JPWO2017110536A1 - 光学フィルム、光学フィルムロール体及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents

光学フィルム、光学フィルムロール体及び光学フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有する薄膜な光学フィルムであっても、安価なプロテクトフィルムとともに光学フィルムロール体を形成した際に、転写故障や傷故障が生じ難く、当該プロテクトフィルムを剥がした後の加工適性にも優れる光学フィルム、光学フィルムロール体及び光学フィルムの製造方法を提供することである。
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有し、膜厚が5〜40μmの範囲内である光学フィルムであって、炭素数5〜21のアルキル基を有するアルキルシラン、ジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン環状体、メタクリロキシシラン、及びアミノシランから選択される少なくとも一種の化合物により表面修飾されているシリカ粒子を含有することを特徴とする。

Description

本発明は、光学フィルム、光学フィルムロール体及び光学フィルムの製造方法に関する。より詳しくは、本発明は、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有する薄膜な光学フィルムであっても、安価なプロテクトフィルムとともに光学フィルムロール体を形成した際に、転写故障や傷故障が生じ難く、当該プロテクトフィルムを剥がした後の加工適性にも優れる光学フィルム等に関する。
光学フィルムは、製造効率の観点から、ある程度の量をまとめて長尺状に製造し、ロール状巻回体(以下、光学フィルムロール体又は簡単にロール体ともいう。)として保存されることが多い。長尺の光学フィルムを巻回しする際、光学フィルムの保護やハンドリング性の向上のため、プロテクトフィルムを当該光学フィルムに積層する技術が知られている。
最近の光学フィルムの薄膜化の傾向により、前記光学フィルムの保護やハンドリング時の傷を防止する観点から、前記プロテクトフィルムの重要性が高まっている。
プロテクトフィルムは、ハンドリング性を考慮して、表面に凹凸構造が付されていることが多い。ところが、シクロオレフィン系樹脂を含有する光学フィルムは一般に弾性率が低く柔らかであるため、プロテクトフィルムを貼合してロール状に巻回しすると、プロテクトフィルム表面の凹凸形状(シボともいう。)の当該光学フィルムへの転写が容易に生じてしまう問題があることが分かった。当該問題は光学フィルムの剛性が弱くなる薄膜領域(例えば、膜厚が40μm以下)でより顕著である。
この問題の改善のためプロテクトフィルムの表面の算術平均粗さRaを調整することでこの転写を改善する技術が報告されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
しかしながら、プロテクトフィルムに、前記算術平均粗さRaを均一に調整、付与するには、精度が必要であり、またそのためコストがかかる。プロテクトフィルムはあくまで光学フィルムのロール体を形成し保管、移動する際に必要な剥離性保護フィルムであるため、安価なことが望ましい。
また、比較的安価なプロテクトフィルムであるポリエチレンフィルム(PEフィルムともいう。)では、溶融製膜時のペレットの溶け残り、異物、及びこげ等によるフィルム欠陥(凹凸)が生じやすく、この凹凸が光学フィルムロール体に転写する「フィッシュアイ」と呼ばれる故障が発生する。前記「フィッシュアイ」を低減するには、プロテクトフィルムを厚膜にして弾性率を高くすることが考えられるが、その分コストが上昇する。また、プロテクトフィルムとして弾性率の高いポリエステルフィルム(例えば、PETフィルム)を使用することも考えられるが、当該PETフィルムはコストが大幅に高い。
さらに、光学フィルムの加工時において、プロテクトフィルムを剥離した後では当該光学フィルムのハンドリング性が低下する問題もある。
以上から、プロテクトフィルムを積層する光学フィルムロール体を形成する上で、上記問題点をそれぞれ解決する手段が求められている。
特開2015−125340号公報 特開2013−226809号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有する薄膜な光学フィルムであっても、安価なプロテクトフィルムとともに光学フィルムロール体を形成した際に、転写故障や傷故障が生じ難く、当該プロテクトフィルムを剥がした後の加工適性にも優れる光学フィルム、光学フィルムロール体及び光学フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有し、薄膜であり、特定の化合物によって表面修飾されているシリカ粒子を含有する光学フィルムによって、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有する薄膜な光学フィルムであっても、安価なプロテクトフィルムとともに光学フィルムロール体を形成した際に、転写故障や傷故障が生じ難く、当該プロテクトフィルムを剥がした後の加工適性にも優れる光学フィルムが得られることを見出した。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有し、膜厚が5〜40μmの範囲内である光学フィルムであって、炭素数5〜21のアルキル基を有するアルキルシラン、ジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン環状体、メタクリロキシシラン、及びアミノシランから選択される少なくとも一種の化合物により表面修飾されているシリカ粒子を含有することを特徴とする光学フィルム。
2.前記シリカ粒子を、フィルムの全質量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲内で含有することを特徴とする第1項に記載の光学フィルム。
3.前記シリカ粒子のフィルム中での平均粒子径が、5〜400nmの範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルム。
4.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの面上にプロテクトフィルムが備えられていることを特徴とする光学フィルムロール体。
5.第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、前記光学フィルムを溶液流延製膜法によって製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有する薄膜な光学フィルムであっても、安価なプロテクトフィルムとともに光学フィルムロール体を形成した際に、転写故障や傷故障が生じ難く、当該プロテクトフィルムを剥がした後の加工適性にも優れる光学フィルム、光学フィルムロール体及び光学フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明者の検討によれば、トリアセチルセルロースフィルム(TACフィルム)等のセルロースエステルの場合は、樹脂同士の相互作用が強く、含有されるシリカ粒子が比較的容易に二次凝集して粒子径が大きくなり、マット効果(滑り性、傷つき防止効果)を発揮することができるが、シクロオレフィン系樹脂の場合は、分子間の相互作用や表面張力が低いためシリカ粒子は二次凝集体を形成しづらく、単に一次粒子が樹脂中に分散した状態にとどまるため、マット効果が出にくいことが分かった。
本発明は、シクロオレフィン系樹脂フィルムに、鎖の長い官能基又は環状官能基を有する化合物により表面修飾しているシリカ粒子を含有させることで、シクロオレフィン系樹脂との絡み合いや相互作用が向上して二次凝集体を形成しやすくすることで、当該シクロオレフィン系樹脂フィルム自体のマット効果を発現するものである。そのため、前述の安価なプロテクトフィルムを積層して光学フィルムロール体を形成しても、「フィッシュアイ」故障の発生を抑制し、さらに、プロテクトフィルムを剥離して偏光板加工する際にも、ハンドリング性が良く偏光板収率を高くすることができる。
また、シクロオレフィン系樹脂フィルムの製膜方法として、溶融流延製膜法を採用すると、溶融物の粘度等の関係で、本発明に係るシリカ粒子を層内の面方向及び厚さ方向に均一に含有させることは難しいが、溶液流延製膜法によって製造することで、ドープ粘度を調整することができ、シリカ粒子を均一に分散することが容易となり、さらに分散した一次粒子から効果的に二次凝集体を形成できることも見出した。
本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程、乾燥工程及び巻取り工程の一例を模式的に示した図
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有し、膜厚が5〜40μmの範囲内である光学フィルムであって、炭素数5〜21のアルキル基を有するアルキルシラン、ジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン環状体、メタクリロキシシラン、及びアミノシランから選択される少なくとも一種の化合物により表面修飾されているシリカ粒子を含有することを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項5までの各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記シリカ粒子を、フィルムの全質量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲内で含有することが、安価なプロテクトフィルムとともに光学フィルムロール体を形成した際に、転写故障や傷故障が生じ難く、当該プロテクトフィルムを剥がした後の加工適性にも優れる光学フィルムが得られ、好ましい。
また、前記シリカ粒子のフィルム中での平均粒子径が、5〜400nmの範囲内であることが、前述のマット効果を発現する観点から、好ましい。
本発明の光学フィルムロール体は、光学フィルムの面上にプロテクトフィルムが備えられていることが好ましい実施態様であり、ロール体として保存される場合に、光学フィルムの保護やハンドリング性が向上する。
本発明の光学フィルムを製造する製造方法は、溶液流延製膜法によって製造することが、シリカ粒子を均一に分散し、さらに効果的に二次凝集体を形成できることから、好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の光学フィルムの概要≫
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有し、膜厚が5〜40μmの範囲内である光学フィルムであって、炭素数5〜21のアルキル基を有するアルキルシラン、ジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン環状体、メタクリルシラン、及びアミノシランから選択される少なくとも一種の化合物により表面修飾されているシリカ粒子を含有することを特徴とする。
ここで「主成分」とは、フィルムを構成する樹脂のうち50質量%以上含まれることをいう。
また、フィルムの「膜厚」は、フィルムの流れ方向に連続したテープ状サンプル(長さ3m)を採取し、市販される測定器(例えば、(株)セイコー・イーエム製電子マイクロメータ ミリトロン1240)を用いて、1cmピッチで100点の厚さを測定し平均して、膜厚の平均値(d)として求めることができる。
<本発明の光学フィルムの構成>
本発明の光学フィルム(以下、シクロオレフィン系フィルムという場合もある。)は、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有し、膜厚が5〜40μmの範囲内である、薄膜な光学フィルムであり、偏光板の保護フィルム、位相差フィルム等に用いられることが好ましい。また、本発明の光学フィルムがλ/4位相差フィルムである場合は、偏光子に貼合されることで円偏光板を形成し、例えば有機エレクトロルミネッセンス表示装置の反射防止フィルムとして使用することができる。
〔1〕シクロオレフィン系樹脂(シクロオレフィン系重合体)
シクロオレフィン系樹脂としては、種々のシクロオレフィン単量体の重合体を用いることができるが、ノルボルネン骨格を有するシクロオレフィン単量体を単独重合又は共重合して得られる重合体を用いることが好ましい。
中でも極性基を有するシクロオレフィン単量体を単独重合又は共重合して得られる重合体を用いることが、本発明に係るシリカ粒子との相互作用の関係で好ましい樹脂である。
以下において、本発明で用いられるシクロオレフィン単量体の説明をする。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂は、下記で示される一般式(A−1)及び(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体から単独重合又は共重合して得られる重合体であることが好ましい。特に一般式(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン系樹脂であることが、樹脂の極性基とシリカ粒子との相互作用によって、二次凝集体を形成しやすくする観点から、好ましい。
一般式(A−1)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を説明する。
Figure 2017110536
(一般式(A−1)中、R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を表す。又は、酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、若しくは極性基を表す。pは、0〜2の自然数を表す。)
上記極性基は、酸素、硫黄、窒素、ハロゲンなど電気陰性度の高い原子によって分極が生じている官能基のことをいう。上記極性基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、ハロゲン原子などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。また、酸素原子、窒素原子、イオウ原子又はケイ素原子を含む連結基を有していてもよい置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、例えばカルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭素原子数1〜30の炭化水素基なども極性基として挙げられる。これらの中では、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基であることが、溶液製膜時の溶解性を確保する観点で好ましい。
次に、本発明で好ましい、一般式(A−2)で表されるシクロオレフィン単量体を説明する。
Figure 2017110536
(一般式(A−2)中、Rは、独立に水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。pは、0〜2の整数を表す。)
本発明においては、一般式(A−2)で表されるように、置換基R及びRが片側炭素に置換されたシクロオレフィン単量体を用いることで、分子の対称性が崩れたためか溶媒揮発時の樹脂の拡散運動を促進し、それに伴い樹脂の極性基がシリカ粒子と相互作用が強まり、二次凝集体を形成しやすくする観点から、好ましい。
は、炭素数1〜3の炭化水素基、Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基であることが、本発明の効果に加えて溶液製膜時の溶解性を確保する観点からも好ましい。
以下に、本願における一般式(A−1)及び(A−2)の構造を具体的に示すが、以下の具体例によって限定されるものではない。
Figure 2017110536
シクロオレフィン単量体と共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロオレフィン単量体と開環共重合可能な共重合性単量体、及びシクロオレフィン単量体と付加共重合可能な共重合性単量体等が含まれる。
開環共重合可能な共重合性単量体の例には、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン及びジシクロペンタジエン等のシクロオレフィンが含まれる。
付加共重合可能な共重合性単量体の例には、不飽和二重結合含有化合物、ビニル系環状炭化水素単量体及び(メタ)アクリレート等が含まれる。不飽和二重結合含有化合物の例には、炭素原子数2〜12(好ましくは2〜8)のオレフィン系化合物が含まれ、その例には、エチレン、プロピレン及びブテン等が含まれる。ビニル系環状炭化水素単量体の例には、4−ビニルシクロペンテン及び2−メチル−4−イソプロペニルシクロペンテン等のビニルシクロペンテン系単量体が含まれる。(メタ)アクリレートの例には、メチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の炭素原子数1〜20のアルキル(メタ)アクリレートが含まれる。
シクロオレフィン単量体と共重合性単量体との共重合体におけるシクロオレフィン単量体の含有割合は、共重合体を構成する全単量体の合計に対して例えば20〜80モル%、好ましくは30〜70モル%とし得る。
シクロオレフィン系樹脂としては、ノルボルネン骨格を有する前記一般式(A−1)及び(A−2)で表される構造を有するシクロオレフィン単量体を単独重合又は共重合して得られる重合体であり、例えば以下のものが挙げられる。
(1)シクロオレフィン単量体の開環重合体
(2)シクロオレフィン単量体と共重合性単量体との開環共重合体
(3)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体の水素添加(共)重合体
(4)上記(1)又は(2)の開環(共)重合体をフリーデルクラフト反応により環化したのち、水素添加した(共)重合体
(5)シクロオレフィン単量体と不飽和二重結合含有化合物との飽和重合体
(6)シクロオレフィン系単量体の付加型(共)重合体及びその水素添加(共)重合体
(7)シクロオレフィン系単量体とメタクリレート、又はアクリレートとの交互共重合体
上記(1)〜(7)の重合体は、いずれも公知の方法、例えば特開2008−107534号公報や特開2005−227606号公報に記載の方法で得ることができる。例えば、上記(2)の開環共重合に用いられる触媒や溶媒は、例えば特開2008−107534号公報の段落0019〜0024に記載のものを使用できる。上記(3)及び(6)の水素添加に用いられる触媒は、例えば特開2008−107534号公報の段落0025〜0028に記載のものを使用できる。上記(4)のフリーデルクラフツ反応に用いられる酸性化合物は、例えば特開2008−107534号公報の段落0029に記載のものを使用できる。上記(5)〜(7)の付加重合に用いられる触媒は、例えば特開2005−227606号公報の段落0058〜0063に記載のものを使用できる。上記(7)の交互共重合反応は、例えば特開2005−227606号公報の段落0071及び0072に記載の方法で行うことができる。
中でも、上記(1)〜(3)及び(5)の重合体が好ましく、上記(3)及び(5)の重合体がより好ましい。
本発明に係る好ましいシクロオレフィン重合体としては、下記一般式(B−1)及び一般式(B−2)で表される構造単位を有するものも挙げられる。このようなシクロオレフィン系樹脂は、一般式(B−1)で表される構造単位のみ、一般式(B−2)で表される構造単位のみ、一般式(B−1)と一般式(B−2)のそれぞれの構造単位を含む共重合体でもよい。
好ましくは、一般式(B−2)の構造体のみ、又は一般式(B−1)と一般式(B−2)の両者の構造単位を含む共重合体の樹脂である。得られるシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度が高くかつ透過率の高い優れたものとなる点で好ましい。
Figure 2017110536
(一般式(B−1)中、Xは、−CH=CH−で表される基又は−CHCH−で表される基である。R〜Rは、それぞれ独立に水素原子又はハロゲン原子を表す。又は、酸素原子、窒素原子、イオウ原子若しくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換又は非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基、若しくは極性基を表す。pは、0〜2の自然数を表す。)
Figure 2017110536
(一般式(B−2)中、Xは、−CH=CH−で表される基又は−CHCH−で表される基である。Rは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、又は炭素数1〜5のアルキル基を有するアルキルシリル基を表す。Rは、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表す。pは、0〜2の整数を表す。)
本明細書では、本願に係るシクロオレフィン系樹脂の製造方法等については、特開2008−107534号公報の記載を援用するものとし、その説明を省略する。
シクロオレフィン系樹脂は1種単独で、又は2種以上を併用することができる。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂の好ましい分子量は、下記ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8000〜100000、さらに好ましくは10000〜80000、特に好ましくは12000〜50000であり、重量平均分子量(Mw)は20000〜300000、さらに好ましくは30000〜250000、特に好ましくは40000〜200000の範囲のものが好適である。
重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定する。
測定条件は以下のとおりである。
溶媒: ジクロロメタン
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜1000000の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあることによって、シクロオレフィン系樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、本発明のシクロオレフィン系フィルムとしての成形加工性が良好となる。
本発明に係るシクロオレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、通常、110℃以上、好ましくは110〜350℃、さらに好ましくは120〜250℃、特に好ましくは120〜220℃である。Tgが110℃以上の場合が、高温条件下での使用、又はコーティング、印刷などの二次加工により変形が起こりにくいため好ましい。
一方、Tgが350℃以下とすることで、成形加工が困難になる場合を回避し、成形加工時の熱によって樹脂が劣化する可能性を抑制することができる。
シクロオレフィン系樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば特開平9−221577号公報、特開平10−287732号公報に記載されている、特定の炭化水素系樹脂、又は公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを配合してもよく、特定の波長分散剤、可塑剤、酸化防止剤、剥離促進剤、ゴム粒子、紫外線吸収剤などの添加剤を含んでもよい。
また、シクロオレフィン系樹脂は、市販品を好ましく用いることができ、市販品の例としては、JSR(株)からアートン(ARTON:登録商標)G、アートンF、アートンR、及びアートンRXという商品名で発売されており、これらを使用することができる。
〔2〕シリカ粒子
本発明に係るシリカ粒子は、二酸化ケイ素を主成分とする粒子である。主成分とは、粒子を構成する成分の50%以上を含有することをいい、好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上含まれることをいう。
本発明に係るシリカ粒子は、下記構造式で示される炭素数5〜21のアルキル基を有するアルキルシラン、ジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン環状体、メタクリロキシシラン、及びアミノシランから選択される少なくとも一種の化合物により表面修飾されているシリカ粒子である。
このような鎖の長い官能基又は環状官能基を有する化合物により表面修飾しているシリカ粒子を含有させることで、シクロオレフィン系樹脂との絡み合いや相互作用が向上して二次凝集体を形成しやすくすることで、当該シクロオレフィン系樹脂フィルム自体のマット効果を発現するものである。そのため、前述の安価なプロテクトフィルムを積層して光学フィルムロール体を形成しても、「フィッシュアイ」故障の発生を抑制し、さらに、プロテクトフィルムを剥離して偏光板加工する際にも、ハンドリング性が良く偏光板収率を高くすることができる。
Figure 2017110536
また、シリカ粒子表面が疎水化処理されることは、シリカ粒子の溶媒に対しての分散性が向上し、異物の発生を抑制できることから、好ましい。
シリカ粒子表面の疎水化の程度は、以下のメタノールウエッタビリティ法によって、定量化することができ、本発明に係るシリカ粒子であるかを判断することができる。
〈メタノールウエッタビリティ法〉
メタノールと純水とを混合させた溶液において、純水に対するメタノールの混合比率を変えながら、各溶液にシリカ粒子を同量(同体積量)添加して撹拌混合し、この混合した各溶液を遠心分離させて、前記シリカ粒子の沈降物の体積をそれぞれ求め、当該溶液におけるシリカ粒子の沈降物の体積が50%となる溶液のメタノール混合比率をいう。
メタノールの混合比率が50体積%以上である場合、本発明の目的に合致したシリカ粒子であると判断する。
例えば、純水に対するメタノールの比率を変えた溶液を複数用意し、測定するシリカ微粒子の沈降物の体積が2.5mLであり、初めに添加したシリカ粒子の体積が5mLとなる溶液のメタノール混合比率が50体積%以上であれば、当該シリカ粒子は、本発明でいう疎水化の表面修飾がなされたシリカ粒子と判断する。
シリカ粒子の一次粒子の平均粒子径は、5〜400nmの範囲内が好ましく、さらに好ましいのは7〜300nmの範囲内である。
シリカ粒子の二次粒子の平均粒子径、すなわちフィルム中での平均粒子径は、100〜400nmの範囲内であることが、プロテクトフィルムの転写やハンドリング時の傷発生を防止する観点から好ましい。また、一次粒子の平均粒子径が100〜400nmの範囲内であれば、凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
〈シリカ粒子の平均粒子径の測定方法〉
光学フィルム中におけるシリカ粒子の粒子径の測定は、ミクロトームで断層カットしたフィルム断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で適当な倍率で撮影し、断層カット写真に含まれる100個の粒子の粒子径を測定し、平均値を求め平均粒子径とする。粒子径は、粒子の断面が円形状の場合はその直径とし、円形状以外の場合は面積を算出し、それを円形状に換算したときの直径とする。
SEM:JSM−6060LA(JEOL:日本電子株式会社)
ミクロトーム:ライカ製EM UC6
フィルム中のシリカ粒子の含有量は、フィルムの全質量に対して0.1〜5.0質量%含有することが好ましく、0.5〜3.0質量%の範囲内であることが好ましく、特に1.0〜2.5質量%の範囲内であることが、二次凝集体を形成し、本発明の効果を発現する上で好ましい。
本発明に係るシリカ粒子は、市販品を好ましく使用することができ、下記日本アエロジル株式会社の製品アエリジルシリーズは好適である(括弧内は表面修飾剤)。
R805(オクチルシラン)、R816(ヘキサデシルシラン)、NKC130(ジメチルシロキサン)、R711、R7200(以上、メタクリロキシシラン)、R202、RY200、RY200S、RY300(以上、ジメチルシロキサン)、R104、R105(以上、ジメチルシロキサン環状体)、RA200H、RA200HS(以上、アミノシラン)(以上、日本アエロジル株式会社製疎水性アエロジル)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジルR816、NKC130及びRY300が、ハンドリング時の取り扱い性を向上しかつ光学フィルムのヘイズを低く保つことができ、好ましい。
本発明の光学フィルムにおいては、シリカ粒子を含有し、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0の範囲内であることが好ましい。動摩擦係数は、「JIS K7125 プラスチック−フィルム及びシート摩擦係数試験方法」に準じて測定することができる。
本発明に係るシリカ粒子の添加方法については、例として以下の第1〜第3の方法が挙げられるが、いずれの方法を用いてもよい。
〔第1添加方法〕
溶媒と粒子とを撹拌混合した後、分散機を用いて分散を行い、これをドープに加えて撹拌することで流延ドープを得る。
〔第2添加方法〕
溶媒と粒子とを撹拌混合した後、分散機を用いて分散を行ない、粒子分散液を作製する。次に、溶媒に少量の樹脂を加え、撹拌溶解させたものに前記粒子分散液を加えて撹拌した後、これを原料ドープ液に加えて十分に混合させて流延ドープを得る。
〔第3添加方法〕
溶媒に少量の樹脂を加え、撹拌溶解させた後、粒子を加えて分散機を用いて分散を行う。これをドープに加えて十分に混合させる。
完成した流延ドープに含有するシリカ粒子は、ドープの調製に再生フィルムを用いた場合には、この中に含有されるものでもよいが、再生フィルムチップの元となるフィルムを製造する際の流延ドープは、本発明によるものであることが好ましい。
〔3〕その他添加剤
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、位相差上昇剤、可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、剥離剤などを含んでもよい。以下に主要な添加剤の詳細を記す。
〔3.1〕位相差上昇剤
本願でいう位相差上昇剤とは、シクロオレフィン系樹脂100質量部に対して当該化合物を3質量部含有したシクロオレフィン系フィルムの厚さ方向の位相差値Rt(光波長590nm測定)が、未添加のシクロオレフィン系フィルムと比べて1.1倍以上の値を示す機能を有する化合物をいう。
本発明に用いられる位相差上昇剤は、特に制限されるものではなく、例えば従来知られている、特開2006−113239号公報段落〔0143〕〜〔0179〕に記載の芳香族環を有する円盤状化合物(1,3,5−トリアジン系化合物等)、特開2006−113239号公報段落〔0106〕〜〔0112〕記載の棒状化合物、特開2012−214682号公報段落〔0118〕〜〔0133〕記載のピリミジン系化合物等を用いることができる。シクロオレフィン系樹脂に対する添加量も上記公報に記載されている範囲で調整される。
〔3.2〕可塑剤
本発明において可塑剤として、さらにポリエステル樹脂を用いることができる。ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
ポリエステル樹脂は、シクロオレフィン系樹脂100質量部に対して当該化合物を1〜20質量%添加することが好ましく、より好ましくは3〜15質量%、さらに好ましくは5〜10質量%の範囲で添加することができる。
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ポリエステル樹脂は、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,4′−ビフェニルジカルボン酸等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
前記脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
ポリエステル樹脂の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4′−ビフェニルジカルボキシレート樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。
より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.7〜2.0cm/gの範囲内が好ましく、より好ましくは0.8〜1.5cm/gの範囲内である。固有粘度が0.7cm/g以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形物が成形物として必要な機械的性質を有するとともに、透明性が良好となる。固有粘度が2.0cm/g以下の場合、成形性が良好となる。他の可塑剤としては、特開2013−97279号公報の段落0056〜0080の一般式(PEI)及び一般式(PEII)に記載の化合物を用いてよい。
〔3.3〕紫外線吸収剤
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、偏光板や液晶表示装置に照射される不要な紫外線を遮蔽するために、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
本発明のシクロオレフィン系フィルムを、光学補償フィルムのほかに、偏光板の保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ液晶の表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ない特性を備えていることが好ましい。
紫外線吸収剤の添加量は、シクロオレフィン系樹脂に対して0.1〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜5.0質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、「チヌビン(TINUVIN)109」、「チヌビン(TINUVIN)171」、「チヌビン(TINUVIN)326」、「チヌビン(TINUVIN)328」、「チヌビン(TINUVIN)928」、「チヌビン(TINUVIN)812」(以上、商品名、BASFジャパン社製)を好ましく使用できる。
〔3.4〕酸化防止剤
酸化防止剤は、例えば、基材フィルム中の残留溶媒のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により基材フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、フィルム中に適量含有させることが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
〔4〕シクロオレフィン系フィルムの製造方法
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、溶液流延製膜法で製造されたフィルムであることが好ましい。シクロオレフィン系樹脂フィルムの製膜方法として、溶融流延製膜法を採用すると、溶融物の粘度等の関係で、本発明に係るシリカ粒子を層内の面方向及び厚さ方向に均一に含有させることは難しいが、溶液流延製膜法によって製造することで、ドープ粘度を調整することができ、シリカ粒子を均一に分散することが容易となり、さらに分散した一次粒子から効果的に二次凝集体を形成できる観点から、好ましい製膜方法である。
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、少なくともシクロオレフィン系樹脂、シリカ粒子及び有機溶媒を含有するドープを調製する工程(ドープ調製工程)と、前記ドープを支持体上に流延してウェブ(流延膜ともいう。)を形成する工程(流延工程)と、支持体上でウェブから溶媒を蒸発させる工程(溶媒蒸発工程)、ウェブを支持体から剥離する工程(剥離工程)、得られたフィルムを乾燥させる工程(予備乾燥工程)、フィルムを延伸する工程(延伸工程)、延伸後のフィルムを更に乾燥させる工程(本乾燥工程)、得られたシクロオレフィン系フィルムを巻取る工程(巻取り工程)によって製造されることが好ましい。また、本発明では、上記シクロオレフィン系フィルムの巻取り工程において、プロテクトフィルムとともに、当該プロテクトフィルムがシクロオレフィン系フィルムの表面に接するように巻き取ることが好ましい。
以上の工程を図をもって説明する。
図1は、本発明に好ましい溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程、乾燥工程及び巻取り工程の一例を模式的に示した図である。
本発明に係るシリカ粒子を用いる場合は、分散機によって溶媒とシリカ粒子を分散させた微粒子分散液は仕込み釜41から濾過器44を通過しストック釜42にストックされる。一方主ドープであるシクロオレフィン系樹脂は溶媒とともに溶解釜1にて溶解され、適宜ストック釜42に保管されているシリカ粒子が添加されて混合され主ドープを形成する。得られた主ドープは、濾過器3、ストック釜4から濾過器6によって濾過され、合流管20によって添加剤が添加されて、混合機21で混合されて加圧ダイ30に液送される。
一方、添加剤(例えば紫外線吸収剤、位相差上昇剤など)は、溶媒に溶解され、添加剤仕込み釜10から濾過器12を通過してストック釜13にストックされる。その後、濾過器15を通して導管16を経由して合流管20、混合機21によって主ドープと混合される。
加圧ダイ30に液送された主ドープは、金属ベルト状の支持体31上に流延されてウェブ32を形成し、所定の乾燥後剥離位置33で剥離されフィルムを得る。剥離されたウェブ32は、予備乾燥装置にて多数の搬送ローラーに通しながら、所定の残留溶媒量になるまで乾燥された後、延伸装置34によって長手方向又は幅手方向に延伸される。延伸後、本乾燥装置35によって所定の残留溶媒量になるまで、搬送ローラー36に通しながら乾燥し、プロテクトフィルムロール38から繰り出されたプロテクトフィルムとともに、巻取り装置37によって、ロール状に巻取られる。
以下、各工程について説明する。
(1)ドープ調製工程
シクロオレフィン系樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で当該シクロオレフィン系樹脂、シリカ粒子、場合によって、位相差上昇剤又はその他の化合物を撹拌しながら溶解しドープを調製する工程、又は当該シクロオレフィン系樹脂溶液に、前記シリカ粒子、位相差上昇剤又はその他の化合物溶液を混合して主溶解液であるドープを調製する工程である。
本発明のシクロオレフィン系フィルムを溶液流延法で製造する場合、ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、シクロオレフィン系樹脂、位相差上昇剤及びその他の化合物を同時に溶解するものであることが好ましい。
用いられる有機溶媒として、以下の溶媒が好ましく用いられる。
芳香族系の溶媒は、トルエン、キシレン、スチレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒であることが好ましい。中でもトルエンであることが好ましい。
また、市販のシクロオレフィン系樹脂中には、樹脂の合成用溶媒としてトルエン等を添加する場合があり、その際は、本発明に係る芳香族系の有機溶媒として扱う。
ハロゲン系の溶媒は、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2ジクロロエタンなどの塩素系溶媒であることが好ましい。中でもジクロロメタンであることが好ましい。
非芳香族系の溶媒(ハロゲン系の溶媒を除く)は、イソプロパノール、オクタン、アセトン、ギ酸エチル、1ブタノール、酢酸エチル及びシクロヘキサンから選択されることが好ましい。
これら溶媒は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、メタノール、エタノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン(MEK)、ジエチルエーテルなどの有機溶媒を本発明の効果を阻害しない範囲で用いることもできる。
本発明に用いられる有機溶媒は、良溶媒と貧溶媒の混合溶媒であることが好ましく、当該良溶媒としては、例えば、ハロゲン系の溶媒としてジクロロメタンが挙げられる。当該良溶媒は、溶媒全体量に対して55質量%以上を用いることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上用いることである。
貧溶媒は非芳香族系の溶媒から選択されることが好ましく、当該非芳香族系の溶媒としては、アセトン又は酢酸エチルから選択されることが、剥離性を改善し、高速度流延を可能にする観点から好ましい。ドープ中の非芳香族系の溶媒の比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、好ましい。得られるシクロオレフィン系フィルムの平面性を高める点から、非芳香族系の溶媒濃度が0.5〜30質量%の範囲内にあるドープを用いて製膜することが好ましい。
また、前記アルコール系溶媒を用いることも好ましく、中でもエタノールを用いることが好ましい。
シクロオレフィン系樹脂、シリカ粒子、場合によっては位相差上昇剤、その他の化合物の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、常圧で行う方法が好ましい。
ドープ中のシクロオレフィン系樹脂の濃度は、10〜40質量%の範囲であることが好ましい。溶解中又は後のドープに化合物を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
ドープの濾過については、好ましくはリーフディスクフィルターを具備する主な濾過器3で、ドープを例えば90%捕集粒子径が微粒子の平均粒子径の10倍〜100倍の濾材で濾過することが好ましい。
本発明において、濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行なわなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。
このため、本発明において、シクロオレフィン系樹脂ドープに使用する濾材は、絶対濾過精度0.008mm以下のものが好ましく、0.001〜0.008mmの範囲が、より好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材がさらに好ましい。
濾材の材質には、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
本発明において、濾過の際のドープの流量が、10〜80kg/(h・m)、好ましくは20〜60kg/(h・m)であることが好ましい。ここで、濾過の際のドープの流量が、10kg/(h・m)以上であれば、効率的な生産性となり、濾過の際のドープの流量が、80kg/(h・m)以内であれば、濾材にかかる圧力が適正となり、濾材を破損させることがなく、好ましい。
濾圧は、3500kPa以下であることが好ましく、3000kPa以下が、より好ましく、2500kPa以下であることがさらに好ましい。なお、濾圧は、濾過流量と濾過面積を適宜選択することで、コントロールできる。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。
返材とは、例えばシクロオレフィン系フィルムを細かく粉砕した物で、シクロオレフィン系フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでフィルムの規定値を越えたシクロオレフィン系フィルム原反が使用される。
また、ドープ調製に用いられる樹脂の原料としては、あらかじめシクロオレフィン系樹脂及びその他の化合物などをペレット化したものも、好ましく用いることができる。
(2)流延工程
(2−1)ドープの流延
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属支持体31、例えば、ステンレスベルト、又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mの範囲、好ましくは1.3〜3mの範囲、さらに好ましくは1.5〜2.8mの範囲とすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下、さらに好ましくは−30〜0℃の範囲に設定される。温度が高い方がウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブという。)の乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃の範囲が更に好ましい。または、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
流延(キャスト)するドープの温度としては、フィルムの平面性、乾燥性、添加剤、シリカ粒子を均一に分散させる観点から20℃〜35℃であることが好ましい。
ダイは、ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して積層してもよい。
(2−2)溶媒蒸発工程
ウェブを流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程であり、後述する剥離時の残留溶媒量を制御する工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを30〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。30〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、透湿性、剥離性の観点から、30〜180秒以内で当該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
(2−3)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブはフィルムとして次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃の範囲であり、さらに好ましくは11〜30℃の範囲である。
本発明では、前記溶媒蒸発工程でウェブ中の溶媒を蒸発するが、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの残留溶媒量は、15〜100質量%の範囲内とすることが好ましい。残留溶媒量の制御は、前記溶媒蒸発工程における乾燥温度及び乾燥時間で行うことが好ましい。
前記残留溶媒量が15質量%以上では、支持体上での乾燥過程において、シリカ粒子が厚さ方向に分布を持たずフィルム中に均一に分散した状態になるため、延伸によって所望の凹凸構造ができ、巻取り形状の変形を抑制しやすい。また乾燥時間が長くならず生産性も向上する。
また、前記残留溶媒量が100質量%以内であれば、フィルムが自己支持性を有し、フィルムの剥離不良を回避でき、ウェブの機械的強度も保持できることから剥離時の平面性が向上し、剥離張力によるツレや縦スジの発生を抑制できる。
ウェブ又はフィルムの残留溶媒量は下記式(Z)で定義される。
式(Z)
残留溶媒量(%)=(ウェブ又はフィルムの加熱処理前質量−ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)/(ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体からウェブを剥離してフィルムとする際の剥離張力は、通常、196〜245N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜30℃の範囲内とするのが最も好ましい。
(3)乾燥及び延伸工程
乾燥工程は予備乾燥工程(第1乾燥工程)、本乾燥工程(第2乾燥工程)に分けて行うこともできる。
(3−1)予備乾燥工程
金属支持体からウェブ剥離して得られたフィルムは予備乾燥させる。フィルムの予備乾燥は、フィルムを、上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させてもよいし、後述する延伸装置34を兼ねるテンター乾燥機のようにフィルムの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。
ウェブの予備乾燥工程における乾燥温度は好ましくはフィルムのガラス転移点−5℃以下であって、30℃以上の温度で1分以上30分以下の熱処理を行うことが効果的である。乾燥温度は40〜150℃の範囲内、更に好ましくは50〜100℃の範囲内で乾燥が行われる。
(3−2)延伸工程
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、延伸装置34にて残留溶媒量下で延伸処理を行うことで、フィルムの平面性を向上したり、フィルム内の分子の配向を制御することで、所望の位相差値Ro及びRtを得ることができる。
本発明のシクロオレフィン系フィルムの製造方法は、当該フィルムを延伸する工程において、延伸開始時の残留溶媒量を1質量%以上15質量%未満とすることが好ましい。より好ましくは2〜10質量%の範囲内である。
本発明の光学フィルムは、長手方向(MD方向、流延方向ともいう。)及び/又は幅手方向(TD方向ともいう。)、及び/又は斜め方向に延伸することが好ましく、少なくとも延伸装置によって、幅手方向に延伸して製造することが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施してもよい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→斜め方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、延伸後の膜厚が所望の範囲になるように長手方向及び/又は幅手方向に、好ましくは幅手方向に、フィルムのガラス転移温度をTgとしたときに、(Tg+5℃)〜(Tg+50℃)の温度範囲で延伸することが好ましい。上記温度範囲で延伸すると、位相差の調整がしやすく、また延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色性に優れたシクロオレフィン系フィルムが得られる。延伸温度は、(Tg+10℃)〜(Tg+40℃)の範囲で行うことが好ましい。
なお、ここでいうガラス転移温度Tgとは、市販の示差走査熱量測定器を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。具体的なシクロオレフィン系フィルムのガラス転移温度Tgの測定方法は、JIS K7121(1987)に従って、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定する。
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、フィルムを少なくとも幅手方向に、元幅に対して5〜40%の範囲内の延伸率で延伸することが好ましく、さらにフィルムの長手方向及び幅手方向において、それぞれ延伸前の長さに対して5〜40%の範囲内の延伸率で延伸することがより好ましい。特に当該延伸率の範囲は、延伸前の長さに対して10〜30%の範囲内で延伸することがさらに好ましい。上記範囲内であれば、特に位相差上昇剤を含む場合は所望の位相差値が得られるばかりではなく、フィルムを薄膜化できる。本発明でいう延伸率とは、延伸前のフィルムの長手又は幅手の長さに対して、延伸後のフィルムの長手又は幅手の長さの比率(%)をいう。
長手方向に延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、又は縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
幅手方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程又は一部の工程を幅方向にクリップ又はピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる)、中でも、クリップを用いるテンター方式、ピンを用いるピンテンター方式が好ましく用いられる。
幅手方向への延伸に際し、フィルム幅手方向に250〜500%/minの延伸速度で延伸することが、フィルムの平面性を向上する観点から、好ましい。
延伸速度は250%/min以上であれば、平面性が向上し、またフィルムを高速で処理することができるため、生産適性の観点で好ましく、500%/min以内であれば、フィルムが破断することなく処理することができ、好ましい。
好ましい延伸速度は、300〜400%/minの範囲内であり、低倍率の延伸時に有効である。延伸速度は下記式1によって定義されるものである。
式1 延伸速度(%/min)=[(d/d)−1]×100(%)/t
(式1において、dは延伸後の本発明のシクロオレフィン系フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、dは延伸前のシクロオレフィン系フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、例えば位相差上昇剤を含有し、かつ延伸することにより所望の位相差値を付与し、光学補償フィルムとすることができる。
VA型液晶表示装置に好ましい位相差値は、測定波長590nmにおける面内位相差値Roが、10〜100nmの範囲であり、厚さ方向の位相差値Rtが100〜400nmの範囲であることが好ましい。
IPS型液晶表示装置の場合は、測定波長590nmにおける面内位相差値Roと厚さ方向の位相差値Rtがそれぞれ0≦Ro≦5nm、−15nm≦Rt≦15nmであることが、好ましい。
上記面内位相差値Ro、及び厚さ方向の位相差値Rtは自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率nx、ny、nzから算出することができる。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
延伸工程では、通常、延伸した後、保持・緩和が行われる。すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えば良い。
(3−3)本乾燥工程
本乾燥工程では、第2乾燥装置36によって延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。
中でも本発明では、本発明のシクロオレフィン系フィルム中の含有する有機溶媒量を調整するのに、本乾燥工程の条件を適宜調整して行うことが好ましい。
熱風等によりフィルムを加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。熱風温度は、40〜350℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5秒〜60分程度が好ましく、10秒〜30分がより好ましい。
また、加熱乾燥手段は熱風に制限されず、例えば、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置した搬送ローラー37でフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は残留溶媒量、搬送における伸縮率等を考慮して、40〜350℃の範囲がより好ましい。
乾燥工程においては、残留溶媒量が一般的には0.5質量%以下になるまで、フィルムを乾燥することが好ましい。
(4)巻取り工程
(4−1)ナーリング加工
所定の熱処理又は冷却処理の後、巻取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
ナーリング加工は、加熱されたエンボスローラーをフィルム幅手端部に押し当てることにより形成することができる。エンボスローラーには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることができる。
本発明のシクロオレフィン系フィルムの幅手両端部のナーリングの高さは4〜20μm、幅5〜20mmが好ましい。
また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻取りの前に設けることが好ましい。
(4−2)巻取り工程
フィルム中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻取る工程であり、残留溶媒量を好ましくは0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
巻取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使い分ければよい。
(4−3)プロテクトフィルム
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、更にプロテクトフィルムを当該シクロオレフィン系フィルム表面に貼合しながらロール状に巻き取ることが好ましい。当該プロテクトフィルムは、光学フィルムの保管や輸送中、又は偏光板加工等のハンドリング時の傷等の故障を防止する目的で用いられる。
プロテクトフィルムとして用いられるフィルムの材質は特に制限されるものではなく、例えば、セルロースエステル系フィルム、ポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のポリオレフィン系フィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ノルボルネン系樹脂フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルム、アクリルフィルム等を挙げることができる。中でも、フィルム物性及びコストの点からは、ポリエチレンフィルム及びポリプロピレンフィルムが好ましい。
本発明に用いられるプロテクトフィルムの厚さは、好ましくは10〜100μm、更に好ましくは15〜50μmである。プロテクトフィルムが10μm未満の場合は、光学フィルムを保護する性能が低くなり、また巻き取る際にシワになりやすく、また、100μmを超えると光学フィルムロール体の巻きが大きくなり、重量が増すため保管や輸送上ハンドリング性に支障が出る場合がある。
また、プロテクトフィルムは、粘着層を有していてもよく、粘着層は、コーティングにより粘着層を形成するものと、共押し出しにより、自己粘着層を形成するものがあるが、プロテクトフィルムの選択肢を広げることが可能であるという観点から、コーティングにより粘着層を形成する方法が好ましい。
粘着剤としては、例えば、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、ポリビニルエーテル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを挙げることができる。なお、粘着剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよいそれらの中でも、耐熱性、生産性の観点からアクリル系粘着剤が好ましい。
粘着層の厚さは、好ましくは2〜20μmの範囲、より好ましくは5〜15μmの範囲であることが好ましい。粘着層の厚みが20μmより厚いと、光学フィルムと貼り合わせて剥がす際に、糊残りが発生しやすい問題、プロテクトフィルムの繰り出し張力が高くなり、光学フィルムとの貼り合わせの際にしわや傷が生じやすくなる可能性がある。また、2μmより薄いと、粘着力が低くなってプロテクトフィルムの浮きや剥がれが発生する可能性がある。
プロテクトフィルムは、異物の混入を防ぐ目的や、巻き取りシワを抑制する目的で、粘着層面にセパレーターを用いる構成で製造される場合がある。その場合、粘着層面と、セパレーターの剥離力を軽くする目的や、剥離帯電を抑制する目的で、セパレーターへ離形処理を行うことが一般的である。離形剤としては、ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン系、フッ化アルキルなどのフッ素系、長鎖アルキルなどが用いられる。その中でも、離形性、加工性が良好である理由で、シリコーン系が好適に用いられる。
〔4〕シクロオレフィン系フィルムの物性
〈ヘイズ〉
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。
ヘイズ値の測定は、23℃・50%RHの環境下、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)により、フィルムの幅手方向に等間隔で10点の測定を行い、その平均値を求めヘイズとする。
〈平衡含水率〉
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。平衡含水率を4%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
平衡含水率は、試料フィルムを23℃、相対湿度20%に調湿された部屋に4時間以上放置した後、23℃80%RHに調湿された部屋に24時間放置し、サンプルを微量水分計(例えば三菱化学アナリテック(株)製、CA−20型)を用いて、温度150℃で水分を乾燥・気化させた後、カールフィッシャー法により定量する。
〈フィルム長、幅、膜厚〉
本発明のシクロオレフィン系フィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明のシクロオレフィン系フィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.3m以上であり、特に1.3〜4mであることが好ましい。
延伸後のフィルムの膜厚は、表示装置の薄型化、生産性の観点から、本発明のシクロオレフィン系フィルムの膜厚は5〜40μmの範囲内である。膜厚が5μm以上であれば、一定以上のフィルム強度や位相差を発現させることができる。膜厚が40μm以下であれば、フィルムの所望の位相差を具備しやすく、かつ偏光板及び表示装置の薄型化に適用できる。好ましいフィルムの厚さは15〜35μmの範囲内である。膜厚が40μmを超える場合は、表示装置の薄型化、軽量化が困難になる。
〔5〕光学フィルムの応用
本発明の光学フィルムは、液晶表示装置、有機EL表示装置等の各種表示装置やタッチパネルに用いられる機能フィルムであることが好ましい。具体的には、本発明の光学フィルムは、液晶表示装置又は有機EL表示装置用の偏光板保護フィルム、視野角拡大等の位相差フィルム(光学補償フィルムともいう。)、反射防止フィルム、輝度向上フィルム、ハードコートフィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルムなどでありうる。典型的には、本発明の光学フィルムは、偏光板保護フィルムである。本発明の光学フィルムは、前記位相差フィルムを兼ねる偏光板保護フィルムとして用いることもできる。本発明の光学フィルムは、耐傷性、取り扱い性に優れていることから、前記プロテクトフィルムを剥がした後の加工適性にも優れる光学フィルムである。
〔5.1〕偏光板
〔5.1.1〕偏光子
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、その例には、ポリビニルアルコール系偏光フィルムが含まれる。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子は、ポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸した後、染色するか又はポリビニルアルコールフィルムを染色した後、一軸延伸して、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理をさらに行って得ることができる。
偏光子の膜厚は、5〜30μmの範囲内が好ましく、5〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
ポリビニルアルコールフィルムとしては、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。また、特開2011−100161号公報、特許第4691205号公報、特許第4804589号公報に記載の方法で、偏光子を作製し本発明の光学フィルムと貼り合わせて偏光板を作製することが好ましい。
〔5.1.2〕接着剤
[水糊]
本発明に用いられる偏光板は、本発明の光学フィルムを完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)を用いて偏光子に貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には他の偏光板保護フィルムを貼合することができる。本発明の光学フィルムは液晶表示装置とされた際に、偏光子の液晶セル側に設けられることが好ましく、偏光子の外側のフィルムは、本発明の光学フィルム、及び従来の偏光板保護フィルムのどちらでも用いることができる。
例えば、従来の偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC6UY、KC6UA、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタ(株)製)が好ましく用いられる。
[活性エネルギー線硬化性接着剤]
また、本発明に用いられる偏光板においては、本発明の光学フィルムと偏光子とが、活性エネルギー線硬化性接着剤により貼合されていることが好ましい。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、下記紫外線硬化型接着剤を用いることが好ましい。
本発明においては、光学フィルムと偏光子との貼合に紫外線硬化型接着剤を適用することにより、薄膜でも強度が高く、平面性に優れた偏光板を得ることができる。
〈紫外線硬化型接着剤の組成〉
偏光板用の紫外線硬化型接着剤組成物としては、光ラジカル重合を利用した光ラジカル重合型組成物、光カチオン重合を利用した光カチオン重合型組成物、並びに光ラジカル重合及び光カチオン重合を併用したハイブリッド型組成物が知られている。
光ラジカル重合型組成物としては、特開2008−009329号公報に記載のヒドロキシ基やカルボキシ基等の極性基を含有するラジカル重合性化合物及び極性基を含有しないラジカル重合性化合物を特定割合で含む組成物)等が知られている。特に、ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の好ましい例には、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が含まれる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、N置換(メタ)アクリルアミド系化合物、(メタ)アクリレート系化合物などが含まれる。(メタ)アクリルアミドは、アクリアミド又はメタクリアミドを意味する。
また、光カチオン重合型組成物としては、特開2011−028234号公報に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、及び(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する紫外線硬化型接着剤組成物が挙げられる。ただし、これ以外の紫外線硬化型接着剤が用いられてもよい。
(1)前処理工程
前処理工程は、光学フィルムの偏光子との接着面に易接着処理を行う工程である。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(紫外線硬化型接着剤の塗布工程)
紫外線硬化型接着剤の塗布工程としては、偏光子と光学フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、上記紫外線硬化型接着剤を塗布する。偏光子又は光学フィルムの表面に直接、紫外線硬化型接着剤を塗布する場合、その塗布方法に特段の限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の湿式塗布方式が利用できる。また、偏光子と光学フィルムの間に、紫外線硬化型接着剤を流延させたのち、ローラー等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(2)貼合工程
上記の方法により紫外線硬化型接着剤を塗布した後は、貼合工程で処理される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子の表面に紫外線硬化型接着剤を塗布した場合、そこに光学フィルムが重ね合わされる。また、はじめに光学フィルムの表面に紫外線硬化型接着剤を塗布する方式の場合には、そこに偏光子が重ね合わされる。また、偏光子と光学フィルムの間に紫外線硬化型接着剤を流延させた場合は、その状態で偏光子と光学フィルムとが重ね合わされる。そして、通常は、この状態で両面の光学フィルム側から加圧ローラー等で挟んで加圧することになる。加圧ローラーの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置される加圧ローラーは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
(3)硬化工程
硬化工程では、未硬化の紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して、カチオン重合性化合物(例えば、エポキシ化合物やオキセタン化合物)やラジカル重合性化合物(例えば、アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物等)を含む紫外線硬化型接着剤層を硬化させ、紫外線硬化型接着剤を介して重ね合わせた偏光子と光学フィルムを接着させる。偏光子の片面に光学フィルムを貼合する場合、活性エネルギー線は、偏光子側又は光学フィルム側のいずれから照射してもよい。また、偏光子の両面に光学フィルムを貼合する場合、偏光子の両面にそれぞれ紫外線硬化型接着剤を介して光学フィルムを重ね合わせた状態で、紫外線を照射し、両面の紫外線硬化型接着剤を同時に硬化させるのが有利である。
紫外線の照射条件は、本発明に適用する紫外線硬化型接着剤を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmの範囲であることが好ましく、100〜500mJ/cmの範囲であるのがさらに好ましい。
偏光板の製造工程を連続ラインで行う場合、ライン速度は、接着剤の硬化時間によるが、好ましくは1〜500m/minの範囲、より好ましくは5〜300m/minの範囲、さらに好ましくは10〜100m/minの範囲である。ライン速度が1m/min以上であれば、生産性を確保することができ、又は光学フィルムへのダメージを抑制することができ、耐久性に優れた偏光板を作製することができる。また、ライン速度が500m/min以下であれば、紫外線硬化型接着剤の硬化が十分となり、目的とする硬度を備え、接着性に優れた紫外線硬化型接着剤層を形成することができる。
〔5.1.3〕保護フィルム
偏光子の本発明の光学フィルムとは反対側に配置されるフィルムは、偏光子の保護フィルムとして機能するフィルムであることが好ましい。
このような保護フィルムとしては、本発明の光学フィルムを用いてもよいが、例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC5UX、KC4UX、KC8UCR3、KC4SR、KC4BR、KC4CR、KC4DR、KC4FR、KC4KR、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC2UA、KC4UA、KC6UAKC、2UAH、KC4UAH、KC6UAH、以上コニカミノルタ(株)製、フジタックT40UZ、フジタックT60UZ、フジタックT80UZ、フジタックTD80UL、フジタックTD60UL、フジタックTD40UL、フジタックR02、フジタックR06、以上富士フイルム(株)製)も好ましく用いることができる。
また、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の樹脂フィルム、脂環式ポリオレフィン(例えば、日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、シクロオレフィンコポリマー、ポリイミド(例えば、三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標))、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、アクリロイル化合物等の樹脂フィルムが挙げられる(括弧内はガラス転移温度Tgを示す。)。これら樹脂基材のうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)等のフィルムが保護フィルムとして好ましく用いられる。
上記保護フィルムの厚さは、特に制限されないが、10〜200μm程度とすることができ、好ましくは10〜100μmの範囲内であり、より好ましくは10〜70μmの範囲内である。
〔5.2〕液晶表示装置
上記本発明の光学フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた本発明に用いられる液晶表示装置を作製することができる。
また、本発明の光学フィルムは、フィルム内にシリカ粒子を含有していることから、多角形や曲線を持つディスプレイ用途の偏光板に用いることもでき、フリーフォームで打ち抜きを行った際に端面にササクレや割れ等のクラックが生じたり、切断による切粉が生じやすいという、従来の問題を解決することもできる。
本発明に用いられる偏光板は、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。好ましくはVA(MVA,PVA)型液晶表示装置及びIPS型液晶表示装置である。
液晶表示装置には、通常視認側の偏光板とバックライト側の偏光板の2枚の偏光板が用いられるが、本発明に用いられる偏光板を両方の偏光板として用いることも好ましく、片側の偏光板として用いることも好ましい。特に本発明に用いられる偏光板は外部環境に直接触れる視認側の偏光板として用いることが好ましく、本発明の光学フィルムが保護フィルムである場合は視認側表面、又は本発明の光学フィルムが光学補償フィルムである場合は、液晶セル側に配置されることが好ましい。IPS型液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いる場合には、液晶セルの両側に配置されることが好ましい。
また、バックライト側の偏光板は本発明以外の偏光板を用いることもでき、その場合は偏光子の両面を、前述の保護フィルムを貼合した偏光板が好ましく用いられる。
また、バックライト側の偏光板として、偏光子の液晶セル側に本発明の光学フィルムを用い、反対側の面に上記市販の保護フィルムや位相差フィルム、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、又は他のシクロオレフィン系フィルムを貼合した偏光板も好ましく用いることができる。
本発明に用いられる偏光板を用いることで、特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、表示ムラ、正面コントラストなど視認性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
〔5.3〕有機エレクトロルミネッセンス表示装置
本発明のシクロオレフィン系樹脂を用いた光学フィルムは滑り性が良好であるため加工適性が高く、例えば、曲面形状を有する有機エレクトロルミネッセンス表示装置にも好適である。
本発明に用いられる有機エレクトロルミネッセンス表示装置に適用可能な有機EL素子の概要については、例えば、特開2013−157634号公報、特開2013−168552号公報、特開2013−177361号公報、特開2013−187211号公報、特開2013−191644号公報、特開2013−191804号公報、特開2013−225678号公報、特開2013−235994号公報、特開2013−243234号公報、特開2013−243236号公報、特開2013−242366号公報、特開2013−243371号公報、特開2013−245179号公報、特開2014−003249号公報、特開2014−003299号公報、特開2014−013910号公報、特開2014−017493号公報、特開2014−017494号公報等に記載されている構成を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
<実施例に用いた表面修飾されたシリカ粒子:表面修飾剤>
以下、日本アエロジル株式会社製(商品名)アエロジルシリーズ
R972 :ジメチルシラン
R812 :トリメチルシラン
R805 :オクチルシラン
R816 :ヘキサデシルシラン
NKC130:ジメチルシロキサン
R711 :メタクリルロキシシラン
RY300 :ジメチルシロキサン
R104 :ジメチルシロキサン環状体
RA200H:アミノシラン
<光学フィルム101の作製>
(シクロオレフィン系樹脂Pの合成)
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ[4.4.0.12,5 .17,10]−3−ドデセン(DNM)75質量%、ジシクロペンタジエン(DCP)24質量%、2−ノルボルネン1質量%、分子量調節剤の1−ヘキセン9部及びトルエン200部を、窒素置換した反応容器に仕込んで110℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム0.005部、メタノール変性WCl6(無水メタノール:PhPOCl2 :WCl6=103:630:427質量比)0.005部を加え1時間反応させることにより重合体を得た。得られた重合体の溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエンを200部加えた。次に、水素添加触媒であるRuHCl(CO)[P(C)]を0.006部添加し、90℃まで加熱した後、水素ガスを反応器へ投入し、圧力を10MPaとした。その後、圧力を10MPaに保ったまま、165℃、3時間の反応を行った。反応終了後、多量のメタノール溶液に沈殿させ、更に沈殿物をトルエン及びメタノールを用いて再沈殿精製して共重合体Pを得た。
共重合体Pは、ゲルパーミエ−ションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量(Mw)=7.2×10、分子量分布(Mw/Mn)=3.3、ガラス転移温度(Tg)=143℃であった。なお、13CNMR測定により共重合体Pのメトキシカルボニル基添加率を求めたところ、メトキシカルボニル基を有する単量体が75質量%添加されていることが確認された。上記で得られた共重合体Pは水素結合受容性基としてメトキシカルボニル基を有する単量体を75質量%保有するシクロオレフィン系樹脂Pである。
(微粒子分散液の調製)
シリカ微粒子(アエロジルR972 日本アエロジル(株)製)
11質量%
ジクロロメタン 89質量%
以上をディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリン分散機を用いて分散を行い、微粒子分散液を調製した。
(微粒子添加液1の調製)
溶解タンクにジクロロメタンを入れ、ジクロロメタンを十分に撹拌しながら上記調製した微粒子分散液を50質量%となるようにゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒子径が、所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過して、微粒子添加液1を調製した。
(ドープの調製)
エタノールの入った加圧溶解タンクに、上記合成したシクロオレフィン系樹脂Pを撹拌しながら投入した。次いで、微粒子添加液を表1に記載の添加量になるように添加した後、表1に記載の溶解温度で3時間加熱し、撹拌しながら、完全に溶解した。その後、安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、ドープを調製した。ドープの組成を下記に示す。
シクロオレフィン系樹脂P 100.0質量%
ジクロロメタン 290.0質量%
微粒子添加液 フィルム中で0.30質量%になる量を添加
バンド流延装置を用い、前記調製したドープをステンレス製の流延支持体(支持体温度22℃)に流延した。ドープ中の残留溶媒量が略20質量%の状態で剥ぎ取り、フィルムの幅方向の両端をテンターで把持し、残留溶媒量が10質量%の状態で、125℃の温度下で幅方向に1.01倍(1%)延伸しつつ乾燥した。その後、90℃の熱処理装置のロール間を30分かけて搬送することによりさらに乾燥させ、次いで市販のポリエチレン製のプロテクトフィルム(東レ加工フィルム株式会社製R7832C、膜厚30μm、PEと略記)を貼合しながら20m/秒の速度で巻取り、光学フィルム101を作製した。光学フィルム(表中、COPフィルムと表記)の厚さは15μm、幅は1492mm、長さは4000mであった。
<光学フィルム102の作製>
光学フィルム101の作製において、プロテクトフィルムを用いないで光学フィルムを巻き取った以外は同様にして、光学フィルム102を作製した。
<光学フィルム103の作製>
光学フィルム101の作製において、シリカ粒子R972の代わりにR812を用いた以外は同様にして光学フィルム103を作製した。
<光学フィルム104の作製>
光学フィルム103の作製において、プロテクトフィルムを用いないで光学フィルムを巻き取った以外は同様にして、光学フィルム104を作製した。
<光学フィルム105の作製>
光学フィルム101の作製において、シリカ粒子R972の代わりにRY300を用いた以外は同様にして光学フィルム105を作製した。
<光学フィルム106の作製>
光学フィルム105の作製において、プロテクトフィルムを用いないで光学フィルムを巻き取った以外は同様にして、光学フィルム106を作製した。
<光学フィルム107の作製>
光学フィルム101の作製において、シリカ粒子R972の代わりにNKC130を用いた以外は同様にして光学フィルム107を作製した。
<光学フィルム108の作製>
光学フィルム107の作製において、プロテクトフィルムを用いないで光学フィルムを巻き取った以外は同様にして、光学フィルム108を作製した。
<光学フィルム109〜114の作製>
光学フィルム107の作製において、COPフィルムの膜厚を流延支持体上への流延量を変化させることによって乾燥後の膜厚を、3μm、5μm、10μm、15μm、30μm、40μmに変化させた以外は同様にして、光学フィルム109〜114を作製した。
<光学フィルム115〜121の作製>
光学フィルム107の作製において、COPフィルムの膜厚を20μmとし、シリカ粒子の添加量を、0.05質量%、0.10質量%、0.30質量%、0.50質量%、1.00質量%、5.00質量%、6.00質量%に変化させた以外は同様にして、光学フィルム115〜121を作製した。
<光学フィルム122〜126の作製>
光学フィルム118の作製において、シリカ粒子NKC130の代わりに、R805、R816、R711、R104、RA200Hにそれぞれ変化させた以外は同様にして、光学フィルム122〜126を作製した。
以上作製した光学フィルム101〜126を用いて下記の評価を実施した。
≪評価≫
〔1〕メタノールウエッタビリティ評価(表中、MW法と表記。)
メタノールと純水とを混合させた溶液において、純水に対するメタノールの混合比率を変えながら、各溶液にシリカ粒子を同量(同体積量)添加して撹拌混合し、この混合した各溶液を遠心分離させて、前記シリカ粒子の沈降物の体積をそれぞれ求め、当該溶液におけるシリカ粒子の沈降物の体積が50%となる溶液のメタノール混合比率を示した。
メタノールの混合比率が50体積%以上である場合、本発明の目的に合致したシリカ粒子であると判断する。
R972 :ジメチルシラン :メタノール42体積%
R812 :トリメチルシラン :メタノール48体積%
R805 :オクチルシラン :メタノール50体積%
R816 :ヘキサデシルシラン :メタノール54体積%
NKC130:ジメチルシロキサン :メタノール67体積%
R711 :メタクリルロキシシラン :メタノール55体積%
RY300 :ジメチルシロキサン :メタノール69体積%
R104 :ジメチルシロキサン環状体:メタノール60体積%
RA200H:アミノシラン :メタノール51体積%
〔2〕シリカ粒子のフィルム中での粒子径
光学フィルム中におけるシリカ粒子の粒子径の測定は、ミクロトームで断層カットしたフィルム断面を走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で適当な倍率で撮影し、断層カット写真に含まれる100個の粒子の粒子径を測定し、平均値を求め平均粒子径とした。粒子径は、粒子の断面が円形状の場合はその直径とし、円形状以外の場合は面積を算出し、それを円形状に換算したときの直径とした。
SEM:JSM−6060LA(JEOL:日本電子株式会社)
ミクロトーム:ライカ製EM UC6
〔3〕転写(フィッシュアイ)及び耐傷性評価
巻き取った光学フィルムを繰り出して、目視にてプロテクトフィルムによる転写(フィッシュアイ)及び傷の発生(耐傷性)の有無を下記方法で評価した。
光学フィルムのプロテクトフィルムとは反対面に対して、ナトリウムランプ(KNL−35D、株式会社ライテスト社製)と三波長蛍光灯を用いて光を照射し、光学フィルム表面の凹凸及び傷n発生を暗室にて評価した。評価した部位は、端部5cmを除いたそれより内側の表面である。
◎:転写及び傷の発生がない
○:転写及び傷の発生のいずれかが軽微にある
△:転写及び傷の発生の両方とも軽微にある
×:転写及び傷の発生の両方とも明らかにある
実用的には、△以上は合格であるが、望ましくは○〜◎である。
光学フィルムの構成及び評価結果を表1に示す。
Figure 2017110536
表1より、本発明に係るシリカ粒子を含有するシクロオレフィン系フィルムは、プロテクトフィルム無しでも転写・傷発生に優れ、プロテクトフィルムを貼合して巻き取った際は転写故障・傷発生故障がさらに優れていることが分かる。
シリカ粒子の添加量を6.00質量%にした光学フィルム121は、転写故障・傷発生故障に優れているが、ヘイズがやや高く光学フィルムとしての品質はやや低い。
実施例2
<光学フィルム201〜206の作製>
光学フィルム111の作製において、プロテクトフィルムの材質及び膜厚を表2に記載のように変化させた以外は同様にして、光学フィルム201〜206を作製した。
ポリエチレンフィルム(表中、PEと表記):東レ加工フィルム株式会社製R7832C、膜厚30μm、50μm
ポリプロピレンフィルム(表中、PPと表記):株式会社サンエー化研製PRシリーズ、膜厚30μm、50μm
ポリエステルフィルム(表中、PETと表記):東レ株式会社製ポリエチレンテレフタレートフィルム ルミラー(登録商標)(U403)、膜厚30μm、50μm
上記作製した光学フィルム201〜206を用いて、実施例1と同様な転写及び傷の発生評価を実施し、結果を表2に示した。
Figure 2017110536
表2の結果から、プロテクトフィルムの膜厚を調整することで、比較的高価なポリエステルフィルムと同様な転写・傷耐性を、安価なポリエチレンフィルムやポリプロピレンフィルムで達成できることが分かる。
実施例3
<光学フィルム301〜306の作製>
光学フィルム107の作製において、プロテクトフィルムを貼合しながら、巻き取りの速度を5m/秒、10m/秒、20m/秒、30m/秒、40m/秒、50m/秒に変化させた以外は同様にして、光学フィルム301〜306を作製した。
<光学フィルム307〜312の作製>
光学フィルム108の作製において、巻き取りの速度を5m/秒、10m/秒、20m/秒、30m/秒、40m/秒、50m/秒に変化させた以外は同様にして、光学フィルム307〜312を作製した。
以上作製した光学フィルム301〜312を用いて、実施例1と同様な転写及び傷の発生評価を実施し、結果を表3に示した。
Figure 2017110536
表3の結果から、本発明に係るシリカ粒子を含有するシクロオレフィン系フィルムは、プロテクトフィルムを貼合して巻き取った際には、生産速度を大幅に高くしても、転写故障・傷発生故障に優れており、生産性向上に寄与できることが分かる。
また、プロテクトフィルム無しの場合でも本発明の光学フィルムは耐傷性に優れているが、生産速度を上げていくと耐傷性が劣る傾向にある。
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有する薄膜な光学フィルムであっても、安価なプロテクトフィルムとともに光学フィルムロール体を形成した際に、転写故障や傷故障が生じ難く、当該プロテクトフィルムを剥がした後の加工適性にも優れるため、偏光板や液晶表示装置に用いるのに好適である。
1 溶解釜
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストック釜
2、5、11、14 送液ポンプ
8、16 導管
10 添加剤仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 加圧ダイ
31 金属支持体
32 ウェブ
33 剥離位置
34 延伸装置
35 乾燥装置
36 搬送ローラー
37 巻取り装置
38 プロテクトフィルムロール
41 仕込釜
42 ストック釜
43 ポンプ

Claims (5)

  1. シクロオレフィン系樹脂を主成分として含有し、膜厚が5〜40μmの範囲内である光学フィルムであって、炭素数5〜21のアルキル基を有するアルキルシラン、ジメチルシロキサン、ジメチルシロキサン環状体、メタクリロキシシラン、及びアミノシランから選択される少なくとも一種の化合物により表面修飾されているシリカ粒子を含有することを特徴とする光学フィルム。
  2. 前記シリカ粒子を、フィルムの全質量に対して、0.1〜5.0質量%の範囲内で含有することを特徴とする請求項1に記載の光学フィルム。
  3. 前記シリカ粒子のフィルム中での平均粒子径が、5〜400nmの範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルム。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルムの面上にプロテクトフィルムが備えられていることを特徴とする光学フィルムロール体。
  5. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルムを製造する光学フィルムの製造方法であって、前記光学フィルムを溶液流延製膜法によって製造することを特徴とする光学フィルムの製造方法。
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