JP6572585B2 - 回路装置、物理量検出装置、電子機器、移動体、回路装置の製造方法 - Google Patents

回路装置、物理量検出装置、電子機器、移動体、回路装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6572585B2
JP6572585B2 JP2015066175A JP2015066175A JP6572585B2 JP 6572585 B2 JP6572585 B2 JP 6572585B2 JP 2015066175 A JP2015066175 A JP 2015066175A JP 2015066175 A JP2015066175 A JP 2015066175A JP 6572585 B2 JP6572585 B2 JP 6572585B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
zero point
physical quantity
circuit device
correction coefficient
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2015066175A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016186437A (ja
Inventor
克仁 中島
克仁 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2015066175A priority Critical patent/JP6572585B2/ja
Publication of JP2016186437A publication Critical patent/JP2016186437A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6572585B2 publication Critical patent/JP6572585B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Gyroscopes (AREA)

Description

本発明は、回路装置、物理量検出装置、電子機器、移動体、回路装置の製造方法等に関する。
従来より、物理量トランスデューサーからの検出信号に基づいて物理量を検出する回路装置が知られている。ジャイロセンサーを例にとれば、回路装置は物理量として角速度等を検出する。ジャイロセンサーは、例えばデジタルカメラ、スマートフォン等の電子機器や、車、飛行機等の移動体に組み込まれ、検出された角速度等の物理量を用いて、手振れ補正、姿勢制御、GPS自律航法等が行われる。このようなジャイロセンサーの回路装置の従来技術としては、例えば特許文献1に開示される技術がある。
また、ジャイロセンサーに回転角速度が加わっていないときのゼロ点電圧(ヌル電圧)が温度特性を有する(温度に応じて変化する)ことが知られており、当該ゼロ点電圧を補正するゼロ点補正手法も種々知られている。例えば特許文献2には、効率的なゼロ点補正を行う手法が開示されている。
特開2008−122122号公報 特開2006−119008号公報
ジャイロセンサーの検出データの温度特性において、特異点が生じる場合がある。具体的には、特異点に対応する温度付近において、温度変化に対する上記ゼロ点電圧の変化が急峻となる。そのような場合、検出データの温度特性を適切に補正することができず、補正残差が大きくなり、結果として正確な検出データを出力できないという課題があった。
本発明の幾つかの態様によれば、物理量トランスデューサーの正確な出力を取得可能な回路装置、電子機器、移動体、回路装置の製造方法等を提供することができる。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または態様として実現することが可能である。
本発明の一態様は、物理量トランスデューサーから出力される物理量に応じた検出信号に基づいて、前記物理量に対応する物理量データを出力する検出回路と、温度データに基づいて、前記検出回路からの前記物理量データに対するゼロ点補正処理を行う処理部と、を含み、前記処理部は、前記温度データにより表される温度が第1の温度範囲に属する場合に、第1のゼロ点補正係数に基づいて前記ゼロ点補正処理を行い、前記温度データにより表される前記温度が前記第1の温度範囲とは異なる第2の温度範囲に属する場合に、第2のゼロ点補正係数に基づいて前記ゼロ点補正処理を行う回路装置に関係する。
本発明の一態様では、温度特性のゼロ点補正処理において、温度範囲を少なくとも第1の温度範囲と第2の温度範囲に分け、各温度範囲において、当該温度範囲に対応するゼロ点補正係数に基づいてゼロ点補正処理を行う。これにより、各温度範囲で考えた場合の温度特性の急激な変動を抑止できるため、自由度が小さい(次数が低い)補正関数を用いた場合でも高精度のゼロ点補正処理を行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、温度境界値を記憶する温度境界値レジスターを有するレジスター部を含み、前記温度境界値レジスターは、前記物理量データのゼロ点温度特性における特異点に対応する温度を、前記温度境界値として記憶してもよい。
このようにすれば、特異点を温度境界値とすること、及び当該温度境界値をレジスターにより保持することができるため、第1,第2の温度範囲を適切に設定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記レジスター部は、前記第1のゼロ点補正係数及び前記第2のゼロ点補正係数を記憶する補正係数レジスターを有し、前記処理部は、前記温度境界値レジスターから読み出した前記温度境界値と、前記温度データとの比較処理を行い、前記比較処理に基づいて、前記温度が前記第1の温度範囲に属すると判定された場合に、前記補正係数レジスターから前記第1のゼロ点補正係数を読み出し、前記比較処理に基づいて、前記温度が前記第2の温度範囲に属すると判定された場合に、前記補正係数レジスターから前記第2のゼロ点補正係数を読み出してもよい。
このようにすれば、温度境界値と温度データから温度範囲の判定を行うことができ、さらに判定結果に応じたゼロ点補正係数を補正係数レジスターから読み出すことで、温度範囲に応じた補正係数をゼロ点補正処理に用いること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記温度データにより表される前記温度が前記第1の温度範囲及び前記第2の温度範囲のいずれとも異なる第3の温度範囲に属する場合に、第3のゼロ点補正係数に基づいて、前記ゼロ点補正処理を行ってもよい。
このようにすれば、温度範囲を3つ以上に分割することができるため、物理量データのゼロ点温度特性が複雑な場合等にも、精度の高いゼロ点補正処理を行うこと等が可能になる。
また、本発明の一態様では、第1の温度境界値及び第2の温度境界値を記憶する温度境界値レジスターを有するレジスター部を含み、前記温度境界値レジスターは、前記物理量データのゼロ点温度特性における第1の特異点に対応する温度を、前記第1の温度境界値として記憶し、前記物理量データの前記ゼロ点温度特性における第2の特異点に対応する温度を、前記第2の温度境界値として記憶してもよい。
このようにすれば、2以上の特異点を温度境界値とすること、及び当該温度境界値をレジスターにより保持することができるため、第1〜第3の温度範囲を適切に設定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記レジスター部は、前記第1のゼロ点補正係数、前記第2のゼロ点補正係数及び前記第3のゼロ点補正係数を記憶する補正係数レジスターを有し、前記処理部は、前記温度境界値レジスターから読み出した前記第1の温度境界値及び前記第2の温度境界値と、前記温度データとの比較処理を行い、前記比較処理に基づいて、前記温度が前記第1の温度範囲に属すると判定された場合に、前記補正係数レジスターから前記第1のゼロ点補正係数を読み出し、前記比較処理に基づいて、前記温度が前記第2の温度範囲に属すると判定された場合に、前記補正係数レジスターから前記第2のゼロ点補正係数を読み出し、前記比較処理に基づいて、前記温度が前記第3の温度範囲に属すると判定された場合に、前記補正係数レジスターから前記第3のゼロ点補正係数を読み出してもよい。
このようにすれば、温度境界値と温度データから温度範囲の判定を行うことができ、さらに判定結果に応じたゼロ点補正係数を補正係数レジスターから読み出すことで、温度範囲に応じた補正係数をゼロ点補正処理に用いること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記処理部は、前記物理量データのゼロ点温度特性における特異点に対応する温度と、前記温度データとの比較処理に基づいて、前記温度データにより表される前記温度の属する温度範囲を判定してもよい。
このようにすれば、物理量データのゼロ点温度特性における特異点に基づいて、温度範囲を判定することで、温度範囲を適切に設定すること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記第1のゼロ点補正係数及び前記第2のゼロ点補正係数は、ともにn次(nは2以上の整数)の近似式の係数であってもよい。
このようにすれば、各近似式(補正式)としてn次式を用い、補正係数として、当該n次式の係数を用いることが可能になる。
また、本発明の一態様では、nは2以上且つ4以下の整数であってもよい。
このようにすれば、各近似式の次数を低く抑えることができるため、近似式を求める負荷の軽減や、補正係数用のレジスターの回路規模を抑えること等が可能になる。
また、本発明の一態様では、前記検出回路は、前記物理量トランスデューサーからの前記検出信号に対して増幅処理を行い、前記増幅処理後の前記検出信号に対して同期検波処理を行い、前記同期検波処理後の前記検出信号に対してA/D変換処理を行って前記物理量データを出力してもよい。
このようにすれば、物理量トランスデューサーからの出力である検出信号に対して、増幅処理、同期検波処理、A/D変換処理を行って、物理量データを出力することができ、例えば不要信号の適切な除去等を行うことが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記物理量トランスデューサーは、振動片であり、前記物理量データは、角速度データであってもよい。
このようにすれば、振動片を用いて角速度データを出力することが可能になる。
また、本発明の一態様では、前記物理量トランスデューサーを駆動する駆動回路をさらに含んでもよい。
これにより、回路装置において物理量トランスデューサーを適切に駆動すること等が可能になる。
また、本発明の他の態様は、上記の回路装置と、前記物理量トランスデューサーと、を含む物理量検出装置に関係する。
また、本発明の他の態様は、上記の回路装置を含む電子機器に関係する。
また、本発明の他の態様は、上記の回路装置を含む移動体に関係する。
また、本発明の他の態様は、物理量トランスデューサーから出力される物理量に応じた検出信号に基づいて、前記物理量に対応する物理量データを出力する検出回路と、温度データに基づいて前記検出回路からの前記物理量データに対するゼロ点補正処理を行う処理部と、を含む回路装置の製造方法であって、前記物理量データのゼロ点温度特性の特異点で第1の温度範囲と第2の温度範囲に区分けされる場合に、第1の温度範囲に対応する第1のゼロ点補正係数と、前記第2の温度範囲に対応する第2のゼロ点補正係数と、を求め、求めた前記第1のゼロ点補正係数と前記第2のゼロ点補正係数を記憶部に記憶させる回路装置の製造方法に関係する。
本発明の他の態様では、ゼロ点温度特性の特異点に基づいて分割された各温度範囲でのゼロ点補正処理に用いるゼロ点補正係数を求め、記憶する。これにより、回路装置においてゼロ点補正処理を行う際に必要となる情報を、適切に求めておくこと等が可能になる。
本実施形態の回路装置の基本構成例。 ゼロ点温度特性と従来の補正関数(近似式)の例。 図3(A)、図3(B)は本実施形態のゼロ点補正処理の説明図。 従来手法と本実施形態の手法による補正残差の例。 ゼロ点温度特性と従来の補正関数(近似式)の例。 図6(A)、図6(B)は本実施形態のゼロ点補正処理の説明図。 従来手法と本実施形態の手法による補正残差の例。 回路装置と処理装置の接続例。 回路装置の全体的なシステム構成例。 本実施形態の回路装置、電子機器、ジャイロセンサー(物理量検出装置)の構成例。 駆動回路、検出回路の詳細な構成例。 処理部の詳細な構成例。 処理部の他の詳細な構成例。 処理部の他の詳細な構成例。 図15(A)〜図15(D)は本実施形態の変形例の説明図。 図16(A)〜図16(D)は本実施形態の回路装置が組み込まれる移動体、電子機器の例。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。特許文献2等に開示されているように、物理量トランスデューサーに基づく出力を正確なものとするためには、ゼロ点補正は重要といえる。しかし、物理量トランスデューサーから出力される物理量に対応する物理量データ(以下、検出データとも記載)の温度特性において、ある温度付近でのゼロ点(ゼロ点電圧に基づく検出データ値)が急激に変化する場合がある。以下、本明細書では、そのような特性を示す点を特異点と表記する。
一般的なゼロ点補正処理では、いくつかの点をプロットして、当該点に基づいて近似式を求める。例えば、−40℃〜+85℃の範囲での物理量トランスデューサーに基づく検出データの精度を確保するため、当該範囲でゼロ点補正処理を行う場合に、10℃刻みでゼロ点データを求め、求めたデータを所与の近似式で近似する。近似式(補正関数)として温度Tに関するn次多項式f(T)を用いるものとすれば、近似式を求める処理とは、n〜0次のn+1個の係数を求める処理に相当する。このような補正関数を求めておき、検出データ取得時の温度がT0である場合には、補正値f(T0)に基づく補正処理(単純には減算処理)を行うことで、適切なゼロ点補正処理が可能になる。
その際、nを過剰に大きくしてしまうと、補正関数を求める処理負荷が大きくなる、補正関数を求めるために必要な点の数が増えてしまう、求められる係数が増えるため当該係数を記憶しておくためのレジスターの回路規模が大きくなってしまうといった課題が生じる。そのため、nはある程度の大きさに抑えることが一般的であり、例えばn=4といった値になる。これはn次多項式以外の補正関数を用いる場合も同様であり、補正関数の自由度を極端に高いものとすることは容易でない。
しかしそのように補正関数の形式に制限がある場合、補正関数が上述した特異点、すなわち温度変化に対する急峻なゼロ点変化に十分追随できないおそれがある。具体例を図2に示す。図2の横軸が温度(℃)、縦軸が検出データの値(ジャイロセンサーの例であるため角速度を表し、単位はdps,degree per second)であり、図2のA1が実際にプロットされた実測値である。図2のA1の例では、温度TがTm1℃の付近において、検出データの値が急峻に変化している。図2のような場合において、n=4である比較的次数の低い補正関数を求めた結果がA2である。A1とA2の比較から明らかなように、特異点の付近では補正関数(A2)と実測値(A1)との差が大きくなってしまう。
図2のA2を用いてゼロ点補正処理を行った結果が図4のC1である。図4の横軸は温度、縦軸が補正残差、すなわちゼロ点補正処理を行っても除去しきれなかった誤差を表す。図4は全温度範囲において0となることが理想であるが、図2のように特異点付近では補正関数と実測値との差が大きいため、図4のC1に示したように特異点付近の温度では補正残差が大きく、出力される検出データの精度が十分でない。
図2の特異点に対応可能な補正関数を求めるためには、補正関数の次数を高くする(高次補正関数を用いる)ことが考えられる。しかし上述した課題からわかるように、高次補正関数を用いることは容易でない。
そこで本出願人は、特異点が生じるような場合であっても、比較的自由度の低い補正関数(狭義には低次補正関数)を用いて精度の高いゼロ点補正処理を行う回路装置等を提案する。具体的には、回路装置は図1に示したように、物理量トランスデューサー18から出力される物理量に応じた検出信号に基づいて、物理量に対応する物理量データ(検出データ)を出力する検出回路60と、温度データに基づいて、検出回路60からの物理量データに対するゼロ点補正処理を行う処理部110を含み、処理部110は、温度データにより表される温度が第1の温度範囲に属する場合に、第1のゼロ点補正係数に基づいてゼロ点補正処理を行い、温度データにより表される温度が第1の温度範囲とは異なる第2の温度範囲に属する場合に、第2のゼロ点補正係数に基づいてゼロ点補正処理を行う。
具体例を図3(A)、図3(B)に示す。図3(A)、図3(B)では、ゼロ点補正処理を行う温度範囲を、温度境界値Tm1により第1の温度範囲と第2の温度範囲の2つの範囲に分け、それぞれの範囲を対象として、n(n=4)次多項式である補正関数を求めている。第1の温度範囲での実測値(B1)と求められた補正関数(B2)の関係を示したものが図3(A)であり、第2の温度範囲での実測値(B3)と求められた補正関数(B4)の関係を示したものが図3(B)である。
温度範囲(或いは温度境界値)を適切に分割することで、各温度範囲でのゼロ点変化を、当該温度範囲の分割をしない場合に比べて小さくする、具体的には分割後の各温度範囲が特異点と考えられるほどの急峻なゼロ点変化を含まないものとすることが可能になる。よって、図3(A)、図3(B)に示すようにそれぞれの温度範囲で求められる補正関数は実測値によく合致したものとなる。結果として、図4のC2に示したように補正残差も温度範囲を分割しない場合(C1)に比べて小さくすることができ、この場合であればC2の補正残差の最大値はC1の最大値の1/2程度にできる。すなわち、本実施形態の手法によれば、低次補正関数を用いた場合でも精度の高いゼロ点補正処理を実行することが可能になる。
なお、本実施形態の補正関数を求める処理は、対象製品(回路装置を含む物理量検出装置、電子機器等)の製造時や出荷時等に行われることが想定される。なぜなら、物理量トランスデューサーに基づく物理量データのゼロ点温度特性は個体差もあるため、あらゆる製品に汎用的に用いることができる補正関数を事前に設定しておくことが難しいためである。
例えば、図5のD1は図2とは異なる物理量検出装置でのゼロ点温度特性であり、特異点の現れる温度や特異点形状は図2の場合と異なる。この場合、具体的な温度範囲(温度境界値)や、各温度範囲での補正関数は図3(A)、図3(B)とは異なるものになるが、温度範囲を分割しない場合に比べて補正残差を抑えられる点は同様である。全温度範囲を1つの補正関数で近似した場合の例が図5のD2であり、図7のF1に示したように補正残差が大きいのに対して、温度境界値Tm2により2つの温度範囲を設定した場合には、各補正関数は図6(A)、図6(B)のE2,E4に示したように実測値(E1,E3)に合致したものとなり、図7のF2に示したように補正残差を小さくできる。この場合、F2の補正残差の最大値は、F1の最大値の1/5程度である。一般的に、物理量データのゼロ点温度特性の変化が激しいほど、低次補正関数での追随が難しくなるため、本実施形態の手法による効果が高まることが期待できる。
また、ゼロ点補正処理に必要な補正関数を求める処理、すなわち温度範囲を分割する処理及び分割された各温度範囲でのn次補正関数を求める処理は、本実施形態に係る回路装置自体で行う必要はない。具体的には、上記対象製品の製造時や出荷時等に、回路装置とは異なる装置を用いて補正関数を求めてもよい。一例としては、本実施形態に係る回路装置と接続される他の処理装置(例えばPCやサーバーシステム等)において補正関数を求めてもよい。さらに具体的には、図8に示したように、処理装置は本実施形態に係る回路装置に接続され、回路装置から物理量トランスデューサーからの検出データを取得し、当該検出データに基づいて補正関数の係数を求め、求めた係数を回路装置に戻す(例えば回路装置のレジスター部142に書き込む)ものであってもよい。
つまり本実施形態の回路装置は、複数の補正関数(複数組の補正係数)を記憶可能であればよく、当該補正関数は回路装置自身で求めたものを記憶してもよいし、他の機器で求められたものを記憶してもよい。
また、本実施形態の手法は、物理量トランスデューサー18から出力される物理量に応じた検出信号に基づいて、物理量に対応する物理量データを出力する検出回路60と、温度データに基づいて検出回路60からの物理量データに対するゼロ点補正処理を行う処理部110を含む回路装置の製造方法であって、物理量データのゼロ点温度特性の特異点で第1の温度範囲と第2の温度範囲に区分けされる場合に、第1の温度範囲に対応する第1のゼロ点補正係数と、第2の温度範囲に対応する第2のゼロ点補正係数と、を求め、求めた第1のゼロ点補正係数と第2のゼロ点補正係数を記憶部に記憶させることを特徴とする回路装置の製造方法に適用することができる。
ここでの回路装置の製造方法において、例えば図8に示した処理装置を利用することが可能である。回路装置においてゼロ点補正処理が実行される前の任意のタイミングにおいて、特異点による温度範囲の分割(温度境界値の設定)、各温度範囲での補正関数(ゼロ点補正係数)を求める処理を行っておき、処理結果を記憶部に記憶しておく。なお、本実施形態に係る回路装置の製造方法において、特異点の検索処理を行ってもよいがこれには限定されず、それ以前のタイミング等で特異点の検索処理を行っておいてもよい。
そして、ゼロ点補正処理では、記憶しておいた上記処理結果を読み出して処理を行えばよい。この回路装置の製造方法において、第1,第2のゼロ点補正係数が記憶される記憶部とは、狭義には回路装置内のレジスター(図9を用いて後述するレジスター部142、狭義には図14の第1の補正係数レジスター343及び第2の補正係数レジスター345)である。しかし第1,第2のゼロ点補正係数等は、回路装置がゼロ点補正処理を行う時点で利用可能であればよく、記憶部は回路装置のレジスターに限定されない。一例としては、図10を用いて後述するように、回路装置を含む電子機器500を実現する場合に、電子機器500が含む(且つ回路装置の外部の構成である)メモリー530等を、上記記憶部としてもよく、ここでの記憶部については種々の変形実施が可能である。
なお、ここでの特異点の検索処理は、例えば種々の温度での検出データ(ゼロ点)を計測し、その極値を求める処理であってもよい。或いは、単純に極値を求めるだけでなく、変化量(微分値、差分値)等を考慮することで、急激な変化が生じているか否かを判定してもよい。或いは、温度範囲の分割を行わずに暫定的な補正関数を求め、当該暫定的な補正関数と実測値との差が大きい点を特異点としてもよい。また、図5のD3〜D6を用いて後述するように、極値以外の部分での値の変化等を考慮して特異点を特定してもよく、特異点の検索は種々の変形実施が可能である。
以下、本実施形態に係る回路装置の概略的な構成例を説明した後、ゼロ点補正処理を行う処理部(DSP部)110の具体的な構成例、ゼロ点補正処理の詳細、及び変形例について説明する。最後に、本実施形態に係る回路装置を含む電子機器や移動体の例を説明する。
2.回路装置の概略構成例
図9は本実施形態の回路装置の全体的なシステム構成例である。図9の回路装置は、駆動回路30、検出回路60、処理部(DSP部)110、制御部140、レジスター部142を含む。ただし、回路装置は図9の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
図9に示したように、回路装置は物理量トランスデューサー18を駆動する駆動回路30を含む。駆動回路30は、例えば物理量トランスデューサー18からのフィードバック信号DIを受け、フィードバック信号DIに対応する駆動信号DQを出力することで、物理量トランスデューサー18を駆動する。例えば物理量トランスデューサー18からの第1、第2の検出信号IQ1、IQ2は端子PD1、PD2(パッド)を介して回路装置の検出回路60に入力される。また物理量トランスデューサー18からのフィードバック信号DIは端子PD3(パッド)を介して回路装置の駆動回路30に入力され、駆動回路30は端子PD4(パッド)を介して駆動信号DQを物理量トランスデューサー18に出力する。
検出回路60は、増幅回路61と、同期検波回路81と、A/D変換回路100を含む。増幅回路61は、例えば差動増幅回路であってもよい。このように本実施形態の回路装置は、物理量トランスデューサー18を駆動する駆動回路30と、物理量トランスデューサー18からの第1、第2の検出信号IQ1、IQ2が入力される検出回路60を含む。なお、図9の検出回路60は、第1、第2のアンプにより構成され、第1、第2の検出信号IQ1、IQ2に対応する第1、第2の信号QB1、QB2が入力される差動増幅回路を含むことを想定した構成となっているが、検出回路60はこれに限定されず、種々の変形実施が可能である。増幅回路61、A/D変換回路100の詳細については後述する。また、処理部110の詳細についても後述する。
制御部140は各種の制御処理を行う。例えば制御部140は駆動回路30の制御処理や検出回路60の制御処理を行う。この制御部140は、例えばゲートアレイ等の自動配置配線手法で生成されたロジック回路や、或いはファームウェアー等に基づいて動作するプロセッサー等により実現できる。
レジスター部142は各種の情報が設定されるレジスターを有する。レジスター部142は例えばSRAM等のメモリーやフリップフロップ回路等により実現できる。例えば温度範囲を分割する際に用いられる温度境界値や、各温度範囲での補正関数(補正関数の係数)は、このレジスター部142に記憶される。
また、本実施形態の手法は、上記回路装置を含む物理量検出装置、或いは上記回路装置を含む電子機器に適用することができる。図10に、本実施形態の回路装置20、この回路装置20を含むジャイロセンサー510(広義には物理量検出装置)、このジャイロセンサー510を含む電子機器500の詳細な構成例を示す。
なお回路装置20、電子機器500、ジャイロセンサー510は図10の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。また本実施形態の電子機器500としては、デジタルカメラ、ビデオカメラ、スマートフォン、携帯電話機、カーナビゲーションシステム、ロボット、生体情報検出装置、ゲーム機、時計、健康器具、或いは携帯型情報端末等の種々の機器を想定できる。また以下では、物理量トランスデューサーが圧電型の振動片(振動ジャイロ)であり、センサーがジャイロセンサーである場合を例にとり説明するが、本発明はこれに限定されない。例えばシリコン基板などから形成された静電容量検出方式の振動ジャイロや、角速度情報と等価な物理量や角速度情報以外の物理量を検出する物理量トランスデューサー等にも本発明は適用可能である。
電子機器500は、ジャイロセンサー510と処理部520を含む。なお、ここでの処理部520は電子機器500の構成であり、回路装置20に含まれる処理部(DSP部)110とは異なる構成を想定している。またメモリー530、操作部540、表示部550を含むことができる。CPU、MPU等で実現される処理部520(コントローラー)は、ジャイロセンサー510等の制御や電子機器500の全体制御を行う。また処理部520は、ジャイロセンサー510により検出された角速度情報(広義には物理量)に基づいて処理を行う。例えば角速度情報に基づいて、手ぶれ補正、姿勢制御、GPS自律航法などのための処理を行う。メモリー530(ROM、RAM等)は、制御プログラムや各種データを記憶したり、ワーク領域やデータ格納領域として機能する。操作部540はユーザーが電子機器500を操作するためのものであり、表示部550は種々の情報をユーザーに表示する。
ジャイロセンサー510(物理量検出装置)は、振動片10と回路装置20を含む。振動片10(広義には物理量トランスデューサー)は、水晶などの圧電材料の薄板から形成される圧電型振動片である。具体的には、振動片10は、Zカットの水晶基板により形成されたダブルT字型の振動片である。
回路装置20は、駆動回路30、検出回路60、処理部110、制御部140、レジスター部142を含む。なお、これらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
駆動回路30は、駆動信号DQを出力して振動片10を駆動する。例えば振動片10からフィードバック信号DIを受け、これに対応する駆動信号DQを出力することで、振動片10を励振させる。検出回路60は、駆動信号DQにより駆動される振動片10から検出信号IQ1、IQ2(検出電流、電荷)を受け、検出信号IQ1、IQ2から、振動片10に印加された物理量に応じた所望信号(コリオリ力信号)を検出(抽出)する。
振動片10は、基部1と、連結腕2、3と、駆動腕4、5、6、7と、検出腕8、9を有する。矩形状の基部1に対して+Y軸方向、−Y軸方向に検出腕8、9が延出している。また基部1に対して−X軸方向、+X軸方向に連結腕2、3が延出している。そして連結腕2に対して+Y軸方向、−Y軸方向に駆動腕4、5が延出しており、連結腕3に対して+Y軸方向、−Y軸方向に駆動腕6、7が延出している。なおX軸、Y軸、Z軸は水晶の軸を示すものであり、各々、電気軸、機械軸、光学軸とも呼ばれる。
駆動回路30からの駆動信号DQは、駆動腕4、5の上面に設けられた駆動電極と、駆動腕6、7の側面に設けられた駆動電極に入力される。また駆動腕4、5の側面に設けられた駆動電極と、駆動腕6、7の上面に設けられた駆動電極からの信号が、フィードバック信号DIとして駆動回路30に入力される。また検出腕8、9の上面に設けられた検出電極からの信号が、検出信号IQ1、IQ2として検出回路60に入力される。なお検出腕8、9の側面に設けられたコモン電極は例えば接地される。
駆動回路30により交流の駆動信号DQが印加されると、駆動腕4、5、6、7は、逆圧電効果により矢印Aに示すような屈曲振動(励振振動)を行う。即ち、駆動腕4、6の先端が互いに接近と離間を繰り返し、駆動腕5、7の先端も互いに接近と離間を繰り返す屈曲振動を行う。このとき駆動腕4、5と駆動腕6、7とが、基部1の重心位置を通るY軸に対して線対称の振動を行っているので、基部1、連結腕2、3、検出腕8、9はほとんど振動しない。
この状態で、振動片10に対してZ軸を回転軸とした角速度が加わると(振動片10がZ軸回りで回転すると)、コリオリ力により駆動腕4、5、6、7は矢印Bに示すように振動する。即ち、矢印Aの方向とZ軸の方向とに直交する矢印Bの方向のコリオリ力が、駆動腕4、5、6、7に働くことで、矢印Bの方向の振動成分が発生する。この矢印Bの振動が連結腕2、3を介して基部1に伝わり、検出腕8、9が矢印Cの方向で屈曲振動を行う。この検出腕8、9の屈曲振動による圧電効果で発生した電荷信号が、検出信号IQ1、IQ2として検出回路60に入力される。ここで、駆動腕4、5、6、7の矢印Bの振動は、基部1の重心位置に対して周方向の振動であり、検出腕8、9の振動は、矢印Bとは周方向で反対向きの矢印Cの方向での振動である。このため、検出信号IQ1、IQ2は、駆動信号DQに対して位相が90度だけずれた信号になる。
例えば、Z軸回りでの振動片10(ジャイロセンサー)の角速度をωとし、質量をmとし、振動速度をvとすると、コリオリ力はFc=2m・v・ωと表される。従って検出回路60が、コリオリ力に応じた信号である所望信号を検出することで、角速度ωを求めることができる。そして求められた角速度ωを用いることで、処理部520は、手振れ補正、姿勢制御、或いはGPS自律航法等のための種々の処理を行うことができる。
なお図10では、振動片10がダブルT字型である場合の例を示しているが、本実施形態の振動片10はこのような構造に限定されない。例えば音叉型、H型等であってもよい。また振動片10の圧電材料は、水晶以外のセラミックスやシリコン等の材料であってもよい。
以上に示したように、本実施形態に係る回路装置において、駆動回路30により駆動される物理量トランスデューサー18は、振動片10であり、物理量データ(検出データ)は、角速度データであってもよい。このようにすれば、精度の高いゼロ点補正処理が行われた角速度データを利用可能となり、例えば図16(A)〜図16(D)を用いて後述するような種々の機器において、精度の高い処理を実行すること等が可能になる。
図11に回路装置の駆動回路30、検出回路60の詳細な構成例を示す。
駆動回路30は、振動片10からのフィードバック信号DIが入力される増幅回路32と、自動ゲイン制御を行うゲイン制御回路40と、駆動信号DQを振動片10に出力する駆動信号出力回路50を含む。また同期信号SYCを検出回路60に出力する同期信号出力回路52を含む。なお、駆動回路30の構成は図11に限定されず、これらの構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
増幅回路32(I/V変換回路)は、振動片10からのフィードバック信号DIを増幅する。例えば振動片10からの電流の信号DIを電圧の信号DVに変換して出力する。この増幅回路32は、演算増幅器、帰還抵抗素子、帰還キャパシターなどにより実現できる。
駆動信号出力回路50は、増幅回路32による増幅後の信号DVに基づいて、駆動信号DQを出力する。例えば駆動信号出力回路50が、矩形波(又は正弦波)の駆動信号を出力する場合には、駆動信号出力回路50はコンパレーター等により実現できる。
ゲイン制御回路40(AGC)は、駆動信号出力回路50に制御電圧DSを出力して、駆動信号DQの振幅を制御する。具体的には、ゲイン制御回路40は、信号DVを監視して、発振ループのゲインを制御する。例えば駆動回路30では、ジャイロセンサーの感度を一定に保つために、振動片10(駆動用振動片)に供給する駆動電圧の振幅を一定に保つ必要がある。このため、駆動振動系の発振ループ内に、ゲインを自動調整するためのゲイン制御回路40が設けられる。ゲイン制御回路40は、振動片10からのフィードバック信号DIの振幅(振動片の振動速度v)が一定になるように、ゲインを可変に自動調整する。このゲイン制御回路40は、増幅回路32の出力信号DVを全波整流する全波整流器や、全波整流器の出力信号の積分処理を行う積分器などにより実現できる。
同期信号出力回路52は、増幅回路32による増幅後の信号DVを受け、同期信号SYC(参照信号)を検出回路60に出力する。この同期信号出力回路52は、正弦波(交流)の信号DVの2値化処理を行って矩形波の同期信号SYCを生成するコンパレーターや、同期信号SYCの位相調整を行う位相調整回路(移相器)などにより実現できる。
検出回路60は、増幅回路61、同期検波回路81、フィルター部90、A/D変換回路100を含む。増幅回路61は、振動片10からの第1、第2の検出信号IQ1、IQ2を受けて、電荷−電圧変換や差動の信号増幅やゲイン調整などを行う。同期検波回路81は、駆動回路30からの同期信号SYCに基づいて同期検波を行う。フィルター部90(ローパスフィルター)は、A/D変換回路100の前置きフィルターとして機能する。またフィルター部90は、同期検波によっては除去しきれなかった不要信号を減衰する回路としても機能する。A/D変換回路100は、同期検波後の信号のA/D変換を行う。
なお、例えば振動片10からの電荷信号(電流信号)である検出信号IQ1、IQ2は、電圧信号である駆動信号DQに対して位相が90度遅れる。また増幅回路61のQ/V変換回路等において位相が90度遅れる。このため、増幅回路61の出力信号は駆動信号DQに対して位相が180度遅れる。従って、例えば駆動信号DQ(DV)と同相の同期信号SYCを用いて同期検波することで、駆動信号DQに対して位相が90度遅れた不要信号等を除去できるようになる。
以上に示したように、本実施形態に係る回路装置の検出回路60は、物理量トランスデューサー18からの検出信号に対して増幅処理を行い、増幅処理後の検出信号に対して同期検波処理を行い、同期検波処理後の検出信号に対してA/D変換処理を行って物理量データを出力する(検出データを検出する)回路である。各処理は例えば、上述したように、増幅回路61、同期検波回路81、A/D変換回路100により行われればよい。
処理部110はA/D変換回路100からのデジタル信号に対してデジタルフィルター処理やデジタル補正処理などのデジタル信号処理を行う。また、本実施形態の処理部110は、ゼロ点補正処理を行う。処理部110の詳細については後述する。
制御部140は、回路装置20の制御処理を行う。この制御部140は、ロジック回路(ゲートアレイ等)やプロセッサー等により実現できる。回路装置20での各種のスイッチ制御やモード設定等はこの制御部140により行われる。
なお図11には、検出した角速度をデジタルデータで出力するデジタルジャイロの回路装置の構成例を示したが、本実施形態はこれに限定されず、検出した角速度をアナログ電圧(DC電圧)で出力するアナログジャイロの回路装置の構成であってもよい。
3.処理部(DSP部)の詳細
次に、本実施形態における処理部110の詳細について説明する。具体的には、まず処理部110の構成例を説明する。また、本実施形態に係るゼロ点補正処理の基本的な考え方については図2〜図7を用いて上述したが、ここでは具体的な処理の流れを説明するとともに、ゼロ点補正処理の変形例についても説明する。
3.1 処理部の構成例
図12は、処理部110の機能ブロック図である。図12に示したように、処理部110は、温度センサー系の補正を行う第1のデジタル補正部111と、ゼロ点温度特性補正値算出部112と、ゼロ点補正を行う第2のデジタル補正部113と、LPF114と、感度温度特性補正値算出部115と、感度補正を行う第3のデジタル補正部116を含む。
第1のデジタル補正部111は、温度センサーからの出力に対してデジタル補正処理を行い温度データを出力する。第1のデジタル補正部111では、例えばノイズ低減処理等を行ってもよい。また、温度センサー出力に対する補正処理は種々知られており、第1のデジタル補正部111での処理は、それらの補正処理を広く適用可能である。
ゼロ点温度特性補正値算出部112は、本実施形態に係るゼロ点補正処理に用いる補正値を算出する。ゼロ点温度特性補正値算出部112の具体的な機能ブロック図を図13に示す。ゼロ点温度特性補正値算出部112は、温度判定部1121と、補正関数係数選択部1122と、補正値算出部1123を含む。
温度判定部1121は、所与の閾値温度(温度境界値)と、処理対象タイミング(狭義には最新のタイミング)での温度データとの比較処理を行い、処理対象タイミングでの温度が、どの温度範囲に属するかの判定を行う。補正関数係数選択部1122は、温度判定部1121での判定結果に基づいて、ゼロ点補正処理に用いる補正関数を選択する。上述したように、本実施形態のゼロ点補正処理では、温度範囲ごとに補正関数が決定されている。よって、温度判定部1121により処理対象タイミングでの温度範囲が特定されれば、用いるべき補正関数も特定可能であり、補正関数係数選択部1122では、温度範囲に対応する補正関数の係数を選択する。
補正係数が選択されれば、実際の補正値は補正係数をn〜0次の各係数とする温度Tに関するn次多項式により求めることができる。補正値算出部1123は、補正関数係数選択部1122で選択された補正係数と、処理対象タイミングでの温度とに基づいて、補正値を算出する。
第2のデジタル補正部113では、求められた補正値を用いて、検出回路60からの検出データ、狭義にはA/D変換回路100から出力される角速度データの補正処理を行う。ここでの補正処理とは、具体的には加算処理や減算処理等により実現可能であり、加算か減算か(符号が正か負か)は補正関数をどのように定義するかによって変更すればよい。
なお、第2のデジタル補正部113の出力を角速度データの最終的な出力としてもよいが、他の補正処理を行ってもよい。例えば、物理量の変動量に対する検出データの変動量、すなわち感度にも温度特性があることが知られている。よって本実施形態では、ゼロ点補正処理とは別に感度補正処理を行ってもよい。具体的には、処理部110は感度温度特性補正値算出部115と、第3のデジタル補正部116を含んでもよい。感度温度特性補正値算出部115は、処理対象タイミングでの温度データに基づいて、感度補正量を算出し、第3のデジタル補正部116では、ゼロ点補正処理後の角速度データに対して、算出された感度補正量を用いて感度補正処理を行う。なお、図12の例では、ゼロ点補正処理後の角速度データに対して、LPF114によるフィルター処理をかけた後に、感度補正処理を行う場合の構成例を示している。
以上、図12及び図13を用いて説明した構成は、処理部110における機能を考慮したものであり、実際の回路構成は図12、図13のブロックを単位として構成するものには限定されない。例えば、補正値算出部1123で行われる補正値の算出と、第2のデジタル補正部113で行われる補正処理は、いずれも積和演算器により実現可能である。その場合、補正値算出部1123と第2のデジタル補正部113とで、異なる積和演算器を設ける必要はなく、1つの積和演算器を時分割で利用してもよい。
図14に回路構成という観点による処理部110等の構成例を示す。図14に示したように、処理部110は、積和演算器310と、比較器320と、セレクター330を含む。また、図9等に示したレジスター部142は、温度境界値レジスター341と、補正係数レジスター347を有し、補正係数レジスター347は、第1の補正係数レジスター343と、第2の補正係数レジスター345を有する。ただし、温度境界値レジスター341、第1の補正係数レジスター343、第2の補正係数レジスター345は、それぞれ独立した構成として設けられる必要はなく、1つのレジスターにより実現されてもよい。
温度境界値レジスター341は、検出データ(物理量データ)のゼロ点温度特性における特異点に対応する温度を、温度境界値として記憶する。特異点とは上述したように、温度と検出データ値(特にゼロ点のデータ値)との関係において、急激な変化を示す点であり、特異点に対応する温度とは図2のTm1や図5のTm2等である。
このように温度境界値レジスター341を設け、当該温度境界値レジスター341に温度境界値を記憶しておけば、処理対象タイミングでの温度データTと温度境界値Tmとを比較器320で比較することで、容易に処理対象タイミングでの温度が属する温度範囲を特定可能である。また、図14に示したように、図13の温度判定部1121は比較器320により実現されることになる。
なお、処理部110は、検出データのゼロ点温度特性における特異点に対応する温度と、温度データとの比較処理に基づいて、温度データにより表される温度の属する温度範囲を判定できればよい。つまり、ここで温度境界値レジスター341等の構成を説明するがこれは本実施形態に係る処理部110の一例であり、他の構成により特異点に対応する温度と処理対象タイミングでの温度データとの比較処理を行うことは妨げられない。
また、補正係数レジスター347(第1の補正係数レジスター343、第2の補正係数レジスター345)は、第1のゼロ点補正係数及び第2のゼロ点補正係数を記憶する。ここで、第1のゼロ点補正係数とは、第1の温度範囲での補正関数を決定するための係数であり、例えば、第1の温度範囲での補正関数が、f1(T)=A+A+A+AT+Aで表される場合には、(A,A,A,A,A)の5つの値に対応する。同様に、第2のゼロ点補正係数とは、第2の温度範囲での補正関数を決定するための係数であり、例えば、第2の温度範囲での補正関数が、f2(T)=B+B+B+BT+Bで表される場合には、(B,B,B,B,B)の5つの値に対応する。
この場合、処理部110は、温度境界値レジスター341から読み出した温度境界値と、温度データとの比較処理を行い、比較処理に基づいて、温度が第1の温度範囲に属すると判定された場合に、補正係数レジスター347から第1のゼロ点補正係数を読み出し、比較処理に基づいて、温度が第2の温度範囲に属すると判定された場合に、補正係数レジスター347から第2のゼロ点補正係数を読み出す。
具体的には上述したように比較器320である温度判定部1121による比較処理を行い、T≦Tmであれば第1の温度範囲にあり、T>Tmであれば第2の温度範囲であると判定する。第1の温度範囲であると判定された場合には、ゼロ点補正処理には上記f1(T)を用いることになるため、第1のゼロ点補正係数(A,A,A,A,A)を読み出す必要がある。そのため、図14に示したように、比較器320からの出力に基づいて動作するセレクター330として実現される補正関数係数選択部1122は、補正係数レジスター347に含まれる第1の補正係数レジスター343から第1のゼロ点補正係数を読み出して、積和演算器310に出力する。同様に、第2の温度範囲であると判定された場合には、セレクター330として実現される補正関数係数選択部1122は、補正係数レジスター347に含まれる第2の補正係数レジスター345から第2のゼロ点補正係数(B,B,B,B,B)を読み出して、積和演算器310に出力する。
そして、積和演算器310では、読み出したゼロ点補正係数と、温度データを用いて補正値を算出する。具体的には、f1(T)或いはf2(T)のいずれかの関数に対応する積和演算を行えばよい。ここまでの処理が、図13の補正値算出部1123に対応する。さらに、積和演算器310では、求められた補正値と処理対象タイミングでの検出データ(角速度データ)を用いて、ゼロ点補正処理を行う。上述したように、この処理は単純には加算或いは減算処理となるため、積和演算器310により実現でき、当該処理は図12の第2のデジタル補正部113に対応することになる。
以上の流れにより本実施形態に係るゼロ点補正処理が実行される。なお、上述してきたように、第1のゼロ点補正係数及び第2のゼロ点補正係数は、ともにn次(nは2以上の整数)の近似式の係数であってもよい。このようにすれば、補正関数をn次多項式により実現できるため、補正係数の算出を積和演算器310により実現でき、補正値算出処理を容易なものとすることが可能になる。また、複数の補正関数の次数をそろえることで、いずれの温度範囲に属する場合であっても、補正値の算出処理等を画一化することが可能になる。
この際、上述したように、補正値の算出負荷や、補正係数レジスター347の回路規模等を考慮すればnは過剰に大きな値とすることは好ましくない。よって、nは2以上4以下の整数であってもよい。このようにすれば、計算負荷の増大、回路規模の増大等を抑止することが可能になる。
3.2 ゼロ点補正処理の変形例
以上では、温度範囲を第1の温度範囲と第2の温度範囲の2つに分割する例を示した。しかし本実施形態の手法はこれに限定されず、3つ以上の温度範囲に分割してもよい。具体的には、処理部110は、温度データにより表される温度が第1の温度範囲及び第2の温度範囲のいずれとも異なる第3の温度範囲に属する場合に、第3のゼロ点補正係数に基づいて、ゼロ点補正処理を行ってもよい。
上述したように、ゼロ点の温度特性が急激に変化した場合に、低次補正関数では当該変化に追随できない点が従来手法の課題であり、本実施形態では、特異点に対応する温度を温度境界値として複数の温度範囲に分割することで、各温度範囲でのゼロ点温度特性の急激な変化を解消し、低次補正関数でも高精度のゼロ点補正を実現した。
逆に考えれば、複数の温度範囲に分割したとしても、分割後の所与の温度範囲の中に、ゼロ点温度特性が急激に変化する部分(特異点)が存在すれば、当該部分においてゼロ点補正処理の精度が低下する点に変わりはない。
例えば、図15(A)に示したように、全温度範囲内に2つの特異点を有する場合には、図15(B)に示したように第1の特異点を温度境界値として第1の温度範囲と第2の温度範囲を設定したとしても、第2の温度範囲には第2の特異点全体が含まれ、当該特異点部分では急激な特性変化がみられる。つまりこの場合、第2の温度範囲をn次多項式で近似したとしても、特異点部分では実測値との誤差が大きくなってしまい、ゼロ点補正処理の精度が低下する。これは、図15(C)に示したように、第2の特異点を温度境界値として第1の温度範囲と第2の温度範囲を設定した場合も同様であり、第1の温度範囲には第1の特異点全体が含まれ、当該特異点部分での精度低下が生じる。
つまり特異点が複数みられる場合に、各温度範囲においてゼロ点温度特性の急峻な変化を抑止するためには、各特異点を温度境界値として、3つ以上の温度範囲を設定するとよい。図15(A)の例であれば、図15(D)に示したように、2つの特異点を温度境界値として第1〜第3の温度範囲を設定すればよい。
具体的には、回路装置は第1の温度境界値及び第2の温度境界値を記憶する温度境界値レジスター341を有するレジスター部142を含み、前記温度境界値レジスター341は、検出データのゼロ点温度特性における第1の特異点に対応する温度を、第1の温度境界値として記憶し、検出データのゼロ点温度特性における第2の特異点に対応する温度を、第2の温度境界値として記憶する。
この場合、比較器320(温度判定部1121)では、処理対象タイミングでの温度データと第1の温度境界値との比較、処理対象タイミングでの温度データと第2の温度境界値との比較を行い、温度範囲を判定すればよい。図15(D)に示したように、第1の温度境界値をTm3、第2の温度境界値をTm4(>Tm3)とすれば、T≦Tm3の場合には第1の温度範囲、Tm3<T≦Tm4の場合には第2の温度範囲、Tm4<Tの場合には第3の温度範囲であると判定すればよい。
このようにすれば、第1〜第3の温度範囲の各温度範囲内では、狭い温度範囲内で検出データの急激な増加及び減少の両方を含むことを抑止できる、言い換えれば特異点部分全体を含むことを抑止できるため、実測値との誤差が小さい補正関数を求めることが可能になり、ゼロ点補正処理の精度を高くすることが可能である。
この場合、回路装置のレジスター部142は、第1のゼロ点補正係数、第2のゼロ点補正係数及び第3のゼロ点補正係数を記憶する補正係数レジスター347を有することになる。そして上述したように、処理部110(狭義には比較器320として実現される温度判定部1121)は、温度境界値レジスター341から読み出した第1の温度境界値及び第2の温度境界値と、温度データとの比較処理を行う。
さらに、処理部110(狭義にはセレクター330として実現される補正関数係数選択部1122)は、比較処理に基づいて、温度が第1の温度範囲に属すると判定された場合に、補正係数レジスター347から第1のゼロ点補正係数を読み出し、比較処理に基づいて、温度が第2の温度範囲に属すると判定された場合に、補正係数レジスター347から第2のゼロ点補正係数を読み出し、比較処理に基づいて、温度が第3の温度範囲に属すると判定された場合に、補正係数レジスター347から第3のゼロ点補正係数を読み出す。
ゼロ点補正係数読み出し後の処理は上述の例と同様であり、積和演算器310により、補正値算出部1123に対応する補正値を算出する処理と、第2のデジタル補正部113に対応するゼロ点補正処理を行えばよい。
なお、図5に示した例では、実測値D1は、上に凸となる点D3と下に凸となる点D4とを含むため、特異点が2つあるようにも見える。しかし、D3とD4が連続的に現れる(D3〜D4が単調減少である)こと、D4よりも高温の領域(D5)では数値変化がなだらかであること等を鑑みれば、D6に示した範囲が1つの特異点であり、特異点はD3の1つであると考えることが可能である。実際、図6(A)〜図7を用いて上述したように、図5のケースでは温度範囲を2つに分けることで、精度のよいゼロ点補正処理が可能となっている。
このことからわかるように、特異点か否かは、上又は下に凸となる極値であるか否かという観点からの判定に限定されず、極値以外での検出データの変化等も考慮して決定してもよく、実測値から特異点を求める処理は種々の変形実施が可能である。
4.移動体、電子機器
また、本実施形態の手法は、上記回路装置を含む移動体に適用することができる。図16(A)に本実施形態の回路装置20を含む移動体の例を示す。本実施形態の回路装置20は、例えば、車、飛行機、バイク、自転車、或いは船舶等の種々の移動体に組み込むことができる。移動体は、例えばエンジンやモーター等の駆動機構、ハンドルや舵等の操舵機構、各種の電子機器を備えて、地上や空や海上を移動する機器・装置である。図16(A)は移動体の具体例としての自動車206を概略的に示している。自動車206には、振動片10と回路装置20を有するジャイロセンサー510(センサー)が組み込まれている。ジャイロセンサー510は車体207の姿勢を検出することができる。ジャイロセンサー510の検出信号は車体姿勢制御装置208に供給される。車体姿勢制御装置208は例えば車体207の姿勢に応じてサスペンションの硬軟を制御したり個々の車輪209のブレーキを制御したりすることができる。その他、こういった姿勢制御は二足歩行ロボットや航空機、ヘリコプター等の各種の移動体において利用されることができる。姿勢制御の実現にあたってジャイロセンサー510は組み込まれることができる。
図16(B)、図16(C)に示すように、本実施形態の回路装置はデジタルスチルカメラや生体情報検出装置(ウェアラブル健康機器。例えば脈拍計、歩数計、活動量計等)などの種々の電子機器に適用できる。例えばデジタルスチルカメラにおいてジャイロセンサーや加速度センサーを用いた手ぶれ補正等を行うことができる。また生体情報検出装置において、ジャイロセンサーや加速度センサーを用いて、ユーザーの体動を検出したり、運動状態を検出できる。また図16(D)に示すように、本実施形態の回路装置はロボットの可動部(アーム、関節)や本体部にも適用できる。ロボットは、移動体(走行・歩行ロボット)、電子機器(非走行・非歩行ロボット)のいずれも想定できる。走行・歩行ロボットの場合には、例えば自律走行に本実施形態の回路装置を利用できる。
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(物理量検出装置、物理量トランスデューサー等)と共に記載された用語(ジャイロセンサー、振動片等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また、回路装置や物理量検出装置や電子機器や移動体の構成、振動片の構造等も、本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形実施が可能である。
PD1〜PD4 端子、1 基部、2、3 連結腕、4、5、6、7 駆動腕、
8、9 検出腕、10 振動片、18 物理量トランスデューサー、20 回路装置、
30 駆動回路、32 増幅回路、40 ゲイン制御回路、50 駆動信号出力回路、
52 同期信号出力回路、60 検出回路、61 増幅回路、81 同期検波回路、
90 フィルター部、100 A/D変換回路、110 処理部、
111 第1のデジタル補正部、112 ゼロ点温度特性補正値算出部、
113 第2のデジタル補正部、114 LPF、115 感度温度特性補正値算出部、
116 第3のデジタル補正部、140 制御部、142 レジスター部、
206 自動車、207 車体、208 車体姿勢制御装置、209 車輪、
310 積和演算器、320 比較器、330 セレクター、
341 温度境界値レジスター、343 第1の補正係数レジスター、
345 第2の補正係数レジスター、347 補正係数レジスター、500 電子機器、
510 ジャイロセンサー、520 処理部、530 メモリー、540 操作部、
550 表示部、1121 温度判定部、1122 補正関数係数選択部、
1123 補正値算出部

Claims (15)

  1. 物理量トランスデューサーから出力される物理量に応じた検出信号に基づいて、前記物理量に対応する物理量データを出力する検出回路と、
    温度データに基づいて、前記検出回路からの前記物理量データに対するゼロ点補正処理を行う処理部と、
    前記物理量データのゼロ点温度特性における特異点に対応する温度である温度境界値を記憶する温度境界値レジスターを有するレジスター部と、
    を含み、
    前記処理部は、
    前記温度データにより表される温度が、前記温度境界値によって区分される第1の温度範囲に属する場合に、第1のゼロ点補正係数に基づいて前記ゼロ点補正処理を行い、
    前記温度データにより表される前記温度が、前記温度境界値によって区分され、前記第1の温度範囲とは異なる第2の温度範囲に属する場合に、第2のゼロ点補正係数に基づいて前記ゼロ点補正処理を行い、
    前記第1のゼロ点補正係数及び前記第2のゼロ点補正係数は、ともにn次(nは2以上の整数)の近似式の係数であり、
    前記特異点は、
    前記物理量データの前記ゼロ点温度特性の極値に対応する点のうち、前記極値以外の部分での値に基づく所与の条件を満たす点であることを特徴とする回路装置。
  2. 請求項1に記載の回路装置において、
    前記所与の条件は、
    前記極値に対応する温度を前記温度境界値とした温度範囲の分割を行わずに、所与のゼロ点補正係数に基づく前記ゼロ点補正処理を行った場合における、前記ゼロ点温度特性との誤差に基づいて判定される条件であることを特徴とする回路装置。
  3. 請求項1又は2に記載の回路装置おいて、
    nは2以上且つ4以下の整数であることを特徴とする回路装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回路装置において、
    前記レジスター部は、前記第1のゼロ点補正係数及び前記第2のゼロ点補正係数を記憶する補正係数レジスターを有し、
    前記処理部は、
    前記温度境界値レジスターから読み出した前記温度境界値と、前記温度データとの比較処理を行い、
    前記比較処理に基づいて、前記温度が前記第1の温度範囲に属すると判定された場合に、前記補正係数レジスターから前記第1のゼロ点補正係数を読み出し、
    前記比較処理に基づいて、前記温度が前記第2の温度範囲に属すると判定された場合に、前記補正係数レジスターから前記第2のゼロ点補正係数を読み出すことを特徴とする回路装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の回路装置において、
    前記処理部は、
    前記温度データにより表される前記温度が前記第1の温度範囲及び前記第2の温度範囲のいずれとも異なる第3の温度範囲に属する場合に、第3のゼロ点補正係数に基づいて、前記ゼロ点補正処理を行うことを特徴とする回路装置。
  6. 請求項に記載の回路装置において、
    前記温度境界値レジスターは、前記温度境界値として、第1の温度境界値及び第2の温度境界値を記憶し、
    前記温度境界値レジスターは、前記物理量データの前記ゼロ点温度特性における第1の特異点に対応する温度を、前記第1の温度境界値として記憶し、前記物理量データの前記ゼロ点温度特性における第2の特異点に対応する温度を、前記第2の温度境界値として記憶することを特徴とする回路装置。
  7. 請求項に記載の回路装置において、
    前記レジスター部は、前記第1のゼロ点補正係数、前記第2のゼロ点補正係数及び前記第3のゼロ点補正係数を記憶する補正係数レジスターを有し、
    前記処理部は、
    前記温度境界値レジスターから読み出した前記第1の温度境界値及び前記第2の温度境界値と、前記温度データとの比較処理を行い、
    前記比較処理に基づいて、前記温度が前記第1の温度範囲に属すると判定された場合に、前記補正係数レジスターから前記第1のゼロ点補正係数を読み出し、
    前記比較処理に基づいて、前記温度が前記第2の温度範囲に属すると判定された場合に、前記補正係数レジスターから前記第2のゼロ点補正係数を読み出し、
    前記比較処理に基づいて、前記温度が前記第3の温度範囲に属すると判定された場合に、前記補正係数レジスターから前記第3のゼロ点補正係数を読み出すことを特徴とする回路装置。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の回路装置において、
    前記処理部は、
    前記特異点に対応する温度と、前記温度データとの比較処理に基づいて、前記温度データにより表される前記温度の属する温度範囲を判定することを特徴とする回路装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の回路装置において、
    前記検出回路は、
    前記物理量トランスデューサーからの前記検出信号に対して増幅処理を行い、前記増幅処理後の前記検出信号に対して同期検波処理を行い、前記同期検波処理後の前記検出信号に対してA/D変換処理を行って前記物理量データを出力することを特徴とする回路装置。
  10. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の回路装置において、
    前記物理量トランスデューサーは、振動片であり、
    前記物理量データは、角速度データであることを特徴とする回路装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか一項に記載の回路装置において、
    前記物理量トランスデューサーを駆動する駆動回路をさらに含むことを特徴とする回路装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の回路装置と、
    前記物理量トランスデューサーと、
    を含むことを特徴とする物理量検出装置。
  13. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の回路装置を含むことを特徴とする電子機器。
  14. 請求項1乃至11のいずれか一項に記載の回路装置を含むことを特徴とする移動体。
  15. 物理量トランスデューサーから出力される物理量に応じた検出信号に基づいて、前記物理量に対応する物理量データを出力する検出回路と、温度データに基づいて前記検出回路からの前記物理量データに対するゼロ点補正処理を行う処理部と、を含む回路装置の製造方法であって、
    前記物理量データのゼロ点温度特性の極値に対応する点のうち、前記極値以外の部分での値に基づく所与の条件を満たす点を特異点として求め、
    前記特異点で第1の温度範囲と第2の温度範囲とに区分けされる場合に、
    前記第1の温度範囲に対応するn次(nは2以上の整数)の近似式の係数である第1のゼロ点補正係数と、前記第2の温度範囲に対応するn次の近似式の係数である第2のゼロ点補正係数と、を求め、
    求めた前記第1のゼロ点補正係数と前記第2のゼロ点補正係数を記憶部に記憶させることを特徴とする回路装置の製造方法。
JP2015066175A 2015-03-27 2015-03-27 回路装置、物理量検出装置、電子機器、移動体、回路装置の製造方法 Active JP6572585B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015066175A JP6572585B2 (ja) 2015-03-27 2015-03-27 回路装置、物理量検出装置、電子機器、移動体、回路装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015066175A JP6572585B2 (ja) 2015-03-27 2015-03-27 回路装置、物理量検出装置、電子機器、移動体、回路装置の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016186437A JP2016186437A (ja) 2016-10-27
JP6572585B2 true JP6572585B2 (ja) 2019-09-11

Family

ID=57203187

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015066175A Active JP6572585B2 (ja) 2015-03-27 2015-03-27 回路装置、物理量検出装置、電子機器、移動体、回路装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6572585B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7113680B2 (ja) * 2018-06-27 2022-08-05 株式会社クリイノ創研 色差算出方法

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH06160100A (ja) * 1992-11-19 1994-06-07 Fujitsu Ten Ltd 振動ジャイロの信号処理回路
AU7859000A (en) * 1999-10-05 2001-05-10 L-3 Communications Corporation A method for improving the performance of micromachined devices
JP2009150655A (ja) * 2007-12-18 2009-07-09 Advics Co Ltd 車両挙動センサ温度補正装置
US8583371B1 (en) * 2010-12-23 2013-11-12 Lockheed Martin Corporation Autonomous gyro temperature calibration
JP2014106206A (ja) * 2012-11-29 2014-06-09 Tamagawa Seiki Co Ltd 慣性センサおよびその演算誤差軽減方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016186437A (ja) 2016-10-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6641712B2 (ja) 回路装置、電子機器及び移動体
US8762091B1 (en) Inertial measurement system
CN106027043B (zh) 电路装置、电子设备以及移动体
US9658065B2 (en) Physical quantity detection circuit, physical quantity detection device, electronic apparatus and moving object
JP6222425B2 (ja) 物理量検出回路、物理量検出装置、電子機器及び移動体
US10302431B2 (en) Physical quantity detection circuit, electronic device, and moving object
US10018468B2 (en) Physical-quantity detection circuit, physical-quantity sensor, and electronic device
US10746809B2 (en) Physical quantity measurement device, electronic apparatus, and vehicle
JP2018028473A (ja) 回路装置、物理量検出装置、電子機器及び移動体
JP2000258162A (ja) 圧電振動子の温度補償装置
JP2017050664A (ja) アナログ基準電圧生成回路、回路装置、物理量センサー、電子機器及び移動体
JP6586735B2 (ja) 回路装置、物理量検出装置、電子機器及び移動体
JP2018205007A (ja) 回路装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体
US10309783B2 (en) Physical quantity detection system, electronic apparatus, and moving object
JP6572585B2 (ja) 回路装置、物理量検出装置、電子機器、移動体、回路装置の製造方法
US20170254833A1 (en) Angular velocity detection circuit, angular velocity detection device, electronic apparatus, and moving object
JP2012159429A (ja) 音叉振動型角速度センサ
JP6492739B2 (ja) 回路装置、物理量検出装置、電子機器及び移動体
JP2018165618A (ja) 信号処理装置、検出装置、物理量測定装置、電子機器及び移動体
JP2016170144A (ja) 回路装置、物理量検出装置、電子機器及び移動体
JP6521236B2 (ja) 物理量処理回路、物理量処理装置、電子機器及び移動体
JP6478034B2 (ja) 角速度検出装置の評価方法、信号処理回路、角速度検出装置、電子機器及び移動体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180320

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190115

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190205

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190401

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190716

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190729

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6572585

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150