JPWO2018083982A1 - ダイシングダイボンディングシート、及び半導体チップの製造方法 - Google Patents

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Abstract

このダイシングダイボンディングシートは、基材と、前記基材上に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層上に形成された中間層と、前記中間層上に形成されたフィルム状接着剤と、を備えており、前記中間層は樹脂製であり、前記中間層の前記フィルム状接着剤を備えている側の界面は剥離処理されており、前記中間層の引張弾性率は3500MPa以上である。

Description

本発明は、ダイシングダイボンディングシート、及び半導体チップの製造方法に関する。
本願は、2016年11月1日に、日本に出願された特願2016−214161号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ダイシングダイボンディングシートは、例えば、基材、粘着剤層及びフィルム状接着剤をこの順に備えて構成され、そのフィルム状接着剤によって半導体ウエハに貼付されて使用される(特許文献1参照)。ダイシングダイボンディングシート上で固定された半導体ウエハは、ダイシングによって、粘着剤層及びフィルム状接着剤とともに分割されて半導体チップへ個片化される。その後、切断後のフィルム状接着剤を備えた半導体チップが、粘着剤層から引き離されてピックアップされる。粘着剤層が硬化性である場合には、ダイシング後、粘着剤層を硬化させて粘着性を低下させておくことで、フィルム状接着剤を備えた半導体チップのピックアップが容易となる。フィルム状接着剤とともにピックアップされた半導体チップは、フィルム状接着剤によって基板の回路形成面にダイボンディングされ、必要に応じて、この半導体チップにさらに別の半導体チップが1個以上積層されて、ワイヤボンディングされる。次いで、得られたもの全体が樹脂により封止されて半導体パッケージが作製され、この半導体パッケージを用いて、最終的には、目的とする半導体装置が製造される。
ダイシングは、例えば、ダイシングブレードを用い、これを回転させながら半導体ウエハを切り込むことにより行われる。しかし、このダイシング方法では、基材等の各層に由来する切断片が発生する。この切断片の発生量が多いと、半導体チップの側面や回路形成面に切断片が付着し易く、このような切断片が付着したままの半導体チップは、その後のピックアップまでの間で、工程異常の発生原因になり得る。また、切断片の発生量を低減するために、ダイシングダイボンディングシートの構成や、ダイシングからピックアップまでの間の工程を変更した場合、この変更自体が工程異常の発生原因にもなり得る。
これに対して、特許文献1に記載の発明では、上記のような工程異常の発生を抑制しつつ、切断片の発生量を低減できるかどうかは、定かではない。
特開2009−120822号公報
本発明は、ダイシングブレードを用いたダイシング時において、切断片の発生量を低減でき、ダイシングから、フィルム状接着剤を備えた半導体チップのピックアップまでの間で、工程異常の発生を抑制できるダイシングダイボンディングシートと、このダイシングダイボンディングシートを用いた半導体チップの製造方法と、を提供することを目的とする。
本発明は、基材と、前記基材上に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層上に形成された中間層と、前記中間層上に形成されたフィルム状接着剤と、を備え、前記中間層は樹脂製であり、前記中間層の前記フィルム状接着剤を備えている側の界面は剥離処理されており、前記中間層の引張弾性率が3500MPa以上である、ダイシングダイボンディングシートを提供する。
本発明のダイシングダイボンディングシートにおいては、前記粘着剤層と前記中間層との間の粘着力が0.3N/25mm以上であってもよい。
また、本発明は、前記ダイシングダイボンディングシートにおける前記フィルム状接着剤の、前記中間層が設けられている側とは反対側の面に、半導体ウエハが設けられた積層構造体を形成する工程と、ダイシングブレードを用いて、前記積層構造体において、前記半導体ウエハの表面から前記中間層に到達するとともに、前記基材には到達しない切れ込みを形成することで、前記半導体ウエハを分割して半導体チップを形成する工程と、を有する、半導体チップの製造方法を提供する。
本発明のダイシングダイボンディングシートを用いて、半導体チップを製造することにより、ダイシングブレードを用いたダイシング時において、切断片の発生量を低減できる。その結果、ダイシングから、フィルム状接着剤を備えた半導体チップのピックアップまでの間で、工程異常の発生を抑制できる。
本発明のダイシングダイボンディングシートの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の半導体チップの製造方法の一実施形態を模式的に説明するための断面図である。 本発明の製造方法により得られた半導体チップの一実施形態を模式的に示す拡大断面図である。 本発明の製造方法により得られた半導体チップの他の実施形態を模式的に示す拡大断面図である。 本発明の半導体チップの製造方法を利用した、半導体装置の製造方法の一実施形態を模式的に説明するための断面図である。 比較例1で得られた半導体チップの一実施形態を模式的に示す拡大断面図である。 比較例2で得られた半導体チップの一実施形態を模式的に示す拡大断面図である。 比較例3で得られた半導体チップの一実施形態を模式的に示す拡大断面図である。 比較例4で得られた半導体チップの一実施形態を模式的に示す拡大断面図である。
◇ダイシングダイボンディングシート
本発明のダイシングダイボンディングシートは、基材と、前記基材上に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層上に形成された中間層と、前記中間層上に形成されたフィルム状接着剤と、を備え、前記中間層は樹脂製であり、前記中間層の前記フィルム状接着剤を備えている側の界面は剥離処理されており、前記中間層の引張弾性率が3500MPa以上のものである。
本発明のダイシングダイボンディングシートは、半導体ウエハのダイシングブレードを用いたダイシング(以下、「ブレードダイシング」と称することがある)と、それに続く、切断後のフィルム状接着剤を備えた半導体チップ(本明細書においては「フィルム状接着剤付き半導体チップ」と称することがある)のピックアップと、を行うときに用いるものとして好適である。
ブレードダイシングでは、ダイシングブレードを回転させて半導体ウエハを切り込む。このとき、ダイシングブレードによって、半導体ウエハとダイシングダイボンディングシートの少なくとも一部とを切削するため、切断片が発生する。この切断片は、半導体ウエハ及びダイシングダイボンディングシートのいずれかの層から発生したものであり、紛体状、繊維状等の浮遊物であったり、上述のいずれかの層から完全には切り離されずに、ひげ状となって残存しているものである。この切断片の発生量が多いと、その一部が半導体チップの回路形成面又は側面に付着して残存し易い。そして、このように切断片が残存してしまうと、フィルム状接着剤付き半導体チップを正常にピックアップできないことがあり、ピックアップ不良の原因となる。また、仮にピックアップできたとしても、切断片が残存したまま作製された半導体装置は、正常に機能しなくなってしまうことがある。
これに対して、本発明のダイシングダイボンディングシートは、前記中間層を備えていることで、フィルム状接着剤付き半導体チップのピックアップ不良の発生を抑制できる。また、中間層の引張弾性率が3500MPa以上であることで、ブレードダイシング時において、切断片の発生量を低減できる。
以下、まず、本発明のダイシングダイボンディングシートを構成する各層について説明する。
○基材
前記基材は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料は、各種樹脂であることが好ましい。
前記樹脂として、具体的には、例えば、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE等))、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、スチレン・エチレンブチレン・スチレンブロック共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリウレタンアクリレート、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体及びエチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体以外のエチレン共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、フッ素樹脂、これらのいずれかの樹脂の水添加物、変性物、架橋物又は共重合物等が挙げられる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
基材を構成する樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
基材は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。基材が複数層からなる場合、これら複数層は互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本明細書においては、基材の場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
基材の厚さは、目的に応じて適宜選択できるが、50〜300μmであることが好ましく、60〜100μmであることがより好ましい。
ここで、「基材の厚さ」とは、基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる基材の厚さとは、基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
基材は、その上に設けられる粘着剤層等の他の層との密着性を向上させるために、サンドブラスト処理、溶剤処理、エンボス加工処理等による凹凸化処理や、コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理等が表面に施されたものであってもよい。
また、基材は、表面がプライマー処理を施されたものであってもよい。
また、基材は、帯電防止コート層、ダイシングダイボンディングシートを重ね合わせて保存する際に、基材が他のシートに接着することや、基材が吸着テーブルに接着することを防止する層等を有するものであってもよい。
なかでも、電子線照射処理された基材は、後述するダイシング工程において、基材由来の切断片の発生が抑制される点で、好ましい。
基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
基材の光学特性は、本発明の効果を損なわない範囲内において、特に限定されないが、基材はレーザー光又はエネルギー線を透過させるものが好ましい。
基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
○粘着剤層
前記粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
そして、粘着剤層は、前記粘着剤を含有する粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、粘着剤層の形成対象面に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に粘着剤層を形成できる。粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。
粘着剤組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、キスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
粘着剤組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、粘着剤組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。溶媒を含有する粘着剤組成物は、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
なお、本発明において、「粘着性樹脂」とは、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方を含む概念であり、例えば、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用により粘着性を示す樹脂や、熱又は水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂等も含む。
粘着剤層は、エネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであってもよい。エネルギー線硬化性の粘着剤層は、硬化前及び硬化後での物性を、容易に調節できる。
本発明において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、ブラックライト又はLEDランプ等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本発明において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
粘着剤層は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
粘着剤層の厚さは1〜100μmであることが好ましく、1〜60μmであることがより好ましく、1〜30μmであることが特に好ましい。
ここで、「粘着剤層の厚さ」とは、粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる粘着剤層の厚さとは、粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
粘着剤層の光学特性は、本発明の効果を損なわない範囲内において、特に限定されない。例えば、粘着剤層はエネルギー線を透過させるものであってもよい。
半導体チップの製造時において、本発明のダイシングダイボンディングシートを、その粘着剤層によって半導体ウエハ固定用のリングフレーム等の治具に貼付して用いる場合、ダイシングダイボンディングシートの粘着剤層と治具との間の粘着力は、0.05〜50N/25mmであることが好ましく0.1〜40N/25mmであることがより好ましく、0.2〜30N/25mmであることが特に好ましい。前記粘着力が前記下限値以上であることで、半導体チップの製造過程において、ダイシングダイボンディングシートをより安定して治具に固定できる。前記粘着力が前記上限値以下であることで、使用後のダイシングダイボンディングシートを治具からより容易に引き剥がすことができる。
粘着剤層と治具との間の粘着力は、例えば、粘着剤層の含有成分の種類及び量、粘着剤層の厚さ等を調節することで、適宜調節できる。例えば、粘着剤層の含有成分である、後述する粘着性樹脂における構成単位の種類及びその含有比率等を調節することで、前記粘着力を容易に調節できる。また、粘着剤層の粘着性樹脂や架橋剤の含有量を調節することで、前記粘着力を容易に調節できる。ただし、これらは、前記粘着力の調節方法の一例に過ぎない。
本発明のダイシングダイボンディングシートの貼付対象である、前記治具の構成材料としては、例えば、ステンレス鋼(SUS)、合成樹脂等が挙げられる。
粘着剤層と治具との間の粘着力(N/25mm)は、以下の方法で測定できる。
すなわち、まず、本発明のダイシングダイボンディングシートにおいて、粘着剤層よりもフィルム状接着剤側の各層が取り除かれた積層物、すなわち、基材から粘着剤層までの積層物で、幅が25mmで長さが任意の試験片を作製する。
次いで、常温(例えば、23℃)下で、粘着剤層によって、この試験片を固定用基材へ貼付する。このとき、試験片の粘着剤層の表面全面を固定用基材へ貼付する。ここで「固定用基材」とは、リングフレーム等の治具と同じ構成材料からなり、固定用基材の試験片の貼付面は、治具の表面と同様の状態であり、固定用基材は治具自体であってもよい。
次いで、常温(例えば、23℃)下において、基材から粘着剤層までの積層物を固定用基材から引き剥がす。このとき、粘着剤層及び固定用基材の互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、剥離速度300mm/minで引き剥がす、いわゆる180°剥離を行う。このときの剥離力を測定して、その測定値を前記粘着力(N/25mm)とする。測定に供する試験片の長さは、剥離力を安定して測定できる範囲であれば、特に限定されない。
なお、本明細書において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、すなわち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
○中間層
前記中間層は、シート状又はフィルム状である。
中間層は樹脂製である。
中間層の前記フィルム状接着剤を備えている側の面(界面)は剥離処理されている。すなわち、中間層は、前記樹脂製の本体部(樹脂層)を備え、さらに、この本体部の一方の面に、剥離処理層を備えており、複数層からなる。
本明細書においては、中間層の場合に限らず、「面が剥離処理されている」とは、対象となる面に接触している層が、必要なときに力を加えられることで、この面から容易に剥離可能であるように、この面が処理されていることを意味する。そして、「剥離処理面」とは、対象となる層(フィルム、シート)において、このような剥離処理が施されている面を意味する。
中間層のうち、前記樹脂層は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで作製できる。
中間層は、前記樹脂層の一方の表面を剥離処理することで製造できる。
中間層の前記表面(界面)の剥離処理は、例えば、アルキッド系、シリコーン系、フッ素系、不飽和ポリエステル系、ポリオレフィン系又はワックス系等の、公知の各種剥離剤を用いることによって、行うことができる。
前記剥離剤は、耐熱性を有する点では、アルキッド系、シリコーン系又はフッ素系の剥離剤であることが好ましい。
中間層の構成材料である樹脂は、中間層の引張弾性率が3500MPa以上となるものであれば特に限定されない。このような樹脂で好ましいものとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。
中間層のうち、剥離処理層以外の、本体部となる樹脂層は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
前記樹脂層が複数層からなる中間層においては、フィルム状接着剤を備えている側の最外層の樹脂層において、フィルム状接着剤側の界面(フィルム状接着剤側の最も外側の界面)が剥離処理されていればよい。
中間層の厚さは10〜200μmであることが好ましく、15〜150μmであることがより好ましく、25〜120μmであることが特に好ましく、例えば、25〜100μm、25〜80μm、25〜60μm、及び25〜50μm等のいずれかであってもよい。中間層の厚さが前記下限値以上であることで、中間層の取り扱いがより良好となり、さらに、中間層の切断等の破損を抑制する効果がより高くなる。中間層の厚さが前記上限値以下であることで、フィルム状接着剤付き半導体チップのピックアップ時に、突き上げる力がフィルム状接着剤付き半導体チップに伝達され易くなり、ピックアップをより容易に行うことができる。
ここで、「中間層の厚さ」とは、中間層全体の厚さを意味し、中間層を構成するすべての層の合計の厚さを意味し、例えば、前記樹脂層及び剥離処理層の合計の厚さを意味する。
中間層の引張弾性率(ヤング率)は、3500MPa以上であり、3500〜10000MPaであることが好ましく、3800〜8000MPaであることがより好ましく、4200〜7500MPaであることがさらに好ましく、4500〜7000MPaであることが特に好ましい。中間層の引張弾性率が前記下限値以上であることで、ブレードダイシング時において、中間層に由来する切断片の発生量を低減する顕著な効果が得られる。中間層の引張弾性率が前記上限値以下であることで、粘着剤層やフィルム状接着剤等の、中間層が隣接する層へ、中間層がより安定して貼付される。
中間層の引張弾性率は、JIS K 7161:1994(ISO 5271:1993)に準拠して測定できる。
本発明の効果がより顕著となる点から、中間層の押し込み硬さは、1.6〜5GPaであることが好ましく、2〜4.5GPaであることがより好ましく、2.5〜4GPaであることが特に好ましい。
中間層の押し込み硬さは、JIS Z 2255:2003に準拠して測定できる。
中間層の引張弾性率及び押し込み硬さは、例えば、中間層の構成材料、すなわち、中間層の含有成分の種類及び量等を調節することで、適宜調節できる。
本発明のダイシングダイボンディングシートにおいて、粘着剤層と中間層との間の粘着力は、0.3N/25mm以上であることが好ましく、0.5N/25mm以上であることがより好ましく、1N/25mm以上であることがさらに好ましく、例えば、2N/25mm以上、3N/25mm以上、4N/25mm以上、5N/25mm以上、6N/25mm以上、及び7N/25mm以上等のいずれかであってもよい。前記粘着力が前記下限値以上であることで、半導体チップの製造過程において、粘着剤層と中間層との間の高い密着性を維持できる。
前記粘着力の上限値は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。前記粘着力は、例えば、100N/25mm以下であることが好ましい。
なお、本明細書において、「粘着剤層と中間層との間の粘着力」とは、粘着剤層が硬化性を有する場合には、特に断りのない限り、硬化前の粘着剤層と中間層との間の粘着力を意味する。
粘着剤層と中間層との間の粘着力は、例えば、上述のいずれかの下限値と上限値とが組み合わされた数値範囲となるように、適宜設定できる。
例えば、粘着剤層と中間層との間の粘着力は、好ましくは0.3〜100N/25mm、より好ましくは0.5〜100N/25mm、さらに好ましくは1〜100N/25mmであり、例えば、2〜100N/25mm、3〜100N/25mm、4〜100N/25mm、5〜100N/25mm、6〜100N/25mm、及び7〜100N/25mm等のいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記粘着力の一例である。
粘着剤層と中間層との間の粘着力は、例えば、粘着剤層の含有成分の種類及び量、粘着剤層の厚さ、中間層の構成材料、中間層の粘着剤層との接触面の表面状態等を調節することで、適宜調節できる。例えば、粘着剤層の含有成分である、後述する粘着性樹脂における構成単位の種類及びその含有比率等を調節することで、前記粘着力を容易に調節できる。また、粘着剤層の粘着性樹脂や架橋剤の含有量を調節することで、前記粘着力を容易に調節できる。ただし、これらは、前記粘着力の調節方法の一例に過ぎない。
粘着剤層と中間層との間の粘着力(N/25mm)は、以下の方法で測定できる。
すなわち、まず、幅が25mmで長さが任意の前記ダイシングダイボンディングシートを作製する。
次いで、常温(例えば、23℃)下で、フィルム状接着剤によって、このダイシングダイボンディングシートを固定用基材へ貼付する。ここで「固定用基材」とは、ダイシングダイボンディングシートのフィルム状接着剤を強固に固定できるものであればよく、その形状はシート状であってもよいし、その他の形状であってもよく、例えば、フィルム状接着剤(換言するとダイシングダイボンディングシート)の固定面として粘着面を有する粘着性基材が挙げられる。
次いで、常温(例えば、23℃)下において、基材から粘着剤層までの積層物を中間層から引き剥がす。このとき、中間層及び粘着剤層の互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、剥離速度300mm/minで引き剥がす、いわゆる180°剥離を行う。このときの剥離力を測定して、その測定値を前記粘着力(N/25mm)とする。測定に供するダイシングダイボンディングシートの長さは、剥離力を安定して測定できる範囲であれば、特に限定されない。
本発明の好ましいダイシングダイボンディングシートの一例としては、上述の中間層の引張弾性率と、上述の粘着剤層と中間層との間の粘着力と、の条件をともに満たすものが挙げられる。
すなわち、前記ダイシングダイボンディングシートの一例としては、好ましくは、中間層の引張弾性率が3500MPa以上であり、かつ粘着剤層と中間層との間の粘着力が0.3N/25mm以上であるものが挙げられ、より好ましくは、中間層の引張弾性率が3500〜10000MPaであり、かつ粘着剤層と中間層との間の粘着力が0.3N/25mm以上であるものが挙げられ、さらに好ましくは、中間層の引張弾性率が3800〜8000MPaであり、かつ粘着剤層と中間層との間の粘着力が0.5N/25mm以上であるものが挙げられ、特に好ましくは、中間層の引張弾性率が4200〜7500MPaであり、かつ粘着剤層と中間層との間の粘着力が1N/25mm以上であるものが挙げられ、例えば、中間層の引張弾性率が4500〜7000MPaであり、かつ粘着剤層と中間層との間の粘着力が、2N/25mm以上、3N/25mm以上、4N/25mm以上、5N/25mm以上、6N/25mm以上、及び7N/25mm以上のいずれかであるものも挙げられる。
ただし、これらは、前記ダイシングダイボンディングシートの一例であり、前記ダイシングダイボンディングシートにおける、中間層の引張弾性率と、粘着剤層と中間層との間の粘着力と、の数値範囲の組み合わせは、上記のものに限定されない。
○フィルム状接着剤
前記フィルム状接着剤は、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されず、公知のものを適宜用いることができる。
フィルム状接着剤は、その構成材料を含有する接着剤組成物を用いて形成できる。例えば、フィルム状接着剤の形成対象面に接着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位にフィルム状接着剤を形成できる。フィルム状接着剤のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。接着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、フィルム状接着剤の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。
接着剤組成物の塗工は、上述の粘着剤組成物の塗工の場合と同じ方法で行うことができる。
接着剤組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、接着剤組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましい。溶媒を含有する接着剤組成物は、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
フィルム状接着剤は、硬化性を有するものであり、熱硬化性を有するものが好ましく、感圧接着性を有するものが好ましい。熱硬化性及び感圧接着性をともに有するフィルム状接着剤は、未硬化状態では各種被着体に軽く押圧することで貼付できる。また、フィルム状接着剤は、加熱して軟化させることで各種被着体に貼付できるものであってもよい。フィルム状接着剤は、硬化によって最終的には耐衝撃性が高い硬化物となり、この硬化物は、厳しい高温・高湿度条件下においても十分な接着特性を保持し得る。
フィルム状接着剤は1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよく、複数層からなる場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
フィルム状接着剤の厚さは、特に限定されないが、1〜50μmであることが好ましく、3〜40μmであることがより好ましく、例えば、5〜30μm、及び10〜25μm等のいずれかであってもよい。フィルム状接着剤の厚さが前記下限値以上であることで、フィルム状接着剤の被着体(半導体ウエハ、半導体チップ)に対する接着力が、より高くなる。フィルム状接着剤の厚さが前記上限値以下であることで、後述するダイシング工程において、フィルム状接着剤をより容易に切断でき、また、フィルム状接着剤に由来する切断片の発生量をより低減できる。
ここで、「フィルム状接着剤の厚さ」とは、フィルム状接着剤全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなるフィルム状接着剤の厚さとは、フィルム状接着剤を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
本発明のダイシングダイボンディングシートにおいて、中間層とフィルム状接着剤との間の接着力は、0.01〜2N/25mmであることが好ましく0.02〜1.5N/25mmであることがより好ましく、0.03〜1N/25mmであることが特に好ましく、例えば、0.03〜0.5N/25mmであってもよい。前記接着力が前記下限値以上であることで、半導体チップの製造過程において、中間層とフィルム状接着剤との間の適度な高さの密着性を維持できる。前記接着力が前記上限値以下であることで、フィルム状接着剤付き半導体チップのピックアップをより容易に行うことができる。
なお、本明細書において、「中間層とフィルム状接着剤との間の接着力」とは、特に断りのない限り、硬化前のフィルム状接着剤と中間層との間の接着力を意味する。
中間層とフィルム状接着剤との間の接着力は、例えば、フィルム状接着剤の含有成分の種類及び量、フィルム状接着剤の厚さ、中間層の構成材料、中間層のフィルム状接着剤との接触面(界面)の表面状態等を調節することで、適宜調節できる。例えば、フィルム状接着剤の含有成分である、後述する重合体成分(a)の分子量、重合体成分(a)における構成単位の種類及びその含有比率、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)を構成する成分の軟化点、並びにフィルム状接着剤の各含有成分の含有量等を調節することで、前記接着力を容易に調節できる。ただし、これら調節方法は一例に過ぎない。
中間層とフィルム状接着剤との間の接着力(N/25mm)は、以下の方法で測定できる。
すなわち、まず、幅が25mmで長さが任意の前記ダイシングダイボンディングシートを作製する。
次いで、常温(例えば、23℃)下で、フィルム状接着剤によって、このダイシングダイボンディングシートを固定用基材へ貼付する。ここで「固定用基材」とは、上述の粘着剤層と中間層との間の粘着力の測定時に用いる固定用基材と同様のものである。
次いで、常温(例えば、23℃)下において、基材から中間層までの積層物をフィルム状接着剤から引き剥がす。このとき、中間層及びフィルム状接着剤の互いに接触していた面(界面)同士が180°の角度を為すように、剥離速度300mm/minで引き剥がす、いわゆる180°剥離を行う。このときの剥離力を測定して、その測定値を前記粘着力(N/25mm)とする。測定に供するダイシングダイボンディングシートの長さは、剥離力を安定して測定できる範囲であれば、特に限定されない。
本発明の好ましいダイシングダイボンディングシートの一例としては、上述の中間層の引張弾性率と、上述の中間層の押し込み硬さと、上述の粘着剤層と中間層との間の粘着力と、上述の中間層とフィルム状接着剤との間の接着力と、の条件をすべて満たすものが挙げられる。
すなわち、好ましい前記ダイシングダイボンディングシートの一例としては、中間層の引張弾性率が3500MPa以上であり、かつ中間層の押し込み硬さが1.6〜5GPaであり、かつ粘着剤層と中間層との間の粘着力が0.3N/25mm以上であり、かつ中間層とフィルム状接着剤との間の接着力が0.01〜2N/25mmであるものが挙げられる。そして、このような物性値の組み合わせの条件を満たす前記ダイシングダイボンディングシートにおいては、これらの1種又は2種以上の物性値が、さらに、先に説明したような、より限定された数値範囲のいずれかであってもよい。
次に、本発明のダイシングダイボンディングシートについて、図面を参照しながら、より詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1は、本発明のダイシングダイボンディングシートの一実施形態を模式的に示す断面図である。
ここに示すダイシングダイボンディングシート101は、基材11を備え、基材11上に粘着剤層12を備え、粘着剤層12上に中間層13を備え、中間層13上にフィルム状接着剤14を備えている。ダイシングダイボンディングシート101は、さらにフィルム状接着剤14上に剥離フィルム15を備えている。
ダイシングダイボンディングシート101においては、基材11の一方の面(以下、「第1面」と称することがある)11aに、粘着剤層12が積層され、粘着剤層12の基材11が設けられている側とは反対側の面(以下、「第1面」と称することがある)12aに、中間層13が積層され、中間層13の粘着剤層12が設けられている側とは反対側の面(以下、「第1面」と称することがある)13aに、フィルム状接着剤14が積層され、フィルム状接着剤14の中間層13が設けられている側とは反対側の面(以下、「第1面」と称することがある)14aに、剥離フィルム15が積層されている。このように、ダイシングダイボンディングシート101は、基材11、粘着剤層12、中間層13及びフィルム状接着剤14がこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されている。
なお、本明細書においては、基材及び粘着剤層を含み、中間層及びフィルム状接着剤を含まない積層体を、「支持シート」と称することがある。図1においては、符号1を付して支持シートを示している。
ダイシングダイボンディングシート101において、中間層13は樹脂製であり、その第1面13aは剥離処理されている。中間層13の第1面13aは、ダイシングダイボンディングシート101においては、中間層13のフィルム状接着剤14を備えている側の界面(換言すると、フィルム状接着剤14との接触面、又はフィルム状接着剤14との界面)となっている。
また、中間層13の引張弾性率は3500MPa以上である。
ダイシングダイボンディングシート101は、フィルム状接着剤14の第1面14aの一部、すなわち、周縁部近傍の領域に、さらに治具用接着剤層を備えていてもよい(図示略)。ここで、「治具用接着剤層」とは、半導体ウエハをダイシングするときに、半導体ウエハ固定用のリングフレーム等の治具に、ダイシングダイボンディングシート101を貼付するために用いるものである。治具用接着剤層は、公知のものでよく、例えば、接着剤成分を含有する単層構造のものであってもよいし、芯材となるシートの両面に接着剤成分を含有する層が積層された複数層構造のものであってもよい。
図1に示すダイシングダイボンディングシート101は、剥離フィルム15が取り除かれた状態で、フィルム状接着剤14の第1面14aが、半導体ウエハ(図示略)の回路が形成されている面(本明細書においては「回路形成面」と略記することがある)とは反対側の面(本明細書においては「裏面」と略記することがある)に貼付されて、使用される。
本発明のダイシングダイボンディングシートは、図1に示すものに限定されず、本発明の効果を損なわない範囲内において、図1に示すものにおいて一部の構成が変更、削除又は追加されたものであってもよい。
例えば、本発明のダイシングダイボンディングシートは、基材、粘着剤層、中間層、フィルム状接着剤、剥離フィルム及び治具用接着剤層以外の、他の層を備えていてもよい。ただし、本発明のダイシングダイボンディングシートは、図1に示すように、粘着剤層を基材に直接接触した状態で備え、中間層を粘着剤層に直接接触した状態で備え、フィルム状接着剤を中間層に直接接触した状態で備えていることが好ましい。
本発明のダイシングダイボンディングシートは、例えば、治具用接着剤層は必須の構成ではないなど、構造を単純化できる。そして、このようなダイシングダイボンディングシートを用いることで、半導体チップの製造工程を簡略化できる。したがって、本発明のダイシングダイボンディングシートを用いることで、半導体チップを安価に供給できる。
次に、本発明のダイシングダイボンディングシートにおける、粘着剤層及びフィルム状接着剤の構成材料について説明する。
<<粘着剤組成物>>
粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合、エネルギー線硬化性粘着剤を含有する粘着剤組成物、すなわち、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)(以下、「粘着性樹脂(I−1a)」と略記することがある)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着剤組成物(I−1);非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)(以下、「粘着性樹脂(I−2a)」と略記することがある)を含有する粘着剤組成物(I−2);前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する粘着剤組成物(I−3)等が挙げられる。
<粘着剤組成物(I−1)>
前記粘着剤組成物(I−1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
[粘着性樹脂(I−1a)]
前記粘着性樹脂(I−1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が1〜20であるのものが挙げられ、前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
粘着剤層の粘着力が向上する点から、前記アクリル系重合体は、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することが好ましい。そして、粘着剤層の粘着力がより向上する点から、前記アルキル基の炭素数は、4〜12であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が後述する不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
官能基含有モノマー中の前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
すなわち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2−カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
前記アクリル系重合体を構成する官能基含有モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体において、官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、構成単位の全量に対して、1〜35質量%であることが好ましく、2〜32質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることが特に好ましい。
前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、及び官能基含有モノマー由来の構成単位以外に、さらに、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
前記アクリル系重合体を構成する前記他のモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体は、上述の非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)として使用できる。
一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)として使用できる。
粘着剤組成物(I−1)が含有する粘着性樹脂(I−1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、粘着性樹脂(I−1a)の含有量は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、15〜90質量%であることが特に好ましい。
[エネルギー線硬化性化合物]
粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合してなるオリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−1)において、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量は、1〜95質量%であることが好ましく、5〜90質量%であることがより好ましく、10〜85質量%であることが特に好ましい。
[架橋剤]
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
前記架橋剤は、例えば、前記官能基と反応して、粘着性樹脂(I−1a)同士を架橋するものである。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−1)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−1a)の含有量100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましく、0.3〜15質量部であることが特に好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(I−1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;ベンゾフェノン;2,4−ジエチルチオキサントン;1,2−ジフェニルメタン;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン;2−クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
粘着剤組成物(I−1)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、光重合開始剤の含有量は、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填材(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、粘着剤組成物(I−1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の粘着剤組成物(I−1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(−C(=O)−)を2個以上有するものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−1)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していてもよい。粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、前記有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル(カルボン酸エステル);テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール等が挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、粘着性樹脂(I−1a)の製造時に用いたものを粘着性樹脂(I−1a)から取り除かずに、そのまま粘着剤組成物(I−1)において用いてもよいし、粘着性樹脂(I−1a)の製造時に用いたものと同一又は異なる種類の溶媒を、粘着剤組成物(I−1)の製造時に別途添加してもよい。
粘着剤組成物(I−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−1)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
<粘着剤組成物(I−2)>
前記粘着剤組成物(I−2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)を含有する。
[粘着性樹脂(I−2a)]
前記粘着性樹脂(I−2a)は、例えば、粘着性樹脂(I−1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
前記不飽和基含有化合物は、前記エネルギー線重合性不飽和基以外に、さらに粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と反応することで、粘着性樹脂(I−1a)と結合可能な基を有する化合物である。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、アリル基(2−プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
前記不飽和基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する粘着性樹脂(I−2a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、粘着性樹脂(I−2a)の含有量は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、10〜90質量%であることが特に好ましい。
[架橋剤]
粘着性樹脂(I−2a)として、例えば、粘着性樹脂(I−1a)におけるものと同様の、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記架橋剤としては、粘着剤組成物(I−1)における架橋剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−2)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましく、0.3〜15質量部であることが特に好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(I−2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I−2)における前記光重合開始剤としては、粘着剤組成物(I−1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−2)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−2)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−2)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
<粘着剤組成物(I−3)>
前記粘着剤組成物(I−3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
粘着剤組成物(I−3)において、粘着性樹脂(I−2a)の含有量は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、15〜90質量%であることが特に好ましい。
[エネルギー線硬化性化合物]
粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられ、粘着剤組成物(I−1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−3)において、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01〜300質量部であることが好ましく、0.03〜200質量部であることがより好ましく、0.05〜100質量部であることが特に好ましい。
[光重合開始剤]
粘着剤組成物(I−3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する粘着剤組成物(I−3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
粘着剤組成物(I−3)における前記光重合開始剤としては、粘着剤組成物(I−1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)及び前記エネルギー線硬化性化合物の総含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−3)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−3)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−3)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
<粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物>
ここまでは、粘着剤組成物(I−1)、粘着剤組成物(I−2)及び粘着剤組成物(I−3)について主に説明したが、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の粘着剤組成物以外の全般的な粘着剤組成物(本明細書においては、「粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物としては、エネルギー線硬化性の粘着剤組成物以外に、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物も挙げられる。
非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、エステル系樹脂等の、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)を含有する粘着剤組成物(I−4)が挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物は、1種又は2種以上の架橋剤を含有することが好ましく、その含有量は、上述の粘着剤組成物(I−1)等の場合と同様とすることができる。
<粘着剤組成物(I−4)>
粘着剤組成物(I−4)で好ましいものとしては、例えば、前記粘着性樹脂(I−1a)と、架橋剤と、を含有するものが挙げられる。
[粘着性樹脂(I−1a)]
粘着剤組成物(I−4)における粘着性樹脂(I−1a)としては、粘着剤組成物(I−1)における粘着性樹脂(I−1a)と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する粘着性樹脂(I−1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、粘着性樹脂(I−1a)の含有量は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、15〜90質量%であることが特に好ましい。
[架橋剤]
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、粘着剤組成物(I−4)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
粘着剤組成物(I−4)における架橋剤としては、粘着剤組成物(I−1)における架橋剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記粘着剤組成物(I−4)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−1a)の含有量100質量部に対して、0.01〜150質量部であることが好ましく、0.05〜130質量部であることがより好ましく、0.1〜110質量部であることが特に好ましい。
[その他の添加剤]
粘着剤組成物(I−4)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
[溶媒]
粘着剤組成物(I−4)は、粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
粘着剤組成物(I−4)における前記溶媒としては、粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
粘着剤組成物(I−4)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
粘着剤組成物(I−4)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
<<粘着剤組成物の製造方法>>
粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)や、粘着剤組成物(I−4)等の粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
<<接着剤組成物>>
好ましい接着剤組成物としては、例えば、重合体成分(a)及びエポキシ系熱硬化性樹脂(b)を含有するものが挙げられる。以下、各成分について説明する。
(重合体成分(a))
重合体成分(a)は、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分であり、フィルム状接着剤に造膜性や可撓性等を付与すると共に、半導体チップ等の接着対象への接着性(貼付性)を向上させるための重合体化合物である。また、重合体成分(a)は、後述するエポキシ樹脂(b1)及び熱硬化剤(b2)に該当しない成分でもある。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有する重合体成分(a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
重合体成分(a)としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリエステル、ウレタン系樹脂、アクリルウレタン樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂、フェノキシ樹脂、熱硬化性ポリイミド等が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
重合体成分(a)における前記アクリル系樹脂としては、公知のアクリル重合体が挙げられる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量がこのような範囲内であることで、フィルム状接着剤と中間層との間の前記接着力を上述した範囲に調節することが容易となる。
一方、アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記下限値以上であることで、フィルム状接着剤の形状安定性(保管時の経時安定性)が向上する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が前記上限値以下であることで、被着体の凹凸面へフィルム状接着剤が追従し易くなり、被着体とフィルム状接着剤との間でボイド等の発生がより抑制される。
なお、本明細書において、「重量平均分子量」とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−60〜70℃であることが好ましく、−30〜50℃であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgが前記下限値以上であることで、フィルム状接着剤と中間層との間の接着力が抑制されて、ピックアップ時において、フィルム状接着剤付き半導体チップの中間層からの引き離しがより容易となる。アクリル系樹脂のTgが前記上限値以下であることで、フィルム状接着剤と半導体チップとの間の接着力が向上する。
アクリル系樹脂を構成する前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
アクリル系樹脂は、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN−メチロールアクリルアミド等から選択される1種又は2種以上のモノマーが共重合してなるものでもよい。
アクリル系樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
アクリル系樹脂は、上述の水酸基以外に、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、カルボキシ基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。アクリル系樹脂の水酸基をはじめとするこれら官能基は、後述する架橋剤(f)を介して他の化合物と結合してもよいし、架橋剤(f)を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル系樹脂が前記官能基により他の化合物と結合することで、フィルム状接着剤を用いて得られたパッケージの信頼性が向上する傾向がある。
本発明においては、重合体成分(a)として、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」と略記することがある)を、アクリル系樹脂を用いずに単独で用いてもよいし、アクリル系樹脂と併用してもよい。前記熱可塑性樹脂を用いることで、ピックアップ時において、フィルム状接着剤付き半導体チップの中間層からの引き離しがより容易となったり、被着体の凹凸面へフィルム状接着剤が追従し易くなり、被着体とフィルム状接着剤との間でボイド等の発生がより抑制されることがある。
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は1000〜100000であることが好ましく、3000〜80000であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30〜150℃であることが好ましく、−20〜120℃であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリスチレン等が挙げられる。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有する前記熱可塑性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
接着剤組成物において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(a)の含有量の割合(すなわち、フィルム状接着剤の重合体成分(a)の含有量)は、重合体成分(a)の種類によらず、20〜75質量%であることが好ましく、30〜65質量%であることがより好ましく、例えば、40〜60質量%等であってもよい。
(エポキシ系熱硬化性樹脂(b))
エポキシ系熱硬化性樹脂(b)は、エポキシ樹脂(b1)及び熱硬化剤(b2)からなる。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有するエポキシ系熱硬化性樹脂(b)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・エポキシ樹脂(b1)
エポキシ樹脂(b1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(b1)としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル系樹脂との相溶性が高い。そのため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いることで、フィルム状接着剤を用いて得られたパッケージの信頼性が向上する。
不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が不飽和炭化水素基を有する基に変換されてなる化合物が挙げられる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へ(メタ)アクリル酸又はその誘導体を付加反応させることにより得られる。なお、本明細書において「誘導体」とは、特に断りのない限り、元の化合物の1個以上の基がそれ以外の基(置換基)で置換されてなるものを意味する。ここで、「基」とは、複数個の原子が結合してなる原子団だけでなく、1個の原子も包含するものとする。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(b1)の数平均分子量は、特に限定されないが、フィルム状接着剤の硬化性、並びに硬化後のフィルム状接着剤の強度及び耐熱性の点から、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。
エポキシ樹脂(b1)のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであることが好ましく、150〜800g/eqであることがより好ましい。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有するエポキシ樹脂(b1)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・熱硬化剤(b2)
熱硬化剤(b2)は、エポキシ樹脂(b1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(b2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(b2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化剤(b2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(DICY)等が挙げられる。
熱硬化剤(b2)は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(b2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(b2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(b2)としてフェノール系硬化剤を用いる場合には、フィルム状接着剤と中間層との間の前記接着力を上述した範囲に調節することが容易となる点から、熱硬化剤(b2)は軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
熱硬化剤(b2)のうち、例えば、多官能フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等の樹脂成分の数平均分子量は、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。
熱硬化剤(b2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60〜500であることが好ましい。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有する熱硬化剤(b2)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤において、熱硬化剤(b2)の含有量は、エポキシ樹脂(b1)の含有量100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましく、例えば、2.5〜100質量部、5〜80質量部、7.5〜60質量部、及び10〜40質量部等のいずれかであってもよい。熱硬化剤(b2)の前記含有量が前記下限値以上であることで、フィルム状接着剤の硬化がより進行し易くなる。熱硬化剤(b2)の前記含有量が前記上限値以下であることで、フィルム状接着剤の吸湿率が低減されて、フィルム状接着剤を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤において、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)の含有量(エポキシ樹脂(b1)及び熱硬化剤(b2)の総含有量)は、重合体成分(a)の含有量100質量部に対して、5〜100質量部であることが好ましく、7〜90質量部であることがより好ましく、9〜80質量部であることが特に好ましく、例えば、9〜60質量部、9〜40質量部、及び9〜20質量部等のいずれかであってもよい。エポキシ系熱硬化性樹脂(b)の前記含有量がこのような範囲であることで、フィルム状接着剤と中間層との間の前記接着力を上述した範囲に調節することが容易となる。
前記フィルム状接着剤は、その各種物性を改良するために、重合体成分(a)及びエポキシ系熱硬化性樹脂(b)以外に、さらに必要に応じて、これらに該当しない他の成分を含有していてもよい。
前記フィルム状接着剤が含有する他の成分で好ましいものとしては、例えば、硬化促進剤(c)、充填材(d)、カップリング剤(e)、架橋剤(f)、エネルギー線硬化性樹脂(g)、光重合開始剤(h)、汎用添加剤(i)等が挙げられる。
(硬化促進剤(c))
硬化促進剤(c)は、接着剤組成物の硬化速度を調節するための成分である。
好ましい硬化促進剤(c)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有する硬化促進剤(c)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
硬化促進剤(c)を用いる場合、接着剤組成物及びフィルム状接着剤において、硬化促進剤(c)の含有量は、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)の含有量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。硬化促進剤(c)の前記含有量が前記下限値以上であることで、硬化促進剤(c)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。硬化促進剤(c)の含有量が前記上限値以下であることで、例えば、高極性の硬化促進剤(c)が、高温・高湿度条件下でフィルム状接着剤中において被着体との接着界面側に移動して偏析することを抑制する効果が高くなり、フィルム状接着剤を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
(充填材(d))
フィルム状接着剤は、充填材(d)を含有することにより、その熱膨張係数の調整が容易となり、この熱膨張係数をフィルム状接着剤の貼付対象物に対して最適化することで、フィルム状接着剤を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、フィルム状接着剤が充填材(d)を含有することにより、硬化後のフィルム状接着剤の吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(d)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有する充填材(d)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
充填材(d)を用いる場合、接着剤組成物において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(d)の含有量の割合(すなわち、フィルム状接着剤の充填材(d)の含有量)は、5〜80質量%であることが好ましく、7〜60質量%であることがより好ましく、例えば、10〜55質量%、15〜50質量%、20〜45質量%、及び25〜42質量等のいずれかであってもよい。充填材(d)の含有量がこのような範囲であることで、上記の熱膨張係数の調整がより容易となる。
(カップリング剤(e))
フィルム状接着剤は、カップリング剤(e)を含有することにより、被着体に対する接着性及び密着性が向上する。また、フィルム状接着剤がカップリング剤(e)を含有することにより、その硬化物は耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。カップリング剤(e)は、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものである。
カップリング剤(e)は、重合体成分(a)、エポキシ系熱硬化性樹脂(b)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン等が挙げられる。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有するカップリング剤(e)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
カップリング剤(e)を用いる場合、接着剤組成物及びフィルム状接着剤において、カップリング剤(e)の含有量は、重合体成分(a)及びエポキシ系熱硬化性樹脂(b)の総含有量100質量部に対して、0.03〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(e)の前記含有量が前記下限値以上であることで、充填材(d)の樹脂への分散性の向上や、フィルム状接着剤の被着体との接着性の向上など、カップリング剤(e)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。カップリング剤(e)の前記含有量が前記上限値以下であることで、アウトガスの発生がより抑制される。
(架橋剤(f))
重合体成分(a)として、上述のアクリル系樹脂等の、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、接着剤組成物及びフィルム状接着剤は、前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための架橋剤(f)を含有していてもよい。架橋剤(f)を用いて架橋することにより、フィルム状接着剤の初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(f)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物及び脂環族多価イソシアネート化合物(以下、これら化合物をまとめて「芳香族多価イソシアネート化合物等」と略記することがある);前記芳香族多価イソシアネート化合物等の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;前記芳香族多価イソシアネート化合物等とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。前記「アダクト体」は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味する。前記アダクト体の例としては、後述するようなトリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物等が挙げられる。また、「末端イソシアネートウレタンプレポリマー」とは、先に説明したとおりである。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート;2,6−トリレンジイソシアネート;1,3−キシリレンジイソシアネート;1,4−キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートのいずれか1種又は2種以上が付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
前記有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
架橋剤(f)として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、重合体成分(a)としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(f)がイソシアネート基を有し、重合体成分(a)が水酸基を有する場合、架橋剤(f)と重合体成分(a)との反応によって、フィルム状接着剤に架橋構造を簡便に導入できる。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有する架橋剤(f)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
架橋剤(f)を用いる場合、接着剤組成物において、架橋剤(f)の含有量は、重合体成分(a)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.3〜5質量部であることが特に好ましい。架橋剤(f)の前記含有量が前記下限値以上であることで、架橋剤(f)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。架橋剤(f)の前記含有量が前記上限値以下であることで、架橋剤(f)の過剰使用が抑制される。
(エネルギー線硬化性樹脂(g))
フィルム状接着剤は、エネルギー線硬化性樹脂(g)を含有していることにより、エネルギー線の照射によって特性を変化させることができる。
エネルギー線硬化性樹脂(g)は、エネルギー線硬化性化合物を重合(硬化)して得られたものである。
前記エネルギー線硬化性化合物としては、例えば、分子内に少なくとも1個の重合性二重結合を有する化合物が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有するアクリレート系化合物が好ましい。
前記アクリレート系化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等の鎖状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等の環状脂肪族骨格含有(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート;オリゴエステル(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー;エポキシ変性(メタ)アクリレート;前記ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート以外のポリエーテル(メタ)アクリレート;イタコン酸オリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性樹脂(g)の重量平均分子量は、100〜30000であることが好ましく、300〜10000であることがより好ましい。
接着剤組成物が含有するエネルギー線硬化性樹脂(g)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
エネルギー線硬化性樹脂(g)を用いる場合、接着剤組成物において、エネルギー線硬化性樹脂(g)の含有量は、1〜95質量%であることが好ましく、5〜90質量%であることがより好ましく、10〜85質量%であることが特に好ましい。
(光重合開始剤(h))
接着剤組成物は、エネルギー線硬化性樹脂(g)を含有する場合、エネルギー線硬化性樹脂(g)の重合反応を効率よく進めるために、光重合開始剤(h)を含有していてもよい。
接着剤組成物における光重合開始剤(h)としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール化合物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル;ジベンジル;ベンゾフェノン;2,4−ジエチルチオキサントン;1,2−ジフェニルメタン;2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン;1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン等のキノン化合物等が挙げられる。
また、光重合開始剤(h)としては、例えば、アミン等の光増感剤等も挙げられる。
接着剤組成物が含有する光重合開始剤(h)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
光重合開始剤(h)を用いる場合、接着剤組成物において、光重合開始剤(h)の含有量は、エネルギー線硬化性樹脂(g)の含有量100質量部に対して、0.1〜20質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることがより好ましく、2〜5質量部であることが特に好ましい。
(汎用添加剤(i))
汎用添加剤(I)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されない。好ましい汎用添加剤(I)としては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、顔料)、ゲッタリング剤等が挙げられる。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤が含有する汎用添加剤(i)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
接着剤組成物及びフィルム状接着剤の汎用添加剤(i)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
接着剤組成物は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する接着剤組成物は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
接着剤組成物が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
接着剤組成物が含有する溶媒は、接着剤組成物中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
<<接着剤組成物の製造方法>>
接着剤組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
◇ダイシングダイボンディングシートの製造方法
前記ダイシングダイボンディングシートは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
以下、ダイシングダイボンディングシートの製造方法の一例について説明する。
まず、基材上に上述の粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、基材上に粘着剤層を積層する。または、剥離フィルムの剥離処理面に粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、粘着剤層を形成する。そして、この粘着剤層の露出面(すなわち、前記剥離フィルムを備えている側とは反対側の面)に、基材を貼付することで、基材上に粘着剤層を積層してもよい。この場合の前記剥離フィルムは、必要な段階で取り除けばよい。
一方、剥離フィルムの剥離処理面に接着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、フィルム状接着剤を形成する。さらに、このフィルム状接着剤の露出面(すなわち、前記剥離フィルムを備えている側とは反対側の面)に、中間層の剥離処理面(すなわち第1面)を貼付することで、剥離フィルム上にフィルム状接着剤及び中間層をこの順に、これらの厚さ方向において積層し、積層物を得る。
そして、基材上の粘着剤層の露出面(すなわち、粘着剤層の基材を備えている側とは反対側の面)に、前記積層物の中間層の露出面(すなわち第1面とは反対側の面)を貼付することで、基材、粘着剤層、中間層、フィルム状接着剤及び剥離フィルムがこの順に、これらの厚さ方向において積層されて、構成されたダイシングダイボンディングシートが得られる。
最外層の前記剥離フィルムは、ダイシングダイボンディングシートの使用時に、フィルム状接着剤から剥離させて、取り除けばよい。
なお、基材、粘着剤層、中間層、フィルム状接着剤及び剥離フィルム以外の別の層を備えているダイシングダイボンディングシートは、上述の製造方法において、適切なタイミングで、この別の層を形成する工程を追加して行うことで、製造できる。
◇半導体チップの製造方法
本発明の半導体チップの製造方法は、上述の本発明のダイシングダイボンディングシートを用いた、半導体チップの製造方法であって、前記ダイシングダイボンディングシートにおける前記フィルム状接着剤の、前記中間層が設けられている側とは反対側の面に、半導体ウエハが設けられた積層構造体を形成する工程(以下、「積層構造体形成工程」と略記することがある)と、ダイシングブレードを用いて、前記積層構造体において、前記半導体ウエハの表面から前記中間層に到達するとともに、前記基材には到達しない切れ込みを形成することで、前記半導体ウエハを分割して半導体チップを形成する工程(以下、「ダイシング工程」と略記することがある)と、を有する。
本発明のダイシングダイボンディングシートを用いることで、前記ダイシング工程においては、切断片の発生量を従来よりも大幅に低減できる。ここで、「切断片」とは、先に説明したものである。
以下、図2を参照しながら、前記半導体チップの製造方法について説明する。図2は、本発明の半導体チップの製造方法の一実施形態を模式的に説明するための断面図である。ここでは、図1に示すダイシングダイボンディングシートを用いた場合の製造方法について説明する。
なお、図2以降の図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
<積層構造体形成工程>
前記積層構造体形成工程においては、図2(a)に示すように、ダイシングダイボンディングシート101におけるフィルム状接着剤14の、中間層13が設けられている側とは反対側の面、すなわち第1面14aに、半導体ウエハ9’が設けられた積層構造体201を形成する。
半導体ウエハ9’の厚さは、特に限定されないが、10〜100μmであることが好ましく、30〜90μmであることがより好ましい。
なお、図1及び図2では、明示していないが、ダイシングダイボンディングシート101において、中間層13及びフィルム状接着剤14は、半導体ウエハ9’と同等のサイズであってもよい。すなわち、中間層13の第1面13aの面積と、フィルム状接着剤14の第1面14aの面積は、いずれも、半導体ウエハ9’の表面9a’の面積と同じであるか、又はやや広い程度であっても(すなわち同等であっても)よい。ただし、このような場合には、フィルム状接着剤14は中間層13からはみ出さないように、さらに、半導体ウエハ9’はフィルム状接着剤14からはみ出さないように、それぞれ配置する。
<ダイシング工程>
次いで、前記ダイシング工程においては、ダイシングブレードを用いて、積層構造体201において、半導体ウエハ9’の表面9a’から中間層13に到達するとともに、基材11には到達しない切れ込み10を形成する。このようにすることで、図2(b)に示すように、半導体ウエハ9’を分割して半導体チップ9を形成する。図2において、切れ込み10を形成後の積層構造体は、符号201’を付して示している。ここでは、粘着剤層12に到達しないように、切れ込み10を形成する場合について、説明する。
半導体チップ9の厚さは、上述の半導体ウエハ9’の厚さと同じである。
ダイシング工程においては、例えば、先に説明したように、半導体ウエハ固定用のリングフレーム等の治具(図示略)に対して、ダイシングダイボンディングシート101中のフィルム状接着剤14の第1面14aに設けられた治具用接着剤層(図示略)を貼付することで、ダイシングダイボンディングシート101を前記治具に固定できる。
一方、上述のように、中間層13及びフィルム状接着剤14が、半導体ウエハ9’と同等のサイズである場合には、例えば、中間層13によって被覆されずに露出されている粘着剤層12を前記治具に対して貼付することで、ダイシングダイボンディングシート101を前記治具に固定できる。また、露出されている粘着剤層12の第1面12aに設けられた治具用接着剤層(図示略)を前記治具に対して貼付することでも、ダイシングダイボンディングシート101を前記治具に固定できる。
図3は、切れ込み10が形成されたダイシングダイボンディングシート101とともに、得られた半導体チップ9を模式的に示す拡大断面図である。
図3に示すように、本工程においては、一例として、中間層13の厚さT、中間層13の第1面13aからの切れ込み10の深さTが、T>Tの関係を満たすように、切れ込み10を形成できる。この場合、切れ込み10は、積層構造体201において、フィルム状接着剤14の厚さ方向の全域に渡って形成するとともに、粘着剤層12には到達しないように形成する。
なお、中間層13における切れ込み部位の底面130aが平面でない場合には、前記底面130aの粘着剤層12に最も近い部位(換言すると、中間層13において切れ込み10の深さが最も深い部位)を、Tを算出する際の一方の基準とすればよい。
このように、切れ込み10を、基材11の第1面11aには到達させずに、中間層13中にとどまるように形成することで、基材11に由来する切断片の発生を防止できる。さらに、中間層13の引張弾性率が3500MPa以上であることで、ダイシング工程において、中間層13に由来する切断片の発生量を低減できる。以上により、ダイシング工程において、切断片の発生量を顕著に低減できる。
ダイシング工程において、切断片の発生量を低減できていることは、例えば、顕微鏡を用いて半導体チップを観察したときに、半導体チップの表面に残存している切断片が少なくなっているか、又は半導体チップの表面に切断片が残存していないことで確認できる。ここで、「半導体チップの表面」とは、半導体チップの回路形成面と側面を意味する。
また、このように、切れ込み10を中間層13中にとどまるように形成することで、ブレードダイシング時において、支持シートやダイシングダイボンディングシートからの、半導体チップの剥離、いわゆるチップ飛びが抑制される。これは、ダイシングブレードが基材に接触することがなく、その結果、ダイシングブレードの振動が基材に直接伝達されることがないため、ダイシングダイボンディングシートでの過度な振動の発生が抑制されるからであると推測される。
中間層13の厚さTに対する、中間層13における切れ込み10の深さTの割合(T/T)は、0より大きく1以下であり、例えば、0.1〜0.9、0.2〜0.8及び0.3〜0.7のいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記割合の一例である。前記割合が前記下限値以上であることで、後述するフィルム状接着剤付き半導体チップ9をより容易にピックアップできる。前記割合が前記上限値以下であることで、切断片の発生量をより低減できる。
ダイシング工程においては、ダイシングブレードの回転速度は、10000〜60000rpmであることが好ましく、20000〜50000rpmであることがより好ましい。
ダイシングブレードの移動速度は、20〜80mm/secであることが好ましく、40〜60mm/secであることがより好ましい。
ダイシングブレードの作動時には、ダイシングを行っている箇所に対して、例えば、0.5〜1.5L/min程度の量で切削水を流すことが好ましい。
なお、ここでは、積層構造体201において、半導体ウエハ9’の表面9a’から中間層13に到達するとともに、粘着剤層12には到達しない切れ込み10を形成する場合について説明したが、ダイシング工程においては、基材11に到達していなければ、粘着剤層12に到達するように切れ込み10を形成してもよい。
図4は、このように、粘着剤層12に到達する切れ込み10が形成されたダイシングダイボンディングシート101とともに、得られた半導体チップ9を模式的に示す拡大断面図である。
図4に示すように、本工程においては、一例として、粘着剤層12の厚さT、粘着剤層12の第1面12aからの切れ込み10の深さTが、T>Tの関係を満たすように、切れ込み10を形成できる。この場合、切れ込み10は、積層構造体201において、フィルム状接着剤14及び中間層13の厚さ方向の全域に渡って形成する(T/Tを1とする)とともに、基材11には到達しないように形成する。
なお、粘着剤層12における切れ込み部位の底面120aが平面でない場合には、前記底面120aの基材11に最も近い部位(換言すると、粘着剤層12において切れ込み10の深さが最も深い部位)を、Tを算出する際の一方の基準とすればよい。
粘着剤層12の厚さTに対する、粘着剤層12における切れ込み10の深さTの割合(T/T)は、0より大きく1以下であり、例えば、0.1〜0.9、0.2〜0.8及び0.3〜0.7のいずれかであってもよい。ただし、これらは、前記割合の一例である。前記割合が前記下限値以上であることで、後述するフィルム状接着剤付き半導体チップ9をより容易にピックアップできる。前記割合が前記上限値以下であることで、切断片の発生量をより低減できる。
◇半導体装置の製造方法
上述の本発明の半導体チップの製造方法を利用した、半導体装置の製造方法としては、前記半導体チップの製造方法により、前記半導体チップを形成する工程(ダイシング工程)を行った後、前記切れ込みを形成後のダイシングダイボンディングシートに対して、その基材側から力を加えるとともに、前記半導体チップを、切断後の前記フィルム状接着剤とともに前記中間層から引き離す工程(以下、「引き離し工程」と略記することがある)を有するものが挙げられる。
上述の本発明の半導体チップの製造方法を利用することで、前記ダイシング工程において切断片の発生量を顕著に低減できているのに加え、中間層を備えた本発明のダイシングダイボンディングシートを用いていることで、前記引き離し工程において、フィルム状接着剤付き半導体チップのピックアップ不良の発生が抑制される。
このように、本発明によれば、ダイシングから、フィルム状接着剤付き半導体チップのピックアップまでの間で、工程異常の発生を抑制できる。
前記半導体装置の製造方法では、フィルム状接着剤付き半導体チップの引き離しの対象は、粘着剤層ではなく中間層である。したがって、先の説明のとおり、粘着剤層はエネルギー線硬化性及び非エネルギー線硬化性のいずれであってもよいが、エネルギー線硬化性であっても、前記引き離し工程の前に硬化させることは不要である。
以下、図5を参照しながら、前記半導体装置の製造方法について説明する。図5は、本発明の半導体チップの製造方法を利用した、半導体装置の製造方法の一実施形態を模式的に説明するための断面図である。ここでは、図1に示すダイシングダイボンディングシートを用いた場合の製造方法について説明する。なお、図5では、ダイシングダイボンディングシート及び半導体チップに関わる構成のみ、断面表示している。
<引き離し工程>
前記引き離し工程においては、図5に示すように、切れ込み10を形成後のダイシングダイボンディングシート101に対して、その基材11側から力を加えるとともに、半導体チップ9を、切断後のフィルム状接着剤14とともに中間層13から引き離す(ピックアップする)。
ここでは、半導体装置の製造装置における突き上げ部(図示略)から突起(ピン)70を突出させ、突起70の先端部がダイシングダイボンディングシート101を、その基材11側から突き上げることで、切れ込み10及び半導体チップ9が形成された積層構造体201’に対して、突起70の突出方向に力を加える例を示している。このとき、突起70の突出量(突き上げ量)、突出速度(突き上げ速度)、突出状態の保持時間(持ち上げ待ち時間)等の突き上げ条件を適宜調節できる。
突起70の数は特に限定されず、適宜選択すればよい。図5では、1個の半導体チップ9に力を加えるものとして、図示されている突起70は1個であるが、1個の半導体チップ9に力を加える突起70は、1個であってもよいし、2個以上であってもよい。
前記引き離し工程において、ダイシングダイボンディングシート101を突き上げる方法は、公知の方法でよく、例えば、上述のような突起により突き上げる方法以外に、ダイシングダイボンディングシート101に沿ってスライダーを移動させることにより、このダイシングダイボンディングシート101を突き上げる方法が挙げられる。
また、ここでは、半導体装置の製造装置の引き上げ部71によって、半導体チップ9を引き上げることにより、フィルム状接着剤付き半導体チップ9を、中間層13から剥離させる例を示している。半導体チップ9の引き上げ方向は矢印Iで示している。
半導体チップ9を引き上げる方法は、公知の方法でよい。具体的な方法としては、例えば、真空コレットにより、半導体チップ9の表面を吸着して、半導体チップ9を引き上げる方法等が挙げられる。
引き離し工程においては、中間層13を備えたダイシングダイボンディングシート101を用いていることで、フィルム状接着剤付き半導体チップ9が、中間層13の剥離処理されている(剥離処理面である)第1面13aから、容易に引き離される。その一方で、引き離し工程以前の工程においては、フィルム状接着剤14の中間層13からの剥離が抑制される。
上述の半導体装置の製造方法においては、ピックアップされたフィルム状接着剤付き半導体チップを用いて、以降は従来法と同様の方法で、半導体装置を製造する。例えば、前記半導体チップを基板の回路面にフィルム状接着剤によってダイボンディングし、必要に応じて、この半導体チップにさらに半導体チップを1個以上積層して、ワイヤボンディングを行った後、全体を樹脂により封止することで、半導体パッケージとする。そして、この半導体パッケージを用いて、目的とする半導体装置を作製すればよい。
以下、具体的実施例により、本発明についてより詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施例に、何ら限定されるものではない。
接着剤組成物の製造に用いた成分を以下に示す。
・重合体成分(a)
(a)−1:アクリル酸メチル(以下、「MA」と略記する)(95質量部)及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(5質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量800000、ガラス転移温度9℃)。
・エポキシ樹脂(b1)
(b1)−1:アクリロイル基が付加されたクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製「CNA−147」、エポキシ当量518g/eq、数平均分子量2100、不飽和基含有量はエポキシ基と等量)
・熱硬化剤(b2)
(b2)−1:アラルキルフェノール樹脂(三井化学社製「ミレックスXLC−4L」、数平均分子量1100)
・充填材(d)
(d)−1:球状シリカ(アドマテックス社製「YA050C−SM1」、平均粒径(50)nm)
・カップリング剤(e)
(e)−1:シランカップリング剤、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン(信越化学工業社製「KBE−402」)
・架橋剤(f)
(f)−1:トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート三量体付加物(日本ポリウレタン工業社製「コロネートL」)
[実施例1]
<ダイシングダイボンディングシートの製造>
(接着剤組成物の製造)
重合体成分(a)−1(100質量部)、エポキシ樹脂(b1)−1(10質量部)、熱硬化剤(b2)−1(2質量部)、充填材(d)−1(75質量部)、カップリング剤(e)−1(0.5質量部)、及び架橋剤(f)−1(0.5質量部)をメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、接着剤組成物を得た。なお、ここに示すメチルエチルケトン以外の成分の配合量は、すべて固形分換算値である。
(フィルム状接着剤の製造)
ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031H」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた接着剤組成物を塗工し、100℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ20μmのフィルム状接着剤を形成した。
次いで、別途中間層として、ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(三菱化学社製、厚さ38μm)を用い、この剥離フィルムの剥離処理面を、上記で得られたフィルム状接着剤の露出面に貼付することで、フィルム状接着剤の両面に剥離フィルムが貼付された構造を有する積層物、換言すると、前記剥離フィルム、フィルム状接着剤及び中間層がこの順に、これらの厚さ方向において積層された構造を有する積層物を得た。フィルム状接着剤への前記剥離フィルムの貼付は、これらを常温下でシリコーンゴムロール及び金属ロール間に挟み込むことで行った。
(粘着剤組成物の製造)
粘着性樹脂(1質量部)に対して、架橋剤(1質量部)を加えて23℃で撹拌することで、非エネルギー線硬化性の粘着剤組成物を得た。なお、ここに示す配合量は、すべて固形分換算値である。
前記粘着性樹脂は、アクリル樹脂(トーヨーケム社製「オリバインBPS 6367X」)である。また、前記架橋剤は、トーヨーケム社製「BXX 5640」である。
(支持シートの製造)
ポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET382150」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた粘着剤組成物を塗工し、100℃で2分加熱乾燥させることにより、厚さ10μmの粘着剤層を形成した。
次いで、エチレン・メタクリル酸共重合体(以下、「EMAA」と略記する)からなり、一方の表面が電子線照射処理された基材(厚さ80μm)の、前記電子線照射処理面を、前記粘着剤層の露出面に貼付することで、前記基材、粘着剤層及び剥離フィルムがこの順に、これらの厚さ方向において積層された構造を有する支持シートを得た。粘着剤層への前記基材の貼付は、これらを常温下でシリコーンゴムロール及び金属ロール間に挟み込むことで行った。
(ダイシングダイボンディングシートの製造)
前記積層物を直径220mmの円形状に切り抜き、一方の前記剥離フィルム(中間層に相当しない方の剥離フィルム)を取り除き、中間層及びフィルム状接着剤の積層物とした。
次いで、前記支持シートの粘着剤層に、上記で得られた中間層及びフィルム状接着剤の積層物の中間層を常温下で貼付した。
以上により、基材、粘着剤層、中間層及びフィルム状接着剤がこの順に、これらの厚さ方向において積層された構造を有するダイシングダイボンディングシートを得た。
<ダイシングダイボンディングシートの評価(1)>
(中間層の引張弾性率の測定)
中間層(上述の片面が剥離処理されたPET製フィルム)を裁断して試験片を作製し、JIS K 7161:1994に準拠して、23℃における前記試験片の引張弾性率(ヤング率)を測定した。このとき、前記試験片の測定時の幅を25mm、つかみ具間距離を100mmとした。
(中間層の押し込み硬さの測定)
中間層(上述の片面が剥離処理されたPET製フィルム)を裁断して試験片を作製し、JIS Z 2255:2003に準拠して、23℃における前記試験片の押し込み硬さを測定した。
(粘着剤層と中間層との間の粘着力の測定)
ダイシングダイボンディングシートを、幅が25mm、長さが200mmとなるように切り出して試験片とした。
次いで、常温(23℃)下において、この試験片をフィルム状接着剤によって粘着シートの粘着面に貼付した。
次いで、常温(23℃)下において、中間層及び粘着剤層の互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、基材及び粘着剤層の積層物を中間層から、剥離速度300mm/minで引き剥がして180°剥離を行い、このときの剥離力を測定して、粘着剤層と中間層との間の粘着力(N/25mm)とした。
(中間層とフィルム状接着剤との間の接着力の測定)
ダイシングダイボンディングシートを、幅が25mm、長さが200mmとなるように切り出して試験片とした。
次いで、常温(23℃)下において、この試験片をフィルム状接着剤によって粘着シートの粘着面に貼付した。
次いで、常温(23℃)下において、中間層及びフィルム状接着剤の互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、基材、粘着剤層及び中間層の積層物をフィルム状接着剤から、剥離速度300mm/minで引き剥がして180°剥離を行い、このときの剥離力を測定して、中間層とフィルム状接着剤との間の接着力(N/25mm)とした。
<半導体チップの製造(1)(ダイシングダイボンディングシートの評価(2))>
(積層構造体形成工程)
8インチのシリコンミラーウエハ(厚さ40μm)の一方の表面に、上記で得られたダイシングダイボンディングシートを、その60℃に加熱したフィルム状接着剤によって貼付し、積層構造体を得た。
(ダイシング工程)
次いで、得られた積層構造体を、その粘着剤層の露出面によりダイシング用リングフレームに貼付して固定した。
次いで、ダイシング装置(ディスコ社製「DFD6361」)を用い、上記で得られた積層構造体において切れ込みを形成した。そのときの条件は、以下のとおりである。図3に示すように、シリコンミラーウエハの表面から、フィルム状接着剤を貫通し、中間層のフィルム状接着剤を備えている側の面(界面)から20μmの深さにまで、ダイシングブレード(ディスコ社製「27HECC」)を用いて切削し、シングルカットにより切れ込みを形成した。すなわち、前記切れ込みは、前記積層構造体において、基材及び粘着剤層には到達しないように形成し、中間層の厚さTに対する、中間層における切れ込みの深さTの割合(T/T)を0.53とした。ダイシングブレードの回転速度を40000rpm、移動速度を50mm/secとした。また、ダイシングを行っている箇所に対して、1L/minの量で切削水を流しながら、ダイシングを行った。
以上により、大きさが5mm×5mmのシリコンチップを得た。
(粘着剤層とリングフレームとの間の粘着力の測定)
基材及び粘着剤層の積層物を、幅が25mm、長さが200mmとなるように切り出して試験片とした。
次いで、常温(23℃)下において、この試験片を粘着剤層によって、リングフレームと同じステンレス鋼(SUS)からなる固定用基材に貼付した。このとき、試験片の粘着剤層の表面全面を固定用基材へ貼付した。
次いで、常温(23℃)下において、粘着剤層及び固定用基材の互いに接触していた面同士が180°の角度を為すように、基材及び粘着剤層の積層物を固定用基材から、剥離速度300mm/minで引き剥がして180°剥離を行い、このときの剥離力を測定して、粘着剤層とリングフレームとの間の粘着力(N/25mm)とした。
(チップ飛びの抑制効果の評価)
上記のダイシング工程において、チップ飛びが全く見られなかった場合をA、1箇所でもチップ飛びが見られた場合をBとして、チップ飛びの抑制効果を評価した。結果を表1に示す。
(切断片の発生抑制効果の評価)
デジタル顕微鏡を用いて、上記のダイシング工程で得られたシリコンチップを観察し、シリコンチップの表面に切断片が全く見られなかった場合をA、僅かでも切断片が見られた場合をBとして、切断片の発生抑制効果を評価した。結果を表1に示す。
<半導体チップの製造(2)(ダイシングダイボンディングシートの評価(3))>
(積層構造体形成工程)
8インチのシリコンミラーウエハ(厚さ75μm)の一方の表面に、上記で得られたダイシングダイボンディングシートを、その60℃に加熱したフィルム状接着剤によって貼付し、積層構造体を得た。
(ダイシング工程)
次いで、得られた積層構造体の粘着剤層の露出面に、リングフレームテープを設け、このテープにより、積層構造体をダイシング用リングフレームに固定した。
次いで、ダイシング装置(ディスコ社製「DFD6361」)を用い、上述のチップ飛びの抑制効果及び切断片の発生抑制効果の評価時と同じ方法により、ダイシングを行った。ただし、シリコンチップの大きさは8mm×8mとした。
(引き離し工程(半導体チップのピックアップ適性の評価))
上述のダイシング工程後、シリコンチップを形成した後の積層構造体を、ピックアップ・ダイボンディング装置(キャノンマシナリー社製「BESTEM−D02」)に設置した。そして、常温下で、突き上げ速度を20mm/sec、保持時間を300msecとし、突き上げ量を特定の値に設定して、5本のピンによる1段の突き上げ方式によって、ダイシング工程後のダイシングダイボンディングシートに対して、その基材側から力を加えて、シリコンチップを形成後の積層構造体を突き上げるとともに、コレット(半導体チップを引き離す部位の大きさが8mm×8mm)を用いて、得られたフィルム状接着剤付きシリコンチップを中間層から引き離すこと(ピックアップ)を試みた。この積層構造体の突き上げと、フィルム状接着剤付きシリコンチップの引き離しとを、突き上げ量を変化させて続けて行い、135回連続して、異常を伴うことなく行うことができた場合の突き上げ量の最小値を求め、フィルム状接着剤付きシリコンチップのピックアップ適性を評価した。結果を表1に示す。
<ダイシングダイボンディングシートの製造及び評価、半導体チップの製造及び評価>
[実施例2]
ダイシング工程において中間層に形成する切れ込みの深さを、20μmに代えて10μmとした点以外は、実施例1と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを、それぞれ製造及び評価した。すなわち、本実施例においては、前記切れ込みは、前記積層構造体において、フィルム状接着剤の厚さ方向の全域に渡って形成するとともに、基材及び粘着剤層には到達しないように形成し、中間層の厚さTに対する、中間層における切れ込みの深さTの割合(T/T)を0.26とした。結果を表1に示す。
[実施例3]
以下に示すようにダイシング工程で変更を行った点以外は、実施例1と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを、それぞれ製造及び評価した。
本実施例においては、ダイシング工程において、図4に示すように、シリコンミラーウエハの表面から、フィルム状接着剤及び中間層を貫通し、粘着剤層の中間層を備えている側の面(界面)から10μmの深さにまで、換言すると粘着剤層を貫通するが、基材には到達しない切れ込みを形成した。すなわち、前記切れ込みは、前記積層構造体において、フィルム状接着剤及び中間層の厚さ方向の全域に渡って形成する(T/Tを1とする)とともに、基材には到達しないように形成し、粘着剤層の厚さTに対する、粘着剤層における切れ込みの深さTの割合(T/T)を1とした。結果を表1に示す。
[実施例4]
以下に示すようにダイシング工程で変更を行った点以外は、実施例1と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを、それぞれ製造及び評価した。
本実施例においては、ダイシング工程において、図4に示すように、シリコンミラーウエハの表面から、フィルム状接着剤及び中間層を貫通し、粘着剤層の中間層を備えている側の面(界面)から5μmの深さにまで、切れ込みを形成した。すなわち、前記切れ込みは、前記積層構造体において、フィルム状接着剤及び中間層の厚さ方向の全域に渡って形成する(T/Tを1とする)とともに、基材には到達しないように形成し、粘着剤層の厚さTに対する、粘着剤層における切れ込みの深さTの割合(T/T)を0.5とした。結果を表1に示す。
[実施例5]
片面がシリコーン処理により剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ38μm)に代えて、ポリエチレンナフタレート(PEN)製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(帝人デュポンフィルム社製、厚さ38μm)を中間層とした点以外は、実施例1と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを、それぞれ製造及び評価した。本実施例においても、前記剥離フィルムの剥離処理面を、フィルム状接着剤の露出面に貼付した。結果を表1に示す。
[比較例1]
以下に示すようにダイシング工程で変更を行った点以外は、実施例1と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを、それぞれ製造及び評価した。
本比較例においては、ダイシング工程において、図6に示すように、シリコンミラーウエハの表面から、フィルム状接着剤、中間層及び粘着剤層を貫通し、基材の粘着剤層を備えている側の面(第1面)から20μmの深さにまで、切れ込みを形成した。すなわち、前記切れ込みは、積層構造体において、フィルム状接着剤、中間層及び粘着剤層の厚さ方向の全域に渡って形成し、T/T及びT/Tを1とするとともに、さらに、基材にも切れ込みを形成して、基材における切れ込みの深さを20μmとした。結果を表2に示す。
なお、比較例での説明で引用した、図6以降の図において、半導体チップ9は、シリコンチップに相当する。
[比較例2]
中間層を設けなかった点以外は、比較例1と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを、それぞれ製造及び評価した。すなわち、本比較例においては、図7に示すように、前記切れ込みは、積層構造体において、フィルム状接着剤及び粘着剤層の厚さ方向の全域に渡って形成し、T/Tを1とするとともに、さらに、基材にも切れ込みを形成して、基材における切れ込みの深さTを20μmとした。結果を表2に示す。
[比較例3]
片面がシリコーン処理により剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ38μm)に代えて、両面が剥離処理されていないポリエチレン(PE)製フィルム(グンゼ社製、厚さ80μm)を中間層とした点以外は、実施例1と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを、それぞれ製造及び評価した。本比較例においては、図8に示すように、前記切れ込みは、積層構造体において、基材及び粘着剤層には到達しないように形成し、中間層の厚さTに対する、中間層における切れ込みの深さTの割合(T/T)を0.25とした。図8中、符号83は本比較例における中間層を示し、符号83aは中間層83の粘着剤層12が設けられている側とは反対側の面(界面、第1面)を示す。結果を表2に示す。
[比較例4]
EMAAからなるもの(厚さ80μm)に代えて、ポリエチレン共重合体からなるもの(グンゼ社製、厚さ80μm)を基材とし、中間層及び粘着剤層を設けず、いずれの評価時にも、積層構造体の基材の露出面に、リングフレームテープを設け、このテープにより、積層構造体をダイシング用リングフレームに固定した点以外は、実施例1と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシートを製造及び評価した。
そして、このダイシングダイボンディングシートを用い、以下に示すようにダイシング工程で変更を行った点以外は、実施例1と同じ方法で、シリコンチップを製造及び評価した。本比較例においては、ダイシング工程において、図9に示すように、シリコンミラーウエハの表面から、フィルム状接着剤を貫通し、基材のフィルム状接着剤を備えている側の面(界面)から20μmの深さにまで、切れ込みを形成した。すなわち、前記切れ込みは、積層構造体において、フィルム状接着剤の厚さ方向の全域に渡って形成し、さらに、基材にも切れ込みを形成して、基材における切れ込みの深さを20μmとした。図9中、符号81は本比較例における基材を示し、符号81aは基材81の一方の面(界面、第1面)を示す。結果を表2に示す。
[比較例5]
ポリエチレン共重合体からなるもの(厚さ80μm)に代えて、EMAAからなるもの(厚さ80μm)を基材とした点以外は、比較例4と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを、それぞれ製造及び評価した。粘着剤層は、基材の電子線照射処理面に貼付して、支持シートとした。結果を表2に示す。
[比較例6]
片面がシリコーン処理により剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ38μm)に代えて、両面が剥離処理されていないポリエチレン製フィルム(グンゼ社製、厚さ40μm)を中間層とした点以外は、実施例1と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを、それぞれ製造及び評価した。本比較例においては、前記切れ込みは、積層構造体において、基材及び粘着剤層には到達しないように形成し、中間層の厚さTに対する、中間層における切れ込みの深さTの割合(T/T)を0.5とした。結果を表2に示す。
[比較例7]
片面がシリコーン処理により剥離処理されたポリエチレンテレフタレート製フィルム(厚さ38μm)に代えて、両面が剥離処理されていないポリエチレン(PE)製フィルム(グンゼ社製、厚さ80μm)を中間層とした点以外は、実施例1と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを製造した。そして、評価は、ダイシングダイボンディングシートについて、切断片の発生抑制効果のみ行った。本比較例におけるポリエチレン製フィルムは、比較例3におけるポリエチレン製フィルムとは、引張弾性率が異なる。本比較例においては、前記切れ込みは、積層構造体において、基材及び粘着剤層には到達しないように形成し、中間層の厚さTに対する、中間層における切れ込みの深さTの割合(T/T)を0.25とした。結果を表3に示す。
[比較例8]
両面が剥離処理されていないポリエチレン製フィルム(厚さ80μm)に代えて、両面が剥離処理されていないポリプロピレン(PP)製フィルム(グンゼ社製、厚さ80μm)を中間層とした点以外は、比較例7と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを製造し、ダイシングダイボンディングシートを評価した。結果を表3に示す。
[比較例9]
両面が剥離処理されていないポリエチレン製フィルム(厚さ80μm)に代えて、両面が剥離処理されていないポリブチレンテレフタレート(PBT)製フィルム(オージーフィルム社製、厚さ80μm)を中間層とした点以外は、比較例7と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを製造し、ダイシングダイボンディングシートを評価した。結果を表3に示す。
[比較例10]
両面が剥離処理されていないポリエチレン製フィルム(厚さ80μm)に代えて、両面が剥離処理されていないポリイミド(PI)製フィルム(東レ・デュポン社製、厚さ50μm)を中間層とした点以外は、比較例7と同じ方法で、ダイシングダイボンディングシート及びシリコンチップを製造し、ダイシングダイボンディングシートを評価した。結果を表3に示す。
Figure 2018083982
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上記結果から明らかなように、実施例1〜5においては、ダイシング時において、切断片の発生を抑制できており、ダイシングからフィルム状接着剤付きシリコンチップのピックアップまでの間で、工程異常の発生も抑制できた。
これに対して、比較例1においては、切断片の発生を抑制できたものの、チップ飛びを抑制できなかった。これは、ダイシング時に基材にまで切れ込みを形成したため、そのときの、ダイシングダイボンディングシートでの過度な振動の発生が原因であると推測された。
比較例2においては、切断片の発生を抑制できたものの、フィルム状接着剤付きシリコンチップをピックアップできなかった。これは、ダイシングダイボンディングシート中に中間層を設けなかったことで、粘着剤層とフィルム状接着剤との間の粘着力が過度に大きくなってしまったことが原因であると推測された。
比較例3、6〜10においては、切断片の発生を抑制できなかった。これは、中間層の樹脂層の構成材料がポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)又はポリイミド(PI)であり、これら中間層の引張弾性率が低過ぎたことで、ダイシング時に中間層由来の切断片の発生量が増大してしまったことが原因であると推測された。
さらに、比較例3及び6においては、ピックアップ適性もやや劣っていた。これも、中間層の引張弾性率が低過ぎたことが原因であると推測された。ただし、比較例6においては、中間層の厚さの違いによって、ピックアップ適性が比較例3の場合よりも良好であった。
比較例4においては、切断片の発生を抑制できなかった。これは、ポリエチレンからなる基材を用い、ダイシング時にこの基材にまで切れ込みを形成したため、ダイシング時に基材由来の切断片の発生量が増大してしまったことが、おもな原因であると推測された。
比較例5においては、切断片の発生を抑制できたものの、フィルム状接着剤付きシリコンチップをピックアップできなかった。このように本比較例においては、比較例4の場合と同様に、ダイシング時に基材にまで切れ込みを形成したにも関わらず、比較例4とは異なる結果が得られた。これは、本比較例においては、EMAAからなり、かつ電子線照射処理された基材を用いたことが原因であると推測された。このような基材は、電子線照射処理されていることで、ダイシング時に切削されても、基材由来の切断片の発生が抑制される反面、EMAAからなることで、フィルム状接着剤との間の粘着力が過度に大きくなってしまう。
なお、比較例3、4及び6においては、切断片の発生がピックアップ適性の低下の直接的な原因とはなっていないが、切断片の発生量は、ピックアップ時の条件によっては、ピックアップ不良の発生原因となってしまう程度のものであった。
本発明は、半導体装置の製造に利用可能である。
101・・・ダイシングダイボンディングシート、11・・・基材、11a・・・基材の第1面、12・・・粘着剤層、12a・・・粘着剤層の第1面、13・・・中間層、13a・・・中間層の第1面(中間層のフィルム状接着剤を備えている側の界面、又は中間層のフィルム状接着剤との接触面)、14・・・フィルム状接着剤、14a・・・フィルム状接着剤の第1面、201・・・積層構造体、符号201’・・・切れ込みを形成後の積層構造体、9・・・半導体チップ、9’・・・半導体ウエハ、9a’・・・半導体ウエハの表面、10・・・切れ込み、T・・・中間層の厚さ、T・・・中間層の第1面からの切れ込みの深さ、T・・・粘着剤層の厚さ、T・・・粘着剤層の第1面からの切れ込みの深さ

Claims (3)

  1. 基材と、前記基材上に形成された粘着剤層と、前記粘着剤層上に形成された中間層と、前記中間層上に形成されたフィルム状接着剤と、を備え、
    前記中間層は樹脂製であり、
    前記中間層の前記フィルム状接着剤を備えている側の界面は剥離処理されており、
    前記中間層の引張弾性率が3500MPa以上である、ダイシングダイボンディングシート。
  2. 前記粘着剤層と前記中間層との間の粘着力が0.3N/25mm以上である、請求項1に記載のダイシングダイボンディングシート。
  3. 請求項1又は2に記載のダイシングダイボンディングシートにおける前記フィルム状接着剤の、前記中間層が設けられている側とは反対側の面に、半導体ウエハが設けられた積層構造体を形成する工程と、
    ダイシングブレードを用いて、前記積層構造体において、前記半導体ウエハの表面から前記中間層に到達するとともに、前記基材には到達しない切れ込みを形成することで、前記半導体ウエハを分割して半導体チップを形成する工程と、を有する、半導体チップの製造方法。
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