JPWO2017104386A1 - ガラス板の製造方法及び製造装置 - Google Patents

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Abstract

ガラス板2の製造装置1は、第1主面2aと第2主面2bを有するガラス板2を、縦姿勢で吊り下げ支持するガラスチャック3と、ガラス板2の第1主面2aにスクライブ線を縦方向に形成するホイールカッター4と、ガラス板2の第2主面2bを支持する支持面5を有する第2支持部材6とを備える。支持面5は、前記スクライブ線の形成時に、ガラス板2を介してホイールカッター4と対向配置される。支持面5が、前記スクライブ線の形成時に、鉛直方向に対して傾斜した傾斜姿勢で、ガラス板2の第2主面2bを支持する。

Description

本発明は、ガラス板にスクライブ線を形成するガラス板の製造方法及び製造装置に関するものである。
周知のように、近年では、電子機器等の発達に伴って、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(サーフェイスエミッションディスプレイを含む)およびエレクトロルミネッセンスディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(FPD)やセンサの基板、あるいは固体撮像素子やレーザダイオード等の半導体パッケージ用カバー、さらには薄膜化合物太陽電池の基板等の多種に亘るガラス板が使用されている。
このようなガラス板の製造方法として、例えばオーバーフローダウンドロー法と呼ばれるものでは、製造されるガラス板は帯状をなす。この帯状のガラス板は、幅方向両端に幅方向中央より厚肉の耳部を有する(例えば特許文献1参照)。耳部より薄肉の幅方向中央部分が製品となり、耳部は不要な部分である。従って、耳部は、ガラス板が製品として出荷されるまでに除去されるのが通例である。
この帯状のガラス板から矩形状のガラス板の製品を得るには、まず、幅方向に沿って切断する(例えば特許文献2参照)。その後に、不要な部分である耳部を除去するための切断を行なう。
特開2012−131661号公報 特開2014−5170号公報
ところで、耳部を除去するための切断としては、例えば、縦姿勢の状態で、ガラス板にカッターでスクライブ線を形成した後に、このスクライブ線に沿って折り割りを行なう方法が採用されている。この方法において、ガラス板にカッターでスクライブ線を形成する際には、前記ガラス板を介して前記カッターに対向配置された支持面で、前記ガラス板を支持する。
ところが、幅方向に沿って切断したガラス板は、厚さ方向の一方に凸に湾曲するように、帯状だった時の長手方向で反っている時がある。
ガラス板に、このような反り(以下、縦反りと記す)があると、ガラス板にスクライブ線を形成する時に、ガラス板と支持面との間に隙間が生じ、スクライブ線が上手く入らない可能性があった。あるいは、スクライブ線を上手く形成しようとしてガラス板を支持面に押し付けるとガラスに不要な応力が発生してガラス板が割れてしまう可能性もあった。
本発明は、上記事情に鑑み、縦反りを有するガラス板であっても良好なスクライブ線を形成可能なガラス板の製造方法及び製造装置を提供することを技術的課題とする。
前記課題を解決するために創案された本発明のガラス板の製造方法は、第1主面と第2主面を有するガラス板を、縦姿勢で吊り下げ支持する第1支持部材と、前記ガラス板の前記第1主面にスクライブ線を縦方向に形成するカッターと、前記スクライブ線の形成時に、前記ガラス板を介して前記カッターと対向配置された状態で、前記ガラス板の前記第2主面を支持する支持面を有する第2支持部材とを使用するガラス板の製造方法であって、前記支持面が、前記スクライブ線の形成時に、鉛直方向に対して傾斜した傾斜姿勢で、前記ガラス板の前記第2主面を支持することを特徴とする。
この構成によれば、スクライブ線の形成時に、支持面が鉛直方向に対して傾斜した状態なので、ガラス板が自重により、支持面に馴染み(支持面上で伸び)、支持面とガラス板との間の隙間が無くなる。このため、ガラス板に良好なスクライブ線を形成することが可能になる。すなわち、本発明のガラス板の製造方法によれば、縦反りを有するガラス板であっても良好なスクライブ線を形成可能なガラス板の製造方法を提供することが可能である。
上記の構成において、前記傾斜姿勢の前記支持面の鉛直方向に対する傾斜角度が、0.5°以上で20°以下であることが好ましい。
この構成であれば、良好なスクライブ線を形成する効果を、より確実に得ることができる。
上記の構成において、前記第2支持部材を移動可能に支持する駆動部を使用し、前記駆動部は、前記第2支持部材を、前記ガラス板の前記第2主面を支持する支持位置と、前記支持位置から前記ガラス板とは反対側に後退した待機位置との間で進退移動可能に支持していることが好ましい。
この構成であれば、第2支持部材が待機位置の状態では、第2支持部材が支持位置の状態より、第2支持部材とカッターの間のスペースが大きくなるので、第2支持部材とカッターの間へのガラス板の供給と、第2支持部材とカッターの間からのガラス板の排出が容易になる。
この構成において、前記駆動部は、前記待機位置における前記支持面の鉛直方向に対する傾斜角度が、前記支持位置における前記支持面の前記傾斜姿勢での鉛直方向に対する傾斜角度よりも小さくなるように、前記第2支持部材を支持していることが好ましい。ここで、待機位置における支持面の鉛直方向に対する傾斜角度には、0°を含むものとする。この場合には、支持面は、鉛直方向に沿った姿勢(鉛直姿勢)である。
この構成であれば、第2支持部材が待機位置の状態では、第2支持部材が支持位置の状態より、第2支持部材とカッターの間のスペースが更に大きくなるので、第2支持部材とカッターの間へのガラス板の供給と、第2支持部材とカッターの間からのガラス板の排出が更に容易になる。
この構成において、前記駆動部は、前記第2支持部材の上部に接続された上部移動機構と、前記第2支持部材の下部に接続された下部移動機構とを備え、前記第2支持部材を前記待機位置から前記支持位置へ向かって前進させる間に、前記下部移動機構による前記第2支持部材の前進量を、前記上部移動機構による前記第2支持部材の前進量よりも大きくしたことが好ましい。
この構成であれば、待機位置から支持位置に向かって第2支持部材を前進させながら、第2支持部材を傾斜させることができる。
上記の構成において、前記第1支持部材が、前記縦姿勢にある前記ガラス板の厚さ方向に揺動可能であることが好ましい。
この構成であれば、ガラス板が傾斜姿勢の支持面に支持された時に、第1支持部材に支持されているガラス板の部位の周辺に不当な応力がかかることを防止することが可能である。
上記の構成において、前記傾斜姿勢の前記支持面に支持された前記ガラス板の前記第1主面を押える押え面を有する押え部材を使用することが好ましい。
この構成であれば、押え面により、更に、ガラス板が支持面に馴染み(支持面上で伸び)、支持面とガラス板との間の隙間を無くすことが可能になる。
この構成において、前記スクライブ線を形成する時の少なくとも初期に、前記押え面が、前記傾斜姿勢の前記支持面に支持された前記ガラス板の前記第1主面を押えていることが好ましい。
この構成であれば、スクライブ線の形成を、より確実に開始することができる。
この構成において、前記押え面は、前記スクライブ線の形成中に、前記第1主面から離反することが好ましい。
この構成であれば、スクライブ線の形成中に、ガラス板を不当に拘束することが無いため、より良好にスクライブ線をガラス板の第1主面に形成することができる。
前記課題を解決するために創案された本発明のガラス板の製造装置は、第1主面と第2主面を有するガラス板を、縦姿勢で吊り下げ支持する第1支持部材と、前記ガラス板の前記第1主面にスクライブ線を縦方向に形成するカッターと、前記スクライブ線の形成時に、前記ガラス板を介して前記カッターと対向配置された状態で、前記ガラス板の前記第2主面を支持する支持面を有する第2支持部材とを備えたガラス板の製造装置であって、前記支持面が、前記スクライブ線の形成時に、鉛直方向に対して傾斜した傾斜姿勢で、前記ガラス板の前記第2主面を支持することを特徴とする。
この構成によれば、冒頭の構成のガラス板の製造方法と実質的に同様の作用及び効果を得ることができる。すなわち、本発明のガラス板の製造装置によれば、縦反りを有するガラス板であっても良好なスクライブ線を形成可能なガラス板の製造装置を提供することが可能である。
以上のように、本発明によれば、縦反りを有するガラス板であっても良好なスクライブ線を形成可能なガラス板の製造方法及び製造装置を提供することができる。
本発明の実施形態に係るガラス板の製造装置を示す概略正面図である。 本発明の実施形態に係るガラス板の製造装置を示す概略側面図である(ホイールカッター周辺部を省略)。 本発明の実施形態に係るガラス板の製造装置を示す概略側面図である(押え部材周辺部を省略)。 図3と同様の概略側面図であって、ガラス板が傾斜した支持面に支持された状態を示す図である。 図2と同様の概略側面図であって、ガラス板が傾斜した支持面に支持された状態を示す図である。 ガラス板が傾斜した支持面に支持された状態でスクライブ線を形成する様子を下から見た図である。 図4と同様の概略側面図であって、把持部材が揺動可能な場合を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づき説明する。
図1〜図3は、本発明の実施形態に係るガラス板の製造装置(以下、製造装置1と記す)を示す。製造装置1は、ガラス板2にスクライブ線を形成するためのものであるが、これらの図は、ガラス板2にスクライブ線を形成する前の段階を示す。
この製造装置1は、第1主面2aと第2主面2bを有するガラス板2を、縦姿勢で吊り下げ支持する第1支持部材としてのガラスチャック3と、ガラス板2の第1主面2aにスクライブ線を縦方向に形成するホイールカッター4と、ガラス板2の第2主面2bを支持する支持面5を有する第2支持部材6と、ガラス板2の第1主面2aを押える押え面7を有する押え部材8とを備える。支持面5は、スクライブ線を形成する時に、ガラス板2を介してホイールカッター4と対向配置された状態になる。
また、製造装置1は、ガラス板2の第1主面2aの側に配設され、ホイールカッター4を移動可能に支持するホイールカッター用駆動部1aと、ガラス板2の第2主面2bの側に配設され、第2支持部材6を移動可能に支持する第2支持部材用駆動部1bと、ガラス板2の第1主面2aの側に配設され、押え部材8を移動可能に支持する押え部材用駆動部1cとを備える。
図1に示すように、ガラス板2は、矩形状であり、オーバーフローダウンドロー法で製造された帯状のガラスを幅方向に切断したものである。ガラス板2の母材となる帯状のガラス板は、オーバーフローダウンドロー法により次のように製造される。すなわち、溶融炉でガラス原料を溶解して溶融ガラスとし、この溶融ガラスを成形炉の内部に配置された成形体の上部に供給し、この成形体から流下した帯状の溶融ガラスをローラで搬送しながら徐冷することにより、帯状のガラス板が製造される。
ガラス板2は、ガラス板2の横方向(図1の左右方向)の両端に、ガラス板2の横方向の中央より厚肉の耳部2cを有する。ガラス板2は、図2及び図3に示すように、第2主面2bの側が凸となるように湾曲した縦反りを有する。尚、このような縦反りは、耳部2cの切断除去により解消され、平板のガラス板2となる。
製造装置1は、耳部2cを除去するための切断を行なうために、ガラス板2にスクライブ線を形成する。従って、スクライブ予定線Lは、製品となる予定の領域と、耳部2cと共に切除される領域との境界である。
ガラス板2の製品となる領域の大きさは、例えば、250mm×340mm〜2830mm×3030mmである。また、ガラス板2の製品となる領域の厚さは、例えば、500μm以下、300μm以下、200μm以下、100μm以下、50μm以下とすることができる。
図1に示すように、ガラスチャック3は、ガラス板2の横方向に間隔を置いて複数配設されている。ガラスチャック3は、ガラス板2の上端を把持している。ガラス板2は、ガラスチャック3を除けば、何にも支持されておらず、ガラスチャック3によって、ガラス板2は吊り下げられた状態にある。
スクライブ線を形成するために、ホイールカッター4は、縦姿勢にあるガラス板2の厚さ方向及び縦方向のそれぞれで変位可能である。詳述すると、ホイールカッター4は、カッターヘッド9に設けられている。カッターヘッド9内には、ホイールカッター4をガラス板2に所定の圧力で押圧するためのシリンダが内蔵されている。カッターヘッド9は、ボールネジを介してカッター用サーボモータ9aによって駆動されて図3の横方向に移動する。カッターヘッド9の移動により、ホイールカッター4は、図3の横方向に沿って移動する。
また、カッターヘッド9とカッター用サーボモータ9aは、カッター用スライド部材9bに取り付けられている。カッター用スライド部材9bは、カッター用レール9cに対してスライド自在に取り付けられている。カッター用スライド部材9bは、タイミングベルト9dによって駆動され、カッター用レール9cにより案内されて図3の縦方向に沿って移動する。カッター用スライド部材9bの移動により、ホイールカッター4は、図3の縦方向に沿って移動する。なお、カッター用レール9cと、タイミングベルト9dの駆動部は、ホイールカッター用駆動部1aのハウジングに固定されている。
支持面5は、平面であり、ホイールカッター4でスクライブ線を形成する時に、ガラス板2の第2主面2bを支持する。支持面5は、スクライブ線の形成時に、鉛直方向に対して、縦姿勢にあるガラス板2の厚さ方向の第2主面2bの側に傾斜した傾斜姿勢である。支持面5は、図2及び図3の状態では、傾斜しておらず、鉛直方向に沿った鉛直姿勢である。
支持面5を有する第2支持部材6は、例えば、鉄、ステンレス、アルミ等の金属、金属材料にゴムや樹脂等を貼り合せたもの等で構成されている。
スクライブ線の形成時の傾斜姿勢での支持面5の鉛直方向に対する傾斜角度は、0.5°以上で20°以下であることが好ましく、1°以上で18°以下であることがより好ましく、2°以上で15°以下であることが最も好ましい。傾斜角度が0.5°未満の場合には、傾斜による効果が十分に得られない可能性がある。傾斜角度が20°を超える場合には、ガラス板2の横方向中央付近が自重で垂れ下がり、これによる悪影響が心配される。
図3及び図4に示すように、第2支持部材用駆動部1bは、第2支持部材6を、ガラス板2の第2主面2bを支持する支持位置P1と、支持位置P1からガラス板2とは反対側に後退した支持用待機位置P2との間で進退移動可能に支持している。支持位置P1における第2支持部材6の支持面5が、スクライブ線の形成時の傾斜姿勢である。
支持用待機位置P2における支持面5の鉛直方向に対する(縦姿勢のガラス板2の厚さ方向の)傾斜角度(本実施形態では0°)が、支持位置P1における支持面5の傾斜姿勢での鉛直方向に対する(縦姿勢のガラス板2の厚さ方向の)傾斜角度よりも小さい。
第2支持部材用駆動部1bは、第2支持部材6の上部に接続された第2支持部材用上部移動機構と、第2支持部材6の下部に接続された第2支持部材用下部移動機構とを備える。
第2支持部材6が支持用待機位置P2から支持位置P1へ向かって前進する間に、第2支持部材用下部移動機構による第2支持部材6の前進量d1は、第2支持部材用上部移動機構による第2支持部材6の前進量d2よりも大きい。これにより、第2支持部材6の支持面5が、スクライブ線の形成時の傾斜姿勢となる。
詳述すると、支持面5が形成された第2支持部材6の上端と下端のそれぞれに、第2支持部材用ベアリングケース6aを介して第2支持部材用スライド部材6bが取り付けられている。第2支持部材用スライド部材6bは、第2支持部材用レール6cに対してスライド自在に取り付けられている。第2支持部材用スライド部材6bは、ボールネジを介して第2支持部材用サーボモータ6dにより駆動され、第2支持部材用レール6cにより案内されて図3及び図4の横方向に沿って移動する。第2支持部材用スライド部材6bの移動により、支持面5の上端と下端のそれぞれが図3及び図4の横方向に沿って移動する。
つまり、上側と下側に一対設置されている第2支持部材用ベアリングケース6a、第2支持部材用スライド部材6b、第2支持部材用レール6c、ボールネジ及び第2支持部材用サーボモータ6dのうち、上側の方で第2支持部材用上部移動機構が構成され、下側の方で第2支持部材用下部移動機構が構成される。
なお、第2支持部材用レール6cと第2支持部材用サーボモータ6dは第2支持部材用駆動部1bのハウジングに固定されている。また、支持面5が傾斜姿勢になる際に、第2支持部材6の下端は、図3及び図4の横方向だけでなく、上側にも移動するが、この上側への移動は、第2支持部材用ベアリングケース6aと第2支持部材6の間で許容されるように構成されている。
押え面7は、スクライブ線形成時の傾斜姿勢の支持面5に支持されたガラス板2に対し、第1主面2aを押えるためのものである。押え面7は、平面であり、支持面5よりも、ガラス板2の横方向外側で第1主面2aを押える。押え面7は、ガラス板2の横方向で、第2支持部材6と耳部2cとの間に位置する。押え面7は、スクライブ線の形成時に、鉛直方向に対して、縦姿勢にあるガラス板2の厚さ方向の第2主面2bの側に傾斜した傾斜姿勢である。押え面7は、図2の状態では、傾斜しておらず、鉛直方向に沿った鉛直姿勢である。
押え面7は、例えばゴム等の樹脂材料等のクッション性を有する素材で構成されている。
スクライブ線の形成時の傾斜姿勢での押え面7の鉛直方向に対する傾斜角度は、スクライブ線の形成時の傾斜姿勢での支持面5の鉛直方向に対する傾斜角度と同様である。
図2及び図5に示すように、押え部材用駆動部1cは、押え部材8を、ガラス板2の第2主面2bを支持する押え位置P3と、押え位置P3からガラス板2とは反対側に後退した押え用待機位置P4との間で進退移動可能に支持している。押え位置P3における押え部材8の押え面7が、スクライブ線の形成時の傾斜姿勢である。
押え用待機位置P4における押え面7の鉛直方向に対する(縦姿勢のガラス板2の厚さ方向の)傾斜角度(本実施形態では0°)が、押え位置P3における押え面7の傾斜姿勢での鉛直方向に対する(縦姿勢のガラス板2の厚さ方向の)傾斜角度よりも小さい。
押え部材用駆動部1cは、押え部材8の上部に接続された押え部材用上部移動機構と、押え部材8の下部に接続された押え部材用下部移動機構とを備える。
押え部材8が押え用待機位置P4から押え位置P3へ向かって前進する間に、押え部材用下部移動機構による押え部材8の前進量は、押え部材用上部移動機構による押え部材8の前進量よりも小さい。これにより、押え部材8の押え面7が、スクライブ線の形成時の傾斜姿勢となる。
押え部材用上部移動機構と押え部材用下部移動機構は、支持面5の場合と同様である。詳述すると、押え面7が形成された押え部材8の上端と下端のそれぞれに、押え部材用ベアリングケース8aを介して押え部材用スライド部材8bが取り付けられている。押え部材用スライド部材8bは、押え部材用レール8cに対してスライド自在に取り付けられている。押え部材用スライド部材8bは、ボールネジを介して押え部材用サーボモータ8dにより駆動され、押え部材用レール8cにより案内されて図2及び図5の横方向に沿って移動する。押え部材用スライド部材8bの移動により、押え面7の上端と下端のそれぞれが図2及び図5の横方向に沿って移動する。
つまり、上側と下側に一対設置されている押え部材用ベアリングケース8a、押え部材用スライド部材8b、押え部材用レール8c、ボールネジ及び押え部材用サーボモータ8dのうち、上側の方で押え部材用上部移動機構が構成され、下側の方で押え部材用下部移動機構が構成される。
なお、押え部材用レール8cと押え部材用サーボモータ8dは、押え部材用駆動部1cのハウジングに固定されている。また、押え面7が傾斜姿勢になる際に、押え部材8の下端は、図2及び図5の横方向だけでなく、上側にも移動するが、この上側への移動は、押え部材8の下端と押え部材用ベアリングケース8aの間で許容されるように構成されている。
次に、製造装置1の動作について説明する。
最初に、製造装置1に対して、図3の奥行方向(図1の横方向)から、ガラスチャック3に縦姿勢で吊り下げ支持された状態のガラス板2が供給される。
次に、図3に示す状態から、第2支持部材用スライド部材6bが、第2支持部材用サーボモータ6dによって駆動され、支持用待機位置P2から支持位置P1に移動する。これにより、図4に示すように、第2支持部材6の支持面5が、傾斜姿勢でガラス板2の第2主面2bを支持する。
続いて、図2に示す状態から、押え部材用スライド部材8bが、押え部材用サーボモータ8dによって駆動され、押え用待機位置P4から押え位置P3に移動する。これにより、図5に示すように、押え部材8の押え面7が、傾斜姿勢でガラス板2の第1主面2aを押える。
その後、支持面5が第2主面2bを支持した状態、且つ、押え面7が第1主面2aを押えた状態のままで、ホイールカッター4により、ガラス板2の第1主面2aに、上側に向かってスクライブ線を形成する。
詳述すれば、まず、ホイールカッター4が、初期位置(図3の位置)から移動し、ガラス板2の第1主面2aの下端に当接する。この状態から、図6に示すように、ホイールカッター4が、ガラス板2の第1主面2aに上側に向かってスクライブ線を形成する。ホイールカッター4が、ガラス板2の第1主面2aの上端に到達してスクライブ線の形成が終了したら、ホイールカッター4は、初期位置に戻る。
これらの動作は、タイミングベルト9dによるカッター用スライド部材9bの図4の縦方向に沿った移動と、カッター用サーボモータ9aによるホイールカッター4の図4の横方向に沿った移動によって行なわれる。また、ホイールカッター4がガラス板2の第1主面2aに当接している間は、カッターヘッド9に内蔵されているシリンダによって、ホイールカッター4がガラス板2の第1主面2aに押圧されている。
ホイールカッター4が初期位置に戻った後、図5に示す状態から、押え部材用スライド部材8bが、押え部材用サーボモータ8dによって駆動され、押え位置P3から押え用待機位置P4に移動し、図4の状態になる。これに伴い、押え部材8の押え面7によるガラス板2の第2支持部材6への拘束が解かれる。
次に、図4に示す状態から、第2支持部材用スライド部材6bが、第2支持部材用サーボモータ6dによって駆動され、支持位置P1から支持用待機位置P2に移動する。これにより、図3に示すように、ガラス板2が、ガラスチャック3に縦姿勢で吊り下げ支持された状態となる。
この後、ガラス板2は、ガラスチャック3に縦姿勢で吊り下げ支持された状態のまま、製造装置1から、図3の奥行方向(図1の横方向)に排出される。
以上のように構成された本実施形態の製造装置1によれば、スクライブ線の形成時に、支持面5が鉛直方向に対して傾斜しているので、ガラス板2が自重により、支持面5に馴染み(支持面5上で伸び)、支持面5とガラス板2との間の隙間が無くなる。このため、ガラス板2に良好なスクライブ線を形成することが可能になる。すなわち、本実施形態の製造装置1によれば、縦反りを有するガラス板2であっても良好なスクライブ線を形成可能なガラス板の製造方法及び製造装置を提供することが可能である。
本発明は、上記実施形態に限定されるものでは無く、その技術的思想の範囲内で、様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ガラスチャック3は揺動しないものであったが、例えば図7に示すように、ガラスチャック3が、縦姿勢にあるガラス板2の厚さ方向の第1主面2aの側で、揺動可能であってもよい。
また、上記実施形態では、ガラス板2は、第2主面2bの側が凸となるように湾曲した縦反りを有していたが、第1主面2aの側が凸となるように湾曲した縦反りを有していてもよいし、一部が第2主面2bの側が凸となるように湾曲すると共に他部が第1主面2aの側が凸となるように湾曲した縦反りを有していてもよい。
また、上記実施形態では、スクライブ線を形成する時に、第2支持部材6が支持位置P1に前進し、スクライブ線を形成しない時は、支持面5は、第2支持部材6が支持用待機位置P2に後退していたが、これに限定されるものでは無い。例えば、第2支持部材6が移動せず、支持面5が、常に鉛直方向に対して傾斜した状態であってもよい。この場合には、スクライブ線形成時に、ガラス板2の第2主面2bが支持面5に支持されるようにするために、ガラスチャック3に把持されたガラス板2が、支持面5の側に移動するように構成される。
また、上記実施形態では、押え面7が第1主面2aを押えているのは、スクライブ線を形成する時の全期間であったが、初期、中間期、終期等の一部の期間であってもよい。特に、ホイールカッター4が、ガラス板2の第1主面2aの下端から上側に向かってスクライブ線の形成を開始した後に、押え部材用スライド部材8bが、押え部材用サーボモータ8dによって駆動され、押え位置P3から押え用待機位置P4に移動し、押え部材8の押え面7によるガラス板2の第2支持部材6への拘束を解くことが好ましい。これにより、ホイールカッター4がスクライブ線を形成している間は、押え面7によってガラス板が不当に拘束されることが無いため、良好にスクライブ線を第1主面2aに形成することができる。具体的には、ホイールカッター4が第1主面2aにスクライブ線を1cm〜30cm形成した後に、押え面7が第1主面2aから離反することが好ましい。更には、製造装置1が、ガラス板2の第1主面2aを押えるための押え面7を備えていなくてもよい。
また、上記実施形態では、ホイールカッター4によるガラス板2に対するスクライブ線の形成は、上側に向かって行なわれていたが、下側に向かって行なわれていてもよい。また、ホイールカッター4により形成されるスクライブ線は、ガラス板2の第1主面2aの上端や下端に到達していなくてもよく、第1主面2aの面内からスクライブ線の形成を始めてもよいし、第1主面2aの面内でスクライブ線の形成を終了してもよい。
また、上記実施形態では、ガラス板2は、オーバーフローダウンドロー法によって製造されており耳部2cを有していたが、その他の製造方法で製造されていてもよいし、耳部2cを有していなくてもよい。また、押え面7は、支持面5よりもガラス板2の横方向内側で第1主面2aを押さえてもよい。
1 ガラス板の製造装置
1b 第2支持部材用駆動部
2 ガラス板
2a 第1主面
2b 第2主面
3 ガラスチャック(第1支持部材)
4 ホイールカッター
5 支持面
6 第2支持部材
6a 第2支持部材用ベアリングケース(上部及び下部移動機構)
6b 第2支持部材用スライド部材(上部及び下部移動機構)
6c 第2支持部材用レール(上部及び下部移動機構)
6d 第2支持部材用サーボモータ(上部及び下部移動機構)
7 押え面
8 押え部材
d1 前進量
d2 前進量
L スクライブ予定線
P1 支持位置
P2 支持用待機位置

Claims (10)

  1. 第1主面と第2主面を有するガラス板を、縦姿勢で吊り下げ支持する第1支持部材と、前記ガラス板の前記第1主面にスクライブ線を縦方向に形成するカッターと、前記スクライブ線の形成時に、前記ガラス板を介して前記カッターと対向配置された状態で、前記ガラス板の前記第2主面を支持する支持面を有する第2支持部材とを使用するガラス板の製造方法であって、
    前記支持面が、前記スクライブ線の形成時に、鉛直方向に対して傾斜した傾斜姿勢で、前記ガラス板の前記第2主面を支持することを特徴とするガラス板の製造方法。
  2. 前記傾斜姿勢の前記支持面の鉛直方向に対する傾斜角度が、0.5°以上で20°以下であることを特徴とする請求項1に記載のガラス板の製造方法。
  3. 前記第2支持部材を移動可能に支持する駆動部を使用し、
    前記駆動部は、前記第2支持部材を、前記ガラス板の前記第2主面を支持する支持位置と、前記支持位置から前記ガラス板とは反対側に後退した待機位置との間で進退移動可能に支持していることを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板の製造方法。
  4. 前記駆動部は、前記待機位置における前記支持面の鉛直方向に対する傾斜角度が、前記支持位置における前記支持面の前記傾斜姿勢での鉛直方向に対する傾斜角度よりも小さくなるように、前記第2支持部材を支持していることを特徴とする請求項3に記載のガラス板の製造方法。
  5. 前記駆動部は、前記第2支持部材の上部に接続された上部移動機構と、前記第2支持部材の下部に接続された下部移動機構とを備え、
    前記第2支持部材を前記待機位置から前記支持位置へ向かって前進させる間に、前記下部移動機構による前記第2支持部材の前進量を、前記上部移動機構による前記第2支持部材の前進量よりも大きくしたことを特徴とする請求項4に記載のガラス板の製造方法。
  6. 前記第1支持部材が、前記縦姿勢にある前記ガラス板の厚さ方向に揺動可能であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のガラス板の製造方法。
  7. 前記傾斜姿勢の前記支持面に支持された前記ガラス板の前記第1主面を押える押え面を有する押え部材を使用することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載のガラス板の製造方法。
  8. 前記スクライブ線を形成する時の少なくとも初期に、前記押え面が、前記傾斜姿勢の前記支持面に支持された前記ガラス板の前記第1主面を押えていることを特徴とする請求項7に記載のガラス板の製造方法。
  9. 前記押え面は、前記スクライブ線の形成中に、前記第1主面から離反することを特徴とする請求項8に記載のガラス板の製造方法。
  10. 第1主面と第2主面を有するガラス板を、縦姿勢で吊り下げ支持する第1支持部材と、前記ガラス板の前記第1主面にスクライブ線を縦方向に形成するカッターと、前記スクライブ線の形成時に、前記ガラス板を介して前記カッターと対向配置された状態で、前記ガラス板の前記第2主面を支持する支持面を有する第2支持部材とを備えたガラス板の製造装置であって、
    前記支持面が、前記スクライブ線の形成時に、鉛直方向に対して傾斜した傾斜姿勢で、前記ガラス板の前記第2主面を支持することを特徴とするガラス板の製造装置。
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