JPWO2017086376A1 - 二酸化バナジウム含有粒子の製造方法 - Google Patents

二酸化バナジウム含有粒子の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の課題は、サーモクロミック性及び保存安定性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法を提供することである。本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、水熱反応により、二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程と、二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程と、を有し、二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程では、80個数%以上の二酸化バナジウム含有粒子の粒径を50nm以下とすることを特徴とする。

Description

本発明は、二酸化バナジウム含有粒子の製造方法に関し、より詳しくは、サーモクロミック性及び保存安定性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法に関する。
二酸化バナジウム(VO)粒子は、温度変化によって光透過率や光反射率等の光学特性が可逆的に変化するサーモクロミック現象を示す材料として注目されている。
二酸化バナジウム粒子の結晶構造には、A相、B相、C相及びR相(いわゆる「ルチル型の結晶相」のことをいう。)など、いくつかの結晶相の多形が存在する。この中でも、前述のようなサーモクロミック現象を示す結晶構造は、R相に限られる。このR相は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M相とも呼ばれている。
このような二酸化バナジウム粒子において、実質的に優良なサーモクロミック性を発現させるためには、粒径がナノメートルオーダーであり、凝集がなく、狭い粒径分布であることが望ましい。
このような粒子を作製する技術として、水熱合成法が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。当該水熱合成法によれば、粒径がナノメートルオーダーの粒子を作製することが可能となる。
しかしながら、二酸化バナジウム粒子をウィンドウフィルム等に用いる場合、ヘイズの発生を防ぐために二酸化バナジウム粒子の粒径を40nm以下にする必要があるが、水熱合成法のみではこのような二酸化バナジウム粒子を作製するには不十分である。加えて、均一な粒径を有する二酸化バナジウム粒子を合成するのは困難であり、粒径40nm以上の粒子が混在してしまう。
このように混在してしまった粒径の大きい粒子を取り除く手段として濾過などが考えられるが、粒径200nm程度の粒子は濾過時に目詰まりを起こしてしまい、取り除くことが困難である。
より粒径の小さい二酸化バナジウム粒子を得る方法として、二酸化バナジウム粒子を破砕することが考えられる(例えば、特許文献2参照。)。
当該特許文献2には、ビーズミルを用いた破砕方法・条件が紹介されているが、粒径の大きい粒子を破砕すると結晶構造に多くの欠損部位が生じるため、サーモクロミック性や保存安定性が低下してしまう。
特開2011−178825号公報 特開2012−250879号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、サーモクロミック性及び保存安定性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、水熱反応により、二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程と、二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程と、を有し、二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程において、80個数%以上の二酸化バナジウム含有粒子の粒径を50nm以下とすることにより、サーモクロミック性及び保存安定性に優れた二酸化バナジウム含有粒子を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、
水熱反応により、二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程と、
前記二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程と、
を有し、
前記二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程では、80個数%以上の前記二酸化バナジウム含有粒子の粒径を50nm以下とすることを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
2.前記二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程では、水熱反応により、粒径が100nm以下である二酸化バナジウム含有粒子を70個数%以上形成することを特徴とする第1項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
3.前記二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程では、少なくとも、バナジウム化合物と還元剤と水とを混合して水熱反応させることを特徴とする第1項又は第2項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
4.前記還元剤が、シュウ酸、ギ酸、ヒドラジン、又はそれらの水和物であることを特徴とする第3項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
5.前記二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程では、230℃以上で水熱反応を行い、かつ、反応系が25℃から200℃に到達するまでの時間を1時間以内とすることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
本発明の上記手段により、サーモクロミック性及び保存安定性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、水熱反応により二酸化バナジウム含有粒子を形成した後、80個数%以上の二酸化バナジウム含有粒子の粒径が50nm以下となるように破砕することを特徴としている。
特許文献1に記載の方法では粒径の大きい粒子が混在してしまうが、上記のように、水熱反応により合成した粒子を破砕することで、欠損部位を最小限にしつつ、目的とする粒径の二酸化バナジウム含有粒子を得ることができる。また、水熱反応で合成した粒子は、焼成法などで作製された粒子よりも結晶性がわずかに低く、破砕しやすいため、より少ない破砕処理で目的の粒径とすることができるものと考えられる。
以上のように、本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法により作製された二酸化バナジウム含有粒子は80個数%以上の粒径が50nm以下であるため、ウィンドウフィルムに混合して使用した場合であってもヘイズ値が小さく、また、欠損部位を最小限にとどめているため、サーモクロミック性と、サーモクロミック性の保存安定性も維持できているものと推察される。
本発明のサーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、水熱反応により、二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程と、二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程と、を有し、二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程では、80個数%以上の二酸化バナジウム含有粒子の粒径を50nm以下とすることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程において、水熱反応により、粒径が100nm以下である二酸化バナジウム含有粒子を70個数%以上形成することが好ましい。これにより、より欠損部位を最小限にし、サーモクロミック性とその保存安定性も維持することができる。
また、サーモクロミック性を発現する二酸化バナジウム含有粒子を得る観点から、二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程では、少なくとも、バナジウム化合物と還元剤と水とを混合して水熱反応させることが好ましい。
また、粒径が100nm以下である二酸化バナジウム含有粒子を70個数%以上安定して製造できる点から、還元剤がシュウ酸、ギ酸、ヒドラジン、又はそれらの水和物であることが好ましく、更には、230℃以上で水熱反応を行い、かつ、反応系が25℃から200℃に到達するまでの時間を1時間以内とすることが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
《二酸化バナジウム含有粒子の製造方法》
本発明のサーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法は、水熱反応により、二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程と、二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程と、を有し、二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程では、80個数%以上の二酸化バナジウム含有粒子の粒径を50nm以下とすることを特徴とする。
なお、本発明において、二酸化バナジウム含有粒子の粒径は、レーザー回折式粒度分布計で測定し、例えば、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置等を用いることができる。測定対象物(サンプル)の適正な濃度範囲は、各装置により異なるため、適宜濃縮、希釈して用いる。
〈水熱反応〉
本発明においては、少なくとも、バナジウム化合物と還元剤と水とを混合して水熱反応させることにより、二酸化バナジウム含有粒子を合成することが好ましい。バナジウム化合物を水熱反応下で還元することで、ルチル型の結晶構造(R相(M層))を有する二酸化バナジウム含有粒子を作製することができる。
本発明において、水熱反応とは、温度と圧力が水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低く、100℃以上の熱水(亜臨界水)中において進行する化学反応を意味する。水熱反応は、例えば、オートクレーブ装置等の密閉容器内で実施される。このとき、過酸化水素を混合していてもよい。
水熱反応処理の条件(反応物の量、処理温度、処理圧力、処理時間)は、適宜設定されるが、水熱反応の液温としては、例えば、200〜350℃の範囲内であることが好ましく、200〜300℃の範囲内であることがより好ましく、230〜300℃の範囲内であることが特に好ましい。液温が200℃以上であれば十分な反応速度が得られる。
また、本発明においては、230℃以上で水熱反応を行い、かつ、反応系が25℃から200℃に到達するまでの時間を2時間以内、より好ましくは1時間以内とすることが好ましい。これにより、作製される二酸化バナジウム含有粒子を小粒径化することができる。
また、水熱反応時間は、例えば、1時間〜7日である。時間を長くすることにより、得られる二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径等を制御することができ、7日以内であると、エネルギー消費量が多くなりすぎることを抑制できる。
また、水熱反応は、撹拌されながら行われることが、二酸化バナジウム含有粒子の粒径をより均一化できるため、好ましい。
水熱反応は、バッチ式又は連続式のいずれの方法で実施してもよい。
また、水熱反応では、粒径が100nm以下である二酸化バナジウム含有粒子を70個数%以上形成することが好ましい。
水熱反応により作製される二酸化バナジウム含有粒子の粒径を制御する方法としては、水熱反応時の温度、昇温速度等を適宜選択することにより制御することができる。特に、粒径には昇温速度の影響が大きく、200℃までの昇温速度を1時間以内とすることで所望の粒径に制御することが可能となる。
反応終了後は、速やかに150℃以下まで冷却することが好ましい。より好ましくは、30分以内に150℃以下まで冷却する。
また、限外濾過を用いて溶媒の置換を行い、洗浄を行ってもよい。
二酸化バナジウム含有粒子は、所定の溶媒(分散媒)中に分散させて、分散液としてもよい。分散媒としては、特に限定されるものではなく、公知のものを使用することができる。
(限外濾過)
限外濾過としては、例えば、Sartorius stedim社製、ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量5000)を用いて、流速300mL/min、液圧1bar(0.1MPa)、常温(20〜30℃)で濾過を行うことができる。
〈破砕工程〉
水熱反応により作製された二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程では、80個数%以上の二酸化バナジウム含有粒子の粒径を50nm以下とすることを特徴とする。
二酸化バナジウム含有粒子を破砕する方法としては特に制限はないが、例えば、高速撹拌機、高圧ホモジナイザー、ビーズミル、振とう機等の装置を使用して行うことができる。中でも、粒子の微小化の観点で高圧ホモジナイザーやビーズミルを用いて破砕することが好ましい。
高圧ホモジナイザーとは、加速された高流速によるせん断力、急激な圧力降下(キャビテーション)及び高流速の粒子同士が微細オリフィス内で対面衝突することによる衝撃力によって磨砕を行う装置であり、市販されている装置としては、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社製)、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製)等を用いることができる。高圧ホモジナイザーによる破砕の程度は、高圧ホモジナイザーへ圧送する圧力と高圧ホモジナイザーに通過させる回数(パス回数)に依存する。
ビーズミルは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、撹拌されているビーズ中に粒子と媒体からなるスラリーを流し込み、媒体中でビーズとともに撹拌することにより凝集粒子を砕いて粉砕、分散する工程を有する装置である。また、スラリーとビーズの分離に遠心分離を用いる装置もある。このようなビーズミルとしては、スターミルZRS(アシザワファインテック(株)製)、ウルトラアペックスミル(寿工業(株)製)、MSC−MILL(三井鉱山株式会社)などがある。
ビーズミルで用いるビーズは特に限定されず、金属製、セラミック製等が挙げられるが、例えば、ジルコニアビーズ、アルミナビーズ等を用いることができる。
ビーズの大きさは、目的に合わせて選定するが、例えば、適用するビーズの粒径としては0.03〜0.3mm程度のものが好ましい。
ビーズミルを用いた破砕は、ビーズを容器内に10〜80体積%の範囲内となるようにして用いるのが好ましい。
また、ビーズミルでの処理時間は10分間から24時間程度が好ましく、これ以上の処理を行うとビーズからのコンタミが混入する可能性がある。
また、破砕時には必要に応じて、分散剤を添加することができる。市販のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、金属アルコキシドなどを好ましく用いることができる。分散剤の添加量は、粒子質量の40質量%以下であることが好ましい。
《二酸化バナジウム含有粒子》
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、少なくとも二酸化バナジウムを含んで構成され、これにより、サーモクロミック性を発現することができる。
二酸化バナジウム含有粒子が有するサーモクロミック性としては、温度変化によって光透過率や光反射率等の光学特性が可逆的に変化すれば特に限定されるものではない。例えば、25℃/50%RH及び85℃/50%RHにおける光透過率(二酸化バナジウム含有粒子を添加したフィルムの光透過率)の差(=25℃/50%RHにおける光透過率−85℃/50%RHにおける光透過率)が30%以上であることが好ましい。
二酸化バナジウム含有粒子を添加したフィルムの光透過率は、例えば、分光光度計V−670(日本分光株式会社製)を用いて、波長2000nmにおける光透過率として測定することができる。
二酸化バナジウム含有粒子を添加したフィルムの光透過率は、高いほど好ましいが、70%以上であることが好ましい。
また、本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、80個数%以上の粒径が50nm以下であることを特徴とする。このため、本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子をウィンドウフィルムに混合して使用した場合であってもヘイズ値が小さく、また、欠損部位を最小限に止めているため、サーモクロミック性とその保存安定性を維持することができる。
《バナジウム化合物》
本発明に係るバナジウム化合物としては、特に限定されないが、五酸化二バナジウム(V)、バナジン酸アンモニウム又は三塩化酸化バナジウムであることが好ましい。
《還元剤》
本発明に係る還元剤としては、特に限定されないが、シュウ酸、ギ酸、ヒドラジン、又はそれらの水和物であることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、本実施例において、作製された粒子の粒径分布は、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定した。具体的には、粒子を1質量%の濃度となるように水と混合し、超音波で15分間分散してサンプルを作製し、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定した。
《サンプルの作製》
〈サンプル101の作製〉
特許第5625172号公報の実施例1を参考にして、二酸化バナジウム粒子を作製した。
この二酸化バナジウム粒子には、粒径が100nm以下である粒子が32個数%含まれていた。
作製した粒子にビーズミルを行い、粒子の破砕を行った。
まず、粒子と水とを混合し、10質量%の分散液500mLとした。この分散液に、粒径0.1mmのジルコニアビーズを200g混合し、ウルトラアペックスミル(寿工業(株)製)を用いて、20分間、破砕を行い、サンプル101を作製した。
サンプル101は、81個数%の二酸化バナジウム含有粒子の粒径が50nm以下であった。
〈サンプル102の作製〉
35質量%の過酸化水素水(和光純薬社製)2mLと純水15mLとを混合した水溶液に、五酸化二バナジウム(V)(V、特級、和光純薬)0.55gを加え、30℃で4時間撹拌後、ヒドラジン一水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の1.25mol/L水溶液を2.4mLゆっくり滴下した。
調製した混合液を、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mlセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学社製)に入れて、260℃・48時間の水熱反応を行った。
この際、25℃から200℃までの昇温時間を3時間とした。
この二酸化バナジウム含有粒子には、粒径が100nm以下である粒子が31個数%含まれていた。
反応後、得られた生成物について限外濾過を用いて洗浄を行い、二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を調製した。
調製した分散液にビーズミルを行い、粒子の破砕を行った。
まず、分散液を濃縮することで、10質量%の分散液500mLとした。この分散液に、粒径0.1mmのジルコニアビーズを200g混合し、ウルトラアペックスミル(寿工業(株)製)を用いて、15分間、破砕を行い、サンプル102を作製した。
サンプル102は、73個数%の二酸化バナジウム含有粒子の粒径が50nm以下であった。
〈サンプル103の作製〉
サンプル102の作製において、ビーズミルによる破砕時間を20分間とした以外は同様にして、サンプル103を作製した。
破砕後のサンプル103は、82個数%の二酸化バナジウム含有粒子の粒径が50nm以下であった。
〈サンプル104の作製〉
サンプル103の作製において、25℃から200℃までの昇温時間を1時間とした以外は同様にして、サンプル104を作製した。
水熱反応直後の二酸化バナジウム含有粒子には、粒径が100nm以下である粒子が72個数%含まれていた。
また、破砕後のサンプル104は、81個数%の二酸化バナジウム含有粒子の粒径が50nm以下であった。
〈サンプル105の作製〉
サンプル104の作製において、ビーズミルによる破砕時間を45分間とした以外は同様にして、サンプル105を作製した。
破砕後のサンプル105は、92個数%の二酸化バナジウム含有粒子の粒径が50nm以下であった。
〈サンプル106の作製〉
サンプル105の作製において、25℃から200℃までの昇温時間を45分間とした以外は同様にして、サンプル106を作製した。
水熱反応直後の二酸化バナジウム含有粒子には、粒径が100nm以下である粒子が81個数%含まれていた。
また、破砕後のサンプル106は、91個数%の二酸化バナジウム含有粒子の粒径が50nm以下であった。
〈サンプル107の作製〉
サンプル105の作製において、以下のようにして水熱反応を行った以外は同様にして、サンプル107を作製した。
35質量%の過酸化水素水(和光純薬社製)2mLと純水20mLとを混合した水溶液に、五酸化二バナジウム(V)(V、特級、和光純薬)0.55gを加え、30℃で4時間撹拌後、シュウ酸二水和物(H・2HO、和光純薬社製、特級)の1.25mol/L水溶液を3.0mLゆっくり滴下した。
調製した混合液を、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mlセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学社製)に入れて、260℃・48時間の水熱反応を行った。
この際、25℃から200℃までの昇温時間を1時間とした。
水熱反応直後の二酸化バナジウム含有粒子には、粒径が100nm以下である粒子が71個数%含まれていた。
また、破砕後のサンプル107は、91個数%の二酸化バナジウム含有粒子の粒径が50nm以下であった。
〈サンプル108の作製〉
サンプル105の作製において、以下のようにして水熱反応を行った以外は同様にして、サンプル108を作製した。
35質量%の過酸化水素水(和光純薬社製)2mLと純水20mLとを混合した水溶液に、五酸化二バナジウム(V)(V、特級、和光純薬)0.55gを加え、30℃で4時間撹拌後、ギ酸(HCOOH、和光純薬社製、特級)の1.25mol/L水溶液を3.0mLゆっくり滴下した。
調製した混合液を、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mlセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学社製)に入れて、260℃・48時間の水熱反応を行った。
この際、25℃から200℃までの昇温時間を1時間とした。
水熱反応直後の二酸化バナジウム含有粒子には、粒径が100nm以下である粒子が72個数%含まれていた。
また、破砕後のサンプル108は、92個数%の二酸化バナジウム含有粒子の粒径が50nm以下であった。
《評価》
〈ヘイズ値の測定〉
作製した各サンプルについて、粒子濃度が5質量%となるように純水を加え、分散液を調製した。分散液20gを、90gの10質量%ポリビニルアルコール水溶液と混合し、塗布液を調製した。ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ50μm)上に、上記塗布液を乾燥後膜厚が5μmとなるようにワイヤーバーで塗布し、60℃で24時間乾燥して測定用フィルムとした。なお、上記塗布液を塗布・乾燥して形成される層中の二酸化バナジウム含有粒子の含有量は、当該層の固形分に対して10質量%となるように調整した。
この測定用フィルムを用いて、日本電色工業株式会社製 ヘーズメーター NDH7000を用いてヘイズ値(%)の測定を行い、下記評価基準に従って評価した。ヘイズ値は、小さいほど透明フィルムとして良好であることを示す。
評価結果を表1に示す。
◎:4%未満
○:4%以上7%未満
×:7%以上
〈サーモクロミック性〉
上記で作製した各測定用フィルムを用いて、25℃/50%RH及び85℃/50%RHの各条件における波長2000nmでのそれぞれの光透過率(%)を測定した後、光透過率差ΔT(%)(=25℃/50%RHにおける光透過率−85℃/50%RHにおける光透過率)を算出し、下記評価基準に従って評価した。光透過率の測定は、分光光度計V−670(日本分光(株)製)に温調ユニット(日本分光(株)製)を取り付けて行った。
評価結果を表1に示す。
◎:35.0%以上
○:30.0%以上35.0%未満
△:20.0%以上30.0%未満
×:20.0%未満
〈サーモクロミック性の保存安定性〉
上記で作製した各測定用フィルムを60℃/90%RH下に1000時間保存した後の光透過率差(ΔT(%))を上記サーモクロミック性の評価と同様にして算出し、保存前後でのサーモクロミック性の保持率(光透過率差(%)の減少幅)(%)を下記評価基準に従って評価した。
なお、サーモクロミック性の保持率(%)は、下記式に従って算出した。
評価結果を表1に示す。
保持率(%)=(保存後のΔT(%))/(保存前のΔT(%))×100
◎:90.0%以上
○:70.0%以上90.0%未満
△:50.0%以上70.0%未満
×:50.0%未満
Figure 2017086376
表1から明らかなように、本発明の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法により製造されたサンプル103〜108は、比較例のサンプル101及び102と比較して、サーモクロミック性及びその保存安定性に優れていることが示されている。サンプル101は、破砕前の二酸化バナジウム含有粒子を水熱方法ではなく、焼成により作製しているため、破砕による粒子の劣化(欠損部位)が大きく、その結果、サーモクロミック性及びその保存安定性が低下している。また、サンプル102は、破砕時間を短縮しているため、破砕による劣化が少なく、サンプル103と同程度の保存安定性が得られているが、粒径が大きいため、ヘイズ値が大きく、サーモクロミック性も悪くなっている。
以上から、水熱反応により、二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程と、二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程と、を有し、二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程では、80個数%以上の二酸化バナジウム含有粒子の粒径を50nm以下とする二酸化バナジウム含有粒子の製造方法が、サーモクロミック性及び保存安定性に優れた二酸化バナジウム含有粒子を提供することに有用であることがわかる。
本発明は、サーモクロミック性及び保存安定性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の製造方法を提供することに、特に好適に利用することができる。

Claims (5)

  1. サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子の製造方法であって、
    水熱反応により、二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程と、
    前記二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程と、
    を有し、
    前記二酸化バナジウム含有粒子を破砕する工程では、80個数%以上の前記二酸化バナジウム含有粒子の粒径を50nm以下とすることを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
  2. 前記二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程では、水熱反応により、粒径が100nm以下である二酸化バナジウム含有粒子を70個数%以上形成することを特徴とする請求項1に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
  3. 前記二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程では、少なくとも、バナジウム化合物と還元剤と水とを混合して水熱反応させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
  4. 前記還元剤が、シュウ酸、ギ酸、ヒドラジン、又はそれらの水和物であることを特徴とする請求項3に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
  5. 前記二酸化バナジウム含有粒子を形成する工程では、230℃以上で水熱反応を行い、かつ、反応系が25℃から200℃に到達するまでの時間を1時間以内とすることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の製造方法。
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