JPWO2017104849A1 - ビスクロロホーメート組成物、ビスクロロホーメート組成物の製造方法、ビスクロロホーメート組成物含有溶液、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂の製造方法、塗工液、電子写真感光体、および電子写真装置 - Google Patents

ビスクロロホーメート組成物、ビスクロロホーメート組成物の製造方法、ビスクロロホーメート組成物含有溶液、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂の製造方法、塗工液、電子写真感光体、および電子写真装置 Download PDF

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Abstract

ビスクロロホーメート組成物であって、下記一般式(1)で表され、複数のAr成分を含み、下記式(数1)で得られる平均量体数(m1)が、1.0以上1.99以下であり、前記複数のAr成分は、それぞれ独立に、ArまたはArであり、前記複数のAr成分には、Arが1種以上含まれ、かつArが1種以上含まれ、Arは、下記一般式(2)で表される基であり、Arは、下記一般式(3)で表される基であり、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が45モル%以上99モル%以下であることを特徴とするビスクロロホーメート組成物。
【化1】

【化2】

[数1]
平均量体数(m1)=1+(Mav−M1)/M2・・・(数1)

Description

本発明は、ビスクロロホーメート組成物、ビスクロロホーメート組成物の製造方法、ビスクロロホーメート組成物含有溶液、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート樹脂の製造方法、塗工液、電子写真感光体、および電子写真装置に関する。
従来、フェノール、2つのフェノールが直接結合したビフェノール、および2つのフェノールが連結基を介して結合したビスフェノール等のフェノール類が知られている。そして、このようなフェノール類のフェノール性水酸基に対してクロロホーメート化を行い、クロロホーメート化合物を合成する技術が提案されている。
特許文献1には、疎水性有機溶媒を用い、2価フェノール性化合物と、ホスゲン系化合物を少なくとも原料として、ビスクロロホーメート化合物を製造する方法が開示されており、ビフェノールおよびビスフェノール等の2価フェノール性化合物に対してビスクロロホーメート化を行う方法が開示されている。
また上記のクロロホーメート化合物を原料としたポリカーボネート樹脂は、機械的性質、熱的性質、および電気的性質に優れていることから有機電子写真感光体用のバインダー樹脂としても使用されている。
特許文献2には、平均量体数が1.0以上1.3以下のビフェノール骨格を有するビスクロロホーメート化合物を用いることを特徴としたポリカーボネート樹脂が開示されており、良好な機械的性質であることが報告されている。
国際公開第2010/150888号 国際公開第2014/192633号
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ビフェノールおよびビスフェノール等の2価フェノール性化合物に対してビスクロロホーメート化を行うことは可能であるが、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビフェノール骨格を有するビスクロロホーメート化合物は溶媒に対する溶解性が低く、溶液安定性が低いことが課題であった。また、特許文献2に記載の技術でも、特許文献1と同様に、ビフェノール骨格を有するビスクロロホーメート化合物を用いてビフェノール骨格を主成分とするポリカーボネート樹脂を製造する際、ビスクロロホーメート化合物の溶媒への溶解性が低く、溶液安定性が低いことが課題であった。
このように、従来の方法により製造したビフェノール類のビスクロロホーメート化合物は、溶媒に対する溶解性が低く、溶液として長期保存した場合等の溶液安定性が低いという問題があった。
また、同原料(ビフェノール類)を用いて樹脂を製造する際に、樹脂の構造が安定せず、バラつきが大きくなり、物性が制御されないという問題があった。また従来の方法により製造した樹脂は、耐摩耗性成分の共重合組成が低くなる等の理由により耐摩耗性が充分ではないという問題があった。
また、ポリカーボネート樹脂の溶解性については、湿式成型の適用条件をより広げるため、広範囲な条件で良好な溶解性を持つことが求められるが、従来の技術で得られた樹脂の中には溶解性に劣るものもあった。
本発明の目的は、溶媒への溶解性および溶液安定性を改善したビスクロロホーメート組成物、当該ビスクロロホーメート組成物の製造方法、ビスクロロホーメート組成物含有溶液を提供することである。
また、本発明の目的は、耐摩耗性に優れ、良好な溶解性を持つポリカーボネート樹脂、当該ポリカーボネート樹脂の製造方法、当該ポリカーボネート樹脂を用いた塗工液および電子写真感光体、並びに当該電子写真感光体を用いた電子写真装置を提供することである。
本発明の一態様に係るビスクロロホーメート組成物は、下記一般式(1)で表され、複数のAr成分を含み、下記式(数1)で得られる平均量体数(m1)が、1.0以上1.99以下であり、前記複数のAr成分は、それぞれ独立に、ArまたはArであり、前記複数のAr成分には、Arが1種以上含まれ、かつArが1種以上含まれ、Arは、下記一般式(2)で表される基であり、Arは、下記一般式(3)で表される基であり、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が45モル%以上99モル%以下である。
(前記一般式(1)において、Arは、下記一般式(2)で表される基または下記一般式(3)で表される基であり、m1はビスクロロホーメート組成物の平均量体数である。)
(前記一般式(2)において、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
トリフルオロメチル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、
−O−、
−CO−、
−S−、
−SO−、
−CR−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
9,9−フルオレニリデン基、
1,8−メンタンジイル基、
2,8−メンタンジイル基、および
下記一般式(100)で表される基からなる群から選択され、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜5のアルキル基、
トリフルオロメチル基、および
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
前記一般式(3)において、
およびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。)
(前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。)
[数1]
平均量体数(m1)=1+(Mav−M1)/M2・・・(数1)
(前記式(数1)において、
Mavは(2×1000/(CF価))であり、
M1は、Ar/(Ar+Ar)の割合で存在し、かつ平均量体数(m1)が1.0のときの、前記ビスクロロホーメート組成物に含まれるビスクロロホーメート化合物の平均分子量であり、
M2は(M1−Y)であり、
CF価[クロル原子のモル数/kg]は、前記ビスクロロホーメート組成物を有機溶媒に完全に溶解させて得られたビスクロロホーメート組成物溶液における(CF値/濃度)であり、
CF値[N]は前記ビスクロロホーメート組成物溶液1Lに含まれるビスクロロホーメート化合物中のクロル原子のモル数であり、
濃度[kg/L]は前記ビスクロロホーメート組成物溶液1Lを濃縮して得られる固形分の量であり、
Yは、ビスクロロホーメート化合物とフェノール化合物の重縮合で脱離する2個の塩素原子、1個の酸素原子および1個の炭素原子の合計の原子量である。)
本発明の一態様に係るビスクロロホーメート組成物の製造方法は、少なくとも、疎水性有機溶媒と、下記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、下記一般式(5)で表されるビフェノール化合物と、ホスゲン系化合物と、を用いて、本発明の一態様に係るビスクロロホーメート組成物を製造する。
(前記一般式(4)において、R、R、およびXは、前記一般式(2)におけるR、R、およびXとそれぞれ同義である。
前記一般式(5)において、RおよびRは、前記一般式(3)におけるRおよびRとそれぞれ同義である。)
本発明の一態様に係るビスクロロホーメート組成物含有溶液は、本発明の一態様に係るビスクロロホーメート組成物および溶媒を含有する。
発明の一態様に係るポリカーボネート樹脂の製造方法は、本発明の一態様に係るビスクロロホーメート組成物と、下記一般式(5)で表されるビフェノール化合物と、を少なくとも用いる。
(前記一般式(5)において、RおよびRは、前記一般式(3)におけるRおよびRとそれぞれ同義である。)
本発明の一態様に係るポリカーボネート樹脂の製造方法は、少なくとも、本発明の一態様に係るビスクロロホーメート組成物と、有機溶剤と、アルカリ水溶液と、2価フェノール化合物と、を用い、有機層と水層とを混合して界面重縮合反応を行う。
本発明の一態様に係るポリカーボネート樹脂は、下記一般式(A1)で表され、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が40モル%以上75モル%以下である。
(前記一般式(A1)において、Arは下記一般式(2)で表される基であり、Arは、下記一般式(3)で表される基であり、a1は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a2は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a1およびa2は、それぞれ独立に、1.0を超えて2.7以下である。)
(前記一般式(2)において、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
トリフルオロメチル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、
−O−、
−CO−、
−S−、
−SO−、
−CR−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
9,9−フルオレニリデン基、
1,8−メンタンジイル基、
2,8−メンタンジイル基、および
下記一般式(100)で表される基からなる群から選択され、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜5のアルキル基、
トリフルオロメチル基、および
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
前記一般式(3)において、
およびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。)
(前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。)
本発明の別の一態様に係るポリカーボネート樹脂は、下記一般式(A2)で表され、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が40モル%以上75モル%以下である。
(前記一般式(A2)において、Arは、下記一般式(2)で表される基であり、Arは、下記一般式(3)で表される基であり、a1は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a2は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a1およびa2は、それぞれ独立に、1.0を超えて2.7以下であり、bは[ ]で表される単位の繰り返し数であり、(a1+a2)×bは樹脂の平均繰り返し数を表し、30以上300以下の数である。)
(前記一般式(2)において、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
トリフルオロメチル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、
−O−、
−CO−、
−S−、
−SO−、
−CR−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
9,9−フルオレニリデン基、
1,8−メンタンジイル基、
2,8−メンタンジイル基、および
下記一般式(100)で表される基からなる群から選択され、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜5のアルキル基、
トリフルオロメチル基、および
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
前記一般式(3)において、
およびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。)
(前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。)
本発明の一態様に係る塗工液は、本発明の一態様に係るポリカーボネート樹脂と有機溶剤とを含む。
本発明の一態様に係る電子写真感光体は、本発明の一態様に係るポリカーボネート樹脂を含む。
本発明の一態様に係る電子写真感光体は、基板と、前記基板上に設けられた感光層と、を有し、前記感光層は、本発明の一態様に係るポリカーボネート樹脂を含む。
本発明の一態様に係る電子写真装置は、本発明の一態様に係る電子写真感光体を有する。
本発明によれば、溶媒への溶解性および溶液安定性を改善したビスクロロホーメート組成物、当該ビスクロロホーメート組成物の製造方法、およびビスクロロホーメート組成物含有溶液を提供することができる。また、本発明によれば、耐摩耗性に優れ、良好な溶解性を持つポリカーボネート樹脂、当該ポリカーボネート樹脂の製造方法、当該ポリカーボネート樹脂を用いた塗工液および電子写真感光体、並びに当該電子写真感光体を用いた電子写真装置を提供することができる。
ビスクロロホーメート組成物の製造方法の一例を示すフロー図である。 ビスクロロホーメート組成物の製造方法の他の一例を示すフロー図である。
以下に、本発明の一実施形態に係るビスクロロホーメート組成物、ビスクロロホーメート組成物の製造方法、ビスクロロホーメート組成物含有溶液、ポリカーボネート樹脂(以下、「ポリカーボネート共重合体」または「PC共重合体」と言うこともある。)、ポリカーボネート樹脂の製造方法、塗工液、電子写真感光体、および電子写真装置について、詳細に説明する。
[ビスクロロホーメート組成物]
本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、下記一般式(1)で表されるビスクロロホーメート組成物であり、複数のAr成分を含む。本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、ArとしてArおよびArをそれぞれ1種以上含む。
前記一般式(1)において、m1は、ビスクロロホーメート組成物の平均量体数を表す。ビスクロロホーメート組成物の平均量体数(m1)は、後述の式(数1)により得られる。m1は、1.0以上1.99以下であり、好ましくは1.5以下であり、より好ましくは1.15以下である。
前記一般式(1)において、Arは、下記一般式(2)で表される基(Ar)または下記一般式(3)で表される基(Ar)である。
前記一般式(2)において、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
トリフルオロメチル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。
Xは、
−O−、
−CO−、
−S−、
−SO−、
−CR−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
9,9−フルオレニリデン基、
1,8−メンタンジイル基、
2,8−メンタンジイル基、および
下記一般式(100)で表される基からなる群から選択される。
前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。
炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、およびヘキシル基等が挙げられる。
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜5のアルキル基、
トリフルオロメチル基、および
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
前記一般式(3)において、
およびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成(Arで表される骨格およびArで表される骨格の合計のモル百分率を100モル%としたときの、Arで表される骨格のモル百分率)が45モル%以上99モル%以下である。前記範囲とすることで、ビスクロロホーメート組成物の溶媒への溶解性および溶液安定性が向上する。
Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成は、好ましくは、55モル%以上、99モル%以下であり、より好ましくは、60モル%以上90モル%以下であり、さらに好ましくは、67モル%以上90モル%以下であり、さらにより好ましくは、70モル%以上85モル%以下である。
なお、Arが溶解性の良好な骨格であるBPCZである場合には、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が67モル%以上であると、溶解性が非常に良好になる。また、ArがBPZである場合には、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が71モル%以上であると、溶解性が非常に良好になる。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、下記式(数1)で得られる平均量体数(m1)が1.99以下である。平均量体数(m1)は、ビスクロロホーメート組成物に含まれるビスクロロホーメート化合物の量体数の平均である。例えば、ビスクロロホーメート組成物中に、量体数が1であるビスクロロホーメート化合物Xを1分子、および量体数が2であるビスクロロホーメート化合物Yを1分子含む場合、当該ビスクロロホーメート組成物の平均量体数(m1)は、以下の通り1.5となる。
平均量体数(m1)の下限値は、1.0以上である。ビスクロロホーメート組成物の平均量体数(m1)は、好ましくは、1.0以上1.5以下、より好ましくは、1.0以上1.3以下である。
[数3]
平均量体数(m1)=1+(Mav−M1)/M2・・・(数1)
前記式(数1)において、
Mavは(2×1000/(CF価))である。
M1は、Ar/(Ar+Ar)の割合で存在し、かつ平均量体数(m1)が1.0のときの、前記ビスクロロホーメート組成物に含まれるビスクロロホーメート化合物の平均分子量(ArがAr/(Ar+Ar)の割合で存在するときのArとArの分子量の重量平均値をArの分子量とし、かつ平均量体数(m1)が1.0のときの、前記ビスクロロホーメート組成物に含まれるビスクロロホーメート化合物の平均分子量)であり、
M2は(M1−Y)である。
CF価[クロル原子のモル数/kg]は、前記ビスクロロホーメート組成物を有機溶媒に完全に溶解させて得られたビスクロロホーメート組成物溶液における(CF値/濃度)である。
CF値[N]は前記ビスクロロホーメート組成物溶液1Lに含まれるビスクロロホーメート化合物中のクロル原子のモル数である。[N]は、[モル/L]とも表される。
「ビスクロロホーメート化合物中のクロル原子のモル数」とは、ビスクロロホーメート化合物中のカルボニル基に結合したクロル原子のモル数を表し、同一分子中にカルボニル基に結合していないクロル原子を含む分子の場合、当該クロル原子はCF値として算入しない。
濃度[kg/L]は前記ビスクロロホーメート組成物溶液1Lを濃縮して得られる固形分の量である。
Yは、ビスクロロホーメート化合物とフェノール化合物の重縮合で脱離する2個の塩素原子、1個の酸素原子および1個の炭素原子の合計の原子量である。すなわち、Yは、前記一般式(1)で表される構造のうち、下記の部分を除いて残る原子(塩素原子2個、酸素原子1個、および炭素原子1個)の合計の原子量である。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、下記一般式(11)で表される第一のビスクロロホーメート化合物および下記一般式(12)で表される第二のビスクロロホーメート化合物を、それぞれ1種以上含むことが好ましい。
前記一般式(11)において、Arは、前記一般式(2)で表される基である。n1は1以上の整数であり、好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましくは1以上3以下の整数であり、さらに好ましくは1または2であり、さらにより好ましくは1である。
前記一般式(12)において、Arは、前記一般式(3)で表される基である。n2は1以上の整数であり、好ましくは1以上5以下の整数であり、より好ましくは1以上3以下の整数であり、さらに好ましくは1または2であり、さらにより好ましくは1である。
前記第一のビスクロロホーメート化合物としては、例えば、下記一般式(11A)〜(11C)で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(11A)〜(11C)において、R、R、およびXは、前記一般式(2)におけるR、R、およびXとそれぞれ同義である。n1は、前記一般式(11)におけるn1と同義である。
前記第二のビスクロロホーメート化合物としては、例えば、下記一般式(12A)〜(12C)で表される化合物が挙げられる。
前記一般式(12A)〜(12C)において、RおよびRは、前記一般式(3)におけるRおよびRとそれぞれ同義である。n2は、前記一般式(12)におけるn2と同義である。
本実施形態において、ビスクロロホーメート組成物は、前記第一のビスクロロホーメート化合物として、機械的強度および電気特性が良好な1,1−ビス(フェニレン−4−イル)シクロヘキサン骨格を有する、下記一般式(6)で表される化合物を含むことが好ましい。
なお、「電気特性」とは、表面帯電性、露光感度、暗減衰、および電位安定性等の、電子写真プロセスにおける画像品質をつかさどる感光体の基本特性である。
前記一般式(6)において、n1は、前記一般式(11)におけるn1と同義である。R11およびR12は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基である。
本実施形態において、ビスクロロホーメート組成物は、前記第二のビスクロロホーメート化合物として、機械的強度および電気的強度が良好な3,3’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジイル骨格を有する、下記一般式(7)で表される化合物を含むことが好ましい。
なお、近年の高画質化に伴い、電子写真感光体の感光層の表面を帯電させる方式として、DC電圧にAC電圧を重畳させたAC/DC重畳帯電方式が用いられている。このAC/DC重畳帯電方式によれば、帯電時の安定性が向上する一方、AC電圧を重畳するために電子写真感光体表面の放電量は大幅に増大する。そのため、樹脂が劣化し、電子写真感光体の摩耗量が増加してしまう。このような、帯電劣化に対する強度を、「電気的強度」と呼ぶ。電子写真感光体には、機械的強度のみならず電気的強度も要求されるようになってきている。
前記一般式(7)において、n2は、前記一般式(12)におけるn2と同義である。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、第一のビスクロロホーメート化合物および第二のビスクロロホーメート化合物を、それぞれ複数種含んでいてもよい。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、第一のビスクロロホーメート化合物1種と、第二のビスクロロホーメート化合物1種とを含むことが好ましく、第一のビスクロロホーメート化合物が前記一般式(6)で表される第一のビスクロロホーメート化合物であり、第二のビスクロロホーメート化合物が前記一般式(7)で表される第二のビスクロロホーメート化合物であることがより好ましい。これらの場合において、第一のビスクロロホーメート化合物および第二のビスクロロホーメート化合物以外のビスクロロホーメート化合物を含むことを除外しない。
なお、「第一のビスクロロホーメート化合物1種」とは、前記一般式(11)におけるArが同一のビスクロロホーメート化合物のことであり、ビスクロロホーメート組成物の中に前記一般式(11)で表される第一のビスクロロホーメート化合物が複数含まれる場合、それぞれの第一のビスクロロホーメート化合物の量体数n1は、互いに同一でも異なっていてもよい。例えば、1種の第一のビスクロロホーメート化合物には、Arが同一で、n1が異なるビスクロロホーメート化合物が含まれ得る。
また同様に、「第二のビスクロロホーメート化合物1種」とは、前記一般式(12)におけるArが同一のビスクロロホーメート化合物のことであり、ビスクロロホーメート組成物の中に前記一般式(12)で表される第二のビスクロロホーメートが複数含まれる場合、それぞれの第二のビスクロロホーメート化合物の量体数n2は、互いに同一でも異なっていてもよい。例えば、1種の第二のビスクロロホーメート化合物には、Arが同一で、n2が異なるビスクロロホーメート化合物が含まれ得る。
[ビスクロロホーメート組成物の製造方法]
本実施形態のビスクロロホーメート組成物の製造方法では、少なくとも、疎水性有機溶媒と、下記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、下記一般式(5)で表されるビフェノール化合物と、ホスゲン系化合物と、を用いて、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を製造する。
前記一般式(4)において、R、R、およびXは、前記一般式(2)におけるR、R、およびXとそれぞれ同義である。
前記一般式(5)において、RおよびRは、前記一般式(3)におけるRおよびRとそれぞれ同義である。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物の製造方法は、少なくとも、疎水性有機溶媒と、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物と、ホスゲン系化合物と、脂肪族系第3級アミンと、を用いて、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を製造することも好ましい。
以下に、本実施形態のビスクロロホーメート組成物の製造方法について、第1〜4の製造方法を例に挙げて説明する。
〔第1の製造方法〕
第1の製造方法は、疎水性有機溶媒を用い、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物と、ホスゲン系化合物と、脂肪族系第3級アミンとを混合して、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を製造する方法である。
第1の製造方法に係るビスクロロホーメート組成物の製造方法を具体的に説明すると、以下の通りである。
図1に示すように、第1の製造方法では、疎水性有機溶媒中に、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物を懸濁または溶解させる懸濁工程または溶液化工程(S11)と、この懸濁液または溶液にホスゲン系化合物を導入するホスゲン導入工程(S12)と、ホスゲン導入工程で得られた混合液に、疎水性有機溶媒で希釈した脂肪族系第3級アミンを滴下する滴下工程(S13)と、を実施する。
(懸濁工程または溶液化工程)
懸濁工程または溶液化工程(S11)では、疎水性有機溶媒と、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物とを混合して懸濁液または溶液を調製する。
前記一般式(4)で示されるビスフェノール化合物として、具体的には、例えば、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−ジフェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、1,3−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン、および1,4−ビス(2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル)ベンゼン等が挙げられる。
これらのビスフェノール化合物の中で、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−トリフルオロメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、および2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましく、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)アダマンタン、および2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタンがより好ましい。
前記一般式(5)で示されるビフェノール化合物として、具体的には、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジエチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジプロピル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジブチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、および3,3’−ビス(ペンタフルオロエチル)−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
これらのビフェノール化合物の中で、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジエチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、および3,3’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジヒドロキシビフェニルが好ましく、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルがより好ましい。
疎水性有機溶媒としては、例えば、芳香族炭化水素系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、およびエーテル系溶媒等を用いることができる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、およびベンゼン等が挙げられる。脂肪族炭化水素系溶媒としては、例えば、ペンタン、ヘプタン、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、および1,3−ジメチルシクロヘキサン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、およびクロロホルム等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、およびシクロヘキサノン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、およびジブチルエーテル等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いても良い。
疎水性有機溶媒の使用量は特に制限はないが、原料の前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物の合計の濃度が30(g/L)以上420(g/L)以下となるように使用することが好ましく、60(g/L)以上250(g/L)以下となるように使用することがより好ましい。
原料の前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物の濃度が30(g/L)以上であれば、原料であるビスフェノール化合物およびビフェノール化合物とホスゲンとの反応性が良好となり、420(g/L)以下であれば、製造されるビスクロロホーメート組成物の溶媒への溶解性が良好となる。
(ホスゲン導入工程)
ホスゲン導入工程(S12)では、前記懸濁工程または溶液化工程で得られた懸濁液または溶液にホスゲン系化合物を導入する。
ホスゲン系化合物を導入する際には、例えば、ホスゲン化合物を含有するホスゲン溶液と前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物を含有する懸濁液または溶液とを一度に混合してもよく、またホスゲン化合物を含有するホスゲン溶液を、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物を含有する懸濁液または溶液に滴下等してもよい。
ホスゲン系化合物としては、例えば、ホスゲン、ジホスゲン、およびトリホスゲン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ホスゲン系化合物の使用量は特に制限はないが、原料の前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物の合計の水酸基に対して0.95当量以上使用することが好ましい。経済面からは、ホスゲン系化合物の使用量は、0.97当量以上1.60当量以下であることが好ましい。
(滴下工程)
滴下工程(S13)では、懸濁液または溶液と、ホスゲン系化合物との混合液に、疎水性有機溶媒で希釈した脂肪族系第3級アミンを滴下して、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を製造する。
滴下工程(S13)では、反応温度は−10℃以上40℃以下であることが好ましく、より好ましくは、0℃以上30℃以下である。また、滴下工程に続く反応工程においても、好適な反応温度は同様である。ここで、反応温度が−10℃以上であれば、ビスクロロホーメート組成物の溶解度が高くなり、疎水性溶媒の使用量を減らすことができる。一方、反応温度が40℃以下であれば、1.99量体以下のビスクロロホーメート組成物が効率的に得られる。
また、反応時間は、0.1時間以上20時間以下であることが好ましく、より好ましくは、0.1時間以上6時間以下である。ここで、反応時間とは、滴下開始から洗浄開始までの時間である。
脂肪族系第3級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリメチルアミン、およびトリプロピルアミン等のトリアルキルアミン等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
脂肪族系第3級アミンの使用量は特に制限はないが、原料の前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物の合計の水酸基に対して1.1当量以下にて使用することが好ましい。ここで、脂肪族系第3級アミンを大量に使用すると、アミンの一部がクロロホーメート基、またはホスゲン系化合物と反応し、カーバメート基(−O−CO−N(C)を有する副生成物が生成するおそれがある。反応生成物中の全末端官能基に占めるカーバメート基の割合が10モル%を超えると、カーバメート基はそれ以上の置換反応を起こさないため、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を用いても高分子量のポリマーを得ることができない場合がある。そのため、反応生成物中の全末端官能基に占めるカーバメート基の割合は、10モル%以下であることが好ましい。
滴下工程(S13)の後、反応溶液に水を注入して、塩酸塩を抽出して精製を行う。そして、精製後の有機層を取り出し、有機層の有機溶媒の一部または全てを留去することで、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を得る。なお、精製後の有機層そのものを、後述のビスクロロホーメート組成物含有溶液として得てもよい。
また、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を合成した後、反応溶液に水を導入し、水層と有機層とに分離させる際、水層の水素イオン濃度(pH)は、4以下が好ましく、さらに好ましくは、1以上3以下である。水素イオン濃度が4以下であると、アミン塩を効果的に水層に移動させることが可能であり、その結果、ビスクロロホーメート組成物の加水分解を抑制することができる。水素イオン濃度は、塩酸等を使用して調整することができる。
〔第2の製造方法〕
次に、第2の製造方法に係るビスクロロホーメート組成物の製造方法について説明する。
なお、第2の製造方法に係るビスクロロホーメート組成物の製造方法では、第1の製造方法にて採用した前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物、脂肪族系第3級アミン、疎水性有機溶媒、およびホスゲン系化合物と同様のものを採用することができる。
図2に示すように、第2の製造方法では、疎水性有機溶媒中に、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物とを懸濁または溶解させる懸濁または溶液化工程(S21)と、この懸濁液または溶液に脂肪族系第3級アミンを導入するアミン導入工程(S22)と、この脂肪族系第3級アミンが導入された溶液を、疎水性有機溶媒で希釈したホスゲン系化合物に滴下するアミン滴下工程(ホスゲン混合工程)(S23)と、を実施する。
懸濁工程または溶液化工程(S21)では、疎水性有機溶媒と、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物とを混合して懸濁液または溶液を調製する。そして、アミン導入工程(S22)で、調製した懸濁液または溶液に脂肪族系第3級アミンを混合して溶液を調製する。一方、ホスゲン混合工程(S23)では、ホスゲン系化合物と疎水性有機溶媒とからホスゲン溶液を調製し、このホスゲン溶液にアミン導入工程で調製した溶液を滴下して、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を製造する。
なお、ホスゲン混合工程(S23)の後は、上述の第1の製造方法と同様に、反応溶液に水を注入して、塩酸塩を抽出して精製を行う。そして、精製後の有機層を取り出し、有機層の有機溶媒の一部または全てを留去することで、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を得ることができる。なお、精製後の有機層そのものを、後述のビスクロロホーメート組成物含有溶液として得てもよい。
〔第3の製造方法〕
次に第3の製造方法に係るクロロホーメート組成物の製造方法について説明する。
なお、第3の製造方法に係るビスクロロホーメート組成物の製造方法では、第1の製造方法にて採用した前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物、疎水性有機溶媒、およびホスゲン系化合物と同様のものを採用することができる。
第3の製造方法は、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解させた溶液と、前記ホスゲン系化合物とを、前記疎水性有機溶媒の存在下で、マイクロメートルオーダーの微細流路にて連続的に反応させる方法である。
第3の製造方法では、具体的には、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解させた原料溶液を調製する工程と、ホスゲン系化合物を疎水性有機溶媒に溶解させたホスゲン溶液を調製する工程と、前記原料溶液と前記ホスゲン溶液とを、マイクロメートルオーダーの微細流路にて連続的に反応させる工程と、を実施する。
原料溶液は、例えば、水酸化ナトリウムが水に溶解したアルカリ水溶液に、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物を溶解させた溶液である。
ここで、水酸化ナトリウム以外にも、他のアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、および水酸化セシウム等)、アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウム、および水酸化バリウム等)、並びにアルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、および炭酸カリウム等)等を採用してもよい。
また、水は、水道水等の常水でも、蒸留水でも、またはイオン交換水でもよく、これらの常水、蒸留水、またはイオン交換水を減圧下で脱気処理したものでもよい。また、煮沸後、窒素気流下で冷却したものでもよい。
ホスゲン溶液は、ホスゲン系化合物が疎水性有機溶媒に溶解した溶液である。疎水性有機溶媒の使用量は特に制限はないが、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物100質量部に対して3質量部以上50質量部以下となるように使用することが好ましく、5質量部以上20質量部以下となるように使用することがより好ましい。
また、ホスゲン系化合物の使用量は特に制限はないが、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物の合計の水酸基に対して0.95当量以上であることが好ましく、0.95当量以上10当量以下であることがより好ましく、1.0当量以上3.0当量以下であることがさらに好ましい。過剰のアルカリ量に相当する量以上のホスゲン系化合物を使用することにより、反応後の混合液の水素イオン濃度を比較的高くすることができるため、分液操作時に、ビスクロロホーメート化合物とアルカリ水が反応することを防止することができる。また、ホスゲン系化合物の使用量を抑え、ミキサー出口で過剰のアルカリ量に相当する酸性溶液を加えることでも同様に、ビスクロロホーメート化合物とアルカリ水が反応することを防止することができる。
なお、原料溶液の流速とホスゲン溶液の流速を調整することにより、理論上、所定時間当たりのホスゲン系化合物の使用量を設定することができる。
第3の製造方法においては、原料溶液とホスゲン溶液とを混合する反応空間がマイクロメートルオーダーであるため、瞬時混合が可能となる。ホスゲン溶液の溶媒が疎水性有機溶媒である場合、原料溶液と混合しにくいが、マイクロメートルオーダーの微細流路にて、原料溶液とホスゲン溶液とを、連続的に反応させることで、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物とホスゲンとが混合しやすくなり、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物のオリゴマー化およびポリマー化を防止することができる。よって、平均量体数(m1)が1.99以下という、単量体に近いビスクロロホーメート組成物を良好に得ることができる。
なお、瞬時混合が可能な微細流路を備えた反応器として、マイクロミキサーおよびマイクロリアクター等が市販されている。そのような反応器は瞬時混合が可能なように流路が工夫されているものが多いため、微細流路の内径を一義的に表現することができない。このため、本明細書では、「マイクロメートルオーダー」という表現を用いている。
上記のように、反応器の内径を一義的に決定できないが、溶液を混合するための最少限のミキシング部材を備える微細流路の長径(微細流路を、長手方向に対して垂直に切断した際の、断面の内径)が1mm以下のマイクロメートルオーダーであればよい。例えば、配管内にミキシング部材が並置され、複数の微細流路が形成される場合には、その配管の長径は1mmを超える場合がある。微細流路の長径は、好ましくは、10μm以上1000μm以下であり、より好ましくは、10μm以上700μm以下である。微細流路の長径が1000μm以下であれば、混合するまでの時間を短縮でき、平均量体数(m1)が1.99以下のビスクロロホーメート組成物を効率よく生成することができる。下限値は特にないが、10μm以上であれば、ミキシング部分の加工が容易であり、通液量を大きくすることができ、生産性が向上する。
マイクロメートルオーダーの微細流路では、原料溶液とホスゲン溶液とを混合した混合液の線速度は、0.2m/秒以上50m/秒以下であることが好ましく、線速度が0.2m/秒以上30m/秒以下であることが好ましい。線速度が、0.2m/秒以上であれば、平均量体数(m1)が1.99以下のビスクロロホーメート組成物をより良好に得ることができる。一方、線速度を、50m/秒以下とすることで、原料溶液とホスゲン溶液をマイクロメートルオーダーの微細流路の反応部に注入する圧力が大きくなりすぎることを防止することができる。
マイクロメートルオーダーの微細流路の反応部は、温度調整槽により−10℃以上60℃以下に設定されることが好ましく、0℃以上40℃以下に設定されることがより好ましい。マイクロメートルオーダーの微細流路の反応部の温度が60℃以下であれば、平均量体数(m1)が1.99以下のビスクロロホーメート組成物を良好に得ることができる。
なお、第3の製造方法に係る製造装置としては、例えば、国際公開第2010/150888号に記載の製造装置を用いることができる。
〔第4の製造方法〕
次に第4の製造方法に係るクロロホーメート組成物の製造方法について説明する。
第4の製造方法に係るビスクロロホーメート組成物の製造方法では、上述の第1〜2の製造方法の懸濁工程または溶液化工程において、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物を、別々の疎水性有機溶媒中に、懸濁または溶解する。そして、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物を原料とするビスクロロホーメート化合物と、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物を原料とするビスクロロホーメート化合物を、別々に合成した後、各ビスクロロホーメート化合物の溶液を、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が、45モル%以上99モル%以下になるように、混合調整を実施する。その後、混合調整した溶液から有機溶媒の一部または全てを留去することで、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を得る。なお、混合調整した溶液そのものを、後述のビスクロロホーメート組成物含有溶液として得てもよい。また、前記一般式(4)に示すビスフェノール化合物から合成されたビスクロロホーメート化合物および前記一般式(5)に示すビスフェノール化合物から合成されたビスクロロホーメート化合物の一方、または双方を、それぞれ対応する第3の製造方法により、前記一般式(4)に示すビスフェノール化合物を原料として得られたビスクロロホーメート化合物、および前記一般式(5)に示すビスフェノール化合物を原料として得られたビスクロロホーメート化合物に置き換えることができる。
本発明者らは、溶媒への溶解性および溶液安定性を改善したビスクロロホーメート組成物、およびビスクロロホーメート組成物含有溶液について鋭意研究を重ねた結果、結晶性が高く溶液安定性の低いビフェノール型骨格(Ar骨格)を有するビスクロロホーメート化合物に、溶解性に優れるビスフェノール型骨格(Ar骨格)を有するビスクロロホーメート化合物を、両化合物全量に対してAr/(Ar+Ar)で表されるモル組成が45モル%以上99モル%以下で導入することで、溶媒への溶解性および溶液安定性が向上することを見出した。さらには、ビスフェノール型骨格含有ビスクロロホーメート組成物を用いて、ビフェノール骨格を主成分とするポリカーボネート樹脂を製造する際の、分子量安定性についても向上することを見出した。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、結晶性が高く溶液安定性の低いビフェノール型骨格を有するビスクロロホーメート化合物と、溶解性に優れるビスフェノール型骨格を有するビスクロロホーメート化合物を含んでいるため、溶媒への溶解性に優れる。また、溶解性に優れるビスフェノール型骨格を有するビスクロロホーメート化合物を両化合物全量に対して、45モル%以上99モル%以下含むことで、溶液安定性が向上する。そのため、溶媒に対する固形分濃度を向上させることもできる。
[ビスクロロホーメート組成物含有溶液]
本実施形態のビスクロロホーメート組成物含有溶液は、少なくとも、本実施形態のビスクロロホーメート組成物、および溶媒を含む。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物含有溶液で使用される溶媒は、本実施形態のビスクロロホーメート組成物および他の材料の溶解性、分散性、粘度、蒸発速度、化学的安定性、および物理的変化に対する安定性等を考慮し、単独、あるいは複数の溶媒を混合して使用することができる。
溶媒は有機溶媒を含むことが好ましい。有機溶媒の具体例としては、例えば、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、およびスルホキシド系溶媒等を挙げることができる。
芳香族炭化水素系溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびクロロベンゼン等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、およびメチルイソブチルケトン等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル、エチルセロソルブ、およびεカプロラクタム等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素系溶媒としては、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、およびテトラクロロエタン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、およびジオキサン等が挙げられる。アミド系溶媒としては、ジメチルホルムアミド、およびジエチルホルムアミド等が挙げられる。スルホキシド系溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド等を挙げることができる。
これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合溶媒として使用してもよい。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物含有溶液におけるビスクロロホーメート組成物成分の濃度は、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を用いて樹脂製造を行う際の使用上の観点から、60g/L以上210g/L以下であることが好ましく、90g/L以上200g/L以下であることがより好ましく、120g/L以上190g/L以下であることがさらに好ましい。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物含有溶液中、本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、溶媒への溶解性に優れるため、溶媒に溶解しても白化またはゲル化を起こすことがない。本実施形態のビスクロロホーメート組成物および溶媒を含有する本実施形態のビスクロロホーメート組成物含有溶液は、長期に亘ってビスクロロホーメート組成物成分の白化またはゲル化を起こすことなく、安定に保存することが可能である。
[ポリマー]
本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、ポリマー原料として使用可能である。
本実施形態のビスクロロホーメート組成物を用いて、共重合ポリマーを合成できる。共重合ポリマーとしては、例えば、ポリカーボネート樹脂(以下、単に「PC樹脂」と表記することもある。)等を挙げることができる。
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、下記一般式(A1)で表され、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が40モル%以上75モル%以下である。
前記一般式(A1)において、Arは下記一般式(2)で表される基であり、Arは、下記一般式(3)で表される基であり、a1は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a2は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a1およびa2は、それぞれ独立に、1.0を超えて2.7以下である。
前記一般式(2)において、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
トリフルオロメチル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、
−O−、
−CO−、
−S−、
−SO−、
−CR−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
9,9−フルオレニリデン基、
1,8−メンタンジイル基、
2,8−メンタンジイル基、および
下記一般式(100)で表される基からなる群から選択され、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜5のアルキル基、
トリフルオロメチル基、および
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
前記一般式(3)において、
およびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。
前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。
なお、本発明における「Ar成分」とは、下記一般式(a1)で表される構造(ブロック単位)のことである。また、本発明における「Ar成分」とは、下記一般式(a2)で表される構造(ブロック単位)のことである。
前記一般式(A1)で表される樹脂のa1は1.0を超え2.7以下であり、好ましくは1.0を超え2.3以下であり、より好ましくは1.0を超え2.2以下であり、さらに好ましくは1.0を超え1.99以下である。a2は1.0を超え2.7以下であり、好ましくは1.0を超え2.3以下であり、より好ましくは1.0を超え2.2以下であり、さらに好ましくは1.0を超え1.99以下である。であ
b×(a1+a2)は30以上300以下の数である。b×(a1+a2)が30以上の数であれば、樹脂の耐久性が良好となる。また、b×(a1+a2)が300以下の数であれば、樹脂成型時の粘度が適切となる。b×(a1+a2)は、好ましくは40以上200以下の数であり、さらに好ましくは50以上150以下の数である。
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、塩化メチレンに対して10質量%濃度で溶解した溶液の、光路長10mmにおけるヘイズ値が10%未満であり、かつテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略記することもある。)に対して20質量%濃度で溶解した溶液の、光路長10mmにおけるヘイズ値が10%未満であることが好ましい。PC樹脂を塩化メチレンに対して10質量%で溶解した溶液、またはTHFに対して20質量%濃度で溶解した溶液の、光路長10mmにおけるヘイズ値が各々10%未満であれば、湿式成型により得た樹脂製品の透明性が良好であり好ましい。また、同樹脂を電子写真感光体用途に使用した場合は、電気特性が良好になり好ましい。
ヘイズ値は、スガ試験機製全自動ヘーズコンピュータ(HGM−2D)を用い、JIS K7105に準拠して測定することができる。
また、本実施形態のポリカーボネート樹脂は、THFに対して40質量%濃度で溶解し、室温(20〜28℃の条件)で3時間以上静置した後、樹脂の固形分濃度が20質量%になるまでTHFを追加し、さらに室温(20〜28℃の条件)で5時間以上攪拌および震とうして溶解した際に、ゲル成分および不溶解成分が生じず、かつ溶液の光路長10mmにおけるヘイズ値が10%未満あることが好ましい。
なお、樹脂の溶解性は、従来、所定の溶媒および所定の濃度での溶解試験を行うことが通常であった。しかしながら、この従来の試験方法では、実際の溶解工程で発生する「溶解操作毎に溶解性が異なる(不溶化、および白濁等が起こる)」という不具合、並びに「溶液の保管時に外観が変化(ゲル化等)することを、初期段階で判別することができない」という不具合があった。
これは、大きなスケールの「溶解操作」においては、局所的に、溶剤と樹脂との比率が全体の比率とは異なる部分が生じ、溶剤による樹脂の変質(結晶化等)が生じているためと推測した。
今回、上記不均一性、および溶剤による変質しやすさを含めて評価可能な溶解性試験として、初期濃度を40質量%にした後、20質量%に希釈する方法を見出し、材料の「溶液製造工程適合性」まで評価可能な方法を確立した。本方法で得られた樹脂の光路長10mmにおけるヘイズ値は、10%未満であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、前記一般式(A1)におけるArが下記一般式(2a)で表される基であり、かつ前記一般式(A1)におけるArが下記一般式(3a)で表される基であることが好ましい。
前記一般式(2a)において、
21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
トリフルオロメチル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、
−O−、
−CO−、
−S−、
−SO−、
−CR2526−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
9,9−フルオレニリデン基、
1,8−メンタンジイル基、
2,8−メンタンジイル基、および
下記一般式(100)で表される基からなる群から選択され、
25およびR26は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜5のアルキル基、
トリフルオロメチル基、および
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
ただし、Xが無置換のシクロヘキシリデン基である場合、R21およびR22が同時にメチル基となることはない。
前記一般式(3a)において、
23およびR24は、それぞれ独立に、
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。
前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。
前記一般式(A1)におけるArが前記一般式(2a)で表される基であり、かつ前記一般式(A1)におけるArが前記一般式(3a)で表される基である場合、PC樹脂の溶解性の観点から、前記一般式(A1)において、a2は1.0を超え1.99以下であることが好ましく、1.0を超え1.8以下であることがより好ましく、1.0を超え1.7以下であることがさらに好ましい。前記一般式(A1)におけるArが前記一般式(2a)で表される基であり、かつ前記一般式(A1)におけるArが前記一般式(3a)で表される基である場合に、前記一般式(A1)におけるa2が1.0を超え1.99以下であれば、樹脂の溶解性が良好となる。また、a2が1.0を超え1.8以下であれば、樹脂の溶解性がより良好となる。また、a2が1.0を超え1.7以下であれば、樹脂の溶解性がさらに良好となる。また、特にa2が1.62以下であれば、溶解操作時不均一性や溶剤による変質しやすさまでを含めて評価可能な溶解性試験である、上述の初期濃度を40質量%にした後、20質量%に希釈する方法においても透明な溶液が得られる。
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、下記一般式(A1−1)で表され、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が59モル%以上72モル%以下であることも好ましい。
前記一般式(A1−1)において、Arは下記一般式(2b)で表される基であり、Arは、下記一般式(3b)で表される基であり、a1は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a2は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a1およびa2は、それぞれ独立に、1.0を超えて2.7以下である。
前記一般式(A2−1)において、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が59モル%以上であれば、耐摩耗性が良好となる。
また、前記一般式(A2−1)において、a2は1.0を超え2.3以下であることが好ましく、1.0を超え2.2以下であることがより好ましく、1.0を超え1.99以下であることがさらに好ましく、1.0を超え1.8以下であることがさらにより好ましい。BPZに比べ、BPCZは、ベース樹脂としての溶解性が高いため、前記一般式(A2−1)(BPCZとOCBPとの共重合体)におけるa2が1.0を超え2.3以下であれば、樹脂の溶解性が良好となる。また、a2が1.0を超え2.2以下であれば、樹脂の溶解性がより良好となる。また、a2が1.0を超え1.8以下であれば、樹脂の溶解性がさらに良好となる。
また、本実施形態のポリカーボネート樹脂は、下記一般式(A2)で表され、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が40モル%以上75モル%以下であることも好ましい。Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が40モル%以上であると、耐摩耗性が良好となる。また、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が75モル%以下であると、ポリカーボネート樹脂の有機溶媒への溶解性が良好になり好ましい。
Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成は、より好ましくは50モル%以上72モル%、さらに好ましくは55モル%以上70モル%以下、さらにより好ましくは59モル%以上68モル%以下である。
前記一般式(A2)において、Arは、下記一般式(2)で表される基であり、Arは、下記一般式(3)で表される基であり、a1は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a2は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a1およびa2は、それぞれ独立に、1.0を超えて2.7以下であり、bは[ ]で表される単位の繰り返し数であり、(a1+a2)×bは樹脂の平均繰り返し数を表し、30以上300以下の数である。
前記一般式(2)において、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
トリフルオロメチル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、
−O−、
−CO−、
−S−、
−SO−、
−CR−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
9,9−フルオレニリデン基、
1,8−メンタンジイル基、
2,8−メンタンジイル基、および
下記一般式(100)で表される基からなる群から選択され、
およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜5のアルキル基、
トリフルオロメチル基、および
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
前記一般式(3)において、
およびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。
前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。)
前記一般式(A2)で表される樹脂のa1は1.0を超え2.7以下であり、好ましくは1.0を超え2.3以下であり、より好ましくは1.0を超え2.2以下であり、さらに好ましくは1.0を超え1.99以下である。a2は1.0を超え2.7以下であり、好ましくは1.0を超え2.3以下であり、より好ましくは1.0を超え2.2以下であり、さらに好ましくは1.0を超え1.99以下である。b×(a1+a2)は30以上300以下の数であり、好ましくは40以上200以下の数であり、さらに好ましくは50以上150以下の数である。
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、前記一般式(A2)におけるArが下記一般式(2a)で表される基であり、かつ前記一般式(A2)におけるArが下記一般式(3a)で表される基であることも好ましい。
前記一般式(2a)において、
21およびR22は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
トリフルオロメチル基、および
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択され、
Xは、
−O−、
−CO−、
−S−、
−SO−、
−CR2526−、
置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
9,9−フルオレニリデン基、
1,8−メンタンジイル基、
2,8−メンタンジイル基、および
下記一般式(100)で表される基からなる群から選択され、
25およびR26は、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
炭素数1〜5のアルキル基、
トリフルオロメチル基、および
置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
ただし、Xが無置換のシクロヘキシリデン基である場合、R21およびR22が同時にメチル基となることはない。
前記一般式(3a)において、
23およびR24は、それぞれ独立に、
炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。
前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。
前記一般式(A1)におけるArが前記一般式(2a)で表される基であり、かつ前記一般式(A1)におけるArが前記一般式(3a)で表される基である場合、前記一般式(A1)において、a2は1.0を超え1.99以下であることが好ましく、1.0を超え1.8以下であることがより好ましく、1.0を超え1.7以下であることがさらに好ましい。前記一般式(A1)におけるArが前記一般式(2a)で表される基であり、かつ前記一般式(A1)におけるArが前記一般式(3a)で表される基である場合に、前記一般式(A1)におけるa2が1.0を超え1.99以下であれば、樹脂の溶解性が良好となる。また、a2が1.0を超え1.8以下であれば、樹脂の溶解性がより良好となる。また、a2が1.0を超え1.7以下であれば、樹脂の溶解性がさらに良好となる。
本実施形態のポリカーボネート樹脂は、下記一般式(A2−1)で表され、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が59モル%以上72モル%以下であることも好ましい。
前記一般式(A2−1)において、Arは下記一般式(2b)で表される基であり、Arは、下記一般式(3b)で表される基であり、a1は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a2は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a1およびa2は、それぞれ独立に、1.0を超えて2.7以下である。
前記一般式(A2−1)において、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が59モル%以上であれば、耐摩耗性が良好となる。
また、前記一般式(A2−1)において、a2は1.0を超え2.3以下であることが好ましく、1.0を超え2.2以下であることがより好ましく、1.0を超え1.99以下であることがさらに好ましく、1.0を超え1.8以下であることがさらにより好ましい。前記一般式(A2−1)におけるa2が1.0を超え2.3以下であれば、樹脂の溶解性が良好となる。また、a2が1.0を超え2.2以下であれば、樹脂の溶解性がより良好となる。また、a2が1.0を超え1.8以下であれば、樹脂の溶解性がさらに良好となる。
特許文献1に記載のビスクロロホーメート化合物は、溶媒に対する溶解性が低く、溶液安定性が低いため、当該化合物を用いてポリマーを製造する際には、ポリマーの分子量安定性が低くなるという問題がある。
また、特許文献2に記載の技術でも、ビスクロロホーメート化合物の有機溶媒への溶液安定性が低いことに起因して、ポリマーの分子量安定性(分子量調整)が課題となっている。また、このようなビスクロロホーメート化合物を用いるため、製造時の固形分の仕込み量が制限され、生産性が低くなるという問題もある。
一方、本実施形態のビスクロロホーメート組成物は、結晶性が高く溶液安定性の低いビフェノール型骨格(Ar骨格)を有するビスクロロホーメート化合物と、溶解性に優れるビスフェノール型骨格(Ar骨格)を有するビスクロロホーメート化合物とが含まれるため、溶媒への溶解性および溶液安定性に優れ、従来のビフェノール型ビスクロロホーメート化合物より、ポリマー原料として使用する際の製造安定性に優れる。
本実施形態のポリマーは、ビフェノール型骨格を主骨格(ポリマーを構成する全重合単位に対して50モル%以上)とするポリマーであることが好ましい。ビフェノール型骨格を主骨格とするポリマーであると、耐摩耗性および硬度等の性能がより良好となる。
[ポリカーボネート樹脂の製造方法]
本実施形態に係るポリカーボネート樹脂は、例えば、本実施形態のビスクロロホーメート組成物を原料として、2価フェノール化合物と反応させることにより行うことができる。本実施形態のビスクロロホーメート組成物を用いることで、原料の溶解性が向上する。
本実施形態のポリカーボネート樹脂の製造方法では、2価フェノール化合物として、前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物の少なくともいずれかを用いることが好ましい。
本実施形態のポリカーボネート樹脂の製造方法では、本実施形態のビスクロロホーメート組成物と、前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物とを、少なくとも用いることが好ましい。前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物を用いることで、得られる樹脂の耐久性が向上する。
2価フェノール化合物は、アルカリ水溶液に溶解して用いても良い。
アルカリ水溶液としては、アルカリ金属水酸化物類、およびアルカリ土類水酸化物類等が好ましい。アルカリ金属水酸化物類としては、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類水酸化物類としては、水酸化カルシウム等が挙げられる。
また、本実施形態に係るポリカーボネート樹脂を製造する際には、トリエチルアミンを触媒として用いてもよい。
本実施形態のポリカーボネート樹脂の製造方法では、少なくとも、本実施形態のビスクロロホーメート組成物と、有機溶剤と、アルカリ水溶液と、2価フェノール化合物と、を用い、有機層と水層とを混合して界面重縮合反応を行うことが好ましい。
有機溶剤は、実質的に水と混じりあわなく、最終的に得られるポリカーボネート樹脂を5質量%以上溶解可能な有機溶剤であることが好ましい。
ここで、「実質的に水と混じりあわない」有機溶媒とは、常温常圧条件で、水と有機溶剤を1:9〜9:1の組成範囲で混合した場合に、均一な層からなる溶液(ゲル化物および不溶物のいずれもみられない溶液)が得られない有機溶媒である。
また、有機溶剤が「最終的に得られるポリカーボネート樹脂を5質量%以上溶解可能」とは、温度20〜30℃、常圧の条件で測定した際のポリカーボネート樹脂の溶解度である。
また、「最終的に得られるポリカーボネート樹脂」とは、本実施形態のポリカーボネート樹脂の製造方法における重合工程を経て得られる樹脂のことである。
このような有機溶剤としては、例えば、トルエン等の芳香族炭化水素類、シクロヘキサノン等のケトン類、および塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。中でも、溶解性が高いことから、塩化メチレンが好ましい。
製造する際の、重合工程の温度条件は、0〜35℃、好ましくは5〜30℃、さらに好ましくは5〜25℃である。
得られた樹脂の繰り返し成分Ar,Arの平均連鎖長(a1,a2)は、13C−NMRまたはH−NMRにより求めることができる。例えばArがBPZ、ArがOCBPである樹脂を例とした測定方法を、以下に示す。
(測定機器)
装置:ブルカー・バイオスピン株式会社製 DRX500
測定プローブ:5mm TCIクライオプローブ
(測定条件)
試料量:約50mg
溶媒:CDCl
測定手法:13C−NMR(逆ゲートデカップリング法)
13C共鳴周波数:125MHz
積算回数:1024回
データポイント数:64KB
データポイント間隔:16.65μsec
パルス繰り返し時間:10sec
測定温度:25℃
測定中心周波数:100ppm
測定範囲:238ppm
(解析条件)
13C−NMRスペクトルにおいて、クロロホルム由来の3本のピークの真ん中のピークを77.23ppmにする。
その時の以下の範囲のピークの積分値を[1](BPZ/BPZ)、[2](BPZ/OCBP)、[3](OCBP/OCBP)とする。
[1]:152.3〜152.2ppm
[2]:152.1〜151.9ppm
[3]:151.9〜151.7ppm
このとき、dyad連鎖分率(mol%)は、以下のようになる。
BPZ/BPZ=100×[1]/([1]+[2]+[3])
BPZ/OCBP=100×[2]/([1]+[2]+[3])
OCBP/OCBP=100×[3]/([1]+[2]+[3])
また例えば、ArがBPCZ、ArがOCBPである樹脂を例とした測定方法を、以下に示す。
(測定機器)
装置:日本電子製JNM−ECA500
(測定条件)
試料量:約250mg
溶媒:CDCl 3mL
13C共鳴周波数:125MHz
積算回数:5000回
(解析条件)
13C−NMRスペクトルにおいて、クロロホルム由来の3本のピークの真ん中のピークを77.07ppmにする。
OCBP同士が隣り合っている構造の中心カーボネート結合側(OCBPとOCBPとの間のカーボネート結合側)のo−メチル基(16.21ppm)と、OC−Z同士が隣り合っている構造の中心カーボネート結合側(OC−ZとOC−Zとの間のカーボネート結合側)のo−メチル基(16.37ppm)と、OC−BP及びOC−Zが隣り合っている構造の中心カーボネート結合側(OCBPとOC−Zとの間のカーボネート結合側)のo−メチル基(16.18ppm、16.40ppm)とでは、ピークのケミカルシフトが異なる。従って、(BPCZ/BPCZ)、(BPCZ/OCBP)、(OCBP/OCBP)の割合は、検出位置の異なるOC−BP成分とOC−Z成分のo−メチル基のピーク面積より求めた。
その時の以下の範囲のピークの積分値を[1](BPCZ/BPCZ)、[2](BPCZ/OCBP)、[3](OCBP/OCBP)とする。
[1]:16.37ppm
[2]:16.18ppm+16.40ppm
[3]:16.21ppm
このとき、dyad連鎖分率(mol%)は、以下のようになる。
BPCZ/BPCZ=100×[1]/([1]+[2]+[3])
BPCZ/OCBP=100×[2]/([1]+[2]+[3])
OCBP/OCBP=100×[3]/([1]+[2]+[3])
本実施形態のポリカーボネート樹脂の製造方法によれば、本実施形態のビスクロロホーメート化合物を原料として用いることで、分子量等の特性が安定したポリカーボネート樹脂を得ることができる。また、ArおよびArの平均繰り返し数を小さく制御することで、例えば結晶性の大きなArの成分割合が50質量%を超えても溶解性が良好であり、耐摩耗性が良好な樹脂を得ることができる。
[塗工液]
[塗工液の構成]
本実施形態の塗工液は、本実施形態のPC樹脂と有機溶剤を含む。有機溶剤は、PC樹脂を溶解、または分散可能な有機溶剤であることが好ましい。また、塗工液には本実施形態のPC樹脂および有機溶剤以外に低分子化合物、着色剤(例えば、染料および顔料等)、機能性化合物(例えば、電荷輸送材、電子輸送材、正孔輸送材、および電荷発生材料等)、充填材(例えば、無機または有機のフィラー、ファイバー、および微粒子等)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、並びに酸捕捉剤等の添加剤を含んでいても良い。PC樹脂以外に含まれても良い物質の例は、例えば後述する電子写真感光体の構成成分に含まれる物質が挙げられる。また、塗工液には、本発明の効果を損なわない限り他の樹脂を含んでいても良く、その例は下記電子写真感光体の構成成分の例として挙げられる。また、本実施形態で使用される有機溶剤は本実施形態のPC樹脂、他の材料の溶解性、分散性、粘度、蒸発速度、化学的安定性、および物理的変化に対する安定性等を考慮し、単独、あるいは複数の溶媒を混合して使用することができる。その例は、後述する電子写真感光体の構成成分の例として挙げられる。
本実施形態の塗工液中のPC樹脂成分の濃度は、同塗工液の使用法に合わせた適切な粘度であれば良い。塗工液中のPC樹脂成分の濃度は、好ましくは0.1質量%以上40質量%以下であり、1質量%以上35質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。塗工液中のPC樹脂成分の濃度が40質量%以下であれば、粘度が高くなりすぎることもなく塗工性が良好となる。0.1質量%以上であれば、適度な粘度に保つことができ、均質な膜が得られる。また、塗工後の乾燥時間の短縮および容易に目標とする膜厚とするのに、適度な濃度となる。
本実施形態のPC樹脂は前記電荷輸送材との相溶性がよい上に、前記有機溶剤に溶解しても白化またはゲル化を起こすことがない。従って、本実施形態のPC樹脂および有機溶媒を含有する本実施形態の塗工液は、さらに電荷輸送材を含有する場合であっても、長期に亘ってPC樹脂成分の白化またはゲル化を起こすことなく安定に保存することが可能である。また、この塗工液(電荷輸送材を含有する塗工液)を用いて電子写真感光体の感光層を形成した場合、感光層が結晶化を起こすこともなく、画質状のディフェクトを生じない優れた電子写真感光体を作製することができる。
また当該塗工液中のPC樹脂と電荷輸送物質との割合は、通常、質量比で20:80〜80:20、好ましくは30:70〜70:30とすることが望ましい。
本実施形態の塗工液中、本実施形態のPC樹脂は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の塗工液は、通常、感光層が少なくとも電荷発生層と電荷輸送層とを含む積層型電子写真感光体の、当該電荷輸送層の形成に好適に用いられる。また、上記塗工液に、さらに上記電荷発生物質を含有させることにより、単層型の電子写真感光体の感光層の形成に使用することも可能である。
本実施形態のPC樹脂を用いて、例えば、電子写真感光体等の光学部材を形成することができる。本実施形態のPC樹脂を含む電子写真感光体は、耐摩耗性等の機械的強度、電気的強度、および電気特性に優れる。そのため、電子写真プロセスにおける感度、および電気特性にも問題のない電子写真感光体を得ることができる。
[電子写真感光体の構成]
本実施形態の電子写真感光体は、本実施形態のPC樹脂を含んでいる。
例えば、電子写真感光体としては、基板と、前記基板上に設けられた感光層とを有し、前記感光層に、本実施形態のPC樹脂を含む電子写真感光体等が挙げられる。
電子写真感光体には、適用される電子写真プロセスに応じて、所定の感度、電気特性、および光学特性を備えていることが要求される。この電子写真感光体は、その感光層の表面に、コロナ帯電、トナー現像、紙への転写、クリーニング処理等の操作が繰り返し行われるため、これら操作を行う度に電気的、機械的な外力が加えられる。したがって、長期間にわたって電子写真の画質を維持するためには、電子写真感光体の表面に設けた感光層に、これら外力に対する耐久性が要求される。また、電子写真感光体は、通常、機能性材料と共にバインダー樹脂を有機溶剤に溶解し、導電性基板等にキャスト製膜する方法で製造される事から、有機溶剤への溶解性・安定性が求められる。
また、電子写真感光体表面を帯電させる方式としては、帯電ロールを感光ドラム表面に直接接触させる方式(接触式帯電方式)が多く採用されている。そして、上記帯電ロールへの帯電方式としては、DC電圧印加方式が考えられてきた。しかしながら、このようなDC接触帯電方式では、パッシェン則に従った帯電のため、帯電安定性が非常に悪いという欠点をもち、帯電時に微小な放電ムラが発生し、結果として帯電電位のムラを生じさせてしまう。この対策としてDC電圧にAC電圧を重畳させた、AC/DC重畳帯電方式が考案された。この帯電方式により、帯電時の安定性は極めて改善したが、AC電圧を重畳するために電子写真感光体表面の放電量は大幅に増大するため電子写真感光体の削れ量が増加してしまうという新たな問題を生じてしまい、機械的強度のみならず電気的強度も要求されるようになってきている。
上述の特許文献2に記載のポリカーボネート共重合体では、電子写真感光体と帯電ロールとの間の接触ニップでの放電により、分子間に結合断裂が生じることで、帯電劣化が引き起こされる。その結果、ポリカーボネート共重合体の耐摩耗性が極めて低下してしまう。また、特許文献3に記載のポリアリレート樹脂は、電子写真プロセスにおける感度、電気的特性について、ポリカーボネート樹脂よりも劣っており、機械的強度、電気的強度に優れ、かつ電子写真プロセスにおける感度、電気特性にも問題のない電子写真感光体の作製が困難である。
一方、本実施形態の電子写真感光体は、本実施形態のPC樹脂を感光層に用いているため、耐摩耗性等の機械的強度、および電気的強度に優れる。そのため、電子写真プロセスにおける感度や電気特性にも問題のない電子写真感光体を得ることができる。
本実施形態の電子写真感光体は、本実施形態のPC樹脂を感光層中に用いる限り、公知の種々の形式の電子写真感光体はもとより、どのような電子写真感光体としてもよいが、感光層が、少なくとも1層の電荷発生層と少なくとも1層の電荷輸送層とを有する積層型電子写真感光体、または、一層に電荷発生物質と電荷輸送物質とを有する単層型電子写真感光体とすることが好ましい。
PC樹脂は、感光層中のどの部分にも使用してもよいが、本発明の効果を十分に発揮するためには、電荷輸送層中において電荷移動物質のバインダー樹脂として使用するか、単一の感光層のバインダー樹脂として使用することが望ましい。また、感光層のみならず、表面保護層として使用することが望ましい。電荷輸送層を2層有する多層型の電子写真感光体の場合には、そのいずれかの電荷輸送層に使用することが好ましい。
本実施形態の電子写真感光体において、本実施形態のPC樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。また、所望に応じて本発明の目的を阻害しない範囲で、他のポリカーボネート等のバインダー樹脂成分を含有させてもよい。さらに、酸化防止剤等の添加物を含有させてもよい。
本実施形態の電子写真感光体は、感光層を導電性基板上に有する。感光層が電荷発生層と電荷輸送層とを有する場合、電荷発生層上に電荷輸送層が積層されていてもよく、また逆に電荷輸送層上に電荷発生層が積層されていてもよい。また、一層中に電荷発生物質と電荷輸送物質を同時に含む感光層であってもよい。さらにまた、必要に応じて表面層に導電性または絶縁性の保護膜が形成されていてもよい。表面層に本実施形態のPC樹脂を用いることで、機械的強度および電気的強度に優れ、電子写真プロセスにおける感度や電気特性にも問題のない電子写真感光体を得ることができる。
さらに、各層間の接着性を向上させるための接着層あるいは電荷のブロッキングの役目を果すブロッキング層等の中間層等が形成されていてもよい。
本実施形態の電子写真感光体に用いられる導電性基板材料としては、公知の材料等各種の材料を使用することができ、具体的には、アルミニウム、ニッケル、クロム、パラジウム、チタン、モリブデン、インジウム、金、白金、銀、銅、亜鉛、真鍮、ステンレス鋼、酸化鉛、酸化錫、酸化インジウム、ITO(インジウムチンオキサイド:錫ドープ酸化インジウム)もしくはグラファイトからなる、板、ドラム、およびシート、蒸着、スパッタリング、または塗布等によりコーティングする等して導電処理した、ガラス、布、紙、およびプラスチックのフィルム、シートもしくはシームレスベルト、並びに電極酸化等により金属酸化処理した金属ドラム等を使用することができる。
前記電荷発生層は少なくとも電荷発生材料を有する。この電荷発生層はその下地となる基板上に真空蒸着もしくはスパッタ法等により電荷発生材料の層を形成するか、またはその下地となる基板上に電荷発生材料を、バインダー樹脂を用いて結着してなる層を形成することによって得ることができる。バインダー樹脂を用いる電荷発生層の形成方法としては公知の方法等各種の方法を使用することができる。通常、例えば、電荷発生材料をバインダー樹脂と共に適当な溶媒により分散若しくは溶解した塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥せしめて湿式成形体として得る方法が好適である。
前記電荷発生層における電荷発生材料としては、公知の各種の材料を使用することができる。具体的な化合物としては、セレン単体(例えば、非晶質セレン、および三方晶セレン等)、セレン合金(例えば、セレン−テルル等)、セレン化合物もしくはセレン含有組成物(例えば、AsSe等)、周期律表第12族および第16族元素からなる無機材料(例えば、酸化亜鉛、およびCdS−Se等)、酸化物系半導体(例えば、酸化チタン等)、シリコン系材料(例えば、アモルファスシリコン等)、無金属フタロシアニン顔料(例えば、τ型無金属フタロシアニン、およびχ型無金属フタロシアニン等)、金属フタロシアニン顔料(例えば、α型銅フタロシアニン、β型銅フタロシアニン、γ型銅フタロシアニン、ε型銅フタロシアニン、X型銅フタロシアニン、A型チタニルフタロシアニン、B型チタニルフタロシアニン、C型チタニルフタロシアニン、D型チタニルフタロシアニン、E型チタニルフタロシアニン、F型チタニルフタロシアニン、G型チタニルフタロシアニン、H型チタニルフタロシアニン、K型チタニルフタロシアニン、L型チタニルフタロシアニン、M型チタニルフタロシアニン、N型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、オキソチタニルフタロシアニン、X線回折図におけるブラック角2θが27.3±0.2度に強い回折ピークを示すチタニルフタロシアニン、およびガリウムフタロシアニン等)、シアニン染料、アントラセン顔料、ビスアゾ顔料、ピレン顔料、多環キノン顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、ピリリウム染料、スクアリウム顔料、アントアントロン顔料、ベンズイミダゾール顔料、アゾ顔料、チオインジゴ顔料、キノリン顔料、レーキ顔料、オキサジン顔料、ジオキサジン顔料、トリフェニルメタン顔料、アズレニウム染料、トリアリールメタン染料、キサンチン染料、チアジン染料、チアピリリウム染料、ポリビニルカルバゾール、並びにビスベンゾイミダゾール顔料等が挙げられる。これら化合物は、1種を単独であるいは2種以上の化合物を混合して、電荷発生物質として用いることができる。これら電荷発生物質の中でも、好適な電荷発生物質としては、特開平11−172003号公報に具体的に記載の電荷発生物質が挙げられる。
前記電荷輸送層は、下地となる基板上に、電荷輸送物質をバインダー樹脂で結着してなる層を形成することによって、湿式成形体として得ることができる。
前記した電荷発生層や電荷輸送層のバインダー樹脂としては、特に制限はなく、公知の各種の樹脂を使用することができる。具体的には、例えば、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアセタール、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリウレタン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド、ポリケトン、ポリアクリルアミド、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、メタクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコン樹脂、シリコンアルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、メラミン樹脂、ポリエーテル樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリスルホン、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシ−メチルセルロース、塩化ビニリデン系ポリマーラテックス、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ビニルトルエン−スチレン共重合体、大豆油変性アルキッド樹脂、ニトロ化ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリイソプレン、ポリチオカーボネート、ポリアリレート、ポリハロアリレート、ポリアリルエーテル、ポリビニルアクリレート、およびポリエステルアクリレート等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いることもできるし、また、2種以上を混合して用いることもできる。なお、電荷発生層および/または電荷輸送層におけるバインダー樹脂としては、前記した本実施形態のPC樹脂を使用することが好適である。
電荷輸送層の形成方法としては、公知の各種の方式を使用することができるが、電荷輸送物質を本実施形態のPC樹脂とともに適当な溶媒に分散または溶解した塗工液を、所定の下地となる基板上に塗布し、乾燥して湿式成形体として得る方法が好適である。電荷輸送層形成に用いられる電荷輸送物質とPC樹脂との配合割合は、好ましくは質量比で20:80〜80:20、さらに好ましくは30:70〜70:30である。
この電荷輸送層において、本実施形態のPC樹脂は1種単独で用いることもでき、また2種以上混合して用いることもできる。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、他のバインダー樹脂を本実施形態のPC樹脂と併用することも可能である。
このようにして形成される電荷輸送層の厚さは、通常5μm以上100μm以下程度、好ましくは10μm以上30μm以下である。この厚さが5μm以上であれば、初期電位が低くなることもなく、100μm以下であれば、電子写真特性の低下を防ぐことができる。
本実施形態のPC樹脂と共に使用できる電荷輸送物質としては、公知の各種の化合物を使用することができる。このような化合物としては、例えば、カルバゾール化合物、インドール化合物、イミダゾール化合物、オキサゾール化合物、ピラゾール化合物、オキサジアゾール化合物、ピラゾリン化合物、チアジアゾール化合物、アニリン化合物、ヒドラゾン化合物、芳香族アミン化合物、脂肪族アミン化合物、スチルベン化合物、フルオレノン化合物、ブタジエン化合物、キノン化合物、キノジメタン化合物、チアゾール化合物、トリアゾール化合物、イミダゾロン化合物、イミダゾリジン化合物、ビスイミダゾリジン化合物、オキサゾロン化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンズイミダゾール化合物、キナゾリン化合物、ベンゾフラン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ポリ−9−ビニルフェニルアントラセン、ピレン−ホルムアルデヒド樹脂、エチルカルバゾール樹脂、あるいはこれらの構造を主鎖や側鎖に有する重合体等が好適に用いられる。これら化合物は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これら電荷輸送物質の中でも、特開平11−172003号公報において具体的に例示されている化合物、および以下の構造で表される電荷輸送物質が特に好適に用いられる。
なお、本実施形態の電子写真感光体においては、電荷発生層および電荷輸送層の少なくともいずれかに本実施形態のPC樹脂をバインダー樹脂として用いることが好適である。
本実施形態の電子写真感光体においては、前記導電性基板と感光層との間に、通常使用されるような下引き層を設けることができる。この下引き層としては、例えば、微粒子(例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、ジルコニア、チタン酸、ジルコン酸、ランタン鉛、チタンブラック、シリカ、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、酸化錫、酸化インジウム、および酸化珪素等)、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、カゼイン、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、セルロース、ニトロセルロース、ポリビニルアルコール、並びにポリビニルブチラール樹脂等の成分を使用することができる。また、この下引き層に用いる樹脂として、前記バインダー樹脂を用いてもよいし、本実施形態のPC樹脂を用いてもよい。これら微粒子および樹脂は、単独または種々混合して用いることができる。これらの混合物として用いる場合には、無機質微粒子と樹脂を併用すると、平滑性のよい皮膜が形成されることから好適である。
この下引き層の厚みは、0.01μm以上10μm以下、好ましくは0.1μm以上7μm以下である。この厚みが0.01μm以上であると、下引き層を均一に形成することが可能となり、また10μm以下であると電子写真特性が低下することを抑制できる。
また、前記導電性基体と感光層との間には、通常使用されるような公知のブロッキング層を設けることができる。このブロッキング層としては、前記のバインダー樹脂と同種の樹脂を用いることができる。また本実施形態のPC樹脂を用いてもよい。このブロッキング層の厚みは、0.01μm以上20μm以下、好ましくは0.1μm以上10μm以下である。この厚みが0.01μm以上であると、ブロッキング層を均一に形成することが可能となり、また20μm以下であると電子写真特性が低下することを抑制できる。
さらに、本実施形態の電子写真感光体には、感光層の上に、保護層を積層してもよい。この保護層には、前記のバインダー樹脂と同種の樹脂を用いることができる。また、本実施形態のPC樹脂を用いることが特に好ましい。この保護層の厚みは、0.01μm以上20μm以下、好ましくは0.1μm以上10μm以下である。そして、この保護層には、前記電荷発生物質、電荷輸送物質、添加剤、金属およびその酸化物、窒化物、または塩、合金、カーボンブラック、並びに有機導電性化合物等の導電性材料を含有していてもよい。
さらに、この電子写真感光体の性能向上のために、前記電荷発生層および電荷輸送層には、結合剤、可塑剤、硬化触媒、流動性付与剤、ピンホール制御剤、および分光感度増感剤(増感染料)等を添加してもよい。また、繰り返し使用に対しての残留電位の増加、帯電電位の低下、および感度の低下を防止する目的で種々の化学物質、酸化防止剤、界面活性剤、カール防止剤、およびレベリング剤等の添加剤を添加することができる。
前記結合剤としては、例えば、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリケトン樹脂、ポリカーボネート共重合体、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリレート樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリイソプレン樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ポリクロロプレン樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、エチルセルロース樹脂、ニトロセルロース樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合樹脂、およびポリエステルカーボネート樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂の少なくとも一方も使用できる。いずれにしても、電気絶縁性で通常の状態で皮膜を形成し得る樹脂であり、本発明の効果を損なわない範囲であれば、特に制限はない。
前記可塑剤の具体例としては、例えば、ビフェニル、塩化ビフェニル、o−ターフェニル、ハロゲン化パラフィン、ジメチルナフタレン、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジエチレングリコールフタレート、トリフェニルフォスフェート、ジイソブチルアジペート、ジメチルセバケート、ジブチルセバケート、ラウリル酸ブチル、メチルフタリールエチルグリコレート、ジメチルグリコールフタレート、メチルナフタレン、ベンゾフェノン、ポリプロピレン、ポリスチレン、およびフルオロ炭化水素等が挙げられる。
前記硬化触媒の具体例としては、例えば、メタンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、およびジノニルナフタレンジスルホン酸等が挙げられ、流動性付与剤としては、例えば、モダフロー、およびアクロナール4F等が挙げられ、ピンホール制御剤としては、例えば、ベンゾイン、およびジメチルフタレートが挙げられる。これら可塑剤、硬化触媒、流動性付与剤、およびピンホール制御剤は、前記電荷輸送物質に対して、5質量%以下で用いることが好ましい。
また、分光感度増感剤としては、増感染料を用いる場合には,例えば、トリフェニルメタン系染料(例えば、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、およびビクトリアブルー等)、アクリジン染料(例えば、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、およびフラペオシン等)、チアジン染料(例えば、メチレンブルー、およびメチレングリーン等)、オキサジン染料(カプリブルー、およびメルドラブルー等)、シアニン染料、メロシアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料、並びにチオピリリウム塩染料等が適している。
感光層には、感度の向上、残留電位の減少、反復使用時の疲労低減等の目的で、電子受容性物質を添加することができる。その具体例としては、例えば、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、3−ニトロ無水フタル酸、4−ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、2,3−ジクロロベンゾキノン、ジクロロジシアノパラベンゾキノン、ナフトキノン、ジフェノキノン、トロポキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、4−ニトロベンゾフェノン、4,4’−ジニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)アクリル酸エチル、9−アントラセニルメチルマロンジニトリル、1−シアノ−(p−ニトロフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフルオレノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオレニリデン−(ジシアノメチレンマロノニトリル)、ポリニトロ−9−フルオレニリデン−(ジシアノメチレンマロノジニトリル)、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、フタル酸、およびメリット酸等の電子親和力の大きい化合物が好ましい。これら化合物は電荷発生層および電荷輸送層のいずれに加えてもよく、その配合割合は、電荷発生物質または電荷輸送物質の量を100質量部としたときに、0.01質量部以上200質量部以下、好ましくは0.1質量部以上50質量部以下である。
また、表面性の改良のため、四フッ化エチレン樹脂、三フッ化塩化エチレン樹脂、四フッ化エチレン六フッ化プロピレン樹脂、フッ化ビニル樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、二フッ化二塩化エチレン樹脂およびそれらの共重合体、並びにフッ素系グラフトポリマー等を用いてもよい。これら表面改質剤の配合割合は、前記バインダー樹脂に対して、0.1質量%以上60質量%以下、好ましくは5質量%以上40質量%以下である。この配合割合が0.1質量%以上であれば、表面耐久性および表面エネルギー低下等の表面改質が充分となり、60質量%以下であれば、電子写真特性の低下を招くこともない。
前記酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、芳香族アミン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤、スルフィド系酸化防止剤、および有機リン酸系酸化防止剤等が好ましい。これら酸化防止剤の配合割合は、前記電荷輸送物質に対して、通常、0.01質量%以上10質量%以下、好ましくは0.1質量%以上2質量%以下である。
このような酸化防止剤の具体例としては、特開平11−172003号公報の明細書に記載された化学式[化94]〜[化101]の化合物が好適である。
これら酸化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい、そして、これらは前記感光層のほか、表面保護層や下引き層、ブロッキング層に添加してもよい。
前記電荷発生層および/または電荷輸送層の形成の際に使用する前記溶媒の具体例としては、例えば、芳香族系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびクロロベンゼン等)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、およびシクロヘキサノン等)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、およびイソプロパノール等)、エステル(例えば、酢酸エチル、およびエチルセロソルブ等)、ハロゲン化炭化水素(例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン等)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、およびジオキサン等)、スルホキシド(例えば、ジメチルスルホキシド等)、並びにアミド(例えば、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド等)等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種単独で使用してもよく、あるいは、2種以上を混合溶媒として使用してもよい。
単層型電子写真感光体の感光層は、前記の電荷発生物質、電荷輸送物質、および添加剤を用い、本実施形態のPC樹脂をバインダー樹脂として適用することで容易に形成することができる。また、電荷輸送物質としては前述したホール輸送性物質および電子輸送物質の少なくとも一方を添加することが好ましい。電子輸送物質としては、特開2005−139339号公報に例示される電子輸送物質が好ましく適用できる。
各層の塗布は公知の装置等各種の塗布装置を用いて行うことができ、具体的には、例えば、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、チップコーター、ロールコーター、ディップコーター、およびドクタブレード等を用いて行うことができる。
電子写真感光体における感光層の厚さは、5μm以上100μm以下、好ましくは8μm以上50μm以下であり、これが5μm以上であると初期電位が低くなることを防ぐことができ、100μm以下であると電子写真特性が低下することを抑制することができる。電子写真感光体の製造に用いられる電荷発生物質:バインダー樹脂の比率は、質量比で1:99〜30:70、好ましくは3:97〜15:85である。また、電荷輸送物質:バインダー樹脂の比率は、質量比で10:90〜80:20、好ましくは30:70〜70:30である。
このようにして得られる電子写真感光体は、本実施形態のPC樹脂を用いるため、感光層作製時に塗工液が白濁することがなく、ゲル化することもない。また、感光層中に本実施形態のPC樹脂をバインダー樹脂として有しているため、耐久性(耐摩耗性)に優れるとともに、優れた電気特性(帯電特性)をしており、長期間にわたって優れた電子写真特性を維持する感光体であり、複写機(モノクロ、マルチカラー、フルカラー;アナログ、デジタル)、プリンター(レーザー、LED、液晶シャッター)、ファクシミリ、製版機、およびこれら複数の機能を有する機器等各種の電子写真分野に好適に用いられる。
また、本実施形態のPC樹脂(共重合ポリカーボネート樹脂)は表面物性等にも優れるため、当該PC樹脂を電子写真感光体に用いた場合、クリーニング特性に優れる電子写真感光体を提供することができる。クリーニング特性が高いと、感光体表面に付着したトナーのクリーニングブレードすり抜けを抑制することができる。また、感光体上にフィルミングも発生し難い。
クリーニング特性は、感光体表面に付着したトナーを光学顕微鏡を用いて観察することで確認することができる。
ここで、電子写真感光体のクリーニング特性に関係する、本実施形態のPC樹脂の構成要素としては、PPE(ポリフェニレンエーテル)骨格が挙げられる。PPE骨格がPC樹脂中に含まれることで、良好なクリーニング特性が発現する。
なお、本実施形態の電子写真感光体を使用するにあたっては、帯電には、コロナ放電(コロトロン、スコロトロン)、接触帯電(帯電ロール、帯電ブラシ)等が用いられる。帯電ロールとしては、DC帯電方式やAC電圧を重畳させたAC/DC重畳帯電方式が挙げられる。また、露光には、ハロゲンランプや蛍光ランプ、レーザー(半導体、He−Ne)、LED、感光体内部露光方式のいずれを採用してもよい。現像には、カスケード現像、二成分磁気ブラシ現像、一成分絶縁トナー現像、一成分導電トナー現像等の乾式現像方式や湿式現像方式が用いられる。転写には、例えば、静電転写法(例えば、コロナ転写、ローラ転写、およびベルト転写等)、圧力転写法、並びに粘着転写法等が用いられる。定着には、例えば、熱ローラ定着、ラジアントフラッシュ定着、オープン定着、および圧力定着等が用いられる。さらに、クリーニングおよび除電には、例えば、ブラシクリーナー、磁気ブラシクリーナー、静電ブラシクリーナー、磁気ローラクリーナー、およびブレードクリーナー等が用いられる。なお、クリーナーレス方式を採用してもよい。また、トナー用の樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系共重合樹脂、ポリエステル、エポキシ樹脂、および環状炭化水素の重合体等が適用できる。トナーの形状は、球形でも不定形でもよい。一定の形状(例えば、回転楕円体状およびポテト状等)に制御されたトナーも適用できる。トナーは、粉砕型トナー、懸濁重合トナー、乳化重合トナー、ケミカル造粒トナー、あるいはエステル伸長トナーのいずれでもよい。
[電気機器の構成]
本実施形態の電気機器は、本実施形態の電子写真感光体(例えば、本実施形態の電子写真感光体を用いた感光体ドラム等)を有する。このような電気機器としては、例えば、複写機、およびレーザープリンター等のプリンター、FAX、およびこれらの機能を複数持つ複合機等が挙げられる。
本実施形態の電気機器は、耐摩耗性に優れる本実施形態の電子写真感光体を有しているため、感光体ドラム等の交換頻度が少なくなり、コスト的なメリットが大きい。
〔実施形態の変形〕
本発明は、前記実施形態に限定されず、本発明の目的を達成できる範囲での変形や改良等は、本発明に含まれる。なお、以下の説明では、前記実施形態で説明した部材等と同一であれば、同一符号を付してその説明を省略または簡略する。
例えば、本発明のビスクロロホーメート組成物は、下記一般式(10)で表されるビスクロロホーメート化合物を含むビスクロロホーメート組成物であってもよい。
前記一般式(10)において、Arは、前記一般式(2)としてのArと同義であり、Arは、前記一般式(3)としてのArと同義である。
n3およびn4は、それぞれ独立に、1以上の整数である。n3は、好ましくは1以上3以下の整数であり、より好ましくは1以上2以下である。
n4は、好ましくは1以上3以下の整数であり、より好ましくは1以上2以下である。
2種類以上の原料(モノマー)とホスゲンを反応させる条件(後述の実施例に記載の方法)を適用すると、2量体以上の成分が一部生成することがある。一部生成する2量体以上の成分は、使用モノマーのモル比に応じて、Ar同士の反応物、ArとArの反応物(前記一般式(10)で表されるビスクロロホーメート化合物)、Ar同士の反応物がいずれも生成する。例えば、「−O−Ar−O−(C=O)−」単位(以下、「Ar単位」と言う)を構成する原料(以下、「Arモノマー」と言う)と、「−O−Ar−O−(C=O)−」単位(以下、「Ar単位」と言う)を構成する原料(以下、「Arモノマー」と言う)とを同量で反応させた場合、確率的には2量体以上の成分のうち50%以上が前記一般式(10)に示すAr単位−Ar単位が結合した化合物となる。本発明の範囲で言うと、Ar/(Ar+Ar)の比率が50モル%に近いと組成物を製造しようとするほど、前記一般式(10)で表される化合物は生成しやすい。
一方、Arモノマーとホスゲンの反応、Arモノマーとホスゲンの反応を別々に実施し、得られた生成物を混合することによっても、本発明の組成物を調製可能であるが、その場合は前記一般式(10)に示すAr単位−Ar単位が結合した化合物は生成しない。
なお、Ar単位−Ar単位結合の特定は、NMR(H、13C)を用いて確認できる。
前記一般式(10)で表されるビスクロロホーメート化合物において、Ar単位は、連続して存在していてもよい。また、Ar単位は、連続して存在していてもよい。また、Ar単位とAr単位とは、交互またはランダムに存在していてもよい。
また例えば、本発明のビスクロロホーメート組成物は、前記一般式(10)で表されるビスクロロホーメート化合物と、前記一般式(11)で表される第一のビスクロロホーメート化合物と、前記一般式(12)で表される第二のビスクロロホーメート化合物とを含むビスクロロホーメート組成物であってもよい。
実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明はこれらの実施例の記載内容に何ら制限されるものではない。
まず、第1の製造方法により製造したビスクロロホーメート組成物である実施例1−1〜実施例1−12について説明する。
[実施例1−1:BPZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ、本明細書では、「BPZ」と略記する場合がある)28.9g(0.108mol)、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル(本明細書では、「OCBP」と略記する場合がある)4.7g(0.022mol)、ジクロロメタン(以下、「MDC」と略記する)525mL、およびホスゲン38.6g(0.39mol)の混合液中に、トリエチルアミン(以下、「TEA」と略記する)29.0g(0.287mol)をMDC100mLで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間30分撹拌した後、濃塩酸2.5mLおよび純水140mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.94モル/L、固形分濃度は186×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.04であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=2×1000/(CF価)
=2×1000/(CF値/濃度)
=2×1000/(0.94/(186×10−3
=395.74
M1=393.26×0.83+339.17×0.17
=384.06
M2=M1−Y=384.06−98.92
=285.14
平均量体数(m1)=1+(Mav−M1)/M2
=1.04
また、本実施例ビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=83(モル%)
[実施例1−2:BPCZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
1,1−ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールCZ、本明細書では、「BPCZ」と略記する場合がある)32.0g(0.108mol)、OCBP4.7g(0.022mol)、MDC525mL、およびホスゲン38.6g(0.39mol)の混合液中に、TEA29.0g(0.287mol)をMDC100mLで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸2.5mLおよび純水140mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.87モル/L、固形分濃度は178×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.01であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=409.20
M1=407.35
M2=308.43
平均量体数(m1)=1.01
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=83(モル%)
[実施例1−3:BPZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPZ22.8g(0.085mol)、OCBP9.8g(0.046mol)、MDC525mL、およびホスゲン38.6g(0.39mol)の混合液中に、TEA29.0g(0.287mol)をMDC100mLで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸2.5mLおよび純水140mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.88モル/L、固形分濃度は173×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.07であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=393.18
M1=374.33
M2=275.41
平均量体数(m1)=1.07
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=65(モル%)
[実施例1−4:BPBとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB、本明細書では、「BPB」と略記する場合がある)21.3g(0.088mol)、OCBP9.0g(0.042mol)、MDC525mL、およびホスゲン38.6g(0.39mol)の混合液中に、TEA29.0g(0.287mol)をMDC100mLで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸2.5mLおよび純水140mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.84モル/L、固形分濃度は165×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.13であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=392.86
M1=358.24
M2=259.32
平均量体数(m1)=1.13
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=68(モル%)
[実施例1−5:BPZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
この実施例1−5は、ホスゲン系化合物としてトリホスゲンを使用した例である。
BPZ28.9g(0.108mol)、OCBP4.7g(0.022mol)、およびMDC525mLの混合液に、トリホスゲン(ビス(トリクロロメチル)カーボネート)38.7g(0.13mol)をMDC200mLに溶解した液を3〜5℃の温度範囲で26分かけて滴下した。その溶液にTEA29.0g(0.287mol)とMDC70mLとを混合した液を11〜18℃の温度範囲で3時間かけて滴下した。滴下後、17〜17.5℃の温度範囲で1時間撹拌した後に、反応混合物に濃塩酸2.4mLおよび純水140mLを加えて洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。そして、水洗後、MDC層を取り出して、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.90モル/L、固形分濃度は180×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.06であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=400.00
M1=383.52
M2=284.60
平均量体数(m1)=1.06
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=82(モル%)
[実施例1−6:BPZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPZ136g(0.51mol)、OCBP58g(0.27mol)、MDC3.15L、およびホスゲン232g(2.3mol)の混合液中に、TEA174g(1.72mol)をMDC0.6Lで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸15mLおよび純水840mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.57モル/L、固形分濃度は110×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.04であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=385.96
M1=374.33
M2=275.41
平均量体数(m1)=1.04
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=65(モル%)
[実施例1−7:BPCZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPCZ23.1g(0.078mol)、OCBP11.1g(0.052mol)、MDC525mL、およびホスゲン38.6g(0.39mol)の混合液中に、TEA29.0g(0.287mol)をMDC100mLで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸2.5mLおよび純水140mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.76モル/L、固形分濃度は148×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.01であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=391.53
M1=388.12
M2=289.20
平均量体数(m1)=1.01
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=60(モル%)
[実施例1−8:BPZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPZ142g(0.53mol)、OCBP54g(0.25mol)、MDC3.15L、およびホスゲン232g(2.3mol)の混合液中に、TEA174g(1.72mol)をMDC0.6Lで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸15mLおよび純水840mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.57モル/L、固形分濃度は111×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.05であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=388.75
M1=375.64
M2=276.72
平均量体数(m1)=1.05
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=68(モル%)
[実施例1−9:BPZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPZ147g(0.55mol)、OCBP49g(0.23mol)、MDC3.15L、およびホスゲン232g(2.3mol)の混合液中に、TEA174g(1.72mol)をMDC0.6Lで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸15mLおよび純水840mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.58モル/L、固形分濃度は114×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.05であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=390.41
M1=377.26
M2=278.34
平均量体数(m1)=1.05
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=71(モル%)
[実施例1−10:BPCZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPCZ21.2g(0.072mol)、OCBP12.5g(0.059mol)、MDC525mL、およびホスゲン38.6g(0.39mol)の混合液中に、TEA29.0g(0.287mol)をMDC100mLで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸2.5mLおよび純水140mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.73モル/L、固形分濃度は141×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.01であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=387.36
M1=384.02
M2=285.10
平均量体数(m1)=1.01
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=55(モル%)
[実施例1−11:BPCZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPCZ19.2g(0.065mol)、OCBP13.9g(0.065mol)、MDC525mL、およびホスゲン38.6g(0.39mol)の混合液中に、TEA29.0g(0.287mol)をMDC100mLで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸2.5mLおよび純水140mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.70モル/L、固形分濃度は134×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.01であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=381.77
M1=379.92
M2=281.00
平均量体数(m1)=1.01
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=50(モル%)
[実施例1−12:BPCZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPCZ25.8g(0.087mol)、OCBP9.2g(0.043mol)、MDC525mL、およびホスゲン38.6g(0.39mol)の混合液中に、TEA29.0g(0.287mol)をMDC100mLで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸2.5mLおよび純水140mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.80モル/L、固形分濃度は159×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.01であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=397.50
M1=393.86
M2=294.94
平均量体数(m1)=1.01
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=67(モル%)
[比較例:BPCZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPCZ15.4g(0.052mol)、OCBP16.7g(0.078mol)、MDC525mL、およびホスゲン38.6g(0.39mol)の混合液中に、TEA29.0g(0.287mol)をMDC100mLで希釈した溶液を8〜16℃の温度範囲で3時間10分かけて滴下した。反応混合物を15〜16℃の温度範囲で1時間40分撹拌した後、反応混合物に濃塩酸2.5mLと純水140mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返した。水層が中性になった後、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.66モル/L、固形分濃度は122×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.00であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=371.95
M1=371.72
M2=272.80
平均量体数(m1)=1.00
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=40(モル%)
次に、第2の製造方法により製造したビスクロロホーメート組成物である実施例2−1について説明する。
[実施例2−1:BPZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPZ59.8g(0.223mol)、およびOCBP11.6g(0.054mol)に、MDC510mLを混合して懸濁溶液とし、この懸濁溶液にTEA55.3g(0.546mol)を混合して溶解した。これをホスゲン54.5g(0.551モル)をMDC225mLに溶解した液に、14〜18.5℃の温度範囲で2時間50分かけて滴下した。滴下後18.5〜19℃の温度範囲で1時間撹拌した後、濃塩酸4.5mLと純水73mLを加えて洗浄し、その後水層が中性になるまで水洗を繰り返した。そして、MDC層を取り出して、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.92モル/L、固形分濃度は183×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.05であった。
なお、CF値は、加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=397.83
M1=383.52
M2=284.60
平均量体数(m1)=1.05
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=81(モル%)
次に、第3の製造方法により製造したビスクロロホーメート組成物である実施例3−1について説明する。
[実施例3−1:BPZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
BPZ59.8g(0.223mol)、およびOCBP11.6g(0.054mol)に、MDC510mLを混合して懸濁溶液とし、この懸濁溶液にTEA55.3g(0.546mol)を混合して溶解した。そこにホスゲン54.5g(0.551モル)をMDC225mLに溶解した液を、14〜18.5℃の温度範囲で2時間50分かけて滴下した。滴下後18.5〜19℃の温度範囲で1時間撹拌した後、濃塩酸4.5mLと純水73mLを加えて洗浄し、その後水層が中性になるまで水洗を繰り返した。そして、MDC層を取り出して、MDC層を減圧下で濃縮した。これにより、得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.89モル/L、固形分濃度は180×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.07であった。
なお、CF値は、加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=404.49
M1=383.52
M2=284.60
平均量体数(m1)=1.07
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=81(モル%)
[比較例1]
(1)OCBPビスクロロホーメート化合物の合成
OCBP150.0g(0.701モル)を塩化メチレン1100mLで懸濁し、そこにホスゲン186g(1.88モル)を加えて溶解させた。これにトリエチルアミン199.4g(1.97モル)を塩化メチレン460mLに溶解させた液を13℃〜16℃の温度範囲で2時間50分かけて滴下した。反応混合物を14℃〜16℃の温度範囲で30分間撹拌した。反応混合物に濃塩酸5.0mLおよび純水200mLを加え洗浄した。その後、水層が中性になるまで水洗を繰り返し、分子末端にクロロホーメート基を有するOCBPビスクロロホーメート化合物の塩化メチレン溶液を得た。得られた溶液のCF値は0.53モル/L、固形分濃度は92×10−3kg/L、平均量体数は1.03であった。
なお、CF値は、加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。
比較例1で得られたビスクロロホーメート化合物の平均量体数は、前記式(数1)におけるM1を「OCBPビスクロロホーメート化合物の量体数が1のときの分子量」とし、CF価を「CF値/濃度」とし、CF値を「反応溶液1Lに含まれるOCBPビスクロロホーメート化合物中のクロル原子のモル数」とし、濃度を「反応溶液1Lを濃縮して得られる固形分の量」とし、Yを「2個の塩素原子、1個の酸素原子および1個の炭素原子の合計の原子量」(=98.92)として、前記式(数1)から求めた。
Mav=347.17
M1=339.17
M2=240.25
平均量体数=1.03
次に、第4の製造方法により製造したビスクロロホーメート組成物である実施例4−1について説明する。
[実施例4−1:BPZとOCBPのビスクロロホーメート組成物]
比較例1に記載のOCBPビスクロロホーメート溶液と、クロロホーメート濃度が1.01モル/L、固形分濃度が209×10−3kg/L、平均量体数が1.02であるBPZビスクロロホーメート溶液を、OCBPビスクロロホーメート:BPZビスクロロホーメート=30質量%:70質量%で混ぜ合わせた。その後、減圧下で濃縮を行うことで、ビスクロロホーメート組成物含有溶液を得た。得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液のCF値は0.87モル/L、固形分濃度は174×10−3kg/L、平均量体数(m1)は1.05であった。
なお、CF値は、クロロホーメート基の加水分解により遊離する塩素イオンを定量することにより実施した。また、固形分濃度は、溶液の溶媒を除去して残る固形分量を測定する事により得た。また、平均量体数(m1)は、Y=98.92として計算した。
Mav=400.00
M1=384.61
M2=285.69
平均量体数(m1)=1.05
また、本実施例のビスクロロホーメート組成物のモル組成は、H−NMRスペクトルにより、算出した。
Ar/(Ar+Ar)=82(モル%)
〔評価〕
OCBP等のビフェノール骨格を有するビスクロロホーメート化合物は有機溶媒に対する溶解性が低く、溶液安定性が課題である。また、そのため、そのビスクロロホーメート化合物を用いてポリマー製造を行う際には、ポリマーの製造安定性(分子量安定性)が低くなる。今回、OCBP骨格を含むビスクロロホーメート組成物(実施例1−1〜1−5、2−1〜4−1)、およびOCBPビスクロロホーメート化合物(比較例1)の上記性能を評価した。
[評価1:溶解性試験]
実施例1−1〜1−5、2−1〜4−1のビスクロロホーメート組成物および比較例1のOCBPビスクロロホーメート化合物それぞれのMDC溶液を、23℃で指定濃度に調整し、固形分の溶解性を目視にて確認した。透明であったものを「A」とし、固形分が析出したものを「B」とした。結果を表2に示す。
表2に示されるように、比較例1のOCBPビスクロロホーメート化合物は、固形分濃度が100(g/L)以上で固形分の析出が確認された。
一方、実施例1−1〜1−5、2−1〜4−1のビスクロロホーメート組成物は、いずれの固形分濃度においても溶液は透明であり、溶解度が高いことが確認された。
[評価2:溶液安定性試験]
実施例1−1〜1−5、2−1〜4−1のビスクロロホーメート組成物、および比較例1のOCBPビスクロロホーメート化合物それぞれのMDC溶液を、90(g/L)に調整して、5℃で3か月間保管した後の固形分析出を目視にて確認した。透明であったものを「C」とし、固形分が析出しているものを「D」とした。結果を表3に示す。
表3に示されるように、比較例1のOCBPビスクロロホーメート化合物は、固形分の析出が確認された。比較例1のOCBPビスクロロホーメート化合物については、固形分濃度が90(g/L)のMDC溶液であっても、ほぼ飽和状態であるので、環境変化を受けやすく、微結晶が析出しやすいと考えられる。
一方、実施例1−1〜1−5、2−1〜4−1のビスクロロホーメート組成物は、3か月間保管後も、透明のままであった。実施例1−1〜1−5、2−1〜4−1のビスクロロホーメート組成物については、溶解度が高く、溶液中での固形分濃度が安定していると考えられる。
[評価3:製造安定性試験]
[実施例5]
実施例1−1で得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液(173.1mL)に、塩化メチレン(184mL)を注入し、ビスクロロホーメート組成物の固形分濃度を90(g/L)に調整した。これに末端封止剤としてp−tert−ブチルフェノール(以下、「PTBP」と略記する)(0.243g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に、調製した二価フェノール溶液を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.5mL添加し、1時間撹拌を継続した。
前記二価フェノール溶液として、1.5Nの水酸化ナトウム水溶液120mL(水酸化ナトリウム10.5g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてのハイドロサルファイトを0.30g、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを17.4g添加し、完全に溶解して調製した溶液を用いた。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.6L、および水0.05Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.17Lで1回、0.03N塩酸0.1Lで1回、および水0.17Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより、下記式(PC−1)で表される構造のPC共重合体を得た。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本実施例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表4に示す。
また、重合安定性評価に際して、前記の条件で3回重合を実施し、本実施例のPC共重合体の粘度平均分子量のバラつきを確認した。結果を表5に示す。
なお、本実施例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、以下のように計算した。
本実施例のPC共重合体のサンプルを塩化メチレンに溶解して、濃度0.5g/dLの溶液を調製し、ウベローデ粘度計で温度20℃における極限粘度[η]を算出した。得られた極限粘度[η]を用いて、以下のSchnellの式により、Mvに換算した。
[η]=1.23×10−5Mv0.83
[比較例2]
比較例1で得られたOCBPビスクロロホーメート化合物の塩化メチレン溶液(297.7mL)に、さらに塩化メチレン(175mL)を注入し、OCBPビスクロロホーメート化合物の固形分濃度を58(g/L)に調整した。これに末端封止剤としてPTBP(0.195g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が15℃になるまで冷却した後、この溶液に、調製した二価フェノール溶液を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を1.5mL添加し、1時間撹拌を継続した。
前記二価フェノール溶液として、1.3Nの水酸化カリウム水溶液160mL(水酸化カリウム13.4g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてのハイドロサルファイトを0.15g、および1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンを21.2g添加し、完全に溶解して調製した溶液を用いた。
得られた反応混合物を塩化メチレン0.75L、および水0.06Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水0.22Lで1回、0.03N塩酸0.1Lで1回、および水0.22Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより、前記式(PC−1)で表される構造のPC共重合体を得た。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本比較例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表4に示す。
また、重合安定性評価に際して、前記の条件で3回重合を実施し、本比較例のPC共重合体の粘度平均分子量のバラつきを確認した。結果を表5に示す。
なお、本比較例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、実施例5と同様にして計算した。
表5に示されるように、比較例2のPC共重合体(ポリマー)は、分子量にバラつきがあった。比較例1のビスクロロホーメート化合物については、上述の通り、固形分濃度が90(g/L)のMDC溶液であっても、ほぼ飽和状態であるので、環境変化を受けやすく、微結晶が析出しやすい。そのため固形分濃度が安定せず、PC共重合体(ポリマー)を製造する際に重合バランスが崩れ、分子量が安定しないことが考えられる。
一方、実施例5のPC共重合体(ポリマー)は、分子量が安定していることが確認できた。実施例1−1のビスクロロホーメート組成物については、上述の通り、溶解度が高く、溶液中での固形分濃度が安定している。そのため、分子量も安定していることが考えられる。
[実施例6]
実施例1−6で得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液(1752g)に、塩化メチレン(358g)を注入し、ビスクロロホーメート組成物の固形分濃度を90(g/L)に調整した。これに末端封止剤としてPTBP(1.31g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が10℃になるまで冷却した後、この溶液に、調製した二価フェノール溶液を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を10mL添加し、1時間撹拌を継続した。
前記二価フェノール溶液として、2.5Nの水酸化ナトウム水溶液596g(水酸化ナトリウム54.1g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてのハイドロサルファイトを1.0g、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを80.9g添加し、完全に溶解して調製した溶液を用いた。
得られた反応混合物を塩化メチレン3L、および水1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水1Lで1回、0.03N塩酸1Lで1回、および水1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより、下記式(PC−2)で表される構造のPC共重合体を得た。実施例5と同様にして計算した本実施例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、62,000であった。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本実施例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表6に示す。
また、得られたPC共重合体の繰り返し成分Ar,Arの平均連鎖長(a1,a2)は、13C−NMRにより求めた。結果を表6に示す。また、用いた測定機器等を以下に示す。
(測定機器)
装置:ブルカー・バイオスピン株式会社製 DRX500
測定プローブ:5mm TCIクライオプローブ
(測定条件)
試料量:約50mg
溶媒:CDCl
測定手法:13C−NMR(逆ゲートデカップリング法)
13C共鳴周波数:125MHz
積算回数:1024回
データポイント数:64KB
データポイント間隔:16.65μsec
パルス繰り返し時間:10sec
測定温度:25℃
測定中心周波数:100ppm
測定範囲:238ppm
(解析条件)
13C−NMRスペクトルにおいて、クロロホルム由来の3本のピークの真ん中のピークを77.23ppmにする。
その時の以下の範囲のピークの積分値を[1](BPZ/BPZ)、[2](BPZ/OCBP)、[3](OCBP/OCBP)とする。
[1]:152.3〜152.2ppm
[2]:152.1〜151.9ppm
[3]:151.9〜151.7ppm
このとき、dyad連鎖分率(mol%)は、以下のようになる。
BPZ/BPZ=100×[1]/([1]+[2]+[3])
BPZ/OCBP=100×[2]/([1]+[2]+[3])
OCBP/OCBP=100×[3]/([1]+[2]+[3])
[実施例7]
実施例1−7で得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液(47.4g)に、塩化メチレン(31g)を注入し、ビスクロロホーメート組成物の固形分濃度を90(g/L)に調整した。これに末端封止剤としてPTBP(0.051g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が10℃になるまで冷却した後、この溶液に、調製した二価フェノール溶液を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を0.4mL添加し、1時間撹拌を継続した。
前記二価フェノール溶液として、2.5Nの水酸化ナトウム水溶液22g(水酸化ナトリウム2.0g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてのハイドロサルファイトを0.1g、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを3.0g添加し、完全に溶解して調製した溶液を用いた。
得られた反応混合物を塩化メチレン500mL、および水100mLで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水500mLで1回、0.03N塩酸500mLで1回、および水500mLで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより、前記式(PC−2)で表される構造のPC共重合体を得た。実施例5と同様にして計算した本実施例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、62,000であった。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本実施例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表6に示す。
また、得られたPC共重合体の繰り返し成分Ar,Arの平均連鎖長(a1,a2)は、13C−NMRにより求めた。結果を表6に示す。また、用いた測定機器等を以下に示す。
(測定機器)
装置:日本電子製JNM−ECA500
(測定条件)
試料量:約250mg
溶媒:CDCl 3mL
13C共鳴周波数:125MHz
積算回数:5000回
(解析条件)
13C−NMRスペクトルにおいて、クロロホルム由来の3本のピークの真ん中のピークを77.07ppmにする。
OCBP同士が隣り合っている構造の中心カーボネート結合側のo−メチル基(16.21ppm)と、OC−Z同士が隣り合っている構造の中心カーボネート結合側のo−メチル基(16.37ppm)と、OC−BP及びOC−Zが隣り合っている構造の中心カーボネート結合側のo−メチル基(16.18ppm、16.40ppm)とではピークのケミカルシフトが異なる。従って、(BPCZ/BPCZ)、(BPCZ/OCBP)、(OCBP/OCBP)の割合は、検出位置の異なるOC−BP成分とOC−Z成分のo−メチル基のピーク面積より求めた。
その時の以下の範囲のピークの積分値を[1](BPCZ/BPCZ)、[2](BPCZ/OCBP)、[3](OCBP/OCBP)とする。
[1]:16.37ppm
[2]:16.18ppm+16.40ppm
[3]:16.21ppm
このとき、dyad連鎖分率(mol%)は、以下のようになる。
BPCZ/BPCZ=100×[1]/([1]+[2]+[3])
BPCZ/OCBP=100×[2]/([1]+[2]+[3])
OCBP/OCBP=100×[3]/([1]+[2]+[3])
[実施例8]
実施例1−8で得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液(445g)に、塩化メチレン(102g)を注入し、ビスクロロホーメート組成物の固形分濃度を90(g/L)に調整した。これに末端封止剤としてPTBP(0.34g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が10℃になるまで冷却した後、この溶液に、調製した二価フェノール溶液を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を3mL添加し、1時間撹拌を継続した。
前記二価フェノール溶液として、2.5Nの水酸化ナトウム水溶液155g(水酸化ナトリウム14.1g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてのハイドロサルファイトを1.0g、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを20.9g添加し、完全に溶解して調製した溶液を用いた。
得られた反応混合物を塩化メチレン1L、および水1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水1Lで1回、0.03N塩酸1Lで1回、および水1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより、前記式(PC−2)で表される構造のPC共重合体を得た。実施例5と同様にして計算した本実施例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、62,000であった。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本実施例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表6に示す。
また、実施例6と同様にして、得られたPC共重合体の繰り返し成分Ar,Arの平均連鎖長(a1,a2)を求めた。結果を表6に示す。
[実施例9]
実施例1−9で得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液(430g)に、塩化メチレン(102g)を注入し、ビスクロロホーメート組成物の固形分濃度を90(g/L)に調整した。これに末端封止剤としてPTBP(0.34g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が10℃になるまで冷却した後、この溶液に、調製した二価フェノール溶液を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を3mL添加し、1時間撹拌を継続した。
前記二価フェノール溶液として、2.5Nの水酸化ナトウム水溶液155g(水酸化ナトリウム14.5g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてのハイドロサルファイトを0.3g、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを21.5g添加し、完全に溶解して調製した溶液を用いた。
得られた反応混合物を塩化メチレン1L、および水1Lで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水1Lで1回、0.03N塩酸1Lで1回、および水1Lで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより、前記式(PC−2)で表される構造のPC共重合体を得た。実施例5と同様にして計算した本実施例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、62,000であった。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本実施例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表6に示す。
また、実施例6と同様にして、得られたPC共重合体の繰り返し成分Ar,Arの平均連鎖長(a1,a2)を求めた。結果を表6に示す。
[実施例10]
実施例1−10で得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液(49.8g)に、塩化メチレン(29g)を注入し、ビスクロロホーメート組成物の固形分濃度を90(g/L)に調整した。これに末端封止剤としてPTBP(0.050g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が10℃になるまで冷却した後、この溶液に、調製した二価フェノール溶液を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を0.4mL添加し、1時間撹拌を継続した。
前記二価フェノール溶液として、2.5Nの水酸化ナトウム水溶液22g(水酸化ナトリウム2.0g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてのハイドロサルファイトを0.1g、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを3.0g添加し、完全に溶解して調製した溶液を用いた。
得られた反応混合物を塩化メチレン500mL、および水100mLで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水500mLで1回、0.03N塩酸500mLで1回、および水500mLで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより、前記式(PC−2)で表される構造のPC共重合体を得た。実施例5と同様にして計算した本実施例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、62,000であった。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本実施例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表6に示す。
また、実施例7と同様にして、得られたPC共重合体の繰り返し成分Ar,Arの平均連鎖長(a1,a2)を求めた。結果を表6に示す。
[実施例11]
実施例1−11で得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液(52.4g)に、塩化メチレン(26g)を注入し、ビスクロロホーメート組成物の固形分濃度を90(g/L)に調整した。これに末端封止剤としてPTBP(0.050g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が10℃になるまで冷却した後、この溶液に、調製した二価フェノール溶液を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を0.4mL添加し、1時間撹拌を継続した。
前記二価フェノール溶液として、2.5Nの水酸化ナトウム水溶液22g(水酸化ナトリウム2.0g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてのハイドロサルファイトを0.1g、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを3.0g添加し、完全に溶解して調製した溶液を用いた。
得られた反応混合物を塩化メチレン500mL、および水100mLで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水500mLで1回、0.03N塩酸500mLで1回、および水500mLで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより、前記式(PC−2)で表される構造のPC共重合体を得た。実施例5と同様にして計算した本実施例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、62,000であった。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本実施例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表6に示す。
また、実施例7と同様にして、得られたPC共重合体の繰り返し成分Ar,Arの平均連鎖長(a1,a2)を求めた。結果を表6に示す。
[実施例12]
実施例1−12で得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液(44.8g)に、塩化メチレン(32g)を注入し、ビスクロロホーメート組成物の固形分濃度を93(g/L)に調整した。これに末端封止剤としてPTBP(0.055g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が10℃になるまで冷却した後、この溶液に、調製した二価フェノール溶液を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を0.4mL添加し、1時間撹拌を継続した。
前記二価フェノール溶液として、2.5Nの水酸化ナトウム水溶液22g(水酸化ナトリウム2.0g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてのハイドロサルファイトを0.1g、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを3.0g添加し、完全に溶解して調製した溶液を用いた。
得られた反応混合物を塩化メチレン500mL、および水100mLで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水500mLで1回、0.03N塩酸500mLで1回、および水500mLで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより、前記式(PC−2)で表される構造のPC共重合体を得た。実施例5と同様にして計算した本実施例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、62,000であった。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本実施例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表6に示す。
また、実施例7と同様にして、得られたPC共重合体の繰り返し成分Ar,Arの平均連鎖長(a1,a2)を求めた。結果を表6に示す。
[比較例3]
比較例1で得られたビスクロロホーメート組成物含有溶液(56.1g)に、塩化メチレン(22g)を注入し、ビスクロロホーメート組成物の固形分濃度を90(g/L)に調整した。これに末端封止剤としてPTBP(0.061g)を添加し、十分に混合されるように撹拌した。反応器内の温度が10℃になるまで冷却した後、この溶液に、調製した二価フェノール溶液を全量添加し、撹拌しながらトリエチルアミン水溶液(7vol%)を0.4mL添加し、1時間撹拌を継続した。
前記二価フェノール溶液として、2.5Nの水酸化ナトウム水溶液22g(水酸化ナトリウム2.0g)を調製し、室温以下に冷却した後、酸化防止剤としてのハイドロサルファイトを0.1g、および3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルを3.0g添加し、完全に溶解して調製した溶液を用いた。
得られた反応混合物を塩化メチレン500mL、および水100mLで希釈し、洗浄を行った。下層を分離し、さらに水500mLで1回、0.03N塩酸500mLで1回、および水500mLで3回の順で洗浄を行った。得られた塩化メチレン溶液を、撹拌下メタノールに滴下投入し、得られた再沈物をろ過および乾燥することにより、前記式(PC−2)で表される構造のPC共重合体を得た。実施例5と同様にして計算した本比較例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、62,000であった。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本比較例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表6に示す。
また、実施例7と同様にして、得られたPC共重合体の繰り返し成分Ar,Arの平均連鎖長(a1,a2)を求めた。結果を表6に示す。
[比較例4]
特開2012−51983号公報に記載の比較例3と同様にして、本比較例のPC共重合体を得た。実施例5と同様にして計算した本比較例のPC共重合体の粘度平均分子量(Mv)は、62,000であった。H−NMRスペクトルにより分析を行い、本比較例のPC共重合体の共重合比率を算出した。結果を表6に示す。
また、実施例7と同様にして、得られたPC共重合体の繰り返し成分Ar,Arの平均連鎖長(a1,a2)を求めた。結果を表6に示す。
表6に示すように、原料であるビスクロロホーメート組成物の平均量体数を1.99以下とした上で、Arのモル組成を小さくするほど、a2の値を小さくできることがわかる。
[評価4:溶解性評価]
実施例6〜12および比較例3〜4のPC共重合体について、下記(1)の方法により、溶解性を評価した。結果を表7に示す。
(1)テフロン(登録商標)パッキン付のスクリューキャップ容器にPC共重合体1gを計り取り、さらに塩化メチレンを9g添加し、スクリューで密栓した。これを室温(23℃)の条件で震とうすることで溶解した。1日静置した後、目視にてPC共重合体の溶解性の評価を行った。
実施例6〜10および12、並びに比較例3〜4のPC共重合体について、下記(2)の方法により、溶解性を評価した。結果を表8に示す。
(2)上記溶解性の評価(1)における溶剤(塩化メチレン9g)をTHF4gに変更した以外は、上記(1)の手順と同様にして評価を行った。
実施例8〜9および12、並びに比較例3〜4のPC共重合体について、下記(3)の方法により、溶解性を評価した。結果を表9に示す。
(3)テフロン(登録商標)パッキン付のスクリューキャップ容器に樹脂1gを計り取り、さらにTHFを1.5g添加し、スクリューで密栓した。これを室温(23℃)の条件で3時間静置した。その後、密栓を開け、THFをさらに2.5g添加し、再び密栓した。その後、容器を震とうし、1日静置した後、目視にて溶解性の評価を行った。
なお、溶解性の各評価において、「ゲル化物および不溶物の少なくともいずれかがみられるもの」(不均一)をG、「均一に溶解していて、かつHAZEが10%を超えるもの」(白濁)をF、「均一な溶液で、かつHAZEが10%未満のもの」(透明)をEとした。
[評価5:耐摩耗性評価]
実施例6〜12および比較例3〜4のPC共重合体について、耐摩耗性の評価を行った。PC共重合体の耐摩耗性の評価は、以下の通り実施した。
〔1〕PC共重合体の耐摩耗性評価サンプル作製:
PC共重合体(2g)を塩化メチレン(12mL)に溶解し、アプリケーターを用いて市販のPETフィルム上にキャスト製膜した。このフィルムを減圧下加熱し溶剤を除去し、厚み約30μmのフィルムサンプルを得た。
〔2〕感光体の耐摩耗性評価サンプル作製:
PC共重合体(1g)および下記式(23)で表される化合物(CTM−1)で表される化合物(1g)を、塩化メチレン(10mL)に溶解し、アプリケーターを用いて市販のPETフィルム上にキャスト製膜した。このフィルムを減圧下加熱し溶剤を除去し、厚み約30μmのフィルムサンプルを得た。
〔3〕評価:
前記〔1〕および〔2〕で作製したフィルムサンプルのキャスト面の耐摩耗性を、スガ摩耗試験機NUS−ISO−3型(スガ試験機社製)を用いて評価した。試験条件は9.8Nの荷重をかけた摩耗紙(粒径3μmのアルミナ粒子を含有)を感光層表面と接触させて2,000回往復運動を行い、質量減少量(摩耗量)を測定した。結果を表7に示す。
表7〜9に示すように、実施例のPC共重合体は、比較例のPC共重合体と比べて溶解性に優れることが確認された。特に、比較例4のPC共重合体は、溶解性の低いOCBP組成が実施例10のPC共重合体よりも低いにも係らず、a2が2.7を上回っているため、塩化メチレンに対しても不溶であった。
また、実施例のPC共重合体は、いずれも良好な耐摩耗性を示すことが確認された。
なお、比較例3および比較例4のPC共重合体は、溶剤に不溶であったため、耐摩耗性評価サンプルを作製することができなかった。
(塗工液および電子写真感光体の製造)
導電性基体としてアルミニウム箔(膜厚:50μm)を用い、その表面に、電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層して積層型感光層を形成した電子写真感光体を製造した。電荷発生物質としてオキソチタニウムフタロシアニン0.5gを用い、バインダー樹脂としてブチラール樹脂0.5gを用いた。これらを溶媒の塩化メチレン19gに加え、ボールミルにて分散し、この分散液をバーコーターにより、前記導電性基体フィルム表面に塗工し、乾燥させることにより、膜厚約0.5μmの電荷発生層を形成した。
次に、電荷輸送物質として前記式(23)の化合物(CTM−1)0.5g、および前記実施例6〜12で得られたPC共重合体0.5gを10mLのテトラヒドロフランに分散させて、塗工液を調製した。この塗工液をアプリケーターにより、前記電荷発生層の上に塗布し、乾燥し、膜厚約20μmの電荷輸送層を形成した。
得られた感光体を直径60mmのアルミ製ドラムに張り付け、アルミドラムと感光体の電気導通が良好であることを確認した。
次に、上記で得たアルミドラムに貼りつけた電子写真感光体の電子写真特性を静帯電試験装置CYNTHIA54IM(ジェンテック株式会社製)を用い、EVモード、初期帯電量−700Vの条件で評価を行ったところ、いずれのサンプルも、光照射により表面電位が低下する光減衰が生じ、感光体として機能することが確認された(表10)。本評価において、十分な露光を行った後に電位が変化しなくなった時の電位を「残留電位」として評価した。
残留電位:50V以下をH、50Vを超えるものをIとした。結果を表10に示す。
表10に示すように、実施例6〜12で得られたPC共重合体を含む電子写真感光体は、良好な電気特性を有することが確認された。

Claims (18)

  1. ビスクロロホーメート組成物であって、
    下記一般式(1)で表され、
    複数のAr成分を含み、
    下記式(数1)で得られる平均量体数(m1)が、1.0以上1.99以下であり、
    前記複数のAr成分は、それぞれ独立に、ArまたはArであり、
    前記複数のAr成分には、Arが1種以上含まれ、かつArが1種以上含まれ、
    Arは、下記一般式(2)で表される基であり、Arは、下記一般式(3)で表される基であり、
    Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が45モル%以上99モル%以下である、
    ことを特徴とするビスクロロホーメート組成物。

    (前記一般式(1)において、Arは、下記一般式(2)で表される基または下記一般式(3)で表される基であり、m1はビスクロロホーメート組成物の平均量体数である。)

    (前記一般式(2)において、
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
    トリフルオロメチル基、および
    炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択され、
    Xは、
    −O−、
    −CO−、
    −S−、
    −SO−、
    −CR−、
    置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
    置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
    置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
    9,9−フルオレニリデン基、
    1,8−メンタンジイル基、
    2,8−メンタンジイル基、および
    下記一般式(100)で表される基からなる群から選択され、
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
    置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
    炭素数1〜5のアルキル基、
    トリフルオロメチル基、および
    置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
    前記一般式(3)において、
    およびRは、それぞれ独立に、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、および
    炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。

    前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。)
    [数1]
    平均量体数(m1)=1+(Mav−M1)/M2・・・(数1)
    (前記式(数1)において、
    Mavは(2×1000/(CF価))であり、
    M1は、Ar/(Ar+Ar)の割合で存在し、かつ平均量体数(m1)が1.0のときの、前記ビスクロロホーメート組成物に含まれるビスクロロホーメート化合物の平均分子量であり、
    M2は(M1−Y)であり、
    CF価[クロル原子のモル数/kg]は、前記ビスクロロホーメート組成物を有機溶媒に完全に溶解させて得られたビスクロロホーメート組成物溶液における(CF値/濃度)であり、
    CF値[N]は前記ビスクロロホーメート組成物溶液1Lに含まれるビスクロロホーメート化合物中のクロル原子のモル数であり、
    濃度[kg/L]は前記ビスクロロホーメート組成物溶液1Lを濃縮して得られる固形分の量であり、
    Yは、ビスクロロホーメート化合物とフェノール化合物の重縮合で脱離する2個の塩素原子、1個の酸素原子および1個の炭素原子の合計の原子量である。)
  2. 請求項1に記載のビスクロロホーメート組成物であって、
    下記一般式(11)で表される第一のビスクロロホーメート化合物1種以上と、下記一般式(12)で表される第二のビスクロロホーメート化合物1種以上とを含む、
    ことを特徴とするビスクロロホーメート組成物。

    (前記一般式(11)において、Arは、前記一般式(2)で表される基であり、n1は1以上の整数である。
    前記一般式(12)において、Arは、前記一般式(3)で表される基であり、n2は1以上の整数である。)
  3. 請求項2に記載のビスクロロホーメート組成物であって、
    前記第一のビスクロロホーメート化合物1種と、前記第二のビスクロロホーメート化合物1種とを含むことを特徴とするビスクロロホーメート組成物。
  4. 請求項1に記載のビスクロロホーメート組成物の製造方法であって、
    少なくとも、疎水性有機溶媒と、下記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物と、下記一般式(5)で表されるビフェノール化合物と、ホスゲン系化合物と、を用いることを特徴とするビスクロロホーメート組成物の製造方法。

    (前記一般式(4)において、R、R、およびXは、前記一般式(2)におけるR、R、およびXとそれぞれ同義である。
    前記一般式(5)において、RおよびRは、前記一般式(3)におけるRおよびRとそれぞれ同義である。)
  5. 請求項4に記載のビスクロロホーメート組成物の製造方法であって、
    さらに、脂肪族系第3級アミンを用いることを特徴とするビスクロロホーメート組成物の製造方法。
  6. 請求項4に記載のビスクロロホーメート組成物の製造方法であって、
    前記一般式(4)で表されるビスフェノール化合物および前記一般式(5)で表されるビフェノール化合物をアルカリ水溶液に溶解させた溶液と、前記ホスゲン系化合物とを、前記疎水性有機溶媒の存在下で、マイクロメートルオーダーの微細流路にて連続的に反応させることを特徴とするビスクロロホーメート組成物の製造方法。
  7. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のビスクロロホーメート組成物および溶媒を含有することを特徴とするビスクロロホーメート組成物含有溶液。
  8. 請求項1または請求項2に記載のビスクロロホーメート組成物と、下記一般式(5)で表されるビフェノール化合物と、を少なくとも用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。

    (前記一般式(5)において、RおよびRは、前記一般式(3)におけるRおよびRとそれぞれ同義である。)
  9. ポリカーボネート樹脂の製造方法であって、
    少なくとも、請求項1または請求項2に記載のビスクロロホーメート組成物と、有機溶剤と、アルカリ水溶液と、2価フェノール化合物と、を用い、
    有機層と水層とを混合して界面重縮合反応を行うことを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
  10. 請求項9に記載のポリカーボネート樹脂の製造方法であって、
    前記有機溶剤として、実質的に水と混じりあわなく、最終的に得られるポリカーボネート樹脂を5質量%以上溶解可能な有機溶剤を用いることを特徴とするポリカーボネート樹脂の製造方法。
  11. 下記一般式(A1)で表され、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が40モル%以上75モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。

    (前記一般式(A1)において、Arは下記一般式(2)で表される基であり、Arは、下記一般式(3)で表される基であり、a1は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a2は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a1およびa2は、それぞれ独立に、1.0を超えて2.7以下である。)

    (前記一般式(2)において、
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
    トリフルオロメチル基、および
    炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択され、
    Xは、
    −O−、
    −CO−、
    −S−、
    −SO−、
    −CR−、
    置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
    置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
    置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
    9,9−フルオレニリデン基、
    1,8−メンタンジイル基、
    2,8−メンタンジイル基、および
    下記一般式(100)で表される基からなる群から選択され、
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
    置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
    炭素数1〜5のアルキル基、
    トリフルオロメチル基、および
    置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
    前記一般式(3)において、
    およびRは、それぞれ独立に、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、および
    炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。

    前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。)
  12. 下記一般式(A2)で表され、Ar/(Ar+Ar)で表されるモル組成が40モル%以上75モル%以下であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。

    (前記一般式(A2)において、Arは、下記一般式(2)で表される基であり、Arは、下記一般式(3)で表される基であり、a1は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a2は、Ar成分の平均連鎖長を表し、a1およびa2は、それぞれ独立に、1.0を超えて2.7以下であり、bは[ ]で表される単位の繰り返し数であり、(a1+a2)×bは樹脂の平均繰り返し数を表し、30以上300以下の数である。)

    (前記一般式(2)において、
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
    トリフルオロメチル基、および
    炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択され、
    Xは、
    −O−、
    −CO−、
    −S−、
    −SO−、
    −CR−、
    置換もしくは無置換の炭素数5〜12のシクロアルキリデン基、
    置換もしくは無置換のアダマンタン−2,2−ジイル基、
    置換もしくは無置換のアダマンタン−1,3−ジイル基、
    置換もしくは無置換の炭素数2〜12のα,ω−アルキレン基、
    9,9−フルオレニリデン基、
    1,8−メンタンジイル基、
    2,8−メンタンジイル基、および
    下記一般式(100)で表される基からなる群から選択され、
    およびRは、それぞれ独立に、水素原子または置換基であり、
    置換基としてのRおよびRは、それぞれ独立に、
    炭素数1〜5のアルキル基、
    トリフルオロメチル基、および
    置換もしくは無置換の炭素数6〜12のアリール基からなる群から選択される。
    前記一般式(3)において、
    およびRは、それぞれ独立に、
    炭素数1〜3のパーフルオロアルキル基、および
    炭素数1〜3のアルキル基からなる群から選択される。)

    (前記一般式(100)において、Rは、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基である。)
  13. 請求項11または請求項12に記載のポリカーボネート樹脂であって、
    前記ポリカーボネート樹脂を塩化メチレンに対して10質量%濃度で溶解した溶液の、光路長10mmにおけるヘイズ値が10%未満であり、かつ前記ポリカーボネート樹脂をテトラヒドロフランに対して20質量%濃度で溶解した溶液の、光路長10mmにおけるヘイズ値が10%未満であることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
  14. 請求項11または請求項12に記載のポリカーボネート樹脂であって、
    前記ポリカーボネート樹脂をテトラヒドロフランに対して40質量%濃度で溶解し、20℃以上28℃以下の条件で3時間以上静置した後、前記ポリカーボネート樹脂の固形分濃度が20質量%になるまでテトラヒドロフランを追加し、さらに20℃以上28℃以下の条件で5時間以上攪拌および震とうし溶解した際に、ゲル成分および不溶解成分が生じず、かつ溶液の光路長10mmにおけるヘイズ値が10%未満あることを特徴とするポリカーボネート樹脂。
  15. 請求項11から請求項14までのいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂と有機溶剤とを含むことを特徴とする塗工液。
  16. 請求項11から請求項14までのいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  17. 基板と、
    前記基板上に設けられた感光層と、を有し、
    前記感光層は、請求項11から請求項14までのいずれか一項に記載のポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする電子写真感光体。
  18. 請求項16または請求項17に記載の電子写真感光体を有することを特徴とする電子写真装置。
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