実施の形態1.
<虚像表示装置100の構成>
図1は、実施の形態1に係る虚像表示装置100の構成の一例を示す模式図である。虚像表示装置100は、例えば、車載用のヘッドアップディスプレイである。虚像表示装置100は、例えば、車両600のダッシュボード610に搭載されている。ただし、虚像表示装置100は、ヘッドアップディスプレイに限るものではなく、設置場所もダッシュボードに限るものではない。
虚像表示装置100は、映像表示部110及び制御部130を備える。虚像表示装置100は、拡大ミラー140を備えることができる。映像表示部110は、光源部111及びスクリーン120を備える。
光源部111は、例えば、プロジェクターのように、映像光を出射する。「映像光」とは、映像情報を有する光のことである。光源部111が出射する映像光は、虚像として映し出される映像の情報を有している。なお、映像光は、例えば、静止している画像の情報を含むことができる。
光源部111から出射された映像光は、スクリーン120に投射される。そして、映像はスクリーン120上に結像される。光源部111側からスクリーン120に入射した映像光は、スクリーン120を透過する。
スクリーン120には、映像光が投射される。スクリーン120は、透過型のスクリーンである。「投射」とは、映像光を出射すること、又は映像光によって映像を表示することである。ここで、映像は虚像を含む。そのため「投射」は、出射された映像光、又は映像光によって表示される映像(虚像を含む)に対して用いられる。
スクリーン120は、例えば、その設置位置によって、2つのスクリーン120a,120bを備える。スクリーン120は、近距離の虚像用スクリーン120aと遠距離の虚像用スクリーン120bとを備える。
また、スクリーン120は、例えば、1つのスクリーンを可動式とすることができる。つまり、1つのスクリーン120が、スクリーン120aの位置と、スクリーン120bの位置との間を移動する。そして、例えば、運転者500は、近距離の虚像用スクリーン120aまたは遠距離の虚像用スクリーン120bのいずれかを、時間によって選択することができる。
さらに、スクリーン120を、例えば、左右方向で、2つのスクリーンに分割することができる。例えば、左側のスクリーンを近距離の虚像用スクリーン120aとして、右側のスクリーンを遠距離の虚像用スクリーン120bとにすることができる。この場合には、光源部111は、同時に近距離の虚像用スクリーン120aと遠距離の虚像用スクリーン120bとに映像光を投射することができる。
拡大ミラー140は、負のパワーを有する反射面(凹面)を備える。拡大ミラー140は、スクリーン120に結像された映像を投影する。拡大ミラー140は、例えば、スクリーン120に結像された映像を拡大して投影する。
拡大ミラー140は、投影光学系の機能を有する。投影光学系は、スクリーン120に結像された映像を投影する。投影光学系は、拡大ミラー140を構成要素とする。また、投影光学系は、ウインドシールド300またはコンバイナを構成要素とすることができる。
拡大ミラー140は、例えば、スクリーン120を透過した映像光を、ウインドシールド300に向けて投射する。ウインドシールド300は、例えば、車両のフロントガラスである。ウインドシールド300は、拡大ミラー140からの映像光を反射して運転者500へ導く。
なお、ここでは、一例として、フロントガラス型のヘッドアップディスプレイで説明する。しかし、虚像表示装置100は、コンバイナ型のヘッドアップディスプレイへの適用も可能である。フロントガラス(ウインドシールド300)及びコンバイナは、虚像表示装置100から投射された映像光を運転者などに向けて反射する機能を有している。
スクリーン120上に結像された映像は、虚像エリア400に虚像として表示される。虚像エリア400は、運転者500から見てウインドシールド300の前方に位置している。虚像エリア400は、スクリーン120によって表示される虚像の表示エリアである。虚像エリア400は、スクリーン120の位置などによって移動する。
近距離の虚像用スクリーン120a上の映像は、近距離の虚像エリア400aに虚像として表示される。遠距離の虚像用スクリーン120b上の映像は、遠距離の虚像エリア400bに虚像として表示される。運転者500は、拡大ミラー140によって投影された映像と、ウインドシールド300の前方の風景とを重畳的に視認できる。
拡大ミラー140の反射面は、自由曲面で形成されてもよい。これによって、拡大ミラー140は、ウインドシールド300の曲率による映像の歪みを補正することができる。
制御部130は、映像表示部110、拡大ミラー140またはスクリーン120を制御することができる。制御部130の構成に関しては後述する。
制御部130は虚像が表示される位置を調整する。つまり、虚像の表示される位置の調整には、車両から虚像までの距離の調整、虚像の高さ方向の位置の調整および虚像の傾きの調整が含まれる。
光源部111から出射された映像光が運転者500に到達するまでの間の装置の構成は、図1に示す構成に限らない。例えば、映像光は、拡大ミラー140又はウインドシールド300以外の反射面で反射される構成でもよい。また、スクリーン120は、透過型に限られず、反射型であってもよい。ダッシュボード610の空きスペース及び光学部品の大きさを考慮して、装置の構成は変更することができる。
<制御部130の構成>
図2は、虚像表示装置100の制御部130の構成図である。制御部130は、映像データ変換部131、光源制御部132、虚像制御部133及び投射位置制御部134を備える。
制御部130は、拡大ミラー駆動回路141及びスクリーン駆動回路142を備えてもよい。
映像データ変換部131は、虚像として表示される映像の基となる映像信号データを、光源制御部132及び虚像制御部133で扱える形式に変換する部分である。映像信号データには、例えば、虚像用の映像、映像の拡大率、虚像の表示方向または遠近方向の虚像の表示距離を示す距離データなどを含む。
映像データ変換部131は、虚像表示装置100の内部で生成された映像信号データを受け取ることができる。また、例えば、映像データ変換部131は、制御部130で生成された映像信号データを受け取ることができる。
虚像表示装置100、又は制御部130は、例えば、車両の走行速度の情報、又は外気温度の情報などを外部の機器から受け取る。そして、虚像表示装置100、又は制御部130は、それらの情報を基にして虚像用の映像などを含む映像信号データを生成する。虚像表示装置100、又は制御部130は、生成した映像信号データを、映像データ変換部131に渡す。
また、例えば、映像データ変換部131は、虚像表示装置100の外部の機器で生成された映像信号データを受け取ることができる。虚像表示装置100の外部の機器は、例えば、車両600を制御する部分又はナビゲーションシステムなどである。
また、映像データ変換部131は、車両600の外部から映像信号データを受け取ることができる。車両600の外部から受け取った映像信号データは、例えば、インターネット情報などを基に生成されるデータである。
映像データ変換部131は、光源制御部132と虚像制御部133とに映像信号データS1,S2を送る。
光源制御部132は、光源部111の映像光の出射を制御する。光源制御部132は、映像データ変換部131から映像信号データS1を受け取る。光源制御部132は、映像信号データS1に基づき、光源部111から出射される映像光の基となる映像データを生成する。その際に、表示される虚像の方向や奥行きを考慮して、映像のサイズまたは映像の表示される位置などが決定される。そして、映像データが生成される。映像のサイズ(大きさ)または映像の表示される位置などの決定方法に関しては後述する。光源制御部132は、生成された映像データを制御信号S3として光源部111に送る。
光源部111は、映像光を出射する。光源部111は、制御信号S3に基づき、映像光を出射する。光源部111は、制御信号S3を光源制御部132から受け取る。制御信号S3は、映像データを基にして光源部111を制御する信号である。
虚像制御部133は、スクリーン120の位置を制御するための信号を生成する。虚像制御部133は、映像データ変換部131から映像信号データS2を受け取る。虚像制御部133は、映像信号データS2に基づき、制御信号S4をスクリーン駆動回路142に送る。制御信号S4は、スクリーン120の位置又は傾きを制御するための信号である。
例えば、図1において、遠距離の虚像用スクリーン120bの位置に、スクリーン120を移動することで、虚像は遠距離の虚像エリア400bの位置に表示される。これによって運転者500には、虚像が遠方に表示されているように見える。
運転者500から虚像までの距離は、スクリーン120からウインドシールド300までの光路長または拡大ミラー140の拡大率などによって決まる。遠距離の虚像用スクリーン120bからウインドシールド300までの光路長は、近距離の虚像用スクリーン120aからウインドシールド300までの光路長よりも長い。このため、遠距離の虚像エリア400bは、近距離の虚像エリア400aよりも、運転者500から遠い位置にある。
虚像制御部133は、映像データ変換部131からの映像信号データS2に基づき、運転者500から虚像エリア400a,400bまでの距離を決定する。運転者500から虚像エリア400a,400bまでの距離の決定には、映像信号データS2以外の情報を用いても良い。ただし、この場合には、虚像表示装置100で表示する映像と、距離の情報を関連付ける処理が必要である。
スクリーン駆動回路142は、スクリーン120の位置を調整する。スクリーン駆動回路142は、制御信号S4に基づき、スクリーン120の位置を調整する。そして、虚像が表示される位置(虚像エリア400a,400b)は、遠近の方向に移動する。「遠近の方向」とは、実施の形態では、車両600の進行方向である。スクリーン駆動回路142は、制御信号S4を、虚像制御部133から受け取る。制御信号S4は、スクリーン120の位置情報である。
投射位置制御部134は、拡大ミラー140の位置または角度を変更するための信号S5を生成する。投射位置制御部134は、外部の入力器150から、拡大ミラー140を調整するための信号S6を受け取る。
入力器150は、例えば、入力ボタン、スイッチまたはダイアル等である。入力器150は、車両600に、虚像の投射位置の制御用として設けられている。入力器150は、例えば、運転者500によって操作される。
投射位置制御部134は、信号S6を制御信号S5に変換する。制御信号S5は、拡大ミラー140の位置または角度を変更するための信号である。そして、投射位置制御部134は、制御信号S5を拡大ミラー駆動回路141に送る。
拡大ミラー駆動回路141は、拡大ミラー140の位置または角度を調整する。拡大ミラー駆動回路141は、制御信号S5に基づき、拡大ミラー140の位置または角度を調整する。そして、虚像が表示される位置(虚像エリア400a,400b)は移動する。運転者500は、投射される虚像を確認しながら、最適な投射位置をこの入力手段により調整することができる。拡大ミラー駆動回路141は、制御信号S5を、投射位置制御部134から受け取る。制御信号S5は、拡大ミラー140の位置または角度を調整するための信号である。
<虚像の表示位置の調整用画像>
図3(a)〜図3(d)は、垂直方向の虚像の表示位置の調整例を示す説明図である。以下、虚像の表示位置を調整する際に使用する調整用画像の表示について説明する。図3(a)および図3(b)は、虚像の表示位置を調整する時に、光源部111に入力される調整用画像の一例を示す。図3(a)〜図3(d)は、運転者500が拡大ミラー140を介して見た図である。
図3(a)は、運転者500に近い距離で虚像を表示する場合に、光源部111に入力される画像である。
制御信号S3の入力映像フォーマット112は、光源部111が出力する映像の全体の領域を示す。制御信号S3は、光源部111に入力される。入力映像フォーマット112は、光源部111がスクリーン120上に表示できる領域である。
図3(a)では、近距離用の調整用画像113aは、入力映像フォーマット112の全体の画像領域に対して、上側に設定されている。また、図3(a)では、近距離用の調整用画像113aは、例えば、入力映像フォーマット112の全体の画像領域に対して、左側に設定されている。
また、図3(b)は、運転者500から遠い距離で虚像を表示する場合に、光源部111に入力される画像である。
図3(b)では、遠距離用の調整用画像113bは、入力映像フォーマット112の全体の画像領域に対して、下側に設定されている。また、図3(b)では、遠距離用の調整用画像113bは、例えば、入力映像フォーマット112の全体の画像領域に対して、右側に設定されている。
なお、図3の十字線は、画面の縦または横のそれぞれの中央位置の目安を示しているので、画像として表示されるものではない。また他の図においても同様に、十字線は目安を示す。
図3(c)は、図3(a)の画像を、近距離の虚像用スクリーン120aに投影した場合の映像を示した一例である。
投影エリア121aは、近距離時に、スクリーン120に画像が投影される領域である。近距離時の投影エリア121aは、近距離の虚像用スクリーン120aに入力映像フォーマット112の画像が投影される領域である。また、近距離用の調整用画像113aは、近距離用の調整用中間画像122aとして近距離の虚像用スクリーン120a上に投影される。
図3(d)は、図3(b)の画像を、遠距離の虚像用スクリーン120bに投影した場合の映像を示した例である。
投影エリア121bは、遠距離時に、スクリーン120に画像が投影される領域である。遠距離時の投影エリア121bは、遠距離の虚像用スクリーン120bに入力映像フォーマット112の画像が投影される場合の領域である。また、遠距離用の調整用画像113bは、遠距離用の調整用中間画像122bとして遠距離の虚像用スクリーン120b上に投影される。
ここで、遠距離の虚像用スクリーン120bは、近距離の虚像用スクリーン120aよりも光源部111に近い。つまり、光源部111からスクリーン120bまでの投射距離は、光源部111からスクリーン120aまでの投射距離よりも短くなる。
そのため、近距離時の投影エリア121aの面積に比べて、遠距離時の投影エリア121bの面積は、小さくなる。同様に、近距離用の調整用中間画像122aの大きさに比べて、遠距離用の調整用中間画像122bの大きさは、小さくなる。
<運転者の目の位置の高さと虚像表示位置の関係>
図4は、運転者500から虚像を見た状態を立体的に示した模式図である。
運転者500は、図3(c)および図3(d)で説明したスクリーン120に投影された映像を虚像として見ることができる。なお、図4においては、運転者500と、虚像エリア400a,400bに表示された虚像とを示しており、その他の光学系は省略している。また、運転者500の大きさ、虚像の大きさ及びそれらの距離は、説明を分かり易くするため、実際とは異なる比率である。
近距離の虚像エリア400aは、近距離の虚像用スクリーン120a上の近距離時の投影エリア121aに投影された映像を虚像として表示する領域である。遠距離の虚像エリア400bは、遠距離の虚像用スクリーン120b上の遠距離時の投影エリア121bに投影された映像を虚像として表示する領域である。
また、近距離用の調整用虚像410aは、近距離用の調整用中間画像122aの虚像である。遠距離用の調整用虚像420bは、遠距離用の調整用中間画像122bの虚像である。近距離の虚像エリア400a上に示された遠距離用の調整用虚像420aは、運転者500の位置から見た場合の、近距離の虚像エリア400a上での遠距離用の調整用虚像420bの位置を示している。
運転者500から見た近距離の虚像エリア400aの視角と、遠距離の虚像エリア400bの視角とは同じである。ここで視角は、虚像エリア400aの上端と下端とから運転者500の目までの二直線が作る垂直方向角度である。
また、運転者500から視認される近距離の虚像エリア400aと遠距離の虚像エリア400bとは同じ方向にある。
ここでは、運転者500から見た虚像エリア400の方向を俯角で表わす。つまり、運転者500の目の位置から虚像エリア400の中心に向かう方向と水平面とのなす角によって、虚像エリア400の方向を表わす。
なお、運転者500の目の高さより下側に虚像を表示させる例で説明している。このため、俯角を用いている。運転者500の目の高さより上側に虚像を表示させる場合には、仰角を用いてもよい。
また、図4において、運転者500は、遠距離用の調整用虚像420bを近距離用の調整用虚像410aよりも下側に視認する。これは、近距離の虚像エリア400a上において、遠距離用の調整用虚像420aの位置は、近距離用の調整用虚像410aの位置よりも低い位置にあるためである。
以降において、このような状態を、「遠距離用の調整用虚像420aの位置が近距離用の調整用虚像410aの位置よりも下側に視認される」と説明する。または、「遠距離用の調整用虚像420aが近距離用の調整用虚像410aよりも低くなる」と説明する。
このように、運転者500から視認される調整用虚像410,420の方向に関して、「上側または下側」または「高さが高いまたは低い」のような相対的な位置関係で説明する。なお、近距離の虚像エリア400aおよび遠距離の虚像エリア400bについても同様に、相対的な位置関係で説明する。
ここで、「高さ」とは、調整用虚像410,420または虚像エリア400a,400bの上下方向(垂直方向)の位置の高さである。調整用虚像410,420自身の縦方向の高さではない。また、虚像エリア400a,400b自身の縦方向の高さではない。
遠距離の虚像用スクリーン120bから光源部111までの距離は、近距離の虚像用スクリーン120aから光源部111までの距離よりも短い。そのため、遠距離時の投影エリア121bは、近距離時の投影エリア121aよりも小さい領域となる。
一方、スクリーン120以降の投射光学系の光路長においては、近距離の虚像用スクリーン120aの光路長は、遠距離の虚像用スクリーン120bの光路長よりも短くなる。
そのため、虚像を表示する際に、遠距離時の投影エリア121bの映像は、近距離時の投影エリア121aの映像よりも拡大される。近距離の虚像エリア400aと遠距離の虚像エリア400bとは、運転者500からの距離が異なる。しかし、二つの視角は同じとなる。そのため、運転者500は、近距離の虚像エリア400aの大きさと遠距離の虚像エリア400bの大きさとが同じであると視認する。
図5は、虚像表示装置100の表示する調整用虚像410,420の例を示す説明図である。
図4で示した運転者500からの調整用虚像410,420の見え方に関して、運転者500の目の高さを変えた場合の虚像の見え方の違いを説明する。条件として、拡大ミラー140の位置および角度等は固定されている。そして、運転者500の目の高さのみが変わった場合を説明する。運転者500の目の高さを変えることによって、近距離の虚像エリア400aおよび遠距離の虚像エリア400bが表示される空間的な位置は変わらない。
図5(a)は、運転者500の目の位置が、運転者500Lの目の位置に移動した場合を示す。運転者500Lの目の位置は、運転者500の目の位置より低い。図5(a)では、近距離の虚像エリア400aは、遠距離の虚像エリア400bよりも高い位置に見える。
図5(b)は、図4と同じ運転者500の目の位置の場合を示す。図5(b)では、近距離の虚像エリア400aは、遠距離の虚像エリア400bと同じ高さに見える。
図5(c)は、運転者500の目の位置が、運転者500Hの目の位置に移動した場合を示す。運転者500Hの目の位置は、運転者500の目の位置より高い。図5(c)では、近距離の虚像エリア400aは、遠距離の虚像エリア400bよりも低い位置に見える。
遠距離用の調整用虚像420aは、遠距離用の調整用虚像420bと運転者500の目の位置とを結んだ線分が近距離の虚像エリア400aと交わる位置に視認される。そのため、例えば、運転者500の目の高さが上下することで、遠距離用の調整用虚像420aの位置も上下する。
図5(b)では、運転者500の位置から視認される遠距離の虚像エリア400bの俯角と、近距離の虚像エリア400aの俯角とが同じになる。つまり、運転者500からは、遠距離の虚像エリア400bの高さと近距離の虚像エリア400aの高さとが同じに見える。
図5(b)を基準に、図5(a)と図5(c)との虚像の見え方を比較する。
図5(a)では、運転者500Lの位置から視認される遠距離の虚像エリア400bの俯角は、近距離の虚像エリア400aの俯角よりも大きくなる。そのため、運転者500Lには、遠距離の虚像エリア400bが近距離の虚像エリア400aよりも低く見える。図5(a)では、遠距離用の調整用虚像420aの位置が図5(b)の場合に比べて、低くなっている。
図5(c)では、運転者500Hの位置から視認される遠距離の虚像エリア400bの俯角は、近距離の虚像エリア400aの俯角よりも小さくなる。そのため、運転者500Hには、遠距離の虚像エリア400bが近距離の虚像エリア400aよりも高く見える。図5(c)では、遠距離用の調整用虚像420aの位置が、図5(b)の場合に比べて高くなっている。
以上のように、運転者500の目の高さによって、運転者500から見た遠距離用の調整用虚像420bと近距離用の調整用虚像410aとの相対的な高さが変化する。
運転者500の目の高さを変えずに、遠距離の虚像エリア400bの高さと近距離の虚像エリア400aの高さとを変えることでも同様の効果が得られる。つまり、虚像エリア400b,400aの高さを変えることで、運転者500から見た遠距離用の調整用虚像420bと近距離用の調整用虚像410aとの相対的な高さを変えることができる。
虚像エリア400b,400aの位置は、拡大ミラー140からウインドシールド300に投射される映像光のウインドシールド300上の位置およびウインドシールド300に対する入射角度によって決まる。そのため、拡大ミラー140の位置または角度等を調整することで、虚像エリア400b,400aの位置を変更することができる。
拡大ミラー140は、虚像が投影される方向を調整する機能を有する。また、拡大ミラー140は、虚像が投影される位置を調整する機能を有する。つまり、拡大ミラー140は、虚像調整部の機能を有する。
図5(a)は、運転者500の目に対して、遠距離の虚像エリア400bおよび近距離の虚像エリア400aを上方に移動することに相当する。図5(c)は、運転者500の目に対して、遠距離の虚像エリア400bおよび近距離の虚像エリア400aを下方に移動することに相当する。
運転者500が、拡大ミラー140の位置または角度を設定できるようにすることで、遠距離の虚像エリア400bおよび近距離の虚像エリア400aの高さを変更できる。これによって、運転者500は、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとを同じ高さに視認できるように、拡大ミラー140を調整することができる。
このように、近距離用の調整用画像113aと遠距離用の調整用画像113bとを用意する。そして、これらの調整用虚像410a,420bの表示の高さを調整する。これによって、近距離の虚像エリア400aと遠距離の虚像エリア400bとの位置関係を容易に調整することができる。特に、近距離の虚像エリア400aと遠距離の虚像エリア400bとの高さ方向の位置関係を容易に調整することができる。
本実施の形態1においては、図5(c)の様に、遠距離の虚像エリア400bが、近距離の虚像エリア400aに比べて相対的に高い位置に視認できるように拡大ミラー140の調整を行う。調整の目安としては、運転者500から見て、近距離用の調整用虚像410aの視認できる高さと遠距離用の調整用虚像420bの視認できる高さとが同じとなるように拡大ミラー140を調整する。
このようにすることで、運転者500から見て、遠距離の虚像エリア400bは、近距離の虚像エリア400aよりも高い位置に配置される。つまり、運転者500は、近距離の虚像よりも高い位置に、遠距離の虚像を見ることができる。
このように、近距離用の調整用画像113aと遠距離用の調整用画像113bとを用いて、遠距離の虚像が近距離の虚像よりも高い位置で視認されるように、拡大ミラー140を調整する。これによって、運転者500は遠距離の虚像と近距離の虚像とを自然に視認できる。
<距離と俯角の関係>
次に、遠距離の虚像エリア400bが、近距離の虚像エリア400aに比べて相対的に高い位置で視認できるように、拡大ミラー140を調整する理由について説明する。
図6(a)および図6(b)は、運転者500の視線を説明する説明図である。図6(a)は、運転者500から対象物700a,700b,700cまでの距離と俯角との関係を示す図である。図6(b)は、運転者500側から視認される前方の景色を示す図である。
図6(a)において、運転者500の前方の地上G(例えば、路面上)に、対象物700a,700b,700cが置かれている。対象物700aは、対象物700bよりも運転者500に近い位置LAに置かれている。対象物700bは、対象物700aと対象物700cとの間に置かれている。対象物700cは、対象物700bよりも運転者500から遠い位置LBに置かれている。運転者500から地上の対象物700a,700b,700cを見た場合には、対象物700a,700b,700cが遠方にある程俯角は小さくなる。俯角TAは、俯角TBよりも大きい。
図6(b)は、運転者500からの前方に見える景色として、対象物700a,700b,700cを視認した図である。
視認する対象物700a,700b,700cまでの距離が近くなる程、俯角は大きくなる。つまり、対象物700bの俯角は、対象物700cの俯角よりも大きい。そして、対象物700aの俯角は、対象物700bの俯角よりも大きい。
そして、視認する対象物700a,700b,700cまでの距離が近くなる程、対象物700a,700b,700cは低い位置に視認される。つまり、対象物700bは、対象物700cよりも低い位置に視認される。そして、対象物700aは、対象物700bよりも低い位置に視認される。
同じ高さの対象物700a,700b,700cは、遠距離にあるものほど、高い位置で視認される。なお、俯角が0度となる位置に、水平線HLがある。
そのため、遠距離の虚像エリア400bは、近距離の虚像エリア400aよりも高い位置に表示されるようにする。こうすることで、運転者500は実際の遠近感と近い感覚で虚像を視認することができる。
また、対象物700a,700b,700cが同じ大きさの場合には、視認する対象物700a,700b,700cまでの距離が近くなる程、対象物700aは、対象物700bよりも大きく見える。また、対象物700bは、対象物700cよりも大きく見える。
例えば、虚像を用いて車の経路案内をする場合で説明する。交差点までの距離を虚像で表示する場合には、交差点までの距離の変化に応じて、虚像の表示位置を変更する。
交差点が遠い距離にある場合には、運転者500は、交差点を高い位置に視認する。また、交差点が近い距離にある場合には、運転者500は、交差点を低い位置に視認する。
同様に、交差点が遠い距離にある場合には、運転者500が虚像を高い位置で視認できるように表示する。また、交差点が近い距離にある場合には、運転者500が虚像を低い位置で視認できるように表示する。
そのため、運転者500から見て、遠距離の虚像エリア400bの位置が、近距離の虚像エリア400aの位置に比べて高くなるように、虚像表示装置100を調整する。例えば、図5(c)の運転者500Hから見るように、虚像までの距離と虚像エリア400の高さを調整する。
こうすることで、虚像までの距離に応じて、遠い距離の虚像は上側に視認される。また、近い距離の虚像は下側に視認される。また、虚像までの距離に応じて、遠い距離の虚像は小さく表示される。そして、近い距離の虚像は大きく表示される。これらによって、運転者500は、自然な遠近感で対象物700を視認できる。
<調整手順>
次に、虚像表示装置100における、虚像の表示位置の調整について述べる。
例えば、運転者500の体型が異なる場合には、運転者500が代わることで、運転者500の目の位置が変わることがある。虚像の表示位置の調整は、このような場合に実施されることを想定している。
運転者500の調整完了の指示を受けるまで、虚像表示装置100は、この調整が行える状態にある。以降において、この状態を「調整モード」とよぶ。または、運転者500の操作または設定によって、逐次調整モードになるようにしても良い。
調整モード時では、虚像表示装置100は、スクリーン120を近距離の虚像用スクリーン120aの位置に移動させる。図3(a)で示した近距離用の調整用画像113aを、近距離の虚像用スクリーン120aに投影する。そして、虚像表示装置100は、一旦近距離用の調整用画像113aの投影を中止する。
次に、虚像表示装置100は、スクリーン120を遠距離の虚像用スクリーン120bの位置に移動させる。図3(b)で示した遠距離用の調整用画像113bを遠距離の虚像用スクリーン120bに投影する。そして、虚像表示装置100は、一旦遠距離用の調整用画像113bの投影を停止する。
これらの動作を繰り返して、近距離用の調整用画像113aの投影と遠距離用の調整用画像113bの投影とを交互に行う。なお、動作の繰り返しの速度を上げることで、運転者500は、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとをほぼ同時に視認できる。
その際、運転者500は、拡大ミラー140の位置または角度を調整する。これらの調整によって、運転者500は、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとが同じ高さになるようにする。
そのため、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとは、可能な限り同時に視認できることが望ましい。なお、運転者500は、運転席の高さ又は背もたれの傾きなどを変えた後に、これらの調整を行ってもよい。虚像エリア400a,400bを視認する際には、運転者500の姿勢は、運転時と同じ状態であることが望ましい。
近距離用の調整用虚像410aは、近距離の虚像エリア400aの上部に表示される。遠距離用の調整用虚像420bは、遠距離の虚像エリア400bの下部に表示される。近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとの表示高さを合わせることで、遠距離の虚像エリア400bの位置は、近距離の虚像エリア400aの位置よりも高くなる。つまり、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとの運転手500が視認する高さを合わせる。
拡大ミラー140の位置および角度は、例えば、ハンドル等に設置されたスイッチまたはダイアル等の入力機器によって制御される。または、拡大ミラー140の位置および角度は、例えば、音声入力などによって制御される。
拡大ミラー140の位置と角度との両方は、スイッチ等に連動して動かされてもよい。また、例えば、簡略化ため、拡大ミラー140の位置のみが制御されてもよい。または、拡大ミラー140の角度のみが制御されてもよい。
例えば、運転者500は、虚像の表示位置を上下方向に移動させてもよい。または、運転者500は、虚像に対する俯角を変更してもよい。「上下方向」とは、例えば、車両の運転者500では、路面に対して垂直な方向である。
<調整用画像の表示位置の設定>
近距離用の調整用画像113aの高さ方向の位置と遠距離用の調整用画像113bの高さ方向の位置とを、入力映像フォーマット112内で、異なる位置にする。そして、近距離用の調整用画像113aの高さ方向の位置は、遠距離用の調整用画像113bの高さ方向の位置よりも高い位置にする。
比較のために、入力映像フォーマット112内において、近距離用の調整用画像113aと遠距離用の調整用画像113bとを同じ高さにする場合について説明する。
この場合に、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとが同じ高さになるように調整すると、近距離の虚像エリア400aと遠距離の虚像エリア400bとが同じ高さで視認される。つまり、虚像の距離によらず同じ高さ(方向)に、虚像エリア400が視認される。
このような設定は、例えば、虚像表示装置100の基本設計として、虚像エリア400の中心の俯角を小さくする場合に有効である。俯角を小さくすると、対象物700までの距離の差に対する視認される対象物700の垂直方向の位置の差を小さくすることができる。つまり、図6(b)で示した運転者500側から視認される前方の風景において、各対象物700a,700b,700cの垂直方向の間隔は小さくなる。
次に、入力映像フォーマット112内において、近距離用の調整用画像113aを遠距離用の調整用画像113bよりも高い位置に設定する場合について説明する。
この場合に、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとが同じ高さになるように調整すると、近距離の虚像エリア400aは遠距離の虚像エリア400bよりも低い位置で視認される。
このような設定は、例えば虚像表示装置100の基本設計として、虚像エリア400の中心の俯角を大きくする場合に有効となる。俯角を大きくすると、対象物700までの距離の差に対する視認される対象物700の垂直方向の位置の差を大きくすることができる。つまり、図6(b)で示した運転者500側から視認される前方の風景において、各対象物700a,700b,700cの垂直方向の間隔は大きくなる。
以上によって、入力映像フォーマット112内における近距離用の調整用画像113aと遠距離用の調整用画像113bとの高さの差は、近距離の虚像エリア400aと遠距離の虚像エリア400bとの高さの差に影響する。そのため、近距離用の調整用画像113aの高さと遠距離用の調整用画像113bの高さとは、遠距離の虚像の高さと近距離の虚像の高さの差などを考慮して設定することができる。これは、虚像表示装置100の基本設計として設定することになる。
また、一般的な体型の運転者500から見て、近い距離の虚像と遠い距離の虚像とが自然な遠近感で視認できるように、近距離用の調整用画像113aの高さと遠距離用の調整用画像113bの高さとの関係を実験的に求めることができる。
このように作成された調整用画像113a,113bが虚像表示装置100内に備えられる。各運転者500は、この調整用画像113a,113bを用いて、遠距離の虚像の高さと近距離の虚像の高さの関係を調整することができる。
<虚像と対象物との関係>
次に、虚像表示装置100が表示する虚像を、背景に重畳させてAR(Augmented Reality)表示する場合について説明する。AR(拡張現実)は、現実の風景にデジタル情報を重ね合わせて表示する技術である。AR表示は、AR技術を用いて、現実の風景にデジタル情報を重ね合わせた表示である。
この場合における、虚像、背景、および運転者500の視点との関係を説明する。
図7は、虚像表示装置100の表示する虚像と背景との関係を説明する説明図である。
位置P0,P1,P2,PV1,PV2は、運転者500の前方の地上における位置を示す。高さH0,H1,H2は、地上からの距離を示す。つまり、位置P0,P1,P2,PV1,PV2は、水平方向の位置である。そして、高さH0,H1,H2は、垂直方向の位置である。なお、説明を容易にするために、位置P0,P1,P2,PV1,PV2は、直線状に配置されているとして説明する。
位置P0は、運転者500の位置である。また、位置P0は、虚像表示装置100の位置である。位置P1は、近距離の対象物710の位置である。位置P2は、遠距離の対象物712の位置である。ここで、対象物710,712は点状の対象物として示している。対象物710,712は高さH0の位置に配置されている。
対象物710,712は、AR表示される。位置PV1は、近距離の虚像V1の位置である。位置PV2は、遠距離の虚像V2の位置である。虚像V1,V2は、虚像表示装置100が表示する虚像である。
なお、虚像V1,V2は、点状の虚像として説明している。そのため、後述する虚像VN,VFと区別する場合には、点状の虚像V1,V2として説明する。
高さH0は、地上の位置である。高さH1は、運転者500の目の位置である。高さH2は、虚像表示装置100の虚像表示方向の基準となる位置(基準高さ)である。基準高さH2は、近距離の虚像V1と遠距離の虚像V2とを通る直線が、位置P0から地面(路面)に垂直な線と交わる位置である。
虚像表示装置100の俯角T3は、高さH2から近距離虚像V1および遠距離虚像V2が視認される俯角である。運転者500の目の位置(P0,H1)から近距離の対象物710を見た場合の俯角は、近距離の俯角T1である。運転者500の目の位置(P0,H1)から遠距離の対象物712を見た場合の俯角は、遠距離の俯角T2である。
運転者500の目の位置(P0,H1)を通る俯角T1の直線が、位置PV1から地面(路面)に垂直な線と交わる点を虚像V1とする。運転者500の目の位置(P0,H1)を通る俯角T2の直線が、位置PV2から地面(路面)に垂直な線と交わる点を虚像V2とする。虚像V1と虚像V2とを結ぶ直線は、虚像表示装置100の位置(P0,H2)を通る俯角T3の直線と一致する。
ここでは、虚像表示装置100の視角を省略しているため、虚像表示装置100から見る虚像V1,V2は、一つの方向(俯角T3)にある。つまり、虚像V1,V2は、直線上の点として示されている。しかし、実際には、虚像V1,V2は垂直方向に大きさをもっている。このため、虚像表示装置100は虚像V1,V2を表示できるだけの視角を有する。
虚像表示装置100の視角のうち、俯角T3をどのように設定するかによって、高さH1は変わる。例えば、地上の対象物710,712を基準として、高さH1を決定する場合には、俯角T3を虚像表示装置100の視角の下端の角度と設定できる。なお、虚像表示装置100の視角内であれば、いずれかの角度を虚像表示装置100の俯角T3と設定できる。
以上のような位置関係とすることで、虚像表示装置100は、近距離の虚像V1から遠距離の虚像V2の間に虚像を表示させることができる。そして、近距離の虚像V1から遠距離の虚像V2の間に表示させる虚像は、近距離の対象物710から遠距離の対象物712の間に位置する対象物に対して、ARで表示される。つまり、対象物に虚像を重ね合わせて表示することができる。
また、AR表示を行う位置と表示内容を対応付けることで、運転者500から見て、視認しやすいAR表示とすることができる。
近距離の虚像位置PV1は、近距離の虚像V1から地上(地面)に下ろした垂線の足である。遠距離の虚像位置PV2は、遠距離の虚像V2から地上(地面)に下ろした垂線の足である。
虚像V1と虚像V2とを結ぶ直線の俯角が数度程度であるため、俯角をゼロとして近似できる。そして、虚像表示装置100から虚像までの距離と、地上における虚像表示装置100の位置P0から虚像の位置までの距離との差は誤差程度となる。
そのため、虚像表示装置100の位置(P0,H2)から近距離の虚像V1までの距離を、視点位置P0から近距離の虚像位置PV1の距離に近似する。虚像表示装置100の位置(P0,H2)から遠距離の虚像V2までの距離を、視点位置P0から遠距離の虚像位置PV2の距離に近似する。以下の例では計算を簡易にするために、地上における距離を用いる。
<具体的な虚像と対象物の関係>
次に、図7で示した虚像と対象物に関して、具体的な例を説明する。
例えば、普通乗用車における運転者500の目の高さは、平均1.2mである。普通乗用車の高さは2m以下である。そのため、例えば、高さH1を1.2mとする。運転者500の位置P0から近距離の対象物710の位置P1までの距離(P1−P0)を20mとする。同様に、運転者500の位置P0から遠距離の対象物712の位置P2までの距離(P2−P0)を50mとする。
運転者500の目の位置(P0,H1)から近距離の対象物710の俯角T1は、約3.43度である。運転者500の目の位置(P0,H1)から遠距離の対象物712の俯角T2は、約1.37度である。
虚像表示装置100で表示する近距離の虚像V1の虚像位置PV1を、位置P0から2mとする。虚像表示装置100で表示する近距離の虚像V2の虚像位置PV2を、位置P0から20mとする。
図7の関係を満たす場合には、虚像表示装置100の俯角T3は約1.15度となる。同様に、高さH2は約1.12mとなる。
運転者500の目の位置(P0,H1)から近距離の虚像V1と遠距離の虚像V2とを見た場合の角度差は、両者の俯角の差(T1−T2)となる。この角度差は、運転者500から虚像V1と虚像V2とを見た方向の角度差である。この場合の角度差は、約2.06度となる。
この例では、運転者500は、近距離の虚像V1と遠距離の虚像V2の表示角度差が約2.06度になるように、虚像表示装置100を調整する。
<近距離の虚像と遠距離の虚像との例>
図8は、虚像表示装置100の表示する虚像とAR表示される対象物との関係を説明する説明図である。
近距離の対象物710と遠距離の対象物712とに対して、虚像表示装置100がAR表示を行う場合について説明する。つまり、対象物710,712に対して、対応する位置P1,P2に虚像を表示する場合について説明する。図7と同一の要素には同一の符号を記し、相違点について説明する。
視角T4は、虚像表示装置100の視角である。視角T4は、高さH2から視認できる垂直方向の虚像範囲を示す視角である。視角T4は、高さH2の位置にある虚像表示装置100が、虚像を表示できる範囲の上端と下端とのなす角度である。つまり、視角T4は、高さH2の位置からの虚像を表示できる範囲の上端の俯角と下端の俯角との差である。ここで、近距離の虚像V1の位置と遠距離の虚像V2の位置とは、虚像表示装置100の視角T4の下端に位置するようにしている。
運転者500が高さH1から視認する場合について説明する。
近距離の対象物710の位置P1にAR画像RNを表示する場合には、虚像表示装置100は近距離の点状の虚像V1の位置に虚像VNを表示する。また、遠距離の対象物712の位置P2にAR画像RFを表示する場合には、虚像表示装置100は、遠距離の点状の虚像V2の位置に虚像VFを表示する。
ここで、近距離のAR画像RNと遠距離のAR画像RFとが同じ大きさ(高さ)である場合には、近距離の虚像VNと遠距離の虚像VFとは、視角T4に対する高さの割合が異なる。この例においては、近距離の虚像VNは、視角T4の範囲で表示されている。一方、遠距離の虚像VFは、視角T4の範囲よりも小さい範囲で表示されている。
以上のことを考慮して、AR表示する対象物710,712に車が近づく場合などでは、虚像VN,VFの表示位置および虚像VN,VFの大きさを変更することで、自然なAR表示が可能となる。なお、虚像表示装置100によるAR表示が可能な最も近い距離と最も遠い距離との場合について説明した。しかし、それらの中間の距離においてもAR表示が可能である。
図8では、近距離の虚像V1の位置と遠距離の虚像V2の位置とは、虚像表示装置100の視角T4の下端に位置している。しかし、点状の虚像V1,V2は、虚像VN,VFの下端に位置しなくてもよい。
例えば、点状の虚像V1,V2の位置を、虚像表示装置100の視角T4の中心または上端に位置する様にしても良い。この場合には、AR表示の対象物710,712と虚像として表示するAR画像RN,RFとの関係が、上記の虚像VN,VFの位置と大きさとの関係を満たすようにする。
<調整用虚像を表示する位置>
次に、映像表示部110で表示される近距離用の調整用画像113aと遠距離用の調整用画像113bとの表示位置について説明する。
図3(a)では、制御信号S3の入力映像フォーマット112内の上側に、近距離用の調整用画像113aを表示している。図3(b)では、制御信号S3の入力映像フォーマット112内の下側に、遠距離用の調整用画像113bを表示している。
図4に示すように、近距離用の調整用画像113aは、近距離用の調整用虚像410aとして表示される。遠距離用の調整用画像113bは、遠距離用の調整用虚像420bとして表示される。近距離用の調整用虚像410aは、遠距離用の調整用虚像420bより上側に視認される。
そして、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとの運転者500から視認される方向の角度差が、近距離虚像V1と遠距離虚像V2との表示される角度差となるように設定する。前記の例では、近距離虚像V1と遠距離虚像V2との表示される角度差は、約2.06度である。
つまり、虚像表示装置100の設計によって決まる視角を基準に、近距離虚像V1と遠距離虚像V2との表示される角度差を決定する。前記の例では、近距離虚像V1は、遠距離虚像V2の約2.06度下側の方向に表示される。
そして、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとの運転者500から視認される方向の角度差が、その表示される角度差となるように、近距離用の調整用画像113aと遠距離用の調整用画像113bとの表示位置を決める。この場合には、近距離用の調整用画像113aは、遠距離用の調整用画像113bよりも上側に位置する。
このように決定された、近距離用の調整用画像113aおよび遠距離用の調整用画像113bを用いて、運転者500は虚像V1,V2の表示位置を調整する。近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとが同じ高さになるように調整する。そして、近距離虚像V1は、遠距離虚像V2よりも表示される角度差の分だけ低い位置に視認される。
一例として、虚像表示装置100の垂直方向の視角が±3度で、虚像の距離により視角が変わらない場合について説明する。
入力映像フォーマット112の縦幅(垂直方向の長さ)が視角の±3度に相当する。このため、入力映像フォーマット112の縦幅の6分の1が視角の約1度に相当する。前記の例においては、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとの表示される角度差は約2度であった。
表示される角度差が約2度に相当するように、近距離用の調整用画像113aと遠距離用の調整用画像113bとの垂直方向の位置の差を入力映像フォーマット112の縦幅の約1/3とする。入力映像フォーマット112の領域内において、近距離用の調整用画像113aは、遠距離用の調整用画像113bより高い位置となる。
そして、高さH1から近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとが同じ位置に視認できるように、拡大ミラー140などを用いて虚像の表示位置を調整する。このようにすることで、図7に示すような、近距離虚像V1と遠距離虚像V2との表示される角度差を保った状態で虚像の表示位置を調整することができる。
なお、上記の例においては、虚像表示装置100の設計によって決まる視角を基準とした。しかし、以下に示すように、実験的に求めることもできる。
まず、近距離用の調整用画像113aと遠距離用の調整用画像113bとを、入力映像フォーマット112の同じ高さ位置に設定する。そして、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとが高さH2から同じ高さに見えるように調整する。調整には、拡大ミラー140などを用いる。なお、設計通りに虚像表示装置100が設置されている場合には、初期状態で近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとが高さH2から同じ高さに見える。
次に、高さH1から視認した場合に、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとが同じ高さとなるように、近距離用の調整用画像113aおよび遠距離用の調整用画像113bの一方または両方の高さを調整する。このときの近距離用の調整用画像113aと遠距離用の調整用画像113bとの高さの差を記録する。
高さ調整された近距離用の調整用画像113aおよび遠距離用の調整用画像113bを、実験的に求めた調整用画像とする。また、記録した調整用画像113a,113bの高さの差を保つようにする。このようにすれば、入力映像フォーマット112の領域内における近距離用の調整用画像113aおよび遠距離用の調整用画像113bの高さを決めることができる。
ここで、上記の実験的に求める方法の場合には、近距離用の調整用虚像410aと遠距離用の調整用虚像420bとを視認するのは、人であってもよく、人でなくてもよい。例えば、調整用虚像410a,410bを視認する位置にカメラを設置する。そして、カメラ映像を解析することで、調整用虚像410a,410bの位置の測定および調整用画像113a,113bの高さの調整を行うことができる。
虚像表示装置100の光学系の設計項目として、スクリーン120のサイズ、スクリーン120の特性、および拡大ミラー140の拡大率などがある。光学系の設計内容によって、近距離の虚像エリア400aの視角と遠距離の虚像エリア400bの視角とが異なる場合がある。このような場合には、例えば、近距離の虚像エリア400aの視角と、遠距離の虚像エリア400bの視角とを測定して、それぞれの視角に応じた画像を設定することができる。
<変形例1>
次に虚像位置の調整に用いる調整用虚像の変形例を示す。
図9(a)および図9(b)は、虚像位置の調整用画像の例を示す説明図である。図9(a)は、近距離の虚像用スクリーン120aに調整用画像を投影した例である。図9(b)は、遠距離の虚像用スクリーン120bに調整用画像を投影した例である。図9(a)および図9(b)は、運転者500が拡大ミラー140を介して見た図である。
近距離の虚像用スクリーン120aの領域内の、近距離時の投影エリア121aの上方に近距離用の調整用中間画像122cが投影される。近距離用の調整用中間画像122cは、斜めの図形である。
図9(a)では、近距離用の調整用中間画像122cは、帯状の図形である。また、近距離用の調整用中間画像122cは、左側の中央部から上側の中央部に向けて延びている。そして、近距離用の調整用中間画像122cの上端は、水平方向に平行な辺となっている。つまり、近距離用の調整用中間画像122cの上端は、水平方向にカットされた形状をしている。近距離用の調整用中間画像122cの上端は、近距離時の投影エリア121aの左右方向の中央の領域に位置する。
遠距離の虚像用スクリーン120bの領域内の、遠距離時の投影エリア121bの下方に遠距離用の調整用中間画像122dが投影される。遠距離用の調整用中間画像122dは、斜めの図形である。
図9(b)では、遠距離用の調整用中間画像122dは、帯状の図形である。また、遠距離用の調整用中間画像122dは、右側の中央部から下側の中央部に向けて延びている。そして、遠距離用の調整用中間画像122dの下端は、水平方向に平行な辺となっている。つまり、遠距離用の調整用中間画像122dの下端は、水平方向にカットされた形状をしている。遠距離用の調整用中間画像122dの下端は、遠距離時の投影エリア121bの左右方向の中央の領域に位置する。
図10(a)〜図10(c)は、運転者500から見た虚像の例を示した説明図である。図10(a)〜図10(c)は、運転者500から見える虚像エリア400の虚像を表した図である。
図10(a)では、近距離の虚像エリア400aの高さが遠距離の虚像エリア400bよりも高い。図10(b)では、近距離の虚像エリア400aの高さと遠距離の虚像エリア400bとが同じである。図10(a)では、近距離の虚像エリア400aの高さが遠距離の虚像エリア400bよりも低い。
図9(a)および図9(b)のスクリーン120a,120bに投射された映像光は、拡大ミラー140で反射された後に、ウインドシールド300を通過する。そして、映像光は、運転者500に虚像として視認される。
遠距離の虚像エリア400bの面積は、近距離の虚像エリア400aの面積より大きくなる。しかし、運転者500から見て、遠距離の虚像エリア400bの視角と近距離の虚像エリア400aの視角とが同じであれば、見かけの大きさは同じになる。そのため、図10(a)〜図10(c)においては便宜上、遠距離の虚像エリア400bと近距離の虚像エリア400aとを同じ大きさにしている。
図10(a)は、近距離の虚像エリア400aの高さが、遠距離の虚像エリア400bの高さよりも高い場合を示している。これは、図5(a)の運転者500の目の高さが低い場合に相当する。この場合には、近距離用の調整用虚像411aは、遠距離用の調整用虚像421aよりも高い位置で視認される。
図10(b)は、近距離の虚像エリア400aの高さと遠距離の虚像エリア400bの高さとが、同じ場合を示している。これは、図5(b)の運転者500の場合に相当する。この場合には、近距離用の調整用虚像411aは、遠距離用の調整用虚像421aと同じ高さで視認される。
図10(c)は、近距離の虚像エリア400aの高さが、遠距離の虚像エリア400bの高さよりも低い場合を示している。これは、図5(c)の運転者500の目の高さが高い場合に相当する。この場合には、近距離用の調整用虚像411aは、遠距離用の調整用虚像421aよりも低い位置で視認される。
図10(c)では、さらに、近距離用の調整用虚像411aと遠距離用の調整用虚像421aとが一直線上に配置された状態で視認される。つまり、近距離用の調整用居層411aと遠距離用の調整用虚像421aとは、左下から右上に向けて延びる帯状の図形となる。
このようにすることで、近距離の虚像エリア400aの高さを、遠距離の虚像エリア400bの高さよりも低い位置となっていることが容易に認識できる。また、近距離用の調整用虚像411aと遠距離用の調整用虚像421aとを斜めの直線状の図形とすることで、虚像エリア400a,400bの高さ方向の位置の調整に加えて、横方向の位置の調整も、容易に行うことができる。
例えば、近距離の虚像エリア400aと遠距離の虚像エリア400bとの高さを同じにしたい場合には、図10(b)の時に、近距離用の調整用虚像411aと遠距離用の調整用虚像421aが直線上に配置されるように、調整用画像113a,113bの位置を調整しておく。なお、この場合には、スクリーン120上に投影される近距離用の調整用中間画像122cと遠距離用の調整用中間画像122dも直線上に配置される。
また、図9および図10の例では、近距離用の調整用虚像411aと遠距離用の調整用虚像421aとを、運転者500から見て右上がりの帯状の図形としている。しかし、調整用虚像411a,421aは、この図形に限らない。例えば、近距離用の調整用虚像411aと遠距離用の調整用虚像421aとで、複数の点状の図形を直線上に配置しても良い。
運転者500の目の位置が左右にずれた場合には、この運転者500の目の位置ずれが近距離用の調整用虚像411aと遠距離用の調整用虚像421aとの位置関係に影響を与える。
そのため、虚像の表示位置を調整する場合には、頭の位置を制限することができる。例えば、運転者500の頭を運転席のヘッドレストにもたれた状態にして、虚像の表示位置を調整する。ヘッドレストは、座席の背もたれの上部に取り付けられた枕状のもので、頭を支える役割をする。
なお、頭の位置を厳密に位置決めする必要はない。頭の位置は、表示される虚像を正面から視認できる位置であれば良い。
そのため、例えば、近距離の虚像エリア400aおよび遠距離の虚像エリア400bの領域内に、横方向の同じ位置にそれぞれの調整用虚像を表示する。
例えば、調整用虚像を虚像エリア400a,400bの横方向の中央に表示する。運転者500は、近距離の虚像エリア400aと遠距離の虚像エリア400bとの調整用虚像が横方向の同じ位置に視認できるように、運転者500の頭の位置を調整する。このように、運転者500は、頭の位置の横方向の調整した後で、虚像の表示位置を調整する。
運転者500が代わった場合には、体格の違いなどによって、基準設計時の運転者500の目の位置からずれる場合がある。このような場合においても、運転者500は容易に虚像の表示位置を調整することができる。
座席の高さ調整、運転時の前傾姿勢、座席の背もたれの傾きなどによって、運転者500の目の位置は移動する。このような場合には、運転者500の目の位置を検出するには、目の高さだけでなく、目の奥行き方向の位置も正しく検出する必要がある。そのため、目の位置を3次元的に検出できなければ、目の位置に応じた拡大ミラー140の自動調整は困難となる。
虚像表示装置100では、運転者500の操作によって、虚像の表示位置の調整を行う。このため、自動調整に必要な目の位置の検出が不要となる。そして、目の位置を検出するカメラまたはセンサーが不要となる。また、虚像表示装置100は、虚像の表示位置の調整用に、調整用画像113を表示する。このため、自動調整のための複雑な演算処理などが不要となる。
ウインドシールド300を利用して虚像表示装置100からの虚像を表示させる場合には、虚像の表示状態はウインドシールド300によって影響を受ける。ウインドシールド300は車種毎に形状や傾斜状態などが異なる。このため、種々の車種に虚像表示装置100を組み込む場合には、虚像が表示される条件を最適化する必要がある。運転者500の目の位置を検出して拡大ミラー140を自動制御する方式では、拡大ミラー140を制御する為の演算式または演算に用いられる係数等を、車種毎に変更する必要がある。
虚像表示装置100は基本設計を行えば、車種毎の変更が不要となる。運転者500自身が虚像の見え方を調整するため、車種毎に演算式または演算に用いられる係数等の設定が不要となる。そのため、虚像表示装置100は様々な車種への展開が容易になる。
近距離の虚像用スクリーン120aによる近距離の虚像と、遠距離の虚像用スクリーン120bによる遠距離の虚像とを表示させるために、スクリーン120を移動させて、近距離の虚像と遠距離の虚像を交互に表示させてもよい。または、スクリーン120を半分に分割して、それぞれを近距離の虚像用スクリーン120aおよび遠距離の虚像用スクリーン120bとして配置してもよい。スクリーン120を分割して使用することで、近距離の虚像と遠距離の虚像を同時に表示することができる。
調整用画像113は、一例として矢印を用いた。しかし、この図形に限らない。
調整用画像113は、虚像の表示位置を調整するための画像である。調整用画像113に、単純な線、点またはマークなどを用いても良い。調整用画像113は、遠距離の調整用虚像と近距離の調整用虚像との位置の違いを運転者500から識別できるものであれば良い。また、例えば、虚像の表示位置の調整は厳密に調整しなくてもよい。
また、遠距離の調整用虚像および近距離の調整用虚像に加えて、中距離用の調整用虚像を表示して、虚像の表示位置を調整しても良い。異なる2つ以上の距離に虚像を表示する場合には、調整用虚像を表示する。そして、運転者500は、調整用虚像を視認しながら、虚像の表示位置を調整する。
虚像の表示位置の調整の方法として、拡大ミラー140の位置および角度を調整する方法を示した。しかし、この方法に限らない。
スクリーン120の位置を近距離時と遠距離時とで上下方向にずらすことで、虚像の表示位置を調整することも可能である。また、光源部111から出射される映像光を、近距離時と遠距離時で上下方向にずらすことで、虚像の表示位置を調整することも可能である。さらに、拡大ミラー140、スクリーン120または光源部111のいずれかを組み合わせて、それらの制御をおこなうことで、虚像の表示位置を調整してもよい。
<虚像の表示位置の調整方法>
以下、フローチャートを用いて、虚像の表示位置の調整方法について説明する。
図11は、虚像の表示位置の調整方法のフローチャートである。
ステップS10において、虚像の表示位置の調整が開始される。虚像の表示位置の調整を行う観測者(例えば、運転者500)が、虚像表示装置100を操作して調整モードに設定することで、図11に示す調整は開始される。
ステップS20において、調整用画像113の設定が行われる。これは、図3に示すように、虚像を表示する距離に対応した調整用画像113を選択する。そして、スクリーン120の領域内における調整用画像113の表示位置を設定する。
ステップS30において、選択した調整用画像113を用いて、調整用虚像410,420の表示を開始する。これによって、観測者(例えば、運転者500)は、調整用虚像410,420を視認できる。ステップS30における詳細な処理については後述する。なお、ステップS30では調整用画像113の表示処理を起動したら、ステップS40に進む。
ステップS40において、観測者の操作に応じて虚像の表示位置を変更する。この処理は、観測者の操作の度に実行される。
ステップS50において、観測者は調整終了の指示をする。観測者からの調整終了の指示を受けると、「YES」を選択する。そして、ステップS60に進む。観測者からの調整終了の指示を受けていないと、「NO」を選択する。そしてステップS40に進む。
ステップS60において、調整用虚像410,420の表示を終了する。
ステップS70において、虚像の表示位置の調整を終了する。
なお、上記の例では、虚像の表示位置の調整開始は、手動で調整モードに設定することとしていた。しかし、この方法(手動)に限るものではない。
例えば、観測者の違い(運転者500の頭の位置の違いなど)を検知する。そして、現在の設定を調整した時と異なる場合には、調整を開始するようにしてもよい。つまり、観測者の目の位置の違いを判断するための条件を満足した場合に、調整モードが自動的に起動するようにしてもよい。
なお、この観測者(例えば、運転者500)の違いを判断するためのセンサー等は、虚像の表示位置を調整するための観測者の目の位置を検出する必要はない。そのため、他の目的で設置されている車内を撮影するカメラ、または、運転者の体重を量るセンサーなどを用いることができる。カメラとしては、運転者の居眠り防止用のカメラが挙げられる。
次に、ステップS30における調整用映像の表示処理について説明する。
図12は、調整用画像113の表示処理のフローチャートである。図12は、図11のステップS30の処理を詳細に説明したものである。図11のステップS30に進んだ場合に、図12のステップS300が開始される。図11のフローチャートはステップS40に進み、並行して図12のステップS300が実行される。
ステップS300において、映像の表示処理が開始される。映像の表示処理が開始されると、ステップS301に進む。
ステップS301において、虚像の表示される距離を遠距離に設定する。これは、例えば、図1において、スクリーン120をスクリーン120bの位置に移動させることである。
ステップS302において、第1の調整用画像113bを表示する。これによって、観測者は、第1の調整用画像113bによる虚像を遠距離で視認できる。
ステップS303において、ステップS302で第1の調整用画像113bを表示してからの経過時間を測定する。所定の時間を超えた場合には、「YES」を選択して、ステップS304に進む。所定の時間を超えていない場合には、「NO」を選択して、ステップS303に進む。
ステップS304において、第1の調整用画像113bの表示を停止する。
ステップS305において、虚像の表示される距離を近距離に設定する。これは、例えば、図1において、スクリーン120をスクリーン120aの位置に移動させることである。
ステップS306において、第2の調整用画像113aを表示する。これによって、観測者は、第2の調整用画像113aによる虚像を近距離で視認できる。
ステップS307において、ステップS306で第2の調整用画像113aを表示してからの経過時間を測定する。所定の時間を超えた場合には、「YES」を選択して、ステップS308に進む。所定の時間を超えていない場合には、「NO」を選択して、ステップS307に進む。
ステップS308において、第2の調整用画像113aの表示を停止する。
ステップS309において、調整用画像113a,113bの表示処理の終了が必要か否かを判断する。映像の表示処理を終了しない場合には、「NO」を選択して、ステップS301に進む。映像の表示処理を終了する場合には、「YES」を選択して、ステップS310に進む。そして、映像の表示処理を終了する。つまり、図12の調整用画像113の表示処理のフローチャートを終了する。
ステップS309における映像の表示処理を終了するか否かは、図11のステップS60の調整用虚像の終了の処理が行われたか否かによる。図11のフローチャートは、図12のフローチャートと並行して行われている。図11のステップS60が行われた場合、図12のステップS309は「YES」を選択する。図11のステップS60が行われていない場合、図12のステップS309は「NO」を選択する。
図12の調整用画像113の表示処理のフローチャートは、図11の虚像の表示位置の調整方法のフローチャートによって、起動と終了が行われる。図11のステップS30が行われた場合に、図12のステップS300が起動される。図11のステップS60が行われた場合に、図12のステップS309で「YES」の判断がなされる。そしてステップS310で図12のプロ―チャートは終了する。このため、図11のステップS30からステップS60の処理の間、図12のステップS301からステップS309の処理が並行して実施される。
これにより、観測者は遠距離の虚像と近距離の虚像が交互に視認し、両者の虚像を比較できる。ステップS303およびステップS307で判断に用いる所定時間は、可能な限り短い時間が望ましい。こうすることで、観測者は遠距離の虚像と近距離の虚像を短時間で比較できる。
<変形例2>
これまでの実施の形態では、運転者500は虚像エリア400を垂直に視認している。しかし、変形例2では、虚像エリア400が傾斜している。
図13は、変形例2に係る虚像表示装置161の構成の一例を示す模式図である。
傾斜スクリーン120tは、光源111の光軸Cに対して傾斜している。そのため、運転者500から視認できる傾斜した虚像エリア400tは、上端が下端よりも遠くに位置するように傾斜している。つまり、傾斜した虚像エリア400tは、運転者500から見て高い位置の方が、低い位置よりも遠くなる様に傾斜している。傾斜した虚像エリア400tに投影される虚像は、虚像までの距離に深度を有することになる。つまり、傾斜した虚像エリア400tに投影される虚像は、1つの虚像の中に表示される距離の異なる部分を有する。
これによって、傾斜した虚像エリア400tを運転者500から見た道路の傾斜に近づけた状態にできる。そして、例えば、視認性を向上して、経路案内の矢印などを虚像で表示することができる。
図14(a)〜図14(c)は、虚像の表示状態を説明する説明図である。
図14(a)は、虚像を表示する状態を斜め上から表した図である。つまり、図14(a)は、運転者500が虚像を見た状態を、斜め上から見た図である。図14(b)は、虚像を表示する状態を横から表した図である。つまり、図14(b)は、図14(a)を横から見た図である。図14(c)は映像表示部171の光源部111とスクリーン120(スクリーン120tおよびスクリーン120e)の構成例を示した図である。
傾斜した虚像エリア400tは、傾斜スクリーン120tによって虚像が表示されるエリアである。傾斜した虚像エリア400tの下側に近距離の虚像が表示される。傾斜した虚像エリア400tの上側に遠距離の虚像が表示される。
遠距離の虚像エリア400eは、運転者500から見て、傾斜した虚像エリア400tの左側に位置している。運転者500は、遠距離の虚像エリア400eを垂直に視認する。運転者500から遠距離の虚像エリア400eまでの距離は、運転者500から傾斜した虚像エリア400tの上側までの距離と同じである。
映像表示部171は、傾斜スクリーン120tと、位置調整用スクリーン120eとを備える。
位置調整用スクリーン120eは、遠距離の虚像エリア400e用のスクリーンである。遠距離の調整用虚像420eは、位置調整用スクリーン120eに投影された遠距離の調整用中間画像122eによる虚像である。
傾斜スクリーン120tは、傾斜した虚像エリア400t用のスクリーンである。傾斜用の調整用虚像410tは、傾斜スクリーン120tに投影された傾斜用の調整用中間画像122tによる虚像である。
遠距離の調整用中間画像122eは、傾斜用の調整用中間画像122tよりも高い位置に表示される。一方、遠距離の調整用虚像420eは、傾斜用の調整用虚像410tよりも低い位置に表示される。
図14(b)に示すように、運転者500の目の高さが変わると、傾斜した虚像エリア400tを見る角度が変わる。
運転者500Hのように高い位置からは、虚像は縦方向に大きく見える。一方、運転者500Lのように低い位置からは、虚像は縦方向が小さく見える。
図14(a)および図14(b)では、運転者500の位置を変えることで、虚像の見え方が変わることを示した。反対に、虚像の表示位置を変えることで、相対的に運転者500の位置を変えることも可能である。運転者500の目の位置が変わった場合に、虚像の表示位置を調整することで、傾斜した虚像エリア400tの見え方を容易に調整することができる。
例えば、運転者500Hが見ている状態のように、遠距離の調整用虚像420eと、傾斜用の調整用虚像410tとが同じ位置に見える状態を基準状態とする。また、この例では、傾斜した虚像エリア400tの上端と遠距離の虚像エリア400eの上端とを同じ高さにしている。傾斜用の調整用虚像410tは近距離の調整用虚像として、遠距離の調整用虚像420eと同じ高さに合わせる。
傾斜した虚像エリア400t上では、最も遠距離となる虚像位置は傾斜した虚像エリア400tの上端である。傾斜した虚像エリア400t上では、近距離の調整用虚像は、傾斜用の調整用虚像410tとなる。
最も遠距離の調整用虚像と最も近距離の調整用虚像との垂直方向の距離は、遠距離の虚像エリア400eの上端から遠距離の調整用虚像420eまでの距離となる。つまり、この垂直方向の距離分だけ、近距離の虚像と遠距離の虚像とが離れて見えることになる。そして、運転者500は実際の遠近感と近い感覚で虚像を視認することができる。
運転者500は、虚像の表示位置の調整用スクリーン(位置調整用スクリーン120e)と映像を表示するスクリーン(スクリーン120,120t)とを同時に視認できる。このため、虚像の表示位置の調整は容易になる。
位置調整用スクリーン120eによって表示される虚像までの距離が、スクリーン120によって表示される虚像までの距離と異なる様に、位置調整用スクリーン120eは設置される。そのため、どのようなスクリーン120の構成においても、位置調整用スクリーン120eを採用することができる。
また、遠距離の調整用虚像420eおよび傾斜用の調整用虚像410tの少なくともいずれか一方に、目盛を表示することができる。つまり、遠距離の調整用画像および傾斜用の調整用画像の少なくともいずれか一方に、目盛を描いてもよい。表示された目盛を用いて遠距離の調整用虚像420eと傾斜用の調整用虚像410tとを合わせる。これによって、傾斜した虚像エリア400tの傾斜角を調整することができる。つまり、2つの虚像のなす角が目盛によって認識できる。
なお、別途設けた位置調整用スクリーン120eは、LED等を用いた簡易な表示機能を備えてもよい。この場合には、位置調整用スクリーン120eは、この表示機能を用いて、遠距離の調整用画像を表示する。
また、遠距離の虚像エリア400eの代わりに、近距離の虚像エリアを設けてもよい。近距離の虚像エリアには近距離の調整用虚像が投影される。この場合には、傾斜した虚像エリア400t上に、遠距離の調整用虚像を投影して、傾斜用の調整用虚像410tを遠距離の調整用虚像とする。遠距離の調整用虚像と近距離の調整用虚像とを用いて、運転者500は虚像の表示位置の調整を行う。
<傾斜虚像映像の一例>
以下において、虚像表示装置161が、路面上に、経路案内をするための矢印をARで表示する場合の一例を説明する。
図15は、虚像表示装置161の表示する虚像とAR表示する対象物710,712との関係を説明する説明図である。
ここで、図7と同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。同一の要素は、高さH0,H1,H2、俯角T1,T2,T3、点状の虚像V1,V2、対象物710、712および位置P0,P1,P2,PV1,PV2である。
視角T4は、虚像表示装置161の視角である。視角T4は、虚像表示装置161が設置された高さH2から視認される虚像範囲の角度である。近距離の虚像V1は、虚像表示装置161の視角T4の下端に位置している。遠距離の虚像V2は、虚像表示装置161の視角T4の下端に位置している。
対象物710,712は、虚像表示装置161によってAR表示を行うための対象物である。
AR画像RTは、高さH1から視認する場合で、近距離の対象物710の位置P1から、遠距離の対象物712の位置P2までの間の地上(路面上)に表示される。
虚像表示装置161は、虚像VTを表示する。虚像VTは、傾斜して表示される。ここで、虚像VTの近距離側の端部は、近距離の点状の虚像V1の位置にある。虚像VTの遠距離側の端部は、高さH1の位置と遠距離の対象物712の位置P2とを結ぶ直線と、視角T4の上端とが交わる位置にある。
このようにすることで、例えば、経路案内する場合の矢印などの虚像は、路面に重ね合わされて表示される。そして、運転者500は、案内される情報を容易に認識することができる。
また、近距離の虚像V1の位置と遠距離の虚像V2の位置とは、虚像表示装置161の視角T4の下端に位置している。しかし、虚像V1,V2の位置は、その限りではない。例えば、虚像V1,V2の位置は、虚像表示装置161の視角T4の中心または上端に位置しても良い。ただし、その場合には、AR表示の対象とする対象物710,712と、虚像として表示される映像(虚像RT)との位置の関連付けを調整する必要がある。
スクリーン120の構成例をいくつか示したが、これらの限りではない。例えば、移動するスクリーン120または傾斜スクリーン120tを分割してもよい。様々なスクリーンの組み合わせが可能である。
なお、上述の各実施の形態においては、「平行」または「垂直」などの部品間の位置関係もしくは部品の形状を示す用語を用いている場合がある。これらは、製造上の公差や組立て上のばらつきなどを考慮した範囲を含むことを表している。このため、請求の範囲に部品間の位置関係もしくは部品の形状を示す記載をした場合には、製造上の公差又は組立て上のばらつき等を考慮した範囲を含むことを示している。
また、以上のように本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限るものではない。
以上の各実施の形態を基にして、以下に発明の内容を付記(1)及び付記(2)として記載する。付記(1)と付記(2)とは、各々独立して符号を付している。そのため、例えば、付記(1)と付記(2)との両方に、「付記1」が存在する。
また、付記(1)の特徴と付記(2)の特徴とを組み合わせることができる。
<付記(1)>
<付記1>
虚像として映し出される映像光を出射する映像表示部と、
前記虚像が投影される位置までの距離を変更する制御部と、
前記虚像が投影される方向を調整する虚像調整部とを備え、
前記虚像までの距離に応じて、前記虚像を投影する方向を変更することを特徴とする虚像を表示するための表示装置。
<付記2>
前記映像表示部はさらに、調整用虚像として投影される距離の異なる複数の調整用画像を映像光として出射することを特徴とする付記1記載の虚像を表示するための表示装置。
<付記3>
前記調整用虚像が投影された場合に、距離の遠い調整用虚像の方が距離の近い調整用虚像よりも高い位置に表示されるように調整することを特徴とする付記2に記載の虚像を表示するための表示装置。
<付記4>
前記調整用虚像を同時にまたは交互に投影することを特徴とする付記2または3に記載の虚像を表示するための表示装置。
<付記5>
観察者から見た複数の前記調整用虚像の投影方向のなす角が所定の角度となったことを認識できるような前記調整用画像とすることを特徴とする付記2から4のいずれか1つに記載の虚像を表示するための表示装置。
<付記6>
前記制御部は、虚像までの距離に深度をもたせることを特徴とする付記1から5のいずれか1つに記載の虚像を表示するための表示装置。
<付記7>
虚像として映しだされる映像光を出射する工程と、
前記虚像が投影される位置までの距離を変更する工程と
前記虚像を用いて当該虚像が投影される方向を調整する工程とを備え、
前記虚像までの距離に応じて、前記虚像を投影する方向を変更することを特徴とする虚像を表示するための調整方法。
<付記8>
前記虚像は、第1の虚像と第2の虚像とを含み、
前記第1の虚像と第2の虚像とを用いて投影される方向を調整することを特徴とする付記7に記載の虚像を表示するための調整方法。
<付記9>
前記第2の虚像は、前記第1の虚像よりも遠い位置に表示され、前記第2の虚像は、前記第1の虚像よりも高い位置に表示されるように調整されることを特徴とする付記8に記載の虚像を表示するための調整方法。
<付記10>
前記第1の虚像と前記第2の虚像とを同時にまたは交互に投影することを特徴とする付記8または9に記載の虚像を表示するための調整方法。
<付記11>
観察者から前記第1の虚像と前記第2の虚像との投影方向のなす角が所定の角度となったことを認識できる調整用画像を映像光として出射することを特徴とする付記8から10のいずれか1つに記載の虚像を表示するための調整方法。
<付記12>
前記虚像は、深度を持たせて表示されることを特徴とする付記7から11のいずれか1つに記載の虚像を表示するための調整方法。
<付記(2)>
<付記1>
車両に用いられ、虚像を表示するための表示装置であって、
映像光を出射する光源部および前記映像光が投射されるスクリーンを含む映像表示部と、
前記虚像が表示される位置を調整する制御部と
を備え、
前記スクリーン上に映し出された像は前記虚像として投影され、
前記虚像は、第1の虚像と前記第1の虚像と異なる位置に表示される第2の虚像とを含み、
前記映像表示部は、前記第1の虚像の表示領域に投影される第1の調整用画像および前記第2の虚像の表示領域に投影される第2の調整用画像を前記スクリーン上に表示し、
前記制御部は、前記第1の調整用画像および前記第2の調整用画像に基づいて前記第1の虚像の表示領域の位置と前記第2の虚像の表示領域の位置とを調整することを特徴とする表示装置。
<付記2>
前記制御部は、前記虚像が表示される高さ方向の位置を調整することを特徴とする付記1記載の表示装置。
<付記3>
前記第2の虚像は、前記第1の虚像よりも前記車両から遠い位置に表示されることを特徴とする付記2記載の表示装置。
<付記4>
前記第1の虚像の表示領域の高さ方向の位置と前記第2の虚像の表示領域の高さ方向の位置とを一致させた場合に、前記第1の調整用画像の虚像である第1の調整用虚像は前記第2の調整用画像の虚像である第2の調整用虚像よりも前記車両の上側の方向に表示されることを特徴とする付記3記載の表示装置。
<付記5>
前記制御部は、前記第1の調整用画像の虚像と前記第2の調整用画像の虚像とが表示される高さ方向の位置を一致させることを特徴とする付記4記載の表示装置。
<付記6>
前記制御部は、前記虚像の傾斜角を調整することを特徴とする付記1記載の表示装置。
<付記7>
前記第1の調整用画像および前記第2の調整用画像の少なくともいずれか一方は、目盛が描かれており、
前記制御部は、表示された目盛に基づいて、前記第1の虚像の表示領域または前記第2の虚像の表示領域の傾斜角を調整することを特徴とする付記6記載の表示装置。
<付記8>
前記第1の調整用画像と前記第2の調整用画像とは、同時にまたは交互に虚像として表示されることを特徴とする付記1から7のいずれかに1つに記載の表示装置。
<付記9>
前記スクリーン上に映し出された像を前記虚像として投影する投影光学系を備え、
前記制御部は、前記投影光学系を調整することで、前記虚像が表示される位置を調整することを特徴とする付記1から8のいずれか1つに記載の表示装置。
<付記10>
車両に用いられ、虚像を表示するための調整方法であって、
前記虚像は、第1の虚像の表示領域と前記第1の虚像の表示領域と異なる位置の第2の虚像の表示領域とに表示され、
第1の調整用画像を用いて前記第1の虚像の表示領域に第1の虚像を表示し、第2の調整用画像を用いて前記第2の虚像の表示領域に第2の虚像を表示する第1の工程と、
前記第1の虚像の表示領域の位置および前記第2の虚像の表示領域の位置を調整する第2の工程と
を備えることを特徴とする調整方法。
<付記11>
前記第2の工程は、前記虚像が表示される高さ方向の位置を調整することを特徴とする付記10記載の調整方法。
<付記12>
前記第2の虚像は、前記第1の虚像よりも前記車両から遠い位置に表示されることを特徴とする付記11に記載の表示装置。
<付記13>
前記第1の虚像の表示領域の高さ方向の位置と前記第2の虚像の表示領域の高さ方向の位置とを一致させた場合に、前記第1の調整用画像の虚像である第1の調整用虚像は前記第2の調整用画像の虚像である第2の調整用虚像よりも前記車両の上側の方向に表示されることを特徴とする付記12記載の調整方法。
<付記14>
前記第1の調整用画像の虚像と前記第2の調整用画像の虚像とが表示される高さ方向の位置を一致させることを特徴とする付記13記載の調整方法。
<付記15>
前記第2の工程は、前記虚像の傾斜角を調整することを特徴とする付記10記載の調整方法。
<付記16>
前記第1の調整用画像および前記第2の調整用画像の少なくともいずれか一方は、目盛が描かれており、表示された目盛に基づいて、前記第1の虚像の表示領域または前記第2の虚像の表示領域の傾斜角を調整することを特徴とする付記15記載の調整方法。
<付記17>
前記第1の調整用画像と前記第2の調整用画像とは同時にまたは交互に虚像として表示されることを特徴とする付記10から16のいずれかに1つに記載の調整方法。