しかしながら、従来の回転角度検出装置では、精度良く回転角度を検出することが困難であった。本発明の課題は、精度良く、回転体の回転角度、回転角速度、および回転角加速度のうち少なくともいずれかの回転情報を検出する回転情報検出装置を提供することである。
本発明の第1の態様においては、磁場を発生する回転体の回転角度、回転角速度、および回転角加速度のうち少なくともいずれかの回転情報を検出する回転情報検出装置であって、回転体の磁場を検出する磁電変換部と、磁電変換部における検出結果に基づいて、回転体の回転状態を示す第1情報および第2情報を算出する算出部と、第1情報の周波数帯域を制限するフィルタ部と、第2情報、およびフィルタ部を通過した第1情報に基づいて、回転体の回転情報を決定する決定部と、を備える回転情報検出装置を提供する。
本発明の第2の態様においては、検出角度の三角関数値が入力され、予測三角関数値と外積演算する外積演算部と、外積演算結果を積分する第1積分器と、第1積分器の積分結果をさらに積分する第2積分器と、第2積分器の積分結果を予測三角関数値に変換する変換部と、を有するトラッキングループ回路と、トラッキングループ回路外で、第1積分器の積分結果の周波数帯域を制限するフィルタ部と、フィルタ部を通過したフィルタ処理結果と第2積分器の積分結果とに基づいて、角度を決定する決定部と、を備える角度検出回路を提供する。
本発明の第3の態様においては、磁場を発生する回転体の回転角度、回転角速度、および回転角加速度のうち少なくともいずれかの回転情報を検出する回転情報検出方法であって、回転体の磁場を検出する磁場検出段階と、磁場検出段階における検出結果に基づいて、回転体の回転情報を示す第1情報および第2情報を算出する算出段階と、第1情報の周波数帯域を制限するフィルタ段階と、第2情報、およびフィルタ段階を経た第1情報に基づいて、回転体の回転情報を決定する決定段階とを備える回転情報検出方法、および回転情報検出方法をコンピュータに実現させるための回転情報検出プログラムを提供する。
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、回転体10の構成例を示す図である。回転体10は、モータ等の駆動装置に接続され、回転軸を中心に回転する。回転体10は、磁場を発生させつつ回転し、回転磁場を第1磁電変換部20および第2磁電変換部30に印加する。第1磁電変換部20および第2磁電変換部30は、例えば、磁気センサである。第1磁電変換部20および第2磁電変換部30については後に述べる。
回転体10は、回転磁石12と、回転軸14とを備える。回転磁石12は、回転軸14回りに回転する。回転磁石12は、一例として、円盤状の形状を有し、予め定められた第1平面内で回転する。回転磁石12は、第1平面と略平行な面がそれぞれ半円形状となる2つの領域に分割されてよい。回転磁石12は、分割された2つの領域のうち、一方の領域がS極であり、他方の領域がN極である磁石で形成されてよい。
これに代えて、回転磁石12は、分割された2つの領域のうち、一方の領域の一部がS極であり、他方の領域の一部がN極となるように形成されてもよい。あるいは、回転磁石12は、4以上の複数の領域に分割されてよい。回転磁石12は、複数の領域の半数の領域のうち、少なくとも一部の領域がS極であり、残り半数の領域のうち、少なくとも一部の領域がN極となるように形成されてもよい。
回転磁石12は、第1平面と略平行な面内で回転することにより、理想的には、例えば、次式で示されるように、正弦波状または余弦波状に変化する磁場を外部の第1磁電変換部20および第2磁電変換部30に印加する。なお、第1平面と平行な面をXY平面としたときに、H
Xは磁場の強さのX方向成分を意味し、Hyは磁場の強さのY方向成分を意味し、θは回転体10の回転角度を意味する。
回転軸14は、第1平面と略垂直な方向に形成される。回転軸14は、一端が回転磁石12の中心に接続される。また、回転軸14は、他端がモータ等の駆動装置に接続される。駆動装置は、回転軸14および回転軸14に接続された回転磁石12を回転させる。
第1磁電変換部20および第2磁電変換部30は、回転体10が発生させる回転磁場を検出する。第1磁電変換部20および第2磁電変換部30は、例えば、第1平面における平面視で、回転磁石12の円周と交わるように配置される。即ち、第1磁電変換部20および第2磁電変換部30のそれぞれは、回転磁石12の円周から回転軸14に平行に延伸させた円筒と交わるように配置される。
第1磁電変換部20および第2磁電変換部30は、回転磁石12の駆動装置側とは反対側に配置されてよく、これに代えて、駆動装置側に配置されてもよい。また、第1磁電変換部20および第2磁電変換部30は、回転磁石12を挟むように互いに回転磁石12の異なる側に配置されてもよい。
図1は、第1磁電変換部20および第2磁電変換部30が、回転磁石12の円周付近、より正確には円周の直下に配置された例を示す。例えば、第1磁電変換部20は、正弦波状に変動する磁場が印加され、第2磁電変換部30は、余弦波状に変動する磁場が印加される。即ち、図1は、第1磁電変換部20および第2磁電変換部30が、互いに位相差が90°となる正弦波あるいは余弦波状に変動する磁場が印加されるように配置される例を示す。
図2は、本実施形態に係る検出装置100の概要を示す図である。検出装置100は、図1に示したような回転体10が発生する回転磁場を検出して、回転体10の回転角度、回転角速度、および回転角加速度のうちの少なくともいずれかの回転情報を検出する回転情報検出装置である。検出装置100は、第1磁電変換部20、第2磁電変換部30、入力部40、および信号処理部200を備える。入力部40は、第1増幅部42、第2増幅部44、AD変換部46、およびAD変換部48を備える。信号処理部200は、角度検出回路であってよい。信号処理部200は、算出部210、フィルタ部220、および決定部230を備える。
第1磁電変換部20および第2磁電変換部30は、回転体10の磁場を検出する磁気変換部である。本例の第1磁電変換部20は、印加された磁場の強度に略比例した強度の電気信号を磁場の検知信号として出力する。第1磁電変換部20には、回転体10の回転磁場によって周期的に変化する磁場が印加される。第1磁電変換部20は、回転磁場の周期で変化する周期的な検知信号を出力する。第1磁電変換部20は、正弦波状に変化する回転体10の磁場を検出してよい。本例の第1磁電変換部20は、正弦波状の磁場が印加され、正弦波状の検知信号を出力する。
第1磁電変換部20は、一例として、磁場を検出するホール素子を有する。ただし、第1磁電変換部20が有する磁気センサは、印加される周期的に変化する磁場を検出できる磁気センサであれば、ホール素子に限定されるものではない。第1磁電変換部20は、検知信号を入力部40の第1増幅部42に供給する。
第2磁電変換部30は、回転周期で変化する回転体10の磁場を第1磁電変換部20とは異なる位相で検出する。第2磁電変換部30が検出する位相は、第1磁電変換部20が検出する位相と比較して予め定められた位相差を有する。第2磁電変換部30は、一例として、回転体10の回転の周期で変化する磁場を第1磁電変換部20とは略90度異なる位相で検出する。
本例の第2磁電変換部30は、位相が略90度異なる余弦波状の磁場が印加され、余弦波状の検知信号を出力する。第2磁電変換部30は、検知信号を入力部40の第2増幅部44に供給する。以上の点を除いて、第2磁電変換部30は、第1磁電変換部20と同様であるので、繰り返しの説明を省略する。
第1増幅部42は、第1磁電変換部20から検知信号を受け取り、検知信号を増幅する。第1増幅部42は、第1磁電変換部20に接続されてよく、受けとった検知信号を予め定められた増幅率で増幅してよい。第1増幅部42は、増幅した検知信号をAD変換部46に供給する。
第2増幅部44は、第2磁電変換部30から検知信号を受け取り、検知信号を増幅する。第2増幅部44は、第2磁電変換部30に接続されてよく、受けとった検知信号を予め定められた増幅率で増幅してよい。第2増幅部44は、増幅した検知信号をAD変換部48に供給する。
AD変換部46は、増幅された検知信号を受け取り、検知信号をデジタル値に変換する。AD変換部46は、第1増幅部42に接続されてよく、受けとった検知信号を予め定められたクロック周期等でデジタル値に変換してよい。AD変換部46は、変換したデジタル信号を算出部210に供給する。
AD変換部48は、増幅された検知信号を受け取り、検知信号をデジタル値に変換する。AD変換部48は、第2増幅部44に接続されてよく、受けとった検知信号を予め定められたクロック周期等でデジタル値に変換してよい。AD変換部48は、変換したデジタル信号を算出部210に供給する。
算出部210は、第1磁電変換部20および第2磁電変換部30の検出結果に基づき、回転体10の回転情報を示す第1情報と第2情報とを算出する。算出部210は、AD変換部46およびAD変換部48に接続されてよい。算出部210は、AD変換部46およびAD変換部48から受け取った検知信号に基づいて、回転体10の回転状態に応じた第1情報と第2情報とを算出してよい。
本明細書において、「第1情報」および「第2情報」は、回転体10の回転情報を示す情報である。回転体10の回転情報は、回転体10の回転角度、回転角速度、および回転角加速度の少なくともいずれかの情報である。第1情報は、回転体10の回転角速度または回転角加速度を示す情報であってよい。第2情報は、回転体10の回転角度を示す情報であってよい。本例では、第1情報は、回転体10の回転角速度を示す回転角速度信号ω1であり、第2情報は、回転体10の回転体角度を示す回転体角度信号θ1である。
フィルタ部220は、算出部210から第1情報を受け取り、第1情報の周波数帯域を制限する。決定部230は、フィルタ部220を通過した第1情報と、フィルタ部220を通過しない第2情報とに基づいて、回転体10の回転角度である出力回転角度信号θoutを決定する。
次に、算出部210、フィルタ部220、および決定部230を含む信号処理部200を説明する。図3は、第1実施形態における信号処理部200の概要を示す図である。算出部210は、AD変換部46およびAD変換部48から検知信号として正弦波信号A・sinθinおよび余弦波信号A・cosθinを受け取る。A・sinθinおよび余弦波信号A・cosθinは、検出結果θinの三角関数値である。
算出部210が受け取る検知信号が正弦波信号および余弦波信号であること、また、2つの信号の位相差が判明していることにより、算出部210は、第1磁電変換部20および第2磁電変換部30に印加された磁場の第1平面上の方向、即ち、回転体10の回転角度について示す回転角度信号θ1を算出することができる。算出部210は、回転角度信号θ1の算出過程において、回転体10の回転角速度について示す回転角速度信号ω1についても算出する。回転角速度信号ω1および回転角度信号θ1の算出処理については、後に述べる。
フィルタ部220は、算出部210から回転角速度信号ω1を受け取り、回転角速度信号ω1の周波数帯域を制限した回転角速度信号ω2を生成する。決定部230は、積分部232、判定部234、および補正部236を備える。決定部230は、フィルタ部220を通過した回転角速度信号ω2と、算出部210によって算出されてフィルタ部220を通過しない回転角度信号θ1とに基づいて、回転体10の回転角度である出力回転角度信号θoutを決定する。
図4は、第1実施形態における信号処理部200の構成例を示す図である。算出部210は、外積演算部212、第1積分部214、位相補償部216、第2積分部217、および変換部218を有する。算出部210は、トラッキングループ回路であってよい。本例の算出部210は2型トラッキングループ回路である。ここで、2型とは、ループ中に2つの積分要素を有するという意味である。
外積演算部212には、検出角度θ
inの三角関数値A・sinθ
inおよびA・cosθ
inが入力される。外積演算部212は、検出角度θ
inの三角関数値と、予測三角関数値sinθ
1およびcosθ
1とを外積演算する。ここで、予測三角関数値は、トラッキングループ回路である算出部210によって算出されたθ
1を三角関数値sinθ
1およびcosθ
1に変換したものである。
外積演算結果は、追従誤差εを意味する。追従誤差εを二回積分することで予測角度である回転角度信号θ
1が算出されるので、追従誤差εは、回転角加速度を示す回転角加速度信号α
1に相当する。このように、外積演算部212は、外積演算することによって回転体10の回転角加速度である回転角加速度信号α
1を出力する。
第1積分部214は、積分器であって、外積演算部212によって算出された回転角加速度を積分して、回転体10の回転角速度を示す回転角速度信号ω1を出力する。位相補償部216は、第1積分部214の出力を受け取り、位相補償済みの回転角速度信号ω1を出力する。第2積分部217は、積分器であって、回転角速度信号ω1をさらに積分して回転角度信号θ1を算出する。
変換部218は、回転角度信号θ1を予測三角関数値sinθ1およびcosθ1に変換する。変換部218は、回転角度信号θ1を三角関数値sinθ1およびcosθ1に変換するための変換テーブルを記憶した記憶部であってよい。変換部218によって変換された予測三角関数値sinθ1およびcosθ1は、外積演算部212へ供給され、上述した外積演算に用いられる。
算出部210は、算出した回転角度信号θ1を決定部230に供給する。算出部210は、回転角度信号θ1の算出過程で得られる回転角速度信号ω1をフィルタ部220へ供給する。これに代えて、フィルタ部220へ供給する回転角速度信号ω1として、第1積分部214の出力を用いてもよい。
フィルタ部220は、算出部210より供給された回転角速度信号ω1をフィルタ処理し、信号対雑音特性を改善させる。フィルタ処理された回転角速度信号ω2は決定部230へ供給される。フィルタ部220は、低域通過特性を有してよく、算出部210の周波数帯域内における予め定められた高周波帯域の成分を除去してよい。フィルタ部220は、算出部210自身がもつ周波数特性より狭帯域なローパスフィルタ222を有してよい。
ただし、フィルタ部220が有するフィルタは、帯域制限を施すフィルタであれば、ローパスフィルタ222に限定されるものではない。なお、本明細書において、フィルタ部220は、トラッキングループ回路外で周波数帯域を制限するフィルタを意味し、トラッキングループで生じる帯域制限を含まない。
決定部230は、第1情報および第2情報の少なくとも一方に基づいて、回転体10が等速回転状態か非等速回転状態かを判定する判定部234を備える。決定部230は、判定部234の判定結果に基づいて、回転体10の回転角度を決定する。補正部236は、フィルタ部220より供給された回転角速度信号ω2と、判定部234より供給された判定結果に基づいて、回転角速度信号ω3を算出し、積分部232に供給する。
積分部232は、補正部236より供給された回転角速度信号ω3を積分する。積分部232は、回転角速度信号ω3の積分結果を検出装置100の出力回転角度信号θoutとして外部に供給する。出力回転角度信号θoutが決定部230によって決定された回転角度となる。決定部230は、決定された出力回転角度信号θoutを外部に出力するための外部とのインターフェイスであってよい。この場合、決定部230は、出力するデータのフォーマット等を、供給すべき外部の装置等の入力データのフォーマット等に変換してもよい。
さらに、積分部232は、出力回転角度信号θoutを判定部234にも供給する。判定部234は、積分部232より供給された出力回転角度信号θoutと算出部210より供給された回転角度信号θ1とを比較し、大小関係などの判定結果を補正部236に供給する。換言すれば、判定部234は、決定部230によって決定された出力回転角度信号θoutと算出部210によって算出された回転角度信号θ1とに基づいて、回転体10が等速回転状態か非等速回転状態かを判定する。本例では、出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1の差が、予め定められた閾値+θtから−θtの範囲内にあれば、判定部234は、回転体10が等速回転状態であると判定し、判定結果0を出力する。
出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値+θtより大きければ、判定部234は、判定結果1を出力する。出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値−θtより小さければ、判定部234は、判定結果2を出力する。
判定結果は補正部236へ供給される。判定部234より供給された判定結果に基づいて、補正部236は、フィルタ部220より供給された回転角速度信号ω2、または予め定められた角度補正用信号の+ωc、−ωcのいずれかを回転角速度信号ω3として積分部232に供給する。具体的には、判定結果が0の場合ω2、判定結果が1の場合−ωc、判定結果が2の場合+ωcを回転角速度信号ω3として積分部232に供給する。
このように構成される検出装置100の動作について、説明する。図5は、第1実施形態における検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。まず、回転体10は、回転して、回転磁場を発生させる(S100)。第1磁電変換部20および第2磁電変換部30は、回転体10が発生させた回転磁場を検出する(S200)。AD変換部46は、第1増幅部42が増幅した第1磁電変換部20の検知信号をデジタル信号に変換する。AD変換部48は、第2増幅部44が増幅した第2磁電変換部30の検知信号をデジタル信号に変換する。
次に、算出部210は、第1情報および第2情報を算出する(S300)。本例の算出部210は、回転角速度信号ω1を第1情報として算出し、回転角度信号θ1を第2情報として算出する。フィルタ部220は、算出部210から第1情報を受け取り、第1情報の周波数帯域を制御するフィルタ処理を施す(S400)。
決定部230は、フィルタ部220によるフィルタ処理段階を経た第1情報、およびフィルタ処理段階を経ない第2情報に基づいて回転体10の回転角度、即ち出力回転角度信号θoutを決定する(S500)。検出装置100は、回転体10の回転磁場の検出(S200)から出力回転角度信号θoutの決定(S500)の動作を、検出動作の終了まで繰り返し(S600:No)、回転角度を順次決定していく。
図6は、第1実施形態における回転角決定処理の一例を示すフローチャートである。図6は、図5のステップS500の処理内容の一例を示す。
決定部230は、フィルタ部220によるフィルタ処理段階を経た第1情報としてω2を取得し、フィルタ処理段階を経ない第2情報としてθ1を取得する。また、決定部230によって決定される出力回転角度信号θoutを取得する(ステップS510)。
判定部234が、出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1の差が、予め定められた閾値+θtから−θtの範囲内にあると判定すれば(ステップS511:Yes)、回転体10は、等速回転状態にある。補正部236は、フィルタ処理段階を経たω2をω3として積分部232に出力する(ステップS512)。したがって、本例における等速回転状態には、出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1の差が一定の範囲内にあれば、厳密に等速回転状態ではない場合も含まれてよい。
積分部232は、補正部236より供給された回転角速度信号ω3を積分して、出力回転角度信号θoutを得る。出力回転角度信号θoutが決定部230によって決定された回転角度として、外部へ出力される(ステップS513)。
ただし、フィルタ部220においてフィルタ処理された回転角速度信号ω2は群遅延をもつ。したがって回転体10の始動時およびステップ応答時など、非等速回転状態の場合、回転角速度信号ω1は交流信号となる。フィルタ部220にてフィルタ処理された回転角速度信号ω2は、フィルタ処理されていない回転角速度信号ω1に対して遅延を生じる。同時刻において、フィルタ処理された回転角速度信号ω2は、フィルタ処理されていない回転角速度信号ω1に対して遅延に起因した差異を有する。この結果、回転角速度信号ω2を積分した出力回転角度信号θoutも、フィルタ処理を経ていない回転角度信号θ1に対して遅延に起因した差異を有する。
回転体10の速度が安定し回転速度が一定になると、回転角速度信号ω1は直流信号となる。フィルタ部220にてフィルタ処理された回転角速度信号ω2は回転角速度信号ω1に対して遅延を生じる。しかし、回転体10が等速回転状態であるので、遅延時間Δtdとすると、時刻t1における回転角速度信号ω2(t1)と、時刻(t1−Δtd)における回転角速度信号ω2(t1−Δtd)とが同じである。
したがって、同時刻において、フィルタ処理された回転角速度信号ω2は、フィルタ処理されていない回転角速度信号ω1に対して遅延に起因した差異を生じない。この結果、回転角速度信号ω2を積分した出力回転角度信号θoutも、フィルタ処理を経ていない回転角度信号θ1に対して遅延に起因した差異を生じない。
本例の検出装置100によれば、上述のように、出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1の差が、予め定められた閾値+θtから−θtの範囲内にあれば(ステップS511:Yes)、フィルタ処理による遅延が無いか無視しうると考えられるので、回転体10は等速回転状態であると判定する。
回転体10が等速回転状態であれば、遅延の影響を無視できるので、フィルタ部220を通過して雑音が除去された回転角速度信号ω2を用いることができる。したがって、決定部は、回転体10が等速回転状態と判定された場合には、フィルタ部220を通過した回転体10の回転角速度信号ω2を積分して得られる回転角度信号を出力回転角度信号θoutとして決定する。
一方、出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値+θtより大きければ(ステップS514:Yes)、回転体10が非等速回転状態にあると判定される。この場合、補正部236は、負値の角度補正用信号−ωcをω3として積分部232に提供する(ステップS515)。
即ち、回転体10が非等速回転状態の場合、フィルタ処理による遅延の影響があると考えられるので、決定部230は、決定される回転体10の出力回転角度信号θoutが、算出部210によって算出された回転角度信号θ1に近づくように制御する。具体的には、出力回転角度信号θoutが回転角度信号θ1に比べて大きいので、補正部236は、出力回転角度信号θoutを小さくするように補正する。
補正部236が、負値の角度補正用信号−ωcをω3として積分部232に提供することによって(ステップS515)、−ωcを時間積分して得られる負値の角度補正分−θcが従前の出力回転角度信号θoutに足し加えられるため、出力回転角度信号θoutの値が徐々に小さくなるように制御することができる。角度補正用信号−ωcの値は、特に限定されず、あまりに大きすぎない負値となるように事前に定めておけばよい。
同様に、出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値−θtより小さければ(ステップS514:No)、回転体10が非等速回転状態にあると判定される。この場合、決定部230は、出力回転角度信号θoutが、算出部210によって算出された回転角度信号θ1に近づくように制御する。具体的には、補正部236が、正値の角度補正用信号+ωcをω3として積分部232に提供することによって、出力回転角度信号θoutの値が大きくなるように制御する。
なお、回転角速度信号ω2と角度補正用信号の+ωcおよび−ωcの加減算信号、即ち(ω2+ωc)および(ω2−ωc)を回転速度信号ω3として積分部232に供給してもよい。また、判定結果と角度補正用信号に一定の関係性が保たれていれば、閾値θtおよび角度補正用信号ωcは複数の組み合わせを有してもよい。なお、ωcは定数だけでなく、ω2やω1を演算したもの、ω2やω1の関数であってもよい。
以上のように、本件の検出装置100は、トラッキングループを有する算出部210によって算出した回転角度信号θ1と、決定部230によって決定された出力回転角度信号θoutとの差から、回転体10が等速回転状態にあるか判定している。回転体10が等速回転状態にあれば、群遅延の影響を無視できることを考慮して、フィルタ部220を通過して雑音が除去された回転角速度信号ω2を積分した出力回転角θoutを出力している。以下、この点に説明する。
図7は、算出部210によって算出された理想的な回転角度信号θ
1の算出例を示す図である。図7は、回転体10が等速回転している状態であって、検出装置100内の算出部210がデジタル演算器である場合の動作を示す。回転角度θ
inは、回転角速度ω
inで等速回転する回転体10の回転角度を示す。回転角度θ
inは、一定の傾きω
inをもって時間tにしたがって増加する直線で表される。一方、算出部210では、回転角速度信号ω
1を一定の角度演算周期T
Sの間隔で積分し、小数部を切り捨て量子化することで次式のように、回転角度を示す回転角度信号θ
1を出力する。角度演算周期T
Sは、サンプリング周期を示す。mは整数を示す。
理想的な場合、ω
1はω
inに等しく、かつ一定である。参考のために、ω
1が時間によって変わらないことを図7の鎖線で示す。ω
1がω
inに等しいので、回転体10の回転角度θ
inに対して、回転角度信号θ
1の誤差は、量子化誤差程度である。また、理想的な場合、算出される出力回転角度がインクリメントされる角度更新周期Tは、次式で示される。なお、角度更新周期Tは、図7の右軸に示される回転角度を示す回転角度信号θ
1が+1、又は−1される時間間隔を意味する。次式からわかるように、角度更新周期Tは、一定である。ここで、mは整数を示す。Tは角度更新周期を示す。ω
inは、回転体10の回転角速度であり、Tsは角度演算周期であり、ω
1は、トラッキングループを有する算出部210によって算出される回転角速度である。
しかしながら、現実的には、検出装置100は、雑音成分を生じさせる。具体的には、検出装置100内の雑音成分には、第1磁電変換部20、第2磁電変換部30、第1増幅部42、第2増幅部44、AD変換部46、AD変換部48、および算出部210自身の雑音成分が含まれる。
図8は、算出部210によって算出された回転角度信号θ1が雑音成分を含む場合の一例を示す図である。検出装置100内の雑音成分により、算出部210の演算過程で得られる回転角速度信号ω1も雑音成分を持つ。したがって、一定のサンプリング周期、即ち、一定の角度演算周期TSの間隔で積分される回転角速度信号ω1は一定でない。参考のために、ω1がサンプリング周期ごとに一定ではないことを図8の鎖線で示す。
ω1が雑音成分によって変動するので、上記の数式4で得られる回転角度信号θ1も雑音成分による変動の影響を受ける。この結果、回転体10の回転角度θinに対する回転角度信号θ1の誤差は、量子化誤差以上の誤差を持ってしまう。また、算出された回転角度を示す回転角度信号θ1がインクリメントされる角度更新周期Tも時間軸に対して一定とはならず、非等間隔になる。
算出部210による算出結果である回転角度信号θ1をnビットのデータの下位2ビットを使って、A相パルスとB相パルスを生成する場合を説明する。A相パルスおよびB相パルスは、ロータリーエンコーダなどでよく用いられるAB相インクリメンタル方式として出力されるものである。図9は、算出部210によって算出された回転角度信号θ1と、A相B相パルスを示す図である。A相パルスは、回転角度信号θ1のビット1のデータとして与えられ、B相パルスは、回転角度信号θ1のビット1のデータとビット0のデータの排他的論理和として与えられる。
参考のために、図9には、算出部210によって算出された角速度信号ω
1の積分波形を模式的に示している。角速度信号ω
1の積分波形が雑音成分を含むため、角速度信号ω
1の積分波形を量子化したθ
1も雑音の影響を受け、その結果、角度更新周期Tが時間軸に対して一定とならない。したがって、角度更新周期Tに依拠するA相パルスおよびB相パルスも影響を受ける。具体的には、次式からわかるように、検出装置100内の雑音成分による影響は、周期ジッタΔTとして現れる。なお、Δωが回転角速度信号ω
1の雑音成分である。
本例の検出装置100では、図8および図9に示したようなθ1を出力する場合とは異なり、フィルタ部220を通過させて雑音成分を軽減した回転角速度信号ω2を用いて算出された出力回転角度信号θoutを用いることができる。
図10は、決定部230によって決定された出力回転角度信号θoutと、A相B相パルスを示す図である。図10には、参考のために、フィルタ部220を通過した角速度信号ω2の積分波形、即ち出力回転角度信号θoutを模式的に示している。
本例の検出装置100では、帯域制限を生じさせるトラッキングループを構成する算出部210自身が持つ周波数特性より狭帯域なローパスフィルタ222を用いる場合、回転角速度信号ω1の雑音成分、つまり、上記の数式7および数式8のΔω成分がより一層抑制される。これにより、決定部230において、低雑音化された回転角速度信号ω2を積分して角度演算することで周期ジッタΔTを低減することができる。
以上の本例の検出装置100によれば、回転体10が回転始動時など非等速回転状態の場合、出力回転角度信号θoutは遅延のない回転角度信号θ1に追従するように出力することができる。速度が安定して等速回転状態になると、遅延がなく、かつ雑音が除去された回転角度信号θoutを出力することができる。したがって、回転体10の回転情報検出精度が検出装置100内の雑音成分によって劣化することを抑制することができる。
本例の検出装置100によれば、アナログ・フロントエンド回路などを追加する場合に比べてチップサイズや消費電流の増加を招かない。また、単にトラッキングループフィルタである算出部210の帯域を狭域化する場合には、2型トラッキングループの性質上、ステップ応答時間が増加し、角加速度入力時の角度誤差が増加するが、本例の検出装置100によれば、ステップ応答時や角加速度入力時には、出力回転角度信号θoutを回転角度信号θ1に近づけるように制御できるので、ステップ応答時間の増加および角度誤差の増加を抑制できる。
また、単にトラッキングループフィルタである算出部210による減衰率を高める場合には、トラッキングループフィルタの帯域内でのノイズが支配的な場合には効果が少なく、また、位相余裕などの安定性が劣化するおそれがある。しかし、本例の検出装置100では、オープンループのフィルタ部220が追加されるので、安定性に影響がない。また、フィルタ部220の仕様次第で帯域制限および高減衰特性が可能となる。さらに、本例の検出装置100によれば、回転体10の回転状態によらず継続的にフィルタ部220を用いる場合と異なり、群遅延の増加による即応性の劣化を防止できる。
図11は、第2実施形態における信号処理部200の概要を示す図である。本例では、第1情報は、回転体10の回転体角加速度を示すα1であり、第2情報は、回転体10の回転体角度を示す回転体角度信号θ1である。また、決定部240の構成が第1実施形態の場合と異なる。これらの点を除いて、第2実施形態の検出装置100は、第1実施形態の場合と同様なので、繰り返しの説明を省略する。また、同様の構成には、同じ符号を用いる。なお、第1磁電変換部20、第2磁電変換部30、および入力部40は、第1実施形態と同様であるので図示していない。
算出部210によるθ1の算出過程は第1実施形態の場合と同様である。ただし、本例の算出部210は、算出過程で得られる回転角加速度を示す回転角加速度信号α1を第1情報としてフィルタ部220へ供給する。
フィルタ部220は、算出部210から第1情報として回転角加速度信号α1を受け取り、回転角加速度信号α1の周波数帯域を制限した回転角加速度信号α2を生成する。決定部240は、二回積分部242、判定部244、および補正部246を備える。決定部240は、フィルタ部220を通過した回転角加速度信号α2と、算出部210によって算出されてフィルタ部220を通過しない回転角度信号θ1とに基づいて、回転体10の回転角度信号θoutを決定する。
図12は、第2実施形態における信号処理部200の構成例を示す図である。算出部210は、トラッキングループ回路であってよく、外積演算部212、第1積分部214、位相補償部216、第2積分部217、および変換部218を有してよい。算出部210は、回転角度信号θ1の算出過程で得られる回転角加速度信号α1をフィルタ部220へ供給する。フィルタ部220は、算出部210より供給された回転角加速度信号α1をフィルタ処理し、信号対雑音特性を改善させる。
決定部240は、判定部244の判定結果に基づいて、回転体10の回転角度を決定する。補正部246は、フィルタ部220より供給された回転角加速度信号α2と、判定部244より供給された判定結果に基づいて、回転角加速度信号α3を算出し、二回積分部242に供給する。
二回積分部242は、二次(二回)の積分器から構成されている。二回積分部242は、補正部246より供給された回転角加速度信号α3を二回積分する。二回積分部242は、回転角加速度信号α3の二回積分結果を検出装置100の出力回転角度信号θoutとして外部に供給する。さらに、二回積分部242は、出力回転角度信号θoutを判定部244にも供給する。判定部244の構成は、第1実施形態における判定部234と同じであってよい。
判定部244は、判定結果を補正部246へ供給する。判定部244より供給された判定結果に基づいて、補正部246は、フィルタ部220より供給された回転角加速度信号α2、または予め定められた角度補正用信号の+αc、−αcのいずれかを回転角加速度信号α3として二回積分部242に供給する。具体的には、判定結果が0の場合α2、判定結果が1の場合−αc、判定結果が2の場合+αcを回転角加速度信号α3として二回積分部242に供給する。なお、判定結果0、1、2の意味は、第1実施形態の場合と同様である。
このように構成される検出装置100の動作について説明する。本例の検出装置100の動作は、図5に示される第1実施形態におけるフローチャートにおいて、第1情報が回転角速度信号ω1ではなく回転角加速度信号α1であることを除いて、ステップS100からステップS400、およびステップS600に示される動作については同様である。したがって、これらの動作の説明は省略する。
図13は、第2実施形態における回転角決定処理の一例を示すフローチャートである。図13は、図5のステップS500の処理内容の一例を示す。
決定部240は、フィルタ部220によるフィルタ処理段階を経た第1情報としてα2を取得し、フィルタ処理段階を経ない第2情報としてθ1を取得する。また、決定部240によって決定される出力回転角度信号θoutを取得する(ステップS520)。
判定部244が、出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1の差が、予め定められた閾値+θtから−θtの範囲内にあると判定すれば(ステップS521:Yes)、補正部246は、フィルタ処理段階を経たα2をα3として二回積分部242に出力する(ステップS522)。二回積分部242は、補正部246より供給された回転角加速度信号α3を二回積分して、出力回転角度信号θoutを得る。出力回転角度信号θoutが決定部240によって決定された回転角度として、外部へ出力される(ステップS523)。
フィルタ部220においてフィルタ処理された回転角加速度信号α2は群遅延をもつ。したがって回転体10の始動時およびステップ応答時など、回転角加速度が一定ではないとき、回転角加速度信号α1は交流信号となる。フィルタ部220にてフィルタ処理された回転角加速度信号α2は、フィルタ処理されていない回転角加速度信号α1に対して遅延を生じる。
同時刻において、フィルタ処理された回転角加速度信号α2は、フィルタ処理されていない回転角加速度信号α1に対して遅延に起因した差異が生じる。この結果、回転角加速度信号α2を二回積分した出力回転角度信号θoutも、フィルタ処理を経ていない回転角度信号θ1に対して遅延に起因した差異を有する。
回転体10の速度が安定し回転速度が一定になると、回転角加速度信号α1は直流信号(ゼロ)となる。フィルタ部220にてフィルタ処理された回転角加速度信号α2は回転角加速度信号α1に対して遅延を生じるが、同時刻において、フィルタ処理された回転角加速度信号α2は、フィルタ処理されていない回転角加速度信号α1に対して遅延に起因した差異を生じない。この結果、回転角加速度信号α2を二回積分した出力回転角度信号θoutも、フィルタ処理を経ていない回転角度信号θ1に対して遅延に起因した差異を生じない。
本例の検出装置100によれば、出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1の差が、予め定められた閾値+θtから−θtの範囲内にあれば(ステップS521:Yes)、回転体10の速度が安定し回転速度が一定になったと判断する。この場合、フィルタ処理による遅延が無いか無視しうると考えられるので、フィルタ部220を通過して雑音が除去された回転角加速度信号α2を用いることができる。したがって、決定部は、回転体10が等速回転状態と判定された場合には、フィルタ部220を通過した回転体10の回転角加速度信号α2を二回積分して得られる回転角度信号を出力回転角度信号θoutとして決定する。
一方、出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値+θtより大きければ(ステップS524:Yes)、回転体10の速度が安定し回転速度が一定になっていないと判定される。正確には、回転体10は、非等加速度回転状態にあると判断される。回転体10が非等加速度回転状態であれば、もちろん、回転体10は非等速回転状態である。この場合、補正部246は、負値の角度補正用信号−αcをα3として二回積分部242に提供する(ステップS525)。
即ち、回転体10が非等加速度回転状態の場合、フィルタ処理による遅延の影響があると考えられるので、決定部240は、決定される回転体10の出力回転角度信号θoutが、算出部210によって算出された回転角度信号θ1に近づくように制御する。具体的には、出力回転角度信号θoutが回転角度信号θ1に比べて大きいので、補正部236は、出力回転角度信号θoutを小さくするように補正する。
補正部236が、負値の角度補正用信号−αcをα3として二回積分部242に提供することによって(ステップS525)、−αcを二回時間積分して得られる負値の角度補正分−θcが従前の出力回転角度信号θoutに足し加えられるため、出力回転角度信号θoutの値が徐々に小さくなるように制御することができる。
同様に、出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値−θtより小さければ(ステップS524:No)、回転体10が非等加速度回転状態にあると判定される。この場合、決定部240は、出力回転角度信号θoutが、算出部210によって算出された回転角度信号θ1に近づくように制御する。具体的には、補正部236が、正値の角度補正用信号+αcをα3として二回積分部242に提供することによって、出力回転角度信号θoutの値が大きくなるように制御する。
本例によれば、回転体10が非等加速回転状態の場合、出力回転角度信号θoutは回転角度信号θ1に追従するように出力される。速度が安定して等速回転状態になると、遅延がなく、かつ雑音が除去された回転角度信号θoutを出力することができる。
図14は、第3実施形態における信号処理部200の概要を示す図である。本例では、第1情報は、回転体10の回転体角速度を示すω1であり、第2情報は、回転体10の回転体角度を示す回転体角度信号θ1と回転体角加速度を示す回転体角加速度信号α1である。また、決定部250が有する判定部254の構成が第1実施形態の場合と異なる。これらの点を除いて、第3実施形態の検出装置100は、第1実施形態の場合と同様なので、繰り返しの説明を省略する。また、同様の構成には、同じ符号を用いる。なお、第1磁電変換部20、第2磁電変換部30、および入力部40は、第1実施形態と同様であるので図示していない。
算出部210によるθ1の算出過程は第1実施形態の場合と同様である。本例の算出部210は、算出過程で得られる回転角速度を示す回転角速度信号ω1を第1情報としてフィルタ部220へ供給する。また、算出部210における算出過程で得られる回転角加速度信号α1は決定部250へ供給される。
フィルタ部220は、算出部210から第1情報として回転角速度信号ω1を受け取る。フィルタ部220は、回転角速度信号ω1の周波数帯域を制限した回転角速度信号ω2を生成する。決定部250は、積分部252、判定部254、および補正部256を備える。決定部250は、フィルタ部220を通過した回転角速度信号ω2と、算出部210によって算出されてフィルタ部220を通過しない回転角度信号θ1および回転角加速度信号α1とに基づいて、回転体10の回転角度である出力角度信号θoutを決定する。
図15は、第3実施形態における信号処理部200の構成例を示す図である。判定部254は、算出部210によって算出された回転角加速度信号α1と、算出部210によって算出された回転角度信号θ1と、決定部250によって決定された出力回転角度信号θoutとに基づいて、回転体10が等速回転状態か非等速回転状態かを判定する。判定部254は、出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1との差が、予め定められた範囲内であり、かつ回転角加速度信号α1の絶対値が所定の閾値以下であれば、回転体10が等速回転状態であると判定する。
判定部254は、判定結果を補正部256へ供給する。判定部254より供給された判定結果に基づいて、補正部256は、フィルタ部220より供給された回転角速度信号ω2、または予め定められた角度補正用信号の+ωc、−ωcのいずれかを回転角速度信号ω3として積分部252に供給する。
このように構成される検出装置100の動作について説明する。本例の検出装置100の動作は、図5に示される第1実施形態におけるフローチャートにおいて、第2情報が回転体角度信号θ1のみならず回転体角加速度信号α1を含むことを除いて、ステップS100からステップS400、およびステップS600に示される動作については同様である。したがって、これらの動作の説明は省略する。
図16は、第3実施形態における回転角決定処理の一例を示すフローチャートである。図16は、図5のステップS500の処理内容の一例を示す。
決定部250は、フィルタ部220によるフィルタ処理段階を経た第1情報としてω2を取得し、フィルタ処理段階を経ない第2情報としてα1およびθ1を取得する。また、決定部250によって決定される出力回転角度信号θoutを取得する(ステップS530)。
出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1の差が、予め定められた閾値+θtから−θtの範囲内にあり(ステップS531:Yes)、かつα1の絶対値があらかじめ定められた閾値αt以内であれば(ステップS532:Yes)、判定部254は判定結果0を出力する。この結果を受けて、補正部256は、フィルタ処理段階を経たω2をω3として積分部252に出力する(ステップS533)。
一方、出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値+θtより大きい場合(ステップS535:Yes)、または、α1の絶対値が予め定められた閾値αtより大きく(ステップS532:No)かつ出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が正である場合(ステップS536:Yes)には、判定部254は判定結果1を出力する。この結果を受けて補正部256は、負値の角度補正用信号−ωcをω3として積分部252に提供する(ステップS537)。
同様に、出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値−θtより小さい場合(ステップS535:No)、または、α1の絶対値が予め定められた閾値αtより大きく(ステップS532:No)かつ出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が負である場合(ステップS536:No)には、判定部254は判定結果2を出力する。この結果を受けて補正部256は、正値の角度補正用信号+ωcをω3として積分部252に提供する(ステップS538)。
積分部252は、補正部256より供給された回転角速度信号ω3を積分して、出力回転角度信号θoutを得る。出力回転角度信号θoutが決定部250によって決定された回転角度として、外部へ出力される(ステップS534)。
本例の検出装置100によれば、回転角加速度信号α1の絶対値が閾値より大きくて回転体10が非等速回転状態と推定される場合、出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1の差が一定の閾値θt以内であるか否かにかかわらず、回転体10が非等速回転状態と判定される。その結果、決定部250は、決定される回転体10の出力回転角度信号θoutが、算出部210によって算出された回転角度信号θ1に近づくように制御する。したがって、第1および第2実施形態に比べて非等速回転状態でのθ1への追従性をさらに改善することができる。
図17は、第4実施形態における信号処理部200の構成例を示す図である。本例の検出装置100では、フィルタ部220へ提供される第1情報は、図12に示す第2実施形態と同様に算出部210で算出された回転角加速度信号α1である一方、判定部264での処理は、図14および図15に示す第3実施形態の場合と同様である。即ち、第2情報は、回転体10の回転体角度を示す回転体角度信号θ1と回転体角加速度を示す回転体角加速度信号α1である。したがって、回転体角加速度信号α1は、第1情報と第2情報とを兼ねる。その他の構成は、第1から第3実施形態の場合と同様であるので、繰り返しの説明を省略する。
図18は、第4実施形態における回転角決定処理の一例を示すフローチャートである。図18は、図5のステップS500の処理内容の一例を示す。なお、図5におけるステップS100からステップS400、およびステップS600に示される動作についての説明は省略する。
決定部260は、フィルタ部220によるフィルタ処理段階を経た第1情報としてα2を取得し、フィルタ処理段階を経ない第2情報としてα1およびθ1を取得する。また、決定部260によって決定される出力回転角度信号θoutを取得する(ステップS540)。
出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1の差が、予め定められた閾値+θtから−θtの範囲内にあり(ステップS541:Yes)、かつα1の絶対値があらかじめ定められた閾値αt以内であれば(ステップS542:Yes)、判定部264は判定結果0を出力する。この結果を受けて、補正部266は、フィルタ処理段階を経たα2をα3として二回積分部262に出力する(ステップS543)。
一方、出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値+θtより大きい場合(ステップS545:Yes)、または、α1の絶対値が予め定められた閾値αtより大きく(ステップS542:No)かつ出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が正である場合(ステップS546:Yes)には、判定部264は判定結果1を出力する。この結果を受けて補正部266は、負値の角度補正用信号−αcをα3として二回積分部262に提供する(ステップS547)。
同様に、出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値−θtより小さい場合(ステップS545:No)、または、α1の絶対値が予め定められた閾値αtより大きく(ステップS542:No)かつ出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が負である場合(ステップS546:No)には、判定部264は判定結果2を出力する。この結果を受けて補正部266は、正値の角度補正用信号+αcをα3として二回積分部262に提供する(ステップS548)。
二回積分部262は、補正部266より供給された回転角加速度信号α3を二回積分して、出力回転角度信号θoutを得る。出力回転角度信号θoutが決定部260によって決定された回転角度として、外部へ出力される(ステップS564)。以上のような本例の検出装置100によれば、第3実施形態と同様に、第1および第2実施形態に比べて非等速回転状態でのθ1への追従性をさらに改善することができる。
図19は、第5実施形態における信号処理部200の構成例を示す図である。本例の検出装置100では、フィルタ部220へ提供される第1情報は、算出部210で算出された回転角加速度信号α1である。一方、決定部270へ提供される第2情報も、回転角加速度信号α1である。したがって、回転体角加速度信号α1は、第1情報と第2情報とを兼ねる。
本例の判定部274が、図15に示される第4実施形態の判定部264に比べて簡略化されている点を除いて、本例の検出装置100の他の構成は第4実施形態の場合と同様である。したがって、繰り返しの説明を省略する。本例の判定部264は、フィルタ部220によるフィルタ処理段階を経ていない回転角加速度信号α1に基づいて、回転体10が等速回転状態にあるか否かを判定する。回転体10が等速回転状態にある場合の制御、および回転体10が非等速回転状態にある場合の制御は、第1から第3実施形態の場合と同様である。
図20は、第5実施形態における回転角決定処理の一例を示すフローチャートである図20は、図5のステップS500の処理内容の一例を示す。なお、図5におけるステップS100からステップS400、およびステップS600に示される動作についての説明は省略する。
決定部270は、フィルタ部220によるフィルタ処理段階を経た第1情報としてα2を取得し、フィルタ処理段階を経ない第2情報としてα1を取得する(ステップS550)。回転角加速度信号α1が予め定められた閾値+αtから−αtの範囲内にあれば(ステップS551:Yes)、判定部274は、判定結果0を出力する。この結果を受けて、補正部276は、フィルタ処理段階を経たα2をα3として二回積分部272に出力する(ステップS552)。
一方、回転角加速度信号α1が予め定められた閾値−αtより小さい場合には(ステップS554:Yes)、判定部274は判定結果1を出力する。この結果を受けて補正部276は、負値の角度補正用信号−αcをα3として二回積分部272に提供する(ステップS555)。同様に、回転角加速度信号α1が予め定められた閾値+αtより大きい場合には(ステップS554:No)、判定部274は判定結果2を出力する。この結果を受けて補正部276は、正値の角度補正用信号+αcをα3として二回積分部272に提供する(ステップS556)。
二回積分部272は、補正部276より供給された回転角加速度信号α3を二回積分して、出力回転角度信号θoutを得る。出力回転角度信号θoutが決定部270によって決定された回転角度として、外部へ出力される(ステップS553)。
本例の検出装置100によっても、出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1を直接監視する場合と比べて追従性は劣るものの、回転体10が等加速度回転状態および等速回転状態にあると判定された場合には、フィルタ処理によって雑音が低減することができる。なお、本例では、第1情報として回転角加速度信号α1を用いる場合を説明したが、この場合に限られず、第1実施形態のように第1情報として回転角速度信号ω1用いる場合であっても、本例の判定部274による処理を適用することもできる。
図21は、第6実施形態における信号処理部200の構成例を示す図である。本例の検出装置100では、フィルタ部220へ提供される第1情報は、算出部210で算出された回転角速度信号ω1である。一方、決定部280へ提供される第2情報は、算出部210で算出された回転角度信号θ1である。本例の検出装置100の構成は、決定部280を除き、図4に示される第1実施形態の場合と同様である。したがって、詳しい説明を省略する。
本例の決定部280は、積分部282、判定部284、および補正部286を備える。積分部282は、フィルタ部220に接続されている。積分部282は、フィルタ部220より供給された回転角速度信号ω2を積分して回転角度信号θ2を得る。積分部282は、積分結果である回転角度信号θ2を補正部286に出力する。
補正部286は、積分部282より供給された回転角度信号θ2と、判定部284より供給された判定結果に基づいて、出力回転角度信号θoutを算出する。出力回転角度信号θoutが決定部280によって決定された回転角度として外部に出力される。上述した第1から第5実施形態では、回転角速度信号ω3または回転角加速度信号α3が補正されていたのに対し、本例の検出装置100の補正部286は、回転角度である出力回転角度信号θoutを補正する。
さらに、補正部286は、出力回転角度信号θoutを判定部284にも供給する。判定部284は、補正部286より供給された出力回転角度信号θoutと算出部210より供給された回転角度信号θ1とを比較し、大小関係などの判定結果を補正部286に供給する。判定部284から補正部286へ供給される判定結果の内容については、第1実施形態の場合と同様である。
判定部284より供給された判定結果に基づいて、補正部286は、積分部282より供給された回転角度信号θ2、または予め定められた角度補正用信号θcを回転角度信号θoutに加算または減算した「θout+θc」または「θout−θc」のいずれかを出力回転角度信号θoutとして外部に出力する。
図22は、第6実施形態における回転角決定処理の一例を示すフローチャートである。図22は、図5のステップS500の処理内容の一例を示す。なお、図5におけるステップS100からステップS400、およびステップS600に示される動作についての説明は省略する。
決定部280は、フィルタ部220によるフィルタ処理段階を経た第1情報としてω2を取得し、フィルタ処理段階を経ない第2情報としてθ1を取得する。また、決定部280によって決定される出力回転角度信号θoutを取得する(ステップS560)。
積分部282は、フィルタ処理段階を経たω2を積分して回転角度信号θ2を算出し、補正部286に提供する(ステップS561)。判定部284が、出力回転角度信号θoutと回転角度信号θ1の差が、予め定められた閾値+θtから−θtの範囲内にあると判定すれば(ステップS562:Yes)、回転体10は、等速回転状態にある。補正部286は、フィルタ処理段階を経たω2を積分して得られたθ2を出力回転角度信号θoutとして決定する(ステップS563)。
一方、出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値+θtより大きければ(ステップS564:Yes)、回転体10が非等速回転状態にあると判定される。この場合、補正部286は、θout−θcを出力回転角度信号θoutとして決定する(ステップS565)。即ち、回転体10が非等速回転状態の場合、フィルタ処理による遅延の影響があると考えられるので、決定部280は、決定される回転体10の出力回転角度信号θoutが、算出部210によって算出された回転角度信号θ1に近づくように制御する。
同様に、出力回転角度信号θoutから回転角度信号θ1を差し引いた値が、予め定められた閾値−θtより小さければ(ステップS564:No)、回転体10が非等速回転状態にあると判定される。この場合、決定部280は、出力回転角度信号θoutが、算出部210によって算出された回転角度信号θ1に近づくように制御する。具体的には、補正部286が、θout+θcを出力回転角度信号θoutとして決定する(ステップS566)。
以上の本例の検出装置100によれば、回転体10が回転始動時など非等速回転状態の場合、遅延のない回転角度信号θ1に追従するように出力回転角度信号θoutを決定できる。一方で、速度が安定して等速回転状態になると、遅延がなく、かつ雑音が除去された回転角度信号θoutを出力することができる。したがって、回転体10の回転情報検出精度が検出装置100内の雑音成分によって劣化することを抑制することができる。
図23は、第7実施形態における信号処理部200の構成例を示す図である。本例の検出装置100では、フィルタ部220へ提供される第1情報は、算出部210で算出された回転角加速度信号α1である。一方、決定部290へ提供される第2情報は、算出部210で算出された回転角度信号θ1である。本例の検出装置100の構成は、決定部290を除き、図12に示される第2実施形態の場合と同様である。したがって、詳しい説明を省略する。
本例の決定部290は、二回積分部292、判定部294、および補正部296を備える。二回積分部292は、フィルタ部220に接続されている。二回積分部292は、フィルタ部220より供給された回転角加速度信号α2を二回積分して回転角度信号θ2を得る。二回積分部292は、積分結果である回転角度信号θ2を補正部296に出力する。
補正部296は、二回積分部292より供給された回転角度信号θ2と、判定部294より供給された判定結果に基づいて、出力回転角度信号θoutを算出する。出力回転角度信号θoutが決定部290によって決定された回転角度として外部に出力される。補正部296および判定部294の具体的な構成は、第6実施形態の場合と同様である。
図24は、第7実施形態における回転角決定処理の一例を示すフローチャートである。図24は、図5のステップS500の処理内容の一例を示す。なお、図5におけるステップS100からステップS400、およびステップS600に示される動作についての説明は省略する。
決定部290は、フィルタ部220によるフィルタ処理段階を経た第1情報としてα2を取得し、フィルタ処理段階を経ない第2情報としてθ1を取得する。また、決定部290によって決定される出力回転角度信号θoutを取得する(ステップS570)。
二回積分部292は、フィルタ処理段階を経たα2を二回積分して回転角度信号θ2を算出し、補正部296に提供する(ステップS571)。ステップS572からステップS576の処理は、第6実施形態の場合と同様である。
以上の本例の検出装置100によれば、回転体10が回転始動時など非等速回転状態の場合、出力回転角度信号θoutは遅延のない回転角度信号θ1に追従するように出力することができる。一方で、速度が安定して等速回転状態になると、遅延がなく、かつ雑音が除去された回転角度信号θoutを出力することができる。
以上のように第1から第7実施形態について説明したが、種々の変更が可能である。たとえば、回転角度を測定する手段として、レゾルバおよびレゾルバデジタル変換部を用いてもよい。
図25は、レゾルバ300を用いた場合の変形例における検出装置の概略を示す図である。検出装置150は、レゾルバ300、レゾルバデジタル変換部350、および信号処理部400を備える。レゾルバ300は、ローターコイル310とステーターコイル320を有する。信号処理部400は、算出部410、フィルタ部420、決定部430を備える。信号処理部400の処理は、上記の第1から第7実施形態で説明した信号処理部200と同様である。
ローターコイル310に励磁電流を流した時に、ローターコイル310とステーターコイル320との間の相対的な回転角度に応じてステーターコイル320に誘起する電圧をレゾルバデジタル変換部350で信号変換することによって回転角度のデジタル信号を得てよい。この場合、励磁電流が流されて磁場を発生しつつ、ステーターコイル320に対して相対的に角度を変化させるローターコイル310は、本明細書における回転体の一例といえる。また、ステーターコイル320は、磁電変換部の一例といえる。複数のステーターコイル320が、互いに位相の異なる波形を検出するように設けられてよい。
逆に、ステーターコイル320に励磁電流を流した時に、ローターコイル310とステーターコイル320との間の相対的な回転角度に応じてローターコイル310に誘起する電圧をレゾルバデジタル変換部350で信号変換することによって回転角度のデジタル信号を得てもよい。この場合、励磁電流が流されて磁場を発生しつつ、ローターコイル310に対して相対的に角度を変化させるステーターコイル320は、本明細書における回転体の一例といえる。また、ローターコイル310は、磁電変換部の一例といえる。複数のローターコイル310が、互いに位相の異なる波形を検出するように設けられてよい。
第1から第7実施形態において説明した算出部210は、算出過程において回転角速度値、または回転角加速度値を得る演算器であればよく、2型トラッキングループに代えて3型トラッキングループを用いてもよく、また、これに代えて2重位相同期ループを用いてもよい。
また、第1から第7実施形態に係る第1磁電変換部20および第2磁電変換部30は、正弦波状および余弦波状に変動する磁場が印加されるように、平面視において回転体10の円周に重なるように配置される例を説明した。これに代えて、第1磁電変換部20および第2磁電変換部30は、特開2002−71381号公報に記載のように、磁場コンセントレータとして既知の配置であってもよい。第1から第7実施形態においては、決定部230等が回転体10の回転角度を決定する場合を説明したが、検出装置100は、この場合に限られず、決定部230等が、回転体10の回転角度、回転角速度、および回転角加速度のうち少なくともいずれかの回転情報を決定してよい。
図26は、本実施形態に係る検出装置100として機能するコンピュータ1900のハードウェア構成の一例を示す。本実施形態に係るコンピュータ1900は、ホスト・コントローラ2082により相互に接続されるCPU2000、RAM2020、グラフィック・コントローラ2075、および表示装置2080を有するCPU周辺部と、入出力コントローラ2084によりホスト・コントローラ2082に接続される通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、およびDVDドライブ2060を有する入出力部と、入出力コントローラ2084に接続されるROM2010、フレキシブルディスク・ドライブ2050、および入出力チップ2070を有するレガシー入出力部と、を備える。
ホスト・コントローラ2082は、RAM2020と、高い転送レートでRAM2020をアクセスするCPU2000およびグラフィック・コントローラ2075とを接続する。CPU2000は、ROM2010およびRAM2020に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等がRAM2020内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得し、表示装置2080上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ2075は、CPU2000等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
入出力コントローラ2084は、ホスト・コントローラ2082と、比較的高速な入出力装置である通信インターフェイス2030、ハードディスクドライブ2040、DVDドライブ2060を接続する。通信インターフェイス2030は、ネットワークを介して他の装置と通信する。ハードディスクドライブ2040は、コンピュータ1900内のCPU2000が使用するプログラムおよびデータを格納する。DVDドライブ2060は、DVD−ROM2095からプログラムまたはデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。
また、入出力コントローラ2084には、ROM2010と、フレキシブルディスク・ドライブ2050、および入出力チップ2070の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM2010は、コンピュータ1900が起動時に実行するブート・プログラム、および/または、コンピュータ1900のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ2050は、フレキシブルディスク2090からプログラムまたはデータを読み取り、RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供する。入出力チップ2070は、フレキシブルディスク・ドライブ2050を入出力コントローラ2084へと接続すると共に、例えばパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を入出力コントローラ2084へと接続する。
RAM2020を介してハードディスクドライブ2040に提供されるプログラムは、フレキシブルディスク2090、DVD−ROM2095、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。プログラムは、記録媒体から読み出され、RAM2020を介してコンピュータ1900内のハードディスクドライブ2040にインストールされ、CPU2000において実行される。
プログラムは、コンピュータ1900にインストールされ、コンピュータ1900を算出部210、フィルタ部220、決定部230、決定部240、決定部250、決定部260、決定部270、決定部280、および決定部290として機能させる。
プログラムに記述された情報処理は、コンピュータ1900に読込まれることにより、ソフトウェアと上述した各種のハードウェア資源とが協働した具体的手段である算出部210、フィルタ部220、決定部230、決定部240、決定部250、決定部260、決定部270、決定部280、および決定部290として機能する。そして、この具体的手段によって、本実施形態におけるコンピュータ1900の使用目的に応じた情報の演算または加工を実現することにより、使用目的に応じた特有の検出装置100が構築される。
一例として、コンピュータ1900と外部の装置等との間で通信を行う場合には、CPU2000は、RAM2020上にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理内容に基づいて、通信インターフェイス2030に対して通信処理を指示する。通信インターフェイス2030は、CPU2000の制御を受けて、RAM2020、ハードディスクドライブ2040、フレキシブルディスク2090、またはDVD−ROM2095等の記憶装置上に設けた送信バッファ領域等に記憶された送信データを読み出してネットワークへと送信し、もしくは、ネットワークから受信した受信データを記憶装置上に設けた受信バッファ領域等へと書き込む。このように、通信インターフェイス2030は、DMA(ダイレクト・メモリ・アクセス)方式により記憶装置との間で送受信データを転送してもよく、これに代えて、CPU2000が転送元の記憶装置または通信インターフェイス2030からデータを読み出し、転送先の通信インターフェイス2030または記憶装置へとデータを書き込むことにより送受信データを転送してもよい。
また、CPU2000は、ハードディスクドライブ2040、DVDドライブ2060(DVD−ROM2095)、フレキシブルディスク・ドライブ2050(フレキシブルディスク2090)等の外部記憶装置に格納されたファイルまたはデータベース等の中から、全部または必要な部分をDMA転送等によりRAM2020へと読み込ませ、RAM2020上のデータに対して各種の処理を行う。そして、CPU2000は、処理を終えたデータを、DMA転送等により外部記憶装置へと書き戻す。このような処理において、RAM2020は、外部記憶装置の内容を一時的に保持するものとみなせるから、本実施形態においてはRAM2020および外部記憶装置等をメモリ、記憶部、または記憶装置等と総称する。本実施形態における各種のプログラム、データ、テーブル、データベース等の各種の情報は、このような記憶装置上に格納されて、情報処理の対象となる。なお、CPU2000は、RAM2020の一部をキャッシュメモリに保持し、キャッシュメモリ上で読み書きを行うこともできる。このような形態においても、キャッシュメモリはRAM2020の機能の一部を担うから、本実施形態においては、区別して示す場合を除き、キャッシュメモリもRAM2020、メモリ、および/または記憶装置に含まれるものとする。
また、CPU2000は、RAM2020から読み出したデータに対して、プログラムの命令列により指定された、本実施形態中に記載した各種の演算、情報の加工、条件判断、情報の検索・置換等を含む各種の処理を行い、RAM2020へと書き戻す。例えば、CPU2000は、条件判断を行う場合においては、本実施形態において示した各種の変数が、他の変数または定数と比較して、大きい、小さい、以上、以下、等しい等の条件を満たすかどうかを判断し、条件が成立した場合(または不成立であった場合)に、異なる命令列へと分岐し、またはサブルーチンを呼び出す。
また、CPU2000は、記憶装置内のファイルまたはデータベース等に格納された情報を検索することができる。例えば、第1属性の属性値に対し第2属性の属性値がそれぞれ対応付けられた複数のエントリが記憶装置に格納されている場合において、CPU2000は、記憶装置に格納されている複数のエントリの中から第1属性の属性値が指定された条件と一致するエントリを検索し、そのエントリに格納されている第2属性の属性値を読み出すことにより、所定の条件を満たす第1属性に対応付けられた第2属性の属性値を得ることができる。
以上に示したプログラムまたはモジュールは、外部の記録媒体に格納されてもよい。記録媒体としては、フレキシブルディスク2090、DVD−ROM2095の他に、DVD、Blu−ray(登録商標)、またはCD等の光学記録媒体、MO等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークまたはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用し、ネットワークを介してプログラムをコンピュータ1900に提供してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。