JPWO2017209250A1 - キャップ - Google Patents
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Abstract
Description
まず、本実施形態に係るキャップ10の構成について説明する。図2は、本実施形態に係るキャップを上側から見た斜視図、図3は、図2のキャップを下側から見た斜視図である。
(1−1)キャップ本体20の外観の構成
図4はキャップ本体を上側から見た斜視図、図5はキャップ本体を上側から見た平面図、図6は図5のA−A線断面図、図7は図5のB−B線断面図である。図4及び図5に示すように、キャップ本体20は、上下方向に延びる円筒状の側壁22と、この側壁22の軸方向の上端部を閉じる上壁部26と、を備えている。側壁22の下端部の外周面には、環状の縁部21が一体的に形成されており、側壁22から径方向外方に突出している。
第1上壁部26Lは、直線状の溝25と、円弧状に形成された上壁の外周縁とで囲まれた半円状に形成されており、円弧状の外周縁に沿って、上方にやや突出する外周壁24Lが形成されている。
また、第1貫通孔28Lは、キャップ10の外部から注射器の針を挿入可能な大きさに形成されている。そして、上述したように、この第1貫通孔28Lは、栓部40によって塞がれる。
上記のように、縁部21は、側壁22の下端部の外周面から突出するように環状に形成されている。より詳細には、図6及び図7に示すように、縁部21は、側壁22の外周面から径方向外方に延びる第1延在部211と、この第1延在部211の先端から下方に延びる第2延在部212とを備える、断面L字状に形成されている。そして、第2延在部212と、側壁22との間には、環状溝36が形成されている。この環状溝36は、後述するように、輸液容器100のボトルヘッド110を固定するために用いられる。
次に、キャップ本体20の内部空間S側の構成について説明する。図8はキャップ本体を下から見た斜視図、図9はキャップ本体を下からみた平面図である。図8及び図9に示すように、内部空間Sに形成される構成は、図9に示すようにB−B切断線を基準にして反転対称である。よって、B−B切断線を基準にして左側の構成について以下に説明し、右側の構成については左側の構成と同様であるので説明を省略する。
次に、栓部40について、図10及び図11を参照しつつ説明する。図10は図9のA−A線断面図において、キャップ本体に栓が嵌め込まれた様子を示す断面図、図11は、図10の1つの栓を取り出した部分拡大図である。図10及び図11に示すように、栓部40は、キャップ本体20の収容空間に収容されるものであるが、中心線を挟んで左側の第1栓受け部31Lに配置される第1栓部40Lと、右側の第2栓受け部31Rに配置される第2栓部40Rとで構成されている。但し、これら各栓部40L,40Rは対称形であるため、以下では、左側の第1栓部40Lについてのみ以下に説明し、右側の第2栓部40Rについては説明を省略する。
上記のキャップ本体20の材料としては、例えば、ポリプロピレン,ポリエチレン等の材料が挙げられる。また、栓部40の材料としては、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー等の材料が挙げられる。栓部40に用いられる材料の硬度としては、例えば、JIS−K6253に準拠したショアA硬度が20以上50以下であるのが好ましい。
続いて、上記のキャップ10へのフィルム50の取付けについて説明する。図12は、フィルムが溶着されたキャップを示す斜視図である。
次に、注射器等の針が差し込まれるときの第1栓部40Lの挙動について、図13を参照しつつ説明する。図13は図10に示すキャップの断面図において、針が差し込まれるときの栓部のうち第1栓部40Lの挙動を示す説明図である。
<4−1>
以上の通り、本実施形態に係るキャップでは、針の抜き差しに係る力を低減でき、また、その際の液体の漏洩を防止することができる。
上記実施形態のキャップ10は、キャップ本体20及び栓部40という簡単な構成である。よって、上記のように栓部40の構造により止水性能を向上させつつも、部品点数を少なくしてキャップ10のコストを削減することができる。
上記実施形態では、図11に示すように、第1部位41と第2部位42との境界Dから、第1部位41が第2部位42よりも内部空間S側に突出しているため、第1部位41の厚みを確保して第1部位41の強度を向上できる。その一方で、第1部位41の下面には、球面状の凹部が形成されているため、針が刺し込まれる部分の厚みを小さくしている。そのため、強度を確保しつつ、針を刺し込みやすくすることができる。
上記実施形態では、栓部40を鉛直線Gを基準として概ね対称に構成している。これにより、第1部位41に針が差し込まれた時の力が概ね均等に栓部40全体にかかり分散される。よって、不均一な力がかかることによる栓部40の撓みを抑制できる。結果として、第1部位41に差した針を抜いた場合、小さな戻りで針の差し込みよって生じた孔が塞がり、止水性能を向上できる。
上記実施形態では、上壁部26に形成された開口部30(30La,30Lb,30Ra,30Rb,30c)に、栓部40の一部が入り込んでいる。よって、栓部40とキャップ本体20との接触面積が大きくなり密着度を向上できるため、栓部40とキャップ本体20との結合強度を大きくできる。これにより、栓部40に針を抜き差しする場合に、栓部40がキャップ本体20から外れるのを抑制できる。また、例えば、キャップ本体20に栓部40の材料を流し込んで射出成型する場合に、これら開口部30を空気孔として利用することができ、射出成型時に発生する空気を排出することができる。
上記実施形態では、栓受け部31内に栓部40が収容されることで、栓受け部31と栓部40との接触により、栓部40が栓受け部31内にしっかりと固定される。よって、栓部40に注射器等の針を差し込んでも、栓部40がキャップ本体20から外れるのを抑制できる。また、栓受け部31により栓部40の水平方向の変形を制限できるため、上述した漏洩防止効果を向上することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。例えば、以下の変更が可能である。また、以下の変形例の要旨は、適宜組み合わせることができる。
上記実施形態では、図13に示すように、第2部位42の傾斜面421は、断面視において、鉛直線Gに対して傾斜角θが45°を有する斜線Hに沿って延びている。しかし、上記の通り、傾斜角θは、15°〜60°の範囲のいずれかの角度であり、例えば傾斜角θが22.5°であってもよい。図15は、傾斜角θが22.5°である場合において、針が差し込まれるときの栓部40の挙動を示す説明図である。図15では、左側の第1栓部40Lの第2部位42Lが、断面視において、鉛直線Gに対して傾斜角θが22.5°を有する傾斜面421Lを有している。但し、この傾斜面421Lを延長した斜線Hは、上壁部26の中央の凹部P0を通過していない。したがって、傾斜面421Lを延長した斜線Hは、上壁部26の中央の凹部P0を必ずしも通過していなくてもよいが、それに近い位置を通過することが好ましい。
上記実施形態では、図11の破線で示される境界Dにおいて、第1部位41が第2部位42よりも内部空間S側に突出することで、第1部位41と第2部位42とにより段差Eが形成されている。しかし、第1部位41と第2部位42とに段差Eが形成されればよく、例えば第1部位41の厚みは次のように定義できる。図16は、第1部位41の厚みの定義を説明するための説明図である。
上記実施形態では、図11に示すように、第1部位41Lの下面41Lbは、貫通孔28側に凸となるように凹んでいるが、下面41Lbの形状はこれに限定されない。図17及び図18は、第1部位の内部空間側の表面形状の変形例を示す断面図である。上記では第1栓部40Lについて説明したが、第2栓部40Rについても同様なことが適用できる。
上記実施形態では、図2等に示すように、キャップ本体20には2つの貫通孔28L,28Rが形成されており、それぞれ栓部40L,40Rが嵌め込まれている。しかし、キャップ本体20の貫通孔28L、28R及び栓部40の数は2つに限定されず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
上記実施形態では、容器として輸液容器100を例に挙げて説明した。しかし、容器はこれに限定されず、キャップから針を刺し込んで、液体を注入、または注出可能なものであれば、特には限定されない。
上記実施形態では、キャップ本体20の側壁22の上側に縁部21が設けられている。しかし、キャップ本体20を輸液容器100のボトルヘッド110に嵌め込んで固定可能であれば、縁部21は必ずしも必要ではない。
上記実施形態では、図2等に示すように、貫通孔28L、及び28R及び栓部40は、円形状の上壁部26の中心を基準に対称に位置されている。しかし、貫通孔28の位置は特には限定されず、それに合わせて栓部40を配置すればよい。
上記実施形態では、図11に示すように、第1部位41Lの下面41Lbの最も凹んだ点と、段差Eの最も凹んだ点とは概ね一致しているが、これに限定されない。例えば、下面41Lbの最も凹んだ点は、段差Eの最も凹んだ点よりも内部空間S側に位置してもよい。あるいは、下面41Lbの最も凹んだ点は、段差Eの最も凹んだ点よりも第1貫通孔28L側に位置してもよい。
上記実施形態では、キャップ本体20は円筒形状である。しかし、キャップ本体20の形状はこれに限定されず、例えば立方体状、直方体状、多角柱状、楕円形状など多様な形状であってもよい。
上記実施形態では、図2等に示すように、貫通孔28L、28Rは平面視において円形状であるが、これに限定されない。貫通孔28L、28Rは、例えば正方形状、長方形状、多角形状及び楕円形状などのその他の形状であってもよい。ただし、貫通孔28L、28Rが平面視において円形状である場合に、栓部40の製造過程において栓部40の対称性を確保し易いので好ましい。
上記実施形態では、図2等に示すように、各貫通孔に配置される栓部40は平面視において概ね円形状に形成されるが、これに限定されない。栓部40は、例えば正方形状、長方形状、多角形状及び楕円形状などのその他の形状であってもよい。また、図8等の栓受け部31L、31Rの形状も栓部40に応じて多様に変形可能である。ただし、栓部40及び栓受け部31L、31Rが平面視において円形状である場合は、栓部40の製造過程において栓部40の対称性を確保し易いので好ましい。また、栓部40を射出成型する場合に、栓部40の中心付近から金型に材料を注入し、金型内に均等に材料を注入でき好ましい。
上記実施形態では、図9等に示すように、上壁部26に5個の開口部を形成しているが、開口部30(30La,30Lb,30Ra,30Rb,30c)の数はこれに限定されず、適宜変更可能である。また、開口部30は必ずしも設けなくてもよい。
上記実施形態では、栓部40の第1部位41及び第2部位42は、同一材料により一体に成形されている。しかし、栓部40を複数の材料で形成することも可能である。例えば、第1部位41及び第2部位42を全て異なる材料で形成してもよい。
上記実施形態では、栓部40は、第1栓受け部31Lと第2栓受け部31Rとで囲まれたキャップ本体20の収容空間に嵌め込まれている。この栓部40は、キャップ本体20の収容空間に対応した金型に材料が流し込まれることによって形成されてもよいし、あるいは、予め形成された栓部40が収容空間に嵌め込まれてもよい。
1.実施例
実施例として、断面視が図11及び図12で示されるキャップ10を用いた。キャップ本体20はポリエチレンを用い、栓部40は熱可塑性エラストマーを用いて製作した。
2.比較例
比較例として、断面視が図19で示されるキャップ300を用いた。図19は、比較例のキャップの断面図である。図19のキャップ300は、キャップ本体70と、キャップ本体70に収容された栓部75とを有する。栓部75は針が差し込まれる第1部位75aと、第1部位75aの周囲の第2部位75bとを有する。第1部位75aは、第2部位75bから凹んでおり、凹部を形成している。第2部位75bの外周面はキャップ本体70の内壁面に接している。また、第2部位75bの下端部は径方向外方に水平方向に延び、キャップ本体70に隣接する隣接部分80を構成している。そして、第2部位の下端面は、栓部75の上面の中央部P0を通過する鉛直線Gに対して直交する直線Kの方向に延び、この直線Kは、隣接部分80の端部P80を通過している。そのため、鉛直線Gと直線Kとの成す角θkは、約90°に近く鈍角に近似される。キャップ本体70はポリエチレンを用い、栓部75は熱可塑性エラストマーを用いて製作した。
3.1針刺し貫通力
栓への針の挿入速度200mm/minでの貫通力を測定した。
3.2針保持力
針の抜去速度200mm/minでの針保持力を測定した。
3.3止水性
針を抜いた後の漏出量(滴下量)を観測した。
以上の結果から、針刺し貫通力に関しては、実施例は比較例に比べて低い。よって、針が容易に栓部40に差し込めることが分かる。この点については、以下のように考えられる。まず、比較例では、栓部75の第1部位75aの凹部P0に針が差し込まれると、鉛直線Gを中心として中央部P0から概ね45°の方向に力が伝達される。これに対して、第2部位75bの下面の延びる方向(直線Kの方向)は、中央部P0を通過しておらず、鉛直線Gに対して概ね90°の方向に延びている。よって、比較例では、針からの力が伝達される方向に対して第2部位75bの下面が延びておらず、針からの力をしっかりと受け止めるだけの厚みが不十分であると考えられる。また、栓部75は、針が差し込まれる第1部位75aは、その周囲の第2部位75bよりも凹んでおり、厚みが小さい。よって、針からの力を受けると、栓部75全体として大きく撓み、針刺しに要する貫通力が大きくなる。一方、実施例では、上記の通り、針からの力が伝達される方向に対して第2部位42の下面が延びており、針からの力をしっかりと受け止めることができる。よって、実施例では栓部40の撓みが小さく、針刺し貫通力が小さい。
24L:外周壁、25:溝、26:上壁部、26L:第1上壁部、
26R:第2上壁部、28:貫通孔、28L:第1貫通孔、
28R:第2貫通孔、30:開口部、30La:第1開口部、
30Lb:第2開口部、30c:中央開口部、31:栓受け部、
31L:第1栓受け部、31R:第2栓受け部、33L:第1開口周壁、
34:間仕切部、36:環状溝、38La:突部、38Lb:突部、
38Lc:突部、38Ra:突部、38Rb:突部、38Rc:突部、
40:栓部、40L:第1栓部、40R:第2栓部、41:第1部位、
41L:第1部位、41R:第1部位、41La:上面、
41Lb:下面、42:第2部位、42L:第2部位、
42R:第2部位、50:フィルム、51:スリット、
70:キャップ本体、75:栓部、75a:第1部位、
75b:第2部位、80:隣接部分、100:輸液容器、
101:チューブ、110:ボトルヘッド、110a:縁部、
120:容器本体、200:スタンド、211:第1延在部、
212:第2延在部、300:キャップ、421:傾斜面、
421L:傾斜面、422L:平坦部、D :境界、
E:段差、F:力、Fa:力、G:鉛直線、H:斜線、
J:円弧、L:断面、L:添え字、P0:中央部、
P0:凹部、P80:端部、Rpa:線分、
S:内部空間、W41:厚み、α:傾斜角、
θ:傾斜角、θk:角
Claims (9)
- 内部空間を有する筒状の側壁、及び当該側壁の軸方向の一端部を閉じる閉鎖壁を備え、
前記閉鎖壁に少なくとも1つの貫通孔が形成された、キャップ本体と、
前記貫通孔を塞ぐように前記キャップ本体に取り付けられている、弾性変形可能な栓と、
を備え、
前記栓は、
前記貫通孔から前記内部空間側へ延び、針が差し込まれる第1部位と、
前記第1部位の周囲に一体的に形成される第2部位と、
を備え、
前記第1部位と第2部位との間に段差が形成されるように、前記第1部位の周縁が、前記第2部位よりも前記内部空間側へ突出しており、
前記第2部位は、前記段差から径方向外方に前記内部空間側へ延びる傾斜面を有している、キャップ。 - 前記キャップ本体の軸線からの、前記傾斜面の傾斜角度が、15°〜60°である、請求項1に記載のキャップ。
- 前記閉鎖壁における前記内部空間側の面には、前記貫通孔の周囲を囲み、前記栓が収容される収容空間を規定する栓受け部が形成されている、請求項1または2に記載のキャップ。
- 前記キャップ本体の閉鎖壁には、前記貫通孔よりも小さい少なくとも1つの開口部が形成されており、前記栓の弾性変形可能な材料が、前記開口部にも取り付けられている、請求項1から3のいずれかに記載のキャップ。
- 前記閉鎖壁には、複数の前記貫通孔が形成されており、
前記栓は、前記複数の貫通孔のすべてを塞ぐように一体的に形成されている、請求項1から4のいずれかに記載のキャップ。 - 前記第1部位における前記内部空間側の面は、前記貫通孔側に凹む凹部を有している、請求項1から5のいずれかに記載のキャップ。
- 前記第1部位における前記内部空間側の面は、当該内部空間側に突出する凸部を有している、請求項1から5のいずれかに記載のキャップ。
- 前記第1部位における前記内部空間側の面は、前記軸方向に直交する水平方向に沿った平端面を有している、請求項1から5のいずれかに記載のキャップ。
- 前記栓のショアA硬度が、20〜50である、請求項1から7のいずれかに記載のキャップ。
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