以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.角速度検出装置の評価方法
1−1.第1実施形態
[角速度検出装置の評価システムの構成]
図1は、本実施形態に係る角速度検出装置の評価方法を行うための評価システムの構成例を示す図である。図1に示す評価システム1は、評価装置2、角速度印加装置3、及び、評価装置2と角速度印加装置3を接続するケーブル4を含んで構成されている。
角速度印加装置3は、回転板3a、回転モーター3b、支持台3c等により構成される。
回転板3aは、回転モーター3bに固定され、回転モーター3bと連動して回転運動をする回転部である。回転板3aの上面には、評価対象の角速度検出装置5及び基準となる角速度検出装置6が取り付けられる。
回転モーター3bは、支持台3cに取り付けられており、評価装置2の制御により、所定方向(図1の矢印の方向)を軸として時計回り又は半時計回りに回転する。
評価装置2は、本体2a、操作部2b、表示部2c等により構成されている。本体2aは、その内部に不図示の処理部と記憶部を備えており、当該処理部は、操作部2bからの入力情報に応じて、当該記憶部に記憶されている評価プログラムを実行することにより、ケーブル4を介して角速度印加装置3に制御信号を送信し、所定範囲で角速度を変化させながら回転モーター3bを回転させる。
回転モーター3bの回転に連動して回転板3aが回転運動をすると、角速度検出装置5及び角速度検出装置6は、回転板3aの回転運動における角速度を検出し、角速度に応じた検出データを出力する。角速度検出装置6は、角速度を正確に検出可能に校正されており、角速度の検出誤差が極めて小さいため、その出力データは角速度検出装置5の検出性能の評価のための基準データとして使用される。
評価装置2の本体2aの処理部は、ケーブル4を介して、回転板3aが回転運動をしているときの評価対象の角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)及び基準となる角速度検出装置6の出力データ(基準データ)を取得する。この基準データは、回転板3aの回転運動における角速度のデータである。
そして、評価装置2の本体2aの処理部は、取得した評価対象データ及び基準データを用いて角速度検出装置5の検出性能(感度や非直線性等)を評価する。処理部による評価結果は、表示部2cに表示される。
[評価対象の角速度検出装置の構成]
図2は、評価対象の角速度検出装置5の機能ブロック図の一例である。図2の例では、角速度検出装置5は、角速度信号を出力する角速度検出部である振動子(センサー素子)100と信号処理回路200を含んで構成されている。
振動子100は、駆動電極と検出電極が配置された振動片を有し、一般的に、振動片のインピーダンスをできるだけ小さくして発振効率を高めるために、振動片は気密性が確保
されたパッケージに封止されている。本実施形態では、振動子100は、T型の2つの駆動振動腕を有するいわゆるダブルT型の振動片を有する。
図3は、本実施形態の振動子100の振動片の平面図である。振動子100は、例えば、Zカットの水晶基板により形成されたダブルT型の振動片を有する。水晶を材料とする振動片は、温度変化に対する共振周波数の変動が極めて小さいので、角速度の検出精度を高めることができるという利点がある。なお、図3におけるX軸、Y軸、Z軸は水晶の軸を示す。
図3に示すように、振動子100の振動片は、2つの駆動用基部104a、104bからそれぞれ駆動振動腕101a、101bが+Y軸方向及び−Y軸方向に延出している。駆動振動腕101aの側面及び上面にはそれぞれ駆動電極112及び113が形成されており、駆動振動腕101bの側面及び上面にはそれぞれ駆動電極113及び112が形成されている。駆動電極112、113は、それぞれ、図2に示した信号処理回路200のDS端子,DG端子を介して駆動回路20に接続される。
駆動用基部104a、104bは、それぞれ−X軸方向と+X軸方向に延びる連結腕105a、105bを介して矩形状の検出用基部107に接続されている。
検出振動腕102は、検出用基部107から+Y軸方向及び−Y軸方向に延出している。検出振動腕102の上面には検出電極114及び115が形成されており、検出振動腕102の側面には共通電極116が形成されている。検出電極114、115は、それぞれ、図2に示した信号処理回路200のS1端子,S2端子を介して検出回路30に接続される。また、共通電極116は接地される。
駆動振動腕101a、101bの駆動電極112と駆動電極113との間に駆動信号として交流電圧が与えられると、図4に示すように、駆動振動腕101a、101bは逆圧電効果によって矢印Bのように、2本の駆動振動腕101a、101bの先端が互いに接近と離間を繰り返す屈曲振動(励振振動)をする。
この状態で、振動子100の振動片にZ軸を回転軸とした角速度が加わると、駆動振動腕101a、101bは、矢印Bの屈曲振動の方向とZ軸の両方に垂直な方向にコリオリの力を得る。その結果、図5に示すように、連結腕105a、105bは矢印Cで示すような振動をする。そして、検出振動腕102は、連結腕105a、105bの振動(矢印C)に連動して矢印Dのように屈曲振動をする。このコリオリ力に伴う検出振動腕102の屈曲振動と駆動振動腕101a、101bの屈曲振動(励振振動)とは位相が90°ずれている。
ところで、駆動振動腕101a、101bが屈曲振動(励振振動)をするときの振動エネルギーの大きさ又は振動の振幅の大きさが2本の駆動振動腕101a、101bで等しければ、駆動振動腕101a、101bの振動エネルギーのバランスがとれており、振動子100に角速度がかかっていない状態では検出振動腕102は屈曲振動しない。ところが、2つの駆動振動腕101a、101bの振動エネルギーのバランスがくずれると、振動子100に角速度がかかっていない状態でも検出振動腕102に屈曲振動が発生する。この屈曲振動は漏れ振動と呼ばれ、コリオリ力に基づく振動と同様に矢印Dの屈曲振動であるが、駆動信号とは同位相である。
そして、圧電効果によってこれらの屈曲振動に基づいた交流電荷が、検出振動腕102の検出電極114、115に発生する。ここで、コリオリ力に基づいて発生する交流電荷は、コリオリ力の大きさ(言い換えれば、振動子100に加わる角速度の大きさ)に応じ
て変化する。一方、漏れ振動に基づいて発生する交流電荷は、振動子100に加わる角速度の大きさに関係せず一定である。
なお、駆動振動腕101a、101bの先端には、駆動振動腕101a、101bよりも幅の広い矩形状の錘部103が形成されている。駆動振動腕101a、101bの先端に錘部103を形成することにより、コリオリ力を大きくするとともに、所望の共振周波数を比較的短い振動腕で得ることができる。同様に、検出振動腕102の先端には、検出振動腕102よりも幅の広い錘部106が形成されている。検出振動腕102の先端に錘部106を形成することにより、検出電極114、115に発生する交流電荷を大きくすることができる。
以上のようにして、振動子100は、Z軸を検出軸としてコリオリ力に基づく交流電荷(角速度成分)と、励振振動の漏れ振動に基づく交流電荷(振動漏れ成分)とを検出電極114、115を介して出力する。
図2に戻り、本実施形態の信号処理回路200は、基準電圧回路10、駆動回路20、検出回路30、記憶部40及びシリアルインターフェース回路50を含んで構成されており、例えば、1チップの集積回路(IC:Integrated Circuit)で実現される。なお、本実施形態の信号処理回路200は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
基準電圧回路10は、信号処理回路200のVDD端子より供給される電源電圧から基準電圧(アナロググランド電圧)などの定電圧や定電流を生成し、駆動回路20や検出回路30に供給する。
駆動回路20は、振動子100を励振振動させるための駆動信号を生成し、DS端子を介して振動子100の駆動電極112に供給する。また、駆動回路20は、振動子100の励振振動により駆動電極113に発生する発振電流がDG端子を介して入力され、この発振電流の振幅が一定に保持されるように駆動信号の振幅レベルをフィードバック制御する。また、駆動回路20は、駆動信号と位相が同じ検波信号SDETを生成し、検出回路30に出力する。
検出回路30は、S1端子とS2端子を介して、振動子100の2つの検出電極114、115に発生する交流電荷(検出電流)がそれぞれ入力され、検波信号SDETを用いて、これらの交流電荷(検出電流)に含まれる角速度成分を検出し、角速度成分の大きさに応じた電圧レベルの信号を生成して出力する。検出回路30の出力信号は、上述した評価対象データとして、信号処理回路200のVOUT端子より外部に出力される。
記憶部40は、不図示の不揮発性メモリーを有し、当該不揮発性メモリーには、駆動回路20や検出回路30に対する各種のトリミングデータ(調整データや補正データ)が記憶されている。不揮発性メモリーは、例えば、MONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Silicon)型メモリーやEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)として構成することができる。さらに、記憶部40は、不図示のレジスターを有し、信号処理回路200電源投入時(VDD端子の電圧が0Vから所望の電圧まで立ち上がる時)に不揮発性メモリーに記憶されている各種のトリミングデータがレジスターに転送されて保持され、レジスターに保持された各種のトリミングデータが駆動回路20や検出回路30に供給されるように構成してもよい。
シリアルインターフェース回路50は、信号処理回路200の外部装置(例えば、MCU(Micro Control Unit)等)からの要求に応じて、記憶部40(不揮発性メモリーやレ
ジスター)に記憶されているデータなどを外部装置に出力する処理や、外部装置から入力されたデータを記憶部40(不揮発性メモリーやレジスター)に書き込む処理などを行う。シリアルインターフェース回路50は、例えば、SPI(Serial Peripheral Interface)バスのインターフェース回路であり、外部装置から、信号処理回路200のSS端子,SCLK端子,SI端子を介してそれぞれ選択信号、クロック信号、データ信号が入力され、信号処理回路200のSO端子を介してデータ信号を外部装置に出力する。なお、シリアルインターフェース回路50は、SPIバス以外の各種のバス(例えば、I2C(Inter-Integrated Circuit)バス等)に対応するインターフェース回路であってもよい。
[駆動回路の構成]
次に、駆動回路20について説明する。図6は、駆動回路20の構成例を示す図である。図6に示すように、本実施形態の駆動回路20は、I/V変換回路21、ハイパスフィルター(HPF)22、コンパレーター23、全波整流回路24、積分器25及びコンパレーター26を含んで構成されている。なお、本実施形態の駆動回路20は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
I/V変換回路21は、振動子100の励振振動により発生し、DG端子を介して入力された発振電流を交流電圧信号に変換する。
ハイパスフィルター22は、I/V変換回路21の出力信号のオフセットを除去する。
コンパレーター23は、ハイパスフィルター22の出力信号の電圧を基準電圧と比較して2値化信号を生成し、この2値化信号がハイレベルの時はNMOSトランジスターを導通させてローレベルを出力し、2値化信号がローレベルの時はNMOSトランジスターを非導通にし、抵抗を介してプルアップされる積分器25の出力電圧をハイレベルとして出力する。そして、コンパレーター23の出力信号は、駆動信号として、DS端子を介して振動子100に供給される。この駆動信号の周波数(駆動周波数)を振動子100の共振周波数と一致させることで、振動子100を安定発振させることができる。
全波整流回路24は、I/V変換回路21の出力信号を整流(全波整流)して直流化された信号を出力する。
積分器25は、基準電圧回路10から供給される所望の電圧VRDRを基準に、全波整流回路24の出力電圧を積分して出力する。この積分器25の出力電圧は、全波整流回路24の出力が高いほど(I/V変換回路21の出力信号の振幅が大きいほど)低くなる。従って、発振振幅が大きいほど、コンパレーター23の出力信号(駆動信号)のハイレベルの電圧が低くなり、発振振幅が小さいほど、コンパレーター23の出力信号(駆動信号)のハイレベルの電圧が高くなるので、発振振幅が一定に保持されるように自動利得制御(AGC:Auto Gain Control)がかかる。
コンパレーター26は、ハイパスフィルター22の出力信号の電圧を増幅して2値化信号(方形波電圧信号)を生成し、検波信号SDETとして出力する。
[検出回路の構成]
次に、検出回路30について説明する。図7は、検出回路30の構成例を示す図である。図7に示すように、本実施形態の検出回路30は、チャージアンプ31,32、差動アンプ33、ハイパスフィルター(HPF)34、ACアンプ35、同期検波回路36、可変ゲインアンプ37、フィルター回路38、出力バッファー39を含んで構成されている。なお、本実施形態の検出回路30は、これらの要素の一部を省略又は変更し、あるいは他の要素を追加した構成としてもよい。
チャージアンプ31には、S1端子を介して振動子100の振動片の検出電極114から角速度成分と振動漏れ成分を含む交流電荷(検出電流)が入力される。同様に、チャージアンプ32には、S2端子を介して振動子100の振動片の検出電極115から角速度成分と振動漏れ成分を含む交流電荷(検出電流)が入力される。
このチャージアンプ31,32は、それぞれ入力された交流電荷(検出電流)を交流電圧信号に変換する。チャージアンプ31に入力される交流電荷(検出電流)とチャージアンプ32に入力される交流電荷(検出電流)は互いに位相が180°異なり、チャージアンプ31の出力信号とチャージアンプ32の出力信号の位相は互いに逆位相である(180°ずれている)。
差動アンプ33は、チャージアンプ31の出力信号とチャージアンプ32の出力信号を差動増幅する。差動アンプ33により、同相成分はキャンセルされ、逆相成分は加算増幅される。
ハイパスフィルター34は、差動アンプ33の出力信号に含まれる直流成分を除去するする。
ACアンプ35は、ハイパスフィルター34の出力信号を増幅した交流電圧信号を出力する。
同期検波回路36は、駆動回路20が出力する検波信号SDETを用いてACアンプ35の出力信号(被検波信号)に含まれる角速度成分を同期検波する。同期検波回路36は、例えば、検波信号SDETがハイレベルの時はACアンプ35の出力信号をそのまま選択し、検波信号SDETがローレベルの時はACアンプ35の出力信号を基準電圧に対して反転した信号を選択する回路として構成することができる。
ACアンプ35の出力信号には角速度成分と振動漏れ成分が含まれているが、この角速度成分は検波信号SDETと同位相であるのに対して、振動漏れ成分は逆位相である。そのため、同期検波回路36により角速度成分は同期検波されるが、振動漏れ成分は検波されないようになっている。
可変ゲインアンプ37は、同期検波回路36の出力信号を増幅又は減衰させて所望の電圧レベルの信号を出力し、可変ゲインアンプ37の出力信号はフィルター回路38に入力される。
フィルター回路38は、可変ゲインアンプ37の出力信号に含まれる高周波成分を除去するとともに仕様で決められる周波数範囲の信号を通過させるローパスフィルターとして機能する。
フィルター回路38の出力信号は、出力バッファー39でバッファリングされるとともに、必要に応じて所望の電圧レベルの信号に増幅又は減衰される。この出力バッファー39の出力信号は角速度に応じた電圧レベルの信号であり、評価対象データとしてVOUT端子を介して外部に出力される。
[角速度検出装置の評価方法]
本実施形態に係る角速度検出装置5の評価方法では、図8に示すように、角速度印加装置3の回転板3aを、角速度が正弦波形状に変化するように回転させる。具体的には、回転板3aを、角速度を増加させた後に減少させるように時計回りに回転させて停止させ、
次に、角速度を増加させた後に減少させるように反時計回りに回転させて停止させることで、回転板3aの回転運動における角速度は正弦波形状に変化する。
角速度検出装置5の検出回路30は、振動子100が出力した角速度信号を出力データに加工するために必要なフィルター回路38を備えているため、フィルター回路38のカットオフ周波数よりも十分に低い周波数(通過帯域の周波数)で回転板3aの角速度を変化させる必要がある。そうすると、ローパスフィルターとして機能するフィルター回路38は、例えば図9に示すような群遅延特性を有するため、回転板3aの回転運動における角速度変化の周波数(入力周波数)では、遅延時間が比較的大きいため、回転板3aの回転運動に対して角速度検出装置5の出力が遅延する。基準となる角速度検出装置6も同様に、回転板3aの回転運動に対して出力が遅延するが、一般に、この出力遅延時間は角速度検出装置5と同じではない。また、基準となる角速度検出装置6を回転板3aに固定したまま、評価対象の角速度検出装置5を取り換えると、角速度検出装置5の種類(用途)が違えば、評価装置2が取得する角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)と角速度検出装置6の出力データ(基準データ)との間の時間差も同じではない。そのため、例えば、図10(A)に示すように、評価対象データ(実線)の遅延時間d1が基準データ(破線)の遅延時間d2よりも小さい場合もあれば、図10(B)に示すように、評価対象データ(実線)の遅延時間d1が基準データ(破線)の遅延時間d2よりも大きい場合もある。
そうすると、評価装置2が、評価対象データをそのまま基準データと比較し、横軸を基準データから換算される角速度、縦軸を角速度検出装置5の出力電圧(評価対象データ)としてグラフを描くと、図10(C)に示すように、評価対象データ(実線)のグラフが楕円形状になってしまい、基準データ(破線)に対する誤差が不当に大きくなる。その結果、角速度検出装置5の感度や非直線性等の検出性能を正しく評価することができない。
そこで、本実施形態では、評価装置2が、評価対象データ及び基準データの少なくとも一方に、評価対象データと基準データとの間の時間差を加味した補正処理を行い、当該補正処理により得られた評価対象データ及び基準データを用いて、角速度検出装置5の検出性能を評価する。評価装置2は、例えば、図10(A)や図10(B)に示したような評価対象データ(実線)及び基準データ(破線)の少なくとも一方に対して補正処理を行うことで、図11(A)に示すように、ともに遅延時間がほぼd3であり時間差がほぼ0の評価対象データ(実線)及び基準データ(破線)が得られる。そして、評価装置2は、図11(B)に示すように、横軸を補正後の基準データから換算される角速度、縦軸を補正後の角速度検出装置5の出力電圧(補正後の評価対象データ)として、基準データ(破線)に対して正当な誤差を有する評価対象データ(実線)のグラフを描くことができる。その結果、角速度検出装置5の感度や非直線性等の検出性能を正しく評価することができる。
図12は、第1実施形態に係る角速度検出装置5の評価方法の一例を示すフローチャート図である。
図12の例では、まず、角速度印加装置3の回転板3aに、基準となる角速度検出装置6を取り付ける(S10)。上述したように、基準となる角速度検出装置6を回転板3aに固定したまま、評価対象の角速度検出装置5を取り換えて評価するのであれば、この工程S10は、最初の角速度検出装置5を評価する場合にのみ行えばよい。
次に、角速度印加装置3の回転板3aに、評価対象の角速度検出装置5を取り付ける(S20)。
次に、評価装置2が、角速度印加装置3の回転板3aを回転させて、評価対象の角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)と基準となる角速度検出装置の出力データ(基準データ)を取得する(S30)。
次に、評価装置2が、工程S30で取得した評価対象データ及び基準データの少なくとも一方に対して、評価対象データと基準データとの間の時間差を加味した補正処理を行う(S40)。本実施形態では、基準データの遅延時間d2は既知であり、また、評価対象の角速度検出装置5の特性が既知であれば評価対象データの遅延時間d1を推定することができるので、評価対象データと基準データとの間の時間差d1−d2をほぼ正確に推定することができる。工程S40において、評価装置2は、例えば、評価対象データをこの時間差の分だけずらして、評価対象データの遅延時間を基準データの遅延時間と一致させ、あるいは、基準データをこの時間差の分だけずらして、基準データの遅延時間を評価対象データの遅延時間と一致させる補正処理を行う。あるいは、評価装置2は、評価対象データと基準データの両方をずらして、評価対象データの遅延時間と基準データの遅延時間とを一致させる補正処理を行ってもよい。
最後に、評価装置2が、工程S40の補正処理により得られた評価対象データ及び基準データを用いて、評価対象の角速度検出装置5の検出性能を評価する(S50)。
[効果]
以上に説明したように、本実施形態に係る角速度検出装置の評価方法によれば、評価対象の角速度検出装置5が角速度印加装置3の回転板3aの回転運動により生じる角速度を検出し、角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)及び回転板3aの回転運動における角速度のデータ(基準データ)の少なくとも一方に補正処理を行うことにより、評価対象データと基準データとの時間差が小さい状態となる。従って、当該補正処理により得られた評価対象データ及び基準データを用いて、角速度検出装置5の検出性能を適正に評価することができる。
1−2.第2実施形態
評価対象の角速度検出装置5の特性が未知の場合、その出力データ(評価対象データ)の遅延時間d1を推定することができない。また、角速度検出装置5ごとに出力データ(評価対象データ)の遅延時間d1が大きくばらつく場合もある。第2実施形態に係る角速度検出装置の評価方法では、角速度検出装置5の出力データの遅延時間において、ローパスフィルターとして機能するフィルター回路38の遅延時間が支配的であることに着目し、評価装置2が、フィルター回路38の入出力特性(遅延時間)を取得して評価対象データの遅延時間d1を推定し、評価対象データと基準データとの間の時間差d1−d2を算出する。以下では、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付し、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と重複する説明を省略する。
図13は、第2実施形態に係る評価方法を実施するための角速度検出装置5の検出回路30の構成例を示す図である。図13において、図7と同じ構成要素には同じ符号を付しており、その説明を省略する。図13に示す検出回路30は、図7の構成に対してスイッチ61とスイッチ62が付加された構成である。
スイッチ61は、可変ゲインアンプ37の出力端子と信号処理回路200のSO端子のいずれか一方をフィルター回路38の入力端子と接続する。
スイッチ62は、出力バッファー39の出力端子とフィルター回路38の出力端子のいずれか一方を信号処理回路200のVOUT端子と接続する。
本実施形態では、角速度検出装置5は、シリアルインターフェース回路50を介して、通常動作モードとフィルターテストモードを含む複数の動作モードに設定可能に構成されており、通常動作モードでは、スイッチ61が可変ゲインアンプ37の出力端子をフィルター回路38の入力端子と接続するとともに、スイッチ62が出力バッファー39の出力端子をVOUT端子と接続する。また、フィルターテストモードでは、スイッチ61がSO端子をフィルター回路38の入力端子と接続するとともに、スイッチ62がフィルター回路38の出力端子をVOUT端子と接続する。
なお、フィルターテストモードにおいて、スイッチ61がフィルター回路38の入力端子と接続する端子はSO端子以外の端子であってもよいし、スイッチ62がフィルター回路38の出力端子と接続する端子はVOUT端子以外の端子であってもよい。
図14は、第2実施形態に係る角速度検出装置5の評価方法の一例を示すフローチャート図である。
図14の例では、図12と同様に、まず、角速度印加装置3の回転板3aに、基準となる角速度検出装置6と評価対象の角速度検出装置5を取り付ける(S10,S20)。
次に、評価装置2が、角速度検出装置5をフィルターテストモードに設定する(S22)。この工程S22により、SO端子とフィルター回路38の入力端子が接続されるとともに、フィルター回路38の出力端子とVOUT端子が接続される。
次に、評価装置2が、フィルター回路38に、フィルター回路38のカットオフ周波数よりも低い所望の周波数の信号を入力して得られたフィルター回路38の入出力特性結果に基づいて、評価対象の角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)と基準となる角速度検出装置6の出力データ(基準データ)との間の時間差を算出する(S24)。図8からも明らかなように、カットオフ周波数よりも低い周波数範囲でもフィルター回路38の遅延時間は入力信号の周波数ごとに異なる。工程S24において、評価装置2は、後続の工程S30での回転板3aの回転運動において角速度を変化させる周波数(図8に示した正弦波の周波数)の信号をSO端子に入力し、VOUT端子から出力される信号を取得することで得られるフィルター回路38の遅延時間に基づき、評価対象データと基準データとの間の時間差を算出する。例えば、評価装置2は、フィルター回路38の遅延時間を評価対象データの遅延時間d1として推定し、基準データの遅延時間d2(既知)との時間差d1−d2を算出してもよいし、フィルター回路38の遅延時間に、検出回路30におけるフィルター回路38を除く回路の遅延時間を設計情報等から見積もって加算して評価対象データの遅延時間d1を推定し、基準データの遅延時間d2(既知)との時間差d1−d2を算出してもよい。
次に、評価装置2が、角速度検出装置5を通常動作モードに設定する(S26)。この工程S26により、可変ゲインアンプ37の出力端子とフィルター回路38の入力端子が接続されるとともに、出力バッファー39の出力端子とVOUT端子が接続される。
次に、図12と同様に、評価装置2が、角速度印加装置3の回転板3aを回転させて、評価対象の角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)と基準となる角速度検出装置の出力データ(基準データ)を取得する(S30)。
次に、評価装置2が、工程S30で取得した評価対象データ及び基準データの少なくとも一方に対して、工程S24で算出した評価対象データと基準データとの間の時間差を加味した補正処理を行う(S40)。
最後に、図12と同様に、評価装置2が、工程S40の補正処理により得られた評価対象データ及び基準データを用いて、評価対象の角速度検出装置5の検出性能を評価する(S50)。
第2実施形態に係る角速度検出装置の評価方法によれば、評価対象の角速度検出装置5の特性が未知の場合や、角速度検出装置5ごとに出力遅延時間が大きくばらつく場合でも、フィルター回路38の入出力特性(遅延時間)に基づいて、角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)の遅延時間を推定することができる。従って、評価対象データと基準データとの時間差が小さい状態で、角速度検出装置5の検出性能を適正に評価することができる。
1−3.第3実施形態
第1実施形態及び第2実施形態では、評価装置2が、評価対象の角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)と基準となる角速度検出装置6の出力データ(基準データ)との間の時間差d1−d2に基づいて補正処理を行うため、評価プログラムが複雑になる。第3実施形態に係る角速度検出装置の評価方法では、評価対象の角速度検出装置5の検出回路30がこの補正処理を行うことで、評価プログラムを簡易化する。以下では、第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付し、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と重複する説明を省略する。
図15は、第3実施形態に係る評価方法を実施するための角速度検出装置5の検出回路30の構成例を示す図である。図15において、図7と同じ構成要素には同じ符号を付しており、その説明を省略する。図15に示す検出回路30は、図7の構成に対してスイッチ63とフィルター回路70が付加された構成である。
フィルター回路70は、フィルター回路38と同様に、可変ゲインアンプ37の出力信号に含まれる高周波成分を除去するとともに仕様で決められる周波数範囲の信号を通過させるローパスフィルターとして機能する。
スイッチ63は、フィルター回路38の出力端子とフィルター回路70の出力端子のいずれか一方を出力バッファー39の入力端子と接続する。本実施形態では、角速度検出装置5は、シリアルインターフェース回路50を介して、通常動作モードと検出性能評価モードを含む複数の動作モードに設定可能に構成されており、通常動作モードでは、スイッチ63がフィルター回路38の出力端子を出力バッファー39の出力端子と接続する。また、検出性能評価モードでは、スイッチ63がフィルター回路70の出力端子を出力バッファー39の出力端子と接続する。
フィルター回路70の遅延時間は、フィルター回路38の遅延時間とは異なり、検出性能評価モードでの角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)の遅延時間d3と角速度検出装置6の出力データ(基準データ)の遅延時間d2がほぼ一致するように設計されている。従って、通常動作モードでの評価対象データの遅延時間d1が基準データの遅延時間d2よりも小さい場合は、フィルター回路70の遅延時間はフィルター回路38の遅延時間よりも大きく、通常動作モードでの評価対象データの遅延時間d1が基準データの遅延時間d2よりも大きい場合は、フィルター回路70の遅延時間はフィルター回路38の遅延時間よりも小さい。
そして、検出性能評価モードでは、角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)の遅延時間d3と角速度検出装置6の出力データ(基準データ)の遅延時間d2がほぼ一致するようになる。すなわち、スイッチ63及びフィルター回路70は、通常動作モードにおいてフィルター回路38の入出力特性に伴い発生する評価対象データと基準データと
の間の時間差d1−d2を加味した補正処理を行う補正部として機能する。
図16は、第3実施形態に係る角速度検出装置5の評価方法の一例を示すフローチャート図である。
図16の例では、図12と同様に、まず、角速度印加装置3の回転板3aに、基準となる角速度検出装置6と評価対象の角速度検出装置5を取り付ける(S10,S20)。
次に、評価装置2が、角速度検出装置5を検出性能評価モードに設定する(S28)。この工程S28により、フィルター回路70の出力端子と出力バッファー39の出力端子が接続され、角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)の遅延時間d3と角速度検出装置6の出力データ(基準データ)の遅延時間d2がほぼ一致するようになる。
次に、図12と同様に、評価装置2が、角速度印加装置3の回転板3aを回転させて、評価対象の角速度検出装置5の出力データ(評価対象データ)と基準となる角速度検出装置の出力データ(基準データ)を取得する(S30)。
最後に、図12と同様に、評価装置2が、工程S30で取得した評価対象データ及び基準データを用いて、評価対象の角速度検出装置5の検出性能を評価する(S52)。
第3実施形態に係る角速度検出装置の評価方法によれば、検出回路30のスイッチ63及びフィルター回路70の補正処理により、評価対象の角速度検出装置5の出力データの遅延時間d3と基準データの遅延時間d2がほぼ一致した状態となるので、当該出力データ及び当該基準データを用いて、角速度検出装置5の検出性能を適正に評価することができる。そして、評価装置2は、第1実施形態や第2実施形態のような補正処理を行う必要がないので、評価プログラムを簡易化することができる。
1−4.変形例
第1実施形態〜第3実施形態では、評価対象の角速度検出装置5の検出軸が1つであるが、複数の検出軸を有する構成でもよい。図17は、3軸の角速度を検出する角速度検出装置5の構成例を示す図である。図17の例では、評価対象の角速度検出装置5は、3つの振動子(センサー素子)100x,100y,100z及び3つの信号処理回路200x,200y,200zを含んで構成されている。
3つの振動子100x,100y,100zは、互いに検出軸がほぼ直行するように配置されており、それぞれx軸回りの角速度信号、y軸回りの角速度信号、z軸回りの角速度信号を出力する角速度検出部として機能する。
信号処理回路200x,200y,200zは、それぞれ振動子100x,100y,100zと接続されており、x軸回りの検出データ(x軸の評価対象データ)、y軸回りの検出データ(y軸の評価対象データ)、z軸回りの検出データ(y軸の評価対象データ)を出力する。なお、信号処理回路200x,200y,200zの構成は、図2、図6及び図7と同様であり、それぞれフィルター回路38を有している。
この変形例の評価方法では、例えば、まず、図12、図14、又は図16の工程S20において、x軸が回転板3aの回転軸と一致するように角速度検出装置5を回転板3aに取り付け、工程S30で取得したx軸の評価対象データを用いて、評価対象の角速度検出装置5のx軸の検出性能を評価する。次に、図12、図14、又は図16の工程S20において、y軸が回転板3aの回転軸と一致するように角速度検出装置5を回転板3aに取り付け、工程S30で取得したy軸の評価対象データを用いて、評価対象の角速度検出装
置5のy軸の検出性能を評価する。最後に、図12、図14、又は図16の工程S20において、z軸が回転板3aの回転軸と一致するように角速度検出装置5を回転板3aに取り付け、工程S30で取得したz軸の評価対象データを用いて、評価対象の角速度検出装置5のz軸の検出性能を評価する。
なお、信号処理回路200x,200y,200zがそれぞれ有するフィルター回路38のカットオフ周波数が異なる場合、信号処理回路200x,200y,200zの遅延時間も異なる。すなわち、x軸、y軸、z軸の各評価対象データの遅延時間t1x,t1y,t1zが異なるのに対して、基準データの遅延時間t2は一定であるため、評価装置2あるいは角速度検出装置5が、x軸、y軸、z軸の各評価対象データに関してそれぞれ異なる補正量で補正処理を行えばよい。
この変形例に係る角速度検出装置の評価方法によれば、信号処理回路200x,200y,200zがそれぞれ有する検出回路30のスイッチ63及びフィルター回路70の補正処理により、角速度検出装置5の3軸分の出力データの各々の遅延時間と基準データの遅延時間がほぼ一致した状態となるので、当該3軸分の出力データ及び当該基準データを用いて、角速度検出装置5の3軸分の検出性能を適正に評価することができる。
2.電子機器
図18は、本実施形態の電子機器の構成の一例を示す機能ブロック図である。また、図19は、本実施形態の電子機器の一例であるスマートフォンの外観の一例を示す図である。
本実施形態の電子機器300は、角速度検出装置310、CPU(Central Processing
Unit)320、操作部330、ROM(Read Only Memory)340、RAM(Random Access Memory)350、通信部360、表示部370を含んで構成されている。なお、本実施形態の電子機器は、図18の構成要素(各部)の一部を省略又は変更し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
角速度検出装置310は、角速度を検出し、検出した角速度に応じたレベルの信号(検出データ)を出力する装置である。角速度検出装置310として、例えば、上述した各実施形態又は変形例の角速度検出装置5を適用することができる。また、角速度検出装置310は、信号処理回路312を含んで構成されており、信号処理回路312として、例えば、上述した各実施形態の信号処理回路200を適用することができる。
CPU320は、ROM340等に記憶されているプログラムに従い、角速度検出装置310から入力される信号を用いて各種の計算処理や制御処理を行う。その他、CPU320は、操作部330からの操作信号に応じた各種の処理、外部装置とデータ通信を行うために通信部360を制御する処理、表示部370に各種の情報を表示させるための表示信号を送信する処理等を行う。
操作部330は、操作キーやボタンスイッチ等により構成される入力装置であり、ユーザーによる操作に応じた操作信号をCPU320に出力する。
ROM340は、CPU320が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムやデータ等を記憶している。
RAM350は、CPU320の作業領域として用いられ、ROM340から読み出されたプログラムやデータ、操作部330から入力されたデータ、CPU320が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。
通信部360は、CPU320と外部装置との間のデータ通信を成立させるための各種制御を行う。
表示部370は、LCD(Liquid Crystal Display)等により構成される表示装置であり、CPU320から入力される表示信号に基づいて各種の情報を表示する。表示部370には操作部330として機能するタッチパネルが設けられていてもよい。
角速度検出装置310として、例えば上述した各実施形態又は変形例の角速度検出装置5を適用し、あるいは、角速度検出装置310に含まれる信号処理回路312として、例えば上述した各実施形態の信号処理回路200を適用することにより、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
このような電子機器300としては種々の電子機器が考えられ、例えば、パーソナルコンピューター(例えば、モバイル型パーソナルコンピューター、ラップトップ型パーソナルコンピューター、タブレット型パーソナルコンピューター)、スマートフォンや携帯電話機などの移動体端末、ディジタルカメラ、インクジェット式吐出装置(例えば、インクジェットプリンター)、ルーターやスイッチなどのストレージエリアネットワーク機器、ローカルエリアネットワーク機器、移動体端末基地局用機器、テレビ、ビデオカメラ、ビデオレコーダー、カーナビゲーション装置、リアルタイムクロック装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ゲーム用コントローラー、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシミュレーター、ヘッドマウントディスプレイ、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、PDR(歩行者位置方位計測)等が挙げられる。
3.移動体
図20は、本実施形態の移動体の一例を示す図(上面図)である。図20に示す移動体400は、角速度検出装置410,420,430、コントローラー440,450,460、バッテリー470、ナビゲーション装置480を含んで構成されている。なお、本実施形態の移動体は、図20の構成要素(各部)の一部を省略し、あるいは、他の構成要素を付加した構成としてもよい。
角速度検出装置410,420,430、コントローラー440,450,460、ナビゲーション装置480は、バッテリー470から供給される電源電圧で動作する。
コントローラー440,450,460は、それぞれ、角速度検出装置410,420,430が出力する物理量信号の一部又は全部を用いて、姿勢制御システム、横転防止システム、ブレーキシステム等の各種の制御を行う。
ナビゲーション装置480は、内蔵のGPS受信機(不図示)の出力情報に基づき、移動体400の位置や時刻その他の各種の情報をディスプレイに表示する。また、ナビゲーション装置480は、角速度検出装置490を内蔵しており、GPSの電波が届かない時でも角速度検出装置490の出力信号に基づいて移動体400の位置や向きの計算を行い、必要な情報の表示を継続する。
角速度検出装置410,420,430,490は、検出した角速度に応じたレベルの信号(検出データ)を出力する装置である。
例えば、角速度検出装置410,420,430,490として、上述した各実施形態又は変形例の角速度検出装置5を適用し、あるいは、角速度検出装置410,420,430,490に含まれる信号処理回路(不図示)として、上述した各実施形態の信号処理回路200を適用することにより、信頼性の高い移動体を実現することができる。
このような移動体400としては種々の移動体が考えられ、例えば、自動車(電気自動車も含む)、ジェット機やヘリコプター等の航空機、船舶、ロケット、人工衛星等が挙げられる。
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上述した各実施形態では、基準となる角速度検出装置6を回転板3aに取り付けて、その出力データを基準データとして用いているが、角速度印加装置3の回転精度が十分であれば、基準となる角速度検出装置6を用いずに、評価装置2が角速度印加装置3の制御信号に応じた角速度を算出して出力電圧に換算し、基準データを作成してもよい。
また、例えば、振動子100の振動片は、ダブルT型でなくてもよく、例えば、音叉型やくし歯型であってもよいし、三角柱、四角柱、円柱状等の形状の音片型であってもよい。また、振動子100の振動片の材料としては、水晶(SiO2)の代わりに、例えば、タンタル酸リチウム(LiTaO3)、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)等の圧電単結晶やジルコン酸チタン酸鉛(PZT)等の圧電セラミックスなどの圧電性材料を用いてもよいし、シリコン半導体を用いてもよい。また、例えば、シリコン半導体の表面の一部に、駆動電極に挟まれた酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)等の圧電薄膜を配置した構造であってもよい。
また、例えば、振動子100は、圧電型の振動子に限らず、動電型、静電容量型、渦電流型、光学型、ひずみゲージ型等の振動式の振動子であってもよい。あるいは、振動子100の方式は、振動式に限らず、例えば、光学式、回転式、流体式であってもよい。
なお、上述した各実施形態や変形例では、評価対象の装置が角速度検出装置であったが、本発明は、角速度以外の物理量、例えば、角加速度、加速度、速度、力などの物理量を検出する物理量検出装置の評価方法にも応用することができる。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。