以下、本発明の実施例を図1〜図7を用いて説明する。以下では、本発明にかかる紙幣処理装置を、紙幣を入金処理する紙幣処理装置に適用した場合について説明しているが、テラーが顧客から媒体を受け付けて処理する様々な装置に適用することができる。以下では、装置前方に顧客が入金紙幣を投入する入金口部と入金に適さない紙幣を返却する返却口を設け、装置後方にテラーが入金業務中でも入金された装置内の紙幣を回収することが出来る紙幣回収部を設けることにより、装置内に大量の紙幣が滞留することなくかつ大量の入金取引を継続して行うことができる。また、入金処理中にも既に入金された紙幣を紙幣回収部に搬送し取り出せるように、入金経路と回収経路を分けた。したがって、装置を停止させず、顧客入金処理中にテラーへの回収処理が可能になり、銀行内での作業効率向上を図ることができる。
図1に、本発明にかかる紙幣処理装置の一実施形態である紙幣処理装置を金融機関の窓口に設置した状態を示す。
紙幣処理装置1は、顧客8が入金取引を行う側を装置前面として設置され、銀行員であるテラー7が操作する側を装置後面として設置される。
紙幣処理装置1は端末6および供給電源9に接続され、テラー7の操作により端末6から指示を受けて動作する。
顧客8は入金紙幣5を紙幣処理装置1の紙幣処理部3に投入すると、テラー7は端末6を操作して入金紙幣の計数を行う。計数が終了すると金額・枚数が表示部2に表示され、投入金額と計数結果の一致を顧客8が図示しない確認キーを押下する事などで確認すると、テラー7が入金処理(伝票/通帳印字、口座残高への反映など)を行い入金取引が終了する。
続いて、実施例1〜4に共通する紙幣処理部3の構成について説明する。
紙幣処理部3は、CPU、メモリなどを含む制御部4を有している。制御部4は、紙幣処理部3の収集した情報(例えば、入金識別部11、回収識別部20が取得した情報)、又は紙幣処理装置1からの指示に基づき、後述する入金動作、回収動作、整理計数動作を実施するように紙幣処理部3を制御する。
また、記憶部であるメモリは、後述する図7に示すように、それぞれの一時保留部(13〜16)、それぞれの回収部(100〜103、23〜26)それぞれの金種別スタッカ部(41〜47)、及び返却口部12に収納される紙幣の種類の情報を記憶する。また、記憶部は、後述するそれぞれの一時保留部(13〜16)、それぞれの回収部(100〜103、23〜26)それぞれの金種別スタッカ部(41〜47)、及び返却口部12に収納する紙幣の枚数である所定量(例えば、満杯枚数又はニアフル(満杯が近いことを示す枚数))を記憶してもよい。また、それぞれの一時保留部(13〜16)、それぞれの回収部(100〜103、23〜26)それぞれの金種別スタッカ部(41〜47)、及び返却口部12に収納される紙幣の種類の情報及び所定量は、外部からの入力により変更可能であってよい。
図7は、メモリが記憶するデータの例を示す図である。図7では、データがテーブル形式で記憶されている場合について示しているが、各項目が対応付けられていれば、どのような形式であってもよい。図7に示すように、データテーブルは、メモリ上の物理的なアドレスと、各部位のデータテーブルと、そのデータテーブルにおける枚数または情報が対応付けて記憶されている。データテーブルには、各部位(損券一時保留部13、金種混合一時保留部14〜16、損券回収カセット23、リジェクト紙幣回収カセット24、紙幣帯封回収ユニット25〜26、金種別スタッカ41〜47)ごとに、金種枚数、正券枚数、損券枚数、束枚数、状態情報、集積設定情報等の各情報が記憶されている。
紙幣処理部3は、顧客8が投入する紙幣5を受け付ける入金口部10、入金口部10が受け付けた紙幣を一枚ずつに分離し、入金搬送路17へ繰出する繰出部10A、繰出部10Aにより、分離される紙幣を一時保留部へ搬送する入金搬送路17、入金搬送路17に搬送される紙幣の種類の判定を行う入金識別部11、入金識別部の判定に基づき、入金搬送路17により搬送された紙幣を収納する複数の一時保留部13〜16及び返却口部12、一時保留部に一時的に収納した紙幣を入金取引確定後に回収部(100〜103、23〜26)へ移動する回収移動部(120〜123、27)、回収移動部(120〜123、27)により回収された紙幣を紙幣処理部3の外部に取り出し可能に構成された回収部(100〜103、23〜26)から構成する。
入金識別部11は、紙幣の種類(例えば、正損、真偽、金種、方向、又は年代)を判定する。紙幣処理部3は、入金識別部11の判定に基づき、それぞれの種類の紙幣の枚数を計数してもよい。
入金口部10及び返却口部12は、顧客8が入金取引を行う装置前面側に、回収部(100〜103、23〜26)は、装置後面側に配置する。入金口部10は、返却口部12の上方に位置する。紙幣処理部3の入金搬送路17は、搬送部(例えば、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送ローラ又は搬送ベルト)を有し、搬送部により紙幣を一枚ずつ搬送する。
各一時保留部13〜16は、例えば、金種混合、金種別、正損混合、正損別、真偽混合、真偽別、方向混合、方向別、搬送状態混合、搬送状態別、年代混合、年代別又はこれらの組み合わせで紙幣を収納する一時保留部を含んでも良い。紙幣処理部3は、一時保留部13〜16を複数有して良い。また、紙幣処理部3は、それぞれの一時保留部の所定量(例えば、満杯又はニアフル)を検知するセンサ(例えば、光学センサ)を有してよい。また、一時保留部は、紙幣を収納する口と、紙幣を放出する口とを一時保留部の反対方向に配置し、先に収納された紙幣を先に繰出す構成であってよい。
各回収部13〜16は、例えば、金種混合、金種別、正損混合、正損別、真偽混合、真偽別、方向混合、方向別、搬送状態混合、搬送状態別、年代混合、年代別又はこれらの組み合わせで紙幣を収納する回収部を含んでも良い。紙幣処理部3は、回収部13〜16を複数有して良い。紙幣処理部3は、回収部の回収カセット(100〜103、23〜24)を引き出す引き出し部(例えば、回収カセットをスライドするレール又は回収カセットを移動させる移動ローラ)を有し、引き出し部により、回収部の回収カセット(100〜103、23〜24)は、紙幣処理部3から着脱可能とする。また、紙幣処理部3は、それぞれの回収部の所定量(例えば、満杯又はニアフル)を検知するセンサ(例えば、光学センサ)を有してよい。
入金搬送路17は、入金口10から繰り出され、一時保留部(13〜16)に搬送される紙幣の種類の判別を行う入金識別部11を経由し、入金識別部11により判別された紙幣の種類に基づき、当該紙幣の種類を収納する一時保留部(13〜16)へ紙幣を搬送する。また、入金搬送路17は、入金識別部11の前後で、複数の一時保留部(13〜16)へ搬送する際に共用される共用搬送路であってよい。ここで、紙幣処理部3は、入金識別部11の判定した紙幣の種類に基づきそれぞれの種類の紙幣の枚数を計数してもよい。
紙幣処理部3は、入金動作時に紙幣が移動する入金経路と、回収動作時に紙幣が移動する回収経路とが、独立していてもよい。言い換えると、紙幣処理部3は、入金口部から一時保留部又は返却口へ紙幣を搬送する入金搬送路17、及び一時保留部から回収部へ紙幣を移動する回収する回収搬送路27において、共通して利用する搬送路を有さない構成であってよい。
次に実施例2〜4に共通する紙幣処理部3の構成について説明する。
紙幣処理部3は、複数の一時保留部(13〜16)と複数の回収部(23〜24)とを接続する回収搬送路27、一時保留部(13〜16)の紙幣を回収搬送路27に一枚ずつ繰出す一時保留部の繰出し部(113〜116)からなる回収移動部を有する。繰出し部は、それぞれの一時保留部13〜16の後方に配置されている。また、回収搬送路27は、搬送部(例えば、搬送ローラ又は搬送ベルト)を有し、搬送部により紙幣を一枚ずつ搬送する。
回収識別部20は、紙幣の種類(例えば、正損、真偽、金種、方向、搬送状態又は年代)を判定する。紙幣処理部3は、回収識別部20の判定に基づき、それぞれの種類の紙幣の枚数を計数してもよい。
回収搬送路27は、一時保留部(13〜16)から繰り出され、回収部(23〜26)に搬送される紙幣の種類の判別を行う回収識別部20を経由し、回収識別部により判別された紙幣の種類に基づき、当該紙幣の種類を収納する回収部(23〜26)へ紙幣を搬送する。また、回収搬送路27は、回収識別部20の前後で、複数の一時保留部から繰り出された紙幣を複数の回収部(23〜26)へ搬送する際に共用される共用搬送路であってよい。ここで、紙幣処理部3は、回収識別部11の判定した紙幣の種類に基づきそれぞれの種類の紙幣の枚数を計数してもよい。
一時保留部(13〜16)は、入金識別部で損券と判別された紙幣を収納する損券一時保留部(13)と正券と判定された紙幣を収納する正券一時保留部(14〜16)を含む。回収部(23〜26)は、回収搬送路27により損券一時保留部(13)から搬送される損券を集積・収納する損券回収カセット23、正券を収納する一時保留部(14〜16)から搬送される紙幣であって、回収識別部20で異常と判定された紙幣を集積・収納するリジェクト紙幣回収ユニット24、正券を収納する一時保留部(14〜16)から搬送される紙幣であって、回収識別部20で正常と判定された紙幣を集積・収納し、帯封する紙幣帯封回収ユニット25・26を含む。なお、損券一時保留部13を複数有していてもよい。
また、回収識別部20により判別された紙幣の種類である方向に基づき搬送される紙幣の天地を揃える天地反転部21と、表裏を揃える表裏反転部22とを、回収識別部20と回収部(23〜26)とを接続する回収搬送路上に有する。回収搬送路27は回収識別部20の下流かつ天地反転部21・表裏反転部22の上流から、直接回収部に紙幣を搬送する経路と、天地反転部21・表裏反転部22を経由する経路とに分岐し、回収部(23〜26)の上流かつ天地反転部21・表裏反転部22の下流で合流する。
紙幣帯封回収ユニット25、26は、回収搬送路27により搬送されてきた紙幣が所定の帯封枚数になるまで集積する保留部25A、26A、集積枚数が所定の帯封枚数になった紙幣を帯封する帯封部25B、26B、帯封部25B、26Bにより帯封された紙幣束を収納する収納部25E・26Eを有する。
図2は、紙幣処理装置1の側面図を示す。以下では、上述した共通の構成とは異なる部分を中心に説明する。
実施例1の紙幣処理部3は、一時保留部13〜16に集積された紙幣を一括して紙幣回収カセット100〜103に移動する回収移動部(例えば、集積された紙幣を一括して押圧して移動する押圧板又は紙幣の端面に接触し紙幣を移動させる端面ベルトなど)を有している。
また、上述の通り、紙幣回収カセット100〜103は紙幣処理部3から着脱可能に構成されている。より詳細には、それぞれの紙幣回収カセット100〜103は、それぞれに対応する一時保留部13〜16と、着脱可能に構成されている。また、それぞれの紙幣回収カセット100〜103は、個別に着脱可能に構成されている。
続いて、実施例1の動作について述べる。先ず、入金動作について説明する。入金動作では、紙幣処理部3が、入金口部10の紙幣を一時保留部13〜16に搬送し、入金された紙幣の枚数を確定するまでを実施する。
より詳細に説明すると、顧客8は入金する紙幣5を入金口部10にセットする。その後テラー7が端末6を操作することにより、セットされた紙幣5は、繰出部10により1枚ずつ分離され、入金搬送路17に繰り出される。繰出された紙幣5は、入金識別部11により、紙幣の種類(金種・真偽・汚損・搬送状態等)の判定が実施され、紙幣の種類に基づき搬送先が確定される。
入金搬送路17は、入金識別部11の判定した紙幣の種類に基づき、正常判定された紙幣5を当該種類の紙幣を収納する一時保留部(13〜16)に搬送する。搬送先の一時保留部(13〜16)は、搬送されてきた紙幣を集積する。また、入金搬送路17は、入金識別部11の判定した紙幣の種類に基づき、異常判定された紙幣5を当該種類の紙幣を収納する搬送先である返却口部12に搬送する。顧客8は、返却口12に搬送されてきた紙幣を抜き取る。抜き取った紙幣は顧客8が入金口部10に再セットすることで再計数可能となっている。
入金口部10の紙幣5を全て計数した時点で処理を終了し、端末6に計数結果を報告するとともに計数結果を前述の表示部2に表示する。顧客8は入金金額と計数結果の一致した場合には、図示しない確認キーを押下する事で計数結果を確定する。一致しない場合は一時保留部13〜16の紙幣を顧客8に返却する。なお、計数結果には、一時保留部(13〜16)又は返却口部12に収納された紙幣の種類毎の枚数、一時保留部に収納された紙幣の合計金額を含んでよい。
ここで、正常判定された紙幣の一時保留部(13〜16)への搬送を詳細に説明する。
紙幣処理部3の複数の一時保留部13〜16が、同一種類の紙幣を収納する一時保留部(13〜16)を複数有する場合、紙幣処理部3は、空の一時保留部の有無を判断し、空の一時保留部がある場合は、当該一時保留部に紙幣を搬送する。空の一時保留部(13〜16)がない場合は、回収動作が完了するまで入金動作を停止する。
なお、一つの入金取引において、紙幣処理部3は、一つの一時保留部(13〜16)の所定量以上の枚数を収納する場合は、他の一時保留部(13〜16)へ紙幣を搬送してよい。この場合、一つの一時保留部へ所定量の枚数を収納する毎に、計数結果の確定の受付を実施することで、一つの一時保留部からの回収動作と並行して、次の一時保留部への紙幣の入金動作を実施することが可能となる。すなわち、少ない一時保留部で、回収動作と入金動作の並行処理が可能となる。なお、計数結果の確定の受付を待っている間であっても、次の一時保留部への紙幣の入金動作を継続していてもよい。
また、一つの入金取引において、紙幣処理部3は、一つの一時保留部(13〜16)の所定量以上の枚数を収納する場合に、一つの一時保留部へ所定量の枚数を収納する毎に、次の一時保留部に紙幣を収納するよう制御し、入金取引で受け付ける全ての紙幣を複数の一時保留部へ収納した後に、または、全ての一時保留部(13〜16)が所定量の枚数以上になった時点で、計数結果の確定の受付を実施してもよい。入金取引中に、計数結果の確定の受付回数を減らすことができるので、顧客の負担を減少させることが可能となる。
次に一時保留部に収納された紙幣を回収部に移動させる回収動作について説明する。紙幣処理部3が計数結果の確定を受け付けると、回収移動部(120〜123)は、一時保留部13〜16に集積された紙幣を各々一括して紙幣回収カセット100〜103に移動する。回収動作は、前述した計数結果の確定を受け付けた場合に実施してもよい。なお、紙幣処理部3は、回収動作の際に、紙幣回収カセット100〜103の有無を判断し、紙幣回収カセットが無い場合は、外部(例えば、端末6)に警告を通知してもよい。
続いて、回収された紙幣を紙幣処理部3から取り出す動作に関し説明する。
テラー7は、紙幣処理部3の引き出し部により、紙幣回収カセット100〜103を取り出すともに、図示しない伝票発行部により収納された金種・枚数・金額を印字した伝票とともに紙幣を回収する人に引き渡す。伝票には、紙幣処理装置毎に個別の紙幣処理装置識別番号や、回収カセット毎に個別の回収カセット識別番号を含んでもよい。また、伝票の情報を紙幣処理装置1と接続された外部(例えば、紙幣処理装置と接続されたホストサーバ又は、回収カセットの中身を計数する装置)に送信してもよい。
また、テラー7は入金業務中に、紙幣回収カセット100〜103の何れかが満杯又は満杯近くになった際は、装置後方から紙幣回収カセット100〜103を抜き取り、空カセットに交換する。この場合でも入金経路と紙幣回収カセット100〜103は独立しているため、入金動作に影響がなく、交換可能である。
なお、実施例1では、回収移動部として、押圧板や端面ベルトを記載したが、紙幣を搬送する回収搬送路がそれぞれの一時保留部13〜15と一時保留部13〜15に対応するそれぞれの回収部100〜103とを1対1で接続する形態としてもよい。この場合一時保留部13〜15から回収搬送路への紙幣の繰出しは、実施例2の繰出し部113〜116と同様の構成であってよい。
図3は、実施例2の紙幣処理装置の側面図を示す。以下では、上述した共通の構成及び実施例1とは異なる部分を中心に説明する。
実施例2の入金動作について説明する。入金動作では、紙幣処理部3が、入金口部10の紙幣を一時保留部に13〜16に搬送し、入金された紙幣の枚数を確定するまでを実施する。
より詳細に説明すると、顧客8は入金する紙幣5を入金口部10にセットする。その後テラー7が端末6を操作することにより、セットされた紙幣5は、繰出部10により1枚ずつ分離され、入金搬送路17に繰り出される。繰出された紙幣5は、入金識別部11により、紙幣の種類(金種、真偽、汚損、搬送状態等)の判定が実施され、判定された紙幣の種類に基づき、搬送先が確定される。
入金搬送路17は、入金識別部11の判定した紙幣の種類に基づき、正常であるが汚損券と判定された損券は、入金搬送路17を構成する搬送部により一時保留部13に搬送する。搬送先の一時保留部13は、搬送されてきた紙幣を集積する。入金搬送路17は、入金識別部11の判定した紙幣の種類に基づき、正常であり、汚損券ではないと判定された正券は、入金搬送路17により一時保留部14〜16に搬送する。搬送先の一時保留部14〜16は、搬送されてきた紙幣を集積する。また、入金搬送路17は、入金識別部11の判定した紙幣の種類に基づき、入金識別部11により、異常判定された紙幣5を当該種類の紙幣を収納する搬送先である返却口部12に搬送する。顧客8は、返却口12に搬送されてきた紙幣を抜き取る。抜き取った紙幣は顧客8が入金口部10に再セットすることで再計数可能となっている。入金口部10の紙幣5を全て計数した時点で処理を終了し、端末6に計数結果を報告するとともに計数結果を前述の表示部2に表示する。
顧客8は入金金額と計数結果とが一致した場合には、図示しない確認キーを押下する事で確認する。一致しない場合は一時保留部13〜16の紙幣を顧客8に返却する。なお、計数結果には、一時保留部13〜16又は返却口部12に収納された紙幣の種類毎の枚数、一時保留部に収納された紙幣の合計金額を含んでよい。
ここで、正常判定された正券の紙幣の一時保留部14〜16への搬送を詳細に説明する。
紙幣処理部3の複数の一時保留部14〜16が、同一種類の紙幣を収納する一時保留部14〜16を複数有する場合、紙幣処理部3は、空の一時保留部の有無を判断し、空の一時保留部がある場合は、当該一時保留部に紙幣を搬送する。空の一時保留部14〜16がない場合は、回収動作が完了するまで入金動作を停止する。
また、一つの入金取引において、紙幣処理部3は、一つの一時保留部14〜16の所定量以上の枚数を収納する場合は、他の一時保留部14〜16へ紙幣を搬送してよい。この場合、一つの一時保留部へ所定量の枚数を収納する毎に、計数結果の確定の受付を実施することで、一つの一時保留部からの回収動作と並行して、次の一時保留部への紙幣の入金動作を実施することが可能となる。すなわち、少ない一時保留部で、回収動作と入金動作の並行処理が可能となる。なお、計数結果の確定の受付を待っている間であっても、次の一時保留部への紙幣の入金動作を継続していてもよい。損券を収納する一時保留部13を複数備え、同様の制御を実施してもよい。
また、一つの入金取引において、紙幣処理部3は、一つの一時保留部14〜16の所定量以上の枚数を収納する場合に、一つの一時保留部へ所定量の枚数を収納する毎に、次の一時保留部に紙幣を収納するよう制御し、入金取引で受け付ける全ての紙幣を複数の一時保留部へ収納した後に、または、全ての一時保留部14〜16が所定量の枚数以上になった時点で、計数結果の確定の受付を実施してもよい。入金取引中に、計数結果の確定の受付回数を減らすことができるので、顧客の負担を減少させることが可能となる。
次に回収動作について説明する。紙幣処理部3は、確認キーの押下を検知すると、損券一時保留部13内の紙幣5を繰出し部113により1枚ずつに分離し回収搬送路27に繰出す。回収搬送路27は、繰出された紙幣を、回収識別部20により金種・枚数等を判別し、天地反転部21・表裏反転部22を迂回する経路にて、損券回収カセット23に搬送する。損券回収カセット23は、回収搬送路27により搬送された紙幣を集積・収納する。
続いて、紙幣処理部3は、一時保留部14に収納される紙幣5を繰出し部114により1枚ずつに分離し回収搬送路27に繰出す。回収搬送路27は、回収識別部20へ紙幣を搬送する。回収識別部20は、回収搬送路27により搬送された紙幣の種類を判別する。回収搬送路27は、判別された紙幣の種類(例えば、金種、枚数、方向、搬送状態)に基づいて、当該種類の紙幣を収納するリジェクト紙幣回収ユニット24又は紙幣帯封回収ユニット25、26に紙幣を搬送する。リジェクト紙幣回収ユニット24又は紙幣帯封回収ユニット25、26は、回収搬送路27により搬送された紙幣を収納する。なお、回収搬送路27は、回収識別部20により紙幣の種類を判別された後に、天地反転部21・表裏反転部22を経由して、天地反転部21・表裏反転部22により紙幣の方向を揃え、リジェクト紙幣回収ユニット24、又は紙幣帯封回収ユニット25、26に搬送する。この際、紙幣処理部3は、回収識別部20の判別した紙幣の種別に基づき、紙幣の方向を変更する必要がないと判断した場合は、天地反転部21・表裏反転部22を迂回する経路でリジェクト紙幣回収ユニット24、又は紙幣帯封回収ユニット25・26に収納してもよい。
紙幣処理部3は、損券一時保留部13及び一時保留部14が空になったことを検知した場合、次の取引を受付可能としてよい。
続いて、回収識別部20で異常と判断され、リジェクト紙幣回収ユニット24に収納される紙幣の具体例を示す。回収識別部20で重送(複数枚が重なって搬送された状態)、斜行(紙幣が著しく傾いて搬送された状態)、間隔異常(紙幣と紙幣の隙間が著しく短い状態)等の搬送異常と判定された紙幣と帯封対象外の金種の紙幣はリジェクト紙幣回収ユニット24に集積・収納する。次に、回収識別部20で正常と判断され、紙幣帯封回収ユニット25・26に収納される紙幣の具体例を示す。回収識別部20により、紙幣処理部3で、取り扱う金種で最大流通量である金種Aでかつ、異常ではない紙幣は紙幣帯封回収ユニット25に集積、収納し、紙幣処理部3で取り扱う金種で2番目に多い流通量である金種Bでかつ、異常ではない紙幣を紙幣帯封回収ユニット26に集積・収納するように制御してもよい。
紙幣処理部3は、回収部に回収する紙幣の種類は、外部からの入力又は一時保留部に収納される紙幣の種類に基づき、変更可能であってよい。例えば、ある一時保留部に2金種混合で紙幣を保管している場合は、紙幣帯封回収ユニット25・26はそれぞれ別の金種紙幣を保管するように設定し、ある一時保留部に1金種の紙幣を保管している場合は、紙幣帯封回収ユニット25・26はいずれも当該金種を収納するように設定すればよい。また、紙幣帯封回収ユニット25・26を3つ以上有する場合は、1つに1金種を保管し、2つに他の1金種を収納するように設定してもよい。複数の紙幣帯封回収ユニットに同一種類の紙幣を保管することで、空いている回収部を有効に利用することが可能となり、回収動作の効率を向上することが可能となる。
次に、紙幣帯封回収ユニット25、26での紙幣の帯封動作について説明する。
紙幣処理部3は、回収搬送路27により搬送されてきた紙幣5は紙幣帯封回収ユニット25、26の保留部25A、26Aに集積する。紙幣処理部3は、集積枚数が所定の帯封枚数(例えば、100枚)になると、繰出し部113〜116及び回収搬送路27による回収動作を一時停止し、紙幣帯封回収ユニット25、26の保留部25A、26Aの紙幣を図示しない方法で、それぞれ帯封部25B、26Bへ移動する。紙幣処理部3は、帯封部25B、26Bへ紙幣束を移動させたことを検知した場合、繰出し部113〜116及び回収搬送路27による回収動作を再開させる。また紙幣処理部3は、移動させた帯封部25B、26Bの紙幣の帯封処理を行った後に夫々の収納部25E・26Eに移動、収納する。
なお、紙幣帯封回収ユニット25の保留部25Aに100枚集積した段階で、紙幣Aの搬送先を紙幣帯封回収ユニット26に切り替え、紙幣帯封回収ユニット26に100枚の紙幣を集積する間に紙幣帯封回収ユニット25の保留部25Aの紙幣を帯封部25Bに移動させることによって、紙幣帯封回収ユニット25は次の紙幣を集積することが出来るようになる。この動作は紙幣帯封回収ユニット25と紙幣帯封回収ユニット26が逆になっても同様である。このように動作することで、回収動作における紙幣の搬送を一時停止することなく、継続して実施することが可能となる。
続いて、一時保留部15、16の紙幣も、一時保留部14と同様に処理を行う。
このような入金処理を繰り返すが、テラー7は入金業務中に、損券回収カセット23が満杯又は満杯近くになった際は、装置後方から損券回収カセット23を抜き取り、空カセットに交換し、リジェクト紙幣回収ユニット24が満杯又は満杯近くになった際は、リジェクト紙幣を抜き取り、紙幣帯封回収ユニット25・26の収納部25E・26Eが満杯又は満杯近くになった際は、帯封紙幣を抜き取り保管する。紙幣処理部3は、センサにより、上述の損券回収カセット23、リジェクト紙幣回収ユニット24、紙幣帯封回収ユニット25・26の収納部25E・26Eの所定量(満杯又は満杯近く)を検知した場合に、端末6に所定量になったこと示す情報を通知してもよい。またこの際、どの回収部が所定量になったかが分かるように当該情報を通知してもよい。
回収部で所定量を検知した場合でも、入金経路と回収経路が分離しているため、紙幣処理部3は、回収動作を中断するが、入金動作を継続して実施することが可能となる。
次に整理計数動作について説明する。整理計数動作とは、上述した回収動作においてリジェクト紙幣回収ユニット24に収納した搬送異常と判定された紙幣及び帯封対象外の金種の紙幣を再度計数して帯封する動作である。紙幣処理部3は、端末6から上述の入金及び回収を行う入金・回収モード又は整理計数を行う整理計数モードの選択を受け付けてもよい。紙幣処理装置3は、端末6が整理計数モードを受け付けた場合、整理計数動作を行う。
例えば、帯封対象外の金種を5金種とし、夫々金種C〜G(入金取引における帯封対象金種A・Bと合わせて全7金種)として以下具体的に説明する。
テラー7は装置から取り出したリジェクト紙幣回収ユニット24に収納した搬送異常と判定された紙幣と帯封対象外の金種の紙幣を入金口部10にセットする。その後テラー7が端末6を操作することにより、セットされた紙幣は、繰出部10により1枚ずつ分離され、入金搬送路17に繰り出される。入金搬送路17は、繰り出された紙幣5を入金識別部11に搬送する。入金識別部11は、入金搬送路17により搬送される紙幣の種類(例えば、金種・搬送状態)を判別する。入金搬送路17は、入金識別部11が判別した紙幣の種類に基づき、当該紙幣を収納する一時保留部13〜16に紙幣を搬送する。
紙幣処理部3は、例えば、入金識別部11により、正常と判定された金種A、Bを損券一時保留部13(損券ではない)に集積し、正常と判定された金種C、Dを一時保留部14に集積し、正常と判定された金種E、Fは一時保留部15に集積し、正常と判定された金種Gは一時保留部16に集積し、異常判定された紙幣5は、返却口部12に集積する。返却口部12に集積された紙幣は、テラー7により抜き取られる。テラー7が抜き取った紙幣は入金口部10に再セットすることで再計数可能となっている。
次に、紙幣処理部3は、損券一時保留部13内の金種A、Bの紙幣5を繰出し部113により1枚ずつに分離し回収搬送路に繰出す。回収搬送路27は、繰出し部113により繰出された紙幣を回収識別部20に搬送する。回収識別部20は、回収搬送路27により搬送された紙幣の種類(たとえば、金種、方向、搬送状態など)を判別する。回収搬送路27は、回収識別部20により判別された紙幣の種類に基づき、天地反転部21、表裏反転部22により紙幣の方向を揃えて、当該紙幣の種類を収納するリジェクト紙幣回収ユニット24又は紙幣帯封回収ユニット25、26に紙幣を搬送する。リジェクト紙幣回収ユニット24又は紙幣帯封回収ユニット25、26は回収搬送路27により搬送された紙幣を収納する。
整理計数動作において、リジェクト紙幣回収ユニット24又は紙幣帯封回収ユニット25、26に収納される紙幣の一例を示す。例えば、リジェクト紙幣回収ユニット24は、回収識別部20で重送(複数枚が重なって搬送された状態)、斜行(紙幣が著しく傾いて搬送された状態)、間隔異常(紙幣と紙幣の隙間が著しく短い状態)等の搬送異常と判定された紙幣を集積・収納する。紙幣帯封回収ユニット25は、金種Aでかつ、搬送異常ではない紙幣を集積、収納する。紙幣帯封回収ユニット26は、金種Bでかつ、搬送異常ではない紙幣を紙幣帯封回収ユニット26に集積、収納する。
紙幣帯封回収ユニット25・26へ搬送された金種A、Bの紙幣は、回収動作の場合と同様にして紙幣の帯封処理を行った後に夫々の収納部25E・26Eに移動、収納する。
続いて、一時保留部14に集積されている紙幣C、Dも同様に処理を行う。紙幣処理部3は、回収識別部20が搬送異常と判定した紙幣をリジェクト紙幣回収ユニット24へ、搬送異常ではないかつ金種Cと判定した紙幣を紙幣帯封回収ユニット25へ、搬送異常ではないかつ金種Dと判定した紙幣は紙幣帯封回収ユニット26に搬送し、集積、帯封、収納する。また、一時保留部15に集積されている紙幣E、Fも同様に処理を行う。紙幣処理部3は、回収識別部20が搬送異常と判定した紙幣をリジェクト紙幣回収ユニット24へ、搬送異常ではないかつ金種Eと判定した紙幣を紙幣帯封回収ユニット25へ、搬送異常ではないかつ金種Fと判定した紙幣を紙幣帯封回収ユニット26に搬送し、集積、帯封、収納する。また、一時保留部16に集積されている紙幣Gも同様に処理を行う。紙幣処理部3は、回収識別部20が搬送異常と判定した紙幣をリジェクト紙幣回収ユニット24へ、搬送異常ではないと判定した紙幣は紙幣帯封回収ユニット25へ搬送し、集積、帯封、収納する。以上のように動作することにより、多くの種類の紙幣(例えば、7種類)の紙幣を帯封することが可能になる。
図4は、実施例3の紙幣処理装置の側面図を示す。以下では上述の説明と異なる部分を中心に説明する。
実施例3の紙幣処理部3は実施例2(図4)の構成に、入金搬送路17の入金識別部11の下流かつ一時保留部の上流から分岐して、回収識別部20の下流の回収搬送路27へ直接(一時保留部を介さず)接続されるバイパス搬送路18を備えている。以下に、実施例3の動作について述べる。
実施例3の入金動作及び回収動作は、実施例2と同じであるので、説明を省略し、実施例2とは異なる部分のある整理計数動作についてのみ説明する。整理計数動作とは、実施例2と同様回収動作においてリジェクト紙幣回収ユニット24に収納した搬送異常と判定された紙幣及び帯封対象外の金種の紙幣を再度計数して帯封する動作である。
実施例2と同様に、帯封対象外の金種を5金種とし、夫々金種C〜G(入金取引における帯封対象金種A・Bと合わせて全7金種)として以下具体的に説明する。
テラー7は、リジェクト紙幣回収ユニット24に収納した搬送異常と判定された紙幣と帯封対象外の金種の紙幣を装置から取り出し、入金口部10にセットする。その後、テラー7が端末6を操作することにより、セットされた紙幣は、繰出部10により1枚ずつ分離され、入金搬送路17に繰り出される。入金搬送路17は、繰り出された紙幣5を入金識別部11に搬送する。入金識別部11は、入金搬送路17により搬送される紙幣の種類(例えば、金種・搬送状態など)を判別する。入金搬送路17は、入金識別部11が判別した紙幣の種類に基づき、当該紙幣を収納する一時保留部13〜16又は回収部に紙幣を搬送する。
入金搬送路17は、例えば、入金識別部11により正常と判定された金種Aをバイパス搬送路18に搬送する。そして、バイパス搬送路18は、入金搬送路17により搬送されてきた紙幣を直接(一時保留部13〜16を経由することなく)回収搬送路27に搬送する。回収搬送路27は、天地反転部21・表裏反転部22を経由して紙幣の方向を揃えて、紙幣帯封回収ユニット25・26へ搬送する。紙幣帯封回収ユニット25、26は、回収搬送路27により搬送されてきた紙幣を、実施例2の帯封動作と同様に、集積、帯封、収納する。一方、紙幣処理部3は、入金識別部11により、正常と判定された金種Bは一時保留部13に集積し、正常と判定された金種Cは一時保留部14に集積し、正常と判定された金種D・Eは一時保留部15に集積し、正常と判定された金種F・Gは一時保留部16に集積する。また、紙幣処理部3は、入金識別部11により、異常判定された紙幣5を、返却口部12に搬送する。返却口部12に搬送された紙幣は、テラー7が抜き取る。テラー7に抜き取られた紙幣は、テラー7が入金口部10に再セットすることで再計数可能となっている。
続いて、紙幣処理部3は損券一時保留部13に集積されている金種Bの紙幣5を繰出し部113により1枚ずつに分離し回収搬送路27に繰出す。回収搬送路27は、繰出された紙幣を回収識別部20に搬送する。回収識別部20は、回収搬送路27により搬送される紙幣の種類(金種、方向、搬送状態など)を判別する。回収搬送路27は、回収識別部20により、搬送異常券と判別された紙幣はリジェクト紙幣回収ユニット24に搬送し、正常券金種Bと判別された紙幣は、紙幣帯封回収ユニット25・26へ搬送する。紙幣回収ユニット24は、金種Aと同様に回収搬送路27により搬送された紙幣を収納する。また、紙幣帯封回収ユニット25、26は、金種Aと同様に回収搬送路27により搬送された紙幣を収納し、帯封動作を行う。続いて、一時保留部14内の金種Cも金種Bと同様の処理を行う。
また、一時保留部15内の金種D、E、一時保留部16内の金種F、Gの紙幣についても同様に処理を行い帯封するが、一時保留部15内の金種D、E、一時保留部16内の金種F、Gの紙幣についての正常券の搬送先はそれぞれ紙幣帯封回収ユニット25、26である。この場合、紙幣帯封回収ユニット25、26は各金種専用になるため、紙幣処理部3は、保留部25A、26Aに収納された紙幣を、帯封部25B、26Bに移動させている間、回収動作を一時的に停止することとなる。
以上の動作することにより、実施例全ての金種の紙幣を帯封することが可能になるが、実施例2に比べ、金種Aは一時保留部を経由しないため処理時間が短縮できる。又、金種B、Cについては帯封時に搬送を一時停止する必要がなく更に処理時間の短縮が可能となる。
図5は、実施例4の紙幣処理装置の側面図の一例を示す。以下では上述の説明と異なる部分を中心に説明する。
実施例4の紙幣処理部3、は実施例3(図4)の紙幣処理部3に、回収接続搬送路28及び金種別に紙幣を収納する金種別スタッカ部41〜47を追加している。回収接続搬送路28は、回収搬送路27と、金種別スタッカ部41〜47を接続する双方向の搬送路であって、回収搬送路27の回収識別部20及び回収部の下流の分岐部B1と、回収搬送路27の回収識別部20及び一時保留部の上流の分岐部B2と、にそれぞれ接続されている。図6Aに示すように、回収接続搬送路28は、上述の下流の分岐部B1を経由して回収搬送路27により搬送されてきた紙幣を、回収識別部20が判別した紙幣の種類に基づき、当該種類の紙幣を収納する金種別スタッカ部41〜47に当該紙幣を搬送する。
また、図6Bに示すように、回収接続搬送路28は、金種別スタッカ部41〜47から繰り出された紙幣を、上述の上流の分岐部B2を経由して回収搬送路27に搬送する。金種別スタッカ部41〜47は、回収接続搬送路28により搬送される紙幣を一時的に収納し、回収接続搬送路28に繰出しすることができる。金種別スタッカ部41〜47は帯封枚数以上の紙幣を収納する容量を有している。
続いて、実施例4の動作について説明する。入金動作は実施例2と同じであるので、説明を省略し、実施例2とは異なる部分のある回収動作について説明する。
紙幣処理部3は、確認キーの押下を検知すると、損券一時保留部13内の紙幣5を繰出し部113により1枚ずつに分離し回収搬送路27に繰出す。回収搬送路27は、繰出された紙幣を、回収識別部20により金種・枚数等を判別し、天地反転部21・表裏反転部22を迂回する経路にて、損券回収カセット23に搬送する。損券回収カセット23は、回収搬送路27により搬送された紙幣を集積・収納する。
続いて、一時保留部14内の紙幣5を繰出し部114により1枚ずつに分離し回収搬送路27に繰出す。紙幣処理部3は、回収接続搬送路28の分岐部B1を図6Aに示した金種別スタッカ部41〜47への搬送方向に切り替える。繰出された紙幣は回収識別部20を通り、金種・枚数・方向・搬送状態を判別し、天地反転部21・表裏反転部22を経由して紙幣の方向を揃えて、搬送異常券は損券回収カセット23へ搬送・収納し、正常券は回収接続搬送路28を経由して紙幣5の金種に対応した金種別スタッカ部41〜47に集積・収納する。
続いて、紙幣処理部3は、一時保留部14に収納される紙幣5を繰出し部114により1枚ずつに分離し回収搬送路27に繰出す。回収搬送路27は、回収識別部20へ紙幣を搬送する。回収識別部20は、回収搬送路27により搬送された紙幣の種類を判別する。回収搬送路27又は回収接続搬送路28は、判別された紙幣の種類(例えば、金種、枚数、方向、搬送状態など)に基づいて、当該種類の紙幣を収納するリジェクト紙幣回収ユニット24又は金種別スタッカ部41〜47に紙幣を搬送する。リジェクト紙幣回収ユニット24又は金種別スタッカ部41〜47は、回収搬送路27又は回収接続搬送路28、により搬送された紙幣を収納する。ここで、紙幣処理部3は、回収識別部20が搬送異常券と判別した紙幣を、回収搬送路27によりリジェクト紙幣回収ユニット24に搬送し、回収識別部20が正常券と判別した紙幣を、回収搬送路27及び回収接続搬送路28により、当該種類の紙幣を収納する金種別スタッカ部41〜47に搬送する。紙幣処理部3は、リジェクト紙幣回収ユニット24に紙幣を搬送するときは回収接続搬送路28の分岐部B1を紙幣回収ユニット24に切り替え、金種別スタッカ部41〜47に搬送するときには回収接続搬送路28の分岐部B1を金種別スタッカ部41〜47への搬送方向に切り替える。
紙幣処理部3は、金種別スタッカ部41〜47のいずれかの所定量の枚数(例えば、満杯、ニアフル)を検出する検出部(例えば光学センサ)を金種別スタッカ部41〜47それぞれに有しており、所定量の枚数又はそれ以上を検知した場合に、当該金種の搬送先を金種別スタッカ部41〜47から紙幣帯封回収ユニット25、26のいずれかに切り替える。紙幣処理部3は、紙幣帯封回収ユニット25、26のいずれか一方が、他金種の処理中の場合又は保留部25A、26Aから帯封部25B、26Bへの紙幣移動中の場合は、他方へ紙幣の搬送を行ってよい。紙幣処理部3は、紙幣帯封回収ユニット25、26の両方が、他金種の処理中又は保留部25A、26Aから帯封部25B、26Bへの紙幣移動中の場合は、一時保留部14から紙幣帯封回収ユニット25、26への紙幣の搬送を一時的に停止してもよい。
紙幣帯封回収ユニット25、26の紙幣帯封動作は実施例2とほぼ同様であるが、一時保留部14から紙幣帯封回収ユニット25、26へ紙幣を搬送すると、紙幣帯封回収ユニット25、26の保留部25A、26Aの紙幣枚数が帯封枚数100枚に満たない場合がある。この場合、紙幣処理部3は、回収接続搬送路28の分岐部B2を図6Bに示した金種別スタッカ部41〜47からの繰出方向に切り替え、当該種類の紙幣を収納している金種別スタッカ部41〜47のいずれかから、帯封に不足する枚数を繰出し、回収接続搬送路28、回収搬送路27及び回収識別部20を経由して紙幣帯封回収ユニット25、26に補充して帯封を完了させてもよい。
また、紙幣処理部3は、金種別スタッカ部41〜47の収納枚数が帯封枚数の所定量の枚数(例えば、100枚)を超過している場合には、回収接続搬送路28の分岐部B1を紙幣帯封回収ユニット25、26の方向に切り替えるとともに、回収接続搬送路28の分岐部B2を図6Bに示した金種別スタッカ部41〜47からの繰出方向に切り替える。そして、紙幣処理部3は、同様に紙幣帯封回収ユニット25、26で処理している種類の紙幣を収納する金種別スタッカ部41〜47から、帯封枚数を繰出し、回収接続搬送路28、回収搬送路27及び回収識別部20を経由して紙幣帯封回収ユニット25、26に補充して帯封を完了させる。こうして、紙幣帯封回収ユニット25、26の保留部25A、26Aが空になり且つ、金種別スタッカ部41〜47の各収納枚数が帯封枚数に満たない状態になった場合に、紙幣処理部3は、一時保留部14内の紙幣5を回収搬送路27により搬送を再開し、一時保留部14が空になるまで回収動作を行う。続いて、一時保留部15、一時保留部16の紙幣も一時保留部14と同様に処理を行う。
次に整理計数動作について説明する。本実施例でも実施例3と同様入金紙幣の金種をA〜Gの7金種として説明する。
テラー7は上記7金種の紙幣を入金口部10にセットする。その後テラー7が端末6を操作することにより、セットされた紙幣5は、繰出部10により1枚ずつ分離され、入金搬送路17に繰り出される。入金搬送路17は、繰り出された紙幣5を入金識別部11に搬送する。入金識別部11は、入金搬送路17により搬送される紙幣の種類(例えば、金種・搬送状態)を判別する。入金搬送路17は、入金識別部11が判別した紙幣の種類に基づき、当該紙幣を収納する一時保留部13〜16に紙幣を搬送する。
入金搬送路17は、例えば、入金識別部11により正常と判定された金種A〜Gの紙幣を回収搬送路27に搬送する。紙幣処理部3は、回収接続搬送路28の分岐部B1を図6Aに示した金種別スタッカ部41〜47への搬送方向に切り替える。回収搬送路27は、天地反転部21・表裏反転部22を経由して紙幣の方向を揃えて、搬送方向が切り替えられた回収接続搬送路28を経由して紙幣5の金種に対応した金種別スタッカ部41〜47に集積・収納しておく。
テラー7は装置から取り出したリジェクト紙幣回収ユニット24に収納した搬送異常と判定された紙幣と帯封対象外の金種の紙幣を入金口部10にセットする。その後、テラー7が端末6を操作すると、セットされた紙幣5が繰出部10により1枚ずつ分離され、入金搬送路17が繰り出された紙幣5を入金識別部11に搬送する。入金識別部11は、入金搬送路17により搬送される紙幣の種類(例えば、金種・搬送状態)を判別する。入金搬送路17は、入金識別部11が判別した紙幣の種類に基づき、当該紙幣を収納する一時保留部13〜16又は回収部に紙幣を搬送する。
入金搬送路17は、実施例3と同様に、例えば、入金識別部11により正常と判定された金種A〜Gの紙幣を一時保留部13〜16を経由して回収搬送路27に搬送する。紙幣処理部3は、回収接続搬送路28の分岐部B1を紙幣帯封回収ユニット25・26への搬送方向に切り替える。回収搬送路27は、天地反転部21・表裏反転部22を経由して紙幣の方向を揃えて、紙幣帯封回収ユニット25・26へ搬送する。紙幣帯封回収ユニット25、26は、回収搬送路27により搬送されてきた紙幣を、実施例2の帯封動作と同様に、集積、帯封、収納する。また、紙幣処理部3は、実施例3と同様に、入金識別部11により異常判定された紙幣5を返却口部12に搬送し、その紙幣をテラー7が抜き取る。テラー7に抜き取られた紙幣は、テラー7が入金口部10に再セットすることで再計数可能である。
紙幣処理部3は、金種別スタッカ部41〜47のいずれかの所定量の枚数(例えば、満杯、ニアフル)を検出する検出部(例えば光学センサ)を金種別スタッカ部41〜47それぞれに有しており、所定量の枚数に満たない枚数を検知した場合、回収接続搬送路28の分岐部B2を図6Bに示した金種別スタッカ部41〜47からの繰出方向に切り替える。紙幣処理部3は、当該金種の搬送先を紙幣帯封回収ユニット25、26から金種別スタッカ部41〜47に切り替え、所定量の枚数を満たすまで、金種別スタッカ部41〜47に集積された紙幣を1枚ずつ繰出し、帯封動作を完了させる。紙幣処理部3は、紙幣帯封回収ユニット25、26のいずれか一方が、他金種の処理中の場合又は保留部25A、26Aから帯封部25B、26Bへの紙幣移動中の場合は、他方へ紙幣の搬送を行ってよい。紙幣処理部3は、紙幣帯封回収ユニット25、26の両方が、他金種の処理中又は保留部25A、26Aから帯封部25B、26Bへの紙幣移動中の場合は、一時保留部14から紙幣帯封回収ユニット25、26への紙幣の搬送を一時的に停止してもよい。紙幣帯封回収ユニット25、26の紙幣帯封動作は回収動作の場合と同様である。また、金種別スタッカ部41〜47の収納枚数が帯封枚数の所定量の枚数(例えば、100枚)を超過している場合については、回収動作と同様に処理することができる。
このように動作することにより、回収動作において金種別スタッカ部41〜47の数の金種を帯封することが可能になり、実施例2・3のように紙幣帯封回収ユニットの数に制限されることがなくなり、その結果、回収動作における帯封対象外の紙幣をリジェクト紙幣回収ユニット24に収納、その後の整理計数動作をすることを無くせるため、処理時間の短縮が図れる。
又、本実施例では取り扱う金種数を7金種、金種別スタッカ部の数も7金種と同じにしたため、1回の収納動作で全金種の帯封を可能としたが、例えば、取り扱う金種数を7金種、金種別スタッカ部の数を4個とした場合は、整理計数動作では直接は4金種しか帯封できないことになる。このような場合は、帯封対象外の金種(つまり金種別スタッカ部で設定されない金種)の紙幣は一時保留部13〜16に分配して、実施例2・3に示す方法と同様な動作で処理することが可能で、この場合でも回収動作で帯封可能な金種が増えることにより、全体の処理時間の短縮が可能になる。
本発明は、上記実施形態に限るものではなく、以下の構成であってもよい。
一時保留部(100〜103、23〜26)、回収部(13〜16)の種類、数は上記実施形態に限るものではない。例えば、損券一時保留部、損券回収部、リジェクト回収部がない装置、損券一時保留部、損券回収部、リジェクト回収部がそれぞれ複数ある装置、あるいは、上記実施形態とは異なる場所に設置したものでもよい。あるいは、紙幣帯封回収ユニット(25、26)の数が上記実施形態とは異なる数、異なる場所であってもよい。また、紙幣帯封回収ユニット(25、26)に代わって、又は加えて、正券を回収する回収カセットを有してもよい。
損券一時保留部、損券回収部、リジェクト回収部がない装置の場合、例えば、入金識別部11の判別の結果に基づき、損券と判別された紙幣を返却口部12に返却してもよい。また、ある種類の紙幣を収納する一時保留部がない(設定されていない)場合、紙幣を返却口部12に返却してもよい。
また、一時保留部13〜16は、混合して複数種類の紙幣を収納してもよい。実施形態2〜4の場合、紙幣処理部3は、回収識別部20が判断した紙幣の種類に基づき、搬送先の回収部を決定し、当該搬送先に紙幣を搬送してもよい。
紙幣の種類としては、正損、真偽、金種、紙幣の方向、紙幣の状態、紙幣の世代が含まれてもよい。紙幣処理部3にて取り扱う紙幣の種類の数に応じて、紙幣処理部3の一時保留部(100〜103、23〜26)、回収部(13〜16)の数及び種類を決定すればよい。紙幣処理部3は、外部からの受け付けた情報に基づき、一時保留部(100〜103、23〜26)、回収部(13〜16)のそれぞれに収納する紙幣の種類を決定してもよい。
例えば、複数種類の紙幣を混合して収納する、同一金種を収納する、紙幣の方向が一致する紙幣を収納する、世代の一致する紙幣を収納する又は損券を収納するなどの設定をすることが可能であってよい。
紙幣処理部3は、表裏反転部又は天地揃え部を備えない構成であってもよい。また、紙幣帯封回収ユニットは、テラーが直接紙幣に接触できる構成であれば、帯封をせずに単に紙幣を集積するだけでもよい。コストを抑制することが可能となる。
また、紙幣処理部3は、回収部が、紙幣を横方向に又は紙幣を立位状態で集積する横型タイプであるため、回収部から紙幣をそれぞれ個別に、紙幣処理部3の後方から取り出し可能としている。
また、紙幣処理部3は、センサにより、回収部に集積された紙幣の収納枚数(収納量)を検知し、所定量以上(例えば、満杯又は満杯近くの状態)になっている回収部を、端末6に通知する。これにより、テラー7は、紙幣を外部に取り出すべき回収部を容易に判断することが可能となる。また、紙幣処理部3の端末6は、テラー7が紙幣を外部へ取り出そうとする回収部を示す情報の入力を受け付けてもよい。紙幣処理部3は、端末6から入力を受け付けた回収部の回収動作を実施することを禁止してもよい。
また、紙幣処理部3は、紙幣回収カセット100〜103のそれぞれに取り出しを制限(禁止)するロック機構がある場合、所定量以上(例えば、満杯又は満杯近くの状態)になっている紙幣回収カセット100〜103のみ、又は端末6から入力を受け付けた紙幣回収カセット100〜103のみロック機構を解除してもよい。
上記実施形態に示したとおり、本願発明は少なくとも以下のいずれかの特徴を有する。
(1)紙幣処理部の前方に外部から紙幣を受け付ける入金口部と、入金口部の受け付けた紙幣を一枚ずつ搬送する入金搬送部と、入金搬送部により搬送される紙幣の種類(金種、方向、世代、正損、搬送の状態又は真偽など)を判別する判別部と、判別部による判別の結果に基づき、一時的に同一種類の紙幣を収納する複数の一時保留部と、それぞれが個別に紙幣処理部の外部への紙幣の取り出しを可能とする複数の回収部(100〜103、23〜26)と、複数の一時保留部に収納された紙幣を複数の回収部に移動する回収移動部とを有してよい。
当該構成を有することで、入金動作、回収動作、回収部からの紙幣の移動を継続して実施することが可能となる。より詳細には、第一の取引の回収部からの紙幣の移動中に、第二の取引の回収動作を並行して実施できると共に、第二の取引の回収動作中に、第三の取引の入金動作も並行して実施することが可能となる。すなわち装置の稼働効率向上が可能となる。
また、回収移動部が、複数の回収部と複数の一時保留部とを接続する搬送部である場合、回収部又は一時保留部の数を任意に調整することが可能となる。
また、回収部の一部を、紙幣を立位状態で横方向に集積する回収カセットとすることで、紙幣処理部の後方からそれぞれの回収カセットを個別に取り出し可能としてもよい。この場合、縦型収納庫の場合に比較し、紙幣処理装置を横方向に複数設置又は横方向に制限(障害物)がある場合であっても、紙幣処理部の稼働効率を向上可能となる。
(2)紙幣処理部は、第一の一時保留部に収納されている第一の取引の紙幣を回収部へ移動する回収動作中に、入金口部から第二の一時保留部へ一枚ずつ第二の取引の紙幣を搬送する入金動作を実施する。これにより、第二の取引の入金動作と第一の取引の回収動作を並行して実施することが可能となる。すなわち、回収動作と入金動作の動作効率向上が可能となる。
また、この場合、紙幣処理部に入金動作をさせる駆動部と、回収動作をさせる駆動部とを別にしてもよい。
(3)紙幣処理部は、一時保留部と複数の回収部とを接続する回収搬送部に、回収識別部を有する。これにより、回収識別部がない場合に比べ、多様な運用が可能となる。同一種類の紙幣を収納する一時保留部を複数設定した場合であっても、異なる金種の紙幣を収納する一時保留部を複数設定した場合であっても、運用することが可能とある。
(4)紙幣処理部は、一時保留部と回収部とを接続する回収搬送部に、回収識別部を有し、回収識別部と回収部との間に、表裏反転部又は天地揃え部を有してよい。これにより一時保留部に収納された紙幣の方向がバラバラであっても、回収部では、紙幣の方向を統一することが可能となる。
また、この場合、一時保留部の数を減らしても、回収部では表裏、天地を揃えた状態の紙幣の回収が可能となる。
(5)紙幣処理部は、複数の一時保留部とこれに対応する回収部に含まれる複数の回収カセットと、それぞれの一時保留部に集積された紙幣を対応するそれぞれの回収カセットへ紙幣を移動させる回収移動部とを有し、一時保留部及び回収カセットは、いずれも横方向(水平方向であってもよい)に紙幣を集積し(紙幣を立位状態で集積するものであってもよい)、回収カセットは、スライドされることにより、一時保留部と着脱可能である。これにより、紙幣を一枚ずつ搬送する搬送路を有しなくとも、入金動作中に回収動作をすることが可能となる。
(6)紙幣処理部は、取扱いの少ない複数種類の紙幣(他の一時保留部では収納しない及び返却口に返却しない紙幣)を一時的に収納する損券一時収納部を有する。これにより、紙幣処理部は、取扱いの少ない複数種類の紙幣のために個別に利用する一時保留部を減らすことが可能とる。
(7)紙幣処理部は、回収識別部により、リジェクト紙幣(搬送状態の異常)と判断された紙幣を収納するリジェクト紙幣回収ユニットを、正券を回収する回収部よりも上流側に有する。これにより、回収時のリジェクトを抑制することが可能となる。