JP6304852B2 - 熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、熱硬化性樹脂フィルム、第1保護膜形成用シート及び半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法 - Google Patents

熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、熱硬化性樹脂フィルム、第1保護膜形成用シート及び半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、熱硬化性樹脂フィルム、この熱硬化性樹脂フィルムを備えた第1保護膜形成用シート、及び、半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法に関する。
本出願は、2015年11月4日に日本に出願された特願2015−217097号に基づき、優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、MPUやゲートアレー等に用いる多ピンのLSIパッケージをプリント配線基板に実装する場合には、半導体チップとして、その接続パッド部に共晶ハンダ、高温ハンダ、金等からなる凸状電極(バンプ)が形成されたものを用い、所謂フェースダウン方式により、それらのバンプをチップ搭載用基板上の相対応する端子部に対面、接触させ、溶融/拡散接合するフリップチップ実装方法が採用されてきた。
このような実装方法で用いる半導体チップは、例えば、回路面にバンプが形成された半導体ウエハの、回路面とは反対側の面を研削したり、ダイシングして個片化したりすることで得られる。このような半導体チップを得る過程においては、通常、半導体ウエハの回路面及びバンプを保護する目的で、熱硬化性樹脂フィルムをバンプ形成面に貼付し、このフィルムを硬化させることで、バンプ形成面に保護膜を形成する。このような熱硬化性樹脂フィルムとしては、加熱によって硬化する熱硬化性成分を含有するものが広く利用されている。また、このような熱硬化性樹脂フィルムを備えた保護膜形成用シートとしては、前記フィルムに特定の熱弾性率を有する熱可塑性樹脂層が積層され、さらに前記熱可塑性樹脂層上の最上層に、25℃で非可塑性の熱可塑性樹脂層が積層されてなるものが開示されている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1によれば、この保護膜形成用シートは、保護膜のバンプ充填性、ウエハ加工性、樹脂封止後の電気接続信頼性等に優れるとされている。
特開2005−028734号公報
一方、上記のような、熱硬化性樹脂フィルムを備えた保護膜形成用シートを用いて半導体チップを製造する際、熱硬化性樹脂フィルムを加熱硬化させて半導体ウエハのバンプ形成面に保護膜を形成する過程において、半導体ウエハに反りが発生することがある(図6を参照)。図6においては、熱硬化性樹脂フィルムが加熱硬化することで、バンプ151が形成される表面105aに保護膜101aが形成された半導体ウエハ105に、外周端部105bが上方を向く方向で反りが発生している。このような半導体ウエハ105の反りは、半導体ウエハ105の表面105aにおいて熱硬化性樹脂フィルムが硬化する際に、収縮等によって生じる応力F1により、半導体ウエハが変形することで発生するものと考えられる。
このように、半導体ウエハに反りが発生すると、例えば、バキューム装置によって半導体ウエハを吸引した際に空気漏れが生じることから、バキューム方式による搬送手段を採用する半導体チップの製造工程等において、半導体ウエハの搬送が出来なくなるという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成する際に、この半導体ウエハに反りが発生するのを抑制することが可能な熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、熱硬化性樹脂フィルム、第1保護膜形成用シート及び半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意実験検討を積み重ねた。この結果、半導体ウエハのバンプ形成面に貼付する熱硬化性樹脂フィルムと、半導体ウエハの裏面、即ち、半導体ウエハにおける回路及びバンプが形成された面とは反対側の面に貼付する第2保護膜形成層(第2保護膜形成フィルム)との間の、発熱開始温度及び発熱ピーク温度、さらには線膨張係数の関係を最適化することにより、熱硬化性樹脂フィルムが加熱硬化する際に、収縮等によって半導体ウエハに付与される応力が、裏面保護シートが加熱硬化する際の応力によって矯正されることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、半導体ウエハにおける複数のバンプを保護する第1保護膜を形成するための、熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットであって、前記熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットは、前記半導体ウエハにおける複数のバンプを有する表面に貼付し、加熱硬化させることによって前記表面に第1保護膜を形成するための熱硬化性樹脂フィルム、及び半導体ウエハの第2保護膜形成フィルムを含み、前記熱硬化性樹脂フィルム及び前記第2保護膜形成フィルムは、それぞれ、少なくとも熱硬化性成分を含み、前記熱硬化性樹脂フィルムは、示差走査熱量分析(DSC)法によって測定される発熱開始温度が、前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱開始温度以上であり、さらに、前記熱硬化性樹脂フィルム及び前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱ピーク温度が、それぞれ100〜200℃であり、前記熱硬化性樹脂フィルムと前記第2保護膜形成フィルムとの前記発熱ピーク温度の差が35℃未満である、半導体ウエハに貼付して用いられる、熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットを提供する。
本発明の熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットは、上記構成において、前記熱硬化性樹脂フィルムの線膨張係数(CTE:Coefficicient of Thermal Expansion)が5×10−6/℃〜80×10−6/℃であり、且つ、前記第2保護膜形成フィルムの線膨張係数との差が35×10−6/℃未満であることが好ましい。
本発明の熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットは、上記構成において、前記熱硬化性樹脂フィルムが、第1支持シートの一方の表面上に備えられる第1保護膜形成用シートとして、前記熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットに含まれるとともに、前記第2保護膜形成フィルムが、第2支持シートの一方の表面上に備えられる第2保護膜形成用シートとして、前記熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットに含まれていてもよい。
また、本発明は、半導体ウエハにおける複数のバンプを有する表面に貼付し、加熱硬化させることによって前記表面に第1保護膜を形成するために、半導体ウエハの第2保護膜形成フィルムと組み合わせて使用される、熱硬化性樹脂フィルムであって、前記熱硬化性樹脂フィルム及び前記第2保護膜形成フィルムは、それぞれ、少なくとも熱硬化性成分を含み、前記熱硬化性樹脂フィルムは、示差走査熱量分析(DSC)法によって測定される発熱開始温度が、前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱開始温度以上であり、さらに、前記熱硬化性樹脂フィルム及び前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱ピーク温度が、それぞれ100〜200℃であり、前記熱硬化性樹脂フィルムと前記第2保護膜形成フィルムとの前記発熱ピーク温度の差が35℃未満である、熱硬化性樹脂フィルムを提供する。
本発明の熱硬化性樹脂フィルムは、上記構成において、前記熱硬化性樹脂フィルムの線膨張係数が5×10−6/℃〜80×10−6/℃であり、且つ、前記第2保護膜形成フィルムの線膨張係数との差が35×10−6/℃未満として用いられることが好ましい。
また、本発明は、上記構成の熱硬化性樹脂フィルムを、第1支持シートの一方の表面上に備えた、第1保護膜形成用シートを提供する。
また、本発明は、半導体ウエハにおける回路及び複数のバンプを有する表面に、該複数のバンプを保護する第1保護膜を形成する、半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法であって、裏面側に第2保護膜形成フィルムが貼付された前記半導体ウエハの表面に、前記複数のバンプを覆うように熱硬化性樹脂フィルムを貼付することで、前記第2保護膜形成フィルム、前記半導体ウエハ及び前記熱硬化性樹脂フィルムが順次積層された積層体を形成する積層ステップと、前記積層体を加熱することで、前記熱硬化性樹脂フィルムに前記複数のバンプを貫通させ、前記複数のバンプの各々の間を埋め込むように前記熱硬化性樹脂フィルムを加熱硬化させることで、前記半導体ウエハの表面に前記第1保護膜を形成する硬化ステップと、を含み、前記熱硬化性樹脂フィルムは、示差走査熱量分析(DSC)法によって測定される発熱開始温度が、前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱開始温度以上であり、さらに、前記熱硬化性樹脂フィルム及び前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱ピーク温度が、それぞれ、100〜200℃であり、前記熱硬化性樹脂フィルムと前記第2保護膜形成フィルムとの前記発熱ピーク温度の差が35℃未満の関係である、半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法を提供する。
なお、本発明において説明する示差走査熱量分析(DSC:Differential Scanning Calorimetry)法とは、基準物質と被測定物との間の熱量の差を計測することにより、被測定物の発熱開始温度等を測定する、従来から行われている熱分析方法である。
本発明の熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、熱硬化性樹脂フィルム、この熱硬化性樹脂フィルムを備えた第1保護膜形成用シートによれば、半導体ウエハの表面に貼付する熱硬化性樹脂フィルムと、裏面に貼付する第2保護膜形成フィルムとの間の、発熱開始温度及び発熱ピーク温度の関係を最適化することにより、熱硬化性樹脂フィルムが加熱硬化する際の収縮等によって半導体ウエハに付与される応力が、第2保護膜形成フィルムが加熱硬化する際の応力によって矯正される。これにより、半導体ウエハに反りが発生するのを抑制することができ、信頼性に優れた半導体パッケージを製造することが可能となる。
また、本発明の半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法によれば、上記同様、半導体ウエハの表面側の熱硬化性樹脂フィルムと、裏面側の第2保護膜形成フィルムとの間の、発熱開始温度及び発熱ピーク温度の関係が最適化された方法なので、半導体ウエハの表面に第1保護膜を形成する硬化ステップにおいて、半導体ウエハに反りが発生するのを抑制することができ、上記同様、信頼性に優れた半導体パッケージを製造することが可能となる。
本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットを用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成する工程の一例を模式的に示す断面図であり、半導体ウエハの裏面側に第2保護膜形成フィルムを貼着するとともに、バンプ形成面上に熱硬化性樹脂フィルムを貼着して積層体を形成した状態を示す図である。 本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットを用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成する工程の一例を模式的に示す断面図であり、図1Aで得られた積層体をダイシングテープによって図示略のウエハダイシング用リングフレームに取り付ける工程を示す図である。 本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットを用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成する工程の一例を模式的に示す断面図であり、熱硬化性樹脂フィルムを加熱硬化させて第1保護膜を形成するとともに、第2保護膜形成フィルムを加熱硬化させて第2保護膜を形成した状態を示す図である。 本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットを用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成する工程の一例を模式的に示す断面図であり、第1保護膜及び第2保護膜が形成された半導体ウエハをチップ単位にダイシング処理した後、チップ単位に分割された半導体ウエハを図示略のウエハダイシング用リングフレームから取り外すとともに、ダイシングテープを除去する工程を示す図である。 本発明に係る熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シートの層構造の一例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シートの層構造の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シートの層構造の他の例を模式的に示す断面図である。 本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットに備えられる第2保護膜形成フィルム及び第2保護膜形成用シートの一例を模式的に示す断面図である。 従来の熱硬化性樹脂フィルムを用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に保護膜を形成した後、半導体ウエハをウエハダイシング用リングフレームから取り外した状態を示す図である。
以下、本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、熱硬化性樹脂フィルム、第1保護膜形成用シート、及び、半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法の実施の形態について、必要に応じて、図1A〜図1D及び図2〜図5に示す本発明図、並びに、図6に示す従来図を参照しながら、詳しく説明する。図1A〜図1Dは本発明の熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットを用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成するとともに、裏面側に第2保護膜を形成する工程の一例を模式的に示す断面図であり、図2〜図4は熱硬化性樹脂フィルム及び第1保護膜形成用シートの層構造の各例を、それぞれ模式的に示す断面図である。また、図5は、熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットに備えられる第2保護膜形成フィルム及び第2保護膜形成用シートの一例を模式的に示す断面図である。また、図6は、従来の熱硬化性樹脂フィルムを用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成した例を示す図である。なお、以下の説明で用いる図は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際のものと異なる場合がある。また、本明細書においては、上述した「フィルム」を「層」と称することがある。
図1A〜図1Dに示すように、本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット10(以下、単にフィルムキット10と略称する場合がある)は、半導体ウエハ5における複数のバンプ51を保護する第1保護膜1aを形成するためのものであり、半導体ウエハ5のバンプ形成面(表面)5aに貼着される熱硬化性樹脂フィルム1と、半導体ウエハ5の裏面5b側に貼着される第2保護膜形成フィルム2とを含んで構成される。即ち、フィルムキット10は、半導体ウエハ5に第1保護膜1aを形成する際に、半導体ウエハ5の貼付して用いられるものである。
また、図2〜4中にも例示した、本発明に係る熱硬化性樹脂フィルム1は、上記のようにフィルムキット10を構成するものであり、少なくとも熱硬化性成分を含む膜からなる。そして、本発明の熱硬化性樹脂フィルム1は、半導体ウエハ5の裏面5b側に貼着される第2保護膜形成フィルム2と組み合わせて使用され、上記のフィルムキット10を構成するものである。また、フィルムキット10を構成する第2保護膜形成フィルム2も、熱硬化性樹脂フィルム1と同様、少なくとも熱硬化性成分を含む膜からなるものである。
また、本発明に係る第1保護膜形成用シート1Aは、図2に示すように、上記の熱硬化性樹脂フィルム1を、支持シート11の一方の表面11a上に備えたものである。即ち、第1保護膜形成用シート1Aは、上記の熱硬化性樹脂フィルム1を半導体ウエハ5上に貼着する前において、例えば、製品パッケージとして熱硬化性樹脂フィルム1を運搬するか、あるいは、工程内において熱硬化性樹脂フィルム1を搬送する際に、支持シート11によって熱硬化性樹脂フィルム1が安定的に支持・保護されるものである。
つまり、本発明のフィルムキット10、及び、第1保護膜形成用シート1Aは、何れも、本発明の熱硬化性樹脂フィルム1を含んで構成されるものである。
以下に、本発明の熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット10、熱硬化性樹脂フィルム1及び第1保護膜形成用シート1Aの構成について、順次詳述する。
<<熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット(フィルムキット)>>
図1A及び図1Bに例示するような、本発明に係るフィルムキット10は、上述したように、半導体ウエハ5における複数のバンプ5を保護する第1保護膜1a(図1C及び図1D参照)を形成するためのものである。
より詳細には、フィルムキット10は、図1A〜図1D中に示すような半導体ウエハ5における複数のバンプ51を有する表面(本実施形態においては、「回路面」又は「バンプ形成面」と称することもある)5aに貼付し、加熱硬化させることによって表面5aに第1保護膜1aを形成するための熱硬化性樹脂フィルム1、及び、半導体ウエハ5の裏面5b側に貼付する第2保護膜形成フィルム2を含み、概略構成されている。また、これら熱硬化性樹脂フィルム1及び第2保護膜形成フィルム2は、それぞれ、少なくとも熱硬化性成分を含んだ成分組成とされている。
本発明のフィルムキット10に備えられる熱硬化性樹脂フィルム1は、半導体ウエハ5のバンプ51を有する表面5aに貼付して使用される。そして、貼付後の熱硬化性樹脂フィルム1は、加熱によって流動性が増大し、バンプ51を覆うようにして複数のバンプ51間に広がり、表面(回路面)5aと密着するとともに、バンプ51の表面51a、特に半導体ウエハ5の表面5aの近傍部位を覆いながらバンプ51を埋め込む。この状態の熱硬化性樹脂フィルム1は、さらに加熱されることで熱硬化して、最終的に第1保護膜1aを形成し、表面5aにおいて、バンプ51を、その表面51aに密着した状態で保護する。熱硬化性樹脂フィルム1を貼付した後の半導体ウエハ5は、例えば、回路面となる表面5aとは反対側の面(裏面5b)が研削された後、支持シート(図2に示す第1保護膜形成用シート1Aに備えられる支持シート11を参照)が取り除かれる。次いで、熱硬化性樹脂フィルム1の加熱によって、バンプ51の埋め込み及び第1保護膜1aの形成が行われ、最終的には、この第1保護膜1aを備えた状態で図示略の半導体装置に組み込まれる。
図1A〜図1Dに示す半導体ウエハ5の回路面である表面5aには、複数個のバンプ51が設けられている。バンプ51は、球の一部が平面によって切り取られた形状を有しており、その切り取られて露出した部位に相当する平面が、半導体ウエハ5の表面5aに接触している。
第1保護膜1aは、本発明の熱硬化性樹脂フィルム1を用いて形成されたものであり、半導体ウエハ5の表面5aを被覆し、さらに、バンプ51のうち、頂上とその近傍以外の表面51aを被覆している。このように、第1保護膜1aは、バンプ51の表面51aのうち、バンプ51の頂上とその近傍以外の領域に密着するとともに、半導体ウエハ5の表面(回路面)5aにも密着して、バンプ51を埋め込んでいる。なお、図1A及び図1Bに示す例においては、バンプとして、上記のような、ほぼ球状の形状(球の一部が平面によって切り取られた形状)のものを示しているが、本発明に係る硬化性樹脂フィルム1から形成される第1保護膜1aによって保護できるバンプの形状は、これには限定されない。例えば、図1A及び図1B中に示すような、ほぼ球状の形状のバンプを、高さ方向(図1A及び図1B中において半導体ウエハ5の表面5aに対して直交する方向)に引き伸ばしてなる形状、即ち、ほぼ長球状である回転楕円体の形状(長球状である回転楕円体の長軸方向の一端を含む部位が平面によって切り取られた形状)のバンプや、上記のような、ほぼ球状の形状を、高さ方向に押し潰してなる形状、即ち、ほぼ扁球状である回転楕円体の形状(扁球状である回転楕円体の短軸方向の一端を含む部位が平面によって切り取られた形状)のバンプも、好ましい形状のバンプとして挙げられる。また、本発明に係る硬化性樹脂フィルム1によって形成される第1保護膜1aは、その他の如何なる形状のバンプに対しても適用可能であるが、特に、バンプの形状が、上記のような球状又は楕円等を含む球状である場合おいて、半導体ウエハの表面及びバンプを保護する効果が顕著に得られる。
そして、本発明のフィルムキット10は、熱硬化性樹脂フィルム1として、示差走査熱量分析(DSC)法によって測定される発熱開始温度が、同様に示差走査熱量分析法によって測定される第2保護膜形成フィルム2の発熱開始温度以上である構成とされている。
また、フィルムキット10は、熱硬化性樹脂フィルム1及び第2保護膜形成フィルム2の示差走査熱量分析法によって測定される発熱ピーク温度が、それぞれ100〜200℃であり、熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との発熱ピーク温度の差が35℃未満である構成とされている。さらに、フィルムキット10は、熱硬化性樹脂フィルム1の線膨張係数が5〜80(×10−6/℃)であり、且つ、第2保護膜形成フィルム2の線膨張係数との差が35(×10−6/℃)未満である構成とすることができる。
本発明のフィルムキット10は、上記のように、半導体ウエハ5の表面5aに貼付する熱硬化性樹脂フィルム1の発熱開始温度を、半導体ウエハ5の裏面5b側に貼付する第2保護膜形成フィルムの発熱開始温度と同じか、又は、それより高い温度であることにより、熱硬化性樹脂フィルム1が加熱硬化して第1保護膜1aが形成される際の収縮等によって半導体ウエハ5に付与される応力が、第2保護膜形成フィルム2が加熱硬化して第2保護膜が形成される際の収縮等による応力で矯正される。さらに、本発明においては、熱硬化性樹脂フィルム1及び第2保護膜形成フィルム2の発熱ピーク温度を100〜200℃としたうえで、これら各フィルムの発熱ピーク温度の差を35℃未満とすることにより、上記同様、熱硬化性樹脂フィルム1が加熱硬化する際の収縮等によって半導体ウエハ5に付与される応力が、第2保護膜形成フィルム2が加熱硬化する際の収縮等によって生じる応力で矯正される作用が得られる。
また、本発明においては、熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との間の発熱開始温度及び発熱ピーク温度の関係を上記範囲としたうえで、さらに、熱硬化性樹脂フィルム1の線膨張係数が5〜80(×10−6/℃)であり、且つ、第2保護膜形成フィルム2の線膨張係数との差が35(×10−6/℃)未満である構成を採用できる。これにより、上記同様、熱硬化性樹脂フィルム1が加熱硬化する際に半導体ウエハ5に付与される応力が、第2保護膜形成フィルム2が加熱硬化する際の応力で矯正される作用が得られる。
本発明のフィルムキット10によれば、上述のような、半導体ウエハ5に付与される応力の矯正作用により、半導体ウエハ5を含む積層体に反りが生じるのを抑制することができるので、信頼性に優れた半導体パッケージを製造することが可能となる。
より詳細には、図1C中に示すように、熱硬化性樹脂フィルム1が加熱硬化する際の収縮等により、半導体ウエハ5の端部5cが図中の上方に向かう方向、即ち、熱硬化性樹脂フィルム1側に引っ張られる方向で応力F1が発生する。
一方、本発明においては、上記のような発熱開始温度、発熱ピーク温度及び線膨張係数の関係を採用することで、半導体ウエハ5の加熱時、熱硬化性樹脂フィルム1の硬化よりも、第2保護膜形成フィルム2の硬化の方が早く開始される。これにより、半導体ウエハ5には、熱硬化性樹脂フィルム1の加熱硬化による応力F1が付与される前段階から、半導体ウエハ5の端部5cが図1C中の下方に向かう方向、即ち、第2保護膜形成フィルム2側に引っ張られる方向の応力F2が付与される。このように、半導体ウエハ5に対して応力F1が付与される前に、この応力F1とは反対方向の応力2が付与されることで、これら応力F1,F2のバランスがとれた相殺(矯正)関係となるので、半導体ウエハ5に反りが発生するのを抑制することが可能となる。
また、本発明によれば、熱硬化性樹脂フィルム1の発熱開始温度が第2保護膜形成フィルム2の発熱開始温度以上であり、さらに、両フィルムの発熱ピーク温度が100〜200℃、且つ、両フィルムの発熱ピーク温度の差が35℃未満であり、さらに、両フィルムの線膨張係数との差が35(×10−6/℃)未満であることにより、フィルムキット10を長期間にわたって室温で保管した場合であっても、熱硬化性樹脂フィルム1の硬化反応が進行するのを抑制できる。即ち、熱硬化性樹脂フィルム1に含まれる硬化触媒が、経時変化によって開始温度が低下して硬化反応が進んでしまうのを抑制することが可能となる。これにより、例えば、長期間にわたって保管したフィルムキット10を使用して半導体ウエハ5の表面5aに第1保護膜1aを形成する場合であっても、上記同様、熱硬化性樹脂フィルム1が加熱硬化する際に半導体ウエハ5に付与される応力を矯正し、半導体ウエハ5に反りが発生するのを抑制する顕著な効果が得られる。
なお、本発明においては、上記の作用効果がより顕著に得られる観点から、熱硬化性樹脂フィルム1及び第2保護膜形成フィルム2の発熱ピーク温度が120〜200℃であることがより好ましく、130〜200℃であることが特に好ましく、185〜200℃であることが最も好ましい。同様に、熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との発熱ピーク温度の差は、0〜30℃であることがより好ましく、0〜25℃であることが特に好ましい。
上記における熱硬化性樹脂フィルム1の発熱開始温度及び発熱ピーク温度を測定する方法としては、従来公知の示差走査熱量分析(DSC)装置を用いた測定方法を何ら制限無く採用することができる。
また、本発明のフィルムキット10においては、上述したように、熱硬化性樹脂フィルム1の線膨張係数が5〜80(×10−6/℃)であり、且つ、第2保護膜形成フィルム2の線膨張係数との差が35(×10−6/℃)未満であるとともに、この第2保護膜形成フィルム2の線膨張係数が、熱硬化性樹脂フィルム1の線膨張係数と同じか、又は、それを下回る構成を採用している。本発明においては、熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との間の発熱開始温度及び発熱ピーク温度の関係を最適化したうえで、さらに、熱硬化性樹脂フィルム1の線膨張係数の範囲及び熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との線膨張係数の差を最適化することにより、熱硬化性樹脂フィルム1が加熱硬化する際の収縮等によって半導体ウエハ5に付与される応力をより効果的に矯正できる作用が得られる。従って、半導体ウエハ5に反りが発生するのを抑制する効果がより顕著に得られる。
なお、本発明においては、上記の作用効果がより顕著に得られる観点から、熱硬化性樹脂フィルム1の線膨張係数が5〜60(×10−6/℃)であることがより好ましく、5〜50(×10−6/℃)であることが特に好ましい。また、第2保護膜形成フィルム2の線膨張係数についても、上記の熱硬化性樹脂フィルム1の線膨張係数と同じ範囲であることが好ましい。同様に、熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との線膨張係数の差は、0(×10−6/℃)以上30(×10−6/℃)未満であることがより好ましく、0(×10−6/℃)以上25(×10−6/℃)未満であることが特に好ましい。
上記における熱硬化性樹脂フィルム1の熱膨張係数(CTE)を測定する方法としては、従来公知の熱機械分析(TMA)装置を用い測定方法を何ら制限無く採用することができる。
上述のような、各フィルムの発熱開始温度、発熱ピーク温度及び線膨張係数は、後述する硬化触媒の組成や含有量を調整することで最適化することができる。
また、硬化後の第1保護膜1aの厚さとしては、特に限定されず、半導体ウエハ5の表面5aやバンプ51の保護能を考慮しながら全体の平均厚さを設定すればよい。硬化後の第1保護膜1aの厚さは、例えば、1〜100μm程度が好ましく、5〜75μm程度とすることがより好ましく、5〜50μm程度とすることが最も好ましい。硬化後の第1保護膜1aの厚さは、例えば、走査型電子顕微鏡の画像解析等により、複数箇所の厚さを測定した平均値から求めることができる。
ここで、図6には、従来の熱硬化性樹脂フィルムを用いた方法で、半導体ウエハ105のバンプ形成面である表面105aに保護膜101aを形成した状態の断面を模式的に示している。図6に示すように、従来の構成の熱硬化性樹脂フィルムを用い、且つ、熱硬化性樹脂フィルムと、半導体ウエハ105の裏面105b側に貼着された第2保護膜形成フィルム102との間の発熱開始温度及び発熱ピーク温度が最適化されていない構成の場合には、半導体ウエハ105の表面105aにおいて熱硬化性樹脂フィルムが硬化する際の収縮等で生じる応力F1(図1C及び図1Dを参照)により、半導体ウエハ105が変形して反りが発生し易い。
図6に示すように、半導体ウエハ105に反りが発生した場合には、例えば、バキューム方式を採用する搬送手段によって半導体ウエハ105を吸引した際に空気漏れが生じることから、半導体チップの製造工程等において半導体ウエハ105の搬送が出来なくなるというという問題があった。
これに対し、本発明に係るフィルムキット10によれば、上述したように、熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との間の発熱開始温度及び発熱ピーク温度の関係を最適化することで、半導体ウエハ5に付与される応力の矯正作用が得られ、半導体ウエハ5に反りが生じるのを抑制できるというものである。
<<半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法>>
本発明に係る半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法は、図1A〜図1Dに示すように、半導体ウエハ5における複数のバンプ51を有する表面5aに、これら複数のバンプ51を保護するための第1保護膜1aを形成する方法である。本発明の半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法は、例えば、上記構成を有する本発明のフィルムキット10、熱硬化性樹脂フィルム1、又は第1保護膜形成用シート1Aを用いて、半導体ウエハ5の表面5aに第1保護膜1aを形成する。本発明の半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法は、第2保護膜形成フィルム2、半導体ウエハ5及び熱硬化性樹脂フィルム1が順次積層された積層体50を形成する積層ステップと、半導体ウエハ5の表面5aに第1保護膜1aを形成する硬化ステップとを備えて概略構成される。
図1Aに示すように、積層ステップにおいては、まず、半導体ウエハ5における回路及びバンプ51が形成された表面5aと反対側の面、即ち、裏面5b側に第2保護膜形成フィルム2を貼着する。さらに、積層ステップにおいては、図1Aに示すように、裏面5b側に第2保護膜形成フィルム2が貼付された半導体ウエハ5の表面5aに、複数のバンプ51を覆うように熱硬化性樹脂フィルム1を貼付することで、第2保護膜形成フィルム2、半導体ウエハ5及び熱硬化性樹脂フィルム1が順次積層された積層体50を形成する。この際、第2保護膜形成フィルム2の露出した表面には、図1A中においては図示を省略したダイシングテープを貼着した状態とする。
そして、図1Bに示すように、積層体50を、ダイシングテープ60を用いて、図示略のウエハダイシング用リングフレーム上に固定する。この際、詳細な図示を省略するが、第2保護膜形成フィルム2にダイシングテープ60の上面60aが貼着され、ダイシングテープ60の粘着面(第2保護膜形成フィルム2の外側周辺部に対応)によって、積層体50(図1A参照)を図示略のリングフレームに貼着固定することができる。
次に、図1Cに示すように、硬化ステップにおいては、上記の積層ステップで得られた積層体50(図1A参照)を、例えば、従来公知の加圧加熱硬化装置を用いて加圧しながら加熱する。これにより、硬化ステップでは、熱硬化性樹脂フィルム1に複数のバンプ51を貫通させ、複数のバンプ51の各々の間を埋め込むように熱硬化性樹脂フィルム1を加熱硬化させて、半導体ウエハ5の表面5aに第1保護膜1aを形成する。また、これと同時に、第2保護膜形成フィルム2を硬化させることで、半導体ウエハ5の裏面5bに第2保護膜2aを形成する。
そして、詳細な図示を省略するが、第1保護膜1a及び第2保護膜2aが各面に形成された半導体ウエハ5を、ダイシング処理によってチップ単位にカットした後、図1Dに示すように、ダイシングテープ60を除去しながら、図示略のリングフレームから剥離して取り外す。
本発明の半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法は、熱硬化性樹脂フィルム1として、上記同様、示差走査熱量分析法によって測定される発熱開始温度が、第2保護膜形成フィルム2の発熱開始温度と同じか又はそれ以上のものを用い、さらに、熱硬化性樹脂フィルム1及び第2保護膜形成フィルム2の示差走査熱量分析法によって測定される発熱ピーク温度が100〜200℃であり、且つ、熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との発熱ピーク温度の差が35℃未満の関係とされた条件を採用する。またさらに、本発明の半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法においては、熱硬化性樹脂フィルム1の線膨張係数が5〜80(×10−6/℃)で、熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との線膨張係数の差が35(×10−6/℃)未満である条件を採用することができる。
本発明における第1保護膜1aの形成方法によれば、上記同様、半導体ウエハ5の表面5a側の熱硬化性樹脂フィルム1と、裏面5b側の第2保護膜形成フィルム2との間の、発熱開始温度及び発熱ピーク温度の関係が最適化された条件で、半導体ウエハ5の表面5aに第1保護膜1aを形成する方法なので、硬化ステップにおいて、半導体ウエハに反りが発生するのを抑制することができる。これにより、上記同様、信頼性に優れた半導体パッケージを製造することが可能となる。
本発明の熱硬化性樹脂フィルム1を加熱によって軟化及び硬化させるときの加熱温度は、熱硬化性樹脂フィルム1の構成成分等に応じて適宜調節すればよく、特に限定されないが、例えば、60〜200℃であることが好ましい。
以下、本発明の各構成要素について、さらに詳細に説明する。
<<第1保護膜形成用シート>>
上記構成を有する本発明のフィルムキット10においては、熱硬化性樹脂フィルム1が、第1支持シート11の一方の表面11a上に備えられる第1保護膜形成用シート1Aとして、フィルムキット10に含まれる構成を採用することができる。
以下に、第1保護膜形成用シート1A、及び、それに含まれる熱硬化性樹脂フィルム1の各構成について詳述する。
<第1支持シート>
第1保護膜形成用シート1Aに備えられる第1支持シート11は、1層(単層)からなるものでもよいし、2層以上の複数層からなるものでもよい。第1支持シート11が複数層からなる場合、これら複数層の構成材料及び厚さは、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは、本発明の効果を損なわない限り、特に限定されない。
なお、本実施形態においては、第1支持シートの場合に限らず、「複数層が互いに同一でも異なっていてもよい」とは、「すべての層が同一であってもよいし、すべての層が異なっていてもよく、一部の層のみが同一であってもよい」ことを意味し、さらに「複数層が互いに異なる」とは、「各層の構成材料及び厚さの少なくとも一方が互いに異なる」ことを意味する。
好ましい第1支持シート11としては、例えば、第1基材上に第1粘着剤層が積層されてなるもの、第1基材上に第1中間層が積層され、第1中間層上に第1粘着剤層が積層されてなるもの、第1基材のみからなるもの等が挙げられる。
本発明に係る第1保護膜形成用シートの例を、このような第1支持シートの種類ごとに、図2〜図4を参照しながら説明する。
図2は、本発明の第1保護膜形成用シートの一例を模式的に示す断面図である。図2に示す第1保護膜形成用シート1Aは、第1支持シート11として、第1基材12上に第1粘着剤層13が積層されてなるものを用いたものである。即ち、第1保護膜形成用シート1Aは、第1基材12上に第1粘着剤層13を備え、第1粘着剤層13上に熱硬化性成分を含む熱硬化性樹脂フィルム1を備えて構成されている。第1支持シート11は、第1基材12及び第1粘着剤層13の積層体であり、第1支持シート11の一方の表面11a上、即ち、第1粘着剤層13の一方の表面13a上に熱硬化性樹脂フィルム1が設けられている。
第1保護膜形成用シート1Aにおいて、熱硬化性樹脂フィルム1は、上述の様に、半導体ウエハのバンプ形成面に貼着して用いられ、半導体ウエハの裏面に貼付する第2保護膜形成フィルムとの間で、発熱開始温度及び発熱ピーク温度、さらには線膨張係数の関係が最適化されてなるものである。
図3は、本発明の第1保護膜形成用シートの他の例を模式的に示す断面図である。なお、図3において、図2に示すものと同じ構成要素には図2の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略し、図4においても同様とする。
図3に示す第1保護膜形成用シート1Bは、第1支持シートとして、第1基材上に第1中間層が積層され、第1中間層上に第1粘着剤層が積層されてなるものを用いている。即ち、第1保護膜形成用シート1Bは、第1基材12上に第1中間層14を備え、第1中間層14上に第1粘着剤層13を備え、第1粘着剤層13上に熱硬化性樹脂フィルム1を備えて構成されている。第1支持シート11Aは、第1基材12、第1中間層14及び第1粘着剤層13がこの順に積層されてなる積層体であり、第1支持シート11Aの一方の表面11a上、即ち、第1粘着剤層13の一方の表面13a上に熱硬化性樹脂フィルム1が設けられている。
第1保護膜形成用シート1Bは、換言すると、図2に示す第1保護膜形成用シート1Aにおいて、第1基材12と第1粘着剤層13との間に、さらに第1中間層14を備えたものである。
第1保護膜形成用シート1Bにおいて、熱硬化性樹脂フィルム1は、上述の様に、半導体ウエハのバンプ形成面に貼着して用いられ、半導体ウエハの裏面に貼付する第2保護膜形成フィルムとの間で、発熱開始温度及び発熱ピーク温度、さらには線膨張係数の関係が最適化されてなるものである。
図4は、本発明の第1保護膜形成用シートのさらに他の例を模式的に示す断面図である。
図4に示す第1保護膜形成用シート1Cは、第1支持シートとして、第1基材のみからなるものを用いている。即ち、第1保護膜形成用シート1Cは、第1基材12上に熱硬化性樹脂フィルム1を備えて構成されている。第1支持シート11Bは、第1基材12のみから構成され、第1支持シート11Bの一方の表面11a上、即ち、第1基材12の一方の表面12a上に熱硬化性樹脂フィルム1が直接接触して設けられている。
第1保護膜形成用シート1Cは、換言すると、図2に示す第1保護膜形成用シート1Aにおいて、第1粘着剤層13が除かれてなるものである。
第1保護膜形成用シート1Cにおいて、熱硬化性樹脂フィルム1は、上述の様に、半導体ウエハのバンプ形成面に貼着して用いられ、半導体ウエハの裏面に貼付する第2保護膜形成フィルム2との間で、発熱開始温度及び発熱ピーク温度、さらには線膨張係数の関係が最適化されてなるものである。
以下に、第1支持シートの各構成について詳述する。
[第1基材]
第1支持シートに備えられる第1基材は、シート状又はフィルム状のものであり、その構成材料としては、例えば、以下の各種樹脂が挙げられる。
第1基材を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上の前記ポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。
また、前記樹脂としては、例えば、前記ポリエステルとそれ以外の樹脂との混合物等のポリマーアロイも挙げられる。前記ポリエステルとそれ以外の樹脂とのポリマーアロイは、ポリエステル以外の樹脂の量が比較的少量であるものが好ましい。
また、前記樹脂としては、例えば、ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;ここまでに例示した前記樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂も挙げられる。
なお、本実施形態において、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の両方を包含する概念とする。(メタ)アクリル酸と類似の用語につても同様であり、例えば、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」とは、「アクリロイル基」及び「メタクリロイル基」の両方を包含する概念である。
第1基材を構成する樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1基材を構成する樹脂が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1基材は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。第1基材が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
第1基材の厚さは、5〜1000μmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましく、15〜300μmであることがさらに好ましく、20〜150μmであることが特に好ましい。
ここで、「第1基材の厚さ」とは、第1基材全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1基材の厚さとは、第1基材を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
第1基材は、厚さの精度が高いもの、即ち、部位によらず厚さのばらつきが抑制されたものが好ましい。上述の構成材料のうち、このような厚さの精度が高い第1基材を構成するのに使用可能な材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリエチレン以外のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
第1基材は、前記樹脂等の主たる構成材料以外に、充填材、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
第1基材は、透明であってもよいし、不透明であってもよく、目的に応じて着色されていてもよいし、あるいは、他の層が蒸着されていてもよい。
また、後述する第1粘着剤層又は硬化性樹脂層がエネルギー線硬化性を有する場合、第1基材はエネルギー線を透過させるものであることが好ましい。
第1基材は、公知の方法で製造できる。例えば、樹脂を含有する第1基材は、前記樹脂を含有する樹脂組成物を成形することで製造できる。
[第1粘着剤層]
第1粘着剤層は、シート状又はフィルム状であり、粘着剤を含有する。
前記粘着剤としては、例えば、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂からなる粘着剤)、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂からなる粘着剤)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂からなる粘着剤)、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂からなる粘着剤)、エポキシ系樹脂(エポキシ基を有する樹脂からなる粘着剤)、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート等の粘着性樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
なお、本発明において、「粘着性樹脂」とは、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方を含む概念であり、例えば、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用により粘着性を示す樹脂や、熱又は水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂等も含む。
第1粘着剤層は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。第1粘着剤層が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
第1粘着剤層の厚さは1〜1000μmであることが好ましく、5〜500μmであることがより好ましく、10〜100μmであることが特に好ましい。
ここで、「第1粘着剤層の厚さ」とは、第1粘着剤層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1粘着剤層の厚さとは、第1粘着剤層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
第1粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよいし、非エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよい。エネルギー線硬化性の粘着剤を用いて形成された第1粘着剤層は、硬化前及び硬化後での物性を容易に調節できる。
本発明において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味し、その例として、紫外線、電子線等が挙げられる。
紫外線は、例えば、紫外線源として高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプ、又はLED等を用いることで照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
本発明において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することにより硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味する。
{{第1粘着剤組成物}}
第1粘着剤層は、粘着剤を含有する第1粘着剤組成物を用いて形成できる。例えば、第1粘着剤層の形成対象面に第1粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に第1粘着剤層を形成できる。第1粘着剤層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。第1粘着剤組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、第1粘着剤層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。なお、本実施形態において、「常温」とは、特に冷やしたり、熱したりしない温度、即ち平常の温度を意味し、例えば、15〜25℃の温度等が挙げられる。
第1粘着剤組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、及びキスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
第1粘着剤組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、第1粘着剤組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
第1粘着剤層がエネルギー線硬化性である場合、エネルギー線硬化性粘着剤を含有する第1粘着剤組成物、即ち、エネルギー線硬化性の第1粘着剤組成物としては、例えば、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)(以下、「粘着性樹脂(I−1a)」と略記することがある)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する第1粘着剤組成物(I−1);非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)(以下、「粘着性樹脂(I−2a)」と略記することがある)を含有する第1粘着剤組成物(I−2);前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性低分子化合物と、を含有する第1粘着剤組成物(I−3)等が挙げられる。
{第1粘着剤組成物(I−1)}
第1粘着剤組成物(I−1)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)と、エネルギー線硬化性化合物と、を含有する。
(粘着性樹脂(I−1a))
前記粘着性樹脂(I−1a)は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
前記アクリル系樹脂としては、例えば、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有するアクリル系重合体が挙げられる。
前記アクリル系樹脂が有する構成単位は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。前記アクリル系樹脂が有する構成単位が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数が1〜20であるのものが挙げられ、前記アルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましい。
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとして、より具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、及び(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
第1粘着剤層の粘着力が向上する点から、前記アクリル系重合体は、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位を有することが好ましい。そして、第1粘着剤層の粘着力がより向上する点から、前記アルキル基の炭素数は、4〜12であることが好ましく、4〜8であることがより好ましい。また、前記アルキル基の炭素数が4以上である(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、アクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。
前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。
前記官能基含有モノマーとしては、例えば、前記官能基が後述する架橋剤と反応することで架橋の起点となったり、前記官能基が不飽和基含有化合物中の不飽和基と反応することで、アクリル系重合体の側鎖に不飽和基の導入を可能とするものが挙げられる。
官能基含有モノマー中の前記官能基としては、例えば、水酸基、カルボキシ基、アミノ基、エポキシ基等が挙げられる。
即ち、官能基含有モノマーとしては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、及びエポキシ基含有モノマー等が挙げられる。
前記水酸基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;ビニルアルコール、アリルアルコール等の非(メタ)アクリル系不飽和アルコール((メタ)アクリロイル骨格を有しない不飽和アルコール)等が挙げられる。
前記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するモノカルボン酸);フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸(エチレン性不飽和結合を有するジカルボン酸);前記エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物;2−カルボキシエチルメタクリレート等の(メタ)アクリル酸カルボキシアルキルエステル等が挙げられる。
官能基含有モノマーは、水酸基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーがより好ましい。
前記アクリル系重合体を構成する官能基含有モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。前記アクリル系重合体を構成する官能基含有モノマーが2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体において、官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、構成単位の全質量に対して、1〜35質量%であることが好ましく、3〜32質量%であることがより好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。
前記アクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位、及び官能基含有モノマー由来の構成単位以外に、さらに、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。
前記他のモノマーは、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等と共重合可能なものであれば特に限定されない。
前記他のモノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びアクリルアミド等が挙げられる。
前記アクリル系重合体を構成する前記他のモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。前記アクリル系重合体を構成する前記他のモノマーが2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記アクリル系重合体は、上述の非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)として使用できる。
一方、前記アクリル系重合体中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基(エネルギー線重合性基)を有する不飽和基含有化合物を反応させたものは、上述のエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)として使用できる。
なお、本発明において、「エネルギー線重合性」とは、エネルギー線を照射することにより重合する性質を意味する。
第1粘着剤組成物(I−1)が含有する粘着性樹脂(I−1a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−1)が含有する粘着性樹脂(I−1a)が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−1)において、粘着性樹脂(I−1a)の含有量は、第1粘着剤組成物(I−1)の全質量に対して、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、15〜90質量%であることが特に好ましい。
(エネルギー線硬化性化合物)
第1粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー又はオリゴマーが挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−へキサンジオール(メタ)アクリレート等の多価(メタ)アクリレート;ウレタン(メタ)アクリレート;ポリエステル(メタ)アクリレート;ポリエーテル(メタ)アクリレート;エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物のうち、オリゴマーとしては、例えば、上記で例示したモノマーが重合してなるオリゴマー等が挙げられる。
エネルギー線硬化性化合物は、分子量が比較的大きく、第1粘着剤層の貯蔵弾性率を低下させにくいという点では、ウレタン(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
第1粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−1)が含有する前記エネルギー線硬化性化合物が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−1)において、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量は、第1粘着剤組成物(I−1)の全質量に対して、1〜95質量%であることが好ましく、5〜90質量%であることがより好ましく、10〜85質量%であることが特に好ましい。
(架橋剤)
粘着性樹脂(I−1a)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル由来の構成単位以外に、さらに、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、第1粘着剤組成物(I−1)は、さらに架橋剤を含有することが好ましい。
前記架橋剤は、例えば、前記官能基と反応して、粘着性樹脂(I−1a)同士を架橋するものである。
架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、これらジイソシアネートのアダクト体等のイソシアネート系架橋剤(イソシアネート基を有する架橋剤);エチレングリコールグリシジルエーテル等のエポキシ系架橋剤(グリシジル基を有する架橋剤);ヘキサ[1−(2−メチル)−アジリジニル]トリフオスファトリアジン等のアジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤);アルミニウムキレート等の金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤);イソシアヌレート系架橋剤(イソシアヌル酸骨格を有する架橋剤)等が挙げられる。
粘着剤の凝集力を向上させて第1粘着剤層の粘着力を向上させる点、及び入手が容易である等の点から、架橋剤はイソシアネート系架橋剤であることが好ましい。
第1粘着剤組成物(I−1)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−1)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−1a)の含有量100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましく、1〜10質量部であることが特に好ましい。
(光重合開始剤)
第1粘着剤組成物(I−1)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1粘着剤組成物(I−1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
前記光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン安息香酸、ベンゾイン安息香酸メチル、ベンゾインジメチルケタール等のベンゾイン化合物;アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のアセトフェノン化合物;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド化合物;ベンジルフェニルスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のスルフィド化合物;1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール化合物;、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;チタノセン等のチタノセン化合物;チオキサントン等のチオキサントン化合物;パーオキサイド化合物;ジアセチル等のジケトン化合物;ベンジル、ジベンジル、ベンゾフェノン、2,4−ジエチルチオキサントン、1,2−ジフェニルメタン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン、2−クロロアントラキノン等が挙げられる。
また、前記光重合開始剤としては、例えば、1−クロロアントラキノン等のキノン化合物;アミン等の光増感剤等を用いることもできる。
第1粘着剤組成物(I−1)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−1)が含有する光重合開始剤が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−1)において、光重合開始剤の含有量は、前記エネルギー線硬化性化合物の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5量部であることが特に好ましい。
(その他の添加剤)
第1粘着剤組成物(I−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、軟化剤(可塑剤)、充填剤(フィラー)、防錆剤、着色剤(顔料、染料)、増感剤、粘着付与剤、反応遅延剤、架橋促進剤(触媒)等の公知の添加剤が挙げられる。
なお、反応遅延剤とは、例えば、第1粘着剤組成物(I−1)中に混入している触媒の作用によって、保存中の第1粘着剤組成物(I−1)において、目的としない架橋反応が進行するのを抑制するものである。反応遅延剤としては、例えば、触媒に対するキレートによってキレート錯体を形成するものが挙げられ、より具体的には、1分子中にカルボニル基(−C(=O)−)を2個以上有するものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−1)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−1)が含有するその他の添加剤が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−1)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
第1粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していてもよい。第1粘着剤組成物(I−1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
前記溶媒は有機溶媒であることが好ましく、前記有機溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン;酢酸エチル等のエステル(カルボン酸エステル);テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール等が挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、粘着性樹脂(I−1a)の製造時に用いたものを粘着性樹脂(I−1a)から取り除かずに、そのまま第1粘着剤組成物(I−1)において用いてもよいし、粘着性樹脂(I−1a)の製造時に用いたものと同一又は異なる種類の溶媒を、第1粘着剤組成物(I−1)の製造時に別途添加してもよい。
第1粘着剤組成物(I−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−1)が含有する溶媒が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−1)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
{第1粘着剤組成物(I−2)}
第1粘着剤組成物(I−2)は、上述の様に、非エネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−1a)の側鎖に不飽和基が導入されたエネルギー線硬化性の粘着性樹脂(I−2a)を含有する。
(粘着性樹脂(I−2a))
前記粘着性樹脂(I−2a)は、例えば、粘着性樹脂(I−1a)中の官能基に、エネルギー線重合性不飽和基を有する不飽和基含有化合物を反応させることで得られる。
前記不飽和基含有化合物は、前記エネルギー線重合性不飽和基以外に、さらに粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と反応することで、粘着性樹脂(I−1a)と結合可能な基を有する化合物である。
前記エネルギー線重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基(エテニル基)、及びアリル基(2−プロペニル基)等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
粘着性樹脂(I−1a)中の官能基と結合可能な基としては、例えば、水酸基又はアミノ基と結合可能なイソシアネート基及びグリシジル基、並びにカルボキシ基又はエポキシ基と結合可能な水酸基及びアミノ基等が挙げられる。
前記不飽和基含有化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、(メタ)アクリロイルイソシアネート、及びグリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−2)が含有する粘着性樹脂(I−2a)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−2)が含有する粘着性樹脂(I−2a)が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−2)において、粘着性樹脂(I−2a)の含有量は、第1粘着剤組成物(I−2)の全質量に対して、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、10〜90質量%であることが特に好ましい。
(架橋剤)
粘着性樹脂(I−2a)として、例えば、粘着性樹脂(I−1a)におけるものと同様な、官能基含有モノマー由来の構成単位を有する前記アクリル系重合体を用いる場合、第1粘着剤組成物(I−2)は、さらに架橋剤を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I−2)における前記架橋剤としては、第1粘着剤組成物(I−1)における架橋剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−2)が含有する架橋剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−2)が含有する架橋剤が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−2)において、架橋剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜20質量部であることがより好ましく、1〜10質量部であることが特に好ましい。
(光重合開始剤)
第1粘着剤組成物(I−2)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1粘着剤組成物(I−2)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
第1粘着剤組成物(I−2)における前記光重合開始剤としては、第1粘着剤組成物(I−1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−2)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−2)が含有する光重合開始剤が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−2)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが特に好ましい。
(その他の添加剤)
第1粘着剤組成物(I−2)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I−2)における前記その他の添加剤としては、第1粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−2)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−2)が含有するその他の添加剤が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−2)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
第1粘着剤組成物(I−2)は、第1粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I−2)における前記溶媒としては、第1粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−2)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよく、2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−2)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
{第1粘着剤組成物(I−3)}
第1粘着剤組成物(I−3)は、上述の様に、前記粘着性樹脂(I−2a)と、エネルギー線硬化性低分子化合物と、を含有する。
第1粘着剤組成物(I−3)において、粘着性樹脂(I−2a)の含有量は、第1粘着剤組成物(I−3)の全質量に対して、5〜99質量%であることが好ましく、10〜95質量%であることがより好ましく、15〜90質量%であることが特に好ましい。
(エネルギー線硬化性低分子化合物)
第1粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性低分子化合物としては、エネルギー線重合性不飽和基を有し、エネルギー線の照射により硬化可能なモノマー及びオリゴマーが挙げられ、第1粘着剤組成物(I−1)が含有するエネルギー線硬化性化合物と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性低分子化合物は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−3)が含有する前記エネルギー線硬化性低分子化合物が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−3)において、前記エネルギー線硬化性低分子化合物の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)の含有量100質量部に対して、0.01〜300質量部であることが好ましく、0.03〜200質量部であることがより好ましく、0.05〜100質量部であることが特に好ましい。
(光重合開始剤)
第1粘着剤組成物(I−3)は、さらに光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1粘着剤組成物(I−3)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
第1粘着剤組成物(I−3)における前記光重合開始剤としては、第1粘着剤組成物(I−1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−3)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−3)における前記光重合開始剤が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−3)において、光重合開始剤の含有量は、粘着性樹脂(I−2a)及び前記エネルギー線硬化性低分子化合物の総含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5量部であることが特に好ましい。
(その他の添加剤)
第1粘着剤組成物(I−3)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、第1粘着剤組成物(I−1)におけるその他の添加剤と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−3)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−3)が含有するその他の添加剤が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−3)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
第1粘着剤組成物(I−3)は、第1粘着剤組成物(I−1)の場合と同様の目的で、溶媒を含有していてもよい。
第1粘着剤組成物(I−3)における前記溶媒としては、第1粘着剤組成物(I−1)における溶媒と同じものが挙げられる。
第1粘着剤組成物(I−3)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1粘着剤組成物(I−3)が含有する溶媒が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1粘着剤組成物(I−3)において、溶媒の含有量は特に限定されず、適宜調節すればよい。
{第1粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の第1粘着剤組成物}
ここまでは、第1粘着剤組成物(I−1)、第1粘着剤組成物(I−2)及び第1粘着剤組成物(I−3)について主に説明したが、これらの含有成分として説明したものは、これら3種の第1粘着剤組成物以外の全般的な第1粘着剤組成物(本実施形態においては、「第1粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の第1粘着剤組成物」と称する)でも、同様に用いることができる。
第1粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の第1粘着剤組成物としては、エネルギー線硬化性の第1粘着剤組成物以外に、非エネルギー線硬化性の第1粘着剤組成物も挙げられる。
非エネルギー線硬化性の第1粘着剤組成物としては、例えば、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂)、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂)、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂)、エポキシ系樹脂(エポキシ基を有する樹脂)、ポリビニルエーテル、又はポリカーボネート等の粘着性樹脂を含有するものが挙げられ、アクリル系樹脂を含有するものが好ましい。
第1粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)以外の第1粘着剤組成物は、1種又は2種以上の架橋剤を含有することが好ましく、その含有量は、上述の第1粘着剤組成物(I−1)等の場合と同様とすることができる。
<第1粘着剤組成物の製造方法>
第1粘着剤組成物(I−1)〜(I−3)等の前記第1粘着剤組成物は、前記粘着剤と、必要に応じて前記粘着剤以外の成分等の、第1粘着剤組成物を構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
[第1中間層]
前記第1中間層は、シート状又はフィルム状であり、その構成材料は目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
例えば、半導体表面を覆う第1保護膜に、半導体表面に存在するバンプの形状が反映されることによって、第1保護膜が変形してしまうことの抑制を目的とする場合、前記第1中間層の好ましい構成材料としては、第1中間層の貼付性がより向上する点から、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
第1中間層は1層(単層)のみでもよいし、2層以上の複数層でもよい。第1中間層が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
第1中間層の厚さは、保護対象となる半導体表面のバンプの高さに応じて適宜調節できるが、比較的高さが高いバンプの影響も容易に吸収できる点から、50〜600μmであることが好ましく、70〜500μmであることがより好ましく、80〜400μmであることが特に好ましい。
ここで、「第1中間層の厚さ」とは、第1中間層全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる第1中間層の厚さとは、第1中間層を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
{{第1中間層形成用組成物}}
第1中間層は、その構成材料を含有する第1中間層形成用組成物を用いて形成できる。
例えば、第1中間層の形成対象面に第1中間層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させたり、エネルギー線の照射によって硬化させることで、目的とする部位に第1中間層を形成できる。第1中間層のより具体的な形成方法は、他の層の形成方法とともに、後ほど詳細に説明する。第1中間層形成用組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、第1中間層の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、先に説明したとおりである。
第1中間層形成用組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、及びキスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
第1中間層形成用組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、第1中間層形成用組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
第1中間層形成用組成物は、エネルギー線硬化性を有する場合、乾燥後に、さらにエネルギー線の照射により硬化させることが好ましい。
第1中間層形成用組成物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する第1中間層形成用組成物(II−1)等が挙げられる。
{第1中間層形成用組成物(II−1)}
第1中間層形成用組成物(II−1)は、上述の様に、ウレタン(メタ)アクリレートを含有する。
(ウレタン(メタ)アクリレート)
ウレタン(メタ)アクリレートは、1分子中に少なくとも(メタ)アクリロイル基及びウレタン結合を有する化合物であり、エネルギー線重合性を有する。
ウレタン(メタ)アクリレートは、単官能のもの(1分子中に(メタ)アクリロイル基を1個のみ有するもの)であってもよいし、二官能以上のもの(1分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するもの)、即ち多官能のものであってもよいが、少なくとも単官能のものを用いることが好ましい。
第1中間層形成用成物が含有する前記ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリオール化合物と、多価イソシアネート化合物と、を反応させて得られた、末端イソシアネートウレタンプレポリマーに、さらに水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリル系化合物を反応させて得られたものが挙げられる。ここで、「末端イソシアネートウレタンプレポリマー」とは、ウレタン結合を有するとともに、分子の末端部にイソシアネート基を有するプレポリマーを意味する。
第1中間層形成用組成物(II−1)が含有するウレタン(メタ)アクリレートは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1中間層形成用組成物(II−1)が含有するウレタン(メタ)アクリレートが2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
(ア)ポリオール化合物
前記ポリオール化合物は、1分子中に水酸基を2個以上有する化合物であれば、特に限定されない。
前記ポリオール化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記ポリオール化合物として2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記ポリオール化合物としては、例えば、アルキレンジオール、ポリエーテル型ポリオール、ポリエステル型ポリオール、ポリカーボネート型ポリオール等が挙げられる。
前記ポリオール化合物は、2官能のジオール、3官能のトリオール、4官能以上のポリオール等のいずれであってもよいが、入手が容易であり、汎用性及び反応性等に優れる点では、ジオールが好ましい。
・ポリエーテル型ポリオール
前記ポリエーテル型ポリオールは、特に限定されないが、ポリエーテル型ジオールであることが好ましく、前記ポリエーテル型ジオールとしては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0006304852

(但し、上記(1)式中、nは2以上の整数であり;Rは2価の炭化水素基であり、複数個のRは互いに同一であっても異なっていてもよい。)
上記(1)式中、nは、一般式「−R−O−」で表される基の繰り返し単位数を表し、2以上の整数であれば特に限定されない。なかでも、nは、10〜250であることが好ましく、25〜205であることがより好ましく、40〜185であることが特に好ましい。
上記(1)式中、Rは、2価の炭化水素基であれば特に限定されないが、アルキレン基であることが好ましく、炭素数1〜6のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基、プロピレン基又はテトラメチレン基であることがさらに好ましく、プロピレン基又はテトラメチレン基であることが特に好ましい。
上記(1)式で表される化合物は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールであることが好ましく、ポリプロピレングリコール又はポリテトラメチレングリコールであることがより好ましい。
前記ポリエーテル型ジオールと、前記多価イソシアネート化合物と、を反応させることにより、前記末端イソシアネートウレタンプレポリマーとして、下記一般式(1a)で表されるエーテル結合部を有するものが得られる。そして、このような前記末端イソシアネートウレタンプレポリマーを用いることで、前記ウレタン(メタ)アクリレートは、前記エーテル結合部を有するもの、即ち、前記ポリエーテル型ジオールから誘導された構成単位を有するものとなる。
Figure 0006304852

(但し、上記(1a)式中、R及びnは前記と同じである。)
・ポリエステル型ポリオール
前記ポリエステル型ポリオールは、特に限定されないが、例えば、多塩基酸又はその誘導体を用いて、エステル化反応を行うことで得られたもの等が挙げられる。なお、本実施形態において「誘導体」とは、特に断りのない限り、元の化合物の1個以上の基がそれ以外の基(置換基)で置換されてなるものを意味する。ここで、「基」とは、複数個の原子が結合してなる原子団だけでなく、1個の原子も包含するものとする。
前記多塩基酸及びその誘導体としては、ポリエステルの製造原料として通常使用される多塩基酸及びその誘導体が挙げられる。
前記多塩基酸としては、例えば、飽和脂肪族多塩基酸、不飽和脂肪族多塩基酸、芳香族多塩基酸等が挙げられ、これらのいずれかに該当するダイマー酸を用いてもよい。
前記飽和脂肪族多塩基酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、及びセバシン酸等の飽和脂肪族二塩基酸等が挙げられる。
前記不飽和脂肪族多塩基酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等の不飽和脂肪族二塩基酸等が挙げられる。
前記芳香族多塩基酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族二塩基酸;トリメリット酸等の芳香族三塩基酸;ピロメリット酸等の芳香族四塩基酸等が挙げられる。
前記多塩基酸の誘導体としては、例えば、上述の飽和脂肪族多塩基酸、不飽和脂肪族多塩基酸及び芳香族多塩基酸の酸無水物、並びに水添ダイマー酸等が挙げられる。
前記多塩基酸又はその誘導体は、いずれも1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記多塩基酸又はその誘導体として2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記多塩基酸は、適度な硬度を有する塗膜の形成に適している点では、芳香族多塩基酸であることが好ましい。
ポリエステル型ポリオールを得るためのエステル化反応においては、必要に応じて公知の触媒を用いてもよい。
前記触媒としては、例えば、ジブチルスズオキサイド、オクチル酸第一スズ等のスズ化合物;テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のアルコキシチタン等が挙げられる。
・ポリカーボネート型ポリオール
ポリカーボネート型ポリオールは、特に限定されないが、例えば、上記(1)式で表される化合物と同様のグリコールと、アルキレンカーボネートと、を反応させて得られたもの等が挙げられる。
ここで、グリコール及びアルキレンカーボネートは、いずれも1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。グリコール及びアルキレンカーボネートとして2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記ポリオール化合物の水酸基価から算出した数平均分子量は、1000〜10000であることが好ましく、2000〜9000であることがより好ましく、3000〜7000であることが特に好ましい。前記数平均分子量が1000以上であることで、ウレタン結合の過剰な生成が抑制されて、第1中間層の粘弾性特性の制御がより容易となる。また、前記数平均分子量が10000以下であることで、第1中間層の過度な軟化が抑制される。
ポリオール化合物の水酸基価から算出した前記数平均分子量とは、下記式から算出された値である。
[ポリオール化合物の数平均分子量]=[ポリオール化合物の官能基数]×56.11×1000/[ポリオール化合物の水酸基価(単位:mgKOH/g)]
前記ポリオール化合物は、ポリエーテル型ポリオールであることが好ましく、ポリエーテル型ジオールであることがより好ましい。
(イ)多価イソシアネート化合物
ポリオール化合物と反応させる前記多価イソシアネート化合物は、イソシアネート基を2個以上有するものであれば、特に限定されない。
多価イソシアネート化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。多価イソシアネート化合物として2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記多価イソシアネート化合物としては、例えば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の鎖状脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ω,ω’−ジイソシアネートジメチルシクロヘキサン等の環状脂肪族ジイソシアネート;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート等が挙げられる。
これらの中でも、多価イソシアネート化合物は、取り扱い性の点から、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート又はキシリレンジイソシアネートであることが好ましい。
(ウ)(メタ)アクリル系化合物
前記末端イソシアネートウレタンプレポリマーと反応させる、前記(メタ)アクリル系化合物は、1分子中に少なくとも水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物であれば、特に限定されない。
前記(メタ)アクリル系化合物は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。前記(メタ)アクリル系化合物として2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
前記(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5−ヒドロキシシクロオクチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の水酸基含有(メタ)アクリルアミド;ビニルアルコール、ビニルフェノール又はビスフェノールAジグリシジルエーテルに(メタ)アクリル酸を反応させて得られた反応物等が挙げられる。
これらの中でも、前記(メタ)アクリル系化合物は、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルであることが好ましく、水酸基含有(メタ)アクリル酸アルキルエステルであることがより好ましく、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルであることが特に好ましい。
前記末端イソシアネートウレタンプレポリマーと前記(メタ)アクリル系化合物との反応は、必要に応じて、溶媒、触媒等を用いて行ってもよい。
前記末端イソシアネートウレタンプレポリマーと前記(メタ)アクリル系化合物とを反応させるときの条件は、適宜調節すればよいが、例えば、反応温度は60〜100℃であることが好ましく、反応時間は1〜4時間であることが好ましい。
前記ウレタン(メタ)アクリレートは、オリゴマー、ポリマー、並びにオリゴマー及びポリマーの混合物のいずれであってもよいが、オリゴマーであることが好ましい。
例えば、前記ウレタン(メタ)アクリレートの重量平均分子量は、1000〜100000であることが好ましく、3000〜80000であることがより好ましく、5000〜65000であることが特に好ましい。前記重量平均分子量が1000以上であることで、ウレタン(メタ)アクリレートと後述する重合性モノマーとの重合物において、ウレタン(メタ)アクリレート由来の構造同士の分子間力に起因して、第1中間層の硬さの最適化が容易となる。
なお、本実施形態において、重量平均分子量とは、特に断りのない限り、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算値である。
(重合性モノマー)
第1中間層形成用組成物(II−1)は、製膜性をより向上させる点から、前記ウレタン(メタ)アクリレート以外に、重合性モノマーを含有していてもよい。
前記重合性モノマーは、エネルギー線重合性を有し、重量平均分子量が1000以上であるオリゴマー及びポリマーを除くものであって、1分子中に少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物であることが好ましい。
前記重合性モノマーとしては、例えば、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜30で鎖状のものである(メタ)アクリル酸アルキルエステル;水酸基、アミド基、アミノ基又はエポキシ基等の官能基を有する官能基含有(メタ)アクリル系化合物;脂肪族環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル;芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;複素環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル;ビニル基を有する化合物;アリル基を有する化合物等が挙げられる。
炭素数が1〜30の鎖状アルキル基を有する前記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル基、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)、(メタ)アクリル酸イソオクタデシル((メタ)アクリル酸イソステアリル)、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸イコシル等が挙げられる。
前記官能基含有(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド及びその誘導体;アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、「アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル」と称することがある);アミノ基の1個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる1置換アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、「1置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル」と称することがある);アミノ基の2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる2置換アミノ基を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、「2置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル」と称することがある);(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル(以下、「エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル」と称することがある)等が挙げられる。
ここで、「アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリル酸エステルの1個又は2個以上の水素原子がアミノ基(−NH)で置換されてなる化合物を意味する。同様に、「1置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリル酸エステルの1個又は2個以上の水素原子が1置換アミノ基で置換されてなる化合物を意味し、「2置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル」とは、(メタ)アクリル酸エステルの1個又は2個以上の水素原子が2置換アミノ基で置換されてなる化合物を意味する。
「1置換アミノ基」及び「2置換アミノ基」における、水素原子が置換される水素原子以外の基(即ち、置換基)としては、例えば、アルキル基等が挙げられる。
前記脂肪族環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、及び(メタ)アクリル酸アダマンチル等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸フェニルヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等が挙げられる。
前記複素環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルにおける複素環式基は、芳香族複素環式基及び脂肪族複素環式基のいずれでもよい。
前記複素環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
前記ビニル基を有する化合物としては、例えば、スチレン、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
前記アリル基を有する化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
前記重合性モノマーは、前記ウレタン(メタ)アクリレートとの相溶性が良好である点から、比較的嵩高い基を有するものが好ましく、このようなものとしては、脂肪族環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル、芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、複素環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、脂肪族環式基を有する(メタ)アクリル酸エステルがより好ましい。
第1中間層形成用組成物(II−1)が含有する重合性モノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1中間層形成用組成物(II−1)が含有する重合性モノマーが2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1中間層形成用組成物(II−1)において、重合性モノマーの含有量は、第1中間層形成用組成物(II−1)の全質量に対して、10〜99質量%であることが好ましく、15〜95質量%であることがより好ましく、20〜90質量%であることがさらに好ましく、25〜80質量%であることが特に好ましい。
(光重合開始剤)
第1中間層形成用組成物(II−1)は、前記ウレタン(メタ)アクリレート及び重合性モノマー以外に、光重合開始剤を含有していてもよい。光重合開始剤を含有する第1中間層形成用組成物(II−1)は、紫外線等の比較的低エネルギーのエネルギー線を照射しても、十分に硬化反応が進行する。
第1中間層形成用組成物(II−1)における光重合開始剤としては、第1粘着剤組成物(I−1)における光重合開始剤と同じものが挙げられる。
第1中間層形成用組成物(II−1)が含有する光重合開始剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1中間層形成用組成物(II−1)が含有する光重合開始剤が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1中間層形成用組成物(II−1)において、光重合開始剤の含有量は、前記ウレタン(メタ)アクリレート及び重合性モノマーの総含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.03〜10質量部であることがより好ましく、0.05〜5質量部であることが特に好ましい。
(ウレタン(メタ)アクリレート以外の樹脂成分)
第1中間層形成用組成物(II−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、前記ウレタン(メタ)アクリレート以外の樹脂成分を含有していてもよい。
前記樹脂成分の種類と、その第1中間層形成用組成物(II−1)における含有量は、目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されない。
(その他の添加剤)
第1中間層形成用組成物(II−1)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述のいずれの成分にも該当しない、その他の添加剤を含有していてもよい。
前記その他の添加剤としては、例えば、架橋剤、帯電防止剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、軟化剤(可塑剤)、充填剤、防錆剤、着色剤(顔料、染料)等の公知の添加剤が挙げられる。
例えば、前記連鎖移動剤としては、1分子中に少なくとも1個のチオール基(メルカプト基)を有するチオール化合物が挙げられる。
前記チオール化合物としては、例えば、ノニルメルカプタン、1−ドデカンチオール、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、トリアジンチオール、トリアジンジチオール、トリアジントリチオール、1,2,3−プロパントリチオール、テトラエチレングリコール−ビス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグルコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリス[(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]−イソシアヌレート、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン等が挙げられる。
第1中間層形成用組成物(II−1)が含有するその他の添加剤は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。第1中間層形成用組成物(II−1)が含有するその他の添加剤が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
第1中間層形成用組成物(II−1)において、その他の添加剤の含有量は特に限定されず、その種類に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
第1中間層形成用組成物(II−1)は、溶媒を含有していてもよい。第1中間層形成用組成物(II−1)は、溶媒を含有していることで、塗工対象面への塗工適性が向上する。
{{第1中間層形成用組成物の製造方法}}
第1中間層形成用組成物(II−1)等の第1中間層形成用組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
<熱硬化性樹脂フィルム>
本発明の熱硬化性樹脂フィルム1は、熱硬化性樹脂組成物からなり、上述したように、半導体ウエハ5の表面(回路面)5a、及び、この表面5a状に設けられた複数のバンプ51を保護するためのフィルムであり、熱硬化により第1保護膜1aを形成する。本発明の熱硬化性樹脂フィルム1を用いて第1保護膜1aを形成することで、半導体ウエハ5の表面(回路面)5aと、バンプ51の表面5a近傍の部位、すなわち基部とが、第1保護膜1aで十分に保護される。
上述したように、本発明の熱硬化性樹脂フィルム1は、示差走査熱量分析法によって測定される発熱開始温度が、第2保護膜形成フィルム2の発熱開始温度以上である。さらに、熱硬化性樹脂フィルム1は、発熱ピーク温度が100〜200℃であり、且つ、この熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との発熱ピーク温度の差が35℃未満となるように構成されている。
またさらに、熱硬化性樹脂フィルム1は、線膨張係数が5〜80(×10−6/℃)であり、且つ、第2保護膜形成フィルム2の線膨張係数との差が35(×10−6/℃)未満となるように構成することができる。
熱硬化性樹脂フィルム1は、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂組成物を用いて形成できる。この熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性成分を含有する。
従って、熱硬化性樹脂フィルム1の、示差走査熱量分析法によって測定される発熱開始温度、発熱ピーク温度及び線膨張係数は、熱硬化性樹脂組成物の含有成分の種類及び量のいずれか一方又は両方を調節することで調節できる。
熱硬化性樹脂組成物及びその製造方法については、追って詳しく説明する。
例えば、熱硬化性樹脂組成物の含有成分のうち、特に、熱硬化性成分の前記組成物中での含有量を増減することで、熱硬化性樹脂フィルム1の発熱開始温度及び発熱ピーク温度、さらには、線膨張係数を好ましい範囲に調節できる。
好ましい熱硬化性樹脂フィルム1としては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するものが挙げられる。重合体成分(A)は、重合性化合物が重合反応して形成されたとみなせる成分である。また、熱硬化性成分(B)は、熱を反応のトリガーとして、硬化(重合)反応し得る成分である。なお、本発明において重合反応には、重縮合反応も含まれる。
熱硬化性樹脂フィルム1は1層(単層)のみで構成されてもよいし、2層以上の複数層から構成されていてもよい。熱硬化性樹脂フィルム1が複数層である場合、これら複数層は、互いに同一でも異なっていてもよく、これら複数層の組み合わせは特に限定されない。
熱硬化性樹脂フィルム1が複数層である場合には、熱硬化性樹脂フィルム1を構成する全ての層が、上述の発熱開始温度及び発熱ピーク温度の条件を満たせばよい。
熱硬化性樹脂フィルム1の厚さは、特に限定されないが、例えば、1〜100μmであることが好ましく、5〜75μmであることがより好ましく、5〜50μmであることが特に好ましい。熱硬化性樹脂フィルム1の厚さが上記の下限値以上であることで、保護能がより高い第1保護膜1aを形成できる。
ここで、「熱硬化性樹脂フィルムの厚さ」とは、熱硬化性樹脂フィルム1全体の厚さを意味し、例えば、複数層からなる熱硬化性樹脂フィルム1の厚さとは、熱硬化性樹脂フィルム1を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。
[熱硬化性樹脂組成物]
熱硬化性樹脂フィルム1は、その構成材料を含有する熱硬化性樹脂組成物、即ち、少なくとも熱硬化性成分を含む熱硬化性樹脂組成物を用いて形成できる。例えば、熱硬化性樹脂フィルム1の形成対象面に熱硬化性樹脂組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、目的とする部位に熱硬化性樹脂フィルム1を形成できる。熱硬化性樹脂組成物中の、常温で気化しない成分同士の含有量の比率は、通常、熱硬化性樹脂フィルム1の前記成分同士の含有量の比率と同じとなる。ここで、「常温」とは、先に説明したとおりである。
熱硬化性樹脂組成物の塗工は、公知の方法で行えばよく、例えば、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコーター、グラビアコーター、ロールコーター、ロールナイフコーター、カーテンコーター、ダイコーター、ナイフコーター、スクリーンコーター、マイヤーバーコーター、及びキスコーター等の各種コーターを用いる方法が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物の乾燥条件は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物は、後述する溶媒を含有している場合、加熱乾燥させることが好ましく、この場合、例えば、70〜130℃で10秒〜5分の条件で乾燥させることが好ましい。
{熱硬化性樹脂組成物(III−1)}
熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有する熱硬化性樹脂組成物(III−1)等が挙げられる。
(重合体成分(A))
重合体成分(A)は、熱硬化性樹脂フィルム1に造膜性や可撓性等を付与するための重合体化合物である。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する重合体成分(A)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する重合体成分(A)が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
重合体成分(A)としては、例えば、アクリル系樹脂((メタ)アクリロイル基を有する樹脂)、ポリエステル、ウレタン系樹脂(ウレタン結合を有する樹脂)、アクリルウレタン樹脂、シリコーン系樹脂(シロキサン結合を有する樹脂)、ゴム系樹脂(ゴム構造を有する樹脂)、フェノキシ樹脂、及び熱硬化性ポリイミド等が挙げられ、アクリル系樹脂が好ましい。
重合体成分(A)における前記アクリル系樹脂としては、公知のアクリル重合体が挙げられる。
アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000〜2000000であることが好ましく、100000〜1500000であることがより好ましい。アクリル系樹脂の重量平均分子量が上記の下限値以上であることで、熱硬化性樹脂フィルム1の形状安定性(保管時の経時安定性)が向上する。また、アクリル系樹脂の重量平均分子量が上記の上限値以下であることで、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂フィルム1が追従し易くなり、例えば、被着体と熱硬化性樹脂フィルム1との間でボイド等の発生がより抑制される効果が得られる。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−60〜70℃であることが好ましく、−30〜50℃であることがより好ましい。アクリル系樹脂のTgが上記の下限値以上であることで、第1保護膜1aと第1支持シートとの接着力が抑制されて、第1支持シートの剥離性が向上する。また、アクリル系樹脂のTgが上記の上限値以下であることで、熱硬化性樹脂フィルム1及び第1保護膜1aの被着体との接着力が向上する。
アクリル系樹脂としては、例えば、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルの重合体;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN−メチロールアクリルアミド等から選択される2種以上のモノマーの共重合体等が挙げられる。
アクリル系樹脂を構成する前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸n−ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル((メタ)アクリル酸ラウリル)、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル((メタ)アクリル酸ミリスチル)、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル((メタ)アクリル酸パルミチル)、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル((メタ)アクリル酸ステアリル)等の、アルキルエステルを構成するアルキル基が、炭素数が1〜18の鎖状構造である(メタ)アクリル酸アルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アラルキルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルエステル;
(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチルエステル等の(メタ)アクリル酸シクロアルケニルオキシアルキルエステル;
(メタ)アクリル酸イミド;
(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシメチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル;
(メタ)アクリル酸N−メチルアミノエチル等の置換アミノ基含有(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。ここで、「置換アミノ基」とは、アミノ基の1個又は2個の水素原子が水素原子以外の基で置換されてなる基を意味する。
アクリル系樹脂は、例えば、前記(メタ)アクリル酸エステル以外に、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン及びN−メチロールアクリルアミド等から選択される1種又は2種以上のモノマーが共重合してなるものでもよい。
アクリル系樹脂を構成するモノマーは、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。アクリル系樹脂を構成するモノマーが2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
アクリル系樹脂は、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の他の化合物と結合可能な官能基を有していてもよい。アクリル系樹脂の前記官能基は、後述する架橋剤(F)を介して他の化合物と結合してもよいし、架橋剤(F)を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。アクリル系樹脂が前記官能基により他の化合物と結合することで、熱硬化性樹脂フィルム1を用いて得られたパッケージの信頼性が向上する傾向がある。
本発明においては、重合体成分(A)として、アクリル系樹脂以外の熱可塑性樹脂(以下、単に「熱可塑性樹脂」と略記することがある)を、アクリル系樹脂を用いずに単独で用いてもよいし、アクリル系樹脂と併用してもよい。前記熱可塑性樹脂を用いることで、第1保護膜1aの第1支持シート11からの剥離性が向上したり、被着体の凹凸面へ熱硬化性樹脂フィルム1が追従し易くなり、被着体と熱硬化性樹脂フィルム1との間でボイド等の発生がより抑制されることがある。
前記熱可塑性樹脂の重量平均分子量は1000〜100000であることが好ましく、3000〜80000であることがより好ましい。
前記熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)は、−30〜150℃であることが好ましく、−20〜120℃であることがより好ましい。なお、ガラス転移温度(Tg)は、上述した示差走査熱量分析(DSC)法によって測定することができる。
前記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、フェノキシ樹脂、ポリブテン、ポリブタジエン、及びポリスチレン等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する前記熱可塑性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する前記熱可塑性樹脂が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する重合体成分(A)の含有量の割合(即ち、熱硬化性樹脂フィルム1の重合体成分(A)の含有量)は、重合体成分(A)の種類によらず、5〜85質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましい。
重合体成分(A)は、熱硬化性成分(B)にも該当する場合がある。本発明においては、熱硬化性樹脂組成物(III−1)が、このような重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の両方に該当する成分を含有する場合、熱硬化性樹脂組成物(III−1)は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)を含有するとみなす。
(熱硬化性成分(B))
熱硬化性成分(B)は、熱硬化性樹脂フィルム1を硬化させて、硬質の第1保護膜1aを形成するための成分である。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する熱硬化性成分(B)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する熱硬化性成分(B)が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性成分(B)としては、例えば、エポキシ系熱硬化性樹脂、熱硬化性ポリイミド、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、及びシリコーン樹脂等が挙げられ、エポキシ系熱硬化性樹脂が好ましい。
(ア)エポキシ系熱硬化性樹脂
エポキシ系熱硬化性樹脂は、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)からなる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有するエポキシ系熱硬化性樹脂は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有するエポキシ系熱硬化性樹脂が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・エポキシ樹脂(B1)
エポキシ樹脂(B1)としては、公知のものが挙げられ、例えば、多官能系エポキシ樹脂、ビフェニル化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル及びその水添物、オルソクレゾールノボラックエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びフェニレン骨格型エポキシ樹脂等、2官能以上のエポキシ化合物が挙げられる。
エポキシ樹脂(B1)としては、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いてもよい。不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂は、不飽和炭化水素基を有しないエポキシ樹脂よりもアクリル系樹脂との相溶性が高い。そのため、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂を用いることで、熱硬化性樹脂フィルムを用いて得られたパッケージの信頼性が向上する。
不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、多官能系エポキシ樹脂のエポキシ基の一部が不飽和炭化水素基を有する基に変換されてなる化合物が挙げられる。このような化合物は、例えば、エポキシ基へ(メタ)アクリル酸又はその誘導体を付加反応させることにより得られる。
また、不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂を構成する芳香環等に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合した化合物等が挙げられる。
不飽和炭化水素基は、重合性を有する不飽和基であり、その具体的な例としては、エテニル基(ビニル基)、2−プロペニル基(アリル基)、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基等が挙げられ、アクリロイル基が好ましい。
エポキシ樹脂(B1)の数平均分子量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂フィルム1の硬化性、並びに硬化後の第1保護膜1aの強度及び耐熱性の点から、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。なお、エポキシ樹脂(B1)の数平均分子量は、従来公知のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法(スチレン標準)により測定できる。
エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、100〜1000g/eqであることが好ましく、300〜800g/eqであることがより好ましい。なお、エポキシ樹脂(B1)のエポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠した方法で測定することが可能である。
エポキシ樹脂(B1)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよく、2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
・熱硬化剤(B2)
熱硬化剤(B2)は、エポキシ樹脂(B1)に対する硬化剤として機能する。
熱硬化剤(B2)としては、例えば、1分子中にエポキシ基と反応し得る官能基を2個以上有する化合物が挙げられる。前記官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられ、フェノール性水酸基、アミノ基、又は酸基が無水物化された基であることが好ましく、フェノール性水酸基又はアミノ基であることがより好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、フェノール性水酸基を有するフェノール系硬化剤としては、例えば、多官能フェノール樹脂、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、及びアラルキルフェノール樹脂等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)のうち、アミノ基を有するアミン系硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド(以下、「DICY」と略記することがある)等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)は、不飽和炭化水素基を有するものでもよい。
不飽和炭化水素基を有する熱硬化剤(B2)としては、例えば、フェノール樹脂の水酸基の一部が、不飽和炭化水素基を有する基で置換されてなる化合物、フェノール樹脂の芳香環に、不飽和炭化水素基を有する基が直接結合してなる化合物等が挙げられる。
熱硬化剤(B2)における前記不飽和炭化水素基は、上述の不飽和炭化水素基を有するエポキシ樹脂における不飽和炭化水素基と同様のものである。
熱硬化剤(B2)としてフェノール系硬化剤を用いる場合には、第1保護膜1aの第1支持シートからの剥離性が向上する点から、熱硬化剤(B2)は軟化点又はガラス転移温度が高いものが好ましい。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、多官能フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン系フェノール樹脂、アラルキルフェノール樹脂等の樹脂成分の数平均分子量は、300〜30000であることが好ましく、400〜10000であることがより好ましく、500〜3000であることが特に好ましい。なお、上記の数平均分子量についても、従来公知のゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法(スチレン標準)により測定できる。
熱硬化剤(B2)のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、例えば、60〜500であることが好ましい。
熱硬化剤(B2)は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。熱硬化剤(B2)として2種以上を併用する場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1において、熱硬化剤(B2)の含有量は、エポキシ樹脂(B1)の含有量100質量部に対して、0.1〜500質量部であることが好ましく、1〜200質量部であることがより好ましい。熱硬化剤(B2)の含有量が上記の下限値以上であることで、熱硬化性樹脂フィルム1の硬化がより進行し易くなる。また、熱硬化剤(B2)の含有量が上記の上限値以下であることで、熱硬化性樹脂フィルム1の吸湿率が低減されて、熱硬化性樹脂フィルム1を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1において、熱硬化性成分(B)の含有量(例えば、エポキシ樹脂(B1)及び熱硬化剤(B2)の総含有量)は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、50〜1000質量部であることが好ましく、100〜900質量部であることがより好ましく、150〜800質量部であることが特に好ましい。熱硬化性成分(B)の前記含有量がこのような範囲であることで、第1保護膜1aと第1支持シートとの接着力が抑制されて、第1支持シートの剥離性が向上する。
(硬化促進剤(C))
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1は、硬化促進剤(C)を含有していてもよい。硬化促進剤(C)は、熱硬化性樹脂組成物(III−1)の硬化速度を調整するための成分である。
好ましい硬化促進剤(C)としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類(1個以上の水素原子が水素原子以外の基で置換されたイミダゾール);トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類(1個以上の水素原子が有機基で置換されたホスフィン);テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する硬化促進剤(C)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する硬化促進剤(C)が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
硬化促進剤(C)を用いる場合、熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1において、硬化促進剤(C)の含有量は、熱硬化性成分(B)の含有量100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。硬化促進剤(C)の含有量が上記の下限値以上であることで、硬化促進剤(C)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、硬化促進剤(C)の含有量が上記の上限値以下であることで、例えば、高極性の硬化促進剤(C)が、高温・高湿度条件下で熱硬化性樹脂フィルム1中において被着体との接着界面側に移動して偏析することを抑制する効果が高くなり、熱硬化性樹脂フィルム1を用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。
(充填材(D))
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1は、充填材(D)を含有していてもよい。熱硬化性樹脂フィルム1が充填材(D)を含有することにより、熱硬化性樹脂フィルム1を硬化して得られた第1保護膜1aは、熱膨張係数を上記範囲に調整することが容易となり、この熱膨張係数を第1保護膜1aの形成対象物に対して最適化することで、熱硬化性樹脂フィルムを用いて得られたパッケージの信頼性がより向上する。また、熱硬化性樹脂フィルム1が充填材(D)を含有することにより、第1保護膜1aの吸湿率を低減したり、放熱性を向上させたりすることもできる。
充填材(D)は、有機充填材及び無機充填材のいずれでもよいが、無機充填材であることが好ましい。
好ましい無機充填材としては、例えば、シリカ、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素、窒化ホウ素等の粉末;これら無機充填材を球形化したビーズ;これら無機充填材の表面改質品;これら無機充填材の単結晶繊維;ガラス繊維等が挙げられる。
これらの中でも、無機充填材は、シリカ又はアルミナであることが好ましい。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する充填材(D)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する充填材(D)が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
充填材(D)を用いる場合、熱硬化性樹脂組成物(III−1)において、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する充填材(D)の含有量の割合(即ち、熱硬化性樹脂フィルム1の充填材(D)の含有量)は、5〜80質量%であることが好ましく、7〜60質量%であることがより好ましい。充填材(D)の含有量がこのような範囲であることで、上記の熱膨張係数の調整がより容易となる。
(カップリング剤(E))
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1は、カップリング剤(E)を含有していてもよい。カップリング剤(E)として、無機化合物又は有機化合物と反応可能な官能基を有するものを用いることにより、熱硬化性樹脂フィルム1の被着体に対する接着性及び密着性を向上させることができる。また、カップリング剤(E)を用いることで、熱硬化性樹脂フィルム1を硬化して得られた第1保護膜1aは、耐熱性を損なうことなく、耐水性が向上する。
カップリング剤(E)は、重合体成分(A)、熱硬化性成分(B)等が有する官能基と反応可能な官能基を有する化合物であることが好ましく、シランカップリング剤であることがより好ましい。
好ましい前記シランカップリング剤としては、例えば、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3−(フェニルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、及びイミダゾールシラン等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有するカップリング剤(E)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有するカップリング剤(E)が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
カップリング剤(E)を用いる場合、熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1において、カップリング剤(E)の含有量は、重合体成分(A)及び熱硬化性成分(B)の総含有量100質量部に対して、0.03〜20質量部であることが好ましく、0.05〜10質量部であることがより好ましく、0.1〜5質量部であることが特に好ましい。カップリング剤(E)の含有量が上記の下限値以上であることで、充填材(D)の樹脂への分散性の向上や、熱硬化性樹脂フィルム1の被着体との接着性の向上など、カップリング剤(E)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、カップリング剤(E)の含有量が上記の上限値以下であることで、アウトガスの発生がより抑制される。
(架橋剤(F))
重合体成分(A)として、上述のアクリル系樹脂等の、他の化合物と結合可能なビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、水酸基、カルボキシ基、イソシアネート基等の官能基を有するものを用いる場合、熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1は、前記官能基を他の化合物と結合させて架橋するための架橋剤(F)を含有していてもよい。架橋剤(F)を用いて架橋することにより、熱硬化性樹脂フィルム1の初期接着力及び凝集力を調節できる。
架橋剤(F)としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
前記有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物及び脂環族多価イソシアネート化合物(以下、これら化合物をまとめて「芳香族多価イソシアネート化合物等」と略記することがある);前記芳香族多価イソシアネート化合物等の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;前記芳香族多価イソシアネート化合物等とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。前記「アダクト体」は、前記芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物又は脂環族多価イソシアネート化合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン又はヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味し、その例としては、後述するようなトリメチロールプロパンのキシリレンジイソシアネート付加物等が挙げられる。また、「末端イソシアネートウレタンプレポリマー」とは、先に説明したとおりである。
前記有機多価イソシアネート化合物として、より具体的には、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート;2,6−トリレンジイソシアネート;1,3−キシリレンジイソシアネート;1,4−キシレンジイソシアネート;ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート;3−メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートのいずれか1種又は2種以上が付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
前記有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’−ジフェニルメタン−4,4’−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N’−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
架橋剤(F)として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、重合体成分(A)としては、水酸基含有重合体を用いることが好ましい。架橋剤(F)がイソシアネート基を有し、重合体成分(A)が水酸基を有する場合、架橋剤(F)と重合体成分(A)との反応によって、熱硬化性樹脂フィルム1に架橋構造を簡便に導入できる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する架橋剤(F)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する架橋剤(F)が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
架橋剤(F)を用いる場合、熱硬化性樹脂組成物(III−1)において、架橋剤(F)の含有量は、重合体成分(A)の含有量100質量部に対して、0.01〜20質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、0.5〜5質量部であることが特に好ましい。架橋剤(F)の前記含有量が前記下限値以上であることで、架橋剤(F)を用いたことによる効果がより顕著に得られる。また、架橋剤(F)の前記含有量が前記上限値以下であることで、架橋剤(F)の過剰使用が抑制される。
(汎用添加剤(I))
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1は、本発明の効果を損なわない範囲内において、汎用添加剤(I)を含有していてもよい。
汎用添加剤(I)は、公知のものでよく、目的に応じて任意に選択でき、特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、着色剤(染料、顔料)、ゲッタリング剤等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する汎用添加剤(I)は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1が含有する汎用添加剤(I)が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)及び熱硬化性樹脂フィルム1の汎用添加剤(I)の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
(溶媒)
熱硬化性樹脂組成物(III−1)は、さらに溶媒を含有することが好ましい。溶媒を含有する熱硬化性樹脂組成物(III−1)は、取り扱い性が良好となる。
前記溶媒は特に限定されないが、好ましいものとしては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2−プロパノール、イソブチルアルコール(2−メチルプロパン−1−オール)、1−ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)が含有する溶媒は、1種のみでもよいし、2種以上でもよい。熱硬化性樹脂組成物(III−1)が含有する溶媒が2種以上である場合、それらの組み合わせ及び比率は任意に選択できる。
熱硬化性樹脂組成物(III−1)が含有する溶媒は、熱硬化性樹脂組成物(III−1)中の含有成分をより均一に混合できる点から、メチルエチルケトン等であることが好ましい。
{{熱硬化性樹脂組成物の製造方法}}
熱硬化性樹脂組成物(III−1)等の熱硬化性樹脂組成物は、これを構成するための各成分を配合することで得られる。
各成分の配合時における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒を溶媒以外のいずれかの配合成分と混合してこの配合成分を予め希釈しておくことで用いてもよいし、溶媒以外のいずれかの配合成分を予め希釈しておくことなく、溶媒をこれら配合成分と混合することで用いてもよい。
配合時に各成分を混合する方法は特に限定されず、撹拌子又は撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法等、公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分の添加及び混合時の温度並びに時間は、各配合成分が劣化しない限り特に限定されず、適宜調節すればよいが、温度は15〜30℃であることが好ましい。
<第1保護膜形成用シートの製造方法>
第1保護膜形成用シート1Aは、上述の各層を対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層の形成方法は、先に説明したとおりである。
例えば、第1支持シート11を製造するときに、第1基材上に第1粘着剤層又は第1中間層を積層する場合には、第1基材上に上述の第1粘着剤組成物又は第1中間層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させるか、又はエネルギー線を照射することで、第1粘着剤層又は第1中間層を積層できる。
一方、例えば、第1基材上に積層済みの第1粘着剤層の上に、さらに熱硬化性樹脂フィルムを積層する場合には、第1粘着剤層上に熱硬化性樹脂組成物又はエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物を塗工して、熱硬化性樹脂フィルムを直接形成することが可能である。同様に、第1基材上に積層済みの第1中間層の上に、さらに第1粘着剤層を積層する場合には、第1中間層上に第1粘着剤組成物を塗工して、第1粘着剤層を直接形成することが可能である。このように、いずれかの組成物を用いて、連続する2層の積層構造を形成する場合には、前記組成物から形成された層の上に、さらに組成物を塗工して新たに層を形成することが可能である。ただし、これら2層のうちの後から積層する層は、別の剥離フィルム上に前記組成物を用いてあらかじめ形成しておき、この形成済みの層の前記剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面を、既に形成済みの残りの層の露出面と貼り合わせることで、連続する2層の積層構造を形成することが好ましい。このとき、前記組成物は、剥離フィルムの剥離処理面に塗工することが好ましい。剥離フィルムは、積層構造の形成後、必要に応じて取り除けばよい。
例えば、第1基材上に第1粘着剤層が積層され、前記第1粘着剤層上に硬化性樹脂層が積層されてなる第1保護膜形成用シート(第1支持シート11が第1基材及び第1粘着剤層の積層物である第1保護膜形成用シート)1Aを製造する場合には、まず、第1基材上に第1粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させるか、又はエネルギー線を照射することで、第1基材上に第1粘着剤層を積層しておく。また、別途、剥離フィルム上に熱硬化性樹脂組成物又はエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に熱硬化性成分を含む熱硬化性樹脂フィルム1を形成しておく。そして、この熱硬化性樹脂フィルム1の露出面を、第1基材上に積層済みの第1粘着剤層の露出面と貼り合わせて、熱硬化性樹脂フィルム1を第1粘着剤層上に積層することで、第1保護膜形成用シート1Aが得られる。
また、例えば、第1基材上に第1中間層が積層され、前記第1中間層上に第1粘着剤層が積層されてなる第1支持シート11を製造する場合には、まず、第1基材上に第1中間層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させるか、又はエネルギー線を照射することで、第1基材上に第1中間層を積層しておく。また、別途、剥離フィルム上に第1粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に第1粘着剤層を形成しておく。そして、この第1粘着剤層の露出面を、第1基材上に積層済みの第1中間層の露出面と貼り合わせて、第1粘着剤層を第1中間層上に積層することで、第1支持シート11が得られる。この場合、例えば、さらに別途、剥離フィルム上に熱硬化性樹脂組成物又はエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に熱硬化性成分を含む熱硬化性樹脂フィルム1を形成しておく。そして、この熱硬化性樹脂フィルム1の露出面を、第1中間層上に積層済みの第1粘着剤層の露出面と貼り合わせて、熱硬化性樹脂フィルム1を第1粘着剤層上に積層することで、第1保護膜形成用シート1Aが得られる。
なお、第1基材上に第1粘着剤層又は第1中間層を積層する場合には、上述の様に、第1基材上に第1粘着剤組成物又は第1中間層形成用組成物を塗工する方法に代えて、剥離フィルム上に第1粘着剤組成物又は第1中間層形成用組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させるか、又はエネルギー線を照射することで、剥離フィルム上に第1粘着剤層又は第1中間層を形成しておき、これら層の露出面を、第1基材の一方の表面と貼り合わせることで、第1粘着剤層又は第1中間層を基材上に積層してもよい。
いずれの方法においても、剥離フィルムは目的とする積層構造を形成後の任意のタイミングで取り除けばよい。
このように、第1保護膜形成用シート1Aを構成する第1基材以外の層はいずれも、剥離フィルム上にあらかじめ形成しておき、目的とする層の表面に貼り合わせる方法で積層できるため、必要に応じてこのような工程を採用する層を適宜選択して、第1保護膜形成用シート1Aを製造すればよい。
なお、第1保護膜形成用シート1Aは、通常、その第1支持シート11とは反対側の最表層(例えば、熱硬化性樹脂フィルム1)の表面に剥離フィルムが貼り合わされた状態で保管される。したがって、この剥離フィルム(好ましくはその剥離処理面)上に、熱硬化性樹脂組成物又はエネルギー線硬化性保護膜形成用組成物等の、最表層を構成する層を形成するための組成物を塗工し、必要に応じて乾燥させることで、剥離フィルム上に最表層を構成する層を形成しておき、この層の剥離フィルムと接触している側とは反対側の露出面上に残りの各層を上述のいずれかの方法で積層し、剥離フィルムを取り除かずに貼り合わせた状態のままとすることでも、第1保護膜形成用シート1Aが得られる。
<第2保護膜形成フィルム及び第2保護膜形成用シート>
本発明においては、上記の第1保護膜形成用シート1Aに加え、図5に示すように、さらに、第2保護膜形成フィルム2が、第2支持シート21の一方の表面21a上に備えられる第2保護膜形成用シート2Aとして、フィルムキット10(図1A等を参照)に含まれる構成を採用することができる。
第2支持シート21としては、特に限定されず、上記したような、第1保護膜形成用シート1A,1B,1Cに備えられる第1支持シート11,11A,11Bと同様の材料及び厚みを有するものを採用することができる。即ち、図5においては詳細な図示を省略しているが、第2支持シート21として、第1基材の上に第2保護膜形成フィルム2が直に接した構成のものを採用してもよいし、あるいは、第1基材と第2保護膜形成フィルム2との間に、さらに第1中間層や第1粘着剤層が設けられたものを採用することも可能である。
第2保護膜形成フィルム2は、上述したように、半導体ウエハ5の裏面5b側を保護する第2保護膜2aを形成するためのフィルムであり、熱硬化性樹脂フィルム1と同様、少なくとも熱硬化性成分を含んで構成される。そして、第2保護膜形成フィルム2としては、上記したような、熱硬化性樹脂フィルム1と同様の組成物からなるものを採用することができる。
また、第2保護膜形成フィルム2としては、さらに、着色剤を含有する構成とすることができる。
このような着色剤としては、有機又は無機の顔料及び染料を用いることができる。
染料としては、例えば、酸性染料、反応染料、直接染料、分散染料、カチオン染料等の、何れの染料であっても用いることが可能である。
また、顔料としては、特に制限されず、公知の顔料から適宜選択して用いることができる。
これらの中でも、電磁波や赤外線の遮蔽性が良好で、且つ、レーザーマーキング法による識別性をより向上できる観点から、黒色顔料を用いることが好ましい。
黒色顔料としては、例えば、カーボンブラック、酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等が挙げられるが、半導体チップの信頼性が高められる観点から、カーボンブラックが好ましい。
なお、これらの着色剤は、単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2保護膜形成フィルム2中における着色剤の含有量は、第2保護膜形成フィルム2をなす組成物の全質量(100質量%)に対して、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.05〜25質量%、さらに好ましくは0.1〜15質量%、よりさらに好ましくは0.15〜5質量%である。
なお、第2保護膜形成フィルム2の厚みとしても、上記したような、熱硬化性樹脂フィルム1と同程度とすればよい。
<<作用効果>>
以上説明したように、本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、熱硬化性樹脂フィルム、この熱硬化性樹脂フィルムを備えた第1保護膜形成用シートによれば、半導体ウエハの表面に貼付する熱硬化性樹脂フィルムと、裏面に貼付する第2保護膜形成フィルムとの間の、発熱開始温度及び発熱ピーク温度の関係を最適化することにより、熱硬化性樹脂フィルムが加熱硬化する際の収縮等によって半導体ウエハに付与される応力が、第2保護膜形成フィルムが加熱硬化する際の応力によって矯正される。これにより、半導体ウエハに反りが発生するのを抑制することができ、信頼性に優れた半導体パッケージを製造することが可能となる。
さらに、本発明に係る半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法によれば、上記同様、半導体ウエハの表面側の熱硬化性樹脂フィルムと、裏面側の第2保護膜形成フィルムとの間の、発熱開始温度及び発熱ピーク温度の関係が最適化された方法なので、半導体ウエハの表面に保護膜を形成する硬化ステップにおいて、半導体ウエハに反りが発生するのを抑制することができ、上記同様、信頼性に優れた半導体パッケージを製造することが可能となる。
なお、本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットにおいては、例えば、以下の構成を採用することができる。
即ち、本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットは、熱硬化性樹脂フィルム1の示差走査熱量分析(DSC)法によって測定される発熱開始温度が、示差走査熱量分析法によって測定される第2保護膜形成フィルム2の示差走査熱量分析法によって測定される発熱開始温度以上であり、さらに、示差走査熱量分析法によって測定される熱硬化性樹脂フィルム1及び第2保護膜形成フィルム2の示差走査熱量分析法によって測定される発熱ピーク温度が、それぞれ、185〜200℃であり、熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2との発熱ピーク温度の差が0〜10℃の範囲である構成とすることができる。
また、本発明に係る熱硬化性樹脂フィルム1と第2保護膜形成フィルム2のキットにおいては、熱硬化性樹脂フィルム1の線膨張係数が47〜80(×10−6/℃)の範囲であり、且つ、第2保護膜形成フィルム2の線膨張係数との差が3〜30(×10−6/℃)の範囲である構成を採用することができる。
次に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお本発明は、本実施例によってその範囲が制限されるものではなく、本発明に係る熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、熱硬化性樹脂フィルム、第1保護膜形成用シート及び半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法は、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
熱硬化性樹脂組成物の製造に用いた成分を以下に示す。
・重合体成分
重合体成分(A)−1:アクリル酸ブチル(以下、「BA」と略記する)(55質量部)、アクリル酸メチル(以下、「MA」と略記する)(10質量部)、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」と略記する)(20質量部)及びアクリル酸−2−ヒドロキシエチル(以下、「HEA」と略記する)(15質量部)を共重合してなるアクリル系樹脂(重量平均分子量800000、ガラス転移温度−28℃)。各成分の配合比を下記表1に示す。
・エポキシ樹脂
エポキシ樹脂(B1)−1:液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂(三菱化学社製「YL983U」)
エポキシ樹脂(B1)−2:多官能芳香族型エポキシ樹脂(日本化薬社製「EPPN−502H」)
エポキシ樹脂(B1)−3:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC社製「EPICLON HP−7200」)
・熱硬化剤
熱硬化剤(B2)−1:ノボラック型フェノール樹脂(昭和電工社製「BRG−556」)
・硬化促進剤
硬化促進剤(C)−1:2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製「キュアゾール2PHZ−PW」)
・充填材
充填材(D)−1:エポキシ基で修飾された球状シリカ(アドマテックス社製「アドマナノ YA050C−MKK」、平均粒径0.05μm)
・顔料
黒色顔料(L)−1:東洋インキ社製「マルチラックA−903 ブラック」
[実施例1]
<第1保護膜形成用シート(熱硬化性樹脂フィルム)の製造>
(熱硬化性樹脂組成物の製造)
重合体成分(A)−1、エポキシ樹脂(B1)−1、エポキシ樹脂(B1)−2、エポキシ樹脂(B1)−3、熱硬化剤(B2)−1、硬化促進剤(C)−1、及び充填材(D)−1を、溶媒以外の全ての成分の総含有量に対する含有量の割合が下記表1に示す値(表1中において「含有量の割合」と記載している)となるようにメチルエチルケトンに溶解又は分散させて、23℃で撹拌することで、熱硬化性樹脂組成物として、固形分濃度が55質量%である熱硬化性樹脂組成物(III−1)を得た。なお、下記表1中の含有成分の欄の「−」との記載は、熱硬化性樹脂組成物がその成分を含有していないことを意味する。
(粘着性樹脂(I−2a)の製造)
アクリル酸−2−エチルヘキシル(以下、「2EHA」と略記する)(80質量部)、HEA(20質量部)を共重合体の原料として、重合反応を行うことで、アクリル系重合体を得た。
このアクリル系重合体に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(以下、「MOI」と略記する)(22質量部、HEAに対して約80モル%)を加え、空気気流中において50℃で48時間付加反応を行うことで、目的とする粘着性樹脂(I−2a)を得た。
(第1粘着剤組成物の製造)
上記で得られた粘着性樹脂(I−2a)(100質量部)に対して、イソシアネート系架橋剤として、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート三量体付加物(東ソー社製「コロネートL」)(0.5質量部)を加えて23℃で撹拌することで、第1粘着剤組成物として、固形分濃度が30質量%である第1粘着剤組成物(I−2)を得た。なお、この「第1粘着剤組成物の製造」における配合部数は、すべて固形分換算値である。
(第1保護膜形成用シートの製造)
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm)の前記剥離処理面に、上記で得られた第1粘着剤組成物を塗工し、120℃で2分間加熱乾燥させることにより、厚さ60μmの第1粘着剤層を形成した。
次いで、この第1粘着剤層の露出面に、第1基材として、ポリオレフィンフィルム(厚さ25μm)、接着剤層(厚さ2.5μm)、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)、接着剤層(厚さ2.5μm)及びポリオレフィンフィルム(厚さ25μm)がこの順に積層されてなる、厚さ105μmの積層フィルムを貼り合せることにより、第1支持シートを得た。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面がシリコーン処理により剥離処理された剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」、厚さ38μm)の剥離処理面に、上記で得られた熱硬化性樹脂組成物を塗工し、100℃で2分間乾燥させることにより、厚さ40μmの熱硬化性樹脂フィルムを作製した。
次いで、上記で得られた第1支持シートの第1粘着剤層から剥離フィルムを取り除き、この第1粘着剤層の露出面に、上記で得られた熱硬化性樹脂フィルムの露出面を貼り合わせて、第1基材、第1粘着剤層、熱硬化性樹脂フィルム及び剥離フィルムが、これらの厚さ方向においてこの順に積層されてなる第1保護膜形成用シートを得た。
(第2保護膜形成フィルムの製造)
上記と同様の剥離フィルム(リンテック社製「SP−PET381031」)用い、この剥離処理面に、上記で得られた熱硬化性樹脂組成物と同様にして得られた、下記表2に示す組成の第2保護膜形成フィルム形成用組成物を塗工した後、100℃で2分間乾燥させることにより、厚さ40μmの熱硬化性樹脂フィルム(第2保護膜形成フィルム)を作製した。
次いで、上記の第1支持シートと同様の構成を有する第2支持シートを用い、この第2支持シートの第1粘着剤層から剥離フィルムを取り除き、この第1粘着剤層の露出面に、上記で得られた第2保護膜形成フィルムの露出面を貼り合わせて、第1基材、第1粘着剤層、第2保護膜形成フィルム及び剥離フィルムが、これらの厚さ方向において、この順に積層されてなる第2保護膜形成用シートを得た。
<熱硬化性樹脂フィルム及び第2保護膜形成フィルムの評価>
(各フィルムの発熱ピーク温度並びに線膨張係数の測定)
上記で得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて、その塗工量が異なる点以外は、上述の第1保護膜形成用シートの製造時と同様の方法で、厚さ50μmの熱硬化性樹脂フィルムを作製し、これを10層で積層させて、厚さ500μmの熱硬化性樹脂フィルムを作製した。
また、同様に、上記で得られた第2保護膜形成フィルム形成用組成物を用いて、その塗工量が異なる点以外は、上述の第2保護膜形成フィルムの製造時と同様の方法で、厚さ50μmの熱硬化性樹脂からなる第2保護膜形成フィルムを作製し、これを10層で積層させて、厚さ500μmの第2保護膜形成フィルムを作製した。
次いで、この熱硬化性樹脂フィルムから評価用試料を作製し、従来公知の示差走査熱量分析(DSC)装置を用いて、発熱ピーク温度を測定した。
同様に、熱硬化性樹脂フィルムから評価用試料を作製し、JIS K 7197に準拠した条件で、従来公知の熱機械分析(TMA)装置を用いて熱膨張係数(CTE α1)を測定した。
これら各試験による測定結果を下記表3に示す。
下記表3に示すように、実施例1においては、発熱ピーク温度が熱硬化性樹脂フィルム及び第2保護膜形成フィルムともに185℃と、本発明で規定する範囲内であることが確認できた。また、実施例1においては、熱硬化性樹脂フィルムの線膨張係数が47(×10−6/℃)、第2保護膜形成フィルムの線膨張係数が50(×10−6/℃)であり、本発明で規定する範囲内であることが確認できた。
<保護膜形成後の半導体ウエハの評価>
(熱硬化性樹脂フィルムが硬化して第1保護膜を形成した後の反りの確認)
上記で得られた熱硬化性樹脂フィルム(熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット)を用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成するとともに、裏面に第2保護膜を形成した。
即ち、まず、表面に複数のバンプを備える半導体ウエハの裏面側に第2保護膜形成フィルムを貼着するとともに、表面側に第1保護膜形成用シートを貼着し、第2保護膜形成フィルム、半導体ウエハ、第1保護膜形成用シート(熱硬化性樹脂フィルム)が順次積層された積層体を作製した。また、この際、第2保護膜形成フィルムとして、半導体ウエハの裏面に貼着される面とは反対側の面に、ダイシングテープが貼着されたものを使用した。
次いで、第2保護膜形成フィルムに貼着されたダイシングテープを使用して、ウエハダイシング用リングフレームにダイシングテープを貼着することで、積層体(半導体ウエハ)をリングフレーム上に固定するとともに、第1保護膜形成用シートから支持シートを剥離した。
次いで、加圧加熱硬化装置(リンテック社製「RAD−9100」)を用いて、ウエハダイシング用リングフレームに固定された半導体ウエハ上の熱硬化性樹脂フィルムに対して、0.5MPaの圧力を加えながら設定温度180℃で1時間加熱し、熱硬化性樹脂フィルムを軟化させた後、硬化させて第1保護膜を形成した。また、これと同時に、第2保護膜形成フィルムを軟化させた後、硬化させることにより、第2保護膜を形成した。
次いで、第1保護膜及び第2保護膜が各面に形成された半導体ウエハを、ダイシング処理によってチップ単位にカットした後、チップ単位に分割された半導体ウエハを、ダイシングテープを除去しながらリングフレームから剥離して取り外した。
そして、第1保護膜及び第2保護膜形成後の半導体ウエハにおける反りの発生の有無を目視確認するとともに、半導体ウエハの端部の反りの方向(熱硬化性樹脂フィルム側又は第2保護膜形成フィルム側の何れに向かっているか)を目視確認した。この結果を下記表3に示す。
下記表3に示すように、本発明に係る構成を有するフィルムキットを用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成(裏面に第2保護膜を形成)した実施例1においては、熱硬化性樹脂フィルムを硬化させて第1保護膜を形成した後の反りが発生していないことが確認できた。
[実施例2,3]
熱硬化性樹脂組成物組成を下記表1に示す通りとした点以外は、実施例1と同様に、第1保護膜形成用シート及び第2保護膜形成フィルムを含む実施例2,3のフィルムキットを製造し、上記同様に評価して、その結果を下記表3に示した。
下記表3に示すように、実施例2,3においても、実施例1の場合と同様、発熱ピーク温度が熱硬化性樹脂フィルム及び第2保護膜形成フィルムともに、185℃又は195℃と、本発明で規定する範囲内であることが確認できた。同様に、実施例2においては、熱硬化性樹脂フィルムの線膨張係数が47(×10−6/℃)、第2保護膜形成フィルムの線膨張係数が50(×10−6/℃)であり、実施例3においては、熱硬化性樹脂フィルムの線膨張係数が80(×10−6/℃)、第2保護膜形成フィルムの線膨張係数が50(×10−6/℃)であり、本発明で規定する範囲内であることが確認できた。
そして、下記表3に示すように、本発明に係る構成を有するフィルムキットを用いて、半導体ウエハのバンプ形成面に第1保護膜を形成(裏面に第2保護膜を形成)した実施例2,3においても、実施例1と同様、熱硬化性樹脂フィルムを硬化させて第1保護膜を形成した後の反りが発生していないことが確認できた。
<第1保護膜形成用シートの製造及び評価>
[比較例1,2、参考例1,2]
熱硬化性樹脂組成物組成を表1に示す通りとした点以外は、実施例1と同様に、第1保護膜形成用シート及び第2保護膜形成フィルムを含む比較例1,2のフィルムキットを製造し、上記同様に評価して、その結果を下記表3に示した。
また、本実験においては、第2保護膜形成フィルムを半導体ウエハに貼着せず、熱硬化性樹脂フィルムのみを半導体ウエハに貼着して加熱硬化させ、第1保護膜を形成した参考例1の試料を作製するとともに、熱硬化性樹脂フィルムを用いた第1保護膜の形成を行わず、第2保護膜形成フィルムのみを半導体ウエハに貼着して加熱硬化させ、第2保護膜を形成した参考例2の試料を作製し、実施例と同様に評価して、その結果を下記表3に示した。
下記表3に示すように、比較例1の試料は、熱硬化性樹脂フィルムの熱膨張係数が本発明の請求項2,4で規定する上限を超えており、また、熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムとの間の熱膨張係数の差も上限値を超えている。このため、比較例1においては、半導体ウエハの端部がバンプ形成面側(第1保護膜形成面側)に向かうように反りが生じていた。
また、比較例2の試料は、熱硬化性樹脂フィルムの発熱ピーク温度が本発明で規定する上限値を超えており、また、熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムとの間の発熱ピーク温度の差も上限値を超えている。このため、比較例2においては、半導体ウエハの端部がバンプ形成面側(第1保護膜形成面側)に向かうように反りが生じていた。
なお、下記表3に示すように、第2保護膜形成フィルムを半導体ウエハに貼着せずに第1保護膜のみを形成した参考例1の試料は、半導体ウエハの端部がバンプ形成面側に向かうように反りが生じていた。
また、第1保護膜の形成を行わず、第2保護膜形成フィルムのみを半導体ウエハに貼着して加熱させ、第2保護膜のみを形成した参考例2の試料は、半導体ウエハの端部が裏面側(第2保護膜形成フィルム側)に向かうように反りが生じていた。
Figure 0006304852
Figure 0006304852
Figure 0006304852
以上説明した実施例の結果より、本発明で規定するように、半導体ウエハの表面に貼付する熱硬化性樹脂フィルムと、裏面に貼付する第2保護膜形成フィルムとの間の発熱開始温度及び発熱ピーク温度の関係を最適化することにより、半導体ウエハに反りが発生するのを抑制することができ、信頼性に優れた半導体パッケージを製造することが可能となることが明らかである。
本発明は、フリップチップ実装方法で使用される、接続パッド部にバンプを有する半導体チップ等の製造に利用可能である。
1…熱硬化性樹脂フィルム、1a…第1保護膜、1A,1B,1C…第1保護膜形成用シート、11,11A,11B…第1支持シート、11a…一方の表面(第1支持シート)、12…第1基材、12a…表面(第1基材)、13…第1粘着剤層、13a…表面(第1粘着剤層)、14…第1中間層、2…第2保護膜形成フィルム、2a…第2保護膜、2A…第2保護膜形成用シート、21…第2支持シート、21a…一方の表面(第2支持シート21)、5…半導体ウエハ、5a…表面(バンプ形成面:回路面)、5b…裏面、5c…端部、10…熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット、50…積層体、51…バンプ、51a…表面(バンプの表面)、60…ダイシングテープ、60a…上面(ダイシングテープ)。

Claims (7)

  1. 半導体ウエハにおける複数のバンプを保護する第1保護膜を形成するための、熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットであって、
    前記熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットは、前記半導体ウエハにおける複数のバンプを有する表面に貼付し、加熱硬化させることによって前記表面に第1保護膜を形成するための熱硬化性樹脂フィルム、及び、半導体ウエハの第2保護膜形成フィルムを含み、
    前記熱硬化性樹脂フィルム及び前記第2保護膜形成フィルムは、それぞれ、少なくとも熱硬化性成分を含み、
    前記熱硬化性樹脂フィルムは、示差走査熱量分析(DSC)法によって測定される発熱開始温度が、前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱開始温度より高い温度であり、
    さらに、前記熱硬化性樹脂フィルム及び前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱ピーク温度が、それぞれ100〜200℃であり、前記熱硬化性樹脂フィルムと前記第2保護膜形成フィルムとの前記発熱ピーク温度の差が35℃未満である、半導体ウエハに貼付して用いられる、熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット。
  2. 前記熱硬化性樹脂フィルムの線膨張係数が5×10−6/℃〜80×10−6/℃であり、且つ、前記第2保護膜形成フィルムの線膨張係数との差が35×10−6/℃未満である、請求項1に記載の熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット。
  3. 前記熱硬化性樹脂フィルムが、第1支持シートの一方の表面上に備えられる第1保護膜形成用シートとして、前記熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットに含まれるとともに、前記第2保護膜形成フィルムが、第2支持シートの一方の表面上に備えられる第2保護膜形成用シートとして、前記熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキットに含まれる、請求項1又は請求項2に記載の熱硬化性樹脂フィルムと第2保護膜形成フィルムのキット。
  4. 半導体ウエハにおける複数のバンプを有する表面に貼付し、加熱硬化させることによって前記表面に第1保護膜を形成するために、半導体ウエハの第2保護膜形成フィルムと組み合わせて使用される、熱硬化性樹脂フィルムであって、
    前記熱硬化性樹脂フィルム及び前記第2保護膜形成フィルムは、それぞれ、少なくとも熱硬化性成分を含み、
    前記熱硬化性樹脂フィルムは、示差走査熱量分析(DSC)法によって測定される発熱開始温度が、前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱開始温度より高い温度であり、
    さらに、前記熱硬化性樹脂フィルム及び前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱ピーク温度が、それぞれ100〜200℃であり、前記熱硬化性樹脂フィルムと前記第2保護膜形成フィルムとの前記発熱ピーク温度の差が35℃未満である、半導体ウエハに貼付して用いられる、熱硬化性樹脂フィルム。
  5. さらに、前記熱硬化性樹脂フィルムの線膨張係数が5×10−6/℃〜80×10−6/℃であり、且つ、前記第2保護膜形成フィルムの線膨張係数との差が35×10−6/℃未満として用いられる、請求項4に記載の熱硬化性樹脂フィルム。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の熱硬化性樹脂フィルムを、第1支持シートの一方の表面上に備えた、第1保護膜形成用シート。
  7. 半導体ウエハにおける回路及び複数のバンプを有する表面に、該複数のバンプを保護する第1保護膜を形成する、半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法であって、
    裏面側に第2保護膜形成フィルムが貼付された前記半導体ウエハの表面に、前記複数のバンプを覆うように熱硬化性樹脂フィルムを貼付することで、前記第2保護膜形成フィルム、前記半導体ウエハ及び前記熱硬化性樹脂フィルムが順次積層された積層体を形成する積層ステップと、
    前記積層体を加熱することで、前記熱硬化性樹脂フィルムに前記複数のバンプを貫通させ、前記複数のバンプの各々の間を埋め込むように前記熱硬化性樹脂フィルムを加熱硬化させることで、前記半導体ウエハの表面に前記第1保護膜を形成する硬化ステップと、を含み、
    前記熱硬化性樹脂フィルムは、示差走査熱量分析(DSC)法によって測定される発熱開始温度が、前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱開始温度より高い温度であり、
    さらに、前記熱硬化性樹脂フィルム及び前記第2保護膜形成フィルムの示差走査熱量分析法によって測定される発熱ピーク温度が、それぞれ100〜200℃であり、前記熱硬化性樹脂フィルムと前記第2保護膜形成フィルムとの前記発熱ピーク温度の差が35℃未満の関係である、半導体ウエハ用第1保護膜の形成方法。
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