JP7131538B2 - 液晶配向剤、液晶配向膜及び液晶表示素子 - Google Patents
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Description
テトラカルボン酸二無水物成分と下記式(2)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを用いて得られるポリアミック酸及び該ポリアミック酸のイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種類の重合体(B)と
を含む、液晶配向剤。
本願発明により何故に上記の課題を解決できるかは定かではないが、概ね次のように考えられる。
本発明の液晶配向剤に含有される重合体の有する上記(2)の構造は、共役構造を有する。これにより、例えば液晶配向膜中において、電荷の移動を促進させることができ、蓄積電荷の緩和を促進させることができる。
すなわち、換言すると、本発明は、前記特性重合体(A)と、前記特定重合体(B)都を含む、液晶配向性の重合体組成物に関する。
本発明の重合体は、上記式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分と、テトラカルボン酸二無水物を含む酸二無水物成分から得られる重合体である。具体例としては、ポリアミック酸、ポリアミック酸エステル、ポリイミド、ポリウレア、ポリアミドなどが挙げられるが、液晶配向剤としての使用の観点から、下記式(3)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体、及びそのイミド化物であるポリイミドから選ばれる少なくとも1種であると好ましい。偏光照射の後の加熱工程において、重合体中に自由回転部位が多い事でより高秩序に再配向するという点で、ポリイミド前駆体がより好ましい。
本発明の液晶配向剤は、テトラカルボン酸二無水物成分と下記式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを用いて得られるポリアミック酸及び該ポリアミック酸のイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種類の重合体(A)と、テトラカルボン酸二無水物成分と下記式(2)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを用いて得られるポリアミック酸及び該ポリアミック酸のイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種類の重合体(B)と有機溶剤とを含有する液晶配向剤である。
X1はテトラカルボン酸誘導体に由来する4価の有機基であり、その構造は特に限定されるものではない。また、ポリイミド前駆体中のX1は、重合体の溶媒への溶解性や液晶配向剤の塗布性、液晶配向膜とした場合における液晶の配向性、電圧保持率、蓄積電荷など、必要とされる特性の程度に応じて適宜選択され、同一重合体中に1種類であってもよく、2種類以上が混在していても良い。
式(3)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体は、本発明の効果を損なわない範囲において、下記式(4)で表される構造単位、及びそのイミド化物であるポリイミドから選ばれる少なくとも1種を含んでいても良い。
R33は-(CH2)n-で表される構造である。nは2~10の整数であり、3~7が好ましい。また、任意の-CH2-はそれぞれ隣り合わない条件でエーテル、エステル、アミド、ウレア、カルバメート結合に置き換えられても良い。
R34は単結合又は2価の有機基である。
ベンゼン環上の任意の水素原子は1価の有機基で置き換えられても良く、フッ素原子又はメチル基が好ましい。
本発明の液晶配向剤に用いられる(B)成分はテトラカルボン酸二無水物成分と上記式(2)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを用いて得られるポリアミック酸及び該ポリアミック酸のイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種類の重合体である。
本発明の(B)成分の製造に用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、下記式(6)で表されるテトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
本発明の液晶配向剤の製造に用いられるジアミン成分は、上記式(2)のジアミンを含有する。式(2)において、Y1はアミノ基、イミノ基、及び含窒素複素環からなる群から選ばれる少なくとも1種類の構造を有する2価の有機基であり、B1~B2はそれぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。
置換基であるアリール基としては、フェニル基が挙げられる。このアリール基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキル基としては、前述したアルキル基と同じものを挙げることができる。このアルキル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルケニル基としては、前述したアルケニル基と同じものを挙げることができる。このアルケニル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
置換基であるアルキニル基としては、前述したアルキニル基と同じものを挙げることができる。このアルキニル基には前述した他の置換基がさらに置換していてもよい。
式(YD-2)において、W1は、炭素数1~10の炭化水素基であり、A2は窒素原子含有複素環を有する炭素数3~15の1価の有機基、又は炭素数1から6の脂肪族基で置換されたジ置換アミノ基である。
式(YD-5)において、A4は炭素数3~15の窒素原子含有複素環であり、W5は炭素数2~5のアルキレンである。
本発明に用いられるポリイミド前駆体であるポリアミック酸エステルは、以下に示す(1)、(2)又は(3)の方法で合成することができる。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸二無水物とジアミンから得られるポリアミック酸をエステル化することによって合成することができる。
具体的には、ポリアミック酸とエステル化剤を有機溶剤の存在下で-20℃~150℃、好ましくは0℃~50℃において、30分~24時間、好ましくは1~4時間反応させることによって合成することができる。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルジクロリドとジアミンから合成することができる。
ポリアミック酸エステルは、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンを重縮合することにより合成することができる。
前記縮合剤には、トリフェニルホスファイト、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-
また、上記反応において、ルイス酸を添加剤として加えることで反応が効率的に進行する。ルイス酸としては、塩化リチウム、臭化リチウムなどのハロゲン化リチウムが好ましい。ルイス酸の添加量はジアミン成分に対して0~1.0倍モルが好ましい。
上記のようにして得られるポリアミック酸エステルの溶液は、よく撹拌させながら貧溶媒に注入することで、ポリマーを析出させることができる。析出を数回行い、貧溶媒で洗浄後、常温あるいは加熱乾燥して精製されたポリアミック酸エステルの粉末を得ることができる。貧溶媒は、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、ブチルセロソルブ、アセトン、トルエン等が挙げられる。
特定重合体(A)又は特定重合体(B)を、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとの反応により得る場合には、有機溶媒中でテトラカルボン酸二無水物とジアミンとを混合して反応させる方法が簡便である。
本発明に用いられるポリイミドは、前記ポリアミック酸エステル又はポリアミック酸をイミド化することにより製造することができる。ポリアミック酸エステルからポリイミドを製造する場合、前記ポリアミック酸エステル溶液、又はポリアミック酸エステル樹脂粉末を有機溶媒に溶解させて得られるポリアミック酸溶液に塩基性触媒を添加する化学的イミド化が簡便である。化学的イミド化は、比較的低温でイミド化反応が進行し、イミド化の課程で重合体の分子量低下が起こりにくいので好ましい。
前記貧溶媒は、特に限定されないが、メタノール、アセトン、ヘキサン、ブチルセルソルブ、ヘプタン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エタノール、トルエン、ベンゼン等が挙げられる。
本発明の液晶配向剤は、液晶配向膜を形成するのに用いる組成物であり、上記式(1)で表される構造を有する特定重合体(A)と、上記式(2)の構造を含有する特定重合体(B)とを含有するものであり、本発明の液晶配向剤に含有される特定重合体(A)と特定重合体(B)は、それぞれ1種類であっても、2種類以上であっても良い。また、特定重合体に加えて、その他の重合体、即ち式(1)で表される2価の基も、式(2)で表される2価の基も有さない重合体を含有していてもよい。当該その他の重合体の種類としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレア、ポリオルガノシロキサン、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレンまたはその誘導体、ポリ(スチレン-フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。本発明の液晶配向剤がその他の重合体を含有する場合、全重合体成分に占める特定重合体の割合は5質量%以上であることが好ましく、その一例として5~95質量%が挙げられる。
本発明の液晶配向膜は、前記液晶配向剤から得られるものである。液晶配向剤から液晶配向膜を得る方法の一例を挙げるなら、塗布液形態の液晶配向剤を基板に塗布し、乾燥し、焼成して得られた膜に対してラビング処理法又は光配向処理法で配向処理を施す方法が挙げられる。
本発明の液晶配向膜は、IPS方式やFFS方式などの横電界方式の液晶表示素子の液晶配向膜として好適であり、特に、FFS方式の液晶表示素子の液晶配向膜として有用である。
本発明の液晶表示素子は、上記液晶配向剤から得られる液晶配向膜付きの基板を得た後、既知の方法で液晶セルを作製し、該液晶セルを使用して素子としたものである。
液晶セルの作製方法の一例として、パッシブマトリクス構造の液晶表示素子を例にとり説明する。なお、画像表示を構成する各画素部分にTFT(Thin Film Transistor)などのスイッチング素子が設けられたアクティブマトリクス構造の液晶表示素子であってもよい。
なお、本発明の液晶配向膜及び液晶表示素子は、本発明の液晶配向剤を用いている限り上記の記載に限定されるものでは無く、その他の公知の手法で作製されたものであっても良い。液晶配向剤から液晶表示素子を得るまでの工程は、例えば、特開2015-135393号公報)の17頁の段落0074~19頁の段落0081などに開示されている。
本発明の液晶配向膜を有する基板の製造方法の一例として、横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜の製造方法を以下に示す。
[I] テトラカルボン酸二無水物成分と上記式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを用いて得られるポリアミック酸及び該ポリアミック酸のイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種類の重合体(A)と、テトラカルボン酸二無水物成分と上記式(2)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを用いて得られるポリアミック酸及び該ポリアミック酸のイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種類の重合体(B)とを含む液晶配向剤を、横電界駆動用の導電膜を有する基板上に塗布したあと、乾燥して塗膜を形成する工程;
[II] [I]で得られた塗膜に偏光した紫外線を照射する工程;及び
[III] [II]で得られた塗膜を加熱する工程;
を有する。
上記工程により、配向制御能が付与された横電界駆動型液晶表示素子用液晶配向膜を得ることができ、該液晶配向膜を有する基板を得ることができる。
第2の基板は、横電界駆動用の導電膜を有する基板に代わって、横電界駆動用の導電膜を有しない基板を用いる以外、上記工程[I]~[III](横電界駆動用の導電膜を有しない基板を用いるため、便宜上、本願において、工程[I’]~[III’]と略記する場合がある)を用いることにより、配向制御能が付与された液晶配向膜を有する第2の基板を得ることができる。
[IV] 上記で得られた第1及び第2の基板を、液晶を介して第1及び第2の基板の液晶配向膜が相対するように、対向配置して液晶表示素子を得る工程;
を有する。これにより横電界駆動型液晶表示素子を得ることができる。
工程[I]では、横電界駆動用の導電膜を有する基板上に、感光性の主鎖型高分子及び有機溶媒を含有する重合体組成物を塗布したあと乾燥して塗膜を形成する。本発明における感光性の主鎖型高分子は、特定重合体(A)である。
基板については、特に限定はされないが、製造される液晶表示素子が透過型である場合、透明性の高い基板が用いられることが好ましい。その場合、特に限定はされず、ガラス基板、またはアクリル基板やポリカーボネート基板等のプラスチック基板等を用いることができる。
また、反射型の液晶表示素子への適用を考慮し、シリコンウェハなどの不透明な基板も使用できる。
基板は、横電界駆動用の導電膜を有する。
該導電膜として、液晶表示素子が透過型である場合、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)、IZO(Indium Zinc Oxide:酸化インジウム亜鉛)などを挙げることができるが、これらに限定されない。
また、反射型の液晶表示素子の場合、導電膜として、アルミなどの光を反射する材料などを挙げることができるがこれらに限定されない。
基板に導電膜を形成する方法は、従来公知の手法を用いることができる。
塗布方法は、工業的には、スクリーン印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷またはインクジェット法などで行う方法が一般的である。その他の塗布方法としては、ディップ法、ロールコータ法、スリットコータ法、スピンナー法(回転塗布法)またはスプレー法などがあり、目的に応じてこれらを用いてもよい。
塗膜の厚みは、厚すぎると液晶表示素子の消費電力の面で不利となり、薄すぎると液晶表示素子の信頼性が低下する場合があるので、好ましくは5nm~300nm、より好ましくは10nm~150nmである。
尚、[I]工程の後、続く[II]工程の前に塗膜の形成された基板を室温にまで冷却する工程を設けることも可能である。
工程[II]では、工程[I]で得られた塗膜に偏光した紫外線を照射する。塗膜の膜面に偏光した紫外線を照射する場合、基板に対して一定の方向から偏光板を介して偏光された紫外線を照射する。使用する紫外線としては、波長100nm~400nmの範囲の紫外線を使用することができる。好ましくは、使用する塗膜の種類によりフィルター等を介して最適な波長を選択する。そして、例えば、選択的に光分解反応を誘起できるように、波長240nm~400nmの範囲の紫外線を選択して使用することができる。紫外線としては、例えば、高圧水銀灯又はメタルハライドランプから放射される光を用いることができる。
工程[III]では、工程[II]で偏光した紫外線の照射された塗膜を加熱する。加熱により、塗膜に配向制御能を付与することができる。
加熱は、ホットプレート、熱循環型オーブンまたはIR(赤外線)型オーブンなどの加熱手段を用いることができる。加熱温度は、使用する塗膜で良好な液晶配向安定性及び電気特性を発現させる温度を考慮して決めることができる。
[IV]工程は、[III]で得られた、横電界駆動用の導電膜上に液晶配向膜を有する基板(第1の基板)と、同様に上記[I’]~[III’]で得られた、導電膜を有しない液晶配向膜付基板(第2の基板)とを、液晶を介して、双方の液晶配向膜が相対するように対向配置して、公知の方法で液晶セルを作製し、横電界駆動型液晶表示素子を作製する工程である。なお、工程[I’]~[III’]は、工程[I]において、横電界駆動用の導電膜を有する基板の代わりに、該横電界駆動用導電膜を有しない基板を用いた以外、工程[I]~[III]と同様に行うことができる。工程[I]~[III]と工程[I’]~[III’]との相違点は、上述した導電膜の有無だけであるため、工程[I’]~[III’]の説明を省略する。
本発明に用いる塗膜では、主鎖の光反応に基づく自己組織化によって誘起される分子再配向の原理を利用して、塗膜への高効率な異方性の導入を実現する。本発明の製造方法では、主鎖型高分子に光反応性基として光分解性基を有する構造の場合、主鎖型高分子を用いて基板上に塗膜を形成した後、偏光した紫外線を照射し、次いで、加熱を行った後、液晶表示素子を作成する。
なお、化合物、溶媒の略号は、以下のとおりである。
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
BCS:ブチルセロソルブ
DA-1:下記構造式(DA-1)で表される化合物
DA-2:下記構造式(DA-2)で表される化合物
DA-3:下記構造式(DA-3)で表される化合物
DA-4:下記構造式(DA-4)で表される化合物
DA-5:下記構造式(DA-5)で表される化合物
DA-6:下記構造式(DA-6)で表される化合物
DA-7:下記構造式(DA-7)で表される化合物
DA-8:下記構造式(DA-8)で表される化合物
CA-1:下記構造式(CA-1)で表される化合物
CA-2:下記構造式(CA-2)で表される化合物
CA-3:下記構造式(CA-3)で表される化合物
合成例において、重合体溶液の粘度は、E型粘度計TVE-22H(東機産業社製)を用い、サンプル量1.1mL、コーンロータTE-1(1°34’、R24)、温度25℃で測定した。
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA-1を3.91g(13.0mmol)量り取り、NMPを25.7g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA-1を1.76g(8.97mmol)添加し、窒素雰囲気下23℃で3時間撹拌した後に、CA-2を0.81g(3.25mmol)添加し、さらにNMPを11.0g加え、窒素雰囲気下50℃で20時間撹拌してポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸の溶液の温度25℃における粘度は571mPa・sであった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA-2を2.79g(14.0mmol)、DA-3を1.47g(6.00mmol)量り取り、NMPを50.5g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA-3を5.59g(19.0mmol)添加し、さらにNMPを21.7g加え、窒素雰囲気下50℃で20時間撹拌してポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸の溶液の温度25℃における粘度は480mPa・sであった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA-2を1.59g(8.00mmol)、DA-4を0.40g(2.00mmol)量り取り、NMPを24.0g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA-1を1.81g(9.25mmol)添加し、さらにNMPを10.3g加え、窒素雰囲気下23℃で4時間撹拌してポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸の溶液の温度25℃における粘度は134mPa・sであった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA-5を1.49g(7.00mmol)、DA-3を0.73g(3.00mmol)量り取り、NMPを25.8g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA-3を2.80g(9.50mmol)添加し、さらにNMPを11.0g加え、窒素雰囲気下50℃で20時間撹拌してポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸の溶液の温度25℃における粘度は432mPa・sであった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA-2を0.80g(4.0mmol)、DA-3を0.73g(3.00mmol)、DA-6を1.18g(3.00mmol)量り取り、NMPを28.3g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA-3を2.80g(9.50mmol)添加し、さらにNMPを12.1g加え、窒素雰囲気下50℃で20時間撹拌してポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸の溶液の温度25℃における粘度は512mPa・sであった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA-7を3.54g(13.0mmol)量り取り、NMPを24.2g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA-1を1.76g(8.97mmol)添加し、窒素雰囲気下23℃で3時間撹拌した後に、CA-2を0.81g(3.25mmol)添加し、さらにNMPを10.4g加え、窒素雰囲気下50℃で20時間撹拌してポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸の溶液の温度25℃における粘度は627mPa・sであった。
撹拌装置及び窒素導入管付きの100mLの四つ口フラスコに、DA-8を4.27g(13.0mmol)量り取り、NMPを27.1g加え、窒素を送りながら撹拌して溶解させた。このジアミン溶液を水冷下で撹拌しながら、CA-1を1.76g(8.97mmol)添加し、窒素雰囲気下23℃で3時間撹拌した後に、CA-2を0.81g(3.25mmol)添加し、さらにNMPを11.6g加え、窒素雰囲気下50℃で20時間撹拌してポリアミック酸の溶液を得た。このポリアミック酸の溶液の温度25℃における粘度は483mPa・sであった。
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例1で得られたポリイミドの溶液(PAA-1)を4.03g、合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA-2)を6.05g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(A-1)を得た。
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例1で得られたポリイミドの溶液(PAA-1)を4.01g、合成例3で得られたポリアミック酸溶液(PAA-3)を6.02g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(A-2)を得た。
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例1で得られたポリイミドの溶液(PAA-1)を4.04g、合成例4で得られたポリアミック酸溶液(PAA-4)を6.07g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(A-3)を得た。
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、合成例1で得られたポリイミドの溶液(PAA-1)を4.03g、合成例5で得られたポリアミック酸溶液(PAA-5)を6.04g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(A-4)を得た。
合成例1で得られたポリイミドの溶液(PAA-1)を液晶配向剤(B-1)とした。
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、比較合成例1で得られたポリイミドの溶液(PAA-a)を4.03g、合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA-2)を6.05g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(B-2)を得た。
撹拌子を入れた50mL三角フラスコに、比較合成例2で得られたポリイミドの溶液(PAA-b)を4.00g、合成例2で得られたポリアミック酸溶液(PAA-2)を6.00g量り取り、マグネチックスターラーで2時間撹拌して、液晶配向剤(B-3)を得た。
以下に、液晶配向性、及び蓄積電荷の緩和特性を評価するための液晶セルの作製方法を示す。
FFS方式の液晶表示素子の構成を備えた液晶セルを作製した。初めに、電極付きの基板を準備した。基板は、30mm×35mmの大きさで、厚さが0.7mmのガラス基板である。基板上には第1層目として対向電極を構成する、IZO電極を全面に形成した。第1層目の対向電極の上には、第2層目として、CVD法により成膜したSiN(窒化珪素)膜を形成した。第2層目のSiN膜の膜厚は500nmであり、層間絶縁膜として機能する。第2層目のSiN膜の上には、第3層目として、IZO膜をパターニングして形成した櫛歯状の画素電極を配置し、第1画素及び第2画素の2つの画素を形成した。各画素のサイズは、縦10mm、横約5mmである。このとき、第1層目の対向電極と第3層目の画素電極とは、第2層目のSiN膜の作用により、電気的に絶縁されている。
上記液晶セルを用い、70℃の恒温環境下、周波数30Hzで16VPPの交流電圧を96時間印加した。その後、液晶セルの画素電極と対向電極との間を短絡させた状態にし、そのまま23℃で一晩放置した。
上記液晶セルを、偏光軸が直交するように配置された2枚の偏光板の間に設置し、画素電極と対向電極とを短絡して同電位にした状態で、2枚の偏光板の下からLEDバックライトを照射しておき、2枚の偏光板の上で測定するLEDバックライト透過光の輝度が最小となるように、液晶セルの角度を調節した。
ITO電極付きガラス基板を用い、シール剤の印刷前に、片方の基板上の液晶配向膜面に4μmのビーズスペーサを散布したこと以外は、上記液晶配向性、及び蓄積電荷の緩和特性評価用液晶セルの作製と同じ手順で、電圧保持率測定用の液晶セルを作製した。
上記液晶セルを用いて、電圧保持率の評価を行った。具体的には、上記の手法で得られた液晶セルに、70℃の温度下で2VPPの交流電圧を60μ秒間印加し、167ミリ秒後の電圧を測定し、電圧がどのくらい保持できているかを電圧保持率(VHRともいう)として計算した。なお、測定は、電圧保持率測定装置(VHR-1、東陽テクニカ社製)を使用し、Voltage:±1V、Pulse Width:60μs、Flame Period:167msの設定で行った。この液晶セルの電圧保持率の値が95%以上の場合には「良好」、電圧保持率の値が95%未満の場合には「不良」と定義し評価した。
実施例1で得られた液晶配向剤(A-1)を用いて、上記記載のように2種類の液晶セルを作製した。偏光紫外線の照射は、高圧水銀灯を用いて、波長選択フィルター:240LCF、および254nmタイプの偏光板を介して行った。偏光紫外線の照射量は、ウシオ電機(株)製照度計UVD-S254SBを用いて光量を測定し、波長254nmで600~1800mJ/cm2の範囲でそれぞれ変更して実施することにより、偏光紫外線照射量が異なる3個以上の液晶セルを作製した。
また、液晶配向性の評価の前に予め評価しておいた同じ偏光紫外線照射量の蓄積電荷の緩和特性は、直流電圧重畳30分後の相対透過率が26.0%であり良好であった。
また、同じ偏光紫外線照射量で作製した液晶セルについて電圧保持率を評価した結果、電圧保持率は96.8%であり良好であった。
実施例2~4で得られた液晶配向剤を用いた以外は、実施例5と同様の方法で、液晶配向性、蓄積電荷の緩和特性、および電圧保持率を評価した。
比較例1~3で得られた液晶配向剤を用いた以外は、実施例5と同様の方法で、液晶配向性、蓄積電荷の緩和特性、および電圧保持率を評価した。
このように本発明の方法によって製造された液晶表示素子は、非常に優れた残像特性を示すことが確認された。
Claims (5)
- テトラカルボン酸二無水物成分と下記式(1)で表されるジアミンを含むジアミン成分とを用いて得られるポリアミック酸及び該ポリアミック酸のイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種類の重合体(A)と、
テトラカルボン酸二無水物成分と下記式(2)で表されるジアミン(下記式(D1-31-56)で表されるジアミンを除く)を含むジアミン成分とを用いて得られるポリアミック酸及び該ポリアミック酸のイミド化重合体から選ばれる少なくとも1種類の重合体(B)と
を含む、液晶配向剤。
(式(1)中、Xは-(CH2)n-を表し、nは-(CH2)-の個数を表す8または9の自然数であり、任意の-(CH2)-はそれぞれ独立に、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-CONH-及び-NHCO-から選ばれる基に、これらの基が隣り合わない条件で置き換わっていてもよく、R1及びR2はそれぞれ独立に1価の有機基であり、p1及びp2はそれぞれ独立に0~4の整数である。
式(2)中、Y1は下記式(YD-1)~(YD-5)
(式(YD-1)において、A 1 は炭素数3~15の窒素原子含有複素環であり、Z 1 は、水素原子、又は置換基を有してよい炭素数1~20の炭化水素基である。
式(YD-2)において、W 1 は、炭素数1~10の炭化水素基であり、A 2 は窒素原子含有複素環を有する炭素数3~15の1価の有機基、又は炭素数1から6の脂肪族基で置換されたジ置換アミノ基である。
式(YD-3)において、W 2 は炭素数6~15で、且つベンゼン環を1から2個有する2価の有機基であり、W 3 は炭素数2~5のアルキレン又はビフェニレン又は窒素原子含有複素環を含む炭素数12~18の2価の有機基であり、Z 2 は水素原子、炭素数1~5のアルキル基、又はベンゼン環であり、aは0~1の整数である。
式(YD-4)において、A 3 は炭素数3~15の窒素原子含有複素環である。
式(YD-5)において、A 4 は炭素数3~15の窒素原子含有複素環であり、W 5 は炭素数2~5のアルキレンである。
前記炭素数3~15の窒素原子含有複素環が、ピロリジン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、チアゾール、ピペリジン、ピペラジン、ピリジン、ピラジン、トリアジン、インドール、ベンゾイミダゾール、キノリン、イソキノリン、及びカルバゾールからなる群から選ばれる少なくとも1種類である。)
の構造から選ばれる少なくとも1種類であり、B1、B2はそれぞれ独立して水素原子、又は置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基である。)
- 式(2)におけるY1が、上記式(YD-14)、(YD-18)、(YD-21)及び(YD-22)の構造を有する2価の有機基からなる群から選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする、請求項2に記載の液晶配向剤。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶配向剤を用いて得られる、液晶配向膜。
- 請求項4に記載の液晶配向膜を具備する、液晶表示素子。
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