JP2017102311A - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、平面性の優れた光学フィルムの製造方法を提供することである。
【解決手段】本発明の光学フィルムの製造方法は、シクロオレフィン樹脂と溶媒を含有するドープを流延する工程を経て製膜する光学フィルムの製造方法であって、前記ドープ中の前記シクロオレフィンの濃度が10〜25質量%の範囲内であり、前記溶媒が前記シクロオレフィン樹脂に対して良溶媒と貧溶媒とを含有し、その良溶媒/貧溶媒の質量比の値が99/1〜90/10の範囲内であり、前記ドープの23℃における粘度が3.0〜10.0Pa・sの範囲内であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関し、より詳しくは平面性の優れた光学フィルムの製造方法に関する。
液晶表示装置用の偏光板保護フィルムに用いられる基材フィルムとして、従来広く用いられているセルロースアセテートフィルムは、吸湿性や透湿性を有するという欠点があり、一方シクロオレフィン樹脂を用いたフィルムは、この欠点が少なく、耐水性、耐熱性、透明性、光学特性や寸法安定性などが良好で、優れた熱可塑性樹脂の光学フィルムとして注目されている。
また、近年の表示装置の軽量化や薄型化及びモバイル市場の拡大に伴い、光学フィルムもさらなる薄膜化が要求されている。
しかしながら、シクロオレフィン樹脂フィルム(本願では、シクロオレフィン系フィルムともいう。)を薄膜化すると、薄膜化に伴い種々の物性の劣化が問題となってくる。
例えば、シクロオレフィン系フィルムの溶液流延製膜法による製膜方法は公知の技術であるが、薄膜化に伴い、従来問題とならなかった面状欠陥やフィルムの機械物性の低下が顕著に現れてきた。
フィルムの薄膜化に伴う平面性の劣化を改善する手段としては流延後の乾燥工程で残留溶媒や空気の流れを制御する溶液製膜方法(特許文献1参照)が知られている。しかしながら、この方法は、流延した後の乾燥時時における平面性の劣化を改善する技術であり、40〜65μmと、比較的厚いフィルムには有効ではあるが、平面性の優れた薄膜のシクロオレフィン系フィルムを得るには不十分であった。
特開2009−83149号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、平面性の優れた光学フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、有機溶媒中に特定の低含有率でシクロオレフィン樹脂を含有するドープを、23℃における粘度が3.0〜10.0Pa・sの範囲内の条件で支持体上に流延する工程を経て製膜する製造方法により、本発明の課題を達成できることを見いだした。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.シクロオレフィン樹脂と溶媒を含有するドープを流延する工程を経て製膜する光学フィルムの製造方法であって、前記ドープ中の前記シクロオレフィン樹脂の濃度が10〜25質量%の範囲内であり、前記溶媒が前記シクロオレフィン樹脂に対して良溶媒と貧溶媒とを含有し、その良溶媒/貧溶媒の質量比の値が99/1〜90/10の範囲内であり、前記ドープの23℃における粘度が3.0〜10.0Pa・sの範囲内であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
2.前記ドープの23℃における粘度が、5.0〜8.0Pa・sの範囲内であることを特徴とする第1項に記載の光学フィルムの製造方法。
3.前記ドープ中の前記シクロオレフィン樹脂の濃度が、15〜20質量%の範囲内であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の光学フィルムの製造方法。
4.前記ドープが、増粘剤を含有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
5.前記増粘剤が、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
Figure 2017102311
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数が、1から4までのアルキル基を表す。)
Figure 2017102311
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数が、1から20までのアルキル基を表す。)
本発明の上記手段により、平面性の優れた光学フィルムの製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明者の検討によれば、シクロオレフィン樹脂を用いる光学フィルムを溶液流延製膜法で製造する際、薄膜にするため製膜時のドープを希釈して固形分濃度を下げると、ダイスから幅手均一に吐出させることができず流延膜がスダレ状となり膜形成ができない。しかしドープ中のシクロオレフィン樹脂濃度とドープの粘度を特定の範囲内に制御することにより流延安定性を確保することができるため、平面性を損なうことなく薄膜フィルムを作ることができるものと推察される。
本発明に好ましい溶液流延製膜法のドープ調製工程、流延工程及び乾燥工程の一例を模式的に示した図
本発明の光学フィルムの製造方法は、シクロオレフィン樹脂と溶媒を含有するドープを流延する工程を経て製膜する光学フィルムの製造方法であって、前記ドープ中の前記シクロオレフィン樹脂の濃度が10〜25質量%の範囲内であり、前記溶媒が前記シクロオレフィン樹脂に対して良溶媒と貧溶媒とを含有し、その良溶媒/貧溶媒の質量比の値が99/1〜90/10の範囲内であり、前記ドープの23℃における粘度が3.0〜10.0Pa・sの範囲内であることを特徴とする。この特徴は、請求項1から請求項5までの各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記ドープの23℃における粘度が、5.0〜8.0Pa・sの範囲内であることが、流延膜の安定性、均一性の観点から好ましい。
また、前記ドープ中の前記シクロオレフィン樹脂の濃度が、15〜20質量%の範囲内であることが、乾燥負荷や長期生産性の観点から好ましい。
また、本発明においては、前記ドープが、増粘剤を含有することが、流延膜安定化させるためのドープ液物性制御が容易にできる観点から好ましい。
さらに、前記増粘剤が、前記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する化合物であることが、薄膜化による機械物性の低下を抑える効果があるという点で好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
≪本発明の光学フィルムの製造方法の概要≫
本発明の光学フィルムは、シクロオレフィン樹脂と溶媒を含有するドープを流延する工程を経て製膜する光学フィルムの製造方法であって、前記ドープ中の前記シクロオレフィン樹脂の濃度が10〜25質量%の範囲内であり、前記溶媒が前記シクロオレフィン樹脂に対して良溶媒と貧溶媒とを含有し、その良溶媒/貧溶媒の質量比の値が99/1〜90/10の範囲内であり、前記ドープの23℃における粘度が3.0〜10.0Pa・sの範囲内であることを特徴とする。
通常、溶液流延製膜法において薄膜フィルムは製膜時の流延膜の厚さを薄くすることで得られるが、流延膜の厚さを薄くするために流量を下げると、支持体の搬送速度に対し、ダイススリットからの吐出速度が遅くなり、流延膜が支持体に引っ張られることで、流延膜の揺れや振動により平面性が悪化する。ドープを希釈してシクロオレフィン濃度を下げることで流量を極端に下げることなく、薄膜化できるが、希釈によりドープ粘度が下がりすぎると、ダイスから幅手均一に吐出させることができず、流延膜がスダレ状となり膜形成ができない。
本発明ではドープ濃度と粘度を一定の範囲内に制御することで流延安定性を確保することができ、平面性を損なうことなく薄膜フィルムを作ることができると考えられる。
ドープのシクロオレフィン樹脂濃度と粘度を一定の範囲内に制御する方法としてはドープの冷却や溶剤組成、添加剤による手段が考えられるが、増粘剤を添加剤として使用する方法が薄膜化による機械物性の低下を抑える効果があるという点で好ましい。
〔本発明の光学フィルムの製造方法の構成〕
〔1〕光学フィルムの製造方法
図1は、溶液流延製膜方法のドープ調製工程、流延工程、乾燥工程及び巻取り工程の一例を模式的に示した図である。
分散機によって溶媒とマット剤を分散させた微粒子分散液は仕込み釜41から濾過器44を通過しストック釜42にストックされる。一方主ドープであるシクロオレフィン樹脂は溶媒とともに溶解釜1にて溶解され、適宜ストック釜42に保管されているマット剤が添加されて混合され主ドープを形成する。得られた主ドープは、濾過器3、ストック釜4から濾過器6によって濾過され、合流管20によって添加剤が添加されて、混合機21で混合されて加圧ダイ30に液送される。
一方、添加剤(例えば増粘剤、紫外線吸収剤、位相差上昇剤など)は、溶媒に溶解され、添加剤仕込み釜10から濾過器12を通過してストック釜13にストックされる。その後、濾過器15を通して導管16を経由して合流管20、混合機21によって主ドープと混合される。
加圧ダイ30に液送された主ドープは、金属ベルト状の支持体31上に流延されてウェブ32を形成し、所定の乾燥後剥離位置33で剥離されフィルムを得る。剥離されたウェブ32は、第1乾燥装置34にて多数の搬送ローラーに通しながら、所定の残留溶媒量になるまで乾燥された後、延伸装置35によって長手方向又は幅手方向に延伸される。延伸後、第2乾燥装置36によって所定の残留溶媒量になるまで、搬送ローラー37に通しながら乾燥し、巻取り装置38によって、ロール状に巻取られる。
以下、各工程について説明する。
(1)ドープ調製工程
シクロオレフィン樹脂に対する良溶媒と貧溶媒を有する有機溶媒に、溶解釜中で当該シクロオレフィン樹脂、場合によって、本発明に係る増粘剤、マット剤又はその他の化合物を撹拌しながら溶解しドープを調製する工程、又は当該シクロオレフィン樹脂溶液に、前記増粘剤、マット剤又はその他の化合物溶液を混合して主溶解液であるドープを調製する工程である。
本発明においては、前記ドープ中の前記シクロオレフィンの濃度が10〜25質量%の範囲内であり、前記溶媒が前記シクロオレフィン樹脂に対して良溶媒と貧溶媒とを含有し、その良溶媒/貧溶媒の質量比の値が99/1〜90/10の範囲内であり、前記ドープの23℃における粘度が3.0〜10.0Pa・sの範囲内であることを特徴とする。このように、シクロオレフィンの濃度を低く設定して、粘度が3.0〜10.0Pa・sの範囲内のドープを流延する工程を経て製膜することにより平面性の優れたシクロオレフィン系フィルムを製造することができる。
ドープを形成するのに有用な有機溶媒は、シクロオレフィン樹脂、及び増粘剤等のその他の化合物を同時に溶解するものである。用いられる有機溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。
本発明に用いられる有機溶媒は、良溶媒と貧溶媒の混合溶媒である。当該良溶媒は、例えば、塩素系有機溶媒としては、ジクロロメタン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール等が挙げられ、中でもジクロロメタンであることが好ましい。
貧溶媒はアルコール系溶媒であることが好ましく、当該アルコール系溶媒が、メタノール、エタノール及びブタノールから選択されることが、剥離性を改善し、高速度流延を可能にする観点から好ましい。中でもメタノール又はエタノールを用いることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ないときは非塩素系有機溶媒系でのシクロオレフィン樹脂及びその他の化合物の溶解を促進する役割もある。
本発明では有機溶媒の良溶媒/貧溶媒の質量比の値は99/1〜90/10の範囲内で用いる。シクロオレフィン樹脂の溶解性の観点から良溶媒は90質量%以上必要であり、また、得られる光学フィルムの平面性を高める点からから貧溶媒は1質量%以上である。
なお、本発明において、良溶媒とは、使用する樹脂を単独で溶解するもの、貧溶媒とは使用する樹脂を単独で膨潤するか又は溶解しないものをいう。
シクロオレフィン樹脂、増粘剤、その他の化合物の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載の如き冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載されている高圧で行う方法等種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。溶解中又は後のドープに化合物を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
ドープ中のシクロオレフィン樹脂の濃度は、10〜25質量%の範囲である。好ましくは15〜20質量%の範囲である。濃度が10%未満の場合、溶媒が多すぎて乾燥負荷が大きくなり、また生産性が低くなってしまう。濃度が25%を超えると溶媒比率が低くなり、ダイス吐出時の被膜が生成してしまいこの生成速度が速くなるため長期生産性の観点から好ましくない。
ドープの濾過については、好ましくはリーフディスクフィルターを具備する主な濾過器3で、ドープを例えば90%捕集粒子径が微粒子の平均粒子径の10倍〜100倍の濾材で濾過することが好ましい。
本発明において、濾過に使用する濾材は、絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さすぎると、濾過材の目詰まりが発生しやすく、濾材の交換を頻繁に行なわなければならず、生産性を低下させるという問題点ある。
このため、本発明において、シクロオレフィン樹脂ドープに使用する濾材は、絶対濾過精度0.008mm以下のものが好ましく、0.001〜0.008mmの範囲が、より好ましく、0.003〜0.006mmの範囲の濾材がさらに好ましい。
濾材の材質には、特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック繊維製の濾材やステンレス繊維等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
本発明において、濾過の際のドープの流量が、10〜80kg/(h・m)、好ましくは20〜60kg/(h・m)であることが好ましい。ここで、濾過の際のドープの流量が、10kg/(h・m)以上であれば、効率的な生産性となり、濾過の際のドープの流量が、80kg/(h・m)以内であれば、濾材にかかる圧力が適正となり、濾材を破損させることがなく、好ましい。
濾圧は、3500kPa以下であることが好ましく、3000kPa以下が、より好ましく、2500kPa以下であることがさらに好ましい。なお、濾圧は、濾過流量と濾過面積を適宜選択することで、コントロールできる。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。
返材とは、例えばシクロオレフィン樹脂フィルムを細かく粉砕した物で、シクロオレフィン樹脂フィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでフィルムの規定値を越えたシクロオレフィン樹脂フィルム原反が使用される。
また、ドープ調製に用いられる樹脂の原料としては、あらかじめシクロオレフィン樹脂及びその他の化合物などをペレット化したものも、好ましく用いることができる。
ドープの23℃における粘度は、3.0〜10.0Pa・sの範囲内であることが必要である。好ましくは5.0〜8.0Pa・sの範囲内である。
ドープの粘度が3.0Pa・s未満の場合、ダイス吐出時流延膜がスダレ状となり、膜形成が難しい。また、粘度が10.0Pa・sを超えるとダイスリップからの液離れが悪くなりダイスジが発生しやすくなる。
ドープの粘度を一定の範囲内に制御する方法としてはドープの冷却や溶剤組成、添加剤による手段が考えられる。
ドープを流延する際の温度を下げることにより、ドープの粘度を上昇させることができる。ドープの温度は、好ましくは流延直後の結露や発泡抑制する観点から、5〜30℃の範囲内であることが好ましい。
しかし、温度による粘度の調整には限界があり、後述する増粘剤を使用する方法が薄膜化による機械物性の低下を抑える効果があるという点で好ましい。
粘度はJIS Z8803(1991)液体の粘度−測定方法に準じて測定することができる。
(2)流延工程
(2−1)ドープの流延
ドープを、送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属支持体31、例えば、ステンレスベルト、又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に、加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト又は鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mの範囲、好ましくは1.3〜3mの範囲、さらに好ましくは1.5〜2.8mの範囲とすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下、さらに好ましくは−30〜0℃の範囲に設定される。温度が高い方がウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブという。)の乾燥速度が速くできるので好ましいが、あまり高すぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃の範囲が更に好ましい。又は、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
ダイは、ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して積層してもよい。
(2−2)溶媒蒸発工程
ウェブを流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程であり、後述する剥離時の残留溶媒量を制御する工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法又は支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が、乾燥効率が良く好ましい。また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを30〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。30〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
面品質、剥離性の観点から、30〜180秒以内で当該ウェブを支持体から剥離することが好ましい。
(2−3)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブはフィルムとして次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃の範囲であり、さらに好ましくは11〜30℃の範囲である。
本発明では、前記溶媒蒸発工程でウェブ中の溶媒を蒸発するが、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの残留溶媒量は、15〜100質量%の範囲内とすることが好ましい。残留溶媒量の制御は、前記溶媒蒸発工程における乾燥温度及び乾燥時間で行うことが好ましい。
前記残留溶媒量が15質量%以上では、支持体上での乾燥過程において、マット剤が厚さ方向に分布を持たずフィルム中に均一に分散した状態になるため、延伸によって所望の凹凸構造ができ、巻取り形状の変形を抑制しやすい。また乾燥時間が長くならず生産性も向上する。
また、前記残留溶媒量が100質量%以内であれば、フィルムが自己支持性を有し、フィルムの剥離不良を回避でき、ウェブの機械的強度も保持できることから剥離時の平面性が向上し、剥離張力によるツレや縦スジの発生を抑制できる。
ウェブ又はフィルムの残留溶媒量は下記式(Z)で定義される。
式(Z)
残留溶媒量(%)=(ウェブ又はフィルムの加熱処理前質量−ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)/(ウェブ又はフィルムの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体からウェブを剥離してフィルムとする際の剥離張力は、通常、196〜245N/mの範囲内であるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましい。
本発明においては、当該金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃の範囲内とするのが好ましく、10〜40℃の範囲内がより好ましく、15〜30℃の範囲内とするのが最も好ましい。
(3)乾燥及び延伸工程
乾燥工程は予備乾燥工程(第1乾燥工程)、本乾燥工程(第2乾燥工程)に分けて行うこともできる。
(3−1)予備乾燥工程
金属支持体からウェブ剥離して得られたフィルムは第1乾燥装置34にて予備乾燥させる。フィルムの予備乾燥は、フィルムを、上下に配置した多数のローラーにより搬送しながら乾燥させてもよいし、テンター乾燥機のようにフィルムの両端部をクリップで固定して搬送しながら乾燥させてもよい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で、熱風で行うことが好ましい。
ウェブの予備乾燥工程における乾燥温度は好ましくはフィルムのガラス転移点−5℃以下であって、30℃以上の温度で1分以上30分以下の熱処理を行うことが効果的である。乾燥温度は40〜150℃の範囲内、更に好ましくは50〜100℃の範囲内で乾燥が行われる。
本発明では、この乾燥工程にて後述するフィルム中の延伸時の残留溶媒量を調整することが好ましいが、当該残留溶媒量は延伸工程の初期に行ってもよい。残留溶媒量の制御は、前記予備乾燥工程における乾燥温度及び乾燥時間で行うことが好ましい。
(3−2)延伸工程
本発明の光学フィルムは、延伸装置35にて特定の残留溶媒量下で低延伸率の延伸処理を行うことで、フィルム表面近傍の微小なクレーズの発生を抑制し、かつマット剤の均一な分布を促すことができる。さらにフィルム内の分子の配向を制御することで、目標とする面内方向の位相差値Ro及び厚さ方向の位相差値Rtを得ることができる。
本発明の光学フィルムの製造方法は、当該フィルムを延伸する工程において、延伸開始時の残留溶媒量を1質量%以上15質量%未満とすることが特徴である。好ましくは2〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
本発明の光学フィルムは、長手方向(MD方向、流延方向ともいう。)及び/又は幅手方向(TD方向ともいう。)に延伸することが好ましく、少なくとも延伸装置によって、幅手方向に延伸して製造することが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施してもよい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。
すなわち、例えば、次のような延伸ステップも可能である:
・長手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
・幅手方向に延伸→幅手方向に延伸→長手方向に延伸→長手方向に延伸
また、同時二軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を、張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。
本発明の光学フィルムは、延伸後の膜厚が所望の範囲になるように長手方向及び/又は幅手方向に、好ましくは幅手方向に、フィルムのガラス転移温度をTgとしたときに、(Tg+5)〜(Tg+50)℃の温度範囲で延伸することが好ましい。上記温度範囲で延伸すると、位相差の調整がしやすく、また延伸応力を低下できるのでヘイズが低くなる。また、破断の発生を抑制し、平面性、フィルム自身の着色性に優れた光学フィルムが得られる。延伸温度は、(Tg+10)〜(Tg+40)℃の範囲で行うことが好ましい。
なお、ここでいうガラス転移温度Tgとは、市販の示差走査熱量測定器を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)である。具体的な光学フィルムのガラス転移温度Tgの測定方法は、JIS K7121(1987)に従って、セイコーインスツル(株)製の示差走査熱量計DSC220を用いて測定する。
本発明の光学フィルムは、フィルムを少なくとも幅手方向に、元幅に対して1〜50%の範囲内の延伸率で延伸することが好ましく、さらにフィルムの長手方向及び幅手方向において、それぞれ2〜40%の範囲内の延伸率で延伸することがより好ましい。特に当該延伸率の範囲は、元幅に対して3〜30%の範囲内で延伸することがさらに好ましい。上記範囲内であれば、高倍率な延伸によるフィルム近傍の微小なクレーズの発生を抑制し、特に位相差上昇剤を含む場合は所望の位相差値が得られるばかりではなく、フィルムを薄膜化できる。本発明でいう延伸率とは、延伸前のフィルムの長手又は幅手の長さに対して、延伸後のフィルムの長手又は幅手の長さの比率(%)をいう。
長手方向に延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、又は縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
幅手方向に延伸するには、例えば、特開昭62−46625号公報に示されているような乾燥全工程又は一部の工程を幅方向にクリップ又はピンでウェブの幅両端を幅保持しつつ乾燥させる方法(テンター方式と呼ばれる)、中でも、クリップを用いるテンター方式、ピンを用いるピンテンター方式が好ましく用いられる。
幅手方向への延伸に際し、フィルム幅手方向に250〜500%/minの延伸速度で延伸することが、フィルムの平面性を向上する観点から、好ましい。
延伸速度は250%/min以上であれば、平面性が向上し、またフィルムを高速で処理することができるため、生産適性の観点で好ましく、500%/min以内であれば、フィルムが破断することなく処理することができ、好ましい。
好ましい延伸速度は、300〜400%/minの範囲内であり、低倍率の延伸時に有効である。延伸速度は下記式1によって定義されるものである。
式1 延伸速度(%/min)=[(d/d)−1]×100(%)/t
(式1において、dは延伸後の本発明の光学フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、dは延伸前の光学フィルムの前記延伸方向の幅寸法であり、tは延伸に要する時間(min)である。)
本発明の光学フィルムは位相差上昇剤を含有し、かつ延伸することにより所望の位相差値を有することもできる。面内方向の位相差値Ro、及び厚さ方向の位相差値Rtは、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃・55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率n、n、nから算出することができる。
本発明の光学フィルムは、下記式(i)及び(ii)で表される、光学フィルムの面内方向の位相差値Roが40〜60nmの範囲内であり、厚さ方向の位相差値Rtが110〜140nmの範囲内であることが、VA型液晶表示装置に具備された場合に、視野角やコントラスト等の視認性を向上する観点から好ましい。光学フィルムは、少なくとも前記幅手方向に延伸率を調整しながら延伸することで、上記位相差値の範囲内に調整することができる。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において屈折率が最大になる方向xにおける屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
延伸工程では、通常、延伸した後、保持・緩和が行われる。すなわち、本工程は、フィルムを延伸する延伸段階、フィルムを延伸状態で保持する保持段階及びフィルムを延伸した方向に緩和する緩和段階をこれらの順序で行うことが好ましい。保持段階では、延伸段階で達成された延伸率での延伸を、延伸段階における延伸温度で保持する。緩和段階では、延伸段階における延伸を保持段階で保持した後、延伸のための張力を解除することによって、延伸を緩和する。緩和段階は、延伸段階における延伸温度以下で行えば良い。
(3−3)本乾燥工程
本乾燥工程では、第2乾燥装置36によって延伸後のフィルムを加熱して乾燥させる。熱風等によりフィルムを加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。熱風温度は、40〜350℃の範囲がより好ましい。また、乾燥時間は5秒〜60分程度が好ましく、10秒〜30分がより好ましい。
また、加熱乾燥手段は熱風に制限されず、例えば、赤外線、加熱ローラー、マイクロ波等を用いることができる。簡便さの観点からは、千鳥状に配置した搬送ローラー37でフィルムを搬送しながら、熱風等で乾燥を行うことが好ましい。乾燥温度は残留溶媒量、搬送における伸縮率等を考慮して、40〜350℃の範囲がより好ましい。
乾燥工程においては、残留溶媒量が0.5質量%以下になるまで、フィルムを乾燥することが好ましい。
(4)巻取り工程
(4−1)ナーリング加工
所定の熱処理又は冷却処理の後、巻取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
ナーリング加工は、加熱されたエンボスローラーをフィルム幅手端部に押し当てることにより形成することができる。エンボスローラーには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることができる。
本発明の光学フィルムの幅手両端部のナーリングの高さは4〜20μm、幅5〜20mmが好ましい。
また、本発明においては、上記のナーリング加工は、フィルムの製膜工程において乾燥終了後、巻取りの前に設けることが好ましい。
(4−2)巻取り工程
フィルム中の残留溶媒量が2質量%以下となってからフィルムとして巻取る工程であり、残留溶媒量を好ましくは0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
巻取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使い分ければよい。
本発明の光学フィルムの製造方法によれば、延伸時の残留溶媒量を特定の範囲に制御することで、延伸時にフィルムに対して適度な応力をかけることができ、その結果、マット剤によってフィルム表面に均一に分布した凹凸構造を形成することが可能になり、均一なすべり性を確保することによって、安定な巻取り形状を達成できる。
〔2〕光学フィルムの物性
〈破断伸度〉
本発明においては、JIS(Japanese Industrial Standards Committee;日本工業標準調査会)の規格の一つである、JIS K 7127(1999)に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上である。さらに好ましくは20%以上である。
〈平面性〉
光学フィルムの平面性として、特に薄膜にすると長手方向のムラが問題になる。このムラは少ない方が良く、黒い下地の平板上に光学フィルムを静置し、蛍光灯の反射光を観察することで評価することができる。
〈ヘイズ〉
本発明の光学フィルムは、ヘイズが1%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましい。ヘイズを1%未満とすることにより、フィルムの透明性がより高くなり、光学用途のフィルムとしてより用いやすくなるという利点がある。
ヘイズ値の測定は、23℃・50%RHの環境下、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH2000)により、フィルムの幅手方向に等間隔で10点の測定を行い、その平均値を求めヘイズとする。
〈平衡含水率〉
本発明の光学フィルムは、25℃、相対湿度60%における平衡含水率が4%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ましい。平衡含水率を4%以下とすることにより、湿度変化に対応しやすく、光学特性や寸法がより変化しにくく好ましい。
平衡含水率は、試料フィルムを23℃、相対湿度20%に調湿された部屋に4時間以上放置した後、23℃80%RHに調湿された部屋に24時間放置し、サンプルを微量水分計(例えば三菱化学アナリテック(株)製、CA−20型)を用いて、温度150℃で水分を乾燥・気化させた後、カールフィッシャー法により定量する。
〈フィルム長、幅、膜厚〉
本発明の光学フィルムは、長尺であることが好ましく、具体的には、100〜10000m程度の長さであることが好ましく、ロール状に巻き取られる。また、本発明の光学フィルムの幅は1m以上であることが好ましく、更に好ましくは1.3m以上であり、特に1.3〜4mであることが好ましい。
本発明の光学フィルムの膜厚は、表示装置の薄型化、生産性の観点から5〜30μmの範囲内であることが好ましい。より好ましくは10〜20μmの範囲内である。膜厚が5μm以上であれば、一定以上のフィルム強度を持たせることができる。膜厚が30μm以下であれば、表示装置の薄型化に適用できる。
〔3〕本発明の光学フィルムの製造方法に用いられる材料
〈シクロオレフィン樹脂〉
本発明に係るシクロオレフィン樹脂としては、下記一般式(S)に示す構造を有する単量体の重合体又は共重合体が挙げられる。
Figure 2017102311
式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭化水素基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基、又は極性基(すなわち、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アルコキシ基、シアノ基、アミド基、イミド基、若しくはシリル基)で置換された炭化水素基である。
ただし、R〜Rは、二つ以上が互いに結合して、不飽和結合、単環又は多環を形成していてもよく、この単環又は多環は、二重結合を有していても、芳香環を形成してもよい。RとRとで、又はRとRとで、アルキリデン基を形成していてもよい。p及びmは0以上の整数である。
上記一般式(S)中、R及びRが表す炭化水素基は、炭素数1〜10が好ましく、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基である。
及びRが水素原子又は1価の有機基であって、R及びRの少なくとも一つは水素原子及び炭化水素基以外の極性を有する極性基を示すことが好ましく、mは0〜3の整数、pは0〜3の整数であり、より好ましくはm+p=0〜4、さらに好ましくは0〜2、特に好ましくはm=1、p=0である。
m=1、p=0である特定単量体は、得られるシクロオレフィン樹脂のガラス転移温度が高くかつ機械的強度も優れたものとなる点で好ましい。
なお、ここでいうガラス転移温度とは、DSC(Differential Scanning Colorimetry:示差走査熱量法)を用いて、JIS K 7121−2012に準拠した方法により求められる値である。
上記特定単量体の極性基としては、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、アミノ基、アミド基、シアノ基などが挙げられ、これら極性基はメチレン基などの連結基を介して結合していてもよい。
また、カルボニル基、エーテル基、シリルエーテル基、チオエーテル基、イミノ基など極性を有する2価の有機基が連結基となって結合している炭化水素基なども極性基として挙げられる。
これらの中では、カルボキシ基、ヒドロキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリルオキシカルボニル基が好ましく、特にアルコキシカルボニル基又はアリルオキシカルボニル基が好ましい。
さらに、R及びRの少なくとも一つが式−(CHCOORで表される極性基である単量体は、得られるシクロオレフィン樹脂が高いガラス転移温度と低い吸湿性、各種材料との優れた密着性を有するものとなる点で好ましい。
上記の特定の極性基にかかる式において、Rは炭素原子数1〜12、さらに好ましくは1〜4、特に好ましくは1〜2の炭化水素基、好ましくはアルキル基である。
共重合性単量体の具体例としては、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘプテン、シクロオクテン、ジシクロペンタジエンなどのシクロオレフィン樹脂を挙げることができる。
シクロオレフィンの炭素数としては、4〜20が好ましく、さらに好ましいのは5〜12である。
本発明において、シクロオレフィン樹脂は1種単独で、又は2種以上を併用することができる。
本発明に係るシクロオレフィン樹脂の好ましい分子量は、固有粘度〔η〕inhで0.2〜5cm/g、さらに好ましくは0.3〜3cm/g、特に好ましくは0.4〜1.5cm/gであり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は8000〜100000、さらに好ましくは10000〜80000、特に好ましくは12000〜50000であり、重量平均分子量(Mw)は20000〜300000、さらに好ましくは30000〜250000、特に好ましくは40000〜200000の範囲のものが好適である。
固有粘度〔η〕inh、数平均分子量及び重量平均分子量が上記範囲にあることによって、シクロオレフィン樹脂の耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的特性と、本発明の光学フィルムとしての成形加工性が良好となる。
本発明に係るシクロオレフィン樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、通常、110℃以上、好ましくは110〜350℃、さらに好ましくは120〜250℃、特に好ましくは120〜220℃である。Tgが110℃以上の場合が、高温条件下での使用、又はコーティング、印刷などの二次加工により変形が起こりにくいため好ましい。
一方、Tgが350℃以下とすることで、成形加工が困難になる場合を回避し、成形加工時の熱によって樹脂が劣化する可能性を抑制することができる。
シクロオレフィン樹脂には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば特開平9−221577号公報、特開平10−287732号公報に記載されている、特定の炭化水素系樹脂、又は公知の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、ゴム質重合体、有機微粒子、無機微粒子などを配合してもよく、特定の波長分散剤、糖エステル化合物、酸化防止剤、剥離促進剤、ゴム粒子、可塑剤、紫外線吸収剤などの添加剤を含んでもよい。
また、シクロオレフィン樹脂は、市販品を好ましく用いることができ、市販品の例としては、JSR(株)からアートン(ARTON:登録商標)G、アートンF、アートンR、及びアートンRXという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(ZEONOR:登録商標)ZF14、ZF16、ゼオネックス(ZEONEX:登録商標)250又はゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
〈増粘剤〉
本発明においては、ドープの粘度を上昇させるため増粘剤を添加することが好ましい。ここでいう増粘剤とは、それを添加することによりドープの粘度が増大するものを意味する。シクロオレフィン樹脂を含有したドープを増粘させる効果のあるものであれば特に制限はないが、ソルビトール系糖アルコールやポリアミド系の増粘剤を用いることが好ましい。具体的には、増粘剤としては、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で表される構造を有する化合物を用いることが好ましい。
〔一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する化合物〕
Figure 2017102311
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1から4までのアルキル基を表す。)
〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数が1から4までのアルキル基を表す。なかでもメチル基が好ましい。
Figure 2017102311
(式中、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数が1から20までのアルキル基を表す。)
〜Rは、それぞれ独立に、炭素数が1から20までのアルキル基を表す。R及びRは、炭素数1から5までのアルキル基が好ましい。Rは、炭素数4から20までのアルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖でも分岐していても良い。
以下に、一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する化合物の好ましい例を挙げるが、これに限定されるものではない。
Figure 2017102311
B−2
N−2−エチル−ヘキサノイル−L−グルタミン酸ジブチルアミド
一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する化合物の、光学フィルム中での含有量は、シクロオレフィン樹脂に対して0.5〜10質量%の範囲内であることが好ましい。
また、本発明の光学フィルムは、前記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する化合物が添加されていることで、薄膜光学フィルムの機械物性(破断伸度)を改善することができる。これは、ドープ中で増粘作用をもたらす水素結合などの相互作用が乾燥後のフィルム中でも働き、シクロオレフィン系樹脂間の絡まりを強固にするためであると推定している。
〈紫外線吸収剤〉
本発明の光学フィルムは、偏光板や液晶表示装置に照射される不要な紫外線を遮蔽するために、紫外線吸収剤を含有することが好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報に記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムを、光学補償フィルムのほかに、偏光板の保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ液晶の表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ない特性を備えていることが好ましい。
紫外線吸収剤の添加量は、高分子組成物に対して0.1〜5.0質量%の範囲内であることが好ましく、0.5〜5.0質量%の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−[2′−ヒドロキシ−3′−(3″,4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−[3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル]プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。
また、市販品として、「チヌビン(TINUVIN)928」、「チヌビン(TINUVIN)109」、「チヌビン(TINUVIN)171」、「チヌビン(TINUVIN)326」、「チヌビン(TINUVIN)328」(以上、商品名、BASFジャパン社製)を好ましく使用できる。
〈マット剤〉
本発明の光学フィルムには、フィルムの製膜時に、フィルム表面に凹凸を付与し、すべり性を確保し、安定な巻取り形状を達成するためにマット剤を含有する。
また、作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するためにも、当該マット剤は機能することができる。
マット剤としては、無機化合物の微粒子や樹脂の微粒子が挙げられる。無機化合物の微粒子の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は、5〜400nmの範囲内が好ましく、さらに好ましいのは10〜300nmの範囲内である。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの範囲内の二次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径80〜400nmの範囲内の粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
フィルム中のこれらの微粒子の含有量は、0.01〜3.0質量%の範囲内であることが好ましく、特に0.01〜2.0質量%の範囲内であることが好ましい。
共流延法による多層構成の場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
樹脂の微粒子の例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン株式会社製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR812が、基材フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0の範囲内であることが好ましい。
〈位相差上昇剤〉
本願でいう位相差上昇剤とは、シクロオレフィン樹脂100質量部に対して当該化合物を3質量部含有した光学フィルムの厚さ方向の位相差値Rt(光波長590nm測定)が、未添加の光学フィルムと比べて1.1倍以上の値を示す機能を有する化合物をいう。
本発明に係る位相差上昇剤は、特に制限されるものではなく、例えば従来知られている、特開2006−113239号公報段落〔0143〕〜〔0179〕に記載の芳香族環を有する円盤状化合物(1,3,5−トリアジン系化合物等)、特開2006−113239号公報段落〔0106〕〜〔0112〕記載の棒状化合物、特開2012−214682号公報段落〔0118〕〜〔0133〕記載のピリミジン系化合物等を用いることができる。
本発明に係る位相差上昇剤に求められる特性としては、シクロオレフィン樹脂との相溶性に優れること、フィルム薄膜化したときに位相差発現性に優れること、また耐析出性に優れること、高湿度下において水分の出入りに伴う位相差値変動耐性に優れることなどが挙げられるが、このような観点から位相差上昇剤を選択することが好ましい。
〈その他の添加剤〉
本発明の光学フィルムは、前記増粘剤、紫外線吸収剤、マット剤、位相差上昇剤等の添加剤以外に可塑剤、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤、剥離剤などを含んでもよく、以下に主要な添加剤の詳細を記す。
(可塑剤)
本発明において可塑剤として、さらにポリエステル樹脂を用いることができる。ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸とジオールを重合することにより得られ、ジカルボン酸構成単位(ジカルボン酸に由来する構成単位)の70%以上が芳香族ジカルボン酸に由来し、かつジオール構成単位(ジオールに由来する構成単位)の70%以上が脂肪族ジオールに由来する。
芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。
脂肪族ジオールに由来する構成単位の割合は70%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上である。ポリエステル樹脂は、2種以上を併用してもよい。
前記芳香族ジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、3,4′−ビフェニルジカルボン酸等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲でアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸や安息香酸、プロピオン酸、酪酸等のモノカルボン酸を用いることができる。
前記脂肪族ジオールとして、エチレングリコール、1,3−プロピレンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール等及びこれらのエステル形成性誘導体が例示できる。
ポリエステル樹脂には、本発明の目的を損なわない範囲でブチルアルコール、ヘキシルアルコール、オクチルアルコール等のモノアルコール類や、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類を用いることもできる。
ポリエステル樹脂の製造には、公知の方法である直接エステル化法やエステル交換法を適用することができる。ポリエステル樹脂の製造時に使用する重縮合触媒としては、公知の三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酸化ゲルマニウム等のゲルマニウム化合物、酢酸チタン等のチタン化合物、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が例示できるが、これらに限定されない。
好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキレート樹脂、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート−テレフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−テレフタレート−4,4′−ビフェニルジカルボキシレート樹脂、ポリ−1,3−プロピレン−テレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂等がある。
より好ましいポリエステル樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレン−1,4−シクロヘキサンジメチレン−テレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂及びポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂の固有粘度(フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=60/40質量比混合溶媒中、25℃で測定した値)は、0.7〜2.0cm/gの範囲内が好ましく、より好ましくは0.8〜1.5cm/gの範囲内である。固有粘度が0.7cm/g以上であるとポリエステル樹脂の分子量が充分に高いために、これを使用して得られるポリエステル樹脂組成物からなる成形物が成形物として必要な機械的性質を有するとともに、透明性が良好となる。固有粘度が2.0cm/g以下の場合、成形性が良好となる。他の可塑剤としては、特開2013−97279号公報の段落0056〜0080の一般式(PEI)及び一般式(PEII)に記載の化合物を用いてよい。
(酸化防止剤)
酸化防止剤は、例えば、基材フィルム中の残留溶媒のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等により基材フィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、フィルム中に含有させることが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
〔4〕偏光板
(1)偏光子
偏光板は偏光子の両側に偏光板保護フィルムを配置することができる。また、偏光子の片側には偏光板保護フィルム、他の片側には位相差フィルムを配置することもできる。本発明の光学フィルムは、いずれの用途にも使用することができるが、偏光板保護フィルムとして、視認側に配置されることが好ましい。
偏光子は、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、その例には、ポリビニルアルコール系偏光フィルムが含まれる。
ポリビニルアルコール系偏光フィルムには、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものとがある。
偏光子は、ポリビニルアルコールフィルムを一軸延伸した後、染色するか又はポリビニルアルコールフィルムを染色した後、一軸延伸して、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理をさらに行って得ることができる。
偏光子の膜厚は、5〜30μmの範囲内が好ましく、5〜15μmの範囲内であることがより好ましい。
ポリビニルアルコールフィルムとしては、特開2003−248123号公報、特開2003−342322号公報等に記載のエチレン単位の含有量1〜4モル%、重合度2000〜4000、ケン化度99.0〜99.99モル%のエチレン変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。また、特開2011−100161号公報、特許第4691205号公報、特許第4804589号公報に記載の方法で、偏光子を作製し本発明の光学フィルムと貼り合わせて偏光板を作製することが好ましい。
(2)接着剤
本発明の光学フィルムは前記偏光子と水糊又は活性エネルギー線硬化性接着剤で接着することができる。活性エネルギー線硬化性接着剤は紫外線硬化型接着剤であることが好ましい。
[水糊]
偏光板は、本発明の光学フィルムを完全ケン化型ポリビニルアルコール水溶液(水糊)を用いて偏光子に貼り合わせることが好ましい。もう一方の面には他の偏光板保護フィルムを貼合することができる。本発明の光学フィルムは液晶表示装置とされた際に、偏光子の液晶セル側に設けられることが好ましく、偏光子の外側のフィルムは、本発明の光学フィルム、及び従来の偏光板保護フィルムのどちらでも用いることができる。
例えば、従来の偏光板保護フィルムとしては、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC5UX、KC8UCR3、KC8UCR4、KC8UCR5、KC8UY、KC6UY、KC6UA、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、KC8UXW−RHA−C、KC8UXW−RHA−NC、KC4UXW−RHA−NC、以上コニカミノルタ(株)製)が好ましく用いられる。
[活性エネルギー線硬化性接着剤]
偏光板は、本発明の光学フィルムと偏光子とが、活性エネルギー線硬化性接着剤により貼合されていることが好ましい。本発明の光学フィルムは、延伸によるフィルム表面の微少なクレーズ発生が抑制されていることから、当該箇所の機械的強度が高く、活性エネルギー線硬化性接着剤で接着した後に当該箇所からの剥がれが改善されている。
活性エネルギー線硬化性接着剤は、下記紫外線硬化型接着剤を用いることが好ましい。
本発明においては、光学フィルムと偏光子との貼合に紫外線硬化型接着剤(以下、UV糊ともいう。)を適用することにより、薄膜でも強度が高く、平面性に優れた偏光板を得ることができる。
〈UV糊の組成〉
偏光板用のUV糊組成物としては、光ラジカル重合を利用した光ラジカル重合型組成物、光カチオン重合を利用した光カチオン重合型組成物、並びに光ラジカル重合及び光カチオン重合を併用したハイブリッド型組成物が知られている。
光ラジカル重合型組成物としては、特開2008−009329号公報に記載のヒドロキシ基やカルボキシ基等の極性基を含有するラジカル重合性化合物及び極性基を含有しないラジカル重合性化合物を特定割合で含む組成物)等が知られている。特に、ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であることが好ましい。ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の好ましい例には、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が含まれる。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の例には、N置換(メタ)アクリルアミド系化合物、(メタ)アクリレート系化合物などが含まれる。(メタ)アクリルアミドは、アクリアミド又はメタクリアミドを意味する。
また、光カチオン重合型組成物としては、特開2011−028234号公報に開示されているような、(α)カチオン重合性化合物、(β)光カチオン重合開始剤、(γ)380nmより長い波長の光に極大吸収を示す光増感剤、及び(δ)ナフタレン系光増感助剤の各成分を含有する紫外線硬化型接着剤組成物が挙げられる。ただし、これ以外のUV糊が用いられてもよい。
(a)前処理工程
前処理工程は、光学フィルムの偏光子との接着面に易接着処理を行う工程である。易接着処理としては、コロナ処理、プラズマ処理等が挙げられる。
(UV糊の塗布工程)
UV糊の塗布工程としては、偏光子と光学フィルムとの接着面のうち少なくとも一方に、上記UV糊を塗布する。偏光子又は光学フィルムの表面に直接、UV糊を塗布する場合、その塗布方法に特段の限定はない。例えば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、グラビアコーター等、種々の湿式塗布方式が利用できる。また、偏光子と光学フィルムの間に、UV糊を流延させたのち、ローラー等で加圧して均一に押し広げる方法も利用できる。
(b)貼合工程
上記の方法によりUV糊を塗布した後は、貼合工程で処理される。この貼合工程では、例えば、先の塗布工程で偏光子の表面にUV糊を塗布した場合、そこに光学フィルムが重ね合わされる。また、始めに光学フィルムの表面にUV糊を塗布する方式の場合には、そこに偏光子が重ね合わされる。また、偏光子と光学フィルムの間にUV糊を流延させた場合は、その状態で偏光子と光学フィルムとが重ね合わされる。そして、通常は、この状態で両面の光学フィルム側から加圧ローラー等で挟んで加圧することになる。加圧ローラーの材質は、金属やゴム等を用いることが可能である。両面に配置される加圧ローラーは、同じ材質であってもよいし、異なる材質であってもよい。
(c)硬化工程
硬化工程では、未硬化のUV糊に紫外線を照射して、カチオン重合性化合物(例えば、エポキシ化合物やオキセタン化合物)やラジカル重合性化合物(例えば、アクリレート系化合物、アクリルアミド系化合物等)を含むUV糊層を硬化させ、UV糊を介して重ね合わせた偏光子と光学フィルムを接着させる。偏光子の片面に光学フィルムを貼合する場合、活性エネルギー線は、偏光子側又は光学フィルム側のいずれから照射してもよい。また、偏光子の両面に光学フィルムを貼合する場合、偏光子の両面にそれぞれUV糊を介して光学フィルムを重ね合わせた状態で、紫外線を照射し、両面のUV糊を同時に硬化させるのが有利である。
紫外線の照射条件は、本発明に適用するUV糊を硬化しうる条件であれば、任意の適切な条件を採用できる。紫外線の照射量は積算光量で50〜1500mJ/cmの範囲であることが好ましく、100〜500mJ/cmの範囲であるのがさらに好ましい。
偏光板の製造工程を連続ラインで行う場合、ライン速度は、接着剤の硬化時間によるが、好ましくは1〜500m/minの範囲、より好ましくは5〜300m/minの範囲、さらに好ましくは10〜100m/minの範囲である。ライン速度が1m/min以上であれば、生産性を確保することができ、又は光学フィルムへのダメージを抑制することができ、耐久性に優れた偏光板を作製することができる。また、ライン速度が500m/min以下であれば、UV糊の硬化が十分となり、目的とする硬度を備え、接着性に優れたUV糊層を形成することができる。
(3)他の偏光板保護フィルム
偏光子の本発明の光学フィルムとは反対側に配置されるフィルムは、偏光子の保護フィルムとして機能するフィルムであることもできるし、位相差フィルムであることもできる。
また、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等の樹脂フィルム、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン株式会社製、ゼオノア(登録商標)、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、シクロオレフィンコポリマー、ポリイミド(例えば三菱ガス化学株式会社製、ネオプリム(登録商標))、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、アクリロイル化合物等の樹脂フィルムが挙げられる(括弧内はガラス転移温度Tgを示す。)。これら樹脂基材のうち、コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(略称:PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(略称:PEN)、ポリカーボネート(略称:PC)等のフィルムが保護フィルムとして好ましく用いられる。
本発明の光学フィルムとともに偏光板に用いる光学フィルムの厚さは、特に制限されないが、10〜200μm程度とすることができ、好ましくは10〜100μmの範囲内であり、より好ましくは10〜70μmの範囲内である。
〔5〕液晶表示装置
上記本発明の光学フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に用いることによって、種々の視認性に優れた液晶表示装置を作製することができる。
前述の偏光板は、STN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPS、OCBなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。好ましくはVA(MVA,PVA)型液晶表示装置及びIPS型液晶表示装置である。
液晶表示装置には、通常視認側の偏光板とバックライト側の偏光板の2枚の偏光板が用いられるが、本発明の光学フィルムを具備した偏光板を両方の偏光板として用いることも好ましく、片側の偏光板として用いることも好ましい。特に本発明の光学フィルムを具備した偏光板は外部環境に直接触れる視認側の偏光板として用いることが好ましく、その際は、本発明の光学フィルムが光学補償フィルムである場合は、液晶セル側に配置されることが好ましい。
また、バックライト側の偏光板は本発明以外の偏光板を用いることもでき、その場合は偏光子の両面を、例えば市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタックKC8UX、KC5UX、KC4UX、KC8UCR3、KC4SR、KC4BR、KC4CR、KC4DR、KC4FR、KC4KR、KC8UY、KC6UY、KC4UY、KC4UE、KC8UE、KC8UY−HA、KC2UA、KC4UA、KC6UA、KC2UAH、KC4UAH、KC6UAH、以上コニカミノルタ(株)製、フジタックT40UZ、フジタックT60UZ、フジタックT80UZ、フジタックTD80UL、フジタックTD60UL、フジタックTD40UL、フジタックR02、フジタックR06、以上富士フイルム(株)製等)を貼合した偏光板が好ましく用いられる。
また、バックライト側の偏光板として、偏光子の液晶セル側に本発明の光学フィルムを用い、反対側の面に上記市販の保護フィルムや位相差フィルム、ポリエステルフィルム、アクリルフィルム、又はポリカーボネートフィルムを貼合した偏光板も好ましく用いることができる。
本発明の光学フィルムを具備した偏光板を用いることで、特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、表示ムラなど視認性に優れた液晶表示装置を得ることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
〔シクロオレフィン樹脂〕
実施例に用いるシクロオレフィン樹脂として、以下のようにして合成したクロオレフィン樹脂COP1を用いた。
Figure 2017102311
<シクロオレフィン樹脂COP1の合成>
上記構造式で表される8−メトキシカルボニル−8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]−3−ドデセン50g、分子量調節剤の1−へキセン2.3g及びトルエン100gを、窒素置換した反応容器に仕込み、80℃に加熱した。これにトリエチルアルミニウム(0.6モル/L)のトルエン溶液0.09ml、メタノール変性WClのトルエン溶液(0.025モル/L)0.29mlを加え、80℃で3時間反応させることにより重合体を得た。次いで、得られた開環共重合体溶液をオートクレーブに入れ、さらにトルエンを100g加えた。水添触媒であるRuHCl(CO)[P(C)]をモノマー仕込み量に対して2500ppm添加し、水素ガス圧を9〜10MPaとし、160〜165℃にて3時間の反応を行った。反応終了後、多量のメタノール溶液に沈殿させることにより水素添加物を得た。得られた開環重合体の水素添加物であるシクロオレフィン樹脂COP1は、ガラス転移温度(Tg)=167℃、重量平均分子量(Mw)=13.5×10、分子量分布(Mw/Mn)=3.06であった。
〔光学フィルム1の作製〕
<微粒子分散液の調製>
11.3質量部の微粒子(アエロジル R972V、日本アエロジル(株)製)と、84質量部のエタノールとを、ディゾルバーで50分間撹拌混合した後、マントンゴーリンで分散した。
溶解タンク中で十分撹拌されているジクロロメタン(100質量部)に、5質量部の微粒子分散液を、ゆっくりと添加した。さらに、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
<主ドープの調製>
下記組成の主ドープを調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタン及びエタノールを添加した。ジクロロメタンの入った加圧溶解タンクにシクロオレフィン樹脂COP1、微粒子添加液を撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら樹脂を溶解し、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過して、主ドープを調製した。
シクロオレフィン樹脂COP1 100質量部
ジクロロメタン 752質量部
エタノール 48質量部
増粘剤A−1 4質量部
増粘剤B−1 4質量部
微粒子添加液 3質量部
次いで、無端ベルト流延装置を用い、主ドープを温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。ステンレスベルトの搬送速度は20m/minとした。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶剤量が30.3%になるまで溶剤を蒸発させた。次いで、剥離張力128N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。剥離したフィルムを、延伸装置35にて115℃の条件下で長手方向に23%、幅方向に58%延伸した。延伸開始時の残留溶剤量は10.2質量%であった。次いで、乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながら乾燥を終了させ、端部をレーザーカッターでスリットし、その後、巻き取り、膜厚16μmの光学フィルム1を得た。
〔光学フィルム2〜19の作製〕
光学フィルム1の作製において、シクロオレフィン樹脂COP1の量は一定にして、増粘剤の種類とその添加量、溶媒の種類とその量比及び膜厚をそれぞれ表1に記載の値となるように変化させて、光学フィルム2〜19を作製した。
〈粘度の測定〉
上記のようにして作製したドープの粘度の測定は、JIS Z8803(1991)液体の粘度−測定方法に準じ、以下の条件で「粘度(Pa・s)」を測定した。1つのドープにつき3回の評価を行い、平均値を粘度とした。
測定温度:23℃
粘度計:B型粘度計BLII(東京計器(株)製)
回転速度:6〜60rpm(粘度により速度を変える)
測定時間:30秒
ドープ粘度の評価結果は表1に示した。
≪評価≫
上記のようにして作製した光学フィルム1〜19について、以下のようにして流延安定性、フィルムの平面性及び破断伸度を測定した。
〔流延安定性〕
流延時のダイスリップ吐出直後からステンレスベルト支持体に接地するまでの流延膜を目視観察して、以下の評価基準でランク付けを行った。
○:全幅均一にドープが吐出され、ステンレスベルト支持体に接地している
△:幅手の一部に長手方向の縦スジが観察される
×:吐出直後に流延膜が割れた状態でステンレスベルト支持体に接地している。
〔平面性〕
光学フィルムの平面性の評価は、キャスト横段故障(長手方向のムラ)を評価することで行った。光学フィルム1〜19に対して、長手方向3m(全幅)の試料を取り出し、黒い下地の平板上に静置した。一方、40Wの蛍光灯8本を10cm間隔に並べた照明板を準備した。この照明板を、静置したフィルムの上方1.5mに置き、フィルムの平面性を観察し、下記のようなランクで、キャスト横段故障(長手方向のムラ)を評価した。得られた光学フィルムのキャスト横段故障(長手方向のムラ)を下記の基準でランク付けして評価し、表1に示した。好ましくは弱いムラが10個以内である。より好ましくは3個以内である。
◎:全くムラがない
○:弱いムラが3個以内ある
△:弱いムラが4〜10個ある
×:規則性のある強いムラが多数ある
××:規則性のある強いムラがフィルム全面にある
なお、比較例の光学フィルム17は流延膜剥が、スダレ状になり、膜を形成することができなかった。
〔破断伸度〕
本発明においては、JIS(Japanese Industrial Standards Committee;日本工業標準調査会)の規格の一つである、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断伸度が、10%以上であることが好ましく、より好ましくは15%以上である。さらに好ましくは20%以上である。
光学フィルムの構成と上記評価の結果を、下記表1に示す。なお表1中以下の略号を用いた。
MC:メチレンクロライド
MeOH:メタノール
EtOH:エタノール
BuOH:n−ブタノール
Figure 2017102311
表1から、本発明の光学フィルムは、平面性に優れていることが分かる。また、本発明の光学フィルムに増粘剤を用いた場合、破断伸度が優れていることが分かる。
1 溶解釜
3、6、12、15 濾過器
4、13 ストック釜
2、5、11、14 送液ポンプ
8、16 導管
10 添加剤仕込釜
20 合流管
21 混合機
30 加圧ダイ
31 金属ベルト
32 ウェブ
33 剥離位置
34 第1乾燥装置
35 延伸装置
36 第2乾燥装置
37 搬送ローラー
38 巻取り装置
41 仕込釜
42 ストック釜
43 ポンプ
44 濾過器

Claims (5)

  1. シクロオレフィン樹脂と溶媒を含有するドープを流延する工程を経て製膜する光学フィルムの製造方法であって、前記ドープ中の前記シクロオレフィン樹脂の濃度が10〜25質量%の範囲内であり、前記溶媒が前記シクロオレフィン樹脂に対して良溶媒と貧溶媒とを含有し、その良溶媒/貧溶媒の質量比の値が99/1〜90/10の範囲内であり、前記ドープの23℃における粘度が3.0〜10.0Pa・sの範囲内であることを特徴とする光学フィルムの製造方法。
  2. 前記ドープの23℃における粘度が、5.0〜8.0Pa・sの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記ドープ中の前記シクロオレフィン樹脂の濃度が、15〜20質量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記ドープが、増粘剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記増粘剤が、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される構造を有する化合物であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の光学フィルムの製造方法。
    Figure 2017102311
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数が、1から4までのアルキル基を表す。)
    Figure 2017102311
    (式中、R〜Rは、それぞれ独立に、炭素数が、1から20までのアルキル基を表す。)
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