JPWO2018110024A1 - 鋳造装置用の射出装置及び鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
このような従来技術では、ダイカストマシンの周辺に真空タンクを設置して、真空バルブ等を使ってスリーブとキャビティのエアーを排気していた。なお、真空バルブとは、シャットオフバルブの一種で、溶湯がバルブの底に衝突してバルブを閉じる構成等を採用し、溶湯を金型外に飛び出さないようにするものである。
(1)給湯量が多い(すなわち、スリーブ充填率が高い)場合。
(2)スリーブ内溶湯の波が大きい場合(溶湯をスリーブ内に給湯する時に発生する波、射出開始時の射出プランジャの飛び出しにより発生する波、低速領域における射出速度設定が大きい時に発生する波)。
(3)スリーブ側の吸引口の位置が、溶湯の充填上不適切な場合。
また、上記特許文献1の従来技術では、スリーブ側吸引口が1箇所しかなく、溶湯のカスが詰まると、十分に減圧できず不良が増加する。スリーブ側吸引口が1箇所のため、給湯量に応じて、スリーブ側吸引口を最適な位置に配置したスリーブを製作する必要があり、汎用性に欠けていた。このため、金型や製品に応じて、消耗品であるスリーブを多種保有する必要があり、スリーブ製作費用が増加する。また、金型交換時に、金型に対応したスリーブに交換する必要があり、段取り時間の増加により、コストアップになっていた。
(1)不良低減、安定生産
複数のスリーブ側吸引口があるため、吸引面積が増加し、効率よく高真空状態にできるようになった。
(2)溶湯のカス詰まり対策
溶湯のカスが詰まり易い吸引口は、吸引口選択バルブにより不用とすることが出来る。
(3)安定生産
スリーブ側吸引口が複数あるため、不用にした吸引口以外の吸引口によって真空引きが可能で、良品を安定して生産可能になる。
(4)汎用性拡大、コストダウン
金型や製品に応じたスリーブを準備する必要がなく、コストダウンに繋がる。スリーブの種類が減り、管理が容易となる。スリーブ交換時間が削減できる。
(5)不良低減
スリーブ側吸引口の面積が、金型側吸引面積より大きくとれるため、真空引きによる先湯(preceding molten metal)を防止する効果を期待できる。スリーブ真空を先に開始することでより効果的に、先湯を防止することができる。これにより、欠け(製品部分の欠損、chipping)、ハクリ(製品の表面などがはがれる現象、peeling)、メクレ(製品の表面にめくれた状態が発生すること、Stripping for shot blast)などの不良低減が可能である。
吸引口選択バルブを設けることで、各吸引口の真空引き時間を、位置、時間、充填率等で調整が可能となる。
(7)真空タンクの圧力上昇抑制による安定生産
射出プランジャが、スリーブ側吸引口を通過直後に閉塞できる(通過中でも可)ことで、真空タンクの圧力上昇を抑制でき、注湯口から遠い位置にあるスリーブ側吸引口の真空吸引能力を低下させない。
(8)射出プランジャ12が、各スリーブ側吸引口14〜17を通過完了間際まで、真空引きを行うように設定することができるので、射出プランジャ12とスリーブ11の隙間を介して真空引きできるため、負圧状態のスリーブ11内に外気が侵入することを抑制できる。
本実施形態のダイカストマシンにおいて、可動プラテン4には可動金型22が、固定プラテン5には固定金型21が設置されている。可動プラテン4は、トグルリンク機構やボールねじ機構などの型開閉・型締め機構(図示せず)により、マシンベース8上を固定プラテン5側に移動する。これにより、可動金型22と固定金型21が型締め(die clamping)されて、キャビティ23が形成される。可動プラテン4と固定プラテン5には、4本のタイバー7が挿通孔を介して挿通しており、タイバー7に沿って可動プラテン4が固定プラテン5に対し、進退自在に移動する。固定金型21と可動金型22が図1に示すごとく係合することにより、それらの間にキャビティ(製品部)23を形成し、キャビティ23にアルミニウムやその合金等の溶湯18が射出・充填されて鋳造成形品が製造される。
ダイカストマシンのスリーブ11内部は、固定金型21と可動金型22とにより構成されるキャビティ23に連通しており、注湯口13から図3(a)の給湯機のラドル43により、スリーブ11内に注湯された溶湯18が型内(キャビティ23)に射出されるものである。スリーブ11内には射出プランジャ12が配設され、この射出プランジャ12を前進させることにより、射出プランジャ12が溶湯18をキャビティ23内に、スリーブ11より押し出すのである。本実施形態のスリーブ11にはスリーブ11の上方に複数の孔があいている。これらの孔を吸引口14〜17と呼び、この吸引口14〜17からスリーブ11内とキャビティ23の空気を抜き、スリーブ11内とキャビティ23を真空にする。なお、キャビティ23の空気の吸引は、真空タンク36のラインとは別個に設けた他の真空ラインによって金型側から、好適なタイミングで行っても良い。図1、2の場合、吸引口14〜17の数は4個であるが、これは一例であって、複数個(少なくとも2個)であればいくつでもよい。また、吸引口14〜17の開口位置については、必ずしも同じピッチや規則的な配置でなくても、スリーブ11内の溶湯挙動を鑑み、異なるピッチや不規則な配置であっても良く、同様に、吸引口14〜17の形状や開口面積についても、必ずしも同じ仕様でなくても、スリーブ11内の溶湯挙動を鑑み、異なる形状や開口面積であっても良い。
加圧タンク38から吸引口14〜17をエアブロウしたときに、溶湯のカスによって配管内や真空フィルタ31が目詰まりしていると異常な圧力を示すので、溶湯のカスによる配管内や真空フィルタ31の目詰まりを検知することができる。この際、エアブロウ時に圧力が上昇して設定値に達した場合には、真空フィルタ31や配管等が目詰まりしているので、警報を出すようにする。目詰まりの警報が出ると、作業を停止して溶湯のカスの清掃をすることになる。溶湯のカスが詰まり易い吸引口は、吸引口選択バルブ33により不用とすることが出来る。または、吸引口選択バルブ33を早めに閉めることによって、真空吸引時間を短くでき、溶湯のカス詰まりを抑制できる。
真空吸引時には、指定した吸引経路の真空度を圧力計32で監視することで、真空引き動作が正常に行われたことを確認できる。つまり、真空/エアブロウ切換弁35が正常に動作したことを示す。
各吸引経路に溶湯のカス詰まりがなく、真空引き動作が正常に行われたか否かを確認することで、スリーブから連通するキャビティ内も正常に真空引きできたと判断できる。
ステップ101(S101、以下同様)では、真空タンク36が十分に真空になったかを確認し、準備完了の信号を出す。
ステップ102では、注湯後、射出プランジャ12が前進して、注湯口13を塞いだ位置に来た後に、スリーブ11の真空を開始する。これを射出プランジャ12の真空開始位置(図2)と呼ぶ。射出プランジャ12の設定された真空開始位置への到達検知は、射出プランジャ12を駆動する油圧シリンダのストロークを、非接触センサーなどで検知する。以下のステップにおける射出プランジャ12の、各設定位置到達も同様にして検知する。
ステップ102では、注湯後、射出プランジャ12が前進して、注湯口13を塞いだ位置に来たとき、スリーブ11の真空を開始する。
ステップ103では、真空/エアブロウ切換弁35を真空の方へ切り換える。
ステップ104では、射出プランジャ12が、第1吸引口14を閉にする設定位置(図2/第1吸引口閉塞位置)に到達する。
ステップ105では、第1吸引口14を閉にするために、吸引口選択バルブ33を閉にする。
ステップ106では、射出プランジャ12が、第2吸引口15を閉にする設定位置(図2/第2吸引口閉塞位置)に到達する。
ステップ107では、第2吸引口15を閉にするために、吸引口選択バルブ33を閉にする。
ステップ108では、射出プランジャ12が、第3吸引口16を閉にする設定位置(図2/第3吸引口閉塞位置)に到達する。
ステップ109では、第3吸引口16を閉にするために、吸引口選択バルブ33を閉にする。
ステップ110では、射出プランジャ12が、第4吸引口17を閉にする設定位置(図2/第4吸引口閉塞位置)に到達する。ここで、射出プランジャ12が、第4吸引口17を閉にする設定位置に到達する直前の段階で、第4吸引口17の真空度を圧力計32で測定する。第4吸引口17の真空度は、上限及び下限の範囲を設けて管理されている。この真空度が、設定された範囲外の圧力であった場合には、ランプやブザーなどで警報を出す。上限及び下限の範囲としては−90〜−100kPaが望ましい。
ステップ111では、第4吸引口17を閉にするために吸引口選択バルブ33を閉にする。
ステップ112では、真空/エアブロウ切換弁35を切にする。
ステップ113では、各吸引口14〜17の選択バルブを全て開にする。
ステップ114では、真空/エアブロウ切換弁35をエアブロウにする。
ステップ115では、エアブロウを行う。この際、各吸引口14〜17の選択バルブを全て開の状態でも良いし、選択バルブを順に1個ずつ開にしても良い。
ステップ116では、圧力計32で吸引口14〜17の各吸引経路51の圧力を測定して、配管内や真空フィルタ14の目詰まりを判定する。目詰まりが発生するとランプやブザーなどにより警報を出す。
上限スリーブ充填率の使用の目的は、スリーブ充填率が高くなって、真空引きの際、吸引口14〜17から吸引経路51内に溶湯のカスが進入することを防止するためと、吸入口から吸引経路51内に溶湯のカスが侵入しない最大限の数の吸入口で、スリーブ11を真空に引くために用いられる。
図6の実施形態では、スリーブ11の吸引口14〜17に接続した各吸引経路51の真空フィルタ31までの間を、各吸引口から上方に立ち上げ、次に下方に向かうように形成させ、下方に向かう吸引経路に分岐経路52、53を設ける。下方に向かう分岐経路53の下端は、溶湯のカスSを排出する排出口57とし、横方向に向かう分岐経路52は真空フィルタ31を経由して真空装置に接続した実施形態である。その他の構成は、図2の一実施形態と同じである。
真空引きにより、アルミカスなど溶湯のカスが、気流に乗ってフィルタ31を目詰まりさせる。この問題を本実施形態では解決するものである。真空引きにより、スリーブ11内から吸い出された溶湯のカスは、まず吸引経路51を上昇し、その後下方に向かう吸引経路に入る。下方に向かう吸引経路は、分岐経路52、53に分かれており、横方向に向かう分岐経路52は真空フィルタ31を経由して真空装置に接続しているので、吸引経路は分岐経路52に向かって吸引されている。しかしながら、アルミカスなど溶湯のカスSは、重量があるため、分岐経路52側には吸引されず、分岐経路53の下端の排出口57と接続された密閉構造のアルミカス用ボックス54へ落ちる。このようにして、横方向に向かう分岐経路52には、溶湯のカスSが吸引されず、真空フィルタ31の目詰まりを抑制することができる。アルミカス用ボックス54は定期的に清掃する。これにより、フィルタ31の清掃頻度を下げ、より安定操業を行うことができる。尚、アルミカス用ボックス54の容積は小さい方が、真空吸引時の同ボックス内の吸引エアー量が少なくて済み、真空度に有利である一方、小さすぎると同ボックスの清掃頻度が高く成るため、真空度及び清掃頻度を鑑み、好適な容積とすることが好ましい。
スリーブに、スリーブ側吸引口を複数個設け、各吸引口に吸引口選択バルブを設置し、吸引口の使用、不用を選択可能としたことによって以下の効果が発生した。
(1)不良低減、安定生産
複数のスリーブ側吸引口があるため、吸引面積が増加し、効率よく高真空状態にできるようになった。
(2)溶湯のカス詰まり対策
溶湯のカスが詰まり易い吸引口は、吸引口選択バルブにより不用とすることが出来る。すなわち、溶湯のカスが詰まり易いスリーブ側吸引口の真空時間を短くでき、溶湯のカス詰まりを抑制できる。
(3)安定生産
スリーブ側吸引口が複数あるため、不用にした吸引口以外の吸引口によって真空引きが可能で、良品を安定して生産可能になる。
(4)汎用性拡大、コストダウン
金型や製品に応じたスリーブを準備する必要がなく、コストダウンに繋がる。スリーブの種類が減り、管理が容易となる。スリーブ交換時間が削減できる。
(5)不良低減
スリーブ側吸引口の面積が、金型側吸引面積より大きくとれるため、真空引きによる先湯を防止する効果を期待できる。スリーブ真空を先に開始することでより効果的に、先湯を防止することができる。これにより、欠け、ハクリ、メクレなどの不良低減が可能である。
吸引口選択バルブを設けることで、各吸引口の真空引き時間を、位置、時間、充填率等で調整が可能となる。
(7)真空タンクの圧力上昇抑制による安定生産
射出プランジャが、スリーブ側吸引口を通過直後に閉塞できる(通過中でも可)ことで、真空タンクの圧力上昇を抑制でき、注湯口から遠い位置にあるスリーブ側吸引口の真空吸引能力を低下させない。
(8)射出プランジャ12が、各スリーブ側吸引口14〜17を通過完了間際まで、真空引きを行うように設定することができるので、射出プランジャ12とスリーブ11の隙間を介して真空引きできるため、負圧状態のスリーブ11内に外気が侵入することを抑制できる。
2 真空装置
11 スリーブ
12 射出プランジャ
13 注湯口
14 吸引口(第1吸引口)
15 吸引口(第2吸引口)
16 吸引口(第3吸引口)
17 吸引口(第4吸引口)
18 溶湯
21 固定金型
22 可動金型
23 キャビティ
31 真空フィルタ
32 圧力計
33 吸引口選択バルブ
34 分配弁
35 真空/エアブロウ切換弁
36 真空タンク
37 真空ポンプ
38 加圧タンク
39 エアー源
40 圧力計
Claims (9)
- 鋳造装置に溶湯を射出する射出装置であって、
前記射出装置は、吸引経路を介して真空装置に接続する吸引口、及び注湯口を有するスリーブと、射出プランジャを備え、
前記真空装置は、
前記真空装置による真空吸引の使用、不用を選択可能にする吸引口選択バルブと、
前記吸引経路をエアブロウするためのエアーを貯留する加圧タンクと、
前記スリーブ内を真空に引くための真空タンクを備え、
前記スリーブには、前記吸引口が複数設けられており、各前記吸引口と前記真空装置を接続する各前記吸引経路には前記吸引口選択バルブがそれぞれ設置されていることを特徴とする射出装置。 - 前記射出装置は、前記射出プランジャの位置を検知する検知部を備え、該検知部により前記射出プランジャが、前記注湯口、複数の前記吸引口を順次通過したことを検知して、各前記吸引口に対応して設置された前記吸引口選択バルブを、順次又は選択的に閉にすることを特徴とする請求項1に記載の射出装置。
- 前記スリーブの前記吸引口と前記吸引口選択バルブの間に真空フィルタを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の射出装置。
- 前記スリーブの前記吸引口に接続した前記吸引経路の前記真空フィルタまでの間を、各吸引口から上方に立ち上げ、次に下方に向かうように形成させ、下方に向かう吸引経路に分岐経路を設け、下方に向かう分岐経路の下端は、溶湯のカスを排出する排出口とし、横方向に向かう分岐経路は前記真空フィルタを経由して真空装置に接続したことを特徴とする請求項3に記載の射出装置。
- エアブロウ時の前記吸引経路の圧力を圧力検出部で監視し、エアブロウ時の圧力が上昇し、設定値に達したときは警報を出すことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の射出装置。
- 真空吸引時に、各前記吸引口に対応する各前記吸引経路の真空度を圧力検出部で監視することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の射出装置。
- 請求項1に記載の射出装置を用いた鋳造方法であって
前記射出プランジャが前進を開始して前記注湯口を閉塞してから前記真空タンクにより前記スリーブの前記吸引口から、前記スリーブを真空に引くステップと、
前記射出プランジャの前進位置に応じて前記吸引口選択バルブを閉とするステップと、
前記射出プランジャが、前記注湯口から最も離間した前記吸引口に到達した以降に、前記吸引口から前記スリーブ内へエアブロウを実施するステップと、
を備える鋳造方法。 - 前記エアブロウを実施するステップでは、前記エアブロウ実施後に、前記射出プランジャを後退させることを特徴とする、請求項7に記載の鋳造方法。
- 圧力検出部により前記真空フィルタの目詰まりを前記吸引経路の圧力で監視するステップを備えることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の鋳造方法。
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