JPWO2018030489A1 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents

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Abstract

電圧保持率に優れ、蓄積電荷の緩和が早く、駆動中にフリッカーが起こりにくい液晶配向膜が得られる液晶配向剤、液晶配向膜、及び液晶表示素子を提供する。式(1)で表される構造を有する重合体(A)と、式(2)の構造を有する重合体(B)とを含む液晶配向剤。[化1][化2]R1は水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、式(2)中、R2は単結合又は2価の有機基であり、R3は−(CH2)n−で表される構造であり(ただし、nは2〜20の整数であり、任意の−CH2−はそれぞれ隣り合わない条件でエーテル、エステル、アミド、ウレア及びカルバメートから選ばれる結合に置き換えられてもよく、該アミド及びウレアの水素原子はメチル基、又はtert−ブトキシカルボニル基に置き換えられてもよい。)、R4は単結合又は2価の有機基であり、ベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられてもよい。

Description

本発明は、新規な液晶配向剤、液晶配向膜及びそれを用いた液晶表示素子に関する。
液晶表示素子は、パソコン、携帯電話、スマートフォン、テレビ等の表示部として幅広く用いられている。液晶表示素子は、例えば、素子基板とカラーフィルタ基板との間に挟持された液晶層、液晶層に電界を印加する画素電極及び共通電極、液晶層の液晶分子の配向性を制御する配向膜、画素電極に供給される電気信号をスイッチングする薄膜トランジスタ(TFT)等を備えている。液晶分子の駆動方式としては、TN方式、VA方式等の縦電界方式や、IPS方式、FFS方式等の横電界方式が知られている。基板の片側のみに電極を形成させ、基板と平行方向に電界を印加する横電界方式では、従来の上下基板に形成された電極に電圧を印加して液晶を駆動させる縦電界方式と比べ、広い視野角特性を有し、また高品位な表示が可能な液晶表示素子として知られている。
横電界方式の液晶セルは視野角特性に優れているものの、基板内に形成される電極部分が少ないために、電圧保持率が低いと液晶に十分な電圧がかからず表示コントラストが低下する。また、液晶配向の安定性が小さいと、液晶を長時間駆動させた際に液晶が初期の状態に戻らなくなり、コントラスト低下や残像の原因となるため、液晶配向の安定性が重要である。更に、静電気が液晶セル内に蓄積されやすく、駆動によって生じる正負非対称電圧の印加によっても液晶セル内に電荷が蓄積され、これらの蓄積された電荷が液晶配向の乱れや残像として表示に影響を与え、液晶素子の表示品位を著しく低下させる。また、駆動直後にバックライト光が液晶セルに照射されることによっても電荷が蓄積され、短時間の駆動でも残像が発生する、駆動中にフリッカー(ちらつき)の大きさが変化する等の問題を生じてしまう。
このような横電界方式の液晶表示素子に用いた際、電圧保持率に優れ、かつ電荷蓄積を低減した液晶配向剤として、特定のジアミンと脂肪族テトラカルボン酸誘導体とを含有する液晶配向剤が開示されている(特許文献1参照)。また、残像が消えるまでの時間を短くする方法としては、特定の体積抵抗率の低い液晶配向膜(特許文献2参照)や、体積抵抗率が液晶表示素子のバックライトによっても変化しにくい配向膜を使用する方法(特許文献3参照)が提案されている。しかし、液晶表示素子の高性能化に伴い、液晶配向膜に要求される特性も厳しくなってきており、これらの従来の技術では全ての要求特性を十分に満足することは難しい。
国際公開公報WO2004/021076号パンフレット 国際公開公報WO2004/053583号パンフレット 国際公開公報WO2013/008822号パンフレット
本発明は、電圧保持率に優れ、蓄積電荷の緩和が早く、駆動中にフリッカー(ちらつき)が起こりにくい液晶配向膜を得ることができる液晶配向剤、液晶配向膜、及び液晶表示素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、液晶配向剤に含まれる重合体中に特定構造を導入することで種々の特性が同時に改善されることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、下記を要旨とするものである。
1.下記式(1)で表される構造を有する重合体(A)と、下記式(2)の構造を有する重合体(B)とを含むことを特徴とする液晶配向剤。
Figure 2018030489
Figure 2018030489
但し、式(1)中、Rは水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、式(2)中、Rは単結合又は2価の有機基であり、Rは−(CH−で表される構造であり(但し、nは2〜20の整数であり、任意の−CH−はそれぞれ隣り合わない条件でエーテル、エステル、アミド、ウレア及びカルバメートから選ばれる結合に置き換えられてもよく、該アミド及びウレアの水素原子はメチル基、又はtert−ブトキシカルボニル基に置き換えられてもよい。)、Rは単結合又は2価の有機基であり、ベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられてもよい。
2.前記重合体(A)が、前記式(1)で表される構造を有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合物であるポリイミド前駆体(A)及びそのイミド化物であるポリイミド(A)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である前記1に記載の液晶配向剤。
3.前記重合体(B)が、前記式(2)で表される構造を有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合物であるポリイミド前駆体(B)及びそのイミド化物であるポリイミド(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である前記1に記載の液晶配向剤。
4.前記ポリイミド前駆体(A)が、下記式(3)で表される構造単位を有する前記1〜3に記載の液晶配向剤。
Figure 2018030489
但し、式(3)中、Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、Yは式(1)の構造を含むジアミンに由来する2価の有機基であり、R10は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
5.前記式(3)において、Yが下記のいずれかの式で表される前記4に記載の液晶配向剤。
Figure 2018030489
Figure 2018030489
6.前記式(3)で表される構造単位を有する重合体が、液晶配向剤に含有される全重合体に対して10モル%以上含有される前記4又は5に記載の液晶配向剤。
7.前記ポリイミド前駆体(B)が、下記式(5)で表される構造単位を有する前記1〜6に記載の液晶配向剤。
Figure 2018030489

但し、式(5)中、Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、Yは式(2)の構造を含むジアミンに由来する2価の有機基であり、R13は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
8.前記重合体(A)と前記重合体(B)の合計量に対して、前記重合体(A)の含有量が、10〜95質量%であり、前記重合体(B)の含有量が、5〜90質量%である前記1〜7のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
9.前記重合体(A)及び前記重合体(B)を溶解する有機溶媒を含有する前記1〜8のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
10.前記1〜9のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
11.前記10に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
12.液晶表示素子が横電界駆動方式である前記11に記載の液晶表示素子。
13.液晶表示素子がFFS方式である前記11又は12に記載の液晶表示素子。
本発明の液晶配向剤を用いることにより、蓄積電荷の緩和が早く、駆動中にフリッカー(ちらつき)が起こりにくい液晶配向膜、及び表示特性に優れた液晶表示素子が提供される。本願発明により何故に上記の特性が得られるかは定かではないが、概ね次のように考えられる。本発明の液晶配向剤に含有される重合体の有する上記(1)の構造は、共役構造を有する。これにより、例えば液晶配向膜中において、電荷の移動を促進させることができ、蓄積電荷の緩和を促進させることができる。
本発明の液晶配向剤は、上記式(1)で表される構造を有する特定重合体(A)と、上記式(2)の構造を有する特定重合体(B)とを含有することを特徴とする。
特定重合体(A)の含有量は、特定重合体(A)と特定重合体(B)の合計量に対して、特定重合体(A)が10〜95質量%であり、より好ましくは60〜90重量%である。また、特定重合体(B)の含有量は、特定重合体(A)と特定重合体(B)の合計量に対して、90〜5質量%であり、より好ましくは40〜10質量%である。特定重合体(A)が少なすぎると、液晶配向膜の電荷蓄積特性やラビング耐性が悪化し、特定重合体(B)が少なすぎると、液晶の配向性や配向規制力が悪化する。本発明の液晶配向剤に含有される特定重合体(A)と特定重合体(B)は、それぞれ、1種類でも、2種類以上であってもよい。
<特定重合体(A)>
特定重合体(A)は上記式(1)で表される構造を有する重合体である。
式(1)中のRは、得られる重合体の溶解性の観点から、炭素原子数1〜3のアルキル基が好ましく、液晶配向性を損なわない点からメチル基が好ましい。
上記式(1)において、ベンゼン環上の任意の水素原子の1個又は複数個は、一級アミノ基以外の1価の有機基で置換されていてもよい。この1価の有機基としては、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜20のアルケニル基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20の含フッ素アルキル基、炭素数2〜20の含フッ素アルケニル基、炭素数1〜20の含フッ素アルコキシ基、シクロヘキシル基、フェニル基、フッ素原子又はこれらの組み合わせからなる基などが挙げられる。液晶の配向性の観点からは、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数2〜4のアルケニル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4の含フッ素アルキル基、炭素数2〜4の含フッ素アルケニル基、及び炭素数1〜4の含フッ素アルコキシ基からなる群から選ばれる1価の有機基が好ましい。より好ましい上記式(1)の構造としては、ベンゼン環上の水素原子が無置換のものである。
本発明における特定重合体(A)としては、上記式(1)で表される構造を有するジアミンを用いて得られる重合体が好ましい。そのような重合体の具体例としては、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリウレア、ポリアミドなどが挙げられる。液晶配向剤としての使用の観点から、なかでも、特定重合体(A)は、下記式(3)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
Figure 2018030489
但し、式(3)において、Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、Yは式(1)の構造を含むジアミンに由来する2価の有機基であり、R10は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。R10は、加熱によるイミド化のしやすさの点から、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましい。
ポリイミド前駆体(A)は、上記式(1)で表される構造を有するジアミンとテトラカルボン酸誘導体との重縮合反応により得られる重合体であり、式(3)におけるXは、このテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基である。このテトラカルボン酸誘導体、好ましくはテトラカルボン酸二無水物は、重合体の溶媒への溶解性や液晶配向剤の塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷など、必要とされる特性の程度に応じて適宜選択され、同一重合体中に1種類でも2種類以上が混在していてもよい。
式(3)におけるXの具体例を示すならば、国際公開公報2015/119168の13頁〜14頁に掲載される、式(X−1)〜(X−46)の構造などが挙げられる。
以下に、好ましいXの構造である(A−1)〜(A−21)を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2018030489
Figure 2018030489
上記の構造のうち、(A−1)、(A−2)はラビング耐性の更なる向上という観点から特に好ましく、(A−4)は蓄積電荷の緩和速度の更なる向上という観点から特に好ましく、(A−15)〜(A−17)は、液晶配向性と蓄積電荷の緩和速度の更なる向上という観点から特に好ましい。
式(3)におけるYの具体例としては、前記式(1)の構造を挙げることができる。式(1)の構造を有するジアミンは、日本特開2009−75140号公報に記載されており、また、同公報記載の製造方法にて製造することができる。
本発明における特定重合体(A)は、上記式(3)で表される構造単位及びそれをイミド化した構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位を、特定重合体(A)の全構造単位に対して、5〜100モル%含有するのが好ましく、液晶配向性と蓄積電荷の緩和特性の両立の観点から、10〜100モル%含有するのがより好ましく、20〜100モル%含有するのがさらに好ましい。
特定重合体(A)は、式(3)で表される構造単位に加えて、さらに、下記式(4)で表される構造単位、及び/又はそれをイミド化した構造単位を有していてもよい。
Figure 2018030489
式(4)において、Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、Yは式(1)の構造を主鎖方向に含まないジアミンに由来する2価の有機基であり、R11は、前記式(3)のR10の定義と同じであり、R12は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。また、2つあるR12の少なくとも一方は水素原子であることが好ましい。
の具体例としては、好ましい例も含めて式(3)におけるXで例示したものを挙げることができる。また、Yは式(1)の構造を主鎖方向に含まないジアミンに由来する二価の有機基であり、その構造は特に限定されない。また、Yは重合体の溶媒への溶解性や液晶配向剤の塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷など、必要とされる特性の程度に応じて適宜選択され、同一重合体中に1種類でも、2種類以上が混在していてもよい。
の具体例を示すならば、国際公開公報2015/119168の4頁に掲載される式(2)の構造、及び、8頁〜12頁に掲載される、式(Y−1)〜(Y−97)、(Y−101)〜(Y−118)の構造;国際公開公報2013/008906の6頁に掲載される、式(2)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基;国際公開公報2015/122413の8頁に掲載される式(1)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基;国際公開公報2015/060360の8頁に掲載される式(3)の構造;日本国公開特許公報2012−173514の8頁に記載される式(1)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基;国際公開公報2010−050523の9頁に掲載される式(A)〜(F)からアミノ基を2つ除いた二価の有機基などが挙げられる。
以下に、好ましいYの構造を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 2018030489
Figure 2018030489
Figure 2018030489
Figure 2018030489
上記Yの構造のうち、(B−28)、(B−29)は、ラビング耐性の更なる向上という観点から特に好ましく、(B−1)〜(B−3)は、液晶配向性の更なる向上という観点から特に好ましく、(B−14)〜(B−18)、(B−27)は、蓄積電荷の緩和速度の更なる向上という観点から特に好ましく、(B−26)は、電圧保持率の更なる向上という観点から好ましい。
特定重合体(A)が、式(3)で表される構造単位と、式(4)で表される構造単位とを有する場合、式(3)で表される構造単位は、式(3)と式(4)の合計に対して10モル%以上であることが好ましく、より好ましくは20モル%以上であり、特に好ましくは30モル%以上である。
本発明における特定重合体(A)を構成するポリイミド前駆体の分子量は、重量平均分子量で2,000〜500,000が好ましく、より好ましくは5,000〜300,000であり、さらに好ましくは、10,000〜100,000である。
特定重合体(A)を構成するポリイミドは、式(3)で表される構造単位、必要に応じて、式(4)で表される構造単位を有するポリイミド前駆体を閉環させて得られる。このポリイミドにおいては、アミド酸基の閉環率(イミド化率ともいう)は必ずしも100%である必要はなく、用途や目的に応じて任意に調整できる。
ポリイミド前駆体をイミド化させる方法としては、ポリイミド前駆体の溶液をそのまま加熱する熱イミド化、又はポリイミド前駆体の溶液に触媒を添加する触媒イミド化が挙げられる。
<特定重合体(B)>
本発明の液晶配向剤に含有される特定重合体(B)は、下記式(2)の構造を有する重合体である。
Figure 2018030489
但し、式(2)中、Rは単結合又は2価の有機基であり、単結合が好ましい。Rは−(CH−で表される構造である。nは2〜10の整数であり、3〜7が好ましい。また、任意の−CH−はそれぞれ隣り合わない条件でエーテル、エステル、アミド、ウレア、又はカルバメート結合に置き換えられてもよく、該アミド及びウレアの水素原子はメチル基、又はtert−ブトキシカルボニル基に置き換えられてもよい。Rは単結合又は2価の有機基である。ベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられてもよく、置換基は、フッ素原子又はメチル基が好ましい。
式(2)で表される構造としては、具体的には以下のものが挙げられるが、これらに限定されない。
Figure 2018030489
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本発明における特定重合体(B)としては、上記式(2)で表される構造を有するジアミンを用いて得られる重合体が好ましい。その重合体の具体例としては、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリウレア、ポリアミドなどが挙げられる。液晶配向剤としての使用の観点から、特定重合体(B)は、なかでも、下記式(5)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドから選ばれる少なくとも1種であるのが好ましい。
Figure 2018030489
但し、式(5)中、Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基である。具体的には、下記式(X1−1)〜(X1−45)で表される構造からなる群から選ばれる少なくとも1種類が好ましい。
Figure 2018030489
式(X1−1)において、R、R、R、及びRはそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜6のアルケニル基、アルキニル基、又はフェニル基である。液晶配向性の観点から、R、R、R、及びRは、水素原子、ハロゲン原子、メチル基、又はエチル基が好ましく、水素原子、又はメチル基がより好ましい。
Figure 2018030489
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これらのなかでも、Xは、液晶配向性、信頼性の観点から、(X1−10)、(X1−11)、又は(X1−29)が好ましく、(X1−10)又は(X1−11)がより好ましい。
式(5)において、Yは式(2)の構造を含むジアミンに由来する2価の有機基であり、配向性の観点から式(2)において、Rが、単結合又はベンゼン環であるジアミンに由来する2価の有機基であることが好ましい。R13は、水素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基であり、加熱によるイミド化のしやすさの観点から、水素原子、又はメチル基が特に好ましい。
本発明における特定重合体(B)は、上記式(5)で表される構造単位及びそれをイミド化した構造単位から選ばれる少なくとも1種の構造単位の比率を、特定重合体(B)中の全構造単位に対して、20〜100モル%含有するのが好ましく、液晶配向性と信頼性の両立の観点から、30〜70モル%含有するのがより好ましく、50〜70モル%含有するのがさらに好ましい。
本発明における特定重合体(B)は、上記式(5)で表される構造単位に加えて、さらに、下記式(6)で表される構造単位、及び/又はそれをイミド化した構造単位を有していてもよい。
Figure 2018030489
但し、式(6)において、R14は、前記式(5)のR13の定義と同じである。Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、その構造は特に限定されない。具体的例を挙げるならば、上記式(X1−1)〜(X−45)の構造が挙げられる。
上記式(6)において、Yはジアミンに由来する2価の有機基であり、その構造は特に限定されない。Yの具体例を挙げるならば、下記式(Y−1)〜(Y−138)の構造が挙げられる。
Figure 2018030489
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上記特定重合体(A)及び特定重合体(B)において、それぞれに含まれる、ポリイミド前駆体の構造単位に対して、これをイミド化した構造単位の比率(イミド化率ともいう。)は、液晶配向剤の特性に応じて任意に調整できる。溶解性や電荷蓄積特性の観点から、特定重合体(A)におけるイミド化率は0〜55%が好ましく、より好ましくは0〜20%である。また、液晶の配向性や配向規制力、電圧保持率の観点から、特定重合体(B)におけるイミド化率は高い方が好ましく、好ましくは40〜95%であり、より好ましくは55〜90%である。
<ポリアミック酸エステルの製造方法>
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸エステルは、以下に示す(1)、(2)又は(3)の方法で合成することができる。
(1)ポリアミック酸から合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって合成することができる。
具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
エステル化剤としては、精製によって容易に除去できるものが好ましく、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジエチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジプロピルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジネオペンチルブチルアセタール、N,N−ジメチルホルムアミドジ−t−ブチルアセタール、1−メチル−3−p−トリルトリアゼン、1−エチル−3−p−トリルトリアゼン、1−プロピル−3−p−トリルトリアゼン、4−(4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンー2−イル)−4−メチルモルホリニウムクロリドなどが挙げられる。エステル化剤の添加量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して、2〜6モル当量が好ましい。
上記の反応に用いる溶媒は、ポリマーの溶解性からN,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時の濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
(2)テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとの反応により合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンとを塩基と有機溶剤の存在下で−20℃〜150℃、好ましくは0℃〜50℃において、30分〜24時間、好ましくは1〜4時間反応させることによって合成することができる。
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジンなどが使用できるが、反応が穏和に進行するためにピリジンが好ましい。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドに対して、2〜4倍モルであることが好ましい。
上記の反応に用いる溶媒は、モノマー及びポリマーの溶解性からN−メチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンが好ましく、これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。合成時のポリマー濃度は、ポリマーの析出が起こりにくく、かつ高分子量体が得やすいという観点から、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。また、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドの加水分解を防ぐため、ポリアミック酸エステルの合成に用いる溶媒はできるだけ脱水されていることが好ましく、窒素雰囲気中で、外気の混入を防ぐのが好ましい。
(3)テトラカルボン酸ジエステルとジアミンから合成する場合
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより合成することができる。
具体的には、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを縮合剤、塩基、及び有機溶剤の存在下で0℃〜150℃、好ましくは0℃〜100℃において、30分〜24時間、好ましくは3〜15時間反応させることによって合成することができる。
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、N,N’−カルボニルジイミダゾール、ジメトキシ−1,3,5−トリアジニルメチルモルホリニウム、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム テトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、(2,3−ジヒドロ−2−チオキソ−3−ベンゾオキサゾリル)ホスホン酸ジフェニルなどが使用できる。縮合剤の添加量は、テトラカルボン酸ジエステルに対して2〜3倍モルが好ましい。
前記塩基には、ピリジン、トリエチルアミンなどの3級アミンが使用できる。塩基の添加量は、除去が容易な量で、かつ高分子量体が得やすいという観点から、ジアミン成分に対して2〜4倍モルが好ましい。
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0〜1.0倍モルが好ましい。
上記3つのポリアミック酸エステルの合成方法の中でも、高分子量のポリアミック酸エステルが得られるため、上記(1)又は上記(2)の合成法が特に好ましい。
上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
<ポリアミック酸の合成>
上記特定重合体(A)及び特定重合体(B)におけるポリイミド前駆体であるポリアミック酸を、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得る場合には、有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを混合して反応させる方法が好ましい。
上記反応の際に用いられる有機溶媒は、生成したポリアミック酸が溶解するものであれば特に限定されないが、あえてその具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ピリジン、ジメチルスルホン、ヘキサメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。これらは単独でも、また混合して使用してもよい。さらに、ポリアミック酸を溶解させない溶媒であっても、生成したポリアミック酸が析出しない範囲で、上記溶媒に混合して使用してもよい。また、有機溶媒中の水分は重合反応を阻害し、さらには生成したポリアミック酸を加水分解させる原因となるので、有機溶媒はなるべく脱水乾燥させたものを用いることが好ましい。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを有機溶媒中で混合させる方法としては、ジアミン成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液を攪拌させ、テトラカルボン酸二無水物成分をそのまま、又は有機溶媒に分散あるいは溶解させて添加する方法、逆にテトラカルボン酸二無水物成分を有機溶媒に分散あるいは溶解させた溶液にジアミン成分を添加する方法、テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分とを交互に添加する方法などが挙げられ、本発明においてはこれらのいずれの方法であってもよい。また、テトラカルボン酸二無水物成分又はジアミン成分が複数種の化合物からなる場合は、これら複数種の成分をあらかじめ混合した状態で反応させてもよく、個別に順次反応させてもよい。
テトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分を有機溶剤中で反応させる際の温度は、通常0〜150℃、好ましくは5〜100℃、より好ましくは10〜80℃である。温度が高い方が重合反応は早く終了するが、高すぎると高分子量の重合体が得られない場合がある。また、反応は任意の濃度で行うことができるが、濃度が低すぎると高分子量の重合体を得ることが難しくなり、濃度が高すぎると反応液の粘性が高くなり過ぎて均一な攪拌が困難となるので、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。反応初期は高濃度で行い、その後、有機溶媒を追加しても構わない。
ポリアミック酸の重合反応に用いるテトラカルボン酸二無水物成分とジアミン成分の比率は、モル比で1:0.8〜1.2であることが好ましい。また、ジアミン成分を過剰にして得られたポリアミック酸は、溶液の着色が大きくなる場合があるので、溶液の着色が気になる場合は1:0.8〜1とすればよい。通常の重縮合反応と同様に、このモル比が1:1に近いほど得られるポリアミック酸の分子量は大きくなる。ポリアミック酸の分子量は、小さすぎるとそこから得られる塗膜の強度が不十分となる場合があり、逆にポリアミック酸の分子量が大きすぎると、そこから製造される液晶配向処理剤の粘度が高くなり過ぎて、塗膜形成時の作業性、塗膜の均一性が悪くなる場合がある。従って、本発明の液晶配向剤に用いるポリアミック酸は還元粘度(濃度0.5dl/g、NMP中30℃)で0.1〜2.0が好ましく、より好ましくは0.2〜1.5である。
ポリアミック酸の重合に用いた溶媒を本発明の液晶配向剤中に含有させたくない場合や、反応溶液中に未反応のモノマー成分や不純物が存在する場合には、この沈殿回収及び精製を行う。その方法は、ポリアミック酸溶液を攪拌している貧溶媒に投入し、沈殿回収することが好ましい。ポリアミック酸の沈殿回収に用いる貧溶媒としては特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼンなどが例示できる。貧溶媒に投入することにより沈殿したポリアミック酸は濾過・洗浄して回収した後、常圧あるいは減圧下で、常温あるいは加熱乾燥してパウダーとすることが出来る。このパウダーを更に良溶媒に溶解して、再沈殿する操作を2〜10回繰り返すと、ポリアミック酸を精製することもできる。一度の沈殿回収操作では不純物が除ききれないときは、この精製工程を行うことが好ましい。この際の貧溶媒として例えばアルコール類、ケトン類、炭化水素など3種類以上の貧溶媒を用いると、より一層精製の効率が上がるので好ましい。
<ポリイミドの製造方法>
上記特定重合体(A)及び特定重合体(B)におけるポリイミドは、ポリイミド前駆体である前記ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸をイミド化することにより製造することができる。
ポリアミック酸エステルからポリイミドを製造する場合、前記ポリアミック酸エステル溶液、又はポリアミック酸エステル樹脂粉末を有機溶媒に溶解させて得られるポリアミック酸溶液に塩基性触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の課程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
ポリアミック酸からポリイミドを製造する場合、ジアミン成分とテトラカルボン酸二無水物との反応で得られた前記ポリアミック酸の溶液に触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の過程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
化学的イミド化は、イミド化させたい重合体を、有機溶媒中において塩基性触媒と酸無水物の存在下で攪拌することにより行うことができる。有機溶媒としては前述した重合反応時に用いる溶媒を使用することができる。塩基性触媒としてはピリジン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン等を挙げることができる。中でもピリジンは反応を進行させるのに適度な塩基性を持つので好ましい。また、酸無水物としては無水酢酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等を挙げることができ、中でも無水酢酸を用いると反応終了後の精製が容易となるので好ましい。
イミド化反応を行うときの温度は、−20℃〜140℃、好ましくは0℃〜100℃であり、反応時間は1〜100時間で行うことができる。塩基性触媒の量はアミック酸基の0.5〜30モル倍、好ましくは2〜20モル倍であり、酸無水物の量はアミック酸基の1〜50モル倍、好ましくは3〜30モル倍である。得られる重合体のイミド化率は、触媒量、温度、反応時間を調節することで制御することができる。
ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸のイミド化反応後の溶液には、添加した触媒等が残存しているので、以下に述べる手段により、得られたイミド化重合体を回収し、有機溶媒で再溶解して、本発明の液晶配向剤とすることが好ましい。
上記のようにして得られるポリイミドの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、重合体を析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記特定重合体(A)と、上記特定重合体(B)とを含有するものである。本発明の液晶配向剤に含有される特定重合体(A)と特定重合体(B)は、それぞれ1種類であっても、2種類以上であってもよい。
また、特定重合体(A)、(B)に加えて、その他の重合体、すなわち、式(1)で表される2価の基も、式(2)で表される2価の基も有さない重合体を含有していてもよい。かかるその他の重合体としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン又はその誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
本発明の液晶配向剤がその他の重合体を含有する場合、全重合体成分に占める、特定重合体(A)と特定重合体(B)との合計の含有割合は5質量%以上が好ましく、その一例として5〜95質量%が挙げられる。
液晶配向剤は、均一な薄膜を形成させるという観点から、好ましくは塗布液の形態をとり、重合体成分と、この重合体成分を溶解させる有機溶媒とを含有する塗布液であることが好ましい。その際、液晶配向剤中の重合体の含有量(濃度)は、形成させようとする塗膜の厚みの設定によって適宜変更することができる。均一で欠陥のない塗膜を形成させるという点から、1質量%以上が好ましく、溶液の保存安定性の点からは、10質量%以下が好ましい。特に好ましい重合体の含有量は2〜8質量%である。
液晶配向剤に含有される有機溶媒は、重合体成分が均一に溶解するものであれば特に限定されない。その具体例を挙げるならば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどを挙げることができる。なかでも、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、又はγ−ブチロラクトンを用いることが好ましい。
また、液晶配向剤に含有される有機溶媒は、上記の溶媒に加えて液晶配向剤を塗布する際の塗布性や塗膜の表面平滑性を向上させる溶媒を併用した混合溶媒を使用することが一般的であり、本発明の液晶配向剤においてもこのような混合溶媒は好適に用いられる。併用する有機溶媒の具体例を下記に挙げるが、これらの例に限定されるものではない。
例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、ジイソプロピルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、1,2−ブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、4,6−ジメチル−2−ヘプタノン、3−エトキシブチルアセタート、1−メチルペンチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、2−(メトキシメトキシ)エタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノイソアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、2−(ヘキシルオキシ)エタノール、フルフリルアルコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、1−(ブトキシエトキシ)プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、エチレングリコールモノアセタート、エチレングリコールジアセタート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセタート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセタート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアセタート、ジエチレングリコールアセタート、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチルエチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、乳酸メチルエステル、乳酸エチルエステル、乳酸n−プロピルエステル、乳酸n−ブチルエステル、乳酸イソアミルエステル、下記式[D−1]〜[D−3]で表される溶媒などを挙げることができる。
Figure 2018030489
式[D−1]中、Dは炭素数1〜3のアルキル基を示し、式[D−2]中、Dは炭素数1〜3のアルキル基を示し、式[D−3]中、Dは炭素数1〜4のアルキル基を示す。
なかでも、好ましい溶媒の組み合わせとしては、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとエチレングリコールモノブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテル、N−エチル−2−ピロリドンとプロピレングリコールモノブチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンと4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノンとジエチレングリコールジエチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテルと2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテルとジイソプロピルエーテル、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとプロピレングリコールモノブチルエーテルと2,6−ジメチル−4−ヘプタノール、N−メチル−2−ピロリドンとγ−ブチロラクトンとジプロピレングリコールジメチルエーテル、などを挙げることができる。このような溶媒の種類及び含有量は、液晶配向剤の塗布装置、塗布条件、塗布環境などに応じて適宜選択される。
本発明の液晶配向剤には、基板に対する塗膜の密着性を向上させるために、シランカップリング剤等の添加剤を加えてもよく、また、他の樹脂成分を添加してもよい。
液晶配向膜と基板との密着性を向上させる化合物としては、官能性シラン含有化合物やエポキシ基含有化合物が挙げられ、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’,−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン又はN,N,N’,N’,−テトラグリシジル−4、4’−ジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。
また、本発明の液晶配向剤には、膜の機械的強度を上げるために以下の添加物を添加してもよい。
Figure 2018030489
Figure 2018030489
これらの添加剤は、液晶配向剤に含有される重合体成分の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましい。0.1質量部未満であると効果が期待できず、30質量部を超えると液晶の配向性を低下させるため、より好ましくは0.5〜20質量部である。
<液晶配向膜>
本発明の液晶配向膜は、前記液晶配向剤から得られるものである。液晶配向剤から液晶配向膜を得る方法の一例を挙げるなら、塗布液形態の液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成して得られた膜に対してラビング処理法又は光配向処理法で配向処理を施す方法が挙げられる。
液晶配向剤を塗布する基板としては、透明性の高い基板であれば特に限定されず、ガラス基板、窒化珪素基板とともに、アクリル基板やポリカーボネート基板などのプラスチック基板等を用いることもできる。その際、液晶を駆動させるためのITO電極などが形成された基板を用いると、プロセスの簡素化の点から好ましい。また、反射型の液晶表示素子では、片側の基板のみにならば、シリコンウエハーなどの不透明なものでも使用でき、この場合の電極にはアルミニウムなどの光を反射する材料も使用できる。
液晶配向剤の塗布方法は、特に限定されないが、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット法などが一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法、スプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
液晶配向剤を基板上に塗布した後は、ホットプレート、熱循環型オーブン、IR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段により、溶媒を蒸発させ、焼成する。液晶配向剤を塗布した後の乾燥、焼成工程は、任意の温度と時間を選択することができる。通常は、含有される溶媒を十分に除去するために、50〜120℃で1〜10分焼成し、その後、150〜300℃で、5〜120分焼成する条件が挙げられる。
焼成後の液晶配向膜の厚みは、特に限定されないが、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、5〜300nmであることが好ましく、10〜200nmがより好ましい。
本発明の液晶配向膜は、IPS方式やFFS方式などの横電界方式の液晶表示素子の液晶配向膜として好適であり、特に、FFS方式の液晶表示素子の液晶配向膜として有用である。
<液晶表示素子>
本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤から得られる液晶配向膜付きの基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、該液晶セルを使用して素子としたものである。
液晶セルの作製方法の一例として、パッシブマトリクス構造の液晶表示素子を例にとり説明する。なお、画像表示を構成する各画素部分にTFT(Thin Film Transistor)などのスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス構造の液晶表示素子であってもよい。
具体的には、透明なガラス製の基板を準備し、一方の基板の上にコモン電極を、他方の基板の上にセグメント電極を設ける。これらの電極は、例えばITO電極とすることができ、所望の画像表示ができるようパターニングされている。次いで、各基板の上に、コモン電極とセグメント電極を被覆するようにして絶縁膜を設ける。絶縁膜は、例えば、ゾル−ゲル法によって形成されたSiO−TiOからなる膜とすることができる。次に、前記のような条件で、各基板の上に液晶配向膜を形成する。
次いで、液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外線硬化性のシール材を配置し、さらに液晶配向膜面上の所定の数カ所に液晶を配置した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせて圧着することにより液晶を液晶配向膜前面に押し広げた後、基板の全面に紫外線を照射してシール材を硬化することで液晶セルを得る。
又は、基板の上に液晶配向膜を形成した後の工程として、一方の基板上の所定の場所にシール材を配置する際に、外部から液晶を充填可能な開口部を設けておき、液晶を配置しないで基板を貼り合わせた後、シール材に設けた開口部を通じて液晶セル内に液晶材料を注入し、次いで、この開口部を接着剤で封止して液晶セルを得る。液晶材料の注入には、真空注入法でもよいし、大気中で毛細管現象を利用した方法でもよい。
上記のいずれの方法においても、液晶セル内に液晶材料が充填される空間を確保する為に、一方の基板上に柱状の突起を設けるか、一方の基板上にスペーサーを散布するか、シール材にスペーサーを混入するか、又はこれらを組み合わせるなどの手段を取ることが好ましい。
上記の液晶材料としては、ネマチック液晶及びスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、ポジ型液晶材料やネガ型液晶材料のいずれを用いてもよい。次に、偏光板の設置を行う。具体的には、2枚の基板の液晶層とは反対側の面に一対の偏光板を貼り付けることが好ましい。
なお、本発明の液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤を用いている限り上記の記載に限定されるものではなく、その他の公知の手法で作製されたものであってもよい。液晶表示素子を得る工程は、例えば、日本特開2015-135393号公報)の17頁の段落0074から19頁の段落0081などに開示されている。
以下に、本発明について実施例等を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、化合物、溶媒の略号は、以下のとおりである。
NMP:N−メチル−2−ピロリドン GBL:γ−ブチロラクトン
BCS:ブチルセロソルブ
Figure 2018030489
Figure 2018030489
<粘度>
重合体溶液の粘度は、E型粘度計TVE−22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE−1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
<イミド化率の測定>
ポリイミドのイミド化率は次のようにして測定した。ポリイミド粉末30mgをNMR(核磁気共鳴)サンプル管(NMRサンプリングチューブスタンダード,
φ5(草野科学社製))に入れ、重水素化ジメチルスルホキシド(DMSO−d6,0.
05質量%TMS(テトラメチルシラン)混合品)(0.53ml)を添加し、超音波を
かけて完全に溶解させた。この溶液をNMR測定機(JNW−ECA500)(日本電子
データム社製)にて500MHzのプロトンNMRを測定した。イミド化率は、イミド化
前後で変化しない構造に由来するプロトンを基準プロトンとして決め、このプロトンのピ
ーク積算値と、9.5ppm〜10.0ppm付近に現れるアミド酸のNH基に由来するプ
ロトンピーク積算値とを用い以下の式によって求めた。
イミド化率(%)=(1−α・x/y)×100
上記式において、xはアミド酸のNH基由来のプロトンピーク積算値、yは基準プロト
ンのピーク積算値、αはポリアミド酸(イミド化率が0%)の場合におけるアミド酸のN
H基プロトン1個に対する基準プロトンの個数割合である。
(合成例1)
撹拌装置及び窒素導入管付きの1Lの四つ口フラスコに、DA−1を54.7g(224mmol)、及びDA−2を53.4g(95.9mmol)量り取り、NMPを613g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA−1を89.5g(298mmol)添加し、さらにNMPを175g加え、窒素雰囲気下23℃で12時間撹拌してポリアミック酸(粘度:890mPa・s)の溶液を得た。
撹拌子の入った3L三角フラスコに、このポリアミック酸の溶液を900g分取し、NMPを1350g、無水酢酸を74.3g、ピリジンを34.6g加え、室温で30分間撹拌した後、40℃で2時間反応させた。この反応溶液を8300gのメタノール中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄した後、温度60℃で減圧乾燥し、ポリイミドの粉末(イミド化率:66%)を得た。
撹拌子の入った500mL三角フラスコに、このポリイミドの粉末を50.7g分取し、NMPを372g加えて、50℃にて20時間攪拌して溶解させた。さらに、この溶液をこの溶液を撹拌子の入った200mL三角フラスコに11.9g分取し、NMPを4.49g、GBLを5.86g、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1質量%含むNMP溶液を1.19g、及びBCSを5.86g加え、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、ポリイミドの溶液(SPI−1)を得た。
(合成例2)
撹拌装置及び窒素導入管付きの1Lの四つ口フラスコに、DA−1を86.0g(352mmol)、DA−2を53.4g(95.9mmol)、及びDA−3を76.5g(191mmol)量り取り、NMPを1580g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA−2を93.2g(416mmol)添加し、さらにNMPを168g加え、窒素雰囲気下40℃で3時間撹拌した。さらに、CA−3を28.2g(143mmol)添加し、さらにNMPを160g加え、窒素雰囲気下23℃で4時間撹拌し、ポリアミック酸の溶液(粘度:200mPa・s)を得た。
撹拌子の入った3L三角フラスコに、このポリアミック酸の溶液を800g分取し、NMPを700g、無水酢酸を69.7g、及びピリジンを18.0g加え、室温で30分間撹拌した後、55℃で3時間反応させた。この反応溶液を5600gのメタノール中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄した後、温度60℃で減圧乾燥し、ポリイミドの粉末(イミド化率:75%)を得た。
撹拌子の入った300mL三角フラスコに、このポリイミドの粉末を20.3g分取し、NMPを148g加えて、50℃にて20時間攪拌して溶解させた。さらに、この溶液を撹拌子の入った200mL三角フラスコに6.31g分取し、NMPを2.06g、GBLを3.00g、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1質量%含むNMP溶液を0.630g、及びBCSを3.00g加え、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、ポリイミドの溶液(SPI−2)を得た。
(合成例3)
撹拌装置及び窒素導入管付きの1Lの四つ口フラスコに、DA−1を93.8g(384mmol)、DA−3を51.0g(128mmol)、及びDA−4を43.7g(128mmol)量り取り、NMPを1380g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA−2を93.2g(416mmol)添加し、さらにNMPを214g加え、窒素雰囲気下40℃で3時間撹拌した。さらに、CA−3を32.6g(166mmol)添加し、さらにNMPを185g加え、窒素雰囲気下23℃で4時間撹拌し、ポリアミック酸の溶液(粘度:200mPa・s)を得た。
撹拌子の入った3L三角フラスコに、このポリアミック酸の溶液を700g分取し、NMPを612g、無水酢酸を60.4g、及びピリジンを15.6g加え、室温で30分間撹拌した後、55℃で3時間反応させた。この反応溶液を4900gのメタノール中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄した後、温度60℃で減圧乾燥し、ポリイミドの粉末(イミド化率:75%)を得た。
撹拌子の入った200mL三角フラスコに、このポリイミドの粉末を18.1g分取し、NMPを132g加えて、50℃にて20時間攪拌して溶解させた。さらに、この溶液を5.54g分取し、NMPを2.09g、GBLを2.73g、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1質量%含むNMP溶液を0.550g、及びBCSを2.73g加え、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、ポリイミドの溶液(SPI−3)を得た。
(合成例4)
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA−5を6.31g(16.0mmol)量り取り、NMPを47.6g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA−3を1.69g(8.61mmol)添加し、さらにNMPを10.2g加え、窒素雰囲気下23℃で3時間撹拌した。さらに、CA−4を1.39g(6.37mmol)添加し、さらにNMPを10.2g加え、窒素雰囲気下50℃で12時間撹拌し、ポリアミック酸の溶液(粘度:250mPa・s)を得た。
撹拌子の入った100mL三角フラスコに、このポリアミック酸の溶液を14.4g分取し、NMPを8.39g、GBLを8.08g、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1質量%含むNMP溶液を1.44g、及びBCSを8.08g加え、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、ポリアミック酸の溶液(PAA−1)を得た。
(合成例5)
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA−6を4.41g(40.7mmol)、DA−7を1.79g(7.20mmol)量り取り、NMPを55.8g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA−1を14.0g(46.6mmol)添加し、さらにNMPを23.7g加え、窒素雰囲気下23℃で12時間撹拌してポリアミック酸の溶液(粘度:815mPa・s)を得た。
撹拌子の入った200mL三角フラスコに、このポリアミック酸の溶液を30g分取し、NMPを45g、無水酢酸を3.64g、ピリジンを1.69g加え、室温で30分間撹拌した後、40℃で3時間反応させた。この反応溶液を300gのメタノール中に投入し、得られた沈殿物を濾別した。この沈殿物をメタノールで洗浄した後、温度60℃で減圧乾燥し、ポリイミドの粉末(イミド化率:73%)を得た。
撹拌子の入った100mL三角フラスコに、このポリイミドの粉末を4.10g分取し、NMPを30.6g加えて、50℃にて20時間攪拌して溶解させた。さらに、この溶液をこの溶液を撹拌子の入った100mL三角フラスコに6.94g分取し、NMPを4.09g、GBLを3.91g、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1質量%含むNMP溶液を0.69g、及びBCSを3.91g加え、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、ポリイミドの溶液(SPI−4)を得た。
(合成例6)
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA−8を7.93g(20.0mmol)量り取り、NMPを87.0g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA−3を2.23g(11.4mmol)添加し、さらにNMPを10.0g加え、窒素雰囲気下23℃で3時間撹拌した。さらに、CA−4を1.74g(8.00mmol)添加し、さらにNMPを10.1g加え、窒素雰囲気下50℃で12時間撹拌し、ポリアミック酸の溶液(粘度:140mPa・s)を得た。
撹拌子の入った100mL三角フラスコに、このポリアミック酸の溶液を6.91g分取し、NMPを1.35g、GBLを2.98g、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを1質量%含むNMP溶液を0.69g、及びBCSを2.98g加え、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、ポリアミック酸の溶液(PAA−2)を得た。
(実施例1)
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例1で得られたポリイミドの溶液(SPI−1)2.13g、合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を8.47g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(A−1)を得た。
(実施例2)
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例2で得られたポリイミドの溶液(SPI−2)2.00g、合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を8.11g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(A−2)を得た。
(実施例3)
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例3で得られたポリイミドの溶液(SPI−3)2.03g、合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を8.04g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(A−3)を得た。
(実施例4)
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例1で得られたポリイミドの溶液(SPI−1)5.43g、合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を5.41g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(A−4)を得た。
(比較例1)
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例5で得られたポリイミドの溶液(SPI−4)2.19g、合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA−1)を8.25g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(B−1)を得た。
(比較例2)
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例1で得られたポリイミドの溶液(SPI−1)2.07g、合成例6で得られたポリアミック酸溶液(PAA−2)を9.39g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(B−2)を得た。
(比較例3)
合成例1で得られたポリイミドの溶液(SPI−1)を液晶配向剤(B−3)とした。
以下に、蓄積電荷の緩和特性、フリッカー特性、液晶配向性を評価するための液晶セルの作製方法を示す。
FFS方式の液晶表示素子の構成を備えた液晶セルを作製する。始めに、電極付きの基板を準備した。基板は、30mm×35mmの大きさで、厚さが0.7mmのガラス基板である。基板上には第1層目として対向電極を構成する、IZO電極が全面に形成されている。第1層目の対向電極の上には、第2層目として、CVD法により成膜されたSiN(窒化珪素)膜が形成されている。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、層間絶縁膜として機能する。第2層目のSiN膜の上には、第3層目として、IZO膜をパターニングして形成された櫛歯状の画素電極が配置され、第1画素及び第2画素の2つの画素を形成している。各画素のサイズは、縦10mm、横約5mmである。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により、電気的に絶縁されている。
第3層目の画素電極は、中央部分が屈曲した、くの字形状の電極要素を複数配列して構成された、櫛歯状の形状を有する。各電極要素の短手方向の幅は3μmであり、電極要素間の間隔は6μmである。各画素を形成する画素電極が、中央部分の屈曲した、くの字形状の電極要素を複数配列して構成されているため、各画素の形状は長方形状ではなく、電極要素と同様に中央部分で屈曲する、太字の、「くの字」に似た形状を備える。そして、各画素は、その中央の屈曲部分を境にして上下に分割され、屈曲部分の上側の第1領域と下側の第2領域を有する。
各画素の第1領域と第2領域とを比較すると、それらを構成する画素電極の電極要素の形成方向が異なるものとなっている。すなわち、後述する液晶配向膜のラビング方向を基準とした場合、画素の第1領域では、画素電極の電極要素が+10°の角度(時計回り)をなすように形成され、画素の第2領域では、画素電極の電極要素が−10°の角度(時計回り)をなすように形成されている。すなわち、各画素の第1領域と第2領域とでは、画素電極と対向電極との間の電圧印加によって誘起される液晶の、基板面内での回転動作(インプレーン・スイッチング)の方向が、互いに逆方向となるように構成されている。
次に、実施例及び比較例で得られた液晶配向剤を、孔径が1.0μmのフィルターで濾過した後、準備された上記電極付き基板に、スピンコート塗布にて塗布した。80℃のホットプレート上で2分間乾燥させた後、230℃の熱風循環式オーブンで20分間焼成を行い、膜厚60nmのポリイミド膜を得た。このポリイミド膜をレーヨン布でラビング(ローラー直径:120mm、ローラー回転数:500rpm、移動速度:30mm/sec、押し込み長:0.3mm、ラビング方向:3層目IZO櫛歯電極に対して10°傾いた方向)した後、純水中にて1分間超音波照射をして洗浄を行い、エアブローにて水滴を除去した。その後、80℃で15分間乾燥して、液晶配向膜付き基板を得た。また、対向基板として、裏面にITO電極が形成されている、高さ4μmの柱状スペーサーを有するガラス基板にも、上記と同様にしてポリイミド膜を形成し、上記と同様の手順で、配向処理が施された液晶配向膜付き基板を得た。これら2枚の液晶配向膜付き基板を1組とし、基板上に液晶注入口を残した形でシール剤を印刷し、もう1枚の基板を、液晶配向膜面が向き合い、ラビング方向が逆平行になるようにして張り合わせた。その後、シール剤を硬化させて、セルギャップが4μmの空セルを作製した。この空セルに減圧注入法によって、液晶MLC−3019(メルク社製)を注入し、注入口を封止して、FFS方式の液晶セルを得た。その後、得られた液晶セルを120℃で1時間加熱し、23℃で一晩放置してから液晶配向性の評価に使用した。
<蓄積電荷の緩和特性>
上記液晶セルを、偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、画素電極と対向電極とを短絡して同電位にした状態で、2枚の偏光板の下からLEDバックライトを照射しておき、2枚の偏光板の上で測定するLEDバックライト透過光の輝度が最小となるように、液晶セルの角度を調節した。
次に、この液晶セルに周波数30Hzの矩形波を印加しながら、23℃の温度下でのV−T特性(電圧−透過率特性)を測定し、相対透過率が23%となる交流電圧を算出した。この交流電圧は電圧に対する輝度の変化が大きい領域に相当するため、蓄積電荷を輝度を介して評価するのに都合がよい。
次に、23℃の温度下において相対透過率が23%となる交流電圧で、なおかつ周波数30Hzの矩形波を5分間印加した後、+1.0Vの直流電圧を重畳し30分間駆動させた。その後、直流電圧を切り、再び相対透過率が23%となる交流電圧で、なおかつ周波数30Hzの矩形波のみを30分間印加した。
蓄積した電荷の緩和が速いほど、直流電圧を重畳したときの液晶セルへの電荷蓄積も速いことから、蓄積電荷の緩和特性は、直流電圧を重畳した直後の相対透過率が30%以上の状態から23%に低下するまでに要した時間で評価した。すなわち、相対透過率が30分以内に23%に低下した場合に「良好」、30分経過しても相対低下率が23%に低下しない場合に「不良」と定義して評価を行った。
<フリッカー特性>
上記液晶セルを、偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、画素電極と対向電極とを短絡して同電位にした状態で、2枚の偏光板の下からLEDバックライトを照射しておき、2枚の偏光板の上で測定するLEDバックライト透過光の輝度が最小となるように、液晶セルの角度を調節した。
次に、この液晶セルに周波数30Hzの矩形波を印加しながら、23℃の温度下でのV−T特性(電圧−透過率特性)を測定し、相対透過率が23%となる交流電圧を算出した。この交流電圧は電圧に対する輝度の変化が大きい領域に相当するため、フリッカー特性を評価するのに都合がよい。
次に、23℃の温度下において点灯させておいたLEDバックライトを一旦消灯して72時間遮光放置した後に、LEDバックライトを再度点灯し、バックライト点灯開始と同時に相対透過率が23%となる周波数30Hzの交流電圧を印加して、液晶セルを30分間駆動させてフリッカー振幅を追跡した。フリッカー振幅は、2枚の偏光板及びその間の液晶セルを通過したLEDバックライトの透過光を、フォトダイオード及びI−V変換アンプを介して接続されたデータ収集/データロガースイッチユニット34970A(Agilent Technologies社製)で読み取った。フリッカーレベルは以下の数式で算出した。
フリッカーレベル(%)={フリッカー振幅/(2×z)}×100
上記式において、zは相対透過率が23%となる周波数30Hzの交流電圧で駆動した際の輝度をデータ収集/データロガースイッチユニット34970Aで読み取った値である。
フリッカー特性の評価は、LEDバックライトの点灯及び交流電圧の印加を開始した時点から30分間が経過するまでに、フリッカーレベルが3%未満を維持した場合には「良好」、30分間でフリッカーレベルが3%以上に達した場合に「不良」と定義して評価した。
<液晶配向性の評価>
この液晶セルを用い、60℃の恒温環境下、周波数30Hzで9VPPの交流電圧を190時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間を短絡させた状態にし、そのまま室温に一日放置した。
放置の後、液晶セルを偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、電圧無印加の状態でバックライトを点灯させておき、透過光の輝度が最も小さくなるように液晶セルの配置角度を調整した。そして、第1画素の第2領域が最も暗くなる角度から第1領域が最も暗くなる角度まで液晶セルを回転させたときの回転角度を角度Δとして算出した。第2画素でも同様に、第2領域と第1領域とを比較し、同様の角度Δを算出した。そして、第1画素と第2画素の角度Δ値の平均値を液晶セルの角度Δとして算出した。この液晶セルの角度Δの値が0.4度未満の場合には「良好」、角度Δの値が0.4度以上の場合には「不良」と定義し評価した。
(実施例5)
実施例1で得られた液晶配向剤(A−1)を孔径が1.0μmのフィルターで濾過した後、上記記載のように液晶セルを作製した。この液晶セルについて、蓄積電荷の緩和特性を評価した結果、相対透過率が23%に低下するまでに要した時間は8分であり良好であった。
次に、この液晶セルについてフリッカー特性を評価した結果、フリッカーレベルは1%であり良好であった。また、この液晶セルについて液晶配向性を評価した結果、Δは0.21度であり良好であった。
(実施例6)
実施例2で得られた液晶配向剤(A−2)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で蓄積電荷の緩和特性を評価した結果、相対透過率が23%に低下するまでに要した時間は4分であり良好であった。
次に、実施例5と同様の方法でフリッカー特性を評価した結果、フリッカーレベルは1%であり良好であった。また、実施例5と同様の方法で液晶配向性を評価した結果、Δは0.06度であり良好であった。
(実施例7)
実施例3で得られた液晶配向剤(A−3)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で蓄積電荷の緩和特性を評価した結果、相対透過率が23%に低下するまでに要した時間は4分であり良好であった。
次に、実施例5と同様の方法でフリッカー特性を評価した結果、フリッカーレベルは1%であり良好であった。また、実施例5と同様の方法で液晶配向性を評価した結果、Δは0.05度であり良好であった。
(実施例8)
実施例4で得られた液晶配向剤(A−4)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で蓄積電荷の緩和特性を評価した結果、相対透過率が23%に低下するまでに要した時間は26分であり良好であった。
次に、実施例5と同様の方法でフリッカー特性を評価した結果、フリッカーレベルは0.3%であり良好であった。また、実施例5と同様の方法で液晶配向性を評価した結果、Δは0.22度であり良好であった。
(比較例4)
比較例1で得られた液晶配向剤(B−1)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で蓄積電荷の緩和特性を評価した結果、相対透過率が23%に低下するまでに要した時間は26分であり良好であった。
次に、実施例5と同様の方法でフリッカー特性を評価した結果、フリッカーレベルは2%であり良好であった。また、実施例5と同様の方法で液晶配向性を評価した結果、Δは0.63度であり不良であった。
(比較例5)
比較例2で得られた液晶配向剤(B−2)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で蓄積電荷の緩和特性を評価した結果、相対透過率が23%に低下するまでに要した時間は24分であり良好であった。
次に、実施例5と同様の方法でフリッカー特性を評価した結果、フリッカーレベルは6%であり不良であった。また、実施例5と同様の方法で液晶配向性を評価した結果、Δは0.16度であり良好であった。
(比較例6)
比較例3で得られた液晶配向剤(B−3)を用いた以外は、実施例5と同様の方法で蓄積電荷の緩和特性を評価した結果、30分経過しても相対透過率は23%に低下せず不良であった。
次に、実施例5と同様の方法でフリッカー特性を評価した結果、フリッカーレベルは0.7%であり良好であった。また、実施例5と同様の方法で液晶配向性を評価した結果、Δは0.11度であり良好であった。
表1に、実施例及び比較例で得られた液晶配向剤を用いた際の、蓄積電荷の緩和特性、フリッカー特性、及び液晶配向性の評価の結果を示す。
Figure 2018030489
本発明の液晶配向剤は、TN方式、VA方式等の縦電界方式、特に、IPS方式、FFS方式等の横電界方式の液晶表示素に広く用いられる。
なお、2016年8月10日に出願された日本特許出願2016−158014号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (13)

  1. 下記式(1)で表される構造を有する重合体(A)と、下記式(2)の構造を有する重合体(B)とを含むことを特徴とする液晶配向剤。
    Figure 2018030489
    Figure 2018030489
    但し、式(1)中、Rは水素又は炭素数1〜3のアルキル基を表し、式(2)中、Rは単結合又は2価の有機基であり、Rは−(CH−で表される構造であり(ただし、nは2〜20の整数であり、任意の−CH−はそれぞれ隣り合わない条件でエーテル、エステル、アミド、ウレア及びカルバメートから選ばれる結合に置き換えられてもよく、該アミド及びウレアの水素原子はメチル基、又はtert−ブトキシカルボニル基に置き換えられてもよい。)、Rは単結合又は2価の有機基であり、ベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられてもよい。
  2. 前記重合体(A)が、前記式(1)で表される構造を有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合物であるポリイミド前駆体(A)及びそのイミド化物であるポリイミド(A)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. 前記重合体(B)が、前記式(2)で表される構造を有するジアミンとテトラカルボン酸二無水物との重縮合物であるポリイミド前駆体(B)及びそのイミド化物であるポリイミド(B)からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体である請求項1に記載の液晶配向剤。
  4. 前記ポリイミド前駆体(A)が、下記式(3)で表される構造単位を有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2018030489
    但し、式(3)中、Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、Yは式(1)の構造を含むジアミンに由来する2価の有機基であり、R10は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
  5. 前記式(3)において、Yが下記のいずれかの式で表される請求項4に記載の液晶配向剤。
    Figure 2018030489
    Figure 2018030489
  6. 前記式(3)で表される構造単位を有する重合体が、液晶配向剤に含有される全重合体に対して10モル%以上含有される請求項4又は5に記載の液晶配向剤。
  7. 前記ポリイミド前駆体(B)が、下記式(5)で表される構造単位を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
    Figure 2018030489
    但し、式(5)中、Xはテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、Yは式(2)の構造を含むジアミンに由来する2価の有機基であり、R13は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基である。
  8. 前記重合体(A)と前記重合体(B)の合計量に対して、前記重合体(A)の含有量が、10〜95質量%であり、前記重合体(B)の含有量が、5〜90質量%である請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
  9. 前記重合体(A)及び前記重合体(B)を溶解する有機溶媒を含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶配向剤。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶配向剤から得られる液晶配向膜。
  11. 請求項10に記載の液晶配向膜を具備する液晶表示素子。
  12. 液晶表示素子が横電界駆動方式である請求項11に記載の液晶表示素子。
  13. 液晶表示素子がFFS方式である請求項11又は12に記載の液晶表示素子。
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