート109bに対して並列に接続されることにより、磁気抵抗効果デバイス200と同様の、高周波フィルタとしての周波数特性をもつことができる。
また、以上の説明では、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dが互いに直列に接続されている例で説明したが、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dが互いに並列に接続されていても良い。この場合の磁気抵抗効果デバイスであっても、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dが、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、磁気抵抗効果デバイス200と同様の、高周波フィルタとしての周波数特性をもつことができる。
また、以上の説明では、互いに直列に接続された2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと、互いに直列に接続された第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dとが、互いに並列に接続されている例で説明したが、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの少なくとも一方と、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dの少なくとも一方とが、直列に接続されていても良い。
第1実施形態の磁気抵抗効果デバイス100および第2実施形態の磁気抵抗効果デバイス200において、さらに、通過帯域を広く、肩特性を急峻にするためには、肩特性を急峻にする第2の磁気抵抗効果素子101c(第3の磁気抵抗効果素子101d)のQ値を、通過帯域を形成する第1の磁気抵抗効果素子101aと第1の磁気抵抗効果素子101bの少なくとも一方のQ値よりも大きくすることが好ましい。ここでQ値とは、磁気抵抗効果素子のインピーダンスの絶対値が、磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数f0におけるインピーダンスの絶対値から3dB減少または増加する、周波数f0の両側の周波数f1、f2(f1<f2)を用いて、
Q=f0/(f2−f1)
で表される。スピントルク共鳴時の磁気抵抗効果素子のQ値は、磁気抵抗効果素子に印加される直流電流の電流密度に比例するため、例えば、第1の磁気抵抗効果素子101aと第1の磁気抵抗効果素子101bと第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dについて、膜構成および平面視形状の面積が互いに同じである場合には、第1の磁気抵抗効果素子101aと第1の磁気抵抗効果素子101bとを互いに直列接続し、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dとを互いに並列接続することにより、第2の磁気抵抗効果素子101c(第3の磁気抵抗効果素子101d)のQ値を、第1の磁気抵抗効果素子101aのQ値及び第1の磁気抵抗効果素子101bのQ値よりも大きくすることができる。また、例えば、第1の磁気抵抗効果素子101aと第1の磁気抵抗効果素子101bと第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dとが互いに直列接続されている場合には、第2の磁気抵抗効果素子101cの平面視形状の面積を、第1の磁気抵抗効果素子101a(第1の磁気抵抗効果素子101b)の平面視形状の面積よりも小さくすることにより、第2の磁気抵抗効果素子101cのQ値を、第1の磁気抵抗効果素子101a(第1の磁気抵抗効果素子101b)のQ値よりも大きくすることができ、第3の磁気抵抗効果素子101dの平面視形状の面積を、第1の磁気抵抗効果素子101a(第1の磁気抵抗効果素子101b)の平面視形状の面積よりも小さくすることにより、第3の磁気抵抗効果素子101dのQ値を、第1の磁気抵抗効果素子101a(第1の磁気抵抗効果素子101b)のQ値よりも大きくすることができる。
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス300の断面模式図である。磁気抵抗効果デバイス300において、第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と異なる点について主に説明し、共通する事項は適宜説明を省略する。第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と共通している要素は同じ符号を用いており、共通している要素の説明は省略する。磁気抵抗効果デバイス300は、第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100に対し、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの中を流れる直流電流の向きおよび第2の磁気抵抗効果素子101cの中を流れる直流電流の向きが異なる。磁気抵抗効果デバイス300では、第1の磁気抵抗効果素子101aは、直流電流入力端子110から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子101aの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れるように形成されている。第1の磁気抵抗効果素子101bは、直流電流入力端子110から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子101bの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れるように形成されている。第2の磁気抵抗効果素子101cは、直流電流入力端子110から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子101cの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れるように形成されている。つまり、磁気抵抗効果デバイス300では、第1の磁気抵抗効果素子101a、第1の磁気抵抗効果素子101b及び第2の磁気抵抗効果素子101cのそれぞれの中を流れる直流電流の向きと、それぞれの磁化固定層102、スペーサ層103および磁化自由層104の配置順との関係が、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと第2の磁気抵抗効果素子101cとで逆になっている。磁気抵抗効果デバイス300のその他の構成は、第1の実施形態の磁気抵抗効果デバイス100と同じである。
各磁気抵抗効果素子の中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れる直流電流を各磁気抵抗効果素子に印加しながら、各磁気抵抗効果素子にスピントルク共鳴周波数と同じ周波数の高周波信号を入力すると、各磁気抵抗効果素子は、入力された高周波信号と同位相の状態で、スピントルク共鳴周波数で抵抗値が周期的に変化し、この高周波信号に対するインピーダンスは減少する。つまり、磁気抵抗効果デバイス300において、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bは、スピントルク共鳴現象により、スピントルク共鳴周波数で高周波信号のインピーダンスが減少する抵抗素子として取り扱うことが出来る。
各磁気抵抗効果素子の中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れる直流電流を各磁気抵抗効果素子に印加しながら、各磁気抵抗効果素子にスピントルク共鳴周波数と同じ周波数の高周波信号を入力すると、各磁気抵抗効果素子は、入力された高周波信号と位相が180°異なる状態で、スピントルク共鳴周波数で抵抗値が周期的に変化し、この高周波信号に対するインピーダンスは増加する。つまり、磁気抵抗効果デバイス300において、第2の磁気抵抗効果素子101cは、スピントルク共鳴現象により、スピントルク共鳴周波数で高周波信号のインピーダンスが増加する抵抗素子として取り扱うことが出来る。
スピントルク共鳴現象により、第1のポート109aから入力された高周波信号の高周波成分の中で第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数と一致する、またはスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数成分は、第2のポート109bに並列に接続された、低インピーダンス状態の第1の磁気抵抗効果素子101aを通過してグラウンド108に流れ、第2のポート109bに出力されにくくなる。一方、高周波信号の高周波成分の中で第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍でない周波数成分は、高インピーダンス状態の第1の磁気抵抗効果素子101aによりグラウンド108から遮断され、第2のポート109bに出力されやすくなる。同様に、第1のポート109aから入力された高周波信号の高周波成分の中で第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数と一致する、またはスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数成分は、第2のポート109bに並列に接続された、低インピーダンス状態の第1の磁気抵抗効果素子101bを通過してグラウンド108に流れ、第2のポート109bに出力されにくくなる。一方、高周波信号の高周波成分の中で第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍でない周波数成分は、高インピーダンス状態の第1の磁気抵抗効果素子101bによりグラウンド108から遮断され、第2のポート109bに出力されやすくなる。
さらに、スピントルク共鳴現象により、第1のポート109aから入力された高周波信号の高周波成分の中で第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数と一致する、またはスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数成分は、第2のポート109bに並列に接続された、高インピーダンス状態の第2の磁気抵抗効果素子101cによりグラウンド108から遮断され、第2のポート109bに出力されやすくなる。一方、高周波信号の高周波成分の中で第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍でない周波数成分は、低インピーダンス状態の第2の磁気抵抗効果素子101cを通過してグラウンド108に流れ、第2のポート109bに出力されにくくなる。
図8に、磁気抵抗効果デバイス300に入力される高周波信号の周波数と減衰量との関係を示したグラフを示す。図8の縦軸は減衰量、横軸は周波数を表している。図8のプロット線320は、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加された磁場が一定で、且つ、印加された直流電流が一定の時のグラフである。faは第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数であり、fbは第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数であり、fcは第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数である。図8では、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数より低い場合の例を示している。
図8のプロット線320に示されるように、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域が遮断帯域となる。また、第2の磁気抵抗効果素子101cにより、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の低周波数側(上記の遮断帯域の低周波数側)において、高周波信号を第2のポート109b側に通過させることができる。高周波信号が通過する第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、遮断帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに小さくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される遮断帯域の低周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。つまり、この場合の磁気抵抗効果デバイス300は、図8のプロット線320に示されるような、遮断帯域の低周波数側において急峻な肩特性を持つ帯域遮断型フィルタとして機能する。この場合、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、高周波信号の減衰量の周波数に対する変化が急峻であるため、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数を、使用する遮断帯域の下限周波数に一致させることが好ましい。
同様にして、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数より高い場合には、磁気抵抗効果デバイス300は、遮断帯域の高周波数側において急峻な肩特性を持つ帯域遮断型フィルタとして機能する。この場合、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数を、使用する遮断帯域の上限周波数に一致させることが好ましい。
図9および図10に、磁気抵抗効果デバイス300に入力される高周波信号の周波数と減衰量との関係を示したグラフを示す。図9および図10の縦軸は減衰量、横軸は周波数を表している。図9は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加された磁場が一定の時のグラフである。図9のプロット線331は、直流電流入力端子110から2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bに印加される直流電流値がIa1であり、第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される直流電流値がIb1の時のものであり、プロット線332は、直流電流入力端子110から2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bに印加される直流電流値がIa2であり、第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される直流電流値がIb2の時のものである。この時の直流電流値の関係は、Ia1<Ia2およびIb1<Ib2である。また、図10は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加された直流電流が一定の時のグラフである。図10のプロット線341は、磁場印加機構111から2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される磁場強度がHb1の時のものであり、プロット線342は磁場印加機構111から2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される磁場強度がHb2の時のものである。この時の磁場強度の関係は、Hb1<Hb2である。
例えば、図9に示されるように、直流電流入力端子110から2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cに印加される直流電流値を大きくした場合、電流値の変化に伴い2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数での素子インピーダンスの変化量が増加することで、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域(遮断帯域)において、第2のポート109bから出力される高周波信号がさらに小さくなり、通過損失が大きくなる。それと同時に、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域において、第2のポート109bから出力される高周波信号がさらに大きくなる。したがって、磁気抵抗効果デバイス300は、遮断特性と通過特性のレンジが大きく、さらに急峻な肩特性を持つ高周波フィルタを実現することが可能となる。また、直流電流値を大きくすると、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数はfd1からfd2に、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数はfe1からfe2に、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数はfg1からfg2にシフトする。すなわち遮断帯域は低周波数側へシフトする。つまり、磁気抵抗効果デバイス100は、遮断帯域の周波数を変化可能な急峻な肩特性を持つ高周波フィルタとして機能することも出来る。
さらに、例えば、図10に示されるように、磁場印加機構111から印加される磁場強度をHb1からHb2に強くした場合、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数はfh1からfh2に、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数はfi1からfi2に、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数はfj1からfj2にシフトする。すなわち、遮断帯域は高周波数側へシフトする。また、磁場強度(磁化自由層104における有効磁場Heff)を変化させる方が、直流電流値を変化させるよりも大きく遮断帯域をシフトさせることができる。つまり、磁気抵抗効果デバイス300は、遮断帯域の周波数を変化可能な急峻な肩特性を持つ高周波フィルタとして機能することが出来る。
なお、各磁気抵抗効果素子に印加される外部磁場H(磁化自由層104における有効磁場Heff)が大きくなるに従って、各磁気抵抗効果素子の振動する抵抗値の振幅が小さくなるので、各磁気抵抗効果素子に印加される外部磁場H(磁化自由層104における有効磁場Heff)を大きくするのに伴い、各磁気抵抗効果素子に印加される直流電流の電流密度を大きくすることが好ましい。
また、磁気抵抗効果デバイス300では、第1の磁気抵抗効果素子は1個(第1の磁気抵抗効果素子101a、101bのいずれか一方)としてもよい。
このように、磁気抵抗効果デバイス300は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと、第2の磁気抵抗効果素子101cと、高周波信号が入力される第1のポート109aと、高周波信号が出力される第2のポート109bと、信号線路107と、直流電流入力端子110(直流印加端子)とを有し、第1のポート109aおよび第2のポート109bが信号線路107を介して接続され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cは、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bおよび第2の磁気抵抗効果素子101cは、それぞれ磁化固定層102、磁化自由層104およびこれらの間に配置されたスペーサ層103を有し、第1の磁気抵抗効果素子101a(101b)及び第2の磁気抵抗効果素子101cは、それぞれの一端側が直流電流入力端子110(直流印加端子)側になり、それぞれの他端側が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110(直流印加端子)および基準電位端子114に接続され、第1の磁気抵抗効果素子101a(101b)及び第2の磁気抵抗効果素子101cは、それぞれの一端側から他端側への向きと、それぞれの磁化自由層104から磁化固定層102への向きとの関係が、第1の磁気抵抗効果素子101a(101b)と第2の磁気抵抗効果素子101cとで逆になるように形成されている。また、第1の磁気抵抗効果素子101aは、直流電流入力端子110(直流印加端子)から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子101aの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れるように形成され、第1の磁気抵抗効果素子101bは、直流電流入力端子110(直流印加端子)から入力される直流電流が、第1の磁気抵抗効果素子101bの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に流れるように形成され、第2の磁気抵抗効果素子101cは、直流電流入力端子110(直流印加端子)から入力される直流電流が、第2の磁気抵抗効果素子101cの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れるように形成され、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は互いに異なっており、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は互いに異なっている。
したがって、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b及び第2の磁気抵抗効果素子101cに第1のポート109aから信号線路107を介して高周波信号が入力されることにより、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b及び第2の磁気抵抗効果素子101cにスピントルク共鳴を誘起させることが出来る。このスピントルク共鳴と同時に、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの中を磁化自由層104から磁化固定層102の方向に直流電流が流れることにより、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数と同じ周波数に対する第1の磁気抵抗効果素子101aの素子インピーダンスが減少し、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数と同じ周波数に対する第1の磁気抵抗効果素子101bの素子インピーダンスが減少する。同様に、スピントルク共鳴と同時に、第2の磁気抵抗効果素子101cの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に直流電流が流れることにより、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数と同じ周波数に対する第2の磁気抵抗効果素子101cの素子インピーダンスが増加する。
2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bが第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、高周波信号を、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bが高インピーダンス状態である非共鳴周波数では第2のポート109b側に通過させ、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bが低インピーダンス状態である共鳴周波数では第2のポート109bに対して遮断することが出来る。さらに、第2の磁気抵抗効果素子101cが、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、高周波信号を、第2の磁気抵抗効果素子101cが高インピーダンス状態である共鳴周波数では第2のポート109b側に通過させ、第2の磁気抵抗効果素子101cが低インピーダンス状態である非共鳴周波数では第2のポート109bに対して遮断することが出来る。このように、磁気抵抗効果デバイス100は、第1のポート109aから入力された高周波信号を、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数では、第2のポート109bに対して遮断することが出来、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数では、第2のポート109b側に通過させることが出来る。つまり、磁気抵抗効果デバイス300は、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数で高周波信号の通過量の極小値を持ち、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数で高周波信号の通過量の極大値を持ち、高周波フィルタとして機能する。
磁気抵抗効果デバイス300では、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域または第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域が遮断帯域となる。第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が互いに異なるため(第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数よりも高いまたは低いため)、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の高周波数側または低周波数側において、高周波信号を第2のポート109b側に通過させることができる。また、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数と第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が互いに異なるため(第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも高いまたは低いため)、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の高周波数側または低周波数側において、高周波信号を第2のポート109b側に通過させることができる。高周波信号が通過する第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、遮断帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに小さくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍または第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される遮断帯域の高周波数側または低周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。つまり、磁気抵抗効果デバイス300は、遮断帯域の高周波数側または低周波数側において急峻な肩特性を持つ帯域遮断型フィルタとして機能することが可能となる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス300は、スピントルク共鳴周波数が互いに異なる2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bを有し、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数より高い、または2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数より低いので、広い遮断帯域を持ち、遮断帯域の高周波数側または低周波数側における肩特性が急峻である帯域遮断型フィルタとして機能することが可能となる。
また、以上の説明では、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bが互いに直列に接続されている例で説明したが、第1の実施形態で説明した場合と同様にして、第1の磁気抵抗効果素子は3個以上であってもよい。また、複数の第1の磁気抵抗効果素子同士が互いに並列に接続されていても良い。これらの場合の磁気抵抗効果デバイスであっても、各々の第1の磁気抵抗効果素子が第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、磁気抵抗効果デバイス300と同様の、高周波フィルタとしての周波数特性をもつことができる。
また、以上の説明では、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと第2の磁気抵抗効果素子101cとが、互いに並列に接続されている例で説明したが、第1の実施形態で説明した場合と同様にして、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの少なくとも一方と第2の磁気抵抗効果素子101cとが直列に接続されていても良い。
(第4の実施形態)
図11は、本発明の第4の実施形態に係る磁気抵抗効果デバイス400の断面模式図である。磁気抵抗効果デバイス400において、第3の実施形態の磁気抵抗効果デバイス300と異なる点について主に説明し、共通する事項は適宜説明を省略する。第3の実施形態の磁気抵抗効果デバイス300と共通している要素は同じ符号を用いており、共通している要素の説明は省略する。磁気抵抗効果デバイス400は、第3の実施形態の磁気抵抗効果デバイス300に対し、さらに第3の磁気抵抗効果素子101dを有している。第3の磁気抵抗効果素子101dは、磁化固定層102(第3の磁化固定層)、磁化自由層104(第3の磁化自由層)およびこれらの間に配置されたスペーサ層103(第3のスペーサ層)を有している。第3の磁気抵抗効果素子101dは、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されている。より具体的には、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dは互いに直列接続されており、第3の磁気抵抗効果素子101dの一端側(磁化自由層104側)が、第2の磁気抵抗効果素子101cに接続され、第3の磁気抵抗効果素子101dの他端側(磁化固定層102側)が、基準電位端子114に接続されて基準電位端子114を介してグラウンド108に接続可能になっている。
第3の磁気抵抗効果素子101dは、その一端側(この例では磁化自由層104側)が直流電流入力端子110側になり、その他端側(この例では磁化固定層102側)が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110および基準電位端子114に接続されている。つまり、磁気抵抗効果デバイス400では、第2の磁気抵抗効果素子101c及び第3の磁気抵抗効果素子101dは、それぞれの一端側から他端側への向きと、それぞれの磁化自由層104から磁化固定層102への向きとの関係が、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dとで同じになるように形成されている。この例では、第2の磁気抵抗効果素子101c及び第3の磁気抵抗効果素子101dのそれぞれの一端側から他端側への向きと、それぞれの磁化自由層104から磁化固定層102への向きとが、第2の磁気抵抗効果素子101c及び第3の磁気抵抗効果素子101d共に、同じ向きの関係になっている。
第3の磁気抵抗効果素子101dは、直流電流入力端子110から入力される直流電流が、第3の磁気抵抗効果素子101dの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れるように形成されている。つまり、磁気抵抗効果デバイス400では、第2の磁気抵抗効果素子101c及び第3の磁気抵抗効果素子101dのそれぞれの中を流れる直流電流の向きと、それぞれの磁化固定層102、スペーサ層103および磁化自由層104の配置順との関係が、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dとで同じになっている。さらに、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数よりも低くなっている。
第1のポート109aから入力される高周波信号は、その一部が2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bまたは、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dに流され、残りの高周波信号は第2のポート109bに出力される。
第3の磁気抵抗効果素子101dは、一端側(磁化自由層104側)が下部電極106を介して信号線路107(第2の磁気抵抗効果素子101c)に電気的に接続され、他端側(磁化固定層102側)が上部電極105と基準電位端子114を介してグラウンド108に電気的に接続されている。
直流電流入力端子110は、第1の磁気抵抗効果素子101aの信号線路107への接続部と第1のポート109aとの間の信号線路107に接続されている。直流電流入力端子110に直流電流源112が接続されることで、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dに直流電流を印加することが可能になる。
直流電流源112は、グラウンド108及び直流電流入力端子110に接続され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、信号線路107、グラウンド108および直流電流入力端子110を含む閉回路が形成され、第2の磁気抵抗効果素子101c、第3の磁気抵抗効果素子101d、信号線路107、グラウンド108および直流電流入力端子110を含む閉回路が形成される。直流電流源112は、直流電流入力端子110から、上記の閉回路に直流電流を印加する。
磁場印加機構111は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dの近傍に配設され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dに磁場を印加して、各磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数を設定可能となっている。
磁気抵抗効果デバイス400のその他の構成は、第3の実施形態の磁気抵抗効果デバイス300と同じである。
磁気抵抗効果デバイス400において、第3の磁気抵抗効果素子101dは、直流電流入力端子110から入力される直流電流が、第3の磁気抵抗効果素子101dの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れるように形成されているので、第2の磁気抵抗効果素子101cと同様に、スピントルク共鳴現象により、スピントルク共鳴周波数で高周波信号のインピーダンスが増加する抵抗素子として取り扱うことが出来る。
スピントルク共鳴現象により、第1のポート109aから入力された高周波信号の高周波成分の中で、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数と一致する、またはスピントルク共鳴周波数の近傍の周波数成分は、第2のポート109bに並列に接続された、高インピーダンス状態の第3の磁気抵抗効果素子101dによりグラウンド108から遮断され、第2のポート109bに出力されやすくなる。一方、高周波信号の高周波成分の中で第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数の近傍でない周波数成分は、低インピーダンス状態の第3の磁気抵抗効果素子101dを通過し、グラウンド108に流れ、第2のポート109bに出力されにくくなる。
図12に、磁気抵抗効果デバイス400に入力される高周波信号の周波数と減衰量との関係を示したグラフを示す。図12の縦軸は減衰量、横軸は周波数を表している。図12のプロット線420は、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dに印加された磁場が一定で、且つ、印加された直流電流が一定の時のグラフである。faは第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数であり、fbは第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数であり、fcは第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数であり、feは第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数である。
図12のプロット線420に示されるように、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍の帯域が遮断帯域となる。また、第2の磁気抵抗効果素子101cにより、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の高周波数側(上記の遮断帯域の高周波数側)において、高周波信号を第2のポート109b側に通過させることができる。高周波信号が通過する第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、遮断帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに小さくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される遮断帯域の高周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。また、第3の磁気抵抗効果素子101dにより、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の低周波数側(上記の遮断帯域の低周波数側)において、高周波信号を第2のポート109b側に通過させることができる。高周波信号が通過する第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、遮断帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに小さくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍および第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される遮断帯域の低周波数側の肩特性を急峻にすることが可能になる。つまり、磁気抵抗効果デバイス400は、図12のプロット線420に示されるような、遮断帯域の低周波数側および高周波数側の両方において急峻な肩特性を持つ帯域遮断型フィルタとして機能する。この場合、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍および第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、高周波信号の減衰量の周波数に対する変化が急峻であるため、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数を、使用する遮断帯域の上限周波数に一致させ、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数を、使用する遮断帯域の下限周波数に一致させることが好ましい。
また、磁気抵抗効果デバイス400では、第1の磁気抵抗効果素子は1個(第1の磁気抵抗効果素子101a、101bのいずれか一方)としてもよい。
このように、磁気抵抗効果デバイス400は、第3の磁気抵抗効果素子101dを磁気抵抗効果デバイス300に対してさらに有し、第3の磁気抵抗効果素子101dは、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続され、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101b、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dは、それぞれ磁化固定層102、磁化自由層104およびこれらの間に配置されたスペーサ層103を有し、第3の磁気抵抗効果素子101dは、その一端側が直流電流入力端子110(直流印加端子)側になり、その他端側が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110(直流印加端子)および基準電位端子114に接続され、第2の磁気抵抗効果素子101c及び第3の磁気抵抗効果素子101dは、それぞれの一端側から他端側への向きと、それぞれの磁化自由層104から磁化固定層102への向きとの関係が、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dとで同じになるように形成されている。また、第3の磁気抵抗効果素子101dは、直流電流入力端子110(直流印加端子)から入力される直流電流が、第3の磁気抵抗効果素子101dの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に流れるように形成され、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数は、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数よりも低くなっており、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数は、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数は、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも低くなっている。
したがって、第3の磁気抵抗効果素子101dに第1のポート109aから信号線路107を介して高周波信号が入力されることにより、第3の磁気抵抗効果素子101dにスピントルク共鳴を誘起させることが出来る。このスピントルク共鳴と同時に、第3の磁気抵抗効果素子101dの中を磁化固定層102から磁化自由層104の方向に直流電流が流れることにより、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数と同じ周波数に対する第3の磁気抵抗効果素子101dの素子インピーダンスが増加する。
第3の磁気抵抗効果素子101dが、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、高周波信号を、第3の磁気抵抗効果素子101dが高インピーダンス状態である共鳴周波数では第2のポート109b側に通過させ、第3の磁気抵抗効果素子101dが低インピーダンス状態である非共鳴周波数では第2のポート109bに対して遮断することが出来る。
第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数が第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数よりも低いため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の高周波数側および低周波数側において、高周波信号を第2のポート側に通過させることができる。また、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数が第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数よりも低いため、第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の高周波数側および低周波数側において、高周波信号を第2のポート側に通過させることができる。高周波信号が通過する第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数の近傍および第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数の近傍においては、遮断帯域における高周波信号の減衰量に対する減衰量の比をさらに小さくすることができるため、第1の磁気抵抗効果素子101aのスピントルク共鳴周波数の近傍または第1の磁気抵抗効果素子101bのスピントルク共鳴周波数の近傍で形成される遮断帯域の高周波数側および低周波数側の両方の肩特性を急峻にすることが可能になる。つまり、磁気抵抗効果デバイス200は、遮断帯域の高周波数側および低周波数側の両方において急峻な肩特性を持つ帯域遮断型フィルタとして機能することが可能となる。
さらに、磁気抵抗効果デバイス400は、スピントルク共鳴周波数が互いに異なる2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bを有するので、広い遮断帯域を持ち、第2の磁気抵抗効果素子101cのスピントルク共鳴周波数が、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数よりも高く、第3の磁気抵抗効果素子101dのスピントルク共鳴周波数が、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの各々のスピントルク共鳴周波数よりも低いため、遮断帯域の高周波数側及び低周波数側の両方において急峻な肩特性を持つ帯域遮断型フィルタとして機能することが可能となる。
また、以上の説明では、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bが互いに直列に接続されている例で説明したが、第1の実施形態で説明した場合と同様にして、第1の磁気抵抗効果素子は3個以上であってもよい。また、複数の第1の磁気抵抗効果素子同士が互いに並列に接続されていても良い。これらの場合の磁気抵抗効果デバイスであっても、各々の第1の磁気抵抗効果素子が第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、磁気抵抗効果デバイス400と同様の、高周波フィルタとしての周波数特性をもつことができる。
また、以上の説明では、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dが互いに直列に接続されている例で説明したが、第2の実施形態で説明した場合と同様にして、第2の磁気抵抗効果素子101cと第3の磁気抵抗効果素子101dが互いに並列に接続されていても良い。この場合の磁気抵抗効果デバイスであっても、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dが、第2のポート109bに対して並列に信号線路107に接続されることにより、磁気抵抗効果デバイス400と同様の、高周波フィルタとしての周波数特性をもつことができる。
また、以上の説明では、互いに直列に接続された2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bと、互いに直列に接続された第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dとが、互いに並列に接続されている例で説明したが、第2の実施形態で説明した場合と同様にして、2つの第1の磁気抵抗効果素子101a、101bの少なくとも一方と、第2の磁気抵抗効果素子101cおよび第3の磁気抵抗効果素子101dの少なくとも一方とが、直列に接続されていても良い。
第3実施形態の磁気抵抗効果デバイス300および第4実施形態の磁気抵抗効果デバイス400において、さらに、遮断帯域を広く、肩特性を急峻にするためには、肩特性を急峻にする第2の磁気抵抗効果素子101c(第3の磁気抵抗効果素子101d)のQ値を、遮断帯域を形成する第1の磁気抵抗効果素子101aと第1の磁気抵抗効果素子101bの少なくとも一方のQ値よりも大きくすることが好ましい。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、上記で説明した実施形態以外にも変更や構成要素の追加を行うことが可能である。例えば、第1のポート109aに接続された高周波回路に直流信号が流れるのを防ぐために、第1〜第4の実施形態における直流電流入力端子110の信号線路107への接続部と第1のポート109aとの間の信号線路107に、直流信号をカットするためのコンデンサを直列に接続してもよい。また、第2のポート109bに接続された高周波回路に直流信号が流れるのを防ぐために、第1〜第4の実施形態における第2の磁気抵抗効果素子101cの信号線路107への接続部と第2のポート109bとの間の信号線路107に、直流信号をカットするためのコンデンサを直列に接続してもよい。
また、第1〜第4の実施形態において、各磁気抵抗効果素子の中を流れる高周波信号の各磁気抵抗効果素子に対する向きが、第1〜第4の実施形態の説明の中で図示されている向きとは反対になるように各磁気抵抗効果素子が形成されていても良い。例えば、第1〜第4の実施形態では、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bは、磁化固定層102側が第1のポート109a側に接続されており、第2の磁気抵抗効果素子101c(および第3の磁気抵抗効果素子101d)は、磁化自由層104側が第1のポート109a側に接続されているが、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bは、磁化自由層104側が第1のポート109a側に接続され、第2の磁気抵抗効果素子101c(および第3の磁気抵抗効果素子101d)は、磁化固定層102側が第1のポート109a側に接続されるようにしてもよい。これらの場合は、直流電流源112から直流電流入力端子110に入力される直流電流の向きを、各実施形態の説明の中で図示されている向きとは反対になるようにすればよい。
また、第1〜第4の実施形態において、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bは、それぞれの磁化固定層102側が直流電流入力端子110側になり、それぞれの磁化自由層104側が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110および基準電位端子114に接続されており、第2の磁気抵抗効果素子101c(および第3の磁気抵抗効果素子101d)は、それぞれの磁化自由層104側が直流電流入力端子110側になり、それぞれの磁化固定層102側が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110および基準電位端子114に接続されているが、第1の磁気抵抗効果素子101a、101bは、それぞれの磁化自由層104側が直流電流入力端子110側になり、それぞれの磁化固定層102側が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110および基準電位端子114に接続され、第2の磁気抵抗効果素子101c(および第3の磁気抵抗効果素子101d)は、それぞれの磁化固定層102側が直流電流入力端子110側になり、それぞれの磁化自由層104側が基準電位端子114側になるように、直流電流入力端子110および基準電位端子114に接続されるようにしてもよい。
また、第1〜第4の実施形態では、直流電流源112からの直流電流が、直流印加端子の一例である直流電流入力端子110から入力され、各磁気抵抗効果素子(第1〜第3の磁気抵抗効果素子)に印加される例で説明したが、直流電流源112にかえて直流電圧源を直流印加端子に接続し、直流印加端子から直流電圧が各磁気抵抗効果素子(第1〜第3の磁気抵抗効果素子)に対してそれぞれの積層方向に印加されて、各磁気抵抗効果素子の中を直流電流が流れるようにしてもよい。つまり、直流印加端子は、各磁気抵抗効果素子(第1〜第3の磁気抵抗効果素子)に直流電流または直流電圧を印加可能であればよい。直流電圧源は、一定の直流電圧を発生可能な直流電圧源でもよく、発生する直流電圧値の大きさが変化可能な直流電圧源でもよい。
また、第1〜第4の実施形態では、磁気抵抗効果デバイス100(200、300、400)が周波数設定機構(有効磁場設定機構)として磁場印加機構111を有する例で説明しているが、周波数設定機構(有効磁場設定機構)は、以下に示すような他の例でも良い。例えば、磁気抵抗効果素子に電場を印加し、その電場を変化させることにより、磁化自由層における異方性磁場Hを変化させて磁化自由層における有効磁場を変化させ、磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数を変化させることができる。この場合、磁気抵抗効果素子に電場を印加する機構が、周波数設定機構(有効磁場設定機構)となる。また、磁化自由層の近傍に圧電体を設け、その圧電体に電場を印加して圧電体を変形させ、磁化自由層を歪ませることにより、磁化自由層における異方性磁場Hを変化させて磁化自由層における有効磁場を変化させ、磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数を変化させることができる。この場合、圧電体に電場を印加する機構および圧電体が、周波数設定機構(有効磁場設定機構)となる。また、電気磁気効果を有する反強磁性体またはフェリ磁性体である制御膜を磁化自由層に磁気的に結合するように設け、制御膜に磁場および電場を印加し、制御膜に印加する磁場および電場の少なくとも一方を変化させることにより、磁化自由層における交換結合磁場HEXを変化させて磁化自由層における有効磁場を変化させ、磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数を変化させることができる。この場合、制御膜に磁場を印加する機構、制御膜に電場を印加する機構および制御膜が、周波数設定機構(有効磁場設定機構)となる。
また、周波数設定機構が無くても(磁場印加機構111からの磁場が印加されなくても)、各磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が所望の周波数である場合には、周波数設定機構(磁場印加機構111)は無くてもよい。
101a、101b 第1の磁気抵抗効果素子
101c 第2の磁気抵抗効果素子
101d 第3の磁気抵抗効果素子
102 磁化固定層
103 スペーサ層
104 磁化自由層
105 上部電極
106 下部電極
107 信号線路
108 グラウンド
109a 第1のポート
109b 第2のポート
110 直流電流入力端子
111 磁場印加機構
112 直流電流源
114 基準電位端子
100、200、300、400 磁気抵抗効果デバイス

Claims (8)

  1. 第1の磁気抵抗効果素子と、第2の磁気抵抗効果素子と、高周波信号が入力される第1のポートと、高周波信号が出力される第2のポートと、信号線路と、直流印加端子とを有し、
    前記第1のポートおよび前記第2のポートが前記信号線路を介して接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子は、前記第2のポートに対して並列に前記信号線路に接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子は、それぞれ磁化固定層、磁化自由層およびこれらの間に配置されたスペーサ層を有し、
    前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子は、前記直流印加端子から入力され前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子のそれぞれの中を流れる直流電流の向きと、それぞれの前記磁化固定層、前記スペーサ層および前記磁化自由層の配置順との関係が、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子とで逆になるように形成され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数と前記第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数は互いに異なることを特徴とする磁気抵抗効果デバイス。
  2. スピントルク共鳴周波数が互いに異なる複数の前記第1の磁気抵抗効果素子を有し、
    前記第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数は、前記複数の第1の磁気抵抗効果素子の各々のスピントルク共鳴周波数より高い、または前記複数の第1の磁気抵抗効果素子の各々のスピントルク共鳴周波数より低いことを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  3. 第3の磁気抵抗効果素子をさらに有し、
    前記第3の磁気抵抗効果素子は、前記第2のポートに対して並列に前記信号線路に接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子、前記第2の磁気抵抗効果素子および前記第3の磁気抵抗効果素子は、それぞれ磁化固定層、磁化自由層およびこれらの間に配置されたスペーサ層を有し、
    前記第2の磁気抵抗効果素子および前記第3の磁気抵抗効果素子は、前記直流印加端子から入力され前記第2の磁気抵抗効果素子および前記第3の磁気抵抗効果素子のそれぞれの中を流れる直流電流の向きと、それぞれの前記磁化固定層、前記スペーサ層および前記磁化自由層の配置順との関係が、前記第2の磁気抵抗効果素子と前記第3の磁気抵抗効果素子とで同じになるように形成され、
    前記第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が、前記第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数よりも高く、前記第3の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が、前記第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数よりも低いことを特徴とする請求項1に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  4. 第3の磁気抵抗効果素子をさらに有し、
    前記第3の磁気抵抗効果素子は、前記第2のポートに対して並列に前記信号線路に接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子、前記第2の磁気抵抗効果素子および前記第3の磁気抵抗効果素子は、それぞれ磁化固定層、磁化自由層およびこれらの間に配置されたスペーサ層を有し、
    前記第2の磁気抵抗効果素子および前記第3の磁気抵抗効果素子は、前記直流印加端子から入力され前記第2の磁気抵抗効果素子および前記第3の磁気抵抗効果素子のそれぞれの中を流れる直流電流の向きと、それぞれの前記磁化固定層、前記スペーサ層および前記磁化自由層の配置順との関係が、前記第2の磁気抵抗効果素子と前記第3の磁気抵抗効果素子とで同じになるように形成され、
    前記第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が、前記複数の第1の磁気抵抗効果素子の各々のスピントルク共鳴周波数よりも高く、前記第3の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が、前記複数の第1の磁気抵抗効果素子の各々のスピントルク共鳴周波数よりも低いことを特徴とする請求項2に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  5. 第1の磁気抵抗効果素子と、第2の磁気抵抗効果素子と、高周波信号が入力される第1のポートと、高周波信号が出力される第2のポートと、信号線路と、磁気抵抗効果素子に直流電流または直流電圧を印加可能な直流印加端子と、基準電位端子とを有し、
    前記第1のポートおよび前記第2のポートが前記信号線路を介して接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子は、前記第2のポートに対して並列に前記信号線路に接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子および前記第2の磁気抵抗効果素子は、それぞれ磁化固定層、磁化自由層およびこれらの間に配置されたスペーサ層を有し、
    前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子は、それぞれの一端側が前記直流印加端子側になり、それぞれの他端側が前記基準電位端子側になるように、前記直流印加端子および前記基準電位端子に接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子及び前記第2の磁気抵抗効果素子は、それぞれの前記一端側から前記他端側への向きと、それぞれの前記磁化自由層から前記磁化固定層への向きとの関係が、前記第1の磁気抵抗効果素子と前記第2の磁気抵抗効果素子とで逆になるように形成され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数と前記第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数は互いに異なることを特徴とする磁気抵抗効果デバイス。
  6. スピントルク共鳴周波数が互いに異なる複数の前記第1の磁気抵抗効果素子を有し、
    前記第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数は、前記複数の第1の磁気抵抗効果素子の各々のスピントルク共鳴周波数より高い、または前記複数の第1の磁気抵抗効果素子の各々のスピントルク共鳴周波数より低いことを特徴とする請求項5に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  7. 第3の磁気抵抗効果素子をさらに有し、
    前記第3の磁気抵抗効果素子は、前記第2のポートに対して並列に前記信号線路に接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子、前記第2の磁気抵抗効果素子および前記第3の磁気抵抗効果素子は、それぞれ磁化固定層、磁化自由層およびこれらの間に配置されたスペーサ層を有し、
    前記第3の磁気抵抗効果素子は、その一端側が前記直流印加端子側になり、その他端側が前記基準電位端子側になるように、前記直流印加端子および前記基準電位端子に接続され、
    前記第2の磁気抵抗効果素子及び前記第3の磁気抵抗効果素子は、それぞれの前記一端側から前記他端側への向きと、それぞれの前記磁化自由層から前記磁化固定層への向きとの関係が、前記第2の磁気抵抗効果素子と前記第3の磁気抵抗効果素子とで同じになるように形成され、
    前記第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が、前記第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数よりも高く、前記第3の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が、前記第1の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数よりも低いことを特徴とする請求項5に記載の磁気抵抗効果デバイス。
  8. 第3の磁気抵抗効果素子をさらに有し、
    前記第3の磁気抵抗効果素子は、前記第2のポートに対して並列に前記信号線路に接続され、
    前記第1の磁気抵抗効果素子、前記第2の磁気抵抗効果素子および前記第3の磁気抵抗効果素子は、それぞれ磁化固定層、磁化自由層およびこれらの間に配置されたスペーサ層を有し、
    前記第3の磁気抵抗効果素子は、その一端側が前記直流印加端子側になり、その他端側が前記基準電位端子側になるように、前記直流印加端子および前記基準電位端子に接続され、
    前記第2の磁気抵抗効果素子及び前記第3の磁気抵抗効果素子は、それぞれの前記一端側から前記他端側への向きと、それぞれの前記磁化自由層から前記磁化固定層への向きとの関係が、前記第2の磁気抵抗効果素子と前記第3の磁気抵抗効果素子とで同じになるように形成され、
    前記第2の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が、前記複数の第1の磁気抵抗効果素子の各々のスピントルク共鳴周波数よりも高く、前記第3の磁気抵抗効果素子のスピントルク共鳴周波数が、前記複数の第1の磁気抵抗効果素子の各々のスピントルク共鳴周波数よりも低いことを特徴とする請求項6に記載の磁気抵抗効果デバイス。
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