JPWO2018004006A1 - 酸化亜鉛蛍光体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

安全性や発光強度が高く、例えば化粧料用途に有用な酸化亜鉛蛍光体を容易かつ簡便に与えることができる製造方法を提供する。また、これらの優れた物性を有する酸化亜鉛蛍光体及びこれを含む化粧料も提供する。酸化亜鉛蛍光体を製造する方法であって、該製造方法は、酸素含有亜鉛化合物及び硫黄含有化合物を混合する原料混合工程と、該工程で得た原料混合物を焼成する焼成工程とを含み、該焼成工程は、還元雰囲気下で焼成した後、酸素含有雰囲気下で焼成する工程を含む酸化亜鉛蛍光体の製造方法である。

Description

本発明は、酸化亜鉛蛍光体及びその製造方法に関する。
酸化亜鉛は、比較的安価で資源的にも安定した材料であり、白色顔料や透明電極の他、蛍光体等の種々の用途に使用されている。蛍光体用途では、通常、酸化亜鉛(ZnO)を還元処理することで酸素欠陥を有する酸化亜鉛蛍光体が使用されており、この平均組成式はZn1+zO又はZnO1−xで表されると考えられている。このような酸化亜鉛蛍光体の製造方法が特許文献1で検討されている。また、酸化亜鉛蛍光体の化粧料への適用も検討されている(例えば、特許文献2参照)。
特開平6−93259号公報 特開平5−117127号公報
上記の通り、特許文献2には酸化亜鉛蛍光体の化粧料への適用が検討されている。だが、特許文献1、2等に代表される従来の酸化亜鉛蛍光体は、人体に有害な硫化物等の不純物を多く含有する可能性があり、安全性が懸念される。従って、高い安全性が要求される化粧料用途等に好適に適用可能な酸化亜鉛蛍光体を得るための工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、安全性や発光強度が高く、例えば化粧料用途に有用な酸化亜鉛蛍光体を容易かつ簡便に与えることができる製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、これらの優れた物性を有する酸化亜鉛蛍光体及びこれを含む化粧料を提供することも目的とする。
本発明者は、酸化亜鉛蛍光体を製造する方法について検討を進めるうち、酸化亜鉛や炭酸亜鉛等の酸素含有亜鉛化合物に硫黄含有化合物を添加した後、これを還元雰囲気下で焼成すると、酸化亜鉛蛍光体が生成することに着目し、充分な発光強度を得るためには硫黄含有化合物の使用が必要であるものの、硫黄含有化合物の使用量が多いと、得られる酸化亜鉛蛍光体中の硫黄含有量が多くなって安全性が懸念されることを見いだした。そこで検討を更に進めたところ、還元雰囲気下での焼成後に酸素含有雰囲気下での焼成を行うことにすると、発光強度が充分に高く、かつ硫黄含有量が充分に低減された酸化亜鉛蛍光体を容易かつ簡便に製造できることを見いだした。このようにして得られる酸化亜鉛蛍光体は、医薬部外品原料規格(2006年)の所定の項目に適合するほどに安全性が高いうえ、粒径が小さく、例えば化粧料用途等で要求される分散性や紫外線遮蔽性に優れるため、化粧料原料として特に有用である。本発明者はまた、粒径の小さい酸化亜鉛蛍光体だけでなく、ある程度の大きさの粒径を有するものの、粒子径が均一で、かつ安全性や発光強度に優れる酸化亜鉛蛍光体を得る製造方法としても、上記製造方法を有効に利用できることも見いだした。このようにして上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、酸化亜鉛蛍光体を製造する方法であって、該製造方法は、酸素含有亜鉛化合物及び硫黄含有化合物を混合する原料混合工程と、該工程で得た原料混合物を焼成する焼成工程とを含み、該焼成工程は、還元雰囲気下で焼成した後、酸素含有雰囲気下で焼成する工程を含む酸化亜鉛蛍光体の製造方法である。
上記酸素含有雰囲気下での焼成は、焼成温度500℃以上、1000℃未満にて行うことが好ましい。これにより、得られる酸化亜鉛蛍光体の安全性や発光強度がより高まるとともに、粒径をより小さくすることができる。
上記酸化亜鉛蛍光体は、化粧料原料であることが好ましい。
本発明はまた、上記製造方法で得られた酸化亜鉛蛍光体、タルク、セリサイト、及び油性成分を含む原料を混合し、該原料混合物を圧縮成型する工程を含む固形化粧料の製造方法でもある。
本発明はまた、医薬部外品原料規格(2006年)の「酸化亜鉛」で規定される「炭酸塩及び溶状」並びに「鉛」の純度項目に適合する酸化亜鉛蛍光体でもある。
即ち、酸化亜鉛蛍光体2.0gに純水10mLを加え振り混ぜ、10%硫酸30mLを加え、水浴上でかき混ぜながら加熱したとき、液が泡立たない又は無色透明であり、かつ、酸化亜鉛蛍光体2.0gに純水20mLを加え、かき混ぜながら氷酢酸5mLを加え、水浴上で加熱して溶かし、冷却後、クロム酸カリウム試液を5滴加えたとき、混濁又は白濁しない酸化亜鉛蛍光体でもある。
上記酸化亜鉛蛍光体は、BET径が1.2μm以下であることが好ましい。これにより、分散性や紫外線遮蔽性に優れたものとなる。
本発明は更に、上記酸化亜鉛蛍光体を含む固形化粧料でもある。
本発明の酸化亜鉛蛍光体の製造方法は、上述の構成よりなるので、安全性や発光強度が高い酸化亜鉛蛍光体を、容易かつ簡便に与えることができる。この酸化亜鉛蛍光体は、特に化粧料原料として有用である。なお、この酸化亜鉛蛍光体の中でも粒径が小さいものは、特に分散性や紫外線遮蔽性に優れるため、化粧料原料として極めて有用である。
実施例1〜4、比較例1、2で得た蛍光体(粉体)のSEM写真である。 実施例1、3及び4で得た蛍光体について紫外線遮蔽能を評価した際の透過率スペクトルである。 実施例5で得た蛍光体GのSEM写真である。 実施例5で得た蛍光体Gの励起及び発光スペクトルである。比較のため、実施例1で得た蛍光体Aの励起及び発光スペクトルを併記した。 実施例2、5で得た蛍光体について赤外線遮蔽能を評価した際の反射率スペクトルである。比較のため、市販品の酸化亜鉛(堺化学工業社製「酸化亜鉛1種」)の反射率スペクトルを併記した。 比較例3で得た蛍光体HのSEM写真である。 実施例1について大気焼成温度と蛍光体の各物性との関係を示すグラフである(実施例6)。 実施例2について大気焼成温度と蛍光体の各物性との関係を示すグラフである(実施例7)。 実施例3について大気焼成温度と蛍光体の各物性との関係を示すグラフである(実施例8)。 実施例4について大気焼成温度と蛍光体の各物性との関係を示すグラフである(実施例9)。 表2の結果に基づいて、蛍光体のBET径と、その蛍光体又はこれを用いた塗膜の発光強度との関係を検討したグラフである。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1、酸化亜鉛蛍光体の製造方法
まず本発明の第一の態様である酸化亜鉛蛍光体の製造方法について説明する。
本発明の酸化亜鉛蛍光体の製造方法は、酸素含有亜鉛化合物及び硫黄含有化合物を混合する原料混合工程と、該工程で得た原料混合物を焼成する焼成工程とを含む。更に、通常の蛍光体の製造時に採用される1又は2以上のその他の工程を含んでもよく、その他の工程は特に限定されない。以下、各工程について更に説明する。
−原料混合工程−
原料混合工程は、酸素含有亜鉛化合物と硫黄含有化合物とを混合する工程である。必要に応じて、酸素含有亜鉛化合物及び硫黄含有化合物以外の原料を更に混合してもよく、各原料はそれぞれ1種又は2種以上を使用することができる。原料についてまず説明する。
酸素含有亜鉛化合物は、酸素原子と亜鉛原子とを含む化合物であればよいが、例えば、酸化亜鉛、炭酸亜鉛及び/又は水酸化亜鉛を用いることが好ましい。中でも、反応性の観点から、酸化亜鉛及び/又は炭酸亜鉛を用いることがより好ましい。
硫黄含有化合物は、硫黄原子を含む化合物であればよいが、例えば、硫化塩及び/又は硫酸塩を用いることが好ましい。塩としては、例えば、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩が好ましい。具体的にというと、金属塩を構成する金属原子としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等の1価金属;亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の2価金属;アルミニウム等の3価金属;鉄、チタン等のその他の金属;等が挙げられる。有機アミン塩を構成する有機アミン基としては、例えば、モノエタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基;モノエチルアミン基、ジエチルアミン基、トリエチルアミン基等のアルキルアミン基;エチレンジアミン基、トリエチレンジアミン基等のポリアミン基;等が挙げられる。塩の中でも好ましくは金属塩であり、より好ましくは亜鉛塩である。すなわち硫黄含有化合物として硫化亜鉛及び/又は硫酸亜鉛を用いることが特に好適である。
酸素含有亜鉛化合物と硫黄含有化合物との混合量比は特に限定されないが、例えば、酸素含有亜鉛化合物100mol%に対し、硫黄原子量として0.01〜10mol%とすることが好ましい。これにより、充分な発光強度を有しつつ、小粒径(又は均一粒子径)と安全性とをよりバランス良く両立できる酸化亜鉛蛍光体を得ることができる。より好ましくは0.05〜3mol%、更に好ましくは0.07〜1mol%である。
原料混合工程では、上記原料の混合方法は特に限定されず、湿式混合であってもよいし、乾式混合であってもよいが、焼成工程を容易にする観点から、乾式混合が好適である。乾式混合では、ボールミルやブレンダー等を使用してもよい。
原料混合工程ではまた、必要に応じてフラックス剤(融剤とも称す)を更に混合してもよい。この場合、後述する焼成工程を経ることで、ある程度の大きさの粒径(例えば、BET径が1.2μmを超える)を有するものの、粒子径が均一で、かつ安全性や発光強度に優れる酸化亜鉛蛍光体を得ることができる。このように酸化亜鉛蛍光体を製造する方法であって、酸素含有亜鉛化合物、硫黄含有化合物及びフラックス剤を混合する原料混合工程と、該工程で得た原料混合物を焼成する焼成工程とを含み、該焼成工程は、還元雰囲気下で焼成した後、酸素含有雰囲気下で焼成する工程を含む製造方法もまた、本発明の好適な実施形態である。
フラックス剤としては特に限定されず、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、フッ化アンモニウム、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化アンモニウム、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フラックス剤を使用する場合、その使用量は所望の粒径に応じて適宜設定すればよく特に限定されないが、例えば、酸素含有亜鉛化合物100mol%に対し、フラックス剤を0.01〜20mol%とすることが好ましい。より好ましくは0.02〜10mol%である。
−焼成工程−
焼成工程は、上記混合工程で得た混合物を焼成する工程であり、この焼成工程では、還元雰囲気下で焼成した後、酸素含有雰囲気下で焼成する工程が行われる。以下では、還元雰囲気下での焼成を「還元焼成」とも称し、酸素含有雰囲気下での焼成を「酸素含有焼成」とも称す。なお、各焼成での焼成方法は特に限定されず、流動床焼成法であってもよいし、固定床焼成法であってもよい。
還元焼成における還元雰囲気は特に限定されず、例えば、水素と窒素との混合ガス雰囲気、一酸化炭素と窒素との混合ガス雰囲気等が挙げられる。中でも、安全性やコスト面から
、水素と窒素との混合ガス雰囲気が好ましく、この場合、混合ガス中の水素の割合を0.1〜20体積%とすることが好ましい。より好ましくは0.5〜10体積%である。
還元焼成では、焼成温度を500℃以上、1000℃未満とすることが好ましい。これにより、充分な発光強度を得られる程度に結晶性が向上し、より粒径が小さく、かつ緻密で強度の高い酸化亜鉛蛍光体を容易に得ることができる。より好ましくは600〜950℃、更に好ましくは700〜900℃である。
なお、焼成むら低減のため、均一な温度分布になるように焼成を行うことが好適である。
還元焼成では、焼成時間を0.5〜12時間とすることが好ましい。これにより、充分な発光強度を得られる程度に結晶性が向上し、より粒径が小さく、かつ緻密で強度の高い酸化亜鉛蛍光体を容易に得ることができる。なお、12時間を超えても、それに見合う効果が得られず、より生産性を高めることができないことがあるため、12時間以下とすることが好適である。より好ましくは0.5〜5時間である。
なお、還元焼成を複数回繰り返して行う場合、その合計の焼成時間が、上述した好ましい焼成時間の範囲内になることが好適である。
本明細書中、「焼成温度」とは、焼成時の最高到達温度を意味する。「焼成時間」とは、その最高到達温度での最高温度の保持時間を意味し、最高温度に達するまでの昇温時間は含まない。
本発明では、還元焼成又は酸素含有焼成をそれぞれ2回以上繰り返してもよいし、酸素含有焼成後に還元焼成を行い、その後、酸素含有焼成を行ってもよい。いずれの場合も、得られる酸化亜鉛蛍光体の物性向上の観点から、焼成工程で行われる最後の焼成は、酸素含有焼成であることが好ましい。また還元焼成後、酸素含有焼成前後に、必要に応じてリパルプ(例えばスラリー化後、撹拌)、ろ過、水洗、粉砕、乾燥等の処理を行ってもよい。
酸素含有焼成における酸素含有雰囲気は、酸素を含む雰囲気であれば特に限定されない。好ましくは酸素を1体積%以上含む雰囲気、より好ましくは酸素を10体積%以上含む雰囲気、更に好ましくは大気雰囲気である。
酸素含有焼成は、焼成温度500℃以上、1000℃未満で行うことが好ましい。これにより、酸化亜鉛蛍光体の安全性がより高く、かつより充分な発光強度を確保することができる。この焼成温度の上限は、酸化亜鉛蛍光体の発光強度をより向上し、かつ粒径をより小さくする又は粒径の均一性を高める観点から、950℃以下とすることがより好ましく、更に好ましくは900℃以下、特に好ましくは850℃以下、最も好ましくは800℃以下である。また、焼成温度の下限は、安全性や発光強度のより一層の向上の観点から、550℃以上とすることがより好ましく、更に好ましくは600℃以上である。本発明では特に、酸素含有焼成の焼成温度を600℃以上800℃以下とすることが好適である。
なお、焼成むら低減のため、均一な温度分布になるように焼成を行うことが好適である。
酸素含有焼成では、焼成時間を0.5〜12時間とすることが好ましい。これにより、白色度がより高く、かつ安全性に更に優れる酸化亜鉛蛍光体が得られる。なお、12時間を超えても、それに見合う効果が得られず、より生産性を高めることができないことがあるため、12時間以下とすることが好適である。より好ましくは0.5〜5時間である。
なお、還元焼成後に酸素含有焼成を複数回繰り返して行う場合、その合計の焼成時間が、
上述した好ましい焼成時間の範囲内になることが好適である。
−粉砕工程−
本発明では、必要に応じ、還元焼成や酸素含有焼成の前後に粉砕や分級を行ってもよい。特に、還元焼成後で、かつ酸素含有焼成前に、粉砕を行うことが好適である。粉砕は、湿式粉砕、乾式粉砕のいずれでもよいが、乾式粉砕により行うことが好ましい。乾式粉砕では、必要に応じてロールミル、ハンマーミル、流体エネルギーミル、ミックスマラー等の乾式粉砕機を用いてもよい。
−後処理工程−
本発明ではまた、必要に応じ、上記焼成工程で得られた焼成物について、リパルプ(例えばスラリー化後、撹拌)、ろ過、水洗、粉砕、乾燥等の後処理を行ってもよい。また、必要に応じて篩による分級を行ってもよい。篩による分級は、湿式分級や乾式分級が挙げられる。
−異元素の添加工程−
本発明では更に、必要に応じ、異元素の添加工程を行ってもよい。これにより、酸化亜鉛蛍光体に異元素に由来する他の特性が付与されるため、様々な用途に有用なものとなる。異元素の添加工程は、本発明の製造方法のうちどの段階で行ってもよい。すなわち焼成工程前、焼成工程中(例えば、還元焼成と酸素含有焼成との間、又は、これらの焼成と同時)、焼成工程後、後処理工程前後のいずれの時点で行ってもよいが、焼成工程前に行うことが好適である。なお、上述したように混合工程でフラックス剤を使用する場合、上記混合工程が「異元素の添加工程」に該当することがある。
異元素とは亜鉛以外の元素を意味し、Li、Na、K等のアルカリ金属;Be、Ca、Sr、Ba、Raのようなアルカリ土類金属;Y、Zr、V、Nb、Cr、Mo、W、Fe、Co、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Zn、B、Al、Ga、Si、Ge、Sn、Pb、P、Gd等のその他金属又は非金属;が挙げられる。これらを、人体への安全性や性能に影響が及ぼさない範囲で添加していてもよい。また、2元素以上添加してもよい。
このうち、例えばCa(カルシウム元素)の添加工程を行う場合には、粒子が柱状に成長する傾向があるため、この形状に由来する各種特性(例えば、滑り性)等を発揮することが可能になる。また、K(カリウム元素)の添加工程を行うと、粒子成長が促進する傾向にあるため、大きさに由来する各種特性(例えば赤外線遮蔽能)等を発揮することが可能になる。なお、最終的に得られる酸化亜鉛蛍光体は、異元素を含む場合もあるし、例えば水洗工程等を経ることで異元素を含まないこともある。
異元素の添加方法は特に限定されないが、例えば、添加しようとする異元素の水溶性塩の水溶液を調製し、異元素を添加しようとする対象物(異元素の添加工程を行う段階によって異なるが、例えば、焼成工程に供する原料や焼成物、前駆体等)と湿式混合して蒸発乾燥する方法により添加することができる。また、異元素の酸化物や水酸化物の固体を乾式で混合する方法を用いてもよい。更には、これら混合物を焼成して、酸化亜鉛蛍光体結晶内へ固溶させてもよい。本発明では、異元素の添加を、上述したフラックス剤の混合により行うことが特に好ましい。このように上記混合工程でフラックス剤を更に混合する形態の製造方法(すなわち、酸素含有亜鉛化合物、硫黄含有化合物及びフラックス剤を混合する原料混合工程と、該工程で得た原料混合物を焼成する焼成工程とを含み、該焼成工程は、還元雰囲気下で焼成した後、酸素含有雰囲気下で焼成する工程を含む製造方法)もまた、特に好適である。
異元素の添加量は特に限定されないが、通常は、酸化亜鉛蛍光体の発光特性に影響なく、異元素の効果が発現できる添加量とすることが好ましい。異元素の種類と発現を期待する目的等によって異なるが、例えば、原料の酸素含有亜鉛化合物又は焼成後に異元素の添加工程を行う場合は異元素添加前の焼成物100mol%に対し、異元素が0.01〜20mol%になるように添加量を調節することが好ましい。
−表面処理工程−
本発明では、必要に応じ、得られる酸化亜鉛蛍光体が表面処理を施されたものであってもよい。すなわち本発明の製造方法は、更に表面処理工程を含んでもよい。表面処理工程は、上記焼成工程の後(その後に後処理工程等を行う場合は、これらの後)に行うことが好適である。
表面処理方法は特に限定されず、従来知られている様々な表面処理を行えばよい。例えば、表面処理対象物(例えば、上記焼成工程で得られた焼成物や、更に後処理工程を行う場合はその処理物等)の水性ディスパージョン中で、表面処理剤を添加した後、必要に応じてpHを調整することで被覆することができる。水溶性ではない有機化合物を使用する場合は、有機化合物を乾式にて添加し、粉砕や混合を行い、必要に応じて加熱する方法が挙げられる。
表面処理剤としては特に限定されず、いかなる物質で処理してもよいが、得られた酸化亜鉛蛍光体を例えば化粧料用途に使用する場合には、化粧料に使用できる物質を用いればよい。例えば、表面処理剤として、無機化合物又は有機化合物が挙げられ、1種のみ単独使用してもよいし、数種類を組み合わせて積層又は混合処理してもよい。また、無機化合物で処理した後に有機化合物で被覆層を設けてもよいが、本来もつ発光を損なわないことが重要である。
表面処理剤として具体的には、例えば、ケイ素、亜鉛、チタン、アルミニウム、ジルコニウム、スズ等の酸化物又は水酸化物、炭酸塩、リン酸塩等の無機化合物が挙げられ、これらを表面処理剤として用いれば、これらの被覆層を有する酸化亜鉛蛍光体が得られる。また、撥水性を付与する目的で、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルメトキシポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンジハイドロジェン等又はそれらの共重合体、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸及びそれらの金属塩(アルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等)、ポリビニルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、モノエタノールアミン、アミノメチルプロパノール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、アミノシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、ビニルシラン、メルカプトシラン、クロロアルキルシラン、アルキルシラン、フルオロアルキルシラン、ヘキサメチルシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
表面処理剤の使用量は特に限定されないが、例えば、最終的に得られる酸化亜鉛蛍光体100質量%に対し、表面処理剤による被覆量が0.1〜30質量%の範囲となるように表
面処理剤の使用量を調節することが好ましい。0.1質量%以上とすることで、表面処理による機能性向上効果を発現することができ、30質量%以下とすることで、本来の発光特性を損なわず処理することができ、また経済的な観点で有利である。より好ましくは0.1〜20質量%の範囲である。
2、酸化亜鉛蛍光体
次に本発明の第二の態様である酸化亜鉛蛍光体について説明する。
本発明の酸化亜鉛蛍光体は、医薬部外品原料規格(2006年)の「酸化亜鉛」で規定される「炭酸塩及び溶状」並びに「鉛」の純度項目に適合するものである。このような酸化亜鉛蛍光体は、上述した本発明の製造方法によって容易かつ簡便に得ることができる。
酸化亜鉛蛍光体のBET径は、1.2μm以下であることが好ましい。これにより、分散性や紫外線遮蔽性を発揮できるため、化粧料原料等として有用なものとなる。より好ましくは1.15μm以下、更に好ましくは1.1μm以下である。また、下限は特に限定されないが、取扱い性等の観点から、0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.4μm以上である。
本発明ではまた、BET径が1.2μmを超える酸化亜鉛蛍光体であることも好適である。この場合、赤外線遮蔽性を発揮できるため、化粧料原料の他、光学材料等にも好適なものとなる。赤外線遮蔽性を考慮すると、BET径は2.0μm以上がより好ましい。また、使用感をより良好にする(例えば化粧料用途に使用した場合、肌への塗布時のザラザラ感をより解消する)観点から、20μm以下であることが好適である。より好ましくは、10μm以下である。
なお、BET径が1.2μmを超える場合、粒径の均一性が高いことがより好適である。
本明細書中、BET径とは、BET比表面積の値から粒子を球形とみなして算出した平均一次粒子径(換算径)である。具体的には、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
ここで、酸化亜鉛蛍光体の粒子径は、使用態様での単位面積あたりの個数とのバランスを考慮して設定することが好適である。これにより、その使用態様において特に高い発光強度を発揮することができる。例えば、本発明の酸化亜鉛蛍光体を化粧料用途(例えば、クリームや乳液等)に使用する場合、酸化亜鉛蛍光体のBET径は特に、1.2μm以下であることが好ましい。より好ましくは1.15μm以下、更に好ましくは1.1μm以下である。また、下限は0.1μm以上であることが好ましく、より好ましくは0.2μm以上、更に好ましくは0.4μm以上である。
酸化亜鉛蛍光体はまた、D50が3μm以下であることが好ましい。これにより、分散性や紫外線遮蔽性をより一層発揮できるため、化粧料原料等としてより一層有用なものとなる。より好ましくは3μm未満である。また、下限は特に限定されないが、取扱い性等の観点から、0.3μm以上であることが好ましく、より好ましくは1μm以上である。
本明細書中、D50は、マイクロトラック(レーザー回折・散乱法)による個数基準粒度分布曲線において、積算値が50%となるときの粒径値である。具体的には、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
なお、この方法により得られるD50は、1次粒子径又は2次粒子径を示す値であるものの、数値のみから1次粒子径であるか2次粒子径であるかを区別することは難しい。だが、顕微鏡観察写真(例えば図1等参照)の結果を踏まえると、本発明の酸化亜鉛蛍光体について得られるD50は、2次粒子径のD50であると考えられる。
酸化亜鉛蛍光体は、医薬部外品原料規格(2006年)の「酸化亜鉛」で規定される「炭酸塩及び溶状」並びに「鉛」の純度項目に適合するものである。即ち、酸化亜鉛蛍光体2.0gに純水10mLを加え振り混ぜ、10%硫酸30mLを加え、水浴上でかき混ぜながら加熱したとき、液が泡立たない又は無色透明であり、かつ、酸化亜鉛蛍光体2.0gに純水20mLを加え、かき混ぜながら氷酢酸5mLを加え、水浴上で加熱して溶かし、冷却後、クロム酸カリウム試液を5滴加えたとき、混濁又は白濁しない酸化亜鉛蛍光体である。
また酸化亜鉛蛍光体は、後述する実施例に記載のヨーロッパ薬局方の「酸化亜鉛」で規定された「Carbonates and substances insoluble in acids」の純度項目に適合するものである。
このような酸化亜鉛蛍光体は安全性に優れるため、例えば、化粧料や医薬品、医薬部外品等の厳しい安全性基準が要求される用途にも好適に適用することができる。特に好ましくは、当該規格の「酸化亜鉛」で規定される全項目に適合することである。
酸化亜鉛蛍光体の形状は特に限定されず、例えば、球状(略球状も含む)、棒状、針状、紡錘状、板状、六角板状、六角柱状、針状凝集体、板状集積型、無定形状等が挙げられる。形状は、走査型電子顕微鏡等によって観察することができる。
酸化亜鉛蛍光体は、異元素を含むものであってもよい。この場合、異元素に由来する他の特性も発揮することができるため、より様々な用途に有用なものとなる。異元素については上述したとおりである。
酸化亜鉛蛍光体は、そのまま各種用途(例えば化粧料)に使用することができるが、表面処理が施されたものであってもよい。表面処理については、上述したとおりである。
酸化亜鉛蛍光体は、波長365nmの光で励起したときの極大発光波長(主波長)が480〜540nmにあることが好ましい。極大発光波長がこの波長域にあると緑色を発光で
きる。緑色の発光は、視感度が高く、人の目に見えやすいため、このような酸化亜鉛蛍光体は、蛍光体としてより有用なものとなる。この条件でのより好ましい主波長は500〜520nmである。
本明細書中、上記極大発光波長(主波長)は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
酸化亜鉛蛍光体は、内部量子効率が1%以上であることが好適である。これにより、蛍光体として有用なものとなる。より好ましくは5%以上、更に好ましくは10%以上、特に好ましくは15%以上、最も好ましくは20%以上である。
本明細書中、内部量子効率は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
酸化亜鉛蛍光体のBET比表面積は、0.1〜20m/gであることが好ましい。比表面積がこの範囲内にあることで、例えば、粒径が小さい(例えばBET径が1.2μm以下)酸化亜鉛蛍光体であれば、当該酸化亜鉛蛍光体を分散溶媒に分散した際の沈降がより抑制されて長期安定性に優れる分散体が得られ、また粒径が大きい(例えばBET径が1.2μmを超える)酸化亜鉛蛍光体であれば、赤外線遮蔽性や使用感がより良好になる他、人体への影響がより低減され得る。より好ましくは0.8〜10m/gである。
本明細書中、BET比表面積は後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
酸化亜鉛蛍光体は、白色である。好ましくは、白色度がW値で85以上となることである。これにより、発生した蛍光の吸収が抑制され、良好な蛍光体性能を得ることができる。より好ましくは95以上である。また、本発明の製造方法では、還元焼成後に酸素含有焼成を行うことで、還元焼成のみを行って得た酸化亜鉛蛍光体に比較して、W値を0.5%以上向上することができる。好ましくは1%以上向上する。
W値は、下記の式(1)に従い、ハンター表色系L(明度)、a(彩度)、b(色相)の各値より算出される。
W=100−{(100−L)+(a+b)}1/2 (1)
酸化亜鉛蛍光体のS含有量は、300ppm以下であることが好ましい。より好ましくは280ppm以下、更に好ましくは260ppm以下である。本明細書中、S分析は、後述する実施例に記載の方法により求めることができる。
本発明の第一の態様(製造方法)により得られる酸化亜鉛蛍光体、及び、第二の態様である酸化亜鉛蛍光体はいずれも、安全性が高く、中でも粒径の小さいものは分散性や紫外線遮蔽性にも優れるものである。したがって、化粧料、医薬品、医薬部外品、放射線遮蔽材、塗料、樹脂材料、触媒、印刷用トナー、滑材等の他、各種製品に好ましく配合される。中でも特に、化粧料に配合することが好適である。すなわち上記酸化亜鉛蛍光体は化粧料原料であることが好ましい。また、上記酸化亜鉛蛍光体を含む化粧料は、本発明の1つである。
3、化粧料
次に本発明の第三の態様である化粧料について説明する。
本発明の化粧料は、上述した本発明の酸化亜鉛蛍光体を含む。このような化粧料の製造方法は特に限定されず、通常の化粧料の製法に従えばよい。
固形化粧料を製造する場合には、本発明の酸化亜鉛蛍光体とタルク、セリサイト、及びスクワランを含む原料を混合し、該原料混合物を圧縮成型すればよい。混合方法は特に限定されず、ライカイ機、ボールミル、ブイブレンダ―、スーパーミキサー等を用いて行えばよい。圧縮成型方法は特に限定されず、乾式プレス成型等を用いて行えばよい。
化粧料としては特に限定されず、例えば、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ、
頬紅、マスカラ、口紅等のメイクアップ製品、サンスクリーン剤の他、スキンケア製品、
頭髪製品、紫外線防御用製品等が挙げられ、この場合、蛍光性が付与された化粧料として有用である。中でも、ファンデーション、化粧下地、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料や、サンスクリーン剤に特に好適に使用することができる。また、本発明の化粧料は、油性化粧料、水性化粧料、O/W型化粧料、W/O型化粧料等の任意の形態とすることができる。また、化粧料の形状は特に限定されず、例えば液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、多層状、ムース状、スプレー状等が挙げられる。
上記化粧料は、化粧料100質量%に対し、上記酸化亜鉛蛍光体を0.1〜90質量%の割合で含有することが好ましい。含有量が0.1質量%未満であると、効果を充分に得られないおそれがあり、含有量が90質量%を超えると、粉体が過剰となり、液状成分を充分に含有させることができなくなる等、化粧料として配合の自由度が小さくなり、扱いづらくなるという点で好ましくない。上記含有量は、0.1〜50質量%がより好ましく、0.1〜30質量%が更に好ましい。
上記化粧料はまた、必要に応じ、本発明の酸化亜鉛蛍光体に加えて、他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。他の成分は特に限定されないが、例えば、有機溶媒や分散剤の他、化粧料分野で通常使用されている任意の水性成分、油性成分が挙げられる。具体的には、油分;界面活性剤;保湿剤;高級アルコール;金属イオン封鎖剤;各種高分子(天然、半合成、合成若しくは無機の、水溶性又は油溶性高分子);紫外線遮蔽剤;その他薬剤成分;各種抽出液;無機及び有機顔料;無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体;金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料;有機染料等の色剤;防腐剤;酸化防止剤;色素;増粘剤;pH調整剤;香料;冷感剤;収斂剤;殺菌剤;皮膚賦活剤;等が挙げられる。これらの成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
油分としては特に限定されず、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、パーム油、牛脂、羊脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化牛脂、硬化ヤシ油、硬化ひまし油等の硬化油、牛脚脂、モクロウ、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、スクワラン等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤の他、その他の界面活性剤が挙げられる。親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
その他の界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤等が挙げられる。
保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物、1,3−ブチレングリコール等が挙げられる。
高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1− ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等が挙げられる。
天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20000、40000、60000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3− カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5− メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤;アルブチン等の美白剤;タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤;や、イオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等が挙げられる。
各種抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等が挙げられる。
各種粉体としては、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等が挙げられる。好ましくは、官能特性向上や化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理したものである。
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。なお、各種物性等は以下のようにして評価した。
1、PL(フォトルミネセンス)評価
評価対象のサンプル(蛍光体、クリーム又は塗膜)の発光物性(発光強度及び主波長)を、蛍光分光光度計(日本分光社製、FP−6500)を用いて測定した。蛍光積分球にはISF−513型を使用し、光電子倍増管(PMT)の電圧の設定値を340として、波長365nmの光で励起したときの極大発光波長(主波長)及び発光強度を測定した。結果を表1、2及び図7〜11に示す。
2、内部量子効率測定
各粉体(蛍光体)の内部量子効率をQE−2000(大塚電子社製)を用いて測定した。測定波長は300−420nm、5nmステップにて測定を行った。結果を表1に示す。
3、SEM観察
走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−840F、JSM−7000F)により各粉体の表面等を観察した。得られた顕微鏡写真(SEM写真)を図1、3及び6に示す。
4.1、医薬部外品原料規格試験
各粉体につき、医薬部外品原料規格(2006年)の「酸化亜鉛」で規定された「炭酸塩及び溶状」並びに「鉛」の純度項目に記載された試験を行った。具体的には、以下の試験を行った。結果を表1に示す。
(1)希硫酸溶解試験
粉体2.0gに純水10mLを加え振り混ぜ、10%硫酸30mLを加え、水浴上でかき混ぜながら加熱した。このとき、液が泡立たない又は無色透明であったもの(表1では「溶解」と記載)は、当該項目に適合するものである。
(2)酢酸溶解試験
粉体2.0gに純水20mLを加え、かき混ぜながら氷酢酸5mLを加え、水浴上で加熱して溶かし、冷却後、クロム酸カリウム試液を5滴加える。このとき、混濁又は白濁しなかったもの(表1では「溶解」と記載)は、当該項目に適合するものである。
当該試験は、韓国化粧品法における、化粧品の色素種類と基準及び試験方法の「酸化亜鉛」で規定された純度試験の中の「炭酸塩と溶融状態」並びに「鉛」の項目の試験と同一であり、米国薬局方における、「Zinc Oxide」で規定された純度試験の中の「LEAD」の項目の試験並びに「IRON AND OTHER HEAVY METALS」の項目の「CARBONATE AND COLOR OF SOLUTION」を用いた試験と同一である。
4.2、ヨーロッパ薬局方
各粉体につき、ヨーロッパ薬局方の「酸化亜鉛」で規定された試験の中の「Carbonates and substances insoluble in acids」の項目の試験を行った。具体的には、以下の試験を行った。
(1)希塩酸溶解試験
粉体1.0gを希塩酸15mLに溶解させるときに泡立ちはなく、無色であったものは、当該項目に適合するものである。
5、平均粒子径D50
各粉体につき、レーザー回折型粒度分布測定装置(日機装社、マイクロトラックMT3000)により粒度分布を測定し、粒度分布曲線を得た。この測定ではまず、測定対象の粉末(粉体)を、透過率が0.7〜0.99になるように投入し、流速60%にて、超音波分散及び循環させながら測定を行った。測定時の装置循環水は水とした。そして、この個数基準粒度分布曲線において積算値が50%のときの粒径値を、平均粒子径D50(μm)とした。結果を表1に示す。
6、BET比表面積及びBET径
(1)以下の条件によりBET比表面積(SSA)の測定を行った。結果を表1、3及び4に示す。
−測定条件−
使用機:マウンテック社製、Macsorb Model HM−1220
雰囲気:窒素ガス(N
外部脱気装置の脱気条件:105℃−15分
比表面積測定装置本体の脱気条件:105℃−5分
(2)上記で得られたBET比表面積より、下記の計算式(2)を用いてBET径を算出した。但し、酸化亜鉛の密度は、5.67g/cmである。
BET径=2×3/(BET比表面積×酸化亜鉛の密度) (2)
7、硫黄含有量
S分析は、試料を燃焼装置にて燃焼し、Sイオンとしてイオンクロマトグラフを用い、以下の条件により行った。結果を表1に示す。
自動燃焼装置:三菱化学アナリテック社製、NSX−2100シリーズ AQF−2100H型イオンクロマトグラフ:日本ダイオネクス社
雰囲気:Ar 200ml/min, O 400ml/min
燃焼温度:1100℃
検量線用試料濃度:SO 2−(ppm)=0.5,1,2,5
なお、検量線用試料は、Pを内標準元素とし、P濃度が1ppmとなるように添加した。
8、結晶性
以下の条件により粉末X線回折パターン(単にX線回折パターンともいう)を測定し、ピークの半価幅を算出した。
−分析条件−
使用機:リガク社製、RINT−UltimaIII
線源:CuKα
電圧:50kV
電流:300mA
試料回転速度:60rpm
発散スリット:1.00mm
発散縦制限スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
走査モード:FT
計数時間:1.0秒
ステップ幅:0.0200°
操作軸:2θ/θ
走査範囲:10.0000〜60.0000°
9、紫外線遮蔽能
紫外線遮蔽性(紫外線遮蔽能)は、以下のようにして測定した。
粉体2.36gとアルキド樹脂ワニス(大日本インキ社製、ベッコゾールJ−524)5.5g、メラミン樹脂ワニス(大日本インキ社製、スーパーベッカミンJ−820)2.8g、及び、キシレン(試薬特級)5.7gを混合し、1.5mmφガラスビース30gと共に、ペイントコンディショナーにて10分間分散し、分散塗料を得た。次いで、この分散塗料を少量ガラス板上に採取して、12番のバーコーターを用いて成膜した後、130℃で30分間焼き付けて評価膜とした。評価膜の透過率を分光光度計(日本分光社製、V−570型分光光度計及びILN−472型積分球)測定用セルに充填し、分光光度計を用いて測定した。
図2に、実施例1、3及び4で得た蛍光体の結果(300〜400nm)を示す。
10、赤外線遮蔽能
赤外線遮蔽性(赤外線遮蔽能)は、以下のようにして測定した。
粉体の反射率を分光光度計(日本分光社製、V−570型分光光度計及びILN−472型積分球)測定用セルに充填し、分光光度計を用いて測定した。
図5に、実施例2、5で得た蛍光体の結果(800〜1400nm)を示す。比較のため、市販品の酸化亜鉛(堺化学工業社製「酸化亜鉛1種」)の反射率スペクトルを併記した。
11、滑り性(MIU、MMD)
各試料の滑り性評価は、次のような方法で行った。
スライドガラスに両面テープを貼り付け、粘着面に薬さじ半分程度の粉末(試料)を載せ、化粧用スポンジで粉末を展ばし、その上に摩擦子をセットした。スライドガラスを移動させて、摩擦子にかかる負荷から、平均摩擦係数MIUと平均摩擦係数の変動値MMDを測定した。測定は摩擦感テスター(カトーテック製、KES−SE)により行った。
12、分散性
粉体2.36gとアルキド樹脂ワニス(大日本インキ社製、ベッコゾールJ−524)5.5g、メラミン樹脂ワニス(大日本インキ社製、スーパーベッカミンJ−820)2.8g、及び、キシレン(試薬特級)5.7gを混合し、1.5mmφガラスビース30gと共に、ペイントコンディショナーにて10分間分散し、分散塗料を得た。得られた塗料を粒ゲージにて分散評価を行った。
13、沈降性
沈降管に粉体と水を粉体濃度5質量%となるように入れ、分散させ、30分間放置した。
その後、沈降面の高さを測定した。この高さにより、沈降性を評価した。
14、SEM粒度分布
電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7000F)にて粒子の形状を観察した。SEM画像により5000倍の倍率で10視野撮影した。それぞれの写真1枚に付き、無作為に引いた直線上にある粒子5個の粒子径を算出し、10枚全てについて同様に行い、SEM粒度分布とした。
15、白色度
実施例2及び比較例2で得た各蛍光体(粉体)につき、色度計(日本電色工業株式会社社製、SQ−2000)にて、ハンター表色系L、a及びbを測定し、上記式(1)に従ってW値を計算した。結果を表1に示す。
実施例1
酸化亜鉛(堺化学工業製、微細酸化亜鉛)20g、硫化亜鉛(堺化学工業製、RAK−T)0.077g、炭酸水素ナトリウム(関東化学社製、特級)0.0105gを秤量し、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて800℃まで昇温し、そのまま2時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温した。その後、得られた粉体を水洗、ろ過した。ろ過は、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄を行った。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥し、蛍光体Aを得た。
蛍光体A(粉体)について上述した評価試験を行った。結果を表1、図1及び2に示す。
実施例2
硫化亜鉛の使用量を0.0179gとしたこと以外は、実施例1と同様に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま2時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温した。その後、得られた粉体を水洗、ろ過した。ろ過は、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄を行った。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥し、蛍光体Bを得た。
蛍光体B(粉体)について上述した評価試験を行った。結果を表1、図1及び5に示す。
実施例3
塩基性炭酸亜鉛(堺化学工業製、KCZ)20g、硫化亜鉛(堺化学工業製、RAK−T)0.056gを秤量し、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて750℃まで昇温し、そのまま2時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温した。その後、得られた粉体を水洗、ろ過した。ろ過は、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄を行った。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥し、蛍光体Cを得た。
蛍光体C(粉体)について上述した評価試験を行った。結果を表1、図1及び2に示す。
実施例4
実施例3と同様に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて600℃まで昇温し、そのまま6時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温した。その後、得られた粉体を水洗、ろ過した。ろ過は、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄を行った。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥し、蛍光体Dを得た。
蛍光体D(粉体)について上述した評価試験を行った。結果を表1、図1及び2に示す。
比較例1
実施例1と同様に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて800℃まで昇温し、そのまま2時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕した後、得られた粉体を水洗、ろ過した。ろ過は、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄を行った。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥し、蛍光体Eを得た。
蛍光体E(粉体)について上述した評価試験を行った。結果を表1、図1に示す。
比較例2
硫化亜鉛の使用量を0.0179gとしたこと以外は、実施例1と同様に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H/N雰囲気中で200℃/時で850℃まで昇温し、そのまま2時間保持した後、200℃/時で降温した。
こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕した後、得られた粉体を水洗、ろ過した。ろ過は、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄を行った。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥し、蛍光体Fを得た。
蛍光体F(粉体)について上述した評価試験を行った。結果を表1、図1に示す。
実施例5
酸化亜鉛(堺化学工業製、微細酸化亜鉛)20g、硫化亜鉛(堺化学工業製、RAK−T)0.077g、炭酸水素ナトリウム(関東化学社製、特級)0.0105g、炭酸カリウム(高杉製薬社製、試薬特級)0.4309gを秤量し、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま2時間保持した後、200℃/時で降温した。
得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、得られた粉体を水洗、
ろ過した。ろ過は、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄を行った。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥した。その後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温した。このようにして、蛍光体Gを得た。
このようにして得たカリウム添加蛍光体(蛍光体G)(粉体)について、実施例1等と同様にPL評価試験及び医薬部外品原料規格試験を行った。結果を表1に示す。また、蛍光体GのSEM写真を図3に示す。蛍光体Gにつき、上述したPL評価を行った際の励起及び発光スペクトルを図4(比較のため、実施例1で得た蛍光体Aの励起及び発光スペクトルを併記した。)に、上述の赤外線遮蔽能評価を行った際の反射率スペクトルを図5に、それぞれ示す。
比較例3
実施例5と同様に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま2時間保持した後、200℃/時で降温した。
得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、得られた粉体を水洗、
ろ過した。ろ過は、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄を行った。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥した。このようにして、蛍光体Hを得た。
このようにして得た蛍光体Hについて、実施例1等と同様にPL評価試験及び医薬部外品原料規格試験を行った。結果を表1に示す。また、蛍光体HのSEM写真を図6に示す。
Figure 2018004006
表1に記載の発光強度は、比較例1で得た蛍光体Eの主波長における発光強度を100%としたときの相対的な発光強度(%)である。
実施例6
大気焼成での焼成温度と、得られた蛍光体の物性との関係を検討するために、実施例1における大気焼成温度(700℃)を500〜1000℃の範囲で変更したこと以外は、実施例1と同様にして蛍光体を各々得た。焼成温度と蛍光体の発光強度との関係を示すグラフを図7(a)に、焼成温度と蛍光体のD50との関係を示すグラフを図7(b)に、焼成温度と蛍光体のBET径との関係を示すグラフを図7(c)に、焼成温度と蛍光体の硫黄含有量との関係を示すグラフを図7(d)に、それぞれ示す。
なお、図7〜10(a)では、蛍光体の発光強度は、STD(比較対象)の極大発光波長における発光強度を100とし、これに対する相対的な発光強度として示した。図7(a)では、STDとして、大気焼成を行わなかったこと以外は実施例1と同条件で得た粉体を使用した。図7の各図面の下に、STDの各結果を記載した。
実施例7
実施例2における大気焼成温度(700℃)を500〜1000℃の範囲で変更したこと以外は、実施例2と同様にして蛍光体を各々得た。焼成温度と蛍光体の発光強度との関係を示すグラフを図8(a)に、焼成温度と蛍光体のBET比表面積との関係を示すグラフを図8(b)に、焼成温度と蛍光体のBET径との関係を示すグラフを図8(c)に、焼成温度と蛍光体の硫黄含有量との関係を示すグラフを図8(d)に、それぞれ示す。
図8(a)では、STDとして、大気焼成を行わなかったこと以外は実施例2と同条件で得た粉体を使用した。図8の各図面の下に、STDの各結果を記載した。
実施例8
実施例3における大気焼成温度(700℃)を500〜900℃の範囲で変更したこと以外は、実施例3と同様にして蛍光体を各々得た。焼成温度と蛍光体の発光強度との関係を示すグラフを図9(a)に、焼成温度と蛍光体のBET比表面積との関係を示すグラフを図9(b)に、焼成温度と蛍光体のBET径との関係を示すグラフを図9(c)に、焼成温度と蛍光体の硫黄含有量との関係を示すグラフを図9(d)にそれぞれ示す。
図9(a)では、STDとして、大気焼成を行わなかったこと以外は実施例3と同条件で得た粉体を使用した。図9の各図面の下に、STDの各結果を記載した。
実施例9
実施例4における大気焼成温度(700℃)を500〜900℃の範囲で変更したこと以外は、実施例4と同様にして蛍光体を各々得た。焼成温度と蛍光体の発光強度との関係を示すグラフを図10(a)に、焼成温度と蛍光体のBET比表面積との関係を示すグラフを図10(b)に、焼成温度と蛍光体のBET径との関係を示すグラフを図10(c)に、それぞれ示す。
図10(a)では、STDとして、大気焼成を行わなかったこと以外は実施例4と同条件で得た粉体を使用した。図10の各図面の下に、STDの各結果を記載した。
実施例10
酸化亜鉛(堺化学工業製、微細酸化亜鉛)20g、硫化亜鉛(堺化学工業製、RAK−T)0.077g、炭酸水素ナトリウム(関東化学製、特級)0.0105gを秤量し、30分間かけて充分に乾式混合を行った。得られた原料混合粉をアルミナ坩堝に全量充填し、1体積%H/N雰囲気中で200℃/時にて850℃まで昇温し、そのまま2時間保持した後、200℃/時で降温した。こうして得られた焼成物を乳鉢で解砕し、アルミナ坩堝に全量充填した後、大気雰囲気にて200℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、200℃/時で降温した。その後、得られた粉体を水洗、ろ過した。ろ過は、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄を行った。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥し、蛍光体Iを得た。この蛍光体Iの各種物性を表1に示す。
実施例11
実施例1で得た蛍光体Aを用いて、上記「9、紫外線遮蔽能」に記載した評価膜の作製方法と同様にして、塗膜Aを作製した。塗膜AについてPL評価試験を行った。結果を表2に示す。
実施例12
実施例2で得た蛍光体Bを用いた以外は実施例11と同様の方法で塗膜Bを作製した。塗膜BについてPL評価試験を行った。結果を表2に示す。
実施例13
実施例3で得た蛍光体Cを用いた以外は実施例11と同様の方法で塗膜Cを作製した。塗膜CについてPL評価試験を行った。結果を表2に示す。
実施例14
実施例4で得た蛍光体Dを用いた以外は実施例11と同様の方法で塗膜Dを作製した。塗膜DについてPL評価試験を行った。結果を表2に示す。
実施例15
実施例10で得た蛍光体Iを用いた以外は実施例11と同様の方法で塗膜Iを作製した。塗膜IについてPL評価試験を行った。結果を表2に示す。
Figure 2018004006
表2中、実施例12〜15の塗膜の発光強度(主波長の発光強度)は、実施例11で得た塗膜の主波長における発光強度を100%としたときの相対的な発光強度(%)である。表2では、参考のため、表1に記載の蛍光体A〜D、IそれぞれのBET径及び主波長の発光強度を併記した。
また表2の結果に基づいて、蛍光体(粉体)の粒子径(BET径)とそれを用いた塗膜の発光強度との関係を検討したグラフを図11(a)に、粉体のBET径とその粉体自体の発光強度との関係を検討したグラフを図11(b)に、それぞれ示す。
実施例16
酸化亜鉛(堺化学工業製、微細酸化亜鉛)2000g、硫化亜鉛(堺化学工業製、RAK−T)7.8g、炭酸水素ナトリウム(高杉製薬製)84.8gを秤量し、Vブレンダーを使用して10分間かけて乾式混合を行った。得られた原料混合粉1500gをアルミナ匣鉢に充填し、3体積%H/N雰囲気中で150℃/時にて840℃まで昇温し、そのまま2時間保持した後、150℃/時で降温した。
得られた焼成物を、遊星ボールミルを使用して湿式解砕し、電気伝導度が0.5mS/m以下になるまで洗浄を行った。得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥した。乾燥粉をアルミナ匣鉢に全量充填した後、大気雰囲気にて150℃/時で700℃まで昇温し、そのまま1時間保持後、150℃/時で降温した。得られた粉体を水洗、ろ過し、得られたケーキを130℃の乾燥機で一晩乾燥して蛍光体Jを得た。この蛍光体Jの各種物性を表1に示す。
使用例1
表3に示す組成の固形化粧料を製造し、UV照射時の発光の有無と肌に塗布した時の発光のキメ細やかさを評価した。
[製造方法]
成分1〜14を均一に混合し、プレスすることによりファンデーション(固形化粧料)を得た。
[評価方法]
(UV照射時の発光の有無)使用例で得られた固形化粧料0.3gをバイオスキンに均一に塗布し、UVランプ(フナコシ社製、CompactUV Lamp,4W,UVGL−25,254/365nm,100V)を用いて、波長365nm、発光強度720μW/cm2のUVを照射し、発光の有無を確認した。(塗布時の発光のキメ細やかさ)
少量の粉体を肌の上に置き、指で粉体を引き伸ばして塗布した。粉体を塗布した肌にUVランプを当てて、発光のキメ細かさを観察した。以下の基準で評価した。
○;キメが細かい
△;ややキメが細かい
×;キメが荒い
Figure 2018004006
上記実施例及び比較例より、以下の事項を確認した。
実施例1〜4は本発明の製造方法により蛍光体を作製した例であるが、比較例1、2は還元焼成後に酸素含有焼成を行わなかった点で、主に実施例1、2と相違する例である。この場合、表1より、比較例1、2で得た蛍光体は、硫黄含有量が多く、医薬部外品原料規格(2006年)の「酸化亜鉛」で規定される「炭酸塩及び溶状」並びに「鉛」の純度項目に適合しなかった。一方、実施例1、2で得た蛍光体は、粒径が小さく、硫黄含有量が充分に低減され、各純度項目にも適合しており、しかも比較例1、2に比較して内部量子効率や発光強度も充分に向上されている他、白色度も高い。実施例3、4で得た蛍光体は、実施例1、2で得た蛍光体よりも粒径が更に小さいが、この場合も各純度項目に適合しており、安全性が高いことが分かる。また、図2より実施例1、3及び4で得た蛍光体は紫外線遮蔽性に優れること、図5より実施例2で得た蛍光体は赤外線遮蔽性に優れることも確認された。なお、図2では、粒径が小さくなるほど紫外線領域の透過率は低下していることから、小粒子化による紫外線遮蔽性向上が確認できた。
従って、本発明の製造方法により、安全性や発光強度が高い酸化亜鉛蛍光体を容易かつ簡便に与えることができることが分かった。
またカリウム添加を行った場合も上記と同じ傾向が確認された(表1の実施例5と比較例3参照)。つまり、還元焼成後に酸素含有焼成を行うという本発明の製造方法により、安全性や発光強度が高い酸化亜鉛蛍光体を容易かつ簡便に与えることができることが分かった。また、このような本発明の製造方法において更にカリウム添加工程を行うことで、発光強度が向上する傾向があること及び粒子が成長する傾向があること(表1、図3及び4参照)や、赤外線遮蔽性が更に向上すること(図5参照)も確認した。
更に図7〜10より、蛍光体の各物性を更に高めるには、酸素含有雰囲気下での焼成温度も重要な要素であることが分かった。特にこの焼成を500℃以上1000℃未満にて行うと、得られる酸化亜鉛蛍光体の硫黄含有量が低減されて安全性が向上するとともに、発光強度がより高まり、しかも粒径をより小さくすることができる。
なお、表等には示していないが、実施例1〜4及び10、16で得た蛍光体は、分散性に優れ、沈降性が改善されることも確認した。また、実施例1〜10、16で得た蛍光体は、医薬部外品原料規格(2006年)の「酸化亜鉛」で規定される「炭酸塩及び溶状」並びに「鉛」以外の純度項目を含め、全ての項目に適合することを確認した。また、実施例1〜10、16で得た蛍光体は、ヨーロッパ薬局方の「酸化亜鉛」で規定された試験の中の「Carbonates and substances insoluble in acids」の項目の試験に合格することを確認した。
また表2及び図11より、蛍光体(粉体)を添加した塗膜の発光強度も、粉体自体の発光強度によらず、粉体の粒子径に影響されることが分かった。特にBET径が0.4〜1.2μm)であると、塗膜の発光強度がより高くなることが確認された。
表3より、蛍光体(粉体)を用いて固形化粧料を製造することで、UV照射時に発光し、また肌に塗布した時の発光のキメ細やかさも良好な固形化粧料が得られることが確認された。

Claims (8)

  1. 酸化亜鉛蛍光体を製造する方法であって、
    該製造方法は、酸素含有亜鉛化合物及び硫黄含有化合物を混合する原料混合工程と、該工程で得た原料混合物を焼成する焼成工程とを含み、
    該焼成工程は、還元雰囲気下で焼成した後、酸素含有雰囲気下で焼成する工程を含む
    ことを特徴とする酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
  2. 前記酸素含有雰囲気下での焼成は、焼成温度500℃以上、1000℃未満にて行う
    ことを特徴とする請求項1に記載の酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
  3. 前記酸化亜鉛蛍光体は、化粧料原料である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の酸化亜鉛蛍光体の製造方法。
  4. 医薬部外品原料規格(2006年)の「酸化亜鉛」で規定される「炭酸塩及び溶状」並びに「鉛」の純度項目に適合する
    ことを特徴とする酸化亜鉛蛍光体。
  5. BET径が1.2μm以下である
    ことを特徴とする請求項4に記載の酸化亜鉛蛍光体。
  6. 請求項4に記載の酸化亜鉛蛍光体を含む
    ことを特徴とする固形化粧料。
  7. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で得られた酸化亜鉛蛍光体、タルク、セリサイト、及び油性成分を含む原料を混合し、該原料混合物を圧縮成型する工程を含むことを特徴とする固形化粧料の製造方法。
  8. 酸化亜鉛蛍光体2.0gに純水10mLを加え振り混ぜ、10%硫酸30mLを加え、水浴上でかき混ぜながら加熱したとき、液が泡立たない又は無色透明であり、かつ、
    酸化亜鉛蛍光体2.0gに純水20mLを加え、かき混ぜながら氷酢酸5mLを加え、水浴上で加熱して溶かし、冷却後、クロム酸カリウム試液を5滴加えたとき、混濁又は白濁しない
    ことを特徴とする酸化亜鉛蛍光体。
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