JPWO2018074458A1 - 方法及び診断薬 - Google Patents

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    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/68Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving nucleic acids

Abstract

被検者のHLA型を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第1の基準と比較する工程を含む、被検者がB型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさを試験する。

Description

本発明は、B型肝炎の慢性化に関与するHLA class II遺伝子多型及びB型肝炎由来肝がんに関与するHLA遺伝子多型の検出方法及び診断薬に関する。本願は、2016年10月18日に、日本に出願された特願2016−204735号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
世界人口の1/3にあたる人々がB型肝炎ウイルス(HBV)に感染しているといわれている。B型肝炎は、一過性に終息する一過性感染と慢性肝炎に大別される。急性肝炎は感染後1〜6か月後の潜伏期間を経て症状が出現し、数週間で回復過程に入る。しかし急性肝炎を発症した患者のうち1〜2%の人は劇症肝炎を発症する危険性があり、劇症肝炎を発症した人の70〜80%は死亡する。
一方、感染したHBVが体内から排除されず6か月以上にわたって肝臓の中に住み着くことでキャリアとなる。キャリアの8〜9割は無症候期、一過性の肝炎期、肝炎沈静期を経て、その後は無症候キャリアのまま経過する。しかし、1〜2割は慢性肝炎に移行し、さらに、その一部が肝硬変や肝がんへと移行する。B型肝炎ウイルス慢性保菌者は東南アジアや東太平洋地域に多く分布し、特に、日本にはおよそ150万人のB型肝炎感染者がいるといわれている。
このように、HBV感染後の経過は多岐にわたり、主として慢性肝炎、肝がんに関与するウイルス側の遺伝要因が調べられてきた。しかしながら、近年では、宿主側の遺伝要因の探索も進み、日本人を含むアジア人サンプルを用いたゲノムワイド関連解析(Genome Wide Association Study: GWAS)により、B型慢性肝炎(CHB)に関連する新たな遺伝要因が報告されている。HBV持続感染やウイルス排除にはHLA−DPA1及びHLA−DPB1の関連が示唆されており(非特許文献1、非特許文献2)、HLA−DRと連鎖不平衡のあるHLA−DQの関与も示唆された(非特許文献3)。しかしながら、GWASを用いた解析では、慢性化に関与するそれ以外の強い遺伝要因は見つかっていない。また、がん化についても近年のGWASにより、中国から幾つかの宿主遺伝要因が報告されている(非特許文献4及び5)。
Kamatani Y, Wattanapokayakit S, Ochi H, Kawaguchi T, Takahashi A, et al. (2009) A genome-wide association study identifies variants in the HLA-DP locus associated with chronic hepatitis B in Asians. Nat Genet 41: 591-595. Nishida N, et.al., Genome-Wide Association Study Confirming Association of HLA-DP with Protection against Chronic Hepatitis B and Viral Clearance in Japanese and Korean Plos ONE June 2012 vol. 7, Issue 6, e39175 Mbarek H, Ochi H, Urabe Y, Kumar V, Kubo M, et al. (2011) A genome-wide association study of chronic hepatitis B identified novel risk locus in a Japanese population. Hum Mol Genet 20: 3884-3892 Li S, Qian J, Yang Y, Zhao W, Dai J, et al. (2012) GWAS Identifies Novel Susceptibility Loci on 6p21.32 and 21q21.3 for Hepatocellular Carcinoma in Chronic Hepatitis B Virus Carriers. PloS Genet 8(7): e1002791 Jiang DK, Sun J, Cao G, Liu Y, Lin D, et al. (2013) Genetic variants in STAT4 and HLA-DQ genes confer risk of hepatitis B virus-related hepatocellular carcinoma. Nat Genet 45: 72-75
これまでのGWASにより、HBV持続感染やウイルス排除にはHLA−DPB1やHLA−DQB1の関連が示された(Kamatani et al. 2009, Nishida et al. 2012)。更にHLA−DPB1については抵抗性・感受性アリルが調べられているものの、HLA−DRB1及びHLA−DQB1での詳細なアリルの検討や、ハプロタイプの検討はなされていない。また、B型肝炎由来の肝がんについてもGWASがなされており、複数の遺伝要因が同定されているが、日本人で再現できないものもあるなど、日本人検体での大規模解析を実施する必要がある。
そこで、本発明は、健常者群、B型慢性肝炎群及びB型肝炎病態進展群(肝がん)を用いて解析を実施し、B型肝炎ウイルス関連疾患の病態進展に感受性及び抵抗性のアリルを同定することにより、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさを試験する方法及び診断薬を提供することを目的とする。
本発明に係るB型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさを試験する方法及び診断薬は、下記(1)〜(12)である。
(1)被検者のHLA型を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第1の基準と比較する工程を含む、被検者がB型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさを試験する方法。
(2)前記被検者に感染したB型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第2の基準と比較する工程を更に含む、前記(1)の方法。
(3)前記病態進展が、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合の肝がんへの進展であり、前記第1の基準が、前記HLA型がHLA−DPB1*02:01を含む場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準である、前記(1)に記載の方法。
(4)前記病態進展が、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合の肝がんへの進展であり、前記第1の基準が、前記HLA型がHLA−DPB1*02:01を含む場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準である、前記(2)に記載の方法。
(5)前記変異が前記B型肝炎ウイルス集団由来のHBs抗原タンパク質における変異であり、前記第2の基準が、前記HBs抗原タンパク質の第166番目の最頻出アミノ酸がロイシンでない場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準であるか、前記HBs抗原タンパク質の第236番目の最頻出アミノ酸がグルタミンでない場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準であるか、前記HBs抗原タンパク質の第251番目の最頻出アミノ酸がアルギニンでない場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準であるか、前記HBs抗原タンパク質の第275番目の最頻出アミノ酸がロイシンでない場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準である、前記(4)に記載の方法。
(6)前記病態進展が、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合の肝がんへの進展であり、前記第1の基準が、前記HLA型がHLA−A*33:03を含む場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しやすいという基準である、前記(1)又は前記(2)に記載の方法。
(7)前記病態進展が、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合のB型慢性肝炎への進展であり、前記第1の基準が、前記HLA型がHLA−DPB1*09:01、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01を含む場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合にB型慢性肝炎に進展しやすいという基準である、前記(1)又は前記(2)に記載の方法。
(8)前記病態進展が、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合のB型慢性肝炎への進展であり、前記第1の基準が、前記HLA型がHLA−DPB1*04:01、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04を含む場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合にB型慢性肝炎に進展しにくいという基準である、前記(1)又は前記(2)に記載の方法。
(9)HLA−A*33:03又はHLA−DPB1*02:01のHLA型を検出するプライマーセットを含む、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合の肝がんへの進展のしやすさを試験するための診断薬。
(10)B型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を決定するプライマーセット、又はB型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を決定する特異的結合物質、を更に含む、前記(9)に記載の診断薬。
(11)HLA−DPB1*09:01、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01のHLA型を検出するプライマーセット、又はHLA−DPB1*04:01、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04のHLA型を検出するプライマーセットを含む、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合のB型慢性肝炎への進展のしやすさを試験するための診断薬。
(12)B型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を決定するプライマーセット、又はB型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を決定する特異的結合物質、を更に含む、前記(11)に記載の診断薬。
本発明によれば、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさを試験する技術を提供することができる。
以下、被検者のHLA型を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第1の基準と比較することにより、被検者がB型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさを試験する方法及び診断薬に関して説明する。以下の説明では、B型肝炎ウイルス関連疾患とは、持続感染、無症候キャリア、B型慢性肝炎、肝硬変及び肝がんのうち少なくとも1つである。B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展とは、例えば、B型肝炎ウイルスに持続感染した患者が慢性肝炎を発症する場合、慢性肝炎の患者が肝硬変を発症する場合、慢性肝炎の患者が肝がんを発症する場合、肝硬変の患者が肝がんを発症する場合、無症候キャリアから肝がんを発症する場合などがある。B型肝炎ウイルスに持続感染した患者は、C型肝炎ウイルスに罹患した患者とは異なり、病態進展の段階を踏まずに肝がんへと病態進展する場合がある。病態進展のしやすさとは、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した患者同士で比較して、病態進展しやすいか、又は、しにくいかである。病態進展しやすい患者とは、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に、慢性肝炎、肝硬変、肝がんのいずれかを発症しやすい患者である。また、病態進展しにくい患者とは、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に、慢性肝炎、肝硬変、肝がんのいずれかを発症しにくい患者である。
[第1の実施形態]
(1)B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連のあるアリル 第1の実施形態では、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連のあるアリルに関して説明する。
以下の説明において、「B型肝炎の慢性化」とは、HBVが持続感染している状態をいい、発症要因としては、以下の:HBV持続感染者からの母児感染(垂直感染);乳幼児期の医療行為等の理由で、HBV持続感染者の血液や体液が体内に侵入した場合;体の免疫力が低下するような免疫抑制剤や抗がん剤の使用中にHBVに感染した結果、HBVを体内から排除できずに持続感染を起こす場合;及び健常者が近年ジェノタイプA型という欧米型やアジア・アフリカ型等の外来種HBVに感染した場合等があげられる。このように、HBVに感染すると、8〜9割が無症候キャリアとなるが、1〜2割は慢性肝炎に移行する。さらにその中の一部が肝硬変や肝がんへ移行する。「肝硬変」とは、B型肝炎ウイルス感染により損傷した肝臓が修復されるときにできる線維が肝臓に拡がった状態をいい、肝臓が硬くなったために腹水や食道静脈瘤が生じたり、肝臓機能が低下するために肝性脳症や黄疸が生じたりする原因となる。「肝がん」とは、B型肝炎ウイルスの感染が原因で生じる肝細胞がんをいう。
B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連のあるアリルとは、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に感受性である(B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展してがん化しやすい)か又は抵抗性である(B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展してがん化しにくい)アリルをいう。
B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連のあるアリルの検索は、B型慢性肝炎患者、肝がん患者又は健常人から採取した生物学的試料からゲノムDNAを調製し、ダイレクトシークエンス法等によって遺伝子配列を解析することによって行うことができる。このようにして得られた新規アリルは、B型慢性肝炎患者又は肝がん患者から見出されたものであるため、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化との関連性が高い、本実施形態に係るアリルとして有望な候補である。上記のように選択したアリルとB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化との関連性を確認するには、統計的な検定によって行うことができる。例えば、B型肝炎の慢性化を有する群と健常人群における該候補アリルの出現率をそれぞれ算出し、当該候補アリルとB型肝炎の慢性化との関連を統計的に検定する。検定は、χ検定、フィッシャーの正確確率検定(Fischer’s exact test)等、統計学上適当な方法によって行うことができ、必要に応じて有意水準の補正を行ってもよい。
上記アリルを検出する方法は、特に制限はなく、当業者にとって公知の方法の中から選択することができる。例えば、TaqMan PCR法、MALDI−TOF/MS法、ASO (allele−specific oligonucleotide)法、直接シークエンス法、RFLP法、インベーダー法、TGGE, DGGE法、MutY 酵素法、マイクロアレイ、Protein truncation test (PTT)法、Snipper法、ルミネックス法、直接シークエンス法、HLA Imputation法、マイクロSSP法等の公知のタイピング方法の中から、目的等に応じて選択することができる。PCR法を応用した方法が多いが、PCR法によらない方法もある。また、直接シーケンス法は、従来型の直接シーケンス法又は次世代型直接シーケンス法であってもよい。HLA Imputation法とは、個人のHLA遺伝子型をコンピュータにより高い精度で推定する遺伝統計解析の手法である。マイクロSSP法とは、複数のプライマーを用いてPCR増幅を行い、ゲル電気泳動により特徴的な多型部分が増幅されたか否かを確認し、当該増幅のパターンに基づいてアリルを判定する手法である。
本発明者らは、日本人のB型肝炎陽性の肝がん患者群473検体とB型慢性肝炎患者群および無症候キャリア群516検体とについてGWASおよびHLAの6座位についてHLA imputationによる解析をした結果、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に感受性のあるアリルとしてHLA−A*33:03を同定した。また、本発明者らは、日本人のB型肝炎陽性の肝がん患者群473検体とB型慢性肝炎患者群および無症候キャリア群516検体についてHLA−DPB1のGWASおよびHLAの6座位についてHLA imputation法により解析した結果、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に抵抗性のあるアリルとしてHLA−DPB1*02:01を同定した。HLAはヒトの主要組織適合性複合体(MHC; Major Histocompatibility Complex)であり、移植片や細菌、ウイルス等の外来抗原ペプチドと結合してT細胞に提示する膜タンパク質である。HLAには多くのアリルが存在することが知られており、これらの情報についてはHLA nomenclature (http://hla.alleles.org/announcement.html)等に記載がある。なお、本明細書のアリルや多型の表記は、HLA nomenclatureによる表記方法に基づく。
上記アリルに関するシークエンスデータは、例えばGenBank(NIH genetic sequence database)や、DDBJ(DNA Data Bank of Japan)、IPD−IMGT/HLA(Immno Polymorphism Database;http://www.ebi.ac.uk/ipd/imgt/hla/)等のデータベースに登録されているデータを用いてよい。ここで、GenBankには、HLA−A*33:03のcDNAの塩基配列は例えば、HSU09740と、アミノ酸配列は例えば、AAA79865と登録されている。GenBankには、HLA−DPB1*02:01のcDNAの塩基配列は例えば、AY804134と、アミノ酸配列は例えば、AAW78739と登録されている。
なお、上記のアリルHLA−A*33:03及びHLA−DPB1*02:01を「B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連のあるアリル」、「本実施形態に係るアリル」、また、アリルにかえてHLA型、多型、SNPという場合がある。
(2)B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の素因の検出方法 本実施形態の方法は、上記B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連のあるアリル(以下の記載では、「HLA型」、「多型」、「SNP」という場合もある)を用いてB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の素因を検出する方法に関する。具体的には、以下の工程:a)被検者のHLA型を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第1の基準と比較する工程;を含む。
実施例において後述するように、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に感受性のあるアリルとは、HLA−A*33:03であり、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に抵抗性のあるアリルとはHLA−DPB1*02:01である。すなわち、上記の第1の基準とは、被検者がHLA−A*33:03アリルを有する場合にはB型肝炎ウイルス関連疾患から病態進展してがん化しやすく、被検者がHLA−DPB1*02:01アリルを有する場合にはB型肝炎ウイルス関連疾患から肝がんへ病態進展しにくいという基準である。上記方法について以下に詳細に説明する。
「被検者のHLA型を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第1の基準と比較する工程」は、換言すればHLA−A*33:03及び/又はHLA−DPB1*02:01アリルの塩基配列及びアミノ酸配列のアリルの検出である。
アリルの検出(タイピング)は、遺伝子レベル又はタンパク質レベルで行うことができる。例えば、検体からゲノムDNA又はmRNAを調製し、塩基配列に基づいて、ゲノムDNA又はmRNAにおけるB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連のあるアリルを検出することができる。
(2−1)検体からのゲノムDNA又はmRNA調製
本実施形態の方法で用いる試料は、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に感受性であるか又は抵抗性であるかを検査しようとする検体から採取した生物学的試料をもとに、当業者に周知の方法で調製したゲノムDNA又はmRNAを用いることができる。本実施形態の方法で用いる検体から採取する生物学的試料は、例えば、血球検体の細胞又は組織、毛髪、便、尿、唾液、細胞、鼻腔粘膜からこすりとった細胞、口腔粘膜からこすりとった細胞等を用いることができるが、これらに限定されない。
ゲノムDNAは、いかなる公知の方法によっても調製することができ、例えば、フェノール/クロロホルム法、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)法等があげられる。また、mRNAの調製もいかなる公知の方法によっても調製することができ、例えば、グアニジンイソチオシアネート法等があげられる。ゲノムDNA又はmRNAの調製には、市販のキットを用いてもよい。当該キットとしては、例えば、ゲノムDNAの調製用としては、Wizard Genomic DNA Purification Kit (Promega)、mRNAの調製用としては、NucleoTrap mRNA Kit(Clontech)等があげられる。なお、以下で説明するアリルの検出のために、mRNAからcDNAを合成してもよい。cDNAの合成方法は当技術分野で公知のいかなる方法をも用いてよい。例えば、ランダムプライマー又はポリTプライマーを用いて、RNAから逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によりcDNAを合成することができる。
(2−2)アリルの検出
上記のように調製したゲノムDNA又はmRNAにおけるHLA−A*33:03及び/又はHLA−DPB1*02:01アリルの検出方法は特に限定されない。例えば、直接配列決定法、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、制限酵素断片長多型(RFLP)、ハイブリダイゼーション法、プライマー伸長反応、質量分光法、ルミネックス法、直接シークエンス法、HLA Imputation法、マイクロSSP法等を用いる方法があげられるが、これらに限定されない。
(2−2−1)直接配列決定法
例えば、ゲノムDNA又はmRNA由来のcDNAを用いた直接配列決定法によりHLA−A*33:03及び/又はHLA−DPB1*02:01アリルを検出することができる。直接配列決定法は、上記で調製したゲノムDNA又はmRNAからcDNAを調製し;検出対象であるHLA−A*33:03及び/又はHLA−DPB1*02:01アリルを含む領域を、ベクターにクローニングするか又はPCRで増幅し;当該領域の塩基配列を決定することにより行う。例えば、適切なプライマーを用いてPCR反応により増幅し、適切なベクターに連結することによりクローニングすることができる。さらに、別のベクターにサブクローニングすることもできるが、これらに限定されない。ベクターとしては、例えば、pBlue−Script(商標)SK(+)(Stratagene)、pGEM−T(Promega)、pAmp(TM: Gibco−BRL)、p−Direct(Clontech)、pCR2.1−TOPO(Invitrogene)等の市販のプラスミドベクター、ウイルスベクター、人工染色体ベクターやコスミドベクターを用いることができる。塩基配列の決定は特に限定されず、例えば、放射性マーカーヌクレオチドを使用する手動式配列決定法や、ダイターミネーターを使用する自動配列決定法、次世代シークエンス法等があげられるが、これらに限定されない。このようにして得られた塩基配列に基づき、検体がHLA−A*33:03及び/又はHLA−DPB1*02:01アリルに相当する配列を有するか否かを決定する。
(2−2−2)PCR法
本実施形態に係るアリルは、PCR法を利用して検出することもできる。PCRは、本実施形態に係るアリルを有する配列又は他のアリルを有する配列にのみハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを用いて行う。このプライマーセットを使用して検体のゲノムDNA又はmRNA由来のcDNAを増幅する。本実施形態に係るアリル用プライマーのみがPCR産物を生成した場合には、検体は本実施形態に係るアリルをホモで有し、本実施形態に係るアリル用プライマーと他のアリル用プライマーからのPCR産物が生成された場合には、検体は本実施形態に係るアリルをヘテロで有することになる。他のアリル用プライマーのみがPCR産物を生成した場合には、検体には本実施形態に係るアリルがないことが示される。
(2−2−3)PCR−RFLP法
本実施形態に係るアリルは、制限酵素断片長多型(Restriction Fragment Length Polymorphism;RFLP)を利用して検出することもできる。まず、検出対象の本実施形態に係るアリルを含む領域をPCRで増幅する。続いてこのPCR産物を、本実施形態に係るアリルに適する制限酵素で切断する。制限酵素により消化されたPCR産物は、ゲル電気泳動で分離し、エチジウムブロマイド染色で可視化する。当該断片長を、分子量マーカー並びに他のアリル及び本実施形態に係るアリルの対照により生じた断片長と比較して、検体における本実施形態に係るアリルの存在を検出することができる。
(2−2−4)ハイブリダイゼーション法
本実施形態に係るアリルは、ハイブリダイゼーションを利用して検出することもできる。ハイブリダイゼーション法は、検体由来のゲノムDNA又はmRNAが、それに対し相補的なDNA分子(例えばオリゴヌクレオチドプローブ)とハイブリダイズする性質に基づき、本実施形態に係るアリルの有無を決定する方法である。コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、サザンブロット等の公知のハイブリダイゼーション等のハイブリダイゼーション及び検出のための種々の技術を利用してこのハイブリダイゼーション法を行うことができる。ハイブリダイゼーション法の詳細な手順については、『Molecular Cloning, A Laboratory Manual 3rd ed.』(Cold Spring Harbor Press (2001);特にSection 6−7)、『Current Protocols in Molecular Biology』(John Wiley & Sons (1987−1997);特にSection6.3−6.4)、『DNA Cloning 1: Core Techniques, A Practical Approach 2nd ed.』(Oxford University(1995);ハイブリダイゼーション条件については特にSection2.10)等を参照することができる。さらに、ハイブリダイゼーションはDNAチップを利用して検出することもできる。当該方法としては、本実施形態に係るアリルに特異的なオリゴヌクレオチドプローブを設計し、それを固相支持体に貼りつけたものを用いる。そして、検体由来のDNAサンプルを当該DNAチップと接触させて、ハイブリダイゼーションを検出する。
(2−2−5)その他の方法
例えば、TaqMan PCR法は、アレル特異的なTaqmanプローブとTaqポリメラーゼを用い、SNPの検出とSNPを含む領域の増幅とを同時並行で行う方法である。Taqmanプローブは、5’末端が蛍光物質、3’末端がクエンチャーで標識されている約20塩基前後のオリゴヌクレオチドであり、目的のSNP部位にハイブリダイズするよう設計されている。Taqポリメラーゼは5’−3’ヌクレアーゼ活性がある。これらのTaqmanプローブ及びTaqポリメラーゼ存在下で目的のアリルを含む領域を増幅するよう設計されたPCRプライマーを用いて該アリル領域を増幅すると、増幅と並行して、Taqmanプローブが鋳型DNAの目的アリル部位にハイブリダイズする。フォワードプライマー側からの伸長反応が、鋳型にハイブリダイズしたTaqmanプローブに到達すると、Taqポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性により、Taqmanプローブの5’末端に結合していた蛍光物質が切断される。その結果、遊離した蛍光物質はクエンチャーの影響を受けなくなり、蛍光を発生する。蛍光強度の測定により、SNP検出が可能となる。
MALDI−TOF/MS法を応用したSNPタイピング方法として、プライマー伸長法と組み合わせた方法もあげられる。この方法はハイスループットな解析が可能であり、1)PCR、2)PCR産物の精製、3)プライマー伸長反応、4)伸長産物の精製、5)質量分析、6)ジェノタイプ決定、のステップにより解析する。まずPCRによって、目的とするSNP部位を含む領域をゲノムDNAから増幅する。PCRプライマーは、アリル部位塩基と重複しないように設計する。そして、エキソヌクレアーゼとエビのアルカリホスファターゼ(shrimp alkaline phosphatase)を用いて酵素的除去方法により精製するかエタノール沈殿法を用いて精製する。次に、3’末端がSNP部位に直接隣接するように設計したジェノタイピングプライマーを用いて、プライマー伸長反応を行う。PCR産物を高温で変性し、過剰のジェノタイピングプライマーを加えて、アニールさせる。ddNTPとDNAポリメラーゼを反応系に添加し、サーマルサイクル反応させると、ジェノタイピングプライマーよりも1塩基長いオリゴマーが生じる。この伸長反応で生じる1塩基長いオリゴマーは、ジェノタイピングプライマーの上記設計により、アリルに応じて異なる。精製した伸長反応産物について質量分析を行い、マススペクトルから解析する。
ハイスループットが可能なSNPタイピング法として、1分子蛍光分析法を応用した方法があげられる。例えば、MF20/10S(オリンパス)は、当該方法を採用したシステムである。具体的には、共焦点レーザー光学系と高感度光検出器を用いて、約1フェムトリットル(1000兆分の1リットル)の超微小領域中で、相補的・非相補的なプライマーを用いたPCR法によって増幅した蛍光ラベルプライマーの1分子レベルの並進拡散時間を計測及び解析するものである。
またDNAチップによる方法も、ハイスループットが可能なタイピングの1つである。DNAチップは、基板上に多種類のDNAプローブを整列して固定したもので、標識したDNA試料をチップ上でハイブリダイゼーションし、プローブによる蛍光シグナルを検出する。
PCR法以外の遺伝子増幅法を利用したSNPタイピング方法の例として、Snipper法があげられる。当該方法は、環状一本鎖DNAを鋳型としてDNAポリメラーゼがその上を移動しながら相補鎖DNAを合成するDNA増幅方法であるRCA(rolling circle amplification)法を応用したSNPタイピング法である。プローブは80−90塩基長のオリゴDNAで、標的SNPの5’及び3’末端近傍のそれぞれに相補的な10−20塩基長の配列を両末端に含んでおり、標的DNAにアニールして環状になるように設計されている。また、プローブの3’末端が標的アレルに相補的配列となるよう設計されている。プローブの3’末端が標的アレルと完全に相補的であれば、プローブは環状化されるが、プローブの3’末端がミスマッチであるとプローブは環状化されない。またプローブには、40−50塩基長のバックボーン配列があり、2種類のRCA増幅プライマーと相補的な配列が含まれる。
PCR法以外の遺伝子増幅法を利用したSNPタイピング方法としては、例えば、UCAN法やLAMP法を利用したタイピング方法があげられる。UCAN法は、タカラバイオが開発した遺伝子等温増幅法であるICAN法を応用した方法である。UCAN法では、プライマー前駆体としてDNA−RNA−DNAキメラオリゴヌクレオチド(DRD)を用いる。このDRDプライマー前駆体は、DNAポリメラーゼによる鋳型DNAの複製が起こらないように、3’末端のDNAが修飾してあり、SNPサイトにRNA部分が結合するように設計されている。このDRDプライマー前駆体を鋳型とインキュベートすると、DRDプライマーと鋳型が完全にマッチしている場合のみ、共存するRNase Hが対合したDRDプライマーのRNA部分を切断する。これにより、プライマー3’末端は修飾DNAが外れて新しくなるため、DNAポリメラーゼによる伸長反応が進み、鋳型DNAが増幅される。一方、DRDプライマーと鋳型DNAがマッチしない場合、RNase HはDRDプライマーを切断せず、DNA増幅も起こらない。パーフェクトマッチしたDRDプライマー前駆体がRNase Hによって切断されたあとの増幅反応は、ICAN反応メカニズムによって進行する。
LAMP法は、栄研化学によって開発された遺伝子等温増幅法で、標的遺伝子の6箇所の領域(3’末端側からF3c、F2c、F1c、5’末端側からB3、B2、B1)を規定し、当該6領域に対する4種類のプライマー(FIPプライマー、F3プライマー、BIPプライマー、B3プライマー)を用いて増幅する。タイピングを目的とする場合は、F1−B1間は標的SNP部位(1塩基)のみでよく、FIPプライマー及びBIPプライマーを、その5’端にSNPの1塩基がくるように設計する。WTアリルの場合、LAMP法の起点構造であるダンベル構造からDNAの合成反応が起こり、増幅反応が連続的に進行する。アリルがある場合は、ダンベル構造からのDNA合成反応が起こらず、増幅反応は進行しない。
インベーダー(Invader)法は、核酸増幅法を用いず、2種類の非蛍光標識プローブ(アレルプローブ、インベーダープローブ)と1種類の蛍光標識プローブ(FRETプローブ)及びエンドヌクレアーゼであるcleavaseを用いる方法である。アレルプローブは、鋳型DNAに対しSNP部位から3’末端側に相補的な配列があり、プローブの5’側にフラップという鋳型DNAと無関係な配列がある。インベーダープローブは、鋳型DNAのSNP部位から5’側に相補的な配列があり、SNP部位に相当する部分の塩基は任意の塩基がある。FRETプローブは、3’側にフラップ配列に相補的な配列がある。一方の5’側は蛍光色素及びクエンチャーで標識されているが、FRETプローブは分子内で2本鎖を形成するよう設計されており、通常は消光されている。これらを鋳型DNAと反応させると、アレルプローブが鋳型DNAと2本鎖を形成したときに、SNP部位にインベーダープローブの3’末端(任意塩基部分)が侵入する。cleavaseは、当該塩基が侵入した構造を認識して、アレルプローブのフラップ部分を切断する。次に、この遊離したフラップがFRETプローブの相補配列と結合すると、フラップの3’末端がFRETプローブの分子内二本鎖部分に侵入する。cleavaseは、上記アレルプローブとインベーダープローブの場合と同様に、このFRETプローブにフラップの塩基が侵入した構造を認識し、FRETプローブの蛍光色素を切断する。蛍光色素はクエンチャーから離れるため、蛍光が発生する。アレルプローブがアレルとマッチしない場合は、cleavaseが認識する、上記特異的な構造が形成されないため、フラップは切断されない。
(2−2−6)アリルの検出に用いる物質
アリルを検出するポリヌクレオチドについて以下に説明する。
アリルの検出にプライマーを用いる場合は、増幅する領域及びタイピング方法に即したプライマーとなるように設計する。例えば、上記領域を完全に増幅できることが好ましく、上記領域の両端付近の配列に基づいて配列を設計できる。プライマーの設計手法は当技術分野で周知であり、本実施形態において使用可能なプライマーは、特異的なアニーリングが可能な条件を満たす、例えば特異的なアニーリングが可能な長さ及び塩基組成(融解温度)を有するように設計される。増幅する領域の長さは、タイピングに支障がない限り制限はないし、検出方法により適宜増減してよい。また、増幅される領域の一部にはアリル部位が含まれるが、増幅される領域内における当該部位の位置に制限はなく、検出方法(タイピング方法)にしたがって適切な位置に配置してよい。そのためプライマーの設計にあたり、プライマーとアリル部位との位置関係は、検出方法にあわせて自由に設計でき、検出しようとするアリルを含む塩基配列の一部領域(例えば、連続した50塩基長以上500塩基長以下)にハイブリダイズする限り、タイピング方法の特性を考慮しながら、プライマーを設計できる。プライマーとしての機能を発揮する長さとしては、10〜100塩基以上が好ましく、通常15〜50塩基、好ましくは15〜30塩基である。また設計の際には、任意の核酸鎖の50%がその相補鎖とハイブリッドを形成する温度であるプライマーの融解温度(Tm)を確認することが好ましい。鋳型となるDNAとプライマーとが二本鎖を形成してアニーリングするためには、アニーリングの温度を最適化する必要があるが、その一方で、この温度をより低すぎると非特異的な反応がおこるため、好ましくないからである。Tmの確認には、公知のプライマー設計用ソフトウェアを利用することができる。
アリルの検出にプローブを用いる場合は、プローブがアリル部位を認識するように設計する。プローブ設計において、アリル部位は、タイピング方法にあわせて、プローブ内のいずれかの場所で認識されればよく、タイピング方法によっては、プローブの末端で認識されてもよい。アリル検出用ポリヌクレオチドをプローブとする場合、ゲノムDNAに相補的な塩基配列の長さは、通常15〜200、好ましくは15〜100塩基、より好ましくは15〜50塩基であるが、タイピング方法によってはこれより長く
ても短くてもよい。
(2−2−7)本実施形態に好ましいアリルの検出方法
本実施形態の方法として好ましいアリルの検出方法としては、PCRを用いたPCR−SSOP(Sequence Specific Oligonucleotide probe)法、ルミネックス法、直接シークエンス法、HLA Imputation法、マイクロSSP法等が挙げられる。PCR−SSOP法では具体的には、まず、ビオチン標識したプライマーを用いてPCRで検体の上記アリルを含む領域を増幅する。続いて、増幅DNAを1本鎖DNAとし、特異的な配列であるプローブと特異的に結合させる。例えば、プローブを蛍光色素で色分けされたマイクロビーズに固定し、増幅DNAが結合したマイクロビーズからビオチンを介した蛍光標識ストレプトアジピンの結合による蛍光シグナルが得られるので、この蛍光シグナルの種類と増幅DNAの結合による蛍光を識別して同時に検出することで増幅DNAが結合したビーズの種類から遺伝子タイプが決定できる。当該方法には、市販のキットを用いてもよい。当該キットとしては、例えば、多数の多型を一度に判別できるxMAP(登録商標)テクノロジー(Luminex社)等があげられるが、これらに限定されない。アリルの検出方法は、ルミネックス法、本方法を用いた本実施形態の方法の概要を以下に説明する。
アリルの検出に用いるポリヌクレオチドは、HLA−A*33:03及び/又はHLA−DPB1*02:01アリルの塩基配列をもとに、プライマー又はプローブの別及び適応する検出方法に合わせて、公知のオリゴヌクレオチド合成手法により化学合成することができ、市販の化学合成装置を用いて合成されてよい。当業者であれば、HLA−A*33:03及び/又はHLA−DPB1*02:01アリルの塩基配列及びそれらの相補鎖並びに本実施形態に係るアリルの位置情報に基づいて、公知の方法を用いてポリヌクレオチドを合成することができる。さらに、当該オリゴヌクレオチドの合成において、蛍光色素やビオチン等で修飾されたヌクレオチド誘導体を利用して、ポリヌクレオチドを修飾したり、合成されたポリヌクレオチドに、蛍光色素等を結合したりしてもよい。
そして、検体から調製したゲノムDNAに、上記プライマー及び耐熱性DNAポリメラーゼ等を作用させてPCR反応を行う。上記方法は、『Molecular Cloning, A Laboratory Manual 3rd ed.』(Cold Spring Harbor Press (2001))』等に従い、当業者であれば容易に行うことができるが、本実施形態のPCR反応の条件としては、例えば、以下の条件があげられる。
変性温度:90〜100℃
アニーリング温度:40〜70℃
伸長温度:60〜75℃、
上記のサイクル数:30〜50回程度
増幅の特異性を高めるために、2組以上のプライマーを用いて2回以上増幅反応を行ってもよい。その際、各増幅反応で用いるプライマーを、同じ位置に設計してもよく、最初の増幅におけるプライマーの位置よりも内側に設計してもよい。このようにして、検体のゲノムDNAを鋳型として、本実施形態に係るアリルの塩基配列を含む領域の核酸断片を特異的に増幅することができる。
続いて、増幅した核酸断片を精製した後、例えば、塩基配列を決定し、決定した塩基配列と、本実施形態に係るアリルの塩基配列とを比較してもよい。これにより、検体が本実施形態に係るアリルを有するかを決定することができる。得られたPCR産物の精製方法は特に限定されない。例えば、Wizard SV Gel and PCR clean−UP System (Promega)、GENECLEAN(フナコシ)、QIAquick(登録商標) PCR purification Kits(QIAGEN)、ExoSAP−IT(GEヘルスケアバイオサイエンス)等のキットを用いる方法、DEAE−セルロース濾紙を用いる方法、透析チューブを用いる方法等がある。アガロースゲルを用いる場合には、アガロースゲル電気泳動を行い、塩基配列断片をアガロースゲルより切り出して、Wizard SV Gel and PCR clean−UP System (Promega)、GENECLEAN(フナコシ)、QIAquick(登録商標) Gel extraction Kits(QIAGEN)、フリーズ&スクイーズ法等により精製することができる。配列決定方法は特に限定されず、例えば、増幅した核酸断片をベクターにクローニングせずに配列を決定することができるダイレクト・シーケンス法があげられるが、これらに限定されない。当該配列決定法としては、例えばCEQTMDTCS Quick Start Kit(BECKMAN)、BigDye Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit ABI310(Applied Biosystems)等の市販のキットを用いて簡易に行うことができる。上記のダイレクト・シーケンス法を行う場合には、本実施形態に係るアリルを含む領域の塩基配列を特異的に決定することができるプライマーを用いることが好ましい。用いるプライマーセットは公知の方法により設計できる。
上述したように、検体における本実施形態に係るアリルに対応する領域の塩基配列を決定した後、その塩基配列と、本実施形態に係るアリルの塩基配列を比較する。
(2−3)B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連のあるアリルと、検体から得られたアミノ酸配列中の前記アリルのアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を比較する工程
本実施形態の方法において、タンパク質レベルで本実施形態に係るアリルを検出することもできる。具体的には、本実施形態に係るアリルを有するHLAタンパク質を特異的に認識することができる抗体を用いることにより、本実施形態に係るアリルを検出することができる。当該抗体は、HLA−A*33:03及び/又はHLA−DPB1*02:01アリルのアミノ酸配列のいずれかの領域からなるペプチドを抗原として免疫学的方法により作製できる。抗体の作製方法、及び抗体を用いた本実施形態に係るアリルの検出方法は、特に限定されない。
(2−4)B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に対する発症抵抗性又は感受性の判定
実施例において後述するように、本実施形態において、HLA−DPB1*02:01アリルは、当該検体がB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に対して発症抵抗性を有することを示す。また、HLA−A*33:03アリルは当該検体がB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に対して発症感受性を有することを示す。この意味で、本実施形態の方法は、本実施形態に係るアリルを用いてB型慢性肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の検査を行う方法ともいえる。
さらに、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に対する発症感受性アリル及び発症抵抗性アリルを診断実用性の計算に用いて、B型肝炎患者におけるB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の陽性率を解析することにより評価することもできる。B型肝炎慢性化等に関する「陽性率」とは、患者全体のうち、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関する感受性アリルが1又はそれ以上ある患者の割合又はB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関する抵抗性アリルがないか1のみある患者の割合をいう。例えば、本明細書の実施例に記載した日本人HBV患者のうち病態進展することによりがん化した473例については、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関する感受性アリルであるHLA−A*33:03を有する患者は76例であり、いずれもないのは397例であるので、陽性率は16.07%となる。さらに、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関する抵抗性アリルであるHLA−DPB1*02:01を2つ有するのは12例で、1つだけ有するのは120例で、1つも有しないのは341例であるので、陽性率は97.46%となる。
B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に対する発症感受性の有無は、B型肝炎の慢性患者だけでなく非慢性患者にとっても重要な情報であり、例えば、B型慢性肝炎の治療方法や治療薬の選定及びB型慢性肝炎の予防・発症防止に関する重要な情報となる。なお、このHLA−A*33:03アリルの存在は、ホモ又はヘテロのいずれでもよい。ヒトは各遺伝子について父親由来と母親由来の2種類を有するからである。
また、本発明者らは、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連するHLAアリルについて、HBV患者群370人(アリル総カウント740個)と健常対照群2281人(アリル総カウント4582個)についての95%信頼区間におけるオッズ比(OR;Odds Ratio)を求めた。ここで、オッズ比とは、あるアリルの組み合わせを有するヒトの群についての、HBV患者群のオッズと、健常対照群のオッズとの比である。このHBV患者群のオッズは、HBV患者数のうち、ある特定のアリルを有するHBV患者数の比によって求められる。また、この健常対照群のオッズは、健常対照群の人数のうち、ある特定のアリルを有する健常対照群の人数の比によって求められる。以下、具体例として、抵抗性アリルとしてHLA−DPB1*02:01を有するヒトの群について説明する。
この具体例において、HBV患者群370人由来の試料のうち、この具体例に示す特定のアリルは108個検出された。また、この具体例において、健常対照群2281人由来の試料のうち、この具体例に示す特定のアリルは1112個検出された。この具体例に示す特定のアリルを有するヒトについて、オッズ比は0.53である。この具体例に示すHLA−DPB1*02:01アリルを有するヒトのオッズ比の0.53は、HLA−DPB1*04:02アリルを有するヒトのオッズ比である0.54よりも低いオッズ比であり、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に抵抗性としては、強い抵抗性である。
ここで、本発明者らは、B型肝炎ウイルス関連疾患によって病態進展し、慢性肝炎に進展したHBV患者が、その後の病態進展によりがん化したか否かのオッズ比を算出した。 HLA−DPB1*02:01アリルを有するヒトがB型肝炎ウイルス関連疾患による慢性肝炎が病態進展し、がん化した患者由来の試料は、108個である。B型肝炎ウイルス関連疾患による慢性肝炎が病態進展し、がん化しなかった患者由来の試料は、179個である。B型肝炎ウイルス関連疾患によって慢性肝炎に病態進展し、がん化した患者と、がん化しなかった患者とのオッズ比は0.61である。これは、HLA−DPB1*02:01アリル以外のアリルを有するヒトよりも、強い抵抗性を示している。
つまり、HLA−DPB1*02:01アリルは、B型肝炎ウイルス関連疾患によって病態進展し慢性肝炎に進展した後にがん化する際に、強い抵抗性を示している。
ここで、オッズ比が1より小さい場合には、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に抵抗性があるといえる。この具体例においては、抵抗性アリルとしてHLA−DPB1*02:01を有するヒトは、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に抵抗性があるといえる。
つまり、本実施形態に係るアリルを用いることにより、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に対する発症抵抗性又は感受性を判定することができる。
(3)B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の素因の検出のための診断薬
本実施形態に係るアリルを用いてB型肝炎のウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の素因を検出することができる。したがって、上記アリルを検出する診断薬は、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の検査用診断薬として有用である。当該診断薬はB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に対する発症抵抗性若しくは感受性又は病態進展を判定するためにも用いることができる。具体的には、上記の本実施形態に係るアリルや各種プライマーやプローブ、本実施形態に係るアリルに特異的に結合することができる抗体、SNPタイピングを行うときに同時に用いる診断薬類(例えば、デオキシヌクレオチド3リン酸(dNTPs)やDNAポリメラーゼ、緩衝液等)や陽性コントロール等に加えて、他の溶媒や溶質と組み合わせて診断薬とすることができる。たとえば、蒸留水、pH緩衝診断薬、塩、タンパク質、界面活性剤等を組み合わせることができる。
また、タイピング法によっては、プローブ又はプライマー等の本実施形態に係るアリル検出用ポリヌクレオチドの一部に、HLA−A*33:03及び/又はHLA−DPB1*02:01アリル等とは無関係な配列が含まれていてもよい。さらに本実施形態に係るアリル検出用ポリヌクレオチドはDNAとRNAのキメラであってもよい。また本実施形態に係るアリル検出用ポリヌクレオチドは、蛍光物質や、ビオチン又はジゴキシンのような結合親和性物質で標識されていてもよい。
また、本実施形態の診断薬には特定のアリルを検出する手段のほか、さらに、反応液を構成するバッファー、dNTP混合物、酵素類(ポリメラーゼ等)等の反応試薬を含めてよい。反応試薬とは適当な化学的又は物理的検出手段により検出可能な標識を有する診断薬である。そのような標識物質を用いる測定法に使用される標識剤として、たとえば蛍光物質、酵素、放射性同位元素、発光物質等が用いられる。標識に酵素を用いたELISA法は広く利用されている。蛍光物質として、フルオレスカミン、フルオレッセインイソチオシアネート等、酵素として、パーオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、リンゴ酸脱水酵素、α−グルコシダーゼ、α−ガラクトシダーゼ等、放射性同位元素として、125I、131I、3H、14C等、発光物質として、ルシフェリン、ルシゲニン、ルミノール、ルミノール誘導体等が例示される。
さらに、反応媒体として、反応の至適条件を与えるか、反応生成物質の安定化等に有用な緩衝液、反応物質の安定化剤等が含まれる。
(4)B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の素因の検出のためのキット
本実施形態に係るアリルを用いてB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の素因を検出する場合、特別の条件、操作等は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作に準じて行なわれ、必要であれば若干の修飾を加えて好適な測定系を構築できる。
そのためのもっとも簡便かつ効率的な測定を行なうことを可能とするのは、上記本実施形態の診断薬をキット化することである。キット化により、通常の検査室又は実験室で、特殊な分析機器、熟練した操作、高度の知識は必要とせずに、効率的に定量を行なうことができる。アッセイキットの構成及び形態は、とくに限定されるものでなく所定の目的を達成できるものであればその内容は限定されない。一般には本実施形態に係るアリルを検出する手段に関する使用説明書、反応試薬、反応が行なわれる場となる反応媒体、アッセイの場を提供する基材等から構成される。さらに所望により、比較基準とするためのあるいは検量線を作成するための照合サンプル、検出器等も含んでもよい。本実施形態の遺伝子導入の検出確認手段としては、分光器、放射線検出器、光散乱検出器といった上記標識を検出可能なものがあげられる。
本実施形態の上記方法は、他のB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連のあるアリルと組み合わせて用いてよい。用いるアリルについては、HLA−A*33:03及び/又はHLA−DPB1*02:01アリルに関するアリルでよく、さらにB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連するのであれば、上記配列以外の配列中のアリルでもよい。本実施形態の方法は、換言すればアリルの検出による。一般にアリルとは、塩基の変化が人口の1%以上の頻度で存在しているものと定義され、1%未満のものは、まれなバリエーションという。本実施形態として組み合わされるアリルとしては、上記アリルのほか、アリルとしての存在頻度を問わず、1%未満のものであってもよい。また本実施形態と組み合わされるアリルは、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関する遺伝子中のどこに存在していてもよく、エクソン、イントロン、3’−UTR又は5’−UTR及びその隣接領域、及びプロモーター領域に存在してもよい。当該他のアリルを検出するためのポリヌクレオチドについては、当業者であれば、上記「(2−2)アリルの検出」に記載した方法等を用いて作製できる。また、アリルの数も特に制限はなく、1から数十の塩基の置換・欠失・挿入・付加のいずれであってもよい。また、一塩基多型(SNP:single nucleotide polymorphism)、制限酵素切断断片長多型(RFLP: restriction fragment length polymorphism)、VNTR(variable number of tandem repeat)、マイクロサテライト多型等の多型であってもよい。
アリルも多型として公知のものであっても新規な多型であってもよい。公知多型を検出対象とする場合は、例えば、公共データベース:GenBank等に公開されている公知多型の中から、検出対象候補となる多型を選択することができる。また、公的データ:ENSEMBL(http://www.ensembl.org/)を利用して、選択することもできるし、ハプロタイプを用いることができる。ハプロタイプを構成するSNPの選択方法及びタイピング方法については上記のとおりである。当該ハプロタイプがB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連するか否かの評価は実施例にあるように、統計学的検定によって判断できる。
本実施形態に係るアリルと他のアリル等を組み合わせて用いるとB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化をより迅速に精度よく判断できるため、診断の信頼度が高まる点でも好ましい。
[第2の実施形態]
(1)HBV遺伝子配列
ここまでは、抵抗性アリルを保有する患者が、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによりがん化しにくいことを説明した。しかし、上述した抵抗性アリルを保有していても、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することにより、がん化する患者も存在する。そこで、実施例において後述するように、本発明者らは、B型肝炎患者を対象として、HBVの遺伝子配列を解析することにより、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した患者が病態進展することによるがん化についての予測を補強する因子の探索を行った。
その結果、第1の実施形態で説明した方法に加えて「b)被検者に感染したB型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第2の基準と比較する工程を更に含む、被検者がB型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさを試験する方法」が有効であることを明らかにした。
ここで、ウイルス集団の変異(変化)とは、被検者に感染したHBVが、当該被検者の体内で変異することによりHBVの遺伝子配列が変異すること、もしくは何らかの原因でウイルス集団としての変異比率が変化することである。また、本明細書において、変異の頻度とは、被検者の体内に占める特定の遺伝子配列もしくはアミノ酸配列をもつHBVの頻度をいう。一例として、HBVの特定の遺伝子の第100番目の塩基が変異したB型肝炎ウイルス(以下、単にHBV100と記載する)が被検者の体内のHBVの多数を占める場合には、同じ被検者の他の遺伝子配列のHBV由来の遺伝子の数よりも、HBV100由来の遺伝子の数が多い。
ここで、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した患者が、抵抗性アリルとしてHLA−DPB1*02:01アリルを保有していても、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展してがん化する場合について説明する。
第2の基準とは、この一例では、実施例において後述するように、被検者由来のHBV遺伝子配列のうちHBs抗原遺伝子(PreS1/2−S遺伝子、HBs抗原タンパク質)の位置で166の最頻出アミノ酸はロイシンであり、当該位置で236の最頻出アミノ酸はグルタミンであり、当該位置で251の最頻出アミノ酸はアルギニンであり、当該位置で275の最頻出アミノ酸はロイシンである場合には、当該被検者は、病態進展しやすく、がん化しやすい。
言い換えると、第2の基準とは、被検者由来のHBV遺伝子配列のうちHBs抗原遺伝子(PreS1/2−S遺伝子)の位置で166の最頻出アミノ酸はロイシンではなく、当該位置で236の最頻出アミノ酸はグルタミンではなく、当該位置で251の最頻出アミノ酸はアルギニンではなく、当該位置で275の最頻出アミノ酸はロイシンではない場合には、当該被検者は病態進展しにくく、がん化しにくい。
なお、第2の基準は、上述した各遺伝子配列上の位置の最頻出アミノ酸全ての位置において変異が一致している必要は無く、一部分だけが変異していてもよい。
上述したウイルス集団の変異の頻度がB型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連するか否かの評価は実施例にあるように、統計学的検定によって判断できる。B型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を、被検者がB型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第2の基準とすることにより、被検者のHLA型のみで被検者の病態進展のしやすさを予測するよりも精度よく、被検者の病態進展のしやすさを予測することができる。被検者の病態進展のしやすさを精度よく予測することができれば、例えば、B型肝炎ウイルスに持続感染した患者の経過観察のための期間をより適切に設定することができ、患者の負担を減らすことや、医療費を低減することができる。
また、上述した探索方法では、HLA−DPB1*02:01アリルと、HBV集団の変異との組み合わせについて説明したがこれに限られず、他のHLA型とHBV集団の変異とを組み合わせて探索することにより、他のHLA型と第2の基準との組み合わせを決定することができる。
以上説明したように、被検者のHLA型を決定する工程に加えて、当該被検者に感染しているB型肝炎ウイルスの遺伝子配列を解析し、当該被検者のHLA型と、当該B型肝炎ウイルスの遺伝子配列とを併せることにより、当該被検者の病態進展のしやすさを精度よく予測することができる。
(2)B型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を決定するプライマーセット、又はB型肝炎ウイルスのHBs抗原のアミノ酸配列を決定する特異的結合物質を含む診断薬
本実施形態に係るB型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を決定することによって、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合に肝がんに進展しにくいという基準とすることができる。したがって、B型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を検出する診断薬は、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の検査用診断薬として有用である。当該診断薬は、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に対する発症抵抗性若しくは感受性又は病態進展を判定するためにも用いることができる。具体的には、上記本実施形態に係るB型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を測定するための各種プライマーやプローブ、B型肝炎ウイルス由来の変異タンパク質に特異的に結合することができる抗体や陽性コントロール等に加えて、他の溶媒や溶質と組み合わせて診断薬とすることができる。たとえば、蒸留水、pH緩衝診断薬、塩、タンパク質、界面活性剤等を組み合わせることができる。
ここで、特異的結合物質としては、抗体、抗体断片、アプタマー等が挙げられる。抗体は、例えば、マウス等の動物に、変異したB型肝炎ウイルスのタンパク質を抗原として免疫することによって作製することができる。あるいは、例えば、ファージライブラリーのスクリーニングにより作製することができる。抗体断片としては、Fv、Fab、scFv等が挙げられる。上記の抗体は、モノクローナル抗体であることが好ましい。また、市販の抗体であってもよい。
アプタマーとは、標的物質に対する特異的結合能を有する物質である。アプタマーとしては、核酸アプタマー、ペプチドアプタマー等が挙げられる。標的物質に特異的結合能を有する核酸アプタマーは、例えば、systematic evolution of ligand by exponential enrichment(SELEX)法等により選別することができる。また、標的物質に特異的結合能を有するペプチドアプタマーは、例えば酵母を用いたTwo−hybrid法等により選別することができる。
[第3の実施形態]
ここまでは、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化について説明した。次に、B型肝炎ウイルス関連疾患による持続感染からB型慢性肝炎への病態進展に関係のあるアリルについて説明する。
(1)B型肝炎の慢性化への病態進展に関係のあるハプロタイプ
本発明者らは、日本人のHBV患者群1033検体と健常対照群942検体についてHLAのタイピングを行い、B型肝炎に罹患した場合の、B型慢性肝炎への病態進展に感受性のあるハプロタイプが、HLA−DPB1*09:01、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01を含むハプロタイプであり、B型肝炎の慢性化への病態進展に抵抗性のあるハプロタイプがHLA−DPB1*04:01、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04を含むハプロタイプであることを同定した。
上記のB型肝炎ウイルス関連疾患によるB型肝炎の慢性化への病態進展に関係のある各アリルのシークエンスデータは、GenBank(NIH genetic sequence database)や、DDBJ(DNA Data Bank of Japan)、IPD−IMGT/HLA(Immno Polymorphism Database;http://www.ebi.ac.uk/ipd/imgt/hla/)等のデータベースに登録されているデータを用いてもよい。ここで、GenBankには、HLA−DPB1*09:01のcDNAの塩基配列は例えば、AY804139と、アミノ酸配列は例えば、AAW78744と登録されている。GenBankには、HLA−DRB1*15:02のcDNAの塩基配列は例えば、X64546と、アミノ酸配列は例えば、CAA45844と登録されている。GenBankには、HLA−DQB1*06:01のcDNAの塩基配列は例えば、AF184982と、アミノ酸配列は例えば、AAD56412と登録されている。GenBankには、HLA−DPB1*04:01のcDNAの塩基配列は例えば、AY804136と、アミノ酸配列は例えば、AAW78741と登録されている。GenBankには、HLA−DRB1*13:02のcDNAの塩基配列は例えば、U83584と、アミノ酸配列は例えば、AAC02813と登録されている。GenBankには、HLA−DQB1*06:04のcDNAの塩基配列は例えば、AY036896と、アミノ酸配列は例えば、AAK96012と登録されている。
(2)B型肝炎の慢性化への病態進展に関係のあるハプロタイプの検出方法
本実施形態に係る、上記B型肝炎の慢性化への病態進展に関係のある素因の検出方法について説明する。本実施形態に係るB型肝炎の慢性化への病態進展に関係のある素因の検出の工程は、以下の工程:a)被検者のHLA型を、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合の病態進展のしやすさの第1の基準と比較する工程;を含む。
本実施形態の方法は、実施例において後述するように、B型肝炎の慢性化への病態進展に感受性のあるハプロタイプは、HLA−DPB1*09:01、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01のアリルの組み合わせを含むハプロタイプである。また、B型肝炎の慢性化への病態進展に抵抗性のあるハプロタイプは、HLA−DPB1*04:01、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04のアリルの組み合わせを含むハプロタイプである。この意味で、本実施形態の方法は、本実施形態に係るハプロタイプを用いてB型肝炎ウイルスに持続感染した患者が、慢性肝炎へ病態進展するか否かの検査を行う方法ともいえる。
「a)被検者のHLA型を、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合の病態進展のしやすさの第1の基準と比較する工程」は、換言すればHLA−DPB1*09:01、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01及びHLA−DPB1*04:01、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04のアリルの組み合わせを含むハプロタイプの検出である。
本実施形態の各検体の各検体のHLAハプロタイプは集団から無作為抽出されたと考え、サンプル中のHLAハプロタイプ構成が生じる確率が最も高くなるように、各検体の相(HLAハプロタイプの組合せ)を決定した。より具体的には、本実施形態の各検体のハプロタイプの検出は、HLAハプロタイプはハーディ・ワインバーグ平衡にある集団から無作為抽出されたと考え、突然変異と組換えによって、サンプル中のHLAハプロタイプ構成が生じる確率が最も高くなるように、各検体の相(HLAハプロタイプの組合せ)を決定した。ハプロタイプの検出は、上述の方法により、検出することができる。本実施形態のハプロタイプの診断薬については、上述した第1の実施形態において説明したものと同様である。
[その他の実施形態]
一実施形態において、本発明は、(1)被検者からゲノムDNA試料を採取する工程と、(2)ゲノムDNA試料を用いて被検者のHLA型を決定する工程と、(3)被検者のHLA型がHLA−A*33:03を含む場合には、被検者はB型慢性肝炎に罹患した場合に肝がんに進展しやすいと診断する工程と、を備える、被検者がB型慢性肝炎に罹患した場合の肝がんへの進展のしやすさの診断方法を提供する。
また、本発明は、(1)被検者からゲノムDNA試料を採取する工程と、(2)ゲノムDNA試料を用いて被検者のHLA型を決定する工程と、(3)被検者のHLA型がHLA−DPB1*02:01を含む場合には、被検者はB型慢性肝炎に罹患した場合に肝がんに進展しにくいと診断する工程と、を備える、被検者がB型慢性肝炎に罹患した場合の肝がんへの進展のしやすさの診断方法を提供する。
また、上述した(2)とは、被検者からゲノムDNA試料を用いて被検者のHLA型を特定の方法により決定する工程である。特定の方法とは、TaqMan PCR法、MALDI−TOF/MS法、ASO (allele−specific oligonucleotide)法、直接シークエンス法、RFLP法、インベーダー法、TGGE, DGGE法、MutY 酵素法、マイクロアレイ、Protein truncation test (PTT)法、Snipper法、ルミネックス法、直接シークエンス法、HLA Imputation法、マイクロSSP法のうち少なくとも1つであってもよい。
一実施形態において、本発明は、(1)被検者からゲノムDNA試料を採取する工程と、(2)ゲノムDNA試料を用いて被検者のHLA型を決定する工程と、(3)被検者のHLA型がHLA−DPB1*09:01、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01を含む場合には、被検者はB型慢性肝炎に進展しやすいと診断し、被検者のHLA型がHLA−DPB1*04:01、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04を含む場合には、被検者はB型慢性肝炎に進展しにくいと診断する工程と、を備える、B型肝炎ウイルスに罹患した被検者がB型慢性肝炎に病態進展しやすさの診断方法を提供する。
また、上述した(2)とは、被検者からゲノムDNA試料を用いて被検者のHLA型を特定の方法により決定する工程である。特定の方法とは、TaqMan PCR法、MALDI−TOF/MS法、ASO (allele−specific oligonucleotide)法、直接シークエンス法、RFLP法、インベーダー法、TGGE,DGGE法、MutY 酵素法、マイクロアレイ、Protein truncation test (PTT)法、Snipper法、ルミネックス法、直接シークエンス法、HLA Imputation法、マイクロSSP法のうち少なくとも1つであってもよい。
上述した方法において、上述した工程に加えて、被検者に感染したB型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第2の基準と比較する工程を更に含んでいてもよい。
次に、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさに係るアリル又はハプロタイプを、実施例によって説明するが、これらの実施例によって限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。
[実験例1]
(アリルの検出1)
本実施例は、HLA−A*33:03を検出することを目的とした。
日本人由来の各試料について、QIAamp(登録商標) DNA Mini kit(QIAGEN)を用いて以下のように調製した。まず、マイクロチューブにQIAGEN Protease20μlをピペッティングした後、各試料200μlを添加した。さらにBuffer ALを加えて15秒間混和した後、56℃で10分間インキュベートして試料を溶解した。その後、マイクロチューブを数秒間スピンダウンして蓋の内側についた溶液を収集した。さらに試料にエタノール(100%)200μlを添加し、再び15秒間ボルテックスした後、1.5ml マイクロチューブを数秒間スピンダウンして蓋の内側についた溶液を収集した。当該溶液をQIAamp(登録商標) Mini Spin Columnにカラムにアプライし、6,000×gで1分間遠心分離した。QIAamp(登録商標) Mini Spin Columnを開き、500μlのBuffer AW1を添加して6,000×gで1分間遠心分離した。QIAamp(登録商標) Mini Spin Columnを開き、500μlのBuffer AW2を添加して、20,000×gで3分間遠心分離した。QIAamp(登録商標) Mini Spin Column を開き、200μlのBuffer AE又は精製水を添加した。室温で1分間インキュベートした後、6,000×gで1分間遠心分離して、各検体由来のDNAを回収した。
調製されたDNA試料を用いてPCR−SSOP法を利用したLABType SSO HLA SSO HLA A Locus kit(ワンラムダ)又は、WAKFlow(登録商標) HLA−A typing kit(湧永製薬)を用いて、4桁のHLAタイピングを実施した。実験は説明書に従って行い、xMAP(登録商標)テクノロジーを利用したマルチプレックス測定システム(Luminex社)を利用した。具体的には、上記DNA試料2μlに増幅試薬24.5μl、DNAポリメラーゼ液0.5μlを加えて以下の条件でPCR反応を行った。
変性温度:93℃(30秒)
アニーリング温度:60℃(30秒)
伸長温度:72℃(30秒)
上記のサイクル数:40回
上記サイクル前に93℃(3分)、上記サイクル後に72℃(5分)の反応を行い、終了後は4℃で保存した。
当該PCR終了後の増幅DNA5μlを、変性液5μlを分注した96穴PCRプレートの各ウエルに加えて、ボルテックスし、室温に5分間放置した。ハイブリダイゼーション溶液20μl、ビーズミックス3μl及びSAPE2μlを混合したハイブリミックス試薬25μlに上記の変性増幅DNAを加えてハイブリミックス溶液としてボルテックスで撹拌した。55℃に設定したサーマルサイクラーに上記ハイブリミックス溶液をセットして、30分間ハイブリダイゼーションを行った。洗浄液75μlを各ウエルに加え、1000×gで1分間遠心分離を行った。その
後、上清を除去して、洗浄液75μlを各ウエルに加えた。Luminex XYPのブロック温度を37℃に設定して、ビーズミックスのLot番号に対応したテンプレートファイルを用いて測定した。測定結果のCSVファイルをWAKFlow(登録商標)Typing Softwareで開き、各蛍光ビーズの陽性・陰性を判定表に記載しているカットオフ値をもとに自動判定した。当該自動判定では、蛍光強度がカットオフ値以上を示すビーズを陽性、カットオフ値以下を示すビーズを陰性とし、各ビーズの陽性・陰性のパターンからHLAの遺伝子型を決定した。
その結果を表1に示す。
Figure 2018074458
表1は、日本人における肝がん群(以下、肝がん群をHCC群とも記載する)と、B型慢性肝炎患者群及び無症候キャリア群とのHLA−Aアリル頻度の比較を示す。以下の説明では、肝がんをHCC(Hepatocellular carcinoma)とも記載する。これにより、肝がん群では、HLA−A*33:03アリルは、当該検体が、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に対する発症感受性を有することが示された。
[実験例2]
(アリルの検出2)
本実施例は、HLA−DPB1*02:01アリルを検出することを目的とした。
B型慢性肝炎が病態進展することによるHCCあり患者、B型慢性肝炎に罹患してHCCを発症していない患者(以下、HCCなし群とも記載する)、及び健常者対照群由来の各試料についてHLAの遺伝子型を決定した。なお、この遺伝子型の決定の手順は、上述した本実施形態に係るアリルの検出における手順と同様であるため、説明を省略する。 その結果を表2〜表4に示す。
Figure 2018074458
表2は、日本人における肝がん群(以下、肝がん群をHCC群とも記載する)と、B型慢性肝炎患者群及び無症候キャリア群とのHLA−DPB1アリル頻度の比較を示す。これにより、肝がん群では、HLA−DPB1*02:01アリルは、当該検体が、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に対する発症抵抗性を有することが示された。
Figure 2018074458
また、本発明者らは、表3において、HBV患者群のうち肝がんに病態進展した患者(HCCあり)群由来の試料と健常者群由来の試料とからアリルを計数した。HBV感染において肝がんになりにくいHLA−DPB1アリルとしてHLA−DPB1*02:01アリルが非常に強い関連を示していることが表3から示された。
Figure 2018074458
また、本発明者らは、表4において、HBV患者群のうち肝がんに病態進展した患者(HCCあり)群由来の試料とHBV患者群のうち肝がんに病態進展していない患者(HCCなし)群由来の試料とからアリルを計数した。
B型肝炎ウイルス関連疾患によって慢性肝炎に病態進展し、がん化した患者由来のHLA−DPB1*02:01アリルの数と、がん化していない患者由来のHLA−DPB1*02:01アリルの数とのオッズ比は0.61であった。つまり、HLA−DPB1*02:01アリル以外のアリルを有するヒトよりも、HLA−DPB1*02:01アリルを有するヒトの方が、がん化に対して強い抵抗性を示していた。
これにより、HLA−DPB1*02:01アリルは、B型肝炎ウイルス関連疾患によって病態進展し慢性肝炎に進展した後に、肝がんに病態進展する際に、強い抵抗性を有することが示された。つまり、HLA−DPB1*02:01アリルを有するヒトは、HLA−DPB1*02:01アリルを有していないヒトよりも、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化しにくいこと示された。
ここで、オッズ比が1より小さい場合には、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に抵抗性があるといえる。この具体例においては、抵抗性アリルとしてHLA−DPB1*02:01アリルを有するヒトは、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に抵抗性があるといえる。
上述したように、HLA−DPB1*02:01アリルはHBV感染で肝発がんに病態進展した群で解析をすることにより、より有意な関連を示した。つまり、HLA−DPB1*02:01アリルはB型慢性肝炎に対する抵抗性アリルとも言えるが、HLA−DPB1*02:01アリルはHBV感染における肝発がんに対して、より関連のある抵抗性アリルであると言える。
以上説明したように、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化に関連するアリルをHBV患者群に対して解析することにより、B型肝炎ウイルス関連疾患が病態進展することによるがん化の分子機構の解明や創薬ターゲット候補分子の同定が可能になる。また、HBVキャリアに対して解析することにより、当該キャリアをがん化しやすい群とがん化しにくい群とに分類することが可能となり、その後の治療方針の決定に役立つ情報を提供できる。さらに、当該アリルに加えて、他の免疫関連遺伝子のSNPも含む検査キットの開発により医療費削減も可能となる。
[実験例3]
(B型肝炎ウイルス集団の変異の頻度の検出)
本実施例は、HLA−DPB1*02:01アリルを有するB型肝炎関連疾患患者由来のHBV集団の変異の頻度を検出することを目的とした。日本人由来の各試料について、HBV由来の遺伝子配列上の各位置について1000以上の遺伝子配列データを収集した。また、HBV由来の遺伝子配列上の各位置について出現頻度が5%以上のアミノ酸を、解析の対象とした。
(1)HBV遺伝子配列
本発明者らは、HLA−DPB1*02:01アリルを保有しているB型肝炎ウイルス関連疾患患者由来のHBV遺伝子配列を解析した。当該解析には、HLA−DPB1*02:01を保有しているB型肝炎ウイルス関連疾患患者のうち、肝がんを発症した11例(以下単に、ケースとも記載する)由来のHBVと、肝がんを発症していない11例(以下単に、コントロールとも記載する)由来のHBVとを用いた。なお、解析対象患者の年齢と性別とは、それぞれ一致させている。
HBVの解析は、HBV遺伝子のうち、抗原性が高いHBs抗原をコードするHBs遺伝子領域を解析対象とした。抗原性が高いとは、当該抗原がヒトの体内に侵入すると免疫反応を引き起こしやすい物質である。言い換えると、抗原性が高いとは、ヒトが病原体として認識しやすい物質である。
当該HBVの解析は、HBs遺伝子領域を3つの領域に分けて、PCR法による遺伝子増幅した。3つの領域とは、HBs遺伝子配列上の位置2814から256まで、HBs遺伝子配列上の位置18から557まで、HBs遺伝子配列上の位置414から989までである。なお、HBV遺伝子配列上の位置2814から256までには、2814から末尾の3215、先頭の1から256までが含まれる。これは、HBV遺伝子が環状の遺伝子構造をしているためである。
発明者らは、上述したPCR法による遺伝子増幅によって、22例由来のHBV試料から、66のPCR産物を取得した。
次に、本発明者らは、PCR法によって増幅された66のPCR産物を、高速シーケンサーによってディープシークエンス解析を行い、HBs遺伝子領域の遺伝子配列を取得した。高速シーケンサーは、例えば、GS Junior、Miseqなどを用いることができる。
当該ディープシークエンス解析により、本発明者らは、HBs遺伝子上の各塩基について、1000以上のデータを取得した。
本発明者らは、取得したHBs遺伝子上の各塩基から、HBVの変異のバリエーションをリスト化することにより、HBV遺伝子におけるアミノ酸の変異のパターンを取得した。
本発明者らは、取得した変異パターンに基づいて、ケース由来とコントロール由来とのHBV遺伝子における各遺伝子配列上の位置毎にアミノ酸の出現順位をそれぞれ比較した。なお、以下の説明では、HBV遺伝子における各遺伝子配列上の位置毎に出現順位が最も高いアミノ酸を、最頻出アミノ酸とも記載する。
その結果を表5〜表7に示す。なお、表5〜表7のアミノ酸(以下単にAAとも記載する)の表記は、アミノ酸の一文字表記で記載している。アミノ酸の一文字表記とは、例えば、”L”は”ロイシン”、”Q”は”グルタミン”などである。
Figure 2018074458
本発明者らは、表5において、HLA−DPB1*02:01を保有しているB型肝炎ウイルス関連疾患患者のうち、肝がんを発症した11例由来のHBVと、肝がんを発症していない11例由来のHBVとを用いて、HBV遺伝子のHBs遺伝子領域を解析した。
HBV遺伝子の変異の比較には、HBV遺伝子型C(HBV/C)の一般的な遺伝子配列を基準とした。HBV/Cとは、日本人やアジア人が多く感染しているB型肝炎ウイルスの型である。ウイルス関連疾患患者由来のHBsタンパク質のアミノ酸配列と、一般的なHBV/CのHBsタンパク質のアミノ酸配列とを比較すると、第166番目、第236番目、第251番目及び第275番目のアミノ酸に変異が認められた。さらに、変異が認められた位置のアミノ酸を、肝がんを発症した11例由来のHBsタンパク質のアミノ酸配列と、肝がんを発症していない11例由来のHBsタンパク質のアミノ酸配列とで比較した。
HBsタンパク質のアミノ酸配列の第166番目の位置のアミノ酸は、肝がんを発症していない11例由来の試料のうち、Sが51.5%、Lが34.3%、Nが12.5%、Xが1.7%であり、肝がんを発症した11例由来の試料のうち、Sが0%、Lが99.4%、Nが0%、”X”が0.6%であった。なお、”X”とは、検出されたアミノ酸のうち、出現頻度が基準値である5%に満たないアミノ酸の集合である。
HBsタンパク質のアミノ酸配列の第236番目の位置のアミノ酸は、肝がんを発症していない11例由来の試料のうち、Pが40.2%、Qが39.8%、Lが19.4%、”X”が0.6%であり、肝がんを発症した11例由来の試料のうち、Pが12.8%、Qが87.0%、Lが0.0%、”X”が0.2%であった。
HBsタンパク質のアミノ酸配列の第251番目の位置のアミノ酸は、肝がんを発症していない11例由来の試料のうち、Lが58.3%、Rが40.9%、”X”が0.8%であり、肝がんを発症した11例由来の試料のうち、Lが12.5%、Rが87.1%、”X”が0.4%であった。
HBsタンパク質のアミノ酸配列の第275番目の位置のアミノ酸は、肝がんを発症していない11例由来の試料のうち、Qが57.8%、Lが39.4%、”X”が2.8%であり、肝がんを発症した11例由来の試料のうち、Qが12.1%、Lが86.9%、”X”が0.9%であった。
HBsタンパク質のアミノ酸配列の第310番目の位置のアミノ酸は、肝がんを発症していない11例由来の試料のうち、Sが11.8%、Tが49.5%、Eが38.3%、”X”が0.3%であり、肝がんを発症した11例由来の試料のうち、Sが98.7%、Tが0.0%、Eが0.0%、”X”が1.3%であった。
Figure 2018074458
次に、本発明者らは、表6において、表5に示したHBV遺伝子の第166番目、第236番目、第251番目、第275番目及び、第310番目のうち、肝がんへ病態進展した被検者由来の最頻出アミノ酸とは異なるアミノ酸の場合の、肝がん発症のリスクのオッズ比を算出した。
HBV遺伝子の第166番目と、第310番目の位置のアミノ酸については、例外症例が無く、オッズ比を算出することができなかった。HBV遺伝子の第236番目と、第251番目と第275番目のオッズ比は、それぞれ0.01であり、がん化に対して抵抗性を示していた。
これにより、B型肝炎ウイルス集団由来の遺伝子の第166番目の最頻出アミノ酸がロイシンでない場合には、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合に肝がんに進展しにくいという基準であるといえる。また、B型肝炎ウイルス集団由来の遺伝子の第236番目の最頻出アミノ酸がグルタミンでない場合には、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合に肝がんに進展しにくいという基準であるといえる。また、B型肝炎ウイルス集団由来の遺伝子の第251番目の最頻出アミノ酸がアルギニンでない場合には、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合に肝がんに進展しにくいという基準であるといえる。また、B型肝炎ウイルス集団由来の遺伝子の第275番目の最頻出アミノ酸がロイシンでない場合には、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合に肝がんに進展しにくいという基準であるといえる。
Figure 2018074458
次に、本発明者らは、表7において、B型肝炎ウイルスの遺伝子鎖で見た際に、各アミノ酸変異がどの組み合わせで同一遺伝子鎖上に存在するかを示した。
コンセンサスとは、HBV/Cの標準的なアミノ酸の配列である。
HLA−DPB1*02:01を保有しているB型肝炎ウイルス関連疾患患者のうち、肝がんを発症した11例由来のHBVのHBsタンパク質の変異のうち、第166番目の位置がロイシンに変異しているものが10.7%であり、第166番目がロイシン、第236番目がグルタミン、第251番目がアルギニン及び第275番目がロイシンに変異しているものが83.6%であった。
以上説明したように、HBV集団の遺伝子の変異の頻度を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合に肝がんに進展しにくいという第2の基準として用いることにより、より正確に病態進展のしやすさを試験することができる。
[実験例4]
(ハプロタイプの検出)
B型肝炎の慢性化に感受性のある感受性アリルを有するヒトについて、HBV患者群と健常対照群由来の各試料についての95%信頼区間におけるオッズ比を求めた。表4に結果を示す。
Figure 2018074458
表8には、B型肝炎の慢性化への病態進展に関係のあるハプロタイプのうち、HLA−DPB1のアリルが、09:01である場合には、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01の場合に、B型肝炎の慢性化への病態進展に感受性があることが示されている。具体的には、HBV患者群由来の各試料のうち14.7%が、健常対照群由来の各試料のうち8.3%のヒトが、当該感受性があるアリルを保有していた。HLA−DPB1のアリルが、09:01である場合には、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01の場合のオッズ比は、1.91であった。なお、オッズ比が1よりも大きい場合には、B型肝炎の慢性化への病態進展に感受性があるといえる。
B型肝炎の慢性化への病態進展に関係のあるハプロタイプのうち、HLA−DPB1のアリルが、09:01である場合には、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01の場合のオッズ比と、他の従来感受性があるアリルとされたHLA−DPB1*05:01のオッズ比とを比較すると、HLA−DPB1のアリルが、09:01である場合には、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01の方が、感受性が高かった。
つまり、B型肝炎の慢性化への病態進展に関係のあるハプロタイプのうち、HLA−DPB1*09:01である場合には、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01とのアリルの組み合わせが、より感受性が高いアリルの組み合わせであることが明らかとなった。
(アリルの検出4)
B型肝炎の慢性化への病態進展に関係のあるハプロタイプのうち、B型肝炎の慢性化への病態進展に抵抗性のある抵抗性アリルを有するヒトについて、HBV患者群と健常対照群由来の各試料についての95%信頼区間におけるオッズ比を求めた。表9に結果を示す。
Figure 2018074458
表9には、B型肝炎の慢性化への病態進展に関係のあるハプロタイプのうち、HLA−DPB1のアリルが、04:01である場合には、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04の場合に、型肝炎の慢性化への病態進展に抵抗性があることが示されている。具体的には、HBV患者群由来の各試料のうち1.9%が、健常対照群942人のうち4.1%のヒトが、当該抵抗性があるアリルを保有していた。HLA−DPB1のアリルが、04:01である場合には、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04の場合のオッズ比は、0.44であった。なお、オッズ比が1よりも小さい場合には、B型肝炎の慢性化への病態進展に抵抗性があるといえる。
B型肝炎の慢性化への病態進展に関係のあるハプロタイプのうち、HLA−DPB1のアリルが、04:01である場合には、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04の場合のオッズ比と、他の従来感受性があるアリルとされたHLA−DPB1*02:01及びHLA−DPB1*04:02のオッズ比とを比較すると、HLA−DPB1のアリルが、04:01である場合には、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04の方が、抵抗性が高かった。
つまり、B型肝炎の慢性化への病態進展に感受性のあるアリルがHLA−DPB1*04:01である場合には、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04とのアリルの組み合わせが、より抵抗性が高いアリルの組み合わせであることが明らかとなった。
以上説明したように、B型肝炎ウイルス関連疾患のうち、B型肝炎の慢性化への病態進展の場合に、B型肝炎の慢性化への病態進展に関連するアリルをHBV患者群に対して解析することにより、特に、日本人を含むアジア人に特化したB型肝炎の慢性化への病態進展の分子機構の解明や創薬ターゲット候補分子の同定が可能になる。また、HBVキャリアに対して解析することにより、当該キャリアを慢性化しやすい群と慢性化しにくい群とに分類することが可能となり、その後の治療方針の決定に役立つ情報を提供できる。さらに、当該アリルに加えて、他の免疫関連遺伝子のSNPも含む検査キットの開発により医療費削減も可能となる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。

Claims (12)

  1. 被検者のHLA型を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第1の基準と比較する工程を含む、被検者がB型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさを試験する方法。
  2. 前記被検者に感染したB型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を、B型肝炎ウイルス関連疾患に罹患した場合の病態進展のしやすさの第2の基準と比較する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記病態進展が、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合の肝がんへの進展であり、前記第1の基準が、前記HLA型がHLA−DPB1*02:01を含む場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記病態進展が、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合の肝がんへの進展であり、前記第1の基準が、前記HLA型がHLA−DPB1*02:01を含む場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準である、請求項2に記載の方法。
  5. 前記変異が前記B型肝炎ウイルス集団由来のHBs抗原タンパク質における変異であり、
    前記第2の基準が、
    前記HBs抗原タンパク質の第166番目の最頻出アミノ酸がロイシンでない場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準であるか、 前記HBs抗原タンパク質の第236番目の最頻出アミノ酸がグルタミンでない場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準であるか、 前記HBs抗原タンパク質の第251番目の最頻出アミノ酸がアルギニンでない場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準であるか、 前記HBs抗原タンパク質の第275番目の最頻出アミノ酸がロイシンでない場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しにくいという基準である、
    請求項4に記載の方法。
  6. 前記病態進展が、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合の肝がんへの進展であり、前記第1の基準が、前記HLA型がHLA−A*33:03を含む場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合に肝がんに進展しやすいという基準である、請求項1又は2に記載の方法。
  7. 前記病態進展が、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合のB型慢性肝炎への進展であり、前記第1の基準が、前記HLA型がHLA−DPB1*09:01、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01を含む場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合にB型慢性肝炎に進展しやすいという基準である、請求項1又は2に記載の方法。
  8. 前記病態進展が、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合のB型慢性肝炎への進展であり、前記第1の基準が、前記HLA型がHLA−DPB1*04:01、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04を含む場合には、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合にB型慢性肝炎に進展しにくいという基準である、請求項1又は2に記載の方法。
  9. HLA−A*33:03又はHLA−DPB1*02:01のHLA型を検出するプライマーセットを含む、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合の肝がんへの進展のしやすさを試験するための診断薬。
  10. B型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を決定するプライマーセット、又は
    B型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を決定する特異的結合物質、
    を更に含む、請求項9に記載の診断薬。
  11. HLA−DPB1*09:01、HLA−DRB1*15:02及びHLA−DQB1*06:01のHLA型を検出するプライマーセット、又はHLA−DPB1*04:01、HLA−DRB1*13:02及びHLA−DQB1*06:04のHLA型を検出するプライマーセットを含む、B型肝炎ウイルスに持続感染した場合のB型慢性肝炎への進展のしやすさを試験するための診断薬。
  12. B型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を決定するプライマーセット、又は
    B型肝炎ウイルス集団の変異の頻度を決定する特異的結合物質、
    を更に含む、請求項11に記載の診断薬。
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