JP2017226771A - 二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法 - Google Patents

二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、分散性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法を提供することである。【解決手段】本発明の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法は、サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子の分散方法であって、水熱反応により合成され、経時とともにサーモクロミック性が変化する二酸化バナジウム含有粒子を準備する工程と、二酸化バナジウム含有粒子と分散剤とを混合し、二酸化バナジウム含有粒子を分散する工程と、を有することを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法に関し、より詳しくは、分散性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法に関する。
二酸化バナジウム(VO)粒子は、温度変化によって光透過率や光反射率等の光学特性が可逆的に変化するサーモクロミック現象を示す材料として注目されている。
二酸化バナジウム粒子の結晶構造には、A相、B相、C相及びR相(いわゆる「ルチル型の結晶相」のことをいう。)など、いくつかの結晶相の多形が存在する。この中でも、前述のようなサーモクロミック現象を示す結晶構造は、R相に限られる。このR相は、転移温度以下では、単斜晶系(monoclinic)の構造を有するため、M相とも呼ばれている。
このような二酸化バナジウム粒子において、実質的に優良なサーモクロミック性(TC性)を発現させるためには、粒径がナノメートルオーダーであり、凝集がなく、狭い粒径分布であることが望ましい。
このような粒子を作製する技術として、水熱合成法が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
水熱合成された二酸化バナジウム粒子は、バインダー等に混合して使用する際に、二酸化バナジウム粒子の凝集を防ぐため、その前処理として、適した分散剤を添加して二酸化バナジウム粒子をバインダーに分散させることが考えられる。
しかしながら、以上のような分散方法では、分散後の二酸化バナジウム粒子の安定性を十分に満たすことは困難であり、分散後に再凝集や沈殿が生じてしまうことが問題となっている。
特開2011−178825号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、分散性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、水熱反応により合成され、経時とともにサーモクロミック性(TC性)が変化する二酸化バナジウム含有粒子を準備する工程と、二酸化バナジウム含有粒子と分散剤とを混合し、二酸化バナジウム含有粒子を分散する工程と、を有する二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法が、分散性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の分散液を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法であって、
水熱反応により合成され、経時とともにサーモクロミック性が変化する二酸化バナジウム含有粒子を準備する工程と、
前記二酸化バナジウム含有粒子と分散剤とを混合し、前記二酸化バナジウム含有粒子を分散する工程と、
を有することを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
2.20℃及び80℃における前記分散液のサーモクロミック性を、前記分散剤を添加する直前から一定になるまで測定したとき、下記式(I)で表されるサーモクロミック性の変化幅が、5〜30%の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
式(I):サーモクロミック性の変化幅={(TL3−T)−(TL2−T)}%
ここで、TL3:サーモクロミック性が一定となったときの20℃(波長1300nm)における光透過率(%)
L2:前記分散剤を添加する直前の20℃(波長1300nm)における光透過率(%)
:80℃(波長1300nm)における光透過率(%)
3.前記式(I)で表されるサーモクロミック性の変化幅が、10〜30%の範囲内であることを特徴とする第2項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
4.前記分散剤が、アミノ基又はカルボキシ基を有していることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
5.前記分散剤が、アミノ基及びカルボキシ基を有していることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
6.前記二酸化バナジウム含有粒子を分散する工程を、水熱反応終了後から72時間以内に行うことを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
本発明の上記手段により、分散性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
本発明者は、これまでの検討において、反応液のpHの調製や還元剤種の選択により、二酸化バナジウム含有粒子の粒径を制御することを行ってきたが、同時に問題点として、低温時の光透過率が時間の経過とともに変化する粒子が生成されていることが解ってきた。
これは、二酸化バナジウム含有粒子を水熱反応で合成すると、一部粒子は還元反応が進みすぎて、粒子表面の酸素原子が電子を残して脱離する酸素欠損が生じてしまい、このため、低温時でも電子がドープされた状態(金属状態)の二酸化バナジウム含有粒子を含んでしまい、サーモクロミック性の低下が発生していると考えている。
この対応として、合成後の粒子を酸化して酸素欠損部位を補うことにより、サーモクロミック性を本来有している性能まで回復できることを報告している(特願2015−192610号)。
これに対し、本発明では、サーモクロミック性が経時で上昇・回復する粒子について、サーモクロミック性が回復する前の状態で分散剤を添加して粒子を分散させている。これにより、分散後の安定性が向上することがわかった。
これは、酸素欠損部位の存在により粒子表面の電荷が不安定な状態となり、この状態で分散剤を添加することで、より強固に粒子表面に分散剤が吸着し、安定な分散状態を保つことができるためと考えている。
二酸化バナジウム含有粒子の波長と光透過率との関係を示すグラフ
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法は、水熱反応により合成され、経時とともにサーモクロミック性が変化する二酸化バナジウム含有粒子を準備する工程と、二酸化バナジウム含有粒子と分散剤とを混合し、二酸化バナジウム含有粒子を分散する工程と、を有することを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、分散剤を二酸化バナジウム含有粒子表面に十分に吸着させる観点から、式(I)で表されるサーモクロミック性の変化幅が、5〜30%の範囲内であることが好ましく、10〜30%の範囲内であることがより好ましい。
また、分散剤は、アミノ基又はカルボキシ基を有していることが好ましく、特に、二酸化バナジウム含有粒子表面への吸着と、粒子間の電荷反発による分散状態を作る観点から、アミノ基及びカルボキシ基を有していることがより好ましい。
また、分散剤を二酸化バナジウム含有粒子表面に十分に吸着させる観点から、二酸化バナジウム含有粒子を分散する工程を水熱反応終了後から72時間以内に行うことが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
《二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法》
本発明の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法は、サーモクロミック性(TC性)を有する二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法であって、水熱反応により合成され、経時とともにサーモクロミック性が変化する二酸化バナジウム含有粒子を準備する工程と、二酸化バナジウム含有粒子と分散剤とを混合し、二酸化バナジウム含有粒子を分散する工程と、を有することを特徴とする。
ここで、「経時とともにサーモクロミック性が変化する」とは、水熱合成後の粒子の酸素欠損部位に酸素(O)が導入されて、低温時(例えば、20℃)での光透過率が時間の経過に伴って上昇していくこと、すなわち、高温時の光透過率と低温時の光透過率との差が大きくなることをいう。なお、本発明における光透過率は、波長1300nmにおける光透過率とする。
以下、図1を用いて詳細に説明する。
図1には、高温時(例えば、80℃)の波長−光透過率曲線(以下、単に曲線ともいう。)C、水熱合成直後の低温時(例えば、20℃)の曲線CL1、水熱合成から所定時間経過後であってサーモクロミック性の変化が終了する(サーモクロミック性が一定となる。)前の低温時の曲線CL2、及び、水熱合成後、所定時間経過し、サーモクロミック性の変化が終了したときの低温時の曲線CL3を示している。図1に示されるように、低温時の光透過率は、水熱合成直後から経時とともに変化する。
なお、サーモクロミック性の変化の終了は、波長1300nmにおける24時間あたりの光透過率の変化量が1%未満となった時点とする。サーモクロミック性の変化の終了までの間隔は、粒子合成条件により異なっていてもよい。
図1に示されるように、水熱合成直後の波長1300nmにおける高温時の光透過率はT(%)、低温時の光透過率はTL1(%)となっている。合成直後では、サーモクロミック性、すなわち高温時と低温時との光透過率差は(TL1−T)%であり、この状態でフィルム材料として適用すると十分なサーモクロミック性を得ることができない。
波長1300nmにおける低温時の光透過率は、上記したように粒子合成条件等によっては異なるものの、所定時間経過するとTL3(%)まで上昇・回復し(以下、サーモクロミック性が飽和する、ともいう。)、サーモクロミック性(光透過率差)も(TL3−T)%となる。しかし、水熱合成後、分散剤を添加することなく、単に所定時間経過させて低温時の光透過率を回復させてしまうと、安定した分散状態を保持することが困難となる。
そこで、本発明においては、二酸化バナジウム含有粒子のサーモクロミック性が変化する状態で、すなわち、光透過率がTL1(%)からTL3(%)まで回復するまでの間に(このとき、光透過率はTL2(%)とする。)、分散剤を添加して分散処理を施すことにより、より安定した分散状態を保持するというものである。
なお、分散処理後、光透過率がTL2(%)からTL3(%)までに回復するために要する時間は、分散処理を施していない場合と比較して、二酸化バナジウム含有粒子の粒子表面積が大きくなり、粒子表面に酸素(O)がより吸着しやすくなるため短くなる。
また、20℃及び80℃における分散液のサーモクロミック性を、分散剤を添加する直前から一定になるまで測定したとき、下記式(I)で表されるサーモクロミック性の変化幅が、5〜30%の範囲内であることが好ましく、10〜30%の範囲内であることがより好ましい。
式(I):サーモクロミック性の変化幅={(TL3−T)−(TL2−T)}%
ここで、TL3:サーモクロミック性が一定となったときの20℃(波長1300nm)における光透過率(%)
L2:分散剤を添加する直前の20℃(波長1300nm)における光透過率(%)
:80℃(波長1300nm)における光透過率(%)
サーモクロミック性の変化幅が5%以上であれば、分散剤を二酸化バナジウム含有粒子表面に十分に吸着させることができ、30%以下であれば、酸素欠損部位が少なく、分散性を十分に保つことができる。
〈分散方法〉
二酸化バナジウム含有粒子を分散する方法としては、特に制限はないが、例えば、高速撹拌機、高圧ホモジナイザー、ビーズミル、振とう機等の装置を使用して分散する方法が挙げられる。中でも、粒子の微小化の観点で高圧ホモジナイザーやビーズミルを用いて分散することが好ましい。
高圧ホモジナイザーとは、加速された高流速によるせん断力、急激な圧力降下(キャビテーション)及び高流速の粒子同士が微細オリフィス内で対面衝突することによる衝撃力によって磨砕を行う装置であり、市販されている装置としては、ナノマイザー(ナノマイザー株式会社製)、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製)等を用いることができる。高圧ホモジナイザーによる破砕の程度は、高圧ホモジナイザーへ圧送する圧力と高圧ホモジナイザーに通過させる回数(パス回数)に依存する。
ビーズミルは、容器内にメディアとしてビーズを充填し、撹拌されているビーズ中に粒子と媒体からなるスラリーを流し込み、媒体中でビーズとともに撹拌することにより凝集粒子を砕いて粉砕、分散する工程を有する装置である。また、スラリーとビーズとの分離に遠心分離を用いる装置もある。このようなビーズミルとしては、スターミルZRS(アシザワファインテック(株)製)、ウルトラアペックスミル(寿工業(株)製)、MSC−MILL(三井鉱山株式会社)などがある。
二酸化バナジウム含有粒子の分散処理を施す時期としては、サーモクロミック性の変化が観測される期間内であれば特に制限されないが、水熱反応終了後から72時間以内に行うことが好ましい。
また、上述したように、サーモクロミック性が回復するポテンシャルを有している粒子は、常温下で保管しておくと徐々にサーモクロミック性が向上、回復していくため、経過日数(常温下の保管日数)でサーモクロミック性の回復程度を変更することが可能である。
また、サーモクロミック性の向上、回復に長期を必要とする場合は、酸素バブリングを行うことで回復を早めることもできる。
〈分散剤〉
本発明に係る分散剤としては、特に制限されないが、その構造式中にアミノ基又はカルボキシ基の少なくとも一つを有しているものが好ましく、アミノ基及びカルボキシ基の両方の基を有しているものがより好ましい。
このような分散剤としては、アミン系、カルボン酸系、ベタイン系のものが挙げられる。
カルボン酸系の分散剤としては、低分子のものとして、酢酸、プロパン酸、酪酸、ヘキサン酸、オクタン酸等、高分子のものとして、ポリカルボン酸等が挙げられる。
アミン系の分散剤としては、メチルアミン、プロピルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、高分子アミン化合物等が挙げられる。
ベタイン系の分散剤は、アミノ基とカルボキシ基とを有しており、このような分散剤としては、グルタチオン、グリシルグリシン等が挙げられる。
分散剤の添加量としては、二酸化バナジウム含有粒子(100質量%)に対して、5〜50質量%の範囲内であることが好ましく、耐熱性低下を防止する点から、5〜30質量%の範囲内であることがより好ましい。
《二酸化バナジウム含有粒子の製造方法》
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、水熱反応を用いて合成される。
以下、詳細に説明する。
〈水熱反応〉
本発明においては、少なくとも、バナジウム化合物と還元剤と水とを混合して水熱反応させることにより、二酸化バナジウム含有粒子を合成する。バナジウム化合物を水熱反応下で還元することで、ルチル型の結晶構造(R相(M層))を有する二酸化バナジウム含有粒子を作製することができる。
本発明において、水熱反応とは、温度と圧力が水の臨界点(374℃、22MPa)よりも低く、100℃以上の熱水(亜臨界水)中において進行する化学反応を意味する。水熱反応は、例えば、オートクレーブ装置等の密閉容器内で実施される。このとき、過酸化水素を混合していてもよい。
水熱反応処理の条件(反応物の量、処理温度、処理圧力、処理時間)は、適宜設定されるが、水熱反応の液温としては、例えば、200〜350℃の範囲内であることが好ましく、200〜300℃の範囲内であることがより好ましく、230〜300℃の範囲内であることが特に好ましい。液温が200℃以上であれば十分な反応速度が得られる。
水熱反応時間(常温から水熱反応温度までの昇温時間を含む。)は、例えば、1時間〜7日であることが好ましい。水熱反応時間を当該範囲内とすることにより、二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径を所望の粒径に制御することができる。また、7日以内であると、エネルギー消費量が多くなりすぎることを抑制できる。
また、水熱反応は、撹拌されながら行われることが、二酸化バナジウム含有粒子の粒径をより均一化できるため、好ましい。
水熱反応は、バッチ式又は連続式のいずれの方法で実施してもよい。
〈限外濾過〉
また、限外濾過を用いて溶媒の置換を行い、洗浄を行ってもよい。
限外濾過としては、例えば、Sartorius stedim社製、ビバフロー50(有効濾過面積50cm、分画分子量5000)を用いて、流速300mL/min、液圧1bar(0.1MPa)、常温(20〜30℃)で濾過を行うことができる。
(バナジウム化合物)
水熱反応に用いられるバナジウム化合物としては、特に限定されないが、五酸化二バナジウム(V)、バナジン酸アンモニウム又は三塩化酸化バナジウムであることが好ましい。
(還元剤)
水熱反応に用いられる還元剤としては、特に限定されないが、シュウ酸、ギ酸、ヒドラジン、又はそれらの水和物であることが好ましい。
《二酸化バナジウム含有粒子》
本発明に係る二酸化バナジウム含有粒子は、少なくとも二酸化バナジウムを含んで構成され、これにより、サーモクロミック性を発現することができる。
二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径は、1〜300nmの範囲内であることが好ましく、1〜100nmの範囲内であることがより好ましい。平均粒径が当該範囲内であることにより、ヘイズ値の低減や実質的に優良なサーモクロミック性を発現させることができる。
ここで、二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径とは、体積基準の粒径分布におけるメジアン径(d50)をいい、レーザー回折式粒度分布計を用いて測定することができる。具体的には、粒子を1質量%の濃度となるように水と混合し、超音波で15分間分散してサンプルを調製し、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定する。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《二酸化バナジウム含有粒子の分散液の調製》
以下のようにして、二酸化バナジウム含有粒子の分散液101〜109を調製した。
〈分散液101の調製〉
特許文献1の実施例3を参考にして、サンプルを調製した。
具体的には、純水18mLにバナジン酸アンモニウム(V)(NHVO、和光純薬製、特級)を0.4g混合し、これにヒドラジン一水和物(N・HO、和光純薬社製、特級)の1.25mol/L水溶液を1.25mLゆっくり滴下し、pH(25℃換算)9.2の反応液を調製した。このとき、NHVOの濃度は、2質量%である。
調製した反応液を、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mlセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学社製)に入れて、100℃で8時間、続いて270℃で24時間の水熱反応を行い、二酸化バナジウム含有粒子の水分散液を調製した。
上記で調製した分散液を240時間常温保管し、サーモクロミック性(TC性)が変化しなくなったことを確認した後、二酸化バナジウム含有粒子100質量%に対し、分散剤としてプロピルアミンを10質量%混合し、高圧ホモジナイザー(ナノマイザー、ナノマイザー株式会社製)を用いて分散して、分散液101を調製した。
〈分散液102〜107の調製〉
分散液101の調製において、二酸化バナジウム含有粒子の水分散液の保管期間を表1に記載のとおりに変更した以外は同様にして、分散液102〜107を調製した。
なお、各分散液において、二酸化バナジウム含有粒子の水分散液の保管期間は、分散液101の20℃(波長1300nm)における光透過率の経時変化を水熱合成後からサーモクロミック性(TC性)の変化が終了するまで観測し、サーモクロミック性の変化幅が表1に記載の値となる時間を算出し、これを保管期間とした。
〈分散液108及び109の調製〉
分散液106の調製において、分散剤をそれぞれプロパン酸、グリシルグリシン酸に変更した以外は同様にして、分散液108及び109を調製した。
《評価》
調製した分散液101〜109について、下記の各評価を行った。
評価結果を表1に示す。
〈サーモクロミック性の評価〉
調製した各分散液を市販の栓付石英セル(2面透光型45mm×12.5mm×10mm)内に入れ、加熱可能な分光光度計(日本分光社製V−670型、190−2500nm)により、分散液の透過スペクトルを測定した。分散液102〜109については、別途同一手順にて調製したサンプルを準備し、保管期間が経過して分散剤を添加する直前の透過スペクトルも測定した。
測定温度は、20℃及び80℃とした。また、各分散液の光透過率(%、波長1300nm)の温度依存性を測定した。
波長1300nmで、温度が20℃から80℃に上昇することによる光透過率の変化量(光透過率差(%)=20℃における光透過率−80℃における光透過率)を算出し、サーモクロミック性を評価した。変化量が大きいほどサーモクロミック性に優れていることを示す。
〈平均粒径の測定〉
調製した各分散液について、分散直後、及び分散処理を施してから7日間(168時間)保管した後の二酸化バナジウム含有粒子の平均粒径をレーザー回折式粒度分布計を用いて測定した。
具体的には、二酸化バナジウム含有粒子濃度が1質量%となるように適宜純水を加え、超音波で15分間分散してサンプルを調製し、島津製作所製のレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定し、体積基準の粒径分布におけるメジアン径(d50)を算出し、平均粒径の変化率(=7日間保管後の平均粒径(nm)/分散直後の平均粒径(nm))を下記評価基準に従って、評価した。
◎:変化率が1.5倍未満
〇:変化率が1.5倍以上3倍未満
×:3倍以上
7日間保管後の平均粒径(d50)の変化率が3倍以上になっている場合は、分散後に再凝集がより進んでいるため分散剤の吸着が不十分であり、平均粒径(d50)の変化率が3倍未満であれば十分に分散剤が粒子表面に吸着し、良好な分散状態が保てていることを意味している。
Figure 2017226771
〈まとめ〉
表1から明らかなように、本発明の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法により調製された分散液は、比較例の二酸化バナジウム含有粒子の分散液と比べて、分散性に優れていることが確認された。
以上から、水熱反応により合成され、経時とともにサーモクロミック性が変化する二酸化バナジウム含有粒子を準備する工程と、二酸化バナジウム含有粒子と分散剤とを混合し、二酸化バナジウム含有粒子を分散する工程と、を有する二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法が、分散性に優れた二酸化バナジウム含有粒子の分散液を提供することに有用であることがわかる。
、CL1、CL2、CL3 (波長−光透過率)曲線
、TL1、TL2、TL3 光透過率

Claims (6)

  1. サーモクロミック性を有する二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法であって、
    水熱反応により合成され、経時とともにサーモクロミック性が変化する二酸化バナジウム含有粒子を準備する工程と、
    前記二酸化バナジウム含有粒子と分散剤とを混合し、前記二酸化バナジウム含有粒子を分散する工程と、
    を有することを特徴とする二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
  2. 20℃及び80℃における前記分散液のサーモクロミック性を、前記分散剤を添加する直前から一定になるまで測定したとき、下記式(I)で表されるサーモクロミック性の変化幅が、5〜30%の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
    式(I):サーモクロミック性の変化幅={(TL3−T)−(TL2−T)}%
    ここで、TL3:サーモクロミック性が一定となったときの20℃(波長1300nm)における光透過率(%)
    L2:前記分散剤を添加する直前の20℃(波長1300nm)における光透過率(%)
    :80℃(波長1300nm)における光透過率(%)
  3. 前記式(I)で表されるサーモクロミック性の変化幅が、10〜30%の範囲内であることを特徴とする請求項2に記載の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
  4. 前記分散剤が、アミノ基又はカルボキシ基を有していることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
  5. 前記分散剤が、アミノ基及びカルボキシ基を有していることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
  6. 前記二酸化バナジウム含有粒子を分散する工程を、水熱反応終了後から72時間以内に行うことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の二酸化バナジウム含有粒子の分散液の製造方法。
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