以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
(第1実施形態)
図1に示す車両用シート送風装置10(以下、単にシート送風装置10という)は、車室14内に設置された送風対象シートとしてのシート12へ車室14内の空気を送風し、その送風した空気をシート12から吹き出させる。本実施形態において、そのシート12は、不図示のリヤシート(すなわち、後席)よりも車両前方に配置される運転席または助手席としてのフロントシート(すなわち、前席)である。
なお、図1においてシート送風装置10およびシートバック121は断面図示されている。また、図1の矢印DR1は車両前後方向DR1を表し、矢印DR2は車両上下方向DR2を表し、後述の図5の矢印DR3は車両左右方向DR3すなわち車両幅方向DR3を表している。これら3つの方向DR1、DR2、DR3は互いに交差する方向であり、厳密には互いに直交する方向である。
シート12は、そのシート12に着座している乗員すなわち着座者の背もたれとなるシートバック121と、その着座者の座部として機能し着座者の臀部および大腿部を支持するシートクッション122とを備えている。シート12は、車両幅方向DR3に対称的な形状をなしている。
シートバック121は、弾力性を有する発泡ウレタン製のシートパッド121aと、シートパッド121aの着座者側の表面を覆うようにシートパッド121aに張り付いたシート表皮121bとから構成されている。
シートパッド121aには、シート送風装置10から送られた送風空気をシート表面の全体へ送ることができるように枝分かれしたシート通風路121cが形成されている。そして、シート表皮121bは例えば天然皮革または人工皮革で構成されたパーフォレーション付き表皮であり、シート表皮121bには、シート表皮121bの厚み方向に貫通した複数の微細孔が形成されている。
シート通風路121cから吹き出される空気は、そのシート表皮121bの微細孔を通って着座者側へ図2の矢印ARoのように吹き出される。すなわち、シート表皮121bの微細孔は、着座者側へ空気を吹き出すシート座面吹出口として機能する。
なお、シートクッション122もシートバック121と同様に、シートパッド122aとシート表皮122bとを有している。また、シートクッション122にも、シートバック121のシート通風路121cに相当する通風路が形成されていてもよいが、本実施形態では、シート通風路121cに相当する通風路はシートクッション122には形成されていない。
図1に示すように、シート送風装置10は、車室14内のうちシート12に対し車両下方側に設けられている。すなわち、シート送風装置10は、車両上下方向DR2においてシート12と車室14の床面14aとの間に設けられている。
シート送風装置10は、車室14内を空調する空調ユニット16とは別個に設けられており、シート12に対して取り付けられている。シート送風装置10は、シート12内へ流通する空気を加熱する加熱器、およびシート12内へ流通する空気を冷却する冷却器の何れも備えていない。すなわち、シート送風装置10は、車室14内の空気である内気を、加熱も冷却もすることなくそのままシート12のシート通風路121cへ流通させる。
車室内空調ユニット16は、車室14内のうち車両前方寄りに設けられる一般的な空調装置である。すなわち、車室内空調ユニット16は、シート送風装置10が設けられたシート12に対し車両前方側に配置されている。
例えば、車室内空調ユニット16(以下、単に空調ユニット16という)は、エバポレータおよびヒータコアを備え、車室14前方のインストルメントパネル内に配置されている。そして、空調ユニット16は、その空調ユニット16内に配置された熱交換器により加熱または冷却された温調風を車室14内へ吹き出すことにより、その車室14内の空調を行う。
また、車室14には、温調風を車室14内へ吹き出す温調風吹出口としてのフット吹出口161が開口している。そのフット吹出口161は空調ユニット16に接続され、その空調ユニット16で温度調節された温調風を吹き出すものである。具体的に、フット吹出口161は着座者の足元へ温調風を吹き出す。
また、車室14には内気吸込口162も開口しており、その内気吸込口162は、フット吹出口161に対し車両上方側に配置されている。そして、空調ユニット16は、内気吸込口162から内気を吸い込む。例えば空調ユニット16は、その内気吸込口162から吸い込んだ空気の温度調節を行ってから、その空気を温調風として、フット吹出口161から車室14内へと吹き出す。
この内気吸込口162およびフット吹出口161は何れも、シート12に対し車両前方側にて開口している。
図1に示すように、シート送風装置10は、シート12内に空気を流通させるシート送風機能に加えて、車室14内にエアカーテンを形成するエアカーテン機能を備えている。そのため、シート送風装置10は、送風機24、吸込部26、シート送風用ダクト28、エアカーテン用ダクト30、エアカーテン形成部32、および流路開閉装置34等を備えている。
送風機24は、電動のシート用送風機である。この送風機24は、シート12の下部に取り付けられている。送風機24は、送風ファン241と送風機ケーシング242と不図示の電動機とを有している。そして、送風機ケーシング242には、吸気口24aと、2つの吹出口24b、24cとが形成されている。その吸気口24aは車両下方側を向いて開口し、2つの吹出口24b、24cは、車両側方すなわち車両横方向を向いて開口している。
送風ファン241は遠心ファンであり、車両上下方向DR2に延びるファン軸心まわりに配置された多数のファンブレードを有している。送風ファン241は、送風機ケーシング242内に収容されており、電動機によってファン軸心まわりに回転させられる。それにより、送風ファン241は、吸気口24aから空気を吸い込むと共に、その吸い込んだ空気を2つの吹出口24b、24cへと吹き出す。
送風機24に形成された2つの吹出口24b、24cのうちの一方であるシート側吹出口24bは、シート送風用ダクト28のシート側流路28aへ連通している。また、その2つの吹出口24b、24cのうちの他方であるエアカーテン側吹出口24cは、エアカーテン用ダクト30のエアカーテン側流路30aへ連通している。従って、送風機24は、その送風機24から吹き出される空気を、シート12内に流通させることができると共に、エアカーテン形成部32へ供給することもできる。
吸込部26は、送風機ケーシング242の車両下方側に配置され、その送風機ケーシング242に連結されている。その吸込部26には車室吸込口26aが形成されており、その車室吸込口26aは、車室14のうちシート12に対する車両下方側にて下向きに開口している。すなわち、車室吸込口26aは車室14の床面14aに相対向するように開口している。
また、車室吸込口26aは送風機24の吸気口24aへ連通している。従って、送風機24は車室14内から内気をそのまま吸い込む。具体的には、送風機24は、車室14内の空気を車室吸込口26aから吸い込み、その車室14内から吸い込んだ空気を2つの吹出口24b、24cから吹き出す。例えばシート側流路28aが開放されていれば、送風機24は、車室14内の空気を、シート側吹出口24bを介してシート12内へ流通させる。
シート送風用ダクト28は、送風機24が吹き出す空気をシート12のシート通風路121cへと導く配管部である。そのため、シート送風用ダクト28は、その内側に、第1通路としてのシート側流路28aを形成している。そして、そのシート側流路28aの一端は送風機24のシート側吹出口24bへ接続され、シート側流路28aの他端はシート通風路121cへ接続されている。すなわち、シート側流路28aは、送風機24から吹き出された空気をシート12へ流す流路である。
エアカーテン用ダクト30は、送風機24が吹き出す空気をエアカーテン形成部32へと導く配管部である。そのため、エアカーテン用ダクト30は、その内側に、第2通路としてのエアカーテン側流路30aを形成している。そして、そのエアカーテン側流路30aの一端は送風機24のエアカーテン側吹出口24cへ接続され、エアカーテン側流路30aの他端はエアカーテン吹出口32aへ接続されている。すなわち、エアカーテン側流路30aは、送風機24から吹き出された空気をエアカーテン形成部32へ流す流路である。
流路開閉装置34は、送風機24が吹き出す空気の流通経路を切り替えるものである。流路開閉装置34は、シート側開閉部341とエアカーテン側開閉部342とを含んで構成されている。シート側開閉部341は、シート側流路28aに設けられた回動ドア機構から構成されている。
そして、シート側開閉部341は、そのシート側流路28aを開閉可能に構成され、シート側流路28aの全閉状態から全開状態までの範囲内で回動する。図2には、シート側流路28aを全開状態にしたシート側開閉部341が示されている。また、図3には、シート側流路28aを全閉状態にしたシート側開閉部341が示されている。
なお、シート側流路28aの全開状態とは例えば、シート側開閉部341の作動範囲内でシート側流路28aの開度が最大にされた状態である。また、シート側流路28aの全閉状態は、シート側流路28aが完全に閉塞した状態に限らず、シート側開閉部341の作動範囲内でシート側流路28aの開度が最小にされた状態であってもよい。また、シート側開閉部341は、シート側流路28aを全閉状態と全開状態との間の中間の開度にすることがあってもよい。
エアカーテン側開閉部342は、エアカーテン側流路30aに設けられた回動ドア機構から構成されている。そして、エアカーテン側開閉部342は、そのエアカーテン側流路30aを開閉可能に構成され、エアカーテン側流路30aの全閉状態から全開状態までの範囲内で回動する。図2には、エアカーテン側流路30aを全閉状態にしたエアカーテン側開閉部342が示されている。また、図3には、エアカーテン側流路30aを全開状態にしたエアカーテン側開閉部342が示されている。
なお、エアカーテン側流路30aの全開状態および全閉状態の定義についてはそれぞれ、上述したシート側流路28aの全開状態および全閉状態の定義と同様である。また、エアカーテン側開閉部342は、エアカーテン側流路30aを全閉状態と全開状態との間の中間の開度にすることがあってもよい。
具体的に、流路開閉装置34は、各開閉部341、342の開閉作動により、送風機24の吹出空気を専らシート通風路121cへ導くシート側連通状態と、送風機24の吹出空気を専らエアカーテン形成部32へ導くエアカーテン側連通状態とに切り替えられる。
すなわち、流路開閉装置34は、シート側連通状態では図2に示すように、シート側開閉部341の作動によってシート側流路28aを開き、その一方で、エアカーテン側開閉部342の作動によってエアカーテン側流路30aを閉じる。例えばシート側連通状態では、流路開閉装置34は、シート側流路28aを全開状態にする一方でエアカーテン側流路30aを全閉状態にする。
これとは逆に、流路開閉装置34は、エアカーテン側連通状態では図3に示すように、シート側開閉部341の作動によってシート側流路28aを閉じ、その一方で、エアカーテン側開閉部342の作動によってエアカーテン側流路30aを開く。例えばエアカーテン側連通状態では、流路開閉装置34は、シート側流路28aを全閉状態にする一方でエアカーテン側流路30aを全開状態にする。
エアカーテン形成部32は、図3に示すように、送風機24から流出する空気のうちの少なくとも一部を車室14内へ吹き出すことにより、エアカーテンAcnを形成する。具体的には、流路開閉装置34がエアカーテン側連通状態になっている場合に、エアカーテン形成部32はエアカーテンAcnを形成する。そのエアカーテンAcnとは、エアカーテン形成部32から吹き出された空気流で構成され、車室14内のうちの少なくとも一部において車室14内の空間を仕切るものである。例えば、そのエアカーテンAcnは幕状の空気流で構成され、その幕状の空気流を横切る空気の流通を防止する。
例えば、流路開閉装置34のエアカーテン側連通状態において、シート側流路28aがシート側開閉部341によって完全に閉塞されていれば、送風機24から流出する空気の全部がエアカーテンAcnに用いられる。また、シート側流路28aが僅かでも開かれていれば、その送風機24から流出する空気の一部がエアカーテンAcnに用いられることとなる。
エアカーテン形成部32には、エアカーテンAcnを形成するための空気を吹き出すエアカーテン吹出口32aが形成されている。そのエアカーテン吹出口32aは、車室14の床面14aに向かって開口しており、その床面14aに向かって空気を吹き出す。この空気の吹出しによりエアカーテン形成部32と床面14aとの間にエアカーテンAcnが形成される。例えばエアカーテン形成部32は、シートクッション122よりも車両下方側にて、車両幅方向DR3に拡がるようにエアカーテンAcnを形成する。
図3に示すように、エアカーテン吹出口32aは、車室吸込口26aに対し車両前方側に配置されている。
また、エアカーテン吹出口32aは、空調ユニット16のフット吹出口161とは別個に設けられている。従って、そのフット吹出口161から吹き出される温調風の拡散をエアカーテンAcnによって抑えることが可能である。
以上のように構成されたシート送風装置10は、例えば夏季には乗員により、流路開閉装置34が図2に示すようにシート側連通状態に切り替えられて利用される。すなわち、シート送風装置10において車室吸込口26aから吸い込まれた室内風(すなわち、内気)は矢印ARstのように送風機24からシート側流路28aを介してシート通風路121cへ送風される。そして、シート通風路121cへ送られた室内風は、矢印ARoのようにシート12から着座者側へ吹き出され、それにより着座者の体表面を換気してその着座者に清涼感を与える。要するに、シート送風装置10は、シート12から着座者に対して空気を吹き出すシート空調を行うことができる。
その一方で、例えば冬季には、乗員に上記清涼感を与える必要はないので、シート送風装置10は、乗員により、流路開閉装置34が図3に示すようにエアカーテン側連通状態に切り替えられて利用される。すなわち、シート送風装置10において車室吸込口26aから吸い込まれた室内風は送風機24からエアカーテン側流路30aを介してエアカーテン形成部32へ送風される。そして、エアカーテン形成部32へ送られた室内風は、エアカーテン吹出口32aから車室14の床面14aに向けて吹き出され、それによりシート12の下部と床面14aとの間にエアカーテンAcnが形成される。
更に、空調ユニット16の暖房運転中においてその空調ユニット16のフット吹出口161から吹き出された温調風としての温風は、エアカーテンAcnの作用によって、シート12の下部と床面14aとの間を通過してシート12の車両後方側へは到達しない。そして、そのフット吹出口161から吹き出された温風は、矢印WBのように内気吸込口162へと帰っていく。
例えば仮に、図3に示すエアカーテンAcnが無いとすると、フット吹出口161から吹き出された温風は、シート12の下部と床面14aとの間を通過してシート12の車両後方側へ逃げてしまう。その結果として、シート12の着座者周りを暖房する上で暖房効率が低下する。
次に、本実施形態のシート送風装置10による効果について説明する。本実施形態によれば図1〜3に示すように、シート送風装置10は、車室14内に設置されたシート12内に空気を流通させる送風機24を備えている。そして、シート送風装置10のエアカーテン形成部32は、その送風機24から流出する空気のうちの少なくとも一部を車室14内へ吹き出すことにより、エアカーテンAcnを形成する。従って、エアカーテンAcn形成用の専用の送風機を設けることと比較して部品点数の増加を抑えつつ、シート12内に空気を流通させるシート送風機能に加えてエアカーテンAcnを形成するエアカーテン機能をシート送風装置10に備えさせることができる。
例えば、車室14内の暖房を行う際には、着座者に清涼感を与える必要はないのでシート送風装置10にシート送風機能を発揮させる必要がない。本実施形態では、このようにシート送風機能が不要である場合において送風機24を利用しシート送風装置10にエアカーテン機能を発揮させる。従って、特許文献2に記載のようなエアカーテンAcn形成用の専用の送風機が不要であるので、部品点数の増加が抑えられ、延いてはシート送風装置10のコスト削減につなげることが可能である。
また、本実施形態によれば、シート送風装置10は、シート12内へ流通する空気を加熱する加熱器、およびシート12内へ流通する空気を冷却する冷却器の何れも備えていない。言い換えれば、シート送風装置10は、送風機24の送風空気を加熱する加熱機能もその送風空気を冷却する冷却機能も備えていない。ここで、エアカーテンAcn自体は温調風である必要が無いので、シート送風装置10に温調機能は必要とされない。
従って、シート送風機能とエアカーテン機能とを得る上でシート送風装置10に余分な装置が含まれておらず、部品点数の増加を抑えることができる。延いては、シート送風装置10のコストを抑える上で有利である。
また、本実施形態によれば、シート送風装置10は、車室吸込口26aが形成された吸込部26を備え、その車室吸込口26aは、車室14のうちシート12に対する車両下方側にて開口している。また、送風機24は車室14内の空気をその車室吸込口26aから吸い込む。また、エアカーテン形成部32には、エアカーテンAcnを形成するための空気を吹き出すエアカーテン吹出口32aが形成されており、そのエアカーテン吹出口32aは、車室14の床面14aに向かって開口している。
従って、シート12の下部と床面14aとの間でエアカーテン吹出口32aと車室吸込口26aとが互いに近接して配置されることになる。そのため、エアカーテンAcnを形成する風が拡散しにくく、そのエアカーテンAcnを形成する風によって車室14内の乗員の快適性を損なうなど乗員に悪影響を及ぼすことを回避することができる。
また、本実施形態によれば、車室14には、温調風を車室14内へ吹き出す温調風吹出口としてのフット吹出口161が開口している。また、エアカーテン吹出口32aは、そのフット吹出口161とは別個に設けられている。従って、車室14内の空調の不要な部位にまで温調風が到達することを防止することが可能である。
また、本実施形態によれば、温調風吹出口としてのフット吹出口161は空調ユニット16に接続され、その空調ユニット16で温度調節された温調風を吹き出すものである。従って、シート送風装置10の作動状況に拘わらず、空調ユニット16で車室14内の空調を行うことが可能である。
また、本実施形態によれば、流路開閉装置34は、送風機24から吹き出された空気をシート12へ流すシート側流路28aと、送風機24から吹き出された空気をエアカーテン形成部32へ流すエアカーテン側流路30aとを開閉可能に構成されている。また、流路開閉装置34は、シート側流路28aを開く一方でエアカーテン側流路30aを閉じるシート側連通状態と、シート側流路28aを閉じる一方でエアカーテン側流路30aを開くエアカーテン側連通状態とに切り替えられる。従って、シート12から空気を吹き出させる方式のシート送風装置10において、シート12からの空気吹出しが不要であるときにエアカーテンAcnを形成できる構成を、簡潔な構成で実現することが可能である。
また、本実施形態によれば、シート送風装置10によって空気が流通させられる送風対象シートとしてのシート12は、運転席または助手席である。従って、前席のみに乗員が着座している場合に、その前席周りの空間に対して集中的に空調を行う前席集中空調を効率良く実現することが可能である。
また、本実施形態によれば、エアカーテン吹出口32aは、車両前後方向DR1に交差する方向(具体的には、車両上下方向DR2)を向いて開口している。従って、フット吹出口161から吹き出される温調風の拡散範囲が横方向に狭まるようにエアカーテンAcnを形成することが可能である。
また、本実施形態によれば、流路開閉装置34は、送風機24が吹き出す空気をシート12とエアカーテン形成部32とへ択一的に流すことができるように構成されている。従って、シート送風装置10の送風機24は、シート12とエアカーテン形成部32とへ十分な風量で同時に送風できる送風能力を備えなくてもよい。すなわち、シート送風機能に加えてエアカーテン機能をシート送風装置10に備えさせる上で、送風機24が大型化することを回避または抑制することが可能である。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。また、前述の実施形態と同一または均等な部分については省略または簡略化して説明する。このことは後述の第3実施形態以降の実施形態でも同様である。
図4に示すように、本実施形態においてエアカーテン吹出口32aは、車室吸込口26aに対し車両後方側に配置されている。この点において本実施形態は第1実施形態に対し異なっている。
具体的には、送風機ケーシング242には吹出口24bが1つだけ形成されており、送風機24は、吸気口24aから吸い込んだ空気をこの吹出口24bから吹き出す。
また、本実施形態の流路開閉装置34は、第1実施形態のエアカーテン側開閉部342を有してはおらず、シート側開閉部341を開閉部341として有している。そして、流路開閉装置34は、開閉部341によりシート側流路28aとエアカーテン側流路30aとを開閉する。例えば、その開閉部341は、シート側流路28aの開度を大きくするほどエアカーテン側流路30aの開度を小さくするように回動する。
この開閉部341は、シート側流路28aを全開状態とし且つエアカーテン側流路30aを全閉状態とする一方側回動端と、シート側流路28aを全閉状態とし且つエアカーテン側流路30aを全開状態とする他方側回動端との間の回動範囲内で回動する。
このような構成から、流路開閉装置34は、開閉部341の回動により、シート側連通状態とエアカーテン側連通状態とに切り替えられる。詳細には、流路開閉装置34がシート側連通状態になることとは、開閉部341が上記一方側回動端に位置決めされることであり、そのときの開閉部341は図4において二点鎖線で示されている。また、流路開閉装置34がエアカーテン側連通状態になることとは、開閉部341が上記他方側回動端に位置決めされることであり、そのときの開閉部341は図4において実線で示されている。
本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態によれば、エアカーテン吹出口32aは、車室吸込口26aに対し車両後方側に配置されている。これにより、エアカーテン吹出口32aが逆に車室吸込口26aに対し車両前方側に配置される構成と比較して、エアカーテンAcnを形成する空気がシート12の着座者の足元へ漏れ出にくい場所にエアカーテン吹出口32aを配置することが可能である。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図5に示すように、本実施形態では、エアカーテン吹出口32aの配置が第1実施形態と異なっている。また、本実施形態において送風対象シートとしてのシート12は運転席である。そこで、本実施形態では、そのシート12を運転席12とも称する。
なお、本実施形態では、シートバック121、シート送風用ダクト28、送風機24のシート側吹出口24b、およびシート側開閉部341の構成と配置は、第1実施形態と同じであるので、図5において、それらの図示は省略または簡略化されている。また、車室内空調ユニット16の図示は省略されている。
具体的には、車室14内には、運転席12と助手席13とがフロントシートとして設けられており、その助手席13は、運転席12に対して車両幅方向DR3の一方側へ隣接し並んで配置されている。そして、エアカーテン吹出口32aは、車両幅方向DR3における運転席12と助手席13との間にて車両上方側を向いて開口している。すなわち、エアカーテン吹出口32aは、車室14の天井14bに向かって開口している。
このエアカーテン吹出口32aの配置により、エアカーテン形成部32は、車室14内において運転席12周りの空間と助手席13周りの空間とを仕切るようにエアカーテンAcnを形成する。例えばエアカーテン形成部32は、運転席12と助手席13との間にて、車両上下方向DR2および車両前後方向DR1に幕状に拡がるエアカーテンAcnを形成する。
これにより、空調ユニット16(図1参照)から運転席12に向けて吹き出された空調風(言い換えれば、温調風)は、エアカーテンAcnの作用によって、助手席13周りの空間には拡散しにくくなる。そのため、その空調風は、運転席12周りの空間にて滞留または循環する。従って、運転席12周りの空間に対する空調を効率良く行うことが可能である。
また、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2実施形態と組み合わせることも可能である。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第2実施形態と異なる点を主として説明する。
図6および図7に示すように、本実施形態では、エアカーテン形成部32の配置が第2実施形態と異なっている。また、本実施形態において送風対象シートとしてのシート12は運転席である。そこで、本実施形態では、そのシート12を運転席12とも称する。
なお、本実施形態では、車室内空調ユニット16の図示は省略されている。また、図7でも図4と同様に、流路開閉装置34のシート側連通状態は二点鎖線で示され、流路開閉装置34のエアカーテン側連通状態は実線で示されている。このことは後述の図8でも同様である。
具体的には、車室14内には、運転席12と助手席13とが前述の第3実施形態と同様に設けられている。そして、エアカーテン形成部32は、シートバック121に対し車両後方側に配置され、そのシートバック121の後方面に沿うように設けられている。
また、エアカーテン形成部32には、エアカーテン吹出口32aが複数形成されている。詳細には、そのエアカーテン形成部32に形成された複数のエアカーテン吹出口32aはシートバック121の車両後方側に配置されている。更に、その複数のエアカーテン吹出口32aは、上向きのエアカーテン吹出口32aと、車両右側向きのエアカーテン吹出口32aと、車両左側向きのエアカーテン吹出口32aとから構成されている。
そして、上向きのエアカーテン吹出口32aは、車室14の天井14bに向かって開口している。エアカーテン形成部32は、この上向きのエアカーテン吹出口32aから吹き出す空気により、エアカーテン形成部32と天井14bとの間にて車両前後方向DR1に車室14を仕切るようにエアカーテンAcnを形成する。
また、車両右側向きのエアカーテン吹出口32aは、車室14の側壁14cに向かって開口している。その車室14の側壁14cは、運転席12に対する車両幅方向DR3の一方側である助手席13側とは反対側の他方側に配置され、車両幅方向DR3の一方側を向いて車室14に面している。エアカーテン形成部32は、車両右側向きのエアカーテン吹出口32aから吹き出す空気により、エアカーテン形成部32と側壁14cとの間にて車両前後方向DR1に車室14を仕切るようにエアカーテンAcnを形成する。
また、車両左側向きのエアカーテン吹出口32aは、助手席13に向かって開口している。エアカーテン形成部32は、車両左側向きのエアカーテン吹出口32aから吹き出す空気により、エアカーテン形成部32と助手席13との間にて車両前後方向DR1に車室14を仕切るようにエアカーテンAcnを形成する。
これらのエアカーテンAcnの作用によって、空調ユニット16(図1参照)から運転席12に向けて吹き出された空調風は、運転席12の後方側へは拡散しにくくなる。そのため、その空調風は、フロントシート12、13周りの空間にて滞留または循環する。従って、フロントシート12、13周りの空間に対する空調を効率良く行うことが可能である。
また、本実施形態では、前述の第2実施形態と共通の構成から奏される効果を第2実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第2実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第1実施形態または第3実施形態と組み合わせることも可能である。
例えば、本実施形態が第1実施形態と組み合わされたとすれば、シート送風装置10は図8に示すようになる。すなわち、そのように組み合わされた場合、本実施形態のシート送風装置10は、第1実施形態と同様に床面14aに向かって開口したエアカーテン吹出口32aが形成されたエアカーテン形成部32を、図7の構成に加えて更に備える。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図9に示すように、本実施形態では、エアカーテン吹出口32aの配置が第1実施形態と異なっている。また、本実施形態において送風対象シートとしてのシート12は運転席である。そこで、本実施形態では、そのシート12を運転席12とも称する。
なお、本実施形態では、シートバック121、シート送風用ダクト28、送風機24のシート側吹出口24b、およびシート側開閉部341の構成と配置は、第1実施形態と同じであるので、図9において、それらの図示は省略または簡略化されている。また、車室内空調ユニット16の図示は省略されている。
具体的には、エアカーテン吹出口32aは、車室14の側壁14cに向かって開口している。その車室14の側壁14cは、運転席12に対する車両幅方向DR3の一方側である助手席13(図5参照)側とは反対側の他方側に配置され、車両幅方向DR3の一方側を向いて車室14に面している。
このエアカーテン吹出口32aの配置により、エアカーテン吹出口32aは、側壁14cに向かって空気を吹き出す。すなわち、エアカーテン形成部32は、車室14内のうち運転席12の下部と車室14の床面14a(図1参照)との間において、車両上下方向DR2および車両幅方向DR3に幕状に拡がるエアカーテンAcnを形成する。
これにより、運転席12周りの温調風が、運転席12の下部と床面14aとの間を通って拡散することを抑えることが可能となる。従って、運転席12周りの空間に対する空調を効率良く行うことが可能である。
また、本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第2〜4実施形態のうちの何れか又は全部と組み合わせることも可能である。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態について説明する。本実施形態では、前述の第1実施形態と異なる点を主として説明する。
図10に示すように、本実施形態ではシート送風装置10の送風方式として、矢印ARiのように車室14内からシート12へ空気を吸い込ませる方式が採用されている。この点において本実施形態は第1実施形態に対し異なっている。
具体的には、本実施形態のシート送風用ダクト28は、車室14内からシート通風路121cへ流入した空気を送風機24へ導く配管部として設けられている。すなわち、シート送風用ダクト28に形成されたシート側流路28aは、シート側流路28aが開放されているときには、車室14内からシート12内へ吸い込まれた空気を送風機24の吸気口24aへ流す。
また、吸込部26には、車室吸込口26aのほかに、その車室吸込口26aと送風機24の吸気口24aとをつなぐ車室側流路26bが形成されている。すなわち、その車室側流路26bは車室吸込口26aを介して車室14内へ開放されている。そして、車室側流路26bはシート側流路28aと並列に、送風機24の吸気口24aへ接続されている。従って、車室側流路26bは、その車室側流路26bが開放されているときには、車室14内の空気を送風機24の吸気口24aへ流す。
また、本実施形態の流路開閉装置34は、第1実施形態のエアカーテン側開閉部342を有してはおらず、シート側開閉部341を開閉部341として有している。そして、流路開閉装置34は、シート側流路28aと車室側流路26bとを開閉可能に構成されている。流路開閉装置34は開閉部341によってシート側流路28aと車室側流路26bとを開閉し、例えば、その開閉部341は、シート側流路28aの開度を大きくするほど車室側流路26bの開度を小さくするように回動する。
この開閉部341は、シート側流路28aを全開状態とし且つ車室側流路26bを全閉状態とする一方側回動端と、シート側流路28aを全閉状態とし且つ車室側流路26bを全開状態とする他方側回動端との間の回動範囲内で回動する。
すなわち、流路開閉装置34は、開閉部341の回動により、シート側流路28aを開く一方で車室側流路26bを閉じるシート側連通状態と、シート側流路28aを閉じる一方で車室側流路26bを開く車室側連通状態とに切り替えられる。その流路開閉装置34がシート側連通状態になることとは、開閉部341が上記一方側回動端に位置決めされることであり、そのときの開閉部341は図10において二点鎖線で示されている。また、流路開閉装置34が車室側連通状態になることとは、開閉部341が上記他方側回動端に位置決めされることであり、そのときの開閉部341は図10において実線で示されている。
流路開閉装置34がこのように開閉作動するので、送風機24は、流路開閉装置34の開閉作動に応じて、シート12内の空気または車室14内の空気を送風機24の吸気口24aから吸い込む。そして、送風機24は、流路開閉装置34のシート側連通状態と車室側連通状態との何れにおいても、その吸気口24aから吸い込んだ空気をエアカーテン形成部32へと吹き出す。
本実施形態では、前述の第1実施形態と共通の構成から奏される効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
また、本実施形態によれば、流路開閉装置34は、シート側流路28aと車室側流路26bとを開閉可能に構成されている。また、流路開閉装置34は、シート側流路28aを開く一方で車室側流路26bを閉じるシート側連通状態と、シート側流路28aを閉じる一方で車室側流路26bを開く車室側連通状態とに切り替えられる。従って、車室14内からシート12へ空気を吸い込ませる方式のシート送風装置10において、シート12へ空気を吸い込ませる場合と吸い込ませない場合とを切替え可能としつつ、その何れの場合にもエアカーテンAcnを形成することができる。
なお、本実施形態は第1実施形態に基づいた変形例であるが、本実施形態を前述の第3〜5実施形態のうちの何れか又は全部と組み合わせることも可能である。
(他の実施形態)
(1)上述の第1実施形態では図1に示すように、送風ファン241の吸気口24aに対する空気流れ上流側には車室吸込口26aが設けられているが、これは一例である。例えば、送風ファン241の吸気口24aがそのまま車室14内に露出しており、その吸気口24aは車室吸込口26aと同じになっていてもよい。その場合、送風ファン241の吸気口24aは即ち車室吸込口26aであるので、送風機ケーシング242のうち吸気口24a周りで吸気口24aを形成している部位が吸込部26に相当する。
(2)上述の第3実施形態では図5に示すように、シート送風装置10が設けられているシート12は運転席であるが、これは一例である。そのシート送風装置10は、車室14に配置された乗員座席の何れに設けられてもよい。例えば、シート送風装置10は運転席12には設けられずに助手席13に設けられてもよいし、運転席12と助手席13との両方に設けられてもよい。このことは、第3実施形態だけでなく上述の各実施形態においても同様である。
(3)上述の第4実施形態では図7に示すように、エアカーテン形成部32は、シート12の外部に設けられているが、シート12の内部に設けられても差し支えない。
(4)上述の第1実施形態の図1ではエアカーテン吹出口32aは、車室14の床面14aに向かって開口し、第4実施形態の図6、7では車室14の天井14bと側壁14cとのそれぞれに向かって開口しているが、例えばそれは組み合わされてもよい。要するに、エアカーテン吹出口32aは、車室14の床面14aと車室14の天井14bと車室14の側壁14cとの何れかまたは全部に向かって開口していればよい。このようにすれば、シート12に対する車両下方側、シート12に対する車両上方側、または、シート12に対する車両幅方向DR3の一方側もしくは他方側にて、空調風の拡散を、エアカーテンAcnによって抑制することが可能である。
(5)上述の各実施形態では、例えば図1に示すように、シート送風装置10は、送風機24の送風空気を加熱する加熱機能もその送風空気を冷却する冷却機能も備えていない。すなわち、シート送風装置10は温調機能を備えていない。しかしながら、これは一例であり、例えばシート送風装置10は、特許文献1に記載のように温調機能を有する装置に接続されていても差し支えない。
なお、本開示は上記した実施形態に限定されるものではない。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。また、上記各実施形態は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。
また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の材質、形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の材質、形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その材質、形状、位置関係等に限定されるものではない。
(まとめ)
上記各実施形態の一部または全部で示された第1の観点によれば、シート送風装置は、車室内に設置されたシート内に空気を流通させる送風機を備えている。そして、エアカーテン形成部は、その送風機から流出する空気のうちの少なくとも一部を車室内へ吹き出すことによりエアカーテンを形成する。
また、第2の観点によれば、シート送風装置は、シート内へ流通する空気を加熱する加熱器、およびシート内へ流通する空気を冷却する冷却器の何れも備えていない。ここで、エアカーテン自体は温調風である必要が無いので、シート送風装置に温調機能は必要とされない。従って、シート内に空気を流通させる機能とエアカーテンを形成する機能とを得る上でシート送風装置に余分な装置が含まれておらず、部品点数の増加を抑えることができる。延いては、シート送風装置のコストを抑える上で有利である。
また、第3の観点によれば、シート送風装置は、車室のうちシートの下側にて開口した車室吸込口が形成された吸込部を備えている。また、送風機は車室内の空気をその車室吸込口から吸い込む。また、エアカーテン形成部には、エアカーテンを形成するための空気を吹き出すエアカーテン吹出口が形成されており、そのエアカーテン吹出口は、車室の床面に向かって開口する。従って、シートの下側でエアカーテン吹出口と車室吸込口とが互いに近接して配置されることになる。そのため、エアカーテンを形成する風が拡散しにくく、そのエアカーテンを形成する風によって車室内の乗員の快適性を損なうなど乗員に悪影響を及ぼすことを回避することができる。
また、第4の観点によれば、エアカーテン吹出口は、車室の床面と車室の天井と車室の側壁との少なくとも何れかに向かって開口する。従って、シートに対する下方側、シートに対する上方側、または、シートに対する左右方向の一方側もしくは他方側にて、空調風の拡散を、エアカーテンによって抑制することが可能である。
また、第5の観点によれば、車室には、温度調節された温調風を車室内へ吹き出す温調風吹出口が開口する。また、エアカーテン吹出口は、温調風吹出口とは別に設けられる。従って、車室内の空調の不要な部位にまで温調風が到達することを防止することが可能である。
また、第6の観点によれば、温調風吹出口は、車室内のうち車両前方寄りに設けられる空調装置に接続され、その空調装置で温度調節された温調風を吹き出すものである。従って、シート送風装置の作動状況に拘わらず、空調装置で車室内の空調を行うことが可能である。
また、第7の観点によれば、流路開閉装置は、送風機から吹き出された空気をシートへ流すシート側流路と、その送風機から吹き出された空気をエアカーテン形成部へ流すエアカーテン側流路とを開閉可能に構成されている。また、流路開閉装置は、シート側流路を開く一方でエアカーテン側流路を閉じるシート側連通状態と、シート側流路を閉じる一方でエアカーテン側流路を開くエアカーテン側連通状態とに切り替えられる。従って、シートから空気を吹き出させる方式のシート送風装置において、シートからの空気吹出しが不要であるときにエアカーテンを形成できる構成を、簡潔な構成で実現することが可能である。
また、第8の観点によれば、流路開閉装置は、車室内からシート内へ吸い込まれた空気を吸気口へ流すシート側流路と、車室内へ開放され車室内の空気を吸気口へ流す車室側流路とを開閉可能に構成されている。また、流路開閉装置は、シート側流路を開く一方で車室側流路を閉じるシート側連通状態と、シート側流路を閉じる一方で車室側流路を開く車室側連通状態とに切り替えられる。従って、車室内からシートへ空気を吸い込ませる方式のシート送風装置において、シートへ空気を吸い込ませる場合と吸い込ませない場合とを切替え可能としつつ、その何れの場合にもエアカーテンを形成することができる。
また、第9の観点によれば、シート送風装置によって空気が流通させられるシートは運転席または助手席である。従って、前席のみに乗員が着座している場合に、その前席周りの空間に対して集中的に空調を行う前席集中空調を効率良く実現することが可能である。