JPWO2018100863A1 - 複合電子部品、及び該複合電子部品の製造方法 - Google Patents

複合電子部品、及び該複合電子部品の製造方法 Download PDF

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Abstract

フェライト材料からなる第1及び第2の磁性体層3a、3bとガラス成分及びフィラー成分を含有した誘電体ガラス層2とが積層されている。ガラス成分は、それぞれ酸化物に換算してSiを70〜85wt%、Bを10〜25wt%、Kを0.5〜5wt%、及びAlを0〜5wt%の範囲で含有すると共に、フィラー成分が、少なくとも石英とフォルステライトとを含み、誘電体ガラス層2は、フォルステライトの含有量が、2〜10wt%であって、かつフィラー成分の総含有量が、20〜60wt%である。この複合電子部品はシート工法で容易かつ効率好く製造することができる。これにより性能劣化や誘電体ガラス層の内部に構造欠陥が生じるのを抑制することができ、しかも接合性が良好で高信頼性を有する積層コモンモードチョークコイル等の複合電子部品を実現する。

Description

本発明は複合電子部品、及び該複合電子部品の製造方法に関し、より詳しくは磁性体層と誘電体ガラス層とが共焼成により形成された積層コモンモードチョークコイル等の複合電子部品とその製造方法に関する。
従来より、各種電子機器の信号ラインや電源ラインとGND(グランド)間で発生するコモンモードのノイズ除去にはコモンモードチョークコイルが広く使用されている。
このコモンモードチョークコイルでは、ノイズ成分はコモンモードで伝送され、信号成分はノーマルモードで伝送されることから、これらの伝送モードの相違を利用し、信号とノイズとに分離してノイズ除去を行っている。
そして、この種のコモンモードチョークコイルのうち、小型で低背な積層タイプのコモンモードチョークコイルも開発されている。
例えば、特許文献1では、一対のスパイラル状の導線を埋設した誘電体ガラス層と、前記誘電体ガラス層の上下に配された磁性体層とを有し、前記誘電体ガラス層が、クォーツ(石英)からなるフィラー成分5〜40wt%と、フリット成分60〜95wt%とを含み、フリット成分が、Siを酸化物換算で60.0〜89.0wt%と、Mgを酸化物換算で0.1〜3.5wt%と、Bを酸化物換算で10.0〜32.0wt%と、Kを酸化物換算で0.3〜4.0wt%とを含有した積層コモンモードチョークコイルが提案されている。
この特許文献1は、スパイラル状の内部導体が埋設された誘電体ガラス層が一対の磁性体層で狭持された積層構造を有している。
そして、特許文献1では、誘電体ガラス層が、上述した組成成分を有する誘電体ガラス組成物で形成することにより、焼結性が良好で絶縁劣化しにくい積層コモンモードチョークコイルを得ようとしている。
特開2013−135088号公報(請求項1、2、段落[0006]等)
しかしながら、特許文献1では、誘電体ガラス層と磁性体層とを共焼成により形成しているものの、焼成後の誘電体ガラス層の内部には大量の気泡が形成され易く、このため性能劣化や信頼性低下を招くおそれがある。
図7は、特許文献1の積層コモンモードチョークコイルの要部断面図であって、一対の磁性体層101a、101bの間に誘電体ガラス層102が介在されている。この誘電体ガラス層102の内部には、下記の理由により大量の気泡103が形成されるおそれがある。
すなわち、焼成前の誘電体シートには有機バインダが含有されており、特許文献1のようにクォーツからなるフィラー成分及びガラス成分を含有した誘電体ガラスシートとフェライト材料からなる磁性体シートとを共焼成した場合、ガラス成分が軟化点に達すると脱バインダ処理で焼失せずに残存したC(炭素)が、軟化したガラス成分内にCOガスとなって閉じ込められ、これが原因で気泡103が形成されるおそれがある。そして、大量の気泡103が形成され、これらの気泡103が誘電体ガラス層102に埋設された内部導体と接触し、前記気泡103の有する湿分が内部導体に浸透すると、絶縁性能等の性能が劣化し、信頼性の低下を招くおそれがある。
しかも、特許文献1では、誘電体ガラス層102と磁性体層101a、101bとの間で界面剥離が生じ易く、接合性に劣っていた。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、性能劣化や誘電体ガラス層の内部に構造欠陥が生じるのを抑制することができ、しかも接合性が良好で高信頼性を有する積層コモンモードチョークコイル等の複合電子部品、及び該複合電子部品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するためにフィラー成分として石英(SiO)に加えてフォルステライト(2MgO・SiO)を使用し鋭意研究を行ったところ、ガラス成分の組成を所定範囲とすると共に、誘電体ガラス層中のフォルステライトの含有量を2〜10wt%とし、かつフィラー成分の総含有量を20〜60wt%とすることにより、誘電体ガラス層と磁性体層とが共焼成により形成されても、誘電体ガラス層の内部に気泡等の構造欠陥が形成されるのを抑制することができ、これにより良好な絶縁性能を得ることができ、しかも誘電体ガラス層と磁性体層との間の接合性が向上し、高信頼性を有する複合電子部品を得ることができるという知見を得た。
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る複合電子部品は、フェライト材料からなる磁性体層とガラス成分及びフィラー成分を含有した誘電体ガラス層とが積層された複合電子部品であって、前記ガラス成分は、それぞれ酸化物に換算してSiを70〜85wt%、Bを10〜25wt%、Kを0.5〜5wt%、及びAlを0〜5wt%の範囲で含有すると共に、前記フィラー成分が、少なくとも石英とフォルステライトとを含み、前記誘電体ガラス層は、前記フォルステライトの含有量が、2〜10wt%であって、かつ前記フィラー成分の総含有量が、20〜60wt%であることを特徴としている。
また、本発明の複合電子部品では、前記誘電体ガラス層は、内部導体が埋設されている。
この場合、前記内部導体は、渦巻き状又は螺旋状に形成されているのが好ましい。
さらに、本発明の複合電子部品は、前記内部導体が、Agを主成分とするのが好ましい。
また、本発明の複合電子部品では、前記フェライト材料が、少なくともFe、Ni、Zn、及びCuを含有しているのが好ましい。
さらに、本発明の複合電子部品では、積層コモンモードチョークコイルであるのが好ましい。
また、本発明に係る複合電子部品の製造方法は、フェライト材料からなる磁性体シートを用意する工程と、Si、B、K、及びAlを酸化物に換算し、焼成後においてそれぞれSiが70〜85wt%、Bが10〜25wt%、Kが0.5〜5wt%、及びAlが0〜5wt%となるように秤量し、これら秤量物を混合して粉末状のガラス成分を作製する工程と、フィラー成分として少なくとも石英及びフォルステライトを用意し、焼成後の誘電体ガラス層中の前記フォルステライトの含有量が2〜10wt%であり、かつ前記フィラー成分の総含有量が20〜60wt%となるように、前記フィラー成分を秤量する工程と、前記秤量されたフィラー成分と前記ガラス成分とを混合し、成形処理を行って誘電体ガラスシートを作製する工程と、前記誘電体ガラスシートに導電性ペーストを塗布し、所定パターンの導電膜を形成する工程と、前記導電膜が形成された前記誘電体ガラス層となるべき前記誘電体ガラスシートと前記磁性体層となるべき前記磁性体シートとを積層し、共焼成する焼成工程とを含むことを特徴としている。
また、本発明の複合電子部品の製造方法では、前記焼成工程は、前記導電膜が付与された前記誘電体ガラスシートが前記磁性体シートで狭持された状態で共焼成するのが好ましい。
本発明の複合電子部品によれば、ガラス成分は、それぞれ酸化物に換算してSiを70〜85wt%、Bを10〜25wt%、Kを0.5〜5wt%、及びAlを0〜5wt%の範囲で含有すると共に、フィラー成分が、少なくとも石英とフォルステライトとを含み、誘電体ガラス層は、前記フォルステライトの含有量が、2〜10wt%であって、かつ前記フィラー成分の総含有量が、20〜60wt%であるので、誘電体ガラス層と磁性体層とを共焼成により形成されても、気泡等の欠陥が誘電体ガラス層内に生成されるのを抑制することができ、絶縁性能が良好で、誘電体ガラス層と磁性体層との界面剥離も抑制され接合性の向上した高信頼性を有する積層コモンモードチョークコイル等の複合電子部品を得ることができる。
また、本発明の複合電子部品の製造方法によれば、上述したように、磁性体シートを準備する工程と、所定の成分組成となるように粉末状のガラス成分を作製する工程と、焼成後の誘電体ガラス層中でフォルステライトを含むフィラー成分が所定範囲となるように前記フィラー成分を秤量する工程と、誘電体ガラスシートを作製する工程と、導電膜を形成する工程と、焼成工程とを含むので、上述した複合電子部品を容易かつ効率よく製造することができる。
本発明に係る複合電子部品としての積層コモンモードチョークコイルの一実施の形態を示す斜視図である。 図1のA−A矢視断面図である。 積層成形体を模式的に示す分解斜視図である。 実施例で作製した単体コンデンサを示す図であり、(a)は縦断面図、(b)はB−B矢視断面図、(c)はC−C矢視断面図である。 実施例で作製した共焼結体コンデンサを示す図であり、(a)は縦断面図、(b)はD−D矢視断面図、(c)はE−E矢視断面図である。 実施例で作製した積層複合体を示す斜視図である。 従来技術の課題を説明するための積層コモンモードチョークコイルの要部断面図である。
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
図1は、本発明に係る複合電子部品としての積層コモンモードチョークコイルの一実施の形態を示す斜視図であり、図2は、図1のA−A矢視断面図である。
この積層コモンモードチョークコイルでは、部品本体1は、ガラス成分及びフィラー成分を含有した誘電体ガラス層2がフェライト材料からなる第1及び第2の磁性体層3a、3bに狭持された積層構造を有している。部品本体1の両端部には第1〜第4の外部電極4a〜4dが形成されている。
また、誘電体ガラス層2には、コイル状(渦巻き状)に形成された第1及び第2の内部導体5、6が埋設されている。具体的には、誘電体ガラス層2は、第1〜第5の誘電体ガラスシート7a〜7eが積層された焼結体で形成されている。そして、第1の内部導体5は、第2の誘電体ガラスシート7b上に形成された第1のコイル部5cと、第2の誘電体ガラスシート7bを貫通する第1の導通ビア5bと、第1の誘電体ガラスシート7a上に形成された第1の引出導体部5aとを有し、第1のコイル部5c、第1の導通ビア5b、及び第1の引出導体部5aが電気的に接続されている。また、第2の内部導体6は、第3の誘電体ガラスシート7c上に形成された第2のコイル部6aと、第4の誘電体ガラスシート7dを貫通する第2の導通ビア6bと、第4の誘電体ガラスシート7d上に形成された第2の引出導体部6cとを有し、第2のコイル部6a、第2の導通ビア6b、及び第2の引出導体部6cが電気的に接続されている。そして、第1の内部導体5と第2の内部導体6とは、巻き方向が互いに反対方向となるように第3の誘電体ガラスシート7cを介して前記誘電体ガラス層2中に埋設されている。
このように構成された積層コモンモードチョークコイルは、第1及び第2の内部導体5、6にノーマルモードの電流が流れると、該第1及び第2の内部導体5、6には互いに逆方向に磁束が発生し、磁束が打ち消しあうことからインダクタとしての機能は生じない。一方、第1及び第2の内部導体5、6にコモンモードの電流が流れると、該第1及び第2の内部導体5、6には同一方向に磁束が発生し、インダクタとして機能する。このように積層コモンモードチョークコイルでは、ノーマルモードに対してはインダクタとして機能せず、コモンモードに対してのみインダクタとして機能することにより、ノイズ成分を除去している。
尚、第1及び第2の内部導体5、6の導体材料としては、特に限定されるものではなく、Ag、Ag−Pd、Au、Cu、Ni等の各種導電性材料を使用することが可能であるが、通常は比較的安価で大気雰囲気で焼成可能なAgを主成分とした導電性材料を好んで使用することができる。
そして、前記誘電体ガラス層2は、上述したようにホウケイ酸ガラス系のガラス成分と少なくとも石英(SiO)とフォルステライト(2MgO・SiO)とを含むセラミックフィラーからなるフィラー成分とを含有している。
さらに、前記ガラス成分は、成分組成が、SiO:70〜85wt%、B:10〜25wt%、KO:0.5〜5wt%、及びAl:0〜5wt%とされ、フィラー成分は、誘電体ガラス層2中のフォルステライトの含有量が2〜10wt%とされ、かつフィラー成分の総含有量が20〜60wt%とされている。
これにより誘電体ガラス層2となるべき第1〜第5の誘電体ガラスシート7a〜7eと第1及び第2の磁性体層3a、3bとなるべき磁性体シートとを共焼成しても、焼成後の誘電体ガラス層2内に気泡等の構造欠陥が形成されるのを抑制することができる。しかも、誘電体ガラス層2と第1及び第2の磁性体層3a、3bとの接合界面で界面剥離が生じるのを抑制でき、接合性が良好で高信頼性を有する積層コモンモードチョークコイルを得ることができる。
すなわち、[発明が解決しようとする課題]の項でも述べたように、特許文献1のような従来技術では、誘電体ガラス層2と第1及び第2の磁性体層3a、3bとを共焼成により形成した場合、誘電体ガラス層2の内部には脱バインダ処理で焼失せずに残存したCがCOガスとなってガラス成分内に閉じ込められ、大量の気泡が形成されることから、性能劣化や信頼性低下を招くおそれがある。
しかるに、フィラー成分として石英に加えフォルステライトを誘電体ガラス層2中に含有させると、ガラス成分は石英とフォルステライトとでは濡れ性が相違することから、焼成処理中にガラス成分が軟化点付近に到達しても、ガラス成分のフィラー成分に対する濡れ性が阻害され、その結果、ガラス成分はフィラー成分に濡れ拡がり難くなる。このため、たとえ誘電体ガラス層2の内部に気泡が生成されても、軟化したガラス成分内に閉じ込められることなく外部に連通する経路を介して外部に放出され、これにより気泡の生成を抑制することができる。
また、フォルステライトは、ガラス成分の軟化点を超えて高温の焼成温度領域に達するとガラス成分と反応し、フォルステライト中のMg成分がガラス成分内に溶け込む。すなわち、焼成温度領域では、ガラスの修飾酸化物として作用するMg成分が増加してガラス成分の軟化点を低下させ、その結果、第1及び第2の磁性体層3a、3bを形成するフェライト材料へのガラス成分の拡散が促進され、これにより誘電体ガラス層2と第1及び第2の磁性体層3a、3bとの間で界面剥離が生じるのを抑制することができ、両者の接合性が向上する。
このように本実施の形態では、フィラー成分として互いに濡れ性の異なる所定量の石英及びフォルステライトを誘電体ガラス層2中に含有させることにより、気泡等の内部欠陥が形成されるのを抑制すると共に誘電体ガラス層2と第1及び第2の磁性体層3a、3bとで界面剥離が生じるのを抑制して接合性を向上させることができ、これにより絶縁抵抗の低下等の性能劣化を招くことなく、高信頼性を有する積層コモンモードチョークコイルを実現している。
尚、第1及び第2の磁性体層3a、3bを形成するフェライト材料としては、特に限定されるものではなく、例えば、スピネル型結晶構造を有するZn−Cu−Ni系フェライト材料、Zn−Ni系フェライト材料、Ni系フェライト材料等を使用することができるが、通常はZn−Cu−Ni系フェライト材料を好んで使用することができる。また、フェライト材料の組成範囲も特に限定されるものではないが、例えば、Zn−Cu−Ni系フェライト材料の場合であれば、Fe:40〜49.5mol%、ZnO:5〜35mol%、CuO:4〜12mol%、残部:NiO及び微量添加剤(不可避不純物を含む。)となるように配合されたものを好んで使用することができる。
次に、誘電体ガラス層2中のガラス成分及びフィラー成分の含有量を上述の範囲に規定した理由を詳述する。
(1)ガラス成分
(i)SiO
ガラスは、非晶質化して網目状のネットワーク構造を形成する網目状酸化物と、網目状酸化物を修飾して非晶質化する修飾酸化物と、両者の中間的な中間酸化物とで構成される。このうちSiOは網目状酸化物として作用し、重要な構成成分である。
しかしながら、SiOの含有量が70wt%未満になると、ガラス成分中のSiOの含有量が相対的に低下し、その結果、焼成中にガラス成分の第1及び第2の磁性体層3a、3b側への拡散が過度に促進される。このため、誘電体ガラス層2中で十分に気泡の生成を抑制することができず、絶縁性能の低下を招くおそれがある。
一方、SiOにはガラス成分の軟化点を上昇させる作用があることから、SiO含有量が85wt%を超えると、ガラス成分の軟化点が過度に高くなり、このため焼結性の低下を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態では、ガラス成分中のSiOの含有量を70〜85wt%に規定している。
(ii)B
も、網目状酸化物として作用し、また軟化点を低下させる作用があることから、ガラス成分の流動性を調整する上でも重要な構成成分である。
しかしながら、Bの含有量が10wt%未満に低下すると、ガラス成分の軟化点を十分に低下させることができず軟化点が過度に高くなって、焼結性の低下を招くおそれがある。
一方、Bの含有量が25wt%を超えると、焼成中にガラス成分の第1及び第2の磁性体層3a、3b側への拡散が過度に促進され、このため、誘電体ガラス層2中で十分に気泡の生成を抑制することができず、絶縁性能の低下を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態では、ガラス成分中のBの含有量を10〜25wt%に規定している。
(iii)K
Oは、修飾酸化物としてガラスの軟化点を調整する作用を有し、本ガラス成分では必須の構成要素である。
すなわち、KOの含有量が0.5wt%未満になると、KOの含有量が過少となって焼結性の低下を招くおそれがある。
一方、KOの含有量が5wt%を超えると、焼成中にガラス成分の第1及び第2の磁性体層3a、3b側への拡散が過度に促進され、このため、誘電体ガラス層2中で十分に気泡の生成を抑制することができず、絶縁性能の低下を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態では、ガラス成分中のKOの含有量を0.5〜5wt%に規定している。
(iv)Al
Alは、中間酸化物として作用し、適量含有させることにより、ガラスの結晶化を抑制して安定した非晶質ガラスが得られ、ガラス成分の化学的耐久性を向上させることができる。
しかしながら、Alはガラス成分の軟化点を上昇させる作用を有することから、ガラス成分中のAlの含有量が5wt%を超えると、軟化点が過度に高くなり、焼結性低下を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態では、ガラス成分中のAlの含有量を0〜5wt%に規定している。
(2)フィラー成分
(i)フィラー成分の総含有量
本実施の形態では、ガラス成分の軟化点では軟化しない2種類のセラミックフィラー、すなわち石英(SiO)及びフォルステライト(2MgO・SiO)をフィラー成分として含有している。斯かるフィラー成分は、上述したようにガラス成分の軟化点では軟化しないことから、フィラー成分とガラス成分とを混合し、焼成後に急冷するとガラス成分がガラス素地を形成し、該ガラス素地中にフィラー成分が分散し、これにより誘電体ガラス層2が形成される。
しかしながら、誘電体ガラス層2中のフィラー成分の総含有量が20wt%未満に低下すると、ガラス成分の含有量が相対的に増加することから焼成後の第1及び第2の磁性体層3a、3bとの間で界面剥離を招き、接合性の低下を招くおそれがある。
一方、フィラー成分の総含有量が60wt%を超えると、ガラス成分の含有量が相対的に少なくなることから焼結性の低下を招き、好ましくない。
そこで、本実施の形態では、フィラー成分の総含有量を20〜60wt%としている。
(ii)フォルステライトの含有量
フィラー成分として、石英と共にフォルステライトを誘電体ガラス層2中に含有させることにより、上述したように誘電体ガラス層2内に気泡等の構造欠陥が生じるのを抑制でき、かつ誘電体ガラス層2と第1及び第2の磁性体層3a、3bとの間の接合性を向上させることができる。そして、そのためには誘電体ガラス層2中のフォルステライトの含有量は少なくとも2wt%は必要である。
しかしながら、フォルステライトの含有量が、10wt%を超えると、気泡の生成は抑制できるものの、フォルステライト中のMg成分の第1及び第2の磁性体層3a、3bへの拡散が過度に促進され、このため絶縁性の低下を招くおそれがある。
そこで、本実施の形態では、フォルステライトの含有量を2〜10wt%としている。
このように本発明では、ガラス成分の組成、フィラー成分の総含有量、及びフォルステライトの含有量を所定範囲に規定することにより、誘電体ガラス層2内での気泡等の欠陥の生成抑制と誘電体ガラス層2と第1及び第2の磁性体層3a、3bとの間の接合性向上の両立を図っている。
次に、上記積層コモンモードチョークコイルの製造方法を詳述する。
図3は本積層コモンモードチョークコイルの中間生成物である積層成形体を模式的に示す分解斜視図である。
[磁性体シート8a、8bの作製]
Fe、ZnO、CuO、NiO等のフェライト素原料を所定量秤量し、これら秤量物を純水及びPSZ(部分安定化ジルコニア)ボール等の玉石と共にポットミルに投入し、湿式で十分に混合粉砕し、蒸発乾燥させた後、700〜800℃の温度で所定時間仮焼し、仮焼粉末を作製する。
次いで、この仮焼粉末にポリビニルブチラール系等の有機バインダ、エタノール、トルエン等の有機溶剤をPSZボールと共に、再びポットミルに投入し、十分に混合粉砕し、磁性体スラリーを作製する。
次に、ドクターブレード法等の成形加工法を使用し、前記磁性体スラリーをシート状に成形加工し、これにより膜厚30〜40μmの複数枚の磁性体シート8a、8bを得る。
[第1〜第5の誘電体ガラスシート7a〜7eの作製]
焼成後のガラス成分の組成が、SiO:70〜85wt%、B:10〜25wt%、KO:0.5〜5wt%、及びAl:0〜5wt%となるようにSi化合物、B化合物、K化合物、及びAl化合物を秤量し、この秤量物を白金坩堝に投入し、1500〜1600℃の温度で所定時間溶融させ、ガラス融液を作製する。次いで、このガラス融液を急冷した後、粉砕し、これによりガラス粉末を得る。
尚、上述したSi化合物、B化合物、K化合物、Al化合物の化合物形態は特に限定されるものではなく、例えば酸化物、炭酸化物等を使用することができる。
次に、フィラー成分として平均粒径が0.5〜1.5μmの石英及びフォルステライトを準備する。そして、焼成後の誘電体ガラス層2中のフォルステライトの含有量が2〜10wt%でありかつフィラー成分の総含有量が20〜60wt%となるように、これらフィラー成分を秤量する。次いで、この秤量されたフィラー成分と上記ガラス粉末とを混合し、ポリビニルブチラール系等の有機バインダ、エタノール、トルエン等の有機溶剤、及び可塑剤をPSZボールと共に、ポットミルに投入し、十分に混合粉砕し、誘電体ガラススラリーを作製する。
次に、ドクターブレード法等の成形加工法を使用し、前記誘電体ガラススラリーをシート状に成形加工し、これにより膜厚10〜20μmの第1〜第5の誘電体ガラスシート7a〜7eを作製する。
[第1及び第2の導電膜9、10の作製]
Ag等を主成分とする導電性ペーストを用意する。そして、スクリーン印刷法等の塗布法を使用し、第1の誘電体ガラスシート7a上に導電性ペーストを塗布し、所定形状の第1の引出導体パターン9aを作製する。次に、レーザ照射等により第2の誘電体ガラスシート7bの所定箇所にビアホールを形成し、該ビアホールに導電性ペーストを充填させて第1のビア導体9bを形成する。その後スクリーン印刷法等の塗布法を使用し、誘電体ガラスシート7b上に渦巻き状の第1のコイルパターン9cを形成し、第1の引出導体パターン9a、第1のビア導体9b、及び第1のコイルパターン9cからなる第1の導電膜9を作製する。
同様に、スクリーン印刷法等の塗布法を使用して第3の誘電体ガラスシート7c上に導電性ペーストを塗布し、所定形状の第2のコイルパターン10aを作製する。次に、レーザ照射等により第4の誘電体ガラスシート7dの所定箇所にビアホールを形成し、該ビアホールに導電性ペーストが充填して第2のビア導体10bを形成する。その後スクリーン印刷法等の塗布法を使用して第4の誘電体ガラスシート7d上に第2の引出導体パターン10cを形成し、第2のコイルパターン10a、第2のビア導体10b及び第2の引出導体パターン10cを有する第2の導電膜10を形成する。
[積層コモンモードチョークコイルの作製]
所定枚数の磁性体シート8bに第1及び第2の導電膜9、10が形成された第1〜第5の誘電体ガラスシート7a〜7eを順次積層し、さらに第5の誘電体ガラスシート7e上に所定枚数の磁性体シート8aを積層し、第1〜第5の誘電体ガラスシート7a〜7eを磁性体シート8a、8bで狭持した状態で、加熱・圧着させ、これにより積層成形体を作製する。
次いで、この積層成形体を匣に入れ、大気雰囲気下、350〜500℃の加熱温度で脱バインダ処理を行い、その後、850〜920℃の温度で2時間焼成処理を行い、これにより磁性体シート8、第1〜第5の誘電体ガラスシート7a〜7e、第1及び第2の導電膜9.10が共焼成され、第1及び第2の内部導体5、6が渦巻き状に埋設された誘電体ガラス層2と、該誘電体ガラス層2を狭持する一対の磁性体層3a、3bからなる部品本体1を得る。
その後、この部品本体1の両端部の所定箇所にAg等を主成分とした外部電極用導電性ペーストを塗布し、900℃程度の温度で焼き付け処理を行って第1〜第4の外部電極4a〜4dを形成する。すなわち、第1の引出導体部5aが第1の外部電極4aに電気的に接続されると共に第1のコイル部5cが第3の外部電極4cに電気的に接続され、また、第2の引出導体部6cが第2の外部電極4bに電気的に接続されると共に第2のコイル部6aが第4の外部電極4dに電気的に接続され、これにより図1及び図2のような積層コモンモードチョークコイルが作製される。
このように本製造方法では、磁性体シート8a、8bを準備する工程と、所定の成分組成となるように粉末状のガラス成分を作製する工程と、焼成後の誘電体ガラス層中でフォルステライトを含むフィラー成分が所定範囲となるように前記フィラー成分を秤量する工程と、誘電体ガラスシート7a〜7eを作製する工程と、導電膜9、10を形成する工程と、焼成工程とを含むので、積層コモンモードチョークコイルを効率よく製造することができる。
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。上記実施の形態では、内部導体の主要部を二次元的な渦巻き状に形成しているが、本発明の課題は誘電体ガラス層中の気泡生成と界面剥離の抑制にあることから、内部導体の形状は特に限定されるものではなく、例えば、内部導体の主要部が三次元的な螺旋状であってもよい。
また、ガラス成分についても、SiO、B、KO、Alが上述した組成範囲を満たすのであれば、特性に影響を与えない範囲で必要に応じ適宜添加物を含有させてもよい。また、フィラー成分についても同様であり、特性に影響を与えない範囲で必要に応じ適宜添加物を含有させてもよい。
また、上記実施の形態では積層コモンモードチョークコイルを例示して説明したが、誘電体ガラス層と磁性体層とを共焼成により形成するのであれば、他の複合電子部品に適用可能であるのはいうまでもない。
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
上述したガラス成分及びフィラー成分を使用し、磁性体層を有さない誘電体コンデンサ(以下、「単体コンデンサ」という。)、及び内部電極が埋設された誘電体ガラス層と磁性体層とを共焼成により形成した共焼結コンデンサをそれぞれ作製し、絶縁性能を評価した。
また、誘電体ガラス層を一対の磁性体層で狭持させた積層複合体(内部電極なし)を作製し、誘電体ガラス層内の気泡生成の有無及び磁性体層と誘電体ガラス層との接合性を評価した。
尚、本実施例では、積層コモンモードチョークコイル等のコイル部品での特性評価は行っていないが、共焼結体コンデンサでの絶縁性能が良好であり、かつ積層複合体において、誘電体ガラス層内での気泡生成が抑制され、接合性が良好であれば、コイル部品においても同様の特性が得られるのはいうまでもない。
[試料の作製]
<単体コンデンサの作製>
図4は、本実施例で作製した単体コンデンサを模式的に示す図であって、図4(a)は縦断面図、図4(b)は図4(a)のB−B矢視断面図、図4(c)は図4(a)のC−C矢視断面図である。
すなわち、この単体コンデンサは、長さLが10mm、幅Wが10mm、高さHが1.020mmの外形寸法を有する直方体形状に形成されている。そして、部品本体51は、高さH1が0.5mmの一対の誘電体ガラス層52a、52bと、前記一対の誘電体ガラス層52a、52bに狭持された内部電極53a、53bを有する高さH2が20μmの誘電体ガラス層54とからなり、前記部品本体51の両端面には一対の外部電極55a、55bが形成されている。内部電極53a、53bは、いずれも長さL1が7mm、幅W1が4mmに形成されている。
この単体コンデンサを以下のようにして作製した。
まず、焼成後のガラス組成が表1となるように、SiO、B、KO、Alを秤量し、これら秤量物を白金坩堝に投入し、組成成分に応じて1500〜1600℃の温度で2時間溶融させ、ガラス融液を得た。次に、このガラス融液を急冷した後、粉砕し、試料番号1〜24の平均粒径1.0μmのガラス粉末を得た。
次に、フィラー成分として平均粒径が0.5〜1.5μmの石英及びフォルステライトを用意した。そして、誘電体ガラス層52a、52b、54中の各フィラー成分の含有量及びフィラー成分の総含有量が表1となるように、これら各フィラー成分を秤量した。
次いで、この秤量されたフィラー成分と上記ガラス粉末とを混合し、ポリビニルブチラール系等の有機バインダ、エタノール、トルエン等の有機溶剤、及び可塑剤をPSZボールと共に、ポットミルに投入し、十分に混合粉砕し、誘電体ガラススラリーを作製した。
次に、ドクターブレード法を使用し、前記誘電体ガラススラリーをシート状に成形加工し、これにより膜厚20〜30μmの誘電体ガラスシートを作製した。
次いで、Ag系導電性ペーストを用意し、誘電体ガラスシートに対しスクリーン印刷法を使用して前記Ag系導電性ペーストを塗布し、所定個所に所定パターンの導電膜を形成した。
次いで、所定枚数の誘電体ガラスシートを所定順序で積層し、積層成形体を得た。そして、この積層成形体を匣に入れて大気雰囲気下、500℃で脱バインダ処理を行い、その後、900℃の焼成温度で2時間焼成し、これにより部品本体51を得た。
その後、この部品本体51の両端面にAg系導電性ペーストを塗布し、900℃の温度で焼き付け処理を行って外部電極55a、55bを形成し、これにより試料番号1〜24の単体コンデンサを得た。
<共焼結体コンデンサの作製>
図5は、本実施例で作製した共焼結体コンデンサを模式的に示す図であって、図5(a)は縦断面図、図5(b)は図5(a)のD−D矢視断面図、図5(c)は図5(a)のE−E矢視断面図である。
すなわち、この共焼結体コンデンサは、単体コンデンサと同様、長さLが10mm、幅Wが10mm、高さHが1.020mmの外形寸法を有する直方体形状に形成されている。そして、部品本体56は、高さH1が0.5mmの一対の磁性体層57a、57bと、前記一対の磁性体層57a、57bに狭持された内部電極58a、58bを有する高さH2が20μmの誘電体ガラス層59からなり、前記部品本体56の両端面には一対の外部電極60a、60bが形成されている。内部電極58a、58bは、単体コンデンサと同様、いずれも長さL1が7mm、幅W1が4mmに形成されている。
この共焼結体コンデンサを以下のようにして作製した。
まず、フェライト素原料としてFe、ZnO、CuO、NiOを用意した。そして、焼成後の含有量が、Fe:48.0mol%、ZnO:30.0mol%、CuO:8.0mol%、残部:NiOとなるように、これらFe、ZnO、CuO、及びNiOを秤量した。次いで、これら秤量物を純水及びPSZ(部分安定化ジルコニア)ボール等の玉石と共にポットミルに投入し、湿式で十分に混合粉砕し、蒸発乾燥させた後、750℃の温度で所定時間仮焼し、仮焼粉末を得た。
次いで、この仮焼粉末にポリビニルブチラール系等の有機バインダ、エタノール、トルエン等の有機溶剤をPSZボールと共に、再びポットミルに投入し、十分に混合粉砕し、磁性体スラリーを作製した。
次に、ドクターブレード法等の成形加工法を使用し、前記磁性体スラリーをシート状に成形加工し、これにより膜厚30μmの磁性体シートを作製した。
また、上述した単体コンデンサと同様の方法・手順で誘電体ガラスシートを作製し、次いで、スクリーン印刷法を使用し、誘電体ガラスシートの表面にAg系導電性ペーストを塗布し、所定個所に所定形状の導電膜を形成した。
次いで、所定枚数の磁性体シートを積層した後、該磁性体シート上に内部電極が対向状となるように誘電体ガラスシートを積層し、さらにその上に所定枚数の磁性体シートを積層し、これにより積層成形体を作製した。
そして、この積層成形体を匣に入れて大気雰囲気下、500℃で脱バインダ処理を行い、その後、900℃の焼成温度で2時間焼成し、これにより第1及び第2の磁性体層57a、57b、誘電体ガラス層59、内部電極58a、58bが共焼成された部品本体56を得た。
その後、この部品本体56の両端面にAg系導電性ペーストを塗布し、900℃の温度で焼き付け処理を行って外部電極60a、60bを形成し、これにより試料番号1〜24の共焼結体コンデンサを得た。
<積層複合体の作製>
図6は、本実施例で作製した積層複合体の斜視図である。
すなわち、この複合体は、長さLが5mm、幅Wが5mm、高さHが1.2mmの外形寸法を有する直方体形状に形成されており、高さH2が0.4mmの誘電体ガラス層61が、高さH1が0.4mmの一対の磁性体層62a、62bに狭持されている。
この積層複合体は、上述した磁性体シート及び誘電体ガラスシートを使用し、以下のようにして作製した。
すなわち、上述のようにして作製された磁性体シート及び誘電体ガラスシートを長さLが5mm、幅Wが5mmの寸法に切断した。そして、磁性体シート及び誘電体シートが所定厚みとなるように積層し、加熱・圧着して積層成形体を作製した。
そして、この積層成形体を匣に入れて大気雰囲気下、500℃で脱バインダ処理を行い、その後、900℃の焼成温度で2時間焼成し、これにより試料番号1〜24の積層複合体を各50個作製した。
[試料の評価]
試料番号1〜24の各単体コンデンサ及び各共焼結体コンデンサについて、汎用の絶縁抵抗測定器を使用して絶縁抵抗logIRを測定し、絶縁抵抗logIRが10未満を不良品、10以上を良品と判断した。
また、試料番号1〜24の各積層複合体について、中央部分まで鏡面研磨を行って断面を露出させ、光学顕微鏡で内部構造を観察し、気泡の形成有無により内部構造に欠陥が生じているか否かを確認した。すなわち、光学顕微鏡で観察した結果、最長幅部分が3μm以上の窪み等の欠陥が認められた箇所を気泡と判断してその個数を計数し、各試料50個について気泡数の平均値を算出した。そして、気泡数が5個未満の試料を良品、気泡数が5個以上の試料を不良品と判断した。
また、試料番号1〜24の各積層複合体について、上述した誘電体ガラス層の内部構造の観察と同時に誘電体ガラス層61と磁性体層62a、62bとの界面を観察した。そして、各試料50個中、界面剥離が1つでも認められた試料を接合性不良(×)とし、界面剥離が全く認められなかった試料を接合性良好(○))とし、接合性を評価した。
表1は、試料番号1〜24の各試料のガラス成分の組成、ガラス成分の含有量、フィラー成分の含有量を示している。
また、表2は、試料番号1〜24の各試料の絶縁抵抗logIR、気泡数、及び接合性評価を示している。
Figure 2018100863
Figure 2018100863
試料番号1は、ガラス成分中のKO含有量が0.2wt%と少なく、焼結不良となって焼結させることができなかった。
試料番号4は、ガラス成分中のKO含有量が5.5wt%と多く、単体コンデンサでは絶縁抵抗logIRは10.6と良好であるが、共焼結体コンデンサの場合、誘電体ガラス層59中のガラス成分が第1及び第2の磁性体層57a、57b側に拡散し、このため絶縁抵抗logIRは8.2に低下し、気泡数も17と多くなった。
試料番号7は、ガラス成分中のAlの含有量が10wt%と多く、軟化点が過度に高くなり、焼結不良となって焼結させることができなかった。
試料番号8は、ガラス成分中のSiOの含有量が85wt%と多く、しかも、Bの含有量が8wt%と少ないため、軟化点が過度に高くなり、焼結不良となって焼結させることができなかった。
試料番号11は、ガラス成分中のB含有量が28wt%と多く、単体コンデンサでは絶縁抵抗logIRは10.2と良好であるが、共焼結体コンデンサの場合、誘電体ガラス層59中のガラス成分が第1及び第2の磁性体層57a、57b側に拡散し、このため絶縁抵抗logIRが8.6に低下し、気泡数も13と多くなった。
試料番号12は、ガラス成分中のSiO含有量が68wt%と少なく、このため単体コンデンサでは絶縁抵抗logIRは10.3と良好であるが、共焼結体コンデンサの場合、誘電体ガラス層59中のガラス成分が第1及び第2の磁性体層57a、57b側に拡散し、このため絶縁抵抗logIRは8.9に低下し、気泡数も11と多くなった。
試料番号15は、ガラス成分中のSiO含有量が88wt%と多く、軟化点が過度に高く、焼結不良となって焼結させることができなかった。
試料番号16は、フォルステライト含有量が12wt%と多く、このため気泡の生成は抑制できるものの、フォルステライト中のMg成分の第1及び第2の磁性体層57a、57bへの拡散が過度に促進され、絶縁抵抗logIRが8.9に低下した。
試料番号19は、誘電体ガラス層59中にフォルステライトが含有されていないため、気泡数が8個と多くなり、また、界面剥離も認められ、接合不良を招いた。
試料番号20は、フィラー成分の総含有量が60wt%と多く、ガラス成分の含有量が相対的に少なくなるため、焼結不良となって焼結させることができなかった。
試料番号23は、フィラー成分の総含有量が15wt%と少なく、ガラス成分の含有量が相対的に多くなったため、気泡数も15と多くなり、また、界面剥離も認められ、接合不良を招いた。
これに対し試料番号2、3、5、6、9、10、13、14、17、18、21、22、及び24は、SiO:70〜85wt%、B:10〜25wt%、KO:0.5〜5wt%、及びAl:0〜5wt%の範囲にあり、誘電体ガラス層2中でフォルステライトの含有量が2〜10wt%であり、かつフィラー成分の総含有量が20〜60wt%にあり、いずれも本発明範囲内であるので、共焼成しても絶縁抵抗logIRは10以上と良好な絶縁性能を得ることができ、誘電体ガラス層中の気泡数は5個未満であり、内部構造の欠陥生成を抑制でき、しかも界面剥離も生じることなく接合性の良好な複合電子部品が得られることが分かった。
磁性体層と誘電体ガラス層とを共焼成により形成されても、絶縁性能を損なうことなく、誘電体ガラス層中で気泡等の内部構造の欠陥生成を抑制でき、磁性体層と誘電体ガラス層との界面の接合性が良好で高信頼性を有する積層コモンモードチョークコイル等の複合電子部品を実現する。
2 誘電体ガラス層
3a 第1の磁性体層
3b 第2の磁性体層
5 第1の内部導体
6 第2の内部導体
7a〜7e 第1〜第5の誘電体ガラスシート
8 磁性体シート
9 第1の導電膜
10 第2の導電膜

Claims (8)

  1. フェライト材料からなる磁性体層とガラス成分及びフィラー成分を含有した誘電体ガラス層とが積層された複合電子部品であって、
    前記ガラス成分は、それぞれ酸化物に換算してSiを70〜85wt%、Bを10〜25wt%、Kを0.5〜5wt%、及びAlを0〜5wt%の範囲で含有すると共に、
    前記フィラー成分が、少なくとも石英とフォルステライトとを含み、
    前記誘電体ガラス層は、前記フォルステライトの含有量が、2〜10wt%であって、かつ前記フィラー成分の総含有量が、20〜60wt%であることを特徴とする複合電子部品。
  2. 前記誘電体ガラス層は、内部導体が埋設されていることを特徴とする請求項1記載の複合電子部品。
  3. 前記内部導体は、渦巻き状又は螺旋状に形成されていることを特徴とする請求項2記載の複合電子部品。
  4. 前記内部導体は、Agを主成分とすることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の複合電子部品。
  5. 前記フェライト材料は、少なくともFe、Ni、Zn、及びCuを含有していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の複合電子部品。
  6. 積層コモンモードチョークコイルであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の複合電子部品。
  7. フェライト材料からなる磁性体シートを準備する工程と、
    Si、B、K、及びAlを酸化物に換算し、焼成後においてそれぞれSiが70〜85wt%、Bが10〜25wt%、Kが0.5〜5wt%、及びAlが0〜5wt%となるように秤量し、これら秤量物を混合して粉末状のガラス成分を作製する工程と、
    フィラー成分として少なくとも石英及びフォルステライトを準備し、焼成後の誘電体ガラス層中の前記フォルステライトの含有量が2〜10wt%であり、かつ前記フィラー成分の総含有量が20〜60wt%となるように、前記フィラー成分を秤量する工程と、
    前記秤量されたフィラー成分と前記ガラス成分とを混合し、成形処理を行って誘電体ガラスシートを作製する工程と、
    前記誘電体ガラスシートに導電性ペーストを塗布し、所定パターンの導電膜を形成する工程と、
    前記導電膜が形成された前記誘電体ガラス層となるべき前記誘電体ガラスシートと前記磁性体層となるべき前記磁性体シートとを積層し、共焼成する焼成工程とを含むことを特徴とする複合電子部品の製造方法。
  8. 前記焼成工程は、前記導電膜が付与された前記誘電体ガラスシートが前記磁性体シートで狭持された状態で共焼成することを特徴とする請求項7記載の複合電子部品の製造方法。
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