JPWO2018025421A1 - 物体検知装置および物体検知方法 - Google Patents

物体検知装置および物体検知方法 Download PDF

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Abstract

物体検知装置1000は、電波によって物体1001を検知するための装置である。物体検知装置1000は、時間の経過と共に周波数が連続的に変化する電波を送信信号として放射する送信部1091と、物体1001からの電波を受信信号として受信し、更に受信した受信信号に送信部1091から取得した送信信号をミキシングしてベースバンド信号を生成する受信部1092と、サンプリング時間毎のベースバンド信号の測定値から電波の到来方向を推定し、推定したサンプリング時間毎の到来方向に基づいて電波の強度分布を特定し、特定した強度分布に基づいて物体1001を検知する、データ処理部1093とを備えている。

Description

本発明は、対象物で反射又は対象物から放射された電波から対象物を検知するための、物体検知装置、及び物体検知方法に関する。
電波(マイクロ波、ミリ波、テラヘルツ波など)は、光と異なり、物体を透過する能力に優れている。この電波の透過能力を活用して、衣服の下に隠されている物品又は鞄の中の物品等を画像化して検査するイメージング装置(物体検知装置)が実用化されている。同様にして、衛星又は航空機から雲を透過して地表を画像化するリモートセンシング技術も実用化されている。
また、物体検知装置における画像化の方式としては、いくつかの方式が提案されている。一つは、アレイアンテナ方式である(例えば、非特許文献1参照)。ここで、図22及び図24を用いて、アレイアンテナ方式について説明する。図22は、従来からのアレイアンテナ方式を採用した物体検知装置を示す図である。図23は、図22に示された受信機の構成を示す図である。
図22に示すように、アレイアンテナ方式においては、物体検知装置は、送信機211と受信機201とを備えている。また、送信機211は、送信アンテナ212を備えている。受信機201は、受信アンテナ201、202、・・・、202を備えている(Nは受信アンテナの数)。
送信機211は、送信アンテナ212から、RF信号(電波)213を検知対象物204、204、・・・、204(Kは対象物の数)に向けて照射する。RF信号(電波)213は、検知対象物204、204、・・・、204において反射され、反射波203、203、・・・、203がそれぞれ発生する。
発生した反射波203、203、・・・、203は、受信アンテナ201、202、・・・、202において受信される。受信機201は、受信した反射波203、203、・・・、203に基づいて、検知対象物204、204、・・・、204で反射された電波の電波強度を算出する。その後、受信機201は、算出した電波強度の分布を画像化する。これにより、検知対象物204、204、・・・、204それぞれの像が得られることになる。
また、図23に示すように、アレイアンテナ方式が採用される場合、受信機201は、N本の受信アンテナ202、202、・・・、202を備えている。受信アンテナ202、202、・・・、202で、角度θk(k=1,2,・・・K)を持つK個の到来波208、208、・・・、208を受信する。到来波208、208、・・・、208の複素振幅を[s(θ1), s(θ2),・・・, s(θK)]とする。受信機201はダウンコンバータ(図23では非図示)を備えていて、前記ダウンコンバータは各受信アンテナ202、202、・・・、202で受信したRF信号の複素振幅(ベースバンド信号)[r1,r2,・・・,rN]を抽出する。受信アンテナ202、202、・・・、202で受信した信号の複素振幅[r1,r2,・・・,rN]は信号処理部205へ出力される。
受信アンテナ202、202、・・・、202における、受信信号の複素振幅[r1,r2,・・・,rN]と、到来波の複素振幅[s(θ1), s(θ2),・・・, s(θK)]との関係は、以下の式(1)で与えられる。
Figure 2018025421
上記式(1)において、n(t)はノイズ成分を要素とするベクトルである。添字Tはベクトルないし行列の転置を表す。dはアンテナ間の距離、λは到来波(RF信号)208、208、・・・、208の波長である。
また、上記式(1)において、受信信号の複素振幅rは測定で得られる量である。方向行列Aは信号処理上で定義(指定)できる量である。到来波の複素振幅sは未知数であり、測定で得た受信信号rから到来波sの方向を決定する事が到来波方向推定の目的となる。
到来方向推定のアルゴリズムでは、測定で得た受信信号rから相関行列R=E[r・rH]を計算する。ここでE[]は括弧内の要素に時間平均の処理を施す事を表し、添字Hは複素共役転置を表す。次に、計算した相関行列Rから、以下の式(2)〜(4)で示すいずれかの評価関数が計算される。
Figure 2018025421
Figure 2018025421
Figure 2018025421
MUSIC法におけるEN=[eK+1,・・・,eN]は、相関行列Rの固有ベクトルの内、固有値がノイズn(t)の電力となるN−(K+1)個のベクトルで構成した行列である。
また、図23で示した従来型のアンテナアレイにおいて、受信信号rから相関行列Rを計算する過程、更には、式(2)〜(4)の評価関数を計算する過程は、信号処理部205で実施される。
非特許文献1に記載の理論によれば、式(2)〜式(4)で示した評価関数は、到来波の角度θ12,・・・,θKにおいてピークを持つ。従って、評価関数を計算してそのピークを見れば、到来波の角度を求める事ができる。式(2)〜式(4)の評価関数で得た到来波の角度分布から、対象物の位置や形状を画像として表示する事ができる。
式(A2)〜式(A4)で示した評価関数の内、特に式(2)のビームフォーマ法を適用する場合の信号処理部は、図24において示される。図24は、図22に示された受信機においてビームフォーマ法が適用される場合の例を示す図である。
図24で示した従来型のアンテナアレイの移相器206、206、・・・、206と合成器207が、図23で示した従来型のアンテナアレイにおける信号処理部205に対応する。移相器206、206、・・・、206は、それぞれ、受信アンテナ202、202、・・・、202で受信した到来波の複素振幅208、208、・・・、208に対し、位相回転Φ、Φ、・・・、Φを加える。位相回転Φ、Φ、・・・、Φが加えられた到来波208、208、・・・、208は、加算器207で加算される。
移相器206、206、・・・、206と、加算器207とは、アナログ回路によって実装される事もあれば、コンピュータに組み込まれたソフトウェアによって実装される事もある。また、アレイアンテナ方式では、移相器206、206、・・・、206における、位相回転Φ、Φ、・・・、Φの設定により、アレイアンテナの指向性が制御される。受信アンテナ202の指向性をg(θ)とし、受信アンテナ202で受信した到来波208(n=1,2,・・・,N)の振幅と位相とをそれぞれaおよびφとした場合、アレイアンテナの指向性E(θ)は、以下の式(5)のように計算される。
Figure 2018025421
式(5)において、アレイアンテナの指向性E(θ)から受信アンテナ202の指向性g(θ)を除去した指向性成分AF(θ)は、アレイファクターと呼ばれる。アレイファクターAF(θ)が、アレイアンテナを形成した事による指向性の効果を表す。受信アンテナ202(n=1,2,・・・,N)で受信した信号は、g(θ)aexp(jφ)である。また、移相器206の位相回転Φを受けた信号g(θ)aexp(jφ)exp(jΦ)がn=1,2,・・・,Nに渡って加算器207で加算されて得られた信号が、式(5)の指向性E(θ)として得られる。
到来波208、208、・・・、208の入射角をθとした場合、到来波208の位相φは、−2π・n・d・sinθ/λで与えられる(n=1,2,・・・,N)。ここで、dは受信アンテナ202(n=1,2,・・・,N)の間隔であり、λは到来波208、208、・・・、208の波長である。
上記の式(5)において、振幅aがnによらず一定とした場合、移相器206の位相回転Φ(n=1,2,・・・,N)が到来波208の位相φに−1を掛けた値と等しくなるように設定すると、アレイファクターAF(θ)は角度θの方向において最大となる。このことは、即ち、移相器206の位相回転Φによるアレイアンテナの指向性の制御法を示している。
アレイアンテナ方式による物体検知装置の例は、その他に、特許文献1〜3においても開示されている。具体的には、特許文献1及び2に開示された物体検知装置は、受信機に内蔵されたN個の受信アンテナそれぞれに接続された移相器により、N個の受信アンテナで形成される受信アレイアンテナの指向性を制御する。
そして、特許文献1及び2に開示された物体検知装置は、ビーム状に形成されたN個の受信アレイアンテナの指向性を変化させ、K個の検知対象物それぞれに対して、受信アレイアンテナの指向性ビームを向ける。これにより、各検知対象物で反射された電波強度が算出される。
また、特許文献3に開示された物体検知装置は、N個の受信アレイアンテナの周波数依存性を利用する事で、N個の受信アレイアンテナの指向性を制御している。また、特許文献3に開示された物体検知装置も、特許文献1及び2の例と同様に、K個の検知対象物それぞれに対して、N個の受信アレイアンテナの指向性ビームを向ける事で、各検知対象物で反射された電波強度を算出する。
また、実際の物体検知装置は、2次元画像を表示するため、図25で示すように、受信アンテナ202は、縦方向と横方向とにそれぞれN個ずつ設置されている。この場合、全体で必要なアンテナの数はN個となる。図25は、従来からのアレイアンテナ方式を採用した場合の受信アレイアンテナの概略構成を示す図である。
また、2次元画像を表示するための方式としては、Mills Cross方式も知られている(例えば、非特許文献2参照)。図26は、Mills Cross方式を採用した物体検知装置を示す図である。図26に示すように、この物体検知装置は、縦方向に配列された1次元のアレイアンテナ201と、横方向に配列された1次元のアレイアンテナ201とを備えている。そして、この物体検知装置では、乗算器221は、縦方向にある受信アンテナと横方向にある受信アンテナとの組毎に、信号の積を算出する。よって、算出された積を用いることで、2次元画像を表示することが可能となる。
続いて、図27を用いて、物体検知装置における画像化の他の方式として、合成開口レーダー(SAR:Synthetic Aperture Radar)方式について説明する。図27は、従来からの合成開口レーダ方式を採用した物体検知装置を示す図である。
図27に示すように、合成開口レーダー方式において、物体検知装置は、送信機311と受信機301とを備えている。また、送信機311は、送信アンテナ312を備えている。受信機301は、受信アンテナ302〜302を備えている(Nは受信アンテナの数)。
送信機311は、送信アンテナ312から、RF信号(電波)313を検知対象物304、304、・・・、304(Kは検知対象物の数)に向けて照射する。RF信号(電波)313は、検知対象物304、304、・・・、304において反射され、反射波303、303、・・・、303がそれぞれ発生する。
この時、受信機301は、最初の位置から、301、・・・、301の位置に移動しながら、各位置において反射波303、303、・・・、303を受信する。図25において、302、302、・・・、302は、それぞれ、各位置での受信アンテナを示している。
また、これにより、1つの受信アンテナは、受信アンテナ302、302、・・・、302として機能する。即ち、図27にいては、1つの受信アンテナが、図22で示したアレイアンテナ方式における受信アンテナ202、202、・・・、202と同じく、N本のアンテナによる受信アレイアンテナ(仮想アレイアンテナ)を形成する。
従って、図27で示した合成開口レーダー方式においても、図22で示したアレイアンテナ方式と同じく、受信機301は、受信した反射波303、303、・・・、303に基づいて、検知対象物304、304、・・・、304から反射されている電波強度を算出する。その後、受信機301は、算出した電波強度の分布を画像化する。これにより、検知対象物304、304、・・・、304それぞれの像が得られることになる。
なお、合成開口レーダー方式による物体検知装置の例が、特許文献4〜6において開示されている。
特表2013−528788号公報 特開2015−014611号公報 特許第5080795号公報 特許第4653910号公報 特表2011−513721号公報 特開2015−036682号公報
菊間信良、"アレーアンテナの基礎"、MWE2010 Digest,(2010) B. R. Slattery,"Use of Mills cross receiving arrays in radar systems," PROC.IEE,Vol.113,No.11,NOVEMBER 1966, pp.1712-1722.
ところで、アレイアンテナ方式においては、対象物を精度良く検知しようとすると、必要となる受信アンテナの数とそれに付随する受信機の数とが非常に多くなってしまい、結果として、物体検知装置のコスト、サイズ、及び重量が大きくなるという問題がある。
上記の問題点について具体的に説明する。まず、アレイアンテナ方式の場合、受信アンテナ201、202、・・・、202の各アンテナの間隔は、受信機201において受信される反射波203、203、・・・、203の波長λの半分以下にする必要がある。例えば、反射波203、203、・・・、203がミリ波である場合は、波長λは数mm程度であるので、各アンテナの間隔は数mm以下となる。そして、この条件が満たされない場合は、生成した画像において、対象物204、204、・・・、204が存在しない位置に、虚像が発生するという問題が生じてしまう。
また、画像の分解能は受信アレイアンテナ(201、202、・・・、202)の指向性ビーム幅△θで決まる。受信アレイアンテナ(201、202、・・・、202)の指向性ビームの幅△θは、△θ〜λ/Dにて与えられる。ここで、Dは受信アレイアンテナ(201、202、・・・、202)の開口サイズであり、両端に存在する受信アンテナ202と202と間の距離に相当する。つまり、衣服の下に隠されている物品又は鞄の中の物品等の画像化において実用的な分解能を得るには、受信アレイアンテナ(201、202、・・・、202)の開口サイズDは数十cmから数m程度に設定されている必要がある。
上記の2つの条件、即ち、N個の受信アンテナのアンテナ間の間隔は波長λの半分以下(数mm以下)とする点と、両端に存在する受信アンテナ間の距離が少なくとも数十cm程度必要という点とから、一列あたりに必要なアンテナの数Nは数百個程度となる。
また、実際の物体検知装置では、2次元画像を表示するため、図26で示したように、受信アンテナ202は、縦方向と横方向とにそれぞれN個ずつ設置されている。この場合、全体で必要な受信アンテナの数はN個となる。従って、アレイアンテナ方式を採用するためには、全体で必要な受信アンテナ及びそれに付随する受信機の数は数万個程度となる。
このように大量の受信アンテナと受信機とが必要となるため、上述したように、アレイアンテナ方式においては、コストは非常に高いものになる。また、一辺が数十cm〜数mの四方の領域にアンテナが設置されるので、装置のサイズ及び重量は非常に大きなものとなる。
また、上述した図26に示したMills Cross方式の物体検知装置によれば、アレイアンテナ方式を採用する場合よりは、受信アンテナ及び受信機の数を減らすことは可能である。しかし、この場合であっても、必要な受信アンテナ及び受信機の数は、2N個であり、やはり数百個程度の受信アンテナが必要となる。従って、この場合であっても、コスト、装置サイズ及び重量の問題を解決することは困難である。
また、上述した図27に示した合成開口レーダー方式を採用した物体検知装置においては、受信機を機械的に動かす必要があるため、走査時間の短縮が難しいという問題がある。そして、この問題は、物体検知装置によって、物品又は人を検査する時に、単位時間当りに検査できる対象物の数が限られるという問題につながる。また、特許文献6に開示されている物体検知装置においては、受信機を動かすための機械的な機構を必要としているため、装置のサイズ及び重量が増大するという問題が発生している。
上記で議論したように、一般的な物体検知装置では、装置のコスト、サイズ、重量が非常に大きなものになる。このため、物体検知装置を実際に使用できる用途及び機会は、限定されたものになる。また、採用する方式によっては、対象物を検査する速度も限られたものになる。
本発明の目的の一例は、上記問題を解消し、電波を用いた物体の検知において、精度を向上させつつ、装置コスト、サイズ、及び重量の増大化を抑制し得る、物体検知装置及び物体検知方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一側面における物体検知装置は、電波によって物体を検知するための物体検知装置であって、
時間の経過と共に周波数が連続的に変化する電波を、送信信号として放射する、送信部と、
前記送信信号を取得し、前記物体で反射された前記電波を受信信号として受信し、更に、受信した前記受信信号に、取得した前記送信信号をミキシングして、ベースバンド信号を生成する、受信部と、
サンプリング時間毎の前記ベースバンド信号の測定値から、前記電波の到来方向を推定し、推定した前記電波の到来方向に基づいて、前記電波の強度分布を特定し、特定した前記強度分布に基づいて、前記物体を検知する、データ処理部と、
を備えている、ことを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における物体検知方法は、電波によって物体を検知するための方法であって、
(a)送信機によって、時間の経過と共に周波数が連続的に変化する電波を、送信信号として放射する、ステップと、
(b)受信機によって、前記送信信号を取得し、前記物体で反射された前記電波を受信信号として受信し、更に、受信した前記受信信号に、取得した前記送信信号を加算して、ベースバンド信号を生成する、ステップと、
(c)データ処理装置によって、サンプリング時間毎の前記ベースバンド信号の測定値から、前記電波の到来方向を推定し、推定した前記電波の到来方向に基づいて、前記電波の強度分布を特定し、特定した前記強度分布に基づいて、前記物体を検知する、ステップと、
を有する、ことを特徴とする。
以上のように本発明によれば、電波を用いた物体の検知において、精度を向上させつつ、装置コスト、サイズ、及び重量の増大化を抑制することができる。
図1は、本発明の実施の形態1における物体検知装置の構成を概略的に示す構成図である。 図2は、本発明の実施の形態1における物体検知装置の動作原理を説明するための構成図である。 図3は、本発明の実施の形態1で送信される電波の周波数の変化を示す図である。 図4は、従来からのアレイアンテナ方式で用いられるパラメータと本発明の実施の形態における時間仮想アレイ方式で用いられるパラメータとの対応関係を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態1における物体検知装置の動作原理を示す図である。 図6は、図5に示した物体検知装置にビームフォーマ法を適用した場合の動作原理を示す図である。 図7は、本発明の実施の形態1における物体検知装置のアンテナ利得の指向性の一例を示す特性図である。 図8は、本発明の実施の形態に1おける仮想アレイでの虚像の発生を説明する図である。 図9は、本発明の実施の形態1における物体検知装置の具体的構成の一例を示すブロック図である。 図10は、本発明の実施の形態1における物体検知装置の動作を示すフロー図である。 図11は、本発明の実施の形態2における物体検知装置の構成及び動作原理を示す図である。 図12は、本発明の実施の形態2における物体検知装置で用いられるサブアレイの概念を説明する図である。 図13は、本発明の実施の形態2における物体検知装置の動作を示すフロー図である。 図14は、本発明の実施の形態3における物体検知装置の構成及び動作原理を示す図である。 図15は、本発明の実施の形態3における2次元周波数仮想アレイの相関行列の計算方法を説明する説明図である。 図16は、本発明の実施の形態3における2次元周波数仮想アレイの相関行列の計算方法を説明する説明図である。 図17は、本発明の実施の形態3における物体検知装置の動作を示すフロー図である。 図18は、本発明の実施の形態3における物体検知装置から出力された画像の一例を示す図である。 図19は、本発明の実施の形態4における物体検知装置の概略構成を示す図である。 図20は、本発明の実施の形態4における物体検知装置の構成を具体的に示すブロック図である。 図21は、本発明の実施の形態4において行なわれる周波数制御の一例を示す図である。 図22は、従来からのアレイアンテナ方式を採用した物体検知装置を示す図である。 図23は、図22に示された受信機の構成を示す図である。 図24は、図22に示された受信機においてビームフォーマ法が適用される場合の例を示す図である。 図25は、従来からのアレイアンテナ方式を採用した場合の受信アレイアンテナの概略構成を示す図である。 図26は、Mills Cross方式を採用した物体検知装置を示す図である。 図27は、従来からの合成開口レーダ方式を採用した物体検知装置を示す図である。
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における物体検知装置及び物体検知方法について、図1〜図10を参照しながら説明する。
[装置構成]
最初に、図1を用いて、本実施の形態1における物体検知装置の概略構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における物体検知装置の構成を概略的に示す構成図である。
図1に示す本実施の形態1における物体検知装置1000は、電波によって物体1001を検知するための装置である。図1に示すように、物体検知装置1000は、送信部1091と、受信部1092と、データ処理部1093とを備えている。
送信部1091は、時間の経過と共に周波数が連続的に変化する電波を、送信信号として放射する。受信部1092は、送信信号を取得し、検知対象となる物体(以下「対象物」と表記する。)1001からの電波を受信信号として受信する。更に、受信部1092は、受信した受信信号に、取得した送信信号を掛算(ミキシング)して、ベースバンド信号を生成する。
また、図1に示すように、本実施の形態1では、送信部1091は送信アンテナ1003を備え、受信部1092は受信アンテナ1004を備えている。図1の例では、単一の受信部1092のみが図示されているが、本実施の形態1において、受信部1092及び受信アンテナ1004の数は複数であっても良い。但し、本実施の形態1においては、受信部1092及び受信アンテナ1004の数は、従来に比べて極めて少なくなる。
データ処理部1093は、サンプリング時間毎のベースバンド信号の測定値から、電波の到来方向を推定する。そして、データ処理部1093は、推定した電波の到来方向に基づいて、電波の強度分布を特定し、特定した強度分布に基づいて、対象物1001を検知する。
ここで、物体検知装置1000の動作原理についてまず図2及び図3を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態1における物体検知装置の動作原理を説明する図である。図3は、本発明の実施の形態1で送信される電波の周波数の変化を示す図である。
図2で示した例では、x軸上に送信アンテナ1003と受信アンテナ1004とが配置され、K個の対象物1001、・・・1001が、(x1,z0),・・・, (xK,z0)の位置に、それぞれ配置されている。送信アンテナ1003からは、図3で示すように、キャリア周波数fが線形的に変化するRF信号1010が送信されるものとする。キャリア周波数fは、1チャープ周期(Tchirp)の間に、最小周波数fminから最大周波数fmaxまで変化するものとする。キャリア周波数fの帯域幅をBW(=fmax−fmin)、キャリア周波数の時間傾きをα=BW/Tchirpと定義する。
また、図2で示した例において、送信アンテナ1003から対象物1001、・・・1001に向けてRF信号1010、・・・1010が、それぞれ照射されているとする。更に、対象物1001、・・・1001からの反射波1007、・・・1007が、受信アンテナ1004で受信されるものとする。
受信アンテナ1004で受信された反射波1007、・・・1007の合成波は、図1で示した受信部1092において、送信部1091から取得した送信信号と掛算(ミキシング)される。これにより、ベースバンド信号が生成される。ベースバンド信号I(t)は、以下の式(6)で与えられる。
Figure 2018025421
上記式(6)において、t’は1チャープ周期内の時刻であり、図3におけるt0からtMに相当する。hをチャープ番号として、t’ = t−h・Tchirpと表記されるとおり、1チャープ周期(Tchirp)を過ぎる毎にt’はt0から取り直す必要がある。σ(xk)は、対象物k (k=1,2,・・・,K)の反射率である。L(xk)は、対象物kを経由した送信アンテナから受信アンテナまでの伝搬距離である。cは光速である。
上記のIF信号I(t)は、同相成分(In-phase信号)である。同相成分I(t)にヒルベルト変換を掛けることで、直交成分(Quadrature信号)Q(t)が生成される。また、直交変調器を用いて同相成分I(t)と直交成分Q(t)とが生成されても良い。直交成分Q(t)は、以下の式(7)で与えられる。
Figure 2018025421
そして、同相成分I(t)と直交成分Q(t)とから、以下の式(8)で表される複素ベースバンド信号r(t)が、生成される。
Figure 2018025421
複素ベースバンド信号r(t)は、実測データから算出できる量である。ここでの目的は、実測データから得られる複素信号r(t)から、反射率σの位置xに対する依存性、特にσ(x)=0となる位置xを求める事である。σ(x)=0となる位置xが分かれば、対象物の位置や形状を決定できる。
式(8)において、σ’(x)という量が定義されている。σ(x) = 0 とσ’(x) = 0との間には同値であるという関係があるので、σ’(x) = 0となる位置xを求める事が、ここでの目的と言い直す事もできる。
上記式(8)は、以下の式(9)のように表記できる。
Figure 2018025421
上記式(9)において、t1,t2,・・・,tNは、1チャープ周期内のサンプリング時間である。ここで、Nは1チャープ周期あたりのサンプリング点数となる。また、Δtはサンプリング周期であり、Δt = tn+1−tnで与えられる。式(8)から式(9)への展開にあたり、受信信号rに対し、ノイズ成分(乱数)を要素とするベクトルn(t)が付加されている。
背景技術で記した従来のアンテナアレイの動作を示す式(1)と、本実施の形態における動作を示す式(9)とを比較すると、図4で示すパラメータの対応関係(読み替え)を付ける事で、両者は同型である事が分かる。この事を利用して、従来のアンテナアレイで用いた到来方向推定アルゴリズムと同型の方式を、そのまま本実施の形態においても適用して電波の到来方向推定を実施できる。図4は、従来からのアレイアンテナ方式で用いられるパラメータと本発明の実施の形態における時間仮想アレイ方式で用いられるパラメータとの対応関係を示す図である。
すなわち、本実施の形態においては、測定で得た式(9)で定義される所の受信信号(複素ベースバンド信号)rから、相関行列R=E[r・rH]が計算され、次に、計算された相関行列Rから、以下の式(10)〜(12)に示すいずれかの評価関数が計算される。
Figure 2018025421
Figure 2018025421
Figure 2018025421
上記式(10)〜(12)において、方向ベクトルa(x)は、式(9)で定義される所のものを使用する。また、上記のMUSIC法におけるEN=[eK+1,・・・,eN]は、相関行列Rの固有ベクトルの内、固有値がノイズn(t)の電力となるN−(K+1)個のベクトルで構成した行列である。
式(10)〜(12)で示した評価関数は、対象物の存在位置x1,x2,・・・,xKにおいてピークを持つ。従って、評価関数を計算してそのピークを見れば、対象物の位置(存在領域)を求める事ができる。式(10)〜(12)の評価関数で得られた対象物の位置分布から、対象物の位置及び形状を画像として表示する事ができる。以上の説明が本実施の形態におけるとなる。
続いて、本実施の形態における原理をより直観的に理解できるように説明を加える。ここでは特に、図4で示したパラメータの対応関係の内、従来のアンテナアレイにおけるアンテナ間隔dと、本実施の形態におけるサンプリング時間Δtとの間の対応関係に着目する。この対応関係に着目すると、従来のアンテナアレイがアンテナ間隔dを持って配置されたN本のアンテナで受信したデータを用いて電波の到来方向推定を行っているのに対し、本実施の形態ではサンプリング時間Δt毎に得られるN個の受信データで電波の到来方向の推定が行なわれていると解釈できる。言い換えると、本実施の形態では、図5に示すように、サンプリング時間毎に得られるデータを仮想的なアンテナと見なし、時間軸上に配置されたN本の仮想アンテナで仮想的なアンテナアレイ(時間仮想アレイ)を構築して到来方向推定を実施していると解釈できる。
図5は、本発明の実施の形態1における物体検知装置の動作原理を示す図である。図5に示す例では、サンプリング時間毎に、仮想的な送信アンテナ1003(t)、1003(t)、・・・、1003(tN)と、仮想的な受信アンテナ1004(t)、1004(t)、・・・、1004(tN)とによって、測定が行なわれる。
図5において、受信機1092は、送信部1091から取得した送信信号1003(t)、1003(t)、・・・、1003(tN)と受信信号1004(t)、1004(t)、・・・、1004(tN)を掛算(ミキシング)して受信信号(複素ベースバンド信号)rを生成する。生成した受信信号rは、信号処理部1095に出力される。そして、受信信号rから相関行列Rを計算する過程、更には、式(10)〜(12)の評価関数を計算する過程は、信号処理部1095で実施される。なお、信号処理部1095は、図1におけるデータ処理部1093に含まれるものである。
図5で示した本実施の形態における物体検知装置の構成において、信号処理部1095をビームフォーマ法に特化した構成とすると、図6に示した構成となる。図6は、図5に示した物体検知装置にビームフォーマ法を適用した場合の動作原理を示す図である。図6において、信号処理部1095は、移相器1031と加算器1032で構成される。(以下ではサンプリング点数をNからMに差し替える。)
仮想的な受信アンテナ1004(t)、1004(t)、・・・、1004(t)で受信した反射波1007(又はその複素振幅)は、移相器1031(t)、1031(t)、・・・、1031(t)において位相回転Φ、Φ、・・・、Φを受けた後、加算器1032で加算される。
本実施の形態1においては、移相器1031(t)、1031(t)、・・・、1031(t)による位相回転と、加算器1032による加算とは、データ処理部1093における処理、具体的には、プロセッサを用いたソフトウェアによる処理によって実行できる。
本実施の形態1における物体検知装置1000の原理は、既に述べたとおりサンプリング時間t1、2、・・・、tそれぞれにおける測定データで仮想的なアレイアンテナを構築し、その仮想的なアレイアンテナで到来波の方向を推定する事である。従って、図25で示した一般的なアレイアンテナと同じく、図6で示した仮想アレイにおいてもアレイファクターAF(x)を計算できる。
ここで、x軸とz軸とによる位置座標を設定し、送信部1091の位置を(0,0)、受信部1092の位置を(x,0)、対象物1001の位置を(x,z)とする。仮想的な受信アンテナ21(t)(m=1,2,・・・,M)で受信した反射波1007(t)の振幅と位相とをそれぞれaおよびφとした場合、本発明の仮想アレイにおけるアレイファクターAF(x)は以下の式(13)のように計算される。
Figure 2018025421
また、反射波102(t)の位相φ(m=1,2,・・・,M)は以下の式(14)で与えられる。
Figure 2018025421
ここで、式(14)において、α・Δtは、サンプリング毎のキャリア周波数fの差分(周波数間隔)である。L(x)は送信部1091と対象物1001との距離である、L(x)は受信部20と対象物1001との距離である。cは光速である。また、式(3)において、振幅aがmによらず一定であるとした場合、移相器1031(t)による位相回転Φ(m=1,2,・・・,M)を反射波1007(t)の位相φと等しくなるように設定すると、アレイファクターAF(x)は対象物1001(位置x)の方向において最大となる。この事が、本実施の形態1における、移相器22(t)の位相回転Φ(m=1,2,・・・,M)による仮想アレイの指向性の制御法を示している。
図7は、本発明の実施の形態1における物体検知装置のアンテナ利得の指向性の一例を示す特性図である。具体的には、図7は、上記の式(2)及び(3)を用いた仮想アレイのアレイファクターAF(xd)の計算結果を示している。
図7の例では、物体200の位置(x,z)に対し、仮想アレイのビーム中心がx=80cm、100cm、120cmの位置となるように、移相器22(t)の位相回転Φ(m=1,2,・・・,M)が設定されている。そして、図7の例では、このような場合の、仮想アレイのアレイファクター(すなわちビームパターン)が示されている。
また、図7の例の計算において、周波数間隔α△t=250MHz、サンプリング数M=21、対象物1001のz軸座標位置z=100cm、送信部1091と受信部1092との距離x=100cmに設定されている。
このように、図7から分かるように、本実施の形態1における仮想アレイにおいても、移相器1031(t)の位相回転Φ(m=1,2,・・・,M)によって、仮想アレイの指向性(ビームパターン)の制御が可能である。また、上記の式(2)及び式(3)で与えられるアレイファクターAF(x)から、ビームパターンのビーム幅を計算する事ができる。ビーム幅は、到来方向の推定とイメージング(画像)の分解能とを決定する要素である。また、本実施の形態1において、ビーム幅△xは、以下の式(15)で与えられる。
Figure 2018025421
式(15)において、BWは上述したようにRFキャリア周波数の帯域幅である。周波数間隔α△tとサンプリング数Mとを用いて、BW=α△t×Mと表すことができる。また、式(4)において、h(x,x,z)は、位置変数(x,x,z)の関数である。なお、x=xの場合、h(x,x,z)は[1+(z/x)2]1/2で与えられる。
式(15)が示すように、本実施の形態1における仮想アレイでは、帯域幅BWを広げるほど、ビーム幅△xが縮まり、より高分解能の性能が得られる。但し、一般的なアレイアンテナと同じく、本実施の形態1における仮想アレイでも、グレーティングローブによる虚像が発生する可能性がある。以下に、図8を用いて、虚像の発生について説明する。図8は、本発明の実施の形態に1おける仮想アレイでの虚像の発生を説明する図である。
また、式(16)によって、位相量φ(x)を定義する。
Figure 2018025421
式(16)における位相量φ(x)は、図8において、虚像1033(位置x)を経由して送信部1091から受信部1092に至るまでの電波の位相シフトと、対象物1001(位置x)を経由して送信部1091から受信部1092に至るまでの電波の位相シフトとの差分に対応する。そして、位置xにおいて、位相φ(x)が2πの整数倍となる場合、位置xと対象物の位置xとで同じアレイファクターが得られる。即ち、位置xに実際に対象物が存在しない場合でも、位置xにおいて対象物1001の像(即ち、虚像1033)が発生する事となる。そのため、|φ(x)|<πを満たす領域、すなわち以下の条件式(17)を満たす位置xの範囲が、虚像の発生しない領域(可視領域)として用いる事ができる。
Figure 2018025421
式(17)から、周波数間隔α△tを小さくするほど、即ち、サンプリング間隔を短くするほど、可視領域が広がる事が分かる。可視領域の大きさ(長さ)は概ね周波数間隔α・△tに反比例する。
このように、仮想アレイを用いて反射波の到来方向を推定し、その結果からイメージング処理(画像生成)を行う場合、一方向あたりの画素数は可視領域と分解能の比で与えられる。式(15)と式(17)とが示す結果から、一方向あたりの画素数=可視領域/分解能∝BW/α△t=Mという関係が得られる(BWは帯域幅、α△tは周波数間隔、Mはサンプリング数)。即ち、本実施の形態1では、必要な画素数に応じて、サンプリング数Mを設定すれば良い事となる。
本実施の形態1では、データ処理部1093によって、受信部1092が出力したベースバンド信号のサンプリング時間毎の測定値それぞれに対して、位相が制御される。そして、この位相の制御により、受信部1092における実効的なアンテナ利得の指向性が制御され、更に、アンテナ利得の指向性の制御により、受信部1092に到来する電波の強度分布が測定されるので、対象物1001の位置及び形状の検知が可能となる。このため、従来のように、大量の受信アンテナ及び受信機を用意する必要がない。本実施の形態1によれば、電波を用いた物体の検知において、精度を向上させつつ、装置コスト、サイズ、及び重量の増大化を抑制できる。
続いて、図9を用いて本実施の形態1における物体検知装置の具体的構成について説明する。図9は、本発明の実施の形態1における物体検知装置の具体的構成の一例を示すブロック図である。
図9に示すように、本実施の形態1では、物体検知装置1000は、送信部1091、受信部1092、及びデータ処理部1093に加えて、出力部1094も備えている。また、実際には、本実施の形態1では、送信部1091は送信機で構成され、受信部1092は受信機で構成されている。また、データ処理部1093は、データ処理装置、即ち、計算機(コンピュータ)で構成されている。以下、具体的に説明する。
図9に示すように、送信部1091は、送信アンテナ1003に加え、少なくとも電力増幅器1071と、カプラ1075と、周波数可変機能を持つ発振器1103と、送信制御部1104とを備えている。
送信部1091において、発振器1103は、送信RF信号を出力する。発振器1103から出力された送信RF信号は、電力増幅器1071において増幅された後、送信アンテナ1003から送信RF信号1010として送出される。
送信部1091において、送信制御部1104は、発振器1103が出力するRF信号の周波数を制御する。本実施の形態1では、発振器1103が出力するRF信号の周波数(=送信RF信号1010のキャリア周波数)は、時間の経過と共に連続的に変化するように制御される。特に、図3で示すようにRF信号の周波数を制御する事が望ましい実施の形態である。
また、発振器1103が出力したRF信号は、カプラ1075を経由して、受信部1092内のミキサ1042へと出力される。後述するように、カプラ1075を経由してミキサ1042に出力されたRF信号は、受信部1092のLO信号として使用される。
また、図9に示すように、受信部1092は、受信アンテナ1004に加え、低雑音増幅器1041と、ミキサ1042と、フィルタ1043と、アナログ−デジタル変換器1044と、受信制御部1102とを備えている。
上記図1〜図6を用いて説明したとおり、受信部1092は、それに備えられた受信アンテナ1004によって、対象物1001から反射された電波(RF信号)1007を受信する。受信アンテナ1004で受信されたRF信号1007は、低雑音増幅器1041で増幅された後、ミキサ1042に入力される。
ミキサ1042は、低雑音増幅器1041で増幅された受信RF信号と、カプラ1075を経由して送信部1091から出力されてきたRF信号(受信LO信号)とをミキシングして、ベースバンド信号となる中間周波数信号(IF信号)を生成し、これをフィルタ1043に向けて出力する。フィルタ1043は、ベースバンド信号からノイズを除去し、ノイズが除去されたベースバンド信号をアナログ−デジタル変換器1044に入力する。
アナログ−デジタル変換器1044は、アナログ信号であるベースバンド信号をデジタルベースバンド信号に変換し、得られたデジタルベースバンド信号を受信制御部1102に入力する。上記で得たデジタルベースバンド信号は、式(6)に記載の同相成分(In-phase信号)I(t)に相当する。
受信制御部1102は、同相成分I(t)にヒルベルト変換を掛けて、直交成分(Quadrature信号)Q(t)を生成する。更に、受信制御部1102は、同相成分I(t)と直交成分Q(t)とから式(8)に従って、複素ベースバンド信号r(t)を生成する。生成された複素ベースバンド信号r(t)は、データ処理部1093へと受け渡される。なお、上述したとおり、ミキサ1042の代わりに、直交変調器が用いられて、直交成分Q(t)が生成されても良い。
データ処理部1093は、受け渡された複素ベースバンド信号r(t)に対して、図2〜図8を用いて説明した処理、即ち、受信した電波1007の到来方向の推定処理を実行する。更に、データ処理部1106は、対象物1001のイメージング処理(画像生成)も実行する。その後、データ処理部1106は、処理の結果、即ち、推定した到来方向と生成した画像とを、出力部1094に出力する。出力部1094は、例えば、表示装置であり、画面上に、処理の結果を表示する。
図9で示した例では、送信部1091と受信部1092はそれぞれ一つずつ示されているが、本実施の形態1は、この例に限定されない。本実施の形態1では、物体検知装置1000は、送信部1091と受信部1092とを、それぞれ複数備えていても良い。また、データ処理部1093及び出力部1094は、送信部1091又は受信部1092に内蔵されていても良い。
[装置動作]
次に、本発明の実施の形態1における物体検知装置1000の動作について図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態1における物体検知装置100の動作を示すフロー図である。以下の説明においては、適宜図1〜図8を参酌する。また、本実施の形態1では、物体検知装置を動作させることによって、物体検知方法が実施される。よって、本実施の形態1における物体検知方法の説明は、以下の物体検知装置1000の動作説明に代える。
図10に示すように、最初に、送信部1091において、送信制御部1104は、現在のサンプリング時間tを特定し、送信アンテナ1003が送出するRF信号の周波数(fmin+αt)を算出する(ステップA1)。
次に、送信制御部1104は、周波数(fmin+αt)のRF信号が送信アンテナ1003から送出されるように、発振器1103の制御信号を生成し、これを出力することによって、送信アンテナ1003から、周波数が(fmin+αt)のRF信号を送出させる(ステップA2)。
具体的には、送信制御部1104は、発振器1103の出力周波数が(fmin+αt)となるように制御信号を発振器1103に向けて送出し、発振器1103はキャリア周波数が(fmin+αt)のRF信号を出力する。これにより、同RF信号は、電力増幅器1071で増幅され、送信アンテナ1003から送出される。
また、発振器1103が出力したRF信号は、カプラ1075を経由して、受信部1092内のミキサ1042に対しても送出される。
次に、受信部1092において、受信アンテナ1004が、対象物1001から反射された電波(RF信号)1007を受信する(ステップA3)。
次に、受信制御部1102は、受信されたRF信号から得られたベースバンド信号の同相成分I(t)から、複素ベースバンド信号r(t)を算出する(ステップA4)。
具体的には、ステップA4では、まず、受信アンテナ1004で受信されたRF信号1007は、低雑音増幅器1041で増幅された後、ミキサ1042に入力される。ミキサ1042は、低雑音増幅器1041で増幅された受信RF信号に、カプラ1075経由で送信部1091から出力されてきたRF信号をLO信号としてミキシングして、ベースバンド信号(同相成分I(t))を生成する。ベースバンド信号(同相成分I(t))は、フィルタ1043を経由して、アナログ−デジタル変換器1044に入力され、そこでデジタル信号に変換される。受信制御部1102は、このデジタル変換されたベースバンド信号(同相成分I(t))から、複素ベースバンド信号r(t)を算出する。
次に、データ処理部1093は、複素ベースバンド信号r(t)を用いて、受信した電波1007の到来方向を推定し、更に、推定結果を用いて、対象物1001のイメージング処理を実行する(ステップA5)。
また、本実施の形態1では、ステップA1〜A5は繰り返し実行され、繰り返し行なわれた処理の結果は、出力部1094によって、画面上に、表示される。
[実施の形態1による効果]
以上のように、本実施の形態1によれば、従来のように、大量の受信アンテナ及び受信機を用意することなく、物体を精度良く検知できる。また、受信アンテナの数を増やす必要がないので、装置コスト、サイズ、及び重量の増大化が抑制される。
加えて、本実施の形態1では、電波の送信及び受信の方式として、FM−CW方式が採用されている。このため、受信部1092に発振器を設ける必要がなく、この点でも装置コストが削減できる。更に、受信部1092で発振器が不要であるため、送信部1091内の発振器1103と受信部1092内の発振器で同期を取る必要が無く、結果として送信部1091と受信1092の間の同期エラーとそれに起因する検知精度の劣化も発生しない。
なお、実施の形態1における物体検知装置1000は、後述する実施の形態2及び実施の形態3において利用される。実施の形態1で行なわれる処理は、実施の形態2における対象物1001の位置(特に1次元の方向)を推定する処理、実施の形態3における対象物1001の配置状況及び形状を2次元画像で表示する処理に用いられる。これらの処理もまたデータ処理部1093において実施される。
(実施の形態2)
続いて、本発明の実施の形態2における物体検知装置及び物体検知方法について、図11〜図13を参照しながら説明する。
本実施の形態2は、実施の形態1で示した物体検知装置1000を用いて、対象物の位置、特に一次元の方向を推定する例を示している。従って、本実施の形態2においても、物体検知装置は、図1及び図9に示した、送信部1091、受信部1092、及びデータ処理部1093を備えている。但し、本実施の形態2は、受信部1092の個数の点で、実施の形態1と異なっている。以下、具体的に説明する。
図11は、本発明の実施の形態2における物体検知装置の構成及び動作原理を示す図である。まず、本実施の形態2においては、物体検知装置は、1つの送信部に対して、N個の受信部を備えている。従って、図11に示すように、本実施の形態2では、物体検知装置は、一本の送信アンテナ1003と、N本の受信アンテナ1004、・・・、1004、・・・、1004とを備えている。なお、以下において、特定の受信アンテナを示さない場合では、「受信アンテナ1004」と表記することとする。
また、図11に示すように、本実施の形態2では、各受信アンテナは、送信アンテナを基準にした一方向に沿って設置されている。具体的には、送信アンテナ1003と各受信アンテナ1004とはx軸上(z=0)に設置されている。送信アンテナ1003の位置は(x,z)座標で(d,0)とする。また、N本の受信アンテナ1004の位置をそれぞれ(dx1,0),(dx2,0),・・・,(dxN,0)とする。
なお、物体検知装置は、受信アンテナの数Nが最小の1であっても動作可能である。但し、ここでは、理論に一般性を持たせるため、N本の受信アンテナの場合を扱う。また、対象物1001はz=zの軸上において、D個の位置(x,z),(x,z),・・・,(x,z)に設置されるものとする。また、説明を簡単にするため、送信アンテナ1003、受信アンテナ1004、及び対象物1001の位置は、上記の位置に固定されているものとする。
そして、このような構成において、データ処理部は、各受信アンテナ1004で受信されたベースバンド信号の測定値から、電波の到来方向を推定する。また、データ処理部は、推定した電波の到来方向に基づいて、電波の強度分布を特定し、特定した強度分布に基づいて、対象物1001の一方向における位置を検知する。
また、データ処理部は、サンプリング時間毎のベースバンド信号の測定値から時間仮想アレイを構築し、前記時間仮想アレイの相関行列を算出する。より詳細には、データ処理部は、サンプリング時間が異なるベースバンド信号の測定値から時間仮想アレイのサブアレイを構築し、前記サブアレイ毎の相関行列を算出し、前記サブアレイ毎の相関行列の平均値を算出する。そして、データ処理部は、前記相関行列の平均値に基づいて、対象物1001の位置を反映する評価関数を求め、求めた評価関数から対象物1001の画像を生成する。以下に、本実施の形態2における物体検知装置で行なわれる処理について具体的に説明する。
まず、本実施の形態2においても、本実施の形態1と同じく、送信アンテナ1003からはFM−CW信号が送出される。
受信アンテナ1004は、対象物1001からの反射波1007を受信する。
ここで、d番目(d=1,2,・・・,D)の対象物1001で反射され、n番目の受信アンテナ1004で受信した反射波1007から得られる複素ベースバンド信号をsxn(x,t)とする。添字の「xn」は、x軸方向に配置されたn番目の受信アンテナ1004で受信された信号であることを意味している。また、ここではサンプリング時間t(m=1,2,・・・,M)における複素ベースバンド信号sxn(x,t)が取得すべきデータとなる。
各受信アンテナ1004で実際に受信される信号は、それぞれ全ての対象物1001(d=1,2,・・・,D)からの反射波1007の合成であり、個別対象からの反射波1007の複素振幅sxn(x,t)は未知数である。受信アンテナ1004で実際に測定される信号の複素振幅をsxn’(t)とすると、sxn’(t)とsxn(x,t)との間に以下の関係がある。
Figure 2018025421
なお、上記式(18)におけるsxn’(t)は、実施の形態1で説明した式(8)の複素ベースバンド信号r(t)に相当するものである。
次に、各対象物1001(d=1,2,・・・,D)から反射され、n番目の受信アンテナ1004で受信された反射波1007の複素振幅sxn(x,t)について、詳細解析する。送信アンテナ1003と対象物1001までの距離L(x)と、n番目の受信アンテナ1004と対象物1001までの距離Lxn(x)は、以下の式(19)と(20)で与えられる。
Figure 2018025421
Figure 2018025421
送信アンテナ1003から送出されるRF信号1010の複素振幅sと、n番目の受信アンテナ1004で受信された反射波1007から得られる複素振幅sxn(x,t)との間には、以下の関係がある。
Figure 2018025421
式(21)において、σ(x)は対象物1001の反射率を表す未知数である。式(21)右辺内の指数項は、対象物1001経由で送信アンテナ1003から受信アンテナ1004に至るまでの経路で生じる電波の位相シフトを表している。式(21)を式(18)に代入する事で、以下の式(22)が得られる。
Figure 2018025421
続いて、データ処理部で行なわれる処理(解析)について説明するが、その前に、いくつかの信号を以下に定義する。式(11)左辺の信号sxn’(t)(n=1,2,・・・,N,m=1,2,・・・,M)を用いて、測定信号ベクトルsを以下の式(23)によって定義する。
Figure 2018025421
添字[]はベクトル又は行列の転置を表す。次に、式(11)右辺内に含まれる指数項を用いて、方向行列Aを、以下の式(24)によって定義する。
Figure 2018025421
式(24)において、行列AのサイズはMN×D、行列AのサイズはM×D、ベクトルa(x)のサイズはM×1となる。なお、本明細書では行列のサイズを縦×横の要素数で表記する。また、式(11)右辺内の変数sとσ(x)を用いて、所望信号ベクトルsを以下の式(25)によって定義する。
Figure 2018025421
また、本実施の形態2では、受信アンテナ1004による測定で所望信号ベクトルsのx依存性(即ち、σ(x))を反映した評価関数を決定する事が目的となる。所望信号ベクトルsのx依存性から、対象物1001の分布及び形状が検知される。上記の式(22)の関係は、測定信号ベクトルs、方向行列A、所望信号ベクトルsを用いて、以下の式(26)のように表現できる。
Figure 2018025421
なお、式(22)から式(26)への展開にあたり、式(26)の右辺にノイズ(乱数)を要素とするMN×1次のベクトルn(t)が新たに付加されている。このノイズ(乱数)n(t)の不可は、データ処理部において人為的に行なわれる。また、一つのサンプリング時間tに対し、n(t)を定義する時間tの点数(スナップショット数)は1よりも大きい。
後述するようにMUSIC法の適用条件として行列Aはフルランクである事が要求される。ノイズベクトルn(t)を付加する事は、行列A内の列ベクトルないし行ベクトルの従属性を実効的に破壊し、行列Aをフルランクに近付ける効果がある。
本実施の形態2においては、式(23)で定義された測定信号ベクトルs(t)が、受信アンテナ1004で受信される。そして、データ処理部は、受信された測定信号ベクトルsを用いて、以下の式(27)に示す相関行列Rを計算する。
Figure 2018025421
式(27)内におけるE[]は、ノイズ(乱数)ベクトルn(t)を定義する時間tの点数(スナップショット数)に渡る平均を表す。
式(27)に示す相関行列Rの定義に、上記の式(26)を代入する事で、以下の式(28)によって相関行列Rと方向行列Aとの関係が導かれる。
Figure 2018025421
式(28)において、Pはノイズ電力、IはMN×MN次の単位行列である。添字Hは複素共役転置を表す。相関行列R、行列A、行列SのサイズはそれぞれMN×MN次、MN×D次、D×D次となる。
ところで、非特許文献1に記載されているように、式(26)と式(28)とが成立する系に対しMUSIC法を適用する事で、所望信号ベクトルsの強度のx依存性(即ち、σ(x))を反映した評価関数PMU(x)を計算できる事が知られている。
但し、MUSIC法の適用条件として、式(28)内の行列Aと行列Sとがフルランクである事が要求される。フルランクとは、行列の階数が行列のサイズ(行数又は列数のうちの少ない方)と一致する事であり、行列内の全ての行ベクトル及び列ベクトルが全て線形独立である事と定義される。
方向行列Aは、各列ベクトルが異なる位置xの関数であるので、各列ベクトルは独立でありフルランクとなる。行列Sの要素を見ると、σ(x)=σ(x)(i≠j)の場合、行列Sの第i行と第j行の行ベクトルが同じ値となり線形従属となるため、階数が一つ下がりフルランクでは無くなる。式(17)は連立方程式と見なせるが、行列Sの階数が減る事は、独立な方程式の数が減る事と等価であり、所望の未知数σ(x)(d=1,2,・・・,D)の情報を得る事が困難になる。
以下では、サブアレイの概念を用いて行列Sをフルランクに戻す手法を示す。本実施の形態1で示したとおり、本実施の形態2においても、一つの周波数を一つのアンテナに見立てて仮想アレイが構築される。
本実施の形態2においては、図12に示すように、サンプリング時間を変えて測定した全てのデータを全体アレイ、サンプリング時間毎のデータをグループに分けてまとめたものをサブアレイと見なす。図12は、本発明の実施の形態2における物体検知装置で用いられるサブアレイの概念を説明する図である。
また、図12に示すように、全体アレイはM個の周波数の測定データで構成され、サブアレイはM個(M>M)の周波数の測定データで構成されている。サブアレイの数をQとすると、Q=M−M+1の関係がある。サブアレイq(q=1,2,・・・,Q)の測定信号ベクトルsxqは、以下の式(29)によって定義される。
Figure 2018025421
この時、式(29)のサブアレイqの測定信号ベクトルsxqには、式(24)の方向行列Aと式(14)の所望信号ベクトルsとの間において、以下の式(30)で与えられる関係がある。
Figure 2018025421
ここで、サンプリング時間t,t,・・・,tは等間隔であり、その間隔(サンプリング周期)をΔtとしている。すなわち、t=m・Δt,(m=1,2,・・・,M)とする。サブアレイqの相関行列Rxqは、以下の式(31)のように計算される。
Figure 2018025421
式(31)において、相関行列Rxq、行列A’、行列S’のサイズは、それぞれNM×NM次、NM×ND次、ND×ND次となる。次に全てのサブアレイq(q=1,2,・・・,Q)の相関行列の平均R’を計算する。全サブアレイ平均の相関行列R’と方向行列Aの関係は以下の式(32)のように計算される。
Figure 2018025421
式(32)内の相関行列R’とは、式(17)の相関行列と同じくA’S”A’の形を持つ。そこで、行列A’とS”がフルランクであれば、相関行列R’にMUSIC法を適用して所望信号ベクトルsの強度のx依存性(すなわちσ(x))を反映した評価関数PMU(x)を計算できる。
方向行列A,A,・・・,Aは、それぞれ独立かつフルランクであるので、式(31)で与えられる行列A’もまたフルランクである。
次に行列S”について考察する。式(17)において、全ての対象物の反射率が同じ状況、すなわちσを定数としてσ=σ(x)=σ(x)=・・・=σ(x)となっている状況を考える。この時、行列Sの階数は1となり、MUSIC法を適用する上では最も厳しい状況となる。このような状況においても、条件を満たせば式(21)の行列S’’がフルランクになる事を示す。σ=σ(x)=σ(x)=・・・=σ(x)の場合に、式(32)の行列S’を計算した結果は、以下の式(33)となる。
Figure 2018025421
行列Cにおいて、biu=biv(u≠v)であれば、行列Cの第u行と第v行の行ベクトルが同じ値となり線形従属となるため、階数が一つ下がりフルランクでは無くなる。一方、式(30)で見られるように、bidは距離L(x)とL(x)の関数であり、位置xが異なればこれらの距離は異なる値を取るので、biu=biv(u≠v)が満たされる事はなく、Cはフルランクとなる。
の行列サイズはD×Qであるので、Cの階数はDとQの小さい方となる。したがってQ≧DであればCのランクはDとなり、S”ijの階数もDとなりフルランクの条件が満たされる。また、各S’’ijは独立であるので、S”はフルランクとなる。
式(28)の行列Sは、位置xが異なっても反射率σ(x)は同じ値を取り得るという条件から、フルランクにならない場合があった。一方で行列S”は、位置xが変化すれば距離L(x)とL(x)も必ず変化するという性質から、フルランクになる事が保証されている。
Q<Dの状況においてS”の階数はQになり、サブアレイの数Qを一つ増やす毎にS”の階数も一つ増える。この事は、各サブアレイは互いに独立な信号集合であり、サブアレイの数Qを一つ増やす事で独立な信号集合が一つ増えるので、行列S”の階数も一つ増える、と解釈できる。
なお、Q=M−M+1の関係とMUSIC法のもう一つの適用条件MN≧D+1も含めて考えると、必要となる周波数の個数Mの条件は、以下の式(34)で与えられる。すなわち、必要となる周波数の個数Mは、検知すべき位置の数Dに比例して増大する。
Figure 2018025421
非特許文献1では、一般的なアレイアンテナの相関行列に対しMUSIC法を適用する事で、到来方向推定と行っている。本実施の形態2では、式(21)で計算した全サブアレイ平均の相関行列R’に対し、(形式的に一般的なアレイアンテナに適用するのと同じ方式で)MUSIC法を適用する事で、所望信号ベクトルsの強度のx依存性(即ち、σ(x))を反映した評価関数PMU(x)が計算される。この時、評価関数PMU(x)は、以下の式(35)で与えられる。
Figure 2018025421
ここで、a(x)は式(34)で定義された方向行列Aの列ベクトルである。また、Eは以下の式(36)で与えられる。
Figure 2018025421
ここでベクトルe(k=D+1,D+2,・・・,MN)は、相関行列R’の固有ベクトルの内、その固有値がノイズ電力に等しいものである。MUSIC法によれば、式(35)の評価関数PMU(x)は、対象物1001(d=1,2,・・・,D)の位置xにおいてピークを与える。
したがって、評価関数PMU(x)がピーク値を与える位置xから、対象物1001(d=1,2,・・・,D)の位置xを割り出す事ができる。MUSIC法を適用する場合、(MN−D)個のノイズ空間の固有ベクトル{eD+1,eD+2,・・・,eMN}が利用されるが、それが最低1個必要であるので、MN−D≧1、すなわちMN≧D+1を満たす必要がある。
上述の例では、MUSIC法を用いて対象物1001(d=1,2,・・・,D)の位置xが検知されている。但し、本実施の形態2では、相関行列R’に対し、(形式的に一般的なアレイアンテナに適用するのと同じ方式で非特許文献1に記載の)ビームフォーマ法、Capon法、線形予測法を適用する事で、所望信号ベクトルs(t)の強度のx依存性(即ち、σ(x))を反映した評価関数を計算する事もできる。本実施の形態2におけるビームフォーマ法に基づく評価関数PBF(x)は、以下の式(37)で与えられる。
Figure 2018025421
また、本実施の形態2におけるCapon法に基づく評価関数PCP(x)は、以下の式(38)で与えられる。
Figure 2018025421
また、本実施の形態2における線形予測法に基づく評価関数PLP(x)は、以下の式(39)で与えられる。
Figure 2018025421
上記の評価関数PBF(x),PCP(x),PLP(x)も、MUSIC法により得られる評価関数PMU(x)と同じく物対象物1001(d=1,2,・・・,D)の位置xにおいてピーク値を取る。従って、評価関数がピーク値を与える位置xから、対象物1001(d=1,2,・・・,D)の位置xを割り出す事ができる。
上述の本実施の形態2において開示した処理、即ち、反射波の測定結果から評価関数を算出し、その評価関数から対象物の位置を割り出す処理は、図9に示したデータ処理部1093によって実行される。また、本実施の形態2における評価関数を算出して評価関数のピークを探索する過程は、実施の形態1における、移相器1031と加算器1032とによる制御を行って、受信信号強度が最大になるビーム方向を探索する過程に対応している。
また、本実施の形態2では、送信部と受信部とを結ぶ方向の座標(即ち、x軸)の位置情報x(即ち、一次元方向の位置)のみを検知する事ができる。何故なら、送信部と受信部とを備えた物体検知装置は、x軸を軸とした回転対称性があるため、対象物1001のx軸以外の座標値が異なっていても区別ができないからである。X軸以外の座標の位置情報も検知する方法については、実施の形態3において後述する。
続いて、図13を用いて、本実施の形態2における物体検知装置の動作について説明する。図13は、本発明の実施の形態2における物体検知装置の動作を示すフロー図である。また、本実施の形態2においても、物体検知装置を動作させることによって、物体検知方法が実施される。よって、本実施の形態2における物体検知方法の説明は、以下の物体検知装置1000の動作説明に代える。
図13に示すように、最初に、物体検知装置において、送信部が対象物に向け周波数を変化させながら電波を照射する(ステップB1)。
次に、複数の受信部それぞれは、対象物からの各周波数の反射波を、対応する受信アンテナによって受信する(ステップB2)。各受信アンテナは、送信部から見て一つの方向に配置されている。
次に、データ処理部は、q番目からq+M番目までのサンプリング時間の受信信号を用いて相関行列Rxq(q=1,2,・・・,Q,Q=M−M+1)を計算する(ステップB3)。
次に、データ処理部は、計算したQ個の相関行列Rxq(q=1,2,・・・,Q)を平均した相関行列R’を計算し(ステップB4)、更に、相関行列R’から対象物の位置を反映する評価関数を計算する(ステップB5)。
その後、データ処理部は、評価関数のピークから対象物の位置を算出する(ステップB6)。算出結果は、出力部に出力される。
以上のように、本実施の形態2によれば、大量の受信アンテナを用意することなく、対象物の一次元の方向を推定することができる。また、本実施の形態2においても、実施の形態1で述べた効果を得ることができる。
(実施の形態3)
続いて、本発明の実施の形態3における物体検知装置及び物体検知方法について、図14〜図18を参照しながら説明する。
本実施の形態3は、実施の形態1で示した物体検知装置1000による仮想アレイの概念に基づいて、対象物の配置及び形状を識別するための二次元画像を生成する例を示している。従って、本実施の形態3においても、物体検知装置は、図1及び図9に示した、送信部1091、受信部1092、及びデータ処理部1093を備えている。但し、本実施の形態3は、受信部1092の個数の点で、実施の形態1と異なっている。以下、具体的に説明する。
図14は、本発明の実施の形態3における物体検知装置の構成及び動作原理を示す図である。また、図14には、各アンテナと対象物との位置関係が示されている。まず、本実施の形態3における物体検知装置においては、受信アンテナ1004は、送信部の送信アンテナ1003を基準にしたN(N=2,3,・・・)方向に沿って設置されている。また、データ処理部は、複数の受信部それぞれが生成したベースバンド信号の積を算出し、算出した積に基づいて、N方向を座標軸とするN次元の座標空間における、対象物1001の位置を検知する。
具体的には、送信アンテナ1003が座標の原点の位置に設置され、受信部の受信アンテナ1004(x)と受信アンテナ1004(y)とがそれぞれx軸上とy軸上とに設置されている。この場合、N=2である。
本実施の形態3では、送信アンテナ1003と受信アンテナ1004(x)を結ぶ方向と、送信アンテナ1003と受信アンテナ1004(y)を結ぶ方向とが、互いに異なる方向である事(平行でない事)が、2次元の画像を得る上で望ましい態様である。なお、送信アンテナ1003と受信アンテナ1004(x)を結ぶ方向と、送信アンテナ1003と受信アンテナ1004(y)を結ぶ方向とが直交している必要は必ずしも無い。
送信アンテナ1003からRF信号(電波)1010が、焦平面1002上に存在する対象物1001に向けて照射される。RF信号1010が対象物1001に照射された後、対象物1001からの反射波1007(x)と反射波1007(y)とが、それぞれ受信アンテナ1004(x)と受信アンテナ1004(y)とにおいて受信される。本実施の形態3においても、実施の形態1及び2と同様に、送信アンテナ1003が出力するRF信号1010のキャリア周波数は、時間の経過と共に連続的に変化する。
また、図14に示す実施の形態3は、図26で示したMills cross法における2つのアレイアンテナ201を、それぞれ周波数仮想アレイに置換する事を意図している。具体的には、図27で示したMills cross法における2つのアレイアンテナ201は、送信アンテナ1003と受信アンテナ1004(x)との組で構成される仮想アレイと、送信アンテナ1003と受信アンテナ1004(y)との組で構成される仮想アレイとに置換される。従って、本実施の形態3において、2次元画像の生成に必要なアンテナの数は最小の場合3本で良いという事になる。
次に、図15及び図16を用いて、本実施の形態3における物体検知装置による2次元画像の生成処理の詳細について説明する。図15及び図16は、本発明の実施の形態3における2次元周波数仮想アレイの相関行列の計算方法を説明する説明図である。また、図15及び図16では、2次元画像生成の動作解析のための計算モデルが示されている。
図15及び図16に示すように、本実施の形態3の計算モデルでは、x軸に1本の送信アンテナ1003(x)とN本の受信アンテナ1004(x)、・・・、1004(x)が設置されている。更に、本実施の形態3の計算モデルでは、y軸にも、1本の送信アンテナ1003(y)とN本の受信アンテナ1004(y)、・・・、1004(y)が設置されている。
xyz軸座標で、x軸上の送信アンテナ1003(x)の位置を(dx,0,0),n番目の受信アンテナ1004(x)の位置を(dx,0,0)とする。また、y軸上の送信アンテナ1003(y)の位置を(0,dy,0),n番目の受信アンテナ1004(y)の位置を(0,dy,0)とする。
また、対象物1001はz=zの平面上でD個の位置(x,y,z),(x,y,z),・・・,(x,y,z)に設置されるものとする。説明を簡単にするため、物体検知装置(送信アンテナ1003及び受信アンテナ1004)と対象物1001との位置関係は上記の位置関係に固定されているものとする。
また理論計算上では、図15で示すようにx軸上の送信アンテナ1003(x)が送信している時はx軸上の受信アンテナ1004(x)、・・・、1004(x)のみが受信を行い、y軸上の送信アンテナ1003(y)が送信している時はy軸上の受信アンテナ1004(y)、・・・、1004(y)のみが受信を行うものとする。
また、図15及び図16の例では、x軸とy軸とで別々に送信アンテナ1003(x)と送信アンテナ1003(y)とが配置されているが、これは理論の説明に一般性を持たせるためである。実用上は、送信アンテナ1003(x)と送信アンテナ1003(y)とは、一本の送信アンテナで構成されていても良く、その場合は、この一本の送信アンテナが送信している時に、x軸上にある受信アンテナとy軸上にある受信アンテナとで同時に受信を行えばよい。
また、本実施の形態3においても、実施の形態1及び2と同じく、送信アンテナ1003(x)及び送信アンテナ1003(y)は、M個のキャリア周波数αt,αt,・・・,αtのRF信号1010を送信する。RF信号1010の変調は、本実施の形態3においても、上述したFM−CW方式によって行なわれる。
対象1001(d=1,2,・・・,D)から反射され、x軸上のn番目の受信アンテナ1004(x)で受信されたRF信号1007のサンプリング時間tにおける複素振幅をsxn(x,y,t)とする。また、x軸上のn番目の受信アンテナ1004(x)で実際に測定される受信信号(各対象からの反射波の合成)の複素振幅をs(t)とする。sxn(t)とsxn(x,y,t)との間には、以下の式(40)に示す関係がある。
Figure 2018025421
また、y軸上のn番目の受信アンテナ1004(y)についても同様の信号syn(t)およびsyn(x,y,t)を定義すると、この場合も、以下の式(41)に示すように、式(29)と同様の関係が成立する。
Figure 2018025421
また、対象物1001とx軸上の送信アンテナ1003(x)との距離Lxo(x,y)は、以下の式(42)で与えられる。また、対象物1001とx軸上のn番目の受信アンテナ1004(x)との距離Lxn(x,y)は、以下の式(43)で与えられる。
Figure 2018025421
Figure 2018025421
y軸上の送信アンテナ1003(y)およびn番目の受信アンテナ1004(y)に関しても同様に対象1001との距離をそれぞれLyo(x,y)とLyn(x,y)とすると、それらは以下の式(44)と(45)で与えられる。
Figure 2018025421
Figure 2018025421
送信アンテナ1003(x)から送出されるRF信号の複素振幅sと、x軸上のn番目の受信アンテナ1004(x)で受信されたRF信号から得られる複素振幅s(x,y,t)との間には、以下の式(46)に示す関係がある。
Figure 2018025421
式(46)において、σ(x,y)は、対象物1001(d=1,2,・・・,D)の反射率を表す未知数である。また、y軸上の受信アンテナ1004(y)についても、以下の式(47)に示すように、同様の関係が成立する。
Figure 2018025421
式(47)を式(40)に代入することで、以下の式(48)が得られ、式(48)を式(41)に代入する事で、以下の式(49)が得られる。
Figure 2018025421
Figure 2018025421
次に、x軸上のn番目の受信アンテナ1004(x)(n=1,2,・・・,N)における測定信号sxn(t)を用いて、以下の式(50)に示すように、測定信号ベクトルsを定義する。
Figure 2018025421
y軸方向の受信アンテナ1004(y)(n=1,2,・・・,N)における測定信号についても、以下の式(51)に示すように同様に定義する。
Figure 2018025421
次に、Mills cross法の手法に従い、上記の式(50)のx軸方向測定ベクトルsの要素と上記の式(51)のy軸方向測定ベクトルsの要素との全ての組み合わせについて積を算出すると、以下の式(52)に示す直積ベクトルsxyが生成される。なお、ここでいう「積」は、上述した「ベースバンド信号の積」に該当する。
Figure 2018025421
式(52)において、nとvはそれぞれx方向とy方向に配置されたアンテナ番号、mとwはそれぞれx方向とy方向に配置されたアンテナで受信した信号の周波数番号を表す添字である。次に、以下の式(53)によって方向行列Aを定義する。
Figure 2018025421
式(53)において、方向行列Aのサイズは(MN)2×D、行列AnvのサイズはM2×D、ベクトルanv(x,y)のサイズはM×1となる。行列Anvは、n番目のx方向アンテナ1004(x)とv番目のy方向アンテナ1004(y)が関与する方向行列である。系全体の方向行列Aは、全てのアンテナ番号の組(n,v)の方向行列Anvをまとめたものとなる。
ここで上述した1次元到来方向推定の場合と同じく、複素振幅sと反射率σ(x,y)を用いて、以下の式(54)によって所望信号ベクトルsを定義する。
Figure 2018025421
式(48)及び(49)から、式(52)の測定信号ベクトルsxy(t)と、式(53)の方向行列Aと、式(54)の所望信号ベクトルsとの間には、以下の式(55)に示す関係式が得られる。式(55)では、ノイズ(乱数)を要素とするベクトルn(t)を付加している。
Figure 2018025421
次に、測定で得た式(52)の測定信号ベクトルsxyを用いて、相関行列Rxyを計算する。式(55)の関係から、相関行列Rxyと方向行列Aの関係は、以下の式(56)で与えられる。
Figure 2018025421
式(56)において、Pはノイズ項n(t)の平均電力、Iは(MN)×(MN)次の単位行列である。相関行列Rxy、行列A、行列Sのサイズはそれぞれ(MN)×(MN)次、(MN)×D次、D×D次となる。
式(55)と式(56)とは、実施の形態2で議論した1次元到来方向推定における式(26)と式(28)と同型である。よって、1次元到来方向推定と同じ手順で相関行列Rxyに対しMUSIC法を適用する事で、σ(x,y)を反映した評価関数PMU(x,y)を計算できる。
但し、1次元到来方向推定の場合と同じく、MUSIC法の適用条件として式(56)内の行列Aと行列Sとがフルランクである事が要求される。そして上述の説明と同じく、方向行列Aはフルランクであるが、行列Sはσ(x)=σ(x)(i≠j)となる場合においてフルランクではない。そのため、サブアレイ法によって行列Sがフルランクになるように処理を行う必要がある。
2次元画像生成の場合においても、本実施の形態2で説明した1次元到来方向推定におけるサブアレイ法と同じ手順で、M個の周波数で一つのサブアレイが構築され、合計Q個のサブアレイが構築される。全体のサンプリング時間の個数をMとすると、Q=M−M+1の関係がある。q番目のサブアレイ信号は、以下の式(57)によって定義される。信号ベクトルsxyの成分sxy(nv)(mw)のサンプリング時間を表す添字mとwとを同時に+(q−1)個シフトしたものが、q番目のサブアレイ信号となる。
Figure 2018025421
式(57)のサブアレイ信号sxy と、式(42)の方向行列との間には、以下式(58)に示す関係式が成立する。
Figure 2018025421
サブアレイqの相関行列R は、以下の式(59)のように計算される。
Figure 2018025421
式(59)において、相関行列Rxy 、行列A’、行列S’のサイズは、それぞれ(NM)×(NM)次、(NM)×ND次、ND×ND次となる。次に全てのサブアレイq(q=1,2,・・・,Q)の相関行列の平均Rxy’を計算する。全サブアレイ平均の相関行列Rxy’と方向行列A’との関係は以下の式(60)のように計算される。
Figure 2018025421
上述の実施の形態2で示した1次元到来方向推定の場合と同様にして、以下の事が示される。
(1)行列A’とS”がフルランクであれば、相関行列Rxy’にMUSIC法を適用してσ(x,y)を反映した評価関数PMU(x,y)を計算できる。
(2)行列A’については、方向行列A11,A12,・・・,A1N,・・・,AN1,・・・,ANNはそれぞれ独立かつフルランクであるので、式(59)で与えられるA’もまたフルランクである。
(3)行列S’’は、Q≧Dであればフルランクとなる。1次元到来方向推定におけるMUSIC法の適用条件MN≧D+1は、2次元画像生成では(MN)≧D+1となる。これとサブアレイにおける条件Q=M−M+1とQ≧Dを考慮すると、必要となるサンプリング時間の個数(周波数の数)Mの条件は、以下の式(61)で与えられる。即ち、必要となるサンプリング時間の個数Mは、検知すべき位置の数Dに概ね比例して増大する。
Figure 2018025421
次に、式(60)で計算した全サブアレイ平均の相関行列Rxy’にMUSIC法を適用する事で、σ(x,y)を反映した評価関数PMU(x,y)を計算する。その結果、以下の式(62)に示す評価関数が得られる。
Figure 2018025421
ここで、a(x,y)は式(42)で定義された方向行列Aの列ベクトルである。また、Eは以下の式(63)で与えられる。
Figure 2018025421
ここでベクトルe(k=D+1,D+2,・・・,(MN))は、相関行列Rsxy’の固有ベクトルの内、その固有値がノイズ電力に等しいものである。
評価関数PMU(x,y)は対象物1001の位置(x,y)(d=1,2,・・・,D)においてピークを与える。従って、評価関数PMU(x,y)から対象物1001の位置情報(x,y)(d=1,2,・・・,D)を検知し、そこから対象物1001の分布ないし形状を検知する事ができる。
上記ではMUSIC法を用いて対象物1001(d=1,2,・・・,D)の位置を検知したが、相関行列Rsxy’に対し、(形式的に一般的なアレイアンテナに適用するのと同じ方式で非特許文献1に記載の)ビームフォーマ法、Capon法、線形予測法を適用する事で、各方式の評価関数を計算する事もできる。
上記の考察に従い、本実施の形態3におけるビームフォーマ法に基づく評価関数PBF(x,y)は、以下の式(64)で与えられる。
Figure 2018025421
また、本実施の形態3におけるCapon法に基づく評価関数PCP(x,y)は、以下の式(65)で与えられる。
Figure 2018025421
また、本実施の形態3における線形予測法に基づく評価関数PLP(x,y)は、以下の式(66)で与えられる。
Figure 2018025421
上記の評価関数PBF(x,y),PCP(x,y),PLP(x,y)も、MUSIC法により得られる評価関数PMU(x,y)と同じく物対象物1001(d=1,2,・・・,D)の位置(x,y)においてピーク値を取る。従って、評価関数がピーク値を与える位置(x,y)から、対象物1001(d=1,2,・・・,D)の位置xを割り出す事ができる。
本実施の形態3において開示された処理、即ち、反射波の測定結果から評価関数を算出し、その評価関数から対象物の位置を割り出す処理も、実施の形態2と同様に、図9に示したデータ処理部1093によって実行される。また、本実施の形態3における評価関数を算出して評価関数のピークを探索する過程は、実施の形態1における、移相器1031と加算器1032とによる制御を行って、受信信号強度が最大になるビーム方向を探索する過程に対応している。
続いて、図17を用いて、本実施の形態3における物体検知装置の動作について説明する。図17は、本発明の実施の形態3における物体検知装置の動作を示すフロー図である。また、本実施の形態3においても、物体検知装置を動作させることによって、物体検知方法が実施される。よって、本実施の形態3における物体検知方法の説明は、以下の物体検知装置1000の動作説明に代える。
図17に示すように、最初に、物体検知装置において、送信部が対象物に向けRFキャリア周波数を変化させながら電波を照射する(ステップC1)。
次に、複数の受信部それぞれは、対象物からの反射波を、対応する受信アンテナによって受信する(ステップC2)。各受信アンテナは、送信部から見て2つの方向に配置されている。
次に、データ処理部は、q番目からq+M番目までのサンプリング時間の受信信号を用いて相関行列Rxy (q=1,2,・・・,Q,Q=M−M+1)を計算する(ステップC3)。
次に、データ処理部は、計算したQ個の相関行列Rxy (q=1,2,・・・,Q)を平均した相関行列Rxy’を計算し(ステップC4)、更に、相関行列Rxy’から対象物1001の位置を反映する評価関数を計算する(ステップC5)。
その後、データ処理部は、評価関数のピークから対象物の位置を算出し、更に、対象物の配置及び形状を、二次元画像として出力部に出力する(ステップC6)。
ここで、図18を用いて、本実施の形態3における物体検知装置により得られる2次元画像の例について説明する。図18は、本発明の実施の形態3における物体検知装置から出力された画像の一例を示す図である。
図18の例では、対象物1001は、(x,y,z)座標表示で、(−20cm,−20cm,100cm)、(0cm,0cm,100cm)、(20cm,20cm,100cm)の3箇所に配置されているとする。
また、送信アンテナ1003は(−100cm,−100cm,0cm)の位置に配置されている。受信アンテナ1004は(0cm,−100cm,0cm)の位置と、(−100cm,0cm,0cm)の位置とに配置されているとする。
また、送信アンテナ1003は、76GHzから81GHzの間(帯域幅BW=5GHz)でキャリア周波数を変化させるFM−CW変調を掛けたRF信号1010を対象物1001に向けて照射しているとする。1チャープ周期(Tchirp)内におけるサンプリング時間の個数(全ての周波数の数)Mは21、サブアレイの数Qは10、一つのサブアレイあたりの個数(周波数の数)Mは12であるとする。サンプリング周期Δtとサンプリング時間の周波数変化率αは、αΔt=250MHzとなるように設定している。このような条件下においては、図18に示すように、実際に3箇所に配置されている対象物1001が検知される。そして、各対象物1001は、2次元画像上で表示される。
また、図14〜図18の例は、受信アンテナが2方向(N=2)に沿って設置されている場合について説明しているが、本実施の形態3は、受信アンテナが3方向(N=3)以上に沿って設置されている場合にも、適用できる。特に、受信アンテナが直交する3方向に沿って設置されている場合は、対象物の3次元空間での位置を特定できる。
(実施の形態4)
続いて、本発明の実施の形態4における物体検知装置及び物体検知方法について、図19〜図21を参照しながら説明する。
図19は、本発明の実施の形態4における物体検知装置の概略構成を示す図である。図18に示すように、本実施の形態4では、物体検知装置1200は、複数の物体検知ユニット1202(p=1,2,・・・,P)を備えている。また、各物体検知ユニット1202(p=1,2,・・・,P)は、送信部1091と受信部1092との組を備えている。ここで、Pは物体検知ユニット1202の個数を示している。
そして、物体検知ユニット1202において、送信部1091は対象物1201p1、1201p2、・・・、1201pQに電波を照射し、受信部1092は対象物1201p1、1201p2、・・・、1201pQからの反射波を受信する。これにより、対象物1201p1、1201p2、・・・、1201pQの状態が検知される。Qは対象物1201の個数である。
また、物体検知装置1200は、対象物1201p1、1201p2、・・・、1201pQが人である場合は、人(1201p1、1201p2、・・・、1201pQ)が着用している衣服を透過した電波によって、衣服下にある物品の存在を検知することができる。
更に、物体検知装置1200は、対象物1201p1、1201p2、・・・、1201pQが物体(特に誘電体)である場合は、物体(1201p1、1201p2、・・・、1201pQ)を透過した電波によって、物体(1201p1、1201p2、・・・、1201pQ)の内部構造を検知することができる。
物体検知装置1200は、物体検知ユニット1202により、対象物が流れ作業の対象である場合に、対象物1201p1、1201p2、・・・、1201pQの状態を順番に検知することもできる。
また、図19の例では、一つの対象物1201の検知又は検査に対して、一つの物体検知ユニット1202が割り当てられている。但し、本実施の形態4は、これに限定されず、一つの対象物1201の検知又は検査に対して、複数の物体検知ユニット1202が割り当てられていても良い。また、本実施の形態4では、複数の対象物1201の検知又は検査に対し、一つの物体検知ユニット1202が割り当られていても良い。
このように、本実施の形態では、物体検知ユニット1202は小型かつ低コストで実現されるので、物体検知ユニット1202の個数Pを容易に増やす事ができる。従って、図19の例で示した物体検知装置1200においては、対象物1201p1、1201p2、・・・、1201pQ(p=1,2,・・・,P)の検査速度を、物体検知ユニット1202の個数Pに比例して引き上げる事ができる。
ところで、図19に示す物体検知装置1200においては、物体検知ユニット1202(p=1,2,・・・,P)それぞれ同士での干渉によって、誤動作が生じる可能性がある。即ち、送信部1091から受信部1092(p≠r)への電波の回り込みが、誤動作を生じさせる干渉の要因になる。この問題を回避するための構成及び動作について、図20を用いて説明する。
図20は、本発明の実施の形態4における物体検知装置の構成を具体的に示すブロック図である。図20に示すように、本実施の形態4における物体検知装置1200は、複数の物体検知ユニット1200に加えて、データ制御部1203を備えている。データ制御部1203は、物体検知ユニット1202(p=1,2,・・・,P)を構成する送信部1091と受信部1092とを制御する。具体的には、データ制御部1203は、各物体検知ユニット1202に対して、実施の形態1〜3におけるデータ制御部1093と同様の処理を行なう。
また、データ制御部1203は、物体検知ユニット毎に、使用される電波の周波数が異なるように、物体検知ユニットそれぞれを動作させる。具体的には、データ制御部1203は、物体検知ユニット1202のRF周波数fと物体検知装置1202のRF周波数fとを異なる値とする制御を行なっている(p,r=1,2,・・・,P,かつp≠r)。そして、このような制御により、互いに異なる物体検知ユニット1202と物体検知ユニット1202(p≠r)とは、異なるRF周波数で動作する。このため、物体検知ユニット1202と物体検知ユニット1202(p≠r)との間での干渉の発生が抑制される。
ここで、図21を用いて、各物体検知ユニット1202(p=1,2,・・・,P)におけるRF周波数の制御について説明する。図21は、本発明の実施の形態4において行なわれる周波数制御の一例を示す図である。
図3に示したように、本実施の形態4においても、実施の形態1〜3と同様に、各物体検知ユニット1202(p=1,2,・・・,P)では、サンプリング時間t、t、・・・、tにおいて、キャリア周波数(RF周波数)fはfminからfmaxまで連続的に変化する。つまり、各物体検知ユニット1202において、RF周波数の時間変化がチャープ状に制御される。
そして、図21に示すように、本実施の形態4では、データ制御部1203は、各物体検知ユニット1202のRF周波数の時間変化が互いにずれるように制御を行なう。この結果、異なる物体検知ユニット1202と物体検知ユニット1202(p≠r)とが、同じRF周波数で動作する事は無い。
このように、本実施の形態4では、各物体検知ユニット1202に対して、上述したデータ処理部として機能しながら、各各物体検知ユニット1202におけるRF周波数が異なるように制御を行なっている。具体的には、データ制御部1203は、図10に示したステップA1〜A5を実行し、その際、ステップA2において、物体検知ユニット毎に、異なるαtを設定する。
(実施の形態による効果)
以下において、本実施の形態における効果を要約する。一般的なアレイアンテナ方式と本実施の形態1〜4とを比較した場合、アレイアンテナ方式は多数のアンテナを必要とする。その一方で、本実施の形態1〜4では、実際のアンテナの数を増やす代わりに周波数の数を増やす事で仮想的なアンテナを増やす事ができる。その結果、本実施の形態では少なくとも1本の送信アンテナと1方向あたり1本の受信アンテナで、一般的なアレイアンテナ方式と同等の機能を実装でき、実際のアンテナ本数を一般的なアレイアンテナ方式と比べて大幅に削減できる。
合成開口レーダー方式と本実施の形態とを比較した場合、合成開口レーダー方式は受信機を機械的に動かす必要があり、これが物体の検知及び検査のための時間が長くなるという問題があった。一方、本実施の形態では、受信機の位置ではなく受信周波数を電子的に走査すればよいので、合成開口レーダー方式に比べて物体の検知及び検査のための時間を短縮できる。
すなわち、本実施の形態における物体検知装置及び物体検知方法においては、一般的なアレイアンテナ方式よりも必要なアンテナおよびそれに付随する受信機の数を削減する事ができるので、装置のコスト、サイズ、重量を削減できるという効果を奏する。また、本実施の形態における物体検知装置及び物体検知方法においては、一般的な合成開口レーダー方式と異なり、装置を機械的に動かす必要がないため、物体検知及び検査の時間を短縮できるという効果も奏する。
本実施の形態では、サンプリング時間毎に異なるRF周波数の電波を検知対象物に照射し、対象物で反射された電波、又は対象物から放射される電波を検知する事で、検知対象物の画像を生成することができる。従って、本実施の形態によれば、従来よりも必要なアンテナおよび受信部の数を減らし、かつ移動させる必要も無く、高速な走査による画像生成を実現することができる。
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではない。また、上述の各特許文献等に開示されている内容は、本願発明に引用をもって繰り込むことも可能とする。本願発明の全開示(特許請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施の形態の変更・調整が可能である。また、本願発明の特許請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせあるいは選択も可能である。すなわち、本願発明は、特許請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって、当業者であればなし得ることが可能な各種変形、修正を含むことは勿論である。
以上のように本発明によれば、電波を用いた物体の検知において、精度を向上させつつ、装置コスト、サイズ、及び重量の増大化を抑制することができる。本発明は、衣服の下に隠されている物品又は鞄の中の物品等を画像化して検査する場合に有用である。
1000 物体検知装置
1001、1201 対象物(検知対象となる物体)
1002 焦平面
1003 送信アンテナ
1004 受信アンテナ
1007、1010 電波(RF信号)
1041 低雑音増幅器
1042 ミキサ
1043 フィルタ
1044 アナログ−デジタル変換器
1075 カプラ
1091 送信部
1092 受信部
1093 データ受信部
1094 出力部
1103 発振器
1102 受信制御部
1104 送信制御部
1202 物体検知ユニット
1200 物体検知装置(実施の形態4)
1203 データ制御部

Claims (10)

  1. 電波によって物体を検知するための物体検知装置であって、
    時間の経過と共に周波数が連続的に変化する電波を、送信信号として放射する、送信部と、
    前記送信信号を取得し、前記物体からの前記電波を受信信号として受信し、更に、受信した前記受信信号に、取得した前記送信信号をミキシングしてベースバンド信号を生成する、受信部と、
    サンプリング時間毎の前記ベースバンド信号の測定値から、前記電波の到来方向を推定し、推定した前記電波の到来方向に基づいて、前記電波の強度分布を特定し、特定した前記強度分布に基づいて、前記物体を検知する、データ処理部と、
    を備えている、ことを特徴とする物体検知装置。
  2. 前記受信部が、前記送信部に接続されたミキサと、フィルタとを備え、前記ミキサによって、前記受信信号に、取得した前記送信信号をミキシングし、前記フィルタによって、ミキシングで得られた信号の所望周波数以外の成分を除去することによって、前記ベースバンド信号を生成する、
    請求項1に記載の物体検知装置。
  3. 前記送信部が、送信アンテナを備え、
    前記受信部が、前記送信アンテナを基準にした一方向に沿って設置された受信アンテナを備え、
    前記データ処理部が、前記強度分布に基づいて、前記物体の前記一方向における位置を検知する、
    請求項1または2に記載の物体検知装置。
  4. 前記送信部が、送信アンテナを備え、
    前記受信部が、複数備えられ、複数の前記受信部それぞれは受信アンテナを備え、
    前記受信アンテナは、前記送信アンテナを基準したN方向に沿って設置され、
    前記データ処理部は、複数の前記受信部それぞれが生成した前記ベースバンド信号の積を算出し、算出した積に基づいて、前記N方向を座標軸とするN次元の座標空間における、前記物体の位置を検知する、
    請求項1または2に記載の物体検知装置。
  5. 前記データ処理部が、サンプリング時間毎の前記ベースバンド信号の測定値から相関行列を算出し、更に前記相関行列から前記物体の位置を反映する評価関数を求め、求めた前記評価関数から前記物体の画像を生成する、
    請求項1〜4のいずれかに記載の物体検知装置。
  6. 前記データ処理部が、前記サンプリング時間の範囲が異なる前記ベースバンド信号の測定値から、各々の前記サンプリング時間の範囲に対応する前記相関行列を算出し、更に各々の前記サンプリング時間の範囲に対応する前記相関行列の平均値を算出し、更に前記相関行列の平均値に基づいて、前記物体の位置を反映する評価関数を求め、求めた前記評価関数から前記物体の画像を生成する、
    請求項5に記載の物体検知装置。
  7. 前記データ処理部が、サンプリング時間毎の前記ベースバンド信号の測定値にノイズを付加し、前記ベースバンド信号の測定値に前記ノイズを付加した信号から、前記相関行列を算出する。
    請求項5〜6に記載の物体検知装置。
  8. 前記送信部において、予め設定された可視領域と分解能との比、又は予め設定された画素数に応じて、送信される信号の時間長、又はサンプリング時間の数が選択される、
    請求項1〜7のいずれかに記載の物体検知装置。
  9. 前記送信部及び前記受信部が、それぞれ複数備えられ、
    少なくとも一つの前記送信部と少なくとも一つの前記受信部とが組となって物体検知ユニットを構成し、
    前記データ処理部は、前記物体検知ユニット毎に、前記電波の周波数が異なるように、前記物体検知ユニットそれぞれを動作させる、
    請求項1〜8のいずれかに記載の物体検知装置。
  10. 電波によって物体を検知するための方法であって、
    (a)送信機によって、時間の経過と共に周波数が連続的に変化する電波を、送信信号として放射する、ステップと、
    (b)受信機によって、前記送信信号を取得し、前記物体からの前記電波を受信信号として受信し、更に、受信した前記受信信号に、取得した前記送信信号を加算して、ベースバンド信号を生成する、ステップと、
    (c)データ処理装置によって、サンプリング時間毎の前記ベースバンド信号の測定値から、前記電波の到来方向を推定し、推定した前記電波の到来方向に基づいて、前記電波の強度分布を特定し、特定した前記強度分布に基づいて、前記物体を検知する、ステップと、
    を有する、ことを特徴とする物体検知方法。
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