以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るアライメント装置の側面図である。
図1に示すアライメント装置1は、アライメント対象物100を搭載して、アライメント対象物100に含まれる第1の基板110と第2の基板120とを相対的にアライメントするための装置である。以下の説明では、まず、アライメント対象物100について、図11及び図12を参照しながら、詳細に説明する。
図11は本発明の一実施の形態に係るアライメント対象物を示す分解斜視図、図12はそのアライメント対象物を第1の基板側から見た示す平面図である。図11に示すように、アライメント対象物100は、第1の基板110と、当該第1の基板に重ねられた第2の基板120と、第1の基板110と第2の基板120との間に介在する未硬化の状態の樹脂材料130とから構成されている。本実施形態における「アライメント対象物100」が本発明における「アライメント対象物」の一例に相当し、本実施形態における「第1の基板110」が本発明における「第1の基板」の一例に相当し、本実施形態における「第2の基板120」が本発明における「第2の基板」の一例に相当し、本実施形態における「樹脂材料130」が本発明における「樹脂材料」の一例に相当する。
第1の基板110は、可視光線及び紫外線が透過可能である透明な矩形状の基板である。本実施形態では、図1に示すように、樹脂材料130を基準として、第1の基板110が位置する側に撮像部6が配置されているため、第1の基板110は透明な材料により構成される。このような第1の基板110を構成する材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂、塩化ビニル(PVC)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シリコーン樹脂(SI)、アクリル樹脂(PMMA)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料やガラス等の透明無機材料を用いることができる。特に図示しないが、第1の基板110は、上記の材料が複数積層されたものであってもよいし、機能層が積層されたものであってもよい。
第1の基板110は、第1の基板110と第2の基板120との位置合わせに用いるアライメントマークである第1のパターン111を有している。第1のパターン111は、平面視において、第1の基板110の対角に位置している。なお、第1のパターン111の配置、形状、及び数は、特に上述に限定されない。本実施形態においては、第1のパターン111の数は、2つであるが、平面視において、第1の基板110のそれぞれの角部に対応して4つの第1のパターン111を設けてもよい。或いは、第1の基板110のそれぞれの角部に対応して4つの第1のパターン111を設け、第1の基板110の各辺の中央に対応して4つの第1のパターン111を設け、第1の基板110の中心に1つの第1のパターン111を設けてもよい(この場合、合計9個の第1のパターン111が設けられる。)。
第2の基板120は、矩形状の基板である。第2の基板120を構成する材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリスチレン(PS)、ABS樹脂、塩化ビニル(PVC)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シリコーン樹脂(SI)、アクリル樹脂(PMMA)、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂材料、ステンレスやチタン等の金属材料、セラミック材料やガラス等の無機材料等を用いることができる。樹脂材料に関しては、可視光線が透過可能な材料であってもよいし、可視光線が透過できない(不透明な)材料であってもよい。特に図示しないが、第2の基板120は、上記の材料が複数積層されたものであってもよいし、機能層が積層されたものであってもよい。
なお、特に図示しないが、撮像部6が、樹脂材料130を基準にして、第2の基板120が位置する側に配置されている場合、第2の基板120は透明な材料により構成される。この場合、第1の基板110は、不透明な材料を用いてもよい。第1の基板110と第2の基板120をそれぞれ別々の撮像部6により撮像する場合、第1の基板110及び第2の基板120は、透明な材料を用いてもよいし、不透明な材料を用いてもよい。
第2の基板120は、平面視において第1の基板110と重なるように配置されている。第2の基板120は、第1の基板110と第2の基板120との位置合わせに用いるアライメントマークである第2のパターン121を有している。第2のパターン121は、第1のパターン111に応じて配置されており、平面視において、第2の基板120の対角に位置している。詳細は後述するが、本実施形態のように温調部8により第2の基板120を冷却する場合、図12に示すように、第1の基板110と第2の基板120とを重ねると、第2のパターン121は、平面視において、対応する第1のパターン111よりも外側に位置している。なお、第2のパターン121の配置、形状、及び数は、特に限定されない。第2のパターン121の配置は、温調部8による温度調整に応じて設定される。
第1のパターン111及び第2のパターン121は、後述するアライメント装置1の撮像部6により撮像可能となるように形成されている。第1のパターン111及び第2のパターン121は、たとえば、公知の印刷法を用いて形成することができる。なお、第1のパターン111及び第2のパターン121を形成する方法としては、特に上述に限定されない。また、第2のパターン121は印刷により形成すると共に、当該第2のパターン121を包含する貫通孔で第1のパターン111を構成してもよい。この場合には、可視光線を透過可能な透明な材料で第1の基板110を構成しなくてもよい。このように、本実施形態における「パターン」には、基板に印刷されたマークや、基板に形成された貫通孔を含む。
本実施形態では、第1の基板110の熱膨張係数と第2の基板120の熱膨張係数は、相互に異なっている。具体的には、第1の基板110としてガラス板を用いた場合、当該ガラス板を構成する材料の熱膨張係数は、2×10−6/℃であるのに対して、第2の基板としてステンレス鋼板を用いた場合、当該ステンレス鋼板を構成する材料の熱膨張係数は、10×10−6/℃である。第2の基板120を構成する材料の熱膨張係数は、第1の基板110を構成する材料の熱膨張係数に対して相対的に大きくなっている。
なお、第2の基板120を構成する材料の熱膨張係数が第1の基板110を構成する材料の熱膨張係数に対して相対的に大きい場合であって、温調部8により第2の基板120を加熱する場合、第1の基板110と第2の基板120とを重ねると、第2のパターン121は、平面視において、対応する第1のパターン111よりも内側に位置している。
図11に示すように、樹脂材料130は、第1の基板110と第2の基板120の間に介在している。樹脂材料130は、第1の基板110及び第2の基板120の間に層状に設けられている。このような樹脂材料130は、可視光線が透過可能な透明な材料であると共に、未硬化の状態で流動性のある材料により構成されている。この未硬化の状態の樹脂材料130の粘度としては、10cP〜150,000cPであることが好ましく、1,000cP〜10,000cPであることがより好ましい。本明細書において、未硬化の状態で流動性のある材料とは、当該材料の粘度が上記の粘度の範囲内であって、外力により不可逆的な変形を生じるものであることをいう。樹脂材料130を構成する材料としては、紫外線硬化型接着材料、熱硬化型接着材料、又は、二液硬化型接着材料等の硬化性接着材料等の従来公知のものを用いることができ、具体的には、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂材料を用いることが好ましい。
上記のアライメント対象物100は、第1の基板110と、第2の基板120とを積層した積層体200(図9(E)参照)を得るために用いられる。積層体200は、第1の基板110と第2の基板120との間に、上記の樹脂材料130の全体が硬化してなる接着部230を有している。接着部230は、第1の基板110及び第2の基板120を相互に固定する機能を有する。
次に、アライメント装置1について、図1〜図6を参照しながら、詳細に説明する。図2は本発明の一実施の形態に係る上プレートを第1の保持面側から見た図、図3は本発明の一実施の形態に係るコントロールユニットを示すブロック図、図4(A)及び図4(B)は熱歪み量を説明するための側面図、図5(A)及び図5(B)は弾性変形量を説明するための側面図、図6(A)及び図6(B)は、硬化収縮量を説明するための側面図である。
アライメント装置1は、図1に示すように、上プレート2と、下プレート3と、第1の移動部4と、第2の移動部5と、撮像部6と、硬化部7と、温調部8と、コントロールユニット9と、距離センサ10と、第1の温度センサ11と、第2の温度センサ12と、圧力センサ13と、を備える。
本実施形態における「アライメント装置1」が本発明における「アライメント装置」の一例に相当し、本実施形態における「上プレート2」が本発明における「第1のプレート」の一例に相当し、本実施形態における「下プレート3」が本発明における「第2のプレート」の一例に相当し、本実施形態における「第1の移動部4」が本発明における「第1の移動手段」の一例に相当し、本実施形態における「第2の移動部5」が本発明における「第2の移動手段」の一例に相当し、本実施形態における「撮像部6」が本発明における「位置検出手段」の一例に相当し、本実施形態における「硬化部7」が本発明における「硬化手段」の一例に相当し、本実施形態における「温調部8」が本発明における「温調手段」の一例に相当し、本実施形態における「距離センサ10」が本発明における「距離検出手段」の一例に相当し、本実施形態における「圧力センサ13」が本発明における「圧力検出手段」の一例に相当する。
上プレート2は、第1の基板110を保持するための略矩形の板状部材である。上プレート2は、水平面に対して略平行となるように配置されている。上プレート2の主面のうち下プレート3と対向する側の主面は、第1の基板110を保持可能な第1の保持面21となっている。この第1の保持面21には、複数の吸引口(不図示)が開口しており、第1の基板110を吸着固定することが可能となっている。吸着手段(不図示)としては、複数の吸引口に接続された真空ポンプを用いることができる。なお、上プレート2に第1の基板110を固定する方法は、特に上述に限定されない。
上プレート2には、複数の撮像部6(本実施形態では、2つ)により第1のパターン111及び第2のパターン121を撮像可能とする複数の撮像用貫通孔22(本実施形態では、2つ)が設けられている。2つの撮像用貫通孔22は、矩形状の上プレート2の対角に位置している。撮像用貫通孔22の数や配置は、撮像部6の数や配置に応じて設定される。本実施形態における「撮像用貫通孔22」が、本発明における「第1の開口」の一例に相当する。なお、撮像部6を上プレート2に埋設してもよく、この場合には、撮像用貫通孔22は、上プレート2において下プレート3に対向する面(すなわち、上プレート2の第1の保持面21)に形成された非貫通の開口で構成されることとなる。
上プレート2には、硬化部7により未硬化の状態の樹脂材料130を硬化させる紫外線等のエネルギ線を照射可能とする複数の照射用開口23が設けられている。この照射量開口23は、下プレート3において上プレート32対向する面(すなわち、下プレート3の第2の保持面31)に開口している。本実施形態では、12個の照射用開口23がマトリクス状に形成されている。隣り合う照射用開口23同士の間の間隔は、第1の基板110と第2の基板120の大きさ等によるが本実施形態においては、50mm程度となっている。照射用開口23の数や照射用開口23同士の間の間隔は、特に限定されない。本実施形態における「照射用開口23」が、本発明における「第2の開口」の一例に相当する。
なお、上プレート2を可視光線を透過可能な透明な材料により構成した場合、撮像用貫通孔22は設けなくてもよい。また、未硬化の状態の樹脂材料130を硬化させる方法として、紫外線等のエネルギ線を用いる場合であって、上プレート2を当該エネルギ線を透過可能な材料により構成した場合、照射用開口23は設けなくてもよい。
下プレート3は、第2の基板120を保持するための略矩形の板状の部材である。この下プレート3は、上プレート2に対して略平行となるように配置されている。具体的には、上プレート2の第1の保持面21と後述する下プレート3の第2の保持面31との平行度が、±10μm以下となっていることが好ましい。
下プレート3の主面のうち上プレート2と対向する側の主面は、第2の基板120を載置可能な第2の保持面31となっている。この第2の保持面31には、複数の吸引口(不図示)が開口しており、第2の基板120を吸着固定することが可能となっている。吸着手段(不図示)としては、複数の吸引口に接続された真空ポンプを用いることができる。なお、下プレート3に第2の基板120を固定する方法は、特に上述に限定されない。
第1の移動部4は、上プレート2と下プレート3を平面方向において相対的に移動させる機能を有する。第1の移動部4としては、X方向、Y方向、及びθ方向に移動可能なアライメントステージを用いる。第1の移動部4を構成する各軸(X方向、Y方向、及びθ方向)の移動機構としては、ボールねじ機構とモータとから構成されるものを用いることができる。なお、第1の移動部4としては、UVWステージを用いてもよい。
本実施形態の第1の移動部4は、下プレート3に接続されている。一方、上プレート2は、平面方向において固定されている。第1の移動部4を動作させ、下プレート3を平面方向において移動させると、上プレート2と下プレート3とを平面方向において相対的に移動させることができる。
また、第1の移動部4は、上プレート2の第1の保持面21と下プレート3の第2の保持面31との平行度を調整する機能を有する。本実施形態では、第1の移動部4により、上プレート2と下プレート3との間の間隔を均一にすることで、未硬化の状態の樹脂材料130の厚みを高精度に調整することができる。
なお、第1の移動部4は、特に上述に限定されない。たとえば、第1の移動部は、上プレートに接続されていてもよい。あるいは、複数の第1の移動部を設け、上プレート及び下プレートのそれぞれに接続してもよい。第1の移動部4に対しては、制御部91から下プレート3を平面方向において移動させる制御信号が入力される。
第2の移動部5は、上プレート2と下プレート3の並設方向(図中Z方向)に沿って、上プレート2と下プレート3とを相互に接近又は離間させる垂直駆動機構である。第2の移動部5としては、たとえば、モータ等を用いたラックアンドピニオンギア機構等を用いることができる。
本実施形態の第2の移動部5は、上プレート2に接続されている。一方、下プレート3は、Z方向において固定されている。第2の移動部5を動作させ、上プレート2をZ方向に沿って昇降させることで、上プレート2と下プレート3とを相互に離間又は接近させることができる。アライメント装置1にアライメント対象物100を搭載した状態で、上プレート2と下プレート3とを相互に接近させることで、プレート2,3がアライメント対象物100を挟むことができる。
なお、第2の移動部5は、上プレート2と下プレート3とを相互に接近又は離間させることができれば、特に上述に限定されない。たとえば、第2の移動部は、下プレートに接続されていてもよい。あるいは、複数の第2の移動部を設け、上プレート及び下プレートのそれぞれに第2の移動部が接続されていてもよい。
第2の移動部5を動作して、上プレート2と下プレート3との間の間隔を制御することで、未硬化の状態の樹脂材料130の厚みを調整することができる。第2の移動部5に対しては、各種センサからの検出結果に基づいて、制御部91から上プレート2を昇降させる制御信号が入力される。
撮像部6は、アライメント装置1にアライメント対象物100が搭載された状態で、第1の基板110と第2の基板120とを撮像するカメラを含む。また、この撮像部6は、互いに重ねられた第1の基板110及び第2の基板120を撮像することで、第1の基板110の位置に対する第2の基板120の相対位置や、第1の基板110の形状に対する第2の基板120の相対形状を認識(検出)する機能も有している。なお、基板110,120の相対位置や相対形状を検出する機能は、カメラとは分離した配線基板や電子部品によって実現されてよい。或いは、後述する制御部91が、基板110,120の相対位置や相対形状を検出する機能を有してもよい。また、基板110,120の相対位置や相対形状を検出する手段は、カメラに限定されず、例えば、レーザセンサを位置検出手段として用いてもよい。
複数の撮像部6は、複数の撮像用貫通孔22に対向して配置されており、支持部材61を介して上プレート2に固定されている。撮像部6は、撮像用貫通孔22を介して、上プレート2と下プレート3とに対して略垂直な方向から、第1の基板110と第2の基板120とを同一の視野内に同時に撮像することが可能となっている。撮像部6の数は特に限定されず、任意に設定することができる。
本実施形態の撮像部6は、撮像用貫通孔22を介した撮像範囲に写る第1のパターン111と第2のパターン121とを撮像することができる。撮像部6は、撮像結果(画像データ)を含む検出結果を制御部91に出力する。
硬化部7は、アライメント装置1にアライメント対象物100が搭載された状態で、未硬化の状態の樹脂材料130を硬化させる硬化処理を行う機能を有する。本実施形態では、樹脂材料130として紫外線硬化型接着材料を用いて、硬化部7として紫外線等のエネルギ線を照射可能な照射装置を用いる。
硬化部7は、上プレート2に内蔵されており、上プレート2に固定されている。硬化部7は、照射用開口23を介して、上プレート2と下プレート3とに対して略垂直な方向から、樹脂材料130に対して紫外線を照射することができる。硬化部7に対しては、制御部91から未硬化の状態の樹脂材料130を硬化させる硬化処理を実行させる制御信号が入力される。なお、硬化部7の設置位置は、樹脂材料130に対して紫外線を照射可能であれば、特に上述に限定されない。例えば、撮像部6と同様に、上プレート2の上面に固定してもよい。この場合には、照射用開口23は、上プレート2を上下方向に貫通する貫通孔となる。
温調部8は、第1の基板110と第2の基板120とを平面方向において相対的に熱変形させる機能を有する。また、温調部8は、第1の基板110及び第2の基板120の少なくとも一方の温度を平面方向において均一に保持する機能を有する。本実施形態の温調部8は、下プレート3に内蔵されており、下プレート3に保持された第2の基板120の温度を調整している。温調部8としては、熱を発生又は吸収して、第2の基板120を所定の温度に加熱又は冷却する熱源を用いる。熱源の具体例としては、冷却水を用いた冷却装置やヒータを用いることができる。
本実施形態では、温調部8として、第2の基板120を冷却する熱源が用いられている。この場合、温調部8は、第2の基板120の全体を冷却することで、第2の基板120の温度を、平面方向において均一に保持している。また、温調部8により第2の基板120を冷却し熱収縮させることで、第1の基板110に対して第2の基板120を平面方向において相対的に熱変形させている。
第1の基板110と第2の基板120との相対的な熱変形量は、第1の基板110と第2の基板120との間に生じた温度差や、第1の基板110を構成する材料の熱膨張係数と第2の基板120を構成する材料の熱膨張係数との差に基づく。温調部8に対しては、制御部91から第2の基板120の温度を調整するための制御信号が入力される。
なお、温調部8は、第1の基板110及び第2の基板120の少なくとも一方の温度を調整することができれば、特に上述に限定されない。たとえば、温調部を上プレートに設けて、上プレートに保持された第1の基板の温度を調整してもよい。あるいは、一の温調部を上プレートに設けると共に、他の温調部を下プレートに設けて、上プレートに保持された第1の基板の温度を調整すると共に、下プレートに保持された第2の基板の温度を調整してもよい。
距離センサ10は、Z方向に沿った直線距離を検出する機能を有する。距離センサ10は、未硬化の状態の樹脂材料130の厚さを検出することができる。また、下プレート3上にアライメント対象物100が載置され、上プレート2とアライメント対象物100とが離間している状態では、距離センサ10は、上プレート2と第1の基板110との間の距離を検出することもできる。距離センサ10としては、レーザ式、超音波式、静電容量式等の非接触式の距離センサや、接点式等の接触式の距離センサを用いる。距離センサ10の検出結果は、制御部91に出力される。
第1の温度センサ11は、温調部8による温度調整の結果を検出する機能を有する。第1の温度センサ11は、下プレート3に設けられている。第2の温度センサ12は、アライメント装置1の周辺の温度を検出する機能を有する。第2の温度センサ12は、温調部8による温度調整の影響が及ばないように設けられている。第2の温度センサ12の検出結果は、温調部8によりどの程度温度の調整がされたかを判断するための基準として用いる。第1の温度センサ11及び第2の温度センサ12の検出結果は、第1の推定部92に出力される。
圧力センサ13は、上プレート2と下プレート3にアライメント対象物100が挟まれた状態で、上プレート2と下プレート3からアライメント対象物100に加えられる押圧力を検出する機能を有する。圧力センサ13は、たとえば、第2の移動部5の軸部等の押圧力が検出できる箇所に設けられている。圧力センサ13の検出結果は、第2の推定部93に出力される。
図3に示すように、撮像部6及び各種センサから出力される検出結果は、CPU,ROM,RAM,A/D変換器及び入出力インタフェースなどを含んで構成されるマイクロコンピュータからなるコントロールユニット9に入力される。コントロールユニット9は、各種センサから出力される検出結果に基づいて、樹脂材料130に生じる膨張及び収縮を推定する第1〜第3の推定部92,93,94と、距離センサ10から送られる検出結果、撮像部6から送られる検出結果、及び第1〜第3の推定部92,93,94から送られる制御信号に基づいて、第1の移動部4、第2の移動部5、硬化部7、及び温調部8の動作を制御する制御部91とから構成されている。
本実施形態における「制御部91」が本発明における「制御手段」の一例に相当し、本実施形態における「第1の推定部92」が本発明における「第1の推定手段」の一例に相当し、本実施形態における「第2の推定部93」が本発明における「第2の推定手段」の一例に相当し、本実施形態における「第3の推定部94」が本発明における「第3の推定手段」の一例に相当する。
制御部91は、以下のように、第1の移動部4の動作を制御する。すなわち、制御部91は、撮像部6の検出結果に基づいて、下プレート3を平面方向において移動させ、平面視において、第1の基板110の位置に対する第2の基板120の相対位置が予め定められた目標位置に対応するように第1の移動部4を制御する。
本実施形態において、第1の基板110の位置は、第1のパターン111の位置を基準にして求められる。第2の基板120の位置は、第2のパターン121の位置を基準にして求められる。第1の基板110に対する第2の基板120の相対位置は、第1のパターン111に対する第2のパターン121の相対位置を基準にして求められる。なお、目標位置とは、第1の基板110と第2の基板120とを相互にアライメントするために、第1の基板110の位置に基づいて予め設定される位置のことである。平面視において、第1の基板110に対する第2の基板120の相対位置を目標位置に対応させることで、第1の基板110と第2の基板120とを相互にアライメントされた状態(第1の基板110及び第2の基板120の一方が第1の基板110及び第2の基板120の他方に対してアライメントされた状態)とすることができる。
さらに、制御部9は、撮像部6の検出結果に基づいて第2の基板120の温度を調整し、第2の基板120を熱変形させ、平面視において、第1の基板110の形状に対する第2の基板120の相対形状を予め定められた目標形状に対応させることで、平面視において、第1の基板110の位置に対する第2の基板120の相対位置が目標位置に対応するように温調部8を制御する。
本実施形態において、第1の基板110の形状は、第1のパターン111の位置を基準にして求められる。第2の基板120の形状は、第2のパターン121の位置を基準にして求められる。第1の基板110に対する第2の基板120の相対形状は、第1のパターン111に対応する第2のパターン121の相対位置を基準にして求められる。なお、目標形状とは、第1の基板110と第2の基板120とをより正確にアライメントするために、第1の基板110の形状に基づいて予め設定される形状のことである。平面視において、第1の基板110の形状に対する第2の基板120の相対形状を目標形状に対応させることで、平面視において、第1の基板110の位置に対する第2の基板120の相対位置と目標位置とがより正確に対応する。これにより、第1の基板110と第2の基板120とをより正確にアライメントされた状態とすることができる。
第1の推定部92は、第1の温度センサ11及び第2の温度センサ12から送られる検出結果に基づいて、温調部8による温度調整により未硬化の状態の樹脂材料130に生じる熱歪み量A(図4(A)及び図4(B)参照)を推定する。熱歪み量Aは、温調部8による温度調整の影響が及ぶ範囲で生じるアライメント装置1及びアライメント対象物100の熱変形と、樹脂材料130に生じる熱変形とに基づく。熱歪み量Aを含む制御信号は、第1の推定部92から制御部91に送られる。なお、図4(B)では、樹脂材料130に生じる熱変形と、下プレート3に生じる熱変形のみ図示しているが、実際は温調部8による温度調整の影響が及ぶ範囲でアライメント装置1及びアライメント対象物100の熱変形が生じている。また、図4(A)及び図4(B)では、熱歪み量Aを分かり易く説明するため、アライメント装置1の一部の構成の図示を省略している。また、図4(B)では、温調部8の動作状態を網掛けにより表示した。
第2の推定部93は、圧力センサ13から送られる検出結果に基づいて、未硬化の状態の樹脂材料130に生じる弾性変形量B(図5(A)及び図5(B)参照)を推定する機能を有する。弾性変形量Bを含む制御信号は、第2の推定部93から制御部91に送られる。
第3の推定部94は、未硬化の状態の樹脂材料130を硬化させた場合に、樹脂材料130に生じる硬化収縮量C(図6(A)及び図6(B)参照)を推定する機能を有する。硬化収縮量Cは、樹脂材料130を構成する材料の組成や、樹脂材料130の硬化方法に基づく。硬化収縮量Cを含む制御信号は、第3の推定部94から制御部91に送られる。なお、図6(B)では、樹脂材料130が硬化した状態を網掛けにより表示した。
制御部91は、以下のように、第2の移動部5の動作を制御する。すなわち、制御部91は、距離センサ10の検出結果に基づいて、上プレート2を昇降させて、未硬化の状態の樹脂材料130の厚みを調整するように第2の移動部5を制御する。
具体的には、下プレート3上にアライメント対象物100が載置され、上プレート2とアライメント対象物100とが離間している状態では、制御部91は、距離センサ10から送られる上プレート2と第1の基板110との間の距離に基づいて、上プレート2の位置を調整しながら、上プレート2を昇降させるように第2の移動部5を制御する。上プレート2を高精度に位置させることで、上プレート2と下プレート3によって樹脂材料130の厚みを高精度に調整することができる。アライメント対象物100が上プレート2と下プレート3とに挟まれた状態では、制御部91は、距離センサ10から送られる未硬化の状態の樹脂材料130の厚みに基づいて、上プレート2の位置を調整するように第2の移動部5を制御する。
また、制御部91は、第1の推定部92から送られる熱歪み量Aを含む制御信号に基づいて、上プレート2の位置を調整しながら、上プレート2を昇降させるように第2の移動部5を制御する。本実施形態では、温調部8により第2の基板120を冷却する温度調整が行われる。この場合、制御部91は、上プレート2の位置を調整し、温調部8の温度調整により生じるアライメント装置1やアライメント対象物100の熱膨張及び樹脂材料130の熱膨張を熱歪み量Aによって相殺するように第1の移動部4を制御する。
制御部91は、第2の推定部93から送られる弾性変形量Bを含む制御信号に基づいて、上プレート2を昇降させて、未硬化の状態の樹脂材料130の厚みを調整するように第2の移動部5を制御する。具体的には、制御部91は、上プレート2の位置を調整し、除荷した場合に生じる樹脂材料130の膨張を弾性変形量Bによって相殺するように第2の移動部5を制御する。
制御部91は、第3の推定部94から送られる硬化収縮量Cを含む制御信号に基づいて、上プレート2を昇降させて、未硬化の状態の樹脂材料130の厚みを調整するように第2の移動部5を制御する。具体的には、制御部91は、上プレート2の位置を調整し、硬化させた際に生じる樹脂材料130の収縮を硬化収縮量Cによって相殺するように第2の移動部5を制御する。
本実施形態の制御部91は、第2の移動部5による未硬化の状態の樹脂材料130の厚みの調整が開始されると共に、第1の移動部4による下プレート3(第2の基板120)の平面方向における移動及び温調部8による第2の基板120の温度の調整が開始された後(すなわち、第1の基板110及び第2の基板120のアライメントが開始された後)、未硬化の状態の樹脂材料130を硬化させる硬化処理を行うように硬化部7を制御する。
この場合、本実施形態では、未硬化の状態の樹脂材料130の厚みが調整された状態を維持すると共に、第1の基板110と第2の基板120とが相互にアライメントされた状態を維持するため、制御部91は、まず、未硬化の状態の樹脂材料130のうち少なくとも一部を硬化させる硬化処理を行う制御信号を硬化部7に出力する。
なお、第1の基板110と第2の基板120とを相互に固定するため、アライメント装置1における硬化部7による硬化処理が行われた後、アライメント対象物100は、光源14(図9(E)参照)を備える硬化処理装置(不図示)に搬送され、当該硬化処理装置において、未硬化の状態の樹脂材料130の全部を硬化させる硬化処理が行われる。
次に、アライメント装置1にアライメント対象物100を搭載して、第1の基板110と第2の基板120とを相互にアライメントするアライメント方法について、図7〜図10を参照しながら、詳細に説明する。
図7は本発明の一実施の形態に係るアライメント方法を示す工程図、図8(A)〜図8(F)、図9(A)〜図9(E)、及び、図10(A)〜図10(D)は本発明の一実施の形態に係るアライメント方法の説明をするための側面図である。
本実施形態のアライメント方法は、図7に示すように、準備工程S1と、保持工程S2と、調整工程S3と、アライメント工程S4と、硬化工程S5とを備える。本実施形態における「準備工程S1」が本発明における「準備工程」の一例に相当し、本実施形態における「保持工程S2」が本発明における「保持工程」の一例に相当し、本実施形態における「調整工程S3」が本発明における「調整工程」の一例に相当し、本実施形態における「アライメント工程S4」が本発明における「アライメント工程」の一例に相当し、本実施形態における「硬化工程S5」が本発明における「硬化工程」の一例に相当する。
まず、準備工程S1として、図8(A)に示すように、アライメント対象物100を準備する。本実施形態では、予め樹脂材料130を介して第1の基板110と第2の基板120が相互に重ねられた状態のアライメント対象物100を用いる。第1の基板110と第2の基板120との間に気泡の混入が抑えられ、未硬化の樹脂材料130の厚みがある程度制御できていれば、第1の基板110と第2の基板120とを重ねる方法は、特に限定されない。たとえば、第1の基板110又は第2の基板120の一方に未硬化の樹脂材料130を塗布して、第1の基板110及び第2の基板120を未硬化の状態の樹脂材料130を介して貼り合わせてラミネートすることで、第1の基板110と第2の基板120とを重ねてもよい。
この準備工程S1では、図12に示すように、第1のパターン111と当該第1のパターン111に対応する第2のパターン121との精密な位置決めを行うことなく、第1の基板110と第2の基板120とが重ねられている。たとえば、相互に対応する第1のパターン111と第2のパターン121とが、撮像部6の撮像範囲(具体的には、第1のパターン111と第2のパターン121との距離が5mm以下の範囲内)に一括して写るように位置決めされていればよい。準備したアライメント対象物100は、アライメント装置1に搬送される。
、図8(B)に示すように、アライメント対象物100は第1の基板110が上プレート2側に位置するような姿勢で搬送され、第1の基板110が上プレート2に吸着保持される。そして、図8(C)に示すように、第2の移動部5により上プレート2をZ方向に沿って下降させる。第2の基板120が下プレート3に当接したら、第2の基板120を下プレート3に吸着保持させる。そして、上プレート2による第1の基板110の吸着保持を解除する。図8(D)に示すように、第2の移動部5により上プレート2を上昇させて、待機位置で待機させる。
図8(E)及び図10(A)に示すように、撮像用貫通孔22を介して、撮像部6によりアライメント対象物100を撮像しながら、アライメント対象物100の位置と撮像部6の位置とを調整する。この場合、アライメント対象物100の位置と撮像部6の位置は、撮像部6が、撮像用貫通孔22を介して、相互に対応する第1のパターン111と第2のパターン121とを一括して撮像可能となる程度に調整されていればよい。また、ここでは、上プレート2の第1の保持面21と下プレート3の第2の保持面31とが、互いに平行となるように下プレート3を調整する。なお、この準備工程S1において下プレート3がアライメント対象物100を吸着保持した時点で第1及び第2のパターン111,121を一括して撮像可能な状態となっている場合には、当該準備工程S1におけるアライメント対象物100と撮像部6との位置の調整作業は不要である。
アライメント対象物100と撮像部6との位置の調整が完了したら、保持工程S2を行う。保持工程S2では、まず、図8(F)に示すように、第2の移動部5により上プレート2をZ方向に沿って下降させる。このとき、距離センサ10の検出結果に基づいて、第2の移動部5による上プレート2の位置を調整する。上プレート2と下プレート3によりアライメント対象物100を挟む。上プレート2とアライメント対象物100とが当接したら、上プレート2により第1の基板110を吸着保持する。アライメント対象物100は、上プレート2と下プレート3により挟まれ、第1の基板110は上プレート2に吸着保持されると共に、第2の基板120は下プレートに吸着保持された状態となる。
調整工程S3では、図9(A)に示すように、第1の基板110と第2の基板120との間に未硬化の状態の樹脂材料130を介在させた状態で、上プレート2を下降させて、未硬化の状態の樹脂材料130の厚さを調整する。ここでは、距離センサ10の検出結果に基づいて、未硬化の状態の樹脂材料130の厚さが所定の厚さとなるように、上プレート2の位置を調整する。
本実施形態では、調整工程S3において、第1の基板110と第2の基板120との間に介在する樹脂材料130が未硬化の状態で維持されている。このため、樹脂材料130が流動性を有しているので、任意に樹脂材料130の厚みの調整を行うことができる。上記の距離センサ10の検出結果に基づく上プレート2の位置の調整は、硬化工程S5が実行されるまで、継続して行われる。
また、調整工程S3では、第2の推定部93が推定した弾性変形量Bに基づいて、上プレート2の位置を調整する。また、第3の推定部94が推定した硬化収縮量Cに基づいて、上プレート2の位置を調整する。上記の弾性変形量Bに基づく上プレート2の調整は、硬化工程S5が実行されるまで、継続して行われる。
アライメント工程S4では、第1の基板110と第2の基板120とを相互にアライメントする。この際、本実施形態では、撮像部6が、撮像用貫通孔22を介して、第1の基板110と第2の基板120とを同一の視野内に同時に撮像する。第1の基板110と第2の基板120の間に介在する樹脂材料130は、未硬化の状態で維持されている。このため、樹脂材料130が流動性を有しているので、樹脂材料130を介した状態でも第1の基板110と第2の基板120とのアライメントを実行することができる。
このアライメント工程S4は、第1のアライメント工程S41と、第2のアライメント工程S42とを含んでいる。本実施形態では、図9(B)に示すように、アライメント工程S4において、第1のアライメント工程S41と、第2のアライメント工程S42とを平行して実行する。本実施形態における「第1のアライメント工程S41」が本発明における「第1のアライメント工程」の一例に相当し、本実施形態における「第2のアライメント工程S42」が本発明における「第2のアライメント工程」の一例に相当する。
第1のアライメント工程S41では、図9(B)に示すように、撮像部6の検出結果に基づいて、第2の基板120を平面方向において移動させる。本実施形態では、平面視において、第1の基板110に対する第2の基板120の相対位置が目標位置に対応するように、第2の基板120を平面方向において移動させる。
より具体的には、図10(B)及び図10(C)に示すように、第2の基板120に設けられた第2のパターン121が、平面視において2つの第1のパターン111を通過する仮想直線L(図12参照)上に位置するように、第1の移動部4により下プレート3及び第2の基板120を平面方向において移動させる。
第2のアライメント工程S42では、図9(B)に示すように、撮像部6の検出結果に基づいて、温調部8により第2の基板120の温度を調整し、平面視において、第1の基板110の形状に対する第2の基板120の相対形状を予め定められた目標形状に対応させることで、第1の基板110に対する第2の基板120の相対位置が目標位置に対応するように、第2の基板120を平面方向において熱変形させる。
本実施形態では、温調部8により第2の基板120を冷却して、第2の基板120を熱収縮させる。この場合、第1の基板110と第2の基板120との間に生じた温度差に基づいて、第1の基板110と第2の基板120との相対的な熱変形が生じる。なお、第2の基板120の膜厚が小さいと、温調部8による第2の基板120に対する温度調整が第1の基板110に影響し、第1の基板110と第2の基板120との間に温度差が十分に生じず、第1の基板110と第2の基板120との相対的な熱変形が生じない可能性がある。このような場合でも、本実施形態では、第1の基板110の熱膨張係数と第2の基板120の熱膨張係数とを異ならせている。このため、第1の基板110の変形量と第2の基板120の変形量とが相違するので、第1の基板110と第2の基板120とを相対的に熱変形させることができる。
本実施形態では、温調部8により第2の基板120を冷却して熱収縮させることを考慮して、第2のパターン121を第1のパターン111に対して外側に位置させている。この場合、図10(B)及び図10(C)に示すように、温調部8により第2の基板120が熱収縮すると、平面視において、第2のパターン121が対応する第1のパターン111に向かって接近するように移動する。
なお、温調部8による温度調整が開始されると、第1の推定部92が推定する熱歪み量Aに基づいて、上プレート2の位置を調整する。上記の熱歪み量Aに基づく上プレート2の調整は、硬化工程S5が実行されるまで、継続して行われる。
アライメント工程S4が開始されると、図10(B)〜図10(D)に示すように、第2のパターン121が仮想直線L上に位置するように第2の基板120を平面方向において移動させ、第2の基板120を熱収縮させ、第2のパターン121が対応する第1のパターン111に向かって接近するように移動させることで、第1の基板110の位置に対する第2の基板120の相対位置が目標位置に正確に対応する。これにより、平面視において、第1のパターン111と第2のパターン121とが重なる。なお、第1のパターン111と第2のパターン121とが重なっているか否かの判断は、撮像部6の検出結果に基づいて制御部91により行われる。
なお、本実施形態では、アライメント工程S4が実行されている間も、上記の樹脂材料130の調整を継続して行うことで、未硬化の状態の樹脂材料130の厚みは、所定の厚みとなった状態が保持されている。
そして、本実施形態では、調整工程S3が開始された後であって、平面視において、第1のパターン111と第2のパターン121とが重なったとき(本実施形態では、平面視において、第1の基板110の形状に対する第2の基板120の相対形状と目標形状とが対応した場合)に、硬化工程S5が実行される。この硬化工程S5は、アライメント工程S4が開始された後に実行されるものであるが、本実施形態では、平面視において、第1のパターン111と第2のパターン121とが重なったときに、未硬化の状態の樹脂材料130の少なくとも一部を硬化させる第1の硬化工程S51を行う。この第1の硬化工程S51では、図9(C)及び図9(D)に示すように、平面視において、第1のパターン111と第2のパターン121とが重なった時点で、硬化部7から複数の照射用開口23を介して紫外線を照射して、樹脂材料130の一部を硬化する。硬化部7による紫外線の照射は、平面視において第1のパターン111と第2のパターン121とが重なったときから0.5秒以内に行うことが好ましい。これにより、第1の基板110と第2の基板120とが相互にアライメントされた状態が維持される。また、本実施形態では、未硬化の樹脂材料130の厚みが所定の厚みとなった状態で保持されているため、第1の硬化工程S51を行うことで、未硬化の状態の樹脂材料130の厚みが調整された状態が維持される。
そして、図9(E)に示すように、未硬化の状態の樹脂材料の少なくとも一部を硬化させた後に、アライメント対象物100を未硬化の状態の樹脂材料130の全部を硬化させる紫外線を照射できる光源14を備える硬化処理装置(不図示)に搬送し、光源14により樹脂材料130の全部を硬化させる第2の硬化工程S52を行う。これにより、第1の基板110と第2の基板120とを相互に固定することができる。なお、未硬化の状態の樹脂材料130の全部を硬化させる方法は、特に上述に限定されない。なお、図9(B)及び図9(C)では、温調部8の動作状態を網掛けにより表示した。また、図9(C)では、硬化部7の動作状態を網掛けにより表示した。また、図9(D)及び図9(E)では、樹脂材料130が硬化した状態を網掛けにより表示した。本実施形態における「第1の硬化工程S51」が本発明における「第1の硬化工程」の一例に相当し、本実施形態における「第2の硬化工程S52」が本発明における「第2の硬化工程」の一例に相当する。
本実施形態のアライメント装置1及びアライメント方法は、以下の効果を奏する。
従来の複数の基板同士を貼り合わせる方法として、基板同士を高精度に位置決めした状態で、接着ローラにより一方の基板を他方の基板に押し付け、基板同士を貼り合わせる方法が知られている。また、従来の複数の基板同士を貼り合わせる方法として、真空雰囲気下において、対向位置に配置された基板同士を透明の液状接着剤からなる接着剤層を介して貼り合わせた後、当該接着剤層を硬化させ基板同士を貼り合わせる方法が知られている。これらの複数の基板同士を貼り合わせる方法のうち前者をローラ式といい、後者を対向平面式という。
基板同士を重ねる方法としてローラ式を採用すると、一方の基板を他方の基板に対して傾斜した姿勢を維持しながら2つの基板同士を貼り合わせるため、両者の貼合面に空気が巻き込まれ難く、気泡が混入し難い。このため、基板同士を良好に接着することができる。しかしながら、一方の基板を他方の基板に接着ローラによって押し付けるため、接着ローラの押付圧により基板が延びて、2つの基板同士のアライメント精度が低下するおそれがある。また、接着ローラの寸法精度の影響により、基板同士のアライメント精度が低下するおそれがある。
一方、対向平面式を採用すると、ローラ式のように基板に押圧力が加わらないため、基板同士を比較的高い精度で位置決めすることができる。しかしながら、基板同士を貼り合わせる際に、基板同士の間に空気が巻き込まれ易く、気泡が混入し易い。気泡の混入を抑えるため、基板同士の貼り合わせを真空雰囲気下で行う場合、設備コストの増大を招くおそれがある。また、作業時間の冗長化を招くおそれもある。
また、上記の方法では、2つの基板を個々にアライメントした後にこれら2つの基板を重ね合わせている。このため、基板同士を重ね合わせる際に、基板同士の位置がずれてしまい、アライメント精度が低下してしまう、という問題がある。また、上記の方法では、基板の重ね合わせの前に2つの基板を別々に撮像するので、カメラの移動やカメラの焦点の違い等に起因する誤差が生じたり、仮想的な演算処理によって撮像結果から現在位置を算出するために誤差が生じる場合がある。これらに起因して、アライメント精度が低下してしまう、という問題もある。
これに対し、本実施形態では高精度な位置決めを行うことなく、第1の基板110と第2の基板120とを重ね合わせたアライメント対象物100を用い、未硬化の状態の樹脂材料を介在させた状態で、第2の基板120を平面方向において移動させ、第1の基板110と第2の基板120とを相互にアライメントしている。このため、第1の基板110と第2の基板120との重ね合わせによる位置ずれが生じない。特に、本実施形態では、第1の基板110と第2の基板120とを重ね合わせた後に、第1及び第2の基板110,120のそれぞれのパターン111,122を、撮像部6により同一の視野内で同時に撮像するので、アライメント開始から樹脂材料130の硬化まで、双方のパターン111,122を継続的に撮像して、基板110,120の位置を継続的に検出することができる。このため、撮像部6の移動や撮像部6の焦点の違い等に起因する誤差の発生を抑制することができる。また、上述の仮想的な演算処理が不要であるので、演算処理に起因する誤差も最小化することができる。この結果、第1の基板110と第2の基板120とのアライメント精度の向上を図ることができる。
また、本実施形態では、第1の基板110と第2の基板120とのアライメントと、第1の基板110と第2の基板120との固定とを、同一のアライメント装置1により行っている。このため、第1の基板110と第2の基板120とのアライメントを行った後に、アライメント対象物100の搬送を行うことなく、第1の基板110と第2の基板120との固定を行うことができる。これにより、アライメント対象物100の搬送による第1の基板110と第2の基板120とのアライメント精度の低下を生じない。
また、本実施形態では、撮像部6の撮像結果に基づいて、平面視において、第1の基板110の位置に対する第2の基板120の相対位置が予め定められた目標位置に対応するように、第1の基板110及び第2の基板120の少なくとも一方を平面方向において移動させている。このため、第1の基板110と第2の基板120との位置ずれをさらに抑えることができるので、第1の基板110と第2の基板120とのアライメント精度をさらに向上させることができる。
また、本実施形態では、第2の基板120の温度を調整して、平面視において、第1の基板110の形状に対する第2の基板120の相対形状が予め定められた目標形状に対応するように、第2の基板120を熱変形させている。このため、第1の基板110と第2の基板120とのアライメント精度のさらなる向上を図ることができる。特に、本実施形態では、第1の基板110を構成する材料の熱膨張係数と第2の基板120を構成する材料の熱膨張係数とを相互に異ならせている。この場合、温調部8による第2の基板120の温度調整が第1の基板110に影響して、第1の基板110と第2の基板120との間に温度差が生じない場合でも、第1の基板110の変形量と第2の基板120の変形量とが相違するので、第1の基板110と第2の基板120とを相対的に熱変形させることができる。これにより、第1の基板110と第2の基板120とをより正確にアライメントすることができる。
また、本実施形態では、アライメント工程S4は、第1のアライメント工程S41と、第2のアライメント工程S42とを含み、第1のアライメント工程S41と、第2のアライメント工程S42とを平行して実行している。このため、第1の基板110と第2の基板120とが相互にアライメントされるまでの時間を短縮することができる。
また、本実施形態では、未硬化の状態の樹脂材料130を硬化させる場合、樹脂材料130の全部を硬化させる前に、樹脂材料130の一部を硬化させる第1の硬化工程S51を行う。このため、第1の基板110と第2の基板120とが相互にアライメントされた状態を維持することができるため、第1の基板110と第2の基板120とのアラメント精度がより一層向上する。
特に、平面視において、第1の基板110の形状に対する第2の基板120の相対形状と、目標形状とが対応した場合に、未硬化の状態の樹脂材料130を硬化させる硬化処理を実行している。このため、第1の基板110と第2の基板120とのアライメント精度が経時的に劣化する前に、第1の基板110と第2の基板120とが相互にアライメントされた状態を維持することができる。また、第1の硬化工程S51を行うことにより、第2のアライメント工程S42において、第1の基板110の形状に対する第2の基板120の相対形状が、目標形状以上に変形が進むことを防止できる。これにより、第2のアライメント工程S42において、温度設定を厳密に行う必要がなくなる。
また、本実施形態では、撮像部6が支持部材61を介して上プレート2に固定されている。このため、撮像部が上プレートに対して相対移動可能な構造と比較して、アライメント精度の更なる向上を図ることができる。また、撮像部6の移動後にアライメントを開始する際に、撮像部6の振動が収まるまでアライメントを待機する必要がなく、アライメント作業時間の短縮化を図ることができる。
また、本実施形態では、撮像部6の光軸が通過する撮像用貫通孔22を上プレート2が有している。このため、可視光線を透過可能な透明な材料により上プレート2を構成しなくてもよく、上プレート2を構成する材料の選択の自由度が高まる。
また、本実施形態では、硬化部7が上プレート2に埋設されており、当該上プレート2に固定されている。このため、硬化部が上プレートに対して相対移動可能な構造と比較して、硬化部7による紫外線の照射精度の向上を図ることができる。
また、赤外線が通過する照射用開口23を上プレート2が有している。このため、赤外線を透過可能な透明な材料により上プレート2を構成しなくてもよく、上プレート2を構成する材料の選択の自由度が高まる。
また、近年では、電子部品の小型化の要請に伴い、基板の積層体について、高い寸法精度が要求されている。上記従来の方法では、基板同士の間に介在する樹脂材料の厚みを高精度に調整(たとえば、狙い値に対して±5%〜10%)することについては着目されておらず、樹脂材料の厚みを高い精度で調整する方法が求められている。
これに対し、本実施形態では、未硬化の状態の樹脂材料130を第1の基板110と第2の基板120との間に介在させ、その樹脂材料130の厚みを調整する。樹脂材料130は、流動性を有しているため、任意に厚みを調整することができる。そして、未硬化の状態の樹脂材料130の厚みが調整された後、樹脂材料130を硬化させる。このように、第1の基板110と第2の基板120との間に介在する樹脂材料130の厚みを高精度に調整することができる。
また、本実施形態では、未硬化の状態の樹脂材料130を硬化させる場合、樹脂材料130の全部を硬化させる前に、樹脂材料130の一部を硬化させる第1の硬化処理S51を行う。この場合、未硬化の状態の樹脂材料130の厚さが調整された状態を維持することができるため、樹脂材料の厚みの調整をより高精度に行うことができる。
また、本実施形態では、第1〜第3の推定部92,93,94から出力される制御信号に基づいて、第2の移動部5により上プレート2の位置を調整して、未硬化の状態の樹脂材料130の厚みを調整している。
具体的には、第1の推定部92から送られる熱歪み量Aに基づき第2の移動部5による上プレート2の位置を調整している。この場合、温調部8の温度調整が作用しなくなった際に生じる樹脂材料130の膨張が推定された熱歪み量Aと相殺されることで、樹脂材料130の厚みが高精度に維持される。
また、本実施形態では、第2の推定部93から送られる弾性変形量Bに基づき第2の移動部5による上プレート2の位置を調整している。この場合、除荷した際に生じる樹脂材料130の膨張が推定された弾性変形量Bと相殺されることで、樹脂材料130の厚みが高精度に維持される。
また、本実施形態では、第3の推定部94から送られる硬化収縮量Cに基づき第2の移動部5による上プレート2の位置を調整している。この場合、樹脂材料130を硬化した際に生じる樹脂材料の収縮が推定された硬化収縮量Cと相殺されることで、樹脂材料130(接着部230)の厚みが高精度に維持される。
図13(A)及び図13(B)は、本発明の他の実施の形態に係るアライメント方法の説明をするための側面図である。なお、上述の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略して、上述の実施形態においてした説明を援用する。
本実施形態のアライメント方法は、図13(A)に示すように、温調部8を動作させた状態で開始する。上述した準備工程S1と同様、アライメント対象物100を準備する。そして、上プレート2にアライメント対象物100を保持させる。そして、図13(B)に示すように、第2の移動部5により上プレート2を下降させ、アライメント対象部100を下プレート3に押し付けて、第2の基板120を下プレート3に吸着保持させる。この場合、第2の基板120と下プレート3とが接触したときから、温調部8による第2の基板120の温度の調整が開始する。温調部8による温度調整により、第2の基板120の平面方向における熱変形が始まる(すなわち、第2のアライメント工程S42が開始する。)。
そして、アライメント対象物100と撮像部6との位置の調整を行った後、上プレート2と下プレート3によりアライメント対象物100を挟む。上プレート2により第1の基板110を吸着保持する。そして、第1のアライメント工程S41を実行する。
本実施形態のアライメント方法では、温調部8を動作させた状態で開始するので、アライメント対象物100をアライメント装置1に搭載した瞬間に、第1の基板110と第2の基板120とのアライメントを開始することができる。これにより、第1の基板110と第2の基板120とが相互にアライメントされるまでの時間をさらに短縮することができる。
図14は本発明の他の実施の形態に係る下プレート及び温調部を示す平面図である。なお、上述の実施形態と同様の構成には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略して、上述の実施形態においてした説明を援用する。
上述の実施形態では、第2の基板120の全体を温調部8により一度に温度調整したが、特にこれに限定されない。たとえば、図14に示すように、平面視において区画された複数の領域毎に第1の基板110と第2の基板120の少なくとも一方の温度を調整してもよい。
この形態における温調部8Bは、図14に示すように、平面視において区画された複数の領域Z1〜Z9毎に、加熱又は冷却が可能となっている。このため、温調部8Bは、下プレート3に保持された第2の基板120の温度の面内均一性を高精度に維持することができる。
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
たとえば、アライメント工程S4において、第1のアライメント工程S41と、第2のアライメント工程S42とを、時間的にタイミングをずらして行ってもよい。たとえば、第1のアライメント工程S41を実行した後に、第2のアライメント工程S42を実行してもよい。また、第2のアライメント工程S42を実行した後に、第1のアライメント工程S41を実行してもよい。
たとえば、上述した実施形態では、アライメント工程S4は、第1のアライメント工程S41と、第2のアライメント工程S42とを含んでいるが、特にこれに限定されず、第1のアライメント工程S41のみを含んでいてもよい。この場合、平面視において、第1の基板110の位置に対する第2の基板120の相対位置と前記目標位置とが対応した場合に、硬化部7による硬化処理(硬化工程S5)が実行される。
たとえば、上述した実施形態では、温調部8は、下プレート3に内蔵されており、第2の基板120の温度を調整したが、特にこれに限定されず、第1の基板110及び樹脂材料130を介して、第2の基板120が加熱又は冷却されても、第2の基板120が、第1の基板110よりも相対的に膨張又は収縮をする場合には、温調部8は、上プレート2に内蔵され、第1の基板110及び樹脂材料130を介して、第2の基板120の温度調整をしてもよい。