JPWO2018061867A1 - ラテックス組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明においては、前記中鎖脂肪酸グリセリドが、中鎖脂肪酸トリグリセリドであることが好ましい。
本発明においては、前記共役ジエン系重合体が、合成ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、またはニトリル基含有共役ジエン系共重合体であることが好ましい。
本発明においては、前記ラテックス組成物が、架橋剤をさらに含有することが好ましい。
さらに、本発明によれば、上記ラテックス組成物からなる塗膜により、第1のシート基材の少なくとも一部と第2のシート基材の少なくとも一部とが接着積層されてなり、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材との間に被包装物を収容可能な包装構造体が提供される。
本発明で用いる共役ジエン系重合体のラテックスは、共役ジエン単量体を少なくとも含む単量体混合物を重合して得られる共役ジエン系重合体のラテックスである。
この際、合成した後に重合体溶液中に残った重合触媒の残渣などの不純物を取り除いてもよい。また、重合中または重合後の溶液に、後述する老化防止剤を添加してもよい。また、市販の固形の合成ポリイソプレンを用いることもできる。
乳化物から有機溶媒を除去する方法としては、得られる合成ポリイソプレンラテックス中における、有機溶媒(好ましくは脂環族炭化水素溶媒)の含有量を500重量ppm以下とすることのできる方法が好ましく、たとえば、減圧蒸留、常圧蒸留、水蒸気蒸留、遠心分離等の方法を採用することができる。
pH調整剤としては、たとえば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属の炭酸塩;炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属の炭酸水素塩;アンモニア;トリメチルアミン、トリエタノールアミンなどの有機アミン化合物;等が挙げられるが、アルカリ金属の水酸化物またはアンモニアが好ましい。
この際、合成した後に重合体溶液中に残った重合触媒の残渣などの不純物を取り除いてもよい。また、重合中または重合後の溶液に、後述する老化防止剤を添加してもよい。また、市販の固形のSISを用いることもできる。
なお、有機溶媒の使用量は、SIS100重量部に対して、通常50〜2,000、好ましくは250〜2,000重量部、より好ましくは400〜1,250重量部である。
また、SIS中のイソプレンブロックにおけるイソプレン単位の含有量は、全単量体単位に対して、好ましくは70〜100重量%、より好ましくは90〜100重量%、さらに好ましくは100重量%である。
なお、SIS中のスチレン単位とイソプレン単位の含有割合は、「スチレン単位:イソプレン単位」の重量比で、通常1:99〜90:10、好ましくは3:97〜70:30、より好ましくは5:95〜50:50、さらに好ましくは10:90〜30:70の範囲である。
本発明のラテックス組成物は、上述した共役ジエン系重合体のラテックスに加えて、中鎖脂肪酸グリセリドを、ラテックスに含まれる共役ジエン系重合体100重量部に対して、1〜40重量部の範囲で含有する。
本発明のラテックス組成物は、上述した共役ジエン系重合体のラテックスと、上述した中鎖脂肪酸グリセリドとを含有し、中鎖脂肪酸グリセリドの含有割合が上記範囲にあるものである。
架橋剤としては、たとえば、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等の硫黄;塩化硫黄、二塩化硫黄、モルホリン・ジスルフィド、アルキルフェノール・ジスルフィド、N,N’−ジチオ−ビス(ヘキサヒドロ−2H−アゼピノン−2)、含りんポリスルフィド、高分子多硫化物、2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール等の硫黄含有化合物が挙げられる。これらのなかでも、硫黄が好ましく使用できる。架橋剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
架橋促進剤としては、ディップ成形において通常用いられるものが使用でき、たとえば、ジエチルジチオカルバミン酸、ジブチルジチオカルバミン酸、ジ−2−エチルヘキシルジチオカルバミン酸、ジシクロヘキシルジチオカルバミン酸、ジフェニルジチオカルバミン酸、ジベンジルジチオカルバミン酸などのジチオカルバミン酸類およびそれらの亜鉛塩;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛、2−メルカプトチアゾリン、ジベンゾチアジル・ジスルフィド、2−(2,4−ジニトロフェニルチオ)ベンゾチアゾール、2−(N,N−ジエチルチオ・カルバイルチオ)ベンゾチアゾール、2−(2,6−ジメチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾール、2−(4′−モルホリノ・ジチオ)ベンゾチアゾール、4−モルホニリル−2−ベンゾチアジル・ジスルフィド、1,3−ビス(2−ベンゾチアジル・メルカプトメチル)ユリアなどが挙げられるが、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、2ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、2−メルカプトベンゾチアゾール亜鉛が好ましい。架橋促進剤は、1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
酸化亜鉛の含有量は、特に限定されないが、共役ジエン系重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.2〜2重量部である。酸化亜鉛の含有量を上記範囲とすることにより、乳化安定性を良好なものとしながら、得られるディップ成形体などの膜成形体の引張強度をより高めることができる。
そして、前架橋した後、ディップ成形に供されるまで、好ましくは10〜30℃の温度で貯蔵することが好ましい。高温のまま貯蔵すると、得られるディップ成形体などの膜成形体の引張強度が低下する場合がある。
本発明の膜成形体は、本発明のラテックス組成物からなる膜状の成形体である。本発明の膜成形体の膜厚は、好ましくは0.03〜0.50mm、より好ましくは0.05〜0.40mm、特に好ましくは0.05〜0.30mmである。
なお、本発明の膜成形体は、上述した本発明のラテックス組成物を、ディップ成形する方法以外にも、上述した本発明のラテックス組成物を、膜状に成形できる方法(たとえば、塗布法等)であれば、いずれの方法で得られるものであってもよい。
本発明の包装構造体は、上述した本発明のラテックス組成物を塗布した第1のシート基材および第2のシート基材を接着積層してなり、被包装物を収容可能な構造を示す。具体的には、本発明の包装構造体においては、第1のシート基材および第2のシート基材は、ラテックス組成物が塗布された面(ラテックス塗布面)が対向するようにして、必要に応じて被包装物を挟み、第1のシート基材および第2のシート基材のラテックス塗布面同士が互いに接触した状態で、押圧することにより、第1のシート基材と第2のシート基材とが互いに接着し、これにより、被包装物を包装可能な構造となっている。被包装物としては、特に限定されないが、たとえば、絆創膏等の医療品のように、滅菌をすることが望まれる各種被包装物が挙げられる。第1のシート基材および第2のシート基材としては、特に限定されないが、たとえば、グラシン紙等の紙材、高密度ポリエチレン不織布、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等が挙げられ、これらのなかでも、取り扱い性が優れている点(適度な折れ曲がり易さを有している点)および安価であるという点から、紙材が好ましく、グラシン紙が特に好ましい。
アルミ皿(重量:X1)に試料2gを精秤し(重量:X2)、これを105℃の熱風乾燥器内で2時間乾燥させた。次いで、デシケーター内で冷却した後、アルミ皿ごと重量を測定し(重量:X3)、下記の計算式にしたがって、固形分濃度を算出した。
固形分濃度(重量%)=(X3−X1)×100/X2
ASTM D412に基づいて、膜厚が約0.2mmのフィルム状のディップ成形体を、ダンベル(商品名「スーパーダンベル(型式:SDMK−100C)」、ダンベル社製)で打ち抜き、引張強度測定用試験片を作製した。当該試験片をテンシロン万能試験機(商品名「RTG−1210」、オリエンテック社製)で引張速度500mm/minで引っ張り、破断直前の引張強度(単位:MPa)、破断直前の伸び(単位:%)および伸び率が500%の時の引張応力(単位:MPa)を測定した。なお、引張強度および破断時伸びは高いほど好ましい。また、500%の時の引張応力が小さいほど、ディップ成形体は柔軟性に優れたものとなり、好ましい。
ASTM D624−00に基づいて、ディップ成形体を、23℃、相対湿度50%の恒温恒湿室で24時間以上放置した後、ダンベル(商品名「Die C」、ダンベル社製)で打ち抜き、引裂強度測定用の試験片を作製した。当該試験片をテンシロン万能試験機(商品名「RTG−1210」、A&D社製)で引張速度500mm/minで引っ張り、引裂強度(単位:N/mm)を測定した。なお、引裂強度は高いほど好ましい。
ラテックス組成物の調製
共役ジエン系重合体のラテックスとしての合成ポリイソプレン重合体ラテックス(商品名「NIPOL ME1100」、日本ゼオン社製)250部(合成ポリイソプレン重合体換算で100部)を攪拌しながら、固形分濃度40%、pH10.5になるように水酸化カリウム水溶液で調整し、中鎖脂肪酸グリセリド(a−1)(商品名「MASESTER−E7000」、中央化成社製、中鎖脂肪酸としてそれぞれ炭素数8〜10の脂肪酸を用いた中鎖脂肪酸トリグリセリド)5部を添加し、室温で72時間撹拌させてラテックス組成物を得た。その後、ラテックス組成物中の合成ポリイソプレン重合体100部に対して、固形分換算で、酸化亜鉛1.5部、硫黄1.5部、老化防止剤(商品名「Wingstay L」、グッドイヤー社製)2部、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛0.3部、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛0.5部、メルカプトベンゾチアゾール亜鉛0.7部となるように、各配合剤の水分散液を添加した。その後、ラテックス組成物を、30℃に調整された恒温水槽で48時間熟成した。
市販のセラミック製手型(シンコー社製)を洗浄し、70℃のオーブン内で予備加熱した後、18重量%の硝酸カルシウムおよび0.05重量%のポリオキシエチレンラウリルエーテル(商品名「エマルゲン109P」、花王社製)を含有する凝固剤水溶液に5秒間浸漬し、凝固剤水溶液から取り出した。次いで、手型を70℃のオーブン内で30分以上乾燥させることで、手型に凝固剤を付着させて、手型を凝固剤により被覆した。
ラテックス組成物中における中鎖脂肪酸グリセリド(a−1)の添加量を、14部に変更した以外は、実施例1と同様にしてラテックス組成物の調製、及びディップ成形体の製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
中鎖脂肪酸グリセリド(a−1)5部に代えて、中鎖脂肪酸グリセリド(a−2)(商品名「サンソフトNo.700P−2」、太陽化学社製、中鎖脂肪酸として炭素数8のカプリル酸を用いた中鎖脂肪酸モノグリセリド)14部を用いた以外は、実施例1と同様にしてラテックス組成物の調製、及びディップ成形体の製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
SISラテックスの製造
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)(商品名「QUINTAC 3620」、日本ゼオン社製)のシクロヘキサン溶液1250部(SIS100部、シクロヘキサン1150部)を調製した。また、ロジン酸カリウム水溶液0.8部を含有する界面活性剤水溶液1250部を準備した。
共役ジエン系重合体のラテックスとして、合成ポリイソプレン重合体ラテックス250部(合成ポリイソプレン重合体換算で100部)に代えて、上記SISラテックス250部(SIS換算で100部)を用いた以外は、実施例1と同様にしてラテックス組成物の調製、及びディップ成形体の製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
ニトリル基含有共役ジエン系共重合体ラテックスの製造
窒素置換した耐圧重合反応器に、初期重合単量体としてアクリロニトリル13.5部、1,3−ブタジエン33.75部及びメタクリル酸2.75部の合計50部、分子量調整剤としてt−ドデシルメルカプタン(tDM)0.5部、脱イオン水95部、乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(DBS)1.0部、重合開始剤として過硫酸カリウム0.2部、及び還元剤としてエチレンジアミン四酢酸ナトリウム(EDTA)0.1部を仕込んだ。重合系内の温度を35℃に上昇させて重合反応を開始した。重合転化率が50%になった時点で、追加乳化剤として、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.0部の10%水溶液を、一括添加した。追加乳化剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの10%水溶液)の添加終了後、アクリロニトリル13.5部、1,3−ブタジエン33.75部及びメタクリル酸2.75部の合計50部(残余の単量体)並びにt−ドデシルメルカプタン0.4部を脱イオン水15.0部及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.5部で乳化して得たエマルジョンを270分間に亘って、重合系に連続添加した。この連続添加終了時の重合転化率は60%であった。その後、全単量体の重合転化率が97%になるまで重合を継続し、ジエチルヒドロキシルアミン0.1部を添加して重合反応を停止して、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体のラテックスを得た。
得られたニトリル基含有共役ジエン系共重合体のラテックスについて、未反応単量体を留去した後、固形分濃度45%、pH8.3に調整し、実施例1で使用した中鎖脂肪酸トリグリセリド(a−1)5部を添加して、ラテックス組成物を得た。得られたラテックス組成物を固形分濃度25%に調整し、ラテックス組成物中のニトリル基含有共役ジエン系共重合体100部に対して、硫黄1部、酸化亜鉛1.5部、ジエチルカルバミン酸亜鉛0.5部、水酸化カリウム0.03部及び水5.63部を混合して調製した加硫剤分散液8.66部を混合した後、適量の5%水酸化カリウム水溶液、脱イオン水を加えて、固形分濃度25%、pH10.0としたラテックス組成物を、30℃で1日熟成させた。熟成後のラテックス組成物を用いて、実施例1と同様にしてディップ成形体の製造を行い、上記方法にしたがって、引張強度、破断時伸び、および500%伸長時の応力の各測定を行った。結果を表2に示す。
中鎖脂肪酸グリセリド(a−1)を使用しなかった以外は、実施例1と同様にしてラテックス組成物の調製、及びディップ成形体の製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
ラテックス組成物中における中鎖脂肪酸グリセリド(a−1)の添加量を、50部に変更した以外は、実施例1と同様にしてラテックス組成物の調製、及びディップ成形体の製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
ラテックス組成物中における中鎖脂肪酸グリセリド(a−1)の添加量を、0.5部に変更した以外は、実施例1と同様にしてラテックス組成物の調製、及びディップ成形体の製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
中鎖脂肪酸グリセリド(a−1)を使用しなかった以外は、実施例4と同様にしてラテックス組成物の調製、及びディップ成形体の製造を行い、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
中鎖脂肪酸グリセリド(a−1)を使用しなかった以外は、実施例5と同様にしてラテックス組成物の調製、及びディップ成形体の製造を行い、同様に評価を行った。結果を表2に示す。
同様に、表2より、共役ジエン系重合体としてニトリル基含有共役ジエン系共重合体を使用し、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体のラテックスと、中鎖脂肪酸グリセリドとを含有し、ニトリル基含有共役ジエン系共重合体100重量部に対する、中鎖脂肪酸グリセリドの含有割合が1〜40重量部であるラテックス組成物を用いて製造されたディップ成形体は、500%の時の引張応力が比較例5と比べて小さいため柔軟性に優れ、しかも引張強度および破断時伸びが比較例5と同等の高い値であった(実施例5)。また、実施例5においては、ラテックス組成物に中鎖脂肪酸グリセリドが上記の含有割合となるように配合されているため、実施例1〜4と同様に、製造されたディップ成形体は、中鎖脂肪酸グリセリドの作用により、引裂強度が高いものであると考えられる。
同様に、中鎖脂肪酸グリセリドの含有割合が少なすぎるラテックス組成物を用いて製造されたディップ成形体も、500%の時の引張応力が高いため柔軟性に劣り、しかも引裂強度が低いものであった(比較例3)。
また、中鎖脂肪酸グリセリドの含有割合が多すぎるラテックス組成物を用いて製造されたディップ成形体は、引裂強度および引張強度が、いずれも低いものであった(比較例2)。
Claims (7)
- 共役ジエン系重合体のラテックスと、中鎖脂肪酸グリセリドとを含有し、
前記共役ジエン系重合体100重量部に対する、前記中鎖脂肪酸グリセリドの含有割合が1〜40重量部であるラテックス組成物。 - 前記中鎖脂肪酸グリセリドを構成する中鎖脂肪酸が、炭素数6〜18の脂肪酸である請求項1に記載のラテックス組成物。
- 前記中鎖脂肪酸グリセリドが、中鎖脂肪酸トリグリセリドである請求項1または2に記載のラテックス組成物。
- 前記共役ジエン系重合体が、合成ポリイソプレン、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、またはニトリル基含有共役ジエン系共重合体である請求項1〜3のいずれかに記載のラテックス組成物。
- 架橋剤をさらに含有する請求項1〜4のいずれかに記載のラテックス組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のラテックス組成物からなる膜成形体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のラテックス組成物からなる塗膜により、第1のシート基材の少なくとも一部と第2のシート基材の少なくとも一部とが接着積層されてなり、前記第1のシート基材と前記第2のシート基材との間に被包装物を収容可能な包装構造体。
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