JP2017178737A - 複合体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ハイドロタルサイト構造に由来する陰イオン交換能とともに紫外線遮蔽性を発揮でき、しかも滑り性も良好で、化粧料や樹脂用添加剤等として有用な複合体を、容易かつ簡便に与える製造方法を提供すること。【解決手段】ハイドロタルサイト型粒子の表面に酸化亜鉛粒子を有する複合体を製造する方法であって、亜鉛化合物及びアルミニウム化合物を少なくとも含む原料を用いて前駆体を得る工程(I)と、該前駆体を、温度100〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(II)とを含む複合体の製造方法。【選択図】図2−1

Description

本発明は、ハイドロタルサイト構造を有する複合体の製造方法に関する。
ハイドロタルサイトは層状粘土鉱物の一種であり、それが有する陰イオン交換能を活かして化粧料や樹脂用添加剤等の多種多様な用途に使用されている。だが、ハイドロタルサイトは紫外線カット能(紫外線遮蔽性とも称す)を有さないため、この性能が要求される用途では、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機顔料や、有機系の紫外線吸収剤を、ハイドロタルサイトと、例えば酸化亜鉛粒子を混合し均一に分散させる必要がある。
化粧料用途等で酸化亜鉛や酸化チタン等の無機顔料を添加する場合、紫外線を効率よく遮蔽するため、あるいは透明性を出すために、無機顔料を数十nmまで微細化して分散する方法が採られている。だが、通常、数十nm以下に微細化した無機顔料のナノ粒子は粒子同士が強く凝集するため、ハイドロタルサイト粉末と均一に分散することが難しい。無機顔料ナノ粒子の凝集抑制方法の一例として、例えば特許文献1では、酸化亜鉛ナノ粒子の表面を酸化ケイ素等で被覆する手法が採られている。
特開2004−292282号公報
しかしながら、特許文献1の手法では、酸化亜鉛粒子を被覆する工程や、被覆した酸化亜鉛粒子を分散する工程が増え煩雑であるうえ、それでも粒子の凝集を抑えることが難しかった。また、分散剤を添加する手法もあるが、ナノサイズのハイドロタルサイト粒子と酸化亜鉛粒子のいずれもが分散できる分散剤の種類は少なく、適した分散剤が見つかったとしても、分散剤は樹脂や化粧料等の他の成分の影響で無効化する可能性があるため、粒子が凝集してしまうことがままあった。従って、従来の技術では、ハイドロタルサイト粉体に数十nmサイズの無機顔料粒子を均一に分散させることは困難であった。
ところで、化粧料用途では、粒子の形状は、粒状よりも板状であることが望まれている。粒状粒子に比べ、滑り性が良好で、被覆性や配向性にも優れるためである。従来のハイドロタルサイト型粒子のうち、Mg−Al系やMg−Zn−Al系のハイドロタルサイト型粒子については、板状形状のものが既に知られている。だが、これを製造するには、多くの場合、水熱での反応を経るため、圧力容器等の特別な装置を必要とする。
またMg−Al系やMg−Zn−Al系のハイドロタルサイト型粒子以外にも、Zn−Al系のハイドロタルサイト型粒子が知られているが、従来のZn−Al系のハイドロタルサイト型粒子はアスペクト比が1〜2の粒状粒子であり、板状粒子の報告例はこれまでにない。これは、Zn−Al系のハイドロタルサイト型粒子は、Mg−Al系のハイドロタルサイト型粒子に比べ、層間の陰イオンを保持する能力が低いため、Mg−Al系又はMg−Zn−Al系のハイドロタルサイト型粒子の合成方法をそのまま転用してZn−Al系のハイドロタルサイト型粒子を製造すると、原料の水溶性亜鉛化合物(例えば、硫酸亜鉛)の一部が前駆体生成中に水酸化亜鉛になり、最終的に酸化亜鉛となってハイドロタルサイトの層状構造を維持することができないことが要因と考えられる。Zn−Al系のハイドロタルサイト型粒子を製造する方法としてはまた、前駆体スラリーをろ過することで水酸化亜鉛を取り除いた後、水熱反応等により粒子を成長させる手法もあるが、この方法でも板状粒子は得られない。
本発明は、上記現状に鑑み、ハイドロタルサイト構造に由来する陰イオン交換能とともに紫外線遮蔽性を発揮でき、しかも滑り性も良好で、化粧料や樹脂用添加剤等として有用な複合体を、容易かつ簡便に与える製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、ハイドロタルサイト型粒子について鋭意検討を進めるうち、ハイドロタルサイト型粒子の表面に酸化亜鉛粒子を有する複合体を、容易かつ簡便に製造することに成功した。この複合体は、ハイドロタルサイト構造に由来する陰イオン交換能と、酸化亜鉛粒子に由来する紫外線遮蔽性をともに発揮できるうえ、赤外線遮蔽性及び透明性にも優れ、しかも滑り性も発揮しうる。本発明者は、このような複合体の製造方法として、所定の前駆体を得た後、この前駆体を所定の高温高湿雰囲気下に保持する製造方法を見いだしたが、この方法は、ハイドロタルサイト粒子と酸化亜鉛粒子を混合する工程が不要となるばかりではなく、水熱合成等で必要になる圧力容器等の特殊な装置・設備を不要にすることができる、すなわち製造設備を簡単にすることができるため、工業的に極めて有用な手法である。なお、対象物に紫外線遮蔽性を持たせる手段として、紫外線遮蔽性の物質で表面処理する手法も考えられるが、本発明の製造方法は表面処理を必須としなくても紫外線遮蔽性を奏することができるため、この点でも有利である。このようにして上記課題を解決することができることに想到し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ハイドロタルサイト型粒子の表面に酸化亜鉛粒子を有する複合体を製造する方法であって、亜鉛化合物及びアルミニウム化合物を少なくとも含む原料を用いて前駆体を得る工程(I)と、該前駆体を、温度100〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(II)とを含む複合体の製造方法である。
上記ハイドロタルサイト型粒子は、平均板面径の長径が150〜800nm、アスペクト比(平均板面径の長径/平均厚み)が4.0〜20.0であることが好ましい。これにより、化粧料に含めた際の肌への塗布感触や滑り性に優れたものとなる。
上記酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、1〜100nmであることが好ましい。これにより、樹脂組成物や化粧料に用いた場合により高い透明性を発揮することができる。
上記製造方法は、更に、ケイ素原子及び/又は脂肪族基を有する化合物で表面処理する工程(III)を含むことが好ましい。これにより、得られる複合体において、亜鉛イオンの過剰な溶出を抑制し、皮膚への刺激性を低減して適度な収斂作用を発現できることに加え、複合体と樹脂や溶媒との相溶性や分散性が向上する他、撥水性も向上するため、化粧料だけではなく、樹脂への添加剤等、各種用途により有用なものとなる。
本発明の製造方法は、ハイドロタルサイト構造に由来する陰イオン交換能とともに紫外線遮蔽性を発揮でき、しかも滑り性も良好で、化粧料や樹脂用添加剤等として有用な複合体を、圧力容器等の特殊な装置・設備を導入することなく、前駆体を高温・高湿下に保持するだけで容易かつ簡便に与えることができるため、工業的に極めて有用な手法である。この複合体はまた、上記性能に加え、アンモニアや酢酸等の臭い吸着性にも優れるため、臭い吸着性が付加された化粧料や、吸着剤、酸中和剤等の用途にも有用である。
実施例1で得た粉体のX線回折パターンである。図1中、ハイドロタルサイト型粒子及びZnO(酸化亜鉛粒子)それぞれに由来するピーク位置に印を付した。 実施例2で得た粉体のX線回折パターンである。 比較例1で得た粉体のX線回折パターンである。 比較例2で得た粉体のX線回折パターンである。 比較例3で得た粉体のX線回折パターンである。 実施例1で得た粉体の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である(倍率:50000倍)。 実施例2で得た粉体の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である(倍率:50000倍)。 比較例1で得た粉体の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である(倍率:50000倍)。 比較例2で得た粉体の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である(倍率:50000倍)。 比較例3で得た粉体の走査型電子顕微鏡写真(SEM写真)である(倍率:50000倍)。 実施例1、2及び比較例1で得た粉体の吸光度スペクトルである。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
〔製造方法〕
まず本発明の第1の態様である複合体の製造方法について説明する。
本発明の製造方法は、亜鉛化合物及びアルミニウム化合物を少なくとも含む原料を用いて前駆体を得る工程(I)と、該前駆体を、温度100〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(II)とを含む。この製造方法を採用することで、水熱合成等で必要になる圧力容器等の特殊な装置・設備を導入することなく、容易かつ簡便に、ハイドロタルサイト型粒子の表面に酸化亜鉛粒子を有する複合体を得ることができる。工程(I)及び(II)を経ることで、得られる複合体中のハイドロタルサイト型粒子は板状形状になる。なお、複合体がこのような構造を有することは、例えば走査電子顕微鏡写真(SEMとも称す)等の電子顕微鏡写真により判断することができる。
以下、各工程について更に説明する。
<工程(I)>
工程(I)は、亜鉛化合物及びアルミニウム化合物を含む原料を用いて前駆体を得る工程である。これを工程(II)に供することで、工程(II)では板状粒子への結晶成長が進み、同時に前駆体又はハイドロタルサイト型粒子中から酸化亜鉛粒子が析出する。こうして、容易かつ簡便に板状ハイドロタルサイト型粒子上に酸化亜鉛粒子を有する複合体を得ることができる。なお、工程(I)で得られる前駆体にはハイドロタルサイト型粒子が含まれることがある。
上記原料は、更に周期表第2族元素を含む化合物を含んでもよい。当該化合物としては特に限定されず、例えばマグネシウム、カルシウム、バリウム等を含む化合物が挙げられる。中でも、複合体を化粧料として用いる場合は、マグネシウム及び/又はカルシウムを含む化合物が好ましい。より好ましくはマグネシウムを含む化合物(マグネシウム化合物とも称す)である。なお、周期表第2族元素を含む化合物を用いないことも、皮膚への刺激性低減や、アスペクト比を大きくする観点から好適である。
上記原料は、製造を容易にする観点から、水溶性の塩、又は、酸を含む水に可溶の塩を用いることが好ましい。具体的には、亜鉛化合物は、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛及び硫酸亜鉛からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、周期表第2族元素を含む化合物は、周期表第2族元素の水酸化物(水酸化マグネシウム等)、酸化物(酸化マグネシウム等)及び塩基性炭酸塩(塩基性炭酸マグネシウム等)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、アルミニウム化合物は、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム及び硫酸アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。これらの原料を用いることでより容易かつ簡便にハイドロタルサイト型粒子を得ることができる。例えば、アルミニウム化合物を溶媒に溶解した溶液と、亜鉛化合物を溶媒に溶解した溶液等とをそれぞれ準備した後に混合してもよいし、各化合物を溶媒にまとめて溶解してもよい。この際、各化合物は必ずしも完全に溶解している必要はなく、一部が溶け残っていてもよい。
上記原料の使用量は、周期表第2族元素を含む化合物を用いる場合は、アルミニウム化合物のアルミニウム換算量1モルに対し、亜鉛化合物及び周期表第2族元素を含む化合物の総量が、これらの金属換算で1.0〜3.5モルとなるように設定することが好ましく、より好ましくは1.5〜2.5モルである。周期表第2族元素を含む化合物を使用しない場合は、アルミニウム化合物のアルミニウム換算量1モルに対し、亜鉛化合物の亜鉛換算量が1.0〜3.5モルとなるように設定することが好ましく、より好ましくは1.5〜2.5モルである。
ここで工程(II)では、前記前駆体中に含まれる亜鉛化合物のうち、1〜30質量%が酸化亜鉛となり得る。従って、亜鉛化合物の使用量は、工程(II)後に得られる表面に酸化亜鉛粒子を有する板状ハイドロタルサイト型粒子中の、ハイドロタルサイトの目標とする金属組成比よりも過剰となるようにすることが好ましい。例えば、工程(II)で下記組成の板状ハイドロタルサイト型粒子:
(Zn)0.67(Al)0.33(OH)(CO 2−0.165・mH
を得ようとすると、亜鉛化合物の使用量を、アルミニウム化合物のアルミニウム1モルに対し、2.02〜2.6モルとすることが好適である。
上記原料は、ハンマーミル、ジェットミル、ビーズミル、フリッチェミル等の、公知の乾式又は湿式の粉砕方法で予め粉砕してから、工程(I)に供してもよい。
上記工程(I)では、溶媒の存在下で上記原料を混合することが好ましい。
溶媒としては特に限定されず、水、有機溶媒及びこれらの混合物が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、アルコール、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられ、アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等の1価の水溶性アルコール;エチレングリコール、グリセリン等の2価以上の水溶性アルコール;等が挙げられる。溶媒として好ましくは水であり、より好ましくはイオン交換水である。
上記工程(I)ではまた、上記原料を、アルカリ成分を用いて中和することが好ましい。すなわち上記工程(I)では、上記原料を混合後、中和することが好ましい。その際、原料とアルカリ成分との混合液のpHが7以上になるように、原料とアルカリ成分とを混合することが好ましい。より好ましくは、原料とアルカリ成分との混合液のpHが7.5以上になるように混合させることである。このとき、例えば、アルカリ成分を水に溶解してから、原料に添加して混合してもよいし、アルカリ成分を粉体のまま混合してもよい。
上記アルカリ成分としては特に限定されないが、例えば、アルカリ金属塩等が挙げられ、1種又は2種以上を使用することができる。アルカリ金属塩とは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の塩であり、塩として、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩、アルミン酸塩、有機アミン塩等が挙げられる。中でも、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が好適である。
ここで、原料として炭酸塩を用いない場合、又は、炭酸塩を用いても生成物が下記式(1)を満たさない場合は、別途炭酸ガスを用いてもよい。炭酸ガスは、工程(I)又は(II)の中であればどの操作で用いてもよい。
上記工程(I)では、原料を混合した後及び/又は中和した後、必要に応じて所定の温度を保持し、所定の時間撹拌することが好ましい。保持温度、撹拌時間に制限はないが、例えば、保持温度は20〜80℃、撹拌時間は5〜300分とすることが、粒子の大きさ、形状をそろえる観点から好ましい。
上記工程(I)ではまた、溶媒を用いた場合、得られたスラリー(原料混合物)を乾燥することが好適である。この乾燥は、スラリーから溶媒が除去されるように行えばよく、乾燥手段は特に限定されるものではない。例えば、減圧乾燥、加熱乾燥等が挙げられる。また、スラリーをそのまま乾燥してもよいし、ろ過し水洗してから乾燥してもよい。ろ過し水洗してから乾燥する場合は、一旦溶媒を加えてスラリーの状態にしてから噴霧乾燥で乾燥することも好ましい。
上記乾燥の後、粉砕を行うことが好適である。すなわち上記工程(I)は、溶媒の存在下で原料を中和する中和工程と、該中和により得られたスラリーの乾燥工程と、乾燥したものの粉砕工程とを含むことが好ましい。粉砕方法及び粉砕条件は特に限定されず、例えば、ボールミル、ライカイ機、フォースミル、ハンマーミル、ジェットミル等を用いて行うことができる。
<工程(II)>
工程(II)は、上記工程(I)により得た前駆体を、温度100〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(湿潤雰囲気工程とも称す)である。上記製造方法では、従来法のような水熱や常圧での反応とは異なり、前駆体を高温高湿雰囲気下に保持するだけの工程を経ることで、簡便な手段により上述した構造を有する複合体を得ることができ、圧力容器等の特別な装置を不要にすることができる。すなわち製造設備を簡単にすることができる。
上記工程(II)では、温度100〜150℃で前駆体を保持する。温度が100℃以上であることが、板状化が促進されるとともに、表面に酸化亜鉛粒子が析出することになる。好ましくは105℃以上、より好ましくは110℃以上、更に好ましくは115℃以上である。また、製造コストや設備仕様の観点から、145℃以下とすることが好ましい。より好ましくは140℃以下である。
本明細書中、工程(II)の保持温度は、当該工程での最高到達温度を意味する。
なお、温度の変動は板状粒子の結晶成長に変化をもたらす場合があるため、保持中の温度の上限と下限の差が10℃以下とすることが好ましい。
上記工程(II)はまた、相対湿度が75〜100%RHの雰囲気で行う。板状化を促進させる観点から、相対湿度は80%RH以上であることが好ましい。また、製造コストや設備仕様の観点から、95%RH以下とすることが好ましく、より好ましくは90%RH以下である。
本明細書中、工程(II)の相対湿度は、当該工程での最高到達湿度を意味する。
なお、相対湿度の変動は板状粒子の結晶成長に変化をもたらす場合があるため、保持中の湿度の上限と下限の差が10%以下とすることが好ましい。
上記条件下での保持時間は、前駆体が板状粒子に結晶成長するのに充分な時間であればよい。例えば、1〜300時間であることが好ましい。保持時間がこの範囲内であると、結晶化がより充分に進み、生産性にも優れる。より好ましくは3〜200時間、更に好ましくは6〜180時間である。
<他の工程>
上記製造方法では、上述した工程(I)〜(II)に加え、必要に応じて1又は2以上の粉砕、分級、洗浄、水熱、熟成、焼成、層間イオンの置換、表面被覆等のその他の工程を含んでもよい。その他の工程は特に限定されない。例えば、板状構造や複合体を崩さない範囲で、粗大粒子の粉砕・分級を行うことが好ましい。粉砕・分級の方法及び条件は特に限定されず、例えばボールミル、ライカイ機、フォースミル、ハンマーミル、ジェットミル、気流分級機、振動篩等を用いて行うことができる。
上記その他の工程の中でも、表面被覆工程を含むことが好ましい。すなわち、1種又は2種以上の表面被覆剤で複合体の表面の一部又は全部を表面処理する工程を含むことが好ましい。従来の粒子では、表面処理を施すと基材表面に由来する機能(例えば、臭い吸着性や吸油量等)が低下するが、本発明の複合体は、表面処理量が少なくても充分な滑り性を発揮するため、臭い吸着性や吸油量等の機能低下が少ないという点でも、従来の粒子に対して優位性を有する。
上記表面被覆剤としては、無機化合物及び有機化合物のいずれも好適に用いることができる。無機化合物としては特に限定されないが、例えば、ケイ素、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、アルミニウム、ジルコニウム、セリウム、亜鉛等の酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩等が挙げられる。有機化合物としては特に限定されないが、例えば、シリコーンオイル、脂肪酸及びその金属塩、ハイドロゲンジメチコン、アルキルシラン、アルコキシシラン、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、アミノ酸、ナイロン、カルボマー及びその金属塩、ポリアクリル酸、トリメチルプロパノール、トリエチルアミン、高級アルコール等が挙げられる。
上記表面被覆剤の中でも、ケイ素原子及び/又は脂肪族基を含む化合物が好ましい。すなわち上記製造方法は、ケイ素原子及び/又は脂肪族基を有する化合物で表面処理する工程(III)を含むことが好適であり、また、上記複合体の表面の一部又は全部が、ケイ素原子及び/又は脂肪族基を有する化合物で被覆されていることが好適である。これにより、亜鉛イオンの過剰な溶出を抑制し、皮膚への刺激性を低減して適度な収斂作用を発現できることに加え、樹脂や溶媒との相溶性や分散性が向上する他、撥水性も向上するため、化粧料だけではなく、樹脂への添加剤等、各種用途により有用なものとなる。上記化合物として特に好ましくは、シリカ、ハイドロゲンジメチコン、アルキルシラン、高級脂肪酸又はその塩であり、高級脂肪酸として好ましくはステアリン酸である。
上記表面被覆剤を用いてハイドロタルサイト型粒子の表面を被覆する方法としては特に限定されるものではない。例えば、シリカを用いる場合は、ハイドロタルサイト型粒子を含むスラリーに、珪酸ナトリウムと酸を加えて中和する方法等が挙げられる。表面被覆量は特に限定されないが、例えば、ハイドロタルサイト型粒子の総量100質量%に対し、表面被覆剤が占める割合が0.001〜30質量%であることが好ましい。より好ましくは0.1〜25質量%である。
<複合体>
上述した本発明の製造方法により、ハイドロタルサイト型粒子(好ましくは板状ハイドロタルサイト型粒子)の表面に酸化亜鉛粒子を有する複合体が得られる。この複合体について、以下に更に説明する。
上記板状ハイドロタルサイト型粒子は、亜鉛元素及びアルミニウム元素を少なくとも含むことが好ましい。中でも、下記式(1):
{(R)(Zn)}(Al)(OH)(An−x/n・mHO (1)
(式中、Rは、周期表第2族元素を表す。An−は、n価の層間アニオンを表す。xは、0.20以上、0.40以下の数であり、yは、0.20を超えて0.80以下の数であり、zは、0以上、0.40以下の数であって、かつx+y+z=1、及び、y≧zを満たす。nは、1以上、4以下の整数である。mは、0以上の数である。)で表されることがより好ましい。これにより、滑り性がより向上され、化粧料等の種々の用途により一層有用なものとなる。
上記式(1)中、n価の層間アニオンとしては特に限定されないが、反応性及び環境負荷低減の観点から、水酸化物イオン(OH)、炭酸イオン(CO 2−)及び硫酸イオン(SO 2−)からなる群より選択される少なくとも1種が好適である。中でも、炭酸イオンが好ましい。
Rは、周期表第2族元素を表す。例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)等が挙げられる。中でも、ハイドロタルサイト型粒子を化粧料として用いる場合は、マグネシウム元素又はカルシウム元素が好ましい。最も好ましくはマグネシウム元素である。
x、y及びzは、0.20≦x≦0.40、0.20<y≦0.80、0≦z≦0.40、x+y+z=1、及び、y≧zを満たす数である。
x、y及びzが上記範囲内にあると、結晶構造が安定する。より安定性を向上させる観点から、〔(z+y)/x〕が1.5/1〜3/1となるようにx等を調整することが好ましい。より好ましくは2/1となるように調整することである。
この観点から、xは、0.25以上であることが好ましく、より好ましくは0.30以上であり、また、0.35以下であることが好ましく、特に好ましくはx=1/3(=約0.33)である。
yは、0.25以上であることが好ましく、より好ましくは0.30以上であり、また、0.75以下であることが好ましく、より好ましくは0.70以下である。
zは、0.39以下であることが好ましく、より好ましくは0.38以下である。中でも、塩基性低減の観点から、z=0であることが好適である
nは、1≦n≦4を満たす数であり、層間アニオンの価数によって適宜調整すればよい。好ましくは1〜3の整数、より好ましくは2である。
mは、0以上の数である。このmは、結晶構造を解析することで理論上求めることができるが、実際には、付着水の存在等によって正確に測定することは困難である。理論上は、例えば、0以上、5未満であることが好ましい。
上記板状ハイドロタルサイト型粒子として最も好ましくは、下記式(2):
(Zn)0.67(Al)0.33(OH)(CO 2−0.165・mHO (2)
で表される粒子である。この構造では、結晶構造が極めて安定し、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。この構造はJCPDSカード 00−048−1023から確認できる。
上記酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、1〜100nmであることが好ましい。これにより、樹脂組成物や化粧料に用いた場合により高い透明性を発揮することができる。この平均粒子径の下限は5nm以上が好ましく、より好ましくは10nm以上である。また、上限は100nm以下が好ましく、より好ましくは80nm以下である。
本明細書中、酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、後述の実施例に記載の方法に従って求めることができる。
〔用途〕
次に、本発明の製造方法により得られた複合体の用途について、説明する。
上記複合体は、ハイドロタルサイト構造に由来する陰イオン交換能とともに紫外線遮蔽性を発揮できるうえ、滑り性も良好で、化粧料に含めた際の肌への塗布感触にも優れる。しかもアンモニアや酢酸等の臭い吸着性能やリン化合物の吸着性能にも優れるものである。したがって、化粧料、医薬品、医薬部外品、吸着剤、触媒、樹脂用添加剤、酸中和剤等の種々の用途に用いることができる。中でも、化粧料原料として特に有用であり、上記複合体を含む化粧料は、本発明の1つである。また、上記複合体を他の無機材料又は有機材料と組み合わせて複合材料としてもよい。例えば、上記複合体を樹脂やプラスチック等の有機材料に任意の割合で混合し、又は埋め込んで樹脂組成物を形成してもよいし、上記複合体を臭い吸着剤等として、フィルムやシート等の成型品を与える樹脂組成物に配合することも好適である。このように上記複合体と樹脂成分とを含む樹脂組成物もまた、本発明の1つである。以下に、上記化粧料及び樹脂組成物について更に説明する。
<化粧料>
上記化粧料は、上記複合体を含むことで、滑りが良く、かつ化粧料に含めた際の肌への塗布感触に優れるうえ、紫外線遮蔽性、赤外線遮蔽性にも優れ、しかもソフトフォーカス効果や皮脂吸着効果も期待できるものである。それゆえ、昨今の市場のニーズに特に適したものである。化粧料としては特に限定されず、例えば、ファンデーション、化粧下地、日焼け止め、アイシャドウ、頬紅、マスカラ、口紅、制汗剤、脂取り紙、スクラブ剤等が挙げられる。中でも、ファンデーションが特に好適である。
上記化粧料はまた、必要に応じ、本発明の複合体に加えて、他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。他の成分は特に限定されないが、例えば、有機溶媒や分散剤の他、化粧料分野で通常使用されている任意の水性成分、油性成分が挙げられる。具体的には、油分;界面活性剤;保湿剤;高級アルコール;金属イオン封鎖剤;各種高分子(天然、半合成、合成若しくは無機の、水溶性又は油溶性高分子);紫外線遮蔽剤;その他薬剤成分;各種抽出液;無機及び有機顔料;無機及び有機粘土鉱物等の各種粉体;金属石鹸処理又はシリコーンで処理された無機及び有機顔料;有機染料等の色剤;防腐剤;酸化防止剤;色素;増粘剤;pH調整剤;香料;冷感剤;収斂剤;殺菌剤;皮膚賦活剤;等が挙げられる。これらの成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に限定されない。
油分としては特に限定されず、例えば、アボカド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、パーム油、牛脂、羊脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化牛脂、硬化ヤシ油、硬化ひまし油等の硬化油、牛脚脂、モクロウ、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、流動パラフィン、オゾケライト、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、親油性非イオン界面活性剤、親水性非イオン界面活性剤の他、その他の界面活性剤が挙げられる。親油性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α’−オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等のグリセリンポリグリセリン脂肪酸類、モノステアリン酸プロピレングリコール等のプロピレングリコール脂肪酸エステル類、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
親水性非イオン界面活性剤としては特に限定されず、例えば、POEソルビタンモノオレエート、POEソルビタンモノステアレート、POEソルビタンテトラオレエート等のPOEソルビタン脂肪酸エステル類、POEソルビットモノラウレート、POEソルビットモノオレエート、POEソルビットペンタオレエート、POEソルビットモノステアレート等のPOEソルビット脂肪酸エステル類、POEグリセリンモノステアレート、POEグリセリンモノイソステアレート、POEグリセリントリイソステアレート等のPOEグリセリン脂肪酸エステル類、POEモノオレエート、POEジステアレート、POEモノジオレエート、システアリン酸エチレングリコール等のPOE脂肪酸エステル類、POEラウリルエーテル、POEオレイルエーテル、POEステアリルエーテル、POEベヘニルエーテル、POE2−オクチルドデシルエーテル、POEコレスタノールエーテル等のPOEアルキルエーテル類、POEオクチルフェニルエーテル、POEノニルフェニルエーテル、POEジノニルフェニルエーテル等のPOEアルキルフェニルエーテル類、ブルロニック等のプルアロニック型類、POE・POPセチルエーテル、POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル、POE・POPモノブチルエーテル、POE・POP水添ラノリン、POE・POPグリセリンエーテル等のPOE・POPアルキルエーテル類、テトロニック等のテトラPOE・テトラPOPエチレンジアミン縮合物類、POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油、POE硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOEヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POEソルビットミツロウ等のPOEミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POEプロピレングリコール脂肪酸エステル、POEアルキルアミン、POE脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POEノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
その他の界面活性剤としては、例えば、金属石鹸、高級アルキル硫酸エステル塩、POEラウリル硫酸トリエタノールアミン、アルキルエーテル硫酸エステル塩等のアニオン界面活性剤、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキル四級アンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、POEアルキルアミン、アルキルアミン塩、ポリアミン脂肪酸誘導体等のカチオン界面活性剤、イミダゾリン系両性界面活性剤、ベタイン系界面活性剤等の両性界面活性剤等が挙げられる。
保湿剤としては特に限定されず、例えば、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
高級アルコールとしては特に限定されず、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
金属イオン封鎖剤としては特に限定されず、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1− ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸等が挙げられる。
天然の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子を挙げることができる。
半合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC)、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子等が挙げられる。
合成の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン等のビニル系高分子、ポリエチレングリコール20000、40000、60000等のポリオキシエチレン系高分子、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体共重合系高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー等が挙げられる。
無機の水溶性高分子としては特に限定されず、例えば、ベントナイト、ケイ酸A1Mg(ビーガム)、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等が挙げられる。
紫外線遮蔽剤としては特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル等の安息香酸系紫外線遮蔽剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線遮蔽剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線遮蔽剤;オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等のケイ皮酸系紫外線遮蔽剤;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3− カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線遮蔽剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5− メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
その他薬剤成分としては特に限定されず、例えば、ビタミンA油、レチノール、パルミチン酸レチノール、イノシット、塩酸ピリドキシン、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸アミド、ニコチン酸DL−α−トコフェロール、アルコルビン酸リン酸マグネシウム、2−O−α−D−グルコピラノシル−L−アスコルビン酸、ビタミンD2(エルゴカシフェロール)、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、パントテン酸、ビオチン等のビタミン類;エストラジオール、エチニルエストラジオール等のホルモン;アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、システイン、メチオニン、セリン、ロイシン、トリプトファン等のアミノ酸;アラントイン、アズレン等の抗炎症剤、アルブチン等の美白剤、;タンニン酸等の収斂剤;L−メントール、カンフル等の清涼剤;や、イオウ、塩化リゾチーム、塩化ピリドキシン等が挙げられる。
各種の抽出液としては特に限定されず、例えば、ドクダミエキス、オウバクエキス、メリロートエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、シャクヤクエキス、サボンソウエキス、ヘチマエキス、キナエキス、ユキノシタエキス、クララエキス、コウホネエキス、ウイキョウエキス、サクラソウエキス、バラエキス、ジオウエキス、レモンエキス、シコンエキス、アロエエキス、ショウブ根エキス、ユーカリエキス、スギナエキス、セージエキス、タイムエキス、茶エキス、海藻エキス、キューカンバーエキス、チョウジエキス、キイチゴエキス、メリッサエキス、ニンジンエキス、マロニエエキス、モモエキス、桃葉エキス、クワエキス、ヤグリマギクエキス、ハマメリスエキス、プラセンタエキス、胸腺抽出物、シルク抽出液、甘草エキス等が挙げられる。
各種粉体としては、例えば、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク等の光輝性着色顔料、マイカ、タルク、カオリン、セリサイト、二酸化チタン、シリカ等の無機粉末やポリエチレン末、ナイロン末、架橋ポリスチレン、セルロースパウダー、シリコーン末等の有機粉末等が挙げられる。好ましくは、官能特性向上や化粧持続性向上のため、粉末成分の一部又は全部をシリコーン類、フッ素化合物、金属石鹸、油剤、アシルグルタミン酸塩等の物質にて、公知の方法で疎水化処理したものである。
<樹脂組成物>
上記樹脂組成物は、上記複合体と樹脂成分とを含む。樹脂組成物中の複合体の配合量は、所望の用途や使用する樹脂成分の特性に応じて適宜選択できる。例えば、樹脂成分としてエポキシ樹脂やアクリル樹脂等を使用する場合は、樹脂成分100質量部に対して上記複合体を1〜200質量部配合することが好ましく、ポリエチレン樹脂や軟質塩化ビニル樹脂等を使用する場合は、樹脂成分100質量部に対して上記複合体を1〜300質量部を配合することが好ましい。配合したものを、例えばコニカルブレンダー、Vブレンダー、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、バンバリミキサー、二本ロール等の混合機・混練機を用いることで、樹脂組成物を作製することができる。
また上記樹脂組成物からハイドロタルサイト含有樹脂組成物(成形体)を形成することができる。成形体の形状は特に限定されず、例えば、シート状、フィルム状の他、ひも状、板状、棒状、ペレット状等のその他の形状が挙げられる。
シート状のハイドロタルサイト含有樹脂組成物を得る場合、例えば、ポリ塩化ビニル樹脂100質量部に対し、上記複合体を1〜200質量部、カルシウム−亜鉛系安定剤を3〜5質量部、可塑剤であるジオクチルフタレートを30〜100質量部配合し、二本ロールにて100〜180℃で混練することが好ましく、これにより、可撓性のあるシート状のハイドロタルサイト含有樹脂組成物を好適に得ることができる。
フィルム状のハイドロタルサイト含有樹脂組成物を得る場合、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂100質量部に対して上記複合体を1〜50質量部配合し、二軸押し出し機やインフレーション加工機にて250〜300℃で混練・成型することが好ましい。
その他の形状のハイドロタルサイト含有樹脂組成物を得る場合、例えば、ポリプロピレン樹脂100質量部に対して上記複合体を1〜100質量部配合し、二軸押し出し機にて170〜200℃で混練・成型することで、ひも状、板状、棒状、ペレット状等のハイドロタルサイト含有樹脂組成物を得ることができる。また、例えば、ペレット状のハイドロタルサイト含有樹脂組成物を射出成形機を用いて170〜200℃で加工成型することで、立体的な形状のハイドロタルサイト含有樹脂組成物を得ることもできる。
本発明を詳細に説明するために以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「%」とは「重量%(質量%)」を意味する。
実施例1
−(1)中和−
硫酸亜鉛7水和物72.5gと、354g/Lの硫酸アルミニウム水溶液81.2mL(Al(SOとして28.7g)と、297g/Lの硫酸マグネシウム水溶液34.1mL(MgSOとして10.1g)を混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えた金属塩混合水溶液を得た。別途、720g/Lの水酸化ナトリウム水溶液46.7mLと、炭酸ナトリウム26.7gとを混合し、全量が350mLとなるようにイオン交換水を加えたアルカリ混合水溶液を得た。1Lの丸底フラスコにイオン交換水50mLを入れ、撹拌下において、これら水溶液を加えた。このときのスラリーのpHは9であった。その後、50℃で10分間撹拌することにより、スラリーを得た。
−(2)乾燥・粉砕−
上記「(1)中和」により得られたスラリーをろ過し、洗液の電気伝導度が100μS/cm以下になるまで水洗した。得られたケーキを水と混合し、噴霧乾燥装置(アトマイザー方式、大川原化工機社製、BDP−22型)にてディスク回転数16000rpm、出口乾燥温度105℃の条件で乾燥することにより、ハイドロタルサイト前駆体の粉末を得た。
−(3)湿潤雰囲気工程−
上記「(2)乾燥・粉砕」により得られた粉末のうち1gを、口内径27mm、高さ15mmのガラスシャーレに入れて、不飽和型高加速寿命試験装置(平山製作所製、HASTEST PC−242HSR2)に入れ、室温から120℃、相対湿度85%RHまで80分間かけて調整し、120℃、相対湿度85%RHにて118時間保持し、その後ヒーターへの通電を中止し室温まで冷却した。なお、この工程は大気中で行った。このようにして、粉末(1)を得た。
粉末X線回折パターンにて酸化亜鉛由来のピークが確認されることとSEM画像から、ハイドロタルサイトの粒子上に酸化亜鉛の粒子を有していると判断した(図1−1及び図2−1参照)。
実施例2
実施例1において、「(1)中和」での原料及び「(3)湿潤雰囲気工程」での保持時間を表1に示すとおりに変更したこと以外は、実施例1と同様にして粉末(2)を得た。
粉末X線回折パターンにて酸化亜鉛由来のピークが確認されることとSEM画像から、ハイドロタルサイトの粒子上に酸化亜鉛の粒子を有していると判断した(図1−2及び図2−2参照)。
比較例1
実施例1において、「(1)中和」での原料を表1に示すとおりに変更し、「(2)乾燥・粉砕」により得られた粉末のうち1gを、口内径27mm、高さ15mmのガラスシャーレに入れて、恒温恒湿器(エスペック社製、LH−113)に入れ、室温から85℃、相対湿度85%RHまで15分間かけて調整し、85℃、相対湿度85%RHにて166時間保持し、その後ヒーターへの通電を中止し室温まで冷却した。なお、この工程は大気中で行った。このようにして、粉末(c1)を得た。
粉末X線回折パターンとSEM画像から、この粉末中に酸化亜鉛の粒子は確認できなかった(図1−3及び図2−3参照)。
比較例2
実施例1の「(2)乾燥・粉砕」により得られた粉末のうち1gを、口内径27mm、高さ15mmのガラスシャーレに入れて、恒温恒湿器(エスペック社製、LH−113)に入れ、室温から85℃、相対湿度85%RHまで15分間かけて調整し、85℃、相対湿度85%RHにて118時間保持し、その後ヒーターへの通電を中止し室温まで冷却した。なお、この工程は大気中で行った。このようにして、粉末(c2)を得た。
粉末X線回折パターンとSEM画像から、この粉末中に酸化亜鉛の粒子は確認できなかった(図1−4及び図2−4参照)。
比較例3
実施例2の「(2)乾燥・粉砕」により得られた粉末のうち1gを、口内径27mm、高さ15mmのガラスシャーレに入れて、恒温恒湿器(エスペック社製、LH−113)に入れ、室温から85℃、相対湿度85%RHまで15分間かけて調整し、85℃、相対湿度85%RHにて22時間保持し、その後ヒーターへの通電を中止し室温まで冷却した。なお、この工程は大気中で行った。このようにして、粉末(c3)を得た。
粉末X線回折パターンとSEM画像から、この粉末中に酸化亜鉛の粒子は確認できなかった(図1−5及び図2−5参照)。
各実施例及び比較例で得た粉体、並びに、工程(II)に供する際の前駆体(工程(II)を行わない場合は生成物)について、以下の方法に従って、それぞれ物性評価を行った。
1、X線回折
以下の条件により粉末X線回折パターン(単にX線回折パターンともいう)を測定した。例えば、実施例1、2、比較例1〜3で得た粉体のX線回折パターンを図1−1〜1−5に示す。これらの図中、■を付したピークは、Zn0.67Al0.33(OH)(CO0.165・xHO(板状ハイドロタルサイト型粒子)に由来するピークであり、○を付したピークは、ZnO(酸化亜鉛粒子)に由来するピークである。
−分析条件−
使用機:リガク社製、RINT−UltimaIII
線源:CuKα
電圧:50kV
電流:300mA
試料回転速度:60rpm
発散スリット:1.00mm
発散縦制限スリット:10mm
散乱スリット:開放
受光スリット:開放
走査モード:FT
計数時間:2.0秒
ステップ幅:0.0200°
操作軸:2θ/θ
走査範囲:1.6000〜70.0000°
積算回数:1回
ハイドロタルサイト型粒子の同定に用いたのは以下の資料である。
Zn0.67Al0.33(OH)(CO0.165・xHO:JCPDSカード 00−048−1023
MgAl(OH)12CO・3HO:JCPDSカード 00−051−1525
なお、酸化亜鉛粒子の同定に用いたのは以下の資料である。
JCPDSカード 01−089−0510
2、SEM画像
電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7000F)にて粒子の形状を観察した。各粉体の電子顕微鏡写真を図2−1〜2−5(SEM写真)に示す。
3、酸化亜鉛粒子の平均粒子径
各粉体につき、電界放出形透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEM−2100F)により、多数を占める板状粒子より微細な粒子が10〜100個程度写るように電子顕微鏡写真を撮影した。この電子顕微鏡写真上に無作為に引いた直線上にある粒子の表面に存在する酸化亜鉛粒子10個の長径の平均値を、各粉体の酸化亜鉛粒子の平均粒子径とした。長径が測定しにくい場合は、適宜倍率を上げて撮影したものを用いて測定した。実施例、比較例毎に撮影する粉体を換えてこの操作を10回繰り返し、求めた酸化亜鉛粒子の粒子径の平均値を算出した。結果を表2−1に示す。
4、メジアン径(D50
レーザー回折・散乱式粒度分析計(HORIBA社製、型番:LA−950−V2)により粒度分布測定を行った。
まずサンプル(試料粉体)0.1gに0.025wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液60mLを加え、超音波ホモジナイザー(US−600、日本精機製作所製)を用いて、周波数20kHz、出力90Wの超音波を2分間照射することにより、サンプルの懸濁液を準備した。この後、0.025wt%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液を試料循環器に循環させ、透過率が80〜95%になるように上記懸濁液を滴下して、循環速度5、撹拌速度1にて、60秒間超音波分散してから測定を行った。結果を表2−1に示す。
5、平均板面径、平均厚み及びアスペクト比
各粉体につき、電界放出型走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7000F)により、粒子が50〜10000個程度写るように電子顕微鏡写真を撮影した。この電子顕微鏡写真上に無作為に引いた直線上にある粒子20個の板面径の平均値を、各粉体の平均板面径とした。同様の方法で平均厚み(粒子20個の厚みの平均値)を算出し、(平均板面径の長径/平均厚み)によってアスペクト比を求めた。板面径、厚みが測定しにくい場合は、適宜倍率を上げて撮影したものを用いて測定した。実施例、比較例毎に撮影する粉体を換えてこの操作を10回繰り返し、求めたアスペクト比の平均値を算出した。結果を表2−1に示す。
6、元素分析
各粉体中のMg,Zn,Al含有量は、誘導結合プラズマ(ICP)発光分光分析法を用い、以下の方法により測定することができる。
具体的には、以下のように、分光器(SII社製、ICP SPS3100)を使用し、スカンジウム(Sc)を内標準元素とする内標準法により測定する。
まず、試料約0.2gをビーカーに精秤し、塩酸約5mLを加えて溶解させ、100mLメスフラスコに充填し、イオン交換水でメスアップする。これをMg含有量測定では20倍、Zn含有量測定では50倍、Al含有量測定では10倍希釈し、かつSc濃度が10ppmとなるようにSc標準溶液を添加した溶液を試験液とし、下記の測定条件により測定し、得られた生データを下記の計算条件で計算することによりMg,Zn,Al含有量を算出する。結果を表2−2に示す。
−測定条件−
分光器(SII社製、ICP SPS3100)を使用し、波長279.55nm(Mg)、213.86nm(Zn)、396.15nm(Al)、361.49nm(Sc)にてそれぞれ検量線を作成した後、試料を測定する。
検量線用試料の濃度としては、
Mg(ppm)=50,40,30,20,10、
Zn(ppm)=20,16,12,8,4、
Al(ppm)=50,40,30,20,10
の各5点を使用する。
なお、いずれの検量線用試料も、Sc濃度が10ppmとなるようにSc標準溶液を添加した。計算条件は以下の通りである。
各含有量(%)=生データ×100/試料重量(g)×希釈倍率/10000
7、滑り性(MIU、MMD)
各試料の滑り性評価は次のような方法で行った。
スライドガラスに両面テープを貼り付け、粘着面に薬さじ半分程度の粉末(試料)を載せ、化粧用スポンジで粉末を展ばし、その上に摩擦子をセットした。スライドガラスを移動させて、摩擦子にかかる負荷から、平均摩擦係数MIUと平均摩擦係数の変動値MMDを測定した。測定は摩擦感テスター(カトーテック製、KES−SE)により行った。結果を表2−2に示す。
なお、MIU、MMDの値が低いほど、滑らかに滑り微妙なひっかかり感がないといえる。
8、化粧料としての評価(官能評価)
(1)まず、実施例及び比較例で得た粉体20.00重量%、マイカ(製品名:Y−2300X、ヤマグチマイカ社製)24.83重量%、セリサイト(製品名:FSE、三信鉱工社製)29.79重量%、球状シリコーン(製品名:KSP-105、信越化学工業社製)6.44重量%、酸化チタン(製品名:R−3LD、堺化学工業社製)7.36重量%、酸化鉄(黄)(製品名:黄酸化鉄、ピノア社製)1.10重量%、酸化鉄(赤)(製品名:ベンガラ、ピノア社製)0.37重量%、ステアリン酸マグネシウム(製品名:JPM−100、堺化学工業社製)0.92重量%、及び、ジメチルシリコーンオイル(製品名:KF96、信越化学工業社製)9.20重量%を、コーヒーミルを用いて1分30秒間撹拌混合した。
得られた粉体状の混合物を、直径20mmφの金型に0.8g測り採り、プレス機を用いて、200kgf/cmの圧力にて30秒間保持して、ハイドロタルサイト含有ファンデーションを作製した。
(2)マイカ(製品名:Y−2300X、ヤマグチマイカ社製)31.03重量%、セリサイト(製品名:FSE、三信鉱工社製)37.24重量%、球状シリコーン(製品名:KSP-105、信越化学工業社製)8.05重量%、酸化チタン(製品名:R−3LD、堺化学工業社製)9.20重量%、酸化鉄(黄)(製品名:黄酸化鉄、ピノア社製)1.38重量%、酸化鉄(赤)(製品名:ベンガラ、ピノア社製)0.46重量%、ステアリン酸マグネシウム(製品名:JPM−100、堺化学工業社製)1.15重量%、及び、ジメチルシリコーンオイル(製品名:KF96、信越化学工業社製)11.49重量%を、コーヒーミルを用いて1分30秒間撹拌混合した。
得られた粉体状の混合物を、直径20mmφの金型に0.8g測り採り、プレス機を用いて、200kgf/cmの圧力にて30秒間保持して、ハイドロタルサイト非含有ファンデーションを作製した。
(3)上記(1)及び(2)それぞれで得たファンデーションを10人のパネラーに対して塗布し、化粧料に含めた際の肌への塗布感触について、以下に示す基準で選んでもらい評価した。なお、試験は盲検として行った。評価結果を表2−2に示す。
(塗布感触の評価基準)
◎:上記(1)のハイドロタルサイト含有ファンデーションを用いる方が、上記(2)のハイドロタルサイト非含有ファンデーションを用いるよりも塗布感触が良好である。
○: どちらも同じ塗布感触である。
×:上記(2)のハイドロタルサイト非含有ファンデーションを用いる方が、上記(1)のハイドロタルサイト含有ファンデーションを用いるよりも塗布感触が良好である。
9、ソフトフォーカス性評価
各サンプルのソフトフォーカス性評価は、次のような方法にて行った。
サンプル0.3gとメチルポリシロキサン(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製、Element14*PDMS、1000−JC)2.7gを測り採り、よく混合した後、フーバー式マラーを用いて、100rpmの回転速度で100回転させ、ペーストを調製した。そのようにして調製したペーストを、3MILのアプリケーターを用いてガラス板上に均一に成膜した。このようにして得られた塗膜を、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH4000型)でヘイズ値と全光透過率を測定し、透明性を評価した。表3にその結果を示す。
10、紫外線遮蔽性
上記実施例及び比較例で得られた各サンプルについて、紫外線遮蔽性を以下のようにして測定した。
サンプル粉末を、分光光度計(日本分光社製、V−570型分光光度計及びILN−472型積分球)測定用セルに充填し、分光光度計を用いて300nm〜2400nmの波長領域で反射率を測定した。
なお、得られた拡散反射スペクトルは、クベルカ−ムンク(Kubelka−Munk)法によって吸光度に変換して示した(図3)。図3中、比較例1については吸光度が0.01と低すぎるため図示できていない(KM=0の横軸とほぼ重なっている)。
なお、実施例1、2で得た粉体は、紫外線遮蔽能力を有し、MIUが低く、滑り性にも優れることを確認した。
実施例1、2等の本発明の製造方法により作製した複合体は、板状ハイドロタルサイト型粒子の表面に酸化亜鉛粒子を有するが、この酸化亜鉛粒子は被覆されていない粒子(未被覆粒子)である。ここで、ハイドロタルサイト型粒子と酸化亜鉛粒子とは、いずれも親水性の無機化合物であるため、混ぜ合わせると良く付着すると本来は考えられる。だが、被覆層を有する酸化亜鉛粒子は、粒子同士の凝集を抑制する効果をもたらすことから、混合等の物理的な方法でハイドロタルサイト表面に担持させた場合、被覆層があるがゆえにハイドロタルサイト表面から酸化亜鉛粒子が脱落しやすい。一方、本発明の製造方法は、ハイドロタルサイト型粒子の結晶成長と同時に酸化亜鉛粒子をハイドロタルサイト型粒子表面に均一に析出させるので、板状ハイドロタルサイト型粒子と酸化亜鉛粒子との間に余計な層が無く、酸化亜鉛粒子が強固に固定化されていると考えられる。そのため、化粧料や樹脂に分散させた際、ハイドロタルサイト型粒子と酸化亜鉛粒子が分離し難くなると期待される。

Claims (4)

  1. ハイドロタルサイト型粒子の表面に酸化亜鉛粒子を有する複合体を製造する方法であって、
    亜鉛化合物及びアルミニウム化合物を少なくとも含む原料を用いて前駆体を得る工程(I)と、
    該前駆体を、温度100〜150℃で、かつ相対湿度75〜100%RHの雰囲気下で保持する工程(II)とを含む
    ことを特徴とする複合体の製造方法。
  2. 前記ハイドロタルサイト型粒子は、平均板面径の長径が150〜800nm、アスペクト比(平均板面径の長径/平均厚み)が4.0〜20.0である
    ことを特徴とする請求項1に記載の複合体の製造方法。
  3. 前記酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、1〜100nmである
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の複合体の製造方法。
  4. 前記製造方法は、更に、ケイ素原子及び/又は脂肪族基を有する化合物で表面処理する工程(III)を含む
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合体の製造方法。
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