本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
互いに直交する縦方向と横方向と厚さ方向と、を有し、着用者の腹側に設けられる腹側部と、前記着用者の背側に設けられる背側部と、前記腹側部及び前記背側部の少なくともいずれか一方に設けられ、前記横方向に沿った弾性部材と、を備える吸収性物品であって、肌側から非肌側に貫通する貫通孔が設けられており、前記縦方向において、前記貫通孔は、前記弾性部材と重なっており、前記横方向において、前記弾性部材は、前記貫通孔内で非連続であり、前記貫通孔の周囲に皺が形成されており、前記皺の頂部は、前記厚さ方向に突出し、且つ前記貫通孔の前記横方向の最も外側の端を前記縦方向に跨いでいる吸収性物品が明らかとなる。
このような吸収性物品によれば、貫通孔の横方向の最外端を縦方向に跨いで皺が形成されているため、その皺がクッションの役割を担い、剛性を有する弾性部材の端部による違和感を軽減することができる。
かかる吸収性物品であって、前記皺は、前記横方向において前記貫通孔の両側で対となる部分を有していることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、横方向における貫通孔の両側に一対の皺が形成されているため、弾性部材における貫通孔の横方向の一側に配置された端部及び他側に配置された端部の両端部による違和感を軽減することができる。
かかる吸収性物品であって、前記皺の頂部は、前記貫通孔の外縁に沿って前記縦方向における前記貫通孔の上端又は下端まで連続していることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、貫通孔の外縁に沿って皺が形成されているため、貫通孔の外縁に沿う領域においてもクッション性を有し、貫通孔の外縁(切り端)による違和感も軽減することができる。
かかる吸収性物品であって、前記弾性部材に前記縦方向の上側から隣接する上方弾性部材と、前記弾性部材に前記縦方向の下側から隣接する下方弾性部材と、を有し、前記上方弾性部材及び前記下方弾性部材は、前記横方向において前記貫通孔と重なる部分が連続しており、前記皺の前記頂部は、前記貫通孔に沿って前記縦方向における前記貫通孔の上端部まで連続し、さらに前記貫通孔の前記上端部から前記縦方向に沿って前記上方弾性部材まで連続している又は、前記貫通孔に沿って前記縦方向における前記貫通孔の下端部まで連続し、さらに前記貫通孔の前記下端部から前記縦方向に沿って前記下方弾性部材まで連続していることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、皺が、貫通孔の上端から上方弾性部材まで、又は貫通孔の下端から下方弾性部材まで縦方向に沿って形成されているため、皺のクッション性によって上方弾性部材又は下方弾性部材による違和感も軽減することができる。
かかる吸収性物品であって、前記皺と異なる他の皺が、前記皺に隣接して設けられており、前記皺の前記頂部の前記厚さ方向の高さは、前記他の皺の頂部の前記厚さ方向の高さよりも高いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、貫通孔に近い皺ほど厚さ方向への突出量が大きく、クッション性が高いため、貫通孔の周囲における違和感をより軽減することができる。
かかる吸収性物品であって、前記皺と異なる他の皺が、前記皺に隣接して設けられており、前記皺は、前記縦方向における前記貫通孔の上端又は下端と前記横方向における前記貫通孔の外端とを結ぶ直線に沿った傾斜領域を有しており、前記他の皺は、前記皺の前記傾斜領域に隣接する他の傾斜領域を有しており、前記皺の前記傾斜領域と前記弾性部材に沿った直線とがなす角度のうち小さい方の角度と、前記他の皺の前記他の傾斜領域と前記弾性部材に沿った直線とがなす角度のうち小さい方の角度とは、異なっていることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、貫通孔に近い皺の角度と貫通孔から遠い皺の角度とが異なることにより、肌に対して各皺から受ける力が所定の方向に集中せずに分散するため、着用者への肌当たりが変わる。これにより、肌当たりが良くなる。
かかる吸収性物品であって、前記貫通孔を第1貫通孔としたとき、前記縦方向において、前記第1貫通孔より上側又は下側に、前記第1貫通孔と異なる第2貫通孔が設けられており、前記縦方向において、前記弾性部材より上側又は下側に、前記弾性部材と異なる他の弾性部材が設けられており、前記縦方向において、前記第2貫通孔は前記他の弾性部材と重なっており、前記横方向において、前記他の弾性部材は、前記第2貫通孔内で非連続であり、前記第1貫通孔の周囲に形成された皺の形状と、前記第2貫通孔の周囲に形成された皺の形状とが異なることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第1貫通孔の周囲に形成された皺の形状と、第2貫通孔の周囲に形成された皺の形状とが異なり、着用者への肌当たりが変わるため、肌当たりが良くなる。
かかる吸収性物品であって、前記第1貫通孔は、前記縦方向における上側の第1上端及び下側の第1下端と、前記横方向における外側の第1外側端と、を有し、前記第2貫通孔は、前記縦方向における上側の第2上端及び下側の第2下端と、横方向における外側の第2外側端と、を有し、前記第1貫通孔の周囲に形成された皺の頂部は、前記第1上端又は前記第1下端と前記第1外側端とを結ぶ直線に沿った第1直線部を有し、前記第2貫通孔の周囲に形成された皺の頂部は、前記第2上端又は前記第2下端と前記第2外側端とを結ぶ直線に沿った第2直線部を有し、前記第1直線部と前記弾性部材に沿った直線とがなす角度のうち小さい方の角度と、前記第2直線部と前記他の弾性部材に沿った直線とがなす角度のうち小さい方の角度とは、異なっていることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第1貫通孔の周囲に形成された皺の角度と、第2貫通孔の周囲に形成された皺の角度とが異なり、着用者の肌への当たり方が変わるため、肌当たりが良くなる。
かかる吸収性物品であって、前記第1貫通孔の周囲に形成された皺の頂部の前記厚さ方向の高さと、前記第2貫通孔の周囲に形成された皺の頂部の前記厚さ方向の高さとが異なることが望ましい。
このような吸収性物品によれば、第1貫通孔の周囲に形成された皺の突出量と、第2貫通孔の周囲に形成された皺の突出量とが異なり、皺のクッション性が一定ではなく場所によって変わるため、肌当たりが良くなる。
かかる吸収性物品であって、前記横方向において、前記弾性部材の前記貫通孔の側の端は、前記貫通孔の外縁よりも内側に突出していないことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、貫通孔の外縁よりも内側に弾性部材の端が突出していないため、着用者の肌に弾性部材の端が触れにくく、剛性を有する弾性部材の端による違和感を軽減することができる。
かかる吸収性物品であって、前記貫通孔は、前記厚さ方向に積層された複数のシート部材を貫通しており、前記皺が形成された領域では、複数の前記シート部材のうち少なくとも前記厚さ方向に隣り合ういずれか2枚の前記シート部材が互いに接合されていないことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、皺が形成された領域においてシート部材が離間するため、シート部材間に空気層が形成されやすく、皺によるクッション性が向上する。
かかる吸収性物品であって、前記皺の前記頂部の前記厚さ方向の高さは、前記縦方向における下端部の方が上端部よりも高いことが望ましい。
このような吸収性物品によれば、皺の突出量が胴回り側よりも股下側の方が大きいため、着用時に股下側において皺が着用者の肌に接触しやすく弾性部材が配置された部分が肌に当たりにくく、肌当たりが良くなる。
===本実施形態に係る使い捨ておむつについて===
<<<使い捨ておむつ1の構成について>>>
図1は、本実施形態の吸収性物品の一例としてのおむつ1の概略斜視図である。図2は、展開した伸長状態のおむつ1を肌側から見た平面図である。図3は、図2のA−A断面について表す図である。
以下の説明では、図1の状態(着用状態)のおむつ1は、「縦方向」と、縦方向と交差する「横方向」と、縦方向及び横方向と交差する「厚さ方向」とを有する。また、図2の状態(展開状態)でのおむつ1の長手方向を「長手方向」、おむつ1の長手方向における一端と他端をそれぞれ「上端」といい、長手方向におけるおむつ1の略中央部C10を「下端」ともいう。さらに、厚さ方向のうち、着用者に接触する側を「肌側」、その反対側を「非肌側」という。図2等におけるA−Aは、横方向中心を示している。なお、「伸長状態」とは、おむつ1を皺がなくなるまで伸長させた状態をいい、具体的には、おむつ1を構成する部材(例えば、腹側外装部材30や背側外装部材40)の寸法がその部材単体の寸法と一致又はそれに近い長さになるまで伸長された状態をいう。
本実施形態にかかる使い捨ておむつ1(以下、「おむつ1」と呼ぶ。)は、主に乳幼児を着用対象とした所謂3ピースタイプのパンツ型おむつであり、着用者の股間に配置される吸収性本体10と、着用者の腹側部を覆う腹側外装部材(腹側部)30と、背側外装部材(背側部)40を有している。
図2の展開状態では、吸収性本体10は、長手方向における各端部が、腹側外装部材30と背側外装部材40と重なるように、腹側外装部材30から背側外装部材40に亘って設けられ、接着剤等により腹側外装部材30及び背側外装部材40にそれぞれ肌側から接合固定されている。その外観形状は平面視略H形状をなしている。そして、長手方向の略中央部C10を折り返し位置として二つ折りして、互いに対向する腹側外装部材30と背側外装部材40の横方向の各端部である腹側外装部材側縁部30se、背側外装部材縁部40seにて接合・連結すると、胴回り開口部1HB及び一対の脚回り開口部1HLが形成されたおむつ1(図1)となる。
腹側外装部材30のうち、縦方向の上側の端部30eの領域には、吸収性本体10が重ねられておらず、端部30eよりも縦方向の中央側の部分30cに吸収性本体10が重ねられている。また、腹側外装部材30のうち、横方向の中央部には、吸収性本体10が重ねられており、吸収性本体10の横端10eより横方向外側の領域30sには、吸収性本体10が重ねられていない。
同様に、背側外装部材40のうち、縦方向の上側の端部40eの領域には、吸収性本体10が重ねられておらず、端部40eよりも縦方向の中央側の部分40cに吸収性本体が重ねられている。また、背側外装部材40のうち、横方向の中央部には、吸収性本体10が重ねられており、吸収性本体10の横端10eより横方向外側の領域40sには、吸収性本体10が重ねられていない。
図2及び図3に示すように、吸収性本体10は、吸収体11と、吸収体11を肌側から覆う表面シート部材13と、吸収体11を非肌側から覆う裏面シート部材15を備えている。表面シート部材13は、不織布等の液透過性のシート部材である。裏面シート部材15は、ポリエチレン等の液不透過性の防漏シート15aと不織布等の液透過性の外装シート15bとの2層から構成されるシート部材である。また、外装シート15b等によって立体ギャザーや脚周りギャザーが形成されていてもよい(不図示)。
吸収体11は、液体吸収性素材を積層してなる吸収性コアであり、尿等の排泄物を吸収することができる。吸収体11は、パルプ繊維等の液体吸収性繊維や、吸収性ポリマー(SAP)等を用いることができ、本実施形態においては、平面視略砂時計形状を有している(図2)。また、吸収体11は、ティッシュペーパー等の液透過性シート(不図示)で被覆されていても良い。
腹側外装部材30及び背側外装部材40は、いずれも不織布等の柔軟な素材からなる平面視略矩形のシート部材である。図3に示すように、腹側外装部材30は、厚さ方向の肌側から順に肌側シート31及び非肌側シート32が重ねて接合されており、背側外装部材40は、厚さ方向の肌側から順に肌側シート41及び非肌側シート42が重ねて接合されている。
図3に示すように、腹側外装部材30の上部は、肌触りの向上と耐久性向上のために、非肌側シート32が、腹側外装部材30の上端である腹側上端30etを起点として、肌側の下方へ折り返されて、折り返し部分32fが形成されている。同様に、背側外装部材40の上部も、非肌側シート42が、背側外装部材40の上端である背側上端40etを起点として、肌側の下方へ折り返されて、折り返し部分42fが形成されている。
また、腹側外装部材30は、折り返し部分32fの下端部と吸収性本体10の腹側の上端部を肌側から覆うように配置した別シート部材34を備えている。同様に、背側外装部材40は、折り返し部分42fより下側から、吸収性本体10の背側の上端部を肌側から覆うように配置した別シート部材44を備えている。別シート部材34、44は、肌側シート31,41及び非肌側シート32,42とは異なる、不織布等からなる矩形状のシート部材である。この別シート部材34、44を設けることによって、吸収性本体10の縦方向における腹側上端縁部や背側上端縁部が着用者の肌と直接接触することを抑制することができ、着用時における胴回りの肌触りを良好なものにすることができる。また、別シート部材34、44は、腹側外装部材30及び背側外装部材40の縦方向の上側端部における強度を高めることができる。
肌側シート31,41、非肌側シート32,42、及び別シート部材34,44は、厚さ方向に積層された複数のシート部材の一態様である。なお、本実施形態では、腹側外装部材30及び背側外装部材40はそれぞれ、最大3枚のシート部材(肌側シート31,41、非肌側シート32,42、及び別シート部材34,44)が厚さ方向に積層されているが、必ずしも3枚である必要はなく、2枚であってもよいし、4枚以上であってもよい。
さらに、腹側外装部材30及び背側外装部材40には、縦方向に所定の長さを有し、腹側外装部材30及び背側外装部材40を形成する各シート部材を、肌側から非肌側に貫通する貫通孔50が、縦方向及び横方向に所定の間隔で複数設けられている。貫通孔50の詳細については、後述する。
腹側外装部材30の肌側シート31と非肌側シート32の間には、横方向に沿った糸ゴム等の複数の弾性部材35、35・・・が配置されている。弾性部材35は、横方向に伸長された状態で、肌側シート31及び非肌側シート32に、接着剤により接合固定されている。具体的には、接着剤が塗布された複数の弾性部材35、35・・・が肌側シート31と非肌側シート32との間において横方向に伸長された状態で配置されることにより、複数の弾性部材35、35・・・が肌側シート31及び非肌側シート32に伸長状態で接合固定される。換言すれば、肌側シート31と非肌側シート32とは、接着剤が塗布された複数の弾性部材35、35・・・を介して互いに接合固定されている。複数の弾性部材35、35・・・は、縦方向に間隔をあけながら、並んで設けられている。
同様に、背側外装部材40の肌側シート41と非肌側シート42の間には、横方向に沿った糸ゴム等の複数の弾性部材45、45・・・が配置されている。弾性部材45は、横方向に伸長された状態で、肌側シート41及び非肌側シート42に、接着剤により接合固定されている。具体的には、腹側外装部材30と同様にして、接着剤が塗布された複数の弾性部材45、45・・・が肌側シート41と非肌側シート42との間において横方向に伸長された状態で配置されることにより、複数の弾性部材45、45・・・が肌側シート41及び非肌側シート42に伸長状態で接合固定される。換言すれば、肌側シート41と非肌側シート42とは、接着剤が塗布された複数の弾性部材45、45・・・を介して互いに接合固定されている。複数の弾性部材45、45・・・は、縦方向に間隔をあけながら、並んで設けられている。
弾性部材35、45は、腹側外装部材30及び背側外装部材40に対して横方向の伸縮性を付与し、腹側外装部材30及び背側外装部材40に複数の皺を形成させている。腹側外装部材30及び背側外装部材40に形成された皺の多くは、縦方向に沿った形状を有している。皺の形状については、後述する。
なお、弾性部材35、45のうち、横方向の中央部付近の吸収体11と重複する領域を一部非連続として、伸縮力が作用しないようにしている。これにより、吸収体11に作用する横方向の収縮が抑制されて、吸収体11が略平坦に維持されやすくなるため、排泄物の漏れ等を抑制することができる。
<<<貫通孔50について>>>
まず、貫通孔50の形成について説明する。腹側外装部材30の貫通孔50は、おむつ1の製造において、腹側外装部材30の製造過程で形成される。腹側外装部材30は、肌側から順に帯状肌側シート310、連続弾性部材350、帯状非肌側シート320(図6A参照)が配置された帯状腹側外装部材300を、個々の腹側外装部材30に分離して形成される。
図4Aは、スリットS(貫通孔50)を形成する前の伸長状態の帯状腹側外装部材300の一部を示した図である。図4Bは、スリットS(貫通孔50)を形成したときの伸長状態の帯状腹側外装部材300の一部を示した図である。図4Cは、着用状態における腹側外装部材30の一部を示した図である。図4A、図4B、及び図4Cは、それぞれ肌側から見た図である。
図4Aは、スリットSを形成する前の帯状腹側外装部材300について、帯状肌側シート310及び帯状非肌側シートの皺がほぼなくなるまで伸長させた状態を示している。
続いて、図4Bに示すように、伸長状態の帯状腹側外装部材300に、一部の連続弾性部材350を横断するように、縦方向に沿った線状のスリットSを形成する。スリットSは、所定の刃物を用いて、帯状肌側シート310と連続弾性部材350と帯状非肌側シートをカットすることで形成される。図4Bは、カットしてスリットSを形成した瞬間を示している。スリットSは、その後連続弾性部材350によって図4Cのような貫通孔50となる。なお、本実施形態のスリットSは、線状のスリットであり、所定の面積を有する形状を切り抜いた場合と異なり、切り屑が生じにくい。
図4Cは、着用者がおむつ1を着用している状態における腹側外装部材30の一部を示している。着用状態の腹側外装部材30の貫通孔50は、その輪郭が横方向の両側に開いて、貫通孔50の形状は略ひし形となる。これは、図4Cに示すように、弾性部材35が伸長状態から収縮することによって、貫通孔50の周囲が横方向に引っ張られるからである。これによって、着用状態において、貫通孔50がより大きく開孔するため、おむつ1の通気性をより向上させることができる。1つの貫通孔50が、より大きく開孔されることによって、より少ない数の貫通孔50で、おむつ1の通気性を確保することができる。さらに、着用前の状態においても、収縮状態の弾性部材35によって、貫通孔50を横方向により開孔させることができるため、乳幼児等の着用者におむつ1を履かせる保護者等に、外観的に貫通孔50を視認させることができ、通気性の向上を認識させることができる。また、収縮した弾性部材35が、貫通孔50の周囲の不織布を引っ張ることによって、貫通孔50の周囲には、貫通孔50の輪郭(外縁)に沿った皺が複数形成される。この複数の皺によって、おむつ1の肌触りをより柔らかくすることができる。特に、貫通孔を所定範囲の切り抜きで形成した場合には貫通孔の周囲がほぼ平坦な状態で開孔するのに対し、本実施形態においては、貫通孔50を線状のスリットSで形成しているため、貫通孔50の周囲には、開孔によって引っ張られた不織布が盛り上がり複数の皺を形成する。そのため、おむつ1の肌触りをより向上させることができる。
背側外装部材40の貫通孔50も、腹側外装部材30の貫通孔50と同様に形成される。なお、本実施形態においては、腹側外装部材30と背側外装部材40の各貫通孔50を、それぞれ別途形成する場合を考慮して説明したが、これに限られない。腹側外装部材30及び背側外装部材40を一体として形成し、貫通孔50を形成した後、腹側外装部材30と背側外装部材40に分離するものであってもよい。なお、スリットSの形成は、腹側外装部材30に吸収性本体10及び別シート部材34を重ねてから行ってもよいし、腹側外装部材30にスリットSを形成してから吸収性本体10及び別シート部材34を重ねてもよい。同様に、背側外装部材40に吸収性本体10及び別シート部材44を重ねてからスリットSを形成してもよいし、背側外装部材40にスリットSを形成してから吸収性本体10及び別シート部材44を重ねてもよい。
続いて、貫通孔50の構成について説明する。なお、腹側外装部材30に設けられた貫通孔50の構成と、背側外装部材40に設けられた貫通孔50の構成とは同様であるため、以下では主に腹側外装部材30に設けられた貫通孔50の構成について説明する。
図2に示すように、腹側外装部材30の貫通孔50は、腹側外装部材30のうち、折り返し部32f、シート部材34、及び吸収性本体10が設けられていない領域に複数個設けられている。具体的には、縦方向は、端部30eより下側で、かつ、別シート部材34の下端より下側の領域であり、横方向は、吸収性本体10より外側に設けられている。また、腹側外装部材30の横方向における一方側と他方側とで、横方向中心A−Aに対して左右対称に配置されている。
また、貫通孔50は、縦方向において、腹側外装部材30の最も上側に位置する最上側弾性部材35tより下側で、腹側弾性部材30の最も下側に位置する最下側弾性35uより上側に設けられている。貫通孔50によって、弾性部材35の一部が非連続とされている。上述のように、貫通孔50の形成時に、連続弾性部材350を、帯状肌側シート310及び帯状非肌側シート320と共にカットするからである。なお、上側弾性部材35t及び最下側弾性部材35uは、貫通孔50によって非連続とはされていない。
図2に示すように、腹側外装部材30では、縦方向の中央側の部分30cかつ横方向の外側の領域30sに貫通孔50が設けられており、縦方向の上側の端部30eの領域には貫通孔50が設けられていない。すなわち、腹側外装部材30は、縦方向において、吸収性本体10の一方側の端10taより下側に貫通孔50を有している。背側外装部材40では、縦方向の中央側の部分40cかつ横方向の外側の領域40s、及び縦方向の上側の端部40eの領域に貫通孔50が設けられている。すなわち、背側外装部材40は、縦方向において、吸収性本体10の他方側の端10tbより下側に貫通孔50を有すると共に、吸収性本体10の他方側の端10tbより上側にも貫通孔50を有している。このように、比較的汗をかきやすい股下側や背中側に貫通孔50を設けることにより蒸れを生じにくくし、通気性を向上させている。なお、必ずしも貫通孔50は上述する位置に設けられている必要はなく、少なくとも腹側外装部材30及び背側外装部材40の少なくともいずれか一方に設けられていればよい。
本実施形態において、複数の貫通孔50は、千鳥状に配置されている。図5Aは、図2の部分Bについて拡大して示した模式図である。図5Bは、貫通孔50aについて説明する図である。図5A及び図5Bでは、形成された皺を模式的に示している。図5Aにおいて、貫通孔(第1貫通孔)50aと、貫通孔50aの左斜め上に位置し、縦方向において隣接している貫通孔50bと、貫通孔50aの上側に位置し、横方向において貫通孔50aと重なっている貫通孔50cと、貫通孔50aの横方向の左側に位置し、縦方向において貫通孔50aと重なっている貫通孔50dと、貫通孔50aの横方向右側に位置し、縦方向において貫通孔50a、50dと重なっている貫通孔50eと、貫通孔50aの右斜め上に位置し、縦方向において隣接している貫通孔50fを示している。また、弾性部材35aが貫通孔50a、貫通孔50d及び貫通孔50eと縦方向で重なっており、同様に、弾性部材35bが貫通孔50b及び貫通孔50fと縦方向で重なり、弾性部材35cが貫通孔50cと縦方向で重なっている。縦方向において、弾性部材(下方弾性部材)35dは、貫通孔50aより下側に設けられており、弾性部材(上方弾性部材)35eは、貫通孔50aより上側で貫通孔50bより下側に設けられており、弾性部材35fは、貫通孔50bと貫通孔50cとの間に設けられている。弾性部材35d、35e、35fは、いずれの貫通孔50とも縦方向において重なっていない。
図5A及び図5Bに示すように、各貫通孔50は、略ひし形の形状を有しているが、貫通孔50は、厳密なひし形ではなく、縦方向における上側の上端(第1上端)etと下側の下端eb、横方向における外側の2つの外側端(第1外側端)esの、4つの頂点を有しているという点についてはひし形と共通している。貫通孔50は、4つの頂点を認識できる形状であって、その輪郭の多くは直線ではなく湾曲している。また、貫通孔50の内側は、肌側シート31及び非肌側シート32を肌側から非肌側まで貫通しており、肌側シート31や非肌側シート32のたくれた部分が貫通孔50の内側又は外側に倒れ込んだ形状を有していたり、肌側又は非肌側に突出していたりする。このとき、横方向において、略ひし形の横方向の頂点(外側端es)と、弾性部材35の切断端がほぼ同じ位置である。すなわち、横方向において、弾性部材35の貫通孔50の側の端(切断端)は、貫通孔50の外縁よりも内側に突出していない。これにより、おむつ1の着用時において、着用者の肌に弾性部材35の切断端が触れにくくなり、剛性を有する弾性部材35の切断端による違和感を軽減することができる。そして、各貫通孔50の内側には、切断された弾性部材35が設けられておらず、切断された弾性部材35は横方向において貫通孔50内で非連続となっている。これは、貫通孔50の形成時に、貫通孔50の形成位置に設けられた弾性部材35が一緒に切断されているからである。そのため、例えば、弾性部材35aは、貫通孔50aより横方向の外側から貫通孔50dの横方向外側まで連続しており、貫通孔50a及び貫通孔50dの内側には設けられていない。同様に、弾性部材35bは貫通孔50b内に設けられておらず、弾性部材35cは貫通孔50c内に設けられていない。このように、おむつ1の貫通孔50は、厚さ方向に積層された肌側シート31及び非肌側シート32を肌側から非肌側に貫通することによる通気性の向上とともに、弾性部材35を切断することによって、弾性部材35の張力の調整を行うことができる。
例えば、図5Aにおける、弾性部材35aと縦方向で重なっている貫通孔50a及び貫通孔50dの場合について説明する。弾性部材35aと弾性部材35eは、同じ材質の弾性部材で、スリットS(貫通孔50a及び貫通孔50d)が形成される前は、同様の伸長状態で肌側シート31及び非肌側シート32へ接合固定されたものである。弾性部材35aは、スリットS(貫通孔50a及び貫通孔50d)によって切断され、弾性部材35eは、いずれのスリットSによっても切断されない。そのため、弾性部材35aと縦方向で隣接する弾性部材35eの横方向への張力の大きさをTeとし、貫通孔50dの左側(中央側)から吸収体11と厚さ方向で重なる位置まで設けられた弾性部材35aの横方向への張力の大きさをTa1としたとき、張力Ta1は、張力Teより小さい(Ta1<Te)。同様に、貫通孔50dと貫通孔50aとの間に位置する弾性部材35aの横方向への張力の大きさをTa2としたとき、張力Ta2は、張力Teよりも小さく(Ta2<Te)、また、張力Ta1よりも小さい(Ta2<Ta1)。
さらに、弾性部材35aは、貫通孔50a、50d等によって非連続とされているため、縦方向及び横方向への力が加えられた場合に、弾性部材35aは、連続している場合に比べてより自由に伸縮することができる。つまり、貫通孔50dより左側の弾性部材35aと、貫通孔50aと貫通孔50dの間に位置する弾性部材35aは、連続している場合に比べて動きに対してより自由に伸縮することができるため、横方向への動きだけでなく縦方向への動きに対しても追従しやすくなる。これによって、おむつ1の腹部や臀部のフィット性を向上させることができる。
このように、スリットS(貫通孔50)によって切断された弾性部材35と、スリットS(貫通孔50)によって切断されていない弾性部材35を設けることによって、弾性部材35の張力を調整することができるため、胴回りの締め付けを確保しつつ、過度に締め付けてしまう恐れを軽減し、おむつ1のフィット性を向上させることができる。図5A及び図5Bに示すように、横方向において、貫通孔50aと重なる部分である部分Xでは、弾性部材35e及び弾性部材35dが連続している。
各貫通孔50に外接する横方向に沿った辺gと縦方向に沿った辺hで囲まれた矩形領域(図5Aの左下斜線部)には、接着剤等が設けられておらず、肌側シート31と非肌側シート32とが互いに接合されていない。なお、必ずしも矩形領域全体である必要はなく、縦方向における弾性部材35の上側かつ貫通孔50の上端(上端et)より下側であって、横方向における貫通孔50の一端(一方の外側端es)から他端(他方の外側端es)までの領域(矩形領域のうちの上半分の領域)、又は縦方向における弾性部材35の下側かつ貫通孔の下端(下端eb)より上側であって、横方向における貫通孔50の一端(一方の外側端es)から他端(他方の外側端es)までの領域(矩形領域のうちの下半分の領域)でもよい。ここで、「弾性部材35の上側」とは、縦方向における弾性部材35が配置された位置の胴回り側を示しており、「弾性部材35の下側」とは、縦方向における弾性部材35が配置された位置の股下側をいう。
また、各貫通孔50の外縁に沿う領域301(図5Aの右下斜線部)においても、接着剤等が設けられておらず、肌側シート31と非肌側シート32とが互いに接合されていない。なお、必ずしも貫通孔50の外縁に沿う領域全体である必要はなく、貫通孔50に沿う領域のうち縦方向における弾性部材35の上側及び下側のうちの少なくとも一方でもよい。ここで、「貫通孔50の外縁に沿う領域のうち縦方向における弾性部材35の上側」とは、例えば縦方向において弾性部材35aと弾性部材35eとの間に挟まれた領域のうちの貫通孔50の外縁に沿った範囲の領域をいう。同様にして、「貫通孔50の外縁に沿う領域のうち縦方向における弾性部材35の下側」とは、例えば縦方向において弾性部材35aと弾性部材35dとの間に挟まれた領域のうちの貫通孔50の外縁に沿った範囲の領域をいう。図6A及び図6Bを参照して、厚さ方向に隣り合う肌側シート31と非肌側シート32とが互いに接合されていない「非接合部分」について説明する。
図6Aは、図4BのD−D線断面模式図であり、腹側外装部材30の製造段階における帯状腹側外装部材300では、連続弾性部材350が横方向に伸長しており、帯状腹側シート310及び帯状非肌側シート320には皺が生じておらず、横方向にピンと張った状態である。なお、図6Aでは、帯状腹側外装部材300を模式的に示しているため、連続弾性部材350の厚み分だけ帯状肌側シート310と帯状非肌側シート320とが厚さ方向に離間しているが、実際は帯状肌側シート310と帯状非肌側シート320とは厚さ方向に接触している場合もある。
図6Bは、図5BのE−E線断面模式図であり、製品状態となったおむつ1における腹側外装部材30では、弾性部材35が横方向に収縮しており、肌側シート31及び非肌側シート32には複数の皺が生じている。非接合部分では、弾性部材35の横方向の収縮により、肌側シート31及び非肌側シート32に弛みや緩みが生じて、当該非接合部分が厚さ方向に開いて、肌側シート31と非肌側シート32とが、図6Aの状態(肌側シート31と非肌側シート32とが厚さ方向に接触した状態)よりも厚さ方向に離間している。具体的には、肌側シート31が、図6Aの状態から厚さ方向の肌側に向かって盛り上がるように突出し、非肌側シート32が、図6Aの状態から厚さ方向の非肌側に向かって盛り上がるように突出している。図6Bでは、図6Aの状態における肌側シート31(帯状肌側シート310)及び非肌側シート32(帯状非肌側シート320)の位置を二点鎖線で示している。
このように、着用状態では、貫通孔50の外縁に沿う領域301の非接合部分において肌側シート31と非肌側シート32とが厚さ方向により大きく離間するため、肌側シート31と非肌側シート32との間の空間に溜まった熱や湿気等を貫通孔50から外部へ逃がすことができるため、腹側胴回りの蒸れを抑制して通気性を向上させることができる。
本実施形態では、肌側シート31と非肌側シート32とが、縦方向に隣り合う弾性部材35,35の間において互いに接合されていないため、図5Aに示すように、各貫通孔50に外接する横方向に沿った辺gと縦方向に沿った辺hで囲まれた矩形領域全体や貫通孔50の外縁に沿う領域301全体といった広い範囲が被非接合部分となって肌側シート31と非肌側シート32とが厚さ方向に離間しているが、これに限らず、少なくとも貫通孔50の外縁に沿う領域301の少なくとも一部において、厚さ方向に隣り合う肌側シート31と非肌側シート32とが互いに接合されていなければよい。
また、接着剤等が設けられていないこれらの領域では、接着剤の固化によって貫通孔50の周囲が固くなってしまったり、開孔が不十分になってしまったりする恐れを軽減することができる。また、接着剤によって、固化されていないため、貫通孔50の周囲が不織布等の素材本来の柔らかさによって、肌側及び非肌側に突出した複数の皺を形成して、より柔らかい肌触りにすることができる。
また、本実施形態において、腹側外装部材30は、弾性部材35a(35)に縦方向の上側から隣接する弾性部材35e(上方弾性部材)と、弾性部材35aに縦方向の下側から隣接する弾性部材35d(下方弾性部材)と、を有し、横方向において、弾性部材35e及び弾性部材35dの、貫通孔50と重なる部分が連続しているため、弾性部材35e及び弾性部材35dが弾性部材35aと共に伸長状態から横方向に収縮すると、弾性部材35の張力Ta1,Ta2よりも大きい張力Teを有する弾性部材35e及び弾性部材35dの張力によって貫通孔50の外縁に沿う領域301における非接合部分が厚さ方向に開口しやすくなる。これにより、肌側シート31と非肌側シート32との間に溜まっていた熱や湿気等を外部へ逃がしやすくなる。
また、本実施形態において、各貫通孔50は、ほぼ同じ大きさであり、縦方向において、貫通孔50aと貫通孔50cとは、横方向において重なっている。この貫通孔50aの下端と貫通孔50cの下端との縦方向における距離をL1とし、貫通孔50の縦方向の長さL2としたとき、L1はL2より大きい(L1>L2)。
貫通孔50によって非連続にされた弾性部材と、非連続にされた弾性部材と縦方向に隣接し、貫通孔50によって非連続とされていない弾性部材との、縦方向における距離L3は、貫通孔50の長さL2より短い(L3<L2)。例えば、弾性部材35aと弾性部材35eとの距離L3が貫通孔50aの縦方向の長さL2より小さい。
さらに、貫通孔50の上端etから、貫通孔50によって非連続にされた弾性部材35までの距離L2aは、貫通孔50によって非連続にされた弾性部材35と、非連続にされた弾性部材35と縦方向に隣接する弾性部材35との間の距離L3の半分以上の長さである(L2a≧(L3)/2)。同様に、貫通孔50の下端ebから、貫通孔50によって非連続にされた弾性部材35までの距離L2bは、貫通孔50によって非連続にされた弾性部材35と縦方向に隣接する弾性部材35との間の距離L3の半分以上の長さである(L2b≧(L3)/2)。つまり、図5Bにおいて、貫通孔50aの上端etから弾性部材35aまでの距離L2aが、弾性部材35aと弾性部材35eとの距離L3の半分以上である。同様に、貫通孔50aの下端ebから弾性部材35aまでの距離L2bが、弾性部材35aと弾性部材35dとの距離L3の半分以上である。
したがって、縦方向において、貫通孔50aの上端etは弾性部材35eにより近い位置に設けられ、貫通孔50aの下端ebは、弾性部材35dにより近い位置に設けられている。そのため、通常、連続状態の弾性部材35e付近は縦方向に沿った皺が形成されるが、貫通孔50aの上端etを弾性部材35eのより近くに設けることで、弾性部材35aより上側の斜め方向の皺をより長くすることができる。同様に、連続状態の弾性部材35d付近は縦方向に沿った皺が形成されるが、貫通孔50aの下端ebを弾性部材35dのより近くに設けることで、弾性部材35aより下側の斜め方向の皺をより長くすることができる。より長い斜め方向の皺を形成することで、縦方向の皺に干渉されて斜め方向の皺が減少してしまうことを軽減し、斜め方向の皺をより維持しやすくすることができる。また、貫通孔50aの上端etがより弾性部材35eに近いほど、貫通孔50aの下端ebがより弾性部材35dに近いほど、貫通孔50aが大きくなるため、通気性が向上する。そして、貫通孔50aに対して弾性部材35e,35dの張力がより作用しやすくなるため、貫通孔50aの外縁に沿う領域301における非接合部分が厚さ方向に開口しやすくなり、肌側シート31と非肌側シート32との間に溜まった熱や湿気等を外部へ逃がしやすくなる。
また、弾性部材35と横方向において重なっている貫通孔50の数は任意に変更することができる。例えば、図5Aに示すように、弾性部材35aと横方向において重なっている貫通孔50は貫通孔50a、50d、50eの3つであるのに対し、弾性部材35bと横方向において重なっている貫通孔50は貫通孔50b、50fの2つである。
また、本実施形態では、非肌側シート32にスパンボンド不織布が用いられ、肌側シート31にSMS不織布が用いられており、非肌側シート32における単位体積当たりの繊維間の隙間が、肌側シート31における単位体積当たりの繊維間の隙間よりも多い。したがって、非肌側シート32の方が肌側シート31よりも通気性が高いため、熱や湿気等を非肌側(外部)へ向かって逃がしやすくなっている。なお、腹側外装部材30が2枚のシート部材ではなく、3枚以上のシート部材が厚さ方向に積層されて形成されている場合には、厚さ方向に隣り合うシート部材において、非肌側に配置されたシート部材における単位体積あたりの繊維間の隙間が、肌側に配置されたシート部材における単位体積あたりの繊維間の隙間よりも多ければよい。
続いて、腹側外装部材30に設けられた皺W、特に貫通孔50の周囲に形成された皺W11について説明する。図7Aは、貫通孔50とその周囲に皺W11について説明する図である。図7Aにおいては、皺Wの形状を簡略化して示している。なお、図7Aにおいては、自然状態のおむつ1の皺の形状について説明している。ここでいう「自然状態」とは、おむつ1を腹側外装部材30及び背側外装部材40の皺が見えなくなるまで伸長させた状態を15秒間保った後、その伸長を開放してから5分間放置した状態をいう。
図7Aに示すように、縦方向の上側から下側に向かった、複数の皺Wが形成されており、各皺Wには横方向中央付近にそれぞれ頂部が設けられている。この各皺Wの頂部は、肌側に最も突出した部分である。図7Aにおける2点鎖線t、uは、複数の皺Wのうちの一部の皺W11,W12の頂部t、頂部uを示しており、隣接する頂部tと頂部uとで挟まれる2本の実線部分は、非肌側の最も深いところに位置している。なお、図7Aにおいては、頂部tと頂部uのみを記載しているが、頂点t及び頂点uを除く頂部については便宜上省略している。
図7Aに示すように、通常、腹側外装部材30には、横方向に沿った弾性部材35の収縮によって、貫通孔50から比較的離れた部分である部分Gのように縦方向に沿った複数の皺Wが設けられる。一方、貫通孔50の周囲である部分Fにおいては、貫通孔50の周囲に、貫通孔50の輪郭に沿った斜め方向の皺W11が一対設けられている。特に、本実施形態は、貫通孔50がスリットSによって形成されているため、弾性部材35の収縮によって、貫通孔50の外側端esをより外側に引っ張ることによってより開孔する。このとき、スリットSから貫通孔50となっても上端et及び下端ebの位置はほぼ変わらない。つまり、貫通孔50は、縦方向の長さの変化は少ないが、横方向の長さは、弾性部材35の収縮によって外側端esが引っ張られるほど大きくなる。横方向の長さが大きくなるほど、その貫通孔50の輪郭に沿った斜め方向の皺がより多く形成される。例えば、頂部tを有する皺W11は、上側から順に、貫通孔50の上端部付近まで縦方向に沿った形状の皺(上側縦皺)W1と、貫通孔50の上側端部付近から左斜め下に向かって傾斜した形状の皺(斜め皺)W2と、貫通孔50の左側端部付近から右斜め下に向かって傾斜した形状の皺(斜め皺)W3と、貫通孔50の下側端部付近から縦方向に沿った形状の皺(下側縦皺)W4を有している。
また、貫通孔50aによって非連続とされた弾性部材35aと、弾性部材35aに縦方向の上側から隣接する弾性部材35eと、弾性部材35aに縦方向から隣接する弾性部材35dを有しており、横方向において、弾性部材35e及び弾性部材35dの、貫通孔50aと重なる部分が連続している。これにより、貫通孔50aの周囲に形成された斜め方向の皺は、連続した弾性部材35e及び弾性部材35dで一旦縦方向に沿った形状に収束し、貫通孔50aより上側に位置する貫通孔50bや貫通孔50fの周囲に形成された皺と干渉する恐れを軽減することができる。
本実施形態では、皺W11の皺W1、W2、W3、W4の各頂部は、厚さ方向に突出し、かつ連続している。なお、必ずしも皺W1、W2、W3、W4の各頂部全てが連続している必要はなく、少なくとも斜め皺W2の頂部と斜め皺W3の頂部とが貫通孔50の横方向の外側端esを縦方向に跨ぐように連続して形成されていればよい。すなわち、腹側外装部材30では、厚さ方向に突出した頂部を有する皺W11が、貫通孔50の横方向の最外端である外側端esを縦方向に跨いで形成されている。このため、皺W11がクッションの役割を担うこととなり、剛性を有する弾性部材35(35a)の端部による違和感を軽減することができる。また、斜め皺W2及び斜め皺W3のように、頂部が貫通孔50の外縁に沿って縦方向における貫通孔50の上端et、下端ebまで連続している必要は必ずしもないが、貫通孔50の外縁に沿って皺Wが形成されていると、貫通孔50の外縁(切り端)による違和感も軽減することができる。
本実施形態のように、皺W11の頂部が、貫通孔50(50a)に沿って縦方向における貫通孔50の上端部まで連続し、さらに貫通孔50の上端部から縦方向に沿って上方弾性部材である弾性部材35eまで連続している(皺W1の頂部と皺W2の頂部とが連続している)、又は貫通孔50に沿って縦方向における貫通孔50の下端部まで連続し、さらに貫通孔50の下端部から縦方向に沿って下方弾性部材である弾性部材35dまで連続している(皺W3の頂部と皺W4の頂部とが連続している)場合には、弾性部材35e,35dの弾性力による締め付け等の違和感も軽減することができる。
そして、皺W1、W2、W3、W4の各頂部が連続していると、貫通孔50(50a)の周囲に形成された皺W11がきれいに維持されていることを外観的に認識することができ、おむつ1の美観をより向上させることもできる。また、肌側に設けられた皺W11の頂部によって、着用者は、より柔らかい肌触りを実感することができる。
また、図7Aに示すように、皺W11は、横方向において貫通孔50の両側で対となるように形成されているとなお良い。なぜなら、貫通孔50aによって弾性部材35aが切断されており、弾性部材35aは切断端を横方向における貫通孔50aの両側に有しているため、クッションの役割を担う皺W11が横方向における貫通孔50aの両側にそれぞれ設けられていることで両方の切断端による違和感を軽減することができるからである。
また、本実施形態では、皺W11が形成された領域では、厚さ方向に隣り合う肌側シート31と非肌側シート32とが互いに接合されていないため、肌側シート31と非肌側シート32とが厚さ方向に離間して空気層が形成されやすくなっている。このように、肌側シート31と非肌側シート32との間に空気層が形成されることにより、皺W11におけるクッション性がさらに向上する。
図7Cは、図7AのH−H断面図である。本実施形態では、貫通孔50(50a)の周囲に形成された皺W11と異なる他の皺W12が、皺W11に隣接して設けられており、図7Cに示すように、皺W11の頂部の厚さ方向の高さH11は、他の皺W12の頂部の厚さ方向の高さH12よりも高くなっている(H11>H12)。このように、貫通孔50に近い位置に設けられた皺W11ほど、貫通孔50から遠い位置に設けられた他の皺W12よりも厚さ方向への突出量が大きいため、貫通孔50の周囲におけるクッション性が向上する。これにより、貫通孔50の外縁による違和感をより軽減することができる。
ここで、各皺の頂部の厚さ方向の高さは、腹側外装部材30の厚さ方向の切断面を電子顕微鏡で観察して測定することができる。具体的には、まず、自然状態のおむつ1の腹側外装30における貫通孔50a(50)を含む所定の面積(例えば、縦8mm×横30mm)を有する区画を切り取る。次に、切り取った部分を水平面を有する台に両面テープ等を用いて固定し、弾性部材35aと弾性部材35aに縦方向の上側から隣接する弾性部材35e(上方弾性部材)との間を、例えば裁ちばさみ等を用いて貫通孔50aを横断するように厚さ方向に切断する。次に、切断された腹側外装部材30の切断面を電子顕微鏡(キーエンス社製 リアルサーフェスビュー顕微鏡VE−7800)にて観察し、当該切断面の15倍の拡大写真を撮影して皺の頂部の厚さ方向の高さを測る。例えば、室温20℃、相対湿度65%の測定環境下において、皺W11及び皺W12を測定したところ、皺W11の頂部の厚さ方向の高さH11が4mm、皺W12の頂部の厚さ方向の高さH12が3mmとなった。なお、切断面は、縦方向において、貫通孔50aの上端et又は下端ebと貫通孔50aの一方の外端esとを結んだときの中心位置と、貫通孔50aの上端et又は下端ebと貫通孔50aの他方の外端esとを結んだときの中心位置とを結んだ線を切断線として厚さ方向に切断した面である。
図7Bは、図7Aの部分Fについての拡大図である。貫通孔50(50a)の周囲に形成された皺W11は、縦方向における貫通孔50の下端ebと横方向における貫通孔50の外端esとを結ぶ直線に沿った傾斜領域S11を有している。この傾斜領域S11と弾性部材35(35a)に沿った直線C35とがなす角度のうち小さい方の角度をθ11とする。また、皺W11に隣接して設けられた他の皺W12は、皺W11の傾斜領域S11に隣接する他の傾斜領域S12を有している。この他の傾斜領域S12と弾性部材35(35a)に沿った直線C35とがなす角度のうち小さい方の角度をθ12とする。この場合において、皺W11における角度θ11と他の皺W12における角度θ12とは、異なる角度である(θ11≠θ12)。すなわち、皺W11の傾斜領域S11と他の皺W12の傾斜領域S12とは平行ではない。このように、貫通孔50に近い位置に設けられた皺W11における角度θ11と、貫通孔50から遠い位置に設けられた他の皺W12における角度θ12とが異なることにより、着用者の肌に対して、各皺W11,W12から受ける力が所定の方向に集中することなく分散して、各皺W11,W12の肌への接触の仕方が変わる。これにより、着用時におけるおむつ1の肌当たりが良好となる。
図7Bでは、皺W11における角度θ11及び他の皺W12における角度θ12をそれぞれ、縦方向における弾性部材35の下側かつ貫通孔50の下端ebの上側でとったが、必ずしもその必要はなく、縦方向における弾性部材35の上側かつ貫通孔50の上端etの下側において角度θ11及び角度θ12をとってもよい。この場合、皺W11の傾斜領域S11は、縦方向における貫通孔50の上端etと横方向における貫通孔50の外端esとを結ぶ直線に沿った領域である。なお、皺W11及び他の皺W12において、必ずしも皺W11の頂部の厚さ方向の高さH11が他の皺12の頂部の厚さ方向の高さH12よりも高い必要はなく、角度θ11と角度θ12とが異なっている必要もない。
また、本実施形態では、図7Bに示すように、貫通孔50(50a)の外縁に沿った領域301(図5A参照)のうち横方向における貫通孔50の両端領域301sにおける目付量は、横方向における両端領域301sの外側で弾性部材35(35a)に沿った領域351における目付量よりも多い。さらに、両端領域301sにおける目付量は、貫通孔50に沿う領域301のうち縦方向における貫通孔50の上端領域301t及び下端領域301bにおける目付量よりも多い。なお、「目付量」とは、腹側外装部材30を形成する肌側シート31及び非肌側シート32の単位面積当たりの重量をいう。これにより、両端領域301sにおける白色度(濃度)が高くなって貫通孔50との色差が際立つため、弾性部材35が伸長状態から横方向に収縮した際に、横方向に開口した貫通孔50の視認性が向上する。よって、着用前のおむつ1の外観において、通気性が良好である印象を購入者に与えることが可能となる。ここで、「白色度」とは、繊維製品であるおむつ1の白さの程度を表し、JIS L 1916に規定される繊維製品の白色度測定方法により測定される値である。なお、両端領域301sにおける目付量は、必ずしも上端領域301tや下端領域301b、両端領域301sの横方向外側で弾性部材35に沿った領域351における目付量よりも多い必要はない。
===その他===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
図8Aは、他の実施形態の貫通孔50の模式図である。図8Aにおいては、形成された皺を模式的に示している。図8Aに示す他の実施形態における複数の貫通孔50も千鳥状に配置されている。図8Aにおいて、貫通孔50aと、貫通孔50aの左斜め上に位置し、縦方向において隣接している貫通孔50iと、貫通孔50aの上側に位置し、横方向において貫通孔50aと重なっている貫通孔50j等の貫通孔50が配置されている。また、弾性部材35aが貫通孔50aと縦方向で重なっており、同様に、弾性部材35i(上方弾性部材)が貫通孔50i等と縦方向で重なっており、弾性部材35jが貫通孔50jと縦方向で重なっている。また、弾性部材35aは貫通孔50a内で非連続であり、弾性部材35iは貫通孔50iで非連続であり、弾性部材35kは、貫通孔50j内で非連続である。弾性部材35aより下側には、いずれの貫通孔50とも縦方向において重なっていない、弾性部材35h(下方弾性部材)が設けられている。
このとき、横方向において貫通孔50aと重なる部分である部分Yにおいて、貫通孔50aと貫通孔50jとの間に連続した弾性部材35iを設けることで、貫通孔50aの周囲に形成された斜め方向の皺と、貫通孔50jの周囲に形成された斜め方向の皺が互いに干渉し合う恐れを軽減させることができる。つまり、貫通孔50aの周囲に形成された斜め方向の皺と、貫通孔50jの周囲に形成された斜め方向の皺は、貫通孔50aと貫通孔50jとの間に設けられた連続した状態の弾性部材35iにおいて、斜め方向の皺が縦方向に沿った皺に収束する。そのため、貫通孔50aの周囲に設けられた斜め方向の皺が、弾性部材35iより上側まで形成されることをより軽減し、同様に、貫通孔50jの周囲に設けられた斜め方向の皺が、弾性部材35iより下側まで形成されることをより軽減することができる。
その結果、貫通孔50aの周囲に設けられた斜め方向の皺をより多く維持することができ、斜め方向に形成された皺によって、弾性部材35による横方向の動きだけでなく、皺の方向に沿った同じ斜め方向の動きに対して、おむつ1が追従しやすくなるため、着用者がおむつ1のフィット性の向上をより感じることができる。また、貫通孔50aの近くに貫通孔50iが設けられているため、貫通孔50aからだけでなく貫通孔50iからも熱や湿気等を外部へ逃がすことができ、より通気性が向上する。
図8Bは、別の他の実施形態の貫通孔50の模式図、図8Cは、図8Bの貫通孔50a及び貫通孔50pについて説明する図である。図8B及び図8Cにおいても、形成された皺を模式的に示している。図8Bに示す貫通孔50の配置は、上述の実施形態(図5A)と同様に千鳥状に配置されており、貫通孔50a(第1貫通孔)と異なる他の貫通孔50p(第2貫通孔)は、貫通孔50aの斜め上側に位置し、縦方向において隣接している。貫通孔50pは、貫通孔50aによって非連続となった弾性部材35aより上側に設けられた弾性部材35p(弾性部材35aと異なる他の弾性部材)と縦方向において重なっており、当該弾性部材35pは貫通孔50p内で非連続である。このとき、貫通孔50pの形状は、貫通孔50aの形状と異なっている。具体的には、貫通孔50aと貫通孔50pは、いずれも横方向中心において対称な形状であるが、貫通孔50aは弾性部材35aに対して上側と下側が対称であるのに対し、貫通孔50pは、貫通孔50pの上側の頂点と弾性部材35pまでの距離より、貫通孔50pの下側の頂点と弾性部材35pまでの距離の方が長い。なお、図8Bに示す場合においても、横方向において、貫通孔50aと重なる部分である部分Zでは、弾性部材35aと縦方向で隣接する弾性部材35は連続している。
図9Aは、図8Bに示す別の他の実施形態の貫通孔50とその周囲の皺について説明する図である。図9Aに示すように、形の異なる貫通孔50aと貫通孔50pとを形成することで、貫通孔50aの周囲に形成された皺W11の形状と貫通孔50pの周囲に形成された皺W13の形状とを異なるものにすることができる。このように、貫通孔50aの周囲に形成された皺W11の形状と、貫通孔50aと異なる他の貫通孔50pの周囲に形成された皺W13の形状とが異なることにより、おむつ1の美観を向上させることができると共に、着用者の肌への接触の仕方が変わって着用時におけるおむつ1の肌当たりが良好となる。なお、皺W11の形状と皺W13の形状との相違は、必ずしも貫通孔50aの形状と貫通孔50pの形状との相違によるものでなくてもよい。
図9Aに示すように、第1貫通孔としての貫通孔50aの周囲に形成された皺W11の頂部は、縦方向における貫通孔50aの下端eb(第1下端)と横方向における貫通孔50aの外端es(第1外側端)とを結ぶ直線に沿った第1直線部S111を有している。この第1直線部S111と弾性部材35aに沿った直線C35aとがなす角度のうち小さい方の角度をθ11とする。また、第2貫通孔としての貫通孔50pの周囲に形成された皺W13の頂部は、縦方向における貫通孔50pの下端eb(第2下端)と横方向における貫通孔50pの外端es(第2外側端)とを結ぶ直線に沿った第2直線部S13を有している。この第2直線部S13と弾性部材35pに沿った直線C35pとがなす角度のうち小さい方の角度をθ13とする。この場合において、皺W11における角度θ11と他の皺W13における角度θ13とは、異なる角度である(θ11≠θ13)。すなわち、皺W11の第1直線部S111と他の皺W13の第2直線部S13とは平行ではない。このように、第1貫通孔としての貫通孔50aの周囲に形成された皺W11における角度θ11と、第2貫通孔としての貫通孔50pの周囲に形成された皺W13における角度θ13とが異なることにより、着用者の肌に対して、各皺W11,W13から受ける力が所定の方向に集中することなく分散して、各皺W11,W13の肌への接触の仕方が変わる。これにより、着用時におけるおむつ1の肌当たりが良好となる。さらに、着用者の異なる角度の斜め方向への動きにより追従しやすいおむつ1にすることができる。
図9Aでは、第1直線部S111を縦方向における弾性部材35aの下側かつ貫通孔50aの下端ebの上側でとり、第2直線部S13を縦方向における弾性部材35pの下側かつ貫通孔50pの下端ebの上側でとったが、必ずしもその必要はなく、第1直線部S111を縦方向における弾性部材35aの上側かつ貫通孔50aの上端et(第1上端)の下側でとり、第2直線部S13を縦方向における弾性部材35pの上側かつ貫通孔50pの上端et(第2上端)の下側でとってもよい。また、第1直線部S111及び第2直線部S13は、必ずしも横方向における貫通孔50a,50pの右側である必要はなく、左右のどちら側でもよい。
図9Bは、図9AのH−H断面図であり、図9Cは図9AのI−I断面図である。本実施形態では、図9B及び図9Cに示すように、貫通孔50aの周囲に形成された皺W11の頂部の厚さ方向の高さH11と、貫通孔50pの周囲に形成された皺W13の頂部の厚さ方向の高さH13とが異なっている(H11≠H13)。このように、縦方向において隣接する貫通孔50a,50pの周囲に形成される皺W11,W13の各頂部の厚さ方向の高さが異なることにより、各皺W11,W13の厚さ方向の突出量が異なるため、各皺W11,W13によるクッション性が一定ではなく変わる。これにより、着用時におけるおむつ1の肌当たりが良好となる。
また、本実施形態においても、貫通孔50aの周辺において隣接して設けられた皺W11と他の皺12では、皺W11の頂部の厚さ方向の高さH11の方が他の皺W12の頂部の厚さ方向の高さH12よりも高い(H11>H12)。同様に、貫通孔50pの周辺において隣接して設けられた皺W13と他の皺W14では、皺W13の頂部の厚さ方向の高さH13の方が他の皺W14の頂部の厚さ方向の高さH14よりも高い(H13>H14)。なお、各皺の測定方法は、前述の測定方法と同様である。
また、図10は、他の実施形態のおむつ100Aを肌側から見た平面図である。このように、より汗をかきやすい下側のみに貫通孔50を設けてもよく、着用者のそけい部に沿って貫通孔50を配置してもよい。また、図9に示すように、腹側外装部材30及び背側外装部材40における貫通孔50の配置はほぼ同じとしてもよい。貫通孔50の配置は、適宜変更することができる。
また、図11は、他の実施形態のおむつ100Bを肌側から見た平面図である。おむつ100Bの背側外装部材40では、縦方向において、吸収性本体10の他方側の端10tbより上側における貫通孔50の総面積が、吸収性本体10の他方側の端10tbより下側における貫通孔50の総面積よりも大きい。図11では、複数の貫通孔50の大きさがすべて同じであるため、縦方向において、吸収性本体10の他方側の端10tbよりも上側に設けられた貫通孔50の数が、吸収性本体10の他方側の端10tbよりも下側に設けられた貫通孔50の数よりも多くなっている。特に背中に汗をかきやすいため、背側外装部材40では、貫通孔50の総面積を股下側よりも胴回り側において大きくすることで通気性をより向上させることが可能である。
また、各貫通孔50の周囲に形成された皺の頂部の厚さ方向の高さは、縦方向における下端部(図11では、吸収性本体10の他方側の端10tbより下側に相当)の方が上端部(図11では、吸収性本体10の他方側の端10tbより上側に相当)よりも高い方がより望ましい。この場合、股下側に設けられた貫通孔50の周囲に形成された皺の突出量の方が、胴回り側に設けられた貫通孔50の周囲に形成された皺の突出量よりも大きくなる。これにより、着用の際、股下側において着用者の肌に皺が接触しやすくなるため、剛性を有する弾性部材35が配置された部分が肌に接触しにくくなり、肌当たりが良好になる。
上述の実施形態においては、腹側外装部材30及び背側外装部材40に、それぞれ貫通孔50を形成したが、これに限られない。腹側外装部材30又は背側外装部材40のいずれかに貫通孔50を形成したものでもよい。ただし、腹側外装部材30と背側外装部材40の両方に貫通孔50形成することによって、おむつ1の通気性をより向上させることができる。
上述の実施形態においては、腹側外装部材30及び背側外装部材40のそれぞれ肌側に別シート部材34、44を設けているが、これに限られない。腹側外装部材30又は背側外装部材40のいずれかに別シート部材34、44を設けてもよいし、両方ともに設けなくてもよい。また、別シート部材34,44が設けられた位置に配置された貫通孔50は、肌側シート31,41及び非肌側シート32,42に加えて別シート部材34,44も肌側から非肌側に貫通しているため、2枚のシート部材ではなく3枚のシート部材を貫通しているが、貫通孔50が貫通するシート部材は複数であればよく、枚数については特に制限はない。
上述の実施形態においては、縦方向において互いに隣接する弾性部材35の間の距離をほぼ等しく配置したがこれに限られない。弾性部材35は、縦方向において任意の間隔で配置することができ、それぞれ異なる間隔で配置してもよい。
また、上述の実施形態においては、貫通孔50を縦方向に沿った線状スリットを形成して、開孔させることにしたが、これに限られない。一定の面積の範囲を切り抜いて貫通孔を形成してもよいし、湾曲形状のスリット等を形成してもよい。
上記実施の形態に係るおむつ1は、乳幼児を着用対象としたが、これに限定されるものではなく、大人を着用対象としてもよい。また、上述の実施形態においては、吸収性物品の一例として所謂3ピースタイプの使い捨ておむつ1を例示したが、何らこれに限られない。例えば、腹側部と股下部と背側部とを有した外装シートを第1部品、外装シートの肌側面に固定される吸収性本体を第2部品として有する2ピースタイプの使い捨ておむつや、テープ式の使い捨ておむつでもよい。