JPWO2018066463A1 - 経編地及びその編成方法 - Google Patents
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Abstract
基部(2)と、この基部(2)上に編み立て方向に沿って相互に平行に形成された複数の凸条部(6)とを有する経編地(1)であって、前記各凸条部(6)は、前記編み立て方向に沿って延びた編み列から形成される帯状の頂部(3)と、前記頂部(3)の両側の下方に位置し、且つ該頂部(3)に沿って延びた編み列からそれぞれ形成される一対の側壁部(4),(5)とから構成され、前記各側壁部(4),(5)の編み列は、その基部(2)側が前記基部(2)に編み込まれるとともに、その頂部(2)側が前記頂部(2)に編み込まれて、前記基部(2)と前記頂部(3)とを連結しており、前記一対の側壁部(4),(5)の少なくとも一方は、前記編み立て方向において、その少なくとも一部に他の部分とは異なる色の編糸で編成された異色編成部を有している。
Description
本発明は、編み立て方向に沿って凸条部が形成された経編地及びその編成方法に関し、特に、編み立て方向と交差する方向から経編地を見る際の観察者の位置に応じて、その見え方が変化する経編地及びその編成方法に関する。
近年、衣服や靴、鞄などに独創的なデザインを求める需要者が増加しており、そのような需要者の要望に応えるべく、衣服等に優れた美観や躍動感を持たせ、そのデザインを独創的なものにする方法についての研究開発が盛んに行われている。そのような方法の1つとして、衣服等の素材である経編地に色彩効果を付与する方法がある。例えば、従来から、色や素材が異なる複数の糸を使用したり、種々の編組織を組み合わせたりする手法を用いることで経編地に色彩効果を付与する試みがなされており、このような色彩効果が付与された経編地を用いることで、衣服等に従来とは異なる美観などを持たせ、従来にないデザインの衣服等を製作することが可能となる。
上述したような色彩効果を付与した経編地としては、例えば、下記特許文献1(特開2003−41465号公報)に開示されるような、いわゆる玉虫調と称される色彩効果を付与した経編地や、特許文献2(特開2013−124419号公報)に開示されるような、表面に凹凸模様の装飾を施すことによって色彩効果を付与した経編物が提案されている。
上記特許文献1に開示された経編地は、左右対称に編み込まれている2本のナイロン糸からなる編み組織に、2本のレーヨン糸が左右対称に挿入されて連続的にウェール方向に編み込まれるように編地を編成した後、ナイロン糸とレーヨン糸とを異なる色の染料によって染め分けたものである。この特許文献1に開示された経編地は、ナイロン糸とレーヨン糸とが染め分けられていることにより、編地全体が玉虫色の光彩を有したものとなっている。
上記特許文献2に開示された経編地は、上地と下地とからなる複合生地であって、上地と下地とが結合された一重組織部と、上地と下地とが分離して二重になった袋組織部とが、それぞれ編み立て方向に沿って延び、且つこれらが編み立て方向と交差する方向において交互に配置されるように形成されている。そして、この経編地は、袋組織部の下地の編糸に熱収縮性繊維糸が用いられており、製造時に熱処理が施されて熱収縮性繊維糸が収縮されることによって、袋組織部の上地が隆起した凸条が形成され、表面に凹凸模様が現れている。この特許文献2に開示された経編地では、編み立て方向に延びた凸条の2つの側面となる上地の各部分に異なる色の編糸を用いるようにし、上記2つの側面のうちの一方面側から見た場合と他方面側から見た場合とで異なる色が観察者に視認されるという、色彩効果が発揮されるようにしている。
このように、上記いずれの従来技術においても、経編地に色彩効果が付与されているため、これら経編地を使用した衣服等は、着用者の動きにより経編地に対する観察者の相対的な位置が変化してその見え方が変わり、通常とは異なる美観や躍動感が発揮され、色彩効果が付与されていないものを使用したものとは印象の異なったデザインとなる。
ところで、上記特許文献1に開示された経編地では、色彩効果を得るために、編地編成後に2回の染色工程を行わなければならず、製造工程が複雑となり手間が掛かるため、生産コストが嵩み、また、使用する編糸が染め分けられるものでなければならないため、編糸の材質が制限されるという問題がある。
更に、異なった染色工程を行うことによって、必然的に使用される染料の量も増加することになるため、廃液処理にコストが掛かり、また、環境への負担が大きいという問題もある。
また、上記特許文献2に開示された経編地においては、袋組織部の下地を熱収縮させ、同部の上地を隆起させることで凸条を形成するようにしているため、凸条の形状が自由に制御されるものではなく、形状にバラツキが生じ易い。そのため、形成される凸条の中には、本来であれば2つの側面の内の一方面にのみ配置されるべき色が他方面の一部に部分的に配置された状態のものが含まれ易く、このような凸条が含まれていると、経編地を他方面から見た際に、一方面に配置されるべき色が部分的に視認される統一感の欠けた状態となり、十分な色彩効果を得難いという問題がある。
このように、特許文献2に開示された経編地には、色彩効果が十分に発揮され難いという問題があるため、これを衣服等に使用したとしても、衣服等に付与される美感や躍動感は必ずしも十分なものではない。
更に、上記特許文献2に開示された経編地は、凸条の2つの側面にそれぞれ単一の色が配色されているに過ぎないため、デザイン的には極めて単調なものにならざるを得ない。このため、衣服等を製作する際にこの経編地を用いたとしても、独創的なデザインの衣服等を製作することは困難である。
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、使用する編糸の材質が特に制限されることなく、低コストで製造することができ、また、安定した独特の色彩効果を発揮することが可能であり、衣服等のデザインを従来よりも独創性の高いものにすることができる経編地及びその編成方法の提供を、その目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、
基部と、該基部上に編み立て方向に沿って相互に平行に形成された複数の凸条部とを有する経編地であって、
前記各凸条部は、
前記編み立て方向に沿って延びた編み列から形成される帯状の頂部と、
前記頂部の両側の下方に位置し、且つ該頂部に沿って延びた編み列からそれぞれ形成される一対の側壁部とから構成され、
前記各側壁部の編み列は、その基部側が前記基部に編み込まれるとともに、その頂部側が前記頂部に編み込まれて、前記基部と前記頂部とを連結しており、
前記一対の側壁部の少なくとも一方は、前記編み立て方向において、その少なくとも一部に他の部分とは異なる色の編糸で編成された異色編成部を有している経編地に係る。
基部と、該基部上に編み立て方向に沿って相互に平行に形成された複数の凸条部とを有する経編地であって、
前記各凸条部は、
前記編み立て方向に沿って延びた編み列から形成される帯状の頂部と、
前記頂部の両側の下方に位置し、且つ該頂部に沿って延びた編み列からそれぞれ形成される一対の側壁部とから構成され、
前記各側壁部の編み列は、その基部側が前記基部に編み込まれるとともに、その頂部側が前記頂部に編み込まれて、前記基部と前記頂部とを連結しており、
前記一対の側壁部の少なくとも一方は、前記編み立て方向において、その少なくとも一部に他の部分とは異なる色の編糸で編成された異色編成部を有している経編地に係る。
上記経編地は、凸条部を構成する一対の側壁部の少なくとも一方に、編み立て方向において、その少なくとも一部に他の部分とは異なる色の編糸で編成された異色編成部が設けられていることにより、観察者がこの経編地を見る際の位置に応じて、その見た目が変化するという色彩効果を発揮する。
例えば、前記一対の側壁部の一方が編み立て方向に沿って順番に第1色の編糸で編成された部分、第2色の編糸で編成された部分(異色編成部)を有している場合には、経編地を前記一方の側壁部側から見ると、頂部の色とともに、一方の側壁部の第1色及び第2色が観察者に視認される。これに対して、経編地を正面から見ると、頂部の色、或いは頂部の色及び一対の側壁部の色が観察者に視認され、経編地を他方側壁部側から見た場合には、頂部の色とともに、他方側壁部の色が観察者に視認される。
したがって、このような経編地は、一方の側壁部が単色のものよりも複雑なデザインを表現することが可能であり、観察者が当該経編地を見る際の位置に応じた見た目の変化が大きいという、従来にはない独特の色彩効果を発揮するものとなる。
また、前記一対の側壁部の一方が編み立て方向に沿って順番に第1色の編糸で編成された部分、第2色の編糸で編成された部分(異色編成部)を有し、他方が編み立て方向に沿って順番に第2色の編糸で編成された部分、第1色の編糸で編成された部分(異色編成部)を有している場合、即ち、一対の側壁部の両方が前記異色編成部を有している場合には、各側壁部側から経編地を見た際に、この各側壁部が有する第1色及び第2色が観察者に視認され、正面から経編地を見た際に、頂部の色、或いは頂部の色及び一対の側壁部の色が観察者に視認される。したがって、この場合も、一対の側壁部がそれぞれ1色のみを有している場合よりも複雑なデザインを表現することが可能であり、観察者が経編地を見る際の位置に応じた見た目の変化が大きいという、独特な色彩効果が発揮される。
更に、上記経編地において、前記各側壁部の編み列は、その基部側が基部に編み込まれるとともに、その頂部側が頂部に編み込まれて、基部と頂部とを連結しているため、凸条部の形状が崩れ難くなっている。このため、上記経編地によれば、凸条部が極端に変形して十分な色彩効果が発揮されなくなるといった問題の発生が抑えられる。
尚、1つの側壁部に設けられる異色編成部の数は、上記のように、1個であっても良いし、2個以上であっても良い。
また、上記経編地において、前記各凸条部の側壁部に設けられる異色編成部は、該経編地を外方から視認したときに、所定の模様を呈するように配置されていることが好ましい。
このようにすれば、従来のようなデザインが単調なものと比較して、外観が優れたものとなり、また、経編地を見る際の位置に応じた見た目の変化がより大きくなった独特の色彩効果を発揮させることができる。
更に、このような経編地によれば、異色編成部の位置を変更することによって、外方から経編地を見た観察者が視認する模様を、例えば、水玉模様や市松模様に変化させることができるため、様々なバリエーションのデザインを容易に創出することができる。
また、上記経編地において、前記一対の側壁部を形成する各編み列は、互いに異なる色の編糸で編成されており、該各編み列の編糸が相互に入れ替わることによって、前記一対の側壁部にそれぞれ前記異色編成部が形成されていても良い。
このような経編地は、所定方向に間隔を空けて整列された複数の編針をそれぞれ有し、該整列された編針の列が相互に対向するように配置された少なくとも一対の針床と、前記各編針に編糸を供給する供給機構とを備えた編機であって、前記供給機構が、複数のガイドを有する複数の地筬及び前記針床に平行な方向への移動が制御される複数のガイドを有する2つのジャカード筬を備えた編機を用いて、
基部と、該基部上に編み立て方向に沿って相互に平行に形成された複数の凸条部とを有し、該凸条部が頂部及び該頂部と前記基部とを連結する一対の側壁部から構成される経編地を編成する方法であって、
前記一対の側壁部の一方を編成するための編針であって、一方の前記針床に組み込まれた第1編針に、一方の前記ジャカード筬のガイドを用いて第1編糸を導くとともに、他方の前記側壁部を編成するための編針であって、同じく一方の前記針床に組み込まれた第2編針に、他方の前記ジャカード筬のガイドを用いて前記第1編糸とは異なる色の第2編糸を導くようにし、
前記一方の針床を用いて前記各側壁部の編み列を編成する際に、予め設定したタイミングで、前記針床と平行な方向における、前記第1編糸を導くガイドの位置と、前記第2編糸を導くガイドの位置とを入れ替えて、前記一対の側壁部を編成する各編糸を相互に入れ替えることにより、前記各側壁部がそれぞれ編み立て方向において異なる色の編糸で編成されるようにした、経編地の編成方法によって好適に編成することができる。
基部と、該基部上に編み立て方向に沿って相互に平行に形成された複数の凸条部とを有し、該凸条部が頂部及び該頂部と前記基部とを連結する一対の側壁部から構成される経編地を編成する方法であって、
前記一対の側壁部の一方を編成するための編針であって、一方の前記針床に組み込まれた第1編針に、一方の前記ジャカード筬のガイドを用いて第1編糸を導くとともに、他方の前記側壁部を編成するための編針であって、同じく一方の前記針床に組み込まれた第2編針に、他方の前記ジャカード筬のガイドを用いて前記第1編糸とは異なる色の第2編糸を導くようにし、
前記一方の針床を用いて前記各側壁部の編み列を編成する際に、予め設定したタイミングで、前記針床と平行な方向における、前記第1編糸を導くガイドの位置と、前記第2編糸を導くガイドの位置とを入れ替えて、前記一対の側壁部を編成する各編糸を相互に入れ替えることにより、前記各側壁部がそれぞれ編み立て方向において異なる色の編糸で編成されるようにした、経編地の編成方法によって好適に編成することができる。
このようにして編成された経編地は、一方の側壁部側から経編地を見た場合と他方の側壁部側から経編地を見た場合とで、その見た目が全く異なったものとなる。
例えば、一対の側壁部の一方を構成する編み列を第1色の編糸で編み始め、他方の側壁部を構成する編み列を第2色の編糸で編み始めるようにし、編み立て方向において2カ所で編糸を入れ替えるようにした場合、一方の側壁部は、編み立て方向に沿って順番に第1色の編糸で編成された部分、第2色の編糸で編成された部分(異色編成部)、第1色の編糸で編成された部分を有した状態となる。これに対して、他方の側壁部は、編み立て方向に沿って順番に第2色の編糸で編成された部分、第1色の編糸で編成された部分(異色編成部)、第2色の編糸で編成された部分を有した状態となる。即ち、一方の側壁部が第1色の編糸で編成された部分であれば、編み立て方向における同じ位置において、他方の側壁部は第2色の編糸で編成された部分となり、逆に、一方の側壁部が第2色の編糸で編成された部分であれば、他方の側壁部は第1色の編糸で編成された部分となる。そのため、このように編成された経編地は、一方の側壁部側から見た場合と他方の側壁部側から見た場合とで、その外観が大きく変化するという色彩効果を発揮する。
また、このような経編地において、各凸条部の側壁部に設けられる異色編成部を、経編地を外方から視認したときに所定の模様を呈するように配置するようにすれば、経編地を見る際の位置に応じて色彩の異なる模様が観察者によって視認される。したがって、この経編地は、見た目の変化がより一層大きい色彩効果を発揮するものとなる。
更に、上記経編地において、相互に隣接する少なくとも2以上の凸条部における頂部が連結された複数の連結凸条部が形成されており、編み立て方向と直交する方向における前記連結凸条部の両端に位置する2つの凸条部は、該経編地を外方から視認したときに、視認する方向に応じて、呈する模様が変化するように、各側壁部に異色編成部が配置されていても良い。
このような経編地は、上記経編地の編成方法において、相互に隣接する少なくとも2以上の凸条部における頂部が連結された複数の連結凸条部を形成するように編成するとともに、編み立て方向と直交する方向における前記連結凸条部の両端に位置する2つの凸条部を編成する際に、編成される経編地を外方から視認したときに、視認する方向に応じて、呈する模様が変化するように、一方の凸条部の側壁部の編み列を編成する際における一対の側壁部を編成する各編糸を相互に入れ替えるタイミングと、他方の凸条部の側壁部の編み列を編成する際における一対の側壁部を編成する各編糸を相互に入れ替えるタイミングとを設定する編成方法によって、好適に編成することができる。
このようにして編成された経編地は、前記連結凸条部の両端に位置する2つの凸条部の各側壁部の内、それぞれ1つ側壁部が頂部によって隠れた状態となる。そして、観察者によって視認される側壁部の異色編成部を編み立て方向においてずれた位置に配置することや、異色編成部ごとに編み立て方向における大きさを変えることで、経編地を外方から視認したときに、視認する方向に応じて、呈する模様が変化するようになる。したがって、当該経編地は、編み立て方向と交差する方向からこの経編地を見る際の観察者の位置に応じて、その見た目、特に、模様が大きく変化するという独特の色彩効果を発揮する。
また、上記経編地は、相互に隣接した前記凸条部において、相互に対向する前記各側壁部を形成する編み列が、互いに異なる色の編糸で編成されており、その一方の側壁部を形成する編み列の編糸と、これに対向する側壁部を形成する編み列の編糸とが入れ替わることによって、相互に対向する前記各側壁部にそれぞれ前記異色編成部が形成されているようにしても良い。
このような経編地は、所定方向に間隔を空けて整列された複数の編針をそれぞれ有し、該整列された編針の列が相互に対向するように配置された少なくとも一対の針床と、前記各編針に編糸を供給する供給機構とを備えた編機であって、前記供給機構が、複数のガイドを有する複数の地筬及び前記針床に平行な方向への移動が制御される複数のガイドを有する2つのジャカード筬を備えた編機を用いて、
基部と、該基部上に編み立て方向に沿って相互に平行に形成された複数の凸条部とを有し、該凸条部が頂部及び該頂部と前記基部とを連結する一対の側壁部から構成される経編地を編成する方法であって、
相互に隣接した前記凸条部における、相互に対向した一方の側壁部を編成するための編針であって、一方の前記針床に組み込まれた第1編針に、一方の前記ジャカード筬のガイドを用いて第1編糸を導くとともに、対向する他方の側壁部を編成するための編針であって、同じく一方の前記針床に組み込まれた第2編針に、他方の前記ジャカード筬のガイドを用いて第1編糸とは異なる色の第2編糸を導くようにし、
前記一方の針床を用いて前記各側壁部の編み列を編成する際に、予め設定したタイミングで、前記針床と平行な方向における、前記第1編糸を導くガイドの位置と、前記第2編糸を導くガイドの位置とを入れ替えて、相互に対向する各側壁部を編成する各編糸を相互に入れ替えることにより、前記各側壁部がそれぞれ編み立て方向において異なる色の編糸によって編成されるようにした、経編地の編成方法によって好適に編成することができる。
基部と、該基部上に編み立て方向に沿って相互に平行に形成された複数の凸条部とを有し、該凸条部が頂部及び該頂部と前記基部とを連結する一対の側壁部から構成される経編地を編成する方法であって、
相互に隣接した前記凸条部における、相互に対向した一方の側壁部を編成するための編針であって、一方の前記針床に組み込まれた第1編針に、一方の前記ジャカード筬のガイドを用いて第1編糸を導くとともに、対向する他方の側壁部を編成するための編針であって、同じく一方の前記針床に組み込まれた第2編針に、他方の前記ジャカード筬のガイドを用いて第1編糸とは異なる色の第2編糸を導くようにし、
前記一方の針床を用いて前記各側壁部の編み列を編成する際に、予め設定したタイミングで、前記針床と平行な方向における、前記第1編糸を導くガイドの位置と、前記第2編糸を導くガイドの位置とを入れ替えて、相互に対向する各側壁部を編成する各編糸を相互に入れ替えることにより、前記各側壁部がそれぞれ編み立て方向において異なる色の編糸によって編成されるようにした、経編地の編成方法によって好適に編成することができる。
このように編成された経編地によれば、前記相互に対向する各側壁部の一方側から経編地を見た場合と他方側から見た場合の見た目を大きく変化させることができる。
例えば、相互に対向する前記各側壁部の一方を構成する編み列を第1色の編糸で編み始め、対向する他方の側壁部を構成する編み列を第2色の編糸で編み始めるようにし、編み立て方向において3カ所で編糸を入れ替えるようにした場合、一方の側壁部は、編み立て方向に沿って順番に第1色の編糸で編成された部分、第2色の編糸で編成された部分(異色編成部)、第1色の編糸で編成された部分、第2色の編糸で編成された部分(異色編成部)を有した状態となる。これに対して、対向する他方の側壁部は、編み立て方向に沿って順番に第2色の編糸で編成された部分、第1色の編糸で編成された部分(異色編成部)、第2色の編糸で編成された部分、第1色の編糸で編成された部分(異色編成部)を有した状態となり、一方の側壁部が第1色の編糸で編成された部分であれば、編み立て方向における同じ位置において、他方の側壁部は第2色の編糸で編成された部分となり、逆に、一方の側壁部が第2色の編糸で編成された部分であれば、他方の側壁部は第1色の編糸で編成された部分となる。したがって、このように編成された経編地は、一方の側壁部側から見た場合と対向する他方の側壁部側から見た場合とでその外観が大きく変化するという色彩効果を発揮する。
尚、このような経編地においても、各凸条部の側壁部に設けられる異色編成部を、経編地の外方から視認したときに所定の模様を呈するように配置すれば、経編地を見る際の位置によって観察者が視認する模様の色彩が異なったものとなる。したがって、この経編地は、見た目の変化がより一層大きい色彩効果を発揮するものとなる。
尚、上記経編地において、前記頂部は、挿入糸によって連結された少なくとも2列の鎖編み列から形成され、前記一対の側壁部は、それぞれ鎖編み列から形成されるとともに、該各側壁部を形成する鎖編み列は、頂部側に形成されたループが前記頂部の鎖編み列中に挿入された状態で編み込まれていることが好ましい。
この場合、上記各編成方法において、他方の前記針床により、少なくとも2列の鎖編み列を編成するとともに、挿入糸によって該複数の鎖編み列を連結して前記頂部を形成し、
一方の前記針床により、前記頂部の鎖編み列中に挿入されたループを前記他方の針床と対向する側に形成するように鎖編み列を編成して、前記頂部に連結された各側壁部を形成するとともに、該各側壁部に連結された基部を形成するようにした、経編地の編成方法によって好適に編成することができる。
一方の前記針床により、前記頂部の鎖編み列中に挿入されたループを前記他方の針床と対向する側に形成するように鎖編み列を編成して、前記頂部に連結された各側壁部を形成するとともに、該各側壁部に連結された基部を形成するようにした、経編地の編成方法によって好適に編成することができる。
このようにすれば、経編地を編成する段階で、基部と凸条部とを鎖編み列によって形成することができるため、従来のように、編成後に所定の処理を施して凸条を形成する場合と比較して、凸条部の形状にバラツキが生じ難くなり、当該凸条部の形状がバラつくことによって色彩効果が十分に発揮されなくなるという問題を解消することができる。また、編成後の染色工程を必要としないため、コストの増加を抑えることができる。
尚、経編地に使用される編糸は、上記のように、凸条部を構成する一対の側壁部の少なくとも一方が、前記異色編成部を有するようにすれば、経編地の編成に用いられる編糸の材質や色は特に限定されるものではなく、フィラメント糸や紡績糸を自由に選択し使用することができる。
以上のように、本発明に係る経編地は、使用される編糸の材質が特に制限されることなく、低コストで製造することができるとともに、見た目の変化が従来よりも大きい独特の色彩効果を安定して発揮することができる。したがって、本発明に係る経編地を衣服等に使用すれば、衣服等に独特の色彩効果による優れた美観や躍動感を与えることができる。
また、本発明に係る編地の編成方法によれば、従来にはない独特の色彩効果を発揮する経編地を編成することができ、また、凸条部の形状にバラツキを生じ難くすることができるため、編成される経編地が上記色彩効果を十分に発揮するものにすることができる。
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
経編地1は、図1に示すように、その表面に水玉模様が形成された編地であり、図2に示すように、基部2と編み立て方向(図1の矢示A方向)に沿って形成された複数の凸条部6とで構成され、前記凸条部6は、頂部3及び当該頂部3の両側下方に形成された一対の側壁部4,5からなる。
経編地1は、図1に示すように、その表面に水玉模様が形成された編地であり、図2に示すように、基部2と編み立て方向(図1の矢示A方向)に沿って形成された複数の凸条部6とで構成され、前記凸条部6は、頂部3及び当該頂部3の両側下方に形成された一対の側壁部4,5からなる。
前記頂部3は、デンビ編み組織3cによって連結された2本の鎖編み列3a,3bからなり、前記側壁部4,5は、後述するループ4a1,5a1が前記2本の鎖編み列3a,3bにそれぞれ挿入状態で編み込まれた鎖編み列4a,5aで構成されている。また、基部2は、前記側壁部4,5の鎖編み列4a,5aが結接された鎖編み列2a,2bと、隣接した鎖編み列2a,2bを連結する挿入組織2cとから構成されている。尚、本例の経編地1においては、挿入組織2cの一部が凸条部6間に露出しており、この凸条部6間に露出している挿入組織2c部分の編糸間を通して、経編地1の向こう側が透けて見えるようになっている。
また、本例の経編地1においては、頂部3を構成する鎖編み列3a,3bの編糸L3a,L3b及びデンビ編み組織3cを編成する挿入糸L5,L6に第1色の編糸を使用し、側壁部4,5を構成する鎖編み列4a,5aの編糸L4a,L4bの内、一方の編糸L4aには第2色の編糸、他方の編糸L4bには第3色の編糸を使用している。また、前記基部2を構成する鎖編み列2a,2bの編糸L2及び前記挿入組織2cを編成する挿入糸L1に第4色の編糸を使用している。尚、第1色、第2色、第3色及び第4色の組み合わせとしては、例えば、第1色を青色、第2色を赤色、第3色を黄色、第4色を白色とする組み合わせを例示することができる。
また、本例においては、前記頂部3の鎖編み列3a,3bの編糸L3a,L3b、デンビ編み組織3cを編成する挿入糸L5,L6、側壁部4,5の鎖編み列4a,5aの編糸L4a,L4b及び基部2の鎖編み列2a,2bの編糸L2として、先染めナイロン糸や先染めポリエステル糸などを例示することができる。また、前記基部2の挿入組織2cを編成する挿入糸L1としては、熱可塑性ポリエステルエラストマーからなるモノフィラメント糸やナイロンモノフィラメント糸、ポリエステルモノフィラメント糸を例示することができる。
更に、経編地1は、その側壁部4,5が、編み立て方向において、他の部分とは異なる色の編糸で編成された異色編成部を有している。これについて、図3〜図6を参照して詳細に説明する。尚、図3及び図4においては、第1色の部分をドット柄、第2色の部分をハッチング、第3色の部分を黒塗り、第4色の部分を白塗りで表した。
本例の経編地1は、複数の凸条部6における側壁部4の鎖編み列4aと側壁部5の鎖編み列5aとを編成する編糸L4a,L4bが相互に入れ替えられており、図3に示すように、側壁部4には、編み立て方向において第2色の編糸L4aで編成された部分及び第3色の編糸L4bで編成された部分(異色編成部7)、側壁部5には、第3色の編糸L4bで編成された部分及び第2色の編糸L4aで編成された部分(異色編成部7)が、この経編地1の表面に後述する水玉模様が形成されるように配置されている。
したがって、本例の経編地1においては、この経編地1を表面から見た際に頂部3、挿入組織2c及び側壁部4,5の一部が視認され(図4(a)参照)、また、経編地1を裏面から見た際に挿入組織2c及び側壁部4,5が視認され(図4(b)参照)、いずれの場合も、第2色と第3色との境目(色の変わり目)が輪郭線(図4(a)及び図4(b)中の各点線)の一部となった円が規則的に配置された水玉模様が現れるようになっている(図5及び図6参照)。尚、白塗り部分は、上述した凸条部6間の挿入組織2cに相当する部分であり、挿入糸L1の色が視認されるとともに、挿入糸L1の間を通して経編地1の向こう側が透けて見えるようになっている。また、経編地1を表面側から見る場合において、頂部3によって側壁部4,5が完全に隠れるような場合には、表面側から見た場合に限って模様が現れない場合もあり得る。
また、本例の経編地1においては、各凸条部の側壁部4,5における色の変わり目が円の輪郭線の一部となるように、各鎖編み列4a,5aの編糸L4a,L4bを入れ替えて、側壁部4,5に異色編成部7を配置するようにしているが、編糸L4a,L4bを入れ替える位置を適宜変更し、側壁部4,5の異色編成部7の位置を変えることで、例えば、色の変わり目が輪郭線となったひし形を規則的に配置した模様が現れるようにしたり、色の変わり目が星型の輪郭線の一部となるようにして、星形が不規則に配置された模様が現れるようにしたりすることが可能である。
尚、上述した説明の中で、側壁部4の異色編成部7を第3色の編糸L4bで編成された部分、鎖編み列5aの異色編成部7を第2色の編糸L4aで編成された部分としているが、「異色編成部」とは他の部分と異なる色の編糸で編成された部分であるから、これらに代えて、側壁部4の第2色の編糸L4aで編成された部分、側壁部5の第3色の編糸L4bで編成された部分をそれぞれ異色編成部と捉えても良い。
次に、この経編地1の編成に使用する編機の概略構成について、図7を参照して説明する。
前記編機は、所謂ピエゾジャカード付ダブルラッセル編機であって、それぞれ複数の編針11,13を備えた一対の針床10,12や、各編針11,13に編糸を供給する供給機構15を備えており、各針床10,12に設けられた編針11,13は、図7の紙面と直交する方向に沿って間隔を空けて整列され、一対の針床10,12は、この整列された編針11,13の列が相互に対向するように配置されている。また、前記供給機構15は、複数のガイドが前記針床10,12と平行な方向に沿って間隔を空けて配設された4本の地筬B1,B2,B5,B6、及び複数のガイドが前記針床10,12と平行な方向に沿って間隔を空けて配設された4本のジャカード筬JB3a,JB3b,JB4a,JB4bを備えている。尚、地筬B1のガイドには挿入糸L1、地筬B2のガイドには編糸L2、地筬B5のガイドには挿入糸L5、地筬B6のガイドには挿入糸L6が通糸されており、また、ジャカード筬JB3aには編糸L3a、ジャカード筬JB3bには編糸L3b、ジャカード筬JB4aには編糸L4a、ジャカード筬JB4bには編糸L4bが通糸されている。
前記4本の地筬B1,B2,B5,B6の内、地筬B1,B2は一方側の針床(以下、「前部針床」という)10に対応する筬であり、地筬B5,B6は他方側の針床(以下、「後部針床」という)12に対応する筬である。また、前記4本のジャカード筬JB3a,JB3b,JB4a,JB4bは、前部針床10に対応する地筬(以下、「前部地筬」という)B1,B2と後部針床12に対応する地筬(以下、「後部地筬」という)B5,B6との間に配置されており、4本のジャカード筬JB3a,JB3b,JB4a,JB4bの内、後部地筬B5,B6側に配置された2本のジャカード筬(前部ジャカード筬)JB4a,JB4bが前部針床10に対応し、前部地筬B1,B2側に配置された2本のジャカード筬(後部ジャカード筬)JB3a,JB3bが後部針床12に対応し、前部ジャカード筬JB4a,JB4bのガイドによって前部針床10の編針11に導かれる編糸L4a,L4bと、後部ジャカード筬JB3a,JB3bのガイドによって後部針床12の編針13に導かれる編糸L3a,L3bとは交差するようになっている。
また、各地筬B1,B2,B5,B6は、針床10,12と平行な方向及び図7の紙面に向かって左右方向(以下、「前後方向」という)に沿って移動自在になっており、前記各ジャカード筬JB3a,JB3b,JB4a,JB4bは、それぞれに配設された各ガイドが針床10,12と平行な方向及び前記前後方向に沿って移動自在であって、各ガイドの移動が個別に圧電素子によって制御可能に構成された、所謂ピエゾジャカード筬である。
また、前記前部地筬B1は前記挿入組織2cの編成、前部地筬B2は前記鎖編み列2a,2bの編成、前部ジャカード筬JB4a,JB4bは側壁部4,5の鎖編み列4a,5aの編成に使用される。一方、前記後部地筬B5,B6は前記デンビ編み組織3cの編成、後部ジャカード筬JB3a,JB3bは頂部3の鎖編み列3a,3bの編成に使用される。
次に、この編機によって経編地1を編成する過程について図8〜図13を参照して説明する。尚、図8〜図12は、経編地1を編成するための編組織図であり、図8は地筬B1の編組織図、図9は地筬B2の編組織図、図10は前部ジャカード筬JB4a,JB4bの編組織図、図11は地筬B5,B6の編組織図、図12は後部ジャカード筬JB3a,JB3bの編組織図をそれぞれ示したものであり、図8〜図12中の「F・N」は前部針床10、「B・N」は後部針床12を示している。
具体的には、前部針床10において、各編糸L4a,L4bによって側壁部4,5を構成する2本の鎖編み列4a,5aをそれぞれ編成するとともに(図10参照)、編糸L2によって基部2を構成する鎖編み列2a,2bを編成しつつ(図9参照)、各鎖編み列2a,2bと、これらの近傍にある他の鎖編み列2a,2bとを連結するように、挿入糸L1によって挿入組織2cを編成する(図8参照)。
一方、後部針床12においては、各編糸L3a,L3bによって2本の鎖編み列3a,3bを編成しつつ(図12参照)、この2本の鎖編み列3a,3bを連結するように、挿入糸L5,L6によってデンビ編み組織3cを編成する(図11参照)。
ここで、経編地1の編成においては、各凸条部6の側壁部4,5の所定の位置に第2色の編糸L4aで編成された部分及び第3色の編糸L4bで編成された部分が配置されるように、前部ジャカード筬JB4a,JB4bに配設されたガイドの移動を個別に制御して、凸条部6を構成する側壁部4,5の鎖編み列4a,5aの編糸L4a,L4bを相互に入れ替えながら各鎖編み列4a,5aを編成する。
具体的に言うと、鎖編み列4aを編成する編針(第1編針)11に前部ジャカード筬JB4aのガイドによって編糸L4aを導いて鎖編み列4aを編み始めるとともに、第1編針11に隣接し、鎖編み列5aを編成する編針(第2編針)11に前部ジャカード筬JB4bのガイドによって編糸L4bを導いて鎖編み列5aを編み始める。そして、途中から、第2編針11に導いていた編糸L4bを第1編針11に、第1編針11に導いていた編糸L4aを第2編針11にそれぞれ導くように、各前部ジャカード筬JB4a,JB4bのガイドの移動を個別に制御して、前部ジャカード筬JB4aのガイドの位置と前部ジャカード筬JB4bのガイドの位置とを入れ替える。これにより、一の凸条部6を構成する側壁部4,5の鎖編み列4a,5aの編糸L4a,L4bが途中で入れ替わった状態となり、各側壁部4,5に異色編成部7が形成される。
そして、側壁部4,5の第2色の編糸L4aで編成された部分と第3色の編糸L4bで編成された部分とが編み立て方向において所定の位置に配置されるように、上述した編糸L4a,L4bの入れ替えを所定のタイミングで複数回繰り返し行いながら、側壁部4,5の鎖編み列4a,5aを編成する。
他の凸条部6についても、これと同様に、側壁部4,5の鎖編み列4a,5aを編成する編糸L4a,L4bの入れ替えを所定のタイミングで複数回繰り返し行いながら、この鎖編み列4a,5aを編成する。
前記編糸L4a,L4bの入れ替えを行うタイミングは、第2色の編糸L4aで編成された部分及び第3色の編糸L4bで編成された部分が各凸条部6の側壁部4,5の所定の位置に配置され、外方から経編地1を見た観察者によって任意の模様(本例では水玉模様)が視認されるように、各凸条部6の側壁部4,5ごとに設定する。
また、経編地1の編成においては、側壁部4,5の鎖編み列4a,5aを編成する際に、図13に示すように、頂部3の鎖編み列3a,3bと対向する側(後部針床12と対向する側)にループ4a1,5a1を形成し、頂部3の鎖編み列3a,3bの編目に当該ループ4a1,5a1を挿入するようにして、側壁部4,5の鎖編み列4a,5aを頂部3の鎖編み列3a,3bに編み込む。また、側壁部4,5の鎖編み列4a,5aを、基部2の鎖編み列2a,2bに編み込むようにして、基部2の鎖編み列2a,2bと側壁部4,5の鎖編み列4a,5aとをそれぞれ結接するようにしている。
このようにして、基部2と頂部3とが側壁部4,5によって連結され、頂部3及び側壁部4,5からなる凸条部6が基部2上に形成された一枚の立体的な経編地であって、各凸条部6の側壁部4,5が、編み立て方向において、他の部分とは異なる色の編糸L4a,L4bで編成された異色編成部7を有した経編地1が編成される。
このように編成された経編地1は、編成段階で基部2と凸条部6とを形成するようにしているため、凸条部6の形状にバラツキが生じ難く、各凸条部6の形状がほぼ均一なものとなる。また、凸条部6は、それぞれ鎖編み列で構成された頂部3と側壁部4,5とからなり、側壁部4,5を構成する鎖編み列4a,5aは、頂部3の鎖編み列3a,3bに挿入状態で編み込まれるとともに、基部2の鎖編み列2a,2bに編み込まれているため、各凸条部6の形状が崩れ難いものとなっている。
次に、経編地1が奏する色彩効果について、図14〜図16を参照しつつ、以下説明する。
本例の経編地1は、編み立て方向と交差する方向からこの経編地1を見る際の観察者の位置に応じて、その見た目が変化する。まず、観察者が図14の紙面に向かって左手側から経編地1を見た場合について説明する。
水平面から所定の仰角までの範囲R1内の所定の仰角の方向から経編地1を見た場合には、頂部3のみが視認され、側壁部4,5は観察者の死角に位置するため、側壁部4,5は観察者に視認されない。したがって、この場合には、第1色のみが観察者に視認される。
範囲R1よりも仰角の大きい範囲R2内の所定の仰角の方向から経編地1を見た場合には、頂部3に加えて側壁部4が視認され、仰角が大きくなるにつれて、視認される側壁部4の面積が大きくなる。一方、側壁部5は、観察者の死角に位置するため視認されない。したがって、この場合には、第1色の縞状模様とともに、色の変わり目が輪郭線となった第3色の円が第2色上に規則的に配置された水玉模様が観察者に視認される(図15参照)。
また、範囲R2よりも仰角の大きい範囲R3内の所定の仰角の方向から経編地1を見た場合には、頂部3及び側壁部4に加え、基部2の挿入組織2cが視認されるようになり、視認される挿入組織2cの面積は、仰角が大きくなるにつれて増加する。この場合も、側壁部5は、観察者の死角に位置するため視認されない。したがって、この場合には、第1色の縞状模様と、第4色を含む縞状模様と、第3色の円が第2色上に規則的に配置された水玉模様とが混じり合った模様が観察者に視認される。
次に、観察者が図14の紙面に向かって右手側から経編地1を見た場合について説明する。
水平面から所定の仰角までの範囲R4内の所定の仰角の方向から経編地1を見た場合には、上記と同様に、頂部3のみが視認され、側壁部4,5は観察者に視認されないため、この場合、観察者が第1色のみを視認することになる。
範囲R4よりも仰角の大きい範囲R5内の所定の仰角の方向から経編地1を見た場合には、頂部3に加えて側壁部5が視認され、仰角が大きくなるにつれて、視認される側壁部5の面積が大きくなる。一方、側壁部4は観察者の死角に位置するため視認されない。したがって、この場合には、第1色の縞状模様とともに、色の変わり目が輪郭線となった第2色の円が第3色上に規則的に配置された水玉模様が観察者に視認される(図16参照)。
また、範囲R5よりも仰角の大きい範囲R6内の所定の仰角の方向から経編地1を見た場合には、頂部3及び側壁部5に加え、基部2の挿入組織2cが視認されるようになる。尚、上記と同様に、視認される挿入組織2cの面積は、仰角が大きくなるにつれて増加する。また、この場合も、側壁部4は観察者の死角に位置するため視認されない。したがって、この場合には、第1色の縞状模様と、第4色を含む縞状模様と、第2色の円が第3色上に規則的に配置された水玉模様とが混ざり合った模様が観察者に視認される。
尚、この経編地1では、観察者によって第3色の円が第2色上に配置された模様が視認されている状態から、第2色の円が第3色上に配置された模様が視認されている状態へと移り変わるまでの間が、範囲R3及び範囲R6内の仰角の方向から見た際に視認される模様並びに正面から見た際に視認される模様によって補完されるため、美妙な色彩効果が発揮される。
以上のように、本例の経編地1は、観察者がこの経編地1を見る際の位置に応じて、観察者に視認される模様の色彩が変化するという従来にはない独特の色彩効果を奏するものである。したがって、この経編地1を衣服や鞄、靴など素材として使用することで、着用者の動きに応じて、経編地1の表面に対する観察者の相対的な位置が変化し、上記色彩効果が発揮されるため、衣服等に優れた美観や躍動感を持たせることができる。また、観察者の位置に応じて見た目が変化するという特徴を生かして、インテリアなどの様々な分野に用いることで、独創的なデザインの製品を生み出すことができる。
また、側壁部4,5に設けられた異色編成部の配置を変更するだけで、種々の模様を形成することができるため、様々なバリエーションのデザインを容易に創出することができる。
尚、この経編地1は、上述したように、1つの凸条部6を構成する一対の側壁部4,5間で編糸L4a,L4bを相互に入れ替えることで、一対の側壁部4,5が異色編成部7を有したものとなるように編成されているため、例えば、凸条部6間に編み列を形成して凸条部6の間隔を広げたり、凸条部6間にメッシュ組織を形成したりすることが可能である。
更に、経編地1においては、凸条部6の形状のバラツキが少ないため、上述した色彩効果が安定して発揮される。
[第2実施形態]
次に、図17及び図18を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る経編地21について説明する。
次に、図17及び図18を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る経編地21について説明する。
図17に示すように、経編地21は、経編地1とほぼ同様に、基部22と編み立て方向に沿って形成された複数の凸条部26とで構成され、凸条部26は、頂部23及び当該頂部23の両側下方に形成された一対の側壁部24,25で構成されており、側壁部24,25が、編み立て方向において、他の部分とは異なる色の編糸で編成された異色編成部を有しているが、以下の点において経編地1と相違する。
即ち、経編地21においては、一の凸条部26を構成する側壁部24の鎖編み列24aと、一の凸条部26に隣接した凸条部26’の側壁部24’,25’の内、前記一の凸条部26の側壁部24と対向する側壁部25’の鎖編み列25a’との間で編糸を相互に入れ替えるとともに、同様に、一の凸条部26を構成する側壁部25の鎖編み列25aと、凸条部26に隣接した他の凸条部26’’を構成する側壁部24’’の鎖編み列24a’’との間で編糸を相互に入れ替えている。したがって、当該経編地21においても、図18に示すように、側壁部24,25に異なる色の編糸で編成された異色編成部が規則的に配置された状態となっており、経編地1と同様の独特な色彩効果を発揮する。尚、図18においては、第1色をドット柄、第2色をハッチング、第3色を黒塗りで表した。
[第3実施形態]
次に、図19〜図27を参照しつつ、本発明の第3実施形態に係る経編地31について説明する。
次に、図19〜図27を参照しつつ、本発明の第3実施形態に係る経編地31について説明する。
図19に示すように、経編地31は、経編地1と同様に、基部32と、編み立て方向に沿って形成された複数の凸条部36,40とを有しているが、前記凸条部36の頂部33は、隣接する凸条部40の頂部37と連結されており、2つの凸条部36,40が1つの連結凸条部42をなしている。具体的に言うと、経編地31においては、経編地1のデンビ編み組織3cに代えて、前記凸条部36,40における頂部33,37を構成する鎖編み列33a,33b,37a,37bを連結するデンビ編み組織41が形成され、2つの凸条部36,40が連結された1つの連結凸条部42を形成している。したがって、経編地31においては、凸条部36,40間に位置する側壁部35,38が頂部33,37及びデンビ編み組織41によって隠れた状態になり、側壁部34,39が観察者によって視認される。
尚、この経編地31においても、各凸条部36,40の側壁部34,35,38,39を構成する鎖編み列34a,35a,38a,39aは、ループが頂部33,37を構成する鎖編み列33a,33b,37a,37bに挿入状態で編み込まれている。また、基部32は、側壁部34,35,38,39の鎖編み列34a,35a,38a,39aが結接された鎖編み列32a,32b,32c,32dと、これらを連結する挿入組織32eとから構成されている。
この経編地31では、凸条部36,40の頂部33,37を構成する鎖編み列33a,33b,37a,37bの編糸L13a,L13b及びデンビ編み組織41を編成する挿入糸L16,L17に第1色の編糸を使用している。また、凸条部36の側壁部34,35を構成する鎖編み列34a,35aの編糸L14a,L14bの内、一方の編糸L14aには第2色の編糸、他方の編糸L14bには第3色の編糸を使用し、凸条部40の側壁部38,39を構成する鎖編み列38a,38bの編糸L15a,L15bの内、一方の編糸L15aには第4色の編糸、他方の編糸L15bには第5色の編糸を使用している。更に、前記基部32を構成する鎖編み列32a,32b,32c,32dの編糸L12及び挿入組織32eを編成する挿入糸L11に第6色の編糸を使用している。尚、編糸及び挿入糸に使用される糸の種類や材質としては、経編地1と同様のものを例示することができる。
また、本例の経編地31においても、各側壁部34,35,38,39に異色編成部43,44を配置するようにしている。但し、本例の経編地31では、図20に示すように、観察者から視認される側壁部に配置された異色編成部、即ち、凸条部36における側壁部34に配置された異色編成部43と、凸条部40における側壁部39に配置された異色編成部44とで、編み立て方向における位置や大きさを変えている。図20(a)において、第1色の部分をドット柄、第2色の部分をハッチング、第3色の部分を黒塗りで表し、図20(b)において、第1色の部分をドット柄、第4色の部分をハッチング、第5色の部分を黒塗りで表した。尚、図20(a)では第3色の編糸L14bで編成された部分を異色編成部43、図20(b)では第4色の編糸L15aで編成された部分を異色編成部44としているが、第2色の編糸L14aで編成された部分を異色編成部43、第5色の編糸L15bで編成された部分を異色編成部44と捉えても良い。
この経編地31は、経編地1の編成に使用した、所謂ピエゾジャカード付ダブルラッセル編機を用いて編成することができる。前部針床10において、頂部33,37を構成する鎖編み列33a,33b,37a,37b及びデンビ編み組織41を編成し、後部針床12において、各凸条部36,40の側壁部34,35,38,39を構成する鎖編み列34a,35a,38a,39a、基部32を構成する鎖編み列32a,32b,32c,32d及び挿入組織32eを編成する場合を例にとって、図21〜図25を参照しつつ、以下説明する。尚、図21〜図25は、経編地31を編成するための編組織図であり、図21は前部ジャカード筬JB4a,JB4bの編組織図、図22は地筬B1,B2の編組織図、図23は後部ジャカード筬JB3a,JB3bの編組織図、図24は地筬B5の編組織図、図25は地筬B6の編組織図を示したものである。
本例の経編地31を編成するにあたっては、地筬B1のガイドには挿入糸L16、地筬B2のガイドには挿入糸L17、地筬B5のガイドには編糸L12、地筬B6のガイドには挿入糸L11が通糸されており、ジャカード筬JB4aには編糸L13a、ジャカード筬JB4bには編糸L13bが通糸されている。また、ジャカード筬JB3aには編糸L14a,L15a、ジャカード筬JB3bには編糸L14b,L15bが通糸されており、凸条部36の側壁部34,35を編成する編針には編糸L14a,L14b、凸条部40の側壁部38,39を編成する編針には編糸L15a,L15bが導かれるようになっている。
そして、前部針床10において、各編糸L13a,L13bによって各凸条部36,40の頂部33,37となる鎖編み列33a,33b,37a,37bを編成しつつ(図21参照)、この4本の鎖編み列33a,33b,37a,37bを連結するように、挿入糸L16,L17によってデンビ編み組織41を編成する(図22参照)。
一方、後部針床12においては、各編糸L14a,L14bによって側壁部34,35を構成する鎖編み列34a,35aをそれぞれ編成するとともに(図23参照)、各編糸L15a,L15bによって側壁部38,39を構成する鎖編み列38a,39aを編成する(図23参照)。また、編糸L12によって鎖編み列32a,32b,32c,32dを編成しつつ(図24参照)、各鎖編み列32a,32b,32c,32dを連結するように、挿入糸L11によって挿入組織32eを編成する(図25参照)。
本例の経編地31においても、経編地1と同様に、側壁部36,40の所定の位置に異色編成部43,44が配置されるように、後部ジャカード筬JB3a,JB3bのガイドの移動を個別に制御して、各凸条部36,40における側壁部34,35,38,39を編成するようにしている。
具体的に言うと、本例の経編地31においても、側壁部34,35を編成する編糸L14a,L14bの入れ替えを所定のタイミングで複数回繰り返すとともに、側壁部38,39を編成する編糸L15a,L15bの入れ替えを所定のタイミングで複数回繰り返すことによって、各側壁部34,35,38,39に異色編成部43,44を配置するようにしている。但し、本例の経編地31では、凸条部36における側壁部34の異色編成部43と、凸条部40における側壁部39の異色編成部44とで、編み立て方向における位置や大きさが異なるものとなるように、編糸の入れ替えのタイミングを設定し、編糸の入れ替えを行いながら、各側壁部34,35,38,39の鎖編み列34a,35a,38a,39aを編成するようにしている。
このように、経編地31においては、観察者に視認される側壁部34,39を編成する際に、編糸の入れ替えを異なるタイミングで行うことで、観察者に視認される各側壁部34,39の異色編成部43,44を編み立て方向においてずれた位置に配置することや、異色編成部43,44ごとに編み立て方向における大きさを変えることができる。
したがって、本例の経編地31においては、観察者が図19の紙面に向かって左手側から当該経編地31を見た場合、側壁部34は視認されるが、側壁部35,38,39は視認されないため、頂部33,37及びデンビ編み組織41の色である第1色の縞状模様とともに、所定の位置に異色編成部43が配置された側壁部34の第2色及び第3色からなる模様が観察者に視認される(図26参照)。
一方、観察者が図19の紙面に向かって右手側から経編地31を見た場合、側壁部39は視認されるが、側壁部34,35,38は視認されないため、頂部33,37及びデンビ編み組織41の色である第1色の縞上模様とともに、所定の位置に異色編成部44が配置された側壁部39の第4色及び第5色からなる模様が観察者に視認される(図27参照)。
このように、経編地31では、観察者によって視認される側壁部34,39の異色編成部43,44を編み立て方向において異なる位置に配置することや、異色編成部43,44ごとに編み立て方向における大きさを変えることができ、これにより、当該経編地31は、編み立て方向と交差する方向からこの経編地31を見る際の観察者の位置に応じて、視認される模様が変化するという色彩効果を奏する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明が採り得る態様は何らこれらに限定されるものではない。
例えば、上記第1及び第2実施形態においては、頂部を構成する鎖編み列の編糸及びデンビ編み組織の挿入糸を第1色、各側壁部を構成する鎖編み列の編糸を第2色及び第3色としているが、各側壁部を構成する鎖編み列の編糸に色の異なる2種の編糸を使用する限り、頂部を構成する鎖編み列の編糸の色は特に限定されるものではなく、側壁部を構成する鎖編み列の編成に用いられるいずれか一方の編糸と同色であっても良い。
このようにしても、各側壁部を構成する鎖編み列の編糸に色の異なる2種の編糸を使用し、各側壁部が異色編成部を有するようにすれば、経編地を見る際の観察者の位置に応じて、その見た目が大きく変化するという独特の色彩効果を発揮させることが可能である。
また、第3実施形態においては、頂部を構成する鎖編み列の編糸及びデンビ編み組織の挿入糸を第1色、側壁部34,35を構成する鎖編み列の編糸を第2色及び第3色、側壁部38,39を構成する鎖編み列の編糸を第4色及び第5色としているが、上記第1及び第2実施形態と同様に、頂部を構成する鎖編み列の編糸の色は特に限定されるものではなく、側壁部34,35,38,39を構成する鎖編み列の編成に用いられるいずれかの編糸と同色であっても良い。このようにしても、経編地を見る際の観察者の位置に応じて、その見た目、特に、模様が大きく変化するという独特の色彩効果を発揮させることができる。
更に、上記第1及び第2実施形態においては、2本の鎖編み列をデンビ編み組織で連結して頂部を編成するようにしているが、頂部を構成する鎖編み列の数はこれに限られるものではなく、3列以上の鎖編み列を連結して頂部を編成するようにしても良い。また、上記第1、第2及び第3実施形態において、頂部を構成する鎖編み列を連結する編組織は、デンビ編み組織に限られるものではなく、他の編組織であっても良い。
また、上記第1及び第2実施形態では、凸条部を構成する一対の側壁部の両方が異色編成部を有するようにしているが、これに限られるものではなく、一対の側壁部の一方のみが異色編成部を有するようにしても良い。
このような経編地は、例えば、上記経編地21のように、一の凸条部を構成する側壁部の鎖編み列と、この凸条部に隣接した一方の凸条部の側壁部の内、前記一の凸条部の側壁部と対向した側壁部の鎖編み列との間での編糸の入れ替えを利用することで編成することができる。
また、上記第3実施形態においても、凸条部を構成する一対の側壁部の一方のみが異色編成部を有するようにしても良い。
1 経編地
2 基部
2a,2b 鎖編み列
2c 挿入組織
3 頂部
3a,3b 鎖編み列
3c デンビ編み組織
4,5 側壁部
4a,5a 鎖編み列
6 凸条部
7 異色編成部
10,12 針床
11,13 編針
B1,B2,B5,B6 地筬
JB3a,JB3b,JB4a,JB4b ジャカード筬
2 基部
2a,2b 鎖編み列
2c 挿入組織
3 頂部
3a,3b 鎖編み列
3c デンビ編み組織
4,5 側壁部
4a,5a 鎖編み列
6 凸条部
7 異色編成部
10,12 針床
11,13 編針
B1,B2,B5,B6 地筬
JB3a,JB3b,JB4a,JB4b ジャカード筬
Claims (10)
- 基部と、該基部上に編み立て方向に沿って相互に平行に形成された複数の凸条部とを有する経編地であって、
前記各凸条部は、
前記編み立て方向に沿って延びた編み列から形成される帯状の頂部と、
前記頂部の両側の下方に位置し、且つ該頂部に沿って延びた編み列からそれぞれ形成される一対の側壁部とから構成され、
前記各側壁部の編み列は、その基部側が前記基部に編み込まれるとともに、その頂部側が前記頂部に編み込まれて、前記基部と前記頂部とを連結しており、
前記一対の側壁部の少なくとも一方は、前記編み立て方向において、その少なくとも一部に他の部分とは異なる色の編糸で編成された異色編成部を有していることを特徴とする経編地。 - 前記各凸条部の側壁部に設けられる異色編成部は、該経編地を外方から視認したときに、所定の模様を呈するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の経編地。
- 前記一対の側壁部を形成する各編み列は、互いに異なる色の編糸で編成されており、該各編み列の編糸が相互に入れ替わることによって、前記一対の側壁部にそれぞれ前記異色編成部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の経編地。
- 相互に隣接する少なくとも2以上の凸条部における頂部が連結された複数の連結凸条部が形成されており、
編み立て方向と直交する方向における前記連結凸条部の両端に位置する2つの凸条部は、該経編地を外方から視認したときに、視認する方向に応じて、呈する模様が変化するように、各側壁部に異色編成部が配置されていることを特徴とする請求項3記載の経編地。 - 相互に隣接した前記凸条部において、相互に対向する前記各側壁部を形成する編み列は、互いに異なる色の編糸で編成されており、その一方の側壁部を形成する編み列の編糸と、これに対向する側壁部を形成する編み列の編糸とが入れ替わることによって、相互に対向する前記各側壁部にそれぞれ前記異色編成部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の経編地。
- 前記頂部は、挿入糸によって連結された少なくとも2列の鎖編み列から形成され、
前記一対の側壁部は、それぞれ鎖編み列から形成されるとともに、該各側壁部を形成する鎖編み列は、頂部側に形成されたループが前記頂部の鎖編み列中に挿入された状態で編み込まれていることを特徴とする請求項1乃至5記載のいずれかの経編地。 - 所定方向に間隔を空けて整列された複数の編針をそれぞれ有し、該整列された編針の列が相互に対向するように配置された少なくとも一対の針床と、前記各編針に編糸を供給する供給機構とを備えた編機であって、前記供給機構が、複数のガイドを有する複数の地筬及び前記針床に平行な方向への移動が制御される複数のガイドを有する2つのジャカード筬を備えた編機を用いて、
基部と、該基部上に編み立て方向に沿って相互に平行に形成された複数の凸条部とを有し、該凸条部が頂部及び該頂部と前記基部とを連結する一対の側壁部から構成される経編地を編成する方法であって、
前記一対の側壁部の一方を編成するための編針であって、一方の前記針床に組み込まれた第1編針に、一方の前記ジャカード筬のガイドを用いて第1編糸を導くとともに、他方の前記側壁部を編成するための編針であって、同じく一方の前記針床に組み込まれた第2編針に、他方の前記ジャカード筬のガイドを用いて前記第1編糸とは異なる色の第2編糸を導くようにし、
前記一方の針床を用いて前記各側壁部の編み列を編成する際に、予め設定したタイミングで、前記針床と平行な方向における、前記第1編糸を導くガイドの位置と、前記第2編糸を導くガイドの位置とを入れ替えて、前記一対の側壁部を編成する各編糸を相互に入れ替えることにより、前記各側壁部がそれぞれ編み立て方向において異なる色の編糸で編成されるようにしたことを特徴とする、経編地の編成方法。 - 相互に隣接する少なくとも2以上の凸条部における頂部が連結された複数の連結凸条部を形成するように編成するとともに、
編み立て方向と直交する方向における前記連結凸条部の両端に位置する2つの凸条部を編成する際に、編成される経編地を外方から視認したときに、視認する方向に応じて、呈する模様が変化するように、一方の凸条部の側壁部の編み列を編成する際における一対の側壁部を編成する各編糸を相互に入れ替えるタイミングと、他方の凸条部の側壁部の編み列を編成する際における一対の側壁部を編成する各編糸を相互に入れ替えるタイミングとを設定することを特徴とする請求項7記載の、経編地の編成方法。 - 所定方向に間隔を空けて整列された複数の編針をそれぞれ有し、該整列された編針の列が相互に対向するように配置された少なくとも一対の針床と、前記各編針に編糸を供給する供給機構とを備えた編機であって、前記供給機構が、複数のガイドを有する複数の地筬及び前記針床に平行な方向への移動が制御される複数のガイドを有する2つのジャカード筬を備えた編機を用いて、
基部と、該基部上に編み立て方向に沿って相互に平行に形成された複数の凸条部とを有し、該凸条部が頂部及び該頂部と前記基部とを連結する一対の側壁部から構成される経編地を編成する方法であって、
相互に隣接した前記凸条部における、相互に対向した一方の側壁部を編成するための編針であって、一方の前記針床に組み込まれた第1編針に、一方の前記ジャカード筬のガイドを用いて第1編糸を導くとともに、対向する他方の側壁部を編成するための編針であって、同じく一方の前記針床に組み込まれた第2編針に、他方の前記ジャカード筬のガイドを用いて第1編糸とは異なる色の第2編糸を導くようにし、
前記一方の針床を用いて前記各側壁部の編み列を編成する際に、予め設定したタイミングで、前記針床と平行な方向における、前記第1編糸を導くガイドの位置と、前記第2編糸を導くガイドの位置とを入れ替えて、相互に対向する各側壁部を編成する各編糸を相互に入れ替えることにより、前記各側壁部がそれぞれ編み立て方向において異なる色の編糸によって編成されるようにしたことを特徴とする、経編地の編成方法。 - 他方の前記針床により、少なくとも2列の鎖編み列を編成するとともに、挿入糸によって該複数の鎖編み列を連結して前記頂部を形成し、
一方の前記針床により、前記頂部の鎖編み列中に挿入されたループを前記他方の針床と対向する側に形成するように鎖編み列を編成して、前記頂部に連結された各側壁部を形成するとともに、該各側壁部に連結された基部を形成するようにしたことを特徴とする請求項7乃至9記載のいずれかの、経編地の編成方法。
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